説明

光ディスクドライブ装置および位置検出装置

【課題】フォトトランジスタやフォトインタラプタ等の光検出センサにおいて伝達効率が変動しても、安定した位置検出を行う。
【解決手段】レンズが収納されたレンズ駆動ユニットを備える。そして、レンズ駆動ユニットをレンズの光軸方向に移動させるモータと、球面収差補正を行うためにモータを駆動させるモータ駆動部とを備える。さらに、光を発生する発光素子と、発光素子から入射する光の量に応じた電流を出力する受光素子を有し、発光素子から受光素子に入射する光の量が、レンズ駆動ユニットの位置に応じて制限される光検出センサを備える。また、受光素子と接続され、電流が流れる抵抗器を備える。この抵抗器にかかる電圧(アナログ電圧)を正規化し、正規化された電圧(正規化電圧)の値に基づいて、モータ駆動部に制御信号を送出してモータを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクドライブ装置および位置検出装置に係り、レンズを動かして球面収差補正を行う場合に、当該レンズの位置を検出する光ディスクドライブ装置および位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Blu−ray Disc等の光情報記録媒体では、その光情報記録媒体表面から信号記録面までの厚みのばらつきにより、球面収差が大きくなり、一意的に記録面に光スポットを精度良く絞ることが困難である。このために光ディスクドライブ装置で使用する光ピックアップ装置には球面収差を補正する機構が必要となっている。球面収差を補正するためには、コリメータレンズをモータ等により物理的に動かしてレーザ光源とコリメータレンズの距離を変えることが一般的に行われている。
【0003】
近年、光情報記録媒体の1層あたりの高密度化が進むとともに、光情報記録媒体1枚を構成する層の数が増える傾向にある。このような光情報記録媒体において、記録再生機能の確保・向上を図るために、より精度の高い球面収差補正が求められている。そのため、球面収差補正を行う際に、コリメータレンズの初期位置(以下、「レンズ初期位置」という)を精度よく検出することも重要になっている。
【0004】
例えば、光ピックアップ装置において、レンズ初期位置を検出するために、フォトインタラプタを用いる技術が提案されている。この技術では、レンズ初期位置に対応する位置にフォトインタラプタが設置されている。そして、当該フォトインタラプタの受光素子と発光素子の間をコリメータレンズのレンズホルダが遮った時のコリメータレンズの位置が、レンズ初期位置として検出される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここで、フォトインタラプタを用いたレンズ初期位置の検出について、図6〜図8を参照して説明する。
図6は、従来の位置検出装置の一部を示すブロック図である。
従来の位置検出装置は、陰極(カソード)が接地された発光ダイオード203と、発光ダイオード203の陽極(アノード)が一端に接続され、電源電圧Vccが他端に印加された抵抗器R202とを含む。そして、発光ダイオード203に対向する位置に設置されるとともにエミッタが接地されたフォトトランジスタ205と、フォトトランジスタ205のコレクタが一端に接続され、電源電圧Vccが他端に印加された抵抗器R204とを備える。さらに、抵抗器R204とフォトトランジスタ205の中点から出力を取り出して遮光物の位置を検出するデジタル回路(不図示)を備える。なお、発光ダイオード203およびフォトトランジスタ205によりフォトインタラプタを構成している。
【0006】
抵抗器R202により電圧電流変換された電流の大きさは、発光ダイオード203が発生する光と関係がある。もし、発光ダイオード203とフォトトランジスタ205の間に遮光物209(前述の「レンズホルダ」に相当)がなければ、発光ダイオード203で発生した光が、所定の伝達効率でフォトトランジスタ205に入射される。そして、フォトトランジスタ205で光電変換された電流は抵抗器R204に流れる。そして、抵抗器R204にかかる電圧(以下、「アナログ電圧」という)に応じた信号が、デジタル回路(不図示)に出力される。
【0007】
一方、発光ダイオード203とフォトトランジスタ205との間に遮光物209がある場合、フォトトランジスタ205を流れる電流は暗電流のみとなる。そして、抵抗器R204にかかるアナログ電圧に応じた信号がデジタル回路(不図示)に出力される。この時のアナログ電圧の値は、電源電圧Vccの値とほぼ等しくなる。これは、暗電流がほぼゼロに等しいためである。
【0008】
ここで、フォトインタラプタの特性について、図7を参照して説明する。
