説明

光ディスク装置及び偏重心パラメータ選択方法

【課題】光ディスク装置の使用環境やユーザの好みに応じて偏重心パラメータを簡便で確実に変更し、振動と騒音を低減する。
【解決手段】再生信号処理部8は、光ピックアップ3の再生信号から光ディスク1の偏重心に対応するトラックよぎり数(TZC値)を検出する。メモリ9は、各ディスク回転速度におけるTZC値の上限値を規定した複数の偏重心パラメータを格納する。マイコン10は、検出されたTZC値が偏重心パラメータに規定される上限値を超えたら、ディスクモータ2の回転速度をパラメータに規定された制限速度に減速する。イジェクトボタン11は、メモリ9に格納されている複数の偏重心パラメータからユーザが所望のパラメータを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏重心を持つ光ディスクの記録再生に好適な光ディスク装置、及び記録再生時の偏重心パラメータ選択方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CDやDVDなどの光ディスクは、ディスクの基板となる1.2ミリ厚のポリカーボネート基板の成形精度やレーベル印刷時のインク量によって、ディスクに重心の偏り(偏重心)ができる。偏重心の大きなディスクを光ディスク装置(ドライブ)に装着して回転させると、ドライブが振動し騒音を発生する。振動が過大になると、データを正しく記録再生できないという不具合が発生しうる。こうした問題をなくすために、装着したディスクの偏重心を検出し、検出量に応じて回転速度を制限して振動を抑えるようにしている。
【0003】
例えば偏重心量の検出には、トラックよぎり数(以下、TZC値:Tracking error Zero Cross)を測定する。また、回転速度に対する偏重心量(TZC値)の上限値を予め設定し、偏重心パラメータとしてファームウェアに登録しておく。そして、登録したパラメータを参照して、測定したTZC値がその速度での上限値を越えたなら、回転速度を減速するようにしている。実際には、光ディスク装置はパソコンに組み込んで使用される形態が多く、パソコンの種類により振動状態が異なってくる。そのため、パソコンの種類に応じて異なるパラメータを設定する提案がなされている。
【0004】
特許文献1には、パソコンに組み込まれる光ディスク装置において、パソコンから送信されるコマンドに基づいてパソコンの種類を識別し、パソコンの種類に従って予め決定されている光ディスクの偏重心の量を表すパラメータを切り換える技術が開示されている。
【0005】
一方特許文献2には、ユーザの判断でディスク回転速度を変更する技術が開示されている。その際、速度変更スイッチとして既設のイジェクトボタンを利用し、オーディオデータを再生する場合、イジェクトボタンを所定時間以上押した場合に、ディスク回転速度を遅くするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−50496号公報
【特許文献2】特開2003−272279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1によれば、光ディスク装置が取り付けられるパソコンの種類に適応した偏重心パラメータの設定を行うことができる。しかしながら、同一種類のパソコンであっても、使用環境やパソコン筐体への固定方法により光ディスク装置の振動周波数や振動量が変化してTZC値がばらついてしまう。すなわち、測定したTZC値だけではパソコン筐体の振動や騒音を正確に見積もることが困難である。その結果、設定した偏重心パラメータを参照してもユーザの意図通りにディスクの回転速度を制御できず、予想以上の騒音が発生したり、逆に必要以上に減速される場合が生じる。
【0008】
また最近、光ディスク装置をパソコンに組み込まず、外付け装置として使用する形態も普及してきている。この場合の光ディスク装置の筐体は非常に軽量になるため、ディスクの回転音による騒音が目立ってくる。さらに筐体が軽量であることで偏重心のあるディスクを装着した場合のTZC値のばらつきが大きく、一通りの偏重心パラメータを用いるだけでは所望の制御が困難となっている。
【0009】
前記特許文献2では、ユーザの操作によりディスク回転速度を減速して、騒音を低減することができる。しかし、既設のイジェクトボタンを利用するため、本来のイジェクト操作と速度変更操作との操作ミスが発生しやすい。
【0010】
