説明

光ピックアップ及び光ディスク装置

【課題】本発明は、層間迷光に起因してトラッキングエラー信号に生じる干渉ノイズを簡易な構成で低減することができる。
【解決手段】本発明は、光ディスク100における隣り合う信号記録層L0及びL1の間隔dと、当該信号記録層L0及びL1間の屈折率nによって決定される反射光ビーム50及び層間迷光OBの光路差の空気換算値である光路差BMが、同一光源から分離された2つの光ビームが任意の調整干渉度合で干渉する可干渉距離よりも小さくなるような、時間的コヒーレントが比較的大きい光ビーム40を出射し得る光源を光源21として用いることにより、反射光ビーム50及び層間迷光OBの干渉度合を調整干渉度合未満に抑制するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ピックアップ及び光ディスク装置に関し、例えば複数の情報記録層を有する多層光ディスクに対して情報の記録又は再生を行う光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置においては、光ディスクに対して音楽コンテンツや映像コンテンツ、或いは各種データ等の情報を記録し、また当該光ディスクから当該情報を再生するようになされたものが広く普及している。
【0003】
実際上、光ディスク装置は、光ディスクの信号記録層に同心円状又は螺旋状に形成され、グルーブ及びランドからなるトラックに対して書込用の光ビームを照射して記録マークを形成することにより光ディスクに対して情報を記録する。
【0004】
また光ディスク装置は、当該トラックに読出用の光ビームを照射してその反射光ビームを複数の検出領域に分割されたフォトディテクタで受光する。光ディスク装置は、当該反射光ビームの受光量に応じて検出領域ごとに検出信号を生成すると共に、当該検出信号に基づいて再生RF信号を生成することにより、信号記録層に記録された情報の再生を行うようになされている。
【0005】
このとき光ディスク装置は、検出信号に基づいて光ディスクの信号記録層と光ビームの焦点とのずれ量に応じたフォーカスエラー信号を生成し、当該フォーカスエラー信号を基に当該光ビームの焦点距離を制御して光ディスクの信号記録層に光ビームを合焦させる、いわゆるフォーカス制御を行うようになされている。
【0006】
また光ディスク装置は、検出信号に基づいて所定の信号処理を施すことにより、光ビームの照射位置と所望のトラックとのずれ量に応じたトラッキングエラー信号を生成し、当該トラッキングエラー信号を基に当該光ビームの照射位置を制御して当該ずれ量を削減させる、いわゆるトラッキング制御を行うようになされている。
【0007】
このトラッキング制御の一手法として、DPP(Differential Push Pull)法が広く使用されている。DPP法では、図1(A)に示すように、光ビームをメインビーム及び2つのサブビームの3つに分離して3つのスポットP(メインスポットPA並びにサブスポットPB及びPC)として光ディスク100のグルーブG及びランドLにそれぞれ照射する。
【0008】
またDPP法では、図1(B)に示すようにメインビーム及びサブビームが光ディスクに反射されてなる反射光ビーム(メイン反射光ビーム及び2つのサブ反射光ビーム)による3つの反射光スポットQ(メイン反射光スポットQA並びにサブ反射光スポットQB及びQC)をフォトディテクタ1における3つのビーム検出器(メインビーム検出器2並びにサブビーム検出器3及び4)によってそれぞれ受光するようになされている。
【0009】
ところで光ディスク装置の中には、信号記録層を複数有するいわゆる多層ディスクに記録された情報を再生し得るようになされたものがある。この光ディスク装置では、目的とする情報が記録された信号記録層(以下、これを対象記録層と呼ぶ)に光ビームを合焦するように照射するものの、他の信号記録層によって光ビームの一部が反射され、情報の再生などに使用されることの無い不要な迷光(以下、これを層間迷光と呼ぶ)が発生する。
【0010】
図1(A)に示したように、光ディスク装置は、対物レンズによって光ビームの波長と同程度にまでビーム径を絞った状態で当該光ビームを目標トラック上に照射する。このため、光ディスク100の記録層上に形成されるスポットPの直径は、トラックピッチTPよりも小さくなる。
【0011】
ここで光ディスク100が2層の信号記録層を有する2層ディスクであった場合、光ビームの一部は照射対象となった対象記録層でない他の信号記録層(以下、これを他記録層と呼ぶ)に照射されることになる。
【0012】
この他記録層に対して照射された光ビームは、他記録層によって反射されると共に、対象記録層によって反射された反射光ビームと同様の光路を辿り、不必要な層間迷光OBとしてフォトディテクタ1に照射されることになる。
【0013】
このとき光ディスク装置は、図1(B)に示したように、フォトディテクタ1に対して焦点が大きくずれた(すなわちデフォーカスした)状態で層間迷光OBを受光する。このためフォトディテクタ1において受光される層間迷光OBは、反射光スポットQよりも大きい径を有している。
【0014】
ちなみに光ビームとして、メインビーム及び2つのサブビームがそれぞれ他記録層によって反射され、各々が重なった状態でフォトディテクタ1に照射されることになるが、説明の都合上、1つの層間迷光OBがフォトディテクタ1に照射されるものとして説明する。
【0015】
