説明

光ピックアップ

【課題】光学ベースの上面とアクチュエータユニットのベース部材との間に確保されている隙間空間に埃が侵入することを防止する。
【解決手段】アクチュエータユニット10は、光学アクチュエータ20が取り付けられたベース部材11にカバー30が装着されてなる。光学ベース50に、アクチュエータユニット10が隙間空間Sを保持した状態で取り付けられている。カバー30の側板部33,34と光学ベース50側の相手面64とによって遮蔽機構60が形成されている。遮蔽機構60は、カバー30の側板部33,34を隙間空間Sに臨む位置まで延長することにより当該側板部33,34に具備された延長片部62と、相手面64とによって形成されている。相手面64は、延長片部62が挿入された溝形部63の内壁面によって形成することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ、特に、光学ベースとその光学ベースに取り付けられたアクチュエータユニットのベース部材との間に形成された隙間空間に、微細な埃が侵入することを防ぐための対策が講じられた光ピックアップに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体であるディスクの記録面を光学的に走査する機能を備えた光ピックアップは、発光素子や受光素子、ミラー、その他の光学部品が組み付けられた光学ベースに、対物レンズや電磁駆動手段を備えた光学アクチュエータを取り付けることによって構成されている。
【0003】
この種の光ピックアップに採用されている光学アクチュエータにおいて、対物レンズが装着されているレンズホルダーは、上記の電磁駆動手段の作用によって、フォーカス方向やトラッキング方向などの多方向に変位可能にベース部材に取り付けられている。レンズホルダーを多方向変位可能にベース部材に取り付けるための構成としては、たとえば、ベース部材側に固定した配線基板から片持ち状に延び出させた複数本のワイヤーの端部にレンズホルダーを取り付ける、といった手段が多々採用されている。また、光学アクチュエータは、上記の電磁駆動手段を形成しているコイル類を備えている。そして、このような光学アクチュエータを、ベース部材に固着したカバーによって覆っておくと、そのカバーによって、光学アクチュエータの構成部品を防塵したり保護したりすることが可能になるという利点や、レンズホルダーの変位範囲を規制したりすることのできる利点がある。そこで、ある種の光ピックアップでは、光学アクチュエータを覆い、かつ、対物レンズに臨む開口を備えたカバーをベース部材に装着してなるアクチュエータユニットを、光学ベースに取り付けることが行われている。
【0004】
光ピックアップでは、発光素子から出射された光ビームが、光学ベースに組み付けられた上記の光学部品によって形成される所定の光路を通過し、光学アクチュエータの対物レンズの作用でディスクの記録面に集光される。また、ディスクの記録面からの戻り光ビームが、対物レンズを通過し、上記の光学部品によって形成される所定の光路を通過して受光素子により受光される。このような光ピックアップの光学的処理性能を向上させるためには、ディスクの記録面に対して光学アクチュエータの対物レンズの光軸を垂直に定めておくことが有益であるとされている。このことにより、光学アクチュエータを備える上記アクチュエータユニットを光学ベースに取り付ける工程では、そのアクチュエータユニットを光学ベースから少し浮き上がらせた状態でその傾き調整が行われる。
【0005】
図9は従来例としての光ピックアップに採用されているアクチュエータユニット10を例示した概略斜視図、図10は従来例としての光ピックアップの要部を例示した概略斜視図である。
【0006】
図9のアクチュエータユニット10において、ベース部材11は金属製の平板に、所定の曲げ加工や打抜き加工を行うことによって形成されている。このベース部材11には、光学アクチュエータ20がフォーカス方向及びトラッキング方向などの多方向に変位可能に取り付けられている。光学アクチュエータ20を覆っているカバー30は板金製であり、光学アクチュエータ20のレンズホルダー21に装着された対物レンズ22に臨む開口32を備えた天板部31と、この天板部31の両側に屈曲形成された前後の側板部33,34と、天板部31の一端側に屈曲形成された取付け片部35とを備えている。そして、側板部33,34の端縁部の所定箇所がベース部材11の前後の側端面12(後側の側端面13については図11参照)に固定されていると共に、上記取付け片部35が、ベース部材11に形成された立上り部14に固定されている。
【0007】
このアクチュエータユニット10において、カバー30は、光学アクチュエータ20を防塵することに役立っているほか、光学アクチュエータ20のレンズホルダー21の変位時の上限位置を規制することにも役立っている。
【0008】
図10のように、アクチュエータユニット10は、光学ベース50の略平坦な上面51の所定位置に取り付けられる。取り付けには、接着剤52による接合方法やその他の公知の取付け方法が採用される。光ピックアップによるディスクの記録面の光学的走査モードでは、光学ベース50がディスクの半径方向に走行される。