図7は、フォトインタラプタの伝達効率と周辺温度との関係を示す特性図である。伝達効率とは、発光ダイオード203に入力される電流の大きさに対して、フォトトランジスタ205から出力される電流の大きさがどれくらいであるかを示すものである。つまり、発光ダイオード203に入力される電流の大きさに対してフォトトランジスタ205から出力される電流の大きさが大きいほど、伝達効率が高くなる。
【0009】
図7に示すように、伝達効率は、周辺温度に応じて大きく変動してしまう。また、発光ダイオード203の順方向の電圧は温度変動することが知られている。発光ダイオード203の順方向の電圧が変動すると、発光ダイオード203に流れる電流も変動し、発光ダイオード203の発光パワーが変動する。その結果、フォトトランジスタ205から出力される電流が変動する。したがって、フォトインタラプタを用いて回路を構成する際は、伝達効率のばらつきや温度変動を考慮する必要がある。
【0010】
ところで、アナログ電圧は、デジタル回路への入力信号として扱われる。つまり、アナログ電圧の「ハイ」に対応する電圧値(以下、「ハイ電圧値」という)および「ロー」に対応する電圧値(以下、「ロー電圧値」という)が、当該デジタル回路に設定されたしきい値電圧Vthの値から十分に離れた電圧である必要がある。
【0011】
ここで、フォトインタラプタの伝達効率が低いほど、ハイ電圧値とロー電圧値との差が小さくなるという特性がある。したがって、フォトインタラプタの伝達効率が最も低い状態でも、ハイ電圧値およびロー電圧値がしきい値電流Vthの値から十分離れるように、抵抗器R202,R204の抵抗値がそれぞれ設定されている。
【0012】
このようにして、抵抗器R202,R204の抵抗値を決定した時のアナログ電圧について、図8を参照して説明する。
図8は、アナログ電圧の値と遮光物の位置との関係を示す特性図である。
縦軸は、電圧の値を示しており、横軸は、遮光物209のX軸方向における位置を示している。伝達効率特性602は、フォトインタラプタの伝達効率が最高の時におけるアナログ電圧の値を表しており、伝達効率特性603は、当該伝達効率が最低の時におけるアナログ電圧の値を表している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−4158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、アナログ電圧を入力信号とする前述のデジタル回路は、当該アナログの値が設定したしきい電圧Vthの値になった時点の遮光物209の位置を、遮光物209の初期位置(前述の「レンズ初期位置」に相当)として検出する。すなわち、図8の例では、フォトインタラプタの伝達効率が最高の時には、Pos1がレンズ初期位置になり、伝達効率が最低の時には、Pos2がレンズ初期位置になる。
【0015】
したがって、フォトインタラプタの伝達効率が異なると、レンズ初期位置の検出が不安定になり、レンズ初期位置が一定に定まらないという問題がある。
【0016】
このような、レンズ初期位置の変動は、抵抗器R204の抵抗値を大きくすることによりある程度低減することができる。しかしながら、フォトトランジスタ205の暗電流成分が増幅され、また、外来光に対するフォトトランジスタ205の感度を上げてしまうことになり、検出出力の品質が悪化してしまうという別の問題が生じる。なお、フォトインタラプタの代わりに、反射型のフォトリフレクタを用いたとしても同様の問題が生じる。
【0017】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、フォトトランジスタやフォトインタラプタ等の光検出センサにおいて伝達効率が変動しても、安定した位置検出を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の光ディスクドライブ装置は、レンズが収納されたレンズ駆動ユニットを備える。そして、レンズ駆動ユニットをレンズの光軸方向に移動させるモータと、球面収差補正を行うためにモータを駆動させるモータ駆動部とを備える。さらに、光を発生する発光素子と、発光素子から入射する光の量に応じた電流を出力する受光素子を有し、発光素子から受光素子に入射する光の量が、レンズ駆動ユニットの位置に応じて制限される光検出センサを備える。また、受光素子と接続され、電流が流れる抵抗器を備える。この抵抗器にかかる電圧(アナログ電圧)を正規化し、正規化された電圧(正規化電圧)に基づいて、モータ駆動部に制御信号を送出してモータを停止させる。
【0019】
また、本発明の位置検出装置は、光を発生する発光素子と、発光素子から入射する光の量に応じた電流を出力する受光素子を備える光検出センサと、受光素子と接続され、電流が流れる抵抗器と、を備える。この抵抗器にかかる電圧(アナログ電圧)を正規化する。そして、正規化された電圧(正規化電圧)の値に基づいて、発光素子と受光素子の間に配置された遮光物の位置を検出する。
