説明

光ピックアップ及びこれを用いた光記録再生装置

【課題】光ピックアップに搭載されている光学部品の放熱性を高める。
【解決手段】光ピックアップのハウジング11には、光学部品30の保護のため、金属カバー23が被せられている。光学部品30は、ハウジング11の底面の所定の位置に接着固定されており、光学部品30の上方は金属カバー23で覆われている。光学部品30の上面30uと金属カバー23との間には熱伝導性樹脂31が設けられている。このように、光学部品30と金属カバー23とを熱伝導性樹脂31でつないだ場合には、レーザ光の熱損失によって光学部品30が発熱したとしても、その熱が熱伝導性樹脂31を通って金属カバー23に逃げるので、光学部品30の放熱性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップに関し、特に、光ピックアップ内の光学部品の放熱構造に関するものである。また、本発明は、この光ピックアップを用いた光記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CD、DVD、ブルーレイディスク等の光ディスクへのデータの記録や再生を行う光記録再生装置は光ピックアップを備えており、光ピックアップには、レーザ光源等の発熱する部品が実装されている。この熱は、レーザ光源自身の特性はもちろんのこと、他の光学部品に対しても悪影響を与えることから、何らかの放熱対策が必要である。
【0003】
外部からの熱によって光学部品の特性が変化することを防止するため、例えば特許文献1には、光学部品を保持するホルダを設け、このホルダ又は光学部品を周方向の複数箇所でピックアップ筐体に接触させることにより、光学部品の温度分布を均一化することが開示されている。また、特許文献2には、対物レンズとボビンとの間にボビンよりも熱伝導率が高い介装部材を設けることにより、対物レンズの周方向の温度分布を均一にすることが開示されている。
【特許文献1】特開2006−120206号公報
【特許文献2】特開2004−110984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ピックアップにおいては、レーザ光源自身の発熱のみならず、レーザ光が光学部品を通過するときにも熱損失が発生し、これにより光学部品が発熱する。例えば、ビームスプリッターは、入射したレーザ光の一部を透過又は反射する機能を有し、残りの光のほとんどは反射又は分散するが、残りの光の一部は吸収されて熱に変化するので、発熱しやすい性質を有する。さらに、光学部品は光ピックアップのハウジング内に収容され、金属製のカバーで覆われているため、熱がこもりやすい。ハウジング内にはそのような光学部品が複数あることから、ハウジング内の光学部品はより一層高温になり、屈折率の変動など、光学部品の特性に悪影響を与えるおそれがある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、光学部品の放熱性を高めることが可能な光ピックアップを提供することにある。本発明の目的はまた、そのような光ピックアップを用いた改良された光記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、光学部品と、光学部品の少なくとも一面に対向する放熱部材と、光学部品と放熱部材とをつなぐ熱伝導性材料とを備えることを特徴とする光ピックアップによって達成される。この場合において、光学部品としては、ダイクロイックプリズム、ビームスプリッター又はハーフミラーであることが好ましい。また、熱伝導性材料は、光学部品の複数の面のうち、レーザ光の入出射面及び反射面とは異なる面に付着していることが好ましい。
【0007】
本発明の光ピックアップは、光学部品を収容するハウジングと、ハウジングの開口部に取り付けられた金属カバーをさらに備え、放熱部材が金属カバーであることが好ましい。これによれば、光学部品の保護のために使用する金属カバーを放熱部材としても使用することができ、部品点数を増やすことなく光学部品の放熱性を高めることができる。
【0008】
本発明の上記目的はまた、上述の光ピックアップを備えることを特徴とする光記録再生装置によっても達成される。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明によれば、光学部品の放熱性を向上させることができ、信頼性の高い光ピックアップを構成することができる。また、本発明によれば、このような光ピックアップを用いた信頼性の高い光記録再生装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の好ましい実施の形態による光ピックアップの構成を示す略斜視図である。
【0012】
図1に示すように、光ピックアップ100は、ハウジング11と、ハウジング11の一方の主面側に設けられた対物レンズ駆動装置12(不図示)及び制御基板とを備えており、ハウジング11の他方の主面側には光学部品収容部11Aが形成されている。対物レンズ駆動装置12にはレーザ光をディスク面に収束させるための対物レンズが搭載されている。