【0009】
図11は光学ベース50とその光学ベース50に取り付けられたアクチュエータユニット10との位置関係を説明的に示した概略垂直断面図である。冒頭で説明したように、光学ベース50にアクチュエータユニット10を取り付ける工程では、アクチュエータユニット10を光学ベース50から少し浮き上がらせた状態でその傾き調整が行われる。すなわち、傾き調整は、図11に示した対物レンズ22の光軸Lを、たとえば矢印Mのように任意方向に振る作業を通じて行われ、そのような傾き調整を行った後に、アクチュエータユニット10が、光学ベース50の上面51に、図10に示した接着剤52による接合方法などを採用して固定される。したがって、光学ベース50の上面51とアクチュエータユニット10のベース部材11との相互間には、上記の傾き調整を行う際に利用された隙間空間がそのまま残る。図10及び図11には、この隙間空間を符号Sで示してある。
【0010】
一方、ベース部材に、光学アクチュエータを覆うカバーを取り付けることは従来より公知である(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。そして、ここで掲げた特許文献1には、カバーの側面と光学ベースとの隙間を光軸調整に利用すること、その隙間からこの埃の侵入を防止すること、などについての記述がなされている。また、特許文献2には、カバーがレンズホルダーの上限位置を規制する作用を発揮することについての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−232678号公報(0004,0005,図2,図3)
【特許文献2】特開2005−196939号公報
【特許文献3】特開平9−97441号公報
【特許文献4】特許第3930753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
冒頭で説明した従来例としての光ピックアップのように、光学ベース50の上面51とその上面51に取り付けられたアクチュエータユニット10のベース部材11との間に、傾き調整のために利用された隙間空間Sがそのまま残っていると、図11に矢印Wによって例示したように、その隙間空間Sに微細な埃が侵入し、その埃が光学ベース50に形成されている光通過孔53を経てその光学ベース50に組み付けられているミラーなどの光学部品54に付着して信号を劣化させてしまうおそれがあるという問題があった。この問題は、上掲の特許文献1〜4によって提案されている技術によっては到底解決することができない。
【0013】
本発明は、以上の問題を改善するためになされたものであり、余分な部品を追加することなく、アクチュエータユニットのカバー又は光学ベースのうちの両方の構成、又は、それらのうちの光学ベースの構成を局部的に変更するだけで、光学ベースの上面とアクチュエータユニットのベース部材との間に確保されている隙間空間に埃が侵入することを防止することが可能な光ピックアップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る光ピックアップは、対物レンズを有する光学アクチュエータが取り付けられたベース部材に、上記光学アクチュエータを覆いかつ上記対物レンズに臨む開口を備えたカバーが装着されてなるアクチュエータユニットと、このアクチュエータユニットが、そのベース部材との間に隙間空間を保持した状態で取り付けられた光学ベースと、を備えている。そして、上記カバーに具備されている側板部と上記光学ベースに形成されて上記側板部に対面する相手面とによって形成される遮蔽機構により、上記隙間空間がその外部から遮蔽されている。
【0015】
このように構成された光ピックアップによれば、カバーの側板部とその側板部に対面している光学ベース側の相手面とによって、アクチュエータユニットのベース部材と光学ベースとの間の隙間空間がその外部から遮蔽される。そのため、隙間空間への埃の侵入が防止され、ひいては、その埃が光学ベースに組み付けられているミラーなどの光学部品に付着することも防止される。また、遮蔽機構が、カバーの側板部とその側板部に対面している光学ベース側の相手面とによって形成されていることにより、隙間空間への埃の侵入を防止するために余分な部品を追加する必要がない。
【0016】
本発明では、上記遮蔽機構が、上記カバーの側板部を上記隙間空間に臨む位置まで延長することにより当該側板部に具備された延長片部と、上記相手面と、によって形成されている、という構成を採用することが可能である。
【0017】
また、本発明では、上記遮蔽機構が、上記カバーの側板部の端部を上記隙間空間に臨む位置まで延長することにより当該側板部に具備された延長片部と、上記光学ベースに形成されて上記延長片部が挿入された溝形部の内壁面でなる上記相手面と、によって形成されている、という構成を採用することも可能である。この場合には、上記溝形部が、上記ベース部材に対面する上記光学ベースの上面に形成されている、という構成を採用することができる。
