説明

光デバイスの製造方法及び光デバイス

【課題】一対の部材間に介在する電子部品をシール剤層で好適に封止することができるとともに、該シール剤層の面積・形状及び位置を正確に制御することができる光デバイスの製造方法、及び、該光デバイスの製造方法により製造された光デバイスを提供する。
【解決手段】一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材に未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に未硬化の面シール剤部を形成する工程(1−1)と、他方の部材を前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合せる工程(1−2)とを有する光デバイスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の部材間に介在する電子部品をシール剤層で好適に封止することができるとともに、該シール剤層の面積・形状及び位置を正確に制御することができる光デバイスの製造方法、光を遮蔽する部材であっても、一対の部材間に介在する電子部品をシール剤層で好適に封止することができるとともに、電子部品の劣化や部材間のアライメントのズレが発生することを抑制できる光デバイスの製造方法、及び、該光デバイスの製造方法により製造された光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報技術の発達、情報化社会の進展に伴って、電子機器、携帯情報端末(Personal Digital Assistance:PDA)等が盛んに研究、開発されている。これらの電子機器等の多くには、情報を利用者に迅速かつ正確に伝達するため、情報を表示する光デバイスが備え付けられている。
【0003】
このような電子機器等に備え付けられる光デバイスとしては、例えば、液晶表示装置、有機若しくは無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、又は、これらの表示装置にタッチパネルを装着したタッチスクリーン等の電子光学表示装置や、光センサーや受光素子等が、薄型化・軽量化が可能であることから種々研究、開発されている。
なかでも、有機EL表示装置は、互いに対向する一対の電極間に有機発光材料層が挟持された積層体構造を有し、この有機発光材料層に一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極から正孔が注入されることにより有機発光材料層内で電子と正孔とが結合して自己発光を行うことから、バックライトを必要とする液晶表示素子等と比較して視認性がよく、より薄型化が可能であり、しかも直流低電圧駆動が可能であるという利点を有しており、次世代ディスプレイとして着目されている。
【0004】
ところが、このような有機EL表示装置は、有機発光材料層や電極が外気に曝されるとその発光特性が急激に劣化し寿命が短いという問題があった。従って、有機EL表示装置の安定性及び耐久性を高めることを目的として、有機EL表示装置の有機発光材料層や電極を大気中の水分や酸素から遮断する封止技術が不可欠となっている。
【0005】
有機EL表示装置の有機発光材料層や電極を大気中の水分や酸素から遮断する封止技術としては、従来から各種の方法が提案されているが、近年では、一対のガラス基板間に介在する有機発光材料層等を、該有機発光材料層等全体を覆うようにシール剤部を形成して封止する方法が行われている(例えば、特許文献1参照)。
このような方法で有機発光材料層等をシール剤部で封止する場合、該シール剤部は、通常、一方の部材上にスクリーン印刷法等を用いてシール剤を印刷し、有機発光材料等を被覆可能なシール剤部を形成した後、他方の部材を一方の部材にシール剤部を介して貼り合わせ、シール剤部を硬化させて有機発光材料層等を封止するシール剤層を形成していた。
【0006】
また、有機EL表示装置以外の電子光学表示装置についても、その表示方法や駆動原理等はそれぞれ異なるが、その構造が一対の部材間に電子部品が介在しており、該電子部品がシール剤層で封止されている点で共通しており、基本的に上述した有機EL表示装置と同様の方法により製造されている。
【0007】
このような光デバイスの製造方法において、従来、一方の部材上に形成するシール剤部は、目的とする電子光学表示装置の一対の部材間に形成され、他方の部材を充分な強度で隙間等が無いように貼り合わせるために、目的とするシール剤層の厚さよりも厚くなるように形成しておき、他方の部材を貼り合わせる際には、形成したシール剤部を押し潰すようにある程度の押圧力を加えながら行っていた。
【0008】
また、ディスペンス法やスクリーン印刷法等で塗布されるシール剤には、電子部品に凹凸があっても該電子部品との間で隙間が生じることがないように、ある程度の流動性が必要であった。
しかしながら、このような流動性を有するシール剤を塗布してなるシール剤部は、他方の部材を貼り合わせる際に加えられる押圧力によって容易に拡散してしまい、製造する有機EL表示装置等の光デバイスのシール剤層の面積は、当初形成したシール剤部の面積よりも大きくなるものであった。また、通常、スクリーン印刷法等を用いて形成したシール剤部の厚さ等にはムラがあるため、シール剤部の拡散面積・拡散形状等は、他方の部材を貼り合せる際の条件により逐一変化し、正確な面積及び形状のシール剤層を形成することが困難となり、電子部品の封止不良が発生するという問題があった。
【0009】
また、シール剤は、有機EL表示装置や種々の電子光学表示装置に適用する場合、コントラストの向上やカラー化を図るためカラーフィルターやブラックマトリックスを形成した部材を封止に使用する場合がある。この場合、カラーフィルターやブラックマトリックスが光を遮蔽するため、シール剤は、通常の光硬化型のものが使用できず、熱硬化型のものを使用する必要があった。
しかしながら、熱硬化型シール剤は、硬化させる際に高温で長時間加熱する必要があるため、電子部品の劣化や形成したシール剤部の粘度低下による部材間のアライメントのズレが発生するという問題や、シール剤の貯蔵安定性が悪いという問題があった。
【特許文献1】特開2001−357973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の現状に鑑み、一対の部材間に介在する電子部品をシール剤層で好適に封止することができるとともに、該シール剤層の面積・形状及び位置を正確に制御することができる光デバイスの製造方法、及び、該光デバイスの製造方法により製造された光デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明1は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材に未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に未硬化の面シール剤部を形成する工程(1−1)と、他方の部材を前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合せる工程(1−2)とを有する光デバイスの製造方法である。
【0012】
また、本発明2は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光及び/又は熱硬化性のシール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部と未硬化の面シール剤部とを形成する工程(2−1)と、前記未硬化の外枠シール剤部を光照射及び/又は加熱によって増粘させる工程(2−2)と、前記増粘させた外枠シール剤部及び未硬化の面シール剤部を介して他方の部材を前記一方の部材と貼り合わせる工程(2−3)と、前記増粘させた外枠シール剤部及び未硬化の面シール剤部を本硬化させる工程(2−4)とを有する光デバイスの製造方法である。
【0013】
また、本発明3は、一対の部材間に介在する電子部品がシール剤層で封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光及び/又は熱硬化性のシール剤を塗布して、少なくとも前記電子部品を被覆可能な形状の未硬化のシール剤部を形成する工程(3−1)と、前記未硬化のシール剤部の周辺部分を光照射及び/又は加熱によって増粘させる工程(3−2)と、前記シール剤部を介して他方の部材を前記一方の部材と貼り合わせる工程(3−3)と、前記シール剤部を本硬化させる工程(3−4)とを有する光デバイスの製造方法である。
【0014】
また、本発明4は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(4−1)と、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部に光照射を行った後に他方の部材を、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(4−2)とを有する光デバイスの製造方法である。
【0015】
また、本発明5は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に熱硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(5−1)と、前記未硬化の外枠シール剤部に光照射を行った後に他方の部材を、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(5−2)と、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を本硬化させる工程(5−3)とを有する光デバイスの製造方法である。
【0016】
また、本発明6は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光即硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部を形成する工程(6−1)と、前記一方の部材上又は他方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(6−2)と、前記未硬化の面シール剤部に光照射を行った後に前記一方の部材及び他方の部材を、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(6−3)と、前記未硬化の外枠シール剤部に光照射を行う工程(6−4)とを有する光デバイスの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0017】
なお、以下の説明において、本発明1、2、3、4、5及び6の光デバイスの製造方法に共通する事項は、「本発明の光デバイスの製造方法」として説明する。
【0018】
本発明の光デバイスの製造方法は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法である。
