説明

光ピックアップ装置及び情報記録再生装置

【課題】高速で情報の記録再生を行う。
【解決手段】光ピックアップ装置は、第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光源10と、第1のレーザ光と異なる波長を有する2本以上の第2のレーザ光を出射する第2の光入射端子1と、第1のレーザ光源10と第2の光入射端子1とから出射された2種類の異なる波長の複数のレーザ光を複数のトラックが形成された記録媒体の情報記録面に集光する集光手段と、記録媒体の情報記録面に反射された複数の反射レーザ光を分割する分割手段と、分割手段により分割された複数の反射レーザ光を受光する光検出手段とを備え、第2のレーザ-光入射端子1はコア外周にクラッドが設けられたコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上が近接され並列に配置された束からなり、個々のシングルモード光ファイバーの一方端面は、コア径はそのままでクラッド外径のみ縮小される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を高速に記録再生する光ピックアップ装置及び該光ピックアップ装置を用いた情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報の記録、再生および消去(繰り返し記録)に適した記録媒体として、例えば光ディスクが広く利用されている。一方、光ディスクには様々な規格が存在し、例えば記録容量で分類すると、CD規格やDVD規格に分類される。また、用途、例えばデータ記録様式により分類すると、既に情報が記憶されている(いわゆる「ROM」)再生専用タイプ、1回限りの情報記録が可能な(いわゆる「−R」)ライトワンスタイプ(追記型)、または記録と消去が繰り返し可能な(いわゆる「RAM」または「RW」)リライタブルタイプ(記録再生型または書換可能型)などに分類される。
【0003】
一方、光ディスクに情報を記録再生する場合、従来は1本のレーザ光を用いている。例えば、上述したCD規格とDVD規格の様に異なる規格の光ディスクを記録再生するために、1本のピックアップに2本のレーザ光を用いることはあっても、それぞれ規格に対し、ディスクの記録又は再生の際には、1本のレーザ光を用いていた。トラッキングのために、レーザ光を3つに分割して用いる方法もあるが、それでも情報の記録再生には1本のレーザ光が用いられている。
【0004】
また、レーザ光を光ファイバーで出射する方法も採用されているが、光ファイバーから出射されるレーザ光は、情報の記録再生用として1本のみである。
【0005】
なお、上述したCD規格とDVD規格の様に異なる規格の光ディスクにおいて正確に記録再生するための技術が複数提案されている(例えば、特許文献1から特許文献3を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2006−209924号公報
【特許文献2】特開2006−331475号公報
【特許文献3】特開2006−344333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
情報を高速で記録再生する方法としては、光ディスクを高速に回転する方法が一般的に用いられている。上記光ディスクを高速に回転する方法は、情報を高速に記録再生するために有効ではあるが限界がある。ある回転数以上に高速に回転すると、振動が発生し情報の記録再生が不可能になる場合がある。
【0008】
本発明は、別のアプローチにより情報を高速で記録再生するための光ピックアップ装置及び情報記録再生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光ピックアップ装置及び情報記録再生装置は、以下の特徴を有する。
【0010】
(1)第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光出射手段と、第1のレーザ光と異なる波長を有する2本以上の第2のレーザ光を出射する第2のレーザ光出射手段と、前記第1のレーザ光出射手段と第2のレーザ光出射手段とから出射された2種類の異なる波長の複数のレーザ光を複数のトラックが形成された記録媒体の情報記録面に集光する集光手段と、前記記録媒体の情報記録面に反射された複数の反射レーザ光を分割する分割手段と、前記分割手段により分割された前記複数の反射レーザ光を受光する光検出手段と、を備え、前記第2のレーザ光出射手段は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上のシングルモード光ファイバーの束であって、かつ、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面は、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され、かつ、前記2本以上のシングルモード光ファイバーが近接されて並列に束ねられ配置された端面近接多芯光ファイバーであり、前記集光手段は、前記第2のレーザ光のそれぞれは異なるトラック上に入射させ、かつ、第1のレーザ光と第2のレーザ光のうちの1本のレーザ光とを記録媒体の同一のトラック又は前記第2のレーザ光入射トラックの近辺のトラックに入射させ、前記光検出手段は、第1のレーザ光の反射レーザ光に基づきフォーカス及びトラッキングの制御信号又はフォーカス及びトラッキングの制御信号と光ディスクからの情報を検出する第1の光検出手段と、第2のレーザ光の複数の反射レーザ光に基づき記録媒体に情報を記録又は記録媒体からの情報を検出する第2の光検出手段とを有する光ピックアップ装置である。
