説明

光ピックアップ装置

【課題】 基台およびこれに固定される光学部品の製造を単純化することができ、基台に対する光学部品の位置決めおよび固定を、簡単に行うことができる光ピックアップ装置を提供することである。
【解決手段】 複数の突出部18は、基台12の内周部17に設けられ、互いに異なる複数の向きに突出する。複数の向きは、凹所16の内方に向かう。光学部品11は、凹所16に、予め定める方向に挿入して配置される。光学部品11は、外周部19を有し、外周部19は、基台12の内周部17に臨む。外周部19は、前記予め定める方向に見て円形とは異なる形状に形成される。また外周部19は、複数の突出部18によって押圧される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学記録媒体に対して情報の再生、記録、消去および書換えのいずれか1つ以上が行われるときに、光学記録媒体の記録面に光を照射し、かつ記録面において反射する光を受光する光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術に係る光ピックアップ装置として、受光素子を保持する受光素子ホルダと、挿通孔が形成されたスライドベースと、位置調整部材とを含む光学ヘッドが知られている。位置調整部材は、筒状部を有し、光学部品の1つである受光素子ホルダが接着される。筒状部は、基台となるスライドベースの挿通孔に挿入される。スライドベースの挿通孔に位置調整部材の筒状部が挿通された後、位置決めが行われ、位置決め完了の後、筒状部はスライドベースに機械的に係止される。この後、接着剤を配置し、接着剤を固化させることによって筒状部とスライドベースとが固定され、スライドベースに対する受光素子の固定が完了する(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
第2の従来技術に係る光ピックアップ装置として、レーザダイオードを収納したパッケージと、パッケージを支持するためのホルダとを有する発光部が設けられる光ピックアップが知られている。光学部品の1つであるこのパッケージには円筒形の鍔部が形成され、鍔部の外周部には、位置決め凹部が形成される。基台となるホルダには、円形の嵌合孔が貫通して形成され、その内周部に位置決め突起が形成される。位置決め突起の周方向の寸法は、位置決め凹部の周方向の内寸に比べて同一またはわずかに大きく設定される。パッケージの鍔部は、ホルダの嵌合孔に対して、位置決め突起が位置決め凹部に圧入されて、嵌合される(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−59066号公報
【特許文献2】特開2009−158023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の従来技術では、位置調整部材の筒状部をスライドベースの挿入孔に対して挿入する工程と、スライドベースに対して位置調整部材を係止する工程と、位置決めを行う工程と、接着剤を配置する工程と、接着剤を固化させる工程とが必要となり、受光素子をスライドベースに固定する工程が煩雑であるという問題点がある。また接着剤の固化に伴って、受光素子とスライドベースとの互いの位置が変化してしまうおそれがある。
【0006】
第2の従来技術では、ホルダに対するパッケージの位置決めおよび固定を、パッケージの位置決め凹部に対するホルダの位置決め突起の圧入によって行うことができるので、位置決めと固定とを1つの工程で行うことができるけれども、これを可能とするために、パッケージおよびホルダの両方に、圧入が行われる部位を形成する加工が必要となるという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、基台およびこれに固定される光学部品の製造を単純化することができ、基台に対する光学部品の位置決めおよび固定を、簡単に行うことができる光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、凹所が形成される基台であって、
前記凹所を規定する内周部に設けられ、前記凹所の内方に向かう互いに異なる複数の向きに突出する複数の突出部とを有する基台と、
前記凹所に、予め定める方向に挿入して配置される光学部品であって、
前記内周部に臨む外周部を有し、
前記外周部は、前記予め定める方向に見て円形とは異なる形状に形成され、
前記外周部は、前記複数の突出部によって押圧される光学部品とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0009】
また本発明は、前記外周部は、前記複数の突出部に押圧される複数の被押圧部分を有し、
