説明

光ピックアップ

【課題】小型化・薄型化が要求される光ピックアップに好適な、ヒートシンクの位置決め機構を備えた光ピックアップを提供する。
【解決手段】光ピックアップ1は、光源11、18と、光源11、18が取り付けられるベース部材10と、光源11、18が発生する熱を放熱するヒートシンク50と、を備える。ベース部材10の側面には係合孔101、102が形成され、ヒートシンク50は、ベース部材10の表面10dに載置される天板部51と、天板部51の一部を折り曲げ形成して得られる側面視略L字状の係合フック部52と、を有し、係合フック部52を係合孔101、102に係合させた状態でベース部材10に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップに関し、詳細には光ピックアップが備えるヒートシンクの位置決め機構に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクに情報を記録したり、光ディスクに記録される情報を再生したりするために使用される光ディスク装置(ディスクドライブ)には、光ディスクに光を照射するとともに、光ディスクからの反射光を受光する光ピックアップが内蔵されている。この光ピックアップには、光ディスクに光を照射するための光源や、光源を駆動するためのドライバIC等が含まれる。
【0003】
従来、光ピックアップには、例えば、光源から発生する熱や、ドライバICから発生する熱を逃がす目的で、ヒートシンクが備えられる。これらのヒートシンクの形状や取り付け構造は、例えば光ピックアップの形状やその取り付け目的によって様々となる(例えば特許文献1〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−253092号公報
【特許文献2】特開2006−134440号公報
【特許文献3】特開2007−193855号公報
【特許文献4】特開2009−158022号公報
【特許文献5】特開2003−157564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ピックアップには、例えば光源、光学部材、回路基板等が取り付けられるベース部材が備えられる。複数配置される光源で発生する熱を効率良く放熱する等の目的で、ベース部材の表面を覆うように、大きなヒートシンクをベース部材に取り付けることが考えられる。しかしながら、最近においては、市場において光ピックアップの小型化及び薄型化の要求が大きい。このため、ベース部材を覆うようにヒートシンクを配置する場合には、ヒートシンクの取り付け位置精度を高める必要がある。
【0006】
このような場合に、例えばベース部材に互いの距離を大きく離したボスを2つ設けて、ヒートシンクの水平方向の取り付け位置精度(位置決め精度)を向上することが考えられる。また、例えば、ヒートシンクをベース部材に固定するビスと、位置決め用にベース部材に設けられるボスとの間隔を大きくし、ヒートシンクの水平方向の取り付け位置精度を向上することが考えられる。しかしながら、光ピックアップの小型化及び薄型化の要求から、ボスが設けられる位置は限定されることが多く、上述のような対策を採用できないことがある。
【0007】
また、高さ方向の取り付け位置精度を向上する(浮きが発生しないようにする)ために、例えばたくさんのビスを用いてヒートシンクをベース部材に固定することが考えられる。しかしながら、光ピックアップの小型化及び薄型化の要求からたくさんのビスを用いてヒートシンク50の固定を行うのは難しい。
【0008】
以上の点に鑑みて、本発明の目的は、小型化・薄型化が要求される光ピックアップに好適な、ヒートシンクの位置決め機構を備えた光ピックアップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の光ピックアップは、光源と、前記光源が取り付けられるベース部材と、前記光源が発生する熱を放熱するヒートシンクと、を備える光ピックアップであって、前記ベース部材の側面には係合孔が形成され、前記ヒートシンクは、前記ベース部材の表面に載置される天板部と、前記天板部の一部を折り曲げ形成して得られる側面視略L字状の係合フック部と、を有し、前記係合フック部を前記係合孔に係合させた状態で前記ベース部材に取り付けられる構成(第1の構成)とされる。
【0010】
