説明

光センサーインテロゲーションシステム

一端に取り付けられたフォトニック結晶を担持する光ファイバーを備えた光センサーを含む輸送手段の構造の種々の状態を監視する装置及び方法、インテロゲーションモジュールから遠隔配置された一又は複数の前記光センサーと相互作用する光信号発生器を含むインテロゲーションシステム、及び前記インテロゲーションシステムを使用して輸送手段の構造の健全性を監視する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して光ファイバー構造健全性モニタの分野に関し、より詳しくは、監視対象の材料やシステムの特性変化を検出するための一又は複数のフォトニック結晶センサー、センサーのステータス分析に使用するため光信号を電気信号に変換する光インテロゲータモジュールを含む光センサーインテロゲーションシステム、及び当該インテロゲーションシステムの使用方法に関し、さらに詳しくは、軽量で構造が単純な小型化された光インテロゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙機及びシステムは一般的に、データの収集、交換及び分析によって各種システムの健全性を監視する計器、並びに収集したデータの送信及び処理中に、破壊の可能性がある力及び状態の反復に十分に耐えられるよう堅牢に配置された通信網を装備している。
【0003】
近年、このようなシステムの健全性の監視を目的として、電気デバイス又は機械デバイスの代わりに光学装置を使用する傾向がある。光インテロゲーションシステムは、化学、生物学分野の温度及び圧力検出環境で使用される健全性監視システムの重要なコンポーネントである。光検出技術は、軽量で電磁環境耐性(EMI)が持続することから宇宙での応用に極めて好適であるが、現在までのところ、このようなセンサーシステムは極めて高価、又は実装が複雑であることが証明されている。
【0004】
ファイバーブラッググレーティング(FBG)形式のセンサーシステム、光ファイバーパスセンシング、圧電型トランスジューサ、比較真空モニタ、歪みゲージに基づくシステム、超音波システム、及び視覚インジケータなどを含む種々のソリューションが提案及び試行されているが、各々に課題が残されている。
【0005】
現在のところ、ファイバーブラッググレーティングデバイスは、構造健全性監視の多くの領域で好適であるが、このようなデバイスは操作する光ファイバーケーブルを注意深く改良しなければならないだけでなく、波長シフト及びその他の現象を測定するための複雑な方法が必要となる。このようなシステムはまた、温度変化に影響されるようで、補償するための追加機器が必要となる。
【0006】
光ファイバーパスセンシングはその単純性(例えば、ファイバーのループ)により極めて魅力的であるが、破損又は変更の監視は一般的に時間領域反射測定器などの追加機器を必要とするため、結果的に生まれるシステムはかなり複雑になることがありうる。
【0007】
圧電型デバイスは製造に使用される材料の特質により、非常に高価になる傾向がある。このようなデバイスはまた一般的に、個々のセンサーに対して二重結線が必要なだけでなく、電気をベースとするシステムのその他の特徴(EMI/電光に対する感受性)を有することになる。さらに、このようなデバイスは特定の周波数に対して反応しやすい傾向があるため、正しく操作するためには、かなりの量の基本データの測定が必要になることがある。
【0008】
比較真空モニタリング(CVM)は非常に微細な圧力セルを使用して、亀裂を示す圧力の変動を探索する。これによりセンサーの設計は単純で手頃な価格になるものと思われる。しかしながら、CVMは操作するためチューブと圧力システムが必要になり、既知のCVM機器は使用するため携帯用システムの使用が必要になるものと思われる。
【0009】
歪みゲージは抵抗の変化を監視する比較的古い技術である。このセンサーは非常に単純で、多くの場合、柔軟な基板の上に銅が配線されている。このようなセンサーを正確に設定して読み取るのは難しく、上述の圧電型デバイスの設計と同様な問題を伴うことがある。
【0010】
超音波検査は現在利用されている技術で、正しく操作するためには構造体と機器全体にわたって動作するフィールドデバイスの導入が必要となる。このようなシステムを内蔵型の設計まで小型化する試みは、圧電型システムと非常に似通ったシステムになる可能性が高い。
【0011】
現時点では目視検査が標準的な検出方法となっているが、材料の不具合を検査して判断し、計測を試み、構造体がどれくらいの期間使用可能かを評価することができる高度な訓練を積んだ個人が必要となっている。
【0012】