前記外周部の、各被押圧部分とは反対側の各部分には、各被押圧部分が前記各突出部に押圧される向きに垂直な平面状の平坦面が形成されることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、複数の前記平坦面のうちの少なくとも2つは、境界線を介して互いに隣接し、
前記内周部は、前記境界線近傍の前記外周部の角部に対して離隔することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記光学部品は、前記基台に対して、前記予め定める方向のうちの一方に向けて挿入され、
前記基台は、前記光学部品の前記一方への変位を阻止する変位阻止部を有し、
前記変位阻止部には、前記予め定める方向のうち他方に臨み、前記光学部品に接触する変位阻止面が形成されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記光学部品は、
入射する光を受光する受光部と、
基板を含んで形成され、前記受光部に入射する光の光量に応じた出力を行う出力部とをさらに有し、
前記外周部は、前記基板を成す材料よりも軟化温度の低い樹脂から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の突出部は、基台の内周部に設けられ、互いに異なる複数の向きに突出する。複数の向きは、凹所の内方に向かう。光学部品は、凹所に、予め定める方向に挿入して配置される。光学部品は、外周部を有し、外周部は、基台の内周部に臨む。外周部は、前記予め定める方向に見て円形とは異なる形状に形成される。また外周部は、複数の突出部によって押圧される。
【0014】
これによって、光学部品は、その外周部が複数の突出部によって押圧されるので、光学部品を基台に固定することができる。光学部品は非円形の形状に形成され、かつ複数の突出部が光学部品を互いに異なる複数の向きに押圧するので、光学部品の位置決めを行うことができる。また光学部品を圧入によって配置することができるので、基台に対する光学部品の配置、位置決めおよび固定を、簡単に行うことができる。また光学部品は、複数の突出部によって押圧されるので、基台の内周部の一部と光学部品の外周部の一部とを離隔させることができる。したがって、基台の内周部全体に光学部品の外周部全体が接触する場合に比べて、基台に対する光学部品の圧入を容易にすることができる。また光学部品には、基台に対して光学部品の位置決めを行うための部位を形成する必要がないので、光学部品の製造を容易にすることができる。
【0015】
また本発明によれば、外周部は、複数の被押圧部分を有し、複数の被押圧部分は、複数の突出部に押圧される。外周部の、各被押圧部分とは反対側の各部分には、平面状の平坦面が形成される。平面状の平坦面は、各被押圧部分が前記各突出部に押圧される向きに垂直である。これによって、光学部品を、複数の平坦面が基台に接触した状態で配置することが可能となる。したがって、基台に対する光学部品の位置決めを、確実に行うことができる。
【0016】
また本発明によれば、複数の平坦面のうち少なくとも2つは、境界線を介して互いに隣接する。内周部は、境界線近傍の外周部の角部に対して離隔する。これによって、光学部品を所望の位置に配置することができる。仮に内周部に、光学部品の2つの平坦面に対応して、2つの平面状の表面が互いに隣接して形成されると、2つの平面状の表面の境界近傍の隅では、隣接する2つの表面を理想的に形成することができず、これら2つの表面に滑らかに連続する曲面が形成されてしまう。これに対し、2つの平坦面が成す角部近傍において、内周部は角部から離隔して形成されるので、内周部に曲面が形成される場合であっても、光学部品の角部が理想的な位置からずれて配置されることを防止することができる。
【0017】
また本発明によれば、光学部品は、基台に対して、前記予め定める方向のうち一方に向けて挿入される。基台は、変位阻止部を有し、変位阻止部は、光学部品の前記一方への変位を阻止する。変位阻止部には、変位阻止面が形成される。変位阻止面は、前記予め定める方向のうち他方に臨み、変位阻止面が光学部品に接触する。これによって、光学部品が挿入される予め定める方向において、光学部品の位置決めを面接触によって行うことが可能となる。
【0018】