フォトディテクタ1における各ビーム検出器2〜4では、分割線Cpで分割された各検出領域2A及び2B、3A及び3B、並びに4A及び4Bの光量を検出信号として検出し、当該検出信号から上述した再生RF信号、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する。このとき各ビーム検出器によって受光される層間迷光OBが一様である場合、検出信号に大きな影響を与えることはない。
【0016】
ここで光ビームの利用効率を高めるため、再生RF信号の生成などに利用されないサブビームの光量はメインビームの光量と比して小さくなされている。このため層間迷光OBは、当該層間迷光OBの光強度よりも遥かに大きい光強度を有するメインビームに対しては大きな影響を与えないものの、当該層間迷光OBと同程度の光強度を有するサブビームと干渉してしまう。
【0017】
この結果層間迷光OBは、図2に示すように、サブビームによる反射光スポットQB及びQCに干渉縞を生じさせる。この干渉縞は、外側に行くほど密になる同心円状に形成され、検出信号において干渉縞に起因するノイズ成分(以下、これを干渉ノイズと呼ぶ)を発生させてしまう。
【0018】
なお図2では干渉縞が真円状に形成されており、検出器の中心から左右及び上下に対称性を有しているが、実際の干渉縞がこのような対称性を有しているとは限らない。
【0019】
このような検出信号に基づいて例えばトラッキングエラー信号を生成すると、干渉縞が必ずしも分割線Cpを跨いで対称でないため、各検出領域の光量の差分を算出することによって層間迷光の光量を相殺することができず、当該トラッキングエラー信号の品質を低下させてしまう。
【0020】
そこで層間迷光OBを選択的に遮蔽することにより、フォトディテクタ1によって反射光ビームのみを受光するようになされた光ディスク装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−141357公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところでかかる構成の光ディスク装置においては、フォトディテクタ1の手前で反射光ビーム及び層間迷光OBを一旦集光させると共に、当該反射光ビームの焦点近傍に設置された遮蔽部材によって焦点の異なる層間迷光OBを遮蔽した後に、再度集光した反射光ビームをフォトディテクタ1によって受光するようになされている。
【0022】
このため光ディスク装置は、層間迷光OBを遮蔽するために、反射光ビームを集光させる集光レンズや遮蔽部材などの光学部材が必要となるため、構成が複雑になるという問題があった。
【0023】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、層間迷光に起因してトラッキングエラー信号に生じる干渉ノイズを簡易な構成で低減することができる光ピックアップ及び光ディスク装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
かかる課題を解決するため本発明においては、光ビームを出射する光源と、光ディスクが有する複数の信号記録層のうち、照射対象となる対象記録層に対して光ビームを集光して照射する対物レンズと、対象記録層によって反射されてなる反射光ビーム及び複数の信号記録層のうち、照射対象でない他記録層によって反射されてなる層間迷光を受光するフォトディテクタとを設け、光源が、光ビームの波長をλ、光ビームのスペクトル幅(半値全幅)をΔλ、他記録層のうち対象記録層に隣接する他記録層と対象記録層との間隔をd、対象記録層と他記録層との間の屈折率をn、円周率をπ、自然対数をln、定数をkで表すとき、反射光ビーム及び層間迷光の光路差の空気換算値が、同一光源から分離された2つの光ビームが任意の調整干渉度合で干渉する可干渉距離よりも小さくなるよう次式
を満たすことにより、反射光ビーム及び層間迷光の干渉度合を調整干渉度合未満に抑制するようにした。
【0025】
【数1】

【0026】
光ビームの波長λ、間隔d、屈折率nは各種光ディスクの規格などによって定まる値であることから、光源が(1)式を満たすようなスペクトル幅Δλを有する光ビームを出射するだけで反射光ビーム及び層間迷光の干渉度合を調整干渉度合に抑制することができる。
【0027】
また本発明においては、光ビームを出射する光源と、光ディスクが有する複数の信号記録層のうち、照射対象となる対象記録層に対して光ビームを集光して照射する対物レンズと、対象記録層によって反射されてなる反射光ビーム及び複数の信号記録層のうち、照射対象でない他記録層によって反射されてなる層間迷光を受光するフォトディテクタと、フォトディテクタによる受光量に基づいてトラッキングエラー信号を生成する信号処理部とを設け、光源が、光ビームの波長をλ、光ビームのスペクトル幅(半値全幅)をΔλ、他記録層のうち対象記録層に隣接する他記録層と対象記録層との間隔をd、対象記録層と他記録層との間の屈折率をn、円周率をπ、自然対数をln、定数をkで表すとき、反射光ビーム及び層間迷光の光路差の空気換算値が、同一光源から分離された2つの光ビームが任意の調整干渉度合で干渉する可干渉距離よりも小さくなるよう(1)式を満たすことにより、反射光ビーム及び層間迷光の干渉度合を調整干渉度合未満に抑制するようにした。
【0028】
