説明

光ディスク装置の処理回路および光ディスク装置の信号処理方法

【課題】記録領域の再生性能とヘッダ領域のIDの読み率を向上することができる光ディスク装置における処理回路を提供する。
【解決手段】光ディスク装置の処理回路において、AD変換器9と、AD変換器9によって得られた信号からデータ信号とアナログ・デジタル変換のサンプリングクロックを同期させるPLL回路10と、AD変換器9によって得られた信号の波形を等化させる波形等化回路11と、波形等化回路11で波形を等化した信号の直流成分を除去する第1の直流除去回路13aと、波形等化回路11で波形を等化した信号の直流成分を除去する第2の直流除去回路13bと、切替信号に基づいて、第1の直流除去回路13aの出力信号と第2の直流除去回路13bの出力信号を切り替えて出力するスイッチb12bと、スイッチb12bの出力信号を最尤復号する最尤復号回路15とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクより光学的に信号を再生または記録再生する光ディスク装置の処理回路に関し、特に、再生性能やIDの取得率を向上させる信号処理方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置の処理回路として、特開2005−190618号公報(特許文献1)に記載の技術があった。これは、ディスクから再生された信号を利用し、再生信号処理系からアシンメトリの割合を検出することにより、信号処理の最適化を量り、適応等化処理と最尤復号化方式を用いた場合でも、容易にアシンメトリの割合を推測することが可能となり、アシンメトリの大きなディスクを再生できるようにしたものである。
【特許文献1】特開2005−190618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、PLLの位相誤差積算出力と位相誤差閾値の関係や適応等化誤差積算出力と等化誤差閾値との関係により、中心レベルからの変動分割合(アシンメトリ)を判断して、サンプリングタイミングが読み出し信号の中心レベルからの変動をなくすようにしているため、一定の期間媒体上の記録情報を読み出す必要がある。
【0004】
例えば、図6に示すDVD−RAMディスク50の場合では、以下に述べる課題があった。
【0005】
図6に示すDVD−RAMディスク50には相変化記録膜からなる記録領域(Recording field)と物理的IDが埋め込まれている(プリフォーマットされている)エンボスピットからなるヘッダ領域(Header field)とミラー領域(Mirr field)が混在する。
【0006】
さらに、このヘッダ領域ではランド(Land)とグルーブ(Groove)と呼ばれる両方の領域にアドレスを与えるためにエンボスピットの位置をトラック方向にわずかにずらして配置されている。
【0007】
図6に示したフォーマットのようにDVD−RAMでは1セクタが2697バイトに対し記録領域は2567バイトでヘッダ領域は128バイト、MIRR領域は2バイトである。これからもわかるように記録領域に対しヘッダ領域が20分の1程度短い。
【0008】
このような媒体の再生ではそれぞれの領域の影響をうけて、特に領域が短いヘッダ領域での中心レベルからの変動分を除去できないという課題があった。また短いヘッダ領域の変動分を検出するために適応等化手段の追従速度を速めると記録領域では突発的な変動分も検出してしまい正しく中心レベルからの変動分割合を判断することができないという課題があった。
【0009】
本発明は、DVD−RAMディスク等を再生する際に記録領域とヘッダ領域用のそれぞれ独立した読み出し信号の中心レベルからの変動分(直流成分)を検出できる時定数によって直流成分を除去する回路を用いることにより、それぞれの領域の影響をうけることなく、読み出し信号の中心レベルからの変動分(直流成分)を除去でき記録領域の再生性能とヘッダ領域のIDの読み率を向上することができる光ディスク装置における処理回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
本発明による光ディスク装置の処理回路は、ディスクにレーザ光線の焦点を合わせるための光学ピックアップを具備し、光学的にディスクの再生または記録再生を行う光ディスク装置の処理回路であって、ディスクから再生したアナログ入力信号を所定のクロックでアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換器と、アナログ・デジタル変換器でアナログ・デジタル変換された信号の直流成分を、第1の時定数を用いて除去する第1の直流除去回路と、アナログ・デジタル変換器でアナログ・デジタル変換された信号の直流成分を、第2の時定数を用いて除去する第2の直流除去回路と、ディスクの構造に対応した切替信号に基づいて、第1の直流除去回路の出力信号と第2の直流除去回路の出力信号を切り替えて出力する第1のスイッチと、第1のスイッチの出力信号を復調する復調回路とを備えたものである。
【0012】
