説明

光センサー

検出素子は、格子を伝播する光が経験する有効モード屈折率により応答が異なる導波路格子と、有効モード屈折率に影響を与えて応答を変化させる流体を受け取るためのサンプル窓とを備える。検出素子は光源からの光を受光してフィルタリング後に光を出力するように配置されている。分析素子は第2応答を有する第2波長格子を備えており、検出素子から出力された光を受光して、光出力検出器で検出するためにフィルタリング後に光を出力するように配置されている。二つの格子を組み合わせることにより、流体のサンプルに応答して検出素子から出力される光の波長の変化が、光量の変化へと変換される。これにより、光出力の測定から流体の屈折率を導き出すことが可能となる。二つの素子は、温度変化等の環境の乱れによるエラーを減少させるために、単一の基板上に形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光センサーに係り、特に、流体サンプルの屈折率やそれに関連したパラメータや特性を検出するための平面状の導波路格子に基づいた光センサーに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
流体の光学屈折率の測定は、生体分析や生体検出を含む分野において重要である。流体が異なるか、または同じ流体でも濃度が異なると、屈折率が異なるので、屈折率の測定により流体を識別または区別することができる。流体の屈折率または屈折率の変化は、多くの生物学的に重要な測定量を決定するために用いることができる。例えば、タンパク質濃度やブドウ糖レベルが挙げられる。他の分野においては、屈折率の測定は、プロセス制御や爆発物の検出等の多種多様な応用分野において使われている(非特許文献1を参照)。
【0003】
屈折率を測定するための多種多様な装置と方法が知られており、アッベ型の屈折計や表面プラズモン共鳴に基づいたセンサーが挙げられる。光導波路が用いられてもよい。光導波路に近接して液体が存在すると、導波路内を伝播する光の有効モード屈折率が変更される。この屈折率の変更は、光路長の変化を感知する方法を用いて測定可能である。例えば、干渉計構造を用いて屈折率の変化を測定し、これをもとにしてタンパク質の存在が検出されてきた(非特許文献2を参照)。
【0004】
干渉計を用いて測定することの代わりとなるのは、光導波路格子を用いることである。格子の反射率は、屈折率に依存し、導波路に接触する液体の屈折率により変更される。このタイプの装置の初期型においては、表面を浮き彫りにした格子を備えた平面状の光導波路が用いられ、導波路表面上のガスの吸着と脱着により屈折率が変化し、ガスを検出することができた(非特許文献3を参照)。生体及び化学用の集積光センサーとして他の平面格子の形状も提案されている(非特許文献4を参照)。他の格子に基づいた装置は、ファイバブラッグ格子を用いている(非特許文献5を参照)。感度をよくするために湿式エッチングを用いてファイバを薄くすることが提案されており(非特許文献6を参照)、D‐ファイバにおいて長周期格子を用いることにより、標準的な通信用ファイバの格子よりもさらに感度がよくなることがわかっている(非特許文献7を参照)。しかしながら、ファイバ格子を用いると、導波路のコアを液体に対して露出させるのに時間がかかる。例えばエッチングを用いた場合には、ファイバの位置を制御して、一まとまりのファイバを固定してコアにアクセスするまで研磨することが困難である。平面状の導波路は、伝播する光学モードに一般的にはアクセスし易いので好ましい。
【0005】
【特許文献1】英国特許出願公開第2395797号明細書
【非特許文献1】J.Bowen、L.J.Noe、B.P.Sullivan、K.Morris、V.Martin、G.Donnelly、「Gas phase detection of trinitrotoluene utilizing a solid−phase antibody immobilized on a gold film by means of surface plasmon resonance spectroscopy」、Appl.Spectrosc.、2003年、第57巻、第8号、p.906―914
【非特許文献2】R.G.Heideman、R.P.H.Kooyman、J.Greve、「Performance of a highly sensitive optical wave−guide Mach−Zehnder interferometer immunosensor」、Sensors and Actuators B−Chemical、1993年、第10巻、第3号、p.209―217
【非特許文献3】K.Tiefenthaler、W.Kukosz、「Integrated optical switches and gas sensors」、Optics Letters、1984年、第10巻、第4号、p.137―139
【非特許文献4】W.Lukosz、D.Clerc、Ph.M.Nellen、「Input and output grating couplers as integrated optical chemo− and biosensors」、Sensors and Actuators A、1991年、第25巻、p.181―184
【非特許文献5】A.Asseh、S.Sandgren、H.Ahlfeldt、B.Sahlgren、R.Stubbe、G.Edwall、「Fiber optical Bragg grating refractometer」、Fiber and Integrated Optics、1998年、第17巻、第1号、p.51―62
【非特許文献6】A.Iadicicco、A.Cusano、A.Cutolo、R.Bernini、M.Giordano、「Thinned fiber Bragg gratings as high sensitivity refractive index sensor」、IEEE Photonics Technology Letters、2004年、第16巻、第4号、p.1149―1151
【非特許文献7】X.Chen、K.Zhou、L.Zhang、I.Bennion、「Optical chemsensors utilizing long−period fiber gratings UV−inscribed in D−fiber with enhanced sensitivity through cladding etching」、IEEE Photonics Technology Letters、2004年、第16巻、第5号、p.1352―1354
【非特許文献8】B.J.Luff、J.S.Wilkinson、G.Perrone、「Indium tin oxide overlayered waveguides for sensor applications」、Applied Optics、1997年、第36巻、第27号、p.7066―7072
【非特許文献9】W.Lukosz、「Integrated optical chemical and biochemical sensors」、Sensors and Actuators B、1995年、第29巻、p.37―50
【非特許文献10】M.Q.Bu、M.Tracy、G.Ensell、J.S.Wilkinson、A.G.R.Evans、「Design and theoretical evaluation of a novel microfluidic device to be used for PCR」、Journal of Micromechanics and Microengineering、2003年、第13巻、第4号、p.S125―S130
【非特許文献11】R.Kashyap、「Photosensitive optical fibers: Devices and applications」、Optical Fiber Technology、1994年、第1巻、p.17―34
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面による光センサーは、フィルターを伝播する光が経験する有効モード屈折率によって異なる第1波長フィルタリング応答を有する第1波長選択フィルターと、流体のサンプルを受け取り、前記流体のサンプルが存在することにより前記フィルターを伝播する光が経験する有効モード屈折率に影響を与えて前記第1波長フィルタリング応答を変更させるように配置されたサンプル窓と、を有する検出素子と、第2波長フィルタリング応答を有する第2波長選択フィルターを有する分析素子とを備え、前記検出素子は光源からの光を受け取り、フィルタリングした後に前記光を出力するように配置され、前記分析素子は前記検出素子から出力された光を受け取り、光出力検出器により検出するためにフィルタリングした後に前記光を出力するように配置されている。
