説明

光ディスク再生装置

【課題】書き込み系のブルーレイ・ディスクにてウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を検出せずにPIC領域に光ピックアップをシークさせることができる光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】システムコントローラは、光ピックアップに対するフォーカスサーボがオンされた後、光ピックアップからのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、その振幅以上のレベルにスレッショルドを設定し光ピックアップを光ディスクの内周に向かってシークさせトラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたときに光ピックアップをトラッキングサーボに引き込み、PIC領域の先頭方向に光ピックアップをシークさせる。ウォブル領域の信号品質が悪い場合でも、PIC領域をアクセスすることで、ディスク情報を取得することができ、タイトルの再生が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク再生装置に関し、特に、挿入された光ディスクが再生可能な状態になるまでの立ち上がり処理に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、高画質のビデオデータと高画質のオーディオデータを長時間記録することができる新しい高密度の光ディスク、例えば1回だけ記録可能なブルーレイ・ディスク(BD−R)や再記録可能なブルーレイ・ディスク(BD−RE)が開発されている。このような書き込み系のブルーレイ・ディスクは、クランピング領域、トランジッション領域、バーストカッティング領域(BCA:Burst Cutting Area)、リードイン領域、データ領域、およびリードアウト領域に区画されている。書き込み系のブルーレイ・ディスクに記録されているデータは、一つのエラー訂正ブロック(ECCブロック)と同じ長さを持つ記録ユニットブロック(RUB:Recording Unit Block)に分けて記録される。
【0003】
前記リードイン領域は、プリレコードされた領域と記録可能な領域に分かれている。プリレコードされた領域には、PIC(Permanent Information Control)領域が割り当てられている。記録可能な領域には、データ記録途中で検出される欠陥領域に対して代替記録するために必要な欠陥管理情報を記録するための第1,第2欠陥管理領域(DMA:Defent Management Area)が割り当てられる。また、前記リードアウト領域は、記録可能な領域であって、欠陥管理情報を記録するための第3,第4欠陥管理領域(DMA)が割り当てられる。
【0004】
また、PIC領域には、永久に保存されなければならないディスク情報(DI:Disc Information)、例えば、ディスクタイプ情報(DT:Disc Type)とデータ領域割り当て情報(DZA:Data Zone Allocation)などのような重要なディスク情報が高周波変調されたウォブル形態で例えば5回反復記録される。ディスク情報は、例えば32バイトのパリティを除いて112バイトのサイズを有する。
【0005】
ディスク情報を反復記録する理由は、ディスク情報の検出を安定的に行い、データの記録または再生の安定性を確保することにある。例えば、ディスク情報が1回しか記録されていなければ、その記録された位置でディスク情報にエラーが発生したなどの原因によりディスク情報が正しく検出されなくなることがあり、データの記録または再生を正しく実行することができないことがあるためである。
【0006】
記録が可能なリードイン領域、データ領域、リードアウト領域は、グループがウォブル形態で形成されて、データはウォブルに整列して記録される。ウォブル形態のグループには、ADIP(Address In Pre−groove)アドレスとAUXデータで構成されたADIP情報が変調されている。ADIPアドレスは、記録が可能なリードイン領域、データ領域、リードアウト領域で、即ち、ウォブル形態のグループが形成されたすべての領域で、物理的なADIP情報を含んでいる。
【0007】
しかし、AUXデータは、プリレコードされた領域を除いたリードイン領域にだけディスク情報を含んでおり、それ以外のデータ領域とリードアウト領域では0値で満たされている。即ち、ディスクタイプ情報とデータ領域割り当て情報(アドレス情報に相当)のような重要なディスク情報は、PIC領域を除いた記録可能なリードイン領域にウォブル形態のグループに変調したADIP情報内にAUXデータとして記録される。ディスク情報は、32バイトのパリティを含めて144バイトのサイズで、記録可能なリードイン領域に形成されたウォブル形態のグループに反復記録される。前記リードイン領域に形成されたウォブル形態の領域を以下の説明でウォブル領域と呼ぶことにする。また、前記アドレス情報は、前記のようにディスク情報に含まれるとして説明する。
【0008】
図4は従来の光ディスク再生装置において書き込み系のブルーレイ・ディスクが挿入されてからPIC領域の情報を読み出すまでの処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートを参照して従来の光ディスク再生装置において書き込み系のブルーレイ・ディスクが挿入されてからPIC領域の情報を読み出すまでの処理について説明する。
【0009】
