説明

光ファイバテープ心線、光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置

【課題】比較的簡単な製造設備により、高線速で間欠連結型テープ心線を製造できる技術を提供する。
【解決手段】複数心の光ファイバが平行に配列され、隣接する光ファイバが長手方向に間欠的に連結されてなる光ファイバテープ心線において、少なくとも2心の隣接する光ファイバに跨って連結樹脂を連続塗布することにより連結帯が形成されている。そして、この連結帯が長手方向に離れている2箇所以上の部位で、隣接する光ファイバを連結している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数心の光ファイバが同一面内において平行に配列され、隣接する光ファイバが長手方向に間欠的に連結されてなる光ファイバテープ心線、光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及に伴い、光ファイバを一般家庭に直接引き込んで高速通信サービスを実現するFTTH(Fiber To The Home)が急速に拡大している。一般に、FTTHに用いられる光ファイバケーブルには、複数本の光ファイバテープ心線(以下、テープ心線)が束ねられて収容されている。この光ファイバケーブルからFTTH利用者宅に光ファイバを引き落とす場合には、光ファイバケーブルを中間分岐して所望のテープ心線を取り出し、このテープ心線から単心線を分離して取り出す必要がある。
【0003】
そこで、容易に単心分離できるとともに光ファイバケーブルの細径化・高密度化を実現すべく、種々のテープ心線が提案されている。例えば、特許文献1,2では、隣接する光ファイバ同士を長手方向に間欠的に連結したテープ心線(以下、間欠連結型テープ心線)が開示されている。また、特許文献3では、間欠連結型テープ心線の製造に適した製造方法及び製造装置が開示されている。
間欠連結型テープ心線は、複数本のテープ心線を束ねるときに柔軟に変形(丸めたり、折りたたんだり)できるので、光ファイバケーブルの細径化・高密度化に有効である。また、間欠連結型テープ心線には非連結部分(単心線部分)が存在するので、専用の工具なしで比較的容易に単心分離することができる。一方で、複数心の光ファイバ素線が所定の順序で配列されているので、容易に一括融着接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−232972号公報
【特許文献2】特許第4143651号公報
【特許文献3】特開2003−241041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、間欠連結型テープ心線において、単心分離性や一括融着接続性を両立するためには、数十mm〜数百mm程度の間隔で連結部を設ける必要がある。この連結部は、例えば、紫外線硬化型樹脂(以下、UV樹脂)や溶融された熱可塑性樹脂を、所定のタイミングでノズルから圧出し、塗布することにより形成される。
しかしながら、上述した間隔で連結部を形成するのは、製造上の問題がある。すなわち、樹脂の塗布工程において加圧のオン/オフ制御を正確に行わなければならないが、どちらの樹脂も粘性があり、応答性が悪いため、高速製造に適しているとはいえない。また、連結部の間隔が数十mm〜数百mm程度と狭いと、機械的なオン/オフの繰り返し制御にも制約がかかるため、高速製造の妨げとなり、製造設備も複雑化してしまう。
このように、間欠連結型テープ心線は、複雑な製造設備を用いて低線速で製造しなければならないため、複数心の光ファイバを一括被覆した一般的なテープ心線よりも製造コストが高くなるという欠点がある。
【0006】
本発明は、比較的簡単な製造設備により、高線速で間欠連結型テープ心線を製造できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたもので、
複数心の光ファイバが平行に配列され、隣接する光ファイバが長手方向に間欠的に連結されてなる光ファイバテープ心線であって、
少なくとも2心の隣接する光ファイバに跨って連結樹脂を連続塗布することにより形成された連結帯を備え、この連結帯が長手方向に離れている2箇所以上の部位で、隣接する光ファイバを連結していることを特徴とする。
