説明

光ファイバ母材、光ファイバ及び光ファイバ母材製造方法

【課題】コア領域にアルカリ金属が添加され伝送損失が低い光ファイバを歩留りよく製造することができる光ファイバ母材を提供する。
【解決手段】本発明の光ファイバ母材製造方法は、石英系ガラスからなるパイプにアルカリ金属を添加するアルカリ金属添加工程と、ガラスパイプに酸素分子を添加する酸素分子添加工程と、ガラスパイプを加熱し中実化する中実化工程とを備え、光ファイバ母材を製造する。光ファイバ母材において、コア部はアルカリ金属が添加されたアルカリ金属添加コアガラス部を含み、コア部における酸素分子の濃度の最大値が30molppb以上であり、コア部におけるアルカリ金属の濃度の平均値が5原子ppm以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ母材、光ファイバ及び光ファイバ母材製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石英系ガラスからなり、アルカリ金属がコア領域に添加された光ファイバが知られている(特許文献1,2参照)。光ファイバ母材のコア部にアルカリ金属が添加されていると、光ファイバ母材を線引する際のコア部の粘性をアルカリ金属が添加されていない場合と比較して下げることができ、石英ガラスのネットワーク構造の緩和を進行させることができる。そのため、その線引により製造される光ファイバの伝送損失を低減することができるとされている。
【0003】
アルカリ金属を石英ガラス中に添加する方法としては拡散法が知られている。拡散法は、原料となるアルカリ金属またはアルカリ金属塩などの原料蒸気を石英系ガラスからなるガラスパイプ内に導入しながら、ガラスパイプを外部熱源により加熱したりガラスパイプ内にプラズマを発生させたりすることで、アルカリ金属元素をガラスパイプの内表面に拡散添加するものである。
【0004】
このようにしてアルカリ金属をガラスパイプ中に添加した後、このガラスパイプを加熱して縮径させる。縮径後、アルカリ金属元素の添加の際に同時に添加されてしまうNiやFeなどの遷移金属を除去する目的で、ガラスパイプの内表面のある厚みをエッチングする。アルカリ金属は遷移金属よりも拡散が速いためガラス表面をある厚みでエッチングして遷移金属を除去してもアルカリ金属を残留させることが可能である。エッチング後、ガラスパイプを加熱して中実化することで、アルカリ金属添加コアロッドを製造する。このアルカリ金属添加コアロッドの外側にクラッド部を合成することで光ファイバ母材を製造する。そして、この光ファイバ母材を線引することで光ファイバを製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−504080号公報
【特許文献2】米国特許出願公開2006/0130530号明細書
【特許文献3】特開2007−137706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者は、上記の様なアルカリ金属がコア領域に添加された石英系ガラスからなる光ファイバについて研究を行う過程で、この様な光ファイバであっても伝送損失が高い場合があり、伝送損失が低い光ファイバの製造歩留りが悪いことを見出した。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、コア領域にアルカリ金属が添加され伝送損失が低い光ファイバを歩留りよく製造することができる光ファイバ母材を提供することを目的とする。また、本発明は、この様な光ファイバ母材を製造する方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、コア領域にアルカリ金属が添加され伝送損失が低い光ファイバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光ファイバ母材は、線引されることで光ファイバのコア領域となるべきコア部を備える石英系ガラスからなる光ファイバ母材であって、コア部にはアルカリ金属が添加されたアルカリ金属添加コアガラス部を含み、コア部における酸素分子の濃度の最大値が30molppb以上であり、コア部におけるアルカリ金属の濃度の平均値が5原子ppm以上、より好ましくは10原子ppm以上であることを特徴とする。
【0009】
本発明の光ファイバ母材は、アルカリ金属添加コアガラス部が、SiOガラスネットワークに加えてアルカリ金属,酸素分子及びハロゲンを含み、その他のドーパント各々のアルカリ金属添加コアガラス部における平均濃度が、アルカリ金属及びハロゲン各々のアルカリ金属添加コアガラス部における平均濃度よりも低いのが好適である。その他のドーパント各々のアルカリ金属添加コアガラス部における最高濃度が、アルカリ金属,酸素分子及びハロゲン各々のアルカリ金属添加コアガラス部における最高濃度よりも低いのが更に好適である。本発明の光ファイバ母材は、線引されることで光ファイバのクラッド領域となるべきクラッド部をコア部の周囲に備え、クラッド部にはフッ素が添加されているのが好適である。
