説明

光ディスク装置

【課題】 対物レンズの姿勢制御をより正確に行う。
【解決手段】 光ピックアップ部21が配設される可動フレーム22と、可動フレーム22を支持する支持フレーム23a,23bと、支持フレーム23a,23bに対して可動フレーム22が可動するように弾性支持する弾性体24a,24bと、可動フレームに配設されるマグネット27a,27bと支持フレーム23a,23bに配設される第1及び第2の電磁石28a,28b,29a,29b,2a,32b,33a,33bとを備える。そして、第1及び第2の電磁石28a,28b,29a,29b,2a,32b,33a,33bに駆動電流を供給することで、マグネット27a,27bとの間に吸引力又は反発力を発生させて、可動フレーム22を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ部を弾性体によって支持する光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクの中には、コンパクトディスク(CD:Compact Disc)といった標準的記録密度の第1の光ディスク、第1の光ディスクに対して高密度記録されるディジタルバーサタイルディスク(DVD:Digital Versatile Disc)といった第2の光ディスク、更に第2の光ディスクより更に高密度記録されるブルーレイディスク(BD:Blu-ray Disc)といった第3の光ディスクがある。
【0003】
ところで、光ディスクの分野では、直径が12cm又はこれをより小径のものが大半である。光ディスクの分野では、更に多くの情報信号を記録することが求められる一方で、使い勝手の観点から大径化は望ましくなく、このため、更なる単位面積当たりの記録密度の向上が求められている。そこで、第3の光ディスクより更に高密度記録を可能とする技術として、特許文献1にあるように、光ピックアップの対物レンズに固体液浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)を用いる光ディスク装置がある。
【0004】
このような固体液浸レンズを用いた光ディスク装置では、光ディスクと対物レンズとの距離が極めて近接するため、チルトエラーマージンが第3の光ディスクより一層厳格なものとなる。
【0005】
また、光ディスク装置にあって、対物レンズは、記録再生時において、光ディスクのディスク面と垂直且つ平行な状態を維持する必要がある。しかしながら、対物レンズは、振動等によって対物レンズや光ディスクが傾き、ディスク面と垂直且つ平行な状態を維持することができないことがある。また、対物レンズは、光ディスクの製造誤差によっても、ディスク面と垂直且つ平行な状態を維持することができないことがある。
【0006】
第3の光ディスクより高密度記録を可能する光ディスク装置のあっては、極めて対物レンズと光ディスクとが近接し、チルトエラーマージンが厳格であるから、対物レンズの姿勢制御が極めて重要である。
【0007】
【特許文献1】特開平5−189796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来より高密度記録される光ディスクの記録再生を可能となす光ディスク装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、対物レンズの姿勢制御をより正確に行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0010】
更に、本発明の目的は、対物レンズの姿勢制御をリアルタイムに行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光ディスク装置は、光ピックアップ部が配設される可動フレームと、上記可動フレームを支持する支持フレームと、上記支持フレームに対して上記可動フレームが可動するように弾性支持する弾性体と、上記可動フレーム又は上記支持フレームの何れか一方に配設されるマグネットと何れか他方に配設される電磁石とを有し、上記支持フレームに対して上記可動フレームを移動させる駆動手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電磁石が対向するマグネットと同極又は異極に変化することによって、マグネットに対する吸引力及び反発力を発生させ、吸引力及び反発力によって弾性体を変位させて、光ピックアップ部が配設されている可動フレームを移動させることができる。