光ピックアップ装置
【課題】製造コストの低減が図られるベース部材を備えた光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】光ピックアップ装置3のベース部材4は、ベース本体5、第1軸受部および第2軸受部を備えて構成される。光学系部品8が搭載されるベース本体5の一端側に第1軸受部が形成され、他端側に第2軸受部が形成されている。第1軸受は主軸13aに軸支され、第2軸受部は副軸13bに軸支される。第2軸受部は副軸13bにそれぞれ接触する副軸受第1部と副軸受第2部から構成される。副軸受第2部は、副軸受第1部とはスライド方向に位置をずらして形成されている。
【解決手段】光ピックアップ装置3のベース部材4は、ベース本体5、第1軸受部および第2軸受部を備えて構成される。光学系部品8が搭載されるベース本体5の一端側に第1軸受部が形成され、他端側に第2軸受部が形成されている。第1軸受は主軸13aに軸支され、第2軸受部は副軸13bに軸支される。第2軸受部は副軸13bにそれぞれ接触する副軸受第1部と副軸受第2部から構成される。副軸受第2部は、副軸受第1部とはスライド方向に位置をずらして形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ピックアップ装置に関し、特に、光学系部品が搭載されるベース部材を備えた光ピックアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disc)装置などの光ディスク装置には、光ディスクに記録された情報を読み取ったり、光ディスクに情報を書き込んだりするのに光ピックアップ装置が用いられている。図8に示すように、光ピックアップ装置103では、レーザダイオードなどの発光素子、発光素子から発せられた光を光ディスクにまで導くミラーおよびレンズ、光ディスクに照射されて反射した光を受光するフォトダイオードなどの受光素子等を含む一連の光学系部品108が所定のベース部材105に搭載されている。そのベース部材105はガイドレール113(主軸113a、副軸113b)に取付けられて、光ディスク102の径方向(矢印120)にスライド可能とされる。
【0003】
光ディスク装置では、回転する光ディスク102に対して径方向に光ピックアップ装置103をスライドさせながら所定の光を光ディスク102に照射することによって、光ディスク102に情報が書き込まれることになる。また、光ディスク102に照射されて反射した光を受光することによって、光ディスク102に記録された情報が読み取られることになる。
【0004】
次に、光学系部品108が搭載されるベース部材104について詳しく説明する。まず、図9、図10および図11に示すように、ベース部材104は、ベース本体105、第1軸受部106および第2軸受部107を備えて構成される。ベース本体105には光学系部品が搭載される。第1軸受部106はベース本体105の一端側に形成されている。第2軸受部107はベース本体105の他端側に形成されている。ベース部材104のスライド動作を案内するガイドレールとして、主軸113aと副軸113bとがある。第1軸受部106はその主軸113aに軸支され、第2軸受部107は副軸113bに軸支される。
【0005】
第1軸受部106は、主軸113aとの位置精度を確保するために筒状とされる。第2軸受部107は副軸113bにそれぞれ接触する副軸受第1部107aと副軸受第2部107bから構成される。副軸受第1部107aと副軸受第2部107bとの間に副軸113bを挟み込むことで、副軸113bと交差する方向のベース部材105の動きが規制されることになる。また、図12に示すように、副軸受第2部107bは、ベース本体105を裏側に向けた状態で所定の光学系部品をベース本体105に取り付け作業を行なう際に、ベース本体105を保持する役目も担っている。なお、この場合には、第1軸受部106は、治具としての軸117aに軸支され、第2軸受部107は、軸117bに軸支されることになる。
【0006】
上述したベース部材104は、樹脂を成型することによって形成される。そこで、次に、その成型金型について説明する。図13に示すように、ベース部材を成型する成型金型114は、下金型114a、上金型114b、第1スライドコア114c、第2スライドコア114d、第3スライドコア114eおよび第4スライドコア114fの6つの金型から構成される。下金型114aと上金型114bにより、光学系部品が搭載されるベース本体105の主要部分が成型される。
【0007】