【0010】
本発明の光ファイバ母材は、アルカリ金属添加コアガラス部にはアルカリ金属としてカリウムが添加されているのが好適である。本発明の光ファイバ母材は、コア部が、濃度の平均値が5原子ppm以上のアルカリ金属が添加された第一のコアガラス部と、第一のコアガラス部の外周にあってアルカリ金属の含有量が1原子ppm以下である第二のコアガラス部とを含むのが好適である。
【0011】
本発明の光ファイバ母材は、アルカリ金属添加コアガラス部における酸素分子の濃度の最大値が160molppb以下であるのが好適である。本発明の光ファイバ母材は、アルカリ金属添加コアガラス部におけるアルカリ金属の濃度の平均値が120原子ppm以下であるのが好適である。
【0012】
本発明の光ファイバは、上記の本発明の光ファイバ母材を線引して製造される光ファイバであって、波長1550nmにおける伝送損失が0.180dB/km以下、好ましくは0.170dB/km以下、更に好ましくは0.165dB/km以下であることを特徴とする。
【0013】
本発明の光ファイバ母材製造方法は、線引されることで光ファイバのコア領域となるべきコア部を備える石英系ガラスからなる光ファイバ母材を製造する方法であって、石英系ガラスからなるガラスパイプの内部にアルカリ金属の原料ガスを供給するとともにガラスパイプを加熱することでガラスパイプにアルカリ金属を添加するアルカリ金属添加工程と、ガラスパイプの内部に酸素ガスを供給するとともにガラスパイプを加熱することでガラスパイプに酸素分子を添加する酸素分子添加工程と、アルカリ金属添加工程及び酸素分子添加工程の後にガラスパイプを加熱し中実化する中実化工程とを備え、上記の本発明の光ファイバ母材を製造することを特徴とする。中実化工程においてガラスパイプ内の酸素ガスの分圧を80kPa以上とするのが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コア領域にアルカリ金属が添加され伝送損失が低い光ファイバを歩留りよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の光ファイバ母材製造方法のフローチャートである。
【図2】本実施形態の光ファイバ母材製造方法におけるアルカリ金属添加工程を説明する図である。
【図3】波長1550nmでの光ファイバの伝送損失と光ファイバ母材のコア部における溶存酸素分子濃度の最大値との関係を示すグラフである。
【図4】波長1550nmでの光ファイバの伝送損失と光ファイバ母材のコア部の平均カリウム濃度との関係を示すグラフである。
【図5】アルカリ金属添加コアガラスロッドにおけるアルカリ金属濃度の径方向分布を示す図である。
【図6】光ファイバ母材の屈折率の径方向分布を示す図である。
【図7】光ファイバ母材の屈折率の径方向分布の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
本発明者は、アルカリ金属がコア領域に添加された石英系ガラスからなる光ファイバについて研究を行う過程で、以下の様な知見を得た。一般的には、光ファイバ母材中の溶存酸素分子濃度が高いと、光ファイバの伝送損失が高くなることが知られている(特許文献2,3参照)。ここで、溶存酸素分子とは、網目状のSiOガラスネットワークからなる石英ガラスにおいてOの形で網目中に存在する酸素分子を意味する。ところが、アルカリ金属がコア領域に添加された石英系ガラスからなる光ファイバでは、コア領域の酸素分子濃度が或る一定値より高くなると伝送損失が低くなることを、本発明者は見出した。この様な現象が生じる理由は必ずしも明らかではないが、溶存している酸素分子とアルカリ金属とが反応することでSiOガラスネットワーク中に取り込まれてガラス欠陥が発生しなくなることが理由であると考えられる。本発明は、この様な本発明者の知見に基づくものである。
【0018】
図1は、本実施形態の光ファイバ母材製造方法のフローチャートである。図2は、本実施形態の光ファイバ母材製造方法におけるアルカリ金属添加工程を説明する図である。本実施形態の光ファイバ母材製造方法は、以下の様なステップS1〜S7の各処理を順に行うことで、本実施形態の光ファイバ母材を製造することができる。
【0019】
ステップS1では、石英系ガラスからなるガラスパイプが準備される。このガラスパイプは、好ましくは純石英ガラスであるが、その製造過程で不可避的に添加されるハロゲンを数十〜数千原子ppm含んでいてもよく、その他のOH基や遷移金属等は10ppb以下であるとよい。このガラスパイプは、光ファイバのコア領域(またはコア領域の一部)となるべきものである。
【0020】
ステップS2は、ガラスパイプにアルカリ金属を添加するアルカリ金属添加工程である。ステップS2では、図2に示される様に、ガラスパイプ1の内部に、熱源(電気炉やバーナなど)2により加熱されたアルカリ金属原料3のガスを図示されていない供給源より供給されるキャリアガス(Oガス、Arガス、Heガスなど)と共に供給する。これと共に、ガラスパイプ1を外部熱源(熱プラズマや酸水素火炎など)4により加熱する。これにより、ガラスパイプ1の内表面からガラスパイプ1にアルカリ金属を拡散添加する。
