光ファイバ通信用の高密度パッチパネル組立体
【課題】光ファイバ通信システム用のパッチパネルモジュールを収容するパッチパネル組立体の提供。
【解決手段】パッチパネル組立体(150)は、複数個のパッチパネルモジュール(50)を支持するフレーム(210F,210I)、曲げ不敏感性光ファイバケーブル(70)を挿通状態で引き回すことができるヒンジ組立体(224)、及びパッチパネルモジュールを支持する引出し(270)を備えたハウジング(152)を有する。このモジュールは、パッチパネルが従来型パッチパネルモジュールと比べてサイズが減少するようフロント及びリヤポート(92,98)を互いに接続する曲げ不敏感性光ファイバ(12C)を採用している。パッチパネルモジュールは、余分のケーブルを収納できるケーブル配線箱(300)を有する。
【解決手段】パッチパネル組立体(150)は、複数個のパッチパネルモジュール(50)を支持するフレーム(210F,210I)、曲げ不敏感性光ファイバケーブル(70)を挿通状態で引き回すことができるヒンジ組立体(224)、及びパッチパネルモジュールを支持する引出し(270)を備えたハウジング(152)を有する。このモジュールは、パッチパネルが従来型パッチパネルモジュールと比べてサイズが減少するようフロント及びリヤポート(92,98)を互いに接続する曲げ不敏感性光ファイバ(12C)を採用している。パッチパネルモジュールは、余分のケーブルを収納できるケーブル配線箱(300)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、光ファイバ通信機器及びネットワークに関し、詳細には、比較的高密度のパッチパネルモジュールを収納することができるパッチパネル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な光通信システム及びネットワークは、種々の形式のネットワーク機器を互いに結合する多数の光ケーブル及び電気ケーブル接続部を提供する1つ又は2つ以上の通信データセンタを有する。典型的なシステムは、システムをネットワーク中に拡張する多数の外郭ステーションを更に有する。ネットワーク機器の例としては、電気式(能動型)ユニット、例えば光加入者線端局装置(OLT)、光加入者網終端装置(ONT)、ネットワークインタフェース装置(NID)、サーバ、スプリッタ、コンバイナ、マルチプレクサ、スイッチ及びルータ、ファンアウト箱及びパッチパネルが挙げられる。このネットワーク機器は、標準サイズの機器ラック内のキャビネット内に収納される場合が多い。各機器は、典型的には、光又は電気パッチケーブル(「ジャンパケーブル(ジャンプケーブルと呼ばれる場合もある)」)を機器に物理的に接続できる1つ又は2つ以上のアダプタを提供する。これらパッチケーブルは、一般に、同一キャビネット又は別のキャビネット内に設けられている他のネットワーク機器まで引き回される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通信システム、特に光通信機器における共通の問題は、空間の管理である。通信における現在の慣行は、19インチ(48.26cm)又は23インチ(58.42cm)の水平間隔の幅を持つ標準サイズの静止ラック取付け型ハウジングを支持する標準型エレクトロニクスラック又はフレームを利用することである。垂直間隔は、ラックユニット“U”に分割され、この場合、EIA(Electronic Industries Alliance:電子工業連合)310‐D、IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)60297及びDIN(“German Institute for Standardization”:ドイツ工業規格)41494SC48Dで特定されているように1U=1.75インチ(4.45cm)である。ハウジングは、固定された滑り出し又は揺動開き式パッチ/スプライスパネル又は棚であるのが良い。しかしながら、光通信機器用の今日のハウジングの形状及び寸法は、主として、ハウジングによって支持された装置に接続されている光ファイバケーブルの特性によって定められている。特に、このような形状及び寸法は、光ファイバケーブル及び(又は)光ファイバの曲げ寛容度を超えることなく、装置とインタフェースする光ファイバケーブル及びこの中に収納されている光ファイバの特定の能力に基づいて定められている。この結果、通信機器は、比較的広い空間を占め、特に通信ネットワークの中央局では比較的広いフロアスペースを占める。また、これにより、データセンタパッチパネルは、コネクタ及びケーブルの量に起因してますます過密になっている。
【0004】
本発明は、比較的高密度のパッチパネルを支持することができるパッチパネル組立体に関する。パッチパネル組立体は、曲げ不敏感性であるケーブルファイバ及びジャンパファイバを利用する構成を有している。多数の列をなすパッチパネルモジュールを用いることは、モジュールに指で接近しやすくすることができるよう密度を分配するのに役立つと共に高密度に実装されたRFIDタグを読み取るのが困難なRFIDシステムの使用を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の第1の態様は、曲げ不敏感性光ファイバケーブルを用いて光結合を行う通信データセンタ用のパッチパネル組立体である。この組立体は、内部領域、前側の側部(以下「前側部」という)、及び後側の側部(以下「後側部」という)を備えた長方形の箱状ハウジングを含む。このハウジングは、標準型通信ラックによって動作可能に支持されるよう寸法決めされている。組立体は、フロント取付けフレーム及び少なくとも1つの内部取付けフレームを更に有し、取付けフレームは、少なくとも1つの形状係数減少型パッチパネルモジュールを支持するよう構成されている。
【0006】
本発明の第2の態様は、パッチパネルモジュールである。このパッチパネルモジュールは、少なくとも1つの傾斜フェーセットを備えた前側の側部、これと反対側の後側の側部、互いに反対側の端部、及び互いに反対側の側壁を備えた実質的に長方形のモジュールハウジングを有し、前側部、後側部、端部及び側壁は、内部領域を画定している。このモジュールは、少なくとも1つの傾斜フェーセット上に配置された少なくとも1つのジャッキを有し、少なくとも1つのジャッキは、1つ又は2つ以上の前側ポートを備えている。モジュールは、ハウジングの内部領域内に収納された少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバを介して少なくとも1つのジャッキに作動的に接続された少なくとも1つの後側ポートを有する。長さ方向開放チャネルが、モジュールハウジングの後側部に形成され、この長さ方向開放チャネルは、外部の曲げ不敏感性光ファイバを受け入れるよう寸法決めされている。
【0007】
本発明の第3の態様は、曲げ不敏感性光ファイバケーブルを用いて光結合を行う通信データセンタ用のパッチパネル組立体である。この組立体は、内部を画定する互いに反対側の側壁及びバックパネルを備えた長方形の箱状ハウジングを有し、ハウジングは、標準型通信ラックによって作動的に支持されるよう寸法決めされている。組立体は、前側端部及びフロアパネルを備え、滑ってハウジング内部に出入りするよう構成されると共にパッチパネルモジュールのアレイをフロアパネル上で実質的に水平の形態で支持するよう構成された引出しを有する。組立体は、ハウジング内に配置されると共に少なくとも1本の耐曲げ性光ファイバケーブルを案内し、引出しが滑ってハウジングに出入りすることができるようにするよう動く少なくとも1つの可動ケーブルガイドを更に有する。
【0008】
以上の概要的説明と以下の詳細な説明の両方は、本発明の実施形態を提供し、特許請求の範囲に記載された本発明の性質及び特性を理解するための概観又は枠組みを提供するようになっていることは理解されるべきである。添付の図面は、本発明の一層の理解を提供するために添付されており、本明細書に組み込まれてその一部をなす。図面は、本発明の種々の例示の実施形態を示しており、本明細書と一緒になって、本発明の原理及び作用を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ナノ構造光ファイバの形態をした曲げ不敏感性光ファイバの例示の実施形態の一部分の概略側面図である。
【図2A】図1の光ファイバの2A‐2A線に沿った断面図である。
【図2B】図1の曲げ不敏感性光ファイバに形成された曲げ部Bの曲げ角度θB及び曲げ直径DBを示す略図である。
【図3A】本発明の嵩減少型パッチパネルモジュールの例示の実施形態の斜視図であり、内部領域を示しているが、曲げ不敏感性ケーブルファイバが省かれている状態を示す図である。
【図3B】図3Aと同様な図であるが、曲げ不敏感性光ファイバケーブルをパッチパネルジャッキの後側ポートに接続した曲げ不敏感性ケーブルファイバを示す図である。
【図3C】図3Bと同様な図であるが、頂部パネルが定位置に位置した状態及び曲げ不敏感性光ファイバケーブルのための傾斜コネクタを示す図である。
【図4】本発明の取付けフレーム型パッチパネル組立体の例示の実施形態の斜視図であり、取付けフレーム型パッチパネル組立体が、各々実質的に垂直の向きにある嵩減少型パッチパネルモジュールのアレイを支持した少なくとも2つの取付けフレームを有している状態を示す図である。
【図5】図4の斜視図と同様な斜視図であり、二重ヒンジ留めフロント取付けフレームを備えた取付けフレーム型パッチパネル組立体の例示の実施形態を示す図である。
【図6】図5の斜視図と同様な斜視図であり、下方に折り畳まれた単一ヒンジ留めフロント取付けフレームを備えた取付けフレーム型パッチパネル組立体の例示の実施形態を示すと共に後側に2本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルが接続された図3A〜図3Cの嵩減少型の例示のパッチパネルモジュールを示す図である。
【図7】図4の斜視図と同様な取付けフレーム型パッチパネル組立体の斜視図であるが、後部パネルが後方に向いた嵩減少型パッチパネルモジュールのアレイを支持した取付けフレームの形態をしている例示の実施形態を示す図である。
【図8A】フロント取付けフレーム及びハウジング部分の例示の実施形態の組立て分解斜視図であり、フロント取付けフレーム及びハウジング部分が、それぞれ、ケーブルを挿通状態で引き回すことができるヒンジ組立体の内側及び外側湾曲ヒンジ部分を有している状態を示す図である。
【図8B】図8Aの前部パッチパネル取付けフレーム及びハウジング部分の内側及び外側湾曲ヒンジ部分から形成されたヒンジ組立体の例示の実施形態の拡大上下方向断面図である。
【図9A】曲げ不敏感性光ファイバケーブルを案内すると共に(或いは)収納するケーブル配線箱の例示の実施形態の斜視図である。
【図9B】パッチパネル取付けフレームの後ろでパッチパネル組立体内に配置された図9Aの例示のケーブル配線箱の拡大斜視図である。