【0020】
本発明の上述した構成によれば、レンズ駆動ユニット等の遮光物の移動に伴なうアナログ電圧の変化開始位置および変化終了位置をフォトインタラプタの伝達効率に依存しないようにすることができる。これにより、正規化電圧を一意にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、このような正規化電圧に基づいて遮光物の位置を検出するので、発光素子およびこれと対向して設けられた受光素子からなる光検出センサの伝達効率のばらつきや温度変動があったとしても、遮光物の位置検出を安定して行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスクドライブ装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る位置検出装置の一部である初期位置検出信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図3】アナログ電圧の値と遮光物の位置との関係を示す特性図である。
【図4】正規化電圧の値と遮光物の位置との関係を示す説明図である。
【図5】他の実施形態に係る位置検出装置の一部である初期位置検出信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図6】従来の位置検出装置の一部を示すブロック図である。
【図7】フォトインタラプタの伝達効率と周辺温度との関係を示す特性図である。
【図8】アナログ電圧の値と遮光物の位置との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための実施形態例について説明する。以下に述べる実施の形態例は、本発明の好適な具体例である。そのため、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明は、下記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。例えば、以下の説明で挙げる各パラメータの数値的条件は好適例に過ぎず、説明に用いた各図における寸法、形状および配置関係も概略的なものである。
【0024】
以下の手順で説明を行う。
<一実施形態例>
1.光ディスクドライブ装置の構成
2.位置検出装置の構成
3.位置検出装置の動作
<他の実施形態例>
1.位置検出装置の構成
【0025】
<一実施形態例>
本発明の一実施形態の例を、図1〜図4を参照して説明する。
[1.光ディクスドライブ装置の構成]
図1は、光ディスクドライブ装置の構成を示すブロック図である。
光ディスクドライブ装置101は、球面収差補正を行う光ピックアップ装置を含む。光ピックアップ装置は、集積化ユニット125、対物レンズ110、アクチュエータ112、コリメータレンズ108およびレンズ駆動ユニット107などの光学系を備える。さらに、球面収差補正用モータ111、球面収差補正用モータ駆動部124、制御信号生成部113および初期位置検出信号生成部126を備える。本発明の特徴的な処理は、球面収差補正を行う際のコリメータレンズ108の初期位置(以下、「レンズ初期位置」という)を検出し、レンズ初期位置にコリメータレンズ108を固定する処理である。以下では、この処理を行う初期位置検出信号生成部126および制御信号生成部113を中心に説明を行う。
【0026】
また、光ディスクドライブ装置101は、上述の光ピックアップ装置の構成に加えて、トラック駆動部115、フォーカス駆動部114、スピンドルモータ118、スピンドルモータ駆動部117および情報再生部116などで構成されている。
【0027】
集積化ユニット125は、半導体レーザ102、光検出器106、回折格子103、ビームスプリッタ104およびマルチレンズ105で構成されている。ビームスプリッタ104は、半導体レーザ102からの光と、後述する光情報記録媒体119からの反射光とを分離するものである。
【0028】
半導体レーザ102から出射されて回折格子103で回折された光は、ビームスプリッタ104を透過し、コリメータレンズ108により概平行光となる。半導体レーザ102から出射された直線偏光は、1/4波長板109によりその偏光方向が円偏光に変換された後、対物レンズ110によって集光され、光情報記録媒体119の光透過層を透過し、情報記録面に集光される。
【0029】
光情報記録媒体119の情報記録面からの円偏光の反射光は、1/4波長板109によって半導体レーザ102から出射された直線偏光と直交する方向の直線偏光に変換される。
