説明

光ディスク及び光ディスク装置

【課題】 複数の異なる光ディスク規格の情報層を一つのディスクに多層化した光ディスクでは、ある情報層の種類が別の情報層に記録されていなかったため、複数の光ディスク規格に対応した互換光ディスク装置で読み書きする際に、アクセスしている情報層が変わる毎に、その情報層にアクセスして、その種類を読み取った後に、情報層の種類に応じたトラッキングエラー信号の生成方法の選択を行う必要があり、アクセスに時間を要していた。
【解決手段】 複数の異なる光ディスク規格の情報層を一つのディスクに多層化した光ディスクにおいて、ある情報層の種類を別の情報層に記録する。複数の光ディスク規格に対応した互換光ディスク装置で読み書きする際に、別の情報層に記録された情報を基にトラッキングエラー信号生成方法を選択しアクセス時間を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の異なる光ディスク規格の情報層を一つのディスクに多層化した光ディスク及びその光ディスクに対して情報の記録または再生を行う光ディスク装置に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
情報記録の分野においては、光ディスクに関する研究が行われている。この光ディスクは、非接触で記録・再生が行えること、安価な大容量ファイルの実現が可能であること、用途に応じて再生専用型、追記型、書換可能型のメディアがあることから産業用から民生用まで幅広く応用されている。
【0003】
上記の各種光ディスクの大容量化は、ディスク上のトラック状に書かれた情報の大きさを小さくするとともに、記録や再生に用いる光源となるレーザ光の短波長化と、高開口数の対物レンズを採用することにより、焦点面での集光スポットサイズを小さくすることで達成してきた。
【0004】
例えば、CD(コンパクトディスク)では、光透過層となるディスク基板の厚さが約1.2mm、レーザ光波長が約780nm、対物レンズの開口数(NA)が0.45であり、650MBの容量であったが、DVD(デジタル多用途ディスク)では、光透過層となるディスク基板の厚さが約0.6mm、レーザ光波長が約650nm、NAが0.6であり、4.7GBの容量となっている。DVDは、例えば、厚さ約0.6mmのディスク基板を2枚貼り合わせて1.2mmの厚さのディスクとして用いられている。
【0005】
さらに高密度のBD(ブルーレイディスク)では、光学記録層上に設けられる光透過層の保護層の厚さを0.1mmに薄くした光ディスクを用いて、レーザ光波長を約405nm、NAを0.85とすることで23GB以上の大容量化を実現している。
【0006】
このように光ディスクは大容量化を進めながら、CD,DVD,BDのような種々の光ディスク規格が策定されている。一方、光ディスク記録再生装置は複数の規格の光ディスクを記録再生可能な互換性のあるものが一般的である。
【0007】
例えば、DVD記録再生装置の場合は、DVDの記録再生に加えて、CDの記録再生が行える製品があり、BD記録再生装置の場合は、BDの記録再生、DVDの記録再生、CDの記録再生が行える製品がある。これらの互換性を持った記録再生装置は、利用者が所有する従来規格の光ディスクを記録再生できることから利便性が高く、新規格のスムーズな普及に重要な役割を果たしている。
【0008】
これらのディスクは各々の規格に準拠したものであったが、利用者の利便性を高めるために複数の異なる光ディスク規格の情報層を一つのディスクに多層化した光ディスクが開発されている。(たとえば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2004−95005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような光ディスクでは、ある情報層にアクセスしている最中には、別の情報層が存在しているかどうかが不明であるため、別の情報層の情報を読み取ったり記録する必要が急に生じた場合に、当該指定された別の情報層へのアクセスに時間を要するという問題がある。
【0010】
また、上記のような光ディスクでは、ある情報層の種類が別の情報層に記録されていなかったため、複数の光ディスク規格に対応した互換光ディスク装置で読み書きする際に、アクセスしている情報層が変わる毎に、その情報層にアクセスして、その種類を読み取った後に、情報層の種類に応じたトラッキングエラー信号の生成方法の選択を行う必要があり、アクセスに時間を要するという問題もある。