ここで、2箇所以上の部位で、隣接する光ファイバを連結するとは、1組の光ファイバ対において2箇所以上で連結することはもちろん、複数組の光ファイバ対にわたって2箇所以上で連結することも含む。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光ファイバテープ心線において、前記連結帯は、隣接する3心以上の光ファイバに跨って連結樹脂を連続塗布することにより形成され、前記隣接する3心以上の光ファイバにおける、幅方向で隣り合い、長手方向で離れている部位で、前記隣接する3心以上の光ファイバを連結することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ファイバテープ心線において、前記連結帯は、幅方向に往復しながら長手方向に延びる周期形状を有することを特徴とする。
ここで、幅方向に往復しながら長手方向に延びる周期形状とは、サイン曲線の他に、矩形波やジグザグ波、台形波などを含み、さらには、これらの周期形状の一部が欠損した形状をも含む。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線において、前記連結帯を複数備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線において、前記連結帯は、当該光ファイバテープ心線の長手方向にわたって連続して形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造方法であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させるとともに、前記複数の光ファイバと前記連結樹脂とを幅方向に相対的に往復移動させながら、前記複数心の光ファイバ上に前記連結樹脂を連続塗布することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造方法であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させながら、前記複数心の光ファイバ上に、前記連結帯の形状を保持した状態で貯留された前記連結樹脂を転写することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造装置であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させる光ファイバ搬送部と、
前記連結樹脂を前記複数心の光ファイバ上に塗布する連結樹脂塗布部と、を備え、
前記連結樹脂塗布部は、前記複数心の光ファイバ上を幅方向に往復移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造装置であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させる光ファイバ搬送部と、
前記連結樹脂を前記複数心の光ファイバ上に塗布する連結樹脂塗布部と、を備え、
前記光ファイバ搬送部は、前記複数心の光ファイバが前記連結樹脂塗布部を通過するときに、前記複数心の光ファイバを幅方向に往復移動させながら走行可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造装置であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させる光ファイバ搬送部と、
前記連結樹脂を前記複数心の光ファイバ上に塗布する連結樹脂塗布部と、を備え、
前記連結樹脂塗布部は、外周面に前記連結帯の形状に樹脂貯留部が形成された回転ローラを有し、前記複数心の光ファイバが当該連結樹脂塗布部を通過するときに、前記複数心の光ファイバと前記回転ローラが当接することで前記連結樹脂を前記連結帯の形状で前記複数心の光ファイバ上に転写することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、比較的簡単な製造設備により、高線速で間欠連結型テープ心線を製造することができるので、製造コストを格段に低減することができる。
また、間欠連結型テープ心線としての特徴は損なわれないので、テープ心線を収容した光ファイバケーブルの細径化・高密度化を図ることができるとともに、中間後分岐作業や一括融着接続作業を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る間欠連結型テープ心線の連結状態を示す平面図である。
【図2】間欠連結型テープ心線の製造装置の一例を示す概略図である。
【図3】塗布装置の一例を示す図である。
【図4】塗布装置の他の一例を示す図である。
【図5】塗布装置の他の一例を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る間欠連結型テープ心線の連結状態を示す平面図である。
【図7】間欠連結型テープ心線の変形例を示す平面図である。
