光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続装置および光ファイバの接続方法
【課題】メカニカルスプライスに接続された光ファイバの破損を確実に防ぎ、取り扱い性を良好にすることができる光ファイバ接続用ユニットを提供する。
【解決手段】光ファイバケーブル24の端末から引き出された延出光ファイバ21を、メカニカルスプライス30の一端側で把持固定するとともに、メカニカルスプライス30の他端側で半割りの素子の間に介挿部材81を割り入れた延出光ファイバ付きスプライス20と、延出光ファイバ付きメカニカルスプライス20を保持するユニットベース40とを備えた光ファイバ接続用ユニット10。ユニットベース40は、基体50と、基体50に設けられてメカニカルスプライス30を保持するスプライスホルダ部60と、基体50に設けられて光ファイバケーブル24の端末の外被25を把持する外被把持部70とを有する。
【解決手段】光ファイバケーブル24の端末から引き出された延出光ファイバ21を、メカニカルスプライス30の一端側で把持固定するとともに、メカニカルスプライス30の他端側で半割りの素子の間に介挿部材81を割り入れた延出光ファイバ付きスプライス20と、延出光ファイバ付きメカニカルスプライス20を保持するユニットベース40とを備えた光ファイバ接続用ユニット10。ユニットベース40は、基体50と、基体50に設けられてメカニカルスプライス30を保持するスプライスホルダ部60と、基体50に設けられて光ファイバケーブル24の端末の外被25を把持する外被把持部70とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続装置および光ファイバの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバホルダに保持された光ファイバをメカニカルスプライス(光ファイバ接続器)に挿入してその内部で突き合わせ接続する光ファイバ接続工具が記載されている。
特許文献2には、光コネクタのクランプ部の半割りの素子間に割り込ませて素子間を開放しておく介挿部材と、左右から側圧によって上下寸法が増大するように変形させることで、上下の一方にある第1可動端部が介挿部材と係合して上下の他方に配置された光コネクタの素子間から介挿部材を引き抜く介挿部材駆動部とを具備する光コネクタ用工具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−003218号公報
【特許文献2】特開2006−227575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端末から光ファイバを引き出しメカニカルスプライスを取り付けた光ファイバケーブルを光接続箱などへの収納作業などのために取り扱う際には、光ファイバに破損が起こらぬように十分に留意する必要があるため、作業は容易ではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、端末から引き出した光ファイバの破損を確実に防ぎ、光ファイバケーブルの取り扱い性を良好にすることができる光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続装置および光ファイバの接続方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、光ファイバケーブルの端末から引き出された延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、前記ユニットベースは、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有する光ファイバ接続用ユニットを提供する。
前記スプライスホルダ部と前記外被把持部とは互いに離隔して形成され、これらの間の延出光ファイバにたわみが形成されていることが好ましい。
本発明は、前記基体が基板部であり、前記スプライスホルダ部と前記外被把持部とが前記基板部の一方の面側に設けられている光ファイバ接続用ユニットを提供する。
本発明は、前記スプライスホルダ部が、前記メカニカルスプライスを保持する複数の突壁部を有し、該突壁部に、前記突壁部間に収納した前記メカニカルスプライスに係合して浮き上がりを規制する係止爪が突設されている光ファイバ接続用ユニットを提供する。
前記外被把持部は、前記基体に一体的に形成されていることが好ましい。
【0006】
本発明は、前記光ファイバ接続用ユニットと、前記光ファイバ接続用ユニットを保持するユニット保持部材とを備え、前記ユニット保持部材は、前記延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部に形成されたレール部上で、前記ファイバホルダに接近する方向にスライド移動可能である移動ユニットを提供する。
【0007】
本発明は、光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、前記光ファイバ接続用ユニットは、前記延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、
前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、前記ユニットベースが、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有し、前記装置基部は、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている光ファイバ接続装置を提供する。
【0008】
本発明は、光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、前記光ファイバ接続用ユニットが、前記延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、前記ユニットベースが、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有し、前記装置基部が、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている光ファイバ接続装置を用い、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、前記レール部に沿って互いに接近する方向にスライド移動させることで、該ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記延出光ファイバに突き当てる光ファイバの接続方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スプライスホルダ部と外被把持部とが共通の基体に設けられているため、光ファイバケーブルの端末とスプライスとの相対位置が常に一定となる。このため、光ファイバ接続箱等への収納作業などの際に、前記端末とスプライスとの間の光ファイバに過大な力が加えられることがなく、破損を防ぐことができる。従って、取り扱い性が良好となる。
また、本発明の光ファイバ接続用ユニットは、構造が簡単であるため小型化が可能であることから、そのまま光接続箱(光成端箱等)に収納して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の光ファイバ接続用ユニットを用いた光ファイバ接続装置を示す斜視図である。
【図2】図1の光ファイバ接続用ユニットを示す斜視図である。
【図3】図1の光ファイバ接続用ユニットを示す平面図である。
【図4】図1の光ファイバ接続用ユニットからスプライス用工具を外した状態を示す斜視図である。
【図5】図1の光ファイバ接続用ユニットのユニットベースを示す斜視図である。
【図6】図1の光ファイバ接続用ユニットのメカニカルスプライスを示す斜視図である。
【図7】図6のメカニカルスプライスの構造を説明する分解斜視図である。
【図8】図6のメカニカルスプライスにおけるピグテイルの挿入、把持状態を説明する断面図である。
【図9】図6のメカニカルスプライスの中蓋部材とベース部材との間、及び前蓋部材とベース部材との間を、スプライス用工具の介挿部材を割り込ませて開放した介挿部材付きスプライスの一例を説明する正断面図である。
【図10】図9の介挿部材付きスプライスのスプライス用工具付近を示す側断面図である。
【図11】図9の介挿部材付きスプライスのスプライス用工具の一対の係合壁部の先端間を開放させた状態を示す図である。
【図12】図1の光ファイバ接続用ユニットを示す側面図である。
【図13】外被把持部の平面図である。
【図14】図13の外被把持部の平面図であり、蓋体を開放した状態の平面図である。
【図15】図13の外被把持部の断面図であり、図13のA1−A1断面図である。
【図16】図13の外被把持部の後面図である。
【図17】図13の外被把持部の斜視図である。
【図18】外被把持部の他の例の後面図である。
【図19】光ファイバケーブルの一例の構造を示す斜視図である。
【図20】図1の光ファイバ接続装置の基部本体を示す斜視図である。
【図21】図1の光ファイバ接続装置のスライダを示す斜視図である。
【図22】図1の光ファイバ接続装置に使用されるファイバホルダを示す斜視図である。
【図23】図21のファイバホルダの動作を説明する斜視図である。
【図24】図1の光ファイバ接続装置の動作を説明する斜視図である。
【図25】図1の光ファイバ接続用ユニットの使用例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態である光ファイバ接続用ユニット10を用いた光ファイバ接続装置100について、図面を参照して説明する。
図1〜図3および図12に示すように、光ファイバ接続装置100は、光ファイバケーブル24の一方の端末24aに取り付けられる光ファイバ接続用ユニット10と、端末24aから引き出された延出光ファイバ21に突き合わせる挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90を保持する装置基部110と、を備えている。
【0012】
光ファイバ接続用ユニット10は、延出光ファイバ付きメカニカルスプライス20(以下、延出光ファイバ付きスプライス20とも言う)と、延出光ファイバ付きスプライス20を保持するユニットベース40とを備えている。
図12に示すように、延出光ファイバ付きスプライス20は、光ファイバケーブル24の一方の端末24aから引き出された延出光ファイバ21(以下、単に光ファイバ21とも言う)が、メカニカルスプライス30(以下、単にスプライスとも言う)に把持固定されて構成されている。
光ファイバ21は、端末24aとスプライス30との間に、挿入光ファイバ1に対して十分な突き当て力を得ることができる程度のたわみを有することが好ましい。
光ファイバケーブル24の他方の端末24bには、光コネクタ22が取り付けられている。
【0013】
スプライス30の長手方向片端から延出させた部分の光ファイバ21、光ファイバケーブル24および光コネクタ22をコネクタ付きピグテイル23ということがある。すなわち、延出光ファイバ付きスプライス20は、コネクタ付きピグテイル23がスプライス30から延出した構成である。
スプライス30は、その半割り把持部材34に介挿部材81を割り入れて取り付けたスプライス用工具80を有している。
なお、光ファイバ接続用ユニット10については、図1および図2における上側を上、下側を下として説明する。
【0014】
図6、図7、図8および図12に示すように、延出光ファイバ付きスプライス20のメカニカルスプライス30は、細長板状のベース部材31と、該ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323によって構成される押さえ蓋32とを、断面コ字形あるいはC形(図示例では断面コ字形)で延在する細長形状のクランプばね33の内側に一括保持した構成になっている。
このスプライス30は、ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材321、322、323(蓋側素子)とからなる半割り把持部材34を有する。ベース部材31と蓋部材321、322、323とは、クランプばね33の弾性によって互いに閉じ合わせ方向に弾性付勢されている。
【0015】
図6〜図8および図12に示すように、延出光ファイバ付きスプライス20の前記光ファイバ21の端部は、スプライス30の細長形状の半割り把持部材34の長手方向片端から長手方向中央部まで挿入されている。
前記光ファイバ21を、以下、延出光ファイバ、この光ファイバ21の前記半割り把持部材34を構成するベース部材31と押さえ蓋32との間に挿入された部分を、以下、挿入端部とも言う。
【0016】
本明細書では、スプライス30について、その長手方向において、コネクタ付きピグテイル23が延出されている側を後、反対側を前として説明する。前記コネクタ付きピグテイル23は、スプライス30の半割り把持部材34の後端から延出している。
【0017】
スプライス30の押さえ蓋32を構成する3つの蓋部材(蓋側素子)321、322、323のうち、最も後側に位置する符号321の蓋部材を、以下、後蓋部材、最も前側に位置する符号323の蓋部材を、以下、前蓋部材とも言う。また、後蓋部材321と前蓋部材323との間に位置する符号322の蓋部材を、以下、中蓋部材とも言う。
【0018】
図6〜図8に示すように、断面コ字状のクランプばね33は、1枚の金属板を成形したものであって、細長板状の背板部33aの両側から、該背板部33aの長手方向全長にわたって、背板部33aに垂直に側板部33bが張り出された構成になっている。スプライス30のベース部材30及び3つの蓋部材321、322、323は、その互いに対向する対向面31a、321a、322a、323aが、クランプばね33の一対の側板部33bの間隔方向に概ね垂直となる向きで一対の側板部33bの間に把持されている。一対の側板部33bの一方はベース部材31に当接し、他方の側板部33bは押さえ蓋32に当接する。
【0019】
延出光ファイバ21の挿入端部は、その先端がスプライス30のベース部材31と中蓋部材32との間に配置され、該先端から光コネクタ22側(延出端部側)の部分がスプライス30のベース部材31と後蓋部材31との間に把持固定されている。
延出光ファイバ付きスプライス20は、スプライス30の前側からベース部材31と中蓋部材32との間に光ファイバ1を挿入することで、該光ファイバ1(以下、挿入光ファイバとも言う)の先端を延出光ファイバ21先端(挿入端部先端)に突き合わせ接続できる。また、この延出光ファイバ付きスプライス20は、スプライス30の半割りの素子の間、すなわちベース部材31(ベース側素子)と押さえ蓋32(蓋側素子)との間に、前記延出光ファイバ21と該光ファイバ21に突き当てた光ファイバとを、前記クランプばね33の弾性によって把持固定できる。
【0020】
図18に示すように、光ファイバケーブル24は、例えば光ファイバ21を該光ファイバ21に縦添えした一対の線状の抗張力体26とともに樹脂被覆材25(以下、外被とも言う)中に埋め込んで一体化した構成の断面略長方形の光ファイバケーブルであり、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等として用いられるものである。
光ファイバ21は光ファイバケーブル24の断面中央部に配置され、一対の抗張力体26は光ファイバ21から光ファイバケーブル24の断面長手方向両側に離隔した位置に配置されている。光ファイバ21は、例えば光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆光ファイバである。
【0021】
延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1は光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである。図示例では、延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1として、単心の光ファイバ心線を採用している。
延出光ファイバ21の挿入端部先端(前端)には、裸光ファイバ21aが口出しされている。スプライス30での延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続は、挿入光ファイバ1先端に口出しした裸光ファイバ1aと延出光ファイバ21の挿入端部先端の裸光ファイバ21aとの突き合わせによって実現される。
【0022】
図7、図8に示すように、スプライス30のベース部材31には、その長手方向全長にわたって、蓋部材321、322、323に対向する対向面31aが延在形成されている。このベース部材31の前記対向面31aの長手方向(延在方向)中央部には、延出光ファイバ21先端に口出しされた裸光ファイバ21aと挿入光ファイバ1先端に口出された裸光ファイバ1aとを突き合わせ接続(光接続)可能に互いに高精度に位置決め、調心するための調心溝31bが形成されている。この調心溝31bは、ベース部材31の長手方向に沿って延在形成されたV溝である。但し、調心溝31bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0023】
前記調心溝31bは、ベース部材31の前記対向面31aの中蓋部材323に対向する部分に形成されている。
ベース部材31の前記対向面31aの後蓋部材321に対向する部分及び前蓋部材323に対向する部分には、前記調心溝31bに比べて溝幅が大きい被覆部挿入溝31c、31dが形成されている。被覆部挿入溝31c、31dは、ベース部材31長手方向において前記調心溝31bの両側に、ベース部材31長手方向に沿って延在形成されている。
被覆部挿入溝31c、31dと調心溝31bとの間には、被覆部挿入溝31c、31dから調心溝31b側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状のテーパ溝31e、31fが形成されている。各被覆部挿入溝31c、31dは、前記テーパ溝31e、31fを介して調心溝31bと連通されている。
図示例のスプライス30において、被覆部挿入溝31c、31dはV溝である(被覆部挿入溝31dについて図9参照)。但し、被覆部挿入溝31c、31dとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0024】
延出光ファイバ21の挿入端部は、裸光ファイバ21a外周が被覆21bによって覆われた部分である被覆部を、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する対向面31a、321aにそれぞれ形成された被覆部挿入溝31c、321bに挿入し、前記被覆部の端末から突出する裸光ファイバ21aを前記調心溝31bに挿入して、ベース部材31と押さえ蓋32との間に設けられている。
そして、延出光ファイバ21の挿入端部は、前記被覆部が、後蓋部材321とベース部材31との間に、クランプばね33の弾性によって把持固定されている。
【0025】
後蓋部材321の被覆部挿入溝31cは、後蓋部材321の対向面321aにおける、ベース部材31の被覆部挿入溝31cに対応する位置に形成されている。また、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、延出光ファイバ21の被覆部外径に鑑みて、後蓋部材321とベース部材31との間に延出光ファイバ21の被覆部をしっかりと把持固定できるように、その深さが調整されている。すなわち、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、その深さの合計が延出光ファイバ21の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0026】
図7、図8に示すように、調心溝31bの前側に形成された被覆部挿入溝31dには、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1a外周が被覆1bによって覆われた部分である被覆部が挿入される。
また、図示例のスプライス30は、前蓋部材323の対向面323aにも、ベース部材31の被覆部挿入溝31dに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝323bが形成されている。挿入光ファイバ1は、その先端に、予め裸光ファイバ1aを口出しした状態で、スプライス30前側から被覆部挿入溝31d、323bに挿入される。
【0027】
図10に示すように、スプライス用工具80は介挿部材81を2つ有している。
2つの介挿部材81は、一方(図中符号81Aを付記する)が、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿され、他方(図中符号81Bを付記する)が前蓋部材323とベース部材31との間に介挿されている。スプライス30の前蓋部材323とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間は、前記介挿部材81A、81Bによってクランプばね33の弾性に抗して開放されている。
後蓋部材321とベース部材31との間、及び中蓋部材322の後端部とベース部材31との間には、介挿部材81は介挿されていない。
なお、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Aを、以下、第1介挿部材、前蓋部材323とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Bを、以下、第2介挿部材とも言う。
【0028】
