説明

光ピックアップ装置及び光ディスク装置

【課題】
光ピックアップ装置のレーザ素子温度上昇が課題となっており、放熱部材を追加することなくレーザ素子温度上昇を抑え、信頼性の高い光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】
レーザ発光部であるレーザ素子と、このレーザ素子を固定する固定部を備えた金属製のレーザホルダと、前記レーザ素子からのレーザ光を受光するレーザ受光素子と、前記レーザ光の光軸上に配置される光学素子と、前記レーザ光を光ディスク上に集光させるための対物レンズを保持する光ピックアップ筺体とを備えた光ピックアップ装置において、前記レーザホルダの前記固定部から前記光ディスク面方向に伸びる受風部を設けるとともに、前記受風部の厚さを前記固定部の厚さよりも薄くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに情報の記録および再生を行う光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置とは、光ディスク装置に搭載され、レーザ素子から照射したレーザ光によって光ディスク上に情報を記録、または、光ディスク上の情報を読み取る装置である。近年光ディスク装置では、記録速度の向上が重要な課題となっている。
【0003】
このとき、高速で回転する光ディスクに情報を記録するため、光ピックアップ装置にはレーザ素子の高出力化が求められている。レーザ素子が高出力化されると、その温度上昇が大きくなっている。そのためレーザ素子の温度が高くなると、レーザ素子の寿命が低下したり、再生・記録精度が低下したりするため、レーザ素子の放熱性を高める必要がある。
【0004】
そこで、一般的には、放熱カバーやピックアップ筺体に熱を伝えることでレーザ素子の温度上昇を抑制している。
【0005】
一方で、光ピックアップはコスト低減も重要な課題であり、これまで金属ダイカスト製であった光ピックアップ筺体を樹脂製にすることが求められている。しかし、金属に比べて熱伝導率の低い樹脂を光ピックアップ筺体に適用することで、レーザ素子の放熱性が低下し、レーザ素子の温度が上昇してしまうことが大きな課題となる。
【0006】
このような光ピックアップについて特許文献1には、レーザホルダにヒートシンクを取り付けることでレーザホルダからの放熱量を増大させる構造が記載されている。また、特許文献2には、レーザ素子に固定するレーザホルダに熱を発散させる突出部を設け、その突出部を筺体内に収める構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−167462号公報
【特許文献2】特開2005−339759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術では、レーザ素子で生じた熱をレーザ素子が固定されるレーザホルダから金属製の放熱カバーあるいはヒートシンク等の放熱部材に伝え、光ディスクの回転に伴う空気の流れを利用して放熱していた。
【0009】
しかし、光ピックアップ装置に放熱部材を取り付ける構造では、レーザホルダと放熱部材間の熱抵抗が課題となる。そこで放熱グリスを塗布したり、熱伝導シートを挟んだりすることで熱抵抗を低減させているが、部品数が増えるため、組立工数も増大し、コストが増大するという課題があった。
【0010】
また、レーザホルダの体積を増大させることで、レーザ素子の温度上昇を抑えることができるが、ノートパソコン等に搭載される薄型の光ディスク装置に対応する光ピックアップにおいては、発熱量が増大するレーザ素子に対応するだけの体積増加は難しい。
【0011】
さらに、光ピックアップは、光ディスクドライブのディスクトレイおよびメカカバー下に固定されるため、ディスクトレイおよびメカカバーによって光ピックアップの上面の一部が覆われている。そのため、レーザホルダを拡大しただけでは、放熱量の増加は小さい。さらには部品が大きくなることで、組立時の部品干渉が大きな課題となる。
【0012】
本発明の目的は、放熱用の構造部材を追加することなくレーザホルダからの放熱量を増大させることでレーザ素子の温度上昇を低減し、さらに作業性が高い光ピックアップ装置、さらには光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、レーザ発光部であるレーザ素子と、このレーザ素子を固定する固定部を備えた金属製のレーザホルダと、前記レーザ素子からのレーザ光を受光するレーザ受光素子と、前記レーザ光の光軸上に配置される光学素子と、前記レーザ光を光ディスク上に集光させるための対物レンズを保持する光ピックアップ筺体とを備えた光ピックアップ装置において、前記レーザホルダの前記固定部から前記光ディスク面方向に伸びる受風部を設けるとともに、前記受風部の厚さを前記固定部の厚さよりも薄くしたことにより達成される。
