説明

光ディスク検査装置及び光ディスク検査方法

【課題】光ディスクのコピーガードと物理的な欠陥を識別する。
【解決手段】光ディスク10のデータ再生時の再生エラーに基づいて欠陥の有無を判定する。システムコントローラ32は、2層光ディスクのL0において再生エラーが生じた場合に、同一半径位置のL1においても再生エラーが生じるか否かを検出する。L1において再生エラーが生じない場合はコピーガードによるものと判定し、L1においても再生エラーが生じる場合は物理的な欠陥によるものと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク検査装置及び光ディスク検査方法に関し、特に、光ディスクのコピーガードと欠陥との識別技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、再生データのエラー数やエラー率を測定して光ディスクの検査を行う光ディスク検査装置が知られている。
【0003】
下記の特許文献1には、レーザ光の照射位置を光ディスクと相対的に光ディスクの半径方向に移動させるフィード手段と、光ディスクの記録面における欠陥箇所の位置を検出する欠陥位置検出手段と、欠陥位置検出手段により検出された欠陥位置の半径に基づき、再生データにおけるエラー数又はエラー率を測定する際の半径位置を設定する検査半径位置設定手段を備えた光ディスク検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−165846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年において、光ディスクの違法コピーを防止するためにいわゆるコピーガードを施した光ディスクが市場に供給されるようになっている。コピーガードは、例えば特許第3449804号に開示されているように、誤り訂正符号による誤り訂正処理を実行してユーザデータを再生して得られる再生データと、誤り訂正符号による誤り訂正処理を実行しないでユーザデータを再生して得られる再生データとの比較により検出できるように、記録データ列の論理レベルを部分的に切り換えて、誤り訂正符号で誤り訂正できるビット誤りを発生させ、ユーザデータ以外のデータを記録するものである。
【0006】
このようなコピーガードが施された光ディスクを検査装置で検査すると、コピーガード部分においても再生データのエラーが発生するため、再生データのエラー数又はエラー率で欠陥の有無を判定する検査装置では、本来的に検出すべき傷や汚れ等の物理的な欠陥がなくても欠陥のある光ディスクと誤判定してしまう。
【0007】
特に、映画等のコンテンツを記録したDVD等の光ディスクは、レンタル店に搬入された際に光ディスクの欠陥の有無を検査装置で検査する場合があり、欠陥がないにもかかわらず欠陥ありと誤判定したのでは、検査装置の信頼性に影響する。
【0008】
本発明の目的は、コピーガードが施された光ディスクであっても、コピーガードと欠陥とを確実に識別して光ディスクを検査できる装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光ディスク検査装置であって、前記光ディスクは少なくとも第1の層及び第2の層を備える多層光ディスクであり、前記第1の層のデータを再生する第1再生手段と、前記第1の層のデータ再生時に再生エラー又はエラー率の悪化が生じたことを検出する第1検出手段と、前記再生エラー又はエラー率の悪化が生じた場合に、同一半径位置における第2の層のデータを再生する第2再生手段と、前記第2の層のデータ再生時に再生エラー又はエラー率の悪化が生じたことを検出する第2検出手段と、前記第2検出手段で再生エラー又はエラー率の悪化を検出した場合に前記光ディスクに物理的な欠陥があると判定し、前記第2検出手段で検出しない場合に前記光ディスクに物理的な欠陥がないと判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、光ディスク検査装置であって、前記光ディスクは少なくとも第1の層及び第2の層を備える多層光ディスクであり、前記第1の層のデータを再生する第1再生手段と、前記第1の層のデータ再生時に再生エラー又はエラー率の悪化が生じたことを検出する第1検出手段と、前記再生エラー又はエラー率の悪化が生じた場合に、その位置を記憶する記憶手段と、前記第1の層のデータ再生が終了した後に、前記記憶手段に記憶された位置に対応する前記第2の層のデータを再生する第2再生手段と、前記第2の層のデータ再生時に再生エラー又はエラー率の悪化が生じたことを検出する第2検出手段と、前記第2検出手段で再生エラー又はエラー率の悪化を検出した場合に前記光ディスクに物理的な欠陥があると判定し、前記第2検出手段で検出しない場合に前記光ディスクに物理的な欠陥がないと判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、光ディスク検査方法であって、前記光ディスクは少なくとも第1の層及び第2の層を備える多層光ディスクであり、前記第1の層あるいは前記第2の層のいずれか一方の層においてデータを再生し、再生エラー又はエラー率の悪化が生じるか否かを検出する第1検出ステップと、前記第1の層あるいは前記第2の層のいずれか他方の層の同一半径位置において再生エラー又はエラー率の悪化が生じるか否かを検出する第2検出ステップと、前記第2検出ステップで再生エラー又はエラー率の悪化が生じた場合に、前記光ディスクに物理的な欠陥があると判定し、生じない場合に物理的な欠陥がないと判定する判定ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光ディスクのコピーガードと欠陥とを確実に識別して光ディスクを検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の全体構成図である。
【図2】2層光ディスクのセクタ構成図である。
【図3】検査処理のフローチャートである。
【図4】検査処理の他のフローチャート(その1)である。
【図5】検査処理の他のフローチャート(その2)である。
【図6】検査処理のさらに他のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1に、本実施形態における光ディスク検査装置の全体構成を示す。検査対象の光ディスク10は、スピンドルモータ(SPM)12により駆動される。SPM12は、ドライバ14で駆動され、ドライバ14はサーボプロセッサ30により所望の回転速度となるようにサーボ制御される。
【0016】
光ピックアップ16は、レーザ光を光ディスク10に照射するためのレーザダイオード(LD)や光ディスク10からの反射光を受光して電気信号に変換するフォトディテクタ(PD)を含み、光ディスク10に対向配置される。光ピックアップ16はステッピングモータで構成されるスレッドモータ18により光ディスク10の半径方向に駆動され、スレッドモータ18はドライバ20で駆動される。ドライバ20は、ドライバ14と同様にサーボプロセッサ30によりサーボ制御される。また、光ピックアップ16のLDは、ドライバ22により駆動され、ドライバ22は、オートパワーコントロール回路(APC)24により、駆動電流が所望の値となるように制御される。
【0017】
APC24及びドライバ22は、システムコントローラ32からの指令によりLDの発光量を制御する。図ではドライバ22は光ピックアップ16と別個に設けられているが、ドライバ22を光ピックアップ16に搭載してもよい。
【0018】
光ディスク10の欠陥を検査する際には、光ピックアップ16のLDから再生パワーのレーザ光が照射され、その反射光がPDで電気信号に変換されて出力される。光ピックアップ16からの再生信号はRF回路26に供給される。
【0019】
RF回路26は、再生信号からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成し、サーボプロセッサ30に供給する。また、RF回路26は、再生信号に含まれるアドレス信号をアドレスデコード回路28に供給し、再生RF信号を2値化回路34に供給する。
【0020】
サーボプロセッサ30は、これらのエラー信号に基づいて光ピックアップ16をサーボ制御し、光ピックアップ16をオンフォーカス状態及びオントラック状態に維持する。
アドレスデコード回路28は、アドレス信号から光ディスク10のアドレスデータを復調し、サーボプロセッサ30やシステムコントローラ32に供給する。
【0021】
2値化回路34は、再生信号を2値化し、得られた信号をデコード回路36に供給する。デコード回路36では、2値化信号を復調及びエラー訂正して再生データを得、当該再生データをバッファメモリ38に一旦蓄積する。バッファメモリ38に蓄積された再生データは適宜、読み出されてシステムコントローラ32に供給される。また、デコード回路36は、エラー数又はエラー率をシステムコントローラ32に出力する。
【0022】
システムコントローラ32は、システム全体の動作を制御し、サーボプロセッサ30を介してスレッドモータ18を駆動し、光ピックアップ16の位置を制御する。また、システムコントローラ32は、デコード回路36から供給されたエラー数又はエラー率に基づいて、光ディスク10の欠陥の有無を判定し、判定結果を外部のディスプレイに出力する。但し、上記のように、光ディスク10がコピーガードを施された光ディスクである場合、コピーガード部分においても再生エラー又はエラー率の悪化が生じるため、そのままではコピーガードによる再生エラー又はエラー率の悪化であるか、本来検出すべき物理的な欠陥による再生エラー又はエラー率の悪化であるかを識別することができない。
【0023】
そこで、本実施形態では、光ディスク10が2層あるいはその他の多層光ディスクである場合、コピーガードによる再生エラー又はエラー率の悪化は特定の層だけに生じる一方、物理的な欠陥の場合には特定の層だけでなく他の層(全ての層)においても同様に生じるとの事実に着目し、この事実を利用してコピーガードによる再生エラー又はエラー率の悪化と物理的欠陥による再生エラー又はエラー率の悪化とを識別するものである。