これにより、対物レンズのフォーカシング制御、トラッキング制御に加えチルト制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を適用した光ディスク装置を図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明を適用した光ディスク装置1は、図1に示すように、情報信号が記録される光ディスク2を回転するディスク回転駆動装置10と、ディスク回転駆動装置10によって回転される光ディスク2に対して光ビームを照射すると共に光ディスク2で反射された戻りの光ビームを検出する光ピックアップ装置20とを備える。そして、ディスク回転駆動装置10と光ピックアップ装置20は、ベース4に配設されている。
【0015】
光ディスク2を回転するディスク回転駆動装置10は、図1に示すように、駆動源となるスピンドルモータ11のスピンドルに光ディスク2が装着されるディスクテーブル12が取り付けられてなる。ディスクテーブル12は、中心部に光ディスク2のセンタ孔3に係合されるセンタリング部13が形成され、センタリング部13の周囲に、光ディスク2のセンタ孔3の周囲を支持するディスク支持部14が形成されている。光ディスク2は、センタ孔3をセンタリング部13に係合され、センタ孔3の周囲がディスク支持部14に支持され、更にクランピングプレート等によってディスクテーブルとの間に挟まれることによって、ディスクテーブル12と一体的に回転する。光ディスク2は、このディスク駆動装置10によって、CLV(Constant Linear Velocity)、CAV(Constant Angular Velocity)、ZCLV(Zone Constant Linear Velocity)、ZCAV(Zone Constant Angular Velocity)等の方式で回転される。
【0016】
また、光ピックアップ装置20は、図1及び図2に示すように、光源や光学ブロックが設けられる光ピックアップ部21と、この光ピックアップ部21が取り付けられる可動フレーム22と、この可動フレーム22が弾性体24を介して取り付けられる支持フレーム23とを備える。
【0017】
光ピックアップ部21は、光源となる半導体レーザから出射された光ビームを対物レンズ21aで集光し光ディスク2で反射された戻りの光ビームを光検出器で検出する光学ブロックを有する。ここで、例えば、光ディスク2に対する高密度記録を実現するため、光ビームは、波長が400nm程度であり、対物レンズ21aは、固体液浸レンズが用いられている。このように、光ピックアップ部21では、対物レンズ21aに固体液浸レンズを用い、短波長の光ビームを用いることから、対物レンズ21aと光ディスク2のディスク面との距離であるワーキングディスタンスが20nm程度と極めて近接することになる。そこで、この光ピックアップ装置20では、対物レンズ21aの姿勢制御と共に、光ディスク2と対物レンズ21aとが衝突することを防止すべく、対物レンズ21aのニ軸アクチュエータ21bの他に、後述のような第1及び第2の駆動部26,30を設けるようにしている。
【0018】
光ピックアップ部21には、対物レンズ21aを光軸方向となるフォーカシング方向に変位させると共に光ディスク2のトラックに対して直交する方向に駆動変位させるニ軸アクチュエータ21bは、例えば、フォーカス駆動部としてフォーカシングコイルと固定部マグネットが設けられ、トラッキング駆動部としてトラッキングコイルとマグネットと設けられている。対物レンズ21aは、可動部となるレンズホルダに保持され、固定部に対して弾性線状部材によって変位可能に支持されている。そして、フォーカシング及びトラッキングコイルは、可動部に取り付けられ、マグネットは、固定部に取り付けられている。ニ軸アクチュエータ21bは、フォーカシングエラー信号が0となるように駆動電流をフォーカシングコイルに供給し、マグネット等が取り付けられた固定部に対して可動部となっているレンズホルダに取り付けられている対物レンズ21aを光軸方向に変位させると共に、トラッキングエラー信号が0となるように駆動電流をトラッキングコイルに供給し対物レンズ21aを光ディスク2の記録トラックに対して直交する方向に変位させる。
【0019】
