説明

光ビーコン、及び、光ビーコンにおけるアップリンク領域設定方法

【課題】 受光部の製造を容易にし、受光部を道路に設置する際のアップリンク領域の調整を簡単に且つ正確に行うことができる光ビーコンを提供する。
【解決手段】 本発明の光ビーコンは、車載機から送信されたアップリンク光を受光可能なアップリンク領域UAを道路Rの所定範囲に設定する受光部12を備えている。受光部12は、アップリンク光UOを受光する受光面14aを有している。光ビーコンは、さらに、アップリンク光UOの送信位置に対応づけて、受光面14aにおける受光位置を認識する受光位置認識部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路側に設置された光ビーコンと車両に搭載された車載機との間で光信号による双方向通信を行う路車間通信システムに用いることができる光ビーコン、及び、この光ビーコンにおけるアップリンク領域設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路車間通信システムを利用した交通情報サービスとして、光ビーコン、電波ビーコン又はFM多重放送を用いたいわゆるVICS(Vehicle Information and Communication System)が既に展開されている。このうち、光ビーコンは近赤外線を通信媒体とした光通信を採用しており、車載機との双方向通信が可能となっている。
具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信され、逆に、渋滞情報、区間旅行時間情報、事象規制情報及び車線通知情報等を含むダウンリンク情報が光ビーコンから車載機に送信されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
光ビーコンは、車載機との間で双方向通信を行う投受光器を道路上方の所定位置に備えている。この投受光器は、ダウンリンク情報を送信する発光部と、車載機からのアップリンク情報を受信する受光部とを有する。
例えば図3に示すように、光ビーコン4の投受光器8は、その直下よりも車両進行方向の上流側に通信領域Aを設定している。この通信領域Aは、アップリンク情報を受信可能なアップリンク領域UA(点線のハッチングで示す範囲)と、ダウンリンク情報を送信するダウンリンク領域DA(実線のハッチングで示す範囲)とからなる。このアップリンク領域UAやダウンリンク領域DAの車両進行方向の寸法や位置は、光ビーコン(光学式車両感知器)の「近赤外線式インタフェース規格」によって所定に規定されている。当該規格によれば、アップリンク領域UAは、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の上流部分(図3の右側部分)と重複しており、ダウンリンク領域DAとアップリンク領域UAの上流端は互いに一致にするものとされている。また、ダウンリンク領域DAの車両進行方向長さは通信領域Aの同方向長さと一致するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−268925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記路車間通信システムの通信領域Aにおいて、光ビーコン4と車載機2との間では次のような通信が行われる。光ビーコン4の投受光器8は、まず、第一の情報として車線通知情報(車両ID、車線番号無し)を含む第一のダウンリンク情報(ダウンリンク光DO)を道路のダウンリンク領域DAに所定の送信周期で常時送信する。車両Cがダウンリンク領域DAに進入すると、その車両Cに搭載された車載機2が第一のダウンリンク情報を受信し、当該車載機2は、自己の車両IDを格納したアップリンク情報(アップリンク光UO)の送信を開始する。
【0006】
光ビーコン4の投受光器8は、アップリンク領域UAにおいて送信された前記アップリンク情報を受信すると、車載機2に対して、前記車両IDと車線情報とを含む第二のダウンリンク情報の送信を開始し、この第二のダウンリンク情報の送信を所定時間内において可能な限り繰り返す。車載機2は、当該第二のダウンリンク情報に、自己の車両IDが格納されていることを確認すると、当該第二のダウンリンク情報が自身に対して送信されていると認識し、当該第二のダウンリンク情報から必要な情報を得ることができる。車載機2は、第二のダウンリンク情報に、自己の車両IDが格納されていることを確認するまで、アップリンク情報を繰り返し送信する。
【0007】
このような光ビーコンを用いた路車間通信システムにおいて、例えば、通信領域Aの特定位置(例えば、車両進行方向の上流端)を車載機2の位置と見立て、当該特定位置からその下流側の所定位置P0(例えば、停止線)までの距離情報を第二のダウンリンク情報に含ませておき、この距離情報を受信した車載機2により、当該距離情報を利用して、停止線の手前で強制停止するように車両を制動させたり、ドライバに停止や減速を促す報知を行ったりして、ドライバに対して安全運転支援を行う場合がある(例えば、本出願人が提案した特願2006−121692号及び特願2006−121700号)。
【0008】
しかし、このような安全運転支援を精度よく行うためには、当該距離情報の起点となる通信領域A(特に上流端位置)を設計通りに正確に設定することが要求される。
投受光器8の受光部12は、フォトダイオード等の受光素子を備えており、アップリンク領域UAは、この受光素子の受光面を道路に投影した範囲として設定される。このため、道路R上に正確にアップリンク領域UAを設定するためには、受光面の形状や大きさを厳密に設計して受光部を製造しなければならなかった。そのため、受光部の製造が困難となり製造コストが高くなる原因となっていた。
また、受光面の形状や大きさが正確となるように受光部12を製造したとても、投受光器8が道路R上方の所定位置に正確に設置されていなければ、アップリンク領域UAが所定の位置からずれてしまうことになるため、投受光器8を設置するにあたって当該投受光器8の傾きや位置を細かく調整しなければならなかった。
【0009】
また、安全運転支援に利用される距離情報の起点となる通信領域Aは、車両進行方向に所定の長さ寸法を有しているが、受光部12は、実際に通信領域Aの長さ寸法のなかのどの位置で車載機2がアップリンク光を送信したのかを把握することができないため、距離情報に誤差が生じる可能性がある。なお、一般に、通信条件が良好な環境では、路車間通信は通信領域Aの上流端付近で完了するため、距離情報の起点を通信領域Aの上流端としておけば、当該距離情報を受ける車載機2の位置と当該距離情報の起点位置とはほぼ一致することになる。しかし、悪天候等の通信条件が悪い環境では、車両が通信領域A内である程度進行するまで路車間通信が完了しないことがあり、この場合、距離情報を受ける車載機2の位置と当該距離情報の起点位置(通信領域Aの上流端)とが大きくずれてしまう可能性があり、この距離情報を用いた安全運転支援の精度にも影響する。
【0010】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、受光部の製造を容易にし、受光部を道路に設置する際の調整を簡単にし、且つ、正確にアップリンク領域を設定することができる光ビーコン、及び、光ビーコンのアップリンク領域設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車載機から送信されたアップリンク光を受光可能なアップリンク領域を道路の所定範囲に設定する受光部を備えている光ビーコンであって、
前記受光部が前記アップリンク光を受光する受光面を有しており、