第1スライドコア114cと第2スライドコア114dにより、第1軸受部106が成型される。第3スライドコア114eによりベース本体105の所定の部分が成型される。第4スライドコア114fにより第2軸受部107が成型される。従来の光ピックアップ装置のベース部材104は、上記のような成型金型114を用いて樹脂を成型することによって形成されていた。なお、ベース部材を備えた光ピックアップ装置を開示した文献の一例として特許文献1がある。
【特許文献1】特開2005−259247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、光ディスク装置の低価格化を推進する一環として、製造コストの低減が展開されている。ところが、上述した光ピックアップ装置では、ベース部材を成型する成型金型として、4つのスライドコアを含む6つの金型が必要とされていた。そのため、成型金型のコストが比較的高く、このことが光ピックアップ装置の製造コストの低減を阻害する要因の一つであった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、製造コストの低減が図られるベース部材を備えた光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光ピックアップ装置は、所定の光ディスクに情報を書き込んだり、光ディスクの情報を読み取ったりする光ピックアップ装置であって、ベース本体と主軸受部と副軸受第1部と副軸受第2部とを備えている。ベース本体には所定の光学系部品が搭載される。主軸受部はベース本体の一端側に形成され、光ディスクの径方向に配設される所定の主軸に対し、スライド可能に支持される。副軸受第1部はベース本体の他端側にベース本体から突出するように形成され、主軸と平行に配設される所定の副軸にスライド可能に接触する。副軸受第2部はベース本体の他端側に、ベース本体から突出するとともに副軸受第1部とはスライド方向に位置をずらして形成され、副軸にスライド可能に接触して副軸受第1部とでベース本体のスライド方向と交差する方向の動きを規制する。
【0011】
この構成によれば、副軸受第2部は、副軸受第1部とはスライド方向に位置をずらして形成されている。これにより、ベース部材を成型する金型としては、ベース本体を実質的に成型する上金型と下金型により副軸受部を成型することができ、上金型および下金型とは別の金型のスライドコアによって副軸受部が成型される従来の金型と比べると、そのようなスライドコアが不要になる。その結果、金型のコストを削減することができ、ひいては、光ピックアップ装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
より具体的に、スライドコアを用いずに上金型および下金型により副軸受を成型するには、副軸受第2部は、副軸受第1部に対して、副軸受第1部と副軸受第2部とのスライド方向の位置が一致した状態から副軸受第1部におけるスライド方向の長さの分だけ位置をずらされていることが好ましく、また、副軸受第1部の先端と副軸受第2の先端とは、開放される態様で繋がらないように形成されていることが好ましい。
【0013】
特に、副軸受第2部が、副軸受第1部に対して副軸受第1部のスライド方向の長さの分だけ位置をずらされていることで、ベース本体を副軸により安定に支持させることができる。
【0014】
また、光学系部品は、ベース本体における光ディスク側と光ディスク側とは反対側の双方の側に配設されていてもよい。
【0015】
この場合には、ベース本体における光ディスク側とその反対側とを上方に向けて光学系部品を搭載する際に、副軸受第1部あるいは副軸受第2部によりベース本体が支持された状態で組立て作業を行なうことができる。
【0016】
さらに、ベース部材の主軸に対する位置精度を確保するには、主軸受部は筒状であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置について説明する。図1に示すように、CD(Compact Disc)装置あるいはDVD装置などの光ディスク装置1には、光ディスク2に記録された情報を読み取ったり、光ディスク2に情報を書き込んだりするための光ピックアップ装置3が配設されている。その光ピックアップ装置3では、一連の光学系部品5が所定のベース部材4に搭載されている。そのベース部材4はガイドレール13に取付けられて、光ディスク2の径方向(矢印20)にスライド可能とされる。
【0018】
図2に示すように、ベース部材4に搭載される光学系部品8には、レーザダイオードなどの発光素子9、その発光素子9から発せられた光を光ディスク2にまで導くミラー10およびレンズ11、光ディスク2に照射されて反射した光を受光するフォトダイオードなどの受光素子12等が含まれる。
【0019】