また本発明によれば、光学部品は、受光部と出力部とをさらに有し、受光部は、入射する光を受光する。出力部は、基板を含んで形成され、受光部に入射する光の光量に応じた出力を行う。外周部は、基板を成す材料よりも軟化温度の低い樹脂から成る。これによって、外周部を成す樹脂の軟化温度以上で、かつ光学部品に含まれる基板を成す材料の軟化温度未満の温度で、アニーリングを行うことが可能となる。したがって、基台に形成される突出部を、光学部品の外周部に食い込ませることが可能となり、突出部と外周部との接触面積を大きくすることができる。これによって、基台に対する光学部品の固定を、アニーリングを行わない場合に比べて、機械的に強固にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態における光学部品11および基台12を示す図であり、図1(a)は光学部品11の平面図であり、図1(b)は光学部品11を配置した基台12の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態における基台12の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における基台12を示す図であり、図3(a)は基台12の平面図であり、図3(b)は図3(a)に示す基台12を切断面線S1−S1から見た断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における光ピックアップ装置10の構成を表す図である。
【図5】本発明の一実施形態における基台12および光検出器21を側方から見た断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る光ピックアップ装置10の組立方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。以下の説明は、光ピックアップ装置10、および光ピックアップ装置10の製造方法についての説明をも含む。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態における光学部品11および基台12の平面図である。図1(a)は、光学部品11の平面図であり、図1(b)は、光学部品11を配置した基台12の平面図である。図2は、本発明の一実施形態における基台12の斜視図である。図3は、本発明の一実施形態における基台12を示す図である。図3(a)は基台12の平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示す基台12を切断面線S1−S1から見た断面図である。図4は、本発明の一実施形態における光ピックアップ装置10の構成を表す図である。
【0022】
本実施形態において光ピックアップ装置10は、光学記録媒体13に対して情報の再生、記録、消去および書換えのいずれか1つ以上が行われるときに、光学記録媒体13の記録面に光を照射し、かつ記録面において反射する光を受光する装置である。光学記録媒体13としては、コンパクトディスク(compact disk, 略称「CD」)、デジタルバーサタイルディスク(digital versatile disk, 略称「DVD」)およびブルーレイディスク(blu-ray disk, 略称「BD」:登録商標)などを挙げることができる。
【0023】
光ピックアップ装置10は、基台12と、光学部品11とを含んで構成される。基台12は、凹所16が形成され、内周部17と複数の突出部18とを有する。内周部17は、凹所16を規定する。複数の突出部18は、内周部17に設けられ、互いに異なる複数の向きに突出する。複数の向きは、凹所16の内方に向かう。光学部品11は、凹所16に、予め定める方向に挿入して配置される。光学部品11は、外周部19を有し、外周部19は、基台12の内周部17に臨む。外周部19は、前記予め定める方向に見て円形とは異なる形状に形成される。また外周部19は、複数の突出部18によって押圧される。
【0024】
本実施形態において、光学部品11は、光検出器21であり、光ピックアップ装置10において予め定める位置に、予め定める姿勢で配置される。光ピックアップ装置10は、ハウジング22を含み、ハウジング22は、配線などを除いて光ピックアップ装置10のほとんど全ての部品を一体的に保持する。基台12は、ハウジング22に取付けられ、光検出器21を保持する。基台12は、光検出器21を固定および保持するためのホルダであり、ハウジング22に予め定められた位置に、予め定められた姿勢で取付けられる。これによって、光検出器21は、基台12を介してハウジング22に取付けられる。またこれによって、光検出器21は、光ピックアップ装置10において固定される。本実施形態では、光検出器21の基台12に対する位置調整、および基台12のハウジング22に対する位置調整は、必要ない。
【0025】
光学記録媒体13には、その記録面に垂直な方向に進行する光線束が照射される。光ピックアップ装置10に対して配置された光学記録媒体13の、記録面に垂直な方向を「照射方向」(X)と称すると、図4(a)は、光ピックアップ装置10を照射方向Xに見たときの、光ピックアップ装置10の構成を表す図である。図4(b)は、光ピックアップ装置10を照射方向Xに垂直な方向に見たときの、光ピックアップ装置10の構成を表す図である。