【図8】間欠連結型テープ心線のほかの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る間欠連結型テープ心線の連結状態を示す平面図である。
図1に示すように、間欠連結型テープ心線1は、4心の光ファイバ素線(光ファイバの周囲に必要最小限の保護被覆を施したもの、以下、光ファイバ)11a〜11dが平行に配列され、隣接する2心の光ファイバの組(11aと11b、11bと11c、11cと11d)がそれぞれ長手方向に間欠的に連結されて構成されている。
【0020】
間欠連結型テープ心線1では、4心の光ファイバ11a〜11dに跨って連結樹脂を連続塗布することにより連結帯12が形成されている。この連結帯12は、長手方向にわたって連続して形成されており、サイン曲線状のように幅方向に往復しながら長手方向に延びる周期形状を有している。連結樹脂には、例えば、UV樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができる。これらの樹脂を光ファイバ11a〜11cの配列面の一方に塗布した後、所定の方法で硬化させることで、連結帯12が形成される。
【0021】
間欠連結型テープ心線1において、連結帯12は、4心の光ファイバ11a〜11dに跨って形成されているので、幅方向の一端側(図1の上側)から他端側(図1の下側)に向かうあいだに光ファイバ11a,11bの接触部位、光ファイバ11b,11cの接触部位、光ファイバ11c,11dの接触部位の3箇所を横切っている。連結帯12において、これらの部位に対応する部分が、隣接する光ファイバ同士を連結する連結部121,122,123となる。連結部121,122及び連結部122,123は、それぞれ幅方向で隣り合い、長手方向で離れた位置関係となる。
【0022】
このように、間欠連結型テープ心線1では、隣接する4心の光ファイバ11a〜11dにおける、幅方向で隣り合い、長手方向で離れている部位(連結部121,122,123)で、連結帯12が光ファイバ11a〜11dを連結している。
また、光ファイバ11a,11bの組に着目すると、連結帯12は、長手方向で離れている2箇所以上の部位121,121・・で、隣接する光ファイバ11a,11bを連結しているといえる。他の光ファイバ11b,11cの組、11c,11dの組についても同様のことがいえる。
【0023】
つまり、間欠連結型テープ心線1では、連続形成された1つの連結帯12により、隣接する4心の光ファイバ11a〜11dが間欠的に連結されているので、連結帯12を形成するために連結樹脂の塗布工程における塗布タイミングを緻密に制御する必要はない。したがって、高線速による製造が可能となり、一括被覆型のテープ心線と同等の製造性が実現されるので、従来の間欠連結型テープ心線に比較して製造コストが格段に低減される。
また、間欠連結型テープ心線としての特徴は損なわれないので、テープ心線を収容した光ファイバケーブルの細径化・高密度化を図ることができるとともに、中間後分岐作業や一括融着接続作業を容易化することができる。
【0024】
また、連結帯12は、幅方向に往復しながら長手方向に延びる周期形状を有しているので、光ファイバ11a〜11dをバランスよく連結できるとともに、簡単な制御(例えば、塗布装置の往復移動制御)で形成することができる。
さらに、連結帯12は、間欠連結型テープ心線1の長手方向にわたって連続して形成されているので、間欠連結型テープ心線1の製造工程中、連結樹脂を間断なく塗布するだけで容易に所望の部位で光ファイバ11a〜11dを連結することができる。
【0025】
なお、間欠連結型テープ心線1においては、連結樹脂を塗布する幅Wが重要なファクターとなる。すなわち、光ファイバ11a〜11dの直径をDとすると、連結樹脂の幅Wは、D/6≦W≦2Dの間であることが好ましい。これは、連結樹脂の幅WがD/6よりも狭いと、隣り合う2心の光ファイバを結合する力が弱く、テープ心線形状を維持できなくなり、連結樹脂の幅Wが2Dよりも広いと、隣り合う3心以上の光ファイバが長手方向に重なった位置で連結されてしまい、柔軟な変形が阻害されてしまうためである。
また、連結帯12の塗布周期(ピッチ)は、10〜500mmであることが好ましい。これは、塗布周期が短すぎると一括被覆型のテープ心線に近づくことで柔軟な変形ができなくなり、塗布周期が長すぎると単心線の部分が多くなり取り扱い性(一括融着接続性など)が悪くなってしまうためである。
【0026】
図2は、間欠連結型テープ心線1の製造装置の一例を示す概略図である。
図2に示すように、製造装置100は、供給ドラム101、集線装置102、塗布装置103、硬化装置104、引取装置105、アキューム装置106、巻取ドラム107を備えて構成されている。