上記一対の部材としては特に限定されず、例えば、ガラス、合成樹脂等からなる基板、導電性を有する基板、半導体基板等の板状の基板、ガラス基板上に有機又は無機EL素子等が形成されたデバイス基板及び/若しくは液晶表示パネル等の部材等が挙げられ、製造する光デバイスの種類によって適宜決定される。
例えば、本発明の光デバイスの製造方法で有機EL表示装置を製造する場合、上記一対の部材としては、表面に有機EL素子が形成された基板、及び、電極が形成された封止部材が挙げられ、また、例えば、本発明の光デバイスの製造方法でタッチパネルが貼り合わされた液晶表示装置(タッチスクリーン)を製造する場合、上記部材としては、液晶表示パネル及びタッチパネル等が挙げられる。
【0019】
また、上記電子部品とは、本発明の光デバイスの製造方法により製造される光デバイスの画像表示等の機能に直接的又は間接的に関与する部品であり、後述するシール剤により封止する必要がある部品のことをいう。具体的には、本発明の光デバイスの製造方法により有機EL表示装置を製造する場合、上記電子部品としては、例えば、有機EL素子が挙げられる。
このような電子部品は、上記一対の部材の一方又は両方の表面に形成されている。
【0020】
本発明1の光デバイスの製造方法は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材に未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に未硬化の面シール剤部を形成する工程(1−1)と、他方の部材を前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合せる工程(1−2)とを有する。
【0021】
上記面シール剤部及び外枠シール剤部を構成するシール剤(以下、単にシール剤ともいう)としては特に限定されず、例えば、光及び/又は熱硬化性のシール剤が挙げられる。光及び/又は熱硬化性のシール剤としては特に限定されず、具体的には例えば、従来から光デバイスの製造においてシール剤や封止剤として使用されている光硬化性及び/又は熱硬化性を有する硬化性樹脂組成物が挙げられる(以下、単に光硬化性のシール剤を光硬化性シール剤、熱硬化性のシール剤を熱硬化性シール剤ともいう)。
【0022】
上記面シール剤部及び外枠シール剤部を構成するシール剤の組み合わせとしては特に限定されず、上記光及び/又は熱硬化性のシール剤を適宜組み合わせて用いることができる。また、上記面シール剤部と外枠シール剤部とを構成するシール剤は、同一のシール剤で構成されていてもよく、異なるシール剤で構成されていてもよい。
【0023】
上記光硬化性を有する硬化性樹脂組成物(以下、光硬化性樹脂組成物ともいう)としては特に限定されないが、光重合性化合物と光重合開始剤とを含有するものであることが好ましい。
【0024】
上記光重合性化合物としては、光照射により硬化し得る化合物であれば特に限定されず、例えば、光ラジカル重合性化合物や光カチオン重合性化合物等が挙げられる。
【0025】
上記光ラジカル重合性化合物としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル基等の光照射により反応する重合性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0026】
上記(メタ)アクリル基を有する化合物としては、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル類を用いることができる。
上記単官能(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−メタクロイルオキシエチル−2−ヒドロキシルプロピルフタレート等が挙げられる。
【0027】
上記2官能(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
上記3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えは、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステル類は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記(メタ)アクリル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸変性エポキシ化合物、ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ化合物等も好適に使用される。
【0030】
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ化合物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)アルキル型エポキシ樹脂、テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルキル型エポキシ樹脂等を(メタ)アクリル化したものが好適である。上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型としてはフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、トリスフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエンノボラック型等が挙げられ、また、ビスフェノール型としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールS型、水添ビスフェノール型、ポリオキシプロピレンビスフェノールA型等が挙げられる。
【0031】
なお、上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ化合物は、光及び熱のいずれでも重合可能な物質であるため、上記光重合性化合物以外に、後述する熱硬化性を有する硬化性化合物としても用いることができる。
【0032】
上記光カチオン重合性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ基含有化合物、分子内に少なくとも1個のオキセタニル基を有するオキセタニル基含有化合物等が挙げられる。
上記光カチオン重合性化合物は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよいが、上記シール剤が光カチオン重合性化合物を用いてなる場合、該シール剤の粘度を好ましい範囲とするために、上記光カチオン重合性化合物は、適宜組み合わせて用いられることが好ましい。
【0033】
上記エポキシ基含有化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの市販品としては、例えば、「エピコート806」、「エピコート828」(以上、ジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
また、上記エポキシ基含有化合物としては、他に、比較的粘度の低い脂肪族基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0034】
上記脂肪族基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、セカンダリブチルフェノールモノグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル等のモノグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル等;脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0035】
上記脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、4〜7員環の環状脂肪族基を有する脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。具体的には、1,2:8,9ジエポキシリモネン、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペート、ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
【0036】
上記オキセタニル基含有化合物としては、例えば、フェノキシメチルオキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタンジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルオキセタニルシルセスキオキサンフェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス(((3−エチル3−オキセタニル)メトキシ)メチル)ベンゼン等が挙げられる。なかでも、1,4−ビス(((3−エチル3−オキセタニル)メトキシ)メチル)ベンゼンが好適に用いられ、具体的な市販品としては、例えば、「オキセタンOXT−121」(東亞合成社製)等が挙げられる。
【0037】
上記光重合性化合物のなかでも光カチオン重合性化合物は、硬化収縮が小さく接着力が高いため、好適に用いられる。
【0038】
上記光重合開始剤としては特に限定はされないが、上記光重合性化合物として光ラジカル重合性化合物を用いる場合には、例えば、ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
また、上記光重合性化合物として光カチオン重合性化合物を用いる場合には、上記光重合開始剤としては、例えば、イオン性光酸発生タイプの光重合開始剤や、非イオン性光酸発生タイプの光重合開始剤を用いることができる。
【0040】
上記イオン性光酸発生タイプの光重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類;鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体類等が挙げられる。
上記イオン性光酸発生タイプの光重合開始剤の具体的な市販品としては、例えば、「アデカオプトマーSP150」、「アデカオプトマーSP170」(以上、旭電化工業社製)、「UVE−1014」(ゼネラルエレクトロニクス社製)、「CD−1012」(サートマー社製)等が挙げられる。
【0041】
上記非イオン性光酸発生タイプの光重合開始剤としては、例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスホナート等が挙げられる。
【0042】
上記光重合開始剤の配合量としては特に限定されないが、上記光重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。0.1重量部未満であると、光カチオン重合が充分に進行しなかったり、反応が遅くなりすぎたりすることがある。10重量部を超えると、反応が速くなりすぎて、作業性が低下したり、反応が不均一になったりすることがある。
【0043】
また、上記光硬化性樹脂組成物は、更に、シランカップリング剤、硬化剤、硬化調整剤を含有してもよい。
