説明

光ピックアップ及び光ディスク装置

【課題】薄型に構成できレーザダイオードの取付強度及び放熱性を確保し得るようにする。
【解決手段】光ディスク装置1の光ピックアップ7は、ベース21に対しレーザダイオード11が取り付けられたホルダ22が位置調整された上で、突出部21A及び21Bと内周部22A及び外周部22Bとがそれぞれ面接合される。このとき光ピックアップ7は、下面22AX及び22BXと上面21AX及び21BXとがそれぞれ互いに重なる範囲で、ベース21とホルダ22とを接合することができる。この結果光ピックアップ7は、全体の厚さtcを薄く抑えながら、ホルダ22とベース21と間で接合強度を高めることができると共に熱伝導性も高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ピックアップ及び光ディスク装置に関し、例えば例えば光ピックアップを搭載する光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置においては、光ディスクに対して光ビームを照射することにより情報を記録し、また当該光ディスクから得られる反射光を読み取ることにより情報を再生するようになされたものが広く普及している。
【0003】
かかる光ディスク装置では、当該光ディスクの半径方向に移動し得る光ピックアップに、光ビームを出射するレーザダイオードや当該光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズ等の光学部品が取り付けられている。
【0004】
また近年では、光ディスク装置がいわゆるノート型コンピュータ等に搭載される場合等、小型・薄型に構成することが望まれることがある。実際には、厚さ約12.7mmや約9.5mmのいわゆるスリムドライブが製品化されている。
【0005】
光ディスク装置の薄型化の観点から、光ビームの出射方向及び光軸の進行方向については、光ディスクとほぼ平行とする場合が多い。またレーザダイオードは、光ビームの出射に伴う発熱量が比較的多いため、放熱対策を講じる必要がある。
【0006】
そこで光ディスク装置のなかには、これらの点を考慮して、光ピックアップの側面にレーザダイオードを取り付けるようになされたものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−216402公報(第21図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような光ディスク装置に対して、さらなる小型化・薄型化(例えば厚さ約8[mm]程度)が望まれる場合がある。
【0009】
このような場合、特許文献1に示されているような手法で光ピックアップにレーザダイオードを取り付けると、当該光ピックアップが極めて薄いことから、取付強度が不十分となって位置ずれが生じ、或いは熱伝導性が低下して十分に放熱できなくなる恐れがある。
【0010】
このような場合、光ディスク装置は、光ビームが設計上の進路からずれて光ディスクにおける所望箇所に対して光ビームを照射できなくなり、或いはレーザダイオードが熱破壊されてしまう等の問題が生じる可能性があった。
【0011】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、薄型に構成できレーザダイオードの取付強度及び放熱性を確保し得る光ピックアップ及び光ディスク装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するため本発明の光ピックアップにおいては、レーザ光を出射するレーザダイオードと、レーザダイオードから出射されたレーザ光を所定の光ディスクと略平行な方向へ進行させ所定の対物レンズにより当該光ディスクに集光させると共に、光ディスクの半径方向に移動するベースと、ベースから光ディスクの盤面と略平行な方向に突出し、当該盤面と略平行なベース側接合面を有するベース側突出部と、レーザダイオードが取り付けられるホルダと、ホルダにおけるレーザダイオードが取り付けられる取付箇所から盤面と略平行な方向に突出し、ベース側接合部のベース側接合面と対向し且つ略平行なホルダ側接合面を有するホルダ側突出部とを設けるようにした。
【0013】
これにより本発明の光ピックアップは、ベースが上下に薄い場合であっても、光ディスクと略平行な、ベース側突出部とホルダ側突出部との互いに対向する面同士を接合させることにより、十分な接合面積を確保できる。
【0014】
また本発明の光ディスク装置においては、レーザ光を出射するレーザダイオードと、レーザダイオードから出射されたレーザ光を所定の光ディスクと略平行な方向へ進行させ所定の対物レンズにより当該光ディスクに集光させると共に、光ディスクの半径方向に移動するベースと、ベースから光ディスクの盤面と略平行な方向に突出し、当該盤面と略平行なベース側接合面を有するベース側突出部と、レーザダイオードが取り付けられるホルダと、ホルダにおけるレーザダイオードが取り付けられる取付箇所から盤面と略平行な方向に突出し、ベース側接合部のベース側接合面と対向し且つ略平行なホルダ側接合面を有するホルダ側突出部と、レーザダイオードから出射するレーザ光を制御するレーザ制御部とを設けるようにした。
