説明

光ディスク装置

【課題】光ディスク装置の薄型化のため、光ディスクのローディング及びアンローディング時におけるディスク面の支持高さ位置を低くできる技術を提供する。
【解決手段】装置基盤としての第1に基台に対して変位可能でユニットメカ部の支持部分を構成する第2の基台を覆うカバー部材として、該第2の基台の平面領域のうちユニットメカ部の光ピックアップ移動領域の両側に位置する平面領域を覆い、かつ、該両平面領域のうちイジェクトアーム部材側の平面領域を覆う平面部により、光ディスクのローディングまたはアンローディング時に、回動変位するイジェクトアーム部材を支持する構成とする。また、イジェクトアーム部材は、ローディング終了時、光ディスクの正投影領域外に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に係り、特に、光ディスクをローディング及びアンローディングするイジェクトアーム部材の支持技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連した技術としては、例えば、特開2002−352498号公報(特許文献1)や特開2005−243091号公報(特許文献2)に記載されたものがある。特開2002−352498号公報には、ディスクの外周が当接するガイド101を可動側端部に有し、ディスクの挿入・排出動作に伴って該可動側端部を回動支点102の周りに回動変位させる構成の排出レバー100(イジェクトアーム)を備えたディスク装置が記載され、特開2005−243091号公報には、12cmディスク専用のスロットイン方式のディスク装置において、8cmディスクの進入を阻止するために、8cmディスクの前周縁が当接するストッパ19を先端に有するディスク支持アーム17を備えた構成が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−352498号公報
【特許文献2】特開2005−243091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報記載の従来技術のうち、特開2002−352498号公報記載の排出レバー100は、例えば、図9、図10、図11に示されるように、幅広構成のものを用い、ディスクのローディングが終了した状態においても、該レバーの平面の大部分がディスク外周の内側に位置する構成とされている。該排出レバー100は回動支点102だけで支持されていると考えられるため、ディスクのローディング時は、該排出レバー100によるディスク支持位置を、スピンドルモータ31などの先端部などよりも十分に高くしておかないと、ディスク面が該スピンドルモータ31などに接触して記録面に汚れや損傷が発生するおそれがある。排出レバー100におけるディスク支持位置を高くすることは、ディスク装置の厚さ寸法の増大につながり、薄型化を阻害する。また、ディスクのローディング終了状態においても、排出レバー100の平面がディスク面とオーバーラップする構成のため、ディスクのチャッキングのためにトラバース30がディスク面方向に上昇した場合にも、該排出レバー100が該トラバース30側の部品に押されてディスク面側に変位しないようにするために、該排出レバー100の高さ位置を高くして該トラバース30と該排出レバー100との間の距離を十分大きくする必要がある上、さらに、ディスク回転時にディスク面が該排出レバー100に接触しないようにするために、ディスク面の高さ位置を高くして該排出レバー100とディスク面との間の距離も十分に大きくする必要がある。排出レバー100の高さ位置を高くし、かつ、ディスク面の高さ位置を高くすることは、ディスク装置の厚さ寸法の大幅増大につながり、装置の薄型化を阻害する。
【0005】
上記幅広構成の排出レバー100の場合、該排出レバー100の高さ位置を規制する技術としては、例えば、ベース本体10側またはリアベース13側にガイドシャフト部材など高さ規制用手段を設け、該手段により該排出レバー100の幅広の平面部を支え、ディスクローディング時またはローディング終了時(プレイ動作可能時も含む)における高さ規制を行う構成が考えられるが、ローディング終了状態において該排出レバー100の平面がディスク面とオーバーラップする構成である限り、装置の厚さ寸法の削減化は、上記理由から困難であると考えられる。
【0006】