その光学系部品8が搭載されるベース部材4についてさらに詳しく説明する。図3、図4および図5に示すように、ベース部材4は、ベース本体5、第1軸受部6および第2軸受部7を備えて構成される。ベース本体5に光学系部品8(図1参照)が搭載される。第1軸受部6はベース本体5の一端側に形成されている。第2軸受部7はベース本体5の他端側に形成されている。ベース部材4のスライド動作を案内するガイドレール13として、互いに平行に延在する主軸13aと副軸13bとがあり、第1軸受6は主軸13aに軸支され、第2軸受部7は副軸13bに軸支される。
【0020】
第1軸受部6は、主軸13aに対する位置精度を確保するために筒状に形成されている。第2軸受部7は、副軸13bにそれぞれ接触する副軸受第1部7aと副軸受第2部7bから構成される。副軸受第1部7aと副軸受第2部7bは、ベース本体5の他端側にベース本体5から突出し、先端が開放される態様で繋がらないように形成されている。副軸第1部7aは光ディスク2の側から副軸13bにスライド可能に接触し、副軸第2部7bは光ディスク2とは反対の側から副軸13bにスライド可能に接触している(図1参照)。
【0021】
こうして、副軸受第1部7aが副軸13bに対して一方の側から副軸13bに接触し、副軸受第2部7bが他方の側から副軸13bに接触することで、ベース本体5のスライド方向と交差する方向の動きが規制されることになる。なお、光学系部品8の一部はベース本体5の裏側にも搭載される。そのため、図6に示すように、ベース部材4を裏側に向けた状態で光学系部品8をベース部材4に取り付け作業を行なう際には、第2軸受部7に挿通される軸17bに副軸受第2部7bが接触した状態とされる。このため、副軸受第2部7bはベース部材4を保持する役目も担うことになる。
【0022】
本光ピックアップ装置3では、ベース部材4の副軸受第2部7bは、副軸受第1部7aに対してスライド方向に位置をずらして形成されている。特に、このベース部材4では、図4に示すように、副軸受第2部7bは、副軸受第1部7aに対し、副軸受第1部と副軸受第2部とのスライド方向の位置が一致した状態から副軸受第1部のおよそスライド方向の長さWの分だけ位置をずらしたところに形成されている。
【0023】
上述したベース部材4は、樹脂を成型することによって形成される。次に、その成型金型について説明する。図7に示すように、ベース部材を成型する成型金型4は、下金型14a、上金型14b、第1スライドコア14c、第2スライドコア14dおよび第3スライドコア14eの5つの金型から構成される。下金型14aと上金型14bにより、光学系部品が搭載されるベース本体5の主要部分が成型される。第1スライドコア14cと第2スライドコア14dにより、第1軸受部6が成型される。第3スライドコア14eによりベース本体5の一部が成型される。
【0024】
上述した光ピックアップ装置3のベース部材4では、副軸受第2部7は、副軸受第1部7aに対し、副軸受第1部7aと副軸受第2部7bとのスライド方向の位置が一致した状態から副軸受第1部7aのおよそスライド方向の長さの分だけ位置をずらしたところに位置する。これにより、ベース部材4を成型する金型としては、ベース本体5を実質的に成型する上金型14bと下金型14aにより副軸受部7を成型することができ、第4スライドコアによって副軸受部が成型される従来の金型と比べると、そのような第4スライドコアが不要になる。その結果、成型金型14のコストを削減することができ、ひいては、光ピックアップ装置3の製造コストの低減を図ることができる。
【0025】
なお、上述した光ピックアップ装置では、副軸受第2部7は、副軸受第1部7aに対して所定の幅Wの分だけ位置をずらしたところに位置する場合を例に挙げて説明したが、上金型と下金型により第2軸受け部を成型することができれば、この寸法に限られない。
【0026】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置を適用したDVD装置を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態において、光ピックアップ装置における光学系を説明するための図である。
【図3】同実施の形態において、ベース部材を示す斜視図である。
【図4】同実施の形態において、図3に示すベース部材の平面図である。
【図5】同実施の形態において、図3に示すベース部材の側面図である。
【図6】同実施の形態において、図3に示すベース部材の機能を説明するための斜視図である。
【図7】同実施の形態において、図3に示すベース部材を成型するための成型金型を示す分解模式斜視図である。
【図8】従来の光ピックアップ装置に使用されるベース部材を示す斜視図である。
【図9】図8に示すベース部材を示す平面図である。
【図10】図8に示すベース部材の側面図である。