本構成によれば、係合孔と係合フック部によって、ヒートシンクの高さ方向の位置決め精度と、左右方向の位置決め精度を向上することが可能である。そして、このような係合孔及び係合フック部は、光ピックアップの薄型化が要求される場合でも使用し易く便利である。
【0011】
上記第1の構成の光ピックアップにおいて、前記係合フック部は、前記天板部から折り曲げられて前記天板部に対して略垂直となる第1の部分と、前記第1の部分から折り曲げられて前記天板部に対して略平行となる第2の部分と、を有し、前記天板部と前記第2の部分との間の垂直方向の距離をAとし、前記ヒートシンクが前記ベース部材に取り付けられた場合に前記第2の部分の表面が前記ベース部材に接触する接触位置と、前記天板部が載置される前記ベース部材の表面との間の垂直方向の距離をBとした場合に、A<Bを満足する構成(第2の構成)とするのが好ましい。これにより、高さ方向の取付け位置精度が向上する。
【0012】
上記第1又は第2の構成の光ピックアップにおいて、前記係合孔は2つ設けられ、該2つの係合孔は間隔を於いて並列配置され、前記係合フック部の先端には、前記2つの係合孔の間に形成される柱部を挟む2つの爪部が形成されている構成(第3の構成)とするのが好ましい。これにより、2つの係合孔の並び方向(左右方向)の取り付け位置精度が向上する。
【0013】
上記第3の構成の光ピックアップにおいて、前記柱部は、前記ベース部材の表面側に向かって徐々に幅が広がる傾斜部を有する構成(第4の構成)とするのが好ましい。
【0014】
上記第1から第4のいずれかの構成の光ピックアップにおいて、前記ヒートシンクはビスを用いて前記ベース部材に固定される構成(第5の構成)としてもよい。
【0015】
上記第1から第5のいずれかの構成の光ピックアップにおいて、前記ベース部材には、位置決めを行うためのボスが設けられる構成(第6の構成)としてもよい。
【0016】
上記第1から第6のいずれかの構成の光ピックアップにおいて、前記天板部が載置される前記ベース部材の表面は、光ディスクに対向する側の面である構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、小型化・薄型化が要求される光ピックアップに好適な、ヒートシンクの位置決め機構を備えた光ピックアップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の光ピックアップの外観構成を示す概略平面図
【図2】本実施形態の光ピックアップの光学構成を示す概略平面図
【図3】本実施形態の光ピックアップが備えるヒートシンクの一部構成を示す概略斜視図
【図4】本実施形態の光ピックアップが備えるピックアップベースに設けられる係合孔について説明するための斜視図
【図5】本実施形態の光ピックアップが備えるヒートシンクの係合フック部の詳細構成を説明するための模式図
【図6】本実施形態の光ピックアップにおいて、ヒートシンクがピックアップベースに取り付けられた場合の一部構成を示す概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明が適用された光ピックアップの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態の光ピックアップは、ブルーレイディスク(BD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)といった3種類の規格の光ディスクに対して情報の読み取りや書き込みを行える構成となっている。
【0020】
(光ピックアップの概略構成)
図1は、本実施形態の光ピックアップ1の外観構成を示す概略平面図である。なお、図1に示される光ピックアップ1で光ディスクの情報の読み取り等を行う場合、光ディスクは紙面手前側に配置されることになる。図1に示すように、光ピックアップ1はピックアップベース10を備える。このピックアップベース10は、本発明のベース部材の一例である。
【0021】
光ディスク装置(光ディスクの再生や記録を行うための装置)に搭載されることになる光ピックアップ1は、ピックアップベース10が光ディスク装置内に配置される2本のガイドシャフトGSに摺動可能に支持されることで、光ディスクの半径方向(ラジアル方向)に移動可能とされる。なお、ガイドシャフトGSによるピックアップベース10の支持は、ピックアップベース10の左右の端部に設けられる軸受け部10a、10bを使用して行われる。
【0022】
