説明

光ディスク装置

【課題】 万が一光ディスク装置に2枚重ねで光ディスクを挿入した場合でも、光ディスクや光ディスク装置を傷つけることなく光ディスクを取り出すことができる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】 光ディスク12を2枚重ねで無理やり押し込んだ場合、固定ガイド部41と厚さ規制部材43との協働により、2枚重ねの光ディスク12の挿入を防止するようになっている。2枚重ねの光ディスク12を引き出す際は、厚さ規制部材43が引き出し方向に回動するため、光ディスク12および光ディスク装置10をいためることなく、容易に2枚重ねの光ディスク12を取り出すことができることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを2枚重ねて光ディスク装置内へ挿入することを防止する機構、すなわち、光ディスクの2重挿入防止機構を有する光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ディスク識別装置を備えた車載用のオーディオ機器などの光ディスク装置には、複数枚の光ディスクを重ねて挿入することにより光ディスク装置や光ディスクを損傷しないように、複数枚の光ディスクの挿入を防止する機構が設けられている(例えば特許文献1参照)。
すなわち、図8に示すように、特許文献1記載の光ディスク装置100においては、本体101内の開口部102の上側中央および左右に上側ガイド103、104、105を設けるとともに、下側には、中央が低くなるような傾斜を有する下側ガイド106を設けている。そして、上側ガイド103、104、105と下側ガイド106との間隔を光ディスク107の厚さ2枚以下とすることによって光ディスク107を2枚重ねて挿入できないようにしている。
【特許文献1】特開2001−312850号公報(図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、図8に示すように、2枚重ねた光ディスク107を無理に光ディスク装置100に押し込むと、上側ガイド103と下側ガイド106とが光ディスク107を挟み込んで光ディスク107が食い込んだ状態となり、光ディスク107を引き出す際に非常に、大きな力が必要になるとともに光ディスク107を傷つけたり、光ディスク装置100に損傷を与えたりする場合があるという不都合があった。
【0004】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、万が一光ディスク装置に2枚重ねで光ディスクを挿入した場合においても、光ディスクや光ディスク装置を傷つけることなく光ディスクを取り出すことができる光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明にかかる光ディスク装置は、挿入された光ディスクの一方の表面をガイドする固定ガイド部と、前記固定ガイド部に対向するとともに当該固定ガイド部との間に前記光ディスク2枚分の厚さ未満の光ディスク挿入路を形成する厚さ規制部材とを有し、前記厚さ規制部材が前記光ディスクを排出する方向に回動可能とした。
【0006】
このように構成された光ディスク装置においては、万が一、光ディスクを2枚重ねて挿入すると、固定ガイド部と厚さ規制部材との協働により、2枚重ねの光ディスクの挿入を防止するようになっている。2枚重ねの光ディスクを引き出す際は、厚さ規制部材が引き出し方向に回動するため、光ディスクおよび光ディスク装置をいためることなく、容易に2枚重ねの光ディスクを取り出すことができることになる。
【0007】
また、本発明にかかる光ディスク装置は、前記厚さ規制部材が装置の内側において前記光ディスクの外周縁位置に対応する両端部に設けられていることにある。
【0008】
このように構成された光ディスク装置においては、厚さ規制部材が光ディスク挿脱口の内側近傍で且つ光ディスクの外周縁に対応する光ディスク挿脱口の両端部において2枚重ね光ディスクの挿入を防止するので、光ディスク内のデータ記録部に影響を与えることなく、容易に光ディスクを取り出すことができる。
【0009】
また、本発明にかかる光ディスク装置は、前記厚さ規制部材を前記光ディスクの挿入方向に付勢する弾性部材と、前記厚さ規制部材が前記光ディスクの挿入方向への移動を規制するストッパとを有している。
【0010】
このように構成された光ディスク装置においては、厚さ規制部材は常時光ディスク挿入方向へ付勢されてストッパに当接し2枚重ね検出位置に位置決めされているので、光ディスク挿入時に2枚重ねを確実に防止することができるとともに、光ディスクを引き出す際には厚さ規制部材の回動を許容するので、容易に光ディスクを引き出すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光ディスクを2枚重ねで無理やり押し込んだ場合でも、固定ガイド部と厚さ規制部材との協働により、2枚重ねの光ディスクの挿入を防止するようになっている。また、2枚重ねの光ディスクを引き出す際は、厚さ規制部材が引き出し方向に回動するため、光ディスクおよび光ディスク装置をいためることなく、容易に2枚重ねの光ディスクを取り出すことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態の光ディスク装置を内蔵するカーオーディオ装置の全体斜視図、図2はカーオーディオ装置に内蔵されている本発明の実施形態である光ディスク装置の図1中II−II位置から見た平面図、図3は前面パネルと取り外した光ディスク装置の正面図、図4は2枚重ね光ディスク検出機構により2枚重ね光ディスクを検出した状態を示す図3中IV−IV位置の断面図、図5は2枚重ね光ディスクを本体から引き出す状態を示す図3中V−V位置の断面図、図6は2枚重ね光ディスク検出機構の正面図である。