【0013】
光学部品収容部11Aにはハウジング11の側面に取り付けられた第1及び第2のレーザダイオード14、15と、第1及び第2のレーザダイオード14、15に対応してそれぞれ設けられた第1及び第2の回折格子16、17と、第1のレーザダイオード14からのレーザ光を透過し、第2のレーザダイオード15からのレーザ光を反射するダイクロイックプリズム18と、光ディスク(不図示)からの反射光をフォトダイオード22側へ導く偏向ビームスプリッター19(以下、単にビームスプリッターという)と、レーザ光の進行方向を変更する立ち上げミラー20と、ビームスプリッター19を通過した光を収束させるセンサーレンズ21と、センサーレンズ21によって集光された光を受光するフォトダイオード22とを備えている。
【0014】
第1のレーザダイオード14から出射したレーザ光は、第1の回折格子16で3本のビームに分割された後、ダイクロイックプリズム18を透過し、ビームスプリッター19で反射し、立ち上げミラー20でさらに反射し、対物レンズを通って光ディスクの記録面に照射される。光ディスクの記録面で反射したレーザ光は、対物レンズ及び立ち上げミラー20を通ってビームスプリッター19に入射し、ビームスプリッター19を透過し、さらにセンサーレンズ21を通ってフォトダイオード22に入射する。第2のレーザダイオード15から出射したレーザ光は、第2の回折格子17で3本のビームに分割された後、ダイクロイックプリズム18で反射するが、その後の光路は第1のレーザダイオード14から出射したレーザ光の場合と同様である。こうして、レーザ光はダイクロイックプリズム18やビームスプリッター19を透過又は反射するわけであるが、このときこれらの光学部品が発熱することは上述した通りである。
【0015】
図2は、図1のハウジング11に金属カバーが取り付けられた状態を示す略斜視図である。
【0016】
図2に示すように、ハウジング11には、光学部品の保護のため、金属カバー23が被せられている。しかし、このような構成では、光学部品収容部11Aには光学部品が発生した熱がこもりやすい。そのため、本実施形態の光ピックアップ100においては、光学部品の放熱対策が施されている。
【0017】
図3は、光ピックアップ100内の光学部品の放熱構造の一例を示す略断面図である。
【0018】
図3に示すように、ビームスプリッター等の光学部品30は、ハウジング11の底面の所定の位置に接着固定されており、光学部品30の上方は金属カバー23で覆われている。さらに、本実施形態においては、光学部品30の上面30uと金属カバー23との間に熱伝導性樹脂31が設けられている。熱伝導性樹脂31は、光学部品上に塗布しやすく、塗布した状態を維持できる程度の適度な粘性を有するものであることが好ましい。このように、光学部品30と金属カバー23とを熱伝導性樹脂31でつないだ場合には、レーザ光の熱損失によって光学部品30が発熱したとしても、その熱が熱伝導性樹脂31を通って金属カバー23に逃げるので、光学部品30の放熱性を高めることができる。
【0019】
図4は、光学部品の放熱構造の他の例を示す略断面図である。
【0020】
図4に示すように、この放熱構造では、光学部品30の上面30u及び側面30sに熱伝導性樹脂31が設けられている。このときの側面30sは、レーザ光の入射面及び反射面とは異なる面であることは言うまでもない。このように、光学部品の上面30uのみならず側面30sにも熱伝導性樹脂31を設けることにより、光学部品30の放熱性をさらに高めることができる。
【0021】
図5は、上述の光ピックアップ100を用いた光記録再生装置の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0022】
図5に示すように、光記録再生装置200は、光ディスク101を回転させるためのスピンドルモータ102と、光ディスク101にレーザ光を照射するとともにその反射光を受光する光ピックアップ100と、スピンドルモータ102及び光ピックアップ100の動作を制御するコントローラ103と、光ピックアップ100にレーザ駆動信号を供給するレーザ駆動回路104と、光ピックアップ100にレンズ駆動信号を供給するレンズ駆動回路105とを備えている。
【0023】
コントローラ103にはフォーカスサーボ追従回路106、トラッキングサーボ追従回路107及びレーザコントロール回路108が含まれている。フォーカスサーボ追従回路106が作動すると、回転している光ディスク101の情報記録面にフォーカスがかかった状態となり、トラッキングサーボ追従回路107が作動すると、光ディスク101の偏芯している信号トラックに対して、レーザ光のスポットが自動追従状態となる。フォーカスサーボ追従回路106及びトラッキングサーボ追従回路107には、フォーカスゲインを自動調整するためのオートゲインコントロール機能及びトラッキングゲインを自動調整するためのオートゲインコントロール機能がそれぞれ備えられている。また、レーザコントロール回路108は、レーザ駆動回路104により供給されるレーザ駆動信号を生成する回路であり、光ディスク101に記録されている記録条件設定情報に基づいて、適切なレーザ駆動信号の生成を行う。