【0014】
また上記目的は、前記受風部は前記固定部とは反対方向に向かってテーパー形状とし、前記受風部は前記光ディスクに対向する面を備えることが好ましい。
【0015】
また上記目的は、前記受風部は前記固定部とは反対方向に向かって階段状に狭まる形状とし、前記受風部は前記光ディスクに対向する面を備えることが好ましい。
【0016】
また上記目的は、前記受風部に肉抜きによる貫通部を形成し、前記受風部は前記光ディスクに対向する面を備えることが好ましい。
【0017】
また上記目的は、前記レーザホルダの受風部が板状であり、前記受風部は前記光ディスクに対向する面を備えることが好ましい。
【0018】
また上記目的は、前記受風部を前記放熱カバーと熱的に接続させることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、レーザ素子で生じた熱を金属製のレーザホルダから放熱部材を介さず、ディスク回転によって生じる空気流によって受風部から効率的に放熱することができる。そのため、レーザ素子が高温になることで光ディスクへの情報の記録、再生精度が低下するという課題を解決し、信頼性の高い光ピックアップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係る光ピックアップ装置の概略斜視図である。
【図2】図1に示した光ピックアップをy軸方向から見た概略側面図である。
【図3】実施例1に係る光ディスクドライブの要部概略上面図である。
【図4】図3のA−A’線による概略断面図である。
【図5】従来のレーザホルダ固定部を説明する概略断面図である。
【図6】実施例2に係るプリズム固定部の要部を示した概略斜視図である。
【図7】実施例3に係るプリズム固定部の要部を示した概略斜視図である。
【図8】実施例4に係るプリズム固定部の要部を示した概略斜視図である。
【図9】実施例5に係るプリズム固定部の要部を示した概略斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
さて、レーザホルダはピックアップ筺体に対して接着剤で固定されている。そしてこのレーザホルダは接着する際に最も重要なことは、レーザ光の光軸に配慮されたレンズホルダの固定角度である。
【0022】
そのため、一般的にはレーザホルダをピックアップホルダに対して光軸の調整をするためレーザホルダを回転させながら調整し、最適な角度(位置)で接着している。
【0023】
ところが上述した従来技術のように、放熱面積を拡大するためにレーザホルダにヒートシンクや突出部を取り付けた場合には、レーザホルダを回転させることができなくなってしまう。
【0024】
つまり、レンズホルダを回転させると、ヒートシンク或いは突出部が近傍の部品と干渉してしまうという問題が生じる。特にピックアップホルダを動作させるためのドライバーや光ディスクに衝突してしまった場合には、致命傷となってしまう。
【0025】
そこで本発明の発明者らはドライバーや光ディスクに衝突しない(干渉しない)ヒートシンクや突出部について種々検討した結果、以下のごとき実施例を得た。
【0026】
以下、実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は実施例1に係る光ピックアップ装置の概略斜視図である。
図2は図1に示した光ピックアップの側面図である。
図1、図2において、光ピックアップ装置1はレーザ射出部であるレーザ素子5とレーザ素子5を保持するレーザホルダ10と、レーザ素子5から射出されたレーザ光を光ディスクに導くプリズムやレンズ(図示せず)と、光ディスク上にレーザ光を収束させる対物レンズ3aとその対物レンズを駆動させる対物レンズ駆動装置3bと、搭載される電子部品からの熱を放熱する放熱カバー4を搭載する光ピックアップ筺体2とから構成されている。
【0028】
このとき、レーザホルダ10は、レーザ素子5を固定する固定部10aと、受風部10bから成る。このレーザホルダ10は光ピックアップ筺体2に対して接着剤15を介して接着されている。11aは受風部10のディスク側対向面であり、11bは逆の光ディスク装置のボトムカバー側対向面である。
【0029】
