説明

光ディスク装置

【課題】装置内での干渉を回避しつつ、ガイドシャフトの抜けを防止し、ディスクトレイの開口部を狭くした光ディスク装置を提供することである。
【解決手段】光ピックアップユニットと、該光ピックアップユニットを光ディスクの径方向に移動可能に支持するガイドシャフト31、31とを搭載したトラバースシャーシと、トラバースシャーシを昇降可能に支持するレバーアームと、レバーアームとカム係合し、レバーアームの移動方向と略直交する方向に移動してレバーアームを上下動させるカムスライダーと、小径光ディスク収容凹部22bと、光ピックアップユニットを下方から突入させる開口部22cとを有し、光ディスクを搬送するディスクトレイ22と、を備えた光ディスク装置において、ディスクトレイ22の開口部22cの前端に、トラバースシャーシが昇状態でガイドシャフト31、31の片端に近接するリブ22dを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD、DVD、BD(Blu-ray Disc)等に対して記録/再生を行う光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から光ディスク装置として、光ディスクを載置したディスクトレイを装置本体内に移動させ、装置本体内に設けたディスクホルダ(クランパー)とターンテーブルとの間に光ディスクをクランプし、光ディスクに対して記録又は再生を行うようにしたものが知られている。そして近年、この光ディスク装置のディスクローディング機構を改善したものが種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、トレイの開口部に一部落ち込んだ小径光ディスクの落ち込み部分を当止する当止用リブを開口部の少なくとも片側縁に沿ってトレイの裏面側に形成した光ディスク装置とするか、小径光ディスクの落ち込み部分を当止しつつトレイの挿入に伴って相対的に小径光ディスクを押し戻す押し戻し用突起をカムスライダーの上面又はメインシャーシの前端部の上面に形成した光ディスク装置とするか、当止用リブと押し戻し用突起の双方を形成した光ディスク装置とすることが開示されている。
【0004】
また特許文献2には、シャーシ板を切り起こして形成した端面当接片をガイドシャフトの端面に当接してガイドシャフトの軸方向の抜け止め手段を構成し、シャーシ板を切り起こして鉤型に形成したシャフト保持体により、その切り欠き部を貫通するガイドシャフトを保持し、シャーシ板の下面側からねじ孔に螺入されて上方に突出した調整ねじの端面をガイドシャフトに当接し、調整ねじにより、ガイドシャフトの装着口からの抜け止め及び高さ調整を行うガイドシャフト保持機構を備えた光ディスクドライブが開示されている。
【0005】
また特許文献3には、金属板製シャーシの前部にターンテーブル付きスピンドルモーターが設けられるとともに、シャーシの中央孔内に光ピックアップが配置され、光ピックアップを移動可能に支持する左右一対のガイドシャフトの端部がシャーシ上の4つの支持部材に係合され、各ガイドシャフトの端部とシャーシとの間に捩じりコイルばねを係合させ、その各捩じりコイルばねに抗してシャーシのねじ孔に螺合させた高さ調整ねじの先端を各ガイドシャフトの端部に押しつけており、4つの支持部材が、シャーシをプレス成形する際に切り残した部分を引き起こして適宜折り曲げることにより、シャーシに一体形成されているディスク装置が開示されている。
【0006】
また特許文献4には、ディスクトレイのディスク装填部の中央にディスクトレイに組み込んだホルダークランプ機構により保持されるディスクホルダーを備え、ディスクホルダーがアンローディング状態でホルダークランプ機構に保持されている状態を維持する一方、ローディング状態においてディスクホルダーのホルダークランプ機構による保持が解除されるようにしたディスク装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−234186号公報
【特許文献2】特開2007−66430号公報
【特許文献3】特開2005−332531号公報
【特許文献4】特開2003−223755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように様々な改良がなされている中で、ディスクトレイの規定位置からずれて小径光ディスクが載置された場合、ディスクローディング時にディスクトレイの開口部から小径光ディスクが装置内に落ちるおそれがある。しかしながら、光ピックアップ装置周辺の機構との干渉を避けなければならないため、ディスクトレイの開口部を狭くすることは困難であった。
【0009】
