説明

光ピックアップ、集積回路、及び光ディスク装置

【課題】光ピックアップから出力される再生信号を処理する信号処理部及び光ピックアップの制御を行う制御部を有する集積回路を実装している制御基板の種類と光ピックアップの種類とを1対1対応させる必要がなく、光ピックアップの種類の識別を実現するために必要なコストアップがほとんどない光ピックアップを提供する。
【解決手段】外部からの制御信号(例えばモード切替制御信号)を入力する所定の入力ポート(例えばモード切替用入力ポートP11)と、前記所定の入力ポートに外部からの制御信号が入力されていないときに前記所定の入力ポートを所定の電圧に設定する電圧設定部(例えばプルアップ用の抵抗R1)とを備える光ピックアップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに向かって光を出射し、当該光ディスクからの反射光を検出する光ピックアップ、光ピックアップから出力される再生信号を処理する信号処理部及び光ピックアップの制御を行う制御部を有する集積回路、並びにそれらを備えた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置には、光ピックアップを含むローダが搭載されている。
【0003】
光ディスク装置を製造するメーカでは、コスト削減を図るために、光ピックアップの購入先をより安い価格で仕入れられるメーカに切り替えたり、市場への供給数を増大及び確保するために、複数のメーカから光ピックアップを購入したりすることがある。しかし、光ピックアップの製造メーカの違いによって再生信号特性や制御方法が異なることがある。
【0004】
また、光ディスク装置を製造するメーカは、一般的に年に1回或いは数回光ピックアップをモデルチェンジしているので、光ピックアップを自社生産する場合や光ピックアップの購入先を一つのメーカにしている場合でも、製造時期の違いによって再生信号特性や制御方法が異なることがある。
【0005】
上記のような状況のため、同一メーカ製の光ディスク装置に搭載されるローダであっても、その内部に含まれている光ピックアップには複数の種類があり、種類によって再生信号特性や制御方法が異なっている。したがって、光ピックアップから出力される再生信号を処理する信号処理部及び光ピックアップの制御を行う制御部を有する集積回路を実装している制御基板の種類と、光ピックアップの種類とを1対1対応させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−209873号公報(要約)
【特許文献2】特開平4−287185号公報(要約、段落0009)
【特許文献3】特開平9−102665号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、サービス対応でローダを交換する際などに、人為的ミスにより制御基板の種類と光ピックアップの種類との対応を誤るおそれがある。制御基板の種類と光ピックアップの種類との対応に誤りがあると、最悪の場合、光ピックアップを破壊させてしまうことになる。
【0008】
上記人為的ミスに対する対策として、光ピックアップの種類を識別するためのメモリ素子を光ピックアップ内に設ける対策や光ピックアップの種類を識別するための専用ピンを光ピックアップ及び制御基板に設ける対策が考えられているが、このような対策はコストアップに繋がるという問題を有している。
【0009】
なお、特許文献1では、モードの種類、数、順序がそれぞれ異なるチップセットに対し1種類の受光素子で対応できる光ピックアップが開示されているが、制御基板(特許文献1ではセット基板2)の種類と光ピックアップ(特許文献1では光ピックアップ装置1)の種類との対応を誤るおそれを回避する技術についての開示や示唆は一切ない。
【0010】
また、特許文献2では、装着されたICカードの種類を判別することができるICカード用ホルダが開示されているが、当該ICカード用ホルダは、判別信号用の専用ピンを設けることにより、装着されたICカードの種類の判別を可能とする構成であるので、専用ピンの追加がコストアップに繋がるという問題を有している。
【0011】
また、特許文献3では、回路基板上にIC等の電子部品が実装されているか否かを判別する技術が開示されているが、制御基板の種類と光ピックアップの種類との対応を誤るおそれを回避する技術についての開示や示唆は一切ない。
【0012】
本発明は、上記の状況に鑑み、光ピックアップから出力される再生信号を処理する信号処理部及び光ピックアップの制御を行う制御部を有する集積回路を実装している制御基板の種類と光ピックアップの種類とを1対1対応させる必要がなく、光ピックアップの種類の識別を実現するために必要なコストアップがほとんどない光ピックアップ、光ピックアップから出力される再生信号を処理する信号処理部及び光ピックアップの制御を行う制御部を有する集積回路、並びにそれらを備えた光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明に係る光ピックアップにおいては、外部からの制御信号を入力する所定の入力ポートと、前記所定の入力ポートに外部からの制御信号が入力されていないときに前記所定の入力ポートを所定の電圧に設定する電圧設定部とを備える構成とする。
【0014】
また、前記所定の入力ポートをPDICの入力ポートとしてもよい。
【0015】