【0011】
本発明は、上述のような問題を解決すべく、複数の異なる光ディスク規格に準拠した情報層を多層化した光ディスクにおいて、アクセス時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、BDおよびCD規格、BDおよびDVD規格、またはCD,DVDおよびBD規格に準拠する情報層を有する光ディスクを再生可能な光ディスク再生装置であって、
前記光ディスクのBD情報層は、CDおよびDVD情報層についての情報が保持される管理領域を有し、
前記光ディスク再生装置は、前記BD情報層の管理領域にアクセスする手段と、
前記BD情報層の管理領域の情報から、CDまたはDVD情報層に関する情報を抽出する手段と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の異なる光ディスク規格に準拠した情報層を多層化した光ディスクにおいて、アクセス時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1から図3はこの発明の実施の形態1における光ディスク及びその光ディスクの情報層にアクセスした光ディスク装置の状態を示す概略図、図4は図1における光ディスクの情報層L1の管理領域を示す概略図である。図5は管理領域の情報フィールドを含む光ディスクのデータ構造を示す概略図である。図6は管理領域内の情報フィールドの概念図である。図7は情報層L2のトラック状に書かれた情報と集光スポット、図8は情報層L3のトラック状に書かれた情報と集光スポットの概略図である。図9は各情報層の種類の情報を読み取るシーケンスを示すフロー図である。図10は各情報層の種類の情報を利用して、別の情報層を再生するシーケンスを示すフロー図である。
【0015】
以下、本発明の実施の形態1について図を用いて説明する。図1において、光ディスク1上には複数の異なる光ディスク規格の情報層L1、L2、L3が設けられており、光ディスク1の厚み方向に積層されている。情報層L1、L2、L3は、この順に、表面から情報層までの距離が0.1mmと0.6mmと1.2mmとなる位置にそれぞれ配置されている。またそれらの情報層L1、L2、L3はこの順に、BD、DVD、CDの光ディスク規格をそれぞれ満足し、情報層L1が最も記録密度が高い層であり、情報層L3が最も記録密度が低い層とする。ここではそれぞれ、再生専用型、記録可能型、再生専用型である場合について説明する。
【0016】
図1の状態は情報層L1にアクセスした状態を示しており、最も短い波長である約405nmの青紫色半導体レーザ光源2aから出射された光束3aはコリメートレンズ4aで平行光になり、プリズム5aで反射して対物レンズ6により情報層L1に集光スポット7aとして集光させる。
【0017】
情報層L1で反射した光束3aは対物レンズ6に再入射する。その後、プリズム5a、5b、5cを透過し、センサーレンズ8により光検知器9上に照射される。
【0018】
光検知器9は受光した光束を光電変換して信号処理手段10に出力する。信号処理手段10は光源2aに対して発光量を制御したり、集光スポットと情報層のトラックの相対位置誤差を表すトラッキングエラー信号を生成したり、信号処理後の情報を映像処理手段11に対して出力を行う。映像処理手段11は映像処理を行い出力を行う。
【0019】
上記、光源2a〜映像処理手段11までを含めて光ディスク装置12が構成されており、ホスト13からの指示により、光ディスク1に対して情報の記録や再生を行う。ホスト13は、光ディスク装置12に対して情報の記録及び/又は再生の指示を行うPC(Personal computer)である。また、光ディスク装置12により読み取った情報を復号化して映像・音声出力する映像音声再生装置、及び/又は、外部入力された映像・音声情報を符号化して光ディスク装置12に対して記録指示を行う映像音声記録装置であってもよい。
【0020】
図2の状態は情報層L1にアクセスした状態を示しており、波長約650nmの赤色半導体レーザ光源2bから出射された光束3bはコリメートレンズ4bで平行光になり、プリズム5bで反射して対物レンズ6により情報層L1に集光スポット7bとして集光させる。
【0021】