先ず、書き込み系のブルーレイ・ディスク(以下単に光ディスクと言う)が装置に挿入されると、光ディスク再生装置のシステムコントローラは、光ディスクが挿入されたことを検出し(ステップM1)、光ディスクのデータ領域に光ピックアップを移動させ(ステップM2)、次に、光ディスクを回転させ(ステップN3)、更に、光ピックアップからレーザ光を出射させる(ステップM4)。そして、システムコントローラは、光ピックアップに対するフォーカスサーボをオンする(ステップM5)。
【0010】
次に、システムコントローラは、トラッキングエラー信号の振幅を測定して(ステップM6)、そのトラッキングエラー信号の振幅調整やバランス調整を行い、トラッキングサーボをオンし(ステップM7)、光ディスクのウォブル領域からアドレス情報を含むディスク情報を読み出す(ステップM8)。そして、システムコントローラは、光ディスクにおいてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域であるPIC領域の先頭方向に光ピックアップをシークさせる。
【0011】
前記シークされた後、システムコントローラは、光ディスクのPIC領域からディスク情報を読み出す(ステップM10)。以降は、選択されたタイトルに対する再生指示がリモコンなどにより行われると、そのタイトルが光ディスクのデータ領域から再生される。
【特許文献1】特開2005−166125号公報
【特許文献2】特開2000−215468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の光ディスク再生装置においては、以上のような処理で、書き込み系のブルーレイ・ディスクのPIC領域からディスク情報を読み出すが、ウォブル領域の信号品質が悪い場合、ウォブル領域からアドレス情報を含むディスク情報を読み出すことができないので、アドレス情報が無い状態では光ピックアップをPIC領域へシークさせることができず、その結果、当該ディスクのタイトルを再生することができないと言う課題が生じる。
【0013】
即ち、書き込み系のブルーレイ・ディスクの規格では、ウォブル領域を追加して、このウォブル領域にアドレス情報を含むディスク情報を入れるように決められている。ウォブル領域は、トラックを唸らせて、この唸った周期による周波数からデータに変換してディスク情報が得られるように構成されている。したがって、従来の光ディスク再生装置においては、ウォブル領域の信号品質が悪い場合、ウォブル領域からディスク情報を読み出すことができず、ディスク情報に含まれるアドレス情報を得ることができなくなるので、光ピックアップが読み取っているディスク上の現在のレーザ照射箇所のアドレスとPIC領域の先頭アドレスとの距離を算出するこができず、これにより、光ピックアップをPIC領域へシークさせることができなくなり、その結果、当該ディスクのタイトルを再生することができないと言う課題が生じる。
【0014】
なお、特許文献1の従来技術では、HD−DVDを再生する際に、RF信号の周波数が高周波であるか否かを判断し、高周波である場合は、光ヘッドがシステムリードインエリア内にレーザを照射していると判断することにより、ディスク最内周のBCAから正確にシステムリードインエリアにアクセスすることができるようにしているが、この従来技術は、挿入された光ディスクに対する立ち上げが完了してからの処理に関するものであり、図4のフローチャートで示したような再生する前の立ち上げ時の処理において前記のような課題を解決できるようにしたものではない。
【0015】
また、特許文献2の従来技術は、光ディスクにおける異なる領域にシークする場合において、トラッキングエラー信号の振幅が所定レベルを超えるか否かを検知することにより、異なる領域に突入したことを検出するようにしたものであり、立ち上げ時の処理に関するものではない。
【0016】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、再生する前の立ち上げ時に、光ディスク(書き込み系のブルーレイ・ディスク)にてウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を検出せずに、またはウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を得ることができなかった場合でも、エンボス領域(PIC領域)に光ピックアップをシークさせることができる光ディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、レーザ光を光ディスクの記録面に照射し、その反射光量に対応するRF信号を出力する光ピックアップを備え、光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク再生装置において、光ピックアップに対するフォーカスサーボがオンされた後、光ピックアップからのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、その振幅以上のレベルにスレッショルドを設定し、光ピックアップを光ディスクの内周に向かってシークさせ、トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたときに、光ピックアップをトラッキングサーボに引き込み、光ディスクにおいてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域の先頭方向に光ピックアップをシークさせる制御を行うシステムコントローラを備えたことを特徴とする光ディスク再生装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、再生する前の立ち上げ時に、光ディスクにてウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を検出せずに、またはウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を得ることができなかった場合でも、エンボス領域に光ピックアップをシークさせることができるので、ウォブル領域の信号品質が悪い場合でも、エンボス領域をアクセスすることで、ディスク情報を取得することができ、光ディスクに記録されているタイトルの再生が可能になる。