本発明の目的は、使用環境やユーザの好みに応じて偏重心パラメータを簡便で確実に変更できる光ディスク装置及び偏重心パラメータ選択方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による光ディスク装置は、光ディスクを所定の速度で回転させるディスクモータと、光ディスクにレーザビームを照射しデータを記録再生する光ピックアップと、光ピックアップの再生信号から光ディスクの偏重心に対応するトラックよぎり数(TZC値)を検出する再生信号処理部と、各ディスク回転速度におけるTZC値の上限値を規定した複数の偏重心パラメータを格納するメモリと、メモリに格納されている複数の偏重心パラメータからユーザが所望のパラメータを選択するためのパラメータ選択手段と、選択された偏重心パラメータを参照し、検出されたTZC値に応じてディスクモータの回転速度の変更を指示するマイコンとを備える。マイコンは、検出されたTZC値が偏重心パラメータに規定される上限値を超えたら、ディスクモータの回転速度をパラメータに規定された制限速度に減速する。
【0012】
ここに前記パラメータ選択手段は、装着された光ディスクをイジェクトするためのイジェクトボタンを利用するとともに、イジェクト表示部の点滅信号により前記複数の偏重心パラメータを識別して表示する。
【0013】
本発明は、光ディスク装置に格納されている複数の偏重心パラメータから所望のパラメータを選択する偏重心パラメータ選択方法であって、イジェクトボタンを押して光ディスクをイジェクト状態とし、さらに所定時間イジェクトボタンを押し続けることで偏重心パラメータの選択モードに移行させ、イジェクト表示部を点滅させることで装置に格納されている偏重心パラメータを順に識別して表示し、所望の偏重心パラメータが表示されている期間にイジェクトボタンを押すことで該パラメータを選択する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用環境やユーザの好みに応じて装置の振動と騒音を低減する使い勝手の良い光ディスク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による光ディスク装置の一実施例を示すブロック図。
【図2A】偏重心パラメータの具体例(パラメータA)を示すグラフとテーブル。
【図2B】偏重心パラメータの具体例(パラメータB)を示すグラフとテーブル。
【図3A】偏重心パラメータを用いた減速判定の例(パソコンPC1とパラメータA)を示す図。
【図3B】偏重心パラメータを用いた減速判定の例(パソコンPC2とパラメータA)を示す図。
【図3C】偏重心パラメータを用いた減速判定の例(パソコンPC2とパラメータB)を示す図。
【図4】偏重心パラメータによる減速制御を示すフローチャート。
【図5】偏重心パラメータ選択工程の詳細を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による光ディスク装置及び偏重心パラメータ選択方法の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明による光ディスク装置の一実施例を示すブロック図である。光ディスク装置は図示しないパソコン等に組み込まれて、パソコンからの指示でデータの記録再生を行う。
【0017】
装着された光ディスク1は、ディスクモータ2にて所定の速度で回転され、光ピックアップ3は回転する光ディスク1にレーザビームを照射し、データの記録・再生を行う。モータ回転制御部4は、ディスクモータ2を駆動し回転速度を制御する。光ピックアップ3は、図示しないスレッド機構によりディスク半径方向の所望位置に移動する。光ピックアップ3の内部には、レーザ光源となるレーザダイオードと、光ディスク1からの反射ビームを受光し電気信号に変換するフォトディテクタを有する。レーザドライバ5は、光ピックアップ3のレーザダイオードの発光を駆動する。その際、レーザパワー制御部6は記録再生時に照射するレーザパワーを制御し、エンコーダ7は記録するデータをパルス幅信号に変換する。再生信号処理部8は、光ピックアップ3のフォトディテクタから信号を入力し、再生データ信号、トラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号などを生成する。
【0018】
さらに再生信号処理部8は、トラッキングエラー信号を基に偏重心の指標となるトラックよぎり数(TZC値)を検出する。メモリ9はEP−ROMまたはフラッシュROMからなり、回転速度と偏重心(TZC値)の上限値の関係を示す複数の偏重心パラメータをファームウェアとして格納する。マイコン10はメモリ9に格納されている偏重心パラメータを参照し、検出されたTZC値に応じてモータ回転制御部4に回転速度変更の指示を行う。イジェクトボタン11は光ディスクのイジェクト・ロードを行うだけでなく、ユーザの操作によりメモリ9に登録されている複数の偏重心パラメータから所望のパラメータを選択するパラメータ選択手段としての機能を有する。すなわち、ユーザがイジェクトボタン11を操作すると、マイコン10はユーザにより選択されたパラメータに従って、モータ回転制御部4に対し回転速度変更の指示を行う。