2004年2月10日にHaugse氏らに発行され、本発明の受託者に受託された米国特許第6,691,007号は、輸送手段の状態の監視及び監視された状態に基づく整備計画の作成のためのシステム及び方法について記載している。この特許は、ファブリーペロー干渉計、長周期グレーティングに基づく干渉計、及びファイバーブラッググレーティングセンサーなどの従来の光センサーの使用を開示しているが、インテロゲーションシステムの小型化又は低コスト化が可能なほど十分に小さいものはない。
【0013】
したがって、輸送手段の構造及びシステムの構造の健全性を監視及び報告することを目的として、一又は複数の光センサーからデータを測定する、軽量で小型化された効率の良い光インテロゲーション装置が必要とされている。
【0014】
本発明の一実施形態では、光センサーは自由端を有する有限な長さの光ファイバー、及び光ファイバーの自由端に取り付けられたフォトニック結晶を含む。光ファイバーの自由端は研磨された表面、及び研磨された面に固定された結晶を含む。フォトニック結晶は破壊的な環境の影響から結晶を保護する物質がコーティングされている。光センサーの反射率特性は結晶に印加する電圧の範囲によって変えることができる。
【0015】
本発明の他の実施形態では、構造の中の少なくとも一つの光センサーから情報を収集する光インテロゲーションシステムは、少なくとも一つの光センサーと通信を行うための光信号発生器、及び少なくとも一つの光センサーによって戻された光信号を収集するための光信号受信装置を含み、各光センサーは光ファイバーストランド及び光ファイバーストランド上に取り付けられたフォトニック結晶ウエハーを備えている。光ファイバーストランドには研磨された端面が備わっており、又フォトニック結晶ウエハーは光ファイバーストランドの研磨された端面の上に固定されている。フォトニック結晶ウエハーは波長の範囲内の反射率スペクトルを検出する。光インテロゲーションシステムは、光信号発生器と光信号受信装置との間に配置されたスイッチング機構をさらに含み、これによって二つ以上の光信号を同時に送信または受信することができる。スイッチング機構は波長分割多重スイッチ又はMEMSスイッチを含みうる。光信号発生器はレーザー又はLEDであってもよい。光ファイバーは側方散乱光ガイドの形態をとり、光ファイバーによって監視される光ファイバーの端子上に担持された1本のフォトニック結晶材料を含むことができる。光インテロゲーションシステムは、結晶の反射率特性を制御するためフォトニック結晶に結合している電圧変更装置をさらに含むことができる。光センサーは圧力、温度、化学物質又は生体物質のうちの少なくとも一つを検出することができる。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態では、輸送手段の構造的な健全性を監視する方法は、光信号を生成するステップ、光信号を光信号発生器から遠隔配置されている光センサーに向けるステップであって、フォトニック結晶ウエハーを含む光センサーが光信号及び環境条件と光学的に相互作用するステップと、反射して光センサーから戻った光信号を捕捉し、反射した光信号を解析して環境条件の変化を決定するステップを含む。この方法は、解析された反射光信号が輸送手段の構造の環境条件に許容できない変化を示す場合には、警告信号を制御装置に送信するステップをさらに含む。この方法は、信号解析の前に最初に光信号を電気信号に変換するステップを含む。
【0017】
この装置及びこの装置の使用方法に関するさらなる態様が本明細書に開示されている。上記で議論された特徴、並びに本発明の他の特徴及び利点は、当業者であれば、以下の詳細な説明及び図面から評価及び理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明による光センサーの透視図である。
【図2】図2は本発明による光インテロゲーションシステムの構造を示す模式図である。
【図3】図3は本発明による耐障害性光スイッチングシステムを示す模式図である。
【図4】図4は本発明による光インテロゲータのブロック図である。
【図5】図5は本明細書に記載されているように、光センサーを使用する輸送手段の状態を監視する方法のステップを図解するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態は、以下のとおり添付図面を参照することにより十分に説明されるであろう。しかしながら、多くの種々の実施形態が検討されるが、本発明は本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈すべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本発明が詳細且つ完全なものとなり、当業者に対して本発明の範囲をより良く伝えられるように提供されている。