前記アップリンク光の送信位置に対応づけて、前記受光面における受光位置を認識する受光位置認識部を備えていることを特徴とする。
【0012】
このような構成の光ビーコンでは、例えば、あるアップリンク光がアップリンク領域から送信されたものであるか、アップリンク領域外から送信されたものであるかということを、受光面における受光位置に基づいて光ビーコンに把握させることが可能となる。そのため、正確なアップリンク領域を設定するために予め受光面の形状や大きさを厳密に設計したり、受光部の設置の際に厳密な調整を行ったりしなくても、道路の所定範囲に設定すべきアップリンク領域に対応する受光面の受光位置を受光位置認識部によって認識させることで、簡単且つ正確にアップリンク領域を設定することが可能となる。
また、安全運転支援等に利用する距離情報を光ビーコンから車載機側に送信する場合、光ビーコンは、アップリンク光を送信した車載機の位置を受光面の受光位置に基づいて把握することが可能になるので、この車載機の位置を加味した距離情報を車載機に送信することで、車載機に正確な距離情報を認識させることが可能になる。
【0013】
上記の場合、前記受光面によって受光されたアップリンク光が前記アップリンク領域内の位置から送信されたものであるか否かを、当該アップリンク光の受光位置に応じて判別する判別部をさらに備えていることが推奨される。このような判別を行うことにより、受光面で受光されたアップリンク光が有効であるか否かを光ビーコンにおいて把握することができる。さらに、判別部は、アップリンク領域内の位置から送信されたものと判別したアップリンク光を有効なアップリンク光として取得し、それ以外のアップリンク光を無効なアップリンク光として破棄する機能を有していることが推奨される。これによって、規定外のアップリンク光が誤って有効なものとして受光され、それによって路車間通信に支障をきたしてしまうようなことを防止することができる。
【0014】
光ビーコンは、前記判別部によって有効と判別されたアップリンク光の送信位置に関する情報を、前記車載機に対して送信する発光部を更に備えていてもよい。これにより、車載機に対して自己が送信したアップリンク光の送信位置を認識させることができる。この場合、車載機によるアップリンク光の送信位置を、例えば、その車両進行方向下流側の所定位置までの距離として車載機に認識させた場合、その距離の情報を用いた安全運転支援を行うことができる。
【0015】
また、本発明の光ビーコンは、前記アップリンク領域が複数の領域に区分けされ、光ビーコンは、前記受光面によって受光されたアップリンク光が前記アップリンク領域における複数の領域のうちいずれから送信されたものであるかを、前記受光面の受光位置に応じて判別する第二判別部と、この第二判別部によって判別されたアップリンク光が送信された領域に関する情報を、前記車載機に対して送信する発光部を更に備えることができる。これによって、車載機に対して自己がアップリンク光を送信した位置をより詳しく認識させることができる。また、この場合、車載機によるアップリンク光の送信位置を、例えば、アップリンク領域の各領域からその車両進行方向下流側の所定位置までの距離として車載機に認識させた場合、その距離の情報を用いた安全運転支援をより高精度で行うことができる。
【0016】
受光位置認識部は、車両進行方向又は道路幅方向に対応する方向についての受光位置を認識可能に構成されたり、また、これら両方向に対応する方向についての受光位置を認識可能に構成されたりすることができる。
受光位置認識部が車両進行方向の受光位置を認識可能に構成されていると、車両進行方向におけるアップリンク領域の長さ寸法を正確に設定することが可能となり、安全運転支援を行う場合においては、車載機により正確な距離情報を提供することが可能となる。
また、受光位置認識部が道路幅方向の受光位置を認識可能に構成されていると、アップリンク領域の道路幅方向の寸法を正確に設定することが可能になる。アップリンク領域の道路幅方向の寸法が正確に設定されずに、例えば、アップリンク領域が隣の車線にまではみ出していると、ある車線の車載機からのアップリンク光が隣の車線の投受光器に受光され、この投受光器が送信する車線情報を当該車載機が受信することによって、車載機は、自身が走行している車線を正確に認識することができなくなる可能性がある。したがって、道路幅方向の寸法を正確に設定することで、走行車線の認識精度を高めることができる。
【0017】
本発明は、車載機から送信されたアップリンク光を光ビーコンの受光部によって受光可能なアップリンク領域を、道路の所定範囲に設定するためのアップリンク領域設定方法であって、道路に設定すべきアップリンク領域の道路上の地点から前記受光部に向けて光信号を送信するステップと、この光信号を受光した受光部の受光面上の受光位置を求めるとともに、当該受光位置を、前記光信号を送信した道路上の地点に対応づけることによってアップリンク領域を設定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
このような方法でアップリンク領域を設定することによって、予め受光面の形状や大きさを厳密に設計したり、受光部の設置の際に厳密な調整を行ったりしなくても、道路の所定範囲に設定すべきアップリンク領域に受光面の受光位置を対応づけることによって簡単且つ正確にアップリンク領域を設定することが可能となる。
【0019】
上記アップリンク領域設定方法において、前記光信号を送信する道路上の地点は、道路に設定すべきアップリンク領域の車両進行方向上流端の境界線上における少なくとも1点と、同方向下流端の境界線上における少なくとも1点とを含むことが好ましい。この場合、少なくともアップリンク領域の車両進行方向の位置や寸法を正確に設定することが可能となる。そのため、例えば、アップリンク領域内の位置からその車両進行方向下流側の所定位置までの距離情報を用いて安全運転支援を行う場合に、当該距離情報の起点位置を正確に設定し、精度の高い安全運転支援を行うことが可能となる。
【0020】
上記アップリンク領域設定方法において、前記光信号を送信する道路上の地点が、道路に設定すべきアップリンク領域の少なくとも4隅に相当する4点を含み、この少なくとも4点から送信された前記光信号を受光する受光面上の受光位置によって囲まれる範囲を、アップリンク領域に対応する受光面上の受光範囲として設定することができる。この場合、車両進行方向だけでなく道路幅方向に関してアップリンク領域を正確に設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、道路の所定範囲に簡単且つ正確にアップリンク領域を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】光ビーコンの平面図である。
【図3】光ビーコンの通信領域Aを示す側面図である。
【図4】(a)は、受光部と、道路上に設定されるアップリンク領域との幾何学的な位置関係を示した側面図であり、(b)は、受光素子の受光面を正面視したときの図である。
【図5】(a)はアップリンク領域を示す斜視図であり、(b)は受光面を正面視したときの図である。
【図6】光ビーコンと路車間通信する前記車載機と、この車載機が搭載された車両の概略構成図である。
【図7】通信領域において、投受光器と車載器との間で行われる双方向での路車間通信の手順を示した図である。
【図8】本発明の第二の実施形態の受光部の受光面を正面視したときの図である。
【図9】本発明の第二の実施形態の光ビーコンの通信領域を示す側面図である。
【図10】(a)は本発明の第三の実施形態のアップリンク領域を示す斜視図であり、(b)は受光面の正面視したときの図である。
【図11】本発明の第四の実施形態の受光素子の受光面を正面視したときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第一の実施形態〕