また、前記電圧設定部が、プルアップ用の抵抗、プルダウン用の抵抗、抵抗分圧を生成する複数の抵抗のいずれかを有するようにしてもよい。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明に係る集積回路においては、光ピックアップから出力される再生信号を処理する信号処理部及び前記光ピックアップの制御を行う制御部を有する集積回路であって、所定の入出力ポートを備え、前記所定の入出力ポートから制御信号を出力していないときに前記所定の入出力ポートに入力される電圧により、前記光ピックアップの種類を識別し、識別結果に応じた動作を行う構成とする。なお、当該集積回路は1パッケージ化されていても複数のパッケージに分割されていても構わない。また、当該集積回路は、前記光ピックアップから出力される再生信号を処理する信号処理の少なくとも一部を行うものであればよく、必ずしも前記光ピックアップから出力される再生信号を処理する信号処理の全部を行うものである必要はない。同様に、当該集積回路は、前記光ピックアップの制御の少なくとも一部を行うものであればよく、必ずしも前記光ピックアップの制御の全てを行うものである必要はない。
【0017】
また、上記目的を達成するために本発明に係る光ディスク装置は、上記いずれかの構成の光ピックアップと、上記構成の集積回路とを備える構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、光ピックアップの電圧設定部が設定した電圧により、集積回路が光ピックアップの種類を識別することができるので、集積回路を実装している制御基板の種類と光ピックアップの種類とを1対1対応させる必要がなくなる。このため、光ディスク再生装置の生産において、光ディスク再生装置に搭載する光ピックアップの種類毎に生産工程を分ける必要がなくなり、また、サービス対応でローダを交換する際などにおいて、人為的ミスにより制御基板の種類と光ピックアップの種類との対応を誤って、光ピックアップを破壊させてしまう懸念がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る光ディスク再生装置の概略構成例を示す図である。
【図2A】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図2B】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図2C】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図3A】本発明の第2実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図3B】本発明の第2実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図3C】本発明の第2実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図4A】本発明の第3実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図4B】本発明の第3実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図4C】本発明の第3実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図4D】本発明の第3実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図4E】本発明の第3実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図4F】本発明の第3実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図4G】本発明の第3実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図4H】本発明の第3実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図4I】本発明の第3実施形態に係る光ピックアップの要部内部構成を示す図である。
【図5A】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図5B】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図5C】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図6A】本発明の第1実施形態の他の変形例を示す図である。
【図6B】本発明の第1実施形態の他の変形例を示す図である。
【図6C】本発明の第1実施形態の他の変形例を示す図である。
【図7A】MIDDLEレベルの電圧を省いた場合における本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図7B】MIDDLEレベルの電圧を省いた場合における本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図8A】MIDDLEレベルの電圧を省いた場合における本発明の第1実施形態の他の変形例を示す図である。
【図8B】MIDDLEレベルの電圧を省いた場合における本発明の第1実施形態の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。ここでは、本発明に係る光ディスク装置として光ディスク再生装置を例に挙げて説明を行う。
【0021】
<<本発明に係る光ディスク装置の一例>>