このとき光束3bは情報層L1を透過する。よって情報層L2のアクセスに影響しないように、情報層L1は波長約650nmの光束に対する透過率や反射率などの物理特性を考慮して材料や構造を設定している。
【0022】
情報層L2で反射した光束3bは対物レンズ6に再入射する。その後、プリズム5a、5b、5cを透過し、センサーレンズ8により光検知器9上に照射される。信号処理手段10及び映像処理手段11は同様の動作を行うので省略する。図2では信号処理手段10が制御するのは光源2bである。
【0023】
図3の状態は情報層L1にアクセスした状態を示しており、波長約780nmの赤外半導体レーザ光源2cから出射された光束3cはコリメートレンズ4cで平行光になり、プリズム5cで反射して対物レンズ6により情報層L1に集光スポット7cとして集光させる。
【0024】
このとき光束3cは情報層L1、L2を透過する。よって情報層L3のアクセスに影響しないように、情報層L1、L2は波長約780nmの光束に対する透過率や反射率などの物理特性を考慮して材料や構造を設定している。
【0025】
情報層L2で反射した光束3bは対物レンズ6に再入射する。その後、プリズム5a、5b、5cを透過し、センサーレンズ8により光検知器9上に照射される。信号処理手段10及び映像処理手段11は同様の動作を行うので省略する。図3では信号処理手段10が制御するのは光源2cである。
【0026】
図4及び図5において、上記光ディスク1の情報層L1に設けられた管理領域14は光ディスク1の最内周位置に設けられており、管理領域14以外はユーザーデータ領域15が設けられている。そして管理領域14の情報フィールド16に各情報層の種類を表す情報を有している。この情報フィールド16を光ディスク装置12が読み出すことにより各情報層の種類を表わす情報が得られる。
【0027】
図6は情報フィールド16の概念図である。情報フィールド16内の各領域S1、S2、S3はそれぞれ情報層L1,L2,L3の種類を表すビットである。領域S1、S2、S3は、それぞれ2ビットから構成されており、合計6ビット使用している。上記ビットはその情報層が再生専用型の場合01、その情報層が記録可能型の場合10とする。情報層が無い場合は00で表す。よってこの実施の形態1における領域S1、S2、S3はそれぞれ01、10、01と記録されている。
【0028】
図7に情報層が記録可能型であるトラック状に書かれた情報と集光スポット7bの図を示す。記録可能型ではランド17やグルーブ18と呼ばれるトラックを有している。材料の化学変化や形状変化を利用して情報を記録マーク19として記録する。記録可能型の情報層の場合はトラッキングエラー信号の生成には公知のDifferential Push−Pull法(DPP法)を用いている。これは光束を3ビームに分割して情報層に集光させ、その反射光を3個の2分割光検知器で受光し演算してトラッキングエラー信号を得る方法である。
【0029】
図8に情報層が再生専用型であるトラック状に書かれた情報と集光スポット7cの図を示す。再生専用型ではピット20と呼ばれる微小な穴で情報が記録されている。この場合、トラッキングエラー信号の生成には公知のDifferential Phase Detection法(DPD法)を用いている。これは光束を情報層に集光させ、その反射光を1個の4分割光検知器で受光し演算してトラッキングエラー信号を得る方法である。
【0030】
図9において、光ディスク1が光ディスク装置12に挿入されると(ST1)、光ディスク装置12は上記光ディスク1上の情報層L1にある管理領域14内にある情報フィールド16を読み取ることにより(ST2)、各情報層L1,L2,L3の種類を表わす情報を得て、その情報を信号処理手段10内に保持して(ST3)終了し(ST4)、ホスト13からの指示を待つ待機状態となる。
【0031】
図10において、光ディスク装置12は、ホスト13からの情報層L2の再生指示に対して(ST10)、上述のように信号処理手段10の内部に保持されている情報層L2の種類をシーケンスに従って読み出す(ST11)。情報層L2は再生専用型ではなく(ST12のFALSE)、記録可能型であるため(ST13のTRUE)、記録可能型の情報層L2に適したDPP法を選択し、同時に情報層L2に適した波長のレーザーのレーザーパワーを設定し、トラッキングエラー信号を生成し(ST14)、情報層L2から情報の再生を行う(ST15)。
【0032】