【0020】
最も広い意味で、本発明は輸送手段の状況を監視し、輸送手段に搭載されている健全性管理システムにこのような状況を代表するデータを供給する。システムは、一又は複数の光センサー、及び輸送手段内に配置された光インテロゲーション装置を含む。光インテロゲーション装置は、輸送手段のシステムのステータスを監視するため、輸送手段に組み込まれた健全性管理システムによって使用可能な電気信号に、光信号を変換する。
【0021】
本発明は、一又は複数の光センサー、光インテロゲーション装置、及びセンサーとインテロゲーション装置との間に配置された光反応インフラストラクチャを含む構造健全性監視システムを、さらに提示する。健全性監視システムは極限環境に耐えることができ、化学検出、生物学検出、及び温度又は圧力の検出に応用することが可能である。
【0022】
図1を参照するに、光センサー100は、シングルモード光ファイバー106の端面104上に取り付けられ、固定されたフォトニック結晶102を含む。フォトニック結晶は、最も単純な形態で、単層の半導体材料からなるが、ファイバーストランド106の端子上に取り付けられた数層の半導体材料を含むことができる。センサーの原理はフォトニック結晶の反射率スペクトルの変化の検出に基づいている。単層のフォトニック結晶は、監視される波長範囲内にシャープな反射共鳴を含む。好ましくは、フォトニック結晶センサーは標準的な製造プロセスを使用するシリコン製造工場で製造され、サイズ、界面特性、及び最も厳しい動作環境での動作に対する堅牢性の要件を満たす。材料の構成に応じて、例えばファイバー先端に対する圧力など、各種の影響を監視することができる。例えば、反射率特性を変えるためフォトニック結晶にある範囲の電圧を印加することなどの、より複雑な構成では、「スマート」コンポーネントは、光インテロゲータで読み取り可能な光の反射率を変更することによって、フォトニック結晶又はウエハーを低電力通信デバイスとして使用することができる。別の可能な実施態様は、一連のフォトニック結晶パッチ又はシングルファイバーによって監視される1本のフォトニック結晶材料と共に、側方散乱光ガイドとしてファイバーを使用することであろう。
【0023】
フォトニック結晶センサーはまた、本発明で既に議論したファイバーブラッググレーティングセンサーよりも使用及び製造がはるかに単純である。ファイバーブラッググレーティングセンサーは現在、既存のシングルモードファイバーのコーティングの剥ぎ取り(125マイクロメーターグラスファイバーから)、ファイバーへのブラッググレーティングの「書き込み」、及び代替材料による再コーティングによって作られている。ファイバーへのブラッググレーティングの書き込みは、他の方法に加えて、レーザー及びフェーズマスクの使用によって実現可能である。クラッディング交換の選択、書き込みプロセス、及びファイバー構成はすべて、センサーの最終性能に影響を及ぼしうる。これを実施するプロセスは複雑である。
【0024】
ファイバーブラッグセンサーは高感度になりうるため有用で、シングルファイバーの長さ方向に沿ったインライン構造に役立ち、20個以上のセンサーから同時にデータを読み出すことができる。しかしながら、このようなデバイスは長さ方向に交差する反射光の波長(一般的に短波長)を変えることによって動作する。反射光の非常に低い振幅で極めて小さな変化(すべての末端での干渉効果)を読み取ることが可能でなければならないため、これによってセンサーのインテロゲーション機器ではシステムの複雑性が増す。これは、製造時に発生する大量の変動の直接的な結果によると考えられるが、構造を複雑にする可能がある。
【0025】
さらに、ファイバーブラッググレーティングセンサーの動作には、長さ方向の変化(例えば、伸長、曲げ、圧縮など)が必要である。幾つかの場合にはこれは利点となるが、多くの場合、単一の注目点を監視しなければならない場合には、不利益となることがある。またこれによってセンサーは、補償しなければならない温度変化(ファイバー部分の屈曲又は伸長による)に対して、自然と敏感になる傾向がある。
【0026】
これとは対照的に、フォトニック結晶では大量生産の可能性、再現性、及び高度な制御が可能な検出領域が提供される。これらのデバイスはまた、入射光の反射が大きいため、純粋な反射装置としても動作する。結晶格子は既存の半導体技術を使用して製造される。これらのデバイスは集積回路とほぼ同じようにウエハーから切り出すことができる。基本的な設定の場合、ファイバー端子は既存の通信機器用の機器を使用して研磨され、格子ウエハーはその表面に接着される。この素子は剥き出しのままでもよいが、意図している応用によっては、破壊的な環境条件から結晶を保護する材料でコーティングすることもできる。フォトニック結晶を使用することにより、本発明のインテロゲータシステムを構成するコンポーネントの重量と複雑さが大幅に軽減され、システムの小型化が可能になる。