【0011】
(2)上記(1)に記載の光ピックアップ装置において、前記集光手段は、さらに、第1のレーザ光と第2のレーザ光のうちの1本のレーザ光とを記録媒体の同一のトラックに入射させ、かつ、前記第2のレーザ光のうちの他の1本以上のレーザ光は、隣接したトラックのそれぞれ異なるトラック上に入射させる光ピックアップ装置である。
【0012】
(3)第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光出射手段と、第1のレーザ光と異なる波長を有する2本以上の第2のレーザ光を出射する第2のレーザ光出射手段と、前記第1レーザ光出射手段と第2のレーザ光出射手段とから出射された2種類以上の異なる波長の複数のレーザ光を複数のトラックが形成された記録媒体の情報記録面に集光する集光手段と、前記記録媒体の情報記録面に反射された複数の反射レーザ光を分割する分割手段と、前記分割手段により分割された前記複数の反射レーザ光を受光する光検出手段と、を備え、前記第2のレーザ光出射手段は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上のシングルモード光ファイバーの束であって、かつ、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面は、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され、かつ、前記2本以上のシングルモード光ファイバーが近接されて並列に束ねられ配置された端面近接多芯光ファイバーであり、前記集光手段は、前記第2のレーザ光のそれぞれは異なるトラック上に入射させ、かつ、第1のレーザ光と第2のレーザ光のうちの1本のレーザ光とを記録媒体の同一のトラック又は前記第2のレーザ光入射トラックの近辺のトラックに入射させ、前記光検出手段は、第1のレーザ光の反射レーザ光に基づきフォーカス及びトラッキングの制御信号又はフォーカス及びトラッキングの制御信号と光ディスクからの情報を検出する第1の光検出手段と、第2のレーザ光の複数の反射レーザ光に基づき記録媒体に情報を記録又は記録媒体からの情報を検出する第2の光検出手段とを有する光ピックアップ装置と前記第1の光検出手段と第2の光検出手段により検出された記録媒体からの反射レーザ光から記録媒体に記録されている情報を取り出す及び記録媒体に記録する情報を送出する信号処理回路と、前記光ピックアップ装置と前記信号処理回路の動作を制御する制御装置と、を有する情報記録再生装置である。
【0013】
(4)上記(3)に記載の情報記録再生装置において、前記光ピックアップ装置の前記集光手段は、さらに、第1のレーザ光と第2のレーザ光のうちの1本のレーザ光とを記録媒体の同一のトラックに入射させ、かつ、前記第2のレーザ光のうちの他の1本以上のレーザ光は、隣接したトラックのそれぞれ異なるトラック上に入射させる情報記録再生装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上述の構成にすることにより、光ディスクが振動する回転数まで高速回転させることなく、情報の記録再生を高速で行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[光ピックアップ装置]
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる概略構成例である。本実施の形態の光ピックアップ装置は、第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光出射手段である第1のレーザ光源10と、第1のレーザ光と異なる波長を有する2本以上の第2のレーザ光を出射する第2のレーザ光出射手段である第2の光入射端子1と、第1のレーザ光源10と第2の光入射端子1とから出射された2種類の異なる波長の複数のレーザ光を複数のトラックが形成された記録媒体の情報記録面に集光する集光手段と、前記記録媒体の情報記録面に反射された複数の反射レーザ光を分割する分割手段と、前記分割手段により分割された前記複数の反射レーザ光を受光する光検出手段とを備える。
【0016】