【0026】
図4(a)および図4(b)に示すように、光ピックアップ装置10は、光源24と、ビームスプリッタ26と、コリメートレンズ27と、立上げミラー28と、対物レンズ32とをさらに含んで構成される。光源24は、半導体レーザー素子を含んで実現され、光を出射する。光源24から出射された直後の光線束は発散光である。ビームスプリッタ26は、光源24側から入射する光を透過させ、コリメートレンズ27に進行させる。光源24、ビームスプリッタ26、およびコリメートレンズ27は、光源24から出射される光線束の光軸L1に沿って並んで配置される。
【0027】
光源24から発せられる光の光軸方向を「出射方向」(Y)と称すると、図4(a)および図4(b)は、いずれも光ピックアップ装置10を出射方向Yに垂直な向きに見た図である。コリメートレンズ27は、ビームスプリッタ26を介して光源24側から入射する発散光を、平行光とし、立上げミラー28に入射させる。発散光は、正の発散角を有する。
【0028】
立上げミラー28は、コリメートレンズ27を介して光源24側から入射した光線束を反射させ、入射する光線束の進行方向を変更し、平行光のまま、対物レンズ32に進行させる。対物レンズ32は、立上げミラー28において反射して入射する平行光を、光学記録媒体13の記録面に集光する。光源24から発せられ、光学記録媒体13の記録面に到達するまでの光線束を「往路光」(33)と称する。光学記録媒体13に到達し、その記録面において反射した後の光を「復路光」(34)と称する。
【0029】
復路光34は、少なくともコリメートレンズ27までは、往路光33と同じ光路を、往路光33とは逆の向きに進行する。コリメートレンズ27に平行光として入射した復路光34は、収束光としてビームスプリッタ26に入射する。収束光は、負の発散角を有する。ビームスプリッタ26に入射した復路光34は、反射することによって光検出器21に向けて進行し、光検出器21に入射する。光ピックアップ装置10には、これらの各部品の他にも、たとえばλ/4波長板、ホログラム回折素子などをさらに含んで構成されてもよい。また、光源24から光学記録媒体13までの光路を規定することができるならば、光路途中に配置される各部品の位置は、この通りである必要はなく、配置位置の変更は可能である。
【0030】
光学部品11は、受光部36と出力部とをさらに有し、受光部36は、入射する光を受光する。出力部は、受光部36に入射する光の光量に応じた出力を行う。本実施形態において光検出器21に含まれる受光部36には、平面状の受光面が形成され、受光面は複数の受光領域を含む。図1(a)に示すように、受光面は、光検出器21のうち中央の一部に配置される。光検出器21は、各受光領域に入射した光の光量に応じて、複数の出力値の出力を行う。この受光面に垂直な方向は、照射方向Xと出射方向Yとに垂直な方向である。この受光面に垂直な方向を「受光方向」(Z)と称すると、図4(b)は、光ピックアップ装置10を受光方向Zに見た図である。
【0031】
ビームスプリッタ26において反射して光検出器21に向かう復路光34の光軸方向は、受光方向Zに対して平行でなく角度を成してもよいけれども、本実施形態では、ビームスプリッタ26から光検出器21に向かう光線束は受光方向Zに進行する。光検出器21は、基台12に対して配置された状態において受光方向Zに見ると、矩形に形成される。光検出器21は、直方体に形成され、受光方向Zにおける厚み寸法は、他の方向における寸法よりも小さく設定される。つまり光検出器21は、受光方向Zに見て矩形の、平板状の部材である。
【0032】
基台12は、大略的に平板状に形成され、厚み方向を受光方向Zに一致させて配置される。基台12は、受光方向Zに見て外形が長方形に形成され、中央に凹所16が形成される。光検出器21が基台12に配置されるときには、基台12の凹所16に予め定める方向に移動して挿入される。この予め定める方向は、受光方向Zに一致する。光検出器21が配置されるときに基台12に対して移動する向きを、受光方向一方Z1とする。すなわち、基台12に対して光検出器21が受光方向一方Z1に移動すれば移動するほど、光検出器21の基台12に対する位置は、凹所16において深い位置に配置される。
【0033】
基台12に形成される凹所16のうち、基台12の受光方向一方Z1の形状と、受光方向他方Z2の形状とは、互いに異なる。凹所16のうち、受光方向他方Z2の形状は、受光方向Zに見て大略的には矩形に形成される。光検出器21のうち受光方向一方Z1の一部は、凹所16のうち受光方向他方Z2の空間に配置される。矩形に形成される、この受光方向他方Z2の空間を、「受光方向他方空間」(39)と称する。
【0034】