【0019】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記システムコントローラは、光ピックアップに対するフォーカスサーボがオンされた後、光ピックアップからのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、その振幅以上のレベルにスレッショルドを設定するスレッショルド設定手段と、前記スレッショルドが設定された後、光ピックアップを光ディスクの内周に向かってシークさせる内周シーク手段と、前記シークにより前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたか否かを判定するトラッキング振幅判定手段と、前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたと判定されたとき、光ピックアップをトラッキングサーボに引き込むトラッキングサーボ引込み手段と、前記トラッキングサーボの引き込み後、光ディスクにおいてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域の先頭方向に光ピックアップをシークさせる先頭方向シーク手段と、前記シークされた後、前記エンボス領域からディスク情報を読み出させる情報読出手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、再生する前の立ち上げ時に、光ディスクにてウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を検出せずに、エンボス領域に光ピックアップをシークさせることができるので、ウォブル領域の信号品質が悪い場合でも、エンボス領域をアクセスすることで、ディスク情報を取得することができ、光ディスクに記録されているタイトルの再生が可能になる。
【0021】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、前記システムコントローラは、光ピックアップ対するフォーカスサーボがオンされた後、光ピックアップからのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅を測定するトラッキング振幅測定手段と、前記トラッキング信号の振幅が測定された後、光ピックアップに対するトラッキングサーボをオンさせるトラッキングサーボオン手段と、前記トラッキングサーボがオンされた後、光ディスクのウォブル領域からアドレス情報を含むディスク情報を読み出させるウォブル領域読出手段と、前記光ディスクのウォブル領域からディスク情報の読み出しが成功したか失敗したかを判定するウォブル領域読出し判定手段と、前記ウォブル領域からディスク情報の読み出しが失敗したと判定されたとき、前記測定されたトラッキングエラー信号の振幅以上のレベルにスレッショルドを設定するスレッショルド設定手段と、前記スレッショルドが設定された後、光ピックアップを光ディスクの内周に向かってシークさせる内周シーク手段と、前記シークにより前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたか否かを判定するトラッキング振幅判定手段と、前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたと判定されたとき、光ピックアップをトラッキングサーボに引き込むトラッキングサーボ引込み手段と、前記トラッキングサーボの引き込み後、光ディスクにおいてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域の先頭方向に光ピックアップをシークさせる先頭方向シーク手段と、前記シークされた後、前記エンボス領域からディスク情報を読み出させる情報読出手段と、を有することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、再生する前の立ち上げ時に、光ディスクにてウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を得ることができなかった場合でも、エンボス領域に光ピックアップをシークさせることができるので、ウォブル領域の信号品質が悪い場合でも、エンボス領域をアクセスすることで、ディスク情報を取得することができ、光ディスクに記録されているタイトルの再生が可能になる。
【0023】
請求項4の発明では、請求項1または請求項2または請求項3の発明において、前記光ディスクは書き込み系のブルーレイ・ディスクであり、前記エンボス領域とは書き込み系のブルーレイ・ディスクにおける記録領域の最内周側に位置するPIC(Permanent Information