【0021】
ステップS3及びステップS6は、アルカリ金属が添加されたガラスパイプの内面に酸素分子を添加する酸素分子添加工程である。ステップS3,S6では、ガラスパイプの内部に図示されていない供給源より供給される酸素ガスを供給するとともに、ガラスパイプを加熱することで、ガラスパイプの内表面からガラスパイプに酸素分子を添加する。
【0022】
ステップS4では、ガラスパイプを加熱して収縮させる縮径工程である。なお、ステップS3と同時にステップS4を行ってもよい。ステップS5では、ガラスパイプの内面をエッチングすることで、アルカリ金属元素の添加の際に同時に添加されてしまうNiやFeなどの遷移金属を除去する。ステップS7は、ガラスパイプを加熱し中実化する中実化工程である。これにより、アルカリ金属添加コアガラスロッドを製造することができる。中実化工程の際、ガラスパイプ内を酸素ガスの分圧を80kPa以上、好ましくは90kPa以上100kPa以下の雰囲気としても良い。このようにすることで、酸素分子をアルカリ金属添加コアガラスロッドの中心部に効率的に添加することが可能である。
【0023】
このアルカリ金属添加コアガラスロッドの周囲に、コア領域の一部となるべき部分を更に設けてもよい。すなわち、コア部は、平均値が5原子ppm以上のアルカリ金属が添加された第一のコアガラス部(アルカリ金属添加コアガラスロッド)と、この第一のコアガラス部の外周にあってアルカリ金属の含有量が1原子ppm以下である第二のコアガラス部と、を含む構成であってもよい。拡散によって石英系ガラスの内表面からアルカリ金属を添加するアルカリ金属添加工程は時間がかかるので高コストであるが、アルカリ金属添加コアガラスロッドの周囲に通常のコアガラスを設けてコア部を拡径し大型化することで、光ファイバ母材や光ファイバの製造コストを安くすることができる。
【0024】
アルカリ金属添加コアガラスロッドの周囲に、公知の方法で光ファイバのクラッド領域となるべきクラッド部を設けることで、光ファイバ母材を製造することができる。そして、この光ファイバ母材を公知の方法で線引することで、光ファイバを製造することができる。
【0025】
なお、ステップS3及びステップS6の酸素分子添加工程は、双方とも行われてもよいし、何れか一方のみが行われてもよい。温度1500℃における酸素の拡散係数は、1×10−7[cm/s]程度であってアルカリ金属の1/10程度であり、Feなどの遷移金属と同等である。従って、アルカリ金属添加工程で混入する遷移金属を除去するためのエッチングを実施した後にステップS6の様に酸素添加工程を実施してもよい。
【0026】
アルカリ金属添加コアガラスロッドは、好ましくは、SiOガラスネットワークに加えてアルカリ金属,酸素分子及びハロゲンを含み、ゲルマニウム、リン、遷移金属などその他のドーパント各々のコアガラス部における平均濃度が、アルカリ金属及びハロゲン各々のコアガラス部における平均濃度よりも低いのが好適である。その他のドーパント各々の濃度のコアガラス部における最高濃度が、アルカリ金属、酸素分子及びハロゲン各々の最高濃度よりも低いのが更に好適である。また、クラッド部は、好ましくは、Fが添加された石英ガラスである。この様な純石英コアF添加クラッド光ファイバは、光ファイバの伝送損失を低減する上で更に好適である。
【0027】
石英系ガラスからなるパイプに添加されるアルカリ金属元素は、任意でよいが、カリウムであるのが好適である。何故なら、カリウムは、SiOガラスネットワーク中の酸素原子の半径と同程度のイオン半径を有しているため、カリウム添加によるSiOガラスネットワークの歪みが比較的小さく、石英ガラス中への添加が比較的容易であるからである。
【0028】
図3は、アルカリ金属添加コアを有する光ファイバ母材から製造された光ファイバの波長1550nmでの伝送損失と光ファイバ母材のコアにおける溶存酸素分子濃度の最大値との関係を、アルカリ金属添加コアガラスロッドにおけるカリウム濃度がピークで500原子ppm程度であり、平均値で15原子ppm程度である場合について示すグラフである。溶存酸素分子濃度は、波長765nmの光を照射した際の波長1272nmにおける蛍光の強度によって測定した(例えば、K. Kajihara, et al., J. Ceramic Soc. Japan, 112[10], pp.559-562 (2004).を参照)。アルカリ金属添加コアガラスロッドは、ClやFなどのハロゲン以外のドーパントの濃度が10ppb以下である実質的な純石英ガラスであった。クラッド部はF添加石英ガラスであった。製造され評価された光ファイバは、波長1550nmではシングルモードファイバであった。
【0029】
図3中で、各プロット点の近くに記載した括弧内の2つの数値は、溶存酸素分子濃度[ppb]及び波長1550nmにおける伝送損失[dB/km]である。同図から判る様に、アルカリ金属添加コアガラスロッドにおける溶存酸素濃度の最大値が30molppb(または7×10−14個/cm)以上であれば、波長1550nmにおける光ファイバの伝送損失が0.17dB/km以下であった。このことから、アルカリ金属添加コアガラスロッドにおける溶存酸素濃度の最大値は30molppb以上であることが望ましいことが明らかになった。
