説明

光ディスクドライブ装置

【課題】ディスク挿入口からの光ディスクの挿入量が少なくても光ディスクを取り込める光ディスクドライブ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光ディスクの挿入経路に達するメインレバー4aの先端にサブレバー17を設け、メインレバー4aを第1付勢手段22で光ディスクの挿入経路の内側に付勢し、サブレバー17をメインレバー4aに対して第2付勢手段25で光ディスクの挿入経路の内側に回動する方向に付勢したことを特徴とし、挿入されてきた光ディスクにサブレバー17がメインレバー4aよりも先に当接してメインレバー4aを回動させて検出スイッチ16を操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の情報機器やオーディオ装置,ビデオ装置などにおいて、入出力装置として接続される光ディスクドライブ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来のスロットイン方式の光ディスクドライブ装置の使用状態でのローディング工程を示している。なお、ここでは内部の各部品を見せるためにトップカバーを取り除いて図示されている。
【0003】
ローディング工程は、図13(a)に示すように、光ディスク2の端をディスク挿入口3からガイドブロック12に沿って挿入すると、メインレバー4の先端に光ディスク2が係合する。図14はメインレバー4を示している。基端が軸5で枢支されているこのメインレバー4の先端には、傾斜したガイド壁13の上にディスク接触部14が形成されている。挿入された光ディスク2はディスク接触部14に係合してメインレバー4が軸5を中心に回動する。メインレバー4の基端の裏面にはボス15が形成されており、また、固定側には図15に示すように検出スイッチ16が取り付けられている。メインレバー4が軸5を中心に回動するとボス15によって検出スイッチ16が操作されて、モータ6への通電がオン状態になる。モータ6が回転すると取り込みレバー7が図13(b)に回動して、取り込みレバー7の先端7aが光ディスク2の後端に係合して、光ディスク2をガイドレバー8に向かって押し込む。この取り込みレバー7による押し込み動作は、光ディスク2のチャッキングホール2aの中心が回転テーブル9の中心に一致する位置まで行われて、図13(c)の位置に達した光ディスク2がクランパー(図示せず)と回転テーブル9とで挟持されてローディングが完了する。
【特許文献1】実公平7−5575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ディスク2の検出用のメインレバー4の全長は、光ディスクドライブ装置を取り付けるベイの寸法制限から長くすることができないため、光ディスク2をディスク挿入口3から相当奥まったところまで挿入してからでないと、モータ6が起動しない。
【0005】
本発明は、ディスク挿入口3からの光ディスク2の挿入量が従来よりも少なくても光ディスクを取り込むことができる光ディスクドライブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の光ディスクドライブ装置は、ディスク挿入口に光ディスクが挿入されたことを検出して前記光ディスクをローディング完了位置に搬入するスロットイン機構を備えた光ディスクドライブ装置であって、基端を中心に回動自在に枢支され先端がディスク挿入口から挿入されて来る前記光ディスクの挿入経路に達するメインレバーと、前記メインレバーの先端に回動自在に枢支されて一端が光ディスクの前記挿入経路に達するサブレバーと、メインレバーの前記先端を光ディスクの前記挿入経路の内側に回動する方向に付勢する第1付勢手段と、サブレバーの前記一端を前記メインレバーに対して光ディスクの前記挿入経路の内側に回動する方向に付勢する第2付勢手段とを設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2記載の光ディスクドライブ装置は、請求項1において、光ディスクをローディング完了位置に向かって搬入する初期状態における第2付勢手段の付勢力を第1付勢手段の付勢力よりも大きく設定したことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3記載の光ディスクドライブ装置は、請求項1または請求項2において、前記サブレバーは、中央部がメインレバーの前記先端に枢支され、前記中央部から前記一端とは反対側に延びる突部を有しており、前記光ディスクのローディング終了状態では前記サブレバーの前記突部が固定側に当接して前記メインレバーが第1付勢手段の付勢に抗して前記サブレバーの前記一端が前記光ディスクから離間する方向に回動して退避するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この構成によると、メインレバーの先端にサブレバーを取り付けたので、メインレバーよりも先にサブレバーに光ディスクが係合して、メインレバー回動し、光ディスクの挿入量が従来よりも少なくても光ディスクを取り込める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
なお、図12〜図15に示した従来例と同様の作用をなすものには同一の符号を付けて説明する。
【0011】
図1〜図11は本発明の実施の形態を示す。
図1はスロットイン方式の光ディスクドライブ装置を示す。