図8に示すように、前蓋部材323とベース部材31との間は、スプライス30前側から、被覆部挿入溝31d、323bに挿入光ファイバ1の被覆部を楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。中蓋部材322前端部とベース部材31との間は、挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aを調心溝31bに楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。
【0029】
図示例のスプライス用工具80の介挿部材81は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に、板状に形成された先端部81aを割り込ませている。
前蓋部材323とベース部材31との間、及び中蓋部材322前端部とベース部材31との間の開放量は、介挿部材81の板状の先端部81aの厚み寸法によって設定される。
第1介挿部材81Aによって開放された、中蓋部材322前端部とベース部材31との間の離隔距離は、裸光ファイバ21a、1aが調心溝31bと中蓋部材322の対向面322aとの間から離脱しない範囲に設定される。
第2介挿部材81Bによって開放された、前蓋部材323とベース部材31との間の離隔距離は、挿入光ファイバ1(その被覆部)が被覆部挿入溝31d、323bの間から離脱しない範囲に設定される。
【0030】
なお、介挿部材としては、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませる先端部(介挿片部)が板状になっているものに限定されない。
介挿部材の介挿片部としては、例えばシート状のもの、ロッド状のもの等も採用可能である。
【0031】
図9に例示した介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部として、板状の先端部81aを有する。以下、介挿部材本体83の板状の先端部81aを介挿片部とも言う。
介挿部材本体83の介挿片部81a以外の部分は、該介挿片部81aに比べて板厚(厚み寸法)が大きい板状に形成されている。
また、介挿部材81の板状の介挿片部81aは、その先端が先細りのテーパ状に形成されている。この介挿部材81は、スプライス30の半割り把持部材34から抜き去った後に、その介挿片部81aを、ベース部材31と押さえ蓋32との間に押し込んで割り込ませる(介挿部材付きスプライスを組み立てる)ことが可能である。
また、光ファイバ接続用ユニット10は、スプライス30から介挿部材を取り外した状態で現場に供給し、現場にて、スプライス30の中蓋部材322とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間にそれぞれ介挿部材の介挿片部を割り込ませて介挿部材付きスプライスを組み立てても良い。
【0032】
前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、前蓋部材323とベース部材31との間から介挿部材81Bを抜き去ったときに、前蓋部材323とベース部材31との間に挿入光ファイバ1の被覆部をしっかりと把持固定できるように、挿入光ファイバ1の被覆部外径に鑑みてその深さが調整されている。すなわち、前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、その深さの合計が挿入光ファイバ1の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0033】
図示例のスプライス30において、後蓋部材321、前蓋部材323の被覆部挿入溝321b、323bはV溝である(前蓋部材323の被覆部挿入溝323bについて図9参照)。但し、被覆部挿入溝321b、323bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
また、被覆部挿入溝は、必ずしも、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の両方に形成する必要はない。スプライスとしては、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
このことは、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分についても同様であり、スプライスとしては、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
【0034】
図7、図8に示すように、中蓋部材322は、ベース部材31長手方向に沿う方向を長手方向とする細長板状に形成されている。この中蓋部材322は、既述のように、その前端部が第1介挿部材81Aによってベース部材31に対して開放されている。中蓋部材322の前端部から後側の部分とベース部材31との間には介挿部材は介挿されていない。中蓋部材322は、図8に示すように、その後側から前側に行くにしたがってベース部材31からの距離が増大するように、ベース部材31に対して傾斜している。このため、延出光ファイバ21の挿入端部先端に口出しされている裸光ファイバ21aは、ベース部材31長手方向に沿う細長板状の中蓋部材322の後端部とベース部材31との間では把持固定されているが、中蓋部材322の後端部から前側の部分とベース部材31との間では把持固定されていない。
【0035】
図6に示すように、スプライス30の半割り把持部材34における、前記クランプばね33の背板部33aとは反対側(以下、開放側)に露出する側面には、前記介挿部材81を挿入するための介挿部材挿入穴35が開口されている。図7に示すように、この介挿部材挿入穴35は、ベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323の対向面31a、321a、322a、323aの互いに対応する位置に形成された介挿部材挿入溝31g、321c、322c、323cによって、ベース部材31と蓋部材321、322、323との間に確保されている。
なお、介挿部材挿入穴35は、半割り把持部材34の開放側から、調心溝31b、被覆部挿入溝31c、31d、321b、323bに達しない深さで形成される。
また、介挿部材挿入穴35としては、ベース部材31及び蓋部材321、322、323の片方のみに形成した介挿部材挿入溝によって確保した構成も採用可能である。
【0036】
図6に示すように、図示例のスプライス30において、前記介挿部材挿入穴35は、中蓋部材322の後端部及び前端部に対応する2箇所と、後蓋部材321及び前蓋部材323のベース部材31長手方向に沿う前後方向中央部に対応する位置の、計4箇所に形成されている。介挿部材81A、81Bは、4箇所の介挿部材挿入穴35のうち、中蓋部材322の前端部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図6中、符号35aを付記する)、前蓋部材323の前後方向中央部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図6中、符号35bを付記する)とに挿入されている。
【0037】
図8に示すように、中蓋部材322のベース部材31の調心溝31bに対面する部分には、平坦な対向面322aが形成されている。中蓋部材322は、該中蓋部材322とベース部材31との間に介挿されている第1介挿部材81Aを抜き去ったときに、クランプばね33の弾性によって、延出光ファイバ21先端の裸光ファイバ21aと、該裸光ファイバ21a先端に突き当てた挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aとを対向面22aで押圧して、調心溝31bに押さえ込むことができる。
【0038】
図7、図8に示すように、クランプばね33の一対の側板部33bは、それぞれ、スプライス30の押さえ蓋32の3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分かれている。押さえ蓋32に当接する側板部33b(図7、図8において上側の側板部33b)は、後蓋部材321と中蓋部材322との境界、及び中蓋部材322と前蓋部材323との境界に対応する位置にそれぞれ形成されたスリット状の切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。ベース部材31に当接する側板部33bは、蓋部材321、322、323に当接する側板部33bの切り込み部33dに対応する位置に形成された切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。
【0039】
クランプばね33は、後蓋部材321とベース部材31とを保持する第1クランプばね部331と、中蓋部材322とベース部材31とを保持する第2クランプばね部332と、前蓋部材323とベース部材31とを保持する第3クランプばね部333とを有する。第1〜3クランプばね部331〜333は、互いに独立したクランプばねとして機能する。
なお、図7、図8等において、第1クランプばね部331の一対の側板部に符号331b、第2クランプばね部332の一対の側板部に符号332b、第3クランプばね部333の一対の側板部に符号333bを付記する。
【0040】
スプライス30は、3つのクランプばね部に対応する3つのクランプ部を有する。
すなわち、このスプライス30は、第1クランプばね部331の内側に後蓋部材321とベース部材31とを保持した第1クランプ部と、第2クランプばね部332の内側に中蓋部材322とベース部材31とを保持した第2クランプ部と、第3クランプばね部333の側に前蓋部材323とベース部材31とを保持した第3クランプ部とを有する。
3つのクランプ部は、それぞれ、個々のクランプ部に対応するクランプばね部の弾性によって、半割りの素子(ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材(蓋側素子))の間に光ファイバを把持固定できる。
【0041】
スプライス30の第1クランプ部は、第1クランプばね部331の弾性によって、後蓋部材321とベース部材31との間に延出光ファイバ21の被覆部を把持固定した状態となっている。このスプライス30は、例えば中蓋部材322を該中蓋部材322とベース部材31との間への介挿部材の挿脱によって開閉(すなわち第2クランプ部の開閉)しても、第1クランプ部の延出光ファイバ21の把持固定状態は安定に維持される。また、介挿部材の挿脱による第3クランプ部の開閉も、第1クランプ部の延出光ファイバ21の把持固定状態に何等影響を与えない。
【0042】
図9、図10に示すように、スプライス用工具80は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に先端部(介挿片部81a)を割り込ませた2つの介挿部材81と、この介挿部材81が取り付けられたスリーブ状の介挿部材駆動部82とを有する。
前記介挿部材81は、介挿部材駆動部82に形成された切欠部82aに通して、介挿部材駆動部82外側に突出させた板状の介挿部材本体83を有する。この介挿部材81の前記介挿片部81aは、前記切欠部82aを介して介挿部材駆動部82外側に突出させた前記介挿部材本体83の先端部を構成する。
前記スプライス用工具80は、前記介挿部材81の介挿片部81aとは反対側の基端側を、介挿部材駆動部82において前記切欠部82aが形成された壁部である受圧壁部86に対面する係止壁部85に取り付けた構成になっている。
【0043】
前記受圧壁部86は、前記切欠部82aが形成された平板状の板状主壁部86aに、介挿部材駆動部82外側に向かって突出する当接用突壁部86bを突設した構成になっている。
前記受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向に沿って延在する前記板状主壁部86aの延在方向中央部に、該板状主壁部86aの延在方向(前後方向)に垂直に突設されたリブ状の突壁である。また、この当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82において受圧壁部86(詳細には板状主壁部86a)と係止壁部85(詳細には後述の板状主壁部85a)との間を繋ぐ両側の駆動部側壁部88の間隔方向である左右方向(図9左右方向)に延在形成されている。
【0044】
前記切欠部82aは、受圧壁部86の板状主壁部86aに、その前後方向両端から、前後方向に沿う細長に延在形成されている。受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向において、前後の切欠部82aの間に位置する。
スプライス用工具80の2つの介挿部材81は、その介挿部材本体83を、前記当接用突壁86aを介して前後の切欠部82aに通して設けられている。
【0045】
介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部81aとは反対側の基端側に、係止壁部85に、前記受圧壁部86側から当接される当接壁部83aを有する。
図示例のスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85は、受圧壁部86の板状主壁部86aに平行に形成された板状主壁部85aに、該板状主壁部85aから受圧壁部86に向かって突出する突壁部85bを突設した構成になっている。
介挿部材81の当接壁部83aは、係止壁部85の突壁部85b突端の端面に受圧壁部86側から当接可能になっている。
【0046】
また、介挿部材81は、前記介挿部材本体82の基端部(当接壁部83a)から、前記介挿片部81aとは反対の側(介挿部材81の基端側)へ延出させた係合片84を有する。そして、この介挿部材81は、前記係合片84を、前記係止壁部85を貫通する貫通孔85cに通し、前記係止壁部85外側(受圧壁部86とは反対の側)に突出させた係合片84先端部(延出端部)の側面に突設してある係合爪84aを、前記係止壁部85に係合可能に配置して、前記介挿部材駆動部82に取り付けている。
【0047】
図示例のスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85の貫通孔85cは、その一端が突壁部85b突端の端面に開口している。貫通孔85cの他端は、係止壁部85に板状主壁部85a外面(介挿部材駆動部82内側とは反対側の面)から窪んで形成された凹部85d内に開口している。前記凹部85dは、前記貫通孔85cの他端を拡張した穴状に形成されている。介挿部材81の係合片84の係合爪84aは、前記貫通孔85cの他端と凹部85dとの境界の段差面85eから介挿部材駆動部82外側方向に突出された係合片84の先端部側面に突設されている。この係合爪84aは、受圧壁部86とは反対の側から前記段差面85eに係合可能となっている。
【0048】
図示例の介挿部材81は、前記係合片84の係合爪84aと前記当接壁部83aとの間に、前記係止壁部85の前記貫通孔85cの長さ(軸線方向寸法)に比べて若干長い離隔距離を確保してある。したがって、この介挿部材81は、前記係止壁部85に対して前記貫通孔85cの軸線方向に若干の可動範囲を確保して、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けられている。
【0049】
なお、スプライス用工具としては、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間の離隔距離を係止壁部85の貫通孔85cの長さに揃えて、介挿部材81を介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けた構成も採用である。この構成の場合、介挿部材81は、係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間に係止壁部85を挟み込んで、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に対して前記貫通孔85cの軸線方向への変位を規制した状態で取り付けられる。
【0050】
2つの介挿部材81A、81Bは、介挿部材駆動部82にその軸線(中心軸線Q)方向に互いに離隔させて取り付けられている。
なお、スプライス用工具80について、介挿部材駆動部82の軸線方向を、以下、前後方向として説明する。介挿部材81は、その板状の介挿部材本体83の厚み方向が、介挿部材駆動部82の前後方向に垂直の向きで介挿部材駆動部82に取り付けられている。
【0051】
そして、スプライス用工具80は、介挿部材81の前記介挿部材本体83の介挿部材駆動部82外側に突出させた先端部を、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませて、スプライス30に取り付けられている。このスプライス用工具80は、その前後方向をスプライス30の前後方向に揃えて設けられている。
介挿部材本体83は、スプライス30のクランプばね33の弾性によって、ベース部材31と押さえ蓋32との間に比較的強い力で把持されている。
【0052】
図9に示すように、スプライス30の半割り把持部材34は、クランプばね33からその開放側(背板部33aとは反対側)に突出されている。スプライス用工具80は、前記受圧壁部86の当接用突壁部86bをスプライス30の半割り把持部材34に当接させてスプライス30に取り付けられている。
【0053】
このスプライス用工具80は、介挿部材駆動部82の軸線(中心軸線Q)方向に垂直の断面において、前記介挿部材81を介して両側(図9において左右両側。図9における左右方向を、以下、スプライス用工具80の左右方向として説明する)に位置する部分を押圧(側圧Pを与える)して互いに接近させることで、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が増大する。その結果、このスプライス用工具80は、介挿部材81を、スプライス30(詳細には半割り把持部材34)から抜き去ることができる。
介挿部材駆動部82に側圧Pを与えてその左右両側部分を互いに接近させ、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業は、例えば、作業者が片手の手指で介挿部材駆動部82を握って行うことができる。
【0054】
また、このスプライス用工具80は、前記受圧壁部86の前記切欠部82aを介して両側、すなわち、前記切欠部82aに前記受圧壁部86に垂直の向きで通されている介挿部材本体83を介して両側(図9において左右両側)から前記介挿部材本体83と平行の向きで、介挿部材駆動部82外側に突出された一対の係合壁部87を有する。
そして、このスプライス用工具80は、前記一対の係合壁部87の突端部から、該一対の係合壁部87の互いに対面する内面側に突出された突爪87aを、スライダ120の側壁部122の下端に係合させてスライダ120に取り付けられる。スプライス用工具80は、係合壁部87をスライダ120に係合させることで、スライダ120に対する位置ずれが生じにくくなる。
【0055】
但し、このスプライス用工具80は、介挿部材駆動部82にその左右両側から側圧Pを与えて、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業を行うとき、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、一対の係合壁部87のスライダ120に対する係合を解除できる。
一対の係合壁部87のスライダ120に対する係合、及び係合解除については、後で説明する。
【0056】
図1〜図5に示すように、光ファイバ接続用ユニット10のユニットベース40は、基板部50(基体)と、延出光ファイバ付きスプライス20のスプライス30を脱着可能に保持するスプライスホルダ部60と、光ファイバケーブル24端末24aの外被25を脱着可能に把持する外被把持部70(端末把持部)とを有する。
基板部50は、細長形の板状体であり、例えば平面視略長方形状とすることができる。
【0057】
図5に示すように、スプライスホルダ部60は、基板部50の一側縁51aに立設された一対の一側突壁部62と、他側縁51bに立設された一対の他側突壁部63と、基板部50の前端部の両側に設けられた一対の前側突壁部64と、一側突壁部62の後端部の両側に設けられた一対の後側突壁部65とを有する。
突壁部62〜65は、基板部50の上面50a(一方の面)側に突出して形成されている。
スプライスホルダ部60は、スプライス30を、一側突壁部62と他側突壁部63の間に確保されたスプライス収納空間67に収納してスプライス30を保持する。
【0058】
図1〜図5に示すように、一対の一側突壁部62、62は、前後に間隔をおいて形成されている。前方寄りの一側突壁部62を一側突壁部62Aといい、後方寄りの一側突壁部62を一側突壁部62Bという。
一対の他側突壁部63、63は、前後に間隔をおいて形成されている。前方寄りの他側突壁部63Aは、一側突壁部62Aよりも後方寄りに位置し、後方寄りの他側突壁部63Bは、一側突壁部62Bよりも前方寄りに位置している。
【0059】
一側突壁部62の内面には内面側に突出する係止爪62cが形成されている。同様に、他側突壁部63の内面には内面側に突出する係止爪63cが形成されている。これら係止爪62c、63cによってスプライス30の浮き上がりを規制できる。
スプライス30は、スプライス収納空間67内に押し込むことによって係止爪62c、63cの下側に入り込んで、上方への浮き上がりが規制される。
【0060】
一対の前側突壁部64は、一側突壁部62Aよりもさらに前方寄りに形成されている。前側突壁部64の向かい合う内面には、それぞれ前側ストッパ突起64aが形成されている。
一対の後側突壁部65は、一側突壁部62Bよりもさらに後方寄りに形成されている。
前側突壁部64と後側突壁部65との離隔距離は、スプライス30の長手方向寸法に応じて設定されており、スプライス30は、前側突壁部64と後側突壁部65によって基板部50に対する前後方向の位置ずれが規制される。
【0061】