また、特開2005−243091号公報記載の技術では、ディスク支持アーム17として、幅狭構成のものであって、12cmディスクのローディング時に該ディスクに押されて支点周りに揺動し、ディスクのローディングが終了した状態では、ディスク外周の外側に位置するものが開示されている(図2及び図7)が、該ディスク支持アーム17の支持は全てその揺動支点で行うようになっている。このため、ディスクローディング時、該ディスク支持アーム17におけるディスク支持位置を、クランプヘッド7やターンテーブル10よりも十分に高い位置にしておかないと、ディスク面がクランプヘッド7やターンテーブル10に接触して汚れや損傷を発生する。ディスク支持アーム17におけるディスク支持位置を高くすることはやはり、ディスク装置の厚さ寸法の増大につながり、薄型化を阻害する。
【0007】
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、光ディスク装置において、光ディスクのローディング及びアンローディング時におけるディスク面保護を確保した状態で、ディスク面の高さ位置を低くし、装置のより一層の薄型化を図れるようにすることである。
本発明の目的は、かかる課題点を解決し、信頼性の高い薄型構成の光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題点を解決するために、本発明では、光ディスク装置において、装置基盤としての第1に基台に対して変位可能でユニットメカ部の支持部分を構成する第2の基台を覆うカバー部材を、該第2の基台の平面領域のうちユニットメカ部の光ピックアップ移動領域の両側に位置する平面領域を覆い、かつ、光ディスクのローディングまたはアンローディング時に、該両平面領域のうちイジェクトアーム部材側の平面領域を覆う平面部により、回動変位するイジェクトアーム部材を支持する構成のものとする。また、イジェクトアーム部材は、ローディング終了時(プレイ動作可能時を含む)に、光ディスクの正投影領域外に位置する構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光ディスク装置の薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1〜図7は本発明の実施例の説明図である。図1は、本発明の一実施例としてのスロットイン型の光ディスク装置の全体構成例図であって、光ディスクがローディングされる前のイニシャル状態を示す図、図2は、図1の光ディスク装置において光ディスクがローディング終了したプレイ動作可能状態(プレイ状態を含む)を示す図、図3は、図1、図2の光ディスク装置におけるイジェクトアーム部材とその支持構造の説明図、図4は、図1、図2の光ディスク装置におけるカバー部材の構造図、図5は、図1、図2の光ディスク装置におけるイジェクトアーム部材の変位特性例を示す図、図6及び図7は、図1、図2の光ディスク装置における薄型化効果の説明図である。なお、各図において、同じ構成要素には同じ符号を付しかつ同じ座標軸を用いるものとする。
【0011】
図1及び図2は、本発明の実施例としての光ディスク装置の表側(ディスク載置側)の構成例図である。
図1及び図2において、1は光ディスク装置、100は、記録媒体としての光ディスク、2は、光ディスク100を回転駆動するディスクモータ、2aは、光ディスクを載置するターンテーブル、3は、ディスクモータ2の回転部上に配され、光ディスク100をその半径方向に支持してチャッキングするクランパ部、4は光ピックアップ、4aは対物レンズ、7は、装置基盤である第1の基台としてのシャーシ、8は、シャーシ7に固定されたブラケット、9は、ディスクモータ2及び光ピックアップ4が搭載されて成るユニットメカ部、91は、ユニットメカ部9の支持部分を構成し、上記シャーシ7に対し該シャーシ7の平面に略直角な平面内で回動変位可能な第2の基台としてのユニットメカデッキ部材、10は、光ディスク装置1の裏面側を覆うボトムケース、31はイジェクトアーム部材、31aは、光ディスク100のローディング時またはアンローディング時に光ディスク100の外周面に当接するイジェクトアーム部材31のディスク当接部、31cは、イジェクトアーム部材31の回動支点、31bは、イジェクトアーム部材31のアーム部、31eは、イジェクトアーム部材31のアーム結合部、30は、ユニットメカデッキ部材91をシャーシ7の平面に略直角な平面内で支点周りに回動させ、シャーシ7に対して昇降変位させる昇降機構、60は、光ピックアップ4を光ディスク100の略半径方向に移動させるリードスクリュー部材(図示なし)を回転駆動する送りモータ、80は、光ディスク100をローディング移動またはアンローディング移動させるための駆動力を発生するローディングモータ、25、26は、ユニットメカデッキ部材91の回動支点、P−P'は、回動支点25、26を通る直線(以下、支点線という)、71は、光ディスク100を装置本体内に引き込むためのディスクスロットアーム部材、72はサブレバー部材である。