また、本発明による光ディスク装置の処理回路は、ディスクにレーザ光線の焦点を合わせるための光学ピックアップを具備し、光学的にディスクの再生または記録再生を行う光ディスク装置の処理回路であって、ディスクから再生したアナログ入力信号を所定のクロックでアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換器と、アナログ・デジタル変換器でアナログ・デジタル変換された信号の波形を等化させる波形等化回路と、波形等化回路で波形が等化された信号の直流成分を、第1の時定数を用いて除去する第1の直流除去回路と、波形等化回路で波形が等化された信号の直流成分を、第2の時定数を用いて除去する第2の直流除去回路と、ディスクの構造に対応した切替信号に基づいて、第1の直流除去回路の出力信号と第2の直流除去回路の出力信号を切り替えて出力する第1のスイッチと、第1のスイッチの出力信号を復調する復調回路とを備えたものである。
【0013】
また、光ディスク装置の信号処理方法は、ディスクにレーザ光線の焦点を合わせるための光学ピックアップを具備し、光学的にディスクの再生または記録再生を行う光ディスク装置の信号処理方法であって、ディスクから再生したアナログ入力信号を所定のクロックでアナログ・デジタル変換し、アナログ・デジタル変換された信号の直流成分を、ディスクの構造に対応した切替信号に基づいて、第1の時定数または第2の時定数を用いて除去し、直流分が除去された信号を復調するものである。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
本発明によれば、DVD−RAMディスクのように記録領域とヘッダ領域というように媒体上に複数の特性の異なる領域が存在する場合でも、再生信号の直流成分をそれぞれの領域で除去することができ、再生性能やIDの取得率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
図1により、本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路の構成について説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路の構成を示すブロック図であり、光ディスク装置の処理回路を含む光ディスク装置の全体構成を示している。
【0018】
図1において、光ディスク装置の処理回路は、信号処理回路7、サーボ回路8、アナログ・デジタル(AD)変換器9、位相同期回路(Phase−locked loop回路、以下PLL回路と呼ぶ)10、波形等化回路11、スイッチa12a、スイッチb12b、スイッチc12c、第1の直流除去回路13a、第2の直流除去回路13b、第1、第2の直流除去回路13a、13bに設定される第1の時定数14a、第2の時定数14b、最尤復号回路15、復調・誤り訂正回路16から構成されている。
【0019】
また、光ディスク装置としては、ディスク1、クランパ2a、ターンテーブル2b、対物レンズ3、ピックアップ4、スレッドモータ5、スピンドルモータ6を有し、ディスク1上の情報を読み取る構成になっている。
【0020】
以下、本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路を含む光ディスク装置の全体動作について説明する。
【0021】
まず、ターンテーブル2b上にセットされたディスク1はクランパ2aで、ターンテーブル2bに固定される。スピンドルモータ6が回転することでディスクは回転する。
【0022】
ピックアップ4からディスク1にレーザ光を照射してディスク1で反射された光を検出した信号から信号処理回路7で対物レンズ3がフォーカス方向(ディスクに垂直方向)、トラッキング方向(ディスクに平行方向)に移動している位置情報信号を生成し、この信号をサーボ回路8に供給する。
【0023】
サーボ回路8において遅れ補償器や進み補償器などを用いてフィードバック制御を行い対物レンズ3をフォーカス方向(ディスクに垂直方向)、トラッキング方向(ディスクに平行方向)に動かす制御信号を生成する。この制御信号により対物レンズ3はディスクに垂直方向に制御され、フィードバックループのフォーカス制御を実現し常に合焦点にいる状態を保つ。
【0024】
また、この制御信号により対物レンズ3はトラッキング方向にも制御され、フィードバックループのトラッキング制御を実現し常にディスク1の記録面におけるピット上にいるオントラック状態を保つ。
【0025】
また、サーボ回路8では前述のトラッキング制御の状態から遅れ補償器や進み補償器などを用いてフィードバック制御を行い、対物レンズ3のトラッキング方向へのずれに応じてスレッドモータ5を制御する制御信号を生成しスレッドモータ5を動作させピックアップ4自体を移動させる。
【0026】
また、信号処理回路7ではディスク1から読み取った回転周期情報などを用いてフィードバック制御を行い、この回転周期情報に基づいてサーボ回路8においてスピンドルモータ6を制御する信号を生成しスピンドルモータ6を動作させる。
【0027】
以上が、定常時に於いて対物レンズ3が合焦点上でさらにオントラック位置にあってフォーカス、トラッキング、スピンドルとスレッドが制御された再生の状態である。
【0028】
このとき、ピックアップ4ではディスク1にレーザ光を照射して、その反射光量あるいは偏向を検出しディスク1上の情報を読み出す。ピックアップ4により読み出された再生信号は信号処理回路7に供給する。
【0029】