ピックアップベース10には、光ディスクに記録される情報を読み取ったり、光ディスクに情報を書き込んだりする上で必要となる各種の部材が搭載されている。この各種の部材には、光源となる半導体レーザ11、18(後述の図2参照)、対物レンズ17、21を含む各種の光学部材、光検出器23、対物レンズ17、21を駆動させるアクチュエータ30、及び、半導体レーザ11、18やアクチュエータ30等を駆動させるために必要となる各種の回路が形成されるプリント基板40が含まれる。
【0023】
なお、半導体レーザ11、18や後述の光学部材の一部はピックアップベース10の内部に内蔵される。アクチュエータ30は、その全体がピックアップベース10内にほぼ埋め込まれるようにして取り付けられており、アクチュエータ30に搭載される対物レンズ17、21は外部に露出している。プリント基板40は、ピックアップベース10の裏面側(光ディスクに対向する面の反対側)に取り付けられる。
【0024】
また、ピックアップベース10には、半導体レーザ11、18で発生する熱を放熱するために、ヒートシンク50が取り付けられている。このヒートシンク50は、ピックアップベース10の表面10d(光ディスクに対向する面)を覆うように、ピックアップベース10に取り付けられる。なお、アクチュエータ30はヒートシンク50に覆われることなく露出している。
【0025】
図2は、本実施形態の光ピックアップ1の光学構成を示す概略平面図である。光ピックアップ1には、第1の半導体レーザ11から出射される光を光ディスクの情報記録面に導くとともに、情報記録面で反射される反射光(戻り光)を光検出器23に導く、BD用の光路が形成されている。また、光ピックアップ1には、第2の半導体レーザ18から出射される光を光ディスクの情報記録面に導くとともに、情報記録面で反射される反射光(戻り光)を光検出器23に導く、DVD及びCD用の光路が形成されている。
【0026】
なお、光ピックアップ1においては、複数の光学部材が、BD用の光路と、DVD及びCD用の光路とで共用される構成となっている。このような構成を採用しているため、光ピックアップ1は、BD、DVD、及び、CDに対応する光ピックアップを少ない部品点数で形成可能となっている。
【0027】
まず、BD用の光路について説明する。第1の半導体レーザ11は、BD用のレーザ光(例えば波長405nm帯のレーザ光)を出射可能となっている。この第1の半導体レーザ11が配置される位置は、図1においては破線DL1で示す位置が対応する。
【0028】
第1の半導体レーザ11から出射されたレーザ光は、回折素子12によって主光と2つの副光とに分けられる。回折素子12を経たレーザ光は偏光ビームスプリッタ13によって反射され、1/4波長板14及びコリメートレンズ15を透過する。コリメートレンズ15を透過したレーザ光は、第1の立ち上げミラー16によって反射されて、第1の立ち上げミラー16の上方にある第1の対物レンズ17へと至る。
【0029】
第1の対物レンズ17は、入射したレーザ光を光ディスクの情報記録面に集光する機能を有する。第1の対物レンズ17によって情報記録面に集光されたレーザ光は、情報記録面で反射される。この反射光(戻り光)は、第1の対物レンズ17を通過後、第1の立ち上げミラー16で反射され、コリメートレンズ15、1/4波長板14、偏光ビームスプリッタ13、ビームスプリッタ19を順に透過する。そして、ビームスプリッタ19を透過した戻り光は、センサーレンズ22によって非点収差を与えられて光検出器23の所定の受光領域に集光される。
【0030】
光検出器23は、受光した光信号を電気信号に変換する光電変換手段として機能する。光検出器23から出力された電気信号は図示しない信号処理部に送られ、この信号処理部で、再生信号、フォーカスエラー(FE)信号、トラッキングエラー(TE)信号等が生成される。
【0031】
次に、DVD及びCD用の光路について説明する。第2の半導体レーザ18は、DVD用のレーザ光(例えば波長650nm帯のレーザ光)とCD用のレーザ光(例えば波長780nm帯のレーザ光)とを切り換えて出射可能になっている。このようなレーザ光源は、例えばモノリシックタイプ或いはハイブリッドタイプの2波長レーザによって構成できる。なお、この第2の半導体レーザ18が配置される位置は、図1においては破線DL2で示す位置が対応する。
【0032】
第2の半導体レーザ18から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ19によって反射され、その後、偏光ビームスプリッタ13、1/4波長板14、コリメートレンズ15、及び、第1の立ち上げミラー16を順に透過する。第1の立ち上げミラー16を透過したレーザ光は、第2の立ち上げミラー20によって反射されて、第2の立ち上げミラー20の上方にある第2の対物レンズ21へと至る。