【0007】
まず検出素子、その後で分析素子を光が通過することにより、二つの素子のフィルタリング効果が組み合わされる。これにより、流体サンプルに対する検出素子の波長に依存した応答が、強度に依存した応答に変換される。従って、従来の装置においては分光測定が必要とされていたが、単純な光出力の測定により十分に、流体サンプルによる屈折率の変化さらにはサンプルの屈折率が決定される。これにより、センサーは複雑でなくなり、小型で安価なセンサーとなる。第1及び第2波長フィルタリング応答を特定の形状に選択することにより、出力を調節することが可能で、例えば出力が線形になる。
【0008】
フィルタリングは反射モードまたは透過モードで行うことができ、フィルタリング応答の形状を介してセンサーの出力を調節するという更なる選択性が与えられる。また、検出及び分析素子がお互いに結び付けられる方法に柔軟性が与えられる。検出素子は、第1波長選択フィルターから反射によりフィルタリングされた光を出力するように配置されてもよいし、第1波長選択フィルターを介する透過によりフィルタリングされた光を出力するように配置されてもよい。同様に、分析素子は、第2波長選択フィルターから反射によりフィルタリングされた光を出力するように配置されてもよいし、第2波長選択フィルターを介する透過によりフィルタリングされた光を出力するように配置されてもよい。
【0009】
実施例によっては、分析素子は、流体を受け取り、流体が存在することにより第2波長選択フィルターを伝播する光の有効モード屈折率に影響を与えて第2波長フィルタリング応答を変更させるように配置されたリファレンス窓を更に備える。このような構成により、検出素子の応答を乱すような環境の影響から少なくとも部分的に保護される。二つの窓により、二つの素子の環境は同じになり、同じ乱れが生じるようになる。従って、二つの素子の応答の間の違いは、流体サンプルと参照用流体の屈折率の違いに限定され、より正確に決定することが可能となる。
【0010】
検出素子及び分析素子は、波長選択フィルターを形作る屈折率が周期的に変化する格子を有する平面導波路を備えてもよい。平面状の導波路格子は所定のフィルタリング応答を提供する特に便利な方法である。何故ならば、幅広い範囲の応答に対して正確に形成することが可能であり、小型で強い。好ましくは、導波路はシングルモードの光の伝播となるように構成される。
【0011】
格子状の素子の場合には、サンプル窓は検出素子の格子の上に重なり、検出素子の導波路のコアの上に一部分が重なっているクラッド層を備え、サンプル窓が受け取る流体のサンプルがクラッド層に接触するようになっていてもよい。代わりに、サンプル窓は検出素子の格子の上に重なり、検出素子の導波路のコアの一部分が露出されており、サンプル窓が受け取る流体のサンプルがコアに接触するようになっていてもよい。どちらを選択するかは、流体に対する検出素子の感度による。前者の場合には更に、クラッド層の厚さを選択して、コアにどれだけ流体が近接するかを決めることができる。後者の場合には、コアの露出された部分は検出素子の導波路の近接する部分のコアの厚さよりも薄くなっていてもよい。このような構成を用いることにより、検出素子を介するシングルモードの導波路となり、サンプル窓の端で導波路構造が変化することによるモードの乱れが改善される。
【0012】
また、検出素子の導波路のコアは、その長さ方向に沿って屈折率の変化が逓減するようになっており、コアの露出された部分と近接する部分との間の有効モード屈折率の急激な変化を減じるようになっていてもよい。このような構造の導波路によっても、構造の境界が急であるために生じてしまう反射を減少させることにより、窓の境界でのモードの乱れが改善される。
【0013】
検出素子の導波路は、導波路の導波特性を変更する層を一層以上備えてもよい。追加の層を用いて、導波路を伝播する光の光場を、サンプル窓に向かうようにまたはサンプル窓から離れるようにひずませることができ、窓が受け取る流体に対するセンサーの感度を調節することが可能となる。
【0014】
本発明によるセンサーは、直接屈折率を測定するために用いてもよいし、屈折率により異なる特性を測定または検出するために用いてもよい。センサーに簡単な修正を行うことによって、このように拡張可能である。例えば、サンプル窓が受け取る流体のサンプル内に存在する分子と結合する化学的選択性のある物質の表面コーティングがサンプル窓に備えられてもよく、前記結合により有効モード屈折率が変更される。従って、化学的または生物学的に反応する物質が検出可能であり、例えば、生体サンプル内に特定の抗体が存在するかがテストされる。代わりに、サンプル窓が受け取る流体のサンプルによって変更される表面プラズモンを有する金属表面層が前記サンプル窓に備えられてもよく、表面プラズモンの変更により有効モード屈折率が変更される。
【0015】
実施例によっては、光センサーは、検出素子及び分析素子が配置される基板と、基板上に形成され光源からの光を前記検出素子に伝えるように配置された入力導波路と、前記基板上に形成され前記検出素子から出力された光を前記分析素子に伝えるように配置された接続導波路と、前記基板上に形成され前記分析素子から出力された光を光出力検出器により検出するために伝えるように配置された出力導波路とを更に備える。二つの素子を同一の基板上に配置することが特に有効であるのは、環境がより同じになり、センサーの出力が、どちらか一つの素子に対する乱れによって生じるエラーに影響を受けないようになるからである。また、センサーの製造方法および構造が単純になる。直接紫外線露光法を用いて、単一プロセスによりセンサー全体の構成要素を形作ることが可能となる。
【0016】
接続導波路は、検出素子から出力された光の一部を分析格子に伝え、検出素子から出力された光の一部を光出力検出器により検出するために伝えるように配置されてもよい。このような“タップ”を用いることにより、光センサーで生じる光損失を識別または補償する事が可能となる。このようにしない場合には、光損失は光出力の減少につながり、測定に誤差が生じ得る。
【0017】
光センサーは、検出素子及び分析素子の温度を変更して、検出素子及び分析素子が略同じ温度になるようにするヒーターを更に備えてもよい。検出素子及び流体サンプルを加熱することにより、異なる流体の温度で測定することが可能となる。分析素子も同じように加熱されるので、波長フィルタリング応答が温度に依存する場合(例えば導波路格子の場合)に生じ得る誤差が除かれる。何故ならば、両方の素子が同じ温度変化を経験し、全体的なセンサーの出力からは削除されるからである。
【0018】
光センサーは、基板上に配置され、サンプル窓に流体を供給及び/又はサンプル窓から流体を除去する流体の流量制御素子を一つ以上備えていてもよい。好ましくは、前記流体の流量制御素子は微小電気機械システム(MEMS)デバイスである。このような素子を用いて、流体の供給と除去とを加速及び/又は自動化することができる。また、流体の定常流に対して測定が可能となる。
【0019】
本発明は単一の検出素子と単一の分析素子を含む実施例に限定されるものではない。十例によっては、光センサーには、基板上に更に一つ以上の検出素子が追加されて備わっており、追加の検出素子の各々に関連して基板上に配置された分析素子と、基板上に形成された入力導波路、接続導波路、出力導波路を有する。追加の素子を供給することにより、センサーの構成が多様化され、多数のサンプルの同時テストまたは異なるパラメータの下でのテストが可能となる。例えば、検出素子のいずれもが実質的に同一の第1波長フィルタリング応答を有してもよい。こうすることにより、異なる流体サンプルを同じテスト条件の下で同時にテストすることが可能となる。代わりに、検出素子の各々または検出素子のグループは異なる第1波長フィルタリング応答を有してもよい。例えば、異なる第1波長フィルタリング応答は中心波長が異なる。こうすることにより、同じ流体(異なる流体でもよい)のサンプルを異なる波長でテストすることが可能となり、例えば、流体の分散が測定可能になる。
【0020】
追加的にまたは代わりとして、検出素子の各々は、該検出素子の第1波長選択フィルターを形作る周期的に屈折率の変化する格子を含む平面導波路を有しており、検出素子の各々のサンプル窓は、検出素子の格子の上に重なって検出素子の導波路の上に重なるクラッド層の一部分を有しており、サンプル窓が受け取る流体のサンプルがクラッド層に接触するようになっており、検出素子の各々または検出素子のグループのクラッド層の一部分は厚さが異なってもよい。このような構成により、感度の異なる検出素子のアレイが提供される。
【0021】
同一の流体を異なる波長及び/又は感度条件の下で同時にテストしようとする場合には、検出素子は、該検出素子が共有する単一のサンプル窓を有して、サンプル窓が受け取る流体のサンプルは、検出素子のいずれの波長フィルタリング応答も変更するようになっていてもよい。