光ビームの波長λ、間隔d、屈折率nは各種光ディスクの規格などによって定まる値であることから、光源が(1)式を満たすようなスペクトル幅Δλを有する光ビームを出射するだけで反射光ビーム及び層間迷光の干渉度合を調整干渉度合に抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、光ビームの波長λ、間隔d、屈折率nは各種光ディスクの規格などによって定まる値であることから、光源が(1)式を満たすようなスペクトル幅Δλを有する光ビームを出射するだけで反射光ビーム及び層間迷光の干渉度合を調整干渉度合に抑制することができ、かくして層間迷光に起因して検出信号に生じる干渉ノイズを簡易な構成で低減することができる光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0031】
(1)光ディスク装置の構成
図3において、光ディスク装置10は、全体としてBD(Blu-ray Disc、登録商標)−RE(Rewritable)ディスクやBD−ROM(Read Only Memory)ディスク等の複数の信号記録層を有する光ディスク100に対して音楽コンテンツ、映像コンテンツ又は各種データ等の情報を記録し、また当該光ディスク100から当該情報を再生するようになされている。
【0032】
システムコントローラ11は、光ディスク装置1全体を統括制御するようになされており、光ディスク100が装填された状態で、図示しない操作部より当該光ディスク100からの情報の再生命令を取得すると、当該光ディスク100の信号記録層に記録されている情報を特定するためのアドレス情報IAと共に、情報読出命令MRを駆動制御部13へ送出する。
【0033】
駆動制御部13は、システムコントローラ11からの情報読出命令に応じて、スピンドルモータ14を制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、当該データ読出命令MR及びアドレス情報IAを基に送りモータ15を制御することにより、光ピックアップ20を当該光ディスク100の径方向に移動させ、当該光ディスク100の信号記録層におけるアドレス情報IAに応じたトラック(以下、これを所望トラックと呼ぶ)に光ビームを集光した状態で照射させる。
【0034】
このとき光ピックアップ20は、光ディスク100に照射した光ビームが反射されてなる反射光ビームを受光し、その光量に応じた検出信号を生成し、信号処理部17へ送出する。
【0035】
信号処理部17は、この検出信号に基づいて所望トラックに対する光ビームの照射位置のずれ量に応じたトラッキングエラー信号STEと光ディスク100の信号記録層に対する光ビームの焦点のずれ量に応じたフォーカスエラー信号SFEとを生成してこれらを駆動制御部13へ送出すると共に、当該検出信号を基に再生RF信号SRFを生成して信号変復調部18へ送出する。
【0036】
駆動制御部13は、トラッキングエラー信号STE及びフォーカスエラー信号SFEに基づいたトラッキング制御信号CT及びフォーカス制御信号CFを生成し、これらを光ピックアップ20へ送出する。これに応じて光ピックアップ20は、トラッキング制御及びフォーカス制御を行い、光ビームの焦点を光ディスク100の所望トラックに合わせるようになされている。
【0037】
信号変復調部18は、再生RF信号SRFに対して所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより情報を再生し、これを外部機器(図示せず)へ送出する。
【0038】
また光ディスク装置10は、信号変復調部18に入力された記録信号に対して所定の変調処理を施し、これを信号処理部17により記録用の信号に変換した後、光ピックアップ20から当該記録用の信号に応じた記録用ビームを出射させることにより、記録信号に応じた情報を光ディスク100に記録する。
【0039】
このように光ディスク装置10は、光ピックアップ20から光ディスク100の信号記録層における所望トラックに対して焦点を合わせた光ビームを照射することにより、所望の情報を再生または記録し得るようになされている。
【0040】
(2)光ピックアップの構成
図1及び図2と対応する部分と同一符号を附した図4に示すように、光ピックアップ20のレーザダイオード21は、制御部12(図7)から供給される駆動電流に応じてレーザ光を発光し、光ビーム40として回折素子23へ入射する。
【0041】
回折素子23は、光ビーム40を0次光ビームであるメインビーム及び±1次光ビームであるサブビームに分離し、ビームスプリッタ24へ入射する。なお、信号記録層の記録情報を読み取るためのメインビームの光利用効率を高めるために、サブビームの光量は、当該メインビームと比較して小さくなるようになされている。
【0042】
ビームスプリッタ24は、入射されたメインビーム及びサブビームでなる光ビーム40を反射してその進行方向を90°変化させ、コリメータレンズ25へ入射する。コリメータレンズ25は、発散光として入射された光ビーム40を平行光に変換し、立上ミラー26によってその進行方向を90°変化させ、1/4波長板27を介して対物レンズ28に入射させる。そして対物レンズ28は、メインビーム及びサブビームでなる光ビーム40を集光し光ディスク100に照射する。
【0043】
この結果メインビームによるメインスポットPA(図1(A))と、2つのサブビームによる2つのサブスポットPB及びPCとが光ディスク100が有する複数の信号記録層のうち、照射対象となる所望の信号記録層(以下、これを対象記録層と呼ぶ)における所望のトラックに照射される。
【0044】