【0044】
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
上記硬化調整剤は、光照射後の可使時間及び硬化時間を制御するため、本発明の課題達成を阻害しない範囲で用いられてもよい。上記硬化調整剤を含有することで、上記光硬化性樹脂組成物は、光照射終了後徐々に硬化反応が進行するという光後硬化性を付与することができる(以下、硬化調整剤を含有する光硬化性樹脂組成物を光後硬化性シール剤ともいう)。
【0046】
上記硬化調整剤としては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能水酸基含有化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイド;クラウンエーテル等が挙げられる。
上記クラウンエーテルとしては、例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等が挙げられる。なかでも、ポリアルキレンオキサイド、クラウンエーテルが好適に用いられる。具体的な市販品としては、例えば、「PTMG1000」(三菱化学社製)や18−クラウン−6等が挙げられる。
【0047】
上記硬化調整剤の配合量としては特に限定されないが、上記光重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は20重量部である。0.1重量部未満であると、所望の可使時間を得られないことがあり、20重量部を超えると、硬化が遅くなりすぎることがある。より好ましい下限は0.2重量部、より好ましい上限は10重量部である。
【0048】
上記熱硬化性を有する硬化性樹脂組成物(以下、熱硬化性樹脂組成物ともいう)としては特に限定されないが、熱硬化性化合物と硬化剤とを含有するものであることが好ましい。
【0049】
上記熱硬化性化合物としては、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を含有するエポキシ基含有化合物や、分子内に少なくとも1個のオキセタニル基を有するオキセタニル基含有化合物等が挙げられる。これらの化合物としては、上述の光硬化性樹脂組成物において説明したエポキシ基含有化合物及びオキセタニル基含有化合物と同様の化合物を用いことができる。
【0050】
上記硬化剤としては、例えば、1,3−ビス[ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン]等のヒドラジド化合物、ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、変性脂肪族ポリアミン、テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコールービス(アンヒドロトリメリテート)等の酸無水物、各種アミンとエポキシ樹脂との付加生成物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0051】
上記シール剤としては、更に、密着性向上剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤が、本発明の課題達成を阻害しない範囲で含有されていてもよい。
【0052】
また、更に、透湿性、接着強度、硬化収縮及び熱膨張率等を改良するため、本発明の課題達成を阻害しない範囲で充填剤を用いてもよい。
上記充填剤としては、例えば、コロイダルシリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー等の粉体;ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーン等の無機中空体;ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズ、フッ素樹脂ビーズ等の有機球状体;塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーン等の有機中空体;ガラス、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、セルロース等の単繊維等が挙げられる。
また、シール剤層でシールした領域内への水分の浸入を防ぐため、充填剤として吸水材等が用いられてもよい。吸水材の具体例としては、シリカゲル、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属の酸化物等が挙げられる。
【0053】
このようなシール剤を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロール等の混合機を用いて、常温もしくは加温下で、上述した光重合性化合物、熱硬化性化合物、光重合開始剤、硬化制御剤、充填剤、及び添加剤等の各所定量を混合することにより、所望のシール剤を得ることができる。なお、上記光重合性化合物を含有する場合、上記シール剤の製造は、光を遮断した状態で行うことが好ましい。
【0054】
上記面シール剤部を構成するシール剤の粘度としては特に限定はされないが、好ましい下限は0.1Pa・s、好ましい上限は100Pa・sである。0.1Pa・s未満であると、粘度が低すぎて例えば、上記一方の部材上にスクリーン印刷等により外枠シール剤部や面シール剤部を形成したときに、シール剤が流れたり、はじきが生じたりして高精度の印刷を行うことができないことがある。100Pa・sを超えると、粘度が高すぎて印刷ムラが起こりやすくなったり、シール剤部を所望の面積まで押し広げるのに長時間を必要となったりする等の問題が発生する。より好ましい下限は1Pa・s、より好ましい上限は50Pa・sである。
【0055】
上記外枠シール剤部を構成するシール剤の粘度としては特に限定はされないが、好ましい下限が30Pa・sである。30Pa・s未満であると、後述する他方の部材を貼り合せる工程において外枠シール剤部に加えられる押圧力や、面シール剤部が押し広げられる際の面シール剤部による圧力によって、外枠シール剤部がシール剤層の形状を保持することが難しくなる。より好ましい下限は50Pa・sである。また、好ましい上限は500Pa・sである。500Pa・sを超えると、印刷やディスペンサーで外枠シール剤部の塗布が難しくなり、他方の部材を貼り合わせる際に外枠シール剤部を所望の厚さまで押し広げることが困難となる。
なお、本明細書において、上記面シール剤部及び外枠シール剤部を構成するシール剤の粘度は、コーンプレート型粘度計TV−20(トキメック社製)を用い、回転数2.5rpm、温度25℃で測定した場合の値を意味する。
【0056】
本発明1の光デバイスの製造方法において、上記外枠シール剤部を構成するシール剤の粘度は、少なくとも後述する他の部材との貼り合わせ時に、上記面シール剤部を構成するシール剤の粘度よりも高粘度であることが好ましい。他の部材との貼り合わせ時に外枠シール剤部を構成するシール剤の粘度が面シール剤部を構成するシール剤よりも高粘度であることによって、他の部材との貼り合わせ時の押圧力によって、面シール剤部が広げられた場合にも、該面シール剤部は、外枠シール剤部の内側にとどまることになり、電子部品の封止を行う面シール剤部の形状を所望の形状に維持することができる。
【0057】
上記面シール剤分及び外枠シール剤部を構成するシール剤の粘度は、該シール剤の組成の配合や、添加物の量等を適宜調整することで、それぞれ上記範囲とすることができる。
【0058】
このように、外枠シール剤部を構成するシール剤は、上述した範囲の粘度の値を有するシール剤であることが好ましいが、上述したように、上記外枠シール剤部を構成するシール剤は、上記面シール剤部を構成するシール剤と同一のシ−ル剤を用いることも可能である。この場合、上記外枠シール剤部を構成するシール剤の粘度が上述した好ましい範囲を外れることがある。そのため、上記外枠シール剤を構成するシール剤として、面シール剤部を構成するシール剤と同一のシール剤を用いる場合には、後述する方法を用いて外枠シール剤部を増粘させる等の方法により、貼り合わせ時における外枠シール剤部の粘度を上述した好ましい範囲の値にすることが好ましい。また、このように上記外枠シール剤部を増粘させることで、後述する他の部材との貼り合わせ時における外枠シール剤部の粘度を面シール剤部の粘度よりも高粘度とすることもできる。
【0059】
本工程(1−1)では、一方の部材上に未硬化の外枠シール剤部と、面シール剤部とを形成する。
上記面シール剤部は、上記電子部品を被覆する部分であり、その形状としては、上記電子部品を被覆可能な形状であれば特に限定されず、上記電子部品の形状及び大きさに合わせて適宜決定され、例えば、平面視矩形状、円形状、楕円形状、トラック状、多角形状、不定形状等任意の形状が挙げられる。具体的には、本発明1の光デバイスの製造方法で有機EL表示装置を製造する場合、上記シール剤部は、有機発光材料層(有機EL素子)及び電極を完全に被覆する形状であることが好ましい。
上記面シール剤部を構成するシール剤としては、上述した好ましい範囲の粘度の値を有するシール剤であることが好ましい。
【0060】
上記外枠シール剤部は、上記一方の部材上で面シール剤部を囲繞するように形成すればよく、その形状としては特に限定されず、上記面シール剤部の形状に合わせて適宜決定される。なお、上記外枠シール剤部は、閉じた形状のパターンであることが好ましい。外枠シール剤部が閉じた形状であることにより、後述する他の部材との貼り合わせ時の押圧力によって、面シール剤部が広げられた場合にも、該面シール剤部は、外枠シール剤部の内側にとどまることになり、電子部品の封止を行う面シール剤部の形状を所望の形状に維持することができ、好適である。
なお、図1に平面視正方形の面シール剤部1、及び、面シール剤部1を囲繞する外枠シール剤部2の一例を示す。
【0061】
本工程(1−1)において、上記面シール剤部と外枠シール剤部とは、間隔を空けて形成してもよく、上記面シール剤部が上記外枠シール剤部の内側を埋めるようにして形成してもよい。上記面シール剤部と外枠シール剤部とを間隔を空けて形成する場合、該間隔としては特に限定されないが、後述する工程(1−2)において、他方の部材から加えられる押圧力により上記面シール剤部及び外枠シール剤が押し広げられた際に、隙間が生じることのないように調整することが好ましい。
【0062】
なお、本発明1の光デバイスの製造方法において、上記面シール剤部と外枠シール剤部とは、異なる部材上に形成してもよい。この場合、後述する工程(1−2)において、一方の部材上に形成した外枠シール剤部の内側に上記面シール剤部が収まるように形成することが好ましい。
【0063】
上記面シール剤部及び外枠シール剤部を形成する方法としては特に限定されず、例えば、上述したシール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布、フレキソ印刷、グラビア印刷等の方法で塗布する方法が挙げられる。
上記面シール剤部と外枠シール剤部とは、同時に形成してもよく、それぞれ別個に形成してもよい。また、上記外枠シール剤部の内側を埋めるようにして上記面シール剤部を形成する場合には、上記外枠シール剤部を形成後、面シール剤部を形成するシール剤を滴下してもよい。