【0022】
光センサーは上述の実施例による検出及び分析素子を備え、必要に応じて光源及び光出力検出器を接続することが可能である。一方、他の実施例においては、これらの構成要素が追加的に含まれ、単一の基板上に検出及び分析素子と共に固定されてもよい。従って、光センサーは、検出素子に光を伝える一つ以上の光源を更に備えてもよく、検出素子は、第1波長フィルタリング応答の少なくとも一部分をカバーするスペクトルバンド幅を有した光を受光する。一つ以上の光源は単一の光源を有してもよい。また、光センサーは、分析素子から出力された光の光出力を検出する光出力検出器を更に備えてもよい。
【0023】
本発明の第2側面による屈折率の測定方法は、或る屈折率を有する流体のサンプルを、フィルターを伝播する光が経験する有効モード屈折率によって異なり、流体のサンプルの存在によって変更される第1波長フィルタリング応答を有する第1波長選択フィルターに近接して配置する段階と、光を前記第1波長選択フィルターに加えて、該第1波長選択フィルターによりフィルタリングされた光の出力を得る段階と、前記第1波長選択フィルターから出力された光を第2波長フィルタリング応答を有する第2波長選択フィルターに加えて、該第2波長選択フィルターによりフィルタリングされた光の出力を得る段階と、前記第2波長選択フィルターから出力された光の光出力測定を行う段階と、前記光出力測定から前記流体のサンプルの屈折率を導き出す段階とを備える。ここで、光出力は流体のサンプルの屈折率に比例する。
【0024】
この方法は、導き出された屈折率から、屈折率に関係した流体のサンプルの特性を導き出す段階を更に備えてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のより良い理解のためと、如何に本発明が効果的に実施されるかを示すために、本発明を添付した図面の例示により説明する。
【0026】
ブラッグ格子等の光反射格子は、光導波構造内部に屈折率の周期的な変更を有しており、この導波構造は、コアよりも屈折率の低いクラッド材料で取り囲まれたコアを有している。この構造は、二つの屈折率の間の境界で全て内部反射により光波を導波する。格子は、周期的な屈折率の変更の大きさにより決定されるバンド幅以内になる波長の導波路に沿って伝播する光を反射し、他の波長の光を透過させる。
【0027】
クラッドの全てまたは一部を除去することにより、導波路のコア領域が露出されるか露出されたに近い状態になり、この領域に流体が加えられて導波路を伝播する光の光場が流体にまで拡がると、流体の屈折率は、伝播する光が経験する有効モード屈折率を変更する。これにより、今度は、測定可能である格子の反射率が変更される。この測定から、流体の屈折率を決定することができる。屈折率を直接測定することもできるし、屈折率との間の関係が明らかであるならば、流体の他の性質を測定することにより屈折率を決定することもできる。
【0028】
ブラッグ格子は波長λBraggにおいて反射のピークを有する。これはブラッグの関係式により決定される。
eff=λBragg/2Λ
ここで、neffは有効モードの屈折率であり、Λは格子の周期である。従って、格子の周期が明らかであり、反射された波長のピークが測定されれば、有効モード屈折率をブラッグの関係式から計算することができる。これにより、流体の屈折率は、基準となる標準的な液体の測定された性質を参照することにより、または計算により確定可能である。
【0029】
このようにするためには、格子から反射されるか格子を透過する光の波長を正確に測定する必要がある。従って、適切なスペクトル解像度を有する光検出装置が必要となる。このような装置は費用が掛かり、かさばる傾向にある。また、装置の解像度は、行われる測定の解像度に強い影響を与える。
【0030】
本発明は、分光測定の必要をなくすことにより、この問題を解決しようとしている。このことは、光の出力を、第1格子を経由して第2格子を通過させ、第2格子からの光の出力を測定することによって達成される。これにより、後述のように、第1格子の反射波長の変化が強度の変化に変換される。強度は、フォトダイオード等の単純な装置を用いて容易且つ正確に測定することが可能であるため、屈折率の測定が改善されるし、単純化される。
【0031】
図1に示すのは、本発明による屈折率を検出するための光センサーの第1実施例の概略的な平面図である。光センサー10は単一の基板12上に形成されており、2つの平面状の導波路格子と関連した導波路が示されている。第1格子、つまり検出格子14はその上部にサンプル窓16を有しており、サンプル窓は、導波特性を決定するクラッドの一部または全てが除去された基板の領域である。よって、流体のサンプルを、サンプル窓内に置くことにより、検出格子に加えることができる。第2格子、つまり分析格子18は、本実施例においてはそのような窓を有していない。
【0032】
検出格子14及び分析格子18自体は導波路内部に形作られているが、基板12上に形成されたチャネル導波路に接続されている。入力導波路20は光源26により発生した光を検出格子14に導く。接続導波路22は検出格子14から反射した光を分析格子18に導く。出力導波路24は分析格子18から反射した光を導き、フォトダイオード等の光出力検出器28によって検出するために光を伝える。
【0033】
2つの格子の各々は、ナローバンドの光フィルターとして機能することを可能とする反射/透過機能を有しており、ブラッグの関係式を満たす波長を有する光のみを反射する。こうした機能は、波長フィルタリング応答として考えることができる。図2Aには、反射強度Iに対する波長λのプロットとして検出格子14の応答を示す。これは、応答のピークのバンド幅をカバーするのに十分な幅のバンド幅を有する光で照らされた場合に検出格子から反射される光である。従って、光源26は、適切なスペクトルバンド幅を有する光を発生させるように選択される。発光ダイオードであってもよい。一般的なブロードバンド光源を用いてもよい。
【0034】
センサーの動作は、検出格子14のブラッグ波長のシフトに依存している。よって、光源は更に、予測されるシフトの強さを含むバンド幅の出力を有するように選択される。これは、センサーにより検出される流体の範囲に依存している。
【0035】
上述のように、検出格子14は、その上部のクラッドの一部または全てが除去されており、サンプル窓16が受け取る流体のサンプルの存在により、有効モードの屈折率が影響を受けたり、変更されたりするようになっている。本実施例においては、分析格子18は完全にクラッディングされたままであり、検出格子14が受けるような変化からは隔離されている。本実施例においてはまた、分析格子18は、検出格子14の応答と同じ形状の応答を有するように選択されるが、サンプルに流体が加えられていない時に、動作時の検出範囲の中心で検出格子のバンド幅の半分だけずらしたようになっている。図2Bはこの2つの応答を示す。
【0036】
動作の際には、光源26からの光は検出格子14に送られて、検出格子の波長フィルタリング応答に従って一部が反射され、分析格子18に送られる。分析格子から反射された光は、検出のために光出力検出器28に送られる。
【0037】
両方の格子により反射された後に検出される光量は、図2Bに斜線で示されている2つの格子の応答の重なり部分によって決定される。異なる屈折率を有する流体がサンプル窓14に加えられると、検出格子の有効モード屈折率に変化が生じ、検出格子のブラッグ波長をシフトする。従って、2つの波長フィルタリング応答の間の重なり部分の量もまた変化し、光出力検出器に送られる光量が変更される。第1格子の波長のシフトは、第2格子により強度のシフトへと変換される。結果として、測定される光出力の量は流体の屈折率に直接関係し、サンプル窓が受け取るサンプルの屈折率は、光センサー10の適切な調整に従って、決定可能である。このようにして、フォトダイオード等のスペクトルに依存しない光学検出器を用いて、センサーの出力を検出することができる。出力は、検出格子からの分光感度の高い波長のシフトに直に依存しており、精密な測定を単純に行うことができる。
【0038】
図2Cから図2Eは、屈折率の異なる流体に対する応答における、センサー10の出力の変化を示す。図2Cでは、大きな屈折率n1の流体が測定される。これにより、モード屈折率が増加し、これによりブラッグ波長が増加して、二つの格子の波長の反射応答が離れるようにシフトする。重なる部分は減少し、より小さな出力レベルが検出される。図2Eでは、小さな屈折率n3の流体が測定されるが、応答をお互いに近づけるようにシフトする反対の効果を有しており、重なり部分が増加し、より大きな出力が検出される。図2Dは中間の場合を示しており、流体による屈折率の変化は小さい。