【図9C】図9Aの斜視図と同様のケーブル配線箱の例示の実施形態の斜視図であるが、ケーブル配線箱が多数のチャンバを有し、前部孔を備えておらず、チャンバ1つ当たり2つの端部孔を有している状態を示す図である。
【図10A】図8Bに示されたヒンジ組立体並びに図9Aに示されているケーブル配線箱を有する取付けフレーム型パッチパネル組立体の例示の実施形態の平面図である。
【図10B】図10Aの取付けフレーム型パッチパネル組立体の平面図であり、ケーブルファイバをフロント取付けフレームに設けられているパッチパネルモジュールまでどのように引き回すかの例示の実施形態を示す図である。
【図11A】引出し型パッチパネル組立体の例示の実施形態の正面側切除斜視図であり、引出し型パッチパネル組立体が、ジャッキを角度をなして上方に向けた状態でパッチパネルモジュールを水平に保持するよう構成された引出しを有している状態を示す図である。
【図11B】図11Aの上下方向正面側斜視図と同様な上下方向正面側斜視図である。
【図11C】図11Aの引出し型パッチパネル組立体の上下方向の図である。
【図11D】図11Aと同様な図であるが、引出しを拡大した状態で且つ組立体ハウジング内に位置した状態で示す図である。
【図12】図11Aと同様であり、パッチパネルモジュールカバーを有する引出し型パッチパネル組立体の背面側斜視図である。
【図13A】引出し型パッチパネル組立体用のパッチパネルモジュールの例示の実施形態の拡大斜視図であり、パッチパネルモジュールがケーブル引き回しのための下面チャネルを有する状態を示す図である。
【図13B】引出し型パッチパネル組立体用のパッチパネルモジュールの例示の実施形態の拡大斜視図であり、パッチパネルモジュールがケーブル引き回しのための下面チャネルを有する状態を示す図である。
【図13C】引出し型パッチパネル組立体用のパッチパネルモジュールの例示の実施形態の拡大斜視図であり、パッチパネルモジュールがケーブル引き回しのための下面チャネルを有する状態を示す図である。
【図14】引出し型パッチパネル組立体中で引出しフロアパネルにより支持された図13A〜図13Cのパッチパネルモジュールのアレイの拡大図であり、モジュールジャッキの1つに接続されたジャンパケーブルを示す図である。
【図15A】例えば図12に示されている引出し内に収納されたパッチパネルモジュールの拡大側面図であり、ケーブルファイバを下面チャネルを介して別々のパッチパネルモジュールまでどのように引き回すかを示す図である。
【図15B】図15Aのパッチパネルモジュールの隣り合う前側列と後側列の拡大図であり、ケーブルファイバが後側列モジュールの下面チャネルを通って前側列モジュールにどのように接続されるかを示す図である。
【図15C】図15Aの後側列パッチパネルモジュール及びこれに隣接したケーブル配線箱の拡大図であり、ケーブルファイバがケーブル配線箱からこれに隣接したパッチパネルモジュールまでどのように延びているかを示す図である。
【図16】積み重ね状態で機器ラック内に保持された多数の引出し型パッチパネル組立体の正面側斜視図である。
【図17】積み重ね状態で機器ラック内に保持された多数の取付けフレーム型パッチパネル組立体の正面側斜視図である。
【図18A】図10Aに示された取付けフレーム型パッチパネル組立体に類似した単一の取付けフレーム型パッチパネル組立体を支持した状態で示されているラック組立体の一部分の例示の実施形態の背面側立面斜視図である。
【図18B】図18Aのラック組立体の別の背面側立面斜視図であるが、反対側から見ると共に後部パネルが定位置に位置した状態を示す図である。
【図18C】図18A及び図18Bのラック組立体の正面側立面斜視図であり、ケーブルファイバがフロント取付けフレーム及び中間取付けフレームに設けられているパッチパネルモジュールにどのように引き回されるかの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の現時点において好ましい実施形態を詳細に参照し、これら実施形態の例が添付の図面に示されている。可能な場合にはいつでも、図面全体を通じて、同一又は類似の部分を示すために同一又は類似の参照符号が用いられている。理解されるべきこととして、本明細書に開示される実施形態は、例示に過ぎず、各実施形態は、本発明の或る特定の利点を有する。本発明の範囲内において以下の例の種々の改造例及び変形例を想到することができ、互いに異なる実施例の態様を互いに異なる仕方で組み合わせて更に別の例を実現することができる。したがって、本発明の真の範囲は、本明細書において説明する実施形態を考慮するが、これらに限定されることなく、本明細書における開示内容全体から理解されるべきである。
【0011】
例えば「水平」、「垂直」、「前部(フロント)」、「後部(バック)」のような用語は、図面を参照すると共に説明しやすくするために本明細書において用いられており、本明細書又は特許請求の範囲において、絶対的な向き及び(又は)方向に関して厳密な限定を行うものではない。また、「曲げ不敏感性光ファイバケーブル」という用語は、1本又は2本以上の曲げ不敏感性光ファイバ(bend-insensitive optical fiber) を収容したケーブルを含むことが意図されている。
【0012】
曲げ不敏感性光ファイバ
本発明の例示の実施形態は、例えば所謂「ナノ構造」又は「ハチの巣」光ファイバの形態をした曲げ不敏感性又は「曲げ性能」ファイバを利用する。今日市場にはこのようなファイバが多数存在する。ナノ構造ファイバは、周期的又は非周期的に配置された小さな穴又は空所を備えた1つ又は2つ以上の領域を有し、それにより、ファイバは、極めて曲げ不敏感性になっている。このような光ファイバの例は、例えば米国特許第6,243,522号明細書、2006年10月18日に出願された係属中の米国特許出願第11/583,098号明細書(以下、「コーニングナノ構造光ファイバ特許及び特許出願」と称する)に記載されており、これら特許文献の全ては、コーニング・インコーポレイテッド(Corning Incorporated)に譲渡されており、これら特許文献の全てを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0013】
本発明で用いられる曲げ不敏感性ファイバとしては、例えば、ニューヨーク州コーニング所在のコーニング・インコーポレイテッドから入手できる形式のナノ構造ファイバが挙げられ、このようなナノ構造ファイバとしては、シングルモードファイバ、マルチモードファイバ、曲げ性能ファイバ、曲げ最適化ファイバ及び曲げ不敏感性光ファイバが挙げられるが、これらには限定されない。ナノ構造ファイバは、本発明のパッチパネルモジュール及びパッチパネル組立体が比較的小さな半径の曲げ部を備えるファイバを有する一方で、ファイバの光減衰度が極めて低いままであるようにすることができるので有利である。曲げ不敏感性光ファイバの一例は、コア領域及びコア領域を包囲したクラッド領域を有し、クラッド領域は、非周期的に配置された穴で構成される環状の穴存在領域を有し、光ファイバは、1つ又は2つ以上の動作波長範囲に属する1つ又は2つ以上の波長でシングルモード伝搬を行うことができるようになっている。コア領域及びクラッド領域は、向上した耐曲げ性を提供すると共に好ましくは1500nm以上、或る実施形態では約1310nm以上、又他の或る実施形態では、1260nm以上の波長でのシングルモード動作を提供する。このような光ファイバは、1310nmの波長、好ましくは8.0μmを超える波長、より好ましくは約8.0〜10.0μmの波長でのモードフィールドを提供する。
【0014】
コーニング・インコーポレイテッドによって開発されたナノ構造光ファイバの一形式は、ファイバの長さに沿って長手方向に延びる非周期的空気線で構成された環状リング(直径が約1×10-7m)を有する。空気線リングを備えた領域は、減少した見掛けの又は平均の屈折率を有する。というのは、空気は、溶融シリカマトリックスの屈折率が約1.46であるのと比較して、屈折率が約1だからである。空気線リングは、優れたまげ性能(光学的な意味で)及び著しく小さい最小曲げ半径仕様の実現を可能にする屈折率プロフィールを生じさせるよう位置決めされる。
【0015】
図1は、中心軸線AFを備えたナノ構造光ファイバ(「ナノ構造ファイバ」)12の形態をした曲げ不敏感性ファイバの例示の実施形態の一部分の概略側面図である。図2Aは、図1の2A‐2A線に沿って見たナノ構造ファイバ12の概略断面図である。ナノ構造ファイバ12は、例えば、種々の形式のナノ構造光ファイバの任意の1つ、例えば、所謂「ハチの巣」ファイバ又は上述のコーニングナノ構造ファイバ特許及び特許出願に記載されたファイバの任意のものであるのが良い。本発明の目的上、「曲げ不敏感性ファイバ」としては、周期的又は非周期的ナノ構造又は穴を利用したナノ構造ファイバが挙げられる。
【0016】
例示の実施形態では、ナノ構造光ファイバ12は、コア領域(「コア」)20、コアを包囲したナノ構造領域30及びナノ構造領域を包囲した外側クラッド領域(「クラッド」)40を有している。ナノ構造光ファイバ12に関する他のリング型形態も又知られている。保護カバー又はシース(図示せず)が、オプションとして、外側クラッド40を覆う。
【0017】
例示の実施形態では、ナノ構造領域30は、ガラスマトリックス(「ガラス」)31を有し、このガラス31には、非周期的に配置された穴(「空所」又は「空気線」とも呼ばれる)32、例えば、図2Aの拡大挿絵に詳細に示された例示としての空所が形成されている。別の例示の実施形態では、空所32は、例えばフォトニック結晶光ファイバ中に周期的に設けられるのが良く、空所は、典型的には、約1×10-6m〜1×10-5mの直径を有する。空所32は、「非周期的空気線」とも呼ばれる場合がある。例示の実施形態では、ガラス31にはフッ素がドープされているが、別の例示の実施形態では、ガラスは、ドープしていない純粋石英である。「非周期的に配置され」又は「非周期的分布」という用語は、光ファイバの断面を取った場合(例えば、図2Aに示されている)、空所32が、ファイバの一部分を横切ってランダムに又は非周期的に分布して配置されていることを意味している。
【0018】
ナノ構造光ファイバ12の長さに沿う種々の箇所で取った図2Aに類似した断面は、互いに異なる断面穴パターンを示しており、即ち、種々の断面は、互いに異なる穴パターンを有し、穴の分布状態及び穴のサイズは、互いに一致していない。すなわち、穴は、非周期的であり、即ち、これら穴は、ファイバ構造中に周期的には設けられていない。これら穴は、光ファイバの長さ(即ち、長手方向軸線に全体として平行な方向における寸法)に沿って引き伸ばされている(細長い)(及び、ファイバの長さに沿って長い方の寸法を有する)が、伝送ファイバの典型的な長さに関して、ファイバ全体の全長にわたって延びているわけではない。本発明の範囲を何らかの理論により限定しようとするものではないが、穴は、数メートル以下にわたって延び、多くの場合、ファイバの長さに沿って1メートル未満にわたって延びると考えられる。
【0019】