Control)領域であるので、書き込み系のブルーレイ・ディスクにおいてウォブル領域の信号品質が悪い場合でも、PIC領域をアクセスすることで、ディスク情報を取得することができ、書き込み系のブルーレイ・ディスクに記録されているタイトルの再生が可能になる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、再生する前の立ち上げ時に、光ディスク(書き込み系のブルーレイ・ディスク)にてウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を検出せずに、またはウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を得ることができなかった場合でも、エンボス領域(PIC領域)に光ピックアップをシークさせることができるので、ウォブル領域の信号品質が悪い場合でも、エンボス領域(PIC領域)をアクセスすることで、ディスク情報を取得することができ、光ディスク(書き込み系のブルーレイ・ディスク)に記録されているタイトルの再生が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1,第2の実施形態に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1において、この光ディスク再生装置は、レーザ光を発光する発光素子3aからの出射光を対物レンズ3bにより光ディスク1に集光して光スポットを形成し、光ディスク1からの反射光を対物レンズ3bを介して4分割の光検出器3cに入射させて光検出器3cからRF信号を出力するように構成された光ピックアップ3を備えている。また、この光ピックアップ3は、対物レンズ3bを光ディスク1に対して水平方向(半径方向)に微小移動させトラッキングサーボを行うためのトラッキング用アクチュエータ3dと、対物レンズ3bを光ディスク1に対して垂直方向に微小移動させフォーカスサーボを行うためのフォーカス用アクチュエータ3eとを有している。
【0027】
また、この光ディスク再生装置は、光ディスク1を回転させるスピンドルモータ2と、このスピンドルモータ2を駆動するスピンドルドライブ回路19と、トラッキング用アクチュエータ3dを駆動するトラッキングドライブ回路17と、フォーカス用アクチュエータ3eを駆動するフォーカスドライブ回路16と、光ピックアップ3を光ディスク1の半径方向に移動させるスレッド4と、このスレッド4を駆動するスレッドドライブ回路18とを備えている。
【0028】
また、この光ディスク再生装置は、光ディスク1の再生時に光ピックアップ3からのRF信号を増幅するRFアンプ5と、VCO(voltage controlled oscillator)を含むPLL(phase locked loop)8を備えRFアンプ5からのRF信号を入力してデータと同期信号を分離するデータ/同期信号分離回路6と、このデータ/同期分離回路6で分離されたデータを入力してデコード化することによりエラーチェックを行いデータに誤りがある場合はエラー訂正を行って正しいデータを出力するデータデコードエラー訂正回路9と、このデータデコードエラー訂正回路9から正しいデータを入力しデコード化してビデオ信号とオーディオ信号をビデオ出力端子23とオーディオ出力端子24をそれぞれ介して例えばテレビジョン受像機22に供給するAVデコード回路10とを備えている。
【0029】
また、この光ディスク再生装置は、RFアンプ5からのRF信号に含まれ光ディスク1上のトラックの無いミラー面を示すミラー信号を検出してミラー面をカウントするミラー検出回路7と、光ピックアップ3からのRF信号に含まれるトラッキングエラー信号をRFアンプ5を介して検出するトラッキングエラー検出回路11と、光ピックアップ3からのRF信号に含まれるフォーカスエラー信号をRFアンプ5を介して検出するフォーカスエラー検出回路12と、トラッキングエラー検出回路11からのトラッキングエラー信号に基づいてトラッククロスを検出してトラックパルスを出力するトラッククロス検出回路13と、システムコントローラ14の処理に必要なデータを格納するメモリ20とを備えている。
【0030】
また、この光ディスク再生装置には、この装置本体の前面などに設けられ装置電源のオン/オフ操作や再生に関する各種操作などを行うための複数のキーを有した操作部25が備えられている。この操作部25は、リモコン(リモートコントローラ)26からの操作指令を示す光信号を受信する受光手段(図示せず)を備え、この受光手段により光信号を電気信号に変換してシステムコントローラ14に指令信号を入力する。リモコン26は、操作部25よりもキーの個数が多く、装置電源のオン/オフ操作や再生に関する各種操作などを行うための複数のキー(図示せず)を有している。
【0031】
また、この光ディスク再生装置は、装置全体の処理を行うCPU15に従って上記各構成要素を制御するシステムコントローラ14を備えている。このシステムコントローラ14は、光ピックアップ3からのRF信号に含まれるフォーカスエラー信号に基づいて光ピックアップ3のフォーカスサーボのための制御、光ピックアップ3からのRF信号に含まれるトラッキングエラー信号に基づいて光ピックアップ3のトラッキングサーボのための制御、操作部25やリモコン26からの再生指示信号に従って光ディスク1の再生位置を決めるためスレッドドライブ回路18を介してスレッド4を駆動して光ピックアップ3を光ディスク1の半径方向に移動させる制御、操作部25やリモコン26からの操作信号によりスピンドルドライブ回路19を介してスピンドルモータ2を回転させる制御などを行う。
【0032】
更に、システムコントローラ14は、第1の実施形態の特徴として、光ピックアップ3に対するフォーカスサーボがオンされた後、光ピックアップ3からのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、その振幅以上のレベルにスレッショルドを設定するスレッショルド設定手段と、前記スレッショルドが設定された後、光ピックアップ3を光ディスク1の内周に向かってシークさせる内周シーク手段と、前記シークにより前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたか否かを判定するトラッキング振幅判定手段と、前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたと判定されたとき、光ピックアップ3をトラッキングサーボに引き込むトラッキングサーボ引込み手段と、前記トラッキングサーボの引き込み後、光ディスク1においてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域の先頭方向に光ピックアップ3をシークさせる先頭方向シーク手段と、前記シークされた後、前記エンボス領域からディスク情報を読み出させる情報読出手段とを有する。