【0030】
図4は、光ファイバの波長1550nmでの伝送損失と、光ファイバ母材のコア部の平均カリウム濃度との関係を示すグラフである。ここでは、アルカリ金属としてのカリウム金属の濃度が様々な値であって酸素分子濃度の最大値が100molppb程度であるアルカリ金属添加コアガラスロッドを用いて光ファイバを製造した。アルカリ金属添加コアガラスロッドは、ClやFなどのハロゲン以外のドーパントの濃度が10ppb以下である実質的な純石英ガラスであった。クラッド部はF添加シリカガラスであった。製造され評価された光ファイバは、波長1550nmではシングルモードファイバであった。
【0031】
上記検討に用いたアルカリ金属添加コアガラスロッドにおけるアルカリ金属濃度は、中心部でのピーク値は700原子ppm程度とほぼ一定であり、図5に示されるとおり径方向に分布していた。中心軸近傍の濃度が最大となる位置からの距離が長くなるに従ってアルカリ金属濃度は減少していく。そこで、光ファイバ母材の製造に用いたアルカリ添加ガラスロッドの径を変化させることで、コアガラス中の平均アルカリ金属濃度を調整した。
【0032】
また、コア部での平均カリウム濃度は、以下の様に領域が定義されるコア部でのカリウム濃度の平均値とした。図6に示される様に、光ファイバ母材の中心軸から径方向の距離rの位置での屈折率をN(r)と表す。径方向位置Lにおいて屈折率N(L)が最大値Nmaxになるとする。また、|L|<|R| である径方向位置Rにおいて (Nmax−N(R))/Nmaxが0.15%であるとする。このときの半径R内の領域をコア部とした。
【0033】
図4中で、各プロット点の近くに記載した括弧内の2つの数値は、平均カリウム濃度 [原子ppm]及び波長1550nmにおける伝送損失[dB/km]である。同図から判る様に、光ファイバ母材のコア部における平均アルカリ濃度が5原子ppm以上であれば、波長1550nmにおける光ファイバの伝送損失が0.180dB/km以下であった。さらに、平均アルカリ濃度が10原子ppm以上であれば、波長1550nmにおける光ファイバの伝送損失が0.170dB/km以下であった。このことから、光ファイバ母材のコア部における平均アルカリ濃度は5原子ppm以上であることが望ましく、10原子ppm以上であれば更に望ましいいことが明らかになった。なお、アルカリ金属元素濃度が5原子ppm以下と低い場合に光ファイバの伝送損失が高いのは、溶存する酸素分子の公知の影響であると考えられる。
【0034】
以上のように、図3及び図4から判る様に、光ファイバ母材のコア部における酸素分子の濃度の最大値が30molppb以上であって、コア部におけるアルカリ金属の濃度の平均値が5原子ppm以上であれば、この光ファイバ母材から製造される光ファイバの波長1550nmでの伝送損失は、0.180dB/km以下とすることができる。また、波長1550nmでの光ファイバの伝送損失は、0.170dB/km以下とすることもでき、更に好ましくは0.165dB/km以下とすることもできる。通常のGeOが添加された石英系ガラスをコア部とするシングルモード光ファイバの伝送損失が0.19dB/km程度であるのに対して、本実施形態の光ファイバの伝送損失は有意に低いと言える。従って、本実施形態の光ファイバを光伝送路として用いることで、長距離伝送光通信システムの性能を向上させることができる。
【0035】
その他の伝送特性として、実効断面積は波長1550nmで70〜160μm程度であって良い。波長分散は波長1550nmにおいて+15〜+22ps/nm/kmであって良い。零分散波長は1250nm以上1350nm以下であってよい。分散スロープは、波長1550nmにおいて+0.05〜+0.07ps/nm/kmであってよい。波長1380nmにおける伝送損失は、0.8dB/km以下に低い方が好ましく、0.4dB/km以下であると更に良く、また0.3dB/km以下であると最も好ましい。偏波モード分散は0.2ps/√km以下であって良い。ケーブルカットオフ波長は、1520nm以下であると良く、ラマン増幅に用いるポンプ波長となる1450nm以下であると更に良い。また、標準的なシングルモードファイバと同様に1260nm以下であってもよい。光ファイバのコア部の直径は5〜15μm程度であり、コア部とクラッド部との相対比屈折率差は0.1〜0.7%程度である。光ファイバのガラス部の外周の直径は110〜150μm程度であってよく、樹脂によって被覆された光ファイバの外周の直径は200〜300μm程度であると良い。
【0036】
光ファイバ母材、光ファイバのコア部、クラッド部は、それぞれ屈折率構造を有しても良く、例えば図7に示されるようなプロファイルであってよいが、これらに制限されることはない。
【0037】