本実施の形態の集光手段は、図1に示すように、第1のレーザ光源10からのレーザ光が第1の回折格子9を通り抜けたのちコリメート(平行光化)する第1のコリメートレンズ8と、第2の光入射端子1からの2本以上の複数のレーザ光をコリメートする第2のコリメートレンズと、第1のレーザ光と異なる波長を有する2本以上の第2のレーザ光とを記録媒体である光ディスク13の記録面上に集光される対物レンズ12とを有し、第1のレーザ光と第2のレーザ光のうちの1本のレーザ光とを光ディスク13の同一のトラックに入射させ、かつ、第2のレーザ光のうちの他の1本以上のレーザ光は、異なるトラック上に入射させるものである。第1のレーザ光を第2のレーザ光入射トラックの近辺のトラックに入射させてもよいが、同一トラックに入射させる方が光学系の調整が容易である。
【0017】
また、本実施の形態の分割手段は、図1に示すように、光ディスクから反射されたレーザ光が対物レンズ12により捕捉され概ね平行な断面ビーム形状になった後、第1のレーザ光の反射レーザ光を90度回転させて偏向するとともに、第2のレーザ光の複数の反射光は、そのまま通過させるダイクロミックミラー7と、ダイクロミックミラー7を通過した第2のレーザ光の複数の反射光を90度回転させて偏向する偏向ミラー5とからなる。
【0018】
また、本実施の形態の光検出手段は、対物レンズ12により補足されダイクロミックミラー7により90度回転して偏向され次いで第1の回折格子9により回折させた後の第1のレーザ光の反射レーザ光を受光し、フォーカス及びトラッキングの制御信号又はフォーカス及びトラッキングの制御信号と光ディスクからの情報を検出する第1の光検出器11と、対物レンズ12により捕捉されダイクロミックミラー7をそのまま通過し次いで1/4波長板6(偏向制御素子)を通り抜けのち偏向ミラー5により90度回転して偏向されたのち第2の集光レンズ4により集光された第2のレーザ光の複数の反射レーザ光を受光し、光ディスク13に情報を記録するための又は光ディスク13からの情報を検出する第2の光検出器3とからなる。また、上記第1の光検出器11及び第2の検出器3は、光強度に対応する電流または電圧を出力するものである。なお、本実施の形態の光ピックアップ装置には、第1の光検出器11、第2の光検出器3および対物レンズ12を光ディスク13の面と垂直な方向へ移動させる図示しないフォーカス制御コイル、および対物レンズ12を光ディスク13の径方向へ移動させるトラッキング制御コイル等が組み込まれている。
【0019】
本実施の形態の第2のレーザ光出射手段である第2の光入射端子1は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上のシングルモード光ファイバーの束であって、かつ、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面は、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され、かつ、前記2本以上のシングルモード光ファイバーが近接されて並列に束ねられ配置された端面近接多芯光ファイバーである。なお、後段で詳細に説明する。
【0020】
さらに、本実施の形態における光ピックアップ装置の構成について、それぞれ詳細に説明する。第2の光入射端子1は、シングルモード光ファイバー7本がコア間隔40μmで図3のように細密状に配列されている近接7芯光ファイバー端面をもつ。図3は、近接7芯光ファイバー端面を模式的に示したものであり、光ファイバーフェルール14、7本のシングルモード光ファイバー15の束を有する構造となっている。例えば、本実施の形態では、近接7芯光ファイバー端面におけるシングルモード光ファイバー15のクラット径は40μmであり、コア径は4.5μmである。近接7芯光ファイバー端面からは、約650nmのレーザ光が出射されるように調整し、情報の記録再生に用いた。7本の光ファイバー全てから光を出射させなくても良いが、本実施の形態において用いる場合は全て同時に出射させた。図1には図示されていないが、7本のシングルモード光ファイバー15のそれぞれには、図4に示すように約650nm光を発光する半導体レーザからの光が入射するようにした。
【0021】
第2のコリメータレンズ2は、例えば焦点距離26.5mmの非球面レンズを用い、近接7芯光ファイバー端面から出射した約650nmのレーザ光をほぼ平行光にするようにした。
【0022】
第2の光検出器3は、図5に示す形状の7分割フォトダイオードを用い、光ディスク13に記録されている情報を検出することに用いた。
【0023】
第2の集光レンズ4は、光ディスク13から反射してきた光を第2の光検出器3に集光するのに用い、第2のコリメータレンズ2と同じ焦点距離26.5mmの非球面レンズを用いた。第2のコリメータレンズ2の焦点距離は、第2の光検出器3の個々のフォトダイオード間隔に合わせて更に長くしても良い。
【0024】
偏光ミラー5は、ガラス基板上に誘電体薄膜を塗布し、第2の光入射端子1からの650nm光は通過し、光ディスク13からは戻ってきた650nm光は反射する様に設置した。偏光ミラー5の代わりに偏光プリズムを用いても良い。第2の光入射端子1からの650nm光が偏光ミラー5を通過するように、図4に示す半導体レーザの向きを調整し、光フアイバー18の長さも数十mmと短くした。また、偏波面保存ファイバーを用いても良い。