非周期的に配置された穴/空所32が、ナノ構造領域30に用いられる場合、例示の一実施形態では、これら穴/空所は、穴の95%以上、好ましくは全てが光ファイバのクラッドに1550nm未満、より好ましくは775nm未満、最も好ましくは約390nm以下の平均穴サイズを呈するよう形成されることが望ましい。同様に、光ファイバの穴の最大直径は、7000nm未満、より好ましくは2000nm未満、更により好ましくは1550nm未満、最も好ましくは775nm未満であることが好ましい。実施形態によっては、本明細書において開示するファイバは、5000個未満の穴を有し、或る実施形態では、1000個未満の穴を有し、実施形態によっては、穴の総数は、所与の光ファイバ垂直断面に500個未満の穴である。当然のことながら、最も好ましい光ファイバは、これらの特性の組み合わせを呈する。例えば、特定の好ましい一実施形態としての光ファイバは、光ファイバに200個未満の穴を有し、穴の最大直径は、1550nm未満であり、その平均直径は、775nm未満である。ただし、これよりも大きい且つこれよりも多い数の穴を用いた有用且つ耐曲げ性の光ファイバを達成することができる。穴の個数、平均直径、最大直径及び穴の全空所面積パーセントは全て、倍率が約800X〜約4000Xの走査型電子顕微鏡及び画像分析ソフトウエア、例えば米国メリーランド州シルバー・スプリング所在のメディア・サイバーネティックス・インコーポレイテッド(Media Cybernetics, Inc.)から入手できるImageProを用いて計算できる。
【0020】
例示の実施形態では、穴/空所32は、1種類又は2種類以上の気体、例えばアルゴン、窒素又は酸素を収容しても良く、或いは、穴は、実質的に気体の無い真空のものであって良く、即ち、何らかのガスの存否とは無関係に、穴存在領域の屈折率は、穴の存在に起因して低い。穴を周期的又は非周期的に配置することができる。実施形態によっては、複数個の穴は、複数個の非周期的に配置された穴及び複数個の周期的に配置された穴から成る。代替的に又は追加的に、上述したように、屈折率の減少は、穴存在領域のガラスにダウンドーピング(downdoping)する(例えばフッ素を)又はその周りの領域の一方又は両方にアップドーピング(updoping)することによっても実現できる。
【0021】
ナノ構造領域30は、圧密ガラスブランク中の相当な量の気体を捕捉するのに有効であり、それにより圧密ガラス光ファイバプレフォーム中に空所を形成させるプレフォーム圧密条件を利用する方法によって形成できる。これら空所を除くステップを取らないで、結果的に得られたプレフォームを用いて空所又は穴が設けられた光ファイバを形成する。本明細書で用いる穴の直径という表現は、光ファイバを光ファイバ中心軸線AFに対して横方向の垂直断面で見たときに、端点が穴を構成する石英内面上に位置する最も長い線分である。
【0022】
例示のナノ構造光ファイバ12の端面のSEM分析の示す結果によれば、約4.5ミクロン半径のGeO2‐SiO2無空所コア(石英と比較して約Δ+0.34パーセントの屈折率を有する)が、11ミクロン外側半径の無空所の近クラッド領域によって包囲され、この近クラッド領域は、14.3ミクロン外側半径の非周期空所存在クラッド領域(リング厚さは、約3.3μm)によって包囲されており、このクラッド領域は、外径が約125μmの無空所純粋石英外側クラッドによって包囲されていた(半径方向寸法は全て、光ファイバの中心から測定されたものである)。
【0023】
ナノ構造領域は、総面積のうち局所面積パーセントが約2.5パーセントの穴(100容積%のN2)を有し、穴の平均直径は0.27μmであり、その最小直径は0.17μmであり、その最大直径は、0.48μmであり、その結果、ファイバ断面には全部で約130個の穴が存在する。全ファイバ空所面積パーセント(穴の面積を光ファイバ断面の総面積で除算した値に100を乗算した値)は、約0.05パーセントであった。このファイバの光学的性質は、1310nm及び1550nmでそれぞれ0.36dB/Km及び0.20dB/Kmであり、約1250nmの22メートルファイバケーブルカットオフであり、それにより、1250nmを超える波長ではファイバは、シングルモードになる。
【0024】
本明細書で用いるナノ構造光ファイバは、光ファイバのコア及び(又は)クラッドの屈折率を調節するためのゲルマニア(germania)又はフッ素を含んでいても良く又は含まなくても良いが、これらドープ剤は又、中間環状領域では回避されるのが良く、その代わり、穴(穴の中に入れられるのが良い何らかの1種類又は複数種類のガスと組み合わせて)を用いると、光がファイバコアを下って案内される仕方を調節することができる。ナノ構造領域は、屈折率を減少させるためにアンドープ(純粋)石英から成るのが良く、それにより穴存在領域にドープ剤を用いることが完全に回避され、或いは、ナノ構造領域は、ドープ石英、例えば複数個の穴を持つフッ素をドープした石英から成るのが良い。1組の実施形態において、コアは、純粋石英に対して正の屈折率を提供するドープ石英、例えばゲルマニアをドープした石英から成る。コア領域は、好ましくは、穴が存在しない。
【0025】
このようなファイバは、1400nm未満、より好ましくは1310nm未満のファイバカットオフ、1550nmにおいて1dB/ターン未満、好ましくは0.5dB/ターン未満、より好ましくは0.1dB/ターン未満、更により好ましくは0.05dB/ターン未満、更により好ましくは0.03dB/ターン、更により好ましくは0.02dB/ターン未満の20mmマクロベンドによる損失、1550nmにおいて5dB/ターン未満、好ましくは1dB/ターン未満、より好ましくは0.5dB/ターン未満、更により好ましくは0.2dB/ターン未満、更により好ましくは0.1dB/ターン未満、更により好ましくは0.05dB/ターン未満の12mmマクロベンドによる損失及び1550nmにおいて5dB/ターン未満、好ましくは1dB/ターン未満、より好ましくは0.5dB/ターン未満、更により好ましくは0.2dB/ターン未満、更により好ましくは0.1dB/ターン未満の8mmマクロベンドによる損失を示すよう形成されるのが良い。
【0026】
本発明において用いられるナノ構造ファイバは、マルチモードであるのが良い。本明細書において開示するマルチモード光ファイバは、勾配屈折率コア領域及びこのコア領域を包囲すると共にこれにすぐ隣接して位置するクラッド領域を有し、クラッド領域は、クラッドの別の部分に対して相対屈折率が減少している減少屈折率環状部分を有する。クラッドの減少屈折率環状部分は、好ましくは、コアから間隔をおいて位置する。好ましくは、コアの屈折率プロフィールは、放物線形状を有する。減少屈折率環状部分は、例えば、複数個の空所を有するガラス、フッ素ドープガラス又は複数個の空所を有するフッ素ドープガラスから成るのが良い。
【0027】
幾つかの実施形態では、マルチモード光ファイバは、勾配屈折率ガラスコア及びこのコアを包囲すると共にこれと接触状態にあるクラッドを有し、クラッドは、コアを包囲した減少屈折率環状部分を有し、この減少屈折率環状部分は、約Δ−0.2%の屈折率及び少なくとも1ミクロンの幅を有し、このような減少屈折率環状部分は、コアから少なくとも0.5ミクロンの間隔をおいて位置している。
【0028】
本明細書において開示するマルチモード光ファイバは、ベンド(曲げ)による減衰度が非常に低く、特に、マクロベンドによる減衰率が非常に低い。幾つかの実施形態では、高い帯域幅は、コアの小さな最大相対屈折率により得られ、少ないベンド損失も又得られる。それ故、マルチモード光ファイバは、勾配屈折率ガラスコア、このコアを包囲すると共にこれと接触状態にある内側クラッド及び内側クラッドを包囲した減少屈折率環状部分を備えている第2のクラッドを有し、この減少屈折率環状部分は、約Δ−0.2%の屈折率及び少なくとも1ミクロンの幅を有し、内側クラッドの幅は、少なくとも0.5ミクロンであり、ファイバは、850nmにおいて0.4dB/ターン以下の1ターン10mm直径マンドレル巻き付け減衰率増加分、0.18を超える開口数及び850nmにおいて1.5GHz‐kmを超える過剰結合帯域幅を更に示す。
【0029】
本明細書において開示する設計を利用して、850nmの波長で1.5GHz‐kmを超え、より好ましくは2.0GHz‐kmを超え、更により好ましくは3.0GHz‐kmを超え、最も好ましくは4.0GHz‐kmを超える過剰結合(OFL)帯域幅をもたらす50ミクロン直径のコアマルチモードファイバを形成することができる。これら高い帯域幅は、850nmの波長において0.5dB未満、より好ましくは0.3dB未満、更により好ましくは0.2dB未満、最も好ましくは0.15dB未満の1ターン10mm直径マンドレル巻き付け減衰率増加分を依然として維持しながら達成できる。これら高い帯域幅も又、850nmの波長において0.2dB未満、より好ましくは0.1dB未満、最も好ましくは0.05dB未満の1ターン20mm直径マンドレル巻き付け減衰率増加分及び850nmの波長において0.2dB未満、より好ましくは0.1dB未満、最も好ましくは0.05dB未満の1ターン15mm直径マンドレル巻き付け減衰率増加分をこれ又維持しながら達成できる。このようなファイバは、更に、0.17を超え、より好ましくは0.18を超え、最も好ましくは0.185を超える開口数(NA)を提供することができる。それと同時に、このようなファイバは、更に、1300nmにおいて500MHz‐kmを超え、より好ましくは600MHz‐kmを超え、更により好ましくは700MHz‐kmを超えるOFL帯域幅を呈することができる。それと同時に、このようなファイバは、更に、850nmにおいて、約1.5MHz‐km以上、より好ましくは約1.8MHz‐km以上、最も好ましくは約2.0MHz‐kmを超える計算された最小の有効モーダル帯域幅(Min EMBc)を呈することができる。
【0030】
好ましくは、本明細書で開示するマルチモード光ファイバは、850nmにおいて3dB/km未満、好ましくは850nmにおいて2.5dB/km未満、より好ましくは850nmにおいて2.4dB/km未満、更により好ましくは850nmにおいて2.3dB/km未満のスペクトル減衰率を示す。好ましくは、本明細書で開示するマルチモード光ファイバは、1300nmにおいて1.0dB/km未満、好ましくは1300nmにおいて0.8dB/km未満、より好ましくは1300nmにおいて0.6dB/km未満のスペクトル減衰率を示す。幾つかの実施形態では、マルチモードファイバをスピンさせ、そのようにする際、状況によっては、減少屈折率クラッド領域を有する光ファイバについて帯域幅を一段と向上させることが望ましい場合がある。「スピンさせる」という用語は、スピンをファイバに加え又は与えることを意味し、この場合、スピンは、ファイバが光ファイバプレフォームから引き出されている間に、即ち、ファイバが依然として少なくとも幾分かは加熱状態にあり、非弾性回転変位を受けることができ、しかもファイバが完全に冷えた後では回転変位を実質的に保持することができる状態で与えられる。
【0031】