【0012】
また、5は、上記ユニットメカデッキ部材91上の平面領域のうち、ユニットメカ部9の光ピックアップ移動領域92(光ピックアップ4が光ディスク100の略半径方向に移動するときに占める空間領域)の両側に位置する平面領域を覆うカバー部材、5aは、該カバー部材5の平面部であって、該両平面領域のうちイジェクトアーム部材31が配された側の平面領域を覆う平面部、5bは、同じくカバー部材5の平面部であって、上記両平面領域のうち送りモータ60やローディングモータ80が配された側の平面領域を覆う平面部である。カバー部材5の平面部5aは、例えば、光ピックアップ4の接続用のフレキシブル配線基板(FPC)のたるみによる持ち上がりなどを防止し、また、同平面部5bは、例えば、上記リードスクリュー部材や送りモータ60などからの潤滑剤が飛散するのを防止することを可能にする。光ディスク装置1において、かかる装置表面側はトップカバー(図示なし)により覆われる。
【0013】
上記イジェクトアーム部材31は、上記回動支点31cが、シャーシ7側に設けられまたは該シャーシ7側の部材に係合されて設けられている。カバー部材5は、平面部5aが、ディスク挿入方向(ローディング時、光ディスク100が挿入移動する方向:Y軸方向)側の端部5aを上記シャーシ7側に拘束されすなわち上記シャーシ7に固定されたブラケット8に当接して拘束され、ディスク排出方向(アンローディング時、光ディスク100が排出移動される方向:−Y軸方向)側の端部5aを上記ユニットメカデッキ部材91側に固定され、また、平面部5bは、ディスク挿入方向側の端部5bも、ディスク排出方向側の端部5bもともに、上記ユニットメカデッキ部材91側に固定されている。このため、ユニットメカデッキ部材91がシャーシ7に対して回動変位するとき、該カバー部材5の平面部5bは、該回動変位によってユニットメカデッキ部材91とともに変位するが、平面部5aは、該回動変位によらずに略一定の高さ位置に保持される。該平面部5aは、ブラケット8の平面部と略同じ高さ位置とされている。該平面部5aは、光ディスク100のローディング時またはアンローディング時、回動する上記イジェクトアーム部材31のアーム部31b(アーム結合部31eよりも先端側の部分を指し、回動支点31cの裏面側部分も含む)に当接して該イジェクトアーム部材31を支持し該イジェクトアーム部材31のZ軸方向の高さ規制を行う。該平面部5aは、光ディスク100のローディングが行われないイニシャル状態(図1)時も、イジェクトアーム部材31に当接して該イジェクトアーム部材31を支持し、該イジェクトアーム部材31のZ軸方向の高さを規制する。
【0014】
上記構成において、例えば、光ディスク100がローディングされるとき、光ディスク100がディスク装置1内にY軸方向に挿入され、該光ディスク100の外周面が、イジェクトアーム部材31のディスク当接部31aに当接して該ディスク当接部31aをY軸方向に押し、イジェクトアーム部材31を回動支点31c周りに矢印Eの方向に回動させる。該回動により、アーム部31bとアーム結合部31eもともに矢印E方向に回動変位する。アーム結合部31eの回動変位量が所定値に達すると、該アーム結合部31eがスイッチ(図示なし)を押し、ローディングモータ80の通電をオン状態にして該ローディングモータ80を回転状態にする。該ローディングモータ80の回転駆動力は、伝達ギヤ列等(図示なし)を経てディスクスロットアーム部材71やサブレバー部材72に伝達され、これらの部材が変位することにより、光ディスク100が自動的に装置本体内のY軸方向に引き込まれる。該引き込み動作時、該光ディスク100の外周面は、イジェクトアーム部材31のディスク当接部31aに当接した状態で該ディスク当接部31aをY軸方向にさらに押し、イジェクトアーム部材31を回動支点31c周りにさらに回動変位させる。