スプライス30の第3クランプ部は、前蓋部材323とベース部材31との間に介挿されている介挿部材81Bがスプライス30から抜き去られると、クランプばね33の第3クランプばね部333の一対の側板部333b間の離隔距離が縮小するため、スプライス30は、スプライスホルダ部60からの取り出しが容易となる。
このため、スプライスホルダ部60は、スプライス30を脱着可能に保持できる。
なお、一側突壁部62および他側突壁部63の係止爪62c、63cによるスプライス30の係止の解除は、例えば、作業者が手指で一側突壁部62および他側突壁部63を互いに離れる方向に弾性変形させることによっても行うことができる。
【0062】
図6〜図8に示すように、スプライス30について、ベース部材31の対向面31aに垂直の方向を、以下、幅方向とも言う。
スプライス30の半割り把持部材34の前端係合突部の両側の係合面31k、323eは前端係合突部の幅方向両側、後端係合突部の両側の係合面31i、321eは後側係合突部の幅方向両側に位置する。また、クランプばね33の両側の側板部33bは、半割り把持部材34を介して、その幅方向両側に配置されている。
【0063】
スプライス30のベース部材31のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの、後端張出部31h及び前端張出部31jの突出寸法は、クランプばね33の側板部33bの板厚よりも若干大きくしてある。また、後蓋部材311のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの後端張出部321dの突出寸法、及び、前蓋部材323のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの前端張出部323dの突出寸法も、クランプばね33の側板部33bの板厚に比べて若干大きくしてある。
【0064】
板状の中蓋部材322の厚み、すなわち中蓋部材322の対向面322aとクランプばね33の側板部33bが当接される背面との間の距離と、後蓋部材321の後端張出部321d以外の板状部の厚みと、前蓋部材323の前端張出部323d以外の板状部の厚みとは、互いに同じに揃えられている。
中蓋部材322とベース部材31との間及び前蓋部材323とベース部材31との間に介挿部材81A、81Bが介挿された状態のスプライス30(介挿部材付きスプライス)は、第1〜第3クランプ部のうち、第3クランプ部の前端係合突部が、幅方向寸法が最大の部位となっている。
【0065】
図5に示すように、介挿部材付きスプライスにおける第3クランプ部の前端係合突部の幅方向寸法(幅寸法の最大値)は、スプライスホルダ部60の突壁部62、63間の幅方向距離と同じとすることができる。この介挿部材付きスプライスの幅方向寸法は、突壁部62、63に突設されている係止爪62c、63cの突端間の距離よりも若干大きく、かつ突壁部62、63間の幅方向距離以下の寸法とすることができる。
この介挿部材付きスプライスの第1クランプ部における後端係合突部から前側部分、及び第2クランプ部の幅方向寸法は、第3クランプ部における前端係合突部から後側部分の幅方向寸法よりも小さい。
【0066】
図7、図8に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の前端には、前蓋部材323及びベース部材31に、それぞれ、その前端面から後側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34aが開口している。このテーパ状開口部34aの後端(奥端)は被覆部挿入溝323b、31dと連通している。
図4に示すように、前側ストッパ突起64aには、その後側から、スプライス30の半割り把持部材34の前記テーパ状開口部34a周囲の口縁部が当接される。また、一対の前側ストッパ突起64aは、テーパ状開口部34aに重なる位置には配置されず、テーパ状開口部34aから被覆部挿入溝323b、31dへの挿入光ファイバ1の挿入の障害になることはない。
【0067】
また、一対の前側ストッパ突起64aの間には、スプライスホルダ部60の前側から、該スプライスホルダ部60に保持したスプライス30の被覆部挿入溝323b、31dへ挿入する挿入光ファイバ1を、スプライス30前端に開口する前記テーパ状開口部34aに円滑に導くファイバ導入凹部66が確保されている。ファイバ導入凹部66は、その前側から後側に行くにしたがって溝幅が縮小していくテーパ状に形成された溝である。
基板部50前側からスプライス30に挿入される挿入光ファイバ1は、スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30に、ファイバ導入凹部66を通して導くことができる。
【0068】
図7、図8に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の後端には、後蓋部材321及びベース部材31に、それぞれ、その後端面から前側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34bが開口している。このテーパ状開口部34bの前端(奥端)は被覆部挿入溝321b、31cと連通している。
図4に示すように、後側突壁部65には、その前側から、ベース部材31後端におけるテーパ状開口部34bの周囲の口縁部が当接される。
【0069】
外被把持部70は、基板部50の上面50a側に、スプライスホルダ部60から離隔した位置に形成されている。
具体的には、基板部50の前端部を含む位置に形成されたスプライスホルダ部60に対し、後方に離隔した位置に形成されている。図示例では、外被把持部70は基板部50の後端部を含む位置の上面50aに形成されている。
【0070】
図13は外被把持部70の平面図である。図14は蓋体72を開放した状態の外被把持部70の平面図である。図15は外被把持部70の断面図であり、図13のA1−A1断面図である。図16は外被把持部70の後面図である。図17は外被把持部70の斜視図である。
図13〜図17に示すように、外被把持部70は、光ファイバケーブル24を嵌め込むケーブル嵌合溝71aが形成された断面コ字形の把持ベース71と、前記把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの溝幅方向両側の側壁部71b、71cの一方に枢着された押さえ蓋72とを有する。
【0071】
外被把持部70は、把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの互いに対向する面に複数突設した把持用突起71fを、ケーブル嵌合溝71aに嵌め込まれた光ファイバケーブル24の外被25に食い込ませて、一対の側壁部71b、71cの間に光ファイバケーブル24を把持固定できる。把持ベース71は、底壁部71dの片面側に突設された一対の側壁部71b、71cの間にケーブル嵌合溝71aが確保された断面コ字形の部材である。ケーブル嵌合溝71aの溝幅方向は、該ケーブル嵌合溝71aを介して向かい合う両側の側壁部71b、71cの間隔方向を指す。図示例の外被把持部70の把持用突起71fは、ケーブル嵌合溝71aの深さ方向に延在する断面三角形状の突条とされている。
【0072】
外被把持部70は、押さえ蓋72が側壁部71cから離隔する開放状態にて把持ベース71を光ファイバケーブル24端末に外嵌めして固定した後、押さえ蓋72を把持ベース71の側壁部71b、71c上端部間におけるケーブル嵌合溝71aの開口部を閉じる閉位置に回動し、該押さえ蓋72を側壁部71cに係止して、光ファイバケーブル24端末に取り付けられる。
【0073】
図示例の外被把持部70はプラスチック製の一体成形品である。押さえ蓋72は、一対の側壁部71b、71cの一方(第1側壁部71b)の突端に、ヒンジ部として機能する薄肉部73を介して繋がっている。この押さえ蓋72は、薄肉部73によって、ケーブル嵌合溝71aの延在方向に沿う軸線を以て、把持ベース71の第1側壁部71bに対して回転可能に枢着されている。なお、把持ベース71の一対の側壁部71cの他方を第2側壁部71cとも言う。
【0074】
図示例の外被把持部70の押さえ蓋72はL字板状に形成されている。この押さえ蓋72は、薄肉部73を介して把持ベース71の第1側壁部71bに枢着されている天板部72aと、天板部72aの薄肉部73とは反対側の端部から天板部72aに垂直に形成された係止板部72bとを有する。この押さえ蓋72は、天板部72aを把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの突端に当接してケーブル嵌合溝71aの開口部を閉じる閉じ位置に配置したときに、係止板部72bを把持ベース71の第2側壁部71cのケーブル嵌合溝71aとは反対側の外面に重ね合わせることができる。そして、押さえ蓋72は、係止板部72bに形成されている係止用窓孔72cに、把持ベース71の第2側壁部71c外面に突設されている係止用爪71eを入り込ませることで把持ベース71に係止され、把持ベース71に対する閉じ状態を安定維持できる。
【0075】
図示例の外被把持部70(引留用固定部材)は、把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの延在方向に沿う前後方向の片端から突出する一対の前側突壁部75を有している。一対の前側突壁部75は、把持ベース71の両側の側壁部71b、71cから、該側壁部71b、71cを把持ベース71前後方向に沿って延長するように突出する板片状に形成されている。
図14に示すように、光ファイバケーブル24の端末24aをケーブル嵌め込み溝71aに嵌め込むと、把持ベース71の一対の側壁部71b、71cのケーブル嵌め込み溝71aに臨む面(内面)にそれぞれ複数突設されている突爪71fが光ファイバケーブル24の外被25の側面に当接し、一対の側壁部71b、71cの間に光ファイバケーブル24の端末24aが把持固定される。
また、上述のように、第2側壁部71c外面の係止爪71eによってL字板状の蓋体72を係止して閉じ合わせ状態を維持することで、把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの突端間の離隔、及びケーブル嵌め込み溝71aからの光ファイバケーブル24の離脱を確実に防ぐことができ、外被把持部70の光ファイバケーブル24の端末24aに対する固定状態を安定に保つことができる。
外被把持部70は、蓋体72を開放してケーブル嵌め込み溝71aから光ファイバケーブル24を取り出すことによって、光ファイバケーブル24から取り外すことができる。すなわち、外被把持部70は光ファイバケーブル24に対し脱着可能である。
外被把持部70は、プラスチック製の一体成形品であることが好ましい。
【0076】
外被把持部70は、基板部50に対して一体的に形成されていることが好ましい。例えば、外被把持部70と基板部50はプラスチック製の一体成形品とすることができる。外被把持部70と基板部50を一体に形成することによって、光ファイバケーブル24を確実に固定し、光ファイバ21の破損を防ぎ、信頼性を高めることができる。
なお、外被把持部70は一体成形に限定されず、基板部50に対し強固に固定できる構造があれば、基板部50に対し別体とすることもできる。
ユニットベース40は、スプライスホルダ部60も含めて、一体に形成することが好ましい。例えば、ユニットベース40はプラスチック製の一体成形品とすることができる。
【0077】
なお、外被把持部は、図示例の構成に限定されない。外被把持部としては、例えば、係止板部72bを省略し、天板部72aに、把持ベース71の第2側壁部71cの突端に係合する係合部を設けた構造の押さえ蓋も採用可能である。また、外被把持部としては、把持ベースのみからなる構成も採用可能である。また、外被把持部としては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成のものも採用可能である。
外被把持部は、例えば光ファイバケーブル24端末外周に接着剤による接着固定、熱溶着などによって固定する部材などであっても良い。
【0078】
図18は、外被把持部の他の例を示すもので、この外被把持部70Aは、蓋体を備えておらず、ケーブル嵌め込み溝71aを介して両側の側壁部71b、71cが底板部71d上に互いに並行に突設された把持ベース71Aからなる点で図16等に示す外被把持部70と異なる。
側壁部71b、71cの突端(図18の上端)には、内方に突出して光ファイバケーブル24の上方移動を規制することによって光ファイバケーブル24が外れるのを防ぐ外れ防止突起74が形成されている。
この構成の外被把持部70Aは、蓋体がないため構造が簡単であり、光ファイバケーブル24をケーブル嵌め込み溝71aに嵌め込む操作が容易である。また、構造が簡単であるため製造が容易であり、低コスト化を図ることもできる。
【0079】
図1および図20に示すように、光ファイバ接続装置100の装置基部110は、挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90を保持するものであって、概略トレイ状の基部本体130と、基部本体130上にスライド移動可能に設置されるスライダ120とを有する。
基部本体130は、主部131と、主部131から一方向に延出する第1レール部132と、主部131から第1レール部132とは反対の方向に延出する第2レール部142とを有する。
主部131には、スライダ120を係止する弾性係止片136と、ファイバホルダ90を係止する弾性係止片146とが形成されている。
【0080】
第1レール部132は、スライダ120をスライド移動させるスライド面133が形成された台部134の両側縁に、それぞれスライダ120を案内する案内壁部135、135が突設された概略構成になっている。
一対の案内壁部135は、第1レール部132の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面133上に載置されたスライダ120の基板部121の両側縁部121aが当接することによって、スライダ120を幅方向に位置決めできる。
【0081】
弾性係止片136は、主部131の幅方向両側に突設された張出部138からスライド面133側に突出する湾曲板部136aの先端に、スライダ120の係止用突起127が入り込む係合用凹所136cが形成された板状の係合片部136bを突設した構成になっている。
湾曲板部136aは、第1レール部132前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部136aの突端は第1レール部132から主部131にかけて形成されたスライド面133よりも上方に位置する。
係合片部136bは、湾曲板部136aの突端から内方に向けてスライド面133上に張り出されている。
【0082】
係合片部136bの係合用凹所136cは、該係合片部136bの前後中央部に、該係合片部136bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片136は、係合用凹所136cにスライダ120の係止用突起127が入り込んで該係止用突起127と係合したときに、第1レール部132に対するスライダ120の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片136が、湾曲板部136aの弾性によってスライダ120を挟み込み、スライダ120を安定に保持する。
弾性係止片136は、第1レール部132に沿って前進させたスライダ120に係合してその後退を規制するスプライス係止機構として機能する。
【0083】
第1レール部132の両側縁には、側壁部137、137が立設されている。
側壁部137は、第1レール部132の長さ方向の一部範囲に形成され、側壁部137の下部内面には、スライダ120の浮き上がりを規制する溝部137aが形成されている。溝部137aは、第1レール部132の形成方向(前後方向)に沿って形成され、基板部121の両側縁部121aが入り込むことによって、スライダ120の浮き上がりを規制できる。
【0084】
第2レール部142は、ファイバホルダ90をスライド移動させるスライド面143が形成された台部144の両側縁に、ファイバホルダ90を案内する一対の案内壁部145を突設した概略構成になっている。
一対の案内壁部145は、第2レール部142の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面143上に載置されたファイバホルダ90の両側縁に当接してファイバホルダ90を幅方向に位置決めできる。
【0085】
弾性係止片146は、主部141の幅方向両側に突設された張出部148からスライド面143側に突出する湾曲板部146aの先端に、ファイバホルダ90の係止用突起98が入り込む係合用凹所146cが形成された板状の係合片部146bを突設した構成になっている。
湾曲板部146aは、第2レール部142前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部146aの突端は第2レール部142から主部141にかけて形成されたスライド面143よりも上方に位置する。
係合片部146bは、湾曲板部146aの突端から内方に向けてスライド面143上に張り出されている。
【0086】
係合片部146bの係合用凹所146cは、該係合片部146bの前後中央部に、該係合片部146bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片146は、係合用凹所146cにファイバホルダ90の係止用突起98が入り込んで該係止用突起98と係合したときに、第2レール部142に対するファイバホルダ90の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片146が、湾曲板部146aの弾性によってファイバホルダ90を挟み込み、ファイバホルダ90を安定に保持する。
弾性係止片146は、第2レール部142に沿って前進させたファイバホルダ90に係合してその後退を規制するスプライス係止機構として機能する。
【0087】
図1および図21に示すように、スライダ120は、一対の基板部121と、その内縁部121bにそれぞれ立設された一対の側壁部122と、これら側壁部122間に形成された底板部123とを有する。
スライダ120は、光ファイバ接続用ユニット10を側壁部122間に確保されたユニット収納空間126に収納して光ファイバ接続用ユニット10を保持するユニット保持部材として機能する。
スライダ120と、これに保持された光ファイバ接続用ユニット10とは、第1レール部132上でスライド移動可能な移動ユニット160を構成している(図1〜図3を参照)。
【0088】
側壁部122の外面には、前後に間隔をおいて一対の位置決め突部124A、124Bが形成されている。位置決め突部124A、124B間には、スプライス用工具80の係合壁部87が配置され、位置決め突部124A、124Bは、係合壁部87の前後方向の位置を規定する。
側壁部122の外側面には、位置決め突部124Aより前方の位置に、基部本体130の弾性係止片136の係合用凹所136cに係合する係止用突起127が外側方に突出して形成されている。係止用突起127の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状、図21参照)であることが好ましい。
基板部121には、係合壁部87が挿入される長孔125が形成されている。
【0089】
図9に示すように、スプライス用工具80は、一対の係合壁部87を長孔125に挿入させ、係合壁部87の突端部の突爪87aを側壁部122の下端に係合させて光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120に取り付けられる。
スプライス用工具80が光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120に取り付けられることによって、光ファイバ接続用ユニット10はスライダ120に対して前後方向の移動が規制され、位置決めされた状態となる。
【0090】
図22および図23に示すように、光ファイバホルダ90は、光ファイバを保持するホルダであり、ベース部91と、ヒンジ部91aでベース部91に対し回動自在に結合された蓋体92とを有し、ベース部91上の挿入光ファイバ1を、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定できる。
ベース部91の上面91bには、挿入光ファイバ1を収容する位置決め凹部93aを有する第1保持壁部93と、位置決め凹部94aを有する第2保持壁部94と、一対の位置決め突起95とが形成されている。
第2保持壁部94は第1保持壁部93の前方に、第1保持壁部93から離間して形成され、位置決め突起95は第2保持壁部94の前方に、第2保持壁部94から離間して形成されている。
ベース部91の上面には、位置決め凹部93aから位置決め凹部94aを経て一対の位置決め突起95間を通る直線状の位置決め溝96が形成されている。位置決め溝96は、挿入光ファイバ1を位置決めする溝部であって、例えば断面略V字形、断面略U字形、断面半円形などとすることができる。
ベース部91の外側面には、基部本体130の弾性係止片146の係合用凹所146cに係合する係止用突起98が外側方に突出して形成されている(図1および図23を参照)。係止用突起98の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
【0091】
図23に示すように、蓋体92をベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)では、蓋体92は保持壁部93、94の間に配置される。
蓋体92のヒンジ部91aが設けられた基端部92aとは反対の端部である先端部92b側に形成された係止突起92cは、ベース部91に形成された係止凹部(図示略)に係脱自在に嵌合できる。
ベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)で、係止突起92cをベース部91の係止凹部(図示略)に係合させることで、挿入光ファイバ1をベース部91に押さえ込んで把持固定できる。
【0092】
図12に示すように、光コネクタ22としては、例えばコネクタ本体22aと、光ファイバケーブル24をコネクタ本体22aに引き留める引留機構22bとを備えた構成を有するものが使用できる。
コネクタ本体22aは、光フェルール22c(以下、単にフェルール22cいう)を収容するハウジング22dと、ハウジング22dの外側に装着されたつまみ22eとを備えている。
ハウジング22d内には、例えばフェルール22cの内蔵光ファイバと、光ファイバケーブル24から引き出された光ファイバを突き合わせ接続などにより接続する接続機構(図示略)が設けられている。
引留機構22fは、本体部(図示略)と、光ファイバケーブル24の端末を把持するケーブル把持具(図示略)と、このケーブル把持具を引き留める引留カバー22gとを備えている。
コネクタ本体10には、例えばSC形光コネクタ(JIS C 5973参照)、LC形光コネクタ(ルーセント社商標)、MU形光コネクタ(JIS C 5983参照)、SC2形光コネクタ(SC形光コネクタからつまみを省いた構造)等の構造を採用できる。
【0093】
次に、光ファイバ接続装置100を用いて延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを接続(光接続)する作業(光ファイバ接続方法)について説明する。
図22および図23に示すように、挿入光ファイバ1は、ベース部91の位置決め溝96内に配置し、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定する。挿入光ファイバ1は、所定の前方への突出長を確保してファイバホルダ90に固定する。
図1に示すように、挿入光ファイバ1は、ファイバホルダ90から前方へ突出させた部分の先端部の被覆を除去して裸光ファイバ1aを口出しした状態で、光ファイバ接続用ユニット10のスプライスホルダ部60に保持したスプライス30への挿入、延出光ファイバ21に対する突き合わせ接続に用いる。
挿入光ファイバ1のファイバホルダ90からの突出長は、スプライス30内の延出光ファイバ21の裸光ファイバ21aまでの距離よりも若干長くすることにより、挿入光ファイバ1に形成されるたわみの弾性によって、裸光ファイバ1a、21a同士の突き当て力を確保して裸光ファイバ1a、21a同士を突き合わせ接続できる。
【0094】
ファイバホルダ90を基部本体130の第2レール部142のスライド面143に載置し、係止用突起98を弾性係止片146の係合用凹所146cに係合させる。これによって、ファイバホルダ90は、弾性係止片146によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面143上に位置決めされる。
【0095】
図1に示すように、光ファイバ接続用ユニット10およびこれを収容したスライダ120を、基部本体130の第1レール部132のスライド面133上に載置する。スライダ120は、基板部121の両側縁部121aを第1レール部132の幅方向両側の案内壁部135に当接させることによって、幅方向位置が定められる。
第1レール部132上のスライダ120をファイバホルダ90に向かって前進させる。
【0096】
光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120の移動過程では、基板部121の両側縁部121aが側壁部137の内面に形成された溝部137aに入り込むことによってスライダ120の浮き上がりが規制されるため、挿入光ファイバ1に対する正確な位置決めが可能となる。
【0097】
光ファイバ接続用ユニット10の前進によって、挿入光ファイバ1は、スプライスホルダ部60前端に開口するファイバ導入凹部66を介してスプライス30の被覆部挿入溝31d、323bに挿入することができる。
挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aは、被覆部挿入溝31d、323bを介して調心溝31bに挿入して、延出光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てる(突き合わせ接続する)ことができる。
【0098】
図24に示すように、光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120をさらに前進させ、係止用突起127を弾性係止片136の係合用凹所136cに係合させる。これによって、ファイバホルダ90は、弾性係止片146によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面143上に位置決めされる。この光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120の位置を前進限界位置という。
光ファイバ接続用ユニット10が前進限界位置に到達したときには、スプライス30の調心溝31bに挿入された裸光ファイバ1aは延出光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てられ、被覆部挿入溝31d、323bに被覆部が挿入された状態となる。
挿入光ファイバ1にはたわみが形成され、その弾性によって、裸光ファイバ1a、21a同士の突き当て力を確保して裸光ファイバ1a、21a同士を突き合わせ接続できる。
【0099】
次いで、図9に示すように、スプライス用工具80の介挿部材駆動部82に左右両側から側圧Pを与えて、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去る。
スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ると、スプライス30の第2クランプ部が、クランプばね33(詳細には第2クランプばね部332)の弾性によって、ベース部31と中蓋部材322との間に、裸光ファイバ1a、21aを突き合わせ状態を保ったまま把持固定する。また、第3クランプ部が、クランプばね33(詳細には第3クランプばね部333)の弾性によって、ベース部31と前蓋部材323との間に、挿入光ファイバ1の被覆部を把持固定する。これにより、スプライス30にて、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを突き合わせ接続(光接続)する作業が完了する。
接続作業が完了した延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とは、スプライス30の半割り把持部材34に把持固定される結果、裸光ファイバ1a、21a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
【0100】
既述のように、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させ、介挿部材駆動部82の受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離を増大させることで、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ることができる。
図9に示すように、このスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の、受圧壁部86と係止壁部85との間を繋ぐ左右両側の駆動部側壁部88は、介挿部材駆動部82の周方向に並んだ3つの板部88aが薄肉部88bを介して繋がった構成になっている。また、駆動部側壁部88と受圧壁部86との間、駆動部側壁部88と係止壁部85との間も薄肉部88bを介して繋がっている。
なお、係止壁部85、受圧壁部86、駆動部側壁部88の各板部88aは、スリーブ状の介挿部材駆動部82においてその軸線方向に延在する細長板状に形成されている。
【0101】
介挿部材駆動部82を変形させる側圧Pは、左右両側の駆動部側壁部88のうち、介挿部材駆動部82の中心軸線Qを介して左右両側への張り出しが最大の部位、すなわち、駆動部側壁部88を構成する3つの板部88aのうち、介挿部材駆動部82周方向において両端の板部88aの間の中央の板部88aに作用させる。以下、この中央の板部88aを押圧用板部とも言う。また、この押圧用板部に図中符号88cを付記する。
介挿部材駆動部82は、その左右両側から、左右の押圧用板部88cに側圧Pを作用させて、左右の押圧用板部88c間の離隔距離を縮めることで、薄肉部88bをヒンジ部として変形し、受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が増大する。
【0102】
また、図11に示すように、介挿部材駆動部82は、左右から側圧Pを作用させることで受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、左右の駆動部側壁部88が、押圧用板部88cを中心軸線Qに最も接近した部位とする概略弓形に変形する。そして、介挿部材駆動部82は、受圧壁部86が、その介挿部材駆動部82周方向両端に比べて中央部が介挿部材駆動部82外側に位置する円弧板状に変形される。その結果、スプライス用工具80は、受圧壁部86の変形に伴い、一対の係合壁部87相互の相対的な向きが、その先端(突端)間の距離を増大するように変わり、一対の係合壁部87の側壁部122に対する係合が解除される。
スプライス用工具80は、一対の係合壁部87の側壁部122に対する係合が解除されれば、簡単に取り外すことができる。
【0103】
図10に示すように、図示例のスプライス用工具80は、介挿部材81A、81Bの当接壁部83aを係止壁部85(具体的には突壁部85bの突端)に当接させたときの、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと介挿部材駆動部82の係止壁部85(具体的には段差面85e)との間の離隔距離c1、c2が同じではなく、互いに異ならせてある。図示例のスプライス用工具80は、スプライス30の第2クランプ部に挿入された第1介挿部材81Aの前記離隔距離c1を、第3クランプ部に挿入された第2介挿部材81Bの前記離隔距離c2よりも短くしてある。
【0104】
このため、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させたとき、スプライス30の第2クランプ部から第1介挿部材81Aが抜き去られた後に、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りが完了する。このスプライス用工具80は、第2クランプ部からの第1介挿部材81Aの抜き去りを、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りに先行して行う、時差抜き去りを実現できる。
【0105】
延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続作業を完了した光ファイバ接続用ユニット10は、全体を装置基部110から取り出して使用することができる。具体的には、光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120を基部本体130から外した後、光ファイバ接続用ユニット10をスライダ120から取り出して使用できる。
延出光ファイバ付きスプライス20は、光コネクタ22を利用して、他の光ファイバとコネクタ接続することができる。これにより、挿入光ファイバ1と他のコネクタ付き光ファイバとを、延出光ファイバ付きスプライス20を介して光接続することができる。
【0106】
図25は、光ファイバ接続用ユニット10及びその延出光ファイバ付きスプライス20の使用例を説明する図である。
光ファイバケーブル140から引き出した挿入光ファイバ1を、上述の接続方法により延出光ファイバ付きスプライス20に接続する。
光ファイバケーブル140は、例えば複数フロアを有する建築物において各フロアににわたる縦穴(例えばエレベータ用昇降路)に布設される幹線光ファイバケーブルなどである。
【0107】
挿入光ファイバ1を接続した光ファイバ接続用ユニット10を、光ファイバ接続箱150(例えばいわゆる光成端箱等)内に収納し、必要に応じて光コネクタ22に他の光ファイバ(図示略)をコネクタ接続することによって、挿入光ファイバ1と他のコネクタ付き光ファイバ(図示略)とを光接続することができる。
光ファイバ接続用ユニット10の接続対象となる前記他の光ファイバ(図示略)は特に限定されず、屋内配線された光ファイバ、光複合電子機器に配線された光ファイバ等であってもよい。
【0108】
光ファイバ接続用ユニット10は、スプライスホルダ部60と外被把持部70が共通の基板部50に設けられているため、光ファイバケーブル24の端末24aとスプライス30との相対位置が常に一定となる。
このため、光ファイバ接続箱等への収納作業などの際に、端末24aとスプライス30との間の光ファイバ21に過大な力が加えられることがなく、破損を防ぐことができる。従って、取り扱い性が良好となる。
また、光ファイバ接続用ユニット10は、構造が簡単であるため小型化が可能であることから、そのまま光接続箱(光成端箱等)に収納して使用できる。
【0109】
光ファイバ接続用ユニット10では、スプライスホルダ部60と外被把持部70とがいずれも基板部50の上面50a側に設けられているため、その構造が簡略であり、小型化を図ることができる。
また、基板部50の下面側からの外力がスプライスホルダ部60、外被把持部70および光ファイバ21に及びにくくなるため、耐久性を高めることができる。
【0110】
光ファイバ接続用ユニット10は、メカニカルスプライスを用いた光ファイバ同士の接続(挿入光ファイバ1と延出光ファイバ21との接続)を効率良く、容易に実現できる。また、光ファイバ接続用ユニット10は、既述の特許文献1記載の光ファイバ接続工具に比べて構造の単純化、低コスト化を容易に実現できる。
【0111】
また、この光ファイバ接続用ユニット10は、小型化を容易に実現できることから、狭隘なスペースへの挿入に有利であり、光ファイバ(挿入光ファイバ1)に延出光ファイバ21を接続する作業、延出光ファイバ付きスプライス20を介して光ファイバ同士を接続する作業(光ファイバ中継接続工法)に幅広く適用できる。
【0112】
また、介挿部材付きスプライスの介挿部材として、既述のスプライス用工具80の介挿部材81を採用した構成は、スプライス用工具80のスリーブ状の介挿部材駆動部82をその両側からの側圧Pによって変形させてスプライス30からの介挿部材81の抜き去りを実現できるため、スプライス用工具80上に僅かなスペースを確保するだけで、スプライス30からの介挿部材の抜き去り作業を実現できる。すなわち、前記スプライス用工具80の採用は、例えば、介挿部材として、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものを採用した場合に比べて、スプライス用工具80上に確保するスペースが僅かで済む。このことは、光ファイバ接続用ユニット10を、狭隘なスペースに挿入して、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続に使用することに有利である。
【0113】
なお、介挿部材付きスプライスの介挿部材としては、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものも採用可能である。この構成の介挿部材としては、例えば、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に介挿した先端側の介挿片部とは反対の基端側を、スプライス30から突出させた部分に、作業者が介挿部材を手指で把持してスプライス30から離隔する方向に引っ張り操作するための抜き去り用把持部を設けたものを採用できる。
前記抜き去り用把持部としては、例えば、先端側の介挿片部からスプライス30外側に突出させた基端側に向かって延在する介挿部材本体の基端部に、該介挿部材本体の延在方向に垂直の方向に突出させた突起などを採用できる。
【0114】
上記接続方法では、挿入光ファイバ1を基部本体130に対し位置決めした後に、光ファイバ接続用ユニット10を挿入光ファイバ1に接近させて光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続を行ったが、本発明では、逆に、光ファイバ21を基部本体130に対し位置決めした後に、ファイバホルダ90を第2レール部142上で光ファイバ21に近づく方向にスライド移動させることによって、光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続を行うこともできる。
すなわち、光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120を前進限界位置まで前進させた後、ファイバホルダ90を第2レール部142上で光ファイバ接続用ユニット10に近づく方向にスライド移動させる方法をとることができる。
【0115】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えばメカニカルスプライス、延出光ファイバ付きスプライス、介挿部材、光コネクタ、ファイバホルダの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0116】
1…挿入光ファイバ、10…光ファイバ接続用ユニット、20…延出光ファイバ付きメカニカルスプライス、21…延出光ファイバ、21a…裸光ファイバ、22…光コネクタ、30…メカニカルスプライス、31…素子(ベース部材、ベース側素子)、32…押さえ蓋、321…素子(蓋側素子、後蓋部材)、322…素子(蓋側素子、中蓋部材)、323…素子(蓋側素子、前蓋部材)、40…ユニットベース、50…基板部(基体)、60…スプライスホルダ部、62…一側突壁部、63…他側突壁部、62c、63c・・・係止爪、70…外被把持部(端末把持部)、80…スプライス用工具、81…介挿部材、81A…介挿部材(第1介挿部材)、81B…介挿部材(第2介挿部材)、90…ファイバホルダ、110…装置基部、120…スライダ(ユニット保持部材)、132…第1レール部、142…第2レール部、160…移動ユニット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続装置および光ファイバの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバホルダに保持された光ファイバをメカニカルスプライス(光ファイバ接続器)に挿入してその内部で突き合わせ接続する光ファイバ接続工具が記載されている。
特許文献2には、光コネクタのクランプ部の半割りの素子間に割り込ませて素子間を開放しておく介挿部材と、左右から側圧によって上下寸法が増大するように変形させることで、上下の一方にある第1可動端部が介挿部材と係合して上下の他方に配置された光コネクタの素子間から介挿部材を引き抜く介挿部材駆動部とを具備する光コネクタ用工具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−003218号公報
【特許文献2】特開2006−227575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端末から光ファイバを引き出しメカニカルスプライスを取り付けた光ファイバケーブルを光接続箱などへの収納作業などのために取り扱う際には、光ファイバに破損が起こらぬように十分に留意する必要があるため、作業は容易ではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、端末から引き出した光ファイバの破損を確実に防ぎ、光ファイバケーブルの取り扱い性を良好にすることができる光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続装置および光ファイバの接続方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、光ファイバケーブルの端末から引き出された延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、前記ユニットベースは、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有する光ファイバ接続用ユニットを提供する。
前記スプライスホルダ部と前記外被把持部とは互いに離隔して形成され、これらの間の延出光ファイバにたわみが形成されていることが好ましい。
本発明は、前記基体が基板部であり、前記スプライスホルダ部と前記外被把持部とが前記基板部の一方の面側に設けられている光ファイバ接続用ユニットを提供する。
本発明は、前記スプライスホルダ部が、前記メカニカルスプライスを保持する複数の突壁部を有し、該突壁部に、前記突壁部間に収納した前記メカニカルスプライスに係合して浮き上がりを規制する係止爪が突設されている光ファイバ接続用ユニットを提供する。
前記外被把持部は、前記基体に一体的に形成されていることが好ましい。
【0006】
本発明は、前記光ファイバ接続用ユニットと、前記光ファイバ接続用ユニットを保持するユニット保持部材とを備え、前記ユニット保持部材は、前記延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部に形成されたレール部上で、前記ファイバホルダに接近する方向にスライド移動可能である移動ユニットを提供する。
【0007】
本発明は、光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、前記光ファイバ接続用ユニットは、前記延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、