受光方向他方空間39は、受光方向Zに見ておよそ矩形の形状に形成され、およそそれぞれの辺を形成する部分を、第1〜第4辺部分41〜44と称する。第1辺部分41は、第3辺部分43と対向し、第2辺部分42は、第4辺部分44に対向する。図1に示すように、第1辺部分41を上方、第3辺部分43を下方に配置し、基台12を受光方向一方Z1に見たときに、第2辺部分42は、左方に、第4辺部分44は右方に配置される。
【0035】
第1辺部分41からは第3辺部分43に向かって突出する突出部18が形成される。第1辺部分41が長く延びる方向を「第1方向」(W1)と称し、第2辺部が長く延びる方向を「第2方向」(W2)と称すると、第1辺部分41における突出部18は、第1辺部分41の第1方向W1およそ中央部から、第2方向W2に突出する。第1辺部分41に設けられる突出部18を「第1突出部」(46)と称することがある。第2辺部分42からは、第4辺部分44に向かって突出する突出部18が形成される。第2辺部分42における突出部18は、第2辺部分42の第2方向W2およそ中央部から、第1方向W1に突出する。第2辺部分42に設けられる突出部18を「第2突出部」(48)と称することがある。
【0036】
第1辺部分41の第1方向W1の寸法は、およそ3mmであり、第2辺部分42の第2方向W2の寸法も、およそ3mmである。第1突出部46の第2方向W2の寸法、すなわち突出量は、およそ100μmに設定される。第2突出部48の第1方向W1の寸法、すなわち突出量は、およそ100μmに設定される。第1突出部46の第1方向W1の寸法、すなわち幅寸法は、およそ300μmに設定され、第2突出部48の第2方向W2の寸法、すなわち幅寸法は、300μmに設定される。
【0037】
外周部19は、複数の被押圧部分49を有し、複数の被押圧部分49は、複数の突出部18に押圧される。外周部19の、各被押圧部分49とは反対側の各部分には、平面状の平坦面51が形成される。平面状の平坦面51は、各被押圧部分49が各突出部18に押圧される向きに垂直である。複数の平坦面51のうち少なくとも2つは、境界線を介して互いに隣接する。内周部17は、境界線近傍の外周部19の角部に対して離隔する。図2では、内周部17のうち、光検出器21の平坦面51に接触する部分に斜線を付して示している。
【0038】
第3辺部分43の第1方向W1両方の端を除く中間部分には、第2方向W2に垂直な平坦面51が形成され、第4辺部分44の第2方向W2両方の端を除く中間部分には、第1方向W1に垂直な平坦面51が形成される。光検出器21は、第1突出部46と、第3辺部分43の平坦部とに挟持され、基台12に対する第2方向W2への相対的な変位が阻止される。また光検出器21は、第2突出部48と第4辺部分44の平坦部とに挟持され、基台12に対する第1方向W1への相対的な変位が阻止される。
【0039】
したがって、光検出器21は、基台12に対してしまり嵌めによって固定され、光検出部を基台12の凹所16に配置するときには、光検出部は、受光方向一方Z1に、圧入によって挿入して配置される。またこれらの挟持によって、光検出部の基台12に対する相対的な角変位も、いずれの方向の軸線まわりの角変位についても阻止されている。第1辺部分41の近傍には、光検出器21の外周部19の一部が近接して配置されるけれども、第1突出部46が光検出器21に接触するので、第1辺部分41は、光検出器21の外周部19からは、わずかに離隔している。また第2辺部分42の近傍には、光検出器21の外周部19の一部が近接して配置されるけれども、第2突出部48が光検出器21に接触するので、第2辺部分42は、光検出器21の外周部19からは、わずかに離隔している。
【0040】
第3辺部分43の平坦面51および第4辺部分44の平坦面51は、光検出器21の外周部19に接触して配置される。これに対し、第3辺部分43の受光方向他方空間39を規定する内周部17のうち、第1方向W1両端近傍の一部は、凹所16に配置される光検出器21の外周部19から離隔する。すなわち、第2辺部分42と第3辺部分43とに挟まれる隅の空間を第3辺部分43側から規定する表面は、第3辺部分43に形成される平坦面51よりも、第2方向W2のうち第3辺部分43に向かう向きに、わずかに引っ込んで形成される。また第3辺部分43と第4辺部分44とに挟まれる隅の空間を第3辺部分43側から規定する表面は、第3辺部分43に形成される平坦面51よりも、第2方向W2のうち第3辺部分43に向かう向きに、わずかに引っ込んで形成される。
【0041】
また第4辺部分44の受光方向他方空間39を規定する内周部17のうち、第2方向W2両端近傍の一部は、凹所16に配置される光検出器21の外周部19から離隔する。すなわち、第1辺部分41と第4辺部分44とに挟まれる隅の空間を第4辺部分44側から規定する表面は、第4辺部分44に形成される平坦面51よりも、第1方向W1のうち第4辺部分44に向かう向きに、わずかに引っ込んで形成される。また第3辺部分43と第4辺部分44とに挟まれる隅の空間を第4辺部分44側から規定する表面は、第4辺部分44に形成される平坦面51よりも、第1方向W1のうち第4辺部分44に向かう向きに、わずかに引っ込んで形成される。