該回動変位のとき、イジェクトアーム部材31のアーム部31bは、ローディング開始後すなわち回動変位開始後、ローディング途中までの第1の回動範囲では上記カバー部材5の上記平面部5aに当接した状態で該平面部5aに支持され、該第1の回動範囲に続く、ローディング終了位置(プレイ動作可能位置)を含む第2の回動範囲では、シャーシ7に固定されたブラケット8の平面部により支持される(図2)。ローディング終了位置(プレイ動作可能位置)では、イジェクトアーム部材31のディスク当接部31aは、光ディスク100の外周面から離間した状態とされる(図2)。また、該ローディング終了位置(プレイ動作可能位置)では、該イジェクトアーム部材31は、ディスク当接部31aのみならず、回動支点31c、アーム部31b及びアーム結合部31eを含む全部が、光ディスク100の正投影領域の外部に位置するようにされる(図2)。
【0015】
上記のように、ローディングモータ80の回転駆動力は、昇降機構30にも伝達される。昇降機構30は、ローディングモータ80の回転駆動力が伝達されると、ユニットメカデッキ部材91側に固定されたピン等(図示なし)を駆動してZ軸方向に押し上げて移動変位させる。ピン等が該移動変位することで、ユニットメカデッキ部材91が、回動支点25、26周りすなわち支点線P−P'周りに回動し、該ユニットメカデッキ部材91上のディスクモータ2やターンテーブル2aやクランパ部3を、シャーシ7に対して上昇移動させる。ターンテーブル2aの該上昇移動により、光ディスク100が上昇移動され、トップカバー(図示なし)の内面部に押し当てられた状態でチャッキングされる。該チャッキングは、イジェクトアーム部材31のディスク当接部31aが、光ディスク100の外周面から離間した状態となっているタイミングで行われる。チャッキング後、昇降機構30は、ユニットメカデッキ部材91を所定の位置まで下降させる。該所定位置で光ディスク100のローディングが終了し、該光ディスク100はプレイ動作が可能な状態となる。該ローディング終了状態(プレイ動作可能状態)においては、ユニットメカデッキ部材91の面は、ボトムケース10の内面に対し略平行となる。
本光ディスク装置1では、装置の厚さ寸法(トップカバーの外表面とボトムケース10の外表面との間の距離)が9.5×10−3m以下とされているものとする。
以下、説明中で用いる図1、図2の装置構成における構成要素には、図1、図2の場合と同じ符号を付して用いるとする。
【0016】
図3は、図1、図2の光ディスク装置1におけるイジェクトアーム部材31とその支持構造の説明図である。
図3において、31dは、イジェクトアーム部材31の回動中心、31bは、イジェクトアーム部材31のアーム部31b内にプレス加工等により形成され−Z軸方向に突出した帯状の凸部、5a11は、カバー部材5の平面部5aのディスク挿入方向側の端部5aの一部であって、ブラケット8の下面(−Z軸方向側の面)に当接して係合される係合部分である。他の符号は、図1、図2の場合と同じである。カバー部材5の平面部5aは、片持ち梁の構成を有し、Z軸方向に弾性復元力が作用する構成であり、端部5aの係合部分5a11がブラケット8の下面に係合(係止)されることで、該ブラケット8の下面に弾性復元力を作用させた状態で該ブラケット8により拘束され、所定の高さ位置を保持している。光ディスク100のローディング時には、その途中までの第1の回動範囲にあるイジェクトアーム部材31のアーム部31bの凸部31bが、上記カバー部材5の平面部5aに対して例えば面接触状態で当接して該平面部5aにより支持される。光ディスク100のアンローディング時においても、ローディング時と同様、イジェクトアーム部材31のアーム部31bの凸部31bがカバー部材5の平面部5aに当接して支持される。
【0017】
図4は、図1、図2の光ディスク装置1におけるカバー部材5の斜視図である。
図4において、5cは、平面部5aと平面部5bとの間のスリットである。他の符号は、図1〜図3の場合と同様である。端部5a、5b、5bは、第2の基台としてのユニットメカデッキ部材91側に固定され、端部5aは、ブラケット8によって拘束される。すなわち、端部5b、5b間の平面部5bは、ユニットメカデッキ部材91とともに昇降移動動作を行うが、平面部5aは、ユニットメカデッキ部材91の昇降移動動作にはほとんど影響されず、所定の高さ位置を保持する。本図4のカバー部材5では、端部5aと端部5b間が連続した構成となっているが、該両端部5a、5b間は分離されている構成であってもよい。