また対物レンズ28(図2)は、光ビーム40が対象記録層によって反射されてなる反射光ビーム50を受光し、1/4波長板27と立上ミラー26とコリメータレンズ25とを介してビームスプリッタ24へ入射する。ビームスプリッタ24は、反射光ビーム50を透過させ、マルチレンズ29を介してフォトディテクタ1に入射する。
【0045】
このとき対物レンズ28は、光ビーム40が対象記録層以外の信号記録層(以下、これを他記録層と呼ぶ)によって反射された反射光(以下、これを層間迷光と呼ぶ)OBをも同様に受光し、1/4波長板27と立上ミラー26とコリメータレンズ25とビームスプリッタ24とマルチレンズ29とを介してフォトディテクタ1に入射する。
【0046】
ここでフォトディテクタ1は、反射光ビーム50及び層間迷光OBの光量に応じた検出信号を生成し、信号処理部17へ送出する。
【0047】
信号処理部17(図7)は、この検出信号から再生RF信号、フォーカスエラー信号SFE及びトラッキングエラー信号STE(以下、これらを生成信号群と呼ぶ)を生成し、駆動制御部13へ送出する。駆動制御部13は、信号処理部17から供給されるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号STEに基づいて駆動制御信号を生成し、2軸アクチュエータ30(図4)を制御することにより、光ビーム40を光ディスク100の対象記録層における所望のトラック上に正確に照射するように対物レンズ28をフォーカス方向及びトラッキング方向に駆動するようになされている。
【0048】
(3)光源の選定
まず光ディスク100が例えば信号記録層を2層有する2層ディスク100aであった場合の反射光ビーム50と層間迷光OBとの間に生じる光路差について着目する。
【0049】
図5(A)に示すように、2層ディスク100aは、光ビーム40が入射される表面から順に、信号記録層を保護する保護層Prと、信号記録層L1と、光ビームを高透過率で透過する透過層Pmと、信号記録層L0と、信号記録層を保護すると共に2層ディスク100a全体を支持する基板Pcとを有している。
【0050】
信号記録層L1が対象記録層である場合、信号記録層L1に対して照射された光ビーム40は、その一部が対象記録層である信号記録層L1によって反射されて反射光ビーム50となる。一方信号記録層L1に対して照射された光ビーム40は、その残りが信号記録層L1を透過し、さらに透過層Pmを透過した後、他記録層である信号記録層L0によって反射され、情報の再生などに不要な層間迷光OBとなる。
【0051】
この層間迷光OBは、対象記録層によって反射された反射光ビーム50と同様の光路を辿ってフォトディテクタ1に受光される。このため層間迷光OBは、反射光ビーム50に対し、信号記録層L1と信号記録層L0との間隔dを往復する分、すなわち間隔dの2倍だけ光路差を生じることになる。
【0052】
また信号記録層L0が対象記録層である場合、信号記録層L0に対して照射された光ビーム40は、その約50%が信号記録層L1を透過し、信号記録層L0によって反射されて反射光ビーム50となる。一方信号記録層L0に対して照射された光ビーム40は、その残り約50%が信号記録層L0に到達する前に信号記録層L1によって反射され層間迷光OBとなる。
【0053】
このため層間迷光OBは、対象記録層が信号記録層L1である場合と同様に、信号記録層L1と信号記録層L0との間隔dを往復する分、すなわち間隔dの2倍だけ反射光ビーム50に対して光路差を生じることになる。
【0054】
なお光ディスク100が3層以上の多層ディスクである場合にも同様であり、層間迷光OBは、他記録層のうち対象記録層と隣接する他記録層と対象記録層との間隔dの2倍だけ反射光ビーム50に対して光路差を生じることになる。
【0055】
ここで信号記録層L1及びL1間に介在する透過層Pmの屈折率をnとしたとき、層間迷光OBに生じる光路差は、空気換算値である光路差BMとして次式のように表すことができる。
【0056】
【数2】

【0057】
ところで図2を用いて上述したように、光ディスク装置10は、メインビームと比してサブビームの光量を小さくしている。このためメインビームが層間迷光OBの影響を大きく受けることはない。しかしながらサブビームの光量が層間迷光OBと同程度となるため、サブビームと層間迷光OBとが干渉し、反射光スポットQB及びQCに干渉縞を生じさせてしまう。
【0058】
光ディスク装置10では、この干渉縞における光の強弱を光強度で表したときの振幅(以下、これを干渉度合と呼ぶ)に応じて、サブビーム検出器3及び4における分割線Cpを跨いだ検出領域の光量を表す検出信号SDが変化し、当該干渉縞を起因とするノイズ成分(以下、これを干渉ノイズと呼ぶ)のレベルが決定される。従ってこの干渉度合を小さくすることにより、トラッキングエラー信号STEにおける干渉ノイズ成分を低減することができる。
【0059】
一般的に、一旦分離されてから合流する2つの光ビームが所定の干渉度合となる干渉を生じる光路差(以下、これを可干渉距離と呼ぶ)DCは、光ビーム40の波長をλ、光ビーム40のスペクトル幅をΔλ、円周率をπ、自然対数(log)をlnとすると、次式に従って算出することができる。
【0060】
【数3】

【0061】
なお図6に示すように、最も大きい光強度を有する波長λの光強度を100%としたときに、50%の光強度を有する波長幅(すなわちFWHM:半値全幅)をスペクトル幅Δλと呼ぶ。またkは任意の定数であり、定数kの値を調整することにより干渉度合を自由に調整することができる。