【0027】
図2を参照するに、本発明の光インテロゲーションシステム200は複数の光センサー202、光スイッチ204、光ケーブル206、及び光インテロゲータ208を含むことがわかる。各センサー202は、上述のファイバー・フォトニック結晶一体(FPPC)構造100を含む。
【0028】
光スイッチ204は、小型、軽量で広範囲の振動に耐えうる組込み型半導体デバイスであってもよい。このデバイスは、一又は複数の微小電気機械システムスイッチ(MEMS)を含むことが可能で、過酷な環境でも信頼性が高く、障害に強く、実用が容易である。図2に示す光ネットワークは、高速可変波長半導体レーザーと導波管ルータなどの光受動波長ルータを統合する。レーザーにより大容量、低電力消費光パケットスイッチ及び軽量インテロゲータの使用が可能になる。
【0029】
光インテロゲータ208は、輸送手段内で遠隔配置されたシステムセンサーのステータスを監視するため、光信号を輸送手段の健全性管理システムによって使用される電気信号に変換するもので、従来から使用されているファイバーブラッググレーティングセンサーシステムに類似し、代替することができる。
【0030】
図3は本発明による別のシステム300を図示するもので、輸送手段ネットワークに耐故障性をもたらす冗長な構造を強調している。図1に示した種類の複数の光センサー302は、それぞれカプラ305を介してMEMSスイッチ304aに接続されている。MEMSスイッチ304aはバックアップスイッチ304bに接続され、光ファイバーケーブル又は導波管グレーティングルータが故障した場合に、オンボード光ネットワークが最小限の遅延で動作できるようになっている。MEMSスイッチ304aは小型で、波長非感受性で、光学的に透明であるため、導入と操作が単純である。さらに、スイッチング時間は数10マイクロ秒程度であり、適切な冗長性管理の実現を考えるならば、ほとんどの機能の回復に関しては十分に高速である。このシステムは、主インテロゲータ308a及びバックアップインテロゲータ308bをさらに含む。
【0031】
図4は本発明の光インテロゲータ208を構成するコンポーネントを図解するブロック図である。インテロゲータ208は、光センサーと輸送手段ネットワーク500の制御・データ取得システムとの間のインターフェースを提供するもので、光ファイバー受信機/送信機232、信号調整変換器234、アナログ・デジタル変換器236、及びマイクロコントローラ238を含む。光ファイバー受信機232は、光ファイバーからの光の強度を電気信号に変換し、この電気信号は増幅され、アナログ・デジタル変換器236への入力用に信号を調整するフィルタ回路に送信される。デジタル化された信号は解析のためフィルタ回路からマイクロコントローラ238に送られ、マイクロコントローラは信号を監視し、信号が規定の閾値を下回っているかどうかを判断する。信号が閾値を下回っていると判断された場合には、マイクロコントローラは輸送手段のネットワーク500に警告信号を送る。
【0032】
図5は本発明による輸送手段の構造の健全性を監視する方法のステップを示すブロック図である。ブロック401では、最初のステップは、例えばレーザー又はLEDによる光信号の生成を伴う。次に、ブロック402に示すように、光信号は輸送手段の中の遠隔配置された光センサーに向けられる。センサーは、図1に関連して既に述べたように、ケーブルの端面に取り付けられているフォトニック結晶付きの光ファイバーケーブルを含む。ブロック403では、光信号はセンサーから反射して戻り、ブロック404に示すように光信号受信装置によって捕捉される。ブロック405で示されるステップでは、光信号は電気信号に変換され、次にフィルタ処理及び/又は増幅などの信号調整が実行される。ブロック406で示される手順では、注目している電気信号の属性が測定される。注目している信号の属性には、振幅、周波数、波長などが含まれる。ブロック407に示したステップでは、測定された電気信号の属性は、事前に選択された閾値と比較される。この値は測定した属性の許容可能な上限をあらわすことがある。次に、ブロック408に示したように、この方法は電気信号の属性値がそれぞれの閾値を超えるか否かについて判定を行う。電気信号属性の値が閾値を越える場合には、警告信号が発せられ(ブロック409)、ブロック410に進む。このブロックでは、監視プロセスの予定の要件に従って、ブロック401〜408のステップが反復されることがある。一方、電気信号属性の値が閾値を越えない場合には、直接ブロック410に進み、監視プロセスの予定に従ってステップ401〜408が反復される。監視プロセスの予定は、ユーザーが事前設定した間隔での光センサーの単一インテロゲーション、連続インテロゲーション、ユーザーが選択した間隔での一連のインテロゲーションの反復、又はインテロゲーションと間隔の任意の組み合わせを要求しうることを理解すべきである。注目される可能性のある電気信号の任意の属性は測定及び評価され、対応する閾値と比較され、好ましくは輸送手段に設定する前に判定が行われ、確定される。