以上のように構成された光ピックアップ部21は、図2に示すように、ピックアップ基台25に配設され、更に、光ピックアップ部21が配設されたピックアップ基台25は、可動フレーム22に取り付けられる。そして、この可動フレーム22は、弾性体24a,24bに支持されて支持フレーム23a,23bに取り付けられる。図1及び図2に示すように、可動フレーム22は、略矩形をなし、その一方の主面に、位置決めされて光ピックアップ部21が取り付けられたピックアップ基台25が取り付けられる。可動フレーム22は、長手方向に沿って弾性体24a,24bが取り付けられている。具体的に、弾性体24a,24bは、可動フレーム22の各長辺の延長方向に設けられる。可動フレーム22の各長辺に取り付けられる弾性体24a,24bは、ワイヤ等の弾性線状部材であり、可動フレーム22を支持フレーム23に対して弾性支持する。なお、この弾性体24は、ワイヤの他、コイルバネ、板バネ、ゴム等であっても良い。
【0020】
支持フレーム23は、一対であり、一方の支持フレーム23aは、可動フレーム22の長手方向の一方の側を支持し、他方の支持フレーム23bは、可動フレーム22の長手方向の他方の側を支持する。それぞれの支持フレーム23a,23bには、可動フレーム22に対して外側となる両コーナ部に、弾性体24の端部が係止される係止片25aが形成されている。可動フレーム22は、支持フレーム23に弾性体24a,24bによって弾性支持されることになる。
【0021】
可動フレーム22と支持フレーム23a,23bには、支持フレーム23a,23bに対して弾性体24a,24bによって弾性支持された可動フレーム22を変位させる第1の駆動部26が設けられている。図3及び図4に示すように、可動フレーム22を変位させる駆動部26は、長手方向の両側に、磁界発生部材であるマグネット27a,27bと、このマグネット27a,27bに対向配置される第1の電磁石28a,28b,29a,29bとを有する。
【0022】
マグネット27a,27bは、長尺な部材であり可動フレーム22の短辺に平行に裏面に配設され、一端がN極に着磁され他端がS極に着磁されている。第1の電磁石28a,28b,29a,29bは、ボビンにコイルを巻回してなるものであり、可動フレーム22の裏面と対向する支持フレーム23a,23bに取り付けられている。第1の電磁石28a,28bは、支持フレーム23aの可動フレーム22側となる内側に取り付けられ、第1の電磁石29a,29bは、支持フレーム23bの可動フレーム22側となる内側に取り付けられる。第1の電磁石28a,28b,29a,29bは、コイルに流れる駆動電流の向きによって、マグネット27a,27bと対向する端部がN極、S極に切り換わり、対向するマグネット27a,27bと同極となったとき、可動フレーム22を支持フレーム23a,23bから離間させる反発力を発生させ、対向するマグネット27a,27bと異極となったとき、可動フレームを支持フレーム23a,23bに引きつける吸引力を発生させる。すなわち、第1の電磁石28a,28b,29a,29bは、ディスクテーブル12に装着された光ディスク2のディスク面に対して垂直な方向に可動フレーム22を変位させる駆動力を発生させる。
【0023】
また、第2の駆動部30は、図3及び図5に示すように、支持フレーム23a,23bの可動フレーム22側となる内側に立設された支持片31a,31bに取り付けられた第2の電磁石32a,32b,33a,33bを有する。第2の電磁石32a,32b,33a,33bも、ボビンにコイルを巻回してなる。支持フレーム23aに設けられた支持片31aに取り付けられた第2の電磁石32a,32bは、可動フレーム22のマグネット27aの端面と対向し、支持フレーム23bに設けられた支持片31bに取り付けられた第2の電磁石33a,33bは、可動フレーム22のマグネット27bの端面と対向する。第2の電磁石32a,32b,33a,33bは、コイルに流れる駆動電流の向きによって、マグネット27a,27bと対向する端部がN極、S極に切り換わり、対向するマグネット27a,27bと同極となったとき、マグネット27a,27bに対する反発力を発生させ、対向するマグネット27a,27bと異極となったとき、マグネット27a,27bに対する吸引力を発生させる。すなわち、第2の電磁石32a,32b,33a,33bは、ディスクテーブル12に装着された光ディスク2のディスク面と平行な方向に可動フレーム22を変位させる駆動力を発生させる。