【0015】
これにより本発明の光ディスク装置は、ベースが上下に薄い場合であっても、光ディスクと略平行な、ベース側突出部とホルダ側突出部との互いに対向する面同士を接合させることにより、十分な接合面積を確保できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ベースが上下に薄い場合であっても、光ディスクと略平行な、ベース側突出部とホルダ側突出部との互いに対向する面同士を接合させることにより、十分な接合面積を確保できる。かくして本発明は、薄型に構成できレーザダイオードの取付強度及び放熱性を確保し得る光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光ディスク装置の構成を示す略線的ブロック図である。
【図2】光ピックアップの構成を示す略線的斜視図である。
【図3】第1の実施の形態によるレーザダイオード、ホルダ及びベースの構成を示す略線的斜視図である。
【図4】第1の実施の形態による光ピックアップの断面を示す略線的断面図である。
【図5】従来の光ピックアップの構成(1)を示す略線的斜視図である。
【図6】従来の光ピックアップの構成(2)を示す略線的斜視図である。
【図7】従来の光ピックアップの構成(3)を示す略線的斜視図である。
【図8】第2の実施の形態によるレーザダイオード、ホルダ及びベースの構成を示す略線的斜視図である。
【図9】第2の実施の形態による光ピックアップの断面を示す略線的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(ベースに突出部を設けた例)
2.第2の実施の形態(ベースに突出部及び連結部を設けた例)
3.他の実施の形態
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.光ディスク装置の構成]
図1において、光ディスク装置1は、制御部2を中心に構成されており、例えばBD(Blu-ray Disc、登録商標)方式の光ディスク100に対して情報を記録し、また当該光ディスク100から当該情報を再生し得るようになされている。
【0020】
制御部2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラムなどが格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されており、光ディスク装置1を統括制御するようになされている。
【0021】
すなわち制御部2は、駆動部3を介してスピンドルモータ5Mを回転駆動させ、ターンテーブル5Tに載置された光ディスク100を所望の速度で回転させる。また制御部2は、駆動部2を介してスレッドモータ6を駆動させることにより、移動軸G1及びG2に沿って光ピックアップ7を光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向であるトラッキング方向に大きく移動させる。
【0022】
さらに制御部2は、駆動部3を介して光ピックアップ7のアクチュエータ8を駆動制御する。これにより制御部2は、対物レンズ9を光ディスク100に近接又は離隔させるフォーカス方向に移動させると共にトラッキング方向に細かく移動させ、対物レンズ9の位置調整を行う。
【0023】
制御部2は、例えば光ディスク100に情報を記録する場合、当該情報を信号処理部4へ供給して所定の符号化処理及び変調処理等を施すことにより記録信号を生成し、これをレーザ制御部10へ供給する。
【0024】
レーザ制御部10は、光ピックアップ7に搭載されているレーザダイオード11から光ビームを出射させ、対物レンズ9を介して光ディスク100へ照射させる。これにより光ピックアップ7は、光ディスク100に情報を記録することができる。
【0025】
また制御部2は、光ディスク100から情報を再生する場合、レーザ制御部10を制御してレーザダイオード11から光ディスク100に対し情報再生用の光ビームを照射させる。光ピックアップ7は、当該光ビームが反射されてなる反射光ビームを検出し、その検出結果に応じた検出信号を生成し信号処理部4へ供給する。
【0026】
信号処理部4は、検出信号に対し所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生し得るようになされている。
【0027】
因みに信号処理部4は、検出信号を基にフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成し、これらを制御部2での処理を経由して駆動部3へ供給することにより、対物レンズ8のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている。
【0028】
このように光ディスク装置1は、光ディスク100に情報を記録する際及び当該光ディスク100から情報を再生する際、光ピックアップ7のレーザダイオード11から光りビームを出射させるようになされている。
