説明

光ファイバー用コンセント

【課題】光ファイバーケーブルを引っ張る等外部からの力が加わっても雌側の光コネクタが固定されている部分が緩むことのない光ファイバー用コンセントを提供する。
【解決手段】雄側の光コネクタである光プラグ1が抜き差し可能な雌側の光コネクタである光レセプタクル2を箱状のケース3内に収納した光ファイバー用コンセントであって、光ファイバーケーブル10の外皮及び光ファイバーケーブル10の先端に取り付けられたプラグ10aの後端を把持する外皮把持部6と、光レセプタクル2及び外皮把持部6をそれぞれ固定する固定手段とをケース3内に備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面のような施工面に露出した形で設置される光ファイバー用コンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁や床等の施工面に取り付けられる光ファイバー用コンセントとして、例えば特許文献1に開示されているようなものがあった。この光ファイバー用コンセントは、ボディと、該ボディの前方へ突出自在にボディの前部に装着され、ボディに光ファイバー用レセプタクルを収納した状態で前面が壁等の造営材の取付面と平行する平坦面となるカバーと、カバーに取り付けられてカバーの前方突出時にプラグ接続口をボディ外に臨ませる光ファイバー用レセプタクルと、カバーをボディの前方へ突出させる方向に常時付勢する付勢手段及びボディ内に光ファイバー用レセプタクルを収納した状態を保持する保持手段から成り、該保持手段の保持が解除された時にカバーをボディ前方へ突出させるポップアップ機構とから成る。
【特許文献1】特開2005−70340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例では、光ファイバー用レセプタクル(雌側の光コネクタ)のみがカバーに固定されているので、光ファイバーケーブルを引き回したり足を引掛ける等の外部からの力が加わった場合に、光ファイバーケーブルに引張り力が働いて雌側の光コネクタが固定されている部分に緩みが生じるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、光ファイバーケーブルを引っ張る等外部からの力が加わっても雌側の光コネクタが固定されている部分が緩むことのない光ファイバー用コンセントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、雄側の光コネクタが抜き差し可能な雌側の光コネクタを箱状のケース内に収納した光ファイバー用コンセントであって、光ファイバーケーブルの外皮及び雌側の光コネクタを把持する外皮把持部と、雌側の光コネクタ及び外皮把持部をそれぞれ固定する固定手段とをケース内に備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ケースは、各々一面が開口された箱体から成るボディ及びカバーのそれぞれの開口面を突き合わせて構成され、固定手段として、雄側の光コネクタを抜き差しする方向と直交し且つボディ及びカバーの結合する方向において雌側の光コネクタ及び外皮把持部を挟持して固定する固定部をボディ及びカバーにそれぞれ備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、固定手段として、雄側の光コネクタを抜き差しする方向とボディ及びカバーの結合する方向の何れとも直交する方向において雌側の光コネクタ及び外皮把持部と当接する当接部をボディ及びカバーの少なくとも何れか一方に備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、固定手段として、雄側の光コネクタを抜き差しする方向において外皮把持部と当接する止め部をボディ及びカバーの少なくとも何れか一方に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、雄側の光コネクタが抜き差し可能な雌側の光コネクタを箱状のケース内に収納した光ファイバー用コンセントであって、光ファイバーケーブルの外皮及び雌側の光コネクタを把持する外皮把持部と、雌側の光コネクタ及び外皮把持部をそれぞれ固定する固定手段とをケース内に備えたので、光ファイバーケーブルを引張る等の外部からの力が加わっても雌側の光コネクタ及び外皮把持部が固定されている部分に緩みが生じにくい。
【0010】
請求項2の発明によれば、ケースは、各々一面が開口された箱体から成るボディ及びカバーのそれぞれの開口面を突き合わせて構成され、固定手段として、雄側の光コネクタを抜き差しする方向と直交し且つボディ及びカバーの結合する方向において雌側の光コネクタ及び外皮把持部を挟持して固定する固定部をボディ及びカバーにそれぞれ備えたので、雌側の光コネクタ及び外皮把持部を雄側の光コネクタを抜き差しする方向と直交し且つボディ及びカバーの結合する方向において雌側の光コネクタ及び外皮把持部をより確実に固定することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、固定手段として、雄側の光コネクタを抜き差しする方向とボディ及びカバーの結合する方向の何れとも直交する方向において雌側の光コネクタ及び外皮把持部と当接する当接部をボディ及びカバーの少なくとも何れか一方に備えたので、雄側の光コネクタを抜き差しする方向とボディ及びカバーの結合する方向と何れとも直交する方向において雌側の光コネクタ及び外皮把持部をより確実に固定することができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、固定手段として、雄側の光コネクタを抜き差しする方向において外皮把持部と当接する止め部をボディ及びカバーの少なくとも何れか一方に備えたので、雄側の光コネクタを抜き差しする方向において雌側の光コネクタ及び外皮把持部をより確実に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、ボディ4の長手方向において、図1における手前側を前方向、奥側を後方向とし、ボディ4の短手方向において、図1における手前側を右方向、奥側を左方向とし、図1における上下方向を上下方向と定める。