図1、図2に示すように、レーザホルダ10形成された受風部10bのディスク側対向面11aとボトムカバー側対向面11bが先端に向かって傾斜し、受風部10bの厚さが薄くなるテーパー形状となっている。この受風部10bのディスク側対向面11aは放熱カバー4と略同一高さとなるように光ピックアップ筺体2に紫外線硬化型接着剤15を用いて固定される。
【0030】
各構成要素の材料は、たとえば光ピックアップ筺体2はマグネシウムダイカスト、亜鉛ダイカスト、アルミダイカスト、プラスチック、としてもよく、放熱カバー4は鉄合金板、アルミ板、銅板としてもよく、レーザホルダ10はマグネシウムダイカスト、亜鉛ダイカスト、アルミダイカストとしてもよい。
【0031】
図3は実施例1に係る光ディスクドライブの要部概略上面図である。
図4は図3に示した光ディスクドライブの側面図である。
【0032】
図3、図4において、光ピックアップ装置1は光ディスク装置20のメカカバー7aの下に配置されており、ガイドバー22a、22bによって保持されている。このとき、スピンドルモータ21によって回転する光ディスク6に記録または再生する際に、光ピックアップ装置1はガイドバー22a、22bに沿って光ディスク6の半径方向(図中y軸方向)に摺動する。
【0033】
ここで、光ピックアップ装置1からレーザを射出するため、メカカバー7aには開口部7bがあり、光ディスク6の半径方向に開口している。図1、図2に示した対物レンズ駆動装置3bは光ピックアップ装置1が摺動するとき、常に光ディスク6に対向している。また、受風部10bもメカカバー開口部7bを介して光ディスク6に対向している。ただし、放熱カバー4はメカカバー7aに覆われており、光ディスク6とは対向しない。
【0034】
図5は従来のレーザホルダ固定部を説明する概略断面図である
図5において、本図ではレーザ素子5の放熱経路は従来の光ピックアップ装置1の放熱経路について説明する。
【0035】
従来の構造では、レーザ素子5を固定するレーザホルダ固定部10aと放熱カバー4を放熱剤14あるいは接着剤で熱的に接続することで放熱カバーに伝えるようになっている。ここで、光ディスク6に情報を記録する際、光ディスク6は図3に示したスピンドルモータ21によって回転させられている。このときの光ディスク6の回転によって回転方向に沿った空気流8が生じ、光ディスク6とメカカバー7aおよびメカカバーの開口部7bから露出している光ピックアップ装置1の間を流れる。この流れはメカカバー開口部7bにて光ディスク6と対向している放熱カバー4の上を流れ、光ディスク装置20中に放熱される。メカカバー7aに覆われている部分では、レーザ素子5から放熱カバー4に伝えられた熱はメカカバー7aに伝わり、メカカバー7aから光ディスク装置20中に放熱される。
【0036】
このとき、放熱剤14および接着剤はレーザホルダ固定部10aや放熱カバー4に比べて熱伝導率が低いため、放熱カバー4に熱が伝わりにくく、レーザ素子5の温度が上昇しやすい。また、光ピックアップ装置1を組み立てる際に、放熱剤14を塗布する必要があるため、作業工数が多くなり、組み立て性が悪化するという課題があった。
【0037】
これに対し、図1から図4に示した実施例1に係るレーザホルダ10では、レーザ素子5で生じた熱は、レーザホルダ固定部10aから受風部10bに広がる。さらに受風部10bのディスク側対向面11a上を光ディスク6の回転によって生じる空気流8が流れるため、レーザホルダのディスク側対向面11aから放熱される。
【0038】
したがって、放熱剤14等の熱伝導部材を介さず、レーザ素子5を効率的に冷却することができる。
【0039】
特にレーザ出力が増大する高倍速記録時には、光ディスク6の回転数も増大し、回転によって生じる空気流8の速度が増大する。そのため、受風部10bの光ディスクに対向するディスク側対向面11aからの放熱量が増大し、レーザ素子5の冷却効果が顕著に高まる。このことから、レーザ素子5の過度の温度上昇を低減できるため、光ピックアップ装置1の信頼性の低下を防ぐことができる。
【0040】
また、光ピックアップ装置1を組み立てる手順として、レーザ素子5を固定したレーザホルダ10を光ピックアップ筺体2に固定する際に、まずレーザ素子の取り付け角度を調整し、その後、紫外線硬化型接着剤15を用いて光ピックアップ筺体2に固定するようになっている。
【0041】
したがって、本実施例では受風部10bはテーパー形状を有しているため、取り付け角度の調整を行った際にも光ディスクに対向する面11aがピックアップ筺体2に搭載する他の部品と干渉(接触)することがない。またメカカバー7bより受風部10bが光ディスク6に近接し、光ディスク6と干渉することを防ぐことができる。同様に、光ディスク装置20のボトムカバー23と干渉することを防ぐことができる。