なお、アルカリ金属添加コアガラス部における酸素分子の濃度の最大値またはアルカリ金属の濃度の平均値が大きすぎると、原材料費が高くなったり添加に要する時間が長くなったりして製造コストが高くなる。従って、製造コスト低減の観点からは、光ファイバの伝送損失を充分に低減できる添加量を超えて酸素分子またはアルカリ金属を過剰添加しないことが好ましく、アルカリ金属添加コアガラス部における酸素分子の濃度の最大値が160molppb以下であるのが好適であり、また、アルカリ金属添加コアガラス部におけるアルカリ金属の濃度の平均値が120原子ppm以下であるのが好適である。
【実施例1】
【0038】
実施例1では、図1中のステップS1〜S7の各処理を順に行うことで光ファイバ母材を製造し、更に本光ファイバ母材から光ファイバを製造して、この光ファイバの伝送特性を評価した。
【0039】
ステップS1で準備した石英系ガラスからなるガラスパイプは、50原子ppmのCl及び5,000原子ppmのFをドーパントとして含み、その他の不純物の濃度は10原子ppb以下であって、実質的に純石英ガラスであった。このガラスパイプの外径は直径35mmであり、内径は直径20mm程度であった。
【0040】
ステップS2では、アルカリ金属原料として臭化カリウム(KBr)を用い、これを熱源により温度800℃に加熱してKBr蒸気を発生させた。そして、キャリアガスとして導入した流量1SLM(標準状態に換算して1リットル/min)の酸素と共にKBr蒸気をガラスパイプに導入しながら、外部熱源である熱プラズマ火炎によってガラスパイプの外表面が2050℃となる様に加熱した。熱プラズマ火炎を30mm/minの速さでトラバースさせ、合計30ターン加熱し、カリウム金属元素をガラスパイプの内表面に拡散添加させた。
【0041】
ステップS3では、カリウム金属元素が添加されたガラスパイプ内に酸素(2SLM)を流しながら、外部熱源である熱プラズマ火炎によってガラスパイプの外表面が2100℃となる様に加熱した。熱プラズマ火炎を40mm/minの速さでトラバースさせ、合計5ターン加熱し、カリウム金属元素が添加されたガラスパイプの内表面に酸素分子を拡散添加させた。また、ステップS3と同時にステップS4を行って、カリウム金属元素が添加されたガラスパイプを内直径3mmまで縮径した。
【0042】
ステップS5では、カリウム金属元素及び酸素分子が添加されたガラスパイプ内にSF(0.05SLM)及び酸素(1SLM)を導入しながら、外部熱源で加熱し気相エッチングすることで、ガラスパイプの内直径を3.4mmにした。
【0043】
ステップS6では、ガラスパイプ内に酸素(2SLM)を流しながら、外部熱源である熱プラズマ火炎によってガラスパイプの外表面が2100℃となる様に加熱した。熱プラズマ火炎を40mm/minの速さでトラバースさせ、合計5ターン加熱し、ガラスパイプの内表面に酸素分子を拡散添加させた。
【0044】
ステップS7では、ガラスパイプ内に酸素(1SLM)を導入しながら、ガラスパイプ内の絶対圧を1kPaにまで減圧し、外部熱源によって表面温度を1400℃として中実化し、直径が28mmのアルカリ金属添加コアガラスロッドとした。このコアガラスロッドの酸素分子濃度は最大値で115molppbであり、カリウム濃度は最大値で1,200原子ppmであった。
【0045】
中実化により得られたアルカリ金属添加コアガラスロッドの外周部の水分や遷移金属を除去するために、直径12mmとなるまで外周部を研削した。その外側に5,000原子ppmのClが添加された、外部コアガラスとなる石英系ガラスを設けて、直径60mmのコアガラスとした。すなわち、アルカリ金属添加コアガラスと外部コアガラスとをあわせて、光ファイバのコア領域となる、光ファイバ母材のコアガラス部とした。このコアガラス部のアルカリ金属濃度は平均で72原子ppmであった。このコアガラスの合成は、5,000原子ppmのClが添加された石英系ガラスからなるガラスパイプを準備し、これにアルカリ金属添加コアガラスロッドを挿入して、外部熱源によって加熱・一体化するロッドインコラプス法を用いた。
【0046】
このコアガラス部の外側に、光学クラッド及び物理クラッドとなるFが添加された石英系ガラス(クラッドガラス部)を合成して、光ファイバ母材とした。ここで、コアガラス部とクラッドガラス部との相対比屈折率差は0.40%程度であった。この光ファイバ母材を線引してガラス部の直径が125μmである光ファイバを製造した。このとき、線引時の光ファイバ化の加工速度は2,000m/minであり、光ファイバのガラス部分に加わる張力は50gf(0.49N)であった。
【0047】
以上のようにして製造された光ファイバの諸特性は以下のとおりであった。波長1300nmでの伝送損失は0.285dB/kmであり、波長1380nmでの伝送損失は0.283dB/kmであり、波長1550nmでの伝送損失は0.157dB/kmであった。零分散波長は1300nmであり、波長1550nmにおいて、波長分散は+17.8ps/nm/kmであり、分散スロープは+0.055ps/nm/kmであり、実効断面積は82μmであり、モードフィールド径は10.0μmであった。2mの光ファイバを用いて測定したファイバカットオフ波長は1450nmであり、22mの光ファイバを用いて測定したケーブルカットオフ波長は1380nmであり、偏波モード分散(C、Lバンド帯)は0.08ps/√kmであり、非線形係数(波長1550nm、ランダム偏波状態)は1.1(W・km)−1であった。このように低伝送損失の光ファイバが得られた。