【0024】
ところで、図1に示すように可動フレーム22が弾性体24a,24bによって支持された支持フレーム23a,23bは、光ピックアップ部21をディスクテーブル12に装着された光ディスク2の径方向に送り操作する送り機構36が設けられている。この送り機構36は、リニアモータや送りねじ等を用いた機構であって、支持フレーム23a,23bに支持されている光ピックアップ部21を光ディスク2の径方向に送り操作する。ここで、送り機構36は、図1に示すように、可動フレーム22や支持フレーム23a,23bの長手方向が光ディスク2の径方向と直交するように支持している。すなわち、送り機構36は、可動フレーム22や支持フレーム23a,23bの短辺が光ディスク2の径方向となるように支持することによって、光ピックアップ部21の対物レンズ21aが光ディスク2の最内周領域にまでアクセスすることができるようにしている。
【0025】
以上のように構成された光ディスク装置1は、光ディスク2に情報信号を記録し又は光ディスク2に記録されている情報信号の再生をするとき、ディスク回転駆動装置10を駆動して、ディスクテーブル12に装着された光ディスク2を所定速度で回転する。これと共に、光ピックアップ装置20は、半導体レーザを駆動して、光ビームを回転する光ディスク2のディスク面に照射して反射した戻りの光ビームを検出することによって、対物レンズ21aのフォーカシング制御、トラッキング制御、更にはスキュー制御等を行いながら、情報信号の記録や再生を行う。このような対物レンズ21aの制御は、ニ軸アクチュエータ21bの他、上述の第1及び第2の駆動部26,30によって行われる。
【0026】
次に、情報信号の記録再生動作を行う際の光ピックアップ装置20に設けられた第1及び第2の駆動部26,30の動作について説明する。
【0027】
図6は、図4に示す第1の電磁石28a,28b,29a,29bを用いて、ディスクテーブル12に装着されている光ディスク2のラディアル方向に可動フレーム22を傾けた状態を示す。この場合、支持フレーム23a,23bの一方の長辺側に位置する第1の電磁石28a,29aに一方向の駆動電流を供給し、第1の電磁石28b,29bに他方向の駆動電流を供給する。これによって、第1の電磁石28a,29aは、対向するマグネット27a,27bと異極となって吸引力Aを発生させ、第1の電磁石28b,29bは、対向するマグネット27a,27bと同極となって反発力Rを発生させる。光ピックアップ部21が取り付けられている可動フレーム22は、吸引力A及び反発力Rによって弾性体24a,24bが変形し、光ディスク2のラディアル方向に一方の側に傾くことになる。なお、可動フレーム22を図6とは逆方向に傾かせるときには、以上の例と反対の駆動電流を第1の電磁石28a,28b,29a,29bに供給すればよい。これによって、光ピックアップ装置20は、対物レンズ21aの光ディスク2のラディアル方向におけるチルト制御を行うことができる。
【0028】
図7は、図4に示す第1の電磁石28a,28b,29a,29bを用いて、ディスクテーブル12に装着されている光ディスク2のタンジェンシャル方向に可動フレーム22を傾けた状態を示す。この場合、支持フレーム23a,23bの一方の短辺側に位置する第1の電磁石28a,28bに一方向の駆動電流を供給し、第1の電磁石29a,29bに他方向の駆動電流を供給する。これによって、第1の電磁石28a,28bは、対向するマグネット27a,27bと異極となって吸引力Aを発生させ、第1の電磁石29a,29bは、対向するマグネット27a,27bと同極となって反発力Rを発生させる。光ピックアップ部21が取り付けられている可動フレーム22は、吸引力A及び反発力Rによって弾性体24a,24bが変形し、光ディスク2のタンジェンシャル方向に一方の側に傾くことになる。なお、可動フレーム22を図7とは逆方向に傾かせるときには、以上の例と反対の駆動電流を第1の電磁石28a,28b,29a,29bに供給すればよい。これによって、光ピックアップ装置20は、対物レンズ21aの光ディスク2のタンジェンシャル方向におけるチルト制御を行うことができる。
【0029】