【0042】
さらに本実施例では、レーザ素子5を固定するためのレーザホルダ固定部10aおよび受風部10bから光ディスク装置5中に放熱されるため、放熱カバー4やヒートシンク等の放熱部材や、放熱部材とレーザホルダ10を熱的に接続する放熱剤14や接着剤等の熱伝導部材を必要とせず、部品点数の削減および工数の低減によってコストを低減できる。
【0043】
なお、本実施例では受風部10bをテーパー形状としたが、必ずしもテーパー形状である必要はなく、レーザ素子固定部10aの厚みより薄くしても同じ効果を得ることができる。その場合、受風部10bが他の部品と干渉しないように傾斜させておくことが必要である。
【実施例2】
【0044】
図6は実施例2に係るプリズム固定部の要部を示した概略斜視図であり、図4のA−A’線断面と同じ概略断面図である。
【0045】
図6において、実施例1と同様に光ピックアップ装置1はレーザ射出部であるレーザ素子5と、このレーザ素子5を保持するレーザホルダ10と、レーザ素子5から射出されたレーザ光を光ディスク6に導くプリズムやレンズ(図示せず)と、光ディスク上にレーザ光を収束させる対物レンズ3a(図1に示す)と、この対物レンズ3aを駆動させる対物レンズ駆動装置3b(図1に示す)と、搭載される電子部品からの熱を放熱する放熱カバー4を搭載する光ピックアップ筺体2とから構成されている。
【0046】
このとき、レーザホルダ10はレーザ素子5を固定する固定部10aと、レーザ素子5の熱を放熱する受風部10bから成る。この受風部10bは実施例1のようにテーパー形状ではなくてもよく、たとえば、レーザ固定部10aから階段状に狭まる形状としてもよい。また、受風部10bのディスク側対向面11aは放熱カバー4と略同一高さとなるように光ピックアップ筺体2に紫外線硬化型接着剤15を用いて固定している。
【0047】
この構成により本実施例は、レーザ素子5で生じた熱は、レーザホルダ固定部10aから受風部10bに広がる。さらに受風部10bのディスク側対向面11a上を光ディスク6の回転によって生じる空気流8が流れるため、レーザホルダのディスク側対向面11aから放熱される。そのため、放熱剤14等の熱伝導部材を介さず、レーザ素子5を効率的に冷却することができる。このことから、光ピックアップ装置1の信頼性の低下を防ぐことができる。
【0048】
さらに、受風部10bは階段状に厚さが薄くなっているため、取り付け角度の調整を行った際にもピックアップ筺体2に搭載する他の部品と干渉することはない。またメカカバー7bより受風部10bが光ディスク6に近接し、光ディスク6と干渉することを防ぐことができる。同様に、光ディスク装置20のボトムカバー23と干渉することを防ぐことができる。
【0049】
さらに本実施例では、レーザ素子5を固定するためのレーザホルダ固定部10aおよび受風部10bから光ディスク装置5中に放熱されるため、放熱カバー4やヒートシンク等の放熱部材や、放熱部材とレーザホルダ10を熱的に接続する放熱剤14や接着剤等の熱伝導部材を必要とせず、部品点数の削減および工数の低減によってコストを低減できる。
【実施例3】
【0050】
図7は実施例3に係るプリズム固定部の要部を示した概略斜視図であり、図4のA−A’断面と同じ概略断面図である。
図7において、実施例1と同様に光ピックアップ装置1はレーザ射出部であるレーザ素子5と、このレーザ素子5を保持するレーザホルダ10と、レーザ素子5から射出されたレーザ光を光ディスクに導くプリズムやレンズ(図示せず)と、光ディスク上にレーザ光を収束させる対物レンズ3a(図1に示す)とその対物レンズ3aを駆動させる対物レンズ駆動装置3b(図1に示す)と、搭載される電子部品からの熱を放熱する放熱カバー4を搭載する光ピックアップ筺体2から成る。このとき、レーザホルダ10は、レーザ素子5を固定する固定部10aと、レーザ素子5の熱を放熱する受風部10bとから構成されている。
【0051】
レーザホルダ10において、この受風部10bは、先端に向かって受風部10bの厚さが薄くなるテーパー形状を有する。また、受風部10bのディスク側対向面11aは放熱カバー4と略同一高さとなるように光ピックアップ筺体2に紫外線硬化型接着剤15を用いて固定する。
【0052】
このとき、受風部10bはレーザホルダ固定部10aから均一な厚さに延伸していなくともよく、受風部10bの内部を肉抜きした貫通部13を設けてもよい。
【0053】