【0064】
形成する上記面シール剤部及び外枠シール剤部の高さとしては、上記電子部品の形状及び大きさ、製造する光デバイス等によって適宜決定され特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は100μmである。10μm未満であると、高さの制御が難しくなり、100μmを超えると、厚くなりすぎ上記電子部品の封止が不充分となりやすくなる。
【0065】
本発明1の光デバイスの製造方法では、上記面シール剤部を構成するシール剤と外枠シール剤部を構成するシール剤が同一の場合には、本工程(1−1)を行った後に、形成した未硬化の外枠シール剤部を上述の好ましい範囲内で増粘させることが好ましい。
上記未硬化の外枠シール剤部を増粘させることで、該外枠シール剤部の流動性は、上記面シール剤部を構成するシール剤の流動性よりも低下する。そのため、後述する工程(1−2)において、上記面シール剤部と外枠シール剤部とを押し潰すような押圧力を加えながら他方の部材を貼り付けた場合であっても、上記外枠シール剤部は、その流動性の低さから拡散することがなく、ほぼ均等に押し広げられ、上記他方の部材を貼り合せた後の外枠シール剤部の面積及び形状を正確に制御することができる。従って、その後面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させて製造した光デバイスは、上記面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させてなるシール剤層の形状及び面積を正確に目的通りに制御することができる。
また、上記電子部品を被覆する部分である面シール剤部は、粘度を低くして流動性を比較的高い状態にすることができるため、製造する光デバイスのシール剤層と電子部品との間に隙間が発生することもない。
更に、一方の部材上に形成した外枠シール剤部を増粘させることで、面シール剤部及び外枠シール剤部を形成する際に使用するシール剤の粘度を低くすることができ、例えば、スクリーン印刷法等の印刷法等によりシール剤部を形成する場合の印刷性が良好となる。
【0066】
上記未硬化の外枠シール剤部を増粘させる方法としては特に限定されないが、例えば、上記一方の部材上に形成した外枠シール剤部のみを露出させる石英マスク等のマスクを用いて光照射及び/又は加熱によって上記露出した外枠シール剤部のみを増粘させる方法が好適である。正確に上記シール剤部の周辺部分のみを増粘させるとこができるからである。
【0067】
上記外枠シール剤部を構成するシール剤が、上述した光硬化性樹脂組成物又は光後硬化性シール剤からなる場合、上記外枠シール剤部を光照射により増粘させる。
上記光を照射するための光源としては特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロフェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0068】
上記外枠シール剤部を光照射により増粘させる場合、照射する光としては、例えば、光カットフィルター等を用いて、熱線や波長300nm未満の光を除去した光であることが好ましい。熱線は、照射の温度を上昇させるため、寸法精度を低下させたり、材料を劣化させたりする可能性がある。また、波長300nm未満の光は、エネルギーが大きすぎるためシール剤部の周辺部分以外も増粘させてしまったり、例えば、有機EL表示装置の有機発光材料や電極等を損傷したりする。
【0069】
また、照射する光量としては、使用するシール剤の材料に依存するため特に限定されないが、例えば、波長365nmの光を照射する場合、露光量の好ましい下限は100mJ/cm、好ましい上限は5000mJ/cmである。100mJ/cm未満であると、上記外枠シール剤部を充分に増粘させることができない場合や、充分な増粘に長時間を要することがあり、5000mJ/cmを超えると、上記外枠シール剤部を増粘させるには充分であり、上記面シール剤部を反応させ増粘させてしまうことがある。
【0070】
また、上記光硬化性樹脂組成物が光カチオン重合性化合物を含有する場合、該光カチオン重合性化合物の硬化させる際に光カチオン重合をより促進して、硬化時間をより短縮するために、光照射と同時に加熱を行ってもよい。上記加熱硬化を併用する場合、加熱温度としては特に限定されないが、好ましい下限は50℃、好ましい上限は100℃であり、より好ましい下限は60℃、より好ましい上限は80℃である。
【0071】
上記外枠シール剤部を構成するシール剤が、上述した熱硬化性組成物からなる場合、上記外枠シール剤部を加熱により増粘させる。
【0072】
上記外枠シール剤部を加熱により増粘させる方法としては特に限定されないが、赤外線等の放射熱による加熱が好適である。
上記加熱温度としては特に限定されないが、好ましい下限は50℃、好ましい上限は100℃である。50℃未満であると、上記外枠シール剤部を充分に増粘させることができないことがあり、100℃を超えると、上記面シール剤部も増粘させてしまうことがある。より好ましい下限は60℃、より好ましい上限は80℃である。
【0073】
本発明1の光デバイスの製造方法は、他方の部材を未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合せる工程(1−2)を有する。
【0074】
上記他方の部材上に上記電子部品が形成されている場合、上記一方の部材上に形成した面シール剤部により被覆されるように、上記他方の部材を貼り合せる。このとき、上記一方の部材と他方の部材とを充分な強度で貼り付けるために、上記一方の部材上に形成した外枠シール剤部と面シール剤部とを押し潰すような押圧力を加えながら上記他方の部材を貼り付けることが好ましい。
【0075】
また、本工程(1−2)は、減圧雰囲気中で行うことが好ましい。上記面シール剤部及び外枠シール剤部中に気泡が混入してしまうことを防止するためである。具体的には、本工程(1−2)を行う際の真空度の好ましい下限は0.01kPa、好ましい上限は10kPaである。0.01kPa未満であると、真空装置の気密性や真空ポンプの能力から真空状態を達成するのに時間がかかるため現実的でなく、10kPaを超えると、上記他方の部材を貼り合わせる際の面シール剤部や外枠シール剤部中の気泡の除去が不充分となることがある。
【0076】
本発明1の光デバイスの製造方法は、その後、上記面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させることで、光デバイスを製造することができる。
上記シール剤部を本硬化させる方法としては特に限定されず、上述した外枠シール剤部を増粘させる方法と同様に光照射及び/又は加熱する方法が挙げられる。
なお、本明細書において、「本硬化」とは、増粘させた外枠シール剤部及び面シール剤部の全体を完全に硬化させることを意味する。
また、上記一方の部材及び他方の部材のいずれもが非透明な部材からなる場合、上記面シール剤部及び外枠シール剤部を構成するシール剤として光後硬化性シール剤を用い、光照射後に貼り合わせてから加熱又は静置することにより本硬化させるか、又は、熱硬化性のシール剤を用いて、加熱により本硬化させることが好ましい。
【0077】
光照射により上記本硬化を行う場合、照射する光の波長は、上述した光カットフィルター等を用いて、熱線や波長300nm未満の光を除去した光で行うことが好ましい。なお、上述した外枠シール剤部を増粘させる際に光照射と同時に加熱を行った場合、本硬化においても、光照射と同時に加熱を行ってもよい。
また、加熱により本硬化を行う場合、その条件としては、上述した外枠シール剤部を増粘させた場合と同様の条件であることが好ましい。
【0078】
本発明2の光デバイスの製造方法は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光及び/又は熱硬化性のシール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部と未硬化の面シール剤部とを形成する工程(2−1)と、前記未硬化の外枠シール剤部を光照射及び/又は加熱によって増粘させる工程(2−2)と、前記増粘させた外枠シール剤部及び未硬化の面シール剤部を介して他方の部材を前記一方の部材と貼り合わせる工程(2−3)と、前記増粘させた外枠シール剤部及び未硬化の面シール剤部を本硬化させる工程(2−4)とを有する。
【0079】
本発明2の光デバイスの製造方法は、一方の部材上に光及び/又は熱硬化性のシール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部と未硬化の面シール剤部とを形成する工程(2−1)を有する。
【0080】
本工程(2−1)において、上記光及び/又は熱硬化性のシール剤としては、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した光及び/又は熱硬化性のシール剤と同様のものが挙げられる。
本発明2の光デバイスの製造方法における工程(2−1)としては、上記光及び/又は熱硬化性のシール剤を用いる以外は、上述した本発明1の光デバイスの製造方法における工程(1−1)と同様の工程が挙げられる。
また、本工程(2−1)において、上記外枠シール剤部と面シール剤部とは、スクリーン印刷法等を用いて同時に形成することが好ましい。
【0081】
上記光及び/又は熱硬化性のシール剤の粘度としては特に限定されないが、本発明1の光デバイスの製造方法において用いる面シール剤部を構成するシール剤と同様の範囲の値を示すことが好ましい。
【0082】
本発明2の光デバイスの製造方法は、上記未硬化の外枠シール剤部を光照射及び/又は加熱によって増粘させる工程(2−2)を有する。
上記外枠シール剤部を増粘させる方法としては特に限定されないが、例えば、上記一方の部材上に形成した外枠シール剤部のみを露出させる石英マスク等のマスクを用いて上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した外枠シール剤部を増粘させる場合と同様の方法により、光照射及び/又は加熱によって上記露出した外枠シール剤部のみを増粘させる方法が好適である。正確に上記シール剤部の周辺部分のみを増粘させるとこができるからである。
【0083】
また、増粘後の上記外枠シール剤部の粘度としては特に限定されないが、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において用いる外枠シール剤部を構成するシール剤と同様の範囲の値を示すことが好ましい。
増粘させたシール剤の粘度を測定する方法としては特に限定されないが、例えば、増粘後の粘度測定用として、本発明のパネル製造方法と同様の条件で増粘させたものを別途用意し、その一部を採取して粘度測定を行ってもよいし、粘度計の試料台上で、本発明のパネル製造方法と等しい条件となるように増粘させたものについて粘度測定を行ってもよい。
【0084】
本工程(2−2)において、上記外枠シール剤部を増粘させるその他の条件等としては特に限定されず、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において、外枠シール剤部を増粘させる場合と同様の条件等が挙げられる。