前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、前記ユニットベースが、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有し、前記装置基部は、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている光ファイバ接続装置を提供する。
【0008】
本発明は、光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、前記光ファイバ接続用ユニットが、前記延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、前記ユニットベースが、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有し、前記装置基部が、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている光ファイバ接続装置を用い、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、前記レール部に沿って互いに接近する方向にスライド移動させることで、該ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記延出光ファイバに突き当てる光ファイバの接続方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スプライスホルダ部と外被把持部とが共通の基体に設けられているため、光ファイバケーブルの端末とスプライスとの相対位置が常に一定となる。このため、光ファイバ接続箱等への収納作業などの際に、前記端末とスプライスとの間の光ファイバに過大な力が加えられることがなく、破損を防ぐことができる。従って、取り扱い性が良好となる。
また、本発明の光ファイバ接続用ユニットは、構造が簡単であるため小型化が可能であることから、そのまま光接続箱(光成端箱等)に収納して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の光ファイバ接続用ユニットを用いた光ファイバ接続装置を示す斜視図である。
【図2】図1の光ファイバ接続用ユニットを示す斜視図である。
【図3】図1の光ファイバ接続用ユニットを示す平面図である。
【図4】図1の光ファイバ接続用ユニットからスプライス用工具を外した状態を示す斜視図である。
【図5】図1の光ファイバ接続用ユニットのユニットベースを示す斜視図である。
【図6】図1の光ファイバ接続用ユニットのメカニカルスプライスを示す斜視図である。
【図7】図6のメカニカルスプライスの構造を説明する分解斜視図である。
【図8】図6のメカニカルスプライスにおけるピグテイルの挿入、把持状態を説明する断面図である。
【図9】図6のメカニカルスプライスの中蓋部材とベース部材との間、及び前蓋部材とベース部材との間を、スプライス用工具の介挿部材を割り込ませて開放した介挿部材付きスプライスの一例を説明する正断面図である。
【図10】図9の介挿部材付きスプライスのスプライス用工具付近を示す側断面図である。
【図11】図9の介挿部材付きスプライスのスプライス用工具の一対の係合壁部の先端間を開放させた状態を示す図である。
【図12】図1の光ファイバ接続用ユニットを示す側面図である。
【図13】外被把持部の平面図である。
【図14】図13の外被把持部の平面図であり、蓋体を開放した状態の平面図である。
【図15】図13の外被把持部の断面図であり、図13のA1−A1断面図である。
【図16】図13の外被把持部の後面図である。
【図17】図13の外被把持部の斜視図である。
【図18】外被把持部の他の例の後面図である。
【図19】光ファイバケーブルの一例の構造を示す斜視図である。
【図20】図1の光ファイバ接続装置の基部本体を示す斜視図である。
【図21】図1の光ファイバ接続装置のスライダを示す斜視図である。
【図22】図1の光ファイバ接続装置に使用されるファイバホルダを示す斜視図である。
【図23】図21のファイバホルダの動作を説明する斜視図である。
【図24】図1の光ファイバ接続装置の動作を説明する斜視図である。
【図25】図1の光ファイバ接続用ユニットの使用例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態である光ファイバ接続用ユニット10を用いた光ファイバ接続装置100について、図面を参照して説明する。
図1〜図3および図12に示すように、光ファイバ接続装置100は、光ファイバケーブル24の一方の端末24aに取り付けられる光ファイバ接続用ユニット10と、端末24aから引き出された延出光ファイバ21に突き合わせる挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90を保持する装置基部110と、を備えている。
【0012】
光ファイバ接続用ユニット10は、延出光ファイバ付きメカニカルスプライス20(以下、延出光ファイバ付きスプライス20とも言う)と、延出光ファイバ付きスプライス20を保持するユニットベース40とを備えている。
図12に示すように、延出光ファイバ付きスプライス20は、光ファイバケーブル24の一方の端末24aから引き出された延出光ファイバ21(以下、単に光ファイバ21とも言う)が、メカニカルスプライス30(以下、単にスプライスとも言う)に把持固定されて構成されている。
光ファイバ21は、端末24aとスプライス30との間に、挿入光ファイバ1に対して十分な突き当て力を得ることができる程度のたわみを有することが好ましい。
光ファイバケーブル24の他方の端末24bには、光コネクタ22が取り付けられている。
【0013】
スプライス30の長手方向片端から延出させた部分の光ファイバ21、光ファイバケーブル24および光コネクタ22をコネクタ付きピグテイル23ということがある。すなわち、延出光ファイバ付きスプライス20は、コネクタ付きピグテイル23がスプライス30から延出した構成である。
スプライス30は、その半割り把持部材34に介挿部材81を割り入れて取り付けたスプライス用工具80を有している。
なお、光ファイバ接続用ユニット10については、図1および図2における上側を上、下側を下として説明する。
【0014】
図6、図7、図8および図12に示すように、延出光ファイバ付きスプライス20のメカニカルスプライス30は、細長板状のベース部材31と、該ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323によって構成される押さえ蓋32とを、断面コ字形あるいはC形(図示例では断面コ字形)で延在する細長形状のクランプばね33の内側に一括保持した構成になっている。
このスプライス30は、ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材321、322、323(蓋側素子)とからなる半割り把持部材34を有する。ベース部材31と蓋部材321、322、323とは、クランプばね33の弾性によって互いに閉じ合わせ方向に弾性付勢されている。
【0015】
図6〜図8および図12に示すように、延出光ファイバ付きスプライス20の前記光ファイバ21の端部は、スプライス30の細長形状の半割り把持部材34の長手方向片端から長手方向中央部まで挿入されている。
前記光ファイバ21を、以下、延出光ファイバ、この光ファイバ21の前記半割り把持部材34を構成するベース部材31と押さえ蓋32との間に挿入された部分を、以下、挿入端部とも言う。
【0016】
本明細書では、スプライス30について、その長手方向において、コネクタ付きピグテイル23が延出されている側を後、反対側を前として説明する。前記コネクタ付きピグテイル23は、スプライス30の半割り把持部材34の後端から延出している。
【0017】
スプライス30の押さえ蓋32を構成する3つの蓋部材(蓋側素子)321、322、323のうち、最も後側に位置する符号321の蓋部材を、以下、後蓋部材、最も前側に位置する符号323の蓋部材を、以下、前蓋部材とも言う。また、後蓋部材321と前蓋部材323との間に位置する符号322の蓋部材を、以下、中蓋部材とも言う。
【0018】
図6〜図8に示すように、断面コ字状のクランプばね33は、1枚の金属板を成形したものであって、細長板状の背板部33aの両側から、該背板部33aの長手方向全長にわたって、背板部33aに垂直に側板部33bが張り出された構成になっている。スプライス30のベース部材30及び3つの蓋部材321、322、323は、その互いに対向する対向面31a、321a、322a、323aが、クランプばね33の一対の側板部33bの間隔方向に概ね垂直となる向きで一対の側板部33bの間に把持されている。一対の側板部33bの一方はベース部材31に当接し、他方の側板部33bは押さえ蓋32に当接する。
【0019】
延出光ファイバ21の挿入端部は、その先端がスプライス30のベース部材31と中蓋部材32との間に配置され、該先端から光コネクタ22側(延出端部側)の部分がスプライス30のベース部材31と後蓋部材31との間に把持固定されている。
延出光ファイバ付きスプライス20は、スプライス30の前側からベース部材31と中蓋部材32との間に光ファイバ1を挿入することで、該光ファイバ1(以下、挿入光ファイバとも言う)の先端を延出光ファイバ21先端(挿入端部先端)に突き合わせ接続できる。また、この延出光ファイバ付きスプライス20は、スプライス30の半割りの素子の間、すなわちベース部材31(ベース側素子)と押さえ蓋32(蓋側素子)との間に、前記延出光ファイバ21と該光ファイバ21に突き当てた光ファイバとを、前記クランプばね33の弾性によって把持固定できる。
【0020】
図18に示すように、光ファイバケーブル24は、例えば光ファイバ21を該光ファイバ21に縦添えした一対の線状の抗張力体26とともに樹脂被覆材25(以下、外被とも言う)中に埋め込んで一体化した構成の断面略長方形の光ファイバケーブルであり、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等として用いられるものである。
光ファイバ21は光ファイバケーブル24の断面中央部に配置され、一対の抗張力体26は光ファイバ21から光ファイバケーブル24の断面長手方向両側に離隔した位置に配置されている。光ファイバ21は、例えば光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆光ファイバである。
【0021】
延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1は光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである。図示例では、延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1として、単心の光ファイバ心線を採用している。
延出光ファイバ21の挿入端部先端(前端)には、裸光ファイバ21aが口出しされている。スプライス30での延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続は、挿入光ファイバ1先端に口出しした裸光ファイバ1aと延出光ファイバ21の挿入端部先端の裸光ファイバ21aとの突き合わせによって実現される。
【0022】
図7、図8に示すように、スプライス30のベース部材31には、その長手方向全長にわたって、蓋部材321、322、323に対向する対向面31aが延在形成されている。このベース部材31の前記対向面31aの長手方向(延在方向)中央部には、延出光ファイバ21先端に口出しされた裸光ファイバ21aと挿入光ファイバ1先端に口出された裸光ファイバ1aとを突き合わせ接続(光接続)可能に互いに高精度に位置決め、調心するための調心溝31bが形成されている。この調心溝31bは、ベース部材31の長手方向に沿って延在形成されたV溝である。但し、調心溝31bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0023】
前記調心溝31bは、ベース部材31の前記対向面31aの中蓋部材323に対向する部分に形成されている。
ベース部材31の前記対向面31aの後蓋部材321に対向する部分及び前蓋部材323に対向する部分には、前記調心溝31bに比べて溝幅が大きい被覆部挿入溝31c、31dが形成されている。被覆部挿入溝31c、31dは、ベース部材31長手方向において前記調心溝31bの両側に、ベース部材31長手方向に沿って延在形成されている。
被覆部挿入溝31c、31dと調心溝31bとの間には、被覆部挿入溝31c、31dから調心溝31b側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状のテーパ溝31e、31fが形成されている。各被覆部挿入溝31c、31dは、前記テーパ溝31e、31fを介して調心溝31bと連通されている。
図示例のスプライス30において、被覆部挿入溝31c、31dはV溝である(被覆部挿入溝31dについて図9参照)。但し、被覆部挿入溝31c、31dとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0024】
延出光ファイバ21の挿入端部は、裸光ファイバ21a外周が被覆21bによって覆われた部分である被覆部を、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する対向面31a、321aにそれぞれ形成された被覆部挿入溝31c、321bに挿入し、前記被覆部の端末から突出する裸光ファイバ21aを前記調心溝31bに挿入して、ベース部材31と押さえ蓋32との間に設けられている。
そして、延出光ファイバ21の挿入端部は、前記被覆部が、後蓋部材321とベース部材31との間に、クランプばね33の弾性によって把持固定されている。
【0025】
後蓋部材321の被覆部挿入溝31cは、後蓋部材321の対向面321aにおける、ベース部材31の被覆部挿入溝31cに対応する位置に形成されている。また、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、延出光ファイバ21の被覆部外径に鑑みて、後蓋部材321とベース部材31との間に延出光ファイバ21の被覆部をしっかりと把持固定できるように、その深さが調整されている。すなわち、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、その深さの合計が延出光ファイバ21の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0026】
図7、図8に示すように、調心溝31bの前側に形成された被覆部挿入溝31dには、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1a外周が被覆1bによって覆われた部分である被覆部が挿入される。
また、図示例のスプライス30は、前蓋部材323の対向面323aにも、ベース部材31の被覆部挿入溝31dに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝323bが形成されている。挿入光ファイバ1は、その先端に、予め裸光ファイバ1aを口出しした状態で、スプライス30前側から被覆部挿入溝31d、323bに挿入される。
【0027】
図10に示すように、スプライス用工具80は介挿部材81を2つ有している。
2つの介挿部材81は、一方(図中符号81Aを付記する)が、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿され、他方(図中符号81Bを付記する)が前蓋部材323とベース部材31との間に介挿されている。スプライス30の前蓋部材323とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間は、前記介挿部材81A、81Bによってクランプばね33の弾性に抗して開放されている。
後蓋部材321とベース部材31との間、及び中蓋部材322の後端部とベース部材31との間には、介挿部材81は介挿されていない。
なお、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Aを、以下、第1介挿部材、前蓋部材323とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Bを、以下、第2介挿部材とも言う。
【0028】
図8に示すように、前蓋部材323とベース部材31との間は、スプライス30前側から、被覆部挿入溝31d、323bに挿入光ファイバ1の被覆部を楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。中蓋部材322前端部とベース部材31との間は、挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aを調心溝31bに楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。
【0029】
図示例のスプライス用工具80の介挿部材81は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に、板状に形成された先端部81aを割り込ませている。
前蓋部材323とベース部材31との間、及び中蓋部材322前端部とベース部材31との間の開放量は、介挿部材81の板状の先端部81aの厚み寸法によって設定される。
第1介挿部材81Aによって開放された、中蓋部材322前端部とベース部材31との間の離隔距離は、裸光ファイバ21a、1aが調心溝31bと中蓋部材322の対向面322aとの間から離脱しない範囲に設定される。
第2介挿部材81Bによって開放された、前蓋部材323とベース部材31との間の離隔距離は、挿入光ファイバ1(その被覆部)が被覆部挿入溝31d、323bの間から離脱しない範囲に設定される。
【0030】
なお、介挿部材としては、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませる先端部(介挿片部)が板状になっているものに限定されない。
介挿部材の介挿片部としては、例えばシート状のもの、ロッド状のもの等も採用可能である。
【0031】
図9に例示した介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部として、板状の先端部81aを有する。以下、介挿部材本体83の板状の先端部81aを介挿片部とも言う。
介挿部材本体83の介挿片部81a以外の部分は、該介挿片部81aに比べて板厚(厚み寸法)が大きい板状に形成されている。
また、介挿部材81の板状の介挿片部81aは、その先端が先細りのテーパ状に形成されている。この介挿部材81は、スプライス30の半割り把持部材34から抜き去った後に、その介挿片部81aを、ベース部材31と押さえ蓋32との間に押し込んで割り込ませる(介挿部材付きスプライスを組み立てる)ことが可能である。
また、光ファイバ接続用ユニット10は、スプライス30から介挿部材を取り外した状態で現場に供給し、現場にて、スプライス30の中蓋部材322とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間にそれぞれ介挿部材の介挿片部を割り込ませて介挿部材付きスプライスを組み立てても良い。
【0032】
前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、前蓋部材323とベース部材31との間から介挿部材81Bを抜き去ったときに、前蓋部材323とベース部材31との間に挿入光ファイバ1の被覆部をしっかりと把持固定できるように、挿入光ファイバ1の被覆部外径に鑑みてその深さが調整されている。すなわち、前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、その深さの合計が挿入光ファイバ1の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0033】
図示例のスプライス30において、後蓋部材321、前蓋部材323の被覆部挿入溝321b、323bはV溝である(前蓋部材323の被覆部挿入溝323bについて図9参照)。但し、被覆部挿入溝321b、323bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
また、被覆部挿入溝は、必ずしも、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の両方に形成する必要はない。スプライスとしては、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
このことは、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分についても同様であり、スプライスとしては、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
【0034】
図7、図8に示すように、中蓋部材322は、ベース部材31長手方向に沿う方向を長手方向とする細長板状に形成されている。この中蓋部材322は、既述のように、その前端部が第1介挿部材81Aによってベース部材31に対して開放されている。中蓋部材322の前端部から後側の部分とベース部材31との間には介挿部材は介挿されていない。中蓋部材322は、図8に示すように、その後側から前側に行くにしたがってベース部材31からの距離が増大するように、ベース部材31に対して傾斜している。このため、延出光ファイバ21の挿入端部先端に口出しされている裸光ファイバ21aは、ベース部材31長手方向に沿う細長板状の中蓋部材322の後端部とベース部材31との間では把持固定されているが、中蓋部材322の後端部から前側の部分とベース部材31との間では把持固定されていない。