この構成により本実施例は、レーザ素子5で生じた熱は、レーザホルダ固定部10aから受風部10bに広がる。さらに受風部10bのディスク側対向面11a上を光ディスク6の回転によって生じる空気流8が流れるため、レーザホルダのディスク側対向面11aから放熱される。そのため、放熱剤14等の熱伝導部材を介さず、レーザ素子5を効率的に冷却することができる。このことから、光ピックアップ装置1の信頼性の低下を防ぐことができる。
【0054】
さらに、受風部10bは先端で厚さが薄くなっているため、取り付け角度の調整を行った際にもピックアップ筺体2に搭載する他の部品と干渉(接触)しない。またメカカバー7bより受風部10bが光ディスク6に近接し、光ディスク6と干渉することを防ぐことができる。同様に、光ディスク装置20のボトムカバー23と干渉することを防ぐことができる。
【0055】
さらに本実施例では、レーザ素子5を固定するためのレーザホルダ固定部10aおよび受風部10bから光ディスク装置5中に放熱されるため、放熱カバー4やヒートシンク等の放熱部材や、放熱部材とレーザホルダ10を熱的に接続する放熱剤14や接着剤等の熱伝導部材を必要とせず、部品点数の削減および工数の低減によってコストを低減できる。
【0056】
さらに本実施例では、受風部10bに貫通部13を設けたのでレーザホルダ10を軽量化することができ、光ピックアップ装置1に衝撃が加えられた際に、レーザホルダ10が光ピックアップ筺体2から脱落しにくくなる。
【実施例4】
【0057】
図8は実施例4に係るプリズム固定部の要部を示した概略斜視図であり、図4のA−A’線断面と同じ概略断面図である。
図8において、実施例1と同様に光ピックアップ装置1はレーザ射出部であるレーザ素子5と、このレーザ素子5を保持するレーザホルダ10と、レーザ素子5から射出されたレーザ光を光ディスクに導くプリズムやレンズ(図示せず)と、光ディスク上にレーザ光を収束させる対物レンズ3a(図1に示す)と、その対物レンズ3aを駆動させる対物レンズ駆動装置3b(図1に示す)と、搭載される電子部品からの熱を放熱する放熱カバー4を搭載する光ピックアップ筺体2とから成る。このとき、レーザホルダ10は、レーザ素子5を固定する固定部10aと、レーザ素子5の熱を放熱する受風部10bとから構成されている。
【0058】
受風部10bはレーザ固定部10aから均一な厚さで延伸した構造でなくともよく、板状の構造としてもよい。このとき、受風部10bはレーザ固定部に対して1度から3度の角度を有することが望ましい。
【0059】
この構成により本実施例は、レーザ素子5で生じた熱は、レーザホルダ固定部10aから受風部10bに広がる。さらに受風部10bのディスク側対向面11a上を光ディスク6の回転によって生じる空気流8が流れるため、レーザホルダのディスク側対向面11aから放熱される。そのため、放熱剤14等の熱伝導部材を介さず、レーザ素子5を効率的に冷却することができる。このことから、光ピックアップ装置1の信頼性の低下を防ぐことができる。
【0060】
さらに、受風部10bは板状であるため、取り付け角度の調整を行った際にもピックアップ筺体2に搭載する他の部品と干渉しない。またメカカバー7bより受風部10bが光ディスク6に近接し、光ディスク6と干渉することを防ぐことができる。同様に、光ディスク装置20のボトムカバー23と干渉することを防ぐことができる。
【0061】
さらに本実施例では、レーザ素子5を固定するためのレーザホルダ固定部10aおよび受風部10bから光ディスク装置5中に放熱されるため、放熱カバー4やヒートシンク等の放熱部材や、放熱部材とレーザホルダ10を熱的に接続する放熱剤14や接着剤等の熱伝導部材を必要とせず、部品点数の削減および工数の低減によってコストを低減できる。
【0062】
さらに本実施例では、レーザホルダを軽量化することができるため、光ピックアップ装置1に衝撃が加えられた際に、レーザホルダ10が光ピックアップ筺体2から脱落しにくくなる。
【実施例5】
【0063】
図9は実施例5に係るプリズム固定部の要部を示した概略斜視図であり、図4のA−A’断面と同じ概略断面図を示す。
【0064】
図9において、実施例1と同様に光ピックアップ装置1はレーザ射出部であるレーザ素子5と、このレーザ素子5を保持するレーザホルダ10と、レーザ素子5から射出されたレーザ光を光ディスクに導くプリズムやレンズ(図示せず)と、光ディスク上にレーザ光を収束させる対物レンズ3a(図1に示す)とその対物レンズを駆動させる対物レンズ駆動装置3b(図1に示す)と、搭載される電子部品からの熱を放熱する放熱カバー4を搭載する光ピックアップ筺体2とから構成されている。
【0065】