【0042】
これによって、平坦面51と平坦面51とに挟まれる隅の空間を規定する部分は、光検出器21の外周面の角部近傍の一部に対し、受光方向Zに垂直な方向に離隔して配置され、外周面に対して非接触の部分が形成される。基台12における凹所16の隅を成す部分において、たとえば2つの平面が互いに直角を成して隣接する形状である場合、これを打ち抜きによって形成すれば、2つの平面を滑らかに連続する曲面が、隅の内方に形成されてしまう場合が多い。
【0043】
隅の内方に曲面状を成して入り込んだ部分が、基台12に形成されてしまうと、隅に合わせて直角の光検出部の角部を配置させると、理想的に隅に角部を配置することができず、基台12の2つの平面と、光検出部とが離隔してしまう。角部の近傍の隅を、角部から離隔する程度に大きな凹所16として形成することによって、光検出部の平坦面51が基台12の内周部17から離れて配置されることを防止することができる。本実施形態において基台12は、たとえば切削などの手法によって形成することができる。
【0044】
たとえば、他の実施形態において、光検出部の角部に面取りを行うことによって、基台12の凹所16の隅において、角部から離隔できる形状に形成することなく、光検出部を基台12に対して所望の位置に配置することができる。そのような実施形態も可能である。ただし、基台12の隅において基台12の形状を前述のような形状に加工すれば、これによって、光検出部において面取りを行う作業工程を省略することができ、好ましい。
【0045】
光学部品11は、基台12に対して、前記予め定める方向のうち一方、すなわち受光方向一方Z1に向けて挿入される。基台12は、変位阻止部52を有し、変位阻止部52は、光学部品11の受光方向一方Z1への変位を阻止する。変位阻止部52には、変位阻止面54が形成される。変位阻止面54は、受光方向他方Z2に臨み、変位阻止面54が光学部品11に接触する。
【0046】
受光方向他方空間39の一部は、受光方向一方Z1側から変位阻止部52によって規定される。本実施形態において変位阻止部52は、基台12のうち受光方向他方空間39よりも受光方向一方Z1に、複数設けられる。各変位阻止部52は、受光方向他方空間39における隅の空間に臨んで4つ設けられる。すなわち、各変位阻止部52は、第1〜第4辺部分41〜44のうち、隅を挟んで互いに隣接する2つの部分に連なって形成される。各変位阻止部52は、受光方向他方空間39の、受光方向Zの深さを規定し、いずれの変位阻止部52も、同一の深さに形成されている。変位阻止部52が規定するこの深さを「凹所深さ」(D1)と称する。
【0047】
受光方向他方側空間39よりも受光方向一方Z1側の基台12を受光方向Zに見て、変位阻止部52を除く残余の領域には、受光方向Zに貫通する貫通孔が形成される。凹所16よりも受光方向一方Z1側の領域のうち、変位阻止部52を除く残余の領域は、その受光方向Zの深さが凹所深さD1よりも深ければよいけれども、本実施形態のように貫通孔とすることによって、切削による基台12の製造を容易にすることができる。
【0048】
受光方向Zに見て矩形に形成される光検出器21は、基台12に対し、予め定める姿勢で挿入される。すなわち、受光方向一方Z1に向けられる部位は、受光方向他方Z2に向けられる部位とは区別され、第1辺部分41に臨む部分は、第3辺部分43に臨む部分とは区別され、第2辺部分42に臨む部分は、第4辺部分44に臨む部分とは区別される。
【0049】
したがって、第1突出部46によって押圧される被押圧部、第2突出部48によって押圧されるべき被押圧部は、外周部19に、それぞれ予め定められる。外周部19の、第3および第4辺部分43,44に臨む部分は、それぞれ平坦面51として形成され、これらの平坦面51は、境界線を隔てて互いに隣接する。本実施形態では、これらの平坦面51は直角を成して形成される。この直角を成す角部は、第3および第4辺部分43,44からは離隔して配置される。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態における基台12および光検出器21を側方から見た断面図である。基台12の内周部17に臨む光検出部の外周部19は、光検出部のうち受光方向一方Z1の部分であって、樹脂から形成される。光検出部のうち、この受光方向一方Z1の外周部19を除く他の部分、たとえば、受光方向他方Z2の部分は、外表面も含め、必ずしも樹脂製である必要はないけれども、外表面が、たとえば透明な樹脂によって形成されていてもよい。
【0051】