【0033】
本発明による光インテロゲーションシステムは軽量で小型化されており、極限環境に耐えることができる。このシステムは化学検出、生物学検出、及び温度、圧力の検出に応用することができる。また、このシステムは航空機の機体及び健全性を監視することが望ましい場所に組み込むことができる。本発明のセンサーインテロゲーションシステムは、エンジン及び荷重負荷の大きい構造など、最も厳しい環境に入り込む。そのパッケージングと電子集積は、過酷な温度、機械的振動、腐食性材料及び電磁干渉などに耐え、また一方で、監視されるシステムの動作に有害な影響を及ぼさないよう、全体の体積は小さく、操作で利用者に負担をかけないように設計されている。
【0034】
本発明の装置により、スイッチ形式のデバイスの追加が可能になり、インテロゲーションハードウェアの再利用を増やすことができる。現在最新のファイバーブラッググレーティングセンサーシステムは、スプリッタ及びカプラをほぼ排他的に使用することに重点を置いているものと思われる。このシステムは基本的に一度ですべてに接続されるため、この配置によりセンサーデータへの極めて高速なアクセスが可能になるが、同時反射をすべて一度に「復号」しなければならないため、インテロゲーションデバイスの設計を複雑にするものと思われる。ファイバーブラッググレーティングセンサーはまた、非常に狭いスペクトル帯での簡単な修正のみが可能なようで、インテロゲータの感度の引き上げが必要となる。
【0035】
フォトニック結晶のアプローチにより、スイッチングデバイスをサイズに応じてマイクロ秒単位、ミリ秒単位、秒単位で動作させることが可能になる。構造の健全性の監視などの場合、数秒、数分、又は数時間ごとにポーリングしなければならない幾つかの条件を除いて、実際に航空機の検出ネットワークを有効にする必要はない。一方ではシステムに組み込まれる冗長性が増すが、これを利用してインテロゲーションシステムの複雑性、コスト及びサイズを低減できるようにすべきである。
【0036】
照明光源に関しては、レーザー及び波長可変レーザーシステムが現在のところ最良のインテロゲーション装置と思われる。CCD形式の機器は検出デバイスとして使用することができるが、配列されたフィルタ補正光センサーも使用することができる。この装置はファイバーブラッググレーティングセンサーですでに使用されているが、フォトニック結晶ベースの材料を使用することによりシステムの設計が極めて容易なり、LEDなどの低品質光源の使用が可能になる。また、より低いエネルギーで反射されるため、このセンサーシステムでも有用であり、微妙な波長シフトを懸念する必要が少なくなる。
【0037】
さらに、この検出方法は低コストの検出ソリューションにも好適となりうる。例えば、実際にこの方法をより安価なプラスチックファイバーケーブル、光源用の標準的な発光ダイオード、及び安価な光源で利用することができる。このようにして、同一の検出システムを、パネルスイッチング、単純な近接検出(ドア)、及び低品質圧力式アプリケーション(自動車などに使用される占有重量検出システム)並びに軽量、低コストであるがEMI耐性システムが有効となる他の応用、などの領域の低コスト利用に適用することができる。低信頼性システムから高信頼性システムまでのこのような拡張性は、研究の観点から魅力的と思われる。
【0038】
本発明は好ましい実施形態を参照して行われているが、当業者であれば、種々の変更が可能であること及び本発明の範囲から逸脱することなく構成要素を均等物で代替可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体内の少なくとも一つの光センサーから情報を収集する光インテロゲーションシステムであって、
前記少なくとも一つの光センサー、及び該少なくとも一つの光センサーによって返される光信号を収集するための光信号受信装置と通信を行うための光信号発生器と、
光ファイバースタンド及び該光ファイバースタンド上に取り付けられたフォトニック結晶ウエハーを備えた各光センサーと