【0033】
なお、偏光ビームスプリッタ13は、BD用のレーザ光に作用する光学部材であり、DVD用のレーザ光及びCD用のレーザ光は、偏光状態に関係なく透過する。また、第1の立ち上げミラー16はダイクロイックミラーであり、BD用のレーザ光は反射されるが、DVD用のレーザ光及びCD用のレーザ光は透過可能となっている。
【0034】
第2の対物レンズ21は、入射したレーザ光を光ディスクの情報記録面に集光する機能を有する。第2の対物レンズ21によって情報記録面に集光されたレーザ光は、情報記録面で反射される。この反射光(戻り光)は、第2の対物レンズ21を通過後、第2の立ち上げミラー20で反射され、第1の立ち上げミラー16、コリメートレンズ15、1/4波長板14、偏光ビームスプリッタ13、ビームスプリッタ19を順に透過する。そして、ビームスプリッタ19を透過した戻り光は、センサーレンズ22によって非点収差を与えられて光検出器23の所定の受光領域に集光される。
【0035】
BD対応の場合と同様に、光検出器23から出力された電気信号は図示しない信号処理部に送られ、この信号処理部で、再生信号、FE信号、TE信号等が生成される。
【0036】
なお、コリメートレンズ15は、図示しないレンズ駆動機構によって、その光軸方向(図2に矢印で示す方向)に移動可能となっている。そして、コリメートレンズ15の位置は、光ディスクの種類やレイヤージャンプ等に応じて適宜移動される。このようにコリメートレンズ15を移動可能とするのは、対物レンズ17、21に入射するレーザ光の収束・発散度合いを調節して、球面収差の影響を適切に抑制できるようにするためである。
【0037】
また、第1の対物レンズ17及び第2の対物レンズ21は、ピックアップベース10に取り付けられるアクチュエータ30(図1参照)に搭載された状態で、ピックアップベース10に搭載されることになる。アクチュエータ30は、光ピックアップ1に備えられる2つの対物レンズ17、21をフォーカス方向(図1及び図2においては紙面に垂直な方向が該当)及びトラッキング方向(図1及び図2においては上下方向が該当)に移動可能とする装置である。
【0038】
光ピックアップ1においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、対物レンズ17、21の焦点位置が常に光ディスクの情報記録面に合うようにフォーカシング制御を行う必要がある。また、光ピックアップ1においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、対物レンズ17、21によって光ディスクの情報記録面に集光される光スポットの位置が、光ディスクのトラックに常に追随するようにトラッキング制御を行う必要がある。アクチュエータ30は、例えば、これらフォーカシング制御及びトラッキング制御を行う際に駆動される。
【0039】
アクチュエータ30は、対物レンズ17、21を保持するレンズホルダ31(図1参照)を有し、レンズホルダ31をワイヤ32(図1参照)で揺動可能に支持する構成のものである。そして、コイル及び磁石を利用して発生させた力でレンズホルダ31(すなわち対物レンズ17、21)を動かすものである。このようなタイプのアクチュエータは公知であるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0040】
(ヒートシンクの位置決め機構)
次に、以上のように構成される光ピックアップ1の特徴的な構成について説明する。光ピックアップ1においては、ヒートシンク50の位置決めを行うための位置決め機構に関して特徴を有する。
【0041】
光ピックアップ1及びそれを搭載する光ディスク装置における薄型化の要求のために、ヒートシンク50は高さ方向に浮きが発生しないように位置決めを行うことが要求される。特に、本実施形態のようにピックアップベース10の表面10d(光ディスクに対向する面)にヒートシンク50を載置する構成の場合、その上側にディスクトレイ等が存在するために、高さ方向の位置決めの重要度は高い。
【0042】