【0030】
光情報記録媒体119からの反射光は、対物レンズ110によって概平行光となり、ビームスプリッタ104で−Z方向に曲げられる。そして、コリメータレンズ108およびマルチレンズ105により、光検出器106に集光される。
【0031】
情報記録面からの反射光は、半導体レーザ102から出射された直線偏光とは直交する方向の直線偏光となっている。よってその偏光方向の違いから、ビームスプリッタ104で分光され、光検出器106に落射する。
【0032】
ところで、光情報記録媒体119の目標トラックに対して光を集光するために、対物レンズ110は固定されているホルダ(不図示)とともに駆動される。対物レンズ110は、光情報記録媒体119の方向(X軸方向)および光情報記録媒体119のトラックと直交する方向(Z軸方向)に、アクチュエータ112によって駆動される。駆動される移動量は、光検出器106で検出され、制御信号生成部113によって演算されたトラック誤差信号とフォーカス誤差信号とによって制御される。
【0033】
制御信号生成部113は、トラック誤差信号とフォーカス誤差信号の他に、球面収差制御信号、スピンドルモータ制御信号を生成する。また、RF信号は情報再生部116で生成され、再生信号として取り出される。
【0034】
トラック誤差信号はトラック駆動部115によってアクチュエータ112の移動量を制御し、フォーカス誤差信号はフォーカス駆動部114によってアクチュエータ112の移動量を制御する。スピンドルモータ118制御信号はスピンドルモータ駆動部117によってスピンドルモータ118の回転速度を制御する。球面収差制御信号は、球面収差補正用モータ駆動部124によって球面収差補正用モータ111を駆動させてレンズ駆動ユニット107のX軸方向の移動量を制御する。これにより、レンズ駆動ユニット107に収納されたコリメータレンズ108のX軸方向の移動量も制御される。この制御が球面収差補正である。球面収差補正を行うとき、コリメータレンズ108のレンズ初期位置への移動も、球面収差制御信号が球面収差補正用モータ駆動部124によって球面収差補正用モータ111を駆動させることにより行う。なお、レンズ初期位置を検出するための情報を含む信号(以下、「初期位置検出信号」という)は、初期位置検出信号生成部126で生成される。
【0035】
初期位置検出信号生成部126は、フォトインタラプタ120および波形整形部123を備える。
フォトインタラプタ120は、コリメータレンズ108がレンズ初期位置にある状態におけるレンズ駆動ユニット107の位置に対応する位置に設置される。そして、コリメータレンズ108がレンズ初期位置に接近した場合に、所定の信号を波形整形部123へ出力する。
【0036】
波形整形部123は、フォトインタラプタ120から入力された信号の形を整えて初期位置検出信号を生成する。生成した位置検出信号は、制御信号生成部113に出力される。なお、初期位置検出信号生成部126のより詳細な構成は、図2にて後述する。
【0037】
[2.位置検出装置の構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る位置検出装置の一部である初期位置検出信号生成部の構成を示すブロック図である。
位置検出装置は、初期位置検出信号生成部126および制御信号生成部113よりなる。
【0038】
初期位置検出信号生成部126は、陰極(カソード)が接地された発光ダイオード203と、発光ダイオード203の陽極(アノード)が一端に接続され、電源電圧Vccが他端に印加された抵抗器R202とを含む。そして、発光ダイオード203に対向する位置に設置されるとともにエミッタが接地されたフォトトランジスタ205と、フォトトランジスタ205のコレクタが一端に接続され、電源電圧Vccが他端に印加された抵抗器R204とを備える。さらに、フォトトランジスタ205のコレクタと抵抗器R204の一端との間に接続されるA/D(アナログ−デジタル)変換回路206と、A/D変換回路206の後段に設けられた正規化回路207とを備える。本例では、A/D変換回路206および正規化回路207により波形整形部123を構成しており、発光ダイオード203およびフォトトランジスタ205によりフォトインタラプタ120を構成している。
【0039】
抵抗器R202により電圧電流変換された電流の大きさは、発光ダイオード203が発生する光と関係がある。
【0040】
フォトトランジスタ205は、発光ダイオード203から入射される光の量に応じた値の電流を抵抗器R204に流す。そして、抵抗器R204にかかる電圧(電圧降下)に応じた信号(以下、「アナログ電圧信号」という)が、A/D変換回路206に出力される。なお、発光ダイオード203からフォトトランジスタ205に光が入射されない場合、フォトトランジスタ205のコレクタ−エミッタ間には暗電流のみが流れ、抵抗器R204の電圧降下はゼロに近い。それゆえ、A/D変換回路206に入力されるアナログ電圧信号で表される電圧の値は、電源電圧Vccに近い。