なお、供給ドラム101、集線装置102、引取り装置105、アキューム装置106、巻取ドラム107及び図示略のローラ等により、複数心の光ファイバ11a〜11dを平行に配列して所定の線速で走行させる光ファイバ搬送部が構成される。
【0027】
製造装置100では、供給ドラム101から4心の光ファイバ11a〜11dが個別に繰り出され、集線装置102によって並列に集線される。光ファイバ11a〜11dは並列に集線された状態で走行し、塗布装置103により連結樹脂を塗布され、塗布された連結樹脂が硬化装置104により硬化される。この工程により連結帯12が形成され、間欠連結型テープ心線1となる。
そして、間欠連結型テープ心線1は、引取装置105により所定の線速で引き取られ、アキューム装置106で一定の張力が付加されるように貯線された後、巻取ドラム107に巻き取られる。
【0028】
ここで、塗布装置103により塗布する連結樹脂にはUV樹脂や熱可塑性樹脂が用いられる。連結樹脂がUV樹脂の場合には硬化装置104はUVランプで構成され、熱可塑性樹脂の場合には硬化装置104は水槽等の冷却装置で構成される。
塗布装置103は、例えば、連結樹脂を貯留する樹脂タンクと、樹脂タンクから供給された連結樹脂を光ファイバ11a〜11dに対して塗布する塗布部とを有している。また、塗布装置103は、形成される連結帯12がサイン曲線のような周期形状を描くように構成されている。
【0029】
図3は、塗布装置103の一例を示す図である。図3では、図2における光ファイバ11a〜11dの走行方向に直交する断面を示している。
図3に示す塗布装置103Aでは、並列に集線された光ファイバ11a〜11d上で、連結樹脂を塗布するノズル(塗布部)が幅方向に往復移動する、すなわち光ファイバ11a〜11dと連結樹脂が相対的に往復移動するようになっている。光ファイバ11a〜11dは所定の線速で走行しているので、連結樹脂はサイン曲線を描くこととなる。
【0030】
図4は、塗布装置103の他の一例を示す図である。図4では、図2における光ファイバ11a〜11dの走行方向に直交する断面を示している。
図4に示す塗布装置103Bでは、連結樹脂を塗布するノズル(塗布部)が固定されており、並列に集線された光ファイバ11a〜11dがノズルの下を通過するときに、光ファイバ搬送部によって幅方向に往復移動しながら走行する、すなわち光ファイバ11a〜11dと連結樹脂が相対的に往復移動するようになっている。例えば、集線装置102が幅方向に往復移動することで、ノズル位置において光ファイバ11a〜11dは並列に集線された状態で相対的に往復移動する。光ファイバ11a〜11dは所定の線速で走行しているので、連結樹脂はサイン曲線を描くこととなる。
【0031】
図5は、塗布装置103の他の一例を示す図である。
図5に示す塗布装置103Cは、外周面に連結樹脂を貯留可能なサイン曲線状の溝が形成されたローラ(塗布部)を有している。並列に集線された光ファイバ11a〜11dをローラに圧接させながら走行させるとともに、ローラを回転させることにより、連結樹脂がサイン曲線上に転写される。
【0032】
図3〜5に示す塗布装置103A〜103Cにより、間欠連結型テープ心線の連結帯12を容易に形成することができる。また、塗布装置103A〜103Cは、従来の間欠連結型テープ心線の製造設備に比較して、制御系などを含めて簡易な構成で実現できるため、間欠連結型テープ心線の製造コストを低減することができる。
【0033】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係る間欠連結型テープ心線の連結状態を示す平面図である。
図6に示すように、間欠連結型テープ心線2は、第1実施形態に係る間欠連結型テープ心線1と同様に、4心の光ファイバ21a〜21dが平行に配列され、隣接する2心の光ファイバの組がそれぞれ長手方向に間欠的に連結されて構成されている。
間欠連結型テープ心線2では、4心の光ファイバ11a〜11dに跨って連結樹脂を連続塗布することにより2つの連結帯22a,22bが形成されている点が第1実施形態の間欠連結型テープ心線1と異なる。連結帯22a,22bは同一の周期形状を有し、互いに位相がπだけずれており、両者の交差部分が光ファイバ21b、21cの連結部222となっている。
【0034】
このように、間欠連結型テープ心線2では、隣接する4心の光ファイバ21a〜21dにおける、幅方向で隣り合い、長手方向で離れている部位(連結部221,222,223)で、連結帯22aが光ファイバ21a〜21dを連結している。連結帯22bも同様に、隣接する4心の光ファイバ21a〜21dにおける、幅方向で隣り合い、長手方向で離れている部位(連結部221,222,223)で光ファイバ21a〜21dを連結している。