実施形態によっては、光ファイバの開口数(NA)は、好ましくは、0.23未満であり且つ0.17を超え、より好ましくは、0.18を超え、最も好ましくは0.215未満であり且つ0.185を超える。
【0032】
実施形態によっては、コアは、中心線から半径方向外方に半径R1まで延び、この場合、20≦R1≦40ミクロンである。実施形態によっては、22≦R1≦34ミクロンである。好ましい幾つかの実施形態では、コアの外側半径は、約22〜28ミクロンである。他の幾つかの好ましい実施形態では、コアの外側半径は、約28〜34ミクロンである。
【0033】
実施形態によっては、コアは、1.2%以下且つ0.5%を超え、より好ましくは0.8%を超える最大相対屈折率を有する。実施形態によっては、コアは、1.1%以下且つ0.9%を超える最大相対屈折率を有する。
【0034】
実施形態によっては、光ファイバは、800〜1400nmのあらゆる波長において、1.0dB以下、好ましくは0.6dB以下、より好ましくは0.4dB以下、更により好ましくは0.2dB以下、更により好ましくは0.1dB以下の1ターン10mm直径マンドレル減衰率増加分を示す。
【0035】
ファイバ曲げ角度及び曲げ直径
図2Bは、曲げ部が形成されたナノ構造ファイバ12の形態をした例示の曲げ不敏感性光ファイバの曲げ角度θB及び曲げ直径DBを示す略図である。曲げ直径DBは、曲げ半径RBの2倍である。2つの矢印AR1,AR2は、曲げ部Bの各側における光ファイバ12の相対的な向き(方向)を表わしている。曲げ角度θBは、図2Bの左側に示されているように矢印AR1,AR2の交点によって定められる。光ファイバは部分的に、曲げ部の前後において必ずしも完全に真っ直ぐのままであるとは限らないので、曲げ角度θBは、正確ではないが、ナノ構造ファイバ12が曲げられる程度を概述する有用な近似として役立つ。
【0036】
例示の実施形態では、本発明において用いられる曲げ不敏感性光ファイバは、曲げ直径DBが10mmという小さい曲げ部Bのような曲げ部を有する。これにより、幾分かは、本発明のパッチパネルモジュールを比較的コンパクトに作ることができると共にパッチパネル組立体が比較的高密度のパッチパネルモジュールを収容し、光結合関係を確立するための高密度のジャッキ及びポートを収容することができる。
【0037】
以下の説明において、便宜上、参照符号12は、曲げ不敏感性ファイバを包括して示すために用いられており、曲げ不敏感性光ファイバケーブルによって支持された曲げ不敏感性「ケーブルファイバ」は、参照符号12Jで示されている曲げ不敏感性「ジャンパファイバ」との区別のために参照符号12Cで示されている。
【0038】
形状係数減少型パッチパネルモジュール
図3Aは、「形状係数減少型」パッチパネルモジュール50の例示の実施形態の斜視図であり、このパッチパネルモジュール50は、内部58を備えた実質的に長方形のモジュールハウジング56を有し、このパッチパネルモジュール50は、標準型パッチパネルモジュールと比較して形状係数が小さい。モジュールハウジング56は、第1の傾斜壁部分62及び第2の傾斜壁部分64によって形成されている少なくとも1つのV字形凹み61を備えた後側壁60を有している。壁部分62は、1本又は2本以上のケーブルファイバ12Cを支持した曲げ不敏感性光ファイバケーブル(「ケーブル」)70をハウジングに接続することができるようにする孔(図示せず)を有し、その結果、ケーブルファイバを図3Bに示すように内部58内に導入することができるようになっている。例示の実施形態では、ケーブル70は、12本若しくは24本のバッファ付きケーブルファイバ12(例えば、500μm又は900μmの直径を有する)か、250μm直径の裸ファイバかのいずれかを有する。ケーブル70は、好ましくは、ファイバを壁部分62のところのその接続箇所のところで支持するブーツ72を有する。
【0039】
ハウジング56は、前部パネル80を更に有し、前部パネル80は、多数(例えば、12個)の互いに間隔をおいた孔(図示せず)を有し、これら孔は、これに対応した数(例えば、12個)のジャッキ90を保持している。前部パネルは、それぞれの端部82を更に有し、端部82は、モジュール50をパネル取付けフレームに取り付けるための取付け穴84を有し、これについては以下に紹介して詳細に説明する。図3Cは、図3A及び図3Bと同様であるが、内部58を包囲したカバー57を有するハウジング56を示している。
【0040】
各ジャッキ90は、前側96が開口し、ジャンパファイバ12Jのコネクタ接続端部13Jを受け入れるよう形作られた1つ又は2つのポート92を備えている。各ジャッキ90は、後側ポート98を更に有し、曲げ不敏感性光ファイバケーブル70からの1本又は2本以上のケーブルファイバ12Cが後側ポート98に取り付けられている。例示の実施形態では、モジュール50は、図示のように2つの列をなした6つのジャッキ90を有している。例示の実施形態に続き、1本又は2本のケーブルファイバ12Cが、図3Bに示されているように、後側ポート98のところで各ジャッキに接続されている(即ち、各ポート92について1本のケーブルファイバ)。
【0041】
ケーブルファイバ12Cが曲げ不敏感性であるので、ケーブルファイバ12Cは、これらケーブルファイバが後側ポート98のところでジャッキ90に接続されるよう内部58の狭い空間内に嵌まり込むことができるようにする急な曲がり部を有し、又そうであるのが良い。また、内部58内に曲げ不敏感性ケーブルファイバ12Cを用いることにより、モジュールハウジング56は、減少した寸法、及び減少した形状係数を有することができる。例示の実施形態では、ハウジング56は、長さL1が4.62インチ(11.73cm)、幅W1が1.295インチ(3.29cm)、深さD1が約2インチ(5.08cm)〜約3インチ(7.62cm)、例えば2.36インチ(5.99cm)の寸法を有する。深さD1は、対応の先行技術のパッチパネルモジュールの深さのほぼ半分であるということができるので、内部58の容積は、先行技術と比較してほぼ40%減少している。これにより、より高い密度のポート92を標準サイズのパッチパネル組立体中に支持することができる。
【0042】
曲げ不敏感性ケーブルファイバ12Cは又、後側壁60に対して角度をなしてパッチパネルモジュール50への1本又は2本のケーブル70の接続を容易にする。この傾斜接続により、以下に詳細に説明するように、パッチパネル組立体内へのパッチパネルモジュール50の高密度配置が容易になる。例示の実施形態では、後側壁60の法線Nに対してケーブル70のなす角度θは、図3Cに示されているように、約60°〜70°である。例示の実施形態では、1つ又は2つのV字形凹み61が、内部58の容積を更に一層減少させるのに役立っていることに注目されたい。内部容積のこの追加の減少は、曲げ不敏感性ケーブルファイバ12Cの使用によっても可能になっている。
【0043】
取付けフレーム型パッチパネル組立体
図4は、取付けフレーム型パッチパネル組立体150の例示の実施形態の斜視図である。例示の実施形態では、パッチパネル組立体150は、少なくとも12個のパッチパネルモジュール50を比較的高密度で且つ実質的に垂直な形態で保持するよう構成されている。標準型4U棚には、12個のパッチパネルモジュール50がぎっしりと配置され、状態で、144個のデュプレックスジャッキ又は288個のポートが設けられている。図4の例示のパッチパネル組立体150は、ポート92が全部で576個の場合、2つの列をなす288個のデュプレックスジャッキ90を有する。これは、144個のポート/Uの「ポート/U」密度である。というのは、パッチパネル組立体は、標準型“4U”棚であると見なされるからである。3つの取付けフレーム210を備えた「3列」実施形態は、ポート密度が50%増加し又は216個のポート/Uを有し、このことは、288本のファイバを支持した標準型パッチパネル組立体と比べ、パッチパネル組立体150によって864本の個々のファイバが支持されることを意味している。例示の実施形態では、ポート密度は、PDによって与えられ、次式、即ち、72個のポート/U<PD≦216個のポート/Uによって定められた範囲内にある。
【0044】
パッチパネル組立体150は、長方形の箱状ハウジング152を有し、このハウジングは、頂部(トップ)154、底部(ボトム)155、前部(フロント)156及び後部(バック)パネル又は壁157を有している。ハウジング152は、後部パネル157に連結された互いに間隔をおいて位置する側壁160を有している。各側壁160は、内面162、外面164、前縁部166及びこれと反対側の後縁部167を有している。ハウジング152は、好ましくは、側壁前縁部166のところ又はその近くで側壁外面164に設けられた外方に延びる取付けフランジ168を有する。
【0045】
例示の実施形態では、ハウジング152は、長さL2=17インチ(43.18cm)(約10U)、高さH2=6.88インチ(17.48cm)(約4U)及び深さD2=15.51インチ(39.40cm)(約9U)(図7参照)の標準寸法を有し、従って、パッチパネル組立体150は、EIA‐310‐D(キャビネット、ラック、パネル及び関連機器)により特定される通信システム(例えば、データセンタ等に存在する)に用いられる「標準サイズ19」機器ラック内に収納されるようになっている。
【0046】
例示の実施形態では、ハウジング152は、平らな棚182を有し、この棚は、前部156のところ且つハウジング底部155のところで側壁160を互いに連結し、この棚は、前部156のところで側壁前縁部166を越えて延びている。棚182は、上面183、前側の端部(前端部)184及び後側の端部(後端部)185を有している。例示の実施形態では、前端部184は、少なくとも1つのヒンジ196を有し、このヒンジは、前部156のところでフロントカバー190をフレーム152に取り付けており、その結果、フロントカバーが下方に折り畳まれるようになっている。フロントカバー190は、内面192及び外面194を有している。例示の実施形態では、フロントカバー190は、透明である。フロントカバーは、オプションとして、クリップ板199の縁部199Eに係合するよう構成されたクリップ197を有し、このクリップ板は、内部取付けフレーム210Iに連結されると共に前側取付け板210F上に延びている。
【0047】
側壁160、後部パネル157及びフロントカバー180は、ハウジング頂部154のところが実質的に開口したハウジング内部領域200を画定している。ハウジング152は、少なくとも2つの取付けフレーム210を有し、このハウジングは、好ましくは、フロント取付けフレーム210F及びフロント取付けフレームの後ろに位置すると共に内部領域200を跨いだ少なくとも1つの内部取付けフレーム210Iを有している。各取付けフレーム210は、底縁部211、前側部又は前「面」212及び後側部又は後「面」214及び互いに反対側の端部216を有している。例示の実施形態では、取付けフレーム210は、互いに反対側の端部216のところで側壁160(例えば、内面162のところで)に連結されている。例示の実施形態では、フロント取付けフレーム210Fは、前縁部166に取り付けられている。取付けフレーム210は、内部領域を内部小領域201に分割するのに役立っている。