本発明は、装置内での干渉を回避しつつ、ガイドシャフトの抜けを防止し、ディスクトレイの開口部を狭くした光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、光ピックアップユニットと、該光ピックアップユニットを光ディスクの径方向に移動可能に支持するガイドシャフトとを搭載したトラバースシャーシと、前記トラバースシャーシを昇降可能に支持するレバーアームと、前記レバーアームとカム係合し、前記レバーアームの移動方向と略直交する方向に移動して前記レバーアームを上下動させるカムスライダーと、小径光ディスク収容凹部と、前記光ピックアップユニットを下方から突入させる開口部とを有し、光ディスクを搬送するディスクトレイと、を備えた光ディスク装置において、前記ディスクトレイの前記開口部の前端に、前記トラバースシャーシが昇状態で前記ガイドシャフトの片端に近接するリブを設けたことを特徴とする。
【0011】
この構成によると、リブがガイドシャフトの抜け止めの役割をし、トラバースシャーシが昇状態のときに外部衝撃が加わった場合、ガイドシャフトが前方に移動してもリブに当接し、抜け落ちることがない。
【0012】
上記の光ディスク装置において、前記カムスライダーに、前記トラバースシャーシが降状態で前記ガイドシャフトの片端に近接する突起を設けることが望ましい。
【0013】
この構成によると、突起がガイドシャフトの抜け止めの役割をし、トラバースシャーシが降状態のときに外部衝撃が加わった場合、ガイドシャフトが前方に移動しても突起に当接し、抜け落ちることがない。
【0014】
また上記の光ディスク装置において、前記ディスクトレイが収容された状態で、前記リブと前記突起とが近接していることが望ましい。
【0015】
この構成によると、外部衝撃が加わった場合、トラバースシャーシの位置によらず、ガイドシャフトの抜けを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ディスクトレイの開口部の前端に、トラバースシャーシが昇状態でガイドシャフトの片端に近接するリブを設けることにより、トラバースシャーシ前端の切り起こしを廃止し、装置内での干渉を回避しつつ、ガイドシャフトの前方への抜け止めとして機能し、そして、ディスクトレイの開口部が狭くなり小径光ディスクが装置内に落ちにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の光ディスク装置のドライブ装置の平面図である。
【図3】図2からディスクトレイを除いた図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。光ディスク装置1は、光ディスク15の情報の再生、及び光ディスク15への情報の記録を行うことができる。2は、スピンドルモーターであり、光ディスク15は、このスピンドルモーター2の上部に設けられるチャック部(ターンテーブル及びクランパー)に着脱可能に保持される。そして、光ディスク15の情報の記録再生を行う際に、スピンドルモーター2は光ディスク15を連続回転する。スピンドルモーター2の回転制御は、スピンドルモーター制御部3によって行われる。
【0020】
4は、光ピックアップユニット(OPU)であり、光源から出射される光ビームを光ディスク15に照射し、光ディスク15への情報の書き込みと、光ディスク15に記録されている情報の読み取りを可能とする。
【0021】
信号処理部8は、少なくともRF信号処理部9とトラックエラー信号処理部10とフォーカスエラー信号処理部11とを含んでいる。そして、この信号処理部8において、光検出器(不図示)で変換された電気信号に基づいて、RF信号、トラックエラー信号(TE信号)、フォーカスエラー信号(FE信号)を生成する。RF信号はデータ復調部12でデータに復調される。
【0022】
TE信号及びFE信号は、アクチュエータ制御部7に出力される。アクチュエータ制御部7は、これらの信号に基づいて、対物レンズ21を移動可能とする図示しないアクチュエータに駆動信号を供給する。駆動信号が供給されたアクチュエータは、信号に基づいて各部を作動させて、対物レンズ21を光軸と平行な方向に移動して、光ディスク15の記録面15aにフォーカスを追従させるフォーカス制御や対物レンズ21を光ディスク15の半径方向と平行な方向に移動して光ビームのスポット位置を光ディスク15に形成されるトラック位置に追従させるトラッキング制御を行う。
【0023】
その他、レーザ制御手段5は、光ピックアップ4に備えられる半導体レーザから成る光源(不図示)のレーザ出力を制御する。また、全体制御部13は、スピンドルモーター制御部3、レーザ制御部5、ビームエキスパンダ制御部6、アクチュエータ制御部7、信号処理部8、及びデータ復調部12等を制御して、装置全体のコントロールを行う。
【0024】
図2は、本実施形態の光ディスク装置1のドライブ装置の平面図、図3は、図2からディスクトレイを除いた図、図4は、図3のA−A線断面図である。図2〜4では光ピックアップユニット関連の部材を省略している。