【0018】
図5は、図1、図2の光ディスク装置1におけるイジェクトアーム部材31の変位特性例を示す図である。
図5において、特性の横軸は、光ディスク100の光ディスク装置1内への挿入位置(Y軸方向位置)y、縦軸は、イジェクトアーム部材31が光ディスク100の外周面から離間する距離(以下、離間距離という)ζを示す。横軸のyは、光ディスク100が光ディスク装置1内に挿入を開始するY軸方向位置、yは、光ディスク100の外周面がイジェクトアーム部材31のディスク当接部31aに接触(当接)を開始するY軸方向位置、yは、イジェクトアーム部材31の支持が、カバー部材5による支持からブラケット8による支持に切替わるY軸方向位置、yは、光ディスク100の挿入が終了する位置すなわちローディングが終了してプレイ動作が可能となるY軸方向位置である。光ディスク100がY軸方向位置y、y間にあるときは、イジェクトアーム部材31は、カバー部材5の平面部5aに当接して支持され、光ディスク100がY軸方向位置y、y間にあるときは、イジェクトアーム部材31は、ブラケット8の平面部に当接して支持される。Y軸方向位置y、y間の範囲は、イジェクトアーム部材31の第1の回動範囲、Y軸方向位置y、y間の範囲は、イジェクトアーム部材31の第2の回動範囲である。
【0019】
また、図5の特性において、縦軸の離間距離ζがゼロ「0」の点は、イジェクトアーム部材31が、光ディスク100の外周面に直接当接するかまたは光ディスク100の正投影領域に接する位置であり、該離間距離ζが負となる範囲は、イジェクトアーム部材31の一部が、光ディスク100の外周面を越えてディスク面と重なる領域すなわち光ディスク100の正投影領域内に入り込んでいる範囲である。
【0020】
また、図5の特性中、aは、イジェクトアーム部材31のディスク当接部31a近傍の先端部が、光ディスク100の外周面から離間する距離を示す特性線、bは、イジェクトアーム部材31のアーム部31bの回動半径方向の中間部が、光ディスク100の外周面から離間する距離を示す特性線、cは、従来技術におけるイジェクトアーム部材(例えば特開2002−352498号公報記載の排出レバーなど)のアーム部の回動半径方向の中間部が、光ディスク100の外周面から離間する距離を示す特性線である。図1、図2の光ディスク装置1においては、特性線a、bに示されるように、イジェクトアーム部材31は、アーム部31bの回動半径方向の中間部も、ディスク当接部31a近傍の先端部もいずれもが、Y軸方向位置y、y間の範囲で光ディスク100の正投影領域内には入り込まず(先端部が入り込んだとしても入り込み量はわずかである)、少なくともY軸方向位置yにおいては、該イジェクトアーム部材31は、いずれの部分もが光ディスク100の正投影領域の外部に位置するようにされる。これに対し、従来技術におけるイジェクトアーム部材の場合には、特性線cに示されるように、イジェクトアーム部材は、そのアーム部の回動半径方向の中間部が、Y軸方向位置y、y間の範囲で光ディスク100の正投影領域内に入り込み、Y軸方向位置yにおいても、該正投影領域内に入り込んだままである。ディスク当接部近傍の先端部についてもこれとほぼ同様である。
【0021】
図1、図2の光ディスク装置1において、ジェクトアーム部材31の変位特性を特性線a、bのようにし、特に、Y軸方向位置yにおいて、該イジェクトアーム部材31を光ディスク100の正投影領域の外部に位置させることができるのは、主として、イジェクトアーム部材31のアーム部31bを湾曲状にするとともに幅寸法を狭くしていることに基づく。図1、図2の光ディスク装置1においては、回動変位するイジェクトアーム部材31を、カバー部材5の平面部5aとブラケット8の平面で支持する構成としているため、イジェクトアーム部材31の安定な支持が可能となり、この結果、該イジェクトアーム部材31の湾曲状化と狭幅化が可能となっている。すなわち、本発明の実施例としての図1、図2の光ディスク装置1においては、湾曲状で狭幅寸法のイジェクトアーム部材31を、カバー部材5の平面部5aとブラケット8の平面とにより安定に支持することで、装置の薄型化を図っている。
【0022】