【0039】
図3は、流体の屈折率に対するセンサーの光出力Pの変化を示すグラフである。予想されるように、屈折率が増加する(n3からn1に向かって)と、出力は減少する。このタイプの曲線は、屈折率が明らかな範囲の流体を用いて描くことができ、基準となる曲線として用いることにより、どんなサンプルの屈折率でも、測定された出力から直に決定することが可能となる。
【0040】
光センサーの感度と動作範囲は、格子の波長フィルタリング応答の関数である。非常に狭いバンド幅の格子は、狭い波長範囲に対して高い感度を与える。何故なら、重なり部分の量が屈折率と共に急激に変化するからである。一方、幅広い格子は、より広い範囲に対してやや劣った感度を与える。図4A及び4Bはそれぞれ、このような変化を例示する。
【0041】
格子の応答のスペクトルの形状は、今まで例示してきた単純な形状には限られない。例えば、サイドバンドを有するさらに複雑な応答もある。正方格子を用いることにより、幅広い波長の動作範囲と高感度とを併せ持つようになる(何故ならば、感度は波長のシフトの重なり部分の変化率の関数だからである)。非一様な格子構造(不定周期及び/又は格子強度を備えた)を用いて、波長のシフト/屈折率に対する出力の関係が線形になるように格子の応答を調節することができる。非対称な応答を用いて、図2や4に示されるような対称な応答により出力関数が二重に見積もられてしまうことを回避することができる。このようなことは、波長のシフトにより、検出格子の応答が分析格子の応答の中間点を過ぎるように移動する場合に生ずる。また、二つの格子の応答は同じ形状である必要はない。図5に示すように、異なる形状を備えた格子及び/又は異なるバンド幅を用いることができる。
【0042】
更には、格子のどちらかまたは両方を、反射モードの代わりに透過モードで用いることができる。センサーの動作は同じままであり、出力は、二つの格子の波長フィルタリング応答の重なり部分によって決定され、流体のサンプルが生じさせる検出格子の応答の波長のシフトによって決定される。透過モードで用いられる二つの格子は、上述の二つの反射格子の場合に相当する出力を与える。何故ならば、透過プロファイルは反射プロファイルの逆であるからである。一つの格子が透過モードでもう一つの格子が反射モードである場合の波長の応答の重なりの例を図6に示す。透過格子に対する出力は透過強度Iであり、反射格子に対する出力は反射強度Iである。上述のように、斜線で示された重なり部分は二つの格子の組み合わせによる出力を示しており、流体の屈折率に比例する。二つの格子のどちらが透過格子であってもよい。
【0043】
図7A、7B及び7Cは他の実施例の光センサーの概略的な平面図である。図7Aでは、検出格子14及び分析格子18の両方が透過モードで用いられるように配置されている。よって、接続導波路22により分析格子18へと伝えられる検出格子14の出力は、光源26から検出格子14を介して透過する光の一部である。また、出力導波路24により検出器28へと伝えられる分析格子18の出力は、検出格子14から分析格子を介して透過する光の一部である。図7Bでは、検出格子14が反射モードで用いられ、分析格子18が透過モードで用いられている。図7Cでは、検出格子14が透過モードで用いられ、分析格子18が反射モードで用いられている。
【0044】
これまでに例示されたセンサーは、測定される流体のサンプルを受け取るために検出格子上にサンプル窓を有しているが、分析格子上には窓を有していない。しかしながら、他の実施例においては、リファレンス窓として参照される窓が、分析格子上に更に備えられ、好ましくはサンプル窓と同じ構造である。これにより、例えば水溶液等の周知の参照用流体を分析格子に加えることができるようになる。その目的は、分析格子の環境を可能な限り検出格子の環境に近づけることであり、格子のブラッグ波長のシフトを生じさせるような検出格子に流体のサンプルを加えること以外の乱れ(例えば温度変化)を各々の格子において同じにして、それにより、センサーの出力に影響を与えないようにする。
【0045】
図8は、分析格子18上にリファレンス窓29を組み込んだセンサーの実施例の概略的な平面図である。それ以外のセンサーの構造は図1の構造と同じである。
【0046】
上述の実施例は単一の基板上に形成されていた。しかしながら、これは本質的なことではなく、二つの格子が同じ環境を有して、それにより、ブラッグ波長のシフトを生じさせる外部変数に対して実質的に同じ応答を経験することが有益であると考えられる。この種のシフトは、サンプル流体以外の変数に対する応答において生じてしまい、格子を一つしか備えていない周知の屈折率センサーにおいて問題となる。本発明の二つの格子を有する構成はこの問題に向けたものである。格子の周期に変化を生じさせてブラッグ波長の変化を生じさせる温度や圧力や他の乱れが両方の格子に存在する。従って、両方の波長フィルタリング応答は同じように影響を受け、関心のある重なり部分は流体のサンプルにのみ依存する。従って外部変数による望ましくない影響が補償されて、減少または除去される。
【0047】
この点に関しては更に、屈折率の測定において、温度を望ましい変数として導入することができる。加熱素子等のヒーターを、光センサーに対して、熱的に結合させることができる。熱を加えて、流体サンプルの温度を変化させることができる。検出格子及び分析格子も温度変化を経験し、格子の周期及びブラッグ波長に影響が与えられる。しかしながら、格子は同じヒーターに結合された同じ基板上に存在するので、格子の各々は、実質的に同じ温度変化と波長フィルタリング応答のシフトとを経験する。従って、センサーの光出力は、サンプル窓内の流体のサンプルの屈折率にのみ依存する。屈折率格子は一般的に温度により変化する。よって、屈折率の測定が行われている間に、ヒーターを用いて、わかっている温度の内から選択した温度へと流体を加熱するか、温度サイクルを介して流体を加熱することにより、温度に対する屈折率の変化率dn/dTが求まる。また、異なる流体を区別することができる。何故ならば、一定の温度または複数の温度で屈折率が同一であるとしても、屈折率の温度依存性が同じであるとは考え難いからである。更には、化学反応や生体反応における熱に依存する段階を識別することも可能である。
【0048】
図9は、上述の方法で図1のセンサー10にヒーター50を加えたセンサーの概略的な平面図である。この方法により良い結果を得るために、ヒーターは両方の格子に同じ加熱効果を与えるように光センサーに結合され、屈折率の測定に影響を与える格子間の温度変化を除去する。好ましくは、ヒーターは基板全体に同じ加熱効果を与えるように光センサーに結合される。
【0049】
本発明の更なる実施例は、光損失を補償して光センサーの動作を改善することを目的としている。図10は、このために構成された光センサーの概略的な図面である。センサー10は、以下の点を除いては図1のセンサー10に対応している。即ち、検出格子14の出力を分析格子18に導く接続導波路22に対して追加のブランチ52が更に加えられている。ブランチ52は、検出格子14の出力の既知の割合を、追加の光出力検出器54に伝える。一方、出力の残りの部分は、分析格子18に伝えられる。追加の検出器54を用いた出力測定は、メインの検出器28を用いた出力測定及び/又は光源26からの出力の予想と比較されて、光センサーで生じた損失を示し、これを補償する事が可能となる。センサーの出力が流体の屈折率に比例することを当てにしているような単純な出力測定であり、損失が検出される出力を減少させ、屈折率を誤って与えてしまうような場合に、このようにすることが重要である。特に、流体の吸収と散乱による損失に対して補償が行われるが、その損失は、流体の種類や波長や温度等により異なる。
【0050】
本発明によるセンサーを設計する際には、ファクターの数を考慮することが好ましい。ファクターには、動作波長、多様な導波路層の屈折率と寸法、格子の波長フィルタリング応答が含まれる。流体の屈折率の違いに対するセンサーの感度は、有効モード屈折率が流体の屈折率にどれだけ影響を受けるかに依存しており、同様に、伝播する光の光学モードが検出格子の導波路層の外から流体内部へと拡がっている大きさに依存している。従って、導波路のモードへと流体を近づけるように制御することにより、感度が変更され、流体の吸収による光学モードの損失も変更される。屈折率の低い領域内部への光の浸透は、(導波路と液体との)屈折率の違いと、光の波長に依存している。一般的に、波長が長いと流体内部に更に浸透し、高い感度を与える。しかしながら、波長が長いと損失が大きくなってしまう場合もある。例えば、水ベースの流体サンプルに用いる場合には、波長が短いと吸収が著しく低くなるので、1.5μmよりも1.3μmの波長の光の方が好ましい。
【0051】