本発明に係る光ディスク再生装置の概略構成例を図1に示す。図1に示す本発明に係る光ディスク再生装置は、光ディスク1を再生する装置であって、ローダ2と、システムLSI(Large Scale Integration)3と、出力回路4と、ドライバ5と、表示部6と、操作部7とを備えている。ローダ2は、光ピックアップ21と、送りモータ22と、スピンドルモータ23と、光ディスク1を装着するトレイ(不図示)をローディングするローディング機構(不図示)とを含むユニットである。システムLSI3は、RFアンプ31と、DSP(Digital Signal Processor)32と、再生処理回路33と、CPU(Central Processing Unit)34と、フラッシュメモリ35とを含んでおり、出力回路4、ドライバ5とともに制御基板(不図示)上に実装されている。
【0022】
光ピックアップ21は、光ディスク1に光ビームを照射して、光ディスク1に記録された音声情報、映像情報等の各種情報の読み取りを行う。
【0023】
光ピックアップ21により得られた音声情報及び映像情報は、RFアンプ31、DSP32、再生処理回路33、及び出力回路4の信号処理により音声及び映像に変換され、それぞれスピーカ及びモニタ(不図示)から出力される。RFアンプ31は、光ピックアップ21からの音声信号や映像信号等を増幅する。DSP32及び再生処理回路33は、RFアンプ31から出力された信号に対して、再生のための各種情報処理(例えば映像処理等)を施す。出力回路4は、再生処理回路33から出力された信号を、スピーカ及びモニタ(不図示)に出力するためにD/A変換処理等を行う。
【0024】
CPU34及びドライバ5は、光ピックアップ21の動作と送りモータ22及びスピンドルモータ23からなる駆動部の動作を制御する。CPU34は、操作部7からの情報を受け付けてDSP32に伝送するとともに、DSP32からの情報を表示部6に伝送する。また、ドライバ5は、DSP32からの指示に基づいて、光ピックアップ21の動作と上記駆動部の動作を制御する。
【0025】
送りモータ22は、DSP32の指示に基づいて動作するドライバ5によって駆動される。送りモータ22の駆動によって光ピックアップ21は光ディスク1の径方向及び厚み方向に移動する。スピンドルモータ23は、DSP32の指示に基づいて動作するドライバ5によって駆動される。スピンドルモータ23の駆動によって光ディスク1が回転する。
【0026】
さらに、ドライバ5は、DPS32の指示に基づいて光ピックアップ21内の対物レンズ(不図示)のフォーカス制御も行う。
【0027】
図1に示す本発明に係る光ディスク再生装置の特徴部分は光ピックアップ21及びシステムLSI3であるが、その特徴部分の詳細については以下の各実施形態において説明する。
【0028】
<<本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ>>
次に、本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ21(光ピックアップ21_1〜21_3)の要部内部構成を図2A〜図2Cに示す。本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ21では光ピックアップの種類と光ピックアップ21_1〜21_3の構成とを対応させている。すなわち、第1の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_1の構成を割り当て、第2の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_2の構成を割り当て、第3の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_3の構成を割り当てるようにしている。
【0029】
なお、図2A〜図2Cにおいて図1と同一の部分には同一の符号を付し、その詳細な説明については適宜省略する。また、図2B及び図2Cにおいて図2Aと同一の部分には同一の符号を付し、その詳細な説明については適宜省略する。
【0030】
光ピックアップ21_1は、光ディスク1で反射した反射光を検出するPDIC(Photo Detector Integrated Circuit)211と、プルアップ用の抵抗R1とを備えている。PDIC211は、モード切替用入力ポートP11に入力されたモード切替制御信号に応じてモードの設定を行っている。例えば、モード切替用入力ポートP11にLOWレベルの電圧が入力されたときにはPDIC211がON状態となり、モード切替用入力ポートP11にHIGHレベルの電圧が入力されたときにはPDIC211がスリープ状態となるようにすればよい。
【0031】
図1に示す本発明に係る光ディスク再生装置において、システムLSI3のモード切替用入出力ポートP1とPDIC211のモード切替用入力ポートP11とは、図2Aに示すように電気的に接続されている。
【0032】
システムLSI3がモード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力していない場合、システムLSI3のモード切替用入出力ポートP1及びPDIC211のモード切替用入力ポートP11は抵抗R1によってプルアップされ、システムLSI3のモード切替用入出力ポートP1にHIGHレベルの電圧(=3.3Vの電圧)が入力される。
【0033】
一方、システムLSI3がモード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力している場合、当該モード切替制御信号がPDIC211のモード切替用入力ポートP11に入力され、そのモード切替用入力ポートP11に入力されたモード切替制御信号に応じてPDIC211はモードの設定を行っている。