【0062】
またスペクトル幅Δλは、実際に光ディスク装置10において再生及び記録処理の際に出力されるときと同様の条件で、すなわち光ビーム40を変調することなくDC(Direct Current)出力したときの値とする。
【0063】
従って(1)式を満たすことにより、この可干渉距離DCを光路差BMよりも小さくすることができれば、サブビームと層間迷光OBとの間の干渉度合を定数kによって調整される干渉度合(以下、これを調整干渉度合と呼ぶ)以下に抑制することができる。
【0064】
ここで(1)式を変形すると、可干渉距離DCを光路差BMよりも小さくすることができる光ビーム40のスペクトル幅Δλを次式のように表すことができる。
【0065】
【数4】

【0066】
例えば(4)式において定数kの値を0.5若しくはそれ以上に設定することにより、調整干渉度合を抑制し得、検出信号に生じる干渉ノイズ成分を実用上問題の無いレベルまで低下させ得るスペクトル幅Δλの値を算出することができる。
【0067】
すなわち光ディスク装置10は、定数kの値を0.5若しくはそれ以上に設定し、(4)式を満たすようなスペクトル幅Δλを有する光ビーム40を出射し得るように光源21が選定されることにより、検出信号SDに生じる干渉ノイズ成分を実用上問題の無いレベルまで低下させ得るようになされている。
【0068】
また(4)式において定数kの値を2.0に設定すると、同一波長及び同一光強度の光源における干渉度合の最大値(以下、これを最大干渉度合と呼ぶ)と比して調整干渉度合を約50%にまで抑制し得るようなスペクトル幅Δλの値を算出することができる。
【0069】
すなわち光ディスク装置10は、定数kの値を2.0若しくはそれ以上に設定し、(4)式を満たすようなスペクトル幅Δλを有する光ビーム40を出射し得るように光源21が選定されることにより、最大干渉度合と比して干渉度合を半分以下に抑制し得、検出信号SDに生じる干渉ノイズ成分のレベルを大幅に低下させ得るようになされている。
【0070】
さらに(4)式において定数kの値を6.0に設定すると、最大干渉度合と比して調整干渉度合を約1%にまで抑制し得るようなスペクトル幅Δλの値を算出することができる。
【0071】
すなわち光ディスク装置10は、定数kの値を6.0若しくはそれ以上に設定し、(4)式を満たすようなスペクトル幅Δλを有する光ビーム40を出射し得るように光源21が選定されることにより、最大干渉度合と比して干渉度合を1%に抑制し得、検出信号SDに干渉ノイズ成分を殆ど生じさせないようにできる。
【0072】
図7に、波長λを405[nm]、屈折率nを1.6とした場合のスペクトル幅Δλと、可干渉距離DC(それぞれ定数k=0.5、2.0、6.0のとき)との関係をグラフとして示している。このグラフから、定数kをいずれの値に設定した場合であってもスペクトル幅Δλが増大するにつれて可干渉距離DCが減少していくことがわかる。
【0073】
ここで波長λが405[nm]でなる光源を使用するBDでは、間隔dが25[μm]であることから、光ビーム40に生じる光路差BMは(3)式より、31.3[μm]と算出される。さらにこのとき定数k=0.5とした場合、可干渉距離DCを光路差BM以下にできるスペクトル幅Δλは(4)式より約0.57[nm]超(0.57[μm]より大きいことを意味する、以下同様にして「超」を使用する)と算出される。
【0074】
従って光ディスク装置10は、スペクトル幅Δλが0.57[nm]超という比較的スペクトル幅Δλが広い(すなわち時間的コヒーレンシーが小さい)光ビーム40を出射するという出射条件(以下、これを時間的出射条件と呼ぶ)を満たす光源を光源21として使用することにより、検出信号SDに生じる干渉ノイズ成分を実用上問題の無いレベルまで低下させることができる。
【0075】
また定数k=2.0及び6.0とした場合、可干渉距離DCを光路差BM以下にできるスペクトル幅Δλは(4)式より約2.2[nm]超、6.8[nm]超とそれぞれ算出される。
【0076】
因みに波長λが405[nm]の光ビームを出射する一般的な半導体レーザは、数百[MHz](10[Hz]オーダー)の高周波重畳した場合であっても、スペクトル幅Δλが0.2[nm]〜0.3[nm]であり、時間的出射条件を満たすことができず、干渉度合を調整干渉度合以下にすることができない。
【0077】
なお定数k=0.5、2.0、6.0として(2)式に従ってこの半導体レーザの可干渉距離DCの値を算出すると、それぞれ120〜180[μm]、240〜360[μm]、760〜1060[μm]となる。従って一般的な半導体レーザを光源21として用いる場合には、信号記録層L1及びL1間の間隔dをこれらの値以上にする必要があるが、チルトマージンなどを考慮するとこれらの値は現実的であるとはいえない。
【0078】
また定数kが大きければ大きいほど干渉度合を抑制して干渉ノイズのレベルを低減できるものの、スペクトル幅Δλが増大して色収差が大きくなるため、定数kの値は0.5以上かつ6.0以下に設定することが好ましい。
【0079】
ところで光ディスク装置10では、光ビーム40を極力小さいスポットPに集光しなければならないため、上述した時間的出射条件を満たすだけでなく、空間的コヒーレンシーの小さい光ビームを出射し得るという出射条件(以下、これを空間的出射条件と呼ぶ)を満たす光源を光源21として選択する必要がある。
【0080】