【0024】
図2に、多層光ディスクの一例として、2層光ディスクの物理的及び論理的層構成を示す。図2(a)は、レイヤー0層(L0)とレイヤー1層(L1)のセクタ順序が同一方向(内周から外周に向かう)の光ディスク(PTP:Parallel Track Path Disc)を示し、図2(b)は、レイヤー0層(L0)とレイヤー1層(L1)のセクタ順序が互いに反対(レイヤー0層は内周から外周に向かい、レイヤー1層は外周から内周に向かう)の光ディスク(OTP:Opposite Track Path Disc)を示す。
【0025】
いずれの光ディスクにおいても、各層は一つの盤面上に重なって配置されているために、光ディスク検査装置は、レイヤー0層(L0)のみを再生して再生エラーを測定し、物理的な欠陥の有無を判定する。コピーガードが施された光ディスクでは、通常、レイヤー0層(L0)に再生できないデータのセクタを埋め込んでいるので、このセクタを再生する際に再生エラー又はエラー率の悪化が生じて物理的な欠陥と誤判定してしまう。
【0026】
ところが、レイヤー1層(L1)にはコピーガードは存在していないので、レイヤー0層において再生エラーが発生しても、当該セクタに対応するレイヤー1層(L1)のセクタでは再生エラー又はエラー率の悪化は発生せず、問題なく再生できる。他方、物理的な欠陥が存在する場合には、レイヤー0層において再生エラー又はエラー率の悪化が生じるとともに、当該セクタに対応するレイヤー1層のセクタにおいても同様に再生エラー又はエラー率の悪化が生じる。
【0027】
そこで、本実施形態のシステムコントローラ32は、レイヤー0層の再生において再生エラー又はエラー率の悪化が生じた場合に、レイヤー1層にジャンプし、再生エラー又はエラー率の悪化が生じたセクタに対応するレイヤー1層のセクタの再生を試み、問題なく再生できた場合にはレイヤー0層の再生エラーはコピーガードによるものであるとして物理的な欠陥とみなさない。他方、レイヤー1層においても再生エラー又はエラー率の悪化が生じた場合には、レイヤー0層の再生エラー又はエラー率の悪化は確かに物理的な欠陥によるものであると判定する。
【0028】
このように、本実施形態では、多層光ディスクにおける特質を利用して、レイヤー0層のみで再生エラー又はエラー率の悪化が生じた場合には物理的な欠陥であるとみなさず、物理的な欠陥のない正常な光ディスクであると判定するので、コピーガードが施された光ディスクを誤って物理的な欠陥のある光ディスクと誤判定することを有効に防止できる。なお、エラー率の悪化が生じたか否かは、エラー率を所定のしきい値と大小比較することで判定でき、所定のしきい値を超えてエラー率が増大した場合にエラー率の悪化が生じたと判定する。
【0029】
図3に、本実施形態における検査処理のフローチャートを示す。まず、レイヤー0層(L0:Layer 0)の検査(チェック)を内周側より開始する(S101)。
【0030】
次に、システムコントローラ32は、デコード回路36からの信号に基づいて、再生エラーが生じたか否か、あるいはエラー率が許容値を超えて悪化したか否かを判定する(S102)。
【0031】
再生エラーが生じた場合(エラー数が所定値を越えた場合を含む)、あるいはエラー率が悪化した場合には、システムコントローラ32は、光ピックアップ16を駆動してレーザ光の照射位置をレイヤー0層からレイヤー1層に移動し、同一半径位置のレイヤー1層(L1:Layer 1)を再生する(S103)。そして、レイヤー1層においても再生エラーが生じたか、あるいはエラー率が悪化したかを判定する(S104)。
【0032】
レイヤー1層においてもレイヤー0層と同様に再生エラーが生じた場合、あるいはエラー率が悪化した場合、システムコントローラ32は、検査対象の光ディスク10には欠陥(ディフェクト)があると判定する(S105)。欠陥があると判定された場合、検査はその時点で終了する。
【0033】
一方、レイヤー1層において再生エラーが生じない場合、システムコントローラ32は、レイヤー0層での再生エラーは物理的な欠陥ではなくコピーガードによるものとみなし、物理的な欠陥がないものとして再び光ピックアップ16を駆動してレーザ光の照射位置をレイヤー1層からレイヤー0層に移動する。そして、レイヤー0層の全周の検査が終了したか否かを判定し(S106)、全周の検査が終了していない場合には、レイヤー0層の再生及びチェックを再開し(S107),全周が検査されるまでS102以降の処理を繰り返す。全周の検査が終了した場合、検査対象の光ディスク10には物理的な欠陥がないものとして正常に終了する(S108)。
【0034】
本実施形態では、レイヤー0層の再生時に再生エラーが生じた場合に、その時点でレイヤー1層に移動してレイヤー1層を再生しているが、レイヤー0層の再生時に再生エラーが生じても、その再生エラーが生じた半径位置を記憶しておいてそのままレイヤー0層の全周の検査を行い、その後にレイヤー1層の対応する半径位置の再生を行ってもよい。