【0048】
各取付けフレーム前面212は、取付け面を備え、この取付け面は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上(例えば、好ましくは10〜12個)のパッチパネルモジュール50を例えばねじ山付き穴218のところで取付け面に取り付けることができるよう構成されており、ねじ山付き穴218は、パッチパネルモジュール50の取付け穴84に対応するよう構成されている。図5に示された例示の実施形態では、取付けフレーム210のうち1つ又は2つ以上は、2つの部分220で構成され、各部分は、これら部分を外方に揺動させることができるそれぞれのヒンジ224を介してそれぞれの側壁160に連結されている。図5では、フロント取付けフレーム210Fは、2つの部分で構成されているものとして図示されている。この幾何学的形状により、別の取付けパネルのすぐ後ろに位置する取付けパネル210への接近が可能である。変形実施形態では、取付けフレーム210の1つ又は2つ以上は、1つ又は2つ以上のヒンジ224により一方の側部がヒンジ留めされており、その結果、ヒンジ留めされた取付けフレーム全体は、ドアのように揺動して開くようになっている。
【0049】
図6は、パッチパネル組立体150の例示の実施形態を示しており、フロント取付けフレーム210Fは、ヒンジ224を介して横部材182の後端部185に取り付けられ、このようなヒンジにより、フロント取付けフレームは、下方に折り畳み可能である。この構成により、内部取付けフレーム210I及びこれによって支持されたパッチパネルモジュール50への接近が可能であり、パッチパネルモジュール50は、フロント取付けフレームのすぐ後ろに位置している。この構成によっても、フロント取付けフレーム210Fに取り付けられたパッチパネルモジュール50に接続されているケーブル70(図示せず)への容易な接近が可能である。図5及び図6に示されている例示の実施形態は、1つの内部取付けフレーム210Iを有し、2つ又は3つ以上の内部取付けフレームも又使用可能である。
【0050】
例示の実施形態では、後部パネル157は、隣接の内部取付けフレーム210I内に設けられたパッチパネルモジュール50への接近を可能にするために前側取付けパネル210Iと同じ仕方でヒンジ留めされている。
【0051】
図7は、図4に示されたパッチパネル組立体に類似した例示のパッチパネル組立体の斜視図であるが、図7に示されている例示の実施形態では、後部パネル157は、リヤ取付けフレーム210Rの形態をしており、このリヤ取付けフレームは、1つ又は2つ以上(例えば、1〜12個)の後方に向いたパッチパネルモジュール50を支持する後方に向いた取付け面214Rを備えている。例示の実施形態では、リヤ取付けフレーム210Rは、上述すると共に以下に説明するようにフロント取付けフレーム210Fと同様にヒンジ留め構成の1つとして構成されている。
【0052】
例示の実施形態では、取付けフレーム210は、少なくとも1つのパッチパネルモジュール50を支持するよう構成されており、好ましくは、10〜12個の嵩を小さくした(嵩減少型)パッチパネルモジュールを支持するよう構成されている。
【0053】
ケーブル引き回しのためのヒンジ組立体
本発明の態様は、取付けフレーム型パッチパネル組立体150へのケーブル70の引き回し及びこれからのケーブル70の引き回し並びにパッチパネル組立体内におけるケーブル(ケーブルファイバ12Cを含む)の分配又は配線の管理に関する。
【0054】
例示の実施形態では、ハウジング内部領域200内及びパッチパネル50相互間におけるケーブル70及び(又は)ケーブルファイバ12Cの引き回しは、フロント取付けフレーム210Fに専用のヒンジ組立体224を設けることによって容易になる。図8Aは、フロント取付けフレーム210F及びハウジング部分152Pの例示の実施形態の分解組立て斜視図である。フロント取付けフレーム210Fは、前面212Fに設けられ、パッチパネルモジュール50の取り付けのための多くの取付け孔213Fを有している。フロント取付けフレーム210Fは、フロント取付けフレーム端部216の一方に湾曲した内側ヒンジ部分224Iを有している。湾曲内側ヒンジ部分224Iは、垂直に整列した穴223Hが形成されている頂面及び底面223を有している。
【0055】
ハウジング部分152Pは、フロント取付けフレーム210Fとハウジング部分152Pを連結すると、湾曲内側ヒンジ部分224Iを部分的に包囲するよう構成された湾曲外側ヒンジ部分224Oを有している。湾曲外側ヒンジ部分224Oは、垂直に整列した穴225Hが形成された頂面及び底面215を有している。
【0056】
フロント取付けフレーム210Fとハウジング部分152Pは互いに結合されて湾曲内側部分224Iが湾曲外側部分224O内に嵌まり込むと共に穴223H,225Hが互いに整列するようになっている。次に、ヒンジピンPHを整列状態の穴223H,225Hに通して湾曲内側ヒンジ部分224I及び湾曲外側ヒンジ部分224Oを定位置に作動的に固定してヒンジ組立体224を形成し、この場合、湾曲内側ヒンジ部分は、湾曲外側ヒンジ部分内で回転する一方で、取付けフレーム210Fをハウジング部分152Pに連結するのにも役立っている。
【0057】
図8Bは、図8Aの湾曲内側及び外側ヒンジ部分224I,224Oから形成されたヒンジ組立体224の例示の実施形態の断面拡大図である。湾曲内側及び外側ヒンジ部分224I,224Oの凹状側部は、ヒンジ内部空間224Sを画定し、このヒンジ内部空間は、ハウジング内部領域200に加わっている、即ち、その一部となっている。ヒンジ内部空間224Sは、ヒンジ組立体224が図8Bに示されているように開放位置にあるか、フロント取付けフレーム210Fが揺動して開かれた状態の開放位置にあるかのいずれかであるとき、ケーブル70を挿通させる導管としての役目を果たす。ヒンジ組立体224は、ヒンジ内部空間224Sを通って延びているケーブル70の部分をはさみつぶすことなくフロント取付けフレーム210Fの開閉を可能にする。例示の実施形態では、ヒンジ組立体224は、表面215に設けられ、フロント取付けフレーム210Fの回転を容易にするブッシュ(図示せず)を有するのが良い。ヒンジ組立体224は、ブッシュに嵌まり込み、ヒンジの滑らかで摩擦が減少した作動を容易にするようヒンジピンPHを受け入れる中央円筒形溝形材(図示せず)を更に有するのが良い。
【0058】
ケーブル配線箱
図9Aは、ケーブル配線箱又は「スタッフボックス」300の例示の実施形態の斜視図である。ケーブル配線箱300は、ケーブル70を受け入れ、これらケーブルを以下に説明するように1つ又は2つ以上のパッチパネルモジュール50に分配するよう構成されている。ケーブル配線箱300は、複数本のケーブル70を挿通させるよう寸法決めされた少なくとも1つの孔304が形成されている側部302を有している。ケーブル配線箱300は、実質的に開いた頂側部306及び前側部308を更に有し、前側部308は、対応のパッチパネルモジュール50と整列するよう構成された複数個のV字形孔310を備えている。ケーブル配線箱300は、余長を含む多数本の曲げ不敏感性光ファイバケーブル70を収容するよう寸法決めされた内部領域又はチャンバ314を更に有している。
【0059】
例示の実施形態では、開いた頂側の側部306は、ケーブル70が巻き出ることがないようにするのに役立つ一方で、内部領域314内で巻回されると共に収納されたケーブルの部分への容易な接近を可能にする内方に延びる可撓性タブ312を有している。例示の実施形態では、ケーブル配線箱300は、ポリマー、プラスチック又は板金で作られている。
【0060】
図9Bは、パッチパネルモジュール50を支持した取付けフレーム210の後ろでパッチパネル組立体150内に配置された例示のケーブル配線箱300の拡大斜視図である。多数本のケーブル70が、側部302に設けられた孔304を通ってチャンバ314に入った状態で示されており、ケーブルの一部分は、内部領域内にループ状になって収納されている。ケーブル70の何本かは、前側孔310の2つを通ってケーブル配線箱300から出た状態で示され、これらケーブルを隣りの2つのパッチパネルモジュール50の後側60に接続できるようになっている。例示の実施形態では、ケーブル配線箱300は、例えば底部155のところでパッチパネル組立体150に固定され又は側壁160の一方に固定されている。
【0061】
図9Cは、ケーブル配線箱が多数のチャンバ314を有し、前側孔310が設けられておらず、チャンバ1つ当たり2つの端部孔304が設けられていることを除き、図9Aのケーブル配線箱と同じケーブル配線箱300の例示の実施形態の斜視図である。
【0062】
ヒンジ組立体及びケーブル配線箱を備えたパッチパネル組立体
図10Aは、図8Bのヒンジ組立体224並びに後壁157に隣接して配置された図9Aのケーブル配線箱300を有する取付けフレーム型パッチパネル組立体150の例示の実施形態の平面図である。パッチパネル組立体150は、棚の上面183に設けられ、1本又は2本以上のケーブルファイバ12C又はジャンパケーブル12Jを棚上面上に案内すると共に(或いは)保持するよう構成された1つ又は2つ以上のクリップ187を有している(ジャンパケーブル12Jが、説明のために図示されている)。
【0063】
ケーブル配線箱300内に部分的に収納されたケーブル70の何本かは、それぞれのパッチパネルモジュール後側60のところで内部取付けフレーム210Iのパッチパネルモジュール50に接続されている。矢印A70で示されているように、他のケーブル70は、底部155に沿って内部取付けフレーム210Iの下に引き回され、そしてヒンジ組立体224を通ってフロント取付けフレーム210F内に収納されたパッチパネルモジュール50の後側60に引き回されている。例示の実施形態では、フロアパネルFPが、底部パネル155に隣接して配置され、これは、1本又は2本以上のケーブル70の引き回しに対応するよう寸法決めされた内部200の小領域323を構成する「偽フロア」を形成している。
【0064】
図10Bは、図10Aに類似した平面図であり、ケーブルファイバ12C(又はジャンパファイバ12J)がパッチパネル組立体150を支持したラックフレーム506からフロント取付けフレーム210F及び内部取付けフレーム210I上のパッチパネルモジュール50に設けられているポート90までどのように引き回されているかの例示の実施形態を示している。図10Aを参照して上述したように、ケーブルファイバ12C又はジャンパファイバ12Jの何本かは、1つ又は2つ以上のクリップ187を用いて棚上面183上に保持されている。側壁160には孔160Aが形成され、このような孔により、主要(例えば、幹線)ケーブル(図示されていないが、図18A〜図18Cを参照されたい)からのケーブルファイバ12Cをラックフレーム506から内部領域200内に引き回すことができる。
【0065】
引出し型パッチパネル組立体