この実施の形態の光ディスクドライブ装置において光ディスク2の挿入を検出する手段は、次のように構成されている。
【0012】
基端が軸5で枢支されたメインレバー4aは、先端がディスク挿入口3から挿入されて来る光ディスクの挿入経路に達している。このメインレバー4aの先端には、サブレバー17が軸18で枢支されている。図2(a)(b)はメインレバー4aとサブレバー17の部分の分解図と組み立て図を示している。
【0013】
メインレバー4aの基端の裏面には、検出スイッチ16の操作用にボス15が形成されている。メインレバー4aの先端に設けられた軸18に枢支されるサブレバー17は、中央部に軸18が挿通される軸受19が形成され、一端には傾斜したガイド壁13がディスク接触部14を介して形成されている。さらに、サブレバー17には、軸受19から前記一端とは反対側に延びる突部20が形成されている。
【0014】
図1に示すように、メインレバー4aの基端とシャーシ21との間には第1の付勢手段としての引っ張りバネ22が介装されており、メインレバー4aは先端が光ディスク2に近づく方向(時計方向)に付勢されて、この図1に示す初期状態ではメインレバー4aの裏面に突出して植設されたピン24がシャーシ21に形成された孔29の端部に当接して停止している。
【0015】
サブレバー17とメインレバー4aの間には第2の付勢手段としての円筒コイルバネ25が介装されている。メインレバー4aの表面に形成された突部26に沿って配置された円筒コイルバネ25の一端の先端は、メインレバー4aに折り曲げ加工で形成されているレバーストッパ27に図6(b)に示すように係合し、円筒コイルバネ25の他端は、図3に示すようにサブレバー17の軸受19と前記一端との間に係合している。
【0016】
このようにメインレバー4aに対してサブレバー17は、円筒コイルバネ25によって、サブレバー17の一端のガイド壁13とディスク接触部14が光ディスク2に近づく方向(時計方向)に付勢されており、図1に示す初期状態のサブレバー17は、メインレバー4aのレバーストッパ27に当接して図2に示す位置で停止している。
【0017】
光ディスク2の端をディスク挿入口3からガイドブロック12に沿って挿入すると、サブレバー17のガイド壁13に乗り上げてディスク接触部14に光ディスク2の外周部が係合し、メインレバー4aが付勢に抗して反時計方向に回動する。メインレバー4aの回動によって、メインレバー4aのボス15が検出スイッチ16を押す。
【0018】
検出スイッチ16がメインレバー4aのボス15によって押されることによって、モータ6への通電がオン状態になった図4の直後の状態では、モータ6が回転して取り込みレバー7が回動して、光ディスク2をガイドレバー8に向かって押し込む。
【0019】
なお、この初期状態における引っ張りバネ22によるメインレバー4aの付勢力F1と初期状態における円筒コイルバネ25によるサブレバー17の付勢力F2とでは、“ F1 < F2 ”に設定されており、図3から図4(a)(b)に示す状態ではメインレバー4aに対してサブレバー17は回動していない。
【0020】
モータ6による光ディスク2の押し込みが進んで図5(a)(b)の位置において“ F1 ≧ F2 ”になると、モータ6による光ディスク2の以後の取り込み動作に伴ってメインレバー4aに対してサブレバー17が付勢に抗して反時計方向に回動し始め、光ディスク2のチャッキングホール2aの中心が回転テーブル9の中心に一致する手前に達した図6(a)(b)に示すよう状態になったときに、サブレバー17がメインレバー4aのストッパー28に当接してサブレバー17の回動が終了しメインレバー4aの回動が再開する。
【0021】
サブレバー17の回動が終了しメインレバー4aの回動が再開して、光ディスク2のチャッキングホール2aの中心が回転テーブル9の中心に一致して光ディスク2が最終位置に到達する。
【0022】
光ディスク2が最終位置に到達した後、更にメインレバー4aは下記の別の駆動手段によって図7(a)(b)に示すように回動し、それによって、サブレバー17の突部20が筐体23に当接して図8(a)(b)に示すように、サブレバー17が円筒コイルバネ25の付勢に抗して更に回動して、サブレバー17のディスク接触部14とガイド壁13が光ディスク2に接触しないように退避する。
【0023】
図9〜図11はメインレバー4aを駆動する前記別の駆動手段の詳細を示している。
図9は図1と同じ初期状態を示しており、シャーシ21の裏面にはピン30で枢支された駆動レバー31が設けられている。この駆動レバー31の先端に形成されたピン32は、スライドレバー33に次のように係合する。
【0024】
スライドレバー33は取り込みレバー7を光ディスク2の取り込み方向に回動するのに連動して前記モータ6によって矢印34方向にスライド移動する。またメインレバー4aには、裏面にピン35が植設されており、このピン35はシャーシ21に形成されたガイド孔36を介してシャーシ21の裏面に突出している。
【0025】
取り込みレバー7の回動によって取り込まれた光ディスク2が最終位置に到達した後、
前記説明の図7(a)(b)の状態では、図10(a)(b)に示すようにメインレバー4aのピン35が駆動レバー31に係合して、スライドレバー33によってメインレバー4aが図11(a)(b)に示す位置にまで更に回動して、サブレバー17の突部20が筐体23に当接してサブレバー17が回動して、サブレバー17が確実に退避する。
【0026】