図8は、図5に示す第2の電磁石32a,32b,33a,33bを用いて、ディスクテーブル12に装着されている光ディスク2のディスク面と平行に可動フレーム22を回転させた状態を示す。この場合、対角に位置する第2の電磁石32a,33bに一方向の駆動電流を供給し、第2の電磁石32b,33aに他方向の駆動電流を供給する。これによって、第2の電磁石32a,33bは、対向するマグネット27a,27bと異極となって吸引力Aを発生させ、第2の電磁石32b,33aは、対向するマグネット27a,27bと同極となって反発力Rを発生させる。光ピックアップ部21が取り付けられている可動フレーム22は、吸引力A及び反発力Rによって弾性体24a,24bが変形し、光ディスク2のディスク面と平行に一方向に回転することになる。なお、可動フレーム22を図8とは逆方向に回転させるときには、以上の例と反対の駆動電流を第2の電磁石32a,32b,33a,33bに供給すればよい。これによって、光ピックアップ装置20は、対物レンズ21aを光ディスク2のディスク面に平行に回転させることができる。
【0030】
例えば、対物レンズ21aのトラッキング制御等のために、半導体レーザから出射された光ビームを0次光±1次光、更に多くの本数に分光することがある。又は多数の半導体レーザから多くの本数の光ビームを使用することもある。図8の例では、対物レンズ21aを光ディスク2のディスク面と平行に回転させることができ、これにより、複数本の光ビームのスポットの位置の角度調節を行うことができ、複数本の光ビームを所定位置に正確に照射することができる。
【0031】
図9は、図5に示す第2の電磁石32a,32b,33a,33bを用いて、ディスクテーブル12に装着されている光ディスク2のディスク面と平行に可動フレーム22を移動させた状態を示す。この場合、支持フレーム23a,23bの一方の長辺側に位置する第2の電磁石32a,33aに一方向の駆動電流を供給し、第2の電磁石33b,33bに他方向の駆動電流を供給する。これによって、第2の電磁石32a,32aは、対向するマグネット27a,27bと異極となって吸引力Aを発生させ、第2の電磁石32b,33bは、対向するマグネット27a,27bと同極となって反発力Rを発生させる。光ピックアップ部21が取り付けられている可動フレーム22は、吸引力A及び反発力Rによって弾性体24a,24bが変形し、光ディスク2のディスク面と平行に一方向に平行移動することになる。なお、可動フレーム22を図8とは逆方向に移動させるときには、以上の例と反対の駆動電流を第2の電磁石32a,32b,33a,33bに供給すればよい。これによって、光ピックアップ装置20は、対物レンズ21aを光ディスク2のディスク面に平行に、具体的に記録トラックに対して直交する方向に移動させることができ、光ピックアップ部21のニ軸アクチュエータ21bと共に又はニ軸アクチュエータ21bに代わって対物レンズ21aのトラッキング制御を行うことができる。また、第2の駆動部30は、ニ軸アクチュエータ21bに比べてストロークを大きくすることができ、高周波数の振動に対しては、ニ軸アクチュエータ21bで補償し、低周波数の振動に対しては、第2の駆動部30で補償するようにしてもよい。更に、光ディスク2の回転と同期させて対物レンズ21aを記録トラックに対して直交する方向に移動させることで、光ディスク2の偏芯を効果的に制御することができる。
【0032】
図10は、図4に示す第1の電磁石28a,28b,29a,29bを用いて、ディスクテーブル12に装着されている光ディスク2のディスク面と垂直な方向に可動フレーム22を移動させた状態を示す。この場合、第1の電磁石28a,28b,29a,29bの全てに反発力Rを発生させる駆動電流を供給する。これによって、光ピックアップ部21が取り付けられている可動フレーム22は、反発力Rによって弾性体24a,24bが変形し、光ディスク2のディスク面に近接する方向に垂直移動することになる。なお、可動フレーム22を図10とは逆方向に移動させるときには、以上の例と反対の駆動電流を第1の電磁石28a,28b,29a,29bの全てに供給すればよい。これによって、光ピックアップ装置20は、対物レンズ21aを光ディスク2のディスク面に対して垂直に、具体的に対物レンズ21aの光軸方向に移動させることができ、光ピックアップ部21のニ軸アクチュエータ21bと共に又はニ軸アクチュエータ21bに代わって対物レンズ21aのフォーカシング制御を行うことができる。また、対物レンズ21aが光ディスク2に衝突するようなあ振動が加わったときには、対物レンズ21aが光ディスク2のディスク面から離間させるように可動フレーム22を垂直移動させることによって、対物レンズ21aと光ディスク2のディスク面との衝突を防止することができる。すなわち、第1の駆動部26は、ニ軸アクチュエータ21bに比べてストロークを大きくすることができ、高周波数の振動に対しては、ニ軸アクチュエータ21bで補償し、低周波数の振動に対しては、第1の駆動部26で補償するようにしてもよい。