【図11】図8に示すベース部材の機能を説明するための斜視図である。
【図12】図8に示すベース部材の機能を説明するための他の斜視図である。
【図13】図8に示すベース部材を成型するための成型金型を示す分解模式斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 光ディスク装置、2 光ディスク、3 光ピックアップ装置、4 ベース部材、5 ベース本体、6 第1軸受部、7 第2軸受部、7a 副軸受第1部、7b 副軸受第2部、8 光学系部品、9 発光素子、10 ミラー、11 レンズ、12 受光素子、13 ガイドレール、13a 主軸、13b 副軸、14 成型金型、14a 下金型、14b 上金型、14c 第1スライドコア、14d 第2スライドコア、14e 第3スライドコア。
【技術分野】
【0001】
本発明は光ピックアップ装置に関し、特に、光学系部品が搭載されるベース部材を備えた光ピックアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disc)装置などの光ディスク装置には、光ディスクに記録された情報を読み取ったり、光ディスクに情報を書き込んだりするのに光ピックアップ装置が用いられている。図8に示すように、光ピックアップ装置103では、レーザダイオードなどの発光素子、発光素子から発せられた光を光ディスクにまで導くミラーおよびレンズ、光ディスクに照射されて反射した光を受光するフォトダイオードなどの受光素子等を含む一連の光学系部品108が所定のベース部材105に搭載されている。そのベース部材105はガイドレール113(主軸113a、副軸113b)に取付けられて、光ディスク102の径方向(矢印120)にスライド可能とされる。
【0003】
光ディスク装置では、回転する光ディスク102に対して径方向に光ピックアップ装置103をスライドさせながら所定の光を光ディスク102に照射することによって、光ディスク102に情報が書き込まれることになる。また、光ディスク102に照射されて反射した光を受光することによって、光ディスク102に記録された情報が読み取られることになる。
【0004】
次に、光学系部品108が搭載されるベース部材104について詳しく説明する。まず、図9、図10および図11に示すように、ベース部材104は、ベース本体105、第1軸受部106および第2軸受部107を備えて構成される。ベース本体105には光学系部品が搭載される。第1軸受部106はベース本体105の一端側に形成されている。第2軸受部107はベース本体105の他端側に形成されている。ベース部材104のスライド動作を案内するガイドレールとして、主軸113aと副軸113bとがある。第1軸受部106はその主軸113aに軸支され、第2軸受部107は副軸113bに軸支される。
【0005】
第1軸受部106は、主軸113aとの位置精度を確保するために筒状とされる。第2軸受部107は副軸113bにそれぞれ接触する副軸受第1部107aと副軸受第2部107bから構成される。副軸受第1部107aと副軸受第2部107bとの間に副軸113bを挟み込むことで、副軸113bと交差する方向のベース部材105の動きが規制されることになる。また、図12に示すように、副軸受第2部107bは、ベース本体105を裏側に向けた状態で所定の光学系部品をベース本体105に取り付け作業を行なう際に、ベース本体105を保持する役目も担っている。なお、この場合には、第1軸受部106は、治具としての軸117aに軸支され、第2軸受部107は、軸117bに軸支されることになる。
【0006】
上述したベース部材104は、樹脂を成型することによって形成される。そこで、次に、その成型金型について説明する。図13に示すように、ベース部材を成型する成型金型114は、下金型114a、上金型114b、第1スライドコア114c、第2スライドコア114d、第3スライドコア114eおよび第4スライドコア114fの6つの金型から構成される。下金型114aと上金型114bにより、光学系部品が搭載されるベース本体105の主要部分が成型される。
【0007】
第1スライドコア114cと第2スライドコア114dにより、第1軸受部106が成型される。第3スライドコア114eによりベース本体105の所定の部分が成型される。第4スライドコア114fにより第2軸受部107が成型される。従来の光ピックアップ装置のベース部材104は、上記のような成型金型114を用いて樹脂を成型することによって形成されていた。なお、ベース部材を備えた光ピックアップ装置を開示した文献の一例として特許文献1がある。