設計の際には、流体の屈折率や屈折率の範囲や、センサーが測定しようとする流体を考慮する必要もある。一般的には、導波路は流体よりも高い屈折率を有するものと予想され、光学モードはコアに閉じ込められ、流体内への浸透は少ない。流体の屈折率がコアの屈折率に近づくと、モードの浸透の深さが増加して、流体の屈折率に対するセンサーの感度も増加する。高感度のためには、検出格子の導波路を、流体よりも屈折率の低い材料で形成するとよい。こうすると、損失の多いモードに繋がるが、流体の屈折率に対して非常に感度が良くなる。
【0052】
更なる実施例においては、検出格子として屈折率分布型の導波路を用いることができる。サンプル窓は、検出格子を備えた導波路が、導波路を伝播する光のエバネッセント場の近くへと流体のサンプルを運ぶように修正されている領域を有する。これは、導波路のクラッドの一部または全てを除去することによって成され、導波路のコアの一部を同様に除去してもよい(これについては後述する)。従って、導波路の窓の部分は、導波路の近接する部分とは異なるモード屈折率を有する。特にクラッドが完全に除去されてコアが露出された場合に異なる。モード屈折率の変化は急激なものであり、格子の応答において、ファブリーペロー型の強い干渉縞が生じる。これにより、分析格子の応答とともに応答の重なり部分が影響を受け、センサーの出力が乱れる。これに対処するため、検出格子の導波路の屈折率を長さ方向に沿って変更し、屈折率分布型の構造や屈折率が逓減する構造が与えられる。これによりモード屈折率が変更され、窓に対して適切に配置されていると、窓により生じるモード屈折率の急激な変化が完全に補償される。干渉縞を弱めるために変化をよりなだらかにしてもよい。例えば、窓の大きさや除去されたクラッドの深さやクラッドとコアの屈折率の値に依存して、屈折率の逓減は、必要に応じ数百マイクロメートルから数ミリメートルの距離に亘って延伸する。
【0053】
平面格子に対しては、格子のシングルモードの動作を可能にするような導波路構造の最適化を行うことが有効である。一般的に、シングルモードの導波路(二つの直交する偏光が多分許される)は、格子の波長の応答において、より鮮明な反射ピークや透過ディップを与える。従って、センサーの導波路構造は、特に導波路が検出格子のサンプル窓に到る場所において、シングルモードで動作することがサポートされていることが好ましい。窓の中の流体のサンプルは、窓を形成するために除去されたクラッド材料よりも著しく低い屈折率を有している場合があり、窓の領域において導波路がマルチモードになり得る。
【0054】
シングルモードで動作させるような如何なる導波路の構成を用いてもよい。これに対するデザインレジメの一つが図11に示されている。図11は、検出格子の長さ方向に対する概略的なセンサーの断面図である。センサーは、下部クラッド層32を支持するベース層30を有する基板12上に形成されており、下部クラッド層32はコア層34の下にあり、コア層34は上部クラッド層36の下にある。検出格子14はコア層34内に形作られている。サンプル窓16は格子14の上方に位置し、格子14の上方にある上部クラッド層を部分的に除去して形成されているので、この領域のクラッド層は近接するクラッド層の部分よりも薄くなっている。流体のサンプル42がサンプル窓16に加えられている。しかしながら、サンプル窓の部分のクラッドは比較的厚いままであるので、流体はコアから比較的離されたままである。つまり、伝播する波のエバネッセント場44の僅かな部分しか流体42内に浸透しておらず、流体がモードの特性に与える影響は小さく、シングルモードでの動作が維持される。
【0055】
他のデザインレジメが図12に示されている。図12もまた、検出格子の長さ方向に対する概略的なセンサーの断面図である。センサーは、図11と同じ構造を有する基板12上に形成されている。しかしながら、この場合、サンプル窓16は、窓領域の上部クラッド層36を全て除去して形成されており、コア34の一部も除去されている。従って、コア34は窓の領域において、近接するコアの領域と比較して厚さが減少している。コアの厚さに変化が生じてもシングルモードの動作が維持され、図11の場合よりも感度の良い装置が提供される。しかしながら、流体42内部に延伸するエバネッセント場44の割合が大きいために、吸収や散乱による損失が大きくなりやすい。
【0056】
光場が流体内に浸透する割合は、導波路構造に一つ以上の層を追加することにより変更可能であり、検出格子の導波路のモード特性が調節される。例えば、クラッドに屈折率の高い層を加えることによって、光場を流体の近くまで引き伸ばして、感度を強化する。このためには、インジウムスズ酸化物が適切であるが(非特許文献8を参照)、他の屈折率の高い材料を排除するものではない。図13はこのようにして設計されたセンサーの実施例を概略的に示しており、図13もまた、検出格子の長さ方向に対する断面図で示されている。センサーは、上部クラッド層36を部分的に除去して形成されたサンプル窓16を備える図11を参照して説明したものと同じ層状の構造を有する基板上に形成されているが、流体42に向かってエバネッセント場44をひずませる追加の上部クラッド層46を有する。
【0057】
上述の本発明によるセンサーは、直接関心のあるパラメータとして、または濃度等の更なる特性の指標として、流体のサンプルのバルクの屈折率を測定するために用いられる。しかしながら、他の実施例においては、表面処理が行われて、生物剤の特定の分子に対する特異性が与えられる。このようにするために、化学的選択性のある物質の表面コーティングがサンプル窓に加えられる。化学的選択性のある物質は、流体のサンプル内に存在し得る特定の分子種に結合するレセプターといったものである。結合されると、上述のようにして測定される有効モード屈折率に特定の変化が生じる。従って、その分子種を含むサンプルはセンサーからの特定の出力を与える。一方、その分子種が存在しないサンプルは化学的選択性のある物質に結合せず、屈折率が変更されないので、異なる出力が与えられる。この方法は、化学的または生物学的なサンプルのテストや検出に用いられる。例えば、レセプターは、サンプル内に存在するリガンドに結合する分子であってもよく、また、レセプターはサンプル中の抗原に結合する抗体であってもよく、抗原と抗体が反対になってもよい(非特許文献9を参照)。
【0058】
更なる実施例においては、金属膜が、表面層やコーティングとしてサンプル窓に加えられる。これにより、表面プラズモンセンサーとして動作するセンサーが提供され、サンプル窓内の流体の存在により変更される表面プラズモンを金属層がサポートする。有効モード屈折率もこの変更に対応して変化するが、上述のように検出格子のブラッグ波長の変化により測定可能である。表面プラズモンをサポートするどのような金属を用いてもよく、金、銀、アルミ、プラチナ等が挙げられる。生物学的な適合性があるために、生物学的な流体のサンプルをテストするのには、特に金が適切である。また、金はセンサーの感度を増大させるものと予測される。
【0059】
図14は、化学的選択性のある検出用または表面プラズモン検出用の構造を有するセンサーの実施例の概略的な図面である。図14もまた、検出格子の長さ方向に対する断面図で示されている。センサーは、図11を参照して説明したものと同じ層状の構造を有する基板上に形成されている。しかしながら、表面コーティングまたは層47がサンプル窓上に加えられており、流体のサンプル42はコーティングの上面上に存在する。化学的選択性のあるセンサーの場合には、コーティング47は、流体のサンプル42内の分子と結合可能な化学的選択性のある物質であり、表面プラズモンセンサーの場合には、金属膜である。前者の場合、エバネッセント波44Aは、コーティングされていない場合と比較しても、実質的にひずんでいない。後者の場合、波44Bは、表面プラズモンにより、金属膜内に副ピークを有する。これにより、光場のより多くの割合が流体に近づくようになるので、感度が増大する。
【0060】
実施例によっては、センサーは、サンプル窓に結合され、流体をサンプル窓に運ぶ及び/又はサンプル窓から取り除くように動作する流体制御素子を更に備えてもよい。これにより、複数のサンプルの自動化または半自動化されたテストが可能になり、または、流体の定常流に対する測定が可能になる。流量は、制御及び計量可能である。各々のサンプルの流体の容量に対する正確な制御もまた可能であり、屈折率の測定の精度が改善される。流体の制御を行うのに適切などのような構造を用いてもよいが、微小電気機械システム(MEMS)が特に有効であると考えられる(非特許文献10を参照)。MEMSでは、共通のシリコン基板上に小さくて高品質な機械構造、アクチュエータや他の装置を集積させることが可能である。センサーの構成要素を作成するためにはシリカが特に適切であり(これについては後述する)、流体制御素子が、単一の基板上で光センサーと共に容易に集積されるので、コンパクトな装置が供給される。更には頑丈であり、生物学的な適合性があり、強力な溶剤や酸に対する耐性を有しているので、センサーを再利用するために繰り返して化学洗浄するのに向いている。