【0033】
また、システムコントローラ14は、第2の実施形態の特徴として、光ピックアップ3に対するフォーカスサーボがオンされた後、光ピックアップ3からのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅を測定するトラッキング振幅測定手段と、前記トラッキング信号の振幅が測定された後、光ピックアップ3に対するトラッキングサーボをオンさせるトラッキングサーボオン手段と、前記トラッキングサーボがオンされた後、光ディスク1のウォブル領域からアドレス情報を含むディスク情報を読み出させるウォブル領域読出手段と、光ディスク1のウォブル領域からディスク情報の読み出しが成功したか失敗したかを判定するウォブル領域読出し判定手段と、前記ウォブル領域からディスク情報の読み出しが失敗したと判定されたとき、前記測定されたトラッキングエラー信号の振幅以上のレベルにスレッショルドを設定するスレッショルド設定手段と、前記スレッショルドが設定された後、光ピックアップ3を光ディスク1の内周に向かってシークさせる内周シーク手段と、前記シークにより前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたか否かを判定するトラッキング振幅判定手段と、前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたと判定されたとき、光ピックアップ3をトラッキングサーボに引き込むトラッキングサーボ引込み手段と、前記トラッキングサーボの引き込み後、光ディスク1においてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域の先頭方向に光ピックアップ3をシークさせる先頭方向シーク手段と、前記シークされた後、前記エンボス領域からディスク情報を読み出させる情報読出手段とを有する。
【0034】
図2は第1の実施形態において光ディスクが装置に挿入されてからPIC領域の情報を読み出すまでの処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートおよび図1を参照して光ディスクが装置に挿入されてからPIC領域の情報を読み出すまでの処理について説明する。光ディスクは書き込み系のブルーレイ・ディスクであるとして説明する。
【0035】
先ず、光ディスク1が装置に挿入されると、システムコントローラ16は、光ディスク1が挿入されたことを検出し(ステップS1)、スレッドドライブ回路18を介してスレッド4を駆動させることにより光ディスク1のデータ領域に光ピックアップ3を移動させ(ステップS2)、次に、スピンドルドライブ回路19を介してスピンドルモータ2を駆動させることにより光ディスク1を回転させ(ステップS3)、更に、光ピックアップ3からレーザ光を出射させる(ステップS4)。そして、システムコントローラ14は、フォーカスドライブ回路16を介してフォーカス用アクチュエータ3eを制御して光ピックアップ3に対するフォーカスサーボをオンする(ステップS5)。
【0036】
この後、システムコントローラ14のスレッショルド設定手段は、光ピックアップ3からのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅(TE振幅)を測定し、その振幅以上のレベルにスレッショルドを設定する(ステップS6)。即ち、スレッショルド設定手段は、図1に示す構成の場合、トラッキングエラー検出回路11から出力されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、その振幅以上のレベルにスレッショルドを設定する(ステップS6)。
【0037】
前記スレッショルドが設定された後、システムコントローラ14の内周シーク手段は、スレッドドライブ回路18を介してスレッド4を駆動させることにより光ピックアップ3を光ディスク1の内周に向かってシークさせる(ステップS7)。このシークを行っているときに、システムコントローラ14のトラッキング振幅判定手段は、前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたか否かを判定する(ステップS8)。
【0038】
前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたと判定されたとき、システムコントローラ14のトラッキングサーボ引込み手段は、トラッキングドライブ回路17を介してトラッキング用アクチュエータ3dを制御して光ピックアップ3をトラッキングサーボに引き込む(ステップS9)。前記トラッキングサーボの引き込み後、システムコントローラ14のディスク情報読出手段は、光ディスク1においてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域であるPIC領域の先頭方向に光ピックアップ3をシークさせる(ステップS10)。
【0039】
前記シークされた後、システムコントローラ14のディスク情報読出手段は、光ピックアップ3、RFアンプ5、データ/同期信号分離回路6、およびデータデコードエラー訂正回路9の動作により、光ディスク1のPIC領域からディスク情報を読み出す(ステップS11)。以降は、選択されたタイトルに対する再生指示がリモコン26などにより行われると、システムコントローラ14は、そのタイトルが記録されている光ディスク1のデータ領域からデータを再生する制御を行う。