【0029】
[1−2.光ピックアップの構成]
次に、光ピックアップ7の構成について説明する。光ピックアップ7は、ベース21を中心に構成されており、当該ベース21に各種光学部品が取り付けられた構成となっている。
【0030】
ベース21は、所定の樹脂材料が成型加工されており、全体として上下方向に薄い板状に構成されると共に、その内部や周囲に、各種光学部品を取り付けるための、或いは光ビームを通過させるための空間や孔等が設けられている。
【0031】
因みにベース21には、上下方向に薄く形成されることに加え、軽量に構成され、且つある程度の強度を有することが要求される。このためベース21は、必要最小限の面や梁等の組み合わせにより構成されている。
【0032】
ベース21のほぼ中央部分には、対物レンズ9が設けられており、その周囲には対物レンズ9を上下方向や内外周方向へ駆動するためのアクチュエータ8等が設けられている。
【0033】
さらにベース21における手前側の側面部分には、ホルダ22を介してレーザダイオード11が取り付けられている。
【0034】
図2の一部を拡大すると共に各部品を分離した図3に示すように、レーザダイオード11は、金属製の略薄板状でなるフレーム11Aを中心に構成されており、当該フレーム11Aの中央部上面奥側には、発光素子11Dが設けられている。因みにレーザダイオード11は、発光素子11Dがカバー等に覆われることなく露出した、いわゆるフレーム型となっている。
【0035】
またフレーム11Aは、内周方向及び外周方向へそれぞれ突出した突出部11AX及び11AYが形成されている。
【0036】
ホルダ22は、所定の樹脂材料が射出成型により全体として上下方向に薄く内外周方向に延長された薄板状に成型されている。またホルダ22は、レーザダイオード11に対応する中央部分が上下方向へ大きくくりぬかれることにより中央凹部22Cが形成されている。
【0037】
さらにホルダ22は、中央凹部22Cの周側部分から内周側及び外周側にそれぞれ突出した略平板状の内周部22A及び外周部22Bが設けられている。
【0038】
内周部22A及び外周部22Bは、いずれもホルダ22における上端に配置されている。さらに内周部22Aの下面22AX及び外周部22Bの下面22BXは、いずれも略平面状に形成されている。
【0039】
中央凹部22Cの内周側及び外周側には、取付凹部22CX及び22CYがそれぞれ形成されている。この取付凹部22CX及び22CYは、レーザダイオード11の突出部11AX及び11AYとそれぞれ対応する形状に形成されている。
【0040】
さらに中央凹部22Cにおける奥側の側面部分には、レーザダイオード11の発光素子11Dから出射された光ビームを通過させるための孔部22Hが形成されている。
【0041】
因みにホルダ22は、所定の治具により容易に把持(クランプ)され得るような形状となっている。
【0042】
一方、ベース21における手前側の側面21Sには、レーザダイオード11の発光素子11Dから出射された光ビームを通過させるための孔部21SHが設けられている。また側面21Sには、当該孔部21SHの内周側及び外周側に、それぞれ手前方向に突出した突出部21A及び21Bが形成されている。
【0043】
突出部21A及び21Bは、いずれも上下方向に薄い略薄板状に形成されており、ベース21の側面21Sにおける下端に配置されている。また突出部21Aの上面21AX及び突出部21Bの上面21BXは、いずれも平面状に形成されている。
【0044】
さらに突出部21A及び21Bは、上面21AX及び21BXをホルダ22における内周部22A及び外周部22Bの下面22AX及び22BXとそれぞれ対向させ得る位置に配置されている。
【0045】
実際上、レーザダイオード11は、ベース21に取り付けられる前に、突出部11AX及び11AYをそれぞれ取付凹部22CX及び22CYに嵌合させるように、ホルダ22に取り付けられる。
【0046】
このときレーザダイオード11は、ホルダ22に対し、突出部11AX及び11AYをそれぞれ取付凹部22CX及び22CYに嵌合させ、且つ発光素子11Dから出射された光ビームが孔部22Hを通過し得る程度の、比較的粗い位置調整のみが行われる。
【0047】
続いてレーザダイオード11が取り付けられたホルダ22は、下面22AX及び22BXを上面21AX及び21BXとそれぞれ対向させるように、所定の接着剤を介して、内周部22A及び外周部22Bを突出部21A及び21Bとそれぞれ接着させる。
【0048】
すなわちホルダ22は、下面22AX及び22BXが、上面21AX及び21BXとそれぞれ面接合されることにより、ベース21に対して比較的強固に固定される。
【0049】
またホルダ22は、ベース21に接合される際、レーザダイオード11から出射される光ビームが、設計通りの箇所を通過するように、当該ベース21に対する相対的な取付位置が微調整される。
【0050】
具体的にホルダ22は、所定の治具等を介してレーザダイオード11から光ビームを出射させながら、所定の測定器等を用いて、当該光ビームが所定の位置に照射されるような取付位置に合わされ、そのまま接着剤が固化することにより固定される。