【実施例2】
【0048】
実施例2では、図1中のステップS1〜S5,S7の各処理を順に行うことで光ファイバ母材を製造し、更に本光ファイバ母材から光ファイバを製造して、この光ファイバの伝送特性を評価した。
【0049】
ステップS1で準備した石英系ガラスからなるガラスパイプは、100原子ppmのCl及び5,000原子ppmのFをドーパントとして含み、その他の不純物の濃度が10原子ppb以下であって、実質的に純石英ガラスであった。このガラスパイプの外径は直径25mmであり、内径は直径10mm程度であった。
【0050】
ステップS2では、アルカリ金属原料として臭化カリウム(KBr)を用い、これを熱源により温度780℃に加熱してKBr蒸気を発生させた。そして、キャリアガスとして導入した流量1SLM(標準状態に換算して1リットル/min)の酸素と共にKBr蒸気をガラスパイプに導入しながら、外部熱源である酸水素火炎によってガラスパイプの外表面が2050℃となる様に加熱した。酸水素火炎を30mm/minの速さでトラバースさせ、合計15ターン加熱し、カリウム金属元素をガラスパイプの内表面に拡散添加させた。
【0051】
ステップS3では、カリウム金属元素が添加されたガラスパイプ内に酸素を2SLM流しながら、外部熱源である酸水素火炎によってガラスパイプの外表面が2100℃となる様に加熱した。酸水素火炎を40mm/minの速さでトラバースさせ、合計8ターン加熱し、カリウム金属元素が添加されたガラスパイプの内表面に酸素分子を拡散添加させた。また、ステップS3と同時にステップS4を行って、カリウム金属元素が添加されたガラスパイプを内直径3mmまで縮径した。
【0052】
ステップS5では、カリウム金属元素及び酸素分子が添加されたガラスパイプ内にSF(0.05SLM)及び酸素(1SLM)を導入しながら、外部熱源で加熱し気相エッチングすることで、ガラスパイプの内直径を3.3mmにした。実施例2ではステップS6の処理を行わなかった。
【0053】
ステップS7では、ガラスパイプ内に酸素(1SLM)を導入しながら、ガラスパイプ内の絶対圧を1kPaにまで減圧し、外部熱源によって表面温度を1400℃として中実化し、直径が22mmのアルカリ金属添加コアガラスロッドとした。このコアガラスロッドの酸素分子濃度は最大値で45molppbであり、カリウム濃度は最大値で800原子ppmであった。
【0054】
中実化により得られたアルカリ金属添加コアガラスロッドの外周部の水分や遷移金属を除去するために、直径8mmとなるまで外周部を研削した。その外側に13,000原子ppmのClが添加された、外部コアガラスとなる石英系ガラスを設けて、直径30mmのコアガラスとした。すなわち、アルカリ金属添加コアガラスと外部コアガラスとをあわせて、光ファイバのコア領域となる、光ファイバ母材のコアガラス部とした。このコアガラス部のアルカリ金属濃度は平均で42原子ppmであった。この外部ガラスの合成は、13,000原子ppmのClが添加された石英系ガラスからなるガラスパイプを準備し、これにアルカリ金属添加コアガラスロッドを挿入して、外部熱源によって加熱・一体化するロッドインコラプス法を用いた。
【0055】
このコアガラス部の外側に、光学クラッド及び物理クラッドとなるFが添加された石英系ガラス(クラッドガラス部)を合成して、光ファイバ母材とした。ここで、クラッドガラス部は、コアガラス部に外接する内部クラッド部と内部クラッド部に外接する外部クラッド部とからなり、コアガラス部と内部クラッドガラス部との相対比屈折率差は0.34%程度であり、コアガラス部と外部クラッドガラス部との相対比屈折率差は0.26%程度であった。この光ファイバ母材を線引してガラス部の直径が125μmである光ファイバを製造した。このとき、線引時の光ファイバ化の加工速度は2,000m/minであり、光ファイバのガラス部に加わる張力は50gf(0.49N)であった。
【0056】
以上のようにして製造された光ファイバの諸特性は以下のとおりであった。波長1300nmでの伝送損失は0.290dB/kmであり、波長1380nmでの伝送損失は0.305dB/kmであり、波長1550nmでの伝送損失は0.164dB/kmであった。零分散波長は1275mであり、波長1550nmにおいて、波長分散は+20.8ps/nm/kmであり、分散スロープは+0.059ps/nm/kmであり、実効断面積は115μmであり、モードフィールド径は12.1μmであった。2mの光ファイバを用いて測定したファイバカットオフ波長は1500nmであり、22mの光ファイバを用いて測定したケーブルカットオフ波長は1402nmであり、偏波モード分散(C、Lバンド帯)は0.06ps/√kmであり、非線形係数(波長1550nm、ランダム偏波状態)は0.8(W・km)−1であった。このように低伝送損失の光ファイバが得られた。