【0041】
A/D変換回路206に入力されるアナログ電圧信号で表される電圧の値は、フォトトランジスタ205に入射される光の量以外には抵抗器R204の抵抗値に応じて変動する。抵抗器R204の抵抗値は、フォトインタラプタ120の伝達効率が最高の状態においても、アナログ電圧信号が飽和しないような値に設定されている。このとき、フォトトランジスタ205と発光ダイオード203の間に遮光物209がないならば、フォトトランジスタ205に最大の光が入射され、フォトトランジスタ205のコレクタ−エミッタ間に最大の電流が流れる。それにより、A/D変換回路206に入力されるアナログ電圧信号で表される電圧の値は接地電圧の値よりも少しだけ高くなる。
【0042】
遮光物209は、前述のレンズ駆動ユニット107に相当し、発光ダイオード203とフォトトランジスタ205との間に配置される。この遮光物209は、球面収差補正用モータ111によりX軸方向に動かされ、発光ダイオード203からフォトトランジスタ205に入射する光の一部又は全部を遮り、フォトトランジスタ205に入射する光の量を制限する。
【0043】
A/D変換回路206は、入力されたアナログ電圧信号で表される電圧(以下、「アナログ電圧」という)の値をデジタル信号で表される電圧(以下、「デジタル電圧」)の値に変換して正規化回路207に出力する。
【0044】
正規化回路207は、A/D変換回路206から入力されるデジタル電圧を正規化し、正規化したデジタル電圧(以下、「正規化電圧」という)を制御信号生成部113に出力する。本例では、正規化電圧を示す信号が、前述の初期位置検出信号に相当する。
【0045】
制御信号生成部113(図1を参照)は、正規化回路207から入力された正規化電圧の値に基づいて、遮光物209の位置を検出する。正規化電圧の値が所定のしきい値と等しくなったとき、遮光物209が所定の位置に存在することを検出する。遮光物209が所定の位置(初期位置)にあることが検出されると、球面収差補正用モータ駆動部124に制御信号を出力して、球面収差補正用モータ111を停止させる。なお、制御信号生成部113は位置検出部ということもできる。
【0046】
[3.位置検出装置の動作]
次に、位置検出装置がコリメータレンズを初期位置に配置するために行う動作について、図3および図4を参照して説明する。
図3は、A/D変換回路206に入力されるアナログ電圧の値と遮光物209の位置との関係を示す特性図である。
縦軸は、アナログ電圧の値を示しており、横軸は、遮光物209のX軸方向(図2を参照)における位置を示している。伝達効率特性401は、フォトインタラプタ120の伝達効率が最高の時におけるアナログ電圧の値を表しており、伝達効率特性402は、当該伝達効率が最低の時におけるアナログ電圧の値を表している。
【0047】
各伝達効率特性401,402において、期間403が発光ダイオード203とフォトトランジスタ205の間に遮光物209がなく光を遮らない期間に相当し、この期間403のアナログ電圧の値は接地電圧付近の最低値となる。そして、期間404が発光ダイオード203とフォトトランジスタ205の間に遮光物209があって光を完全に遮る期間に相当し、この期間404のアナログ電圧の値はVcc付近の最高値となる。また、期間405は、遮光物209の移動に伴ない光の一部が遮られてアナログ電圧の値が変化する期間であるが、フォトインタラプタ120の伝達効率に関わらずアナログ電圧の値の変化開始位置と変化終了位置は同じになる。
【0048】
例えば、伝達効率特性401で表されるアナログ電圧がA/D変換回路206でデジタル電圧に変換されて正規化回路207に入力されるとする。
【0049】
デジタル電圧が入力された正規化回路207では、図4に示すように、デジタル電圧の値が最低値になる期間403のデジタル電圧の値を「0」に変換し、デジタル電圧の値が最高値になる期間404のデジタル電圧の値を「1」に変換する。そして、電圧変化406で表される正規化電圧が制御信号生成部113に出力される。なお、伝達効率特性402で表されるアナログ電圧の値の変化開始位置および変化終了位置は、伝達効率特性401で表されるアナログ電圧のそれらと同じであるので、伝達効率特性402で表されるアナログ電圧に対応する正規化電圧は、同様に電圧変化406のようになる。
【0050】