【0014】
本実施形態の光ファイバー用コンセントは、図1に示すように、雄側の光コネクタである光プラグ1(図4参照)が抜き差し可能な雌側の光コネクタである光レセプタクル2をケース3に収納して構成される。ケース3は合成樹脂材料により略直方体状に形成されるもので、壁面などの施工面に下面を対向させる形で固定されるとともに上面側に光レセプタクル2が装着されるボディ4と、ボディ4及び光レセプタクル2の上面側を覆う形でボディ4に着脱自在に結合されるカバー5とで構成される。
【0015】
光プラグ1及び光レセプタクル2は、例えばSC形光コネクタ(JIS C5973で規定されたF04形単心光ファイバコネクタ)を構成するもので、スライドロック構造のプッシュオン形締結構造を備えている。尚、光プラグ1は周知であって本発明の要旨に関わるものではないので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0016】
光レセプタクル2は、略直方体状のハウジング20の内部に、図示しないがフェルール、スリーブ、割りスリーブ等を収納して成る。ハウジング20は、前部側の外周面が後部側の外周面より突出して形成され、ハウジング20の前面には光プラグ1が抜き差し可能な開口部21が設けられている。ハウジング20の後面には、光ファイバーケーブル10の先端に取り付けられたプラグ10aを抜き差し可能なケーブル用開口部22が設けられており、該ケーブル接続口22にプラグ10aを挿入することで光プラグ1と光学的に接続される(図2(b)参照)。尚、本実施形態では光ファイバーケーブル10を光レセプタクル2に接続するために、施工性を考慮して光ファイバーケーブル10の先端に取り付けられたプラグ10aを光レセプタクル2に装着するようにしており、該プラグ10aを含めて雌側の光コネクタを構成している。プラグ10aには、該プラグ10aの後部と光ファイバーケーブル10の外皮とを覆う略直方体状の外皮把持部6が取付けられており、光ファイバーケーブル10とプラグ10aとの連結部を固定している。またハウジング20の前部側の外周面の後方における左右両側には、外側に突出するフランジ23が設けられている。
【0017】
ボディ4は、上面が開口した箱体に形成され、前面には上方に突出する正面壁40が突設され、正面壁40の中央には矩形状の開口窓40aが設けられている。ボディ4の前方には光レセプタクル2が装着される装着部41が形成され、ボディ4の短手方向における装着部41の前方の左右両側には、上方へ突出する平板状の主片43aと、主片43aの上端縁よりボディ4の内側に向けて突出する係止突片43bとから成る鈎形の係止片43がそれぞれ2つずつ、計4つ形成されている。これら係止片43の間に光レセプタクル2のフランジ43を上方からそれぞれスライドして嵌合し、係止突片43bによってハウジング20を係止することで光レセプタクル2が装着部41に装着される。尚、光レセプタクル2は、ボディ4の開口窓40aを通して光レセプタクル2の開口部21に光プラグ1を抜き差しできるように装着される。ボディ4の後面には、複数箇所(図示では3箇所)にノックアウト部46が設けられており、何れかのノックアウト部46を切り取ることで孔部を開口し、外部からの光ファイバーケーブル10をケース3内に導くためのケーブル挿通孔としている。
【0018】
また、装着部41の後方の左右両側にはそれぞれボス部42が形成され、各ボス部42にはボディ4を上下に貫通する取付孔42aがそれぞれ形成されている。この取付孔42aを通してネジ(図示せず)を木質壁などの施工面(図示せず)に螺合することでボディ4を施工面に固定する。尚、施工面がスチール製である場合(例えば、事務机等に取り付ける場合)には、ボディ4の背面に着脱自在に取り付けられるマグネット(図示せず)を施工面に磁着させればよい。
【0019】
カバー5は、下面が開口した箱体に形成され、光レセプタクル2が装着された状態のボディ4の上面側を覆っている。カバー5の前面側の周壁には短手方向全長に渡る開口部50が設けられている。
【0020】
次に、本実施形態におけるボディ4とカバー5の結合構造について説明する。図1に示すように、ボディ4の長手方向に沿った両端部の正面壁40寄りの部位には、カバー5が被さる被着面(上面)と一定の間隔を空けて対向し且つボディ4の長手方向と略平行に延長されたレール部44がそれぞれ上方へ突設されている。このレール部44は、上方へ突出する平板状の主片44aと、主片44aの上端縁よりボディ4の外側に向けて突出する係合突片44bとを有する鈎形に形成されている。
【0021】
一方、カバー5の長手方向に沿った両端部の内側面には、カバー5をボディ4の上面に沿って長手方向にスライド移動させたときにレール部44の係合突片44bと係合する係合片(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0022】
したがって、係合片が係合突片44bと重ならないようにしてボディ4の上面にカバー5を被せた状態でボディ4の正面壁40に近付く向き(以下、「装着向き」と呼ぶ)にカバー5をスライド移動させると、係合片と係合突片44bとが係合することでボディ4にカバー5を装着して両者を結合することができる(図3参照)。また、カバー5をボディ4から取り外すには、カバー5を装着向きと逆向きにスライド移動させて係合片と係合突片44bとの係合状態を解除することにより、カバー5をボディ4から取り外すことができる。