【実施例3】
【0057】
実施例3では、図1中のステップS1〜S5,S7の各処理を順に行うことで光ファイバ母材を製造し、更に本光ファイバ母材から光ファイバを製造して、この光ファイバの伝送特性を評価した。ここでステップS7の中実化工程において、ガラスパイプ内の酸素分圧を80kPa以上に高くした。
【0058】
ステップS1で準備した石英系ガラスからなるガラスパイプは、250原子ppmのCl及び4,000原子ppmのFをドーパントとして含み、その他の不純物の濃度が10原子ppb以下であって、実質的に純石英ガラスであった。このガラスパイプの外径は直径30mmであり、内径は直径15mm程度であった。
【0059】
ステップS2では、アルカリ金属原料として臭化カリウム(KBr)を用い、これを熱源により温度840℃に加熱してKBr蒸気を発生させた。そして、キャリアガスとして導入した流量1SLM(標準状態に換算して1リットル/min)の酸素と共にKBr蒸気をガラスパイプに導入しながら、外部熱源である酸水素火炎によってガラスパイプの外表面が2100℃となる様に加熱した。酸水素火炎を30mm/minの速さでトラバースさせ、合計20ターン加熱し、カリウム金属元素をガラスパイプの内表面に拡散添加させた。
【0060】
ステップS3では、カリウム金属元素が添加されたガラスパイプ内に酸素を2SLM流しながら、外部熱源である酸水素火炎によってガラスパイプの外表面が2100℃となる様に加熱した。酸水素火炎を40mm/minの速さでトラバースさせ、合計8ターン加熱し、カリウム金属元素が添加されたガラスパイプの内表面に酸素分子を拡散添加させた。また、ステップS3と同時にステップS4を行って、カリウム金属元素が添加されたガラスパイプを内直径3mmまで縮径した。
【0061】
ステップS5では、カリウム金属元素及び酸素分子が添加されたガラスパイプ内にSF6(0.05SLM)及び酸素(1SLM)を導入しながら、外部熱源で加熱し気相エッチングすることで、ガラスパイプの内直径を3.4mmにした。実施例2ではステップS6の処理を行わなかった。
【0062】
ステップS7では、ガラスパイプ内に酸素(1SLM)を導入しながら、ガラスパイプ内の絶対圧を95kPaとした。従って、ガラスパイプ内の酸素分圧は95kPaであった。外部熱源によって表面温度を1700℃として中実化し、直径が26mmのアルカリ金属添加コアガラスロッドとした。このコアガラスロッドの酸素分子濃度は最大値で110molppbであり、カリウム濃度は最大値で3000原子ppmであった
【0063】
中実化により得られたアルカリ金属添加コアガラスロッドの直径が20mmになるように公知の方法により延伸した後、外周部の水分や遷移金属を除去するために、直径12mmとなるまで外周部を研削した。その外側に10,000原子ppmのClが添加された、外部コアガラスとなる石英系ガラスを設けて、直径60mmのコアガラスとした。すなわち、アルカリ金属添加コアガラスと外部コアガラスとをあわせて、光ファイバのコア領域となる、光ファイバ母材のコアガラス部とした。このコアガラス部のアルカリ金属濃度は平均で120原子ppmであった。この外部ガラスの合成は、10,000原子ppmのClが添加された石英系ガラスからなるガラスパイプを準備し、これにアルカリ金属添加コアガラスロッドを挿入して、外部熱源によって加熱・一体化するロッドインコラプス法を用いた。
【0064】
このコアガラス部の外側に、光学クラッド及び物理クラッドとなるFが添加された石英系ガラス(クラッドガラス部)を合成して、光ファイバ母材とした。ここで、クラッドガラス部は、コアガラス部に外接する内部クラッド部と内部クラッド部に外接する外部クラッド部とからなり、コアガラス部と内部クラッドガラス部との相対比屈折率差は0.35%程度であり、コアガラス部と外部クラッドガラス部との相対比屈折率差は0.33%程度であった。この光ファイバ母材を線引してガラス部の直径が125μmである光ファイバを製造した。このとき、線引時の光ファイバ化の加工速度は2,300m/minであり、光ファイバのガラス部に加わる張力は40gf(0.39N)であった。
【0065】
以上のようにして製造された光ファイバの諸特性は以下のとおりであった。波長1300nmでの伝送損失は0.270dB/kmであり、波長1380nmでの伝送損失は0.40dB/kmであり、波長1550nmでの伝送損失は0.154dB/kmであった。波長1550nmにおいて、波長分散は+16.1ps/nm/kmであり、分散スロープは+0.055ps/nm/kmであり、実効断面積は82μmであり、モードフィールド径は10.3μmであった。波長1310nmにおいて、実効断面積は64μmであり、モードフィールド径は9.1μmであった。零分散波長は1308nmであり、零分散波長における分散スロープは+0.082ps/nm/kmであった。2mの光ファイバを用いて測定したファイバカットオフ波長は1280nmであり、22mの光ファイバを用いて測定したケーブルカットオフ波長は1230nmであり、偏波モード分散(C、Lバンド帯)は0.02ps/√kmであり、非線形係数(波長1550nm、ランダム偏波状態)は1.1(W・km)−1であった。このように低伝送損失の光ファイバが得られた。