【0025】
図4は、第2の光入射端子1と650nmの光を発光する半導体レーザとの関係を模式的に示したものである。図4において、7個のレーザ光源16から照射された各レーザ光は、7個の結合レンズ17によりそれぞれ結合され、7本のシングルモード光ファイバー18のそれぞれに入射する。上述したように、7本のシングルモード光ファイバー18を束ねて光ファイバーフェルール14が形成されている。
【0026】
上述の光ファイバーフェルール14は、クラッド径125μmのシングルモード光ファイバー18のクラッドをエッチングで約40μmに細くし、7本が細密に近接して束ねてある。また、光の出射端面は同一平面になるように研磨してある。レーザ光源16は、650nm光を発光する半導体レーザであり、出力200mWのものを用いた。結合レンズ17は、非球面レンズであり、半導体レーザ16から出射した光がシングルモード光ファイバー18に効率よく入射するように調整した。シングルモード光フアイバー18は、NA約0.1、コア径約4.5μm、クラッド径約125ミクロン、長さは数十mmである。シングルモード光フアイバー18は、光ファイバーフェルール14の部分では、クラッド径をエッチングによって40μmに細くして用いた。
【0027】
1/4波長板6は、第2の光入射端子1からの650nm光を円偏光にし、光ディスク13からは戻ってきた650nm光の偏向面を90度回転させるために設置した。
【0028】
ダイクロイックミラー7は、650nm光は通過し、第1のレーザ光源10からの780nm光を反射させるために設置した。
【0029】
第1のコリメータレンズ8は、第1のレーザ光源10からの780nm光をほぼ平行光にし、光ディスク13から戻ってきた780nm光を第1の光検出器11に集光する。
【0030】
第1の回折格子9は、光ディスク13から戻ってきた780nm光を第1の光検出器11方向に回折させる。もちろん第1のレーザ光源10からの780nm光も回折するが、0次光回折光を光ディスク13に入射させるようにし、光ディスク13から戻ってきた780nm光は1次光回折光を利用して第1の光検出器11に入射させた。
【0031】
第1のレーザ光源10は、780nmの波長を発光し、フォーカス及びトラッキングの制御信号又はフォーカス及びトラッキングの制御信号と光ディスクからの情報を検出するために用いた。
【0032】
第1の光検出器11は、よく知られている4分割フォトダイオードであり、よく知られている方法でフォーカス及びトラッキングの制御信号又はフォーカス及びトラッキングの制御信号と光ディスクからの情報を検出する。
【0033】
対物レンズ12は、開口数NAが約0.6、焦点距離が約1.5のレンズであり、第2の光入射端子1から及び第1のレーザ光源10からの光を光ディスク13上に集光させる。
【0034】
用いた光ディスク13は、DVD規格のディスクとCD規格のディスクである。情報の記録再生の場合はDVD規格のディスクを用い、再生のみの場合はDVD規格とCD規格の両方のディスクを用いた。
【0035】
CDディスクの再生の場合には、第1のレーザ光源からの光のみが使用され、第1の光検出器で光ディスク13からの情報を検出し、図示されていない情報処理装置で必要な情報に処理して用いた。
【0036】
DVDディスクの記録再生の場合は、光ディスク10上で、第1のレーザ光源10からの光スポットと、第2の光入射端子1の近接7芯光ファイバー端面の真ん中から出射した光スポットとが同じ所に集光するようにした。フォーカスとトラッキング制御は、第1のレーザ光源10からの光を用い、第1の光検出器11で検出し制御するようにした。情報の記録再生は、第2の光入射端子1からの光を用い、第2の光検出器3で情報を検出した。
【0037】
また、光ディスク13として例えばDVDディスクのトラックと第2の光入射端子1からの7ヶの光スポットとの関係が図6cに示すような関係になるように、第2の光入射端子1の7本のシングルモード光ファイバーの位置を調整した。図6は、光ディスクのトラック20と第2の光入射端子1からの光の光スポット21との関係を示す。図6aの線は、光ディスクのトラック20を模式的に示したものであり、グループ又はランド或いはピット列であり、トラックピッチはDVD−RAMディスク以外は0.74μmである。図6bは、第2の光入射端子1からの光の光ディスク上でのスポット21を示し、隣接のスポットとの間隔ωμmは、第2の光入射端子1のシングルモード光ファイバー7本のコアー間隔40μmと、第2のコリメータレンズ2と対物レンズ12による縮小倍率1/mとの積であり、次のように与えられる。
ω=40/m・・・・・・・・・・・・・・式1
7つの光スポットがそれぞれ隣接した7つのトラックに入射するためには、図6cに示すように光ディスク12のトラックと、7つの光スポットの中心のスポットを含んだ3つのスポットを結んだ直線とがなす角度をθとすると、次の関係が成立必要がある。なお、トラックピッチをpとする。