【0025】
光ディスク装置1は外観を形成する装置本体の筐体内にドライブ装置20を収容している。ドライブ装置20は、ドライブ装置20の各部材を収容するローダーシャーシ21と、光ディスクを搬送するディスクトレイ22と、ディスクトレイ22の搬送方向(前後方向)に略垂直な方向(上下方向)に旋回して昇降可能なトラバースアッシー23と、トラバースアッシー23の下面の一部(本実施形態では下面の前端付近)を覆ってトラバースアッシー23を支持するとともに上下動する平面視略U字型のレバーアーム24と、レバーアーム24の前部とカム係合し、左右方向(ディスクトレイ22の搬送方向及びトラバースアッシー23の昇降方向と略直交する方向)に移動してレバーアーム24を上下動させるカムスライダー25と、ディスクトレイ22及びカムスライダー25を複数のギヤを介して駆動するモーター(不図示)とを備えている。
【0026】
トラバースアッシー23は、各部材を載せるためのトラバースシャーシ30と、光ピックアップユニット(OPU)(不図示)と、OPUを光ディスクの径方向(前後方向)に移動可能に支持する2本のガイドシャフト31、31と、OPU駆動用のステッピングモーター(不図示)と、トラバースシャーシ30の上面の前寄り部分に設けられ、光ディスクを回転させるスピンドルモーター2と、スピンドルモーター2の上部に設けられたターンテーブル32とを備えている。
【0027】
トラバースアッシー23は、トラバースシャーシ30の前端2点で係止手段33、33によりレバーアーム24に係止され、トラバースシャーシ30の後端2点で係止手段34、34によりローダーシャーシ21に係止されている。係止手段33、34は、ゴム製のOリング及びビスである。
【0028】
上記構成の光ディスク装置において、引き出された状態のディスクトレイ22に光ディスクが載置されると、モーターの駆動によりディスクトレイ22が光ディスク装置1内に搬送される。ディスクトレイ22が所定位置に配されると、ディスクトレイ22へのモーターの駆動力の伝達が解除されてディスクトレイ22が停止し、モーターの駆動によりカムスライダー25が移動し、トラバースアッシー23を上昇させる。これにより、トラバースアッシー23光ディスクに係合し、光ディスクがチャックされる。
【0029】
光ディスクがチャックされると、カムスライダー25へのモーターの駆動力伝達が解除されてカムスライダー25及びトラバースアッシー23が停止する。続いてステッピングモーターの駆動によりOPUが所定位置に移動し、光ディスクに対して記録又は再生を行う。また、光ディスクを取り出す際には上記と逆の動作が行われる。
【0030】
次に、本発明の特徴的な構成部分について詳しく説明する。ディスクトレイ22には、12cmの光ディスクを載置する凹み形状である大径光ディスク収容凹部22aと、8cmの光ディスクを載置する凹み形状である小径光ディスク収容凹部22bとが同心状に形成されている。また、ディスクトレイ22の中央付近には、OPU及びターンテーブル32を下方から突入させる略矩形状の開口部22cが形成されている。したがって、開口部22cはトラバースアッシー23の昇降時にトラバースアッシー23と干渉しない形状及び大きさにする必要がある。
【0031】
また、ディスクトレイ22の開口部22cの前端に、トラバースシャーシ20が昇状態でガイドシャフト31、31の片端(前端)に対向して近接するリブ22dが形成されている。すなわち、リブ22dはトラバースシャーシ20に一体成形され、ディスクトレイ22の開口部22cの前端からトラバースシャーシ20に干渉しない程度に下方に突出している。なお、リブ22dは少なくともガイドシャフト31、31の前端に対向する位置に設ければよい。
【0032】
リブ22dとガイドシャフト31、31の前端とが近接するとは、干渉しない程度まで接近している状態をいう。このように近接していることにより、リブ22dがガイドシャフト31、31の抜け止めの役割をし、トラバースシャーシ20が昇状態のときに外部衝撃が加わった場合、ガイドシャフト31、31が前方に移動してもリブ22dに当接し、抜け落ちることがない。一方、ガイドシャフト31、31の後端はトラバースシャーシ20を切り起こして抜けを防止している。
【0033】
従来は、ガイドシャフト31、31が前方に抜け落ちるのを防ぐために、後端と同じようにトラバースシャーシ20を切り起こして抜け止めとしていた。したがって、この切り起こし部分にディスクトレイ22の開口部22cの前端が干渉しないように、開口部22cの前端は切り起こし部分より前方まで広げられていた。
【0034】
本実施形態ではこの前端の切り起こしをなくし、リブ22dを設けているので、従来の切り起こし部分と開口部の前端との干渉がなくなるので、従来の切り起こしの厚み分だけ開口部22cの前端を後退させている。その分、開口部22cの面積が小さくなり、小径光ディスク収容凹部22bの面積が大きくなる。