を含む光インテロゲーションシステム。
【請求項2】
前記光ファイバースタンドに研磨された端面が準備され、前記フォトニック結晶ウエハーが前記光ファイバースタンドの前記研磨された端面上に固定されている、請求項1に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項3】
前記フォトニック結晶ウエハーが波長の範囲内の反射率スペクトルの変化を検出する、請求項2に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項4】
二つ以上の光信号を同時に送信または受信することができるように、前記光信号発生器と前記光信号受信装置との間に配置されたスイッチング機構をさらに含む、請求項1に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項5】
前記スイッチング機構が波長分割多重スイッチである、請求項4に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項6】
前記スイッチング機構がMEMSスイッチである、請求項4に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項7】
前記光信号発生器がレーザーである、請求項1に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項8】
前記光信号発生器がLEDである、請求項1に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項9】
前記光ファイバーが側方散乱光ガイド、及び前記光ファイバーによって監視される光ファイバーの前期端子上に担持された1本のフォトニック結晶材料を含む、請求項1に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項10】
前記結晶の前記反射率特性を制御するため前記フォトニック結晶と結合している電圧変更装置をさらに含む、請求項1に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項11】
前記光センサーが圧力、温度、化学物質及び生体物質のうちの少なくとも一つを検出する、請求項1に記載の光インテロゲーションシステム。
【請求項12】
輸送手段の構造の前記構造の健全性を監視する方法であって、
光信号を生成するステップと、
前記光信号を前記光信号発生器から遠隔配置されている光センサーに向けるステップであって、フォトニック結晶ウエハーを含む該光センサーが前記光信号及び環境条件と光学的に相互作用するステップと、
前記光センサーから反射する反射光信号を捕捉するステップと、
前記反射光信号を解析して前記環境条件の変化を判定するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記解析された反射光信号が前記輸送手段の構造の前記環境条件の許容できない変化を示す場合には、警戒信号を制御装置に送信するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反射光信号を解析する前記ステップが最初に前記光信号を電気信号に変換するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
自由端を有する有限な長さの光ファイバーと、
前記光ファイバーの自由端に取り付けられたフォトニック結晶と
を含む、光センサー。
【請求項16】
前記光ファイバーの自由端が研磨された表面を含み、前記結晶が該研磨された表面に固定されている、請求項15に記載の光センサー。
【請求項17】
前記フォトニック結晶が破壊的な環境の影響から結晶を保護する物質がコーティングされている、請求項15に記載の光センサー。
【請求項18】
前記結晶にある範囲の電圧を印加する装置をさらに含み、該電圧が前記結晶の前記反射率特性を変える、請求項15に記載の光センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−508738(P2013−508738A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536829(P2012−536829)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/050921
【国際公開番号】WO2011/056329
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】