図6及び図7は、図1、図2の光ディスク装置1における薄型化効果の説明図である。図6は、図1、図2の光ディスク装置1において、狭幅構造のイジェクトアーム部材31を、カバー部材5の平面部5aとブラケット8の平面で支持する場合の支持構成の断面図、図7は、従来技術におけるように、広幅構造のイジェクトアーム部材をガイドシャフトで支持する場合の支持構成の断面図である。
【0023】
図6において、(a)は、光ディスク100がローディング前のイニシャル状態にある場合すなわち図5のY軸方向位置y、y間位置にある場合、(b)は、光ディスク100がローディングを終了したプレイ可能位置にある場合すなわち図5のY軸方向位置yの位置にある場合である。図6(a)の状態では、y位置で光ディスク100の外周面がイジェクトアーム部材31のディスク当接部31aに接して該イジェクトアーム部材31を矢印E(図1、図3)の方向に押す。このとき、該イジェクトアーム部材31は、アーム部31bにおいて、カバー部材5の平面部5aに当接し該平面部5aによって支持されている。hは、カバー部材5の平面部5aの、ボトムケース10の内面からの高さ寸法、hは、光ディスク100の下面の、ボトムケース10の内面からの高さ寸法、gは、イジェクトアーム部材31のアーム部31bの表面と光ディスク100の下面との間のギャップ寸法、tは、イジェクトアーム部材31のアーム部31bの厚さ寸法、Hは、トップカバー11の外表面とボトムケース10の外表面との間の距離すなわち光ディスク装置の厚さ寸法である。また、(b)の状態では、イジェクトアーム部材31は、ディスク当接部31aが光ディスク100の外周面から離間し、アーム部31bを含むいずれの部分もが光ディスク100の正投影領域の外部に位置し、アーム部31bがブラケット8の平面部に当接して支持されている。hは、クランパ部3にチャッキングされターンテーブル2a上に載置された光ディスク100の下面の、ボトムケース10の内面からの高さ寸法、gは、該光ディスク100の下面とイジェクトアーム部材31のアーム部31bの表面との間のギャップ寸法である。このように、図1、図2に示す光ディスク装置1では、図6(a)、(b)いずれにおいても、イジェクトアーム部材31のアーム部31bの裏面(カバー部材5の平面部5aに当接する面)の高さ位置は、ほぼ高さ寸法hと等しい低位置となり、かつ、ギャップ寸法g、gも小寸法にされる。このため、付随的に、光ディスク100の高さ位置も低位置となる。この結果、光ディスク装置1では、装置の薄型化が可能となる。なお、ユニットメカデッキ部材91は、図6(a)の状態では、ボトムケース10の内面に対し傾斜した状態にあり、図6(b)の状態では、ボトムケース10の内面に対し略平行な状態となる。
【0024】
また、図7においても、(a)は、光ディスク100がローディング前のイニシャル状態にある場合すなわち図5のY軸方向位置y、y間位置にある場合、(b)は、光ディスク100がローディングを終了したプレイ可能位置にある場合すなわち図5のY軸方向位置yの位置にある場合である。図7(a)、(b)において、5'は、ユニットメカデッキ部材上の平面領域を覆うカバー部材、5a'はカバー部材5'の平面部、8'はブラケット、10'はボトムケース、31'は、広幅構造のイジェクトアーム部材、31a'は、光ディスク100の外周面に当接するイジェクトアーム部材31'のディスク当接部、31b'は、イジェクトアーム部材31'の広幅構造のアーム部、31c'は、イジェクトアーム部材31'の回動支点、31d'は、イジェクトアーム部材31'の回動中心、201'は、光ディスク100のローディングまたはアンローディング時にイジェクトアーム部材31'の下面を支持するガイドシャフトである。
【0025】
図7(a)の状態では、イジェクトアーム部材31'は、広幅構造のアーム部31b'がガイドシャフト201'の先端に当接し該先端によって支持されている。h'は、カバー部材5'の平面部5a'の、ボトムケース10'の内面からの高さ寸法、h'は、光ディスク100の下面の、ボトムケース10'の内面からの高さ寸法、g'は、イジェクトアーム部材31'のアーム部31b'の表面と光ディスク100の下面との間のギャップ寸法、j'は、カバー部材5'の平面部5a'とイジェクトアーム部材31'の下面との間のギャップ寸法、t'は、イジェクトアーム部材31'のアーム部31b'の厚さ寸法である。ギャップ寸法j'は、ガイドシャフト201'の高さをカバー部材5'の平面部5a'の高さよりも高くすることにより形成される。