【0085】
本発明2の光デバイスの製造方法は、上記増粘させた外枠シール剤部及び未硬化の面シール剤部を介して他方の部材を上記一方の部材と貼り合わせる工程(2−3)を有する。
本工程(2−3)は、上述した本発明1の光デバイスの製造方法の工程(1−2)において、外枠シール剤部及び面シール剤部を介して他方の部材を一方の部材と貼り合せる場合と同様に、上記面シール剤部と外枠シール剤部とを押し潰すような押圧力を加えながら行うことが好ましい。
また、本工程(2−3)は、上記本発明1の光デバイスの製造方法の工程(1−2)と同様に減圧雰囲気中で行うことが好ましい。
【0086】
本発明2の光デバイスの製造方法では、上述した工程(2−2)において、上記一方の部材上に形成した外枠シール剤部を増粘させるため、該外枠シール剤部の流動性は低下している。そのため、本工程(2−3)において、上記面シール剤部と外枠シール剤部とを押し潰すような押圧力を加えながら他方の部材を貼り付けた場合であっても、上記外枠シール剤部は、その流動性の低さから拡散することがなく、ほぼ均等に押し広げられ、上記他方の部材を貼り合せた後の外枠シール剤部の面積及び形状を正確に制御することができる。従って、その後面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させて製造した光デバイスは、上記面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させてなるシール剤層の形状及び面積を正確に目的通りに制御することができる。
また、上記電子部品を被覆する部分である面シール剤部は、粘度を低くして流動性を比較的高い状態にすることができるため、製造する光デバイスのシール剤層と電子部品との間に隙間が発生することもない。
更に、一方の部材上に形成した外枠シール剤部を増粘させる工程(2−2)を有するため、面シール剤部及び外枠シール剤部を形成する際に使用するシール剤の粘度を低くすることができ、例えば、スクリーン印刷法等の印刷法等によりシール剤部を形成する場合の印刷性が良好となる。
【0087】
本発明2の光デバイスの製造方法は、上記増粘させた外枠シール剤部及び未硬化の上記面シール剤部を本硬化させる工程(2−4)を有する。
本工程(2−4)において、上記面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させる条件としては特に限定されず、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において、面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させる条件と同様の条件が挙げられる。
【0088】
本発明3の光デバイスの製造方法は、一対の部材間に介在する電子部品がシール剤層で封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光及び/又は熱硬化性のシール剤を塗布して、少なくとも前記電子部品を被覆可能な形状の未硬化のシール剤部を形成する工程(3−1)と、前記未硬化のシール剤部の周辺部分を光照射及び/又は加熱によって増粘させる工程(3−2)と、前記シール剤部を介して他方の部材を前記一方の部材と貼り合わせる工程(3−3)と、前記シール剤部を本硬化させる工程(3−4)とを有する。
【0089】
本発明3の光デバイスの製造方法は、一方の部材上に光及び/又は熱硬化性のシール剤を塗布して、少なくとも前記電子部品を被覆可能な形状の未硬化のシール剤部を形成する工程(3−1)を有する。
本発明3の光デバイスの製造方法において、上記光及び/又は熱硬化性のシール剤としては、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した光及び/又は熱硬化性のシール剤と同様のものが挙げられる。
【0090】
上記光及び/又は熱硬化性のシール剤の粘度としては特に限定されないが、本発明1の光デバイスの製造方法において用いる面シール剤部を構成するシール剤と同様の範囲の値を示すことが好ましい。
【0091】
本工程(3−1)では、上記シール剤を一方の部材上に塗布して、少なくとも上記電子部品を被覆可能な形状のシール剤部を形成する。
上記一方の部材上にのみ上記電子部品が形成されている場合、上記シール剤部は、上記電子部品を完全に被覆するように上記一方の部材上に形成する。一方、上記一方の部材上に上記電子部品が形成されていない場合、上記シール剤部は、後述する工程(3−3)において他方の部材を貼り合せる際に、該他方の部材上に形成された電子部材が完全に被覆されるように、上記一方の部材上に形成する。更に、上記一方の部材上と他方の部材上との両方に上記電子部品が形成されている場合、上記シール剤部は、上記電子部品を完全に被覆するとともに、後述する工程(3−3)において他方の部材を貼り合せる際に、該他方の部材上に形成された電子部品が完全に被覆されるように、上記一方の部材上に形成する。
【0092】
上記一方の部材上に形成するシール剤部の形状としては、上記電子部品を被覆可能な形状であれば特に限定されず、上記電子部品の形状及び大きさに合わせて適宜決定され、例えば、平面視矩形状、円形状、楕円形状、トラック状、多角形状、不定形状等任意の形状が挙げられる。具体的には、本発明3の光デバイスの製造方法で有機EL表示装置を製造する場合、上記シール剤部は、有機EL素子及び電極を完全に被覆する形状であることが好ましい。
【0093】
上記シール剤部の高さとしては、上記電子部品の形状及び大きさ、製造する光デバイス等によって適宜決定され特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は100μmである。10μm未満であると、高さの制御が難しくなり、100μmを超えると、厚くなりすぎ上記電子部品の封止が不充分となりやすくなる。
【0094】
上記シール剤部を形成する方法としては特に限定されず、例えば、上述したシール剤をスクリーン印刷、ディスペンザー塗布、フレキソ印刷、グラビア印刷等の方法で塗布する方法が挙げられる。なかでも、スクリーン印刷が好適に用いられる。
【0095】
本発明3の光デバイスの製造方法は、上記シール剤部の周辺部分を光照射及び/又は加熱によって増粘させる工程(3−2)を有する。
なお、本明細書において、上記「周辺部分」とは、上記シール剤部で上記電子部品を被覆した際に、該電子部品の外周よりも外側に位置するシール剤部の外周付近のことを意味する。
【0096】
上記シール剤部の周辺部分を増粘させる方法としては特に限定されないが、例えば、上記一方の部材上に形成したシール剤部の周辺のみを露出させる石英マスク等のマスクを用いて、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において外枠シール剤部を増粘させる場合と同様の方法により光照射及び/又は加熱によって上記露出したシール剤部のみを増粘させる方法が好適である。正確に上記シール剤部の周辺部分のみを増粘させるとこができるからである。
【0097】
また、増粘後の上記シール剤部の周辺部の粘度としては特に限定されないが、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において用いる外枠シール剤部を構成するシール剤と同様の範囲の値を示すことが好ましい。
増粘させたシール剤の粘度を測定する方法としては特に限定されないが、例えば、増粘後の粘度測定用として、本発明のパネル製造方法と同様の条件で増粘させたものを別途用意し、その一部を採取して粘度測定を行ってもよいし、粘度計の試料台上で、本発明のパネル製造方法と等しい条件となるように増粘させたものについて粘度測定を行ってもよい。
【0098】
本工程(3−2)において、上記シール剤部の周辺部分を増粘させるその他の条件等としては特に限定されず、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において、外枠シール剤部を増粘させる場合と同様の条件等が挙げられる。
【0099】
本発明3の光デバイスの製造方法は、上記シール剤部を介して他方の部材を前記一方の部材と貼り合わせる工程(3−3)を有する。
【0100】
上記他方の部材上に上記電子部品が形成されている場合、上記一方の部材上に形成したシール剤部の周辺部分以外の増粘していないシール剤部により電子部品が被覆されるように、上記他方の部材を貼り合せる。このとき、上記一方の部材と他方の部材とを充分な強度で貼り付けるために、上記一方の部材上に形成したシール剤部を押し潰すような押圧力を加えながら上記他方の部材を貼り付けることが好ましい。
【0101】
本発明3の光デバイスの製造方法では、上述した工程(3−2)において、上記一方の部材上に形成したシール剤部の周辺部分を増粘させるため、該周辺部分の流動性は低下している。そのため、本工程(3−3)において、上記シール剤部を押し潰すような押圧力を加えながら他方の部材を貼り付けた場合であっても、上記シール剤部の周辺部分は、その流動性の低さから拡散することがなく、ほぼ均等に押し広げられ、上記他方の部材を貼り合せた後のシール剤部の面積及び形状を正確に制御することができる。従って、その後シール剤部を本硬化させて製造した光デバイスは、上記シール剤部を本硬化させてなるシール剤層の形状及び面積を正確に目的通りに制御することができる。
また、上記シール剤部の周辺部分以外の上記電子部品を被覆する部分のシール剤部は、粘度を低くして流動性を比較的高い状態にすることができるため、製造する光デバイスのシール剤層と電子部品との間に隙間が発生することもない。
更に、一方の部材上に形成したシール剤部の周辺部を増粘させる工程(3−2)を有するため、該シール剤部を形成する際に使用するシール剤の粘度を低くすることができ、例えば、スクリーン印刷法等の印刷法等によりシール剤部を形成する場合の印刷性が良好となる。
【0102】
本工程(3−3)は、減圧雰囲気中で行うことが好ましい。上記シール剤部中に気泡が混入してしまうことを防止するためである。具体的には、本工程(3−3)を行う際の真空度の好ましい下限は0.01kPa、好ましい上限は10kPaである。0.01kPa未満であると、真空装置の気密性や真空ポンプの能力から真空状態を達成するのに時間がかかるため現実的でなく、10kPaを超えると、上記他方の部材を貼り合わせる際のシール剤部中の気泡の除去が不充分となることがある。
【0103】
本発明3の光デバイスの製造方法は、上記シール剤部を本硬化させる工程(3−4)を有する。
上記シール剤部を本硬化させる方法としては特に限定されず、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した、面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させる条件と同様の条件が挙げられる。
【0104】