【0034】
光ピックアップ21_2は、光ピックアップ21_1のプルアップ用の抵抗R1をプルダウン用の抵抗R2を置換した構成である。
【0035】
図1に示す本発明に係る光ディスク再生装置において、システムLSI3のモード切替用入出力ポートP1とPDIC211のモード切替用入力ポートP11とは、図2Bに示すように電気的に接続されている。
【0036】
システムLSI3がモード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力していない場合、システムLSI3のモード切替用入出力ポートP1及びPDIC211のモード切替用入力ポートP11は抵抗R2によってプルダウンされ、システムLSI3のモード切替用入出力ポートP1にLOWレベルの電圧(=グランド電圧)が入力される。
【0037】
一方、システムLSI3がモード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力している場合、当該モード切替制御信号がPDIC211のモード切替用入力ポートP11に入力され、そのモード切替用入力ポートP11に入力されたモード切替制御信号に応じてPDIC211はモードの設定を行っている。
【0038】
光ピックアップ21_3は、光ピックアップ21_1に抵抗R2を追加した構成である。抵抗R2の一端はモード切替用入力ポートP11に接続され、抵抗R2の他端はグランドに接続される。
【0039】
図1に示す本発明に係る光ディスク再生装置において、システムLSI3のモード切替用入出力ポートP1とPDIC211のモード切替用入力ポートP11とは、図2Cに示すように電気的に接続されている。
【0040】
システムLSI3がモード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力していない場合、システムLSI3のモード切替用入出力ポートP1及びPDIC211のモード切替用入力ポートP11それぞれに、MIDDLEレベルの電圧(=抵抗R1及びR1による抵抗分圧)が入力される。
【0041】
一方、システムLSI3がモード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力している場合、当該モード切替制御信号がPDIC211のモード切替用入力ポートP11に入力され、そのモード切替用入力ポートP11に入力されたモード切替制御信号に応じてPDIC211はモードの設定を行っている。
【0042】
したがって、システムLSI3は、モード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力していないときにモード切替用入出力ポートP1の電圧を読み取ることで、接続されている光ピックアップが光ピックアップ21_1〜21_3のいずれであるか、すなわち、接続されている光ピックアップが第1の種類〜第3の種類のいずれであるかを識別することができる。具体的には、システムLSI3は、モード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力していないときのモード切替用入出力ポートP1の電圧値を光ピックアップ21の種類毎に予め記憶しているフラッシュメモリ35から、モード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力していないときに読み取ったモード切替用入出力ポートP1の電圧に対応する光ピックアップ21の種類を読み出し、接続されている光ピックアップが第1の種類〜第3の種類のいずれであるかを識別する。
【0043】
システムLSI3は、光ピックアップ21から出力される再生信号の処理及び光ピックアップ21の制御に関する情報(設定パラメータ等)を光ピックアップ21の種類毎に予め記憶しているフラッシュメモリ35から、識別した光ピックアップ21の種類に対応する情報を読み出し、その読み出した情報に応じた動作を行う。
【0044】
上記のような構成及び動作により、システムLSI3を実装している制御基板の種類と光ピックアップ21の種類とを1対1対応させる必要がなくなる。このため、光ディスク再生装置の生産において、光ディスク再生装置に搭載する光ピックアップ21の種類毎に生産工程を分ける必要がなくなり、また、サービス対応でローダ2を交換する際などにおいて、人為的ミスにより制御基板の種類と光ピックアップ21の種類との対応を誤って、光ピックアップ21を破壊させてしまう懸念がなくなる。
【0045】
さらに、光ピックアップ21の種類を識別するためのメモリ素子や専用ピンを新たに設ける必要がなく、モード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力していないときにモード切替用入出力ポートP1の電圧を設定する手段(本実施形態では抵抗R1及び/又は抵抗R2)のみの追加でよいので、光ピックアップ21の種類の識別を実現するために必要なコストアップがほとんどない。
【0046】
<<本発明の第2実施形態に係る光ピックアップ>>