〔システムの全体構成〕
図1は、第一の実施形態に係る路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する各車両Cに搭載された車載機2とを備えて構成されている。
交通管制システム1は、管制室に設けられた中央装置3と、道路Rの各所に多数設置された光ビーコン(光学式車両感知器)4と、を有している。光ビーコン4は、近赤外線を通信媒体とした光通信によって車載機2との間で双方向通信を行う。なお、中央装置3は交通管制室に設けられている。
【0024】
〔光ビーコンの構成〕
光ビーコン4は、電話回線等の通信回線5を介して中央装置3と接続された通信インタフェースである通信部6と、この通信部6が接続されたビーコン制御機7と、このビーコン制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数(図例では4つ)の投受光器8とを備えている。
図2は、上記光ビーコン4の平面図である。図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、各車線R1〜R4に対応して前記複数の投受光器8が設けられている。
各投受光器8は、道路脇に立設した支柱9から道路R側に水平に架設した架設バー10に取り付けられ、道路Rの各車線R1〜R4の直上に配置されている。
【0025】
ビーコン制御機7は、投受光器8を一括制御する制御部しての機能を有しており、支柱9に設置されている。このビーコン制御機7は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなマイコンよりなり、通信部6(図1)による中央装置3との双方向通信と、投受光器8による車載機2との路車間通信を行う機能、及び、後述する車載機位置情報を生成する制御部としての機能を有する。なお、このビーコン制御機7によるこれらの機能については後述する。
【0026】
各投受光器8は、筐体の内部に発光部11、受光部12等を収納して構成されている(図3参照)。このうち、発光部11は発光ダイオード(LED)からなり、近赤外線よりなるダウンリンク情報(ダウンリンク光DO)を後述する通信領域Aに発光し、受光部12は、車載機2からの近赤外線よりなるアップリンク情報(アップリンク光UO)を受光する。
各投受光器8のLED11は、各車線R1〜R4の直下よりも車両進行方向の上流側に向けて近赤外線を発光しており、これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが投受光器8の上流側に設定されている。
【0027】
〔通信領域について〕
図3は、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図3に示すように、光ビーコン4の通信領域Aは、後述する車載機2の投受光器である車載ヘッド27(図6参照)がダウンリンク情報を受信することができるダウンリンク領域(図3において実線のハッチングを設けた領域)DAと、光ビーコン4の投受光器8が車載ヘッド27からのアップリンク情報を受信(受光)することができるアップリンク領域(図3において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
【0028】
ダウンリンク領域DAは、投受光器8の投受光位置d、道路R上の位置a及びcを頂点とする△dacで示された範囲に設定されている。また、アップリンク領域UAは、前記位置dと、道路R上の位置b及びcを頂点とする△dbcで示された範囲に設定されている。したがって、ダウンリンク領域DAとアップリンク領域UAの上流端cは互いに一致し、アップリンク領域UAは、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の上流部分(図3の右側部分)と重複している。また、ダウンリンク領域DAの車両進行方向長さは通信領域A全体の同方向長さと一致している。
【0029】
光ビーコン(光学式車両感知器)4の「近赤外線式インタフェース規格」によれば、ダウンリンク領域DA及びアップリンク領域UAの正式な領域寸法が規定されている。この規定では、一般道向けの光ビーコン4の場合で、ダウンリンク領域DAの下流端aは、投受光器8の直下の1.0〜1.3m上流側に位置し、ダウンリンク領域DAの下流端aからアップリンク領域UAの下流端bまでの距離は2.1mと規定されている。また、アップリンク領域UAの下流端bから同領域UAの上流端cまでの距離は1.6mと規定されている。したがって、正式な通信領域Aの車両進行方向の全長(ac間の長さ)は3.7mとなる。もっとも、各領域DA,UAの車両進行方向長さは上記各数値に限定されない。
【0030】
〔投受光器の受光部の構成〕
図4(a)は、受光部12と、道路R上に設定されるアップリンク領域UAとの幾何学的な位置関係を示した側面図である。
投受光器8の受光部12は、図4(a)に示すように、投受光器8の内部に配置された基板13上に実装された受光素子14と、この受光素子14に対して所定の間隔をおいて対向配置された集光レンズ15とを備えている。
受光素子14は、フォトダイオードチップ等よりなり、集光レンズ15を通過したアップリンク情報を受光面14aで受光すると、光電変換によってアップリンク情報に含まれる情報を電気信号として出力する。
【0031】
受光部12の集光レンズ15は、焦点FPが、当該集光レンズ15の斜め下方側に位置するように設定されており、車載機2から送信される赤外線光としてのアップリンク情報が通過すると、そのアップリンク情報を受光素子14の受光面14aに対して直交して照射するように集光、屈折させる。受光素子14は、集光レンズ15を通過して受光面14aに照射されたアップリンク情報を受光する。すなわち、受光素子14がアップリンク情報を受光することができる領域は、集光レンズ15を介して受光素子14の受光面14aの輪郭形状を、上下、左右両方向を180°反転させた形状で道路R上に投影するように設定される。つまり、図4(a)において、受光面14aの上端縁14a1が、符号b′で示す位置に対応するとともに、下端縁14a2が、符号c′で示す位置に対応することとなる。そして、FP(焦点),位置b′、及び位置c′で囲まれる長さL1の領域内からアップリンク情報が送信されると、このアップリンク情報は、受光部12の受光面14a上における、幾何学的に定まる所定位置に照射されることとなる。
【0032】
本実施形態のアップリンク領域UAは、受光面14aの輪郭形状の全体を道路R上に投影した範囲ではなく、受光面14a内の特定範囲u(図5(b)参照)の輪郭形状を道路R上に投影した範囲として設定されている。つまり、図4(a)において、道路R上のc′位置よりも下流側にあるc位置を上流端とし、b′位置よりも上流側にあるb位置を下流端とするような長さL2の領域に設定されている。
以下、このような受光素子14の受光面14aとアップリンク領域UAとの関係について詳細に説明する。
【0033】
〔受光素子について〕
まず、受光素子14の詳細な構成について説明する。
図4(b)は、受光素子14の受光面14aを正面視したときの図である。なお、図において、車両進行方向に対応する紙面上下方向をx方向、道路Rの幅方向に対応する紙面左右方向をy方向とする。
受光素子14の受光面14aは、その輪郭形状が矩形とされている。受光素子14は、受光面14aの上端縁14a1及び下端縁14a2に沿ってそれぞれ設けられた第一の出力電極17及び第二の出力電極18と、右端縁14a3及び左端縁14a4に沿ってそれぞれ設けられた第三の出力電極47及び第四の出力電極48とを有している。これら電極17,18、47,48と図示しない受光素子14全体としての共通電極とが、投受光器8に備わった制御部16に対して接続されている。受光素子14は、これら各電極から制御部16に対して、アップリンク情報に含まれる各種情報等を含んだ電気信号を出力する。制御部16は、この電気信号を適宜処理した後にビーコン制御機7に出力する。