同様に、ホスト13からの情報層L3の再生指示に対しても(ST10)、上述のように信号処理手段10の内部に保持されている情報層L3の種類を図10と同様のシーケンスに従って読み出す(ST11)。情報層L3は再生専用型であるため(ST12のTRUE)、再生専用型の情報層L3に適したDPD法を選択し、同時に情報層L3に適した波長のレーザーのレーザーパワーを設定し、トラッキングエラー信号を生成し(ST16)、情報層L3から情報の再生を行う(ST17)。
【0033】
ホスト13からの再生指示に対して、信号処理手段10の内部に保持されている情報層L3の種類が再生専用型でも記録可能型でもなく(ST12、ST13がともにFALSEの場合)、光ディスク装置が認識できない情報である場合、再生指示のあった情報層がアクセス不可であることをホスト13に返して(ST18)終了し(ST19)、ホスト13からの次の指示を待つ。
なお、図10において、情報層の種類が再生専用型か記録可能型かを判断するステップST12、ST13は、いずれが先であってもよい。
また、図10においては、ホスト13が再生指示を行う場合について示したが、記録指示を行う場合においても、同様に、情報層の種類を表わす情報に基づいて、記録指示のあった情報層に対して、アクセス時間が短縮でき、適切な記録動作を行うことができる。
【0034】
本実施の形態においては、複数の異なる光ディスク規格に準拠した情報層を多層化した光ディスクにおいて、別の情報層の種類を表す情報を記録することによって、光ディスク装置が別の情報層の種類を識別することが容易になり、アクセス時間を短縮することができる。
また、この情報を最も記録密度が高い情報層の管理領域に記録することによって、この情報層が最も使用頻度が高いと予想されることから、光ディスク装置が確実に読み取って保持することができる。
更に、このような光ディスクに対して情報の記録や再生を行う場合、光ディスク装置は、これらの情報層の種類を表わす情報をもとに、アクセスする層に適した波長のレーザーのレーザーパワーを予め適切な値に設定でき、集光スポットとトラック状に書かれた情報の、複数のトラックを横切る方向の相対位置誤差を表すトラッキングエラー信号生成方法を予め決めることで、アクセス時間を短縮することができる。
【0035】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2は、図1から図5及び図7から図10は本発明の実施の形態1と同一であり、実施の形態1の図6における管理領域内の領域の取り扱いが異なっている。
【0036】
図11において、光ディスクは、内周側に位置する管理領域14aと、外周側に位置するユーザーデータ領域15aとから構成され、管理領域14aの中に、別の情報層の有無を表わす情報が記録された表示領域21と、別の情報層の種類を表す情報が記録された種別領域22を設けている。図12において、表示領域21の領域T2、T3は各々図1に図示された情報層L2、L3の有無を表す情報を記録する。領域T4は光ディスク1には図示されないが、波長約405nmの青紫色半導体レーザを光源として用いるBD以外のその他の光ディスク規格や、将来的に開発されるであろう別の規格に準拠した、情報層の有無を表す。領域T2、T3、T4はそれぞれ1ビットの情報層を有し、表示領域21は合計3ビットで構成される。上記各ビットは情報層がある場合とない場合をそれぞれ1と0で表す。
【0037】
図12において、種別領域22の領域U2、U3、U4は、表示領域21の領域T2、T3、T4が表す情報層に対応して関連付けられており、それぞれの情報層の種類を表す情報が記録されている領域である。即ち、領域U2、U3、U4はそれぞれ、領域T2、T3、T4において情報層が存在する(ビット1)場合に、それらの情報層の種類を表わす。領域U2、U3、U4はそれぞれ2ビットの情報を有し、種別領域22は合計6ビットで構成される。上記各2ビットは情報層が再生専用型であるときには00、追記型であるときには01、書き換え型であるときは10で表す。追記型は追記は可能であるが書き換えができないDVD−Rや+Rやそれらの2層規格を含む。また書き換え型はDVD−RWや+RWの2層規格やDVD−RAMを含む。領域T2、T3、T4のいずれかにおいて情報層が存在しない(ビット0)場合、それに対応する領域U2、U3、U4には、reserve(予備領域)に相当するような00を割り当てる。この場合、見かけ上、情報層が再生専用型であるときと同じビットになるが、光ディスク装置は領域T2、T3、T4のいずれかがビット0であれば、それに対応する領域U2、U3、U4は読み取らないため、特に問題は生じない。又は、上記以外のビット(例えば11)を割り当ててもよい。