図4及び図5に、この場合の検査処理のフローチャートを示す。まず、レイヤー0層(L0)の検査を内周側より開始する(S201)。
【0035】
次に、システムコントローラ32は、デコード回路36からの信号に基づいて、再生エラーが生じたか否か、あるいはエラー率が許容値を超えて悪化したか否かを判定する(S202)。
【0036】
再生エラーが生じた場合(エラー数が所定値を越えた場合を含む)、あるいはエラー率が悪化した場合には、システムコントローラ32は、その位置のアドレスをメモリに保持しておく(S203)。そして、レイヤー0層の全周の検査が終了したか否かを判定し(S204)、全周の検査が終了していない場合には、レイヤー0層の再生及びチェックを再開し(S210)、全周の検査が終了するまでS202以降の処理を繰り返す。
【0037】
レイヤー0層の全周の検査が完了した後、レイヤー0層の再生エラーが存在するか否かを判定する(S205)。再生エラーが生じた場合にはそのアドレスがメモリに保持されているから、メモリにアドレスが保持されていない場合にはレイヤー0層において再生エラーが生じなかったものとして正常に検査を終了する(S212)。すなわち、検査対象の光ディスク10は欠陥のない正常な光ディスクと判定する。レイヤー0層に再生エラーが生じている場合には、図5の処理に移行する。
【0038】
図5において、システムコントローラ32は、メモリに保持されたアドレスを用いて、レイヤー0層と同一半径のレイヤー1層のアドレスを計算し、光ピックアップ16を駆動してレーザ光の照射位置をレイヤー0層からレイヤー1層に移動して再生を再開する(S206)。そして、レイヤー1層においても再生エラーが生じたか、あるいはエラー率が悪化したかを判定する(S207)。レイヤー1層においてもレイヤー0層と同様に再生エラーが生じた場合、あるいはエラー率が悪化した場合、検査対象の光ディスク10には欠陥があると判定して検査処理を終了する(S209)。レイヤー1層において再生エラーが生じない場合には、メモリに他のアドレスが保持されているかを確認し(S208)、保持されている場合には、レイヤー0層のエラー検出アドレスを取得し(S211)、同様の処理を繰り返す。S206〜S211の処理は、メモリに保持されている全てのアドレスについてチェックが終了するまで繰り返す。全てのアドレスについて、レイヤー1層において再生エラーが生じない場合には、レイヤー0層の再生エラーはコピーガードによるもので物理的な欠陥によるものでないとして、物理的な欠陥なしとして正常に終了する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、レイヤー0層において再生エラーが生じても、レイヤー1層の該当する位置において再生エラーが生じていない場合には、物理的な欠陥でないと判定することにより、コピーガードと物理的な欠陥を確実に識別することが可能となる。
【0040】
なお、既述したように、コピーガードはレイヤー0層のみに埋め込まれている場合が多いため、検査装置でレイヤー1層から検査することも考えられる。
【0041】
図6に、この場合の検査処理のフローチャートを示す。まず、システムコントローラ32は、検査対象の光ディスク10がPTPあるいはOTPのいずれであるかを判定する(S301)。OTPである場合には、レイヤー1層(L1)の外周から内周にむけてセクタが配列しているからレイヤー1層(L1)の外周より検査を開始し(S302)、PTPである場合には、内周から外周に向けてセクタが配列しているからレイヤー1層(L1)の内周より検査を開始する(S303)。
【0042】
検査するアドレスを順次更新して検査し(S304)、再生エラーが生じたか、あるいはエラー率が悪化したか否かを判定する(S305)。再生エラーが生じたか、あるいはエラー率が悪化した場合には、システムコントローラ32は光ピックアップ16を駆動してレーザ光の照射位置をレイヤー1層からレイヤー0層に移動し、レイヤー0層の同一半径位置を再生し(S306)、レイヤー0層においても再生エラーが生じたか、あるいはエラー率が悪化したか否かを判定する(S307)。
【0043】
レイヤー1層及びレイヤー0層の両方において再生エラーが生じたか、あるいはエラー率が悪化した場合には、検査対象の光ディスク10には欠陥があると判定し、検査を終了する(S308)。
【0044】
一方、レイヤー1層において再生エラーが生じていない場合、及びレイヤー1層において再生エラーが生じていてもレイヤー0層の同一半径位置において再生エラーが生じていない場合には、物理的な欠陥ではないとみなす。以上の処理をレイヤー1層の全周について繰り返し実行する(S309)。レイヤー1層の全周を検査した結果、再生エラーが生じていないか、あるいは再生エラーが生じていてもレイヤー0層の同一半径位置において再生エラーが生じていない場合には、物理的な欠陥のない正常な光ディスクと判定し、検査を終了する。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0046】