【0034】
受光素子14が、例えばアップリンク情報を図中破線Qで示す位置で受光した場合、この受光位置から第一の出力電極17までの距離q1と、受光位置から第二の出力電極18までの距離q2とは相違することとなる。このとき、受光素子14が出力する電気信号の電荷は、その距離に逆比例して分割され両出力電極17,18から出力される。受光位置から各電極17,18に到達するまでの距離が相対的に長くなればその抵抗値も相対的に大きくなるからである。したがって、受光素子14の各出力電極17,18が制御部16へ出力する電気信号は、x方向の受光位置の変化に応じて変化することになる。
【0035】
同様に、受光位置から第三の出力電極47までの距離r1と、受光位置から第四の出力電極48までの距離r2とは相違することとなる。そのため、受光素子14の各出力電極47,48が制御部16へ出力する電気信号は、y方向の受光位置の変化に応じて変化することになる。
【0036】
制御部16は、第一,第二出力電極17,18から出力される電流値の差に基づいて、受光面14aのx方向における受光位置を、例えば基準線Sxを基準としたx方向の座標値x1として求める。また、制御部16は、第三,第四出力電極47,48から出力される電流値の差から、y方向における受光位置を基準線Syを基準としたy方向の座標値y1として求める。すなわち、制御部16は、受光面14aにおける受光位置の二次元座標(x1,y1)(受光位置情報)を求め、この座標値によって受光位置を把握するようになっている。
なお、図4(b)に示す例では、座標値x1は、基準線Sx上の値が0であり、紙面下方側でプラス、上方側でマイナスの値を採る。また、座標値y1は、基準線Sy上の値が0であり、紙面右方側でプラス、左方側でマイナスの値を採る。
【0037】
〔アップリンク領域UAについて〕
アップリンク領域UAは、投受光器8を道路R上方の所定位置に設置する際に、上記受光素子14の性質(アップリンク情報の受光位置に応じて出力が変化するという性質)を用いて設定される。以下、道路Rに所定範囲のアップリンク領域UAを設定する手順について説明する。
図5(a)は、投受光器8が道路R上に設定するアップリンク領域UAを示す斜視図であり、図5(b)は、受光素子14の受光面14aにおけるアップリンク領域UAに対応する範囲uを示す正面図である。図5(a)において、点線のハッチングを施した領域が、道路Rに設定すべきアップリンク領域UAであり、実線のハッチングを施した領域GAが、受光面14a全体の輪郭形状を道路Rに投影した範囲のうちアップリンク領域UAを除いた領域である。
【0038】
投受光器8の設置は、当該投受光器8を道路R上方に設けられた架設バー10(図3)に取り付けることにより行う。投受光器8を単に架設バー10に取り付けた段階では、投受光器8の受光部12によって道路R上にアップリンク領域UAは設定されず、受光部12の受光面14a全体が道路Rに投影される範囲(領域GAを外形とする範囲)のみが設定されることになる。
投受光器8を架設バー10に取り付けた後、作業員が、アップリンク光に相当する光信号を道路R側から投受光器8に向けて発光する。この光信号を発光する位置は、道路R上に設定すべきアップリンク領域UAの端部(境界)位置、例えば、アップリンク領域UAの4隅に相当する位置E1〜E4とする。
【0039】
道路R側から発光された光信号は、受光素子14の受光面14aにおいてスポット的に受光される。受光面14aにおける受光位置を図5(b)にP1〜P4で示す。制御部16(図4)は、受光素子14の出力信号から各受光位置P1〜P4のx方向及びy方向の座標値(x1,y1)を求め、それをメモリ等の記憶部に記憶する。
【0040】
この受光位置P1〜P4は、アップリンク領域UAの4隅E1〜E4に対応するものであるため、各受光位置P1〜P4を結ぶ四角形の範囲u(点線のハッチングで示す)が、アップリンク領域UAに対応する受光範囲になる。したがって、制御部16は、アップリンク領域UAに対応づけられた受光面14a上の受光位置(受光範囲u)を認識できることになる。言い換えると、制御部16は、アップリンク情報を受光した受光位置(座標値)を求め、その受光位置が範囲u内に含まれるか否かを判断することによって、そのアップリンク情報がアップリンク領域UAから送信されたものであるか、アップリンク領域外の領域GAから送信されたものであるかを判別することができる。つまり、受光面14aに上記のような受光範囲uを設定することをもって、道路R上にアップリンク領域UAが設定されることになる。
【0041】
そのため、道路Rの所定範囲にアップリンク領域UAを設定するために、受光素子14の受光面14aの形状や大きさを厳密に設定する必要もなく、また、道路R上方において架設バー10に対する投受光器8の取付位置や傾きなどを細かく微調整する必要もなく、道路Rの所定範囲に簡単且つ正確にアップリンク領域UAを設定することが可能となる。
【0042】
ここで、制御部16は、アップリンク情報が送信された位置に対応づけて受光面14a上の受光位置を認識する受光位置認識部を構成する。また、制御部16は、受信したアップリンク情報がアップリンク領域UAから送信されたものであるか否かを受光面14aにおける受光位置から判別する判別部をも有することになる。そして、制御部16は、この判別部の機能により、アップリンク領域UAから送信されたものと判別されたアップリンク情報をビーコン制御機7へ出力し、同時に受光位置の座標値(x1,y1)を含む受光位置情報をビーコン制御機7に出力するようになっている。さらに、アップリンク領域UA外から送信されたものと判別されたアップリンク情報は、ビーコン制御機7へ出力せずに破棄するようになっている。
【0043】
なお、図4(a)に示すように、本実施形態では、受光面14aと道路Rとは平行ではなく互いに傾斜した関係にあるため、図5(a)に示すように、受光面14aの輪郭形状が道路R上に投影される範囲(GAの外形)は、車両進行方向の上流側ほど広幅な略台形状となる。そのため、道路R上に矩形状のアップリンク領域UAを設定するためには、受光面14aに略台形状の受光範囲uが設定されることになる。
また、本実施形態において、道路Rにアップリンク領域UAを設定する際に、アップリンク領域UAの4隅に相当する位置E1〜E4から光信号を発光し、受光部12においてこれらの光信号の受信位置からアップリンク領域UAに対応する受光位置(受光範囲u)を認識しているが、アップリンク領域UAの4隅に加えて、上流端縁、下流端縁、又は左右端縁の1点又は2点以上からも光信号を発光し、受光面14aにおける受光位置を認識してもよい。より多くの点で受光位置を認識させることで、アップリンク領域UAをより正確に設定することができる。
【0044】
〔ビーコン制御機7について〕
図4(b)に示すように、制御部16から出力される受光位置情報は、ビーコン制御機7において車載機位置情報(アップリンク情報の送信位置情報)を生成するために用いられる。車載機2が、アップリンク領域UA内の位置からアップリンク情報を送信したとすると、この送信されたアップリンク情報は、受光部12の受光面14a上において、幾何学的に定まる位置に照射、受光される。
例えば、図4(a)中の点eから車載機2がアップリンク情報を送信し、この送信したアップリンク情報が、図4(b)中、受光面14a上の破線Qの部分で受光されたとした場合、位置c′から位置eまでの距離D′(図4(a))と、受光面14aにおける、距離D′に対応する距離q2(図4(b))との間には、下記式(1)に示すような関係が成立する。