【0026】
また、図7(b)の状態では、イジェクトアーム部材31'は、その広幅構造のアーム部31b'の一部がブラケット8'の平面部に当接し該平面部によって支持されている。ブラケット8'の平面部は、ガイドシャフト201'の先端と略同じ高さ位置に設けられている。△h'は、カバー部材5'の平面部5a'がユニットメカデッキ部材とともに、h'の高さ位置から上昇した距離、h'は、チャッキングされターンテーブル上に載置された光ディスク100の下面の、ボトムケース10'の内面からの高さ寸法、g'は、該光ディスク100の下面とイジェクトアーム部材31'のアーム部31b'の表面との間のギャップ寸法、j'は、カバー部材5'の平面部5a'とイジェクトアーム部材31'の下面との間のギャップ寸法である。
【0027】
かかる図7(a)、(b)においては、イジェクトアーム部材31'のアーム部31b'の裏面(ガイドシャフト201'の先端またはブラケット8'の平面部に当接する面)の高さh'+j'、h'+△h'+j'は、図6(a)、(b)におけるイジェクトアーム部材31のアーム部31bの裏面の高さhより高くなる。例えば、h'=hの場合には、図7(a)、(b)におけるイジェクトアーム部材31'のアーム部31b'の裏面の高さ位置は、図6(a)、(b)におけるイジェクトアーム部材31のアーム部31bの裏面の高さ位置よりも、j'、△h'+j'だけ高くなる。さらに、図7(b)の場合、広幅構造のイジェクトアーム部材31'の一部が光ディスク100の正投影領域内にあるため、光ディスク100は、ディスク面がこれに接触しないようにするために、該イジェクトアーム部材31'の面から十分に離間した高さ位置に配される。すなわち、記録または再生のために光ディスク100が回転する場合、偏心等によってディスク面がZ軸方向に変位しても該ディスク面がイジェクトアーム部材31'に接触しないようにすべく、ギャップ寸法g'を、該ディスク面変位等を見込んだ大きな値とする。このため、図7(b)における光ディスク100の下面の高さh'は、図6(b)における光ディスク100の下面の高さhよりも大きな値となる。例えば、g'=t+gとしたとき、図6(b)の場合は、光ディスク100の下面の高さh=h+t+g=h+g'となるのに対し、図7(b)の場合は、光ディスク100の下面の高さh'=h'+△h'+j'+t'+g'となり、さらに、h'=hの場合は、h'=h+△h'+j'+t'+g'=h+△h'+j'+t'となる。
【0028】
上記のように、図1、図2の光ディスク装置1の場合(図6(a)、(b))は、イジェクトアーム部材31や光ディスクの高さ位置を、従来技術の場合(図7(a)、(b))に比べ、大幅に低位置とすることができる。この結果、図1、図2の光ディスク装置1においては、装置の薄型化が可能となり、装置の厚さ寸法すなわちトップカバー11の外表面とボトムケース10の外表面との間の距離を9.5×10−3m以下とすることが可能とる。また、カバー部材5を利用してイジェクトアーム部材31を支持する構成のため、ガイドシャフト部材などの高さ規制用部材が不要となり、部分数の削減や低コスト化にもつながる。
【0029】
上記のように、本発明の実施例によれば、狭幅構造のイジェクトアーム部材を、安定して支持することができ、光ディスク100のローディング及びアンローディング時におけるディスク面保護を確保した状態で、ディスク面の高さ位置を低くし、装置の薄型化を図ることができる。
【0030】
なお、上記実施例は、スロットイン型の光ディスク装置の場合であるが、本発明の光ディスク装置は、これに限定されず、他の方式・構造の光ディスク装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例としての光ディスク装置の全体構成例図である。
【図2】図1の光ディスク装置のプレイ動作可能な状態を示す図である。
【図3】図1、図2の光ディスク装置におけるイジェクトアーム部材とその支持構造の説明図である。
【図4】図1、図2の光ディスク装置におけるカバー部材の構造図である。
【図5】図1、図2の光ディスク装置におけるイジェクトアーム部材の変位特性例を示す図である。
【図6】図1、図2の光ディスク装置における薄型化効果の説明図である。
【図7】図1、図2の光ディスク装置における薄型化効果の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1…光ディスク装置、