図11A〜図11Dは、ラック組立体500内に保持されたパッチパネル(引出し)組立体150の例示の実施形態の上下切除斜視図である。パッチパネル組立体150は、1つ又は2つ以上のパッチパネルモジュール50を高密度で実質的に水平の形態に保持するよう構成された引出し270を有し、ジャッキ90は、上方に向いているが、好ましくは、引出しの前部に向かって傾斜している。図11A〜図11Cは、ハウジング152から引き出された引出し270を示し、図11Dは、ハウジング内に滑り込んだ状態の引出しを示している。
【0066】
パッチパネル組立体150のハウジング152は、頂部パネル240及び底部パネル242を有し、前部156のところが開いている。一方又は両方の側壁160は、1本又は2本以上の曲げ不敏感性ケーブルファイバ12Cを挿通させるよう寸法決めされた1つ又は2つ以上の孔250を有している。一方又は両方の側壁160は、以下に詳細に説明するように、1本又は2本以上のジャンパファイバ12Jを挿通させるよう寸法決めされた1つ又は2つ以上の孔256を更に有している。ハウジング152は、長さL3=17インチ(43.18cm)(約10U)、幅H3=3.5インチ(8.89cm)(2U)及び深さD3=16.1インチ(40.89cm)(約9U)の寸法を有している(図12参照)。
【0067】
引き続き図11A〜図11Dを参照すると、引出し270は、内部200内に隙間嵌め関係をなすと共に底部パネル242上で滑ってこれから出入りするよう構成されている。例示の実施形態では、引出し270は、前端部276、後端部278及び互いに反対側の側縁部280を備えたフロアパネル274を有している。フロアパネル274は、ジャッキ90が引出し270の前部に向かって角度をなして上方に向いた状態で、1つ又は2つ以上の列をなすと共に水平の形態に配置された嵩減少型パッチパネルモジュール50のアレイを支持している。この場合、引出し270は、上述したような垂直に差し向けられるモジュールフレーム210を不要にしている。この形態に用いるのに適した例示のパッチパネルモジュール50について以下に詳細に説明する。パッチパネルモジュール50の後側の壁60は、フロアパネル274上で下に向いていることに注目されたい。
【0068】
例示の実施形態では、各パッチパネルモジュール50は、各々が1つ又は2つのポート92を備えた6つのジャッキ90を有している。さらに、図11Dに示されているような例示の実施形態では、パッチパネルモジュール50のアレイは、全部で36個のモジュールの場合、2つの列をなす18個のモジュール、及び216個のジャッキ90及び、ジャッキが単一ポート又はデュアルポートかに応じて216又は432個のポート92で構成されている。例示の実施形態では、引出し型パッチパネル組立体150は、216個のポート/U〜432個のポート/Uを提供する。ジャッキ90は、垂線に対して角度をなしてパッチパネルモジュール50上に設けられると共に引出し270の前部に向かって傾斜している。
【0069】
例示の実施形態では、ハウジング組立体150は、パッチパネルモジュール50の後ろでフロアパネル274の後端部278の近くに配置されたケーブル配線箱300を更に有している。上述したように、ケーブル配線箱300は、曲げ不敏感性光ファイバケーブル70を受け入れると共にこれら光ファイバケーブルをパッチパネルモジュール50に分配した状態でこれら光ファイバケーブルの一部分を収納するよう構成されている。
【0070】
図11Bに最も良く示されている例示の実施形態では、ハウジング底部パネル242は、ハウジング孔250からハウジング内部200に入ったケーブル70を案内するよう構成された少なくとも1つのケーブルガイド350を有している。例示の実施形態では、ケーブルガイド350は、少なくとも1つの案内部材356を有する。例示の実施形態では、案内部材356は、側部362を備えたトレー部分360を有している。案内部材356は、ケーブル70の1本又は2本以上を収納する開いたトンネル状チャネル360を形成するようそれぞれの側部に連結された多数の互いに間隔をおいた収納部材366を更に有するのが良い。案内部材356の一端部は、孔250のところ又はその近くに配置され、他端部は、引出しフロアパネル274の後端部278に設けられている。
【0071】
例示の実施形態では、ケーブルガイド350は、2つの関節連結されると共に湾曲した案内部材356を有し、これら案内部材は、引出し270を閉めると、畳み込まれて積み重ね状態でハウジング後部パネル157に位置し、引出しを開けると、畳まれていた状態から広がって又は伸長してハウジング側壁160の近くに位置する。この畳み動作は、案内部材356内に保持されている光ファイバケーブルの分配又は配線及び曲げを制御するのに役立つ。例示の実施形態では、一方の案内部材356は、他方とは異なる高さ位置に(例えば、低い高さ位置に)配置され、その結果、これら2つを図11Dに示されているように互いに畳むと、低い方の案内部材が高い方の案内部材の下を通るようになる。
【0072】
図12は、パッチパネル組立体150の背面側斜視図であり、この場合、この組立体は、パッチパネルモジュール50を覆っている引出しカバー390を有し、引出しは、開き位置で示されている。また、図12には、ハウジング152についての寸法L3,H3,D3が示されている。
【0073】
引出し型パッチパネル組立体用のパッチパネルモジュール
図13A及び図13Bは、図11A〜図11Dの引出し型パッチパネル組立体に用いるのに適したパッチパネルモジュール50の例示の実施形態の斜視図である。上述した図3A及び図3Bのパッチパネルモジュール50と同様、この例示の実施形態のパッチパネルモジュール50は、ハウジング56、後側60及びポート92を備えたジャッキ90を有している。しかしながら、例示の実施形態では、ハウジング56の寸法として、長さL4は4インチ(10.16cm)、幅W4は0.67インチ(1.70cm)、深さH4は約0.75インチ(1.91cm)〜1.25インチ(3.18cm)であり、好ましくは約1インチ(2.54cm)(例えば、1.06インチ(2.69cm))である。図11A〜図11Dのパッチパネルモジュール50も又、「減少した形状係数」を有している。
【0074】
この例示の実施形態のパッチパネルモジュール50は、傾斜したフェーセット405を備えた前部404及び端部406,407を有している。各ジャッキ90は、傾斜したフェーセット405上に設けられると共に端部407から傾斜して遠ざかっている。図13Bは、ジャッキ90の後側ポート98に取り付けられた曲げ不敏感性光ファイバケーブル70からのケーブルファイバ12Cを示している。
【0075】
パッチパネルモジュールは、後側の壁60に形成されると共に後側60がフロアパネル274に当ててパッチパネルモジュール50が配置されたときにケーブル70を受け入れるよう寸法決めされた開放チャネル420を有している。図13Cは、フロアパネルが透明である場合に、フロアパネル274を通して見ることにより見えるパッチパネルモジュール50の後側60の図である。図13A及び図13Bのパッチパネルモジュール50に取り付けられたケーブル70はハウジング56の端部407を経てそのようになっていることに注目されたい。
【0076】
図14は、引出しフロアパネル274上に配置された図13Aのパッチパネルモジュール50のアレイの拡大図である。ジャンパファイバ12Jは、ジャッキ90の1つに接続された状態で示されている。また、ケーブル70は、後側の列のパッチパネルモジュール50の1つの下を通り、チャネル420を経て前側の列のパッチパネルモジュールの対応の端部407まで延びている状態で示されている。ケーブル70からのケーブルファイバ12Cは、パッチパネルモジュールの1つの中に納められると共にジャッキ90の後側ポート98(図13B参照)に接続された状態で示されている。
【0077】
図15Aは、引出し270及び図13Aのパッチパネルモジュール50のアレイの拡大側面図であり、ケーブル70がケーブル配線箱300から後側の列のパッチパネルモジュール50の下を通って前側の列のパッチパネルモジュールまでどのように延びているかを詳細に示している。他のケーブル70は、それぞれのハウジング端部407のところで後側の列のパッチパネルモジュール50に直接取り付けられている。
【0078】
図15Bは、隣り合う後側の列と前側の列のパッチパネルモジュール50の拡大図であり、図15Cは、後側の列のパッチパネルモジュール50及びケーブル配線箱300の拡大図である。これらの図は、後側の列及び前側の列のパッチパネルモジュール50へのそれぞれのケーブル70の引き回し状態を示している。図15Bでは、ケーブル70は、チャネル420を通って引き回されて側部406のところで出ている。このケーブル70は、次に、側部407のところで隣接のパッチパネルモジュール50に接続されている。図15Cでは、ケーブル70は、ケーブル配線箱300に設けられた孔310から出て、隣接のパッチパネルモジュール50の端部407に接続されており、孔310からの別のケーブル70は、同一のパッチパネルモジュール50のチャネル420を通って引き回されている。
【0079】
ラック組立体
本発明の態様は、上述の引出し型パッチパネル組立体か取付けフレーム型パッチパネル組立体かのいずれかを収容したラック組立体に関する。パッチパネル組立体150のこれら形式の両方は好ましくは、標準型4U構成を有しているので、両方とも同一のラック組立体内に収容できる。
【0080】
図16は、多くの引出し型パッチパネル組立体150を積み重ね状態で収容したラック組立体500の例示の実施形態の正面側斜視図である。ラック組立体500は、垂直のサイドバー510,512及びこれらサイドバーをフレームの頂部のところで互いに連結した頂部水平クロスバー(図示せず)を備えたラックフレーム506を有している。垂直サイドバー510,512には好ましくは、フレーム506内でのケーブルの引き回しを容易にするよう寸法決めされた孔507が形成されている。フレーム506は、前側518及び後側520を有している。フレーム506は、サイドバー510,512が取り付けられ、フレームのための立設支持体を提供するのに役立つ平らなベース(図示せず)を有する。フレーム組立体は、オプションとして、フレーム組立体内におけるケーブルの引き回しを容易にするよう垂直のサイドバー510,512の一方又はこれら両方に取り付けられたケーブルガイド513を有している。
【0081】
好ましい実施形態では、ラック組立体500は、内側の幅が17.75インチ(45.09cm)の標準型19インチ(48.26cm)機器ラックを有し、オンセンターレールの穴の対は、ラックの前側では18.3インチ(46.48cm)だけ離隔されると共に標準の1.75インチ(4.45cm)増分によって分割され、各増分は、短いものについては「単位」又は“U”と呼ばれ、3つの完全な穴の対が設けられている。フレーム506は、パッチパネル組立体150が納められた内部領域530を備えている。引出し型パッチパネル組立体150の引出し270は、好ましくは、取っ手550を有する。