D′ /L1 =(q2 /Tx)× Z・・・・(1)
【0045】
なお、上記式(1)中のTxは受光面14aのx方向の寸法であり、L1は領域GAの車両進行方向の距離(長さ寸法)である。また、Zは補正パラメータであり、受光面14aと、道路Rとは、図4(a)に示すように平行な関係ではないので、距離D′と距離q2との値を補正するために乗している。
また、距離q2は、座標値x1に基づいて下記式(2)によって求められる。なお、座標値x1は、上述のように、制御部16によって受光位置情報として出力される。
q2 =(1/2)Tx −x1 ・・・・(2)
【0046】
以上のように、光ビーコン4を設置する際に、領域GAの車両進行方向の距離L1、及び受光面14aのx方向寸法Txを把握しておくことで、上記式(1)、(2)に基づいて、距離D′を求めることができる。
また、距離D′は、アップリンク領域UAよりも上流側の領域GAの上流端c′から位置eまでの距離であるため、下記式(3)のように当該上流端c′とアップリンク領域UAの上流端cとの間の距離D″を距離D′から差し引いた距離Dを求める。なお、距離D″は、光ビーコン4を設置する際に実測により求めるか、又は、予め設計段階で求めておいた値をビーコン制御機7に記憶させておく。
D =D′− D″・・・・(3)
【0047】
ビーコン制御機7は、制御部16から出力される受光位置情報(座標値x1)を受け取ると、上記式(1)〜(3)に基づいて演算し、車載機2がアップリンク領域UA内でアップリンク情報を送信した送信位置eを、アップリンク領域UAの上流端である位置cを基準とした距離Dとして把握することができる。
ビーコン制御機7は、上記送信位置としての距離Dに基づいて車載機位置情報を生成し、これを第二のダウンリンク情報に格納して車載機2に送信する。
なお、車載機位置情報は、車両進行方向(図4(b)のx方向)に関するもののみとした。この車載機位置情報は、図3に示すようにアップリンク情報を送信する車載機2の位置Pからその車両進行方向下流側の所定位置P0までの距離認識に用いられるからである。ただし、上記と略同様の演算を行うことによって道路幅方向(y方向)に関する車載機位置を求めることも可能である。
【0048】
〔車載機及び車両の構成〕
図6は、光ビーコン4と路車間通信する前記車載機2と、この車載機2が搭載された車両Cの概略構成図である。
図6に示すように、この車両Cは、ドライバの搭乗席(図示せず)を有する車体21と、この車体21に搭載された前記車載機2と、車両Cの各部を統合制御する電子制御装置(ECU)22と、車体21を駆動するエンジン23と、車体21を制動するブレーキ装置24と、車両Cの現時の速度を常時検出している速度検出器25とを備えている。ECU22は、ドライバのアクセル操作に基づくエンジン23の駆動制御や、ブレーキ操作に基づく制動制御等、車両Cに対する各種の制御を行う。
【0049】
車載機2は、車載コンピュータ26と、このコンピュータ26のセンサ用インタフェースに接続された車載ヘッド(投受光器)27と、搭乗席のドライバに対するヒューマンインタフェースとしてのディスプレイ28及びスピーカ装置29とを備えている。
上記車載ヘッド27は、光ビーコンの投受光器8と同様に、発光ダイオード(LED)とフォトセンサを備えている(図示せず)。このうち、LEDは、近赤外線よりなるアップリンク情報を発光し、フォトセンサは、通信領域Aに発光された近赤外線よりなるダウンリンク情報を受光する。
【0050】
車載コンピュータ26は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなマイコンよりなり、車載ヘッド27による光ビーコン4との路車間通信の制御処理を行う。
また、車載コンピュータ26は、所定の各機能を実行するプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムが実行する機能部として、距離認識部30及び支援制御部32を備えている。なお、これらの各機能部30,32の処理内容については後述する。
【0051】
〔路車間通信の内容〕
図7は、通信領域Aにおいて、投受光器8と車載ヘッド27との間で行われる双方向での路車間通信の手順を示している。以下、図7を参照しつつ、本実施形態の路車間通信の内容を説明する。
まず、光ビーコン4のビーコン制御機7は、各車線R1〜R4に対応する投受光器8から、ダウンリンクの切り替え前の第一情報として、車線通知情報を含む第一のダウンリンク情報34を、各車線R1〜R4のダウンリンク領域DAに所定の送信周期で常に送信し続けている(図7のF1)。なお、この段階では、車線通知情報には未だ車両IDは格納されていない。
【0052】
車載機2を搭載した車両Cが実際のダウンリンク領域DAに進入すると、車載機2の車載ヘッド27が車線通知情報(車両ID無し)を含む第一のダウンリンク情報34を受信する。
この際、車載機2の車載コンピュータ26は、当該車両Cが実際の通信領域A内に存在していることを認識する。その後、車載コンピュータ26は、アップリンク情報35の送信を開始し(図7のF2)、このアップリンク情報35を投受光器8に対して所定の送信周期(アップリンク送信周期)で送信する(図7のF3)。
【0053】
車載コンピュータ26は、車両Cに特定の車両IDを上記アップリンク情報35に格納して当該アップリンク情報35を送信し、ビーコン間の旅行時間情報を有している場合には、この情報もアップリンク情報35に含ませる。また、車載コンピュータ26は、光ビーコン4のビーコン制御機7がダウンリンクの切り替えを行ったことを認識するまで、当該アップリンク情報35を送信し続ける。
【0054】
一方、光ビーコン4の投受光器8がアップリンク情報35受光すると(図7のF4)、ビーコン制御機7は、ダウンリンクの切り替えを行い、第二情報として、車両ID情報を有する車線通知情報を含む第二のダウンリンク情報36の送信を開始し(図7のF5)、この第二のダウンリンク情報36の送信を所定時間内において可能な限り繰り返す(図7のF6)。
【0055】
上記車線通知情報には、車線R1〜R4(図2)ごとに車両IDを格納するフィールドがあり、各車両IDに対して車線番号を付与することができる。このため、異なる車線R1〜R4を走行する各車両Cの車載コンピュータ26は、その格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを判断することにより、自車両がどの車線R1〜R4を走行しているかを認識できる。
【0056】
第二のダウンリンク情報36には、車両IDを含む車線通知情報の他に、渋滞情報、区間旅行時間情報、事象規制情報、及び、ドライバに対する安全運転支援のための支援情報等が含まれている。
この支援情報には、光ビーコン4より下流側の信号機の灯色が変わるタイミング情報である信号情報の他、後述する車載機位置情報等が含まれている。
【0057】
図7に示すように、第二のダウンリンク情報36は、単一又は複数の最小フレーム37で構成されている。前記「近赤外線式インタフェース規格」によれば、この最小フレーム37のデータ量は合計128バイトと規定され、ヘッダ部38に5バイト、実データ部39に123バイトが割り当てられている。
前記規格によれば、第二のダウンリンク情報36は、1〜80個の最小フレーム37で構成することができ、送信可能時間は250msに設定されている。また、このダウンリンク情報36は送信すべき情報量に対応した任意数の最小フレーム37で構成され、上記送信可能時間の範囲内で繰り返し送信される。
【0058】