【0051】
これにより光ビームは、光ディスク100の盤面と略平行に進行し、図示しないフォトディテクタ等における所定の照射位置に照射されることになる。
【0052】
さらに光ピックアップ7は、レーザダイオード11とホルダ22との間、及びホルダ22とベース21との間に、熱伝導性を高める放熱ゲルが適宜塗布される。
【0053】
ここで、図2におけるA1−A2の断面図を図4に示す。因みに図4は、光ピックアップ7を外周側から見たときのベース21及びホルダ22の断面図を示している。
【0054】
また図4に示すように、ホルダ22の外周部22Bにおける厚さをta、当該ホルダ22の取付位置近傍におけるベース21の厚さをtc、突出部21Bの厚さをtbとする。さらに外周部22Bの下面22BXと突出部21Bの上面21BXとの間隔をd1とし、ベース21の上面とホルダ22の上面との間隔をd2とする。
【0055】
光ピックアップ7では、間隔d1及びd2の合計値である合計間隔dsが、ベース21に対しレーザダイオード11を所望の位置に調整するために必要な最小間隔dmよりも大きくなるよう、各部の厚さが設計されている。
【0056】
さらに光ピックアップ7では、ホルダ22の外周部22Bにおける厚さtaが、ベース21の厚さtcから合計間隔dsを除いた残りのうち半分未満となるようになされている。
【0057】
具体的には、ホルダ22における外周部22Bの厚さta及びベース21における突出部21Aの厚さtbについて、それぞれ次に示す(1)式及び(2)式を満たすようになされている。
【0058】
【数1】

【0059】
【数2】

【0060】
因みに光ディスク装置1(図1)全体の上下方向の厚さは約8[mm]以下となっている。光ディスク100の厚さは約1.2[mm]であるが、当該光ディスク100は回転駆動される際に面ブレ等を生じる可能性がある。このため光ディスク装置1では、面ブレ等が生じても光ディスク100と各部とを接触させないことが望まれる。
【0061】
このため光ディスク装置1では、光ディスク100の下面から光ピックアップ7の底面までの距離を約4[mm]以下とすることが求められている。またベース21は図示しないカバー板により各種光学部品が保護されるため、例えばレーザダイオード11が取り付けられる部分の近傍において、当該ベース21自体の厚さtcが約2.6[mm]となっている。
【0062】
また最小間隔dmは、ベース21に取り付けられる各種光学部品の位置ずれ等をレーザダイオード11の取付位置により補正することも踏まえて、約0.2[mm]とされている。
【0063】
これらの数値を代入することにより、(1)式から、ホルダ22における外周部22Bの厚さtaは1.2[mm]以下となる。一方、ホルダ22は上述したように射出成型により成型されるため、当該厚さtaは、射出成型における必要最低厚である約0.3[mm]以上とされるようになされている。
【0064】
すなわち光ピックアップ7では、ベース21の上面よりもレーザダイオード11が上方向に突出することがない。これにより光ピックアップ7では、レーザダイオード11と光ディスク100とが互いに接触することによる破損を未然に防止するようになされている。
【0065】
このように光ピックアップ7は、ベース21における突出部21A及び21Bと、ホルダ22の内周部22A及び外周部22Bとが面接合されることにより、当該ベース21に対してレーザダイオード11が取り付けられる。
【0066】
[1−3.動作及び効果]
以上の構成において、光ディスク装置1の光ピックアップ7は、ホルダ22の中央凹部22Cにレーザダイオード11が取り付けられ、当該ホルダ22の内周部22A及び外周部22Bとベース21の突出部21A及び21Bとがそれぞれ面接合される。
【0067】
このときホルダ22は、ベース21に対する取付位置が調整された上で、突出部21Aの上面21AX及び突出部21Bの上面21BXが、内周部22Aの下面22AX及び外周部22Bの下面22BXにそれぞれ接着される。
【0068】
ところで、例えば図5に示すように、従来の光ピックアップ30では、ホルダ32にレーザダイオード11を取り付け、当該ホルダ32をベース31の側面31Sに固定するものがあった。
【0069】
この光ピックアップ30では、ベース31における上下方向の厚さが制限されると、ホルダ32とベース31との接合面積が小さくなるため、接合強度が低下し及び熱伝導性が悪化するおそれがあった。
【0070】
また、例えば図6に示すように、従来の光ピックアップ40では、ホルダ42の底面に放熱シート43を貼り付け、レーザダイオード11により発生する熱を逃がすものがあった。
【0071】
この光ピックアップ40では、放熱性は確保できるものの、ベース41の厚さに放熱シート43の厚さが加わるため、光ピックアップ40全体が厚くなるおそれがあった。
【0072】
さらに、例えば図7に示すように、従来の光ピックアップ50では、ベース51内に、レーザダイオード11が取り付けられたホルダ52に対応した取付空間51Fを設けるものもあった。