【0035】
図6に示すように、スプライス30の半割り把持部材34における、前記クランプばね33の背板部33aとは反対側(以下、開放側)に露出する側面には、前記介挿部材81を挿入するための介挿部材挿入穴35が開口されている。図7に示すように、この介挿部材挿入穴35は、ベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323の対向面31a、321a、322a、323aの互いに対応する位置に形成された介挿部材挿入溝31g、321c、322c、323cによって、ベース部材31と蓋部材321、322、323との間に確保されている。
なお、介挿部材挿入穴35は、半割り把持部材34の開放側から、調心溝31b、被覆部挿入溝31c、31d、321b、323bに達しない深さで形成される。
また、介挿部材挿入穴35としては、ベース部材31及び蓋部材321、322、323の片方のみに形成した介挿部材挿入溝によって確保した構成も採用可能である。
【0036】
図6に示すように、図示例のスプライス30において、前記介挿部材挿入穴35は、中蓋部材322の後端部及び前端部に対応する2箇所と、後蓋部材321及び前蓋部材323のベース部材31長手方向に沿う前後方向中央部に対応する位置の、計4箇所に形成されている。介挿部材81A、81Bは、4箇所の介挿部材挿入穴35のうち、中蓋部材322の前端部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図6中、符号35aを付記する)、前蓋部材323の前後方向中央部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図6中、符号35bを付記する)とに挿入されている。
【0037】
図8に示すように、中蓋部材322のベース部材31の調心溝31bに対面する部分には、平坦な対向面322aが形成されている。中蓋部材322は、該中蓋部材322とベース部材31との間に介挿されている第1介挿部材81Aを抜き去ったときに、クランプばね33の弾性によって、延出光ファイバ21先端の裸光ファイバ21aと、該裸光ファイバ21a先端に突き当てた挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aとを対向面22aで押圧して、調心溝31bに押さえ込むことができる。
【0038】
図7、図8に示すように、クランプばね33の一対の側板部33bは、それぞれ、スプライス30の押さえ蓋32の3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分かれている。押さえ蓋32に当接する側板部33b(図7、図8において上側の側板部33b)は、後蓋部材321と中蓋部材322との境界、及び中蓋部材322と前蓋部材323との境界に対応する位置にそれぞれ形成されたスリット状の切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。ベース部材31に当接する側板部33bは、蓋部材321、322、323に当接する側板部33bの切り込み部33dに対応する位置に形成された切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。
【0039】
クランプばね33は、後蓋部材321とベース部材31とを保持する第1クランプばね部331と、中蓋部材322とベース部材31とを保持する第2クランプばね部332と、前蓋部材323とベース部材31とを保持する第3クランプばね部333とを有する。第1〜3クランプばね部331〜333は、互いに独立したクランプばねとして機能する。
なお、図7、図8等において、第1クランプばね部331の一対の側板部に符号331b、第2クランプばね部332の一対の側板部に符号332b、第3クランプばね部333の一対の側板部に符号333bを付記する。
【0040】
スプライス30は、3つのクランプばね部に対応する3つのクランプ部を有する。
すなわち、このスプライス30は、第1クランプばね部331の内側に後蓋部材321とベース部材31とを保持した第1クランプ部と、第2クランプばね部332の内側に中蓋部材322とベース部材31とを保持した第2クランプ部と、第3クランプばね部333の側に前蓋部材323とベース部材31とを保持した第3クランプ部とを有する。
3つのクランプ部は、それぞれ、個々のクランプ部に対応するクランプばね部の弾性によって、半割りの素子(ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材(蓋側素子))の間に光ファイバを把持固定できる。
【0041】
スプライス30の第1クランプ部は、第1クランプばね部331の弾性によって、後蓋部材321とベース部材31との間に延出光ファイバ21の被覆部を把持固定した状態となっている。このスプライス30は、例えば中蓋部材322を該中蓋部材322とベース部材31との間への介挿部材の挿脱によって開閉(すなわち第2クランプ部の開閉)しても、第1クランプ部の延出光ファイバ21の把持固定状態は安定に維持される。また、介挿部材の挿脱による第3クランプ部の開閉も、第1クランプ部の延出光ファイバ21の把持固定状態に何等影響を与えない。
【0042】
図9、図10に示すように、スプライス用工具80は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に先端部(介挿片部81a)を割り込ませた2つの介挿部材81と、この介挿部材81が取り付けられたスリーブ状の介挿部材駆動部82とを有する。
前記介挿部材81は、介挿部材駆動部82に形成された切欠部82aに通して、介挿部材駆動部82外側に突出させた板状の介挿部材本体83を有する。この介挿部材81の前記介挿片部81aは、前記切欠部82aを介して介挿部材駆動部82外側に突出させた前記介挿部材本体83の先端部を構成する。
前記スプライス用工具80は、前記介挿部材81の介挿片部81aとは反対側の基端側を、介挿部材駆動部82において前記切欠部82aが形成された壁部である受圧壁部86に対面する係止壁部85に取り付けた構成になっている。
【0043】
前記受圧壁部86は、前記切欠部82aが形成された平板状の板状主壁部86aに、介挿部材駆動部82外側に向かって突出する当接用突壁部86bを突設した構成になっている。
前記受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向に沿って延在する前記板状主壁部86aの延在方向中央部に、該板状主壁部86aの延在方向(前後方向)に垂直に突設されたリブ状の突壁である。また、この当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82において受圧壁部86(詳細には板状主壁部86a)と係止壁部85(詳細には後述の板状主壁部85a)との間を繋ぐ両側の駆動部側壁部88の間隔方向である左右方向(図9左右方向)に延在形成されている。
【0044】
前記切欠部82aは、受圧壁部86の板状主壁部86aに、その前後方向両端から、前後方向に沿う細長に延在形成されている。受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向において、前後の切欠部82aの間に位置する。
スプライス用工具80の2つの介挿部材81は、その介挿部材本体83を、前記当接用突壁86aを介して前後の切欠部82aに通して設けられている。
【0045】
介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部81aとは反対側の基端側に、係止壁部85に、前記受圧壁部86側から当接される当接壁部83aを有する。
図示例のスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85は、受圧壁部86の板状主壁部86aに平行に形成された板状主壁部85aに、該板状主壁部85aから受圧壁部86に向かって突出する突壁部85bを突設した構成になっている。
介挿部材81の当接壁部83aは、係止壁部85の突壁部85b突端の端面に受圧壁部86側から当接可能になっている。
【0046】
また、介挿部材81は、前記介挿部材本体82の基端部(当接壁部83a)から、前記介挿片部81aとは反対の側(介挿部材81の基端側)へ延出させた係合片84を有する。そして、この介挿部材81は、前記係合片84を、前記係止壁部85を貫通する貫通孔85cに通し、前記係止壁部85外側(受圧壁部86とは反対の側)に突出させた係合片84先端部(延出端部)の側面に突設してある係合爪84aを、前記係止壁部85に係合可能に配置して、前記介挿部材駆動部82に取り付けている。
【0047】
図示例のスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85の貫通孔85cは、その一端が突壁部85b突端の端面に開口している。貫通孔85cの他端は、係止壁部85に板状主壁部85a外面(介挿部材駆動部82内側とは反対側の面)から窪んで形成された凹部85d内に開口している。前記凹部85dは、前記貫通孔85cの他端を拡張した穴状に形成されている。介挿部材81の係合片84の係合爪84aは、前記貫通孔85cの他端と凹部85dとの境界の段差面85eから介挿部材駆動部82外側方向に突出された係合片84の先端部側面に突設されている。この係合爪84aは、受圧壁部86とは反対の側から前記段差面85eに係合可能となっている。
【0048】
図示例の介挿部材81は、前記係合片84の係合爪84aと前記当接壁部83aとの間に、前記係止壁部85の前記貫通孔85cの長さ(軸線方向寸法)に比べて若干長い離隔距離を確保してある。したがって、この介挿部材81は、前記係止壁部85に対して前記貫通孔85cの軸線方向に若干の可動範囲を確保して、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けられている。
【0049】
なお、スプライス用工具としては、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間の離隔距離を係止壁部85の貫通孔85cの長さに揃えて、介挿部材81を介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けた構成も採用である。この構成の場合、介挿部材81は、係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間に係止壁部85を挟み込んで、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に対して前記貫通孔85cの軸線方向への変位を規制した状態で取り付けられる。
【0050】
2つの介挿部材81A、81Bは、介挿部材駆動部82にその軸線(中心軸線Q)方向に互いに離隔させて取り付けられている。
なお、スプライス用工具80について、介挿部材駆動部82の軸線方向を、以下、前後方向として説明する。介挿部材81は、その板状の介挿部材本体83の厚み方向が、介挿部材駆動部82の前後方向に垂直の向きで介挿部材駆動部82に取り付けられている。
【0051】
そして、スプライス用工具80は、介挿部材81の前記介挿部材本体83の介挿部材駆動部82外側に突出させた先端部を、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませて、スプライス30に取り付けられている。このスプライス用工具80は、その前後方向をスプライス30の前後方向に揃えて設けられている。
介挿部材本体83は、スプライス30のクランプばね33の弾性によって、ベース部材31と押さえ蓋32との間に比較的強い力で把持されている。
【0052】
図9に示すように、スプライス30の半割り把持部材34は、クランプばね33からその開放側(背板部33aとは反対側)に突出されている。スプライス用工具80は、前記受圧壁部86の当接用突壁部86bをスプライス30の半割り把持部材34に当接させてスプライス30に取り付けられている。
【0053】
このスプライス用工具80は、介挿部材駆動部82の軸線(中心軸線Q)方向に垂直の断面において、前記介挿部材81を介して両側(図9において左右両側。図9における左右方向を、以下、スプライス用工具80の左右方向として説明する)に位置する部分を押圧(側圧Pを与える)して互いに接近させることで、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が増大する。その結果、このスプライス用工具80は、介挿部材81を、スプライス30(詳細には半割り把持部材34)から抜き去ることができる。
介挿部材駆動部82に側圧Pを与えてその左右両側部分を互いに接近させ、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業は、例えば、作業者が片手の手指で介挿部材駆動部82を握って行うことができる。
【0054】
また、このスプライス用工具80は、前記受圧壁部86の前記切欠部82aを介して両側、すなわち、前記切欠部82aに前記受圧壁部86に垂直の向きで通されている介挿部材本体83を介して両側(図9において左右両側)から前記介挿部材本体83と平行の向きで、介挿部材駆動部82外側に突出された一対の係合壁部87を有する。
そして、このスプライス用工具80は、前記一対の係合壁部87の突端部から、該一対の係合壁部87の互いに対面する内面側に突出された突爪87aを、スライダ120の側壁部122の下端に係合させてスライダ120に取り付けられる。スプライス用工具80は、係合壁部87をスライダ120に係合させることで、スライダ120に対する位置ずれが生じにくくなる。
【0055】
但し、このスプライス用工具80は、介挿部材駆動部82にその左右両側から側圧Pを与えて、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業を行うとき、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、一対の係合壁部87のスライダ120に対する係合を解除できる。
一対の係合壁部87のスライダ120に対する係合、及び係合解除については、後で説明する。
【0056】
図1〜図5に示すように、光ファイバ接続用ユニット10のユニットベース40は、基板部50(基体)と、延出光ファイバ付きスプライス20のスプライス30を脱着可能に保持するスプライスホルダ部60と、光ファイバケーブル24端末24aの外被25を脱着可能に把持する外被把持部70(端末把持部)とを有する。
基板部50は、細長形の板状体であり、例えば平面視略長方形状とすることができる。
【0057】
図5に示すように、スプライスホルダ部60は、基板部50の一側縁51aに立設された一対の一側突壁部62と、他側縁51bに立設された一対の他側突壁部63と、基板部50の前端部の両側に設けられた一対の前側突壁部64と、一側突壁部62の後端部の両側に設けられた一対の後側突壁部65とを有する。
突壁部62〜65は、基板部50の上面50a(一方の面)側に突出して形成されている。
スプライスホルダ部60は、スプライス30を、一側突壁部62と他側突壁部63の間に確保されたスプライス収納空間67に収納してスプライス30を保持する。
【0058】
図1〜図5に示すように、一対の一側突壁部62、62は、前後に間隔をおいて形成されている。前方寄りの一側突壁部62を一側突壁部62Aといい、後方寄りの一側突壁部62を一側突壁部62Bという。
一対の他側突壁部63、63は、前後に間隔をおいて形成されている。前方寄りの他側突壁部63Aは、一側突壁部62Aよりも後方寄りに位置し、後方寄りの他側突壁部63Bは、一側突壁部62Bよりも前方寄りに位置している。
【0059】
一側突壁部62の内面には内面側に突出する係止爪62cが形成されている。同様に、他側突壁部63の内面には内面側に突出する係止爪63cが形成されている。これら係止爪62c、63cによってスプライス30の浮き上がりを規制できる。
スプライス30は、スプライス収納空間67内に押し込むことによって係止爪62c、63cの下側に入り込んで、上方への浮き上がりが規制される。
【0060】
一対の前側突壁部64は、一側突壁部62Aよりもさらに前方寄りに形成されている。前側突壁部64の向かい合う内面には、それぞれ前側ストッパ突起64aが形成されている。
一対の後側突壁部65は、一側突壁部62Bよりもさらに後方寄りに形成されている。
前側突壁部64と後側突壁部65との離隔距離は、スプライス30の長手方向寸法に応じて設定されており、スプライス30は、前側突壁部64と後側突壁部65によって基板部50に対する前後方向の位置ずれが規制される。
【0061】
スプライス30の第3クランプ部は、前蓋部材323とベース部材31との間に介挿されている介挿部材81Bがスプライス30から抜き去られると、クランプばね33の第3クランプばね部333の一対の側板部333b間の離隔距離が縮小するため、スプライス30は、スプライスホルダ部60からの取り出しが容易となる。
このため、スプライスホルダ部60は、スプライス30を脱着可能に保持できる。
なお、一側突壁部62および他側突壁部63の係止爪62c、63cによるスプライス30の係止の解除は、例えば、作業者が手指で一側突壁部62および他側突壁部63を互いに離れる方向に弾性変形させることによっても行うことができる。
【0062】
図6〜図8に示すように、スプライス30について、ベース部材31の対向面31aに垂直の方向を、以下、幅方向とも言う。
スプライス30の半割り把持部材34の前端係合突部の両側の係合面31k、323eは前端係合突部の幅方向両側、後端係合突部の両側の係合面31i、321eは後側係合突部の幅方向両側に位置する。また、クランプばね33の両側の側板部33bは、半割り把持部材34を介して、その幅方向両側に配置されている。
【0063】
スプライス30のベース部材31のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの、後端張出部31h及び前端張出部31jの突出寸法は、クランプばね33の側板部33bの板厚よりも若干大きくしてある。また、後蓋部材311のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの後端張出部321dの突出寸法、及び、前蓋部材323のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの前端張出部323dの突出寸法も、クランプばね33の側板部33bの板厚に比べて若干大きくしてある。
【0064】
板状の中蓋部材322の厚み、すなわち中蓋部材322の対向面322aとクランプばね33の側板部33bが当接される背面との間の距離と、後蓋部材321の後端張出部321d以外の板状部の厚みと、前蓋部材323の前端張出部323d以外の板状部の厚みとは、互いに同じに揃えられている。
中蓋部材322とベース部材31との間及び前蓋部材323とベース部材31との間に介挿部材81A、81Bが介挿された状態のスプライス30(介挿部材付きスプライス)は、第1〜第3クランプ部のうち、第3クランプ部の前端係合突部が、幅方向寸法が最大の部位となっている。
【0065】
図5に示すように、介挿部材付きスプライスにおける第3クランプ部の前端係合突部の幅方向寸法(幅寸法の最大値)は、スプライスホルダ部60の突壁部62、63間の幅方向距離と同じとすることができる。この介挿部材付きスプライスの幅方向寸法は、突壁部62、63に突設されている係止爪62c、63cの突端間の距離よりも若干大きく、かつ突壁部62、63間の幅方向距離以下の寸法とすることができる。
この介挿部材付きスプライスの第1クランプ部における後端係合突部から前側部分、及び第2クランプ部の幅方向寸法は、第3クランプ部における前端係合突部から後側部分の幅方向寸法よりも小さい。
【0066】
図7、図8に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の前端には、前蓋部材323及びベース部材31に、それぞれ、その前端面から後側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34aが開口している。このテーパ状開口部34aの後端(奥端)は被覆部挿入溝323b、31dと連通している。
図4に示すように、前側ストッパ突起64aには、その後側から、スプライス30の半割り把持部材34の前記テーパ状開口部34a周囲の口縁部が当接される。また、一対の前側ストッパ突起64aは、テーパ状開口部34aに重なる位置には配置されず、テーパ状開口部34aから被覆部挿入溝323b、31dへの挿入光ファイバ1の挿入の障害になることはない。
【0067】
また、一対の前側ストッパ突起64aの間には、スプライスホルダ部60の前側から、該スプライスホルダ部60に保持したスプライス30の被覆部挿入溝323b、31dへ挿入する挿入光ファイバ1を、スプライス30前端に開口する前記テーパ状開口部34aに円滑に導くファイバ導入凹部66が確保されている。ファイバ導入凹部66は、その前側から後側に行くにしたがって溝幅が縮小していくテーパ状に形成された溝である。
基板部50前側からスプライス30に挿入される挿入光ファイバ1は、スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30に、ファイバ導入凹部66を通して導くことができる。
【0068】
図7、図8に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の後端には、後蓋部材321及びベース部材31に、それぞれ、その後端面から前側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34bが開口している。このテーパ状開口部34bの前端(奥端)は被覆部挿入溝321b、31cと連通している。