【特許文献1】特開2005−259247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、光ディスク装置の低価格化を推進する一環として、製造コストの低減が展開されている。ところが、上述した光ピックアップ装置では、ベース部材を成型する成型金型として、4つのスライドコアを含む6つの金型が必要とされていた。そのため、成型金型のコストが比較的高く、このことが光ピックアップ装置の製造コストの低減を阻害する要因の一つであった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、製造コストの低減が図られるベース部材を備えた光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光ピックアップ装置は、所定の光ディスクに情報を書き込んだり、光ディスクの情報を読み取ったりする光ピックアップ装置であって、ベース本体と主軸受部と副軸受第1部と副軸受第2部とを備えている。ベース本体には所定の光学系部品が搭載される。主軸受部はベース本体の一端側に形成され、光ディスクの径方向に配設される所定の主軸に対し、スライド可能に支持される。副軸受第1部はベース本体の他端側にベース本体から突出するように形成され、主軸と平行に配設される所定の副軸にスライド可能に接触する。副軸受第2部はベース本体の他端側に、ベース本体から突出するとともに副軸受第1部とはスライド方向に位置をずらして形成され、副軸にスライド可能に接触して副軸受第1部とでベース本体のスライド方向と交差する方向の動きを規制する。
【0011】
この構成によれば、副軸受第2部は、副軸受第1部とはスライド方向に位置をずらして形成されている。これにより、ベース部材を成型する金型としては、ベース本体を実質的に成型する上金型と下金型により副軸受部を成型することができ、上金型および下金型とは別の金型のスライドコアによって副軸受部が成型される従来の金型と比べると、そのようなスライドコアが不要になる。その結果、金型のコストを削減することができ、ひいては、光ピックアップ装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
より具体的に、スライドコアを用いずに上金型および下金型により副軸受を成型するには、副軸受第2部は、副軸受第1部に対して、副軸受第1部と副軸受第2部とのスライド方向の位置が一致した状態から副軸受第1部におけるスライド方向の長さの分だけ位置をずらされていることが好ましく、また、副軸受第1部の先端と副軸受第2の先端とは、開放される態様で繋がらないように形成されていることが好ましい。
【0013】
特に、副軸受第2部が、副軸受第1部に対して副軸受第1部のスライド方向の長さの分だけ位置をずらされていることで、ベース本体を副軸により安定に支持させることができる。
【0014】
また、光学系部品は、ベース本体における光ディスク側と光ディスク側とは反対側の双方の側に配設されていてもよい。
【0015】
この場合には、ベース本体における光ディスク側とその反対側とを上方に向けて光学系部品を搭載する際に、副軸受第1部あるいは副軸受第2部によりベース本体が支持された状態で組立て作業を行なうことができる。
【0016】
さらに、ベース部材の主軸に対する位置精度を確保するには、主軸受部は筒状であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置について説明する。図1に示すように、CD(Compact Disc)装置あるいはDVD装置などの光ディスク装置1には、光ディスク2に記録された情報を読み取ったり、光ディスク2に情報を書き込んだりするための光ピックアップ装置3が配設されている。その光ピックアップ装置3では、一連の光学系部品5が所定のベース部材4に搭載されている。そのベース部材4はガイドレール13に取付けられて、光ディスク2の径方向(矢印20)にスライド可能とされる。
【0018】
図2に示すように、ベース部材4に搭載される光学系部品8には、レーザダイオードなどの発光素子9、その発光素子9から発せられた光を光ディスク2にまで導くミラー10およびレンズ11、光ディスク2に照射されて反射した光を受光するフォトダイオードなどの受光素子12等が含まれる。
【0019】
その光学系部品8が搭載されるベース部材4についてさらに詳しく説明する。図3、図4および図5に示すように、ベース部材4は、ベース本体5、第1軸受部6および第2軸受部7を備えて構成される。ベース本体5に光学系部品8(図1参照)が搭載される。第1軸受部6はベース本体5の一端側に形成されている。第2軸受部7はベース本体5の他端側に形成されている。ベース部材4のスライド動作を案内するガイドレール13として、互いに平行に延在する主軸13aと副軸13bとがあり、第1軸受6は主軸13aに軸支され、第2軸受部7は副軸13bに軸支される。