本発明4の光デバイスの製造方法は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(4−1)と、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部に光照射を行った後に他方の部材を、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(4−2)とを有する。
【0105】
本発明4の光デバイスの製造方法は、一方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(4−1)を有する。
本工程(4−1)において、上記光後硬化性シール剤としては、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した光後硬化性シール剤と同様のものが挙げられる。
本発明4の光デバイスの製造方法における工程(4−1)は、上記光後硬化性シール剤を用いる以外は、上述した本発明1の光デバイスの製造方法における工程(1−1)と同様の工程が挙げられる。
【0106】
また、上記外枠シール剤部及び面シール剤部を構成するシール剤の粘度としては特に限定されないが、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した外枠シール剤部及び面シール剤部を構成するシール剤とそれぞれ同様の範囲の値を示すことが好ましい。
【0107】
本発明4の光デバイスの製造方法は、未硬化の上記外枠シール剤部及び面シール剤部に光照射を行った後に他方の部材を、未硬化の上記外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(4−2)を有する。
本工程(4−2)において、上記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部に光照射を行う方法、条件としては特に限定はされないが、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において外枠シール剤部を増粘させる場合と、マスクを用いず外枠シール剤部及び面シール剤部の全体に光照射を行うこと以外は同様の方法、条件が挙げられる。
【0108】
また、上記光照射を行った後に他方の部材を、上記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる方法としては、上述した本発明1の光デバイスの製造方法の工程(1−2)において、外枠シール剤部及び面シール剤部を介して他方の部材を一方の部材と貼り合せる場合と同様に、上記面シール剤部と外枠シール剤部とを押し潰すような押圧力を加えながら行うことが好ましい。
また、本工程(4−2)において、上記他方の部材を貼り合せる際には、上記本発明1の光デバイスの製造方法の工程(1−2)と同様に減圧雰囲気中で行うことが好ましい。
【0109】
本発明4の光デバイスの製造方法は、外枠シール剤部及び面シール剤部を構成するシール剤が、上述した光後硬化性シール剤であるため、一対の部材同士を貼り合わせる前に外枠シール剤部及び面シール剤部に光を照射しておき、可使時間内に上記一対の部材同士の貼り合わせを行うことができ、上記一対の部材が照射する光に対し透明性を有することを必要としない。従って、上記一対の部材の両方の部材に、例えば、電極やカラーフィルター等が形成された非透明性な部材を用いた場合であっても、好適に光デバイスを製造することができる。
また、このように外枠シール剤部及び面シール剤部を光照射により活性化させた後に、一対の部材同士を貼り合わせることにより、好適に一対の部材間のアライメントを行うことができ、更にアライメントを行った後に一対の部材間にズレが生じにくい。
【0110】
本発明4の光デバイスの製造方法は、更に、上記面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させる工程を有していてもよい。本硬化させる方法としては特に限定はされず、完全に硬化するまで後養生を行う方法や、光照射及び/又は加熱を行うことが好ましい。また、上記面シール剤部及び外枠シール剤部を構成するシール剤中に硬化剤が含まれる場合は、加熱を行うことにより完全に硬化させることができ、好適である。
【0111】
本発明5の光デバイスの製造方法は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に熱硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(5−1)と、前記未硬化の外枠シール剤部に光照射を行った後に他方の部材を、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(5−2)と、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を本硬化させる工程(5−3)とを有する。
【0112】
本発明5の光デバイスの製造方法は、一方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部と、該未硬化の外枠シール剤部の内側に熱硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(5−1)を有する。
上記光後硬化性シール剤としては、上述した本発明1の表示措置の製造方法において説明した光後硬化性シール剤と同様のものが挙げられる。
また、上記熱硬化性シール剤としては、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した熱硬化性組成物と同様のものが挙げられる。
【0113】
本発明5の光デバイスの製造方法において、本工程(5−1)は、上記外枠シール剤部を上記光後硬化性シール剤を用いて形成し、上記面シール剤部を上記熱硬化性シール剤を用いて製造する以外は、上述した本発明1の光デバイスの製造方法における工程(1−1)と同様の工程が挙げられる。
【0114】
また、上記外枠シール剤部を構成する光後硬化性シール剤の粘度としては特に限定されないが、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した外枠シール剤部を構成するシール剤と同様の範囲の値を示すことが好ましく、また、上記面シール剤部を構成する熱硬化性樹脂組成物の粘度としては特に限定されないが、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した面シール剤部を構成するシール剤と同様の範囲の値を示すことが好ましい。
【0115】
本発明5の光デバイスの光デバイスの製造方法は、未硬化の外枠シール剤部に光照射を行った後に他方の部材を、未硬化の前記外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(5−2)を有する。
上記未硬化の外枠シール剤部に光照射を行う方法、及び、条件としては、上述した本発明1の表示措置の製造方法において、外枠シール剤部を増粘させる場合と同様の方法、条件が挙げられる。
【0116】
また、上記外枠シール剤部に光照射を行った後に他方の部材を、未硬化の上記外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる方法としては、上述した本発明1の光デバイスの製造方法の工程(1−2)において、外枠シール剤部及び面シール剤部を介して他方の部材を一方の部材と貼り合せる場合と同様に、上記面シール剤部と外枠シール剤部とを押し潰すような押圧力を加えながら行うことが好ましい。
また、本工程(5−2)において、上記他方の部材を貼り合せる際には、上記本発明1の光デバイスの製造方法の工程(1−2)と同様に減圧雰囲気中で行うことが好ましい。
【0117】
また、本発明5の光デバイスの製造方法は、外枠シール剤部に光後硬化性シール剤を用いているため、光照射を行って上記外枠シール剤部を活性化させた後に、他方の部材を貼り合わせるという製造方法を好適に用いることができ、更に、面シール剤部に熱硬化性シール剤を用いているため、一対の部材がどちらも照射する光に対して不透明である場合にも、好適に光デバイスを製造することができる。
また、面シール剤部に熱硬化性シール剤を用いることで、電子部品等に直接触れるシール剤部を比較的長時間かけて硬化させることができ、硬化収縮等の問題を軽減できるため、好適である。
【0118】
本発明5の光デバイスの製造方法は、更に、上記面シール剤部及び外枠シール剤部を本硬化させる工程を有していてもよい。本硬化させる方法としては特に限定はされず、完全に硬化するまで後養生を行った後、上記面シール剤部を加熱硬化させる方法や、光照射及び加熱を行う方法が好ましい。
【0119】
本発明6の光デバイスの製造方法は、一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、一方の部材上に光即硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部を形成する工程(6−1)と、前記一方の部材上又は他方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(6−2)と、前記未硬化の面シール剤部に光照射を行った後に前記一方の部材及び他方の部材を、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(6−3)と、前記未硬化の外枠シール剤部に光照射を行う工程(6−4)とを有する。
【0120】
本発明6の光デバイスの製造方法は、一方の部材上に光即硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部を形成する工程(6−1)を有する。
本発明6の光デバイスの製造方法において、上記光即硬化性シール剤とは、上述した光後硬化性シール剤と比較して、光を照射することでより短時間で硬化するシール剤のことをいい、このような光即硬化性シール剤としては、上述した本発明1の表示措置の製造方法において説明した光硬化性シール剤と同様のものが挙げられる。
上記光即硬化性シール剤を用いて上記一方の部材上に未硬化の外枠シール剤部を形成する方法としては、上述した本発明1の光デバイスの製造方法における工程(1−1)と同様の方法が挙げられる。
【0121】
上記外枠シール剤部を構成する光即硬化性シール剤の粘度としては特に限定されないが、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した外枠シール剤部を構成するシール剤と同様の範囲の値を示すことが好ましい。
【0122】
本発明6の光デバイスの製造方法は、上記一方の部材上又は他方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(6−2)を有する。
上記光後硬化性シール剤としては、上述した本発明1の表示措置の製造方法において説明した光後硬化性シール剤と同様のものが挙げられる。
また、上記光後硬化性シール剤を用いて上記一方の部材上又は他方の部材上に未硬化の面シール剤部を形成する方法としては、上述した本発明1の光デバイスの製造方法における工程(1−1)において説明した方法と同様の方法が挙げられる。
【0123】