ω*sin(θ)=p・・・・・・・・・・式2
ω*sin(60+θ)=3*p・・・・・・式3
ω*sin(60−θ)=2*p・・・・・・式4
式2〜式4より、次のようになる。
2*ω*sin(60)cos(θ)=5*ω*sin(θ)・・・式5
式5より
tan(θ)=0.4*sin(60)
∴ θ≒19.1度
式2より
ω≒3.06*p・・・・・・・・・・・・・式6
DVDのトラックピッチp=0.74μmを入れると、隣接のスポットとの間隔ωは次のようになる。
ω≒2.26μm
式1より
m≒17.7倍
本実施の形態の場合、第2のコリメータレンズ2の焦点距離26.5mm、対物レンズの焦点距離は1.5mmであり、第2の光入射端子1のシングルモード光ファイバー7本のコア間隔40μmを、隣接のスポットとの間隔2.26μmにし、上記倍率mを満足している。
【0038】
(第2の実施の形態)
図2に本発明の第2の実施の形態の概略構成例を示す。本発明の第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同じ光学部材については、同一の番号を付けた。
【0039】
第1の実施の形態との違いは、第2の光入射端子1からの光と光ディスク13から戻ってきた光との分離を、第2の回折格子40で行うようにしたことである。これ以外は同じである。
【0040】
図2において、回折格子40は、第1の回折格子9と同様、光ディスク13から戻ってきた650nm光を第2の光検出器3方向に回折させる。もちろん第2の光入射端子1からの650nm光も回折するが、0次光回折光を光ディスク13に入射させるようにし、光ディスク13から戻ってきた650nm光は1次光回折光を利用して第2の光検出器3に入射させた。
【0041】
第1の実施の形態、第2の実施の形態でも、端面近接多芯光ファイバーとして7芯光ファイバーを用いたが、7芯に限らず3芯でも或いはその他でも構わない。
【0042】
また、用いるディスクとして、CDとDVDディスクについて述べたが、これ以外のディスクでも良いことは言うまでもない。例えば、DVDとブルーレイデイスクである。この場合は、第1のレーザ光源10としては約650nmの半導体レーザ、第2の光入射端子1から出射する光としては約405nmを用いる。
【0043】
第1の実施の形態、第2の実施の形態の7芯光ファイバーを用いたピックアップ装置によれば、従来の一本のレーザ光を用いた記録再生に比べ7倍の高速で情報の記録再生を行うことができる。
【0044】
[情報記録再生装置]
(第3の実施の形態)
本発明の実施の形態が適用可能な情報記録再生装置(光ディスク装置)の構成の一例を示す。
【0045】
図7に示すように、情報記録再生装置、すなわち光ディスク装置100は、上述した第1の実施の形態または第2の実施の形態における光ピックアップ装置50から出射されるレーザ光を、記録媒体すなわち光ディスク13の情報記録層に集光することにより、光ディスク13に情報を記録し、また光ディスク13から情報を再生できる。なお、光ピックアップ装置50については上段にて詳細に説明したので、ここでは省略する。
【0046】
光ディスク13は、図示しないディスクモータの図示しないターンテーブルに支持され、ディスクモータが所定の回転数で回転されることにより、所定の速度で回転される。
【0047】
光ピックアップ装置50は、図示しないピックアップ送り用モータにより情報の記録または再生もしくは消去の各動作時のそれぞれにおいて、光ディスク13の径方向に、所定の速度で移動される。
【0048】
光ピックアップ装置50内の第1の光検出器11および第2の光検出器3(図1,2)により検出された信号は、後段に設けられる信号処理部である記録信号処置回路60において、情報の再生に用いられるデータ信号に、利用可能に処理される。また、第1の光検出器11および第2の光検出器3(いずれも図1に示す)からの出力は、対物レンズ12(図1,2)の位置を、光ディスク13の記録面に対して所定の位置関係に位置させるための制御信号、すなわちフォーカス制御コイルにフォーカス制御信号を供給するために利用されるフォーカスエラー信号ならびにトラッキング制御コイルにトラッキング制御信号を供給するために利用されるトラックエラー信号等に、利用可能に処理される。
【0049】
第2のレーザ光による情報の記録再生は複数(例えば7本)のトラックで同時に行うので、トラックが同心円又は1本のスパイラルの場合は、トラック送りは1回転毎に複数トラックジャンプして送る必要がある。よって信号処理は、ディスクの回転が内周から外周まで同じCAV方式又はディスク径のあるゾーン内では回転が同じで回転の異なる複数のゾーンを設けたMCAV方式の方が、内周から外周まで回転数が一定なCLV方式の場合より容易である。勿論、CLV方式でも第2のレーザ光の数だけのスパイラルトラックを設けた場合は、トラック送りは連続して行える。
【0050】