例えば、図6の検査フローチャートでは、レイヤー1層において再生エラーが生じた場合にレイヤー0層に移動して再生エラーが生じるか否かを判定しているが、図4、図5の場合と同様に、レイヤー1層のデータ再生が全周において終了した後に、レイヤー0層の対応する半径位置のデータを再生して再生エラーが生じるか否かを判定してもよい。
【0047】
要するに、2層の光ディスクを第1の層と第2の層とし、第1の層から検査を開始するものとして、第1の層をレイヤー0層(L0)としてもよく、あるいは第1の層をレイヤー1層(L1)としてもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、2層光ディスクを特に例示したが、3層あるいはそれ以上の多層光ディスクにおいても同様に検査することができる。例えば3層光ディスクの場合、レイヤー0層において再生エラーが生じた場合、同一半径位置のレイヤー1層あるいはレイヤー3層、又は、同一半径位置のレイヤー1層及びレイヤー3層を再生し、再生エラーが生じなければコピーガードによるものであり欠陥ではないと判定することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 光ディスク、16 光ピックアップ、32 システムコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク検査装置であって、
前記光ディスクは少なくとも第1の層及び第2の層を備える多層光ディスクであり、
前記第1の層のデータを再生する第1再生手段と、
前記第1の層のデータ再生時に再生エラー又はエラー率の悪化が生じたことを検出する第1検出手段と、
前記再生エラー又はエラー率の悪化が生じた場合に、同一半径位置における第2の層のデータを再生する第2再生手段と、
前記第2の層のデータ再生時に再生エラー又はエラー率の悪化が生じたことを検出する第2検出手段と、
前記第2検出手段で再生エラー又はエラー率の悪化を検出した場合に前記光ディスクに物理的な欠陥があると判定し、前記第2検出手段で検出しない場合に前記光ディスクに物理的な欠陥がないと判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする光ディスク検査装置。
【請求項2】
光ディスク検査装置であって、
前記光ディスクは少なくとも第1の層及び第2の層を備える多層光ディスクであり、
前記第1の層のデータを再生する第1再生手段と、
前記第1の層のデータ再生時に再生エラー又はエラー率の悪化が生じたことを検出する第1検出手段と、
前記再生エラー又はエラー率の悪化が生じた場合に、その位置を記憶する記憶手段と、
前記第1の層のデータ再生が終了した後に、前記記憶手段に記憶された位置に対応する前記第2の層のデータを再生する第2再生手段と、
前記第2の層のデータ再生時に再生エラー又はエラー率の悪化が生じたことを検出する第2検出手段と、
前記第2検出手段で再生エラー又はエラー率の悪化を検出した場合に前記光ディスクに物理的な欠陥があると判定し、前記第2検出手段で検出しない場合に前記光ディスクに物理的な欠陥がないと判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする光ディスク検査装置。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかに記載の光ディスク検査装置において、
前記第1の層はレイヤー0(L0)層であり、前記第2の層はレイヤー1(L1)層である
ことを特徴とする光ディスク検査装置。
【請求項4】
請求項1、2のいずれかに記載の光ディスク検査装置において、
前記第1の層はレイヤー1(L1)層であり、前記第2の層はレイヤー0(L0)層である
ことを特徴とする光ディスク検査装置。
【請求項5】
光ディスク検査方法であって、
前記光ディスクは少なくとも第1の層及び第2の層を備える多層光ディスクであり、
前記第1の層あるいは前記第2の層のいずれか一方の層においてデータを再生し、再生エラー又はエラー率の悪化が生じるか否かを検出する第1検出ステップと、
前記第1の層あるいは前記第2の層のいずれか他方の層の同一半径位置において再生エラー又はエラー率の悪化が生じるか否かを検出する第2検出ステップと、
前記第2検出ステップで再生エラー又はエラー率の悪化が生じた場合に、前記光ディスクに物理的な欠陥があると判定し、生じない場合に物理的な欠陥がないと判定する判定ステップと、
を備えることを特徴とする光ディスク検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−150855(P2012−150855A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6767(P2011−6767)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】