【0018】
また、本発明では、上記延長片部が、上記相手面に接触して重なり合っていてもよい。さらに、上記遮蔽機構が、カバーの上記側板部と、上記ベース部材に対面する上記光学ベースの上面に立ち上げられて上記ベース部材の側端面との対向位置に達する高さを備えた面でなる上記相手面と、によって形成されている、という構成を採用することも可能である。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る光ピックアップによると、光学ベースとアクチュエータユニットのベース部材との間の傾き調整のための隙間空間に微細な埃が侵入することを遮蔽機構の作用を利用して防止することができる。そのため、埃が光学ベースに組み付けられているミラーなどの光学部品に付着して信号を劣化させてしまうという事態が抑制され、光ピックアップによるディスクの記録面の走査性能が向上するという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る光ピックアップの要部の概略斜視図である。
【図2】図1の実施形態の変形例による光ピックアップの概略平面図である。
【図3】遮蔽機構を有する光ピックアップを説明的に示した概略縦断面図である。
【図4】遮蔽機構の他の形態を説明的に示した要部の概略断面図である。
【図5】遮蔽機構の他の形態を説明的に示した要部の概略断面図である。
【図6】遮蔽機構のさらに他の形態を説明的に示した要部の概略断面図である。
【図7】遮蔽機構のさらに他の形態を説明的に示した要部の概略断面図である。
【図8】遮蔽機構のさらに他の形態を説明的に示した要部の概略断面図である。
【図9】従来例に採用されているアクチュエータユニットを例示した概略斜視図である。
【図10】従来例の光ピックアップの要部を例示した概略斜視図である。
【図11】従来例についての光学ベースとアクチュエータユニットとの位置関係を説明的に示した概略垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明の実施形態に係る光ピックアップの要部の概略斜視図である。図2は図1の実施形態の変形例による光ピックアップの概略平面図である。
【0022】
実施形態を示した図1、又は、変形例を示した図2の光ピックアップにおいて、アクチュエータユニット10は、樹脂成形体でなる光学ベース50の略平坦な上面51の所定位置に取り付けられている。取り付けには、接着剤52による接合方法やその他の公知の取付け方法が採用される。この光ピックアップによるディスクの記録面の光学的走査モードでは、光学ベース50に備わっているガイド孔55を挿通している主軸57と、同じく光学ベース50に備わっているガイド溝部56を挿通している副軸58により案内されて、光ピックアップがディスク(不図示)の半径方向Yに走行する。
【0023】
アクチュエータユニット10の金属製のベース部材11は、その形状が図9を参照して説明したベース部材11と同一になっている。ベース部材11には、光学アクチュエータ20がフォーカス方向及びトラッキング方向などの多方向に変位可能に取り付けられている。光学アクチュエータ20を覆っているカバー30は板金製であり、光学アクチュエータ20のレンズホルダー21に装着された対物レンズ22に臨む開口32を備えた天板部31と、この天板部31の両側に屈曲形成された前後の側板部33,34と、天板部31の一端側に屈曲形成された取付け片部35とを備えている。そして、側板部33,34の端縁部の所定箇所がベース部材11の前後の側端面12,13に重なり状に固定して取り付けられていると共に、取付け片部35が、ベース部材11に形成された立上り部14に固定されている。このアクチュエータユニット10において、カバー30は、光学アクチュエータ20を防塵することに役立っているほか、光学アクチュエータ20のレンズホルダー21の変位時の上限位置を規制することにも役立っている。
【0024】
以上説明した光ピックアップでは、カバー30に具備されている側板部33,34と光学ベース50に形成されて上記側板部33,34に対面する相手面(後述する)とによって形成される遮蔽機構60を有しているという点だけが、図10又は図11に示した従来例と相違している。そして、この遮蔽機構60は、図10又は図11に示した従来例の光ピックアップのアクチュエータユニット10のカバー30又は光学ベース50のうちの両方の構成又はそれらのうちの一方の構成を局部的に変更することだけによって構成されていて、アクチュエータユニット10のベース部材11と光学ベース50の上面51との間に確保されている隙間空間S1をその外部から遮蔽する役割を果たしている。ここで、隙間空間Sは、光学ベース50にアクチュエータユニット10を取り付ける工程でアクチュエータユニット10を光学ベース50から少し浮き上がらせた状態で行われる傾き調整のために利用されたものであって、アクチュエータユニット10を光学ベース50に取り付けた後でも、その隙間空間Sがそのまま残っている。
【0025】