【0038】
光ディスク装置は、光ディスクが挿入されると、光ディスク上の情報層L1にある管理領域14a内にある表示領域21の領域T2、T3、T4を読み取ることにより、情報層L2,L3及びその他の規格に準拠した情報層の有無を表わす情報を得る。次いで、光ディスク装置は、この領域T2、T3、T4のうち、該当する情報層の存在有りを示す場合(ビット1)、管理情報14a内にある種別領域22の領域U2、U3、U4を読み取り、情報層の種類を表わす情報を得て、その情報を信号処理手段10内に保持する。その後の動作は、図10に示すフローと同様である。
なお、光ディスク装置は、領域T2、T3、T4から得た情報が情報層の存在有りを示す場合(ビット1)にのみ、種別領域22の領域U2、U3、U4から対応する情報のみを読み取るように設計することができる。ただし、領域T2、T3、T4から得た情報が情報層の有無のいずれであっても、種別領域22の領域U2、U3、U4全てを読み取るように設計してもよい。
【0039】
なお、上記領域T4に対応する情報層が存在し、この情報層が波長約405nmの青紫色半導体レーザを光源として用いるBD以外の光ディスク規格に準拠したものである場合、最も短い波長である約405nmに対応する情報層を複数個(情報層L1と領域T4に対応する情報層との2つ)含むことになるが、上記表示領域21及び種別領域22は、少なくとも情報層L1に設ける。ただし、情報層L1のみならず領域T4に対応する情報層の両方に設けてもよい。
また、上記領域T4及び領域U4は、将来、新たな規格が策定された場合のためにreserveとして特別な情報を入れずに空けておいてもよい。この場合、表示領域21及び種別領域22は、情報層L2,L3の2種類の情報層に対する情報を保持することになる。
【0040】
また、DVD層に対応する領域U2に割り当てる2ビットは、情報トラックの構造の種類を基にして分類されたものであってもよい。この場合、ウォブル周波数等の情報トラックの周期構造を基に分類することができる。例えば、プリピットのみでウォブルが存在しないDVD−ROM等の再生専用型のときには00、ウォブルが存在するDVD−RやDVD−RWのときは01、ウォブルが存在するがウォブル周波数がDVD−RやDVD−RWよりも高いDVD+RやDVD+RWのときは10、ランド/グルーブシングルスパイラル構造上にヘッダが半径方向にずれて形成されてウォブルは存在しないDVD−RAMのときは11と割り当てても良い。DVD層の場合、情報トラックの周期構造がその分類ごとに同じフォーマットを使用しているので、バンドパスフィルタなどウォブル信号検出回路(周期構造の周波数を検出する回路)の特性を、DVD層にアクセスする前に設定する事が可能となり、ディスク回転数を目標値に素早く制御することができ、アクセス時間を短縮できる。
【0041】
本実施の形態では、複数の異なる光ディスク規格に準拠した情報層を多層化した光ディスクにおいて、別の情報層の有無を表す情報を記録することによって、光ディスク装置が別の情報層の有無を識別することが容易になり、アクセス時間を短縮することができる。
更に、光ディスクの管理領域に、別の情報層の有無を表す情報を格納した表示領域21とは別に、情報層の種類を表わす情報を格納した種別領域22を設け、表示領域21の情報が種別領域22の情報に関連付けられて、表示領域21の情報と種別領域22の情報は階層構造をなしている。そのため将来、管理領域15内に別の領域を設ける場合や、別の種類の情報層を追加する場合に、階層構造を利用した拡張性を確保することができる。
【0042】
また、これらの情報を最も記録密度が高い情報層の管理領域に記録することによって、この情報層が最も使用頻度が高いと予想されることから、光ディスク装置が確実に読み取って保持することができる。
更に、このような光ディスクに対して情報の記録や再生を行う場合、光ディスク装置は、上記のような情報をもとに、アクセスする層に適した波長のレーザーのレーザーパワーを予め適切な値に設定でき、集光スポットとトラック状に書かれた情報の、複数のトラックを横切る方向の相対位置誤差を表すトラッキングエラー信号生成方法を予め決めることで、アクセス時間を短縮することができる。
【0043】
実施の形態3.