次に、制御信号生成部113では、正規化回路207から入力された正規化電圧の値がしきい値(例えば0.5)に等しくなったことを検出する。そして、検出したことが確認されると、球面収差補正用モータ駆動部124に制御信号を出力して、球面収差補正用モータ111を停止させる。すると、球面収差補正用モータ111によって動かされる遮光物209、すなわちレンズ駆動ユニット107の位置が固定される。これにより、レンズ駆動ユニット107に収納されたコリメータレンズ108がレンズ初期位置に正確に配置される。本例では、しきい値を0.5としたがこれに限られるものではない。
【0051】
以上説明したように、本発明の一実施形態では、フォトインタラプタの伝達効率が最高の状態においても、アナログ電圧信号が飽和しないように抵抗器R204の抵抗値を設定した。これにより、遮光物の移動に伴なうアナログ電圧の変化開始位置および変化終了位置をフォトインタラプタの伝達効率に依存しないようにすることができる。この結果、正規化電圧を一意にすることができる。そして、このような正規化電圧に基づいて遮光物の位置を検出しているので、フォトインタラプタの伝達効率のばらつきや温度変動があったとしても、遮光物の位置検出を精度良く安定して行うことができる、という効果を奏する。
【0052】
<他の実施形態例>
次に、本発明の他の実施形態の例を、図5を参照して説明する。他の実施形態に係る光ディスクドライブ装置は、一実施形態に係る光ディスクドライブ装置101と比較して、2値化回路を備える点で異なる。他の実施形態に係る光ディスクドライブ装置において、一実施形態に係る光ディスクドライブ装置101との共通部分については同一符号を付して、説明を省略することにする。
【0053】
他の実施形態に係る光ディスクドライブ装置を構成する位置検出装置は、一実施形態に係る位置検出装置の初期位置検出信号生成部126(図2を参照)の代わりに、初期位置検出信号生成部301を備える。
【0054】
[1.位置検出装置の構成]
図5は、本発明の他の実施形態に係る位置検出装置の一部である初期位置検出信号生成部の構成を示すブロック図である。
他の実施形態に係る位置検出装置は、初期位置検出信号生成部301および制御信号生成部113よりなる。初期位置検出信号生成部301は、一実施形態に係る初期位置検出信号生成部126を構成する正規化回路207の後段に2値化回路208を備える。
【0055】
2値化回路208は、正規化回路207から入力される正規化電圧(図4を参照)を、所定の閾値を境にハイまたはローの値に変換する。具体的には、正規化電圧の値が「0.5」以上ならば「1」に変換し、正規化電圧の値が「0.5」より小さいならば「0」に変換する処理を行う。このような変換がなされた正規化電圧(以下、「2値化電圧」という)は、制御信号生成部113に出力される。本例では、2値化電圧を示す信号が前述の初期位置検出信号に相当する。
【0056】
制御信号生成部113は、2値化回路208から入力された2値化電圧の値が「0」から「1」あるいは「1」から「0」に変化したことを検出する。このとき、球面収差補正用モータ駆動部124に制御信号を出力して、球面収差補正用モータ111を停止させる。すると、球面収差補正用モータ111によって動かされる遮光物209、すなわちレンズ駆動ユニット107の位置が固定される。これにより、レンズ駆動ユニット107に収納されたコリメータレンズ108がレンズ初期位置に配置される。
【0057】
以上説明したように、本発明の他の実施形態では、一実施形態と同様に、遮光物の移動に伴なうアナログ電圧の変化開始位置および変化終了位置をフォトインタラプタの伝達効率に依存しないようにすることができる。この結果、遮光物の検出に用いられる2値化電圧を一意にすることができる。これにより、フォトトインタラプタの伝達効率のばらつきや温度変動があったとしても、遮光物の位置検出を精度良く安定して行うことができる、という効果を奏する。
【0058】
なお、本発明の各実施形態では、遮光物を検出するのにフォトインタラプタを用いたが、発光素子と受光素子が対になった光検出センサであればよく、フォトインタラプタの代替として例えばフォトリフレクタを用いてもよい。
【0059】
また、本発明の各実施形態では、デジタル電圧を正規化して正規化電圧を取得したが、アナログ電圧を正規化して正規化電圧を得るような構成にしてもよい。
【0060】
また、本発明の一実施形態では、正規化電圧の値がしきい値に等しくなった時に遮光物を検出するようにした。正規化電圧の値は遮光物の位置を示すものであるので、この正規化電流の値を利用すれば、遮光物の位置を測定することもできる。
【0061】
また、本発明の一実施形態では、球面収差を補正する機構としてコリメータレンズをモータ等により動かすようにしたが、コリメータレンズ以外の他のレンズを動かして球面収差を補正する機構であっても、本発明を適用することができる。例えば、球面収差の補正にエキスパンダ駆動を利用した機構に本発明を適用する場合には、球面収差補正を行うためのビームエキスパンダを構成する凹レンズおよび/又は凸レンズの位置検出を行うように構成すればよい。