次に、本発明の第2実施形態に係る光ピックアップ21(光ピックアップ21_4〜21_6)の要部内部構成を図3A〜図3Cに示す。本発明の第2実施形態に係る光ピックアップ21では光ピックアップの種類と光ピックアップ21_4〜21_6の構成とを対応させている。すなわち、第1の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_4の構成を割り当て、第2の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_5の構成を割り当て、第3の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_6の構成を割り当てるようにしている。
【0047】
なお、図3A〜図3Cにおいて図1と同一の部分には同一の符号を付し、その詳細な説明については適宜省略する。また、図3B及び図3Cにおいて図3Aと同一の部分には同一の符号を付し、その詳細な説明については適宜省略する。
【0048】
光ピックアップ21_4は、光ディスク1で反射した反射光を検出するPDIC211と、プルアップ用の抵抗R3とを備えている。PDIC211は、ゲイン切替用入力ポートP12に入力されたゲイン切替制御信号に応じてゲインの設定を行っている。例えば、ゲイン切替用入力ポートP12にLOWレベルの電圧が入力されたときにはPDIC211のゲインが第1のゲイン値となり、ゲイン切替用入力ポートP12にMIDDLEレベルの電圧が入力されたときにはPDIC211のゲインが第2のゲイン値となり、ゲイン切替用入力ポートP12にHIGHレベルの電圧が入力されたときにはPDIC211のゲインが第3のゲイン値となるようにすればよい。
【0049】
図1に示す本発明に係る光ディスク再生装置において、システムLSI3のゲイン切替用入出力ポートP2とPDIC211のゲイン切替用入力ポートP12とは、図3Aに示すように電気的に接続されている。
【0050】
システムLSI3がゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力していない場合、システムLSI3のゲイン切替用入出力ポートP2及びPDIC211のゲイン切替用入力ポートP12は抵抗R3によってプルアップされ、システムLSI3のゲイン切替用入出力ポートP2にHIGHレベルの電圧(=3.3Vの電圧)が入力される。
【0051】
一方、システムLSI3がゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力している場合、当該ゲイン切替制御信号がPDIC211のゲイン切替用入力ポートP12に入力され、そのゲイン切替用入力ポートP12に入力されたゲイン切替制御信号に応じてPDIC211はゲインの設定を行っている。
【0052】
光ピックアップ21_5は、光ピックアップ21_4のプルアップ用の抵抗R3をプルダウン用の抵抗R4を置換した構成である。
【0053】
図1に示す本発明に係る光ディスク再生装置において、システムLSI3のゲイン切替用入出力ポートP2とPDIC211のゲイン切替用入力ポートP12とは、図3Bに示すように電気的に接続されている。
【0054】
システムLSI3がゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力していない場合、システムLSI3のゲイン切替用入出力ポートP2及びPDIC211のゲイン切替用入力ポートP12は抵抗R4によってプルダウンされ、システムLSI3のゲイン切替用入出力ポートP2にLOWレベルの電圧(=グランド電圧)が入力される。
【0055】
一方、システムLSI3がゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力している場合、当該ゲイン切替制御信号がPDIC211のゲイン切替用入力ポートP12に入力され、そのゲイン切替用入力ポートP12に入力されたゲイン切替制御信号に応じてPDIC211はゲインの設定を行っている。
【0056】
光ピックアップ21_6は、光ピックアップ21_3に抵抗R4を追加した構成である。抵抗R4の一端はゲイン切替用入力ポートP12に接続され、抵抗R4の他端はグランドに接続される。
【0057】
図1に示す本発明に係る光ディスク再生装置において、システムLSI3のゲイン切替用入出力ポートP2とPDIC211のゲイン切替用入力ポートP12とは、図3Cに示すように電気的に接続されている。
【0058】
システムLSI3がゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力していない場合、システムLSI3のゲイン切替用入出力ポートP2及びPDIC211のゲイン切替用入力ポートP12それぞれに、MIDDLEレベルの電圧(=抵抗R3及びR4による抵抗分圧)が入力される。
【0059】
一方、システムLSI3がゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力している場合、当該ゲイン切替制御信号がPDIC211のゲイン切替用入力ポートP12に入力され、そのゲイン切替用入力ポートP12に入力されたゲイン切替制御信号に応じてPDIC211はゲインの設定を行っている。
【0060】
したがって、システムLSI3は、ゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力していないときにゲイン切替用入出力ポートP2の電圧を読み取ることで、接続されている光ピックアップが光ピックアップ21_4〜21_6のいずれであるか、すなわち、接続されている光ピックアップが第1の種類〜第3の種類のいずれであるかを識別することができる。具体的には、システムLSI3は、ゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力していないときのゲイン切替用入出力ポートP2の電圧値を光ピックアップ21の種類毎に予め記憶しているフラッシュメモリ35から、ゲイン切替用入出力ポートP2からモード切替制御信号を出力していないときに読み取ったゲイン切替用入出力ポートP2の電圧に対応する光ピックアップ21の種類を読み出し、接続されている光ピックアップが第1の種類〜第3の種類のいずれであるかを識別する。