実施の形態3は、光ディスク1において情報層の種類がL1層の種類を含めて多くとも2つである場合の形態である。図1から図5及び図7から図11は本発明の実施の形態2と同一であり、実施の形態2の図12における表示領域21と種別領域22の取り扱いが異なっている。
【0044】
図13において、表示領域21の領域T2,T3,T4は図12と同様である。
種別領域22の領域V1は、情報層L1以外に別の情報層が存在する場合、その別の情報層の種類を表す。種別領域22は領域V1の2ビットのみの情報を有する。上記2ビットは情報層が再生専用型であるときには00、追記型であるときには01、書き換え型であるときは10で表す。追記型はDVD−Rや+Rやそれらの2層規格等を含む。また書き換え型はDVD−RWや+RWの2層規格やDVD−RAM等を含む。
例えば、情報層L1が1層又は2層からなる記録可能型であり、情報層L2,L3がともに再生専用型、その他の層が存在しない(T2=1,T3=1、T4=0)場合、領域V1はビット00となる。また、情報層L1が1層又は2層からなる再生専用型であり、情報層L2が再生専用型、その他の層が存在しない(T2=1,T3=0、T4=0)場合、領域V1はビット00となる。
【0045】
このように、光ディスク1において、表示領域21の領域T2,T3,T4の少なくとも1つがビット1であってこのビット1を示す情報層が1種類である場合や、領域T2,T3,T4のうちビット1である領域が1層のみである場合には、種別領域22を2ビットとすることが出来るため、上記実施の形態2と比較して、情報ビットを節約する効果がある。特に、情報層L2,L3のいずれか一方しか存在せず、この層を再生専用型として用いる光ディスクが市場のニーズに合うことが予想されるため、情報層L2又はL3が再生専用型である光ディスクしか製造・販売されないような状況では、種別領域22は領域V1の2ビットのみで充分である。
なお、実施の形態2で示したように、領域V1は、ウォブルの有無等の情報トラックの構造の種類を基にして分類されたものであってもよい。
【0046】
本実施の形態では、種別領域22の領域V1が2ビットのみの情報である場合を示したが、更に情報ビットを節約すべく、1ビットのみの情報であってもよい。この場合、例えば、再生専用型を0、その他の場合、即ち追記型又は書き換え型を1で表わすことができる。又は、ウォブルの無い場合を0、ある場合を1とする等のように、情報トラックの構造の種類を基にして分類してもよい。
更に、このように、情報層を表わす情報を格納する領域V1を1ビットとした場合であって、図13の表示領域21の領域T4をreserveとして特別な情報を入れずに予備領域としている場合には、この領域T4はもともと1ビットとして割り当てられているため、この領域T4に、当該情報層を表わす情報である領域V1の1ビットを割り当てることにしてもよい。このようにすることによって、更に情報ビットを節約することができるとともに、表示領域21と種別領域22とを隣接して配置することができる結果、ディスク装置のアクセス時間がより短縮できる。
なお、その他の効果は、実施の形態1及び2に示した効果と同様である。
【0047】
実施の形態4.
実施の形態2及び3の種別領域22は、将来の本ビットの有効活用を考慮して、特に何の情報にも割り当てず、全てreserveとして00又は0をアサインすることも可能である。また、実施の形態3で説明したように、情報層L2,L3が再生専用型である光ディスクしか製造・販売されないような状況では、特に種別領域22に情報層の種類を表わす情報を割り当てなくともよい場合もある。
ただし、将来、情報層L2,L3が再生専用型である光ディスクのみならず、種々の混合タイプの光ディスクが製造・販売される等の市場の変化がある場合、種別領域22のビットを情報層の種類を表わすために使用する必要が生じる際には、情報層L2,L3が再生専用型である光ディスクとの互換性を担保すべく、種別領域22に割り当てた00又は0を最も多く使用される種類である再生専用型に割り当てる。また、本ビットを全く別の項目を表すビットとして使用する場合であっても、同様の理由から、種別領域22に割り当てた00又は0をreserveに留めるようにする等の工夫が必要である。
本実施の形態の場合、別の情報層の有無を示す情報が格納された表示領域のみの情報となるが、光ディスク装置にとっては、この情報により、別の情報層の有無を識別することは可能であるため、アクセス時間の短縮には寄与する。
【0048】
実施の形態5.