光検出部のうち受光方向一方Z1の、表面部が樹脂製の部分の、受光方向Zの寸法D2は、凹所深さD1以上の寸法に設定される。したがって、光検出部のうち受光方向一方Z1の、表面部が樹脂製の部分が、外周部19に一致してもよいし、外周部19を含み、さらに受光方向Zの寸法が大きく形成されていてもよい。換言すれば、光検出部のうち受光方向他方Z2の一部は、基台12の凹所16から受光方向他方Z2に向けて突出して配置される。
【0052】
出力部は、基板を含んで形成され、外周部19は、基板を成す材料よりも軟化温度の低い樹脂から成る。この、外周部19を含む表面部を成す樹脂は、予め定めるアニーリング温度において軟化する材質である。軟化温度は、70℃以上100℃以下のいずれかの温度に設定され、たとえば80℃に設定される。これに対し、光検出部に含まれる基板は、たとえばエポキシ樹脂から成り、その軟化温度は、100℃よりも高く設定される。
【0053】
図6は、本発明の一実施形態に係る光ピックアップ装置10の組立方法を表すフローチャートである。本処理は、光検出器21、基台12および他の光学部品のそれぞれの製造が終了した状態において開始される。本処理開始後、ステップa1に移行し、光検出器21の基台12への固定を行う。ステップa1では、光検出器21を基台12に圧入することによって、光検出器21の配置および固定が行われる。
【0054】
次に、ステップa2に移行し、光検出器21および基台12を、外周部19を成す樹脂の軟化温度以上の温度で、かつ基板を成す樹脂の軟化温度未満の温度で、アニーリングを行う。これによって、外周部19を成す樹脂が、突出部18に対して食い込み、接着剤を用いなくても安定して光検出部を基台12に固定することができる。
【0055】
ステップa1およびa2の少なくともいずれか一方に並行して、ステップa3を行う。ステップa3では、他の光学部品のハウジング22への固定を行う。ステップa2およびa3の後、ステップa4に移行し、光検出器21が取付けられた基台12を、他の光学部品が取付けられたハウジング22に固定する。これは、たとえばねじ部材によって行われる。その後、本処理を終了する。
【0056】
本実施形態によれば、複数の突出部18は、基台12の内周部17に設けられ、互いに異なる複数の向きに突出する。複数の向きは、凹所16の内方に向かう。光学部品11は、凹所16に、予め定める方向に挿入して配置される。光学部品11は、外周部19を有し、外周部19は、基台12の内周部17に臨む。外周部19は、前記予め定める方向に見て円形とは異なる形状に形成される。また外周部19は、複数の突出部18によって押圧される。
【0057】
これによって、光学部品11は、その外周部19が複数の突出部18によって押圧されるので、光学部品11を基台12に固定することができる。光学部品11は非円形の形状に形成され、かつ複数の突出部18が光学部品11を互いに異なる複数の向きに押圧するので、光学部品11の位置決めを行うことができる。また光学部品11を圧入によって配置することができるので、基台12に対する光学部品11の配置、位置決めおよび固定を、簡単に行うことができる。
【0058】
また光学部品11は、複数の突出部18によって押圧されるので、基台12の内周部17の一部と光学部品11の外周部19の一部とを離隔させることができる。したがって、基台12の内周部17全体に光学部品11の外周部19全体が接触する場合に比べて、基台12に対する光学部品11の圧入を容易にすることができる。また光学部品11には、基台12に対して光学部品11の位置決めを行うための部位を形成する必要がないので、光学部品11の製造を容易にすることができる。
【0059】
また本実施形態によれば、外周部19は、複数の被押圧部分49を有し、複数の被押圧部分49は、複数の突出部18に押圧される。外周部19の、各被押圧部分49とは反対側の各部分には、平面状の平坦面51が形成される。平面状の平坦面51は、各被押圧部分49が各突出部18に押圧される向きに垂直である。これによって、光学部品11を、複数の平坦面51が基台12に接触した状態で配置することが可能となる。したがって、基台12に対する光学部品11の位置決めを、確実に行うことができる。
【0060】
また本実施形態によれば、複数の平坦面51のうち少なくとも2つは、境界線を介して互いに隣接する。内周部17は、境界線近傍の外周部19の角部に対して離隔する。これによって、光学部品11を所望の位置に配置することができる。仮に内周部17に、光学部品11の2つの平坦面51に対応して、2つの平面状の表面が互いに隣接して形成されると、2つの平面状の表面の境界近傍の隅では、隣接する2つの表面を理想的に形成することができず、これら2つの表面に滑らかに連続する曲面が形成されてしまう。これに対し、2つの平坦面51が成す角部近傍において、内周部17は角部から離隔して形成されるので、内周部17に曲面が形成される場合であっても、光学部品11の角部が理想的な位置からずれて配置されることを防止することができる。