【0024】
なお、これらフォーカスサーボ追従回路106、トラッキングサーボ追従回路107及びレーザコントロール回路108については、コントローラ103内に組み込まれた回路である必要はなく、コントローラ103と別個の部品であっても構わない。さらに、これらは物理的な回路である必要はなく、コントローラ103内で実行されるソフトウェアであっても構わない。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の光ピックアップによれば、光学部品の上方に金属製カバーを設けると共に、光学部品と金属製カバーとの間を熱伝導性材料で接続したので、光学部品にレーザ光が透過する際に光学部品から発生する熱を放熱させることができる。
【0026】
また、本実施形態の光記録再生装置によれば、実装部品の一つとして上述の光ピックアップを用いることから、安価で高性能な光記録再生装置を実現することができる。
【0027】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加えることが可能であり、それらも本発明の範囲に包含されるものであることは言うまでもない。
【0028】
例えば、上記実施形態においては、熱伝導性材料を介して光学部品と金属カバーとをつなぐことにより光学部品の放熱性を高めているが、本発明はこのような構成に限るものではなく、例えば、光学部品の上面に専用の放熱板を取り付けても良く、熱伝導性材料を介して放熱板と光学部品とをつないでも良い。また、上述の通り、放熱部材の取付位置は光学部品の上面に限定されず、光学部品の少なくとも一面に対向する位置に設けられていればよい。
【0029】
また、上記実施形態においては、ダイクロイックプリズムや偏向ビームスプリッターを対象としているが、放熱対策の対象となる光学部品はこれらに限定されるものではなく、例えばハーフミラー等、発熱しやすい他の種々の光学部品を対象にすることができる。ただし、ここにいう光学部品はレーザ光を透過又は反射する受動光学部品であり、レーザダイオードのような能動光学部品は対象ではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施の形態による光ピックアップ100の構成を示す略斜視図である。
【図2】図2は、ハウジング11に金属カバーが取り付けられた状態を示す略斜視図である。
【図3】図3は、光ピックアップ100内の光学部品の放熱構造の一例を示す略断面図である。
【図4】図4は、光学部品の放熱構造の他の例を示す略断面図である。
【図5】図5は、上述の光ピックアップ100を用いた光記録再生装置200の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0031】
11 ハウジング
11A 光学部品収容部
12 対物レンズ駆動装置
14 第1のレーザダイオード
15 第2のレーザダイオード
16 第1の回折格子
17 第2の回折格子
18 ダイクロイックプリズム
19 偏向ビームスプリッター
20 立ち上げミラー
21 センサーレンズ
22 フォトダイオード
23 金属カバー
30 光学部品
30u 光学部品の上面
30s 光学部品の側面
31 熱伝導性樹脂
100 光ピックアップ
101 光ディスク
102 スピンドルモータ
103 コントローラ
104 レーザ駆動回路
105 レンズ駆動回路
106 フォーカスサーボ追従回路
107 トラッキングサーボ追従回路
108 レーザコントロール回路
200 光記録再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品と、前記光学部品の少なくとも一面に対向する放熱部材と、前記光学部品と前記放熱部材とをつなぐ熱伝導性材料とを備えることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
前記熱伝導性材料は、前記光学部品の複数の面のうちレーザ光の入出射面及び反射面とは異なる面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
前記光学部品を収容するハウジングと、前記ハウジングの開口部に取り付けられた金属カバーを備え、前記放熱部材が前記金属カバーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ。
【請求項4】
前記光学部品がダイクロイックプリズム、ビームスプリッター又はハーフミラーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光ピックアップ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ピックアップを備えることを特徴とする光記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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