図14は、実施の形態1〜4において説明した、複数の異なる光ディスク規格の情報層を多層化した光ディスクを再生する光ディスク装置1の再生動作を検査する検査システムの構成を示す図である。図14に示すシステムは、検査対象となる光ディスク装置100、当該光ディスク再生装置に接続されたコンピュータ200、および検査結果等を表示するためのモニタ300により構成される。コンピュータ200は、キーボード等の入力手段400を備えている。
【0049】
コンピュータ200内部のメモリには、光ディスク装置1の再生動作を検査するための検査プログラムが記憶されており、コンピュータ200はこの検査プログラムを実行し、光ディスク装置1との間で通信を行うことにより、光ディスク装置1の再生動作を検査する。光ディスク装置1の検査は、実施の形態1〜4において説明した光ディスクが挿入された際、最も記録密度が高い情報層の管理領域に記録された他の情報層に関する情報を読出し、他の情報層へのアクセスを正確に行えるか否かを検査することにより行う。
【0050】
以下、本実施の形態に係る検査システムにおけるディスク再生装置の検査方法について説明する。ここでは、BD−ROM層、およびDVD−ROM層を1つのディスクに多層化した光ディスクを再生動作の検査用ディスク(以下、「テストディスク」)として使用する場合について説明する。
【0051】
まず、テストディスクを検査対象となる光ディスク装置1に装着し、1倍速で回転させ、テストディスクのBD−ROM層の管理領域に記録された各情報層の種類を示すフラグを検出させる。この場合、光ディスク装置1が正常に動作すれば、他の情報層がDVD−ROM層であることを示す情報が検出される。他の情報層がDVD−ROM層であることを示す情報が検出された場合は、コンピュータ200は、光ディスク装置1に他の情報層へアクセスするようコマンドを送信する。光ディスク装置1が、他の情報層であるDVD−ROM層に正常にアクセスした場合は検査を完了する。
【0052】
図15は、上記の検査工程の詳細を示すフローチャートである。
コンピュータ200は「ディスクスタート」のコマンドを送信し(ステップS101)、光ディスク装置1はそのコマンドを受けて、ディスクを回転させ、ディスク判別を行う(ステップS102)。ディスク判別ができず、光ディスク装置1がエラー信号を出力した場合、コンピュータ200は検査結果として「異常あり」をモニタ300に表示する(ステップS115)。
【0053】
ディスク判別動作が完了し、データの読み出し準備が完了すると(ステップS103)、コンピュータ200は「管理領域の情報取得」コマンドを送信する(ステップS104)。
光ディスク装置1は管理領域の情報を取得し(ステップS105)、現在アクセス中の情報層の種類がBD−ROM層であるか否かを判別する(ステップS106)。管理領域の情報からBD−ROM層を示すフラグが検出されなかった場合、コンピュータ200は検査結果として「異常あり」をモニタ300に表示する(ステップS115)。
【0054】
管理領域の情報からBD−ROM層を示すフラグが検出された場合、他の情報層の種類を示すフラグから他の情報層がDVD−ROM層であるか否かを判別する(ステップS107)。管理領域の情報から他の情報層がDVD−ROM層を示すフラグが検出されなかった場合、コンピュータ200は検査結果として「異常あり」をモニタ300に表示する(ステップS115)。他の情報層がDVD−ROM層であることを示すフラグが検出された場合、コンピュータ200は「DVD層アクセス」のコマンドを送信する(ステップS108)。
【0055】
コンピュータ200からのコマンドを受けて、光ディスク装置1はDVD−ROM層へのアクセス動作を行い、当該アクセス動作が正常に行われなかった場合はエラー信号をコンピュータ200に送信する(ステップS109)。エラー信号が送信された場合、コンピュータ200は検査結果として「異常あり」をモニタ300に表示する(ステップS115)。
DVD−ROM層へのアクセスが正常に完了し、データの読出し準備が完了すると(ステップS110)、コンピュータ200は「管理領域の情報取得」コマンドを光ディスク装置1に送信する(ステップS111)。
【0056】
光ディスク装置1は管理領域の情報を取得し(ステップS112)、現在アクセス中の情報層の種類がDVD−ROM層であるか否かを判別する(ステップS113)。管理領域の情報からDVD−ROM層を示すフラグが検出されなかった場合、コンピュータ200は検査結果として「異常あり」をモニタ300に表示する(ステップS115)。