【0061】
また、本発明によるセンサーは、検出格子と分析格子のペアが一つのものに限られるわけではない。単一のセンサーの中に格子のペアを二つ以上含むことが可能であり、多重且つ同時にテストすることができる。単一のセンサーの中に異なるタイプの検出格子や窓を備えることも可能であり、センサーの機能が拡張される。多重格子センサーは、全ての格子を単一の基板上に設けることにより都合よく実現されるが、このようにすることは必須ではない。
【0062】
多重格子センサーとしては多くの構成が可能である。上述の実施例の複数及び全てを単一のセンサーに集積することが可能である。例えば、各々の検出格子とサンプル窓を同じにして、同じまたは似たようなパラメータの複数のサンプルを同時にテストすることが可能である。異なる範囲の検出格子及び/又はサンプル窓を与えることができる。例えば、ブラッグ波長の異なる格子、感度の異なる構成、化学的選択性のあるコーティングの異なる窓(例えば、異なる化合物に対して単一の生体サンプルをテストするために)、表面プラズモン金属膜の異なる窓や、これらの組み合わせが考えられる。異なる格子の波長の範囲としては、例えば、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、1600nmの格子が含まれる。これにより、波長に対して屈折率が変化する大きさ(分散dn/dλ)として情報を収集することが可能となる。また、サンプル内の分子からの格子の応答に対する変化を分析することにより情報を得ることもできる。例えば、水以外の液体に水を加えると、OH結合からの1400nm及び1500nmにおいて、1100nm及び1200nmよりも大きな変化が生じ得る。同様にC−H結合及びC=C二重結合の存在が、異なる波長において検出され、多相で多重構成の液体の情報が与えられる。
【0063】
格子の温度を変化させる加熱素子を異なる波長の格子と共に用いることにより、上述のdn/dT測定を、波長の形式に拡張することができ、d(dn/dT)dλ及びd(dn/dλ)dTの測定が可能となる。
【0064】
サンプル窓内のクラッド層の厚さを変更して、光場が流体サンプル内に浸透する深さを異ならせることにより、格子ごとの感度を変更することができる。浸透する深さが異なることにより、感度を異ならせるだけではなく、流体のサンプルを異なる深さで応答させて、サンプル内の階層を調べることが可能となる。例えば、(化学的選択性のあるコーティングが備わっていたりすると)窓の表面に流体が付着して、バルクの流体サンプルとは異なる屈折率が与えられるような場合である。一定の範囲の厚さのクラッドを、異なるブラッグ波長を有する格子と組み合わせることができる。上述のように、格子は幅広い間隔の波長を有してもよいし、代わりに、非常に密な間隔の波長(例えば2nm間隔)の異なる格子を有してもよい。各々は異なる厚さのクラッドを備えており、分子種の堆積についての情報を得るために用いられる。密な間隔の波長は、実質的に同じモードの閉じ込めと場の浸透深さとを有しており、同じ分子種を“見る”。しかしながら、検出の際には区別されて、各々の格子に対して別々に分析が行われる。複数の格子から成るグループを更に複数備え、そのグループ内の格子が、第1のグループから更に間隔の空いた或る一つの波長の周りで、密な間隔で区切られた波長を有することにより、測定にスペクトルの次元が与えられる。
【0065】
図15は多重格子センサーの概略的な平面図である。4組の格子のペアa、b、c、dが備えられており、各々は検出格子14及び分析格子15の両方が反射モードで用いられるように構成されている(反射モードと透過モードの他の組み合わせを用いることもできる)。全ての格子と関連する導波路は単一の基板12上に配置されている。この例においては、光源26は単一のLED(例えば、スーパールミネッセントLED)を備えており、光を全ての入射導波路内に結合するように配置されている。光源は、センサー内の格子の全てが組み合わさったバンド幅をカバーするような光を発生させる。ブラッグ波長の異なる格子の場合には、単一のブロードバンド光源が便利であるが、必要であるならば他の光源を用いてもよい。格子のフィルタリング特性は、波長に対して格子を自己選択的にする。よって、スペクトルが全ての格子の応答をカバーしている限りは、各々の格子は同じスペクトルの光を受光する。この実施例においてはまた、光出力検出器28はフォトダイオードa、b、c、dのアレイを有しており、一つ一つが格子のペアに対応する。これにより、各々の格子のペアを同時に用いることが可能となる。同時に動作させない場合には、位置を再設定できる光検出器一つで十分であると考えられる。
【0066】
多重格子を備えたセンサーは更に、分析格子の複数または全てにリファレンス窓を備えてもよい。これは上述の格子のペアが一つの場合の実施例のようにして行われる。更に、流体を受け取る窓に関して、同一の流体を異なる波長で測定するための多重格子センサーは、検出格子の全てに亘って拡がる単一の共通サンプル窓を備える。これにより、単一の流体サンプルを全ての検出格子に同時に加えることが可能となり、測定がより簡単により便利に行われる。また、センサーの製造も単純化される。クラッドの厚さの異なる検出格子を有する多重格子センサーは、例えば、窓の範囲に亘って格子ごとにクラッド層に段差を付ける事によって単一のサンプル窓を設けることもできる。また、流体のチャネルに接続された異なる厚さのクラッドの個々の領域を有するようにして、単一の流体を受け取る領域を形成することもできる。同じように、分析格子にリファレンス窓を備える場合には、全ての分析格子をカバーする単一の窓を備えることが可能であり、同一の参照用流体を、全ての分析格子に加えることが容易になる。
【0067】
図16に概略的な平面図で示される多重格子センサーにおいては、格子は反射モードで用いられるように配置されており、単一のサンプル窓16が全ての検出格子14に対して与えられており、単一のリファレンス窓29が全ての分析格子18に対して与えられている。
【0068】
適切な方法で格子と導波路が形成されそれらが接続されるのであれば、どのような製造方法を用いてもよく、上述の本発明による光センサーが製造される。例えば、リソグラフィーとエッチングが用いられる。特に好ましい方法は直接紫外線(UV)を露光する方法であり、UVレーザーを放射して、シリカの屈折率を増大させ、チャネル導波路と格子の両方を単一の基板上に形成する(特許文献1を参照)。
【0069】
直接UV露光方法が特に有効であるのは、長くて高品質の平面格子が形成可能だからである。これにより、非常に細い線幅の格子が与えられ、高感度センサーにつながる。ブラッグ波長λBraggのブラッグ格子のバンド幅Δλは下記のように与えられる(非特許文献11を参照)。
Δλ=λBragg/2neffL(π+(κL)1/2
ここで、κは結合係数であり下記のように定義される。
κ=πnδnη/λBraggeff
また、nは導波路のクラッドの屈折率であり、neffは有効モード屈折率であり、δnは格子内の屈折率の変調の強さであり、ηは、前方伝播モードと後方伝播モードの重なり積分であり、Lは格子の長さである。従って、バンド幅は、弱い格子に対しては格子の長さに依存し、強い格子に対しては屈折率の変調に依存する。流体の屈折率の変化に対する光センサーの解像度は、解像可能な最小の波長のシフトに関連している。従って、狭いスペクトルバンド幅(波長フィルタリング応答)を備えた長い格子を用いることが望ましい。
【0070】
直接UV露光法を用いてシリコンの三層ウェーハ上のシリカ内にチャネル導波路と格子を形成して、センサーが製造される場合もある。この場合、下にあるシリコンウェーハベースは、様々な導波路層を形成するためドーピングされたシリコン酸化物(ドーピングされたシリカ)の後続の堆積工程に対して、強固なキャリアを提供する。シリコンは、酸化層の成長やアニーリング工程に対して適合性がある。更に、シリコンウェーハ内に他の素子を組み込むことが可能であり、例えば、流量を制御したり、流体サンプルを計量や加熱したり、その場温度測定等の追加的な測定をまとめて行ったりするためのMEMS構造が挙げられる。また、シリコンウェーハは、シリカよりも熱膨張係数が小さいので、アニーリング後にシリカ層は室温で圧縮される。これによって層が強固になることが促進される。しかしながら、シリコン以外の物質上にシリカ層を成長させることも可能であるし、シリカに限定されるわけでもない。
【0071】