【0023】
また、カバー5をスライド移動させてボディ4の上面に被着した状態でロックされ、ケース3の上下方向及び左右方向に沿ってボディ4の上面からカバー5が離脱するのを防ぐロック手段がボディ4及びカバー5に設けてある。このロック手段は、カバー5に設けられた一対のロック用突部(図示せず)と、ボディ4に設けられ、カバー5をスライド移動させたときにロック用突部と各別に嵌合する一対のロック用嵌合部45とから成る。
【0024】
ロック用突部は、カバー5の後面側の周壁に長手方向内向きに突出する形で突設されている。ロック用嵌合部45は、ボディ4の後面に当接して上方に突設されており、それぞれボディ4の長手方向外向きに開口するロック用嵌合孔(図示せず)が形成されている。
【0025】
而して、ボディ4の上面に被せた状態でカバー5を装着向きにスライド移動すると、カバー5のロック用突部がボディ4のロック用嵌合部45に形成されたロック用嵌合孔と係合するので、ボディ4及びカバー5の結合強度が強くなる。
【0026】
以下、本実施形態における光レセプタクル2及び外皮把持部6をそれぞれ固定する固定手段について図2を用いて説明する。図2(a)に示すように、ボディ4の各ボス部42の後方には、平面視略コ字状の当接部8がそれぞれ上方に突設されており、これら当接部8は、光レセプタクル2が装着された状態において外皮把持部6を挟持する。したがって、外皮把持部6を左右方向において固定することができる。
【0027】
また、図2(b)に示すように、ボディ4には、ボディ4の長手方向に沿って設けられた複数の突条(図示では3つ)から成る固定部7が、カバー5には、図示しないがカバー5の長手方向に沿って設けられた複数の突条(本実施形態では2つ)から成る固定部7がそれぞれ形成されている。これら突条は左右方向において等間隔に設けられ、階段状に形成されている。具体的には、ボディ4の固定部7の突条は、ボディ4とカバー5が結合している状態において、前部が光レセプタクル2のハウジング20後部の下面と、後部が外皮把持部6の下面と当接するように形成され、カバー5の固定部7の突条は、ボディ4とカバー5が結合している状態において、前部が光レセプタクル2のハウジング20前部の上面と、中央部が光レセプタクル2のハウジング20後部の上面と、後部が外皮把持部6の上面と当接するように形成されている。したがって、光レセプタクル2及び外皮把持部6と上下方向に当接することで挟持し、光レセプタクル2及び外皮把持部6を上下方向において固定することができる。
【0028】
さらに、カバー5の固定部7の後方には、図2(b)に示すように、下方に突設する止め部9が設けられており、該止め部9は、ボディ4とカバー5が結合している状態において、外皮把持部6の後面と当接する。したがって、外皮把持部6を前後方向において固定することができる。
【0029】
上述のように、固定部7、当接部8、止め部9を設けることで、光レセプタクル2及び外皮把持部6を確実に固定することができ、したがって光ファイバーケーブル10を引張る等して生じる外力によって光レセプタクル2及び外皮把持部6の固定されている部分が緩むのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の光ファイバー用コンセントを示す分解斜視図である。
【図2】同上を示す図で、(a)は上面透視図で、(b)はA−A線断面矢視図で、(c)は裏面図で、(d)は正面図である。
【図3】同上の全体斜視図である。
【図4】同上の光プラグを取り付けた場合を示す図で、(a)は上面図で、(b)は右側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 雄側の光コネクタ(光プラグ)
2 雌側の光コネクタ(光レセプタクル)
3 ケース
4 ボディ
5 カバー
6 外皮把持部
7 固定部
8 当接部
9 止め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄側の光コネクタが抜き差し可能な雌側の光コネクタを箱状のケース内に収納した光ファイバー用コンセントであって、光ファイバーケーブルの外皮及び雌側の光コネクタを把持する外皮把持部と、雌側の光コネクタ及び外皮把持部をそれぞれ固定する固定手段とをケース内に備えたことを特徴とする光ファイバー用コンセント。
【請求項2】
前記ケースは、各々一面が開口された箱体から成るボディ及びカバーのそれぞれの開口面を突き合わせて構成され、前記固定手段として、雄側の光コネクタを抜き差しする方向と直交し且つボディ及びカバーの結合する方向において雌側の光コネクタ及び外皮把持部を挟持して固定する固定部をボディ及びカバーにそれぞれ備えたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバー用コンセント。
【請求項3】
前記固定手段として、雄側の光コネクタを抜き差しする方向とボディ及びカバーの結合する方向の何れとも直交する方向において雌側の光コネクタ及び外皮把持部と当接する当接部をボディ及びカバーの少なくとも何れか一方に備えたことを特徴とする請求項2記載の光ファイバー用コンセント。
【請求項4】
前記固定手段として、雄側の光コネクタを抜き差しする方向において外皮把持部と当接する止め部をボディ及びカバーの少なくとも何れか一方に備えたことを特徴とする請求項2記載の光ファイバー用コンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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