【0073】
この光ピックアップ50では、ベース51の大型化や重量の増加を伴うため、光ピックアップ50全体としても大型となり重量が増加してしまうおそれがあった。
【0074】
これに対し光ピックアップ7(図3)では、比較的広い接合面積で、すなわち下面22AX及び22BXと上面21AX及び21BXとがそれぞれ互いに重なる範囲で、ベース21とホルダ22とが接合される。
【0075】
この結果、光ピックアップ7は、全体の厚さtcを薄く抑えながら、ホルダ22とベース21と間で接合強度を高めることができると共に熱伝導性も高めることができる。
【0076】
すなわち光ピックアップ7は、上述したように、上下方向の厚さtc(図4)については比較的厳しい制約がある。しかしながら光ピックアップ7は、光ディスク100の盤面と略水平な水平方向の大きさについては、当該光ディスク100の半径方向に移動し得れば良いため、比較的制約が緩いといえる。
【0077】
そこで光ピックアップ7は、ベース21とホルダ22との接合面を、従来の光ピックアップ等における光ディスク100の盤面と略垂直な面から、当該盤面と略平行な面に置き換えたということができる。この結果光ピックアップ7は、厚さtcを増加させることなく、十分な接合面積を確保できたことになる。
【0078】
このときベース21は、突出部21A及び21Bを側面21Sから手前側へ突出させているため、当該突出部21A及び21Bを設けることにより厚さtc(図4)を増加させずに済む。
【0079】
これにより光ピックアップ7は、ベース21に対するレーザダイオード11の位置を強力に固定することができるので、経時変化や環境温度の変化等による発光点の移動を回避し、若しくは最小限に止めることができる。
【0080】
また光ピックアップ7は、レーザダイオード11において発生した熱を十分な接合面積により効率良くベース21へ伝達することができるので、当該レーザダイオード11において放熱効率が悪い場合に生じ得る光学特性の劣化や破壊を防止することができる。
【0081】
そのうえ光ピックアップ7は、別途放熱シート(図6)等を設ける必要がないため、放熱性を確保しながら光ピックアップ7及び光ディスク装置1全体の厚さを抑えることもできる。
【0082】
さらに光ピックアップ7は、図7に示した光ピックアップ50のようにレーザダイオード11及びホルダ22の周囲にベース21の一部を延設する必要がないため、小型化・軽量化を図ることができる。
【0083】
またベース21の突出部21A及び21Bは、当該ベース21と一体に成型することができる。これと同様に、ホルダ22の内周部22A及び外周部22Bは、当該ホルダ22と一体に成型することができる。このため光ピックアップ7は、製造過程における工程数の増加や複雑化等を招くおそれがない。
【0084】
さらに光ピックアップ7は、間隔d1及びd2(図4)を確保しているため、ベース21に対しホルダ22を取り付ける際に、位置調整によりレーザダイオード11の取付位置を最適化することができる。
【0085】
以上の構成によれば、光ディスク装置1の光ピックアップ7は、ベース21に対しレーザダイオード11が取り付けられたホルダ22が位置調整された上で、突出部21A及び21Bと内周部22A及び外周部22Bとがそれぞれ面接合される。このとき光ピックアップ7は、下面22AX及び22BXと上面21AX及び21BXとがそれぞれ互いに重なる範囲で、ベース21とホルダ22とを接合することができる。この結果光ピックアップ7は、全体の厚さtcを薄く抑えながら、ホルダ22とベース21と間で接合強度を高めることができると共に熱伝導性も高めることができる。
【0086】
<2.第2の実施の形態>
[2−1.光ディスク装置及び光ピックアップの構成]
第2の実施の形態による光ディスク装置60では、図1及び図2に示すように、第1の実施の形態による光ディスク装置1と比較して、光ピックアップ7に代わる光ピックアップ67が設けられている点が相違するものの、他は同様に構成されている。
【0087】
光ピックアップ67は、第1の実施の形態における光ピックアップ7と比較して、図3と対応する図8に示すように、ベース21に代わるベース71を中心に構成されている点が相違するものの、他は同様に構成されている。
【0088】
ベース71は、ベース21と比較して、突出部21A及び21Bと同様の突出部71A及び71Bが設けられている点が共通するものの、さらに突出部71A及び71Bを連結する連結部71Cが設けられている点が相違している。
【0089】
連結部71Cは、上下方向に関し突出部71A及び71Bよりも薄い薄板状に形成されており、手前側の側面71Sにおける下端から手前方向に、突出部71A及び71Bとほぼ同等の長さだけ延設されている。
【0090】
ここで図2におけるB1−B2断面を図9に示す。因みに図9は、図4と同様、光ピックアップ67を外周側から見たときのベース71及びホルダ22の断面図を示している。
【0091】