また、光ピックアップ1及びそれを搭載する光ディスク装置における小型化の要求のために、例えばピックップベース10に配置される他の部材との干渉による変形を避けるべく、ヒートシンク50の水平方向の位置決めも重要となる。例えば、本実施形態の光ピックアップ1では、ヒートシンク50は静電気対策としての機能も有しており、ピックアップベース10に取り付けられる静電気対策用の板金部材60(図1参照)と接触配置される。この場合、ヒートシンク50の水平方向(図1の左右方向)の位置決めが不十分であると、板金部材60の存在によってヒートシンク50が変形してしまい、問題となる。
【0043】
また、半導体レーザ11、18とヒートシンク50との間に放熱用のグリスを配置し、固化したグリスがヒートシンク50と一体となる構成の場合には、ヒートシンク50の水平方向の位置決めが不十分であると、半導体レーザ11、18の位置ずれが発生する。この点からも、ヒートシンク50の水平方向の位置決めは重要である。
【0044】
以上のようなことから、本実施形態の光ピックアップ1では、ヒートシンク50の取り付け精度を向上すべく、特徴的な位置決め機構が設けられている。
【0045】
図3は、本実施形態の光ピックアップ1が備えるヒートシンク50の一部構成を示す概略斜視図である。図3に示すように、例えばアルミニウムによって形成されるヒートシンク50は、ピックアップベース10の表面10dに載置される天板部51を備える。
【0046】
天板部51には、ビス70(図1参照)を取り付けるビス留め部511が設けられる。このビス留め部511は、天板部51の一部を切り欠いて折り曲げ形成して得られる。このビス留め部511には、ビス70を挿入するビス孔が形成されている。ビス留め部511は、取り付けられたビス70の上部がヒートシンク50の天面から突出しないように構成されている。また、天板部51には、ピックアップベース10に設けられるボス10c(図1参照)が挿入されるボス孔512が形成されている。なお、ボス10c及びボス孔512は、ヒートシンク50の位置決めを確実なものとするために設けられている。
【0047】
また、ヒートシンク50には、天板部51の一部を折り曲げ形成して得られる側面視略L字状の係合フック部52が形成されている。係合フック部52は、天板部51から折り曲げられて天板部51に対して略垂直となる第1の部分521と、第1の部分512から折り曲げられて天板部51に対して略平行となる第2の部分522と、を有する。第2の部分522の先端側(係合フック部52の先端側)には、2つの爪部522a、522bが設けられて、2つの爪部522a、522bの間で物を挟めるようになっている。
【0048】
図4は、本実施形態の光ピックアップ1が備えるピックアップベース10に設けられる係合孔101、102について説明するための斜視図である。なお、図4においては、理解を容易とするために、ヒートシンク50も併せて示されている。
【0049】
第2の半導体レーザ18が取り付けられる取付部103に隣接する、ピックアップベース10の側面には、ヒートシンク50に設けられる係合フック部52に係合する2つの係合孔101、102が設けられている。係合孔101には、係合フック部52の爪部522aが挿入され、係合孔102には、係合フック部52の爪部522bが挿入される。なお、2つの係合孔101、102は貫通孔とされているが、場合によっては貫通孔でなくてもよい。本実施形態では、第2の半導体レーザ18の位置調整が行い易くなるように、2つの係合孔101、102は貫通孔となっている。
【0050】
2つの係合孔101、102は平面視略矩形状となっており、所定の間隔をおいて並列配置されている。2つの係合孔101、102の間に形成される柱部104は、2つの係合孔101、102の角部がR形状となっている。このために、柱部104は、上部(ピックアップベース10の表面10d側)に向けて幅Wが徐々に広がる傾斜部104aを有する構成となっている。ヒートシンク50の係合フック部52の爪部522a、522b間の間隔dは、柱部104の最短幅Wとほぼ同一であるが、詳細には柱部104の最短幅Wより若干広くなっている。
【0051】
図5は、本実施形態の光ピックアップ1が備えるヒートシンク50の係合フック部52の詳細構成を説明するための模式図である。図5(a)は、ヒートシンク50がピックアップベース10に取り付けられる前の状態を示す。図5(b)は、ヒートシンク50の係合フック部52が係合孔101、102に挿入され、ビス70による固定が行われる前の状態を示す。また、図6は、本実施形態の光ピックアップ1において、ヒートシンク50がピックアップベース10に取り付けられた場合の一部構成を示す概略側面図である。