光ディスク13から反射したレーザ光は、光ピックアップ装置50の第1の光検出器11および第2の光検出器3で電気信号として検出される。第1の光検出器11および第2の光検出器3の出力信号は、プリアンプ52で増幅され、コントローラ(レンズ位置制御量設定装置(主制御装置))70と接続されたサーボ回路(レンズ位置制御装置)54、RF信号処理回路(出力信号処理回路)62、およびアドレス信号処理回路64に出力される。
【0051】
サーボ回路54では、光ピックアップ装置50内に支持されている対物レンズ12(図1)のフォーカスサーボ(対物レンズの焦点位置に対する光ディスクDの記録層と対物レンズとの間の距離の差の制御)信号およびトラッキングサーボ(対物レンズの光ディスクDのトラックを横切る方向の位置の制御)信号が生成され、各信号が、それぞれ、光ピックアップ装置50の図示しないフォーカスアクチュエータとトラッキングアクチュエータ(レンズ位置制御機構)とに出力される。
【0052】
RF信号処理回路62では、第1の光検出器11および第2の光検出器3により検出され、再生された信号からユーザーデータや管理情報が取り出され、アドレス信号処理回路64では、アドレス情報、すなわち光ピックアップ装置50の対物レンズが現在対向している光ディスク13のトラックまたはセクタを示す情報が取り出され、コントローラ70に出力される。
【0053】
コントローラ70においては、アドレス情報を元に、所望の位置のユーザーデータ等のデータを読み出すために、あるいは所望の位置にユーザーデータや管理情報を記録するために、光ピックアップ装置50の位置が制御される。
【0054】
光ディスクへの情報の記録時には、コントローラ70の制御により、記録信号処理回路60において、光ディスクへの記録に適した記録波形信号に変調された記録データすなわち記録信号がレーザ駆動回路56に供給される。光ピックアップ装置50の7芯光芯光ファイバーを用いた第2の-光入射端子3(図1,2)からは、レーザ駆動回路56から供給されるレーザ駆動信号に対応して、記録すべき情報に応じて強度が変化されたレーザ光が出力される。これにより、光ディスク13に情報が記録される。
【0055】
[光ピックアップ装置]
(第4の実施の形態)
図8は、本発明の第4の実施形態にかかる概略構成例である。
図8は、第1の実施の形態の図3に該当する光ファイバーフェルール14の変形例であり、横1列にn本並べた光ファイバー18の列を3段に重ねで矩形のフェルール42内に設置したものであり、図3における7本の光ファイバー束を単位として横に並べた構造とみることもできる。結像光学系、信号処理系などは、第1の実施の形態〜第4の実施の形態と全く同一である。これにより記録信号処理速度を、(3n−1)倍に高めることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の光ピックアップ装置及び情報記録再生装置は、記録媒体の情報記録再生を行う分野において有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態の光ピックアップ装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の光ピックアップ装置の概念構成図である。
【図3】端面近接7芯光ファイバーの端面の一例を示す模式図である。
【図4】端面近接7芯光ファイバーと半導体レーザとの接続構成を説明する模式図である。
【図5】本実施の形態における一例の7分割光検出器の構成を説明する図である。
【図6a】光ディスクのトラックの一例の構成を示す図である。
【図6b】光スポットの一例の構成を示す図である。
【図6c】光ディスクのトラックと光スポットとの関係を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の情報記録再生装置の一例の構成を示す概略構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の光ピックアップ装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1 第2の光入射端子、2 第2のコリメートレンズ、3 第2の光検出器、4 第2の集光レンズ、5 偏向ミラー、6 1/4波長板、7 ダイクロミックミラー、8 第1のコリメートレンズ、9 第1の回折格子、10 第1のレーザ光源、11 第1の光検出器、12 対物レンズ、13 光ディスク、14 光ファイバーフェルール、15 光出射ファイバー、16 レーザ光源、17 結合レンズ、18 光ファイバー、40 第2の回折格子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光出射手段と、
第1のレーザ光と異なる波長を有する2本以上の第2のレーザ光を出射する第2のレーザ光出射手段と、
前記第1のレーザ光出射手段と第2のレーザ光出射手段とから出射された2種類の異なる波長の複数のレーザ光を複数のトラックが形成された記録媒体の情報記録面に集光する集光手段と、