また図9に示すように、レーザダイオード11の取付位置近傍におけるホルダ22の厚さをtf、連結部71Cの厚さをteとする。さらにホルダ22の下端と連結部71Cの上面との間隔をd3とする。
【0092】
光ピックアップ67では、間隔d3及びd2の合計値ds2が、ベース71に対しレーザダイオード11を所望の位置に調整するために必要な最小間隔dm2よりも大きくなるよう、各部の厚さが設計されている。
【0093】
具体的には、ベース71における連結部71Cの厚さteについて、次に示す(3)式を満たすようになされている。
【0094】
【数3】

【0095】
またベース71は、第1の実施の形態におけるベース21と同様、レーザダイオード11が取り付けられる部分の近傍において、当該ベース71自体の厚さtcが約2.6[mm]となっている。
【0096】
最小間隔dm2についても、第1の実施の形態における最小間隔dmと同様、ベース71に取り付けられる各種光学部品の位置ずれ等をレーザダイオード11の取付位置により補正することも踏まえて、約0.2[mm]とされている。
【0097】
ホルダ22の厚さtfは、いわゆるフレームタイプでなるレーザダイオード11における上下方向の厚さである1.2[mm]以上に設定されている。
【0098】
これらの数値を代入することにより、(3)式から、ベース71における連結部71Cの厚さteは1.2[mm]以下となる。また連結部71Cは、ホルダ22の場合と同様、射出成型における必要最低厚を確保する必要がある。このため当該連結部71Cの厚さtcは約0.3[mm]以上とされるようになされている。
【0099】
このように光ピックアップ67は、ベース71において連結部71Cにより連結された突出部71A及び71Bと、ホルダ22の内周部22A及び外周部22Bとが面接合されることにより、ベース71に対してレーザダイオード11が取り付けられる。
【0100】
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、光ディスク装置60の光ピックアップ7は、ホルダ22の中央凹部22Cにレーザダイオード11が取り付けられ、当該ホルダ22の内周部22A及び外周部22Bとベース71の突出部71A及び71Bとがそれぞれ面接合される。
【0101】
このときホルダ22は、ベース71に対する取付位置が調整された上で、突出部71Aの上面71AX及び突出部71Bの上面71BXが、内周部22Aの下面22AX及び外周部22Bの下面22BXにそれぞれ接着される。
【0102】
これにより光ピックアップ67では、第1の実施の形態と同様、比較的広い接合面積で、すなわち下面22AX及び22BXと上面71AX及び71BXとがそれぞれ互いに重なる範囲で、ベース71とホルダ22とが接合される。
【0103】
この結果光ピックアップ67は、全体の厚さtcを薄く抑えながら、ホルダ22とベース71と間で接合強度を高めることができると共に熱伝導性も高めることができる。
【0104】
さらに光ピックアップ67のベース71は、突出部71A及び71Bを連結するように、連結部71Cが設けられている。これによりベース71は、第1の実施の形態におけるベース21と比較して、突出部71A及び71Bそれぞれの強度を高めることができると共に、ベース71全体の強度をも高めることができる。
【0105】
このとき連結部71Cは、厚さte(図9)が(3)式を満たすように設計されていることにより、レーザダイオード11をベース71よりも上方へ突出させることなく、且つ位置調整用の間隔d3及びd2を確保することができる。
【0106】
また光ピックアップ67では、レーザダイオード11が取り付けられたホルダ22の下面と連結部71Cの上面との間に放熱ゲル等を塗布することにより、互いの熱伝導性を高めることも可能となる。これにより光ピックアップ67は、第1の実施の形態における光ピックアップ7と比較して、レーザダイオード11により発生した熱を一段と効率良くベース71に伝達することができる。
【0107】
またベース71の連結部71Cは、突出部71A及び71Bと同様に当該ベース71と一体に成型することができる。このため光ピックアップ7は、従来の構成や第1の実施の形態と比較しても、製造過程における工程数の増加や複雑化等を招くおそれがない。
【0108】
その他の点についても、第2の実施の形態による光ピックアップ67は、第1の実施の形態による光ピックアップ7と同様の効果を奏し得る。
【0109】
以上の構成によれば、光ディスク装置60の光ピックアップ67は、ベース71に対しレーザダイオード11が取り付けられたホルダ22が位置調整された上で、連結部71Cにより互いに連結された突出部71A及び71Bと内周部22A及び外周部22Bとがそれぞれ面接合される。このとき光ピックアップ67は、下面22AX及び22BXと上面71AX及び71BXとがそれぞれ互いに重なる範囲で、ベース71とホルダ22とを接合することができる。この結果光ピックアップ67は、全体の厚さtcを薄く抑えながら、ホルダ22とベース71と間で接合強度を高めることができると共に熱伝導性も高めることができる。
【0110】
<3.他の実施の形態>