【符号の説明】
【0066】
1…石英ガラスパイプ、2…熱源、3…アルカリ金属原料、4…外部熱源。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
線引されることで光ファイバのコア領域となるべきコア部を備える石英系ガラスからなる光ファイバ母材であって、
前記コア部はアルカリ金属が添加されたアルカリ金属添加コアガラス部を含み、
前記コア部における酸素分子の濃度の最大値が30molppb以上であり、
前記コア部におけるアルカリ金属の濃度の平均値が5原子ppm以上である、
ことを特徴とする光ファイバ母材。
【請求項2】
前記アルカリ金属添加コアガラス部が、SiOガラスネットワークに加えてアルカリ金属,酸素分子及びハロゲンを含み、その他のドーパント各々の前記アルカリ金属添加コアガラス部における平均濃度が、アルカリ金属及びハロゲン各々の前記アルカリ金属添加コアガラス部における平均濃度よりも低い、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材。
【請求項3】
前記アルカリ金属添加コアガラス部が、SiOガラスネットワークに加えてアルカリ金属,酸素分子及びハロゲンを含み、その他のドーパント各々の前記アルカリ金属添加コアガラス部における最高濃度が、アルカリ金属,酸素分子及びハロゲン各々の前記アルカリ金属添加コアガラス部における最高濃度よりも低い、ことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ母材。
【請求項4】
線引されることで光ファイバのクラッド領域となるべきクラッド部を前記コア部の周囲に備え、前記クラッド部はフッ素が添加されている石英系ガラスである、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光ファイバ母材。
【請求項5】
前記アルカリ金属添加コアガラス部がアルカリ金属としてカリウムが添加されている石英系ガラスである、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光ファイバ母材。
【請求項6】
前記コア部が、濃度の平均値が5原子ppm以上のアルカリ金属が添加された第一のコアガラス部と、前記第一のコアガラス部の外周にあってアルカリ金属の含有量が1原子ppm以下である第二のコアガラス部と、を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光ファイバ母材。
【請求項7】
前記アルカリ金属添加コアガラス部における酸素分子の濃度の最大値が160molppb以下である、ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の光ファイバ母材。
【請求項8】
前記コア部におけるアルカリ金属の濃度の平均値が120原子ppm以下である、ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の光ファイバ母材。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の光ファイバ母材を線引して製造される光ファイバであって、波長1550nmにおける伝送損失が0.180dB/km以下である、ことを特徴とする光ファイバ。
【請求項10】
線引されることで光ファイバのコア領域となるべきコア部を備える石英系ガラスからなる光ファイバ母材を製造する方法であって、
石英系ガラスからなるガラスパイプの内部にアルカリ金属の原料ガスを供給するとともに前記ガラスパイプを加熱することで前記ガラスパイプにアルカリ金属を添加するアルカリ金属添加工程と、
前記ガラスパイプの内部に酸素ガスを供給するとともに前記ガラスパイプを加熱することで前記ガラスパイプに酸素分子を添加する酸素分子添加工程と、
前記アルカリ金属添加工程及び前記酸素分子添加工程の後に前記ガラスパイプを加熱し中実化する中実化工程と、
を備え、
請求項1〜8の何れか1項に記載の光ファイバ母材を製造する、
ことを特徴とする光ファイバ母材製造方法。
【請求項11】
前記中実化工程において前記ガラスパイプ内の酸素ガスの分圧を80kPa以上とすることを特徴とする請求項10に記載の光ファイバ母材製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−162443(P2012−162443A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137372(P2011−137372)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】