信号処理回路7では供給された再生信号の振幅レベルや周波数特性などを調整し出力する。この調整された再生信号をAD変換器9に供給し、AD変換器9においてアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0030】
デジタル変換した再生信号はPLL回路10に供給され、このPLL回路10において生成する再生クロックの位相を入力される再生信号に同期させる。
【0031】
ここで、図2により、PLL回路10の一例について説明する。図2は本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路のPLL回路の構成を示すブロック図である。
【0032】
図2において、PLL回路10は、位相誤差検出回路20、ループフィルタ21、電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator、以下VCOと呼ぶ)22から構成されている。
【0033】
位相誤差検出回路20では、入力される再生信号とVCO22で生成する再生クロックとの位相誤差を検出しループフィルタにその位相誤差を供給する。ループフィルタ21では入力した位相誤差信号の利得を調整する。ループフィルタ21で利得を調整した位相誤差信号をVCO22に供給する。
【0034】
VCO22では位相誤差信号の値に応じたクロックを発振して、再生クロックとして生成する。以上の構成により再生クロックの位相を入力される再生信号に同期させることができる。
【0035】
他方、AD変換器9でデジタル変換した再生信号は波形等化回路11に供給され、この波形等化回路11において振幅レベルや周波数特性を調整し再生信号の波形を等化する。
【0036】
この波形を等化した信号はスイッチa12aに供給される。スイッチa12aに供給された信号は第1の直流除去回路13aと第2の直流除去回路13bに供給する。
【0037】
この第1の直流除去回路13aと第2の直流除去回路13bでは供給された波形を等化した信号の直流成分を除去する。第1の直流除去回路13aと第2の直流除去回路13bで直流成分を除去した信号はそれぞれスイッチb12bに供給される。
【0038】
スイッチb12bに供給された第1の直流除去回路13aで直流成分を除去した信号と第2の直流除去回路13bで直流成分を除去した信号は切替信号によりどちらかが選択されて出力される。
【0039】
この切り替え信号は、例えば、光ディスク装置において、再生信号の記録領域およびヘッダの信号処理を行うための制御信号を切替信号として用いている。
【0040】
スイッチb12bから出力した信号はスイッチc12cに供給する。スイッチc12cに供給された波形等化回路11からの出力とスイッチb12bから出力した信号はON/OFF信号によりどちらかが選択されて出力される。
【0041】
このON/OFF信号は、例えば、光ディスク装置において、再生信号の安定度などにより、処理を切り替えるための信号をON/OFF信号として用いている。
【0042】
スイッチc12cから出力した信号は最尤復号回路15に供給され、この最尤復号回路15により再生信号は復号される。この復号された再生信号は復調・誤り訂正回路16に供給され、この復調・誤り訂正回路16では再生信号の復調と誤り訂正処理が行われる。
【0043】
ここで、図3により、第1の直流除去回路13aと第2の直流除去回路13bの一例について説明する。図3は本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路の直流除去回路の構成を示すブロック図である。
【0044】
図3において、直流除去回路13a、13bは、それぞれ、ゼロクロス検出回路30、減算器31a、31b、乗算器32a、32b、加算器33、遅延レジスタ34から構成されている。
【0045】
以下、直流除去回路13a、13bの動作を説明する。
【0046】
まず、波形等化回路11から出力される再生信号はゼロクロス検出回路30に入力される。このゼロクロス検出回路30では波形等化回路11から出力される信号があるスライスレベルをまたぐ状態とそのときの再生クロックとの位相の差を前記信号波形の振幅情報として検出する。
【0047】
この状態を図4により説明する。図4は本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路の直流除去回路の検出状態を説明するための説明図である。図4には入力される再生信号とPLL回路10で生成する再生クロックを示してある。
【0048】
図4において、(A)の場合は再生信号のスライスレベルをまたぐ点と再生クロックの位相の差がない状態、つまりは、再生信号に直流成分がない状態で、(B)の場合は再生信号のスライスレベルをまたぐ点と再生クロックの位相の差があり、つまりは、再生信号に直流成分が残っている状態である。
【0049】
ゼロクロス検出回路30で検出された直流成分の信号は減算器31aに入力される。
【0050】
他方、遅延レジスタ34からの出力信号が減算器31aに入力される。
【0051】
減算器31aではゼロクロス検出回路30の出力値から、遅延レジスタ34の出力値を減算した結果を乗算器32aに供給する。乗算器32aには、あらかじめ時定数14aまたは時定数14bによる時定数が設定されていて、この時定数と減算器31aからの出力値を乗算した結果を加算器33に供給する。