【0062】
以上、本発明の各実施形態の例について説明したが、本発明は上記各実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含むことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0063】
101…光ディスクドライブ装置、102…半導体レーザ、103…回折格子、104…ビームスプリッタ、105…マルチレンズ、106…光検出器、107…レンズ駆動ユニット、108…コリメータレンズ、109…1/4波長板、110…対物レンズ、111…球面収差補正用モータ、112…アクチュエータ、113…制御信号生成部、114…フォーカス駆動部、115…トラック駆動部、116…情報再生部、117…スピンドルモータ駆動部、118…スピンドルモータ、119…光情報記録媒体、120…フォトインタラプタ、123…波形整形部、124…球面収差補正用モータ駆動部、125…集積化ユニット、126…初期位置検出信号生成部、203…発光ダイオード、205…フォトトランジスタ、206…A/D変換回路、207…正規化回路、208…2値化回路、209…遮光物、301…初期位置検出信号生成部、401…伝達効率特性、402…伝達効率特性、403…期間、404…期間、405…期間、406…電圧変化、601…位置検出装置、602…伝達効率特性、603…伝達効率特性、R202…抵抗器、R204…抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズを収納するレンズ駆動ユニットと、
前記レンズ駆動ユニットを前記レンズの光軸方向に移動させるモータと、
球面収差補正を行うために前記モータを駆動させるモータ駆動部と、
光を発生する発光素子と、前記発光素子から入射する光の量に応じた電流を出力する受光素子を有し、前記発光素子から前記受光素子に入射する光の量が、前記レンズ駆動ユニットの位置に応じて制限される光検出センサと、
前記受光素子と接続され、前記電流が流れる抵抗器と、
前記抵抗器にかかる電圧を正規化する正規化回路と、
前記正規化された電圧の値に基づいて、前記モータ駆動部に制御信号を送出して前記モータを停止させる制御信号生成部と、
を備える光ディスクドライブ装置。
【請求項2】
前記正規化された電圧を所定のしきい値を境に所定のハイまたはローの値に変換する2値化回路、をさらに備え、
前記制御信号生成部は、前記2値化回路から出力される値がハイからローあるいはローからハイに変化したことを検出し、前記モータ駆動部に前記制御信号を出力して前記モータを停止させる
請求項1記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項3】
前記抵抗器の抵抗値は、前記抵抗器にかかる電圧の値が飽和しない値に設定されている
請求項1または2に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項4】
前記正規化回路の前段に、アナログ信号で表される電圧の値をデジタル信号で表される電圧の値に変換するA/D変換回路、をさらに備える
請求項1〜3のいずれかに記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項5】
前記光検出センサはフォトインタラプタである
請求項1〜4のいずれかに記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項6】
前記光検出センサはフォトリフレクタである
請求項1〜4のいずれかに記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項7】
光を発生する発光素子と、前記発光素子から入射する光の量に応じた電流を出力する受光素子を備える光検出センサと、
前記受光素子と接続され、前記電流が流れる抵抗器と、
前記抵抗器にかかる電圧を正規化する正規化回路と、
前記正規化された電圧の値に基いて、前記発光素子と前記受光素子の間に配置された遮光物の位置を検出する位置検出部と、
を備える位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−222097(P2011−222097A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91809(P2010−91809)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】