【0019】
ここに偏重心の評価に用いるTZC値とは、光ピックアップ3のスポットがトラックを横切った回数を示す。偏重心のある光ディスクを回転させると、ディスクを回転駆動するディスクモータ2が振動を起こし、またスレッド機構に取り付けられた光ピックアップ3も振動する。偏重心量とディスクモータ2、光ピックアップ3の振動量は互いに相関があるので、偏重心量が大きくなるにつれTZC値も増加する。偏重心量(TZC値)が大きいと装置の振動や騒音が増大するので、予め各回転速度におけるTZC値の上限値を定め、偏重心パラメータとしてメモリ9に登録しておく。マイコン10は、検出されたTZC値が現在の回転速度の上限値を越えたなら、回転速度を減速するように指示する。
【0020】
まず、偏重心量を評価するためのTZC値の測定について説明する。光ディスクを装着して静止状態からスピンアップさせ、TZC値測定のための回転周波数(テスト回転数)ftを例えば45Hzから75Hzまでの区間で、トラッキングエラー信号を取り込む。トラッキングエラー信号を成形してTZC信号とし、ディスク1回転の期間におけるTZC信号のパルス数をカウントしてトラックよぎり数(TZC値)を求める。TZC値は、測定したTZC値を基準周波数(45Hz)の値を基準値(ゼロ)として、各テスト回転数における値を差分値で表す。差分値で表すのは、ディスクの偏心の成分を除去し、偏重心の成分のみ取り出すためである。ディスクに偏心があると同様にTZC値としてカウントされるが、偏心は装置の振動や騒音には直接関係がなく、偏心の場合にはTZC値は回転数に依存せずほぼ一定である。これに対し偏重心の場合には、TZC値は回転数に対してほぼ二乗特性で増大する。そこで、回転数に依存しないTZC値の固定成分を除去することで、偏重心量を抽出することができる。
【0021】
図2Aと図2Bは、偏重心パラメータの具体例を示すグラフとテーブルである。ここでは2つの例を示し、それぞれ「偏重心パラメータA」、「偏重心パラメータB」と呼ぶことにする。
【0022】
記録再生時のディスク回転速度(以下、記録再生速度と呼ぶ)として、10倍速、16倍速、24倍速の3段階の切替えを想定する。偏重心パラメータは、各記録再生速度において振動・騒音が許容範囲内となるためのTZC値の上限値を規定するものである。換言すれば、記録再生速度を他の速度に減速すべきTZC値の閾値(減速閾値)を規定するものである。TZCの閾値は偏重心の評価方法に合わせて、前記のテスト回転数ftにて規定する。ここではテスト回転数ftを45Hzから75Hzまで5Hz間隔で変化させ、各TZC値をテーブルに記述している。その際、回転数45HzのTZC値を基準(ゼロ)として、各回転数における値を差分値で表している。
【0023】
偏重心パラメータAにおけるTZC値の上限値(減速閾値)を曲線21A,22Aで示す。曲線21Aは16倍速における上限値であり、曲線22Aは24倍速における上限値である。測定したTZC値が曲線21Aの値を超えたら、記録再生速度を10倍速に減速する。同様に測定したTZC値が曲線22Aの値を超えたら、記録再生速度を16倍速に減速する。
【0024】
偏重心パラメータBにおけるTZC値の上限値(減速閾値)を曲線21B,22Bで示す。曲線21B,22Bの値は、前記偏重心パラメータBにおける曲線21A,22Aの値よりも小さく設定している。これにより減速閾値が小さくなり、小さなTZC値でも減速化しやすい設定となっている。
【0025】
なお、TZC値の上限値(減速閾値)の曲線は、予め偏重心の分かっているディスクを用いて各テスト回転数ftにおけるTZC値を測定することにより設定する。ここでは偏重心パラメータを2つの例について示したが、任意の数のパラメータを準備しても良い。
【0026】
図3A,図3B,図3Cは、偏重心パラメータを用いた減速判定の例を示す図である。ここでは、同一の光ディスク装置を種類の異なる2台のパソコンPC1,PC2に組み込む場合を示す。一方光ディスクとして、偏重心量の異なる3種類の光ディスクD1,D2,D3について減速判定を行うものとする。各ディスクの偏重心量は、D1:0.75gcm、D2:0.5gcm、D3:0.3gcmとする。パソコンPC1とPC2では光ディスク装置の固定方法が異なり、よって同一のディスクであってもTZC値の測定値が異なってくる。偏重心パラメータとしては、前記図2Aの偏重心パラメータAと前記図2Bの偏重心パラメータBを選択して用いる。
【0027】
図3Aは、パソコンPC1と偏重心パラメータAを組み合わせた場合である。