【0052】
上述のように、ヒートシンク50は、ピックアップベース10に取り付けられる前において、天板部51と係合フック部52の第2の部分522とが略平行な関係となるように設けられている。ここで、図5(a)に示すように、天板部51と第2の部分522との間の垂直方向の距離をAとする。
【0053】
詳細は後述するように、ヒートシンク50は、ピックアップベース10に取り付けられた場合に第2の部分522(爪部522a及び爪部522b)の表面(上面)が、係合孔101、102の内面(ピックアップベース10)に接触するようになっている。この場合の接触位置を図6に示すように符号CPで示す。そして、図6に示すように、この接触位置CPと、ヒートシンク50が載置されるピックアップベース10の表面10dとの間の垂直方向の距離をBとする。
【0054】
本実施形態のヒートシンク50は、A<Bを満足するように構成されている。このために、単にヒートシンク50の係合フック部52の係合爪522a、522bを係合孔101、102に挿入した段階では、ヒートシンク50は図5(b)に示すように、若干斜めとなる。このため、ビス70によるヒートシンク50の固定を行う際に、ヒートシンク50に垂直方向下向き(図5(b)のX方向)の力を加えることになる。
【0055】
この力により、係合フック部52は変形された状態でピックアップベース10に取り付けられることになる。そして、この変形により、第2の部分522の上面が係合孔101、102の内面(ピックアップベース10)に押しつけられる力(図5(b)のY方向の力が相当)が加わった状態で、ヒートシンク50はピックアップベース50に固定されることになる。すなわち、ヒートシンク50は浮き上がることなく、高さ方向の位置決めがなされた状態でピックアップベース10に取り付けられることになる。
【0056】
また、上述のように柱部104は上部側に向かって徐々に広がる傾斜部104aを有する構成となっている。このために、Y方向(図5(b)参照)の力を受けた第2の部分522は、爪部522a、522bによって、柱部104を隙間なくしっかり挟むことができる。この結果、ヒートシンク50は左右方向に動くことなく、左右方向の位置決めがなされた状態でピックアップベース10に取り付けられることになる。
【0057】
なお、上述の距離Aが距離Bに対してあまりにも小さいとヒートシンク50が変形或いは破壊されて、上述の位置決め機構としての働きが得られなくなる。この点を考慮して、距離Aは適切に設定する必要がある。
【0058】
ここで、ヒートシンク50をピックアップベース10に取り付ける手順について示しておく。まず、係合フック部52の係合爪522a、522bが、それぞれ係合孔101、102に挿入される。そして、ヒートシンク50の天板部511がピックアップベース10の表面10dに押さえつけられる。この際、ピックアップベース10に形成されるボス10cにヒートシンク50のボス孔512が嵌り込むように位置調整がなされる。この位置調整がなされたら、ビス留め部511にビス70が取り付けられ、ヒートシンク50のピックアップベース10への固定が完了する。
【0059】
本実施形態の光ピックアップ1では、ビス70で固定される一端部の反対側にある他端部において、係合フック部52がピックアップベース10の係合孔101、102と係合し、ヒートシンク50の高さ方向及び左右方向の位置決めが行われる。また、位置決め機構として作用する係合フック部52と係合孔101、102とが設けられる位置から離れた場所において、ボスによる位置決めも行われるようになっている。このために、ヒートシンク50は、高さ方向及び水平方向のいずれにおいても精度良く位置決めを行える。
【0060】
なお、本実施形態の光ピックアップ1では、ピックアップベース10の表面10dのうち、図1に矢印で示す範囲Rには、薄型化の要求からボスを形成することができない。すなわち、本実施形態の光ピックアップ1では、例えば、距離を大きく離した2つのボス(或いはボスとビス)を使って位置決め精度を向上することができない。このような制約下においても、ヒートシンク50の位置決め精度を向上できるので、本実施形態の位置決め機構は便利である。
【0061】
(その他)
以上に示した実施形態は本発明の一例であり、本発明の光ピックアップの構成は以上に示した構成に限定されるものではない。
【0062】