次に、図3〜図8を参照して遮蔽機構60の様々な構成や作用を説明する。図3は代表的な遮蔽機構60を有する光ピックアップの概略縦断面図であり、図4〜図8はその遮蔽機構60の他の形態を説明的に示した要部の概略断面図である。
【0026】
図3の光ピックアップの遮蔽機構60は、当該光ピックアップの前後にそれぞれ設けられている。これらの遮蔽機構60は、図11に示した従来例の光ピックアップにおけるカバー30と光学ベース50との両方の構成を局部的に変更することによって構成されている。カバー30についての変更箇所は、カバー30の側板部33,34を、ベース部材11の端面12,13を越えて下方に延長させ、そうすることによって側板部33,34を隙間空間Sに臨む位置まで延長することにより当該側板部33,34に延長片部61,62を具備させてある点である。また、光学ベース50についての変更箇所は、光学ベース50の上面51に溝形部63を形成し、その溝形部63の両側の内壁面を、その溝形部63に挿入された上記延長片部61,62に対面する相手面64として形成してある点である。そして、溝形部63に挿入された上記延長片部61,62にそれぞれの上記相手面64が隙間を隔てた非接触状態で対面している。ここで「延長片部61,62」とは、側板部33,34に関して、ベース部材11から下方に突き出て隙間空間Sに臨んでいる部分を指している。したがって、それらの延長部分61,62は側板部33,34に含まれていて、側板部33,34の一部を形成している。なお、図3において、20は光学アクチュエータ、21はレンズホルダー、22は対物レンズ、53は光学ベース50の光通過孔、54は光学ベース50に組み付けられているミラーなどの光学部品54を示している。
【0027】
図4の光ピックアップの遮蔽機構60は、図3に示した遮蔽機構60の変形例に相当していて、溝形部63に挿入された上記延長片部61,62に、溝形部63の片側の内壁面でなる相手面64だけが接触状態で重なり合って対面し、他側の内壁面でなる相手面64は、延長片部61,62に対して隙間を隔てて非接触状態で対面しているという点だけが図3に示した遮蔽機構60とは相違している。
【0028】
図5の光ピックアップの遮蔽機構60も、図10又は図11に示した従来例の光ピックアップにおけるカバー30と光学ベース50との両方の構成を局部的に変更することによって構成されている。カバー30についての変更箇所は、カバー30の側板部34を、ベース部材11の端面13を越えて下方に延長させ、そうすることによって側板部34を隙間空間Sに臨む位置まで延長することにより当該側板部34に延長片部62を具備させてある点である。また、光学ベース50についての変更箇所は、光学ベース50の上面51に段付部65を形成し、その段付部65の内側壁面を、側板部34に含まれる上記延長片部62に外側から隙間を隔てて対面する相手面64として形成してある点である。
【0029】
図6の光ピックアップの遮蔽機構60は図5のに示した遮蔽機構60の変形例に相当している。この遮蔽機構60は、図10又は図11に示した従来例の光ピックアップにおけるカバー30と光学ベース50との両方の構成を局部的に変更することによって構成されている。カバー30についての変更箇所は、カバー30の側板部34を、ベース部材11の端面13を越えて下方に延長させ、そうすることによって側板部34を隙間空間Sに臨む位置まで延長することにより当該側板部34に延長片部62を具備させてある点である。また、光学ベース50についての変更箇所は、光学ベース50の上面51に段付部65を形成し、その段付部65の外側壁面を、側板部34に含まれる上記延長片部62に内側から隙間を隔てて対面する相手面64として形成してある点である。
【0030】
図7の光ピックアップの遮蔽機構60も図5の遮蔽機構60の変形例に相当している。この遮蔽機構60では、図5の段付部65に代えて、光学ベース50の上面51にリブ66を立ち上げ、そのリブ66の内側壁面を、側板部34に含まれる上記延長片部62に外側から隙間を隔てて対面する相手面64として形成してある。
【0031】
図8の光ピックアップの遮蔽機構60は、図10又は図11に示した従来例の光ピックアップにおける光学ベース50の構成だけを局部的に変更することによって構成されている。光学ベース50についての変更箇所は、光学ベース50の上面51に、ベース部材11の端面13との対向位置に達する高さを備えた背高のリブ67を形成することによって、そのリブ67を隙間空間Sに臨ませてあると共に、そのリブ67の壁面を、ベース部材11の端面に重なり合っているカバー30の側板部34の端部に外側から隙間を隔てて非接触状態で対面している相手面64としてある点である。
【0032】
なお、図4〜図8では、光ピックアップの前後に設けられている一対の遮蔽機構60のうちの片側の1つの遮蔽機構60だけを示しているけれども、他側の遮蔽機構60も同様の構成を備えている。
【0033】