【0061】
システムLSI3は、光ピックアップ21から出力される再生信号の処理及び光ピックアップ21の制御に関する情報(設定パラメータ等)を光ピックアップ21の種類毎に予め記憶しているフラッシュメモリ35から、識別した光ピックアップ21の種類に対応する情報を読み出し、その読み出した情報に応じた動作を行う。
【0062】
上記のような構成及び動作により、システムLSI3を実装している制御基板の種類と光ピックアップ21の種類とを1対1対応させる必要がなくなる。このため、光ディスク再生装置の生産において、光ディスク再生装置に搭載する光ピックアップ21の種類毎に生産工程を分ける必要がなくなり、また、サービス対応でローダ2を交換する際などにおいて、人為的ミスにより制御基板の種類と光ピックアップ21の種類との対応を誤って、光ピックアップ21を破壊させてしまう懸念がなくなる。
【0063】
さらに、光ピックアップ21の種類を識別するためのメモリ素子や専用ピンを新たに設ける必要がなく、ゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力していないときにゲイン切替用入出力ポートP2の電圧を設定する手段(本実施形態では抵抗R3及び/又は抵抗R4)のみの追加でよいので、光ピックアップ21の種類の識別を実現するために必要なコストアップがほとんどない。
【0064】
<<本発明の第3実施形態に係る光ピックアップ>>
次に、本発明の第3実施形態に係る光ピックアップ21(光ピックアップ21_7〜21_15)の要部内部構成を図4A〜図4Iに示す。本発明の第3実施形態に係る光ピックアップ21では光ピックアップの種類と光ピックアップ21_7〜21_15の構成とを対応させている。すなわち、第1の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_7の構成を割り当て、第2の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_8の構成を割り当て、第3の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_9の構成を割り当て、第4の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_10の構成を割り当て、第5の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_11の構成を割り当て、第6の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_12の構成を割り当て、第7の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_13の構成を割り当て、第8の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_14の構成を割り当て、第9の種類の光ピックアップには光ピックアップ21_15の構成を割り当てるようにしている。
【0065】
なお、図4A〜図4Iにおいて図1、図2A〜図2C、及び図3A〜図3Cと同一の部分には同一の符号を付し、その詳細な説明については適宜省略する。
【0066】
本発明の第3実施形態は本発明の第1実施形態と本発明の第2実施形態を組み合わせた実施形態である。したがって、本発明の第3実施形態では、システムLSI3は、モード切替用入出力ポートP1からモード切替制御信号を出力していないときにモード切替用入出力ポートP1の電圧を読み取り、ゲイン切替用入出力ポートP2からゲイン切替制御信号を出力していないときにゲイン切替用入出力ポートP2の電圧を読み取ることで、接続されている光ピックアップが光ピックアップ21_7〜21_15のいずれであるか、すなわち、接続されている光ピックアップが第1の種類〜第9の種類のいずれであるかを識別することができる。本発明の第1実施形態と本発明の第2実施形態がそれぞれ3種類の光ピックアップ21の識別が可能な実施形態であるのに対して、本発明の第3実施形態は9種類の光ピックアップ21の識別が可能な実施形態である。なお、それ以外の点については、本発明の第3実施形態は本発明の第1実施形態、本発明の第2実施形態それぞれと同様の効果を奏する。
【0067】
<<その他>>
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。以下にいくつかの例を示す。
【0068】
第1実施形態の変形例として、図5A〜図5Cや図6A〜図6Cに示す構成が考えられる。図5A及び図6Aはそれぞれ図2Aに対応し、図5B及び図6Bはそれぞれ図2Bに対応し、図5C及び図6Cはそれぞれ図2Cに対応している。図5A及び図5Bは例えば光ピックアップ21内に設けられているFPC(FlexiblePrintedCircuit)の一部を切断することで実現することができ、図6A〜図6Cは光ピックアップ21内にメカニカルスイッチSW1及びSW2を追加して設けることで実現することができる。このような変形例では、光ピックアップ21の種類にかかわらず、システムLSI3からの制御信号がないときにモード切替用入力ポートP11の電圧を設定する手段を共通化して生産することができ、光ピックアップ21の生産の最終段階において、光ピックアップ21の種類に応じてFPCの切断あるいは非切断やメカニカルスイッチの設定を実施するだけでよいという利点がある。