例えば、以上に示した実施形態では、ヒートシンク50のピックアップベース10への固定がビス70を用いて行われる構成とした。しかし、この構成に限定されず、ビスを用いることなく、ヒートシンク50がピックアップベース10に固定されるようにしてもよい。例えば、ヒートシンク50の一部の端部を折り曲げることを利用して、ヒートシンク50がピックアップベース10に固定されるようにしてもよい。
【0063】
また、以上に示した実施形態では、ヒートシンク50の水平方向の位置決めを確実なものとするためにボス10cによる位置決めも行うようにした。しかし、このボス10cによる位置決めは場合によっては省略してもよい。また、本実施形態においては、左右方向の位置決めが必要であるために、係合フック部52の先端に2つの爪部522a、522bを設け、それぞれ別々の係合孔101、102に係合させる構成とした。しかし、高さ方向の位置決め精度のみが必要な場合には、係合フック部52の先端に爪部522a、522bが設けられる必要はなく、この場合には係合フック部52に係合する係合孔が1つとされてよい。
【0064】
また、以上に示した実施形態においては、ヒートシンク50がピックアップベース10の表面側(光ディスクに対向する面側)に設けられる構成とした。しかし、ヒートシンク50がピックアップベース10の裏面側に設けられる場合にも本発明は適用可能である。
【0065】
また、以上に示した実施形態では、光ピックアップ1が3種類の規格の光ディスクに対応する構成とした。しかし、これはあくまでも例示であり、光ピックアップが対応可能な光ディスクの種類や、使用する光学構成が本実施形態の構成から変更されても、本発明が広く適用できるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、小型化や薄型化が要求される光ピックアップに好適である。
【符号の説明】
【0067】
1 光ピックアップ
10 ピックアップベース(ベース部材)
10d ピックアップベースの表面
11 第1の半導体レーザ(光源)
18 第2の半導体レーザ(光源)
50 ヒートシンク
51 天板部
52 係合フック部
101、102 係合孔
104 柱部
104a 傾斜部
521 第1の部分
522 第2の部分
522a、522b 爪部
CP 接触位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源が取り付けられるベース部材と、
前記光源が発生する熱を放熱するヒートシンクと、
を備える光ピックアップであって、
前記ベース部材の側面には係合孔が形成され、
前記ヒートシンクは、前記ベース部材の表面に載置される天板部と、前記天板部の一部を折り曲げ形成して得られる側面視略L字状の係合フック部と、を有し、前記係合フック部を前記係合孔に係合させた状態で前記ベース部材に取り付けられる、光ピックアップ。
【請求項2】
前記係合フック部は、前記天板部から折り曲げられて前記天板部に対して略垂直となる第1の部分と、前記第1の部分から折り曲げられて前記天板部に対して略平行となる第2の部分と、を有し、
前記天板部と前記第2の部分との間の垂直方向の距離をAとし、
前記ヒートシンクが前記ベース部材に取り付けられた場合に前記第2の部分の表面が前記ベース部材に接触する接触位置と、前記天板部が載置される前記ベース部材の表面との間の垂直方向の距離をBとした場合に、A<Bを満足する、請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項3】
前記係合孔は2つ設けられ、該2つの係合孔は間隔を於いて並列配置され、
前記係合フック部の先端には、前記2つの係合孔の間に形成される柱部を挟む2つの爪部が形成されている、請求項1又は2に記載の光ピックアップ。
【請求項4】
前記柱部は、前記ベース部材の表面側に向かって徐々に幅が広がる傾斜部を有する、請求項3に記載の光ピックアップ。
【請求項5】
前記ヒートシンクはビスを用いて前記ベース部材に固定される、請求項1から4のいずれかに記載の光ピックアップ。
【請求項6】
前記ベース部材には、位置決めを行うためのボスが設けられる、請求項1から5のいずれかに記載の光ピックアップ。
【請求項7】
前記天板部が載置される前記ベース部材の表面は、光ディスクに対向する側の面である、請求項1から6のいずれかに記載の光ピックアップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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