【0082】
図17は、図16のラック組立体に類似したラック組立体500の例示の実施形態の正面側斜視図であるが、機器ラック組立体500内に積み重ね状態で収容された多くの取付けフレーム型パッチパネル組立体150を示している。
【0083】
サイドバー510,512の内面は、パッチパネル組立体150をサイドバー相互間で、図示のようにフレーム内部領域530内に積み重ね状態で配置できるよう構成されている。例示の一実施形態では、サイドバー510,512の内面は、滑らかであり、別の例示の実施形態では、サイドバーは、フレーム506内でのハウジング組立体150の積み重ね及び支持を容易にする案内タブ(図示せず)を有する。例示の実施形態では、サイドバー510,512は、パッチパネル組立体の前側部分及び後側部分が図16及び図17に示されているように、フレーム506の前側部518及び後側部520から突き出るよう構成されている。
【0084】
図18Aは、図10Aに示された単一の取付けフレーム型パッチパネル組立体に類似した単一の取付けフレーム型パッチパネル組立体150を支持した状態で示されたラック組立体500の一部分の例示の実施形態の背面側立面斜視図である。ラック組立体500は、複数本の光ファイバ、例えばケーブル70を支持した主要(例えば、幹線)ケーブル602を有している。例示の実施形態では、主要ケーブル602は、ファンアウト部分620に通じるブーツ610を有している。主要ケーブル620のケーブル70は、次に、ハウジング側部160のところで複数個のコネクタポート626に接続される。この実施形態では、「外部」ケーブル70は、コネクタポート626のところでパッチパネル組立体150の「内部」ケーブル70に接続されている。内部ケーブル70は、コネクタポート626に接続可能なコネクタ接続端部73を有するものとして示されている。内部ケーブル70は、ケーブル配線箱300を通って引き回される。数本の内部ケーブル70が、内部取付けフレーム210I内に収納されたパッチパネルモジュール50の後側60に接続されている。他の内部ケーブルは、フロント取付けフレーム210Fに設けられているパッチパネルモジュールまで引き回され、このフロント取付けフレーム210Fは、開き位置で示されている。例示の実施形態では、フロント取付けフレーム210Fは、底縁部211から内部領域200に向かって内方に延びる案内棚215を有している。案内棚215は、フロント取付けフレーム210F内に収納されたパッチパネルモジュール50まで引き回されているケーブル70を案内すると共に(或いは)保持するよう構成されている。例示の実施形態では、案内棚215は、ケーブル70を案内棚上に案内すると共に(或いは)保持するのに役立つクリップ185を有している。この場合も又注目されるべきこととして、図18Bでは、ケーブル70,12Cは、同一形式のケーブル、例えばパッチケーブル又はジャンパケーブル(12J)であるのが良い。
【0085】
図18Bは、図18Aのラック組立体500の別の背面側立面斜視図であるが、反対側の位置から見たものであって、後壁175は、定位置に位置している。ケーブルファイバ12C(これらは、ジャンパケーブル12Jであっても良い)及び主要ケーブル602の束は、隣接のラックフレーム506(図10B参照)に設けられている孔507を通って引き回されている状態で示されている。
【0086】
図18Cは、図18A及び図18Bのラック組立体500の正面側立面斜視図であり、ケーブルファイバ12C(又はジャンパファイバ12J)がフロント取付けフレーム210F及び中間取付けフレーム210I上のパッチパネル組立体50までどのように引き回されているかの詳細を示している。横部材182に設けられているクリップ185は、ラックフレーム506からのケーブルファイバ12C又はジャンパファイバ12Jをフロント取付けフレーム210Fにより支持されているパッチパネル組立体50まで案内するために用いられる。クリップ185は又、ラックフレーム506からのケーブルファイバ12C又はジャンパファイバ12Jを内部取付けフレーム210Iによって支持されたパッチパネルモジュール50まで案内するのを助けるようフロント取付けフレーム210Fと内部取付けフレーム210Iとの間に設けられている。
【0087】
当業者には明らかなように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の種々の改造例及び変形例を想到できる。本発明は、本発明のこのような改造例及び変形例が特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及びその均等範囲に属することを条件として、これら改造例及び変形例を含む。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、光ファイバ通信機器及びネットワークに関し、詳細には、比較的高密度のパッチパネルモジュールを収納することができるパッチパネル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な光通信システム及びネットワークは、種々の形式のネットワーク機器を互いに結合する多数の光ケーブル及び電気ケーブル接続部を提供する1つ又は2つ以上の通信データセンタを有する。典型的なシステムは、システムをネットワーク中に拡張する多数の外郭ステーションを更に有する。ネットワーク機器の例としては、電気式(能動型)ユニット、例えば光加入者線端局装置(OLT)、光加入者網終端装置(ONT)、ネットワークインタフェース装置(NID)、サーバ、スプリッタ、コンバイナ、マルチプレクサ、スイッチ及びルータ、ファンアウト箱及びパッチパネルが挙げられる。このネットワーク機器は、標準サイズの機器ラック内のキャビネット内に収納される場合が多い。各機器は、典型的には、光又は電気パッチケーブル(「ジャンパケーブル(ジャンプケーブルと呼ばれる場合もある)」)を機器に物理的に接続できる1つ又は2つ以上のアダプタを提供する。これらパッチケーブルは、一般に、同一キャビネット又は別のキャビネット内に設けられている他のネットワーク機器まで引き回される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通信システム、特に光通信機器における共通の問題は、空間の管理である。通信における現在の慣行は、19インチ(48.26cm)又は23インチ(58.42cm)の水平間隔の幅を持つ標準サイズの静止ラック取付け型ハウジングを支持する標準型エレクトロニクスラック又はフレームを利用することである。垂直間隔は、ラックユニット“U”に分割され、この場合、EIA(Electronic Industries Alliance:電子工業連合)310‐D、IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)60297及びDIN(“German Institute for Standardization”:ドイツ工業規格)41494SC48Dで特定されているように1U=1.75インチ(4.45cm)である。ハウジングは、固定された滑り出し又は揺動開き式パッチ/スプライスパネル又は棚であるのが良い。しかしながら、光通信機器用の今日のハウジングの形状及び寸法は、主として、ハウジングによって支持された装置に接続されている光ファイバケーブルの特性によって定められている。特に、このような形状及び寸法は、光ファイバケーブル及び(又は)光ファイバの曲げ寛容度を超えることなく、装置とインタフェースする光ファイバケーブル及びこの中に収納されている光ファイバの特定の能力に基づいて定められている。この結果、通信機器は、比較的広い空間を占め、特に通信ネットワークの中央局では比較的広いフロアスペースを占める。また、これにより、データセンタパッチパネルは、コネクタ及びケーブルの量に起因してますます過密になっている。
【0004】
本発明は、比較的高密度のパッチパネルを支持することができるパッチパネル組立体に関する。パッチパネル組立体は、曲げ不敏感性であるケーブルファイバ及びジャンパファイバを利用する構成を有している。多数の列をなすパッチパネルモジュールを用いることは、モジュールに指で接近しやすくすることができるよう密度を分配するのに役立つと共に高密度に実装されたRFIDタグを読み取るのが困難なRFIDシステムの使用を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の第1の態様は、曲げ不敏感性光ファイバケーブルを用いて光結合を行う通信データセンタ用のパッチパネル組立体である。この組立体は、内部領域、前側の側部(以下「前側部」という)、及び後側の側部(以下「後側部」という)を備えた長方形の箱状ハウジングを含む。このハウジングは、標準型通信ラックによって動作可能に支持されるよう寸法決めされている。組立体は、フロント取付けフレーム及び少なくとも1つの内部取付けフレームを更に有し、取付けフレームは、少なくとも1つの形状係数減少型パッチパネルモジュールを支持するよう構成されている。
【0006】
本発明の第2の態様は、パッチパネルモジュールである。このパッチパネルモジュールは、少なくとも1つの傾斜フェーセットを備えた前側の側部、これと反対側の後側の側部、互いに反対側の端部、及び互いに反対側の側壁を備えた実質的に長方形のモジュールハウジングを有し、前側部、後側部、端部及び側壁は、内部領域を画定している。このモジュールは、少なくとも1つの傾斜フェーセット上に配置された少なくとも1つのジャッキを有し、少なくとも1つのジャッキは、1つ又は2つ以上の前側ポートを備えている。モジュールは、ハウジングの内部領域内に収納された少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバを介して少なくとも1つのジャッキに作動的に接続された少なくとも1つの後側ポートを有する。長さ方向開放チャネルが、モジュールハウジングの後側部に形成され、この長さ方向開放チャネルは、外部の曲げ不敏感性光ファイバを受け入れるよう寸法決めされている。
【0007】
本発明の第3の態様は、曲げ不敏感性光ファイバケーブルを用いて光結合を行う通信データセンタ用のパッチパネル組立体である。この組立体は、内部を画定する互いに反対側の側壁及びバックパネルを備えた長方形の箱状ハウジングを有し、ハウジングは、標準型通信ラックによって作動的に支持されるよう寸法決めされている。組立体は、前側端部及びフロアパネルを備え、滑ってハウジング内部に出入りするよう構成されると共にパッチパネルモジュールのアレイをフロアパネル上で実質的に水平の形態で支持するよう構成された引出しを有する。組立体は、ハウジング内に配置されると共に少なくとも1本の耐曲げ性光ファイバケーブルを案内し、引出しが滑ってハウジングに出入りすることができるようにするよう動く少なくとも1つの可動ケーブルガイドを更に有する。
【0008】