図3に示した遮蔽機構60によると、カバー30の側板部33,34とそれらの側板部33,34に対面している光学ベース50側の相手面64,64とによって、アクチュエータユニット10のベース部材11と光学ベース50の上面51との間の隙間空間Sがその外部から遮蔽されている。そのため、隙間空間Sの外部からその内部に向かう気流が矢印Fで例示したように側板部33,34に衝突して側板部33,34に沿う方向に流れる。そのため、埃が隙間空間Sに侵入することが防止され、ひいては、その埃が光学ベース50に形成されている光通過孔53を経てその光学ベース50に組み付けられているミラーなどの光学部品54に付着することも防止される。特に、同図の遮蔽機構60では、カバー30の側板部33,34の延長片部62,62が光学ベース50の溝形部63に隙間を隔てて非接触状態で挿入されていることにより、隙間空間Sの外部から隙間空間Sの内部に向かう通路が溝形部63の内部でU字形の迂回路を形成する。そのため、仮に、気流が隙間空間Sの外部からその内部に向けて流れたとしても、その気流に同伴する埃は溝形部63の内部のU字形の迂回路で気流から離れ、隙間空間Sの内部に侵入しにくくなるという利点がある。図4〜図8に示した遮蔽機構60によっても略同様の作用が発揮される。なお、図4〜図8を参照して説明した遮蔽機構60においても、図3を参照説明したところと同様に、矢印Fで示したように、隙間空間Sの外部からその内部に向かう気流が側板部33,34に衝突した後、それらの側板部33,34に沿う方向に流れる。
【0034】
図3〜図8を参照して遮蔽機構60の様々な態様を説明したけれども、本発明に係る遮蔽機構60は、カバーの側板部にその一部に含まれる延長片部が形成されているか否かに関係なく、要するに、カバーに具備されている側板部と光学ベースに形成されて側板部に対面する相手面とによって形成されていて、それらの側板部と相手面とによって隙間空間がその外部から遮蔽されている、というものであればよい。
【0035】
図1に示した実施形態に係る光ピックアップにおいて、カバー30の側板部33を延長することによって形成されている延長片部62のうちのほとんどの部分62aは、図3に示した態様で光学ベース50の溝形部63に挿入されているけれども、延長片部62のうちの残りの部分62bは、図6に示した態様で光学ベース50の段付部65の相手面64(図1に現れていない)に対面している。また、図2に示した変形例に係る光ピックアップにおいては、カバー30の側板部33を延長することによって形成されている延長片部62の全体が、図3に示した態様で光学ベース50の溝形部63に挿入されている。
【符号の説明】
【0036】
10 アクチュエータユニット
11 ベース部材
20 光学アクチュエータ
22 対物レンズ
30 カバー
32 開口
33,34 側板部
50 光学ベース
60 遮蔽機構
62 延長片部
63 溝形部
64 相手面
S 隙間空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズを有する光学アクチュエータが取り付けられたベース部材に、上記光学アクチュエータを覆いかつ上記対物レンズに臨む開口を備えたカバーが装着されてなるアクチュエータユニットと、このアクチュエータユニットが、そのベース部材との間に隙間空間を保持した状態で取り付けられた光学ベースと、を備える光ピックアップにおいて、
上記カバーに具備されている側板部と上記光学ベースに形成されて上記側板部に対面する相手面とによって形成される遮蔽機構により、上記隙間空間がその外部から遮蔽されていることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
上記遮蔽機構が、上記カバーの側板部を上記隙間空間に臨む位置まで延長することにより当該側板部に具備された延長片部と、上記相手面と、によって形成されている請求項1に記載した光ピックアップ。
【請求項3】
上記遮蔽機構が、上記カバーの側板部の端部を上記隙間空間に臨む位置まで延長することにより当該側板部に具備された延長片部と、上記光学ベースに形成されて上記延長片部が挿入された溝形部の内壁面でなる上記相手面と、によって形成されている請求項1に記載した光ピックアップ。
【請求項4】
上記溝形部が、上記ベース部材に対面する上記光学ベースの上面に形成されている請求項3に記載した光ピックアップ。
【請求項5】
上記延長片部が、上記相手面に接触して重なり合っている請求項2又は請求項3に記載した光ピックアップ。
【請求項6】
上記遮蔽機構が、カバーの上記側板部と、上記ベース部材に対面する上記光学ベースの上面に立ち上げられて上記ベース部材の側端面との対向位置に達する高さを備えた面でなる上記相手面と、によって形成されている請求項1に記載した光ピックアップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−155809(P2012−155809A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15951(P2011−15951)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】