図4に示すように、後側突壁部65には、その前側から、ベース部材31後端におけるテーパ状開口部34bの周囲の口縁部が当接される。
【0069】
外被把持部70は、基板部50の上面50a側に、スプライスホルダ部60から離隔した位置に形成されている。
具体的には、基板部50の前端部を含む位置に形成されたスプライスホルダ部60に対し、後方に離隔した位置に形成されている。図示例では、外被把持部70は基板部50の後端部を含む位置の上面50aに形成されている。
【0070】
図13は外被把持部70の平面図である。図14は蓋体72を開放した状態の外被把持部70の平面図である。図15は外被把持部70の断面図であり、図13のA1−A1断面図である。図16は外被把持部70の後面図である。図17は外被把持部70の斜視図である。
図13〜図17に示すように、外被把持部70は、光ファイバケーブル24を嵌め込むケーブル嵌合溝71aが形成された断面コ字形の把持ベース71と、前記把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの溝幅方向両側の側壁部71b、71cの一方に枢着された押さえ蓋72とを有する。
【0071】
外被把持部70は、把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの互いに対向する面に複数突設した把持用突起71fを、ケーブル嵌合溝71aに嵌め込まれた光ファイバケーブル24の外被25に食い込ませて、一対の側壁部71b、71cの間に光ファイバケーブル24を把持固定できる。把持ベース71は、底壁部71dの片面側に突設された一対の側壁部71b、71cの間にケーブル嵌合溝71aが確保された断面コ字形の部材である。ケーブル嵌合溝71aの溝幅方向は、該ケーブル嵌合溝71aを介して向かい合う両側の側壁部71b、71cの間隔方向を指す。図示例の外被把持部70の把持用突起71fは、ケーブル嵌合溝71aの深さ方向に延在する断面三角形状の突条とされている。
【0072】
外被把持部70は、押さえ蓋72が側壁部71cから離隔する開放状態にて把持ベース71を光ファイバケーブル24端末に外嵌めして固定した後、押さえ蓋72を把持ベース71の側壁部71b、71c上端部間におけるケーブル嵌合溝71aの開口部を閉じる閉位置に回動し、該押さえ蓋72を側壁部71cに係止して、光ファイバケーブル24端末に取り付けられる。
【0073】
図示例の外被把持部70はプラスチック製の一体成形品である。押さえ蓋72は、一対の側壁部71b、71cの一方(第1側壁部71b)の突端に、ヒンジ部として機能する薄肉部73を介して繋がっている。この押さえ蓋72は、薄肉部73によって、ケーブル嵌合溝71aの延在方向に沿う軸線を以て、把持ベース71の第1側壁部71bに対して回転可能に枢着されている。なお、把持ベース71の一対の側壁部71cの他方を第2側壁部71cとも言う。
【0074】
図示例の外被把持部70の押さえ蓋72はL字板状に形成されている。この押さえ蓋72は、薄肉部73を介して把持ベース71の第1側壁部71bに枢着されている天板部72aと、天板部72aの薄肉部73とは反対側の端部から天板部72aに垂直に形成された係止板部72bとを有する。この押さえ蓋72は、天板部72aを把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの突端に当接してケーブル嵌合溝71aの開口部を閉じる閉じ位置に配置したときに、係止板部72bを把持ベース71の第2側壁部71cのケーブル嵌合溝71aとは反対側の外面に重ね合わせることができる。そして、押さえ蓋72は、係止板部72bに形成されている係止用窓孔72cに、把持ベース71の第2側壁部71c外面に突設されている係止用爪71eを入り込ませることで把持ベース71に係止され、把持ベース71に対する閉じ状態を安定維持できる。
【0075】
図示例の外被把持部70(引留用固定部材)は、把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの延在方向に沿う前後方向の片端から突出する一対の前側突壁部75を有している。一対の前側突壁部75は、把持ベース71の両側の側壁部71b、71cから、該側壁部71b、71cを把持ベース71前後方向に沿って延長するように突出する板片状に形成されている。
図14に示すように、光ファイバケーブル24の端末24aをケーブル嵌め込み溝71aに嵌め込むと、把持ベース71の一対の側壁部71b、71cのケーブル嵌め込み溝71aに臨む面(内面)にそれぞれ複数突設されている突爪71fが光ファイバケーブル24の外被25の側面に当接し、一対の側壁部71b、71cの間に光ファイバケーブル24の端末24aが把持固定される。
また、上述のように、第2側壁部71c外面の係止爪71eによってL字板状の蓋体72を係止して閉じ合わせ状態を維持することで、把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの突端間の離隔、及びケーブル嵌め込み溝71aからの光ファイバケーブル24の離脱を確実に防ぐことができ、外被把持部70の光ファイバケーブル24の端末24aに対する固定状態を安定に保つことができる。
外被把持部70は、蓋体72を開放してケーブル嵌め込み溝71aから光ファイバケーブル24を取り出すことによって、光ファイバケーブル24から取り外すことができる。すなわち、外被把持部70は光ファイバケーブル24に対し脱着可能である。
外被把持部70は、プラスチック製の一体成形品であることが好ましい。
【0076】
外被把持部70は、基板部50に対して一体的に形成されていることが好ましい。例えば、外被把持部70と基板部50はプラスチック製の一体成形品とすることができる。外被把持部70と基板部50を一体に形成することによって、光ファイバケーブル24を確実に固定し、光ファイバ21の破損を防ぎ、信頼性を高めることができる。
なお、外被把持部70は一体成形に限定されず、基板部50に対し強固に固定できる構造があれば、基板部50に対し別体とすることもできる。
ユニットベース40は、スプライスホルダ部60も含めて、一体に形成することが好ましい。例えば、ユニットベース40はプラスチック製の一体成形品とすることができる。
【0077】
なお、外被把持部は、図示例の構成に限定されない。外被把持部としては、例えば、係止板部72bを省略し、天板部72aに、把持ベース71の第2側壁部71cの突端に係合する係合部を設けた構造の押さえ蓋も採用可能である。また、外被把持部としては、把持ベースのみからなる構成も採用可能である。また、外被把持部としては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成のものも採用可能である。
外被把持部は、例えば光ファイバケーブル24端末外周に接着剤による接着固定、熱溶着などによって固定する部材などであっても良い。
【0078】
図18は、外被把持部の他の例を示すもので、この外被把持部70Aは、蓋体を備えておらず、ケーブル嵌め込み溝71aを介して両側の側壁部71b、71cが底板部71d上に互いに並行に突設された把持ベース71Aからなる点で図16等に示す外被把持部70と異なる。
側壁部71b、71cの突端(図18の上端)には、内方に突出して光ファイバケーブル24の上方移動を規制することによって光ファイバケーブル24が外れるのを防ぐ外れ防止突起74が形成されている。
この構成の外被把持部70Aは、蓋体がないため構造が簡単であり、光ファイバケーブル24をケーブル嵌め込み溝71aに嵌め込む操作が容易である。また、構造が簡単であるため製造が容易であり、低コスト化を図ることもできる。
【0079】
図1および図20に示すように、光ファイバ接続装置100の装置基部110は、挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90を保持するものであって、概略トレイ状の基部本体130と、基部本体130上にスライド移動可能に設置されるスライダ120とを有する。
基部本体130は、主部131と、主部131から一方向に延出する第1レール部132と、主部131から第1レール部132とは反対の方向に延出する第2レール部142とを有する。
主部131には、スライダ120を係止する弾性係止片136と、ファイバホルダ90を係止する弾性係止片146とが形成されている。
【0080】
第1レール部132は、スライダ120をスライド移動させるスライド面133が形成された台部134の両側縁に、それぞれスライダ120を案内する案内壁部135、135が突設された概略構成になっている。
一対の案内壁部135は、第1レール部132の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面133上に載置されたスライダ120の基板部121の両側縁部121aが当接することによって、スライダ120を幅方向に位置決めできる。
【0081】
弾性係止片136は、主部131の幅方向両側に突設された張出部138からスライド面133側に突出する湾曲板部136aの先端に、スライダ120の係止用突起127が入り込む係合用凹所136cが形成された板状の係合片部136bを突設した構成になっている。
湾曲板部136aは、第1レール部132前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部136aの突端は第1レール部132から主部131にかけて形成されたスライド面133よりも上方に位置する。
係合片部136bは、湾曲板部136aの突端から内方に向けてスライド面133上に張り出されている。
【0082】
係合片部136bの係合用凹所136cは、該係合片部136bの前後中央部に、該係合片部136bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片136は、係合用凹所136cにスライダ120の係止用突起127が入り込んで該係止用突起127と係合したときに、第1レール部132に対するスライダ120の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片136が、湾曲板部136aの弾性によってスライダ120を挟み込み、スライダ120を安定に保持する。
弾性係止片136は、第1レール部132に沿って前進させたスライダ120に係合してその後退を規制するスプライス係止機構として機能する。
【0083】
第1レール部132の両側縁には、側壁部137、137が立設されている。
側壁部137は、第1レール部132の長さ方向の一部範囲に形成され、側壁部137の下部内面には、スライダ120の浮き上がりを規制する溝部137aが形成されている。溝部137aは、第1レール部132の形成方向(前後方向)に沿って形成され、基板部121の両側縁部121aが入り込むことによって、スライダ120の浮き上がりを規制できる。
【0084】
第2レール部142は、ファイバホルダ90をスライド移動させるスライド面143が形成された台部144の両側縁に、ファイバホルダ90を案内する一対の案内壁部145を突設した概略構成になっている。
一対の案内壁部145は、第2レール部142の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面143上に載置されたファイバホルダ90の両側縁に当接してファイバホルダ90を幅方向に位置決めできる。
【0085】
弾性係止片146は、主部141の幅方向両側に突設された張出部148からスライド面143側に突出する湾曲板部146aの先端に、ファイバホルダ90の係止用突起98が入り込む係合用凹所146cが形成された板状の係合片部146bを突設した構成になっている。
湾曲板部146aは、第2レール部142前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部146aの突端は第2レール部142から主部141にかけて形成されたスライド面143よりも上方に位置する。
係合片部146bは、湾曲板部146aの突端から内方に向けてスライド面143上に張り出されている。
【0086】
係合片部146bの係合用凹所146cは、該係合片部146bの前後中央部に、該係合片部146bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片146は、係合用凹所146cにファイバホルダ90の係止用突起98が入り込んで該係止用突起98と係合したときに、第2レール部142に対するファイバホルダ90の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片146が、湾曲板部146aの弾性によってファイバホルダ90を挟み込み、ファイバホルダ90を安定に保持する。
弾性係止片146は、第2レール部142に沿って前進させたファイバホルダ90に係合してその後退を規制するスプライス係止機構として機能する。
【0087】
図1および図21に示すように、スライダ120は、一対の基板部121と、その内縁部121bにそれぞれ立設された一対の側壁部122と、これら側壁部122間に形成された底板部123とを有する。
スライダ120は、光ファイバ接続用ユニット10を側壁部122間に確保されたユニット収納空間126に収納して光ファイバ接続用ユニット10を保持するユニット保持部材として機能する。
スライダ120と、これに保持された光ファイバ接続用ユニット10とは、第1レール部132上でスライド移動可能な移動ユニット160を構成している(図1〜図3を参照)。
【0088】
側壁部122の外面には、前後に間隔をおいて一対の位置決め突部124A、124Bが形成されている。位置決め突部124A、124B間には、スプライス用工具80の係合壁部87が配置され、位置決め突部124A、124Bは、係合壁部87の前後方向の位置を規定する。
側壁部122の外側面には、位置決め突部124Aより前方の位置に、基部本体130の弾性係止片136の係合用凹所136cに係合する係止用突起127が外側方に突出して形成されている。係止用突起127の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状、図21参照)であることが好ましい。
基板部121には、係合壁部87が挿入される長孔125が形成されている。
【0089】
図9に示すように、スプライス用工具80は、一対の係合壁部87を長孔125に挿入させ、係合壁部87の突端部の突爪87aを側壁部122の下端に係合させて光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120に取り付けられる。
スプライス用工具80が光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120に取り付けられることによって、光ファイバ接続用ユニット10はスライダ120に対して前後方向の移動が規制され、位置決めされた状態となる。
【0090】
図22および図23に示すように、光ファイバホルダ90は、光ファイバを保持するホルダであり、ベース部91と、ヒンジ部91aでベース部91に対し回動自在に結合された蓋体92とを有し、ベース部91上の挿入光ファイバ1を、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定できる。
ベース部91の上面91bには、挿入光ファイバ1を収容する位置決め凹部93aを有する第1保持壁部93と、位置決め凹部94aを有する第2保持壁部94と、一対の位置決め突起95とが形成されている。
第2保持壁部94は第1保持壁部93の前方に、第1保持壁部93から離間して形成され、位置決め突起95は第2保持壁部94の前方に、第2保持壁部94から離間して形成されている。
ベース部91の上面には、位置決め凹部93aから位置決め凹部94aを経て一対の位置決め突起95間を通る直線状の位置決め溝96が形成されている。位置決め溝96は、挿入光ファイバ1を位置決めする溝部であって、例えば断面略V字形、断面略U字形、断面半円形などとすることができる。
ベース部91の外側面には、基部本体130の弾性係止片146の係合用凹所146cに係合する係止用突起98が外側方に突出して形成されている(図1および図23を参照)。係止用突起98の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
【0091】
図23に示すように、蓋体92をベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)では、蓋体92は保持壁部93、94の間に配置される。
蓋体92のヒンジ部91aが設けられた基端部92aとは反対の端部である先端部92b側に形成された係止突起92cは、ベース部91に形成された係止凹部(図示略)に係脱自在に嵌合できる。
ベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)で、係止突起92cをベース部91の係止凹部(図示略)に係合させることで、挿入光ファイバ1をベース部91に押さえ込んで把持固定できる。
【0092】
図12に示すように、光コネクタ22としては、例えばコネクタ本体22aと、光ファイバケーブル24をコネクタ本体22aに引き留める引留機構22bとを備えた構成を有するものが使用できる。
コネクタ本体22aは、光フェルール22c(以下、単にフェルール22cいう)を収容するハウジング22dと、ハウジング22dの外側に装着されたつまみ22eとを備えている。
ハウジング22d内には、例えばフェルール22cの内蔵光ファイバと、光ファイバケーブル24から引き出された光ファイバを突き合わせ接続などにより接続する接続機構(図示略)が設けられている。
引留機構22fは、本体部(図示略)と、光ファイバケーブル24の端末を把持するケーブル把持具(図示略)と、このケーブル把持具を引き留める引留カバー22gとを備えている。
コネクタ本体10には、例えばSC形光コネクタ(JIS C 5973参照)、LC形光コネクタ(ルーセント社商標)、MU形光コネクタ(JIS C 5983参照)、SC2形光コネクタ(SC形光コネクタからつまみを省いた構造)等の構造を採用できる。
【0093】
次に、光ファイバ接続装置100を用いて延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを接続(光接続)する作業(光ファイバ接続方法)について説明する。
図22および図23に示すように、挿入光ファイバ1は、ベース部91の位置決め溝96内に配置し、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定する。挿入光ファイバ1は、所定の前方への突出長を確保してファイバホルダ90に固定する。
図1に示すように、挿入光ファイバ1は、ファイバホルダ90から前方へ突出させた部分の先端部の被覆を除去して裸光ファイバ1aを口出しした状態で、光ファイバ接続用ユニット10のスプライスホルダ部60に保持したスプライス30への挿入、延出光ファイバ21に対する突き合わせ接続に用いる。
挿入光ファイバ1のファイバホルダ90からの突出長は、スプライス30内の延出光ファイバ21の裸光ファイバ21aまでの距離よりも若干長くすることにより、挿入光ファイバ1に形成されるたわみの弾性によって、裸光ファイバ1a、21a同士の突き当て力を確保して裸光ファイバ1a、21a同士を突き合わせ接続できる。
【0094】
ファイバホルダ90を基部本体130の第2レール部142のスライド面143に載置し、係止用突起98を弾性係止片146の係合用凹所146cに係合させる。これによって、ファイバホルダ90は、弾性係止片146によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面143上に位置決めされる。
【0095】
図1に示すように、光ファイバ接続用ユニット10およびこれを収容したスライダ120を、基部本体130の第1レール部132のスライド面133上に載置する。スライダ120は、基板部121の両側縁部121aを第1レール部132の幅方向両側の案内壁部135に当接させることによって、幅方向位置が定められる。
第1レール部132上のスライダ120をファイバホルダ90に向かって前進させる。
【0096】
光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120の移動過程では、基板部121の両側縁部121aが側壁部137の内面に形成された溝部137aに入り込むことによってスライダ120の浮き上がりが規制されるため、挿入光ファイバ1に対する正確な位置決めが可能となる。
【0097】
光ファイバ接続用ユニット10の前進によって、挿入光ファイバ1は、スプライスホルダ部60前端に開口するファイバ導入凹部66を介してスプライス30の被覆部挿入溝31d、323bに挿入することができる。
挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aは、被覆部挿入溝31d、323bを介して調心溝31bに挿入して、延出光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てる(突き合わせ接続する)ことができる。
【0098】
図24に示すように、光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120をさらに前進させ、係止用突起127を弾性係止片136の係合用凹所136cに係合させる。これによって、ファイバホルダ90は、弾性係止片146によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面143上に位置決めされる。この光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120の位置を前進限界位置という。