最小フレーム37の送信周期は約1msである。従って、例えば、三つの最小フレーム37で一つのダウンリンク情報36を構成する場合には、ダウンリンク情報36の送信周期は約3msになるので、当該ダウンリンク情報36は所定の送信可能時間(250ms)の間に約80回繰り返して送信されることになる。
車載機2の車載コンピュータ26は、第二のダウンリンク情報36を受信した時点(図7のF7)で光ビーコン4でのダウンリンクの切り替えを認識し、この時点でアップリンク情報35の送信を停止する。
【0059】
車載機2の車載コンピュータ26は、受信した第二のダウンリンク情報36に含まれる前記支援情報等の各種情報に基づいて、車両Cの現状の位置からその下流側の所定位置としての停止線P0までの距離を認識して位置標定を行い(図7のF8)、これに基づいて、ドライバに対する安全運転支援を行う。
以下、上述の車載機位置情報の内容と、これに基づいて車載機2が行う安全運転支援のための距離認識について説明する。
【0060】
〔車載機位置情報について〕
車載機位置情報は、アップリンク領域UAにおいて車載機2がアップリンク情報を送信した送信位置を示す情報であり、光ビーコン4が車載機2からのアップリンク情報を受光した段階で、ビーコン制御機7によって生成される。
例えば、図3中のアップリンク領域UA内の位置Pに位置する車両C(車載機2)がアップリンク情報(アップリンク光UO)を送信し、光ビーコン4がこれを受光した場合、投受光器8の制御部16(図4(b))は、上述したように、ビーコン制御機7に対して受光位置情報(受光位置の座標値)を出力する。これを受け取ったビーコン制御機7は、アップリンク領域UAにおいて車載機2がアップリンク情報を送信した送信位置である位置Pを、アップリンク領域UAの上流端である位置cを基準とした距離Dとして把握する。
【0061】
ビーコン制御機7は、アップリンク領域UAの上流端である位置cから、その下流側の所定位置としての停止線P0までの距離L0、及び道路R上におけるアップリンク領域UAの車両進行方向の距離L2を予め記憶装置に記憶している。また、距離L0、及び、上記距離Dに基づいて、車載機2の位置Pから下流側の停止線P0までの距離L3を距離情報として算出する。
ビーコン制御機7は、算出した前記距離情報を車載機位置情報として、第二のダウンリンク情報に格納して投受光器8に送信させる。
車載機2は、投受光器8から送信された、車載機位置情報を含んだ第二のダウンリンク情報を受信し、車載機位置情報を取得することで、安全運転支援を行う。
【0062】
このように、ビーコン制御機7は、受光部12が出力する前記受光位置情報に基づいて、前記送信位置である位置Pを示す車載機位置情報を生成し、この車載機位置情報を含んだダウンリンク情報を投受光器8に送信させる制御部を構成している。
【0063】
〔距離認識(安全運転支援)の内容〕
図6に示すように、上記車載機位置情報等を含む第二のダウンリンク情報36を車載ヘッド27が受信すると、車載コンピュータ26の距離認識部30は、そのダウンリンク情報36のフレームに含まれている車載機位置情報を取得して、前記距離情報としての距離L3(図3)を認識する。
そして、車載コンピュータ26の支援制御部32は距離L3を利用して、ドライバに対する安全運転支援を行う。
なお、ここで、車両Cに搭載された車載機2は、図3に示すように、道路R上から高さ寸法Hを有している。また、車載機2の車載ヘッド27は、通常ダッシュボード上に固定されるので、車載ヘッド27は車両Cの前方端から寸法D2だけ後方に配置される。このため、これら高さ寸法H、寸法D2によって、上記距離L3に誤差が生じるおそれがあるが、車載コンピュータ26は、これら高さ寸法H、及び寸法D2を予め記憶しておくことで、これら寸法に起因する誤差を補正し、より正確な距離L3を取得することができるように構成されている。
【0064】
支援制御部32は、例えば、停止線P0までの距離L3と現時点の車両Cの走行速度とから、その停止線P0の手前で停止するための減速度(負の加速度)を算出し、その減速度をECU22に通知する。ECU22は、当該減速度となるようにブレーキ装置24を作動させ、これにより、車両Cを停止線P0の手前で自動停止させることができる。
【0065】
また、支援制御部32の安全運転支援としては、ディスプレイ28やスピーカ装置29を用いたドライバに対する注意喚起であってもよい。
例えば、支援制御部32により、停止線P0までの距離L3をディスプレイ28に表示させてもよい。また、現時の車両Cの走行速度が速すぎる場合には、支援制御部32により、停車や減速を促す注意喚起をディスプレイ28に表示させたり、その注意喚起をスピーカ装置29から音声出力させたりしてもよい。
【0066】
また、支援制御部32は、前記車載機位置情報と共に、第二のダウンリンク情報に含まれる信号情報を用いて安全運転支援を行うこともできる。
ここで、信号情報とは、交通信号機が表示する現在又は将来の信号灯色に関する情報を指し、各信号灯色の表示継続予定期間や表示する順序等に関する情報(表示予定情報)等を含む。例えば、「現在灯色が青信号で継続予定時間が5秒であり、次の灯色が黄信号で継続予定時間が8秒であり、その次の灯色が右折青矢印灯で継続予定時間10秒である」といった情報である。
【0067】
この信号情報を受信した車載コンピュータ27の支援制御部32は、停止線P0までの距離L3(前述の距離情報)と車両Cの走行速度や加速度等から、停止線P0に到着するまでの所要時間を推定した上で、当該所要時間経過後の信号灯色を推定することができる。そして、例えば、現在の信号灯色は青信号であるが、停止線P0に到着する時点で信号灯色が赤信号と予測されるような場合には、安全に停止線P0の手前で停止することができるように、車両Cを制動するための制御を行う。逆に、減速しなければ安全に交差点を通過できると判断できるような場合には、車両Cの速度を維持するための制御を行うことができる。
【0068】
車両Cを制動したり速度を維持したりするため、支援制御部32は、車両のブレーキ装置24(図5)やアクセルに対して直接的に制御を行ってもよい。また、支援制御部32では単に制動や速度維持に関する情報を生成し、その情報をECU22に通知することによってECU22でブレーキ装置24やアクセルを制御するものであってもよい。すなわち、支援制御部32は、間接的な制御を行うものであってもよい。
【0069】
また、支援制御部32は、車載装置の主導による制御のみならず、ブレーキアシストなど、ドライバの運転動作を補助する動作をしても良い。
【0070】
支援制御部32は、車両Cの搭乗者に対して、信号灯色の推定の結果を音声や画像情報によって通知するようにしても良い。例えば、「間もなく信号が変わるので停止すべきである」といった内容の音声をスピーカ装置29からドライバに向けて発したり、ヘッドアップディスプレイやナビゲーション装置等のディスプレイ28に文字や図柄で表示したりすることができる。
安全運転の支援については、不適切なタイミングや内容でドライバに情報を通知することのないようなヒューマンインタフェースとするため、例えば低速走行時には音声や画像表示による報知を行わないようにすることができる。
【0071】
なお、信号情報は、現在表示している灯色とその継続時間だけとしても良いし、1サイクル分の情報をまとめて提供するようにしても良い。また、これらの情報に加えて、地点感応制御を実施している地点では、当該制御に関するパラメータ情報や制御を実施する時間帯の情報等を含ませても良い。
また、信号情報は、光ビーコンから取得するものであってもよいし、光ビーコン以外のインフラ装置等から取得するものであってもよい。後者の場合、例えば、信号機の信号制御機が無線通信機を備えている場合には、当該無線通信機から取得してもよいし、前記信号情報を取得した先行車両から車々間通信によって取得してもよい。信号情報を受信する信号情報受信部は、車載ヘッド27を用いてもよいし、車載機2に備えた別の受信器であってもよい。