以上の概要的説明と以下の詳細な説明の両方は、本発明の実施形態を提供し、特許請求の範囲に記載された本発明の性質及び特性を理解するための概観又は枠組みを提供するようになっていることは理解されるべきである。添付の図面は、本発明の一層の理解を提供するために添付されており、本明細書に組み込まれてその一部をなす。図面は、本発明の種々の例示の実施形態を示しており、本明細書と一緒になって、本発明の原理及び作用を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ナノ構造光ファイバの形態をした曲げ不敏感性光ファイバの例示の実施形態の一部分の概略側面図である。
【図2A】図1の光ファイバの2A‐2A線に沿った断面図である。
【図2B】図1の曲げ不敏感性光ファイバに形成された曲げ部Bの曲げ角度θB及び曲げ直径DBを示す略図である。
【図3A】本発明の嵩減少型パッチパネルモジュールの例示の実施形態の斜視図であり、内部領域を示しているが、曲げ不敏感性ケーブルファイバが省かれている状態を示す図である。
【図3B】図3Aと同様な図であるが、曲げ不敏感性光ファイバケーブルをパッチパネルジャッキの後側ポートに接続した曲げ不敏感性ケーブルファイバを示す図である。
【図3C】図3Bと同様な図であるが、頂部パネルが定位置に位置した状態及び曲げ不敏感性光ファイバケーブルのための傾斜コネクタを示す図である。
【図4】本発明の取付けフレーム型パッチパネル組立体の例示の実施形態の斜視図であり、取付けフレーム型パッチパネル組立体が、各々実質的に垂直の向きにある嵩減少型パッチパネルモジュールのアレイを支持した少なくとも2つの取付けフレームを有している状態を示す図である。
【図5】図4の斜視図と同様な斜視図であり、二重ヒンジ留めフロント取付けフレームを備えた取付けフレーム型パッチパネル組立体の例示の実施形態を示す図である。
【図6】図5の斜視図と同様な斜視図であり、下方に折り畳まれた単一ヒンジ留めフロント取付けフレームを備えた取付けフレーム型パッチパネル組立体の例示の実施形態を示すと共に後側に2本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルが接続された図3A〜図3Cの嵩減少型の例示のパッチパネルモジュールを示す図である。
【図7】図4の斜視図と同様な取付けフレーム型パッチパネル組立体の斜視図であるが、後部パネルが後方に向いた嵩減少型パッチパネルモジュールのアレイを支持した取付けフレームの形態をしている例示の実施形態を示す図である。
【図8A】フロント取付けフレーム及びハウジング部分の例示の実施形態の組立て分解斜視図であり、フロント取付けフレーム及びハウジング部分が、それぞれ、ケーブルを挿通状態で引き回すことができるヒンジ組立体の内側及び外側湾曲ヒンジ部分を有している状態を示す図である。
【図8B】図8Aの前部パッチパネル取付けフレーム及びハウジング部分の内側及び外側湾曲ヒンジ部分から形成されたヒンジ組立体の例示の実施形態の拡大上下方向断面図である。
【図9A】曲げ不敏感性光ファイバケーブルを案内すると共に(或いは)収納するケーブル配線箱の例示の実施形態の斜視図である。
【図9B】パッチパネル取付けフレームの後ろでパッチパネル組立体内に配置された図9Aの例示のケーブル配線箱の拡大斜視図である。
【図9C】図9Aの斜視図と同様のケーブル配線箱の例示の実施形態の斜視図であるが、ケーブル配線箱が多数のチャンバを有し、前部孔を備えておらず、チャンバ1つ当たり2つの端部孔を有している状態を示す図である。
【図10A】図8Bに示されたヒンジ組立体並びに図9Aに示されているケーブル配線箱を有する取付けフレーム型パッチパネル組立体の例示の実施形態の平面図である。
【図10B】図10Aの取付けフレーム型パッチパネル組立体の平面図であり、ケーブルファイバをフロント取付けフレームに設けられているパッチパネルモジュールまでどのように引き回すかの例示の実施形態を示す図である。
【図11A】引出し型パッチパネル組立体の例示の実施形態の正面側切除斜視図であり、引出し型パッチパネル組立体が、ジャッキを角度をなして上方に向けた状態でパッチパネルモジュールを水平に保持するよう構成された引出しを有している状態を示す図である。
【図11B】図11Aの上下方向正面側斜視図と同様な上下方向正面側斜視図である。
【図11C】図11Aの引出し型パッチパネル組立体の上下方向の図である。
【図11D】図11Aと同様な図であるが、引出しを拡大した状態で且つ組立体ハウジング内に位置した状態で示す図である。
【図12】図11Aと同様であり、パッチパネルモジュールカバーを有する引出し型パッチパネル組立体の背面側斜視図である。
【図13A】引出し型パッチパネル組立体用のパッチパネルモジュールの例示の実施形態の拡大斜視図であり、パッチパネルモジュールがケーブル引き回しのための下面チャネルを有する状態を示す図である。
【図13B】引出し型パッチパネル組立体用のパッチパネルモジュールの例示の実施形態の拡大斜視図であり、パッチパネルモジュールがケーブル引き回しのための下面チャネルを有する状態を示す図である。
【図13C】引出し型パッチパネル組立体用のパッチパネルモジュールの例示の実施形態の拡大斜視図であり、パッチパネルモジュールがケーブル引き回しのための下面チャネルを有する状態を示す図である。
【図14】引出し型パッチパネル組立体中で引出しフロアパネルにより支持された図13A〜図13Cのパッチパネルモジュールのアレイの拡大図であり、モジュールジャッキの1つに接続されたジャンパケーブルを示す図である。
【図15A】例えば図12に示されている引出し内に収納されたパッチパネルモジュールの拡大側面図であり、ケーブルファイバを下面チャネルを介して別々のパッチパネルモジュールまでどのように引き回すかを示す図である。
【図15B】図15Aのパッチパネルモジュールの隣り合う前側列と後側列の拡大図であり、ケーブルファイバが後側列モジュールの下面チャネルを通って前側列モジュールにどのように接続されるかを示す図である。
【図15C】図15Aの後側列パッチパネルモジュール及びこれに隣接したケーブル配線箱の拡大図であり、ケーブルファイバがケーブル配線箱からこれに隣接したパッチパネルモジュールまでどのように延びているかを示す図である。
【図16】積み重ね状態で機器ラック内に保持された多数の引出し型パッチパネル組立体の正面側斜視図である。
【図17】積み重ね状態で機器ラック内に保持された多数の取付けフレーム型パッチパネル組立体の正面側斜視図である。
【図18A】図10Aに示された取付けフレーム型パッチパネル組立体に類似した単一の取付けフレーム型パッチパネル組立体を支持した状態で示されているラック組立体の一部分の例示の実施形態の背面側立面斜視図である。
【図18B】図18Aのラック組立体の別の背面側立面斜視図であるが、反対側から見ると共に後部パネルが定位置に位置した状態を示す図である。
【図18C】図18A及び図18Bのラック組立体の正面側立面斜視図であり、ケーブルファイバがフロント取付けフレーム及び中間取付けフレームに設けられているパッチパネルモジュールにどのように引き回されるかの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の現時点において好ましい実施形態を詳細に参照し、これら実施形態の例が添付の図面に示されている。可能な場合にはいつでも、図面全体を通じて、同一又は類似の部分を示すために同一又は類似の参照符号が用いられている。理解されるべきこととして、本明細書に開示される実施形態は、例示に過ぎず、各実施形態は、本発明の或る特定の利点を有する。本発明の範囲内において以下の例の種々の改造例及び変形例を想到することができ、互いに異なる実施例の態様を互いに異なる仕方で組み合わせて更に別の例を実現することができる。したがって、本発明の真の範囲は、本明細書において説明する実施形態を考慮するが、これらに限定されることなく、本明細書における開示内容全体から理解されるべきである。
【0011】
例えば「水平」、「垂直」、「前部(フロント)」、「後部(バック)」のような用語は、図面を参照すると共に説明しやすくするために本明細書において用いられており、本明細書又は特許請求の範囲において、絶対的な向き及び(又は)方向に関して厳密な限定を行うものではない。また、「曲げ不敏感性光ファイバケーブル」という用語は、1本又は2本以上の曲げ不敏感性光ファイバ(bend-insensitive optical fiber) を収容したケーブルを含むことが意図されている。
【0012】
曲げ不敏感性光ファイバ
本発明の例示の実施形態は、例えば所謂「ナノ構造」又は「ハチの巣」光ファイバの形態をした曲げ不敏感性又は「曲げ性能」ファイバを利用する。今日市場にはこのようなファイバが多数存在する。ナノ構造ファイバは、周期的又は非周期的に配置された小さな穴又は空所を備えた1つ又は2つ以上の領域を有し、それにより、ファイバは、極めて曲げ不敏感性になっている。このような光ファイバの例は、例えば米国特許第6,243,522号明細書、2006年10月18日に出願された係属中の米国特許出願第11/583,098号明細書(以下、「コーニングナノ構造光ファイバ特許及び特許出願」と称する)に記載されており、これら特許文献の全ては、コーニング・インコーポレイテッド(Corning Incorporated)に譲渡されており、これら特許文献の全てを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0013】
本発明で用いられる曲げ不敏感性ファイバとしては、例えば、ニューヨーク州コーニング所在のコーニング・インコーポレイテッドから入手できる形式のナノ構造ファイバが挙げられ、このようなナノ構造ファイバとしては、シングルモードファイバ、マルチモードファイバ、曲げ性能ファイバ、曲げ最適化ファイバ及び曲げ不敏感性光ファイバが挙げられるが、これらには限定されない。ナノ構造ファイバは、本発明のパッチパネルモジュール及びパッチパネル組立体が比較的小さな半径の曲げ部を備えるファイバを有する一方で、ファイバの光減衰度が極めて低いままであるようにすることができるので有利である。曲げ不敏感性光ファイバの一例は、コア領域及びコア領域を包囲したクラッド領域を有し、クラッド領域は、非周期的に配置された穴で構成される環状の穴存在領域を有し、光ファイバは、1つ又は2つ以上の動作波長範囲に属する1つ又は2つ以上の波長でシングルモード伝搬を行うことができるようになっている。コア領域及びクラッド領域は、向上した耐曲げ性を提供すると共に好ましくは1500nm以上、或る実施形態では約1310nm以上、又他の或る実施形態では、1260nm以上の波長でのシングルモード動作を提供する。このような光ファイバは、1310nmの波長、好ましくは8.0μmを超える波長、より好ましくは約8.0〜10.0μmの波長でのモードフィールドを提供する。
【0014】
コーニング・インコーポレイテッドによって開発されたナノ構造光ファイバの一形式は、ファイバの長さに沿って長手方向に延びる非周期的空気線で構成された環状リング(直径が約1×10-7m)を有する。空気線リングを備えた領域は、減少した見掛けの又は平均の屈折率を有する。というのは、空気は、溶融シリカマトリックスの屈