前記記録媒体の情報記録面に反射された複数の反射レーザ光を分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された前記複数の反射レーザ光を受光する光検出手段と、を備え、
前記第2のレーザ光出射手段は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上のシングルモード光ファイバーの束であって、かつ、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面は、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され、かつ、前記2本以上のシングルモード光ファイバーが近接されて並列に束ねられ配置された端面近接多芯光ファイバーであり、
前記集光手段は、前記第2のレーザ光のそれぞれは異なるトラック上に入射させ、かつ、第1のレーザ光と第2のレーザ光のうちの1本のレーザ光とを記録媒体の同一のトラック又は前記第2のレーザ光入射トラックの近辺のトラックに入射させ、
前記光検出手段は、第1のレーザ光の反射レーザ光に基づきフォーカス及びトラッキングの制御信号又はフォーカス及びトラッキングの制御信号と光ディスクからの情報を検出する第1の光検出手段と、第2のレーザ光の複数の反射レーザ光に基づき記録媒体に情報を記録又は記録媒体からの情報を検出する第2の光検出手段とを有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ピックアップ装置において、
前記集光手段は、さらに、第1のレーザ光と第2のレーザ光のうちの1本のレーザ光とを記録媒体の同一のトラックに入射させ、かつ、前記第2のレーザ光のうちの他の1本以上のレーザ光は、隣接したトラックのそれぞれ異なるトラック上に入射させることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光出射手段と、第1のレーザ光と異なる波長を有する2本以上の第2のレーザ光を出射する第2のレーザ光出射手段と、前記第1レーザ光出射手段と第2のレーザ光出射手段とから出射された2種類以上の異なる波長の複数のレーザ光を複数のトラックが形成された記録媒体の情報記録面に集光する集光手段と、前記記録媒体の情報記録面に反射された複数の反射レーザ光を分割する分割手段と、前記分割手段により分割された前記複数の反射レーザ光を受光する光検出手段と、を備え、前記第2のレーザ光出射手段は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上のシングルモード光ファイバーの束であって、かつ、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面は、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され、かつ、前記2本以上のシングルモード光ファイバーが近接されて並列に束ねられ配置された端面近接多芯光ファイバーであり、前記集光手段は、前記第2のレーザ光のそれぞれは異なるトラック上に入射させ、かつ、第1のレーザ光と第2のレーザ光のうちの1本のレーザ光とを記録媒体の同一のトラック又は前記第2のレーザ光入射トラックの近辺のトラックに入射させ、前記光検出手段は、第1のレーザ光の反射レーザ光に基づきフォーカス及びトラッキングの制御信号又はフォーカス及びトラッキングの制御信号と光ディスクからの情報を検出する第1の光検出手段と、第2のレーザ光の複数の反射レーザ光に基づき記録媒体に情報を記録又は記録媒体からの情報を検出する第2の光検出手段とを有する光ピックアップ装置と、
前記第1の光検出手段と第2の光検出手段により検出された記録媒体からの反射レーザ光から記録媒体に記録されている情報を取り出す及び記録媒体に記録する情報を送出する信号処理回路と、
前記光ピックアップ装置と前記信号処理回路の動作を制御する制御装置と、を有することを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報記録再生装置において、
前記光ピックアップ装置の前記集光手段は、さらに、第1のレーザ光と第2のレーザ光のうちの1本のレーザ光とを記録媒体の同一のトラックに入射させ、かつ、前記第2のレーザ光のうちの他の1本以上のレーザ光は、隣接したトラックのそれぞれ異なるトラック上に入射させることを特徴とする情報記録再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−217876(P2008−217876A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52080(P2007−52080)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人科学技術振興機構「全光データ配信システムの開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000226932)日星電気株式会社 (98)
【Fターム(参考)】