上記面シール剤部を構成する光後硬化性シール剤の粘度としては特に限定されないが、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において説明した面シール剤部を構成するシール剤と同様の範囲の値を示すことが好ましい。
【0124】
本発明6の光デバイスの製造方法は、上記面シール剤部に光照射を行った後に上記一方の部材及び他方の部材を、未硬化の上記外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(6−3)を有する。
本工程(6−3)において、上記面シール剤部に光照射を行う方法、条件としては、上述した本発明1の光デバイスの製造方法において、外枠シール剤部を増粘させる場合と同様の方法、条件が挙げられる。
【0125】
また、上記面シール剤部に光照射を行った後に上記一方の部材及び他方の部材を、未硬化の上記外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる方法としては、上述した上述した本発明1の光デバイスの製造方法の工程(1−2)と同様の方法が好ましい。
また、本工程(6−3)において、上記他方の部材を貼り合せる際には、上記本発明1の光デバイスの製造方法の工程(1−2)と同様に減圧雰囲気中で行うことが好ましい。
【0126】
本発明6の光デバイスの製造方法は、上記未硬化の外枠シール剤部に光照射を行う工程(6−4)を有する。
本発明6の光デバイスの製造方法においては、上記外枠シール剤部に上述した光即硬化性のシール剤を用いるため、本工程(6−4)において、外枠シール剤部は、光照射されることにより短時間で硬化し、上述した工程(6−3)で貼り合わせた際の一対の部材の位置を維持することができる。
また、面シール剤として光後硬化性シール剤を用いるため、一対の部材のうち、どちらか一方の部材の外枠シール剤部に該当する部分さえ照射する光に対して透明であれば、本発明6の光デバイスの製造方法を好適に用いることができる。
【0127】
本発明6の光デバイスの製造方法は、更に、上記面シール剤部を本硬化させる工程を有していてもよい。本硬化させる方法としては特に限定はされず、上記面シール剤部を構成するシール剤は、上述した光後硬化性シール剤であり、上記工程(6−3)で面シール剤部に光を照射していることから、完全に硬化するまで後養生を行う方法が好ましい。
【0128】
本発明の光デバイスの製造方法で製造される光デバイスとしては、一対の部材がシール剤層を介して固定された構造を有するものであれば特に限定されず、例えば、有機又は無機EL表示装置、タッチパネルが貼り合わされた液晶表示装置、及び、液晶ダブルセルを具備した光デバイス、光センサーやCCD(Charge Coupled Devices)等の受光素子の封止やレンズ・保護板の接着等が挙げられる。なかでも、シール剤層により大気中の水分や酸素から有機発光材料や電極を確実に封止する必要があり、シール剤層の大きさ及び形状を極めて正確に制御する必要のある有機EL表示装置の製造に好適である。
【0129】
このような本発明の光デバイスの製造方法により製造されてなる光デバイスもまた、本発明の一つである。
【発明の効果】
【0130】
本発明によれば、一対の部材間に介在する電子部品をシール剤層で好適に封止することができるとともに、該シール剤層の面積・形状及び位置を正確に制御することができる光デバイスの製造方法、及び、該光デバイスの製造方法により製造された光デバイスを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0131】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0132】
(実施例1)
(1)光後硬化性シール剤Aの調製
エポキシ樹脂としてエピコート828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製)95重量部及びエピコート1001(ビスフェノールA型高分子量エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製)5重量部、光カチオン重合開始剤としてアデカオプトマーSP170(旭電化社製)3重量部、硬化制御剤としてポリエチレングリコール(分子量1000)5重量部、並びに、シランカップリング剤としてサイラエースS−510(チッソ社製)1重量部を、ホモディスパー型撹拌混合機(ホモディスパーL型、特殊機化社製)を用い、撹拌速度3000rpmで均一に撹拌混合して、シール剤を調製した。
【0133】
(2)有機EL表示パネルの製造
100mm×100mmのガラス基板上に、20mm×20mmの有機EL層を4個、蒸着によって形成した。調製したシール剤を用いて、有機EL層を封止する封止ガラスに該有機EL層を覆うよう25mm×25mmの四角形のシール剤部が4個配置するように、200メッシュ/インチのステンレス製印刷メッシュを用い、常圧でスクリーン印刷を行った。
スクリーン印刷は、15μmの印刷高さに設定し、100mm/秒の印刷速度で行った。
【0134】
形成したシール剤部の周囲3mmが光に曝されるよう石英マスクを配置し、高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が2000mJ/cmとなるように照射し、シール剤部の周辺部を増粘させた。
次に、50kPaの減圧下において、ガラス基板と封止ガラスとを有機EL層とシール剤部とが重なるように貼り合わせ、石英マスク取り除いた後、ガラス基板と封止ガラスとからなるセル全体に、波長365nmの紫外線を照射量が2000mJ/cmとなるように照射し、更に、80℃で30分間熱硬化を行ってシール剤部を硬化させて、有機EL層を封止した有機EL表示パネルを製造した。
【0135】
(実施例2)
シール剤としてフォトレックA−780(積水化学工業製、液晶パネル封口剤)を用いた以外は、実施例1と同様にして封止ガラスに25mm×25mmの四角形が4個配置するようにシール剤部をスクリーン印刷で形成した。
【0136】
形成したシール剤部の周囲5mmが光に曝されるよう石英マスクを配置し、高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が50mJ/cmとなるように照射し、シール剤部の周辺部を増粘させた。
次に、50kPaの減圧下において、ガラス基板と封止ガラスとを有機EL層とシール剤部とが重なるように貼り合わせ、石英マスク取り除いた後、パネル全体に、波長365nmの紫外線を照射量が500mJ/cmとなるように照射し、有機EL層を封止した有機EL表示パネルを製造した。
【0137】
(実施例3)
実施例1と同様にして調製した光後硬化性シール剤Aを用いて、図1に示すような面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する形状の外枠シール剤部とを封止ガラス上に形成した以外は、実施例1と同様にした。
【0138】
形成した外枠シール剤部のみが光に曝されるように石英マスクを配置し、実施例1と同様にして外枠シール剤部のみを増粘させた後、ガラス基板と封止ガラスとを有機EL層と面シール剤部とが重なるように貼り合わせを行った。その後、実施例1と同様にして有機EL層を封止した有機EL表示パネルを製造した。
【0139】
(実施例4)
(1)光後硬化性シール剤Bの調製
光カチオン重合性化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)80重量部、エピコート1001(ビスフェノールA型高分子量エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製)20重量部、に対して、光カチオン重合開始剤として下記式(1)で表されるトリフェニルスルホニウムボレート塩3重量部、硬化制御剤としてポリエチレングリコール(分子量1000)5重量部、シランカップリング剤(商品名「KBM403」、信越化学社製)1重量部、タルク40重量部、及び、乾燥剤として酸化バリウム(堺化学社製)5重量部を添加して光後硬化性樹脂組成物を調製し、これを光後硬化性シール剤Bとした。
【0140】
【化1】

【0141】
(2)光後硬化性シール剤Cの調製
光カチオン重合性化合物としてビスフェノール変性エポキシ樹脂(商品名「EP−4000」、旭電化社製)100重量部に対して、光カチオン重合開始剤として上述した式(1)で表されるトリフェニルスルホニウムボレート塩3重量部、硬化制御剤としてポリエチレングリコール(分子量1000)10重量部、シランカップリング剤(商品名「KBM403」、信越化学社製)1重量部を添加して混合し、光硬化性シール剤Cを調製した。
【0142】
(3)有機EL表示パネルの製造
厚さ0.7mmのガラス板上に、得られた光後硬化性シール剤Bをディスペンサーにより塗布して、外枠シール剤部を形成した。この外枠シール剤部に、得られた光後硬化性シール剤Cを滴下し、面シール剤部を形成した。この外枠シール剤部に、超高圧水銀灯を用いて40mW/cmの強度の光を50秒間照射した。
次いで、このシールパターンが形成され光後硬化性シール剤Cが滴下されたガラス板に、ITO電極、有機発光材料層及び陰極からなる3層構造の発光素子が形成されている厚さ0.7mmのガラス基板上を50kPaの減圧下において重ねて貼り合わせた。その後、80℃、1時間熱処理して、シール剤を硬化させて、有機EL表示パネルを製造した。
【0143】
(実施例5)
(1)熱硬化性シール剤の調製
熱硬化性化合物としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート806)100重量部に対して、熱硬化剤としてアミン系硬化剤(味の素ファインテクノ社製、アミキュアPN−23)20重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2重量部を添加して熱硬化性シール剤を調製した。
【0144】
(2)有機EL表示パネルの製造
得られた熱硬化性シール剤を用いてスクリーン印刷法により面シール剤部を形成し、実施例4で用いた光後硬化性シール剤Bを用いて外枠シール剤部を形成した以外は実施例4と同様にして、有機EL表示パネルを製造した。
【0145】
(実施例6)
(1)光即硬化性シール剤の調製
光カチオン硬化性化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)80重量部、エピコート1001(ビスフェノールA型高分子量エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製)20重量部に対して、光カチオン重合開始剤として上述した式(1)で表されるトリフェニルスルホニウムボレート塩3重量部、シランカップリング剤(商品名「KBM403」、信越化学社製)1重量部、及び、タルク40重量部を添加して光即硬化性樹脂組成物を調製し、これを光即硬化性シール剤とした。
【0146】
(2)有機EL表示パネルの製造
得られた光即硬化性シール剤を用いて外枠シール剤部を形成し、実施例1で調製した光後硬化性シール剤Aを用いてスクリーン印刷により面シール剤部を形成した以外は実施例4と同様にして有機EL表示パネルを製造した。