なお上述した第1の実施の形態においては、レーザダイオード11を内周側及び外周側の双方から挟むように、ホルダ22に内周部22A及び外周部22Bを設け、これと対応するようにベース21に突出部21A及び21Bをそれぞれ設けた場合について述べた。
【0111】
本発明はこれに限らず、例えばホルダ22に内周部22Aのみを設けると共にベース21に突出部21Aのみを設けても良い。或いはホルダ22に内周部22A又は外周部22Bと同様の突出部を3以上設けると共に、ベース21にこれらと対応するよう突出部を3以上設けるようにしても良い。
【0112】
また上述した第1の実施の形態においては、ホルダ22の内周部22A及び外周部22Bをほぼ同等の厚さtaとし、また突出部21A及び21Bをほぼ同等の厚さtbとした場合について述べた。
【0113】
本発明はこれに限らず、ホルダ22の内周部22A及び外周部22Bの厚さを相違させ、これに応じてまた突出部21A及び21Bの厚さを相違させるようにしても良い。この場合、要は、当該ホルダ22の内周部22A及び外周部22Bとベース21の突出部21A及び21Bとをそれぞれ面接合でき、レーザダイオード11をベース21よりも上方へ突出させることなく、且つ位置調整用の隙間d1及びd2を確保できれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0114】
さらに上述した第1の実施の形態においては、ベース21の下端に突出部21A及び22Bをそれぞれ設け、ホルダ22の上端に内周部22A及び外周部22Bをそれぞれ設ける場合について述べた。
【0115】
本発明はこれに限らず、例えばベース21の上端に突出部21A及び22Bをそれぞれ設け、ホルダ22の下端に内周部22A及び外周部22Bをそれぞれ設けるようにしても良い。この場合、ベース21における突出部21A及び22Bの下面と、ホルダ22における内周部22A及び外周部22Bの上面とをそれぞれ接合させれば良い。要は、ベース21とホルダ22とを、光ディスク100と略平行な面により面接合させ得れば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0116】
さらに上述した第2の実施の形態では、連結部71Cを突出部71A及び71Bよりも薄く形成する場合について述べた。
【0117】
本発明はこれに限らず、連結部71Cを突出部71A及び71Bと同等若しくは厚く形成するようにしても良い。要は、レーザダイオード11と干渉することなく、ベース71並びに突出部71A及び71Bの強度を高めることができれば良い。
【0118】
さらに上述した第1の実施の形態においては、ホルダ22のレーザダイオード11が取り付けられる位置に、上下方向に解放された中央凹部22Cを設ける場合について述べた。
【0119】
本発明はこれに限らず、当該中央凹部22Cの上下いずれか一方又は双方が閉塞される用にしても良い。この場合、レーザダイオード11からの発熱を、空気中に解放するか、又はベース21へ伝達させることにより、十分に放熱し得れば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0120】
さらに上述した第1の実施の形態においては、ベース21及びホルダ22を、所定の樹脂材料を成型することにより構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、種々の金属材料などにより構成されても良く、要はレーザダイオード11からの発熱をベース21へ効率良く伝達できれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0121】
さらに上述した実施の形態においては、レーザダイオード11をいわゆるフレーム型とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、当該レーザダイオードが、発光素子11Dをカバー等により覆った密閉型であっても良い。
【0122】
さらに上述した第1の実施の形態においては、レーザダイオード11が発光素子11Dを1個のみ有する場合について述べた。本発明はこれに限らず、当該レーザダイオードが、互いに波長が異なる光ビームを出射し得る発光素子11Dを複数有する、いわゆる複数波長対応型であっても良い。具体的には、光ディスク装置1がBDのみならず、DVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)等にも対応する場合が考えられる。第2の実施の形態についても同様である。
【0123】
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク装置1が光ディスク100について情報の記録処理及び再生処理の双方を行い得る場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば光ディスク装置1が光ディスク100から情報の再生のみを行い得るようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0124】