【0040】
図3は第2の実施形態において光ディスクが装置に挿入されてからPIC領域の情報を読み出すまでの処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートおよび図1を参照して光ディスクが装置に挿入されてからPIC領域の情報を読み出すまでの処理について説明する。光ディスクは書き込み系のブルーレイ・ディスクであるとして説明する。
【0041】
先ず、光ディスク1が装置に挿入されると、システムコントローラ16は、光ディスク1が挿入されたことを検出し(ステップN1)、スレッドドライブ回路18を介してスレッド4を駆動させることにより光ディスク1のデータ領域に光ピックアップ3を移動させ(ステップN2)、次に、スピンドルドライブ回路19を介してスピンドルモータ2を駆動させることにより光ディスク1を回転させ(ステップN3)、更に、光ピックアップ3からレーザ光を出射させる(ステップN4)。そして、システムコントローラ14は、フォーカスドライブ回路16を介してフォーカス用アクチュエータ3eを制御して光ピックアップ3に対するフォーカスサーボをオンする(ステップN5)。
【0042】
次に、システムコントローラ14のトラッキング振幅測定手段は、図1に示す構成の場合、トラッキングエラー検出回路11から出力されたトラッキングエラー信号の振幅を測定する(ステップN6)。この後、システムコントローラ14のトラッキングサーボオン手段は、トラッキングドライブ回路17を介してトラッキング用アクチュエータ3dを制御して光ピックアップ3に対するトラッキングサーボをオンする(ステップN7)。
【0043】
システムコントローラ14のウォブル情報読出手段は、光ピックアップ3、RFアンプ5、データ/同期信号分離回路6、およびデータデコードエラー訂正回路9の動作により、光ディスク1のウォブル領域からアドレス情報を含むディスク情報を読み出す(ステップN8)。そして、システムコントローラ14のウォブル領域読出し判定手段は、ディスク情報の読み出しが成功したか失敗したかの判定を行い(ステップN9)、読み出しが成功したと判定されたときは、通常の動作を行うが、読み出しが失敗したと判定されたときは、システムコントローラ14のスレッショルド設定手段は、ステップN6で測定されたトラッキングエラー信号の振幅以上のスレッショルドを設定する(ステップN10)。
【0044】
前記スレッショルドが設定された後、システムコントローラ14の内周シーク手段は、スレッドドライブ回路18を介してスレッド4を駆動させることにより光ピックアップ3を光ディスク1の内周に向かってシークさせる(ステップN11)。このシークを行っているときに、システムコントローラ14のトラッキング振幅判定手段は、前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたか否かを判定する(ステップN12)。
【0045】
前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたと判定されたとき、システムコントローラ14のトラッキングサーボ引込み手段は、トラッキングドライブ回路17を介してトラッキング用アクチュエータ3dを制御して光ピックアップ3をトラッキングサーボに引き込む(ステップN13)。前記トラッキングサーボの引き込み後、システムコントローラ14のディスク情報読出手段は、光ディスク1におけるPIC領域の先頭方向に光ピックアップ3をシークさせる(ステップN14)。
【0046】
前記シークされた後、システムコントローラ14のディスク情報読出手段は、光ピックアップ3、RFアンプ5、データ/同期信号分離回路6、およびデータデコードエラー訂正回路9を動作させ、光ディスク1のPIC領域からディスク情報を読み出す(ステップN15)。以降は、選択されたタイトルに対する再生指示がリモコン26などにより行われると、システムコントローラ14は、そのタイトルが記録されている光ディスク1のデータ領域からデータを再生する制御を行う。
【0047】
以上説明したように第1、第2の実施形態によれば、再生する前の立ち上げ時に、書き込み系のブルーレイ・ディスクにてウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を検出せずに、またはウォブル領域の読み出しによるアドレス情報を得ることができなかった場合でも、PIC領域に光ピックアップをシークさせることができるので、ウォブル領域の信号品質が悪い場合でも、PIC領域をアクセスすることで、ディスク情報を取得することができ、書き込み系のブルーレイ・ディスクに記録されているタイトルの再生が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、書き込み系のブルーレイ・ディスクを再生することが可能な光ディスク再生装置に利用可能であり、そのブルーレイ・ディスクのウォブル領域の信号品質が悪い場合でも、ブルーレイ・ディスクに記録されているタイトルの再生が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1,第2の実施形態に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態において光ディスクが装置に挿入されてからPIC領域の情報を読み出すまでの処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】第2の実施形態において光ディスクが装置に挿入されてからPIC領域の情報を読み出すまでの処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】従来の光ディスク再生装置において書き込み系のブルーレイ・ディスクが挿入されてからPIC領域の情報を読み出すまでの処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 光ディスク