100…光ディスク、
2…ディスクモータ、
2a…ターンテーブル、
3…クランパ部、
4…光ピックアップ、
4a…対物レンズ、
5…カバー部材、
5a、5b…平面部、
7…シャーシ、
8…ブラケット、
9…ユニットメカ部、
91…ユニットメカデッキ部材、
10…ボトムケース、
11…トップカバー、
25、26、31c…回動支点、
31…イジェクトアーム部材、
31a…ディスク当接部、
31b…アーム部、
31e…アーム結合部、
30…昇降機構、
60…送りモータ、
80…ローディングモータ、
71…ディスクスロットアーム部材、
72…サブレバー部材、
P−P'…支点線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イジェクトアーム部材を回動変位させて光ディスクを装置本体に対しローディング及びアンローディングする構成を備えた光ディスク装置であって、
装置基盤としての第1の基台と、
光ピックアップを含むユニットメカ部の支持部分を構成し、上記第1の基台に対し該第1の基台の平面に略直角な平面内で変位可能な第2の基台と、
光ディスクのローディング及びアンローディング時、該光ディスクの外周面に当接した状態で、上記第1の基台の平面に略平行な平面内で回動支点周りに回動変位するイジェクトアーム部材と、
上記第2の基台上の平面領域のうち、上記ユニットメカ部の光ピックアップ移動領域の両側に位置する平面領域を覆い、該両平面領域のうちの上記イジェクトアーム部材側の平面領域を覆う平面部が、ディスク挿入方向側の端部を上記第1の基台側に拘束され、かつ、上記ローディング及びアンローディング時、該拘束状態で上記イジェクトアーム部材に当接して該イジェクトアーム部材を支持するカバー部材と、
を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
上記イジェクトアーム部材は、光ディスクのローディング終了時、光ディスクの正投影領域の外部に位置する構成である請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
上記カバー部材は、上記両平面領域のうちイジェクトアーム部材側の平面領域を覆う平面部が、その上記ディスク挿入方向側の端部を、上記第1の基台側に固定されたブラケットに当接して拘束される構成である請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
上記カバー部材は、上記両平面領域のうちイジェクトアーム部材側の平面領域を覆う平面部が、上記ディスク挿入方向側の端部を、上記第1の基台上に固定されたブラケットに当接して拘束され、かつ、上記両平面領域のうち他方の側の平面領域を覆う平面部が上記第2の基台に固定される構成である請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
上記アーム部材は、光ディスクのローディング開始後、途中までの第1の回動範囲では上記カバー部材の上記平面部に当接して支持され、ローディング終了位置を含む第2の回動範囲では上記第1の基台に固定されたブラケットの平面部により支持される構成である請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
上記カバー部材と上記ブラケットとは、それぞれの上記平面部の高さが互いに略等しくされた構成である請求項5に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
上記カバー部材は、上記平面部のディスク排出方向側の端部が上記第2の基台側に固定された構成である請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項8】
上記第2の基台は、上記第1の基台側に設けられた支点の周りに回動変位する構成である請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項9】
装置の厚さ寸法が9.5×10−3m以下とされた構成である請求項1から8のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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