図では、測定された各ディスクD1,D2,D3のTZC値をプロットし、適用する偏重心パラメータAの減速閾値21A,22Aを示している。減速判定は次のようになる。最も偏重心量が大きいディスクD1は減速閾値21Aを越えているので、10倍速(最低速度)に減速する。ディスクD2は減速閾値22Aを越えているので、16倍速に減速する。最も偏重心量が小さいディスクD3はいずれの減速閾値も越えていないので、減速せずに24倍速(最高速度)のままとする。
【0028】
図3Bは、パソコンPC2と偏重心パラメータAを組み合わせた場合である。
ここではパソコンの違いにより、各ディスクD1,D2,D3のTZC値は前記図3Aの場合よりも小さく測定されたとする。その結果減速判定は次のようになる。ディスクD1は、減速閾値22Aを越えているが減速閾値21Aを越えていないので、16倍速に減速する。ディスクD2とD3はいずれの減速閾値も越えていないので、減速せずに24倍速のままとする。その結果、偏重心量の大きいディスクD1とD2は減速しないので、ユーザにとって予想以上の振動と騒音を発生する場合がある。そのような場合には、次のように偏重心パラメータを切替えるようにする。
【0029】
図3Cは、パソコンPC2と偏重心パラメータBを組み合わせた場合である。
ここでは前記図2Bに示す偏重心パラメータを適用し、その減速閾値を21B,22Bで示す。減速判定は次のようになる。最も偏重心量が大きいディスクD1は減速閾値21Bを越えているので、10倍速に減速する。ディスクD2は減速閾値22Bを越えているので、16倍速に減速する。最も偏重心量が小さいディスクD3はいずれの減速閾値も越えていないので、減速せずに24倍速のままとする。これにより、偏重心量が大きいディスクD1とD2を減速させ、振動と騒音を抑制することができる。
【0030】
このように、偏重心パラメータを複数個持ち適宜選択することで、光ディスク装置をどのようなパソコンに組み込んだ場合でも偏重心の大きなディスクに対して適切に減速させ、振動と騒音の低減を図ることが可能となる。
【0031】
図4は、偏重心パラメータによる減速制御を示すフローチャートである。
装置のメモリ9には、予め複数の偏重心パラメータを登録をしておく。そして、初回の制御に適用する偏重心パラメータがデフォルト値として定められている。以下の減速制御は、メモリ9に格納されているファームウェアに従い、マイコン10が実行する。
【0032】
S101では、装置に光ディスクを装着する。
S102では、所定のテスト回転数ft(45〜75Hz)でディスクを回転させ、TZC値を測定する。
S103では、メモリ9からデフォルト設定されている偏重心パラメータを読み出す。
【0033】
S104では、測定したTZC値を偏重心パラメータの減速閾値と比較する。TZC値が減速閾値を越えていればS105へ進み、TZC値が減速閾値を越えていなければS106へ進む。
S105では、記録再生時のディスク回転数を偏重心パラメータで指定された制限速度に減速させて設定する。
S106では、記録再生時のディスク回転数を減速せずに設定する。
【0034】
S107では、偏重心パラメータを切替えるかどうかをユーザが判断する。すなわち、S104の判定の結果減速されなかった場合であっても、振動・騒音が予想以上に大きく、減速閾値の小さい偏重心パラメータへの切り替えを実施したい場合にはS108へ進む。
S108では、ユーザはイジェクトボタンを使用して所望の偏重心パラメータを選択する。これにより次に適用する偏重心パラメータのデフォルト値が切替わる。偏重心パラメータの選択手順については、図5で詳細に説明する。
【0035】
上記のフローチャートでは、S108のパラメータ切替えは減速制御において減速がなされなかった場合(S104でNo)に行うものとしたが、逆に、減速がなされた場合(S104でYes)にパラメータを切替えることも可能である。すなわち、減速後の振動や騒音が必要以上に小さく、むしろ高速化して使用したい場合にもS108のパラメータ切替えを実施することで、より使い勝手が向上する。
【0036】
図5は、図4における偏重心パラメータ選択工程(S108)の詳細を示すフローチャートである。
S201では、ユーザはイジェクトボタンを押して光ディスクをイジェクト(排出)状態にする。
S202では、イジェクトボタンをさらに所定時間(例えば5sec)押し続けると、偏重心パラメータの選択モードに移行する。
【0037】
S203では、イジェクト表示部(LEDなど)を点滅させることで、メモリ9に登録している偏重心パラメータを順に表示する。例えば3通りのパラメータA,B,Cが登録されているなら、それらを識別するために、「1回点灯、5sec消灯」(パラメータA)→「2回点滅、5sec消灯」(パラメータB)→「3回点滅、5sec消灯」(パラメータC)を繰り返す。その場合、減速閾値が下がるほど(より減速化がなされるほど)点滅回数が1回〜3回と増えるように決めておけば分かりやすい(あるいはその逆でも良い)。