【0072】
上記のように構成された路車間通信システム及び光ビーコン4によれば、ビーコン制御機7が、投受光器8の受光部12が出力する受光位置情報に基づいて、送信位置である位置Pを示す車載機位置情報を生成するとともに、この車載機位置情報を含んだ第二のダウンリンク情報を投受光器8に送信させるので、光ビーコン4は、アップリンク領域UAにおいて車載機2がアップリンク情報を送信した送信位置(位置P)を認識できるとともに、この送信位置を車載機2に認識させることができる。
さらに、本実施形態では、前記車載機位置情報が、前記送信位置からその下流側の停止線P0までの距離L3を距離情報として含んでいるので、車載機2に停止線P0までの正確な距離を認識させることができ、安全運転支援を精度よく行うことができる。
【0073】
また、本実施形態において、ビーコン制御機7は、車載機位置情報として、車載機2の送信位置である位置Pから停止線P0までの距離L3を算出したが、例えば、アップリンク領域UAの上流端である位置cから停止線P0までの距離L0を第一の距離情報とし、位置Pと、位置cとの間の距離Dを第二の距離情報とし、これら両距離情報を車載機位置情報として送信してもよい。
この場合、上記車載機位置情報を受信した車載機2の距離認識部30は、距離L0からDを差し引く演算を行い、この演算により求められる、送信位置(位置P)からその下流側の停止線P0までの距離L3を利用することで、上記と同様にドライバに対する安全運転支援を行うことができる。
【0074】
〔第二の実施形態〕
図8は、本発明の第二の実施形態の受光部12の受光面14aを正面視した図である。
本実施形態と第一の実施形態と異なる点は、受光面14aのうちの受光範囲u(長さTx′)を、x方向(車両進行方向)に沿って寸法T1ごとに4つの領域19a〜19dに論理的に区分けしたものである。
具体的には、光ビーコン4の設置時、アップリンク領域UAを設定する際に、第一の実施形態において説明したE1〜E4(図5(a))に加えて、アップリンク領域UAの道路幅方向の両端位置であって、アップリンク領域UAを車両進行方向に4等分するような位置から受光部12に向けて光信号を発光する。そして、制御部16によって、これらの光信号を受けた受光面14aの受光位置(図にP1〜P10で示す)の座標値を求めることによって、図8に示すように各位置P1〜P10を結ぶ範囲として受光範囲u及び領域19a〜19dを認識する。
【0075】
図9は、本実施形態の光ビーコンの通信領域Aを示す側面図である。
上記のように受光面14aの受光範囲uを4つの領域19a〜19dに区分けしたことに伴い、アップリンク領域UAも、実質的に車両進行方向に4つの分割領域UA1〜UA4に論理的に区分けされている。ビーコン制御機7は、これら分割領域UA1〜UA4のいずれに車両Cが存在しているか否かを特定する。各分割領域UA1〜UA4には、その分割領域に車両Cが存在した場合に、当該車両Cが位置しているとみなされる各位置p1〜p4から停止線P0までのそれぞれの距離L11〜L14が設定され、ビーコン制御機7は、これら距離L0、及び距離L11〜L14を記憶している。
【0076】
ビーコン制御機7は、制御部16から出力される受光位置情報について、4つの領域19a〜19dに相当する4つの数値範囲に分け、この数値範囲ごとに車両の位置を判断する。
ここで、投受光器8の制御部16からビーコン制御機7に出力される受光位置情報は、基準線Sxを基準とした座標値x1として出力されるが、受光面14a上における基準線Sx上の値が0であり、紙面右方側でプラス、左方側でマイナスの値を採るように出力される。従って、座標値x1の数値範囲は、下記のように定められる。
領域19a :x1 >T1
領域19b :0< x1≦ T1
領域19c :−T1 <x1 ≦0
領域19d :x1 ≦−T1
【0077】
ビーコン制御機7は、上記4つの数値範囲を記憶しており、受光部12から出力される受光位置情報が、上記4つの数値範囲のうち、どの数値範囲に属するかを特定することで、上記分割領域UA1〜UA4のいずれに車両Cが存在しているか否かを特定する。すなわち、ビーコン制御機7は、車載機2によってアップリンク情報がどの分割領域から送信されているかを判別する判別部(第二判別部)としての機能を有している。
車両Cが存在する分割領域を特定すると、ビーコン制御機7は、その特定された分割領域に対応する距離を上記距離L11〜L14の中から選択し、車載機位置情報として、第二のダウンリンク情報に格納し、車載機2に送信する。
車載機2は、この車載機位置情報を含んだ第二のダウンリンク情報を受信し、車載機位置情報を取得することで、安全運転支援を行うことができる。
【0078】
本実施形態においては、ビーコン制御機7は、上記分割領域ごとに対応した距離に関する情報を予め用意しておくことで、選択的に距離情報を取得することができる。
また、アップリンク領域UAを実質的に4つの分割領域UA1〜UA4に区分けしたので、例えば、設置環境等、外的な要因で、受光部12の受光位置情報に誤差が生じやすい場合においても、各分割領域UA1〜UA4、及び領域19a〜19dには、所定の数値幅を有しているので、その誤差を許容し、正確な距離等の情報を車載機2に提供することができる。
なお、本実施形態では、受光面14aを4つの領域19a〜19dに区分けしているが、これに限定されず、2つ、3つ、又は、5つ以上の領域に区分けすることもできる。
【0079】
〔第三の実施形態〕
図10(a)は、本発明の第三の実施の形態にかかるアップリンク領域UAを示す斜視図であり、図10(b)は、受光素子14の受光面14aの正面視した図である。
本実施形態では、受光面14aにおける受光位置の範囲(受光範囲)uをP1〜P5の5点から定めたものである。具体的には、点P1〜P5は、第一の実施形態で説明したように、アップリンク領域UAの4隅E1〜E4に対応する点P1〜P4と、更に、アップリンク領域UAの上流端の道路幅方向中央に相当する位置E5に対応した点P5からなる。
【0080】
受光素子14の受光面14aは、図4(a)を参照して説明したように、道路Rとは平行ではなく互いに傾斜した関係にあるため、図10(a)のように、受光面14a全体の輪郭形状が道路R上に投影される範囲(領域GAの外形)が、車両進行方向の上流側ほど広幅な略台形状となったり、さらに、領域GAの上流端が、道路幅方向の両端位置で上流側に突出するとともに、同方向中央位置で下流側に湾曲するように変形したりする場合がある。
したがって、本実施形態では、このように領域GAの上流端が変形している場合であっても、アップリンク領域UAの上流端に対応するP1,P2,P5の3点(又はそれ以上)を用いて受光範囲uを認識することで、道路R上に矩形状のアップリンク領域UAを適切に設定することができる。
【0081】
〔第四の実施形態〕
図11は、本発明の第四の実施形態に係る受光素子14の受光面を正面視した図である。
本実施形態の受光素子14は、車両進行方向に対応するx方向の両端部に出力電極17,18を備え、道路幅方向に対応するy方向の両端部には出力電極を備えていない。したがって、車両進行方向(x方向)についてのアップリンク領域UAの範囲を設定可能となっている。また、道路幅方向については、所定寸法のアップリンク領域UAが設定されるように、受光面14aの同方向の両端分を遮光部材50によってマスクしている。