多数の方法により層を成長させることができる。出発点はシリコンベースであり、水蒸気環境下において簡単に熱酸化されて、その表面に酸化薄膜層が成長する。この第1層は、後続のより厚い酸化層の成長及び圧密化を促進する。火炎加水分解堆積法(FHD)、低圧化学気相蒸着法(LPCVD)、プラズマ強化型化学気相蒸着法(PECVD)、直接結合法、イオン交換法等の方法を用いて、これらの層を堆積させる。直接UV露光法においては、感光性のある層が必要となる。これは、次のような三層構造によって達成される。即ち、上部及び下部層がクラッド層であり、中央の層は、感度を良くするためにゲルマニウム酸化物などの物質がドーピングされたコア層である。いずれの層にも、屈折率や製造温度等を制御するために、ドーパントを追加することができる。一般的に、リン、ホウ素、スズ、チタンがシリカにドーピングされる。また、高圧化で数日間、重水素を層にドーピングすることにより、感光性に対する応答が増大される。水素によっても感光性が強まる。代わりに、高速熱処理を行うことによっても、感光性が強まる。
【0072】
次に、チャネル導波路が層構造内に形成される。直接UV露光においては、基板はUVレーザー放射の焦点スポットの下に移されるが、そのスポットの大きさは、所望のチャネルの大きさに大体対応する。好ましくは、チャネルは、強力なブラッグ格子の応答を与えるために、シングルモードとなるように設計される。固有の干渉パターンを有するスポットを用いて、格子が形作られる。レーザー強度は、正確に制御された位置において変調され、格子を備える導波路と共に格子を同時に形成することが可能となる。形成装置をコンピュータ制御することにより、格子の周期と長さ(従って、ブラッグ波長とバンド幅)及び光導波路の形状を正確に制御することが可能となる。従って、上述のようなチャネル導波路によって接続された一つ以上の格子のペアを備えた単一基板光センサーを、単一の製造工程により形成することが可能となる。
【0073】
導波路と格子が形成された後には、一つのサンプル窓または複数のサンプル窓を形成するように基板が処理される。フッ化水素酸を用いてエッチングすることにより、クラッド材料を除去することが可能である。窓の領域は、基板の窓とならない領域をエッチング前にフォトレジストでマスキングすることによって画定される。フォトレジストはリソグラフィー工程を用いて形が定められてもよい。リソグラフィー工程は導波路の位置決めに関係しており、格子の位置と共に窓を正しい位置に配置する。クラッドの深さが異なる複数の窓が必要な場合には、エッチング前にエッチング耐性層を異なるように堆積させたり、エッチングを適当な時間で中断し十分にエッチングされた窓をエッチング耐性物質で覆ったり、基板を段階的にエッチング液体内に沈めたり、気相エッチングにおいて段階的に基板を横切るようにマスキング板を引き剥がす等の方法を用いて、深さが異なるように窓の領域をエッチングすることが可能である。
【0074】
実施例のセンサーは上述のようにして製造された。動作の際には、センサーは、1550nm近傍に中心のあるブロードバンド光を生成する自然放射増幅光(ASE)光源に接続した。光は偏光されたので、導波路内の複屈折によって格子の応答が分裂するようなことはなかった。このようにすることが必要である場合もあるし、必要でない場合もある。更には、偏光は光損失を減じるためにTE偏光であった。センサーの出力は光スペクトル分析器を用いて記録されたが、このようにして分光することが必要というわけではない。出力のみを検出可能である単純な検出器の方が適切である。
【0075】
しかしながら、本発明は、単一の基板上で全てのチャネル導波路によって結合された平面状のブラッグ格子を備えた光センサーに限られるものではない。光ファイバや自由空間光伝播を用いて、光源と格子と検出器の間に光を伝えてもよく、格子が別の基板上にあってもよい。更には、格子は平面格子である必要は無い。代わりに、ファイバブラッグ格子を用いることができ、格子を接続するためのファイバ結合器とファイバを用いて、全てがファイバの光センサーが提供される。更には、格子の種類に対する要求は無い。検出格子と分析格子のどちらかまたは両方を、波長フィルタリング応答を有する他の波長選択性フィルタリング素子で置き換えてもよく、流体の屈折率が素子の波長フィルタリング応答を変更させるような方法で、流体サンプルが素子の一つ(検出素子)に加えられさせすればよい。分析素子として機能するフィルタリング素子は、ブラッグ格子の応答が変化するような方法で変化する波長フィルタリング応答を有する必要はない。しかしながら、固定されてしまうと、検出素子の応答を変化させる温度等の外部変数に対する固有の補償は存在しない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施例による光センサーの概略図である。
【図2A】センサーの動作を説明するために図1の光センサーに含まれる格子の波長フィルタリング応答を例示する図面である。
【図2B】センサーの動作を説明するために図1の光センサーに含まれる格子の波長フィルタリング応答を例示する図面である。
【図2C】センサーの動作を説明するために図1の光センサーに含まれる格子の波長フィルタリング応答を例示する図面である。
【図2D】センサーの動作を説明するために図1の光センサーに含まれる格子の波長フィルタリング応答を例示する図面である。
【図2E】センサーの動作を説明するために図1の光センサーに含まれる格子の波長フィルタリング応答を例示する図面である。
【図3】流体の屈折率の関数として測定した出力をプロットした図1の光センサーの出力を示すグラフである。
【図4A】本発明の実施例で用いられ得る格子の波長フィルタリング応答を更に例示する図面である。
【図4B】本発明の実施例で用いられ得る格子の波長フィルタリング応答を更に例示する図面である。
【図5】本発明の実施例で用いられ得る格子の波長フィルタリング応答を更に例示する図面である。
【図6】本発明の実施例で用いられ得る格子の波長フィルタリング応答を更に例示する図面である。
【図7A】格子を透過モードと反射モードで用いた更なる実施例による光センサーの概略図である。
【図7B】格子を透過モードと反射モードで用いた更なる実施例による光センサーの概略図である。
【図7C】格子を透過モードと反射モードで用いた更なる実施例による光センサーの概略図である。
【図8】センサーに参照用の流体を加えるための窓を備えた更なる実施例による光センサーの概略図である。
【図9】ヒーターを備えた更なる実施例による光センサーの概略図である。
【図10】光損失を補償するような特徴を有する更なる実施例による光センサーの概略図である。
【図11】第1構成のサンプル窓を備えた更なる実施例による光センサーの概略的な断面図である。
【図12】第2構成のサンプル窓を備えた更なる実施例による光センサーの概略的な断面図である。
【図13】層状の導波路構造を採用した更なる実施例による光センサーの概略的な断面図である。
【図14】第3構成のサンプル窓を備えた更なる実施例による光センサーの概略的な断面図である。
【図15】多重格子を含む本発明の更なる実施例による光センサーの概略図である。
【図16】共通の窓を含む本発明の更なる実施例による光センサーの概略図である。
【符号の説明】
【0077】
10 光センサー
12 基板
14 検出格子
16 サンプル窓
18 分析格子
20 入力導波路
22 接続導波路
24 出力導波路
26 光源
28 光出力検出器
30 ベース層
32 下部クラッド層
34 コア層
36 上部クラッド層
42 流体サンプル
44 エバネッセント場
50 ヒーター
52 ブランチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターを伝播する光が経験する有効モード屈折率によって異なる第1波長フィルタリング応答を有する第1波長選択フィルターと、流体のサンプルを受け取り、前記流体のサンプルが存在することにより前記フィルターを伝播する光が経験する有効モード屈折率に影響を与えて前記第1波長フィルタリング応答を変更させるように配置されたサンプル窓と、を有する検出素子と、
第2波長フィルタリング応答を有する第2波長選択フィルターを有する分析素子と、を備えた光センサーであり、
前記検出素子は光源からの光を受け取り、フィルタリングした後に前記光を出力するように配置され、
前記分析素子は前記検出素子から出力された光を受け取り、光出力検出器により検出するためにフィルタリングした後に前記光を出力するように配置されている光センサー。
【請求項2】
前記検出素子は前記第1波長選択フィルターからの反射によりフィルタリングされた光を出力するように配置されている請求項1に記載の光センサー。
【請求項3】
前記検出素子は前記第1波長選択フィルターを介した透過によりフィルタリングされた光を出力するように配置されている請求項1に記載の光センサー。
【請求項4】
前記分析素子は前記第2波長選択フィルターからの反射によりフィルタリングされた光を出力するように配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項5】