【0069】
上述した実施形態において、例えばMIDDLEレベルの電圧を省くと、第1実施形態、第2実施形態では2種類の光ピックアップの識別となり、第3実施形態では4種類の光ピックアップの識別となる。このようにMIDDLEレベルの電圧を省いた場合の第1実施形態の変形例として、図7A及び図7Bや図8A及び図8Bに示す構成が考えられる。図7A及び図8Aはそれぞれ図2Aに対応し、図7B及び図8Bはそれぞれ図2Bに対応している。図7A及び図7Bは例えば光ピックアップ21内に設けられているFPCの一部を切断することで実現することができ、図8A及び図8Bは光ピックアップ21内にメカニカルスイッチSW1を追加して設けることで実現することができる。このような変形例では、光ピックアップ21の種類にかかわらず、システムLSI3からの制御信号がないときにモード切替用入力ポートP11の電圧を設定する手段を共通化して生産することができ、光ピックアップ21の生産の最終段階において、光ピックアップ21の種類に応じてFPCの切断あるいは非切断やメカニカルスイッチの設定を実施するだけでよいという利点がある。
【0070】
上述した実施形態では、モード切替用入力ポートP11やゲイン切替用入力ポートP12にシステムLSI3からの制御信号がないときにモード切替用入力ポートP11やゲイン切替用入力ポートP12の電圧を設定する手段を設けたが、モード切替用入力ポートP11やゲイン切替用入力ポートP12以外のポートに同様の電圧設定手段を設け、システムLSI3が制御信号を出力していないときに当該電圧設定手段により設定された電圧を読み取って、光ピックアップの種類を識別するようにしてもよい。モード切替用入力ポートP11やゲイン切替用入力ポートP12以外のポートとしては、例えば光ピックアップがDVD(Digital Versatile Disc)/CD(Compact Disc)に対応している場合のDVD/CD切替用入力ポートが挙げられる。
【0071】
また、ゲインの設定値を確保するために、通常ゲイン切替用入力ポートは複数設けられているため、例えば第3実施形態においてモード切替用入力ポートP11の代わりにゲイン切替用入力ポートP12以外のゲイン切替用入力ポートを用いるようにしてもよい。
【0072】
上述した実施形態では本発明に係る光ディスク装置として光ディスク再生装置を例に挙げて説明を行ったが、その他の光ディスク装置(例えば光ディスク記録再生装置)においおいても本発明を適用することができる。
【0073】
また、システムLSIの形態は様々なものが考えられる。例えば、システムLSIが出力回路の一部又は全部を含んでいてもよい。また、フラッシュメモリの代わりに他の不揮発性メモリを含むようにしてもよく、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含まずに外付けの不揮発性メモリに接続される形態であっても構わない。
【符号の説明】
【0074】
1 光ディスク
2 ローダ
3 システムLSI(集積回路の一例)
4 出力回路
5 ドライバ
6 表示部
7 操作部
21 光ピックアップ
21_1〜21_3
22 送りモータ
23 スピンドルモータ
31 RFアンプ
32 DSP
33 再生処理回路
34 CPU
35 フラッシュメモリ
211 PDIC
P1 モード切替用入出力ポート
P2 ゲイン切替用入出力ポート
P11 モード切替用入力ポート
P12 ゲイン切替用入力ポート
R1〜R4 抵抗(電圧設定部の構成部品例)
SW1、SW2 メカニカルスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの制御信号を入力する所定の入力ポートと、
前記所定の入力ポートに外部からの制御信号が入力されていないときに前記所定の入力ポートを所定の電圧に設定する電圧設定部とを備えることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
前記所定の入力ポートがPDICの入力ポートである請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
前記電圧設定部が、プルアップ用の抵抗、プルダウン用の抵抗、抵抗分圧を生成する複数の抵抗のいずれかを有する請求項1または請求項2に記載の光ピックアップ。
【請求項4】
光ピックアップから出力される再生信号を処理する信号処理部及び前記光ピックアップの制御を行う制御部を有する集積回路であって、
所定の入出力ポートを備え、
前記所定の入出力ポートから制御信号を出力していないときに前記所定の入出力ポートに入力される電圧により、前記光ピックアップの種類を識別し、識別結果に応じた動作を行うことを特徴とする集積回路。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ピックアップと、
請求項4に記載の集積回路とを備えることを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2011−119004(P2011−119004A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277458(P2009−277458)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】