【0033】
なお、記録媒体としては、再生専用型、追記型、書換型の何れの光ディスクであっても良く、また、円形でない異形の光ディスクであっても良い。また、この記録媒体としては、上述したブルーレイディスクと言った高密度記録される第3の光ディスクより更に高密度記録される光ディスクの他、既存の第1乃至第3の光ディスクであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用した光ディスク装置の斜視図である。
【図2】上記光ディスク装置に用いられる光ピックアップ装置の斜視図である。
【図3】可動フレームが支持フレームに弾性体によって支持された状態を示す斜視図である。
【図4】支持フレームに対して可動フレームを移動させる第1の駆動部を示す斜視図である。
【図5】支持フレームに対して可動フレームを移動させる第2の駆動部を示す斜視図である。
【図6】第1の電磁石を用いて、可動フレームをディスクテーブルに装着されている光ディスクのラディアル方向に傾けた状態を示す斜視図である。
【図7】第1の電磁石を用いて、ディスクテーブルに装着されている光ディスクのタンジェンシャル方向に可動フレームを傾けた状態を示す斜視図である。
【図8】第2の電磁石を用いて、ディスクテーブルに装着されている光ディスクのディスク面と平行に可動フレームを回転させた状態を示す平面図である。
【図9】第2の電磁石を用いて、ディスクテーブルに装着されている光ディスクのディスク面と平行に可動フレームを移動させた状態を示す斜視図である。
【図10】第1の電磁石を用いて、ディスクテーブルに装着されている光ディスクのディスク面と垂直な方向に可動フレームを移動させた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 光ディスク装置、2 光ディスク、10 ディスク回転駆動機構、11 スピンドルモータ、12 ディスクテーブル、20 光ピックアップ装置、21 光ピックアップ部、21a 対物レンズ、21b ニ軸アクチュエータ、22 可動フレーム、23a,23b 支持フレーム、24a,24b 弾性体、25a 係止片、26 第1の駆動部、27a,27b マグネット、28a,28b,29a,29b 第1の電磁石、30 第2の駆動部、31a,31b 支持片、32a,32b,33a,33b 第2の電磁石、36 送り機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ピックアップ部が配設される可動フレームと、
上記可動フレームを支持する支持フレームと、
上記支持フレームに対して上記可動フレームが可動するように弾性支持する弾性体と、
上記可動フレーム又は上記支持フレームの何れか一方に配設されるマグネットと何れか他方に配設される電磁石とを有し、上記支持フレームに対して上記可動フレームを移動させる駆動手段とを備える光ディスク装置。
【請求項2】
上記駆動手段は、光ディスクのディスク面に対して垂直方向の駆動力を発生させる第1の駆動部を有する請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
上記駆動手段は、上記光ディスクのディスク面と平行な方向の駆動力を発生させる第2の駆動部を有することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項4】
上記可動フレームは、上記弾性体を介して上記支持フレームに光ディスクの径方向に対して直交するように支持されていることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−344263(P2006−344263A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167318(P2005−167318)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】