【0013】
このカーオーディオ装置1では、光ディスク装置としての光ディスク装置10のほかにラジオ2、カセットテープ再生装置3等を内蔵しており、前面パネル4には、全機能に共用される表示部4aや電源/ボリュームつまみ4bに加えて、光ディスク装置10における光ディスク挿脱口11、ラジオ用のチューニングつまみ2a、カセットテープ挿脱口3a等が設けられている。また、内部には、ラジオ2、カセットテープ再生装置3、光ディスク装置10等を制御する制御部5が設けられている。
【0014】
図2に示すように、光ディスク装置10は、複数の光ディスクとしての光ディスク12を内部に収納可能な本体13と、この本体13の内部において各光ディスク12を個別に保持する複数のトレイ20とを備えている。
【0015】
また、図2に示すように、本体13内部におけるトレイ20の近傍(図2中右側)には、先端に光ディスク12を挟持して回転するターンテーブル31を有する回動アーム30が、支軸32を中心として回動自在に設けられている。回動アーム30のサスシャーシ33には、図示省略の光ヘッドを備えたピックアップ34が支軸32とターンテーブル31の中心とを結ぶ方向に沿って往復移動自在に設けられており、駆動モータ35によって回転されるリードスクリュ36によって移動するようになっている。
なお、挿脱口11の本体13内側には、上下対を成す搬送ローラ16が設けられており、挿脱口11に挿入された光ディスク12を搬入したり、記録再生が完了した光ディスク12を挿脱口11から排出したりするようになっている。
【0016】
図3から図6に示すように、光ディスク装置10本体13に設けられている光ディスク挿脱口11の内側近傍で光ディスク12の外周縁位置に対応する両端部には、光ディスク12の2枚重ね挿入を防止するための2枚重ね挿入防止機構40が設けられている。
すなわち、本体13の前面に設けられている光ディスク挿脱口11から挿入された光ディスク12の一方の表面をガイドする固定ガイド部41と、この固定ガイド部41に対向するとともに固定ガイド部41との間に光ディスク12の厚さ1枚分以上2枚分未満の光ディスク挿入路42を形成する厚さ規制部材43とを有し、厚さ規制部材43はピン46を中心として光ディスク12を排出する方向(図4において左方向、矢印A)に回動可能に設けられている。
【0017】
また、図3に示すように、固定ガイド部41は、左右両端部に傾斜面41aが設けられており、傾斜面41aの外側端部41bは光ディスク12の外形内で外周縁の近傍であるとともに光ディスクデータ記録エリアの外側に設けられている。
図4から図6に示すように、厚さ規制部材43は、常時弾性部材であるバネ44により光ディスク挿入方向(図4において右方向、矢印B)へ付勢され、ストッパ45に当接して2枚重ね検出位置(図4に表示する位置)に位置決めされている。厚さ規制部材43は、固定ガイド部41の外側端部41bに対向して設けられており、光ディスク12の1枚の厚さよりは大きく、2枚の厚さよりは小さな隙間を形成して光ディスク挿入路42を形成している。
【0018】
従って、光ディスク挿脱口11から1枚の光ディスク12を正常に挿入する際には、図4において下側の光ディスク12のみを挿入する場合に該当し、厚さ規制部材43と固定ガイド部42との間には光ディスク12の1枚分の厚さ以上の空間があるので、光ディスク12は搬送ローラ16によって光ディスク装置10の内部に引き込まれる。
一方、光ディスク12を2枚重ねで挿入する際には、図4において2枚の光ディスク12、12を重ねて挿入する場合に該当し、厚さ規制部材43と固定ガイド部42との間には光ディスク12の2枚分の厚さ未満の空間しか設けられていないので、厚さ規制部材43は光ディスク12の挿入を阻止する。
さらに、挿入を阻止した状態から2枚の光ディスク12、12を無理やり押し込んだ場合には、固定ガイド部41の傾斜面41aに沿って光ディスク12、12の中央部が下方へ撓み、厚さ規制部材43と固定ガイド部41との間に食い込んだ状態となる。
【0019】
2枚重ねの光ディスク12、12が2枚重ね挿入防止機構40により止められている場合には、2枚の光ディスク12、12を排出方向へ引き出すと、光ディスク12が厚さ規制部材43と固定ガイド部41との間に食い込んでいる場合でも、図5に示すように、厚さ規制部材43が排出方向(図5中矢印方向)へ回動可能なので、少なくとも上側の光ディスク12を引き出すことにより、厚さ規制部材43は排出方向へ回動する。このため、2枚の光ディスク12、12は厚さ規制部材43と固定ガイド41との協働による固定から解除されて、排出することができる。