【0147】
(比較例1)
封止ガラス上に形成したシール剤部の周辺部を増粘させなかった以外は、実施例1と同様にして有機EL表示パネルを製造した。
【0148】
(比較例2)
封止ガラス上に形成したシール剤部の全体を増粘させた以外は、実施例1と同様にして有機EL表示パネルを製造した。
【0149】
(比較例3)
外枠シール剤部を形成することなく、光硬化性シール剤Cのみで封止を行った以外は、実施例4と同様の方法により有機EL表示パネルを製造した。
【0150】
(比較例4)
外枠シール剤部のみを光後硬化性シール剤Bを用いて形成し、面シール剤部を形成せずに封止を行った以外は実施例4と同様の方法により有機EL表示パネルを製造した。
【0151】
(シール剤部の拡散性)
実施例1〜6及び比較例1〜4において、封止ガラスで封止した後のシール剤部の状態を目視により観察したところ、実施例1〜3、比較例2に係るシール剤部は、封止ガラス上に印刷した状態とほとんど変わらない形状であったが、比較例1に係るシール剤部は、封止ガラス上に印刷した状態から大きく拡散している部分があった。
また、封止ガラス上に印刷した状態のシール剤部の1辺の長さをD、封止ガラスとガラス基板との貼り合わせを行った後のシール剤部の1辺の長さをDとし、D/Dをシール剤部の拡散率として求めた。結果を実施例1〜3及び比較例1、2については表1に示し、実施例4〜6及び比較例3、4については表2に示した。なお、実施例3については、封止ガラスとガラス基板との貼り付け前後の外枠シール剤部の1辺の長さをそれぞれD及びDとした。
【0152】
(シール剤の粘度測定)
実施例1〜6及び比較例1〜4で用いたシール剤(実施例4〜6については、外枠シール剤部及び面シール剤部を構成するシール剤)の粘度(実施例1〜3及び比較例2については、増粘させる前後の粘度)について、それぞれコーンプレート型粘度計TV−20(トキメック社製)を用い、回転数2.5rpm、25℃で測定した。結果を実施例1〜3及び比較例1、2については表1に示し、実施例4〜6及び比較例3、4については表2に示した。
なお、増粘させたシール剤の粘度については、実施例及び比較例と同一の条件下で増粘させた測定サンプルを別途用意し、その一部を採取して粘度測定を行った。
【0153】
(セル評価)
製造した有機EL表示パネルを温度60℃、湿度90%の条件下に100時間暴露した後、10Vの電圧を印加し有機ELパネルの発光状態(発光及びダークスポット、並びに、ダークラインの有無)を目視で観察し、下記の基準で評価を行った。結果を実施例1〜3及び比較例1、2については表1に示し、実施例4〜6及び比較例3、4については表2に示した。
○:ダークスポット無く均一に発光
×:発光するがダークスポット、ダークライン有り
【0154】
(シール剤形状評価)
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた有機EL表示パネルのシール剤の形状を目視にて観察し、下記の基準で評価を行った。結果を実施例1〜3及び比較例1、2については表1に示し、実施例4〜6及び比較例3、4については表2に示した。
○:当初の設計通りの面積及び形状であった
×:シール剤の染み出し、基板間のアライメントにズレが生じた
【0155】
【表1】

【0156】
【表2】

【0157】
表1より、周辺部を増粘させた実施例1〜3、比較例2に係るシール剤部の拡散率は、比較例1に係るシール剤部の拡散率よりも明らかに低くなっており、製造した有機EL表示パネルのシール剤層の面積及び形状を、ほぼ当初の目的通りに正確に制御することかできた。これに対して、比較例1に係るシール剤層は拡散率が高く、製造した有機EL表示パネルのシール剤層は、一部に拡散している部分が認められ、シール剤層の面積及び形状を当初の目的通りに正確に制御することはできなかった。
また、比較例2に係る有機EL表示パネルは、貼り合わせた部分に気泡が混入し、また、セル評価においても多数のダークスポットが観察された。
【0158】
また、表2より、外枠シール剤部と面シール剤部とを設け、外枠シール剤部の粘度をより高いものとした実施例1〜4、及び、より高い粘度の外枠シール剤部を設けた比較例4に係るシール剤部の拡散率は、比較例3に係るシール剤部の拡散率よりも明らかに低くなっており、製造した有機EL表示パネルのシール剤層の面積及び形状を、ほぼ当初の目的通りに正確に制御することかできた。これに対して、比較例3に係るシール剤層は拡散率が高く、製造した有機EL表示パネルのシール剤層は、一部に拡散している部分が認められ、シール剤層の面積及び形状を当初の目的通りに正確に制御することはできなかった。
また、比較例4に係る有機EL表示パネルは、シール部の幅が狭く、水分が浸入したため、セル評価において多数のダークスポットが観察された。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明によれば、一対の部材間に介在する電子部品をシール剤層で好適に封止することができるとともに、該シール剤層の面積・形状及び位置を正確に制御することができる光デバイスの製造方法、及び、該光デバイスの製造方法により製造された光デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明1の光デバイスの製造方法で形成した面シール剤部と外枠シール剤部とを模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0161】
1 面シール剤部
2 外枠シール剤部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、
一方の部材に未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に未硬化の面シール剤部を形成する工程(1−1)と、
他方の部材を前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合せる工程(1−2)とを有する
ことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項2】
一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、
一方の部材上に光及び/又は熱硬化性のシール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部と未硬化の面シール剤部とを形成する工程(2−1)と、
前記未硬化の外枠シール剤部を光照射及び/又は加熱によって増粘させる工程(2−2)と、
前記増粘させた外枠シール剤部及び未硬化の面シール剤部を介して他方の部材を前記一方の部材と貼り合わせる工程(2−3)と、
前記増粘させた外枠シール剤部及び未硬化の面シール剤部を本硬化させる工程(2−4)とを有する
ことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項3】
一対の部材間に介在する電子部品がシール剤層で封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、
一方の部材上に光及び/又は熱硬化性のシール剤を塗布して、少なくとも前記電子部品を被覆可能な形状の未硬化のシール剤部を形成する工程(3−1)と、
前記未硬化のシール剤部の周辺部分を光照射及び/又は加熱によって増粘させる工程(3−2)と、
前記シール剤部を介して他方の部材を前記一方の部材と貼り合わせる工程(3−3)と、
前記シール剤部を本硬化させる工程(3−4)とを有する
ことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項4】
一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、
一方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(4−1)と、
前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部に光照射を行った後に、他方の部材を前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(4−2)とを有する
ことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項5】
一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、
一方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部、及び、該未硬化の外枠シール剤部の内側に熱硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(5−1)と、
前記未硬化の外枠シール剤部に光照射を行った後に他方の部材を、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(5−2)と、
前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を本硬化させる工程(5−3)とを有する
ことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項6】
一対の部材のいずれもが、光照射に用いる光に対して非透明性の部材であることを特徴とする請求項4又は5記載の光デバイスの製造方法。
【請求項7】
一対の部材間に介在する電子部品が、少なくとも前記電子部品を被覆可能な面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法であって、
一方の部材上に光即硬化性シール剤を用いて未硬化の外枠シール剤部を形成する工程(6−1)と、
前記一方の部材上又は他方の部材上に光後硬化性シール剤を用いて未硬化の面シール剤部を形成する工程(6−2)と、
前記未硬化の面シール剤部に光照射を行った後に前記一方の部材及び他方の部材を、前記未硬化の外枠シール剤部及び面シール剤部を介して貼り合わせる工程(6−3)と、
前記未硬化の外枠シール剤部に光照射を行う工程(6−4)とを有する
ことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項8】
電子部品は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の光デバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の光デバイスの製造方法により製造されることを特徴とする光デバイス。



【図1】
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【公開番号】特開2006−244978(P2006−244978A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180314(P2005−180314)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】