管理領域の情報からDVD−ROM層を示すフラグが検出された場合、コンピュータ200は検査結果として「異常なし」をモニタ300に表示し(ステップS114)、検査が完了する。
【0057】
以上に説明した、光ディスク装置の検査方法によれば、複数の異なる光ディスク規格に準拠した情報層を多層化した光ディスクが挿入された際、光ディスク装置が正常に再生動作を行うことができるか否かの検査を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施の形態1における光ディスク及びその光ディスクの情報層L1にアクセスした光ディスク装置の状態を示す概略である。
【図2】実施の形態1における光ディスク及びその光ディスクの情報層L2にアクセスした光ディスク装置の状態を示す概略である。
【図3】実施の形態1における光ディスク及びその光ディスクの情報層L3にアクセスした光ディスク装置の状態を示す概略である。
【図4】実施の形態1における光ディスクの情報層L1の管理領域を示す概略図である。
【図5】実施の形態1における管理領域の情報フィールドを含む光ディスクのデータ構造を示す概略図である。
【図6】実施の形態1における管理領域内の情報フィールドの概念図である。
【図7】実施の形態1における情報層L2のトラック状に書かれた情報と集光スポットの概略図である。
【図8】実施の形態1における情報層L3のトラック状に書かれた情報と集光スポットの概略図である。
【図9】実施の形態1における各情報層の種類の情報を読み取るシーケンスを示すフロー図である。
【図10】実施の形態1における各情報層の種類の情報を利用して、別の情報層を再生するシーケンスを示すフロー図である。
【図11】実施の形態2における光ディスクの情報層L1の管理領域を示す概略図である。
【図12】実施の形態2における管理領域内の概念図である。
【図13】実施の形態3における管理領域内の概念図である。
【図14】実施の形態5に係る光ディスク装置の検査システムの構成を示すブロック図である。
【図15】実施の形態5に係る光ディスク装置の検査システムにおける検査工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 光ディスク、2a 青紫色半導体レーザ光源、2b 赤色半導体レーザ光源、2c 赤外半導体レーザ光源、3a 青紫色半導体レーザ光源の光束、3b 赤色半導体レーザ光源の光束、3c 赤外半導体レーザ光源の光束、4a、4b、4c コリメートレンズ、5a、5b、5c プリズム、6 対物レンズ、7a 青紫色半導体レーザ光源の集光スポット、7b 赤色半導体レーザ光源の集光スポット、7c 赤外半導体レーザ光源の集光スポット、8 センサーレンズ、9 光検知器、10 信号処理手段、11 映像処理手段、12 光ディスク装置、13 ホスト、14、14a 管理領域、15,15a ユーザーデータ領域、16 情報フィールド、17 ランド、18 グルーブ、19 記録マーク、20 ピット、21 表示領域、22 種別領域、100 光ディスク装置、200 コンピュータ、300 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BD規格に準拠したBD層とCD規格に準拠したCD層とを備えたハイブリッド型の光ディスクであって、
前記BD層は、前記光ディスクの構成に関する情報が記録された管理領域を備え、
前記管理領域は、前記BD規格および前記CD規格以外の他の光ディスク規格に準拠した情報層の有無を示す情報を含むことを特徴とする光ディスク。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスクを再生する光ディスク装置であって、
前記BD層の管理領域にアクセスする手段と、
前記管理領域から、前記他の光ディスク規格に準拠した情報層の有無を示す情報を抽出する手段と、を備えることを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−159383(P2011−159383A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87507(P2011−87507)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2010−238577(P2010−238577)の分割
【原出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】