3 光ピックアップ
14 システムコントローラ(スレッショルド設定手段、内周シーク手段、トラッキング振幅判定手段、トラッキングサーボ引込み手段、先頭方向シーク手段、情報読出手段、トラッキングサーボオン手段、ウォブル領域読出手段、ウォブル領域読出し判定手段、情報読出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を光ディスクの記録面に照射し、その反射光量に対応するRF信号を出力する光ピックアップを備え、光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク再生装置において、
光ピックアップに対するフォーカスサーボがオンされた後、光ピックアップからのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、その振幅以上のレベルにスレッショルドを設定し、光ピックアップを光ディスクの内周に向かってシークさせ、トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたときに、光ピックアップをトラッキングサーボに引き込み、光ディスクにおいてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域の先頭方向に光ピックアップをシークさせる制御を行うシステムコントローラを備えたことを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
前記システムコントローラは、
光ピックアップに対するフォーカスサーボがオンされた後、光ピックアップからのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、その振幅以上のレベルにスレッショルドを設定するスレッショルド設定手段と、
前記スレッショルドが設定された後、光ピックアップを光ディスクの内周に向かってシークさせる内周シーク手段と、
前記シークにより前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたか否かを判定するトラッキング振幅判定手段と、
前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたと判定されたとき、光ピックアップをトラッキングサーボに引き込むトラッキングサーボ引込み手段と、
前記トラッキングサーボの引き込み後、光ディスクにおいてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域の先頭方向に光ピックアップをシークさせる先頭方向シーク手段と、
前記シークされた後、前記エンボス領域からディスク情報を読み出させる情報読出手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク再生装置。
【請求項3】
前記システムコントローラは、
光ピックアップ対するフォーカスサーボがオンされた後、光ピックアップからのRF信号により生成されたトラッキングエラー信号の振幅を測定するトラッキング振幅測定手段と、
前記トラッキング信号の振幅が測定された後、光ピックアップに対するトラッキングサーボをオンさせるトラッキングサーボオン手段と、
前記トラッキングサーボがオンされた後、光ディスクのウォブル領域からアドレス情報を含むディスク情報を読み出させるウォブル領域読出手段と、
前記光ディスクのウォブル領域からディスク情報の読み出しが成功したか失敗したかを判定するウォブル領域読出し判定手段と、
前記ウォブル領域からディスク情報の読み出しが失敗したと判定されたとき、前記測定されたトラッキングエラー信号の振幅以上のレベルにスレッショルドを設定するスレッショルド設定手段と、
前記スレッショルドが設定された後、光ピックアップを光ディスクの内周に向かってシークさせる内周シーク手段と、
前記シークにより前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたか否かを判定するトラッキング振幅判定手段と、
前記トラッキングエラー信号の振幅が前記スレッショルドを超えたと判定されたとき、光ピックアップをトラッキングサーボに引き込むトラッキングサーボ引込み手段と、
前記トラッキングサーボの引き込み後、光ディスクにおいてエンボス状のピットが形成されたエンボス領域の先頭方向に光ピックアップをシークさせる先頭方向シーク手段と、
前記シークされた後、前記エンボス領域からディスク情報を読み出させる情報読出手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク再生装置。
【請求項4】
前記光ディスクは書き込み系のブルーレイ・ディスクであり、前記エンボス領域とは書き込み系のブルーレイ・ディスクにおける記録領域の最内周側に位置するPIC(Permanent Information Control)領域であることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−20925(P2009−20925A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180543(P2007−180543)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】