【0061】
また本実施形態によれば、光学部品11は、基台12に対して、前記予め定める方向のうち一方、すなわち受光方向一方Z1に向けて挿入される。基台12は、変位阻止部52を有し、変位阻止部52は、光学部品11の受光方向一方Z1への変位を阻止する。変位阻止部52には、変位阻止面54が形成される。変位阻止面54は、受光方向他方Z2に臨み、変位阻止面54が光学部品11に接触する。これによって、光学部品11が挿入される予め定める受光方向Zにおいて、光学部品11の位置決めを面接触によって行うことが可能となる。
【0062】
また本実施形態によれば、光学部品11は、受光部36と出力部とをさらに有し、受光部36は、入射する光を受光する。出力部は、基板を含んで形成され、受光部36に入射する光の受光量に応じた検出信号の出力を行う。外周部19は、基板を成す材料よりも軟化温度の低い樹脂から成る。これによって、外周部19を成す樹脂の軟化温度以上で、かつ光学部品11に含まれる基板を成す材料の軟化温度未満の温度で、アニーリングを行うことが可能となる。
【0063】
したがって、基台12に形成される突出部18を、光学部品11の外周部19に食い込ませることが可能となり、突出部18と外周部19との接触面積を大きくすることができる。これによって、光学部品11と基台12とを接着剤によって接着しなくても、基台12に対する光学部品11の固定を強固に行うことができる。したがって、接着剤の塗布、位置決め、接着剤の固化にかかる作業工程を省略することができ、光ピックアップ装置10の組立作業の効率化を図ることができる。
【0064】
前述の実施形態では、光学部品11は、光検出器21であるものとしたけれども、光学部品11は、光検出器21に限定するものではない。光ピックアップ装置10において光学部品11は、ハウジング22に固定して取付けられる他の光学部品であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 光ピックアップ装置
11 光学部品
12 基台
13 光学記録媒体
16 凹所
17 内周部
18 突出部
19 外周部
21 光検出器
22 ハウジング
36 受光部
49 被押圧部分
51 平坦面
52 変位阻止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹所が形成される基台であって、前記凹所を規定する内周部に設けられ、前記凹所の内方に向かう互いに異なる複数の向きに突出する複数の突出部とを有する基台と、
前記凹所に、予め定める方向に挿入して配置される光学部品であって、
前記内周部に臨む外周部を有し、
前記外周部は、前記予め定める方向に見て円形とは異なる形状に形成され、
前記外周部は、前記複数の突出部によって押圧される光学部品とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記外周部は、前記複数の突出部に押圧される複数の被押圧部分を有し、
前記外周部の、各被押圧部分とは反対側の各部分には、各被押圧部分が前記各突出部に押圧される向きに垂直な平面状の平坦面が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
複数の前記平坦面のうちの少なくとも2つは、境界線を介して互いに隣接し、
前記内周部は、前記境界線近傍の前記外周部の角部に対して離隔することを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記光学部品は、前記基台に対して、前記予め定める方向のうちの一方に向けて挿入され、
前記基台は、前記光学部品の前記一方への変位を阻止する変位阻止部を有し、
前記変位阻止部には、前記予め定める方向のうち他方に臨み、前記光学部品に接触する変位阻止面が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記光学部品は、
入射する光を受光する受光部と、
基板を含んで形成され、前記受光部に入射する光の光量に応じた出力を行う出力部とをさらに有し、
前記外周部は、前記基板を成す材料よりも軟化温度の低い樹脂から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−9093(P2012−9093A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141982(P2010−141982)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】