このように、サブレバー17を回転可能にメインレバー4aの上に設けたため、軸18とディスク接触部14の長さLを適切に設定することによって、メインレバー4aの長さが同じでも、光ディスク2の検出位置を任意に設定でき、操作性が向上する。
【0027】
また、光ディスク2の記録再生時にはサブレバー17の突部20が筐体23に当接してメインレバー4aが回動して、サブレバー17と光ディスク2が接触しないように更に回転するので、構成簡単にしてサブレバー17を確実に退避させることができる。
【0028】
なお、サブレバー17の突部20を固定側としての筐体23に当接させてサブレバー17を退避させたが、シャーシ21に切り起こし加工などで形成した固定側としての突起片にサブレバー17の突部20を当接させてサブレバー17を退避させることもできる。しかし、筐体23にサブレバー17の突部20を当接させてサブレバー17を退避させる方が、シャーシ21の奥行き寸法をを小さくすることができ、筐体23の奥行き寸法を小さくすることができて好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
光ディスクドライブ装置の高性能化によって、この光ディスクドライブ装置を搭載したパーソナルコンピュータなどの機器の筐体のデザインの多様化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の光ディスクドライブ装置の初期状態の平面図
【図2】同実施の形態のメインレバーとサブレバーの分解図と組み立て図
【図3】同実施の形態の光ディスク取り込み工程において光ディスクがサブレバーに当接した直後の要部拡大図
【図4】同実施の形態の光ディスク取り込み工程において光ディスクがサブレバーに当接してメインレバーが回動した検出スイッチの切り替わり点の平面図と要部拡大図
【図5】同実施の形態の光ディスク取り込み工程においてメインレバーに対してサブレバーが回動し始めた直後の平面図と要部拡大図
【図6】同実施の形態の光ディスク取り込み工程においてサブレバーが停止してメインレバーが回動し始める状態の平面図と要部拡大図
【図7】同実施の形態の光ディスク取り込み工程においてメインレバーが終端直前に到着した状態の平面図と要部拡大図
【図8】同実施の形態の光ディスク取り込み工程においてメインレバーが終端に到着してサブレバーが退避した状態の平面図と要部拡大図
【図9】同実施の形態の初期状態における駆動レバーを示す平面図
【図10】図7の状態における駆動レバーを示す平面図と要部拡大図
【図11】図8の状態における駆動レバーを示す平面図と要部拡大図
【図12】同従来例の光ディスクドライブ装置の斜視図
【図13】スロットイン工程図
【図14】従来のメインレバーの斜視図
【図15】同従来例の光ディスクドライブ装置の要部の平面図
【符号の説明】
【0031】
2 光ディスク
2a 光ディスク2のチャッキングホール
3 ディスク挿入口
4a メインレバー
5 軸
6 モータ
7 取り込みレバー
7a 取り込みレバー7の先端
8 ガイドレバー
9 回転テーブル
12 ガイドブロック
13 ガイド壁
14 ディスク接触部
15 ボス
16 検出スイッチ
17 サブレバー
18 軸
19 軸受(中央部)
20 突部
21 シャーシ
22 引っ張りバネ(第1の付勢手段)
23 筐体
24 ピン
25 円筒コイルバネ(第2の付勢手段)
26 突部
27 レバーストッパ
28 ストッパー
30 ピン
31 駆動レバー
32 ピン
33 スライドレバー
35 ピン
36 シャーシ21に形成されたガイド孔
F1 引っ張りバネ22によるメインレバー4aの付勢力
F2 円筒コイルバネ25によるサブレバー17の付勢力
L 軸18とディスク接触部14の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入口に光ディスクが挿入されたことを検出して前記光ディスクをローディング完了位置に搬入するスロットイン機構を備えた光ディスクドライブ装置であって、
基端を中心に回動自在に枢支され先端がディスク挿入口から挿入されて来る前記光ディスクの挿入経路に達するメインレバーと、
前記メインレバーの先端に回動自在に枢支されて一端が光ディスクの前記挿入経路に達するサブレバーと
メインレバーの前記先端を光ディスクの前記挿入経路の内側に回動する方向に付勢する第1付勢手段と、
サブレバーの前記一端を前記メインレバーに対してディスクの前記挿入経路の内側に回動する方向に付勢する第2付勢手段と
を設けた
光ディスクドライブ装置。
【請求項2】
光ディスクをローディング完了位置に向かって搬入する初期状態における第2付勢手段の付勢力を第1付勢手段の付勢力よりも大きく設定した
請求項1記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項3】
前記サブレバーは、中央部がメインレバーの前記先端に枢支され、前記中央部から前記一端とは反対側に延びる突部を有しており、
前記光ディスクのローディング終了状態では前記サブレバーの前記突部が固定側に当接して前記メインレバーが第1付勢手段の付勢に抗して前記サブレバーの前記一端が前記光ディスクから離間する方向に回動して退避するように構成した
請求項1または請求項2記載の光ディスクドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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