【0020】
第1軸受部6は、主軸13aに対する位置精度を確保するために筒状に形成されている。第2軸受部7は、副軸13bにそれぞれ接触する副軸受第1部7aと副軸受第2部7bから構成される。副軸受第1部7aと副軸受第2部7bは、ベース本体5の他端側にベース本体5から突出し、先端が開放される態様で繋がらないように形成されている。副軸第1部7aは光ディスク2の側から副軸13bにスライド可能に接触し、副軸第2部7bは光ディスク2とは反対の側から副軸13bにスライド可能に接触している(図1参照)。
【0021】
こうして、副軸受第1部7aが副軸13bに対して一方の側から副軸13bに接触し、副軸受第2部7bが他方の側から副軸13bに接触することで、ベース本体5のスライド方向と交差する方向の動きが規制されることになる。なお、光学系部品8の一部はベース本体5の裏側にも搭載される。そのため、図6に示すように、ベース部材4を裏側に向けた状態で光学系部品8をベース部材4に取り付け作業を行なう際には、第2軸受部7に挿通される軸17bに副軸受第2部7bが接触した状態とされる。このため、副軸受第2部7bはベース部材4を保持する役目も担うことになる。
【0022】
本光ピックアップ装置3では、ベース部材4の副軸受第2部7bは、副軸受第1部7aに対してスライド方向に位置をずらして形成されている。特に、このベース部材4では、図4に示すように、副軸受第2部7bは、副軸受第1部7aに対し、副軸受第1部と副軸受第2部とのスライド方向の位置が一致した状態から副軸受第1部のおよそスライド方向の長さWの分だけ位置をずらしたところに形成されている。
【0023】
上述したベース部材4は、樹脂を成型することによって形成される。次に、その成型金型について説明する。図7に示すように、ベース部材を成型する成型金型4は、下金型14a、上金型14b、第1スライドコア14c、第2スライドコア14dおよび第3スライドコア14eの5つの金型から構成される。下金型14aと上金型14bにより、光学系部品が搭載されるベース本体5の主要部分が成型される。第1スライドコア14cと第2スライドコア14dにより、第1軸受部6が成型される。第3スライドコア14eによりベース本体5の一部が成型される。
【0024】
上述した光ピックアップ装置3のベース部材4では、副軸受第2部7は、副軸受第1部7aに対し、副軸受第1部7aと副軸受第2部7bとのスライド方向の位置が一致した状態から副軸受第1部7aのおよそスライド方向の長さの分だけ位置をずらしたところに位置する。これにより、ベース部材4を成型する金型としては、ベース本体5を実質的に成型する上金型14bと下金型14aにより副軸受部7を成型することができ、第4スライドコアによって副軸受部が成型される従来の金型と比べると、そのような第4スライドコアが不要になる。その結果、成型金型14のコストを削減することができ、ひいては、光ピックアップ装置3の製造コストの低減を図ることができる。
【0025】
なお、上述した光ピックアップ装置では、副軸受第2部7は、副軸受第1部7aに対して所定の幅Wの分だけ位置をずらしたところに位置する場合を例に挙げて説明したが、上金型と下金型により第2軸受け部を成型することができれば、この寸法に限られない。
【0026】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置を適用したDVD装置を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態において、光ピックアップ装置における光学系を説明するための図である。
【図3】同実施の形態において、ベース部材を示す斜視図である。
【図4】同実施の形態において、図3に示すベース部材の平面図である。
【図5】同実施の形態において、図3に示すベース部材の側面図である。
【図6】同実施の形態において、図3に示すベース部材の機能を説明するための斜視図である。
【図7】同実施の形態において、図3に示すベース部材を成型するための成型金型を示す分解模式斜視図である。
【図8】従来の光ピックアップ装置に使用されるベース部材を示す斜視図である。
【図9】図8に示すベース部材を示す平面図である。
【図10】図8に示すベース部材の側面図である。
【図11】図8に示すベース部材の機能を説明するための斜視図である。
【図12】図8に示すベース部材の機能を説明するための他の斜視図である。