このとき、レーザホルダ10は、レーザ素子5を固定する固定部10aと、レーザ素子5の熱を放熱する受風部10bから成る。レーザホルダ10において、この受風部10bは、レーザ固定部10aを、対物レンズ駆動装置3b部分までx軸方向に延伸し、先端に向かって受風部10bの厚さが薄くなるテーパー形状を有する。また、受風部10bのディスク側対向面11aは放熱カバー4と略同一高さとなるように光ピックアップ筺体2に紫外線硬化型接着剤15を用いて固定する。
【0066】
このとき、レーザホルダ上に放熱カバー4を延伸し、レーザホルダ10と放熱剤14によって熱的に接続してもよい。
【0067】
この構造により、放熱グリスの塗布面積が増大し、レーザホルダ10と放熱カバー4間の熱抵抗を小さく抑えることができる。そのため、レーザ素子5で生じた熱は、放熱カバー4に効率的に伝わり、放熱カバー4の表面を光ディスク6の回転によって生じる空気流8が流れるため、放熱カバー4から放熱される。このことから、光ピックアップ装置1の信頼性の低下を防ぐことができる。
【0068】
さらに、受風部10bは先端で厚さが薄くなっているため、取り付け角度の調整を行った際にも、放熱カバー4などピックアップ筺体2に搭載する他の部品と干渉しない。またメカカバー7bより受風部10bが光ディスク6に近接し、光ディスク6と干渉することを防ぐことができる。同様に、光ディスク装置20のボトムカバー23と干渉することを防ぐことができる。
【0069】
さらに本実施例では、レーザ素子5を固定するためのレーザホルダ固定部10aおよび受風部10bから光ディスク装置5中に放熱されるため、放熱カバー4やヒートシンク等の放熱部材や、放熱部材とレーザホルダ10を熱的に接続する放熱剤14や接着剤等の熱伝導部材を必要とせず、部品点数の削減および工数の低減によってコストを低減できる。
【符号の説明】
【0070】
1…光ピックアップ装置、2…光ピックアップ筺体、3a…対物レンズ、3b…対物レンズ駆動装置、4…放熱カバー、5…レーザ素子、6…光ディスク、7a…メカカバー、7b…メカカバー開口部、8…回転流、9…ボトムカバー、10…レーザホルダ、10a…レーザ素子固定部、10b…受風部、11a…ディスク側対向面、11b…ボトムカバー側対向面、13…貫通部、14…放熱剤、15…紫外線硬化型接着剤、20…光ディスク装置、21…スピンドルモータ、22a、22b…ガイドバー、23…ボトムカバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発光部であるレーザ素子と、このレーザ素子を固定する固定部を備えた金属製のレーザホルダと、前記レーザ素子からのレーザ光を受光するレーザ受光素子と、前記レーザ光の光軸上に配置される光学素子と、前記レーザ光を光ディスク上に集光させるための対物レンズを保持する光ピックアップ筺体とを備えた光ピックアップ装置において、
前記レーザホルダの前記固定部から前記光ディスク面方向に伸びる受風部を設けるとともに、
前記受風部の厚さを前記固定部の厚さよりも薄くしたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ピックアップ装置において、
前記受風部は前記固定部とは反対方向に向かってテーパー形状とし、前記受風部は前記光ディスクに対向する面を備えていることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
請求項1と2のいずれかに記載の光ピックアップ装置において、
前記受風部は前記固定部とは反対方向に向かって階段状に狭まる形状とし、前記受風部は前記光ディスクに対向する面を備えていることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光ピックアップ装置において、
前記受風部に肉抜きによる貫通部を形成し、前記受風部は前記光ディスクに対向する面を備えていることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光ピックアップ装置において、
前記レーザホルダの受風部が板状であり、前記受風部は前記光ディスクに対向する面を備えていることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光ピックアップ装置において、
前記受風部を前記放熱カバーと熱的に接続させたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置を具備することを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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