この空間的出射条件を満たすためには、光源21が面積の極めて小さい一点から光ビーム40を出射する点光源でなければならない。
【0081】
実際上、光ディスク装置10は、光源21として点光源かつスペクトル幅Δλが広いスーパールミネッセント・ダイオードを光源21として使用している。
【0082】
これにより光ディスク装置10は、光源21が時間的出射条件及び空間的出射条件のいずれをも満たすため、光ディスク100に対する情報の再生及び記録を問題なく実行し得ると共に、反射光ビーム50及び層間迷光OB間の干渉度合を抑制して検出信号SDに生じる干渉ノイズ成分を実用上問題の無いレベルまで低下させることができる。
【0083】
(4)生成信号群の生成
次に、生成信号群の生成について説明する。
【0084】
光ディスク装置10における信号処理部17(図3)は、光ピックアップ20のフォトディテクタ1から検出信号が供給されると、この検出信号からトラッキングエラー信号STEを生成する。
【0085】
具体的に信号処理部17は、図8に示すように、メインビーム検出器2の検出領域2A及び2Bの受光量を表す検出信号SDaからSDbを減算することにより、次式に従って、メインビーム検出器2における分割線Cpを挟んだ光量差となる減算信号Sdifを生成する。
【0086】
【数5】

【0087】
これにより信号処理部17は、1周期が光ディスク100のトラックピッチに対応した正弦波となるメインプッシュプル信号Sdifを得ることができる。すなわち、このメインプッシュプル信号Sdifは、メインスポットPAのトラックの中心位置からのずれ(以下、これを照射ずれと呼ぶ)を表している。
【0088】
因みにこのとき信号処理部17は、検出信号SDaからSDbを減算することにより、各検出領域2A及び2Bによって受光した層間迷光OBの受光量を相殺することができる。
【0089】
さらにこのメインプッシュプル信号Sdifは、対物レンズ28のみがトラッキング方向に移動するいわゆるレンズシフトなどに起因して、反射光スポットQAの中心がメインビーム検出器2の中心からずれると、照射ずれが発生していないにも拘わらず、メインプッシュプル信号Sdifの信号レベルが変化する、いわゆるオフセットを生じる。
【0090】
一方、信号処理部17は次式に従って、検出領域3A及び4A(図8)の受光量を表す検出信号SEa及びSFaから、検出領域3B及び4Bの受光量を表す検出信号SEa及びSFbをそれぞれ減算することにより、サブビーム検出器3及び4における分割線Cpを挟んだ光量差をそれぞれ算出し、この光量差の和をサイドプッシュプル信号Sdsとして算出する。なおKは定数であり、これによりサイドプッシュプル信号Sdsの信号レベルをメインプッシュプル信号Sdifの信号レベルと同レベルにするようになされている。
【0091】
【数6】

【0092】
このとき信号処理部17は、反射光ビーム50及び層間迷光OBの干渉度合が抑制されているため、各検出領域3A及び3B、並びに4A及び4Bによって受光した層間迷光OBの受光量をほぼ相殺することができ、サイドプッシュプル信号Sdsに生じる干渉ノイズを問題とならないレベルまで低減することができる。
【0093】
ここで、図1を用いて上述したように、トラッキング方向に隣り合う2つのサブスポットPB及びPCはメインスポットPAからそれぞれ半トラックずつ離れた位置に照射されることから、当該2つのサブスポットPB及びPCの位相(図8)はメインスポットPAの位相から180°ずれる。
【0094】
すなわちサイドプッシュプル信号Sdsでは、照射ずれを表す正弦波の位相がメインプッシュプル信号Sdifから反転すると共に、同一のオフセットが表れる。
【0095】
このため信号処理部17は、次式に従って、メインプッシュプル信号Sdifからサイドプッシュプル信号Sdsを減算してオフセットを相殺することにより、トラッキングエラー信号STEを算出すると、このトラッキングエラー信号STEを駆動制御部13(図3)へ供給するようになされている。
【0096】
【数7】

【0097】
このとき信号処理部17は、サイドプッシュプル信号Sdsに生じる干渉ノイズを低減していることから、層間迷光OBの影響を殆ど受けない高品質なトラッキングエラー信号STEを生成することができる。
【0098】
このように光ディスク装置10は、(4)式を満たすような広域のスペクトル幅Δλを有する光源を光源21として使用することにより、サイドプッシュプル信号Sdsに生じる干渉ノイズを低減することができ、高品質なトラッキングエラー信号STEを生成し得るようになされている。
【0099】
また光ディスク装置10は、次式に従ってメインビーム検出器2の検出領域2A及び2Bの受光量を表す検出信号SDaとSDbとを加算し、再生RF信号を生成する。
【0100】
【数8】

【0101】
光ディスク100における信号記録層L0及びL1の間隔dが狭く層間迷光OBと反射光スポットQとの光強度の差異が小さい場合、従来の半導体レーザを光源として用いる光ディスク装置では、メイン反射光スポットQAにも図2におけるサブ反射光スポットQB及びQCと同様の干渉縞が形成される。このとき従来の光ディスク装置では、メイン反射光スポットQAによる検出信号SRFの干渉ノイズを低減することができる。
【0102】
なお説明の都合上図示しないが、光ディスク装置10は、スポットサイズ法に従ってフォーカスエラー信号SFEを生成するようになされている。
【0103】