前記分析素子は前記第2波長選択フィルターを介した透過によりフィルタリングされた光を出力するように配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項6】
前記分析素子は、流体を受け取り、前記流体が存在することにより前記第2波長選択フィルターを伝播する光の有効モード屈折率に影響を与えて前記第2波長フィルタリング応答を変更させるように配置されたリファレンス窓を更に備えた請求項1から5のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項7】
前記検出素子及び前記分析素子は、波長選択フィルターを形作る屈折率が周期的に変化する格子を有する平面導波路を備えた請求項1から6のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項8】
前記導波路はシングルモードの光の伝播となるように構成されている請求項7に記載の光センサー。
【請求項9】
前記サンプル窓は前記検出素子の格子の上に重なり、前記検出素子の導波路のコアの上に一部分が重なっているクラッド層を備え、前記サンプル窓が受け取る流体のサンプルが前記クラッド層に接触するようになっている請求項7または請求項8のいずれかに記載の光センサー。
【請求項10】
前記サンプル窓は前記検出素子の格子の上に重なり、前記検出素子の導波路のコアの一部分が露出されており、前記サンプル窓が受け取る流体のサンプルが前記コアに接触するようになっている請求項7または請求項8のいずれかに記載の光センサー。
【請求項11】
前記コアの露出された部分は前記検出素子の導波路の近接する部分のコアの厚さよりも薄い請求項10に記載の光センサー。
【請求項12】
前記検出素子の導波路のコアは、その長さ方向に沿って屈折率の変化が逓減するようになっており、前記コアの露出された部分と近接する部分との間の有効モード屈折率の急激な変化を減じる請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項13】
前記検出素子の導波路は、前記導波路の導波特性を変更する層を一層以上備える請求項7から請求項12のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項14】
前記サンプル窓が受け取る流体のサンプル内に存在する分子と結合する化学的選択性のある物質の表面コーティングが前記サンプル窓に備わっており、前記結合により有効モード屈折率が変更される請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項15】
前記サンプル窓が受け取る流体のサンプルによって変更される表面プラズモンを有する金属表面層が前記サンプル窓に備わっており、前記表面プラズモンの変更により有効モード屈折率が変更される請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項16】
前記検出素子及び前記分析素子が配置される基板と、
前記基板上に形成され、光源からの光を前記検出素子に伝えるように配置された入力導波路と、
前記基板上に形成され、前記検出素子から出力された光を前記分析素子に伝えるように配置された接続導波路と、
前記基板上に形成され、前記分析素子から出力された光を光出力検出器により検出するために伝えるように配置された出力導波路と、を更に備えた請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項17】
前記接続導波路は、前記検出素子から出力された光の一部を前記分析格子に伝え、前記検出素子から出力された光の一部を光出力検出器により検出するために伝えるように配置された請求項16に記載の光センサー。
【請求項18】
前記検出素子及び前記分析素子の温度を変更して、前記検出素子及び前記分析素子が略同じ温度になるようにするヒーターを更に備える請求項16か請求項17のいずれかに記載の光センサー。
【請求項19】
前記基板上に配置され、前記サンプル窓に流体を供給及び/又は前記サンプル窓から流体を除去する流体の流量制御素子を一つ以上備えた請求項16から請求項18のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項20】
前記流体の流量制御素子は微小電気機械システム(MEMS)デバイスである請求項19に記載の光センサー。
【請求項21】
前記基板上に更に一つ以上の検出素子が追加されて備わっており、前記追加された検出素子の各々に関連して前記基板上に配置された分析素子と、前記基板上に形成された入力導波路、接続導波路、出力導波路を有する請求項16から請求項20のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項22】
前記検出素子のいずれもが実質的に同一の第1波長フィルタリング応答を有する請求項21に記載の光センサー。
【請求項23】
前記検出素子の各々または前記検出素子のグループは異なる第1波長フィルタリング応答を有する請求項21に記載の光センサー。
【請求項24】
前記異なる第1波長フィルタリング応答は中心波長が異なる請求項23に記載の光センサー。
【請求項25】
前記検出素子の各々は、該検出素子の前記第1波長選択フィルターを形作る周期的に屈折率の変化する格子を含む平面導波路を有しており、
前記検出素子の各々のサンプル窓は、前記検出素子の格子の上に重なって前記検出素子の導波路の上に重なるクラッド層の一部分を有しており、前記サンプル窓が受け取る流体のサンプルが前記クラッド層に接触するようになっており、
前記検出素子の各々または前記検出素子のグループの前記クラッド層の一部分は厚さが異なる請求項21から請求項24のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項26】
前記検出素子は、該検出素子が共有する単一のサンプル窓を有して、前記サンプル窓が受け取る流体のサンプルは、前記検出素子のいずれの波長フィルタリング応答も変更する請求項21から請求項25のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項27】
前記検出素子に光を伝える一つ以上の光源を更に備え、前記検出素子は、前記第1波長フィルタリング応答の少なくとも一部分をカバーするスペクトルバンド幅を有した光を受光する請求項1から請求項26のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項28】
前記一つ以上の光源は単一の光源を有する請求項27に記載の光センサー。
【請求項29】
前記分析素子から出力された光の光出力を検出する光出力検出器を更に備える請求項1から請求項28のいずれか一項に記載の光センサー。
【請求項30】
或る屈折率を有する流体のサンプルを、フィルターを伝播する光が経験する有効モード屈折率によって異なり、流体のサンプルの存在によって変更される第1波長フィルタリング応答を有する第1波長選択フィルターに近接して配置する段階と、
光を前記第1波長選択フィルターに加えて、該第1波長選択フィルターによりフィルタリングされた光の出力を得る段階と、
前記第1波長選択フィルターから出力された光を第2波長フィルタリング応答を有する第2波長選択フィルターに加えて、該第2波長選択フィルターによりフィルタリングされた光の出力を得る段階と、
前記第2波長選択フィルターから出力された光の光出力測定を行う段階と、
前記光出力測定から前記流体のサンプルの屈折率を導き出す段階と、を備える屈折率の測定方法であり、
前記光出力は前記流体のサンプルの屈折率に比例する屈性率の測定方法。
【請求項31】
前記導き出された屈折率から、屈折率に関係した前記流体のサンプルの特性を導き出す段階を更に備える請求項30に記載の方法。



【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−506941(P2008−506941A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520880(P2007−520880)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002682
【国際公開番号】WO2006/008448
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(500125788)ユニバーシティ、オブ、サウサンプトン (12)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SOUTHAMPTON
【Fターム(参考)】