【0052】
他方、乗算器32bからの出力を加算器33に供給する。加算器33では乗算器32aの出力と乗算器32bの出力とを加算して遅延レジスタ34に供給する。
【0053】
遅延レジスタ34に供給された加算器33の出力は、ゼロクロス検出回路30で次に波形等化回路11から出力される再生信号があるスライスレベルをまたぐ状態と、そのときの再生クロックとの位相の差を前記再生信号波形の振幅情報として検出するまで加算器33の出力を保持する。
【0054】
遅延レジスタ34の出力を乗算器32bに供給する。この乗算器32bにはあらかじめ時定数14aまたは時定数14bによる時定数が設定されていて、この時定数と遅延レジスタ34からの出力値を乗算した結果を加算器33に供給する。
【0055】
乗算器32aと加算器33、遅延レジスタ34、乗算器32bとによりデジタルフィルタを構成し、乗算器32aと乗算器32bに設定する時定数により低域通過フィルタ(ローパスフィルタ)を実現する。
【0056】
ゼロクロス検出回路30で検出した直流成分を低域通過フィルタに通すことで広域のノイズ成分や突発的な直流成分は検出せずに定常的な直流成分だけを検出することができる。
【0057】
この検出された定常的な直流成分が遅延レジスタ34の出力であり、この出力は減算器31bに供給される。他方入力される再生信号を減算器31bに供給する。
【0058】
遅延レジスタ34からの出力と入力される再生信号を供給された減算器31bでは、入力される再生信号から遅延レジスタ34からの出力を減算し出力する。
【0059】
この出力信号は入力信号から定常的に直流成分が減算された信号、つまりは入力される再生信号から定常的な直流成分が除去された再生信号となる。
【0060】
ここで、図5により、DVD−RAMディスクを再生する際のスイッチa12a、スイッチb12b、スイッチc12cの動作について説明する。図5は本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路の各スイッチの動作を説明するための説明図である。
【0061】
前述した図6に示したように、DVD−RAMディスクには記録領域(Recording field)と物理的IDが埋め込まれているヘッダ領域(Header field)が存在する。
【0062】
このとき切替信号が、例えば、ヘッダ領域では“HIGH”、記録領域では“LOW”となるように制御されたとき、スイッチa12aは切替信号が“HIGH”のときA側になり“LOW”のときB側に切り替わる。
【0063】
また、スイッチb12bは切替信号が“HIGH”のときC側になり“LOW”のときD側に切り替わる。
【0064】
要は切替信号が“HIGH”のとき第1の直流除去回路13aが動作し、切替信号が“LOW”のとき第2の直流除去回路13bが動作するようになる。
【0065】
このとき第1の直流除去回路13aにはヘッダ領域用に短い時間で直流成分が除去できるように第1の時定数14aの値は時定数が小さくなるような値を設定し短期間で直流成分が除去できるようにする。
【0066】
また、第2の直流除去回路13bには記録領域用に長い時間で直流成分が除去できるように第2の時定数14bの値は大きくなるような値を設定し定常的な直流成分が除去できるようにする。
【0067】
これにより、ヘッダ領域と記録領域で時定数特性の違う直流除去を行うことができる。
【0068】
さらに、この直流除去回路を用いないで波形等化回路11の出力で復号処理を行いたい場合のために、ON/OFF信号をOFF(“LOW”)にするとスイッチc12cはF側になり波形等化回路11の出力がスイッチc12cを経由して最尤復号回路15に供給される。
【0069】
ON/OFF信号をON(“HIGH”)にするとスイッチc12cはE側になり第1の直流除去回路13aもしくは第2の直流除去回路13bのどちらかの出力が選択されたスイッチb12bの出力がスイッチc12cを経由して最尤復号回路15に供給される。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態によれば、DVD−RAMディスクのように記録領域とヘッダ領域というように媒体上に複数の特性の異なる領域が存在する光ディスクを再生する場合においても、それぞれの領域で別々の時定数をもった直流除去回路を動作させることで再生信号の直流成分を除去することができ、再生性能やIDの取得率を向上させることが可能となる。
【0071】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0072】