このスポットサイズ法では、フォトディテクタ1の前段に設けられた円弧状の回折素子(図示しない)によってメインビームMBを0次光ビーム及び±1次光ビームに分離し、±1次光ビームの光量差に基づいてフォーカスエラー信号SFEを生成する。
【0104】
光ディスク装置10は、DPP法と同様、±1次光ビームに基づく検出信号における干渉ノイズを抑制することができるため、当該検出信号に基づいて生成されるフォーカスエラー信号SFEの干渉ノイズを低減することができる。
【0105】
また、光ディスク装置10の信号処理部17は、検出信号SDに基づいて生成される生成信号群として、再生RF信号SRF、トラッキングエラー信号STE、フォーカスエラー信号SFE以外にもメインビームMBの和信号であるプルイン信号や、メインプッシュプル信号Sdifなどをそれぞれ生成する。光ディスク装置10は、検出信号SDにおける干渉ノイズを抑制することにより、これら全ての信号における干渉ノイズを低減することが可能となる。
【0106】
(5)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置10の光ピックアップ20は、光源21から出射した光ビーム40を対物レンズ28によって集光し、光ディスク100が有する複数の信号記録層L1及びL1のうち照射対象となる対象記録層に対して照射し、対象記録層によって反射されてなる反射光ビーム50及び信号記録層L1及びL1のうち照射対象でない他記録層によって反射されてなる層間迷光OBをフォトディテクタ1によって受光する。
【0107】
このとき光ピックアップ20は、反射光ビーム50及び層間迷光OBの光路差の空気換算値である光路差BMが、同一光源からなる2つの光ビームが任意の調整干渉度合で干渉する可干渉距離よりも小さくなるよう(1)式(但しk≧0.5)を満たすことにより、反射光ビーム50及び層間迷光OBの干渉度合を調整干渉度合未満に抑制するようにした。
【0108】
ここで光ビーム40の波長λ、間隔d、屈折率nは光ディスク100の規格などによって定まる値であることから、光ピックアップ20は、(1)式を満たすようなスペクトル幅Δλを有する光ビーム40を出射する光源21を使用するだけで反射光ビーム50及び層間迷光OBの干渉度合を調整干渉度合に抑制することができる。このため光ピックアップ20は、干渉ノイズを低減するための光学部品を何ら必要とせず、簡易な構成でトラッキングエラー信号に生じる干渉ノイズを低減することができる。
【0109】
言い換えると光ピックアップ20は、既知の値である光ビーム40の波長λ、間隔d、屈折率nを(4)式(但しk≧0.5)に代入したときに(4)式を満たすように光源21が選定されることにより、層間迷光OB自体を遮蔽するのではなく層間迷光OBにおいて問題となる反射光ビーム50との干渉を抑制して検出信号SDに生じる干渉ノイズを低減することができる。
【0110】
また定数kが次式を満たすような光源21を選定することにより、干渉度合を抑制しつつスペクトル幅Δλの拡大に伴って増大する色収差を補正可能な一定の範囲内に抑えることができる。
【0111】
【数9】

【0112】
以上の構成によれば、光ピックアップ20は、反射光ビーム50及び層間迷光OBの光路差の空気換算値である光路差BMが、(1)式を満たすことにより、同一光源からなる2つの光ビームが定数kによって決定される調整干渉度合で干渉する可干渉距離となるスペクトル幅Δλ以上でなるスペクトル幅Δλを有する光ビーム40を出射する光源を光源21として用いることにより、検出信号SDに生じる干渉ノイズを設定した定数kに応じて所望のレベルにまで自在に低減することができ、かくして層間迷光OBに起因してトラッキングエラー信号に生じる干渉ノイズを簡易な構成で低減することができる光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
【0113】
(6)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、DPP法に従ってトラッキングエラー信号STEを生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば5スポット法や3スポット法など種々のトラッキングエラー信号の生成手法を用いるようにしても良い。また光ビーム40をメインビーム及びサブビームに分離する必要は無く、光ビームを分離することなく光ディスク100に照射する1スポット法やDPD(Differential Phase Detection)法にも適用することができる。この場合、間隔dが狭く層間迷光OBと反射光スポットQとの光強度の差異が小さい場合に特に有効となる。
【0114】
またフォーカスエラー信号SFEの生成手法としては、例えば非点収差法などを用いるようにしても良い。
【0115】
また上述の実施の形態においては、光源21としてスーパールミネッセント・ダイオードを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は(4)式(k≧0.5)を満たしさえすれば良く、種々の光源を用いることができる。
【0116】
さらに上述の実施の形態においては、光ディスク100がBDでなり、光源21が405[nm]の光ビーム40を出射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光ディスク100がDVD(Digital Versatile Disc)でなり、光源21が635[nm]や660[nm]の光ビームを出射するようにしても良い。