【0038】
S204では、切替えたいパラメータが表示されている期間におけるLEDの消灯時にイジェクトボタンを押すことにより、所望のパラメータを選択する。
S205では、選択したパラメータを新たなデフォルト値としてファームウェアに書き込む。これにより偏重心パラメータの切替えが終了し、次回の減速制御に適用される。
【0039】
本実施例によれば、光ディスク装置には予め複数の偏重心パラメータを登録している。よってユーザの使用環境やパソコンの固定方法が変化しても、減速制御に用いる偏重心パラメータをユーザが適宜選択して設定することができる。これより、ユーザの好みに応じて振動と騒音を低減することができる。また、偏重心パラメータの選択操作においてはイジェクトボタンを利用するが、イジェクトボタンを押してディスクをイジェクトさせた状態でのみ操作を可能としているので、通常のイジェクト操作との操作ミスを防止することができる。さらに、イジェクト表示部(LED)の点滅を併用することで偏重心パラメータの切り替え操作中であることを明確とし、簡便で確実にパラメータ切替を実施することができる。なお、パラメータ選択手段としてイジェクトボタンを併用するのではなく専用の操作ボタンを設けて、上記と同様の操作を行うことも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1…光ディスク、
2…ディスクモータ、
3…光ピックアップ、
4…モータ回転制御部、
5…レーザドライバ、
6…レーザパワー制御部、
7…エンコーダ、
8…再生信号処理部、
9…メモリ、
10…マイコン、
11…イジェクトボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクにデータを記録再生する光ディスク装置において、
前記光ディスクを所定の速度で回転させるディスクモータと、
前記光ディスクにレーザビームを照射しデータを記録再生する光ピックアップと、
該光ピックアップの再生信号から前記光ディスクの偏重心に対応するトラックよぎり数(以下、TZC値)を検出する再生信号処理部と、
各ディスク回転速度における前記TZC値の上限値を規定した複数の偏重心パラメータを格納するメモリと、
該メモリに格納されている複数の偏重心パラメータからユーザが所望のパラメータを選択するためのパラメータ選択手段と、
該選択された偏重心パラメータを参照し、前記検出されたTZC値に応じて前記ディスクモータの回転速度の変更を指示するマイコンとを備え、
該マイコンは、前記検出されたTZC値が前記偏重心パラメータに規定される上限値を超えたら、前記ディスクモータの回転速度を前記パラメータに規定された制限速度に減速することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記TZC値は、前記光ディスクを所定のテスト回転周波数で回転させてトラッキングエラー信号を取り込み、ディスク1回転の期間におけるトラッキングエラー信号のパルス数をカウントし、カウント値を基準周波数の値を基準に差分値で表したものであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記パラメータ選択手段は、装着された光ディスクをイジェクトするためのイジェクトボタンを利用するとともに、イジェクト表示部の点滅信号により前記複数の偏重心パラメータを識別して表示することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
光ディスク装置に格納されている複数の偏重心パラメータから所望のパラメータを選択する偏重心パラメータ選択方法であって、
イジェクトボタンを押して光ディスクをイジェクト状態とし、
さらに所定時間イジェクトボタンを押し続けることで偏重心パラメータの選択モードに移行させ、
イジェクト表示部を点滅させることで、装置に格納されている偏重心パラメータを順に識別して表示し、
所望の偏重心パラメータが表示されている期間にイジェクトボタンを押すことで該パラメータを選択することを特徴とする偏重心パラメータ選択方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−96325(P2011−96325A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250377(P2009−250377)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】