例えば、本実施の形態では、波形等化回路11および最尤復号回路15を使用した構成で説明したが、波形等化回路11および最尤復号回路15を使用せずに、第1の直流除去回路13a、第2の直流除去回路13bだけの構成にすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、ディスクより光学的に信号を再生または記録再生する光ディスク装置の処理回路に関し、DVD−RAMディスクのように記録領域とヘッダ領域というように媒体上に複数の特性の異なる領域が存在する光ディスクを再生するための処理装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路を含む光ディスク装置のPLL回路の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路の直流除去回路の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路の直流除去回路の検出状態を説明するための説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路の各スイッチの動作を説明するための説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の処理回路で扱うDVD−RAMの構成を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0075】
1…ディスク、2a…クランパ、2b…ターンテーブル、3…対物レンズ、4…ピックアップ、5…スレッドモータ、6…スピンドルモータ、7…信号処理回路、8…サーボ回路、9…AD変換器、10…位相同期回路(PLL回路)、11…波形等化回路、12a…スイッチa、12b…スイッチb、12c…スイッチc、13a…第1の直流除去回路、13b…第2の直流除去回路、14a…第1の時定数、14b…第2の時定数、15…最尤復号回路、16…復調・誤り訂正回路(復調回路)、20…位相誤差検出回路、21…ループフィルタ、22…電圧制御発振器(VCO)、30…ゼロクロス検出回路、31a、31b…減算器、32a、32b…乗算器、33…加算器、34…遅延レジスタ、50…DVD−RAMディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクにレーザ光線の焦点を合わせるための光学ピックアップを具備し、光学的にディスクの再生または記録再生を行う光ディスク装置の処理回路であって、
前記ディスクから再生したアナログ入力信号を所定のクロックでアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換器と、
前記アナログ・デジタル変換器でアナログ・デジタル変換された信号の直流成分を、第1の時定数を用いて除去する第1の直流除去回路と、
前記アナログ・デジタル変換器でアナログ・デジタル変換された信号の直流成分を、第2の時定数を用いて除去する第2の直流除去回路と、
前記ディスクの構造に対応した切替信号に基づいて、前記第1の直流除去回路の出力信号と前記第2の直流除去回路の出力信号を切り替えて出力する第1のスイッチと、
前記第1のスイッチの出力信号を復調する復調回路とを備えたことを特徴とする光ディスク装置の処理回路。
【請求項2】
ディスクにレーザ光線の焦点を合わせるための光学ピックアップを具備し、光学的にディスクの再生または記録再生を行う光ディスク装置の処理回路であって、
前記ディスクから再生したアナログ入力信号を所定のクロックでアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換器と、
前記アナログ・デジタル変換器でアナログ・デジタル変換された信号の波形を等化させる波形等化回路と、
前記波形等化回路で波形が等化された信号の直流成分を、第1の時定数を用いて除去する第1の直流除去回路と、
前記波形等化回路で波形が等化された信号の直流成分を、第2の時定数を用いて除去する第2の直流除去回路と、
前記ディスクの構造に対応した切替信号に基づいて、前記第1の直流除去回路の出力信号と前記第2の直流除去回路の出力信号を切り替えて出力する第1のスイッチと、
前記第1のスイッチの出力信号を復調する復調回路とを備えたことを特徴とする光ディスク装置の処理回路。
【請求項3】
請求項2記載の光ディスク装置の処理回路において、
前記第1のスイッチの出力信号を最尤復号して、前記復調回路に出力する最尤復号回路を備えたことを特徴とする光ディスク装置の処理回路。
【請求項4】
請求項3記載の光ディスク装置の処理回路において、
前記ディスクの再生状態に対応したON/OFF信号に基づいて、前記波形等化回路の出力信号と前記第1のスイッチの出力信号を切り替えて出力する第2のスイッチを備え、
前記最尤復号回路は、前記第2のスイッチの出力信号を最尤復号して、前記復調回路に出力することを特徴とする光ディスク装置の処理回路。
【請求項5】
ディスクにレーザ光線の焦点を合わせるための光学ピックアップを具備し、光学的にディスクの再生または記録再生を行う光ディスク装置の信号処理方法であって、
前記ディスクから再生したアナログ入力信号を所定のクロックでアナログ・デジタル変換し、前記アナログ・デジタル変換された信号の直流成分を、前記ディスクの構造に対応した切替信号に基づいて、第1の時定数または第2の時定数を用いて除去し、前記直流分が除去された信号を復調することを特徴とする光ディスク装置の信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−59713(P2008−59713A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237545(P2006−237545)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】