本実施形態では、車両進行方向についてのアップリンク領域UAを設定するために、同領域UAの上流端の境界線上の1点で発光した光信号を、受光面14aにおける点P1で受光し、アップリンク領域UAの下流端の境界線上の1点で発光した光信号を、受光面における点P2で受光し、制御部16によって各点P1、P2の座標値を求める。そして、点P1及びP2をそれぞれ通るy方向に沿ったラインf1、f2と、各マスク50とで囲まれる四角形の範囲uを受光範囲として認識する。
【0082】
なお、本実施形態では、アップリンク領域UAの上流端や下流端の境界線上の各1点から発光された光信号を受光面14a上の点P1,P2で受光し、この2点からx方向における受光範囲uを認識しているが、前記境界線上のより多くの点で受光範囲uを認識することが、アップリンク領域UAをより正確に設定するうえで好適である。
【0083】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、制御部16は、受光位置情報を、基準線Sx、Sy(図4(b)参照)を基準とした座標値x1,y1として出力したが、例えば、アップリンク領域UAの上流端に対応する下端縁14a2を基準とした座標値x1や、アップリンク領域UAの左又は右端縁14a3,14a4を基準とした座標値y1として出力するように構成してもよい。なお、この場合、式(1)、(2)等については、これに準じて変更されることは言うまでもない。
【0084】
また、安全運転支援のための距離情報の生成について、上記第一の実施形態では、図3に示すように、ビーコン制御機7によってアップリンク領域UA内で実際に車載機2がアップリンク情報を送信した位置Pを距離情報の起点(上流端)としているが、通信領域A内の特定位置、例えば、上流端を距離情報の起点としてもよい。この場合、本発明では、アップリンク領域UAの車両進行方向の位置を正確に設定することができるので、より有用である。
【0085】
また、上記実施形態では、ビーコン制御機7が、アップリンク領域UAの上流端である位置cから、その下流側の所定位置としての停止線P0までの距離L0、及び道路R上におけるアップリンク領域UAの車両進行方向の距離L2を予め記憶装置に記憶しておき、道路R上の位置としてのアップリンク領域UAと、受光部12の受光面14a上の位置とを、関連づけて車載機位置情報(距離L3)を生成したが、例えば、ビーコン制御機7は、制御部16から受け取る受光位置情報と、それに対応する道路上の緯度経度とを関連づけて生成するように構成してもよい。
この場合、停止線P0までの距離を緯度経度から算出することができる。なお、この場合、必要となる下流側の停止線P0の位置を示す緯度経度は、ビーコン制御機7が記憶しておきダウンリンク情報に含めて送信してもよいし、他の無線通信機から別途送信してもよいし、車載機2の車載コンピュータ26が予め記憶しておいてもよい。
【0086】
上記実施形態において、アップリンク領域UA内の位置からその下流側の所定位置P0までの距離L0(図3)は、所定位置P0までの距離の直接的な値とするに限らず、所定位置までのP0等までの距離を一意に決定しうる情報であれば、どのような形式であってもよい。例えば、下流側の所定位置P0とアップリンク領域UAまでの間に1又は複数のノードを設定し、これらのノードに応じた複数の距離値群によって距離情報を構成することもできる。具体的には、始点となるアップリンク領域UA内の所定位置(例えば、アップリンク領域UAの上流端c)からアップリンク領域UA直近のノードまでの距離、各ノード間の距離、及び所定位置P0直近のノードから所定位置P0までの距離によって距離情報を構成することができる。この場合、この距離情報を受信した車載機2の車載コンピュータ26は、前記各距離の合計値を求めることで所定位置P0までの距離を認識することができる。
【符号の説明】
【0087】
2 車載機
4 光ビーコン
7 ビーコン制御機(制御部)
8 投受光器
12 受光部
14a 受光面
A 通信領域
R 道路
UA アップリンク領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機から送信されたアップリンク光を受光可能なアップリンク領域を道路の所定範囲に設定する受光部を備えている光ビーコンであって、
前記受光部が前記アップリンク光を受光する受光面を有しており、
前記アップリンク光の送信位置に対応づけて、前記受光面における受光位置を認識する受光位置認識部を備えていることを特徴とする光ビーコン。
【請求項2】
前記受光面によって受光されたアップリンク光が前記アップリンク領域内の位置から送信されたものであるか否かを、当該アップリンク光の受光位置に応じて判別する判別部をさらに備えている請求項1記載の光ビーコン。
【請求項3】
前記判別部が、前記アップリンク領域内の位置から送信されたものと判別したアップリンク光を有効なアップリンク光として取得し、それ以外のアップリンク光を無効なアップリンク光として破棄する機能を有している請求項2記載の光ビーコン。
【請求項4】
前記判別部によって有効と判別されたアップリンク光の送信位置に関する情報を、前記車載機に対して送信する発光部を更に備えている請求項3記載の光ビーコン。
【請求項5】
前記アップリンク領域が複数の領域に区分けされており、
前記受光面によって受光されたアップリンク光が、前記アップリンク領域における複数の領域のうちのいずれから送信されたものであるかを前記受光面の受光位置に応じて判別する第二判別部と、
前記第二判別部によって判別されたアップリンク光が送信された領域に関する情報を、前記車載機に対して送信する発光部と、を更に備えている請求項3記載の光ビーコン。
【請求項6】
前記受光位置認識部が、車両進行方向に対応する方向についての受光位置を認識可能に構成されている請求項1〜5のいずれか1つに記載の光ビーコン。
【請求項7】
前記受光位置認識部が、道路幅方向に対応する方向についての受光位置を認識可能に構成されている請求項1〜6のいずれか1つに記載の光ビーコン。
【請求項8】
車載機から送信されたアップリンク光を光ビーコンの受光部によって受光可能なアップリンク領域を、道路の所定範囲に設定するためのアップリンク領域設定方法であって、
道路に設定すべきアップリンク領域の道路上の地点から前記受光部に向けて光信号を送信するステップと、
この光信号を受光した受光部の受光面上の受光位置を求めるとともに、当該受光位置を前記光信号を送信した道路上の地点に対応づけることによってアップリンク領域を設定するステップと、
を含むことを特徴とする光ビーコンのアップリンク領域設定方法。
【請求項9】
前記光信号を送信する道路上の地点が、道路に設定すべきアップリンク領域の車両進行方向上流端の境界線上における少なくとも1点と、同方向下流端の境界線上における少なくとも1点とを含む、請求項8記載の光ビーコンのアップリンク領域設定方法。
【請求項10】
前記光信号を送信する道路上の地点が、道路に設定すべきアップリンク領域の少なくとも4隅に相当する4点を含み、この少なくとも4点から送信された前記光信号を受光する受光面上の受光位置によって囲まれる範囲を、アップリンク領域に対応する受光面上の受光範囲として設定する、請求項8又は9に記載の光ビーコンのアップリンク領域設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−83653(P2013−83653A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−245571(P2012−245571)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【分割の表示】特願2007−202982(P2007−202982)の分割
【原出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】