【図13】図8に示すベース部材を成型するための成型金型を示す分解模式斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 光ディスク装置、2 光ディスク、3 光ピックアップ装置、4 ベース部材、5 ベース本体、6 第1軸受部、7 第2軸受部、7a 副軸受第1部、7b 副軸受第2部、8 光学系部品、9 発光素子、10 ミラー、11 レンズ、12 受光素子、13 ガイドレール、13a 主軸、13b 副軸、14 成型金型、14a 下金型、14b 上金型、14c 第1スライドコア、14d 第2スライドコア、14e 第3スライドコア。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の光ディスクに情報を書き込んだり、光ディスクの情報を読み取ったりする光ピックアップ装置であって、
所定の光学系部品が搭載されるベース本体と、
前記ベース本体の一端側に形成され、光ディスクの径方向に配設される所定の主軸にスライド可能に支持される主軸受部と、
前記ベース本体の他端側に前記ベース本体から突出するように形成され、前記主軸と平行に配設される所定の副軸にスライド可能に接触する副軸受第1部と、
前記ベース本体の他端側に、前記ベース本体から突出するとともに前記副軸受第1部とは前記スライド方向に位置をずらして形成され、前記副軸にスライド可能に接触して前記副軸受第1部とで前記ベース本体の前記スライド方向と交差する方向の動きを規制する副軸受第2部と
を備えた、光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記副軸受第2部は、前記副軸受第1部に対して、前記副軸受第1部と前記副軸受第2部との前記スライド方向の位置が一致した状態から前記副軸受第1部における前記スライド方向の長さの分だけ位置をずらされた、請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記副軸受第1部の先端と前記副軸受第2の先端とは、開放される態様で繋がらないように形成された、請求項1または2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記光学系部品は、前記ベース本体における光ディスク側と光ディスク側とは反対側の双方の側に配設された、請求項1〜3のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記主軸受部は筒状である、請求項1〜4のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
【請求項1】
所定の光ディスクに情報を書き込んだり、光ディスクの情報を読み取ったりする光ピックアップ装置であって、
所定の光学系部品が搭載されるベース本体と、
前記ベース本体の一端側に形成され、光ディスクの径方向に配設される所定の主軸にスライド可能に支持される主軸受部と、
前記ベース本体の他端側に前記ベース本体から突出するように形成され、前記主軸と平行に配設される所定の副軸にスライド可能に接触する副軸受第1部と、
前記ベース本体の他端側に、前記ベース本体から突出するとともに前記副軸受第1部とは前記スライド方向に位置をずらして形成され、前記副軸にスライド可能に接触して前記副軸受第1部とで前記ベース本体の前記スライド方向と交差する方向の動きを規制する副軸受第2部と
を備えた、光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記副軸受第2部は、前記副軸受第1部に対して、前記副軸受第1部と前記副軸受第2部との前記スライド方向の位置が一致した状態から前記副軸受第1部における前記スライド方向の長さの分だけ位置をずらされた、請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記副軸受第1部の先端と前記副軸受第2の先端とは、開放される態様で繋がらないように形成された、請求項1または2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記光学系部品は、前記ベース本体における光ディスク側と光ディスク側とは反対側の双方の側に配設された、請求項1〜3のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記主軸受部は筒状である、請求項1〜4のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−299906(P2008−299906A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142127(P2007−142127)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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