また、光ファイバ21a,21bの組に着目すると、連結帯22a,22bは、それぞれ長手方向で離れている2箇所以上の部位221,221・・で、隣接する光ファイバ21a,21bを連結しているといえる。他の光ファイバ21b,21cの組、21c,21dの組についても同様のことがいえる。
したがって、間欠連結型テープ心線2は、第1実施形態の間欠連結型テープ心線1と同様の効果を奏することができる上、連結部が増加するので光ファイバ間の結合力を高めることができる。
【0035】
なお、間欠連結型テープ心線2の製造においても、図2に示す製造装置100を用いることができる。図3に示す塗布装置103Aを用いる場合は、連結樹脂を塗布するノズルを長手方向に位相πだけずらして2つ設け、同じように往復移動させればよい。また、図4に示す塗布装置103Bを用いる場合は、連結樹脂を塗布するノズルを長手方向に位相πだけずらして2つ設け、2つのノズル間を含む長さで光ファイバ21a〜21dを平行に往復移動させればよい。また、図5に示すと更装置103Cを用いる場合は、連結樹脂を貯留する溝の形状を、連結帯22a,22bの形状に対応させればよい。
【0036】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では4心テープ心線について説明したが、本発明は2心以上の光ファイバからなる間欠連結型テープ心線に適用できる。具体的には、1つの連結帯が少なくとも2心の隣接する光ファイバに跨って形成され、間欠連結型テープ心線が全体として間欠的に連結されるようになっていればよい。すなわち、複数心の光ファイバからなる間欠連結型テープ心線において、複数の連結部が連続して形成されるようにすることが本発明の本質である。
【0037】
図7は、間欠連結型テープ心線の変形例について示す図である。
図7に示すように、間欠連結型テープ心線3では、連結帯32aが3心の光ファイバ31a〜31cに跨って形成され、光ファイバ31a,31bを連結部321(周期形状の山部分)で連結するとともに、光ファイバ31b,31cを連結部322(周期形状の谷部分)で連結している。また、連結帯32bが3心の光ファイバ31b〜31dに跨って形成され、光ファイバ31b,31cを連結部322(周期形状の山部分)で連結するとともに、光ファイバ31c,31dを連結部323(周期形状の谷部分)で連結している。連結帯32a,32bは同一の周期形状を有し、互いに位相がπだけずれているので、両者の重複部分が光ファイバ31b、31cの連結部322となっており、間欠連結型テープ心線3は全体として間欠的に連結されている。
【0038】
図8は、間欠連結型テープ心線の他の変形例について示す図である。
図8に示すように、間欠連結型テープ心線4では、連結帯42aが3心の光ファイバ41a〜41cに跨って形成され、光ファイバ41a,41bを連結部421で連結するとともに、光ファイバ41b,41cを連結部422(周期形状の谷部分)で連結している。また、連結帯42bが3心の光ファイバ41b〜41dに跨って形成され、光ファイバ41b,41cを連結部422(周期形状の山部分)で連結するとともに、光ファイバ41c,41dを連結部423で連結している。連結帯42a,42bは同一の周期形状を有し、位相も同じとなっているので、両者が重なる部分はないが、間欠連結型テープ心線4は全体として間欠的に連結されている。
【0039】
このように、複数の連結帯を組み合わせたり、連結帯の形状を工夫したりすることにより、間欠連結型テープ心線を全体として間欠的に連結することができる。つまり、本発明において、連結帯の本数、形状は特に制限されない。
【0040】
また例えば、上記実施形態では、連結帯の形状を周期形状の一つであるサイン曲線状とした場合について示しているが、矩形波、ジグザグ波又は台形波等の一般的な周期形状、さらにはこれらの周期形状の一部が欠損した形状としてもよい。また、連結帯の形状が周期形状となっていない場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0041】
なお、間欠連結型テープ心線の製造工程における線速や、塗布装置のノズル(図3,4参照)の数や往復移動速度又は塗布装置のローラ(図5参照)に形成される溝の形状を適宜設定することで、連結帯を様々な態様で形成することができる。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 間欠連結型テープ心線
11a〜11d 光ファイバ
12 連結帯
121〜123 連結部
100 製造装置
101 供給ドラム
102 集線装置