光ファイバ接続用ユニット10が前進限界位置に到達したときには、スプライス30の調心溝31bに挿入された裸光ファイバ1aは延出光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てられ、被覆部挿入溝31d、323bに被覆部が挿入された状態となる。
挿入光ファイバ1にはたわみが形成され、その弾性によって、裸光ファイバ1a、21a同士の突き当て力を確保して裸光ファイバ1a、21a同士を突き合わせ接続できる。
【0099】
次いで、図9に示すように、スプライス用工具80の介挿部材駆動部82に左右両側から側圧Pを与えて、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去る。
スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ると、スプライス30の第2クランプ部が、クランプばね33(詳細には第2クランプばね部332)の弾性によって、ベース部31と中蓋部材322との間に、裸光ファイバ1a、21aを突き合わせ状態を保ったまま把持固定する。また、第3クランプ部が、クランプばね33(詳細には第3クランプばね部333)の弾性によって、ベース部31と前蓋部材323との間に、挿入光ファイバ1の被覆部を把持固定する。これにより、スプライス30にて、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを突き合わせ接続(光接続)する作業が完了する。
接続作業が完了した延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とは、スプライス30の半割り把持部材34に把持固定される結果、裸光ファイバ1a、21a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
【0100】
既述のように、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させ、介挿部材駆動部82の受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離を増大させることで、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ることができる。
図9に示すように、このスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の、受圧壁部86と係止壁部85との間を繋ぐ左右両側の駆動部側壁部88は、介挿部材駆動部82の周方向に並んだ3つの板部88aが薄肉部88bを介して繋がった構成になっている。また、駆動部側壁部88と受圧壁部86との間、駆動部側壁部88と係止壁部85との間も薄肉部88bを介して繋がっている。
なお、係止壁部85、受圧壁部86、駆動部側壁部88の各板部88aは、スリーブ状の介挿部材駆動部82においてその軸線方向に延在する細長板状に形成されている。
【0101】
介挿部材駆動部82を変形させる側圧Pは、左右両側の駆動部側壁部88のうち、介挿部材駆動部82の中心軸線Qを介して左右両側への張り出しが最大の部位、すなわち、駆動部側壁部88を構成する3つの板部88aのうち、介挿部材駆動部82周方向において両端の板部88aの間の中央の板部88aに作用させる。以下、この中央の板部88aを押圧用板部とも言う。また、この押圧用板部に図中符号88cを付記する。
介挿部材駆動部82は、その左右両側から、左右の押圧用板部88cに側圧Pを作用させて、左右の押圧用板部88c間の離隔距離を縮めることで、薄肉部88bをヒンジ部として変形し、受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が増大する。
【0102】
また、図11に示すように、介挿部材駆動部82は、左右から側圧Pを作用させることで受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、左右の駆動部側壁部88が、押圧用板部88cを中心軸線Qに最も接近した部位とする概略弓形に変形する。そして、介挿部材駆動部82は、受圧壁部86が、その介挿部材駆動部82周方向両端に比べて中央部が介挿部材駆動部82外側に位置する円弧板状に変形される。その結果、スプライス用工具80は、受圧壁部86の変形に伴い、一対の係合壁部87相互の相対的な向きが、その先端(突端)間の距離を増大するように変わり、一対の係合壁部87の側壁部122に対する係合が解除される。
スプライス用工具80は、一対の係合壁部87の側壁部122に対する係合が解除されれば、簡単に取り外すことができる。
【0103】
図10に示すように、図示例のスプライス用工具80は、介挿部材81A、81Bの当接壁部83aを係止壁部85(具体的には突壁部85bの突端)に当接させたときの、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと介挿部材駆動部82の係止壁部85(具体的には段差面85e)との間の離隔距離c1、c2が同じではなく、互いに異ならせてある。図示例のスプライス用工具80は、スプライス30の第2クランプ部に挿入された第1介挿部材81Aの前記離隔距離c1を、第3クランプ部に挿入された第2介挿部材81Bの前記離隔距離c2よりも短くしてある。
【0104】
このため、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させたとき、スプライス30の第2クランプ部から第1介挿部材81Aが抜き去られた後に、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りが完了する。このスプライス用工具80は、第2クランプ部からの第1介挿部材81Aの抜き去りを、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りに先行して行う、時差抜き去りを実現できる。
【0105】
延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続作業を完了した光ファイバ接続用ユニット10は、全体を装置基部110から取り出して使用することができる。具体的には、光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120を基部本体130から外した後、光ファイバ接続用ユニット10をスライダ120から取り出して使用できる。
延出光ファイバ付きスプライス20は、光コネクタ22を利用して、他の光ファイバとコネクタ接続することができる。これにより、挿入光ファイバ1と他のコネクタ付き光ファイバとを、延出光ファイバ付きスプライス20を介して光接続することができる。
【0106】
図25は、光ファイバ接続用ユニット10及びその延出光ファイバ付きスプライス20の使用例を説明する図である。
光ファイバケーブル140から引き出した挿入光ファイバ1を、上述の接続方法により延出光ファイバ付きスプライス20に接続する。
光ファイバケーブル140は、例えば複数フロアを有する建築物において各フロアににわたる縦穴(例えばエレベータ用昇降路)に布設される幹線光ファイバケーブルなどである。
【0107】
挿入光ファイバ1を接続した光ファイバ接続用ユニット10を、光ファイバ接続箱150(例えばいわゆる光成端箱等)内に収納し、必要に応じて光コネクタ22に他の光ファイバ(図示略)をコネクタ接続することによって、挿入光ファイバ1と他のコネクタ付き光ファイバ(図示略)とを光接続することができる。
光ファイバ接続用ユニット10の接続対象となる前記他の光ファイバ(図示略)は特に限定されず、屋内配線された光ファイバ、光複合電子機器に配線された光ファイバ等であってもよい。
【0108】
光ファイバ接続用ユニット10は、スプライスホルダ部60と外被把持部70が共通の基板部50に設けられているため、光ファイバケーブル24の端末24aとスプライス30との相対位置が常に一定となる。
このため、光ファイバ接続箱等への収納作業などの際に、端末24aとスプライス30との間の光ファイバ21に過大な力が加えられることがなく、破損を防ぐことができる。従って、取り扱い性が良好となる。
また、光ファイバ接続用ユニット10は、構造が簡単であるため小型化が可能であることから、そのまま光接続箱(光成端箱等)に収納して使用できる。
【0109】
光ファイバ接続用ユニット10では、スプライスホルダ部60と外被把持部70とがいずれも基板部50の上面50a側に設けられているため、その構造が簡略であり、小型化を図ることができる。
また、基板部50の下面側からの外力がスプライスホルダ部60、外被把持部70および光ファイバ21に及びにくくなるため、耐久性を高めることができる。
【0110】
光ファイバ接続用ユニット10は、メカニカルスプライスを用いた光ファイバ同士の接続(挿入光ファイバ1と延出光ファイバ21との接続)を効率良く、容易に実現できる。また、光ファイバ接続用ユニット10は、既述の特許文献1記載の光ファイバ接続工具に比べて構造の単純化、低コスト化を容易に実現できる。
【0111】
また、この光ファイバ接続用ユニット10は、小型化を容易に実現できることから、狭隘なスペースへの挿入に有利であり、光ファイバ(挿入光ファイバ1)に延出光ファイバ21を接続する作業、延出光ファイバ付きスプライス20を介して光ファイバ同士を接続する作業(光ファイバ中継接続工法)に幅広く適用できる。
【0112】
また、介挿部材付きスプライスの介挿部材として、既述のスプライス用工具80の介挿部材81を採用した構成は、スプライス用工具80のスリーブ状の介挿部材駆動部82をその両側からの側圧Pによって変形させてスプライス30からの介挿部材81の抜き去りを実現できるため、スプライス用工具80上に僅かなスペースを確保するだけで、スプライス30からの介挿部材の抜き去り作業を実現できる。すなわち、前記スプライス用工具80の採用は、例えば、介挿部材として、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものを採用した場合に比べて、スプライス用工具80上に確保するスペースが僅かで済む。このことは、光ファイバ接続用ユニット10を、狭隘なスペースに挿入して、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続に使用することに有利である。
【0113】
なお、介挿部材付きスプライスの介挿部材としては、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものも採用可能である。この構成の介挿部材としては、例えば、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に介挿した先端側の介挿片部とは反対の基端側を、スプライス30から突出させた部分に、作業者が介挿部材を手指で把持してスプライス30から離隔する方向に引っ張り操作するための抜き去り用把持部を設けたものを採用できる。
前記抜き去り用把持部としては、例えば、先端側の介挿片部からスプライス30外側に突出させた基端側に向かって延在する介挿部材本体の基端部に、該介挿部材本体の延在方向に垂直の方向に突出させた突起などを採用できる。
【0114】
上記接続方法では、挿入光ファイバ1を基部本体130に対し位置決めした後に、光ファイバ接続用ユニット10を挿入光ファイバ1に接近させて光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続を行ったが、本発明では、逆に、光ファイバ21を基部本体130に対し位置決めした後に、ファイバホルダ90を第2レール部142上で光ファイバ21に近づく方向にスライド移動させることによって、光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続を行うこともできる。
すなわち、光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120を前進限界位置まで前進させた後、ファイバホルダ90を第2レール部142上で光ファイバ接続用ユニット10に近づく方向にスライド移動させる方法をとることができる。
【0115】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えばメカニカルスプライス、延出光ファイバ付きスプライス、介挿部材、光コネクタ、ファイバホルダの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0116】
1…挿入光ファイバ、10…光ファイバ接続用ユニット、20…延出光ファイバ付きメカニカルスプライス、21…延出光ファイバ、21a…裸光ファイバ、22…光コネクタ、30…メカニカルスプライス、31…素子(ベース部材、ベース側素子)、32…押さえ蓋、321…素子(蓋側素子、後蓋部材)、322…素子(蓋側素子、中蓋部材)、323…素子(蓋側素子、前蓋部材)、40…ユニットベース、50…基板部(基体)、60…スプライスホルダ部、62…一側突壁部、63…他側突壁部、62c、63c・・・係止爪、70…外被把持部(端末把持部)、80…スプライス用工具、81…介挿部材、81A…介挿部材(第1介挿部材)、81B…介挿部材(第2介挿部材)、90…ファイバホルダ、110…装置基部、120…スライダ(ユニット保持部材)、132…第1レール部、142…第2レール部、160…移動ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブルの端末から引き出された延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、
前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、
前記ユニットベースは、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有する光ファイバ接続用ユニット。
【請求項2】
前記スプライスホルダ部と前記外被把持部とが互いに離隔して形成され、これらの間の延出光ファイバにたわみが形成されている請求項1記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項3】
前記基体は基板部であり、前記スプライスホルダ部と前記外被把持部とが前記基板部の一方の面側に設けられている請求項1または2記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項4】
前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスを保持する複数の突壁部を有し、該突壁部に、前記突壁部間に収納した前記メカニカルスプライスに係合して浮き上がりを規制する係止爪が突設されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項5】
前記外被把持部は、前記基体に一体的に形成されている請求項1〜4のうちいずれか1項記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項記載の光ファイバ接続用ユニットと、前記光ファイバ接続用ユニットを保持するユニット保持部材とを備え、
前記ユニット保持部材は、前記延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部に形成されたレール部上で、前記ファイバホルダに接近する方向にスライド移動可能である移動ユニット。
【請求項7】
光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、
前記光ファイバ接続用ユニットは、前記延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、
前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、
前記ユニットベースが、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有し、
前記装置基部は、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている光ファイバ接続装置。
【請求項8】
光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、
前記光ファイバ接続用ユニットが、前記延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、
前記ユニットベースが、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有し、
前記装置基部が、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている光ファイバ接続装置を用い、
前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、前記レール部に沿って互いに接近する方向にスライド移動させることで、該ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記延出光ファイバに突き当てる光ファイバの接続方法。
【請求項1】
光ファイバケーブルの端末から引き出された延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、
前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、
前記ユニットベースは、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有する光ファイバ接続用ユニット。
【請求項2】
前記スプライスホルダ部と前記外被把持部とが互いに離隔して形成され、これらの間の延出光ファイバにたわみが形成されている請求項1記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項3】
前記基体は基板部であり、前記スプライスホルダ部と前記外被把持部とが前記基板部の一方の面側に設けられている請求項1または2記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項4】
前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスを保持する複数の突壁部を有し、該突壁部に、前記突壁部間に収納した前記メカニカルスプライスに係合して浮き上がりを規制する係止爪が突設されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項5】
前記外被把持部は、前記基体に一体的に形成されている請求項1〜4のうちいずれか1項記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項記載の光ファイバ接続用ユニットと、前記光ファイバ接続用ユニットを保持するユニット保持部材とを備え、
前記ユニット保持部材は、前記延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部に形成されたレール部上で、前記ファイバホルダに接近する方向にスライド移動可能である移動ユニット。
【請求項7】
光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、
前記光ファイバ接続用ユニットは、前記延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、
前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、
前記ユニットベースが、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有し、
前記装置基部は、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている光ファイバ接続装置。
【請求項8】
光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、
前記光ファイバ接続用ユニットが、前記延出光ファイバを、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間に把持固定するとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れた延出光ファイバ付きメカニカルスプライスと、前記延出光ファイバ付きメカニカルスプライスを保持するユニットベースとを備え、
前記ユニットベースが、基体と、前記基体に設けられて前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記基体に設けられて前記光ファイバケーブルの端末の外被を把持する外被把持部とを有し、
前記装置基部が、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている光ファイバ接続装置を用い、
前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、前記レール部に沿って互いに接近する方向にスライド移動させることで、該ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記延出光ファイバに突き当てる光ファイバの接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−47741(P2013−47741A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186090(P2011−186090)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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