【0035】
したがって、ディスクトレイ22の規定位置(小径光ディスク収容凹部22b)からずれて小径光ディスクが載置された場合でも、ディスクローディング時にディスクトレイ22の開口部22cから小径光ディスクが装置内に落ちにくくなる。なお、トラバースシャーシ20の強度を確保する観点からは、トラバースシャーシ20の前端を下方に折り曲げてもよい。
【0036】
このように、ディスクトレイ22にリブ22dを設けることで、トラバースシャーシ20前端の切り起こしに代えてガイドシャフト31、31の前方への抜け止めとして機能し、さらに、開口部22cが狭くなり小径光ディスクが装置内に落ちにくくなる。
【0037】
また、トラバースシャーシ20が降状態のときにガイドシャフト31、31が抜け落ちるのを防止するために、カムスライダー25にトラバースシャーシ20が降状態でガイドシャフト31、31の片端(前端)に対向して近接する突起25a、25aが設けられている。
【0038】
突起25aは、カムスライダー25の後面からガイドシャフト31の前端に向けて突出する丸又は角型の棒状部材であり、カムスライダー25に一体成形されており、ガイドシャフト31の移動によりトラバースシャーシ20と干渉しないようになっている。
【0039】
突起25a、25aとガイドシャフト31、31の前端とが近接するとは、干渉しない程度まで接近している状態をいう。このように近接していることにより、突起25a、25aがガイドシャフト31、31の抜け止めの役割をし、トラバースシャーシ20が降状態のときに外部衝撃が加わった場合、ガイドシャフト31、31が前方に移動しても突起25a、25aに当接し、抜け落ちることがない。
【0040】
また、ディスクトレイ22が収容された状態では、リブ22dと突起25aとが近接している。リブ22dと突起25aとが近接するとは、干渉しない程度まで接近している状態をいう。これにより、トラバースシャーシ20が昇状態又は降状態の何れの状態においてもガイドシャフト31、31は常にリブ22d又は突起25aの何れかで抜けを防止されている状態となる。
【0041】
よって、外部衝撃が加わった場合、トラバースシャーシ20の位置によらず、ガイドシャフト31、31の抜けを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、CD、DVD、BD等に対して記録/再生を行う光ディスク装置に利用でき、例えば、BD・DVDプレーヤ、BD・DVDレコーダ、テレビ一体型BD・DVDレコーダ、BD・DVD記録再生装置搭載のパーソナルコンピュータなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0043】
1 光ディスク装置
15 光ディスク
20 トラバースシャーシ
22 ディスクトレイ
22b 小径光ディスク収容凹部
22c 開口部
22d リブ
24 レバーアーム
25 カムスライダー
25a 突起
31 ガイドシャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ピックアップユニットと、該光ピックアップユニットを光ディスクの径方向に移動可能に支持するガイドシャフトとを搭載したトラバースシャーシと、
前記トラバースシャーシを昇降可能に支持するレバーアームと、
前記レバーアームとカム係合し、前記レバーアームの移動方向と略直交する方向に移動して前記レバーアームを上下動させるカムスライダーと、
小径光ディスク収容凹部と、前記光ピックアップユニットを下方から突入させる開口部とを有し、光ディスクを搬送するディスクトレイと、を備えた光ディスク装置において、
前記ディスクトレイの前記開口部の前端に、前記トラバースシャーシが昇状態で前記ガイドシャフトの片端に近接するリブを設けたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記カムスライダーに、前記トラバースシャーシが降状態で前記ガイドシャフトの片端に近接する突起を設けたことを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記ディスクトレイが収容された状態で、前記リブと前記突起とが近接していることを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−243356(P2012−243356A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113037(P2011−113037)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】