なお、2枚の光ディスク12、12を排出した後は、厚さ規制部材43はバネ44の弾性力によりストッパ45におしつけられて、再び2枚重ね検出位置に戻り、2枚重ね光ディスクの挿入を防止することになる。
【0020】
以上、前述した光ディスク装置10によれば、万が一、光ディスク12を2枚重ねで無理やり押し込んだ場合には、固定ガイド部41と厚さ規制部材43との協働により、2枚重ねの光ディスク12、12の挿入を防止することができる。つまり、2枚重ねの光ディスク12、12は厚さ規制部材43により強く押し付けられることで、押し付けられた位置にとどまり、その位置より先の装置内に挿入されることを防止することができる。さらに、この状態から2枚重ねの光ディスク12、12を引き出す際は、厚さ規制部材43が引き出す方向に回動するため、光ディスク12、12および光ディスク装置10の内部機器をいためることなく、容易に2枚重ねの光ディスク12、12を取り出すことができることになる。
また、厚さ規制部材43が光ディスク挿脱口11の内側近傍で且つ光ディスク12の外周縁に対応する光ディスク挿脱口11の両端部において2枚重ね光ディスク12の挿入を防止する、すなわち、光ディスク12のデータ記録エリアよりも外周側であり、かつ、ディスク外形よりも内周側の位置に厚さ規制部材が設けられて2枚重ね光ディスクの挿入が防止されるので、光ディスクのデータ記録エリア部分をより確実に保護した状態で容易に光ディスク12を取り出すことができる。
【0021】
なお、本発明の光ディスク装置は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態において、厚さ規制部材43は光ディスク12の厚み方向(図4において上下方向)へ回動する構成について説明したが、この他、図7(A)および(B)に示すように、厚さ規制部材43Bを光ディスク外形方向(図4において水平面内外側)へ回動するようにすることも実施可能である。すなわち、厚さ規制部材43Bを、図7(A)中上下方向に設けられているピン46Bの周りに水平に回動可能とするとともに、常時バネ44Bによりストッパ45Bへ当接する方向へ付勢する。このようにすることにより、前述した実施形態と同様に、2枚重ね光ディスクの挿入を防止することができるとともに、光ディスク12を引き出す際に厚さ規制部材43Bが回動することにより、容易に取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明に係る光ディスク装置は、万が一、光ディスクを2枚重ねで無理やり押し込んでも、固定ガイド部と厚さ規制部材との協働により、2枚重ねの光ディスクの挿入を防止するようになっている。また、2枚重ねの光ディスクを引き出す際は、厚さ規制部材が引き出し方向に回動するため、光ディスクおよび光ディスク装置をいためることなく、容易に2枚重ねの光ディスクを取り出すことができるという効果を有し、光ディスク装置内への2重挿入防止機構を有する光ディスク装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の光ディスク装置を内蔵するカーオーディオ装置の全体斜視図
【図2】本発明の実施形態における光ディスク装置の図1中II−II位置から見た平面図
【図3】本発明の実施形態における前面パネルと取り外した光ディスク装置の正面図
【図4】本発明の実施形態における2枚重ね光ディスク検出機構により2枚重ね光ディスクを検出した状態を示す図3中IV−IV位置の断面図
【図5】本発明の実施形態における2枚重ね光ディスクを本体から引き出す状態を示す図3中V−V位置の断面図
【図6】本発明の実施形態における2枚重ね光ディスク検出機構の正面図
【図7】(A)本発明の実施形態とは異なる実施形態を示す要部断面図 (B)本発明の実施形態とは異なる実施形態を示す要部平面図
【図8】従来の光ディスク装置を示す断面図
【符号の説明】
【0024】
10 光ディスク装置
11 光ディスク挿脱口
12 光ディスク(光ディスク)
13 本体
20 トレイ
41 固定ガイド部
42 光ディスク挿入路
43 厚さ規制部材
44 バネ(弾性部材)
45 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入された光ディスクの一方の表面をガイドする固定ガイド部と、前記固定ガイド部に対向するとともに当該固定ガイド部との間に前記光ディスク2枚分の厚さ未満の光ディスク挿入路を形成する厚さ規制部材とを有し、
前記厚さ規制部材が前記光ディスクを排出する方向に回動可能である光ディスク装置。
【請求項2】
前記厚さ規制部材が装置の内側において前記光ディスクの外周縁位置に対応する両端部に設けられている請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記厚さ規制部材を前記光ディスクの挿入方向に付勢する弾性部材と、前記厚さ規制部材が前記光ディスクの挿入方向への移動を規制するストッパとを有した請求項1または2に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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