【0117】
さらに上述の実施の形態においては、再生処理及び記録処理の両方を実行し得る再生記録型の光ディスク装置10に本発明を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、再生処理又は記録処理のみを実行する再生専用又は記録専用の光ディスク装置に本発明を適用するようにしても良い。
【0118】
さらに上述の実施の形態においては、光源としての光源21と、対物レンズとしての対物レンズ28と、フォトディテクタとしてのフォトディテクタ1と、信号処理部としての信号処理部17とによって光ディスク装置としての光ディスク装置10を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる光源と、対物レンズと、フォトディテクタと、信号処理部とによって本発明の光ディスク装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の光ディスク装置は、例えば光ディスクに記録された情報を使用する種々の電子機器に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】DPP法による光ビームの照射と受光の様子を示す略線図である。
【図2】反射光スポットに生じる干渉縞を示す略線図である。
【図3】光ディスク装置の全体構成を示す略線図である。
【図4】光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図5】トラッキングエラー信号の生成の説明に供する略線図である。
【図6】層間迷光に生じる光路差の説明に供する略線図である。
【図7】光源のスペクトル幅の説明に供する略線図である。
【図8】スペクトル幅と可干渉距離との関係を示す略線図である。
【符号の説明】
【0121】
1……フォトディテクタ、2……メインビーム検出器、3、4……サブビーム検出器、2A、2B、3A、3B、4A、4B……検出領域、10……光ディスク装置、11……システムコントローラ、13……駆動制御部、17……信号処理部、20……光ピックアップ、21……光源、23……回折素子、28……対物レンズ、PA……メインスポット、PB、PC……サブスポット、QA……メイン反射光スポット、QB、QC……サブ反射光スポット、Δλ……スペクトル幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源と、
光ディスクが有する複数の信号記録層のうち、照射対象となる対象記録層に対して上記光ビームを集光して照射する対物レンズと、
上記対象記録層によって反射されてなる反射光ビーム及び上記複数の信号記録層のうち、照射対象でない他記録層によって反射されてなる層間迷光を受光するフォトディテクタと
を具え、
上記光源が、
上記光ビームの波長をλ、上記光ビームのスペクトル幅(半値全幅)をΔλ、上記他記録層のうち上記対象記録層に隣接する他記録層と上記対象記録層との間隔をd、上記対象記録層と上記他記録層との間の屈折率をn、円周率をπ、自然対数をln、定数をkで表すとき、上記反射光ビーム及び上記層間迷光の光路差の空気換算値が、同一光源から分離された2つの光ビームが任意の調整干渉度合で干渉する可干渉距離よりも小さくなるよう次式
【数1】

を満たすことにより、上記反射光ビーム及び上記層間迷光の干渉度合を上記調整干渉度合未満に抑制する
ことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
上記定数が、
次式を満たす
【数2】

ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
上記光源は、
スーパールミネッセント・ダイオードである
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項4】
光ビームを出射する光源と、
光ディスクが有する複数の信号記録層のうち、照射対象となる対象記録層に対して上記光ビームを集光して照射する対物レンズと、
上記対象記録層によって反射されてなる反射光ビーム及び上記複数の信号記録層のうち、照射対象でない他記録層によって反射されてなる層間迷光を受光するフォトディテクタと、
上記フォトディテクタによる受光量に基づいてトラッキングエラー信号を生成する信号処理部と
を具え、
上記光源が、
上記光ビームの波長をλ、上記光ビームのスペクトル幅(半値全幅)をΔλ、上記他記録層のうち上記対象記録層に隣接する他記録層と上記対象記録層との間隔をd、上記対象記録層と上記他記録層との間の屈折率をn、円周率をπ、自然対数をln、定数をkで表すとき、上記反射光ビーム及び上記層間迷光の光路差の空気換算値が、同一光源から分離された2つの光ビームが任意の調整干渉度合で干渉する可干渉距離よりも小さくなるよう次式
【数3】

を満たすことにより、上記反射光ビーム及び上記層間迷光の干渉度合を上記調整干渉度合未満に抑制する
ことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−80874(P2009−80874A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247926(P2007−247926)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】