103 塗布装置
104 硬化装置
105 引取装置
106 アキューム装置
107 巻取ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数心の光ファイバが平行に配列され、隣接する光ファイバが長手方向に間欠的に連結されてなる光ファイバテープ心線であって、
少なくとも2心の隣接する光ファイバに跨って連結樹脂を連続塗布することにより形成された連結帯を備え、この連結帯が長手方向に離れている2箇所以上の部位で、隣接する光ファイバを連結していることを特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項2】
前記連結帯は、隣接する3心以上の光ファイバに跨って連結樹脂を連続塗布することにより形成され、前記隣接する3心以上の光ファイバにおける、幅方向で隣り合い、長手方向で離れている部位で、前記隣接する3心以上の光ファイバを連結することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項3】
前記連結帯は、幅方向に往復しながら長手方向に延びる周期形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項4】
前記連結帯を複数備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項5】
前記連結帯は、当該光ファイバテープ心線の長手方向にわたって連続して形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造方法であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させるとともに、前記複数の光ファイバと前記連結樹脂とを幅方向に相対的に往復移動させながら、前記複数心の光ファイバ上に前記連結樹脂を連続塗布することを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項7】
請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造方法であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させながら、前記複数心の光ファイバ上に、前記連結帯の形状を保持した状態で貯留された前記連結樹脂を転写することを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項8】
請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造装置であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させる光ファイバ搬送部と、
前記連結樹脂を前記複数心の光ファイバ上に塗布する連結樹脂塗布部と、を備え、
前記連結樹脂塗布部は、前記複数心の光ファイバ上を幅方向に往復移動可能に構成されていることを特徴とする光ファイバテープ心線の製造装置。
【請求項9】
請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造装置であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させる光ファイバ搬送部と、
前記連結樹脂を前記複数心の光ファイバ上に塗布する連結樹脂塗布部と、を備え、
前記光ファイバ搬送部は、前記複数心の光ファイバが前記連結樹脂塗布部を通過するときに、前記複数心の光ファイバを幅方向に往復移動させながら走行可能に構成されていることを特徴とする光ファイバテープ心線の製造装置。
【請求項10】
請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバテープ心線の製造装置であって、
前記複数心の光ファイバを平行に配列して所定の線速で走行させる光ファイバ搬送部と、
前記連結樹脂を前記複数心の光ファイバ上に塗布する連結樹脂塗布部と、を備え、
前記連結樹脂塗布部は、外周面に前記連結帯の形状に樹脂貯留部が形成された回転ローラを有し、前記複数心の光ファイバが当該連結樹脂塗布部を通過するときに、前記複数心の光ファイバと前記回転ローラが当接することで前記連結樹脂を前記連結帯の形状で前記複数心の光ファイバ上に転写することを特徴とする光ファイバテープ心線の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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