さらに上述した実施の形態においては、レーザダイオードとしてのレーザダイオード11と、ベースとしてのベース21と、ベース側突出部としての突出部21A及び21Bと、ホルダとしてのホルダ22と、ホルダ側突出部としての内周部22A及び外周部22Bとによって光ピックアップとしての光ピックアップ7を構成する場合について述べた。
【0125】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるレーザダイオードと、ベースと、ベース側突出部と、ホルダと、ホルダ側突出部とによって光ピックアップを構成するようにしても良い。
【0126】
さらに上述した実施の形態においては、レーザダイオードとしてのレーザダイオード11と、ベースとしてのベース21と、ベース側突出部としての突出部21A及び21Bと、ホルダとしてのホルダ22と、ホルダ側突出部としての内周部22A及び外周部22Bと、レーザ制御部としての制御部2及びレーザ制御部10とによって光ディスク装置としての光ディスク装置1を構成する場合について述べた。
【0127】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるレーザダイオードと、ベースと、ベース側突出部と、ホルダと、ホルダ側突出部と、レーザ制御部とによって光ディスク装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、映像や音声或いは種々のデータ等の情報を光ディスクに記録し、また当該光ディスクから当該情報を再生する光ディスク装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0129】
1……光ディスク装置、2……制御部、7、67……光ピックアップ、9……対物レンズ、10……レーザ制御部、11……レーザダイオード、21……ベース、21A、21B……突出部、21AX、21BX……上面、21S……側面、22……ホルダ、22A……内周部、22B……外周部、22AX、22BX……下面、100……光ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザダイオードと、
上記レーザダイオードから出射された上記レーザ光を所定の光ディスクと略平行な方向へ進行させ所定の対物レンズにより当該光ディスクに集光させると共に、上記光ディスクの半径方向に移動するベースと、
上記ベースから上記光ディスクの盤面と略平行な方向に突出し、当該盤面と略平行なベース側接合面を有するベース側突出部と、
上記レーザダイオードが取り付けられるホルダと、
上記ホルダにおける上記レーザダイオードが取り付けられる取付箇所から上記盤面と略平行な方向に突出し、上記ベース側接合部の上記ベース側接合面と対向し且つ略平行なホルダ側接合面を有するホルダ側突出部と
を有する光ピックアップ。
【請求項2】
上記ベース側突出部は、
上記光ディスクの盤面と略平行な方向に関し、上記レーザダイオードを挟む2箇所にそれぞれ設けられ、
上記ホルダ側突出部は、
上記ホルダにおける上記2箇所のベース側突出部とそれぞれ対向する2箇所にそれぞれ設けられている
請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
上記ベースと上記2箇所のベース側突出部との間を互いに連結する連結部
をさらに有する請求項2に記載の光ピックアップ。
【請求項4】
上記連結部は、
上記光ディスクの盤面と略垂直な垂直方向に関する厚さが、上記ベース側突出部よりも薄い
請求項3に記載の光ピックアップ。
【請求項5】
上記ホルダ側突出部は、
上記光ディスクの盤面と略垂直な垂直方向に関する厚さが、上記ベースの厚さから上記ベース側突出部の厚さを差し引いた厚さよりも薄い
請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項6】
上記ホルダは、
上記取付箇所において、上記光ディスクの盤面と略垂直な垂直方向に関し上記レーザダイオードを解放させる
請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項7】
レーザ光を出射するレーザダイオードと、
上記レーザダイオードから出射された上記レーザ光を所定の光ディスクと略平行な方向へ進行させ所定の対物レンズにより当該光ディスクに集光させると共に、上記光ディスクの半径方向に移動するベースと、
上記ベースから上記光ディスクの盤面と略平行な方向に突出し、当該盤面と略平行なベース側接合面を有するベース側突出部と、
上記レーザダイオードが取り付けられるホルダと、
上記ホルダにおける上記レーザダイオードが取り付けられる取付箇所から上記盤面と略平行な方向に突出し、上記ベース側接合部の上記ベース側接合面と対向し且つ略平行なホルダ側接合面を有するホルダ側突出部と、
上記レーザダイオードから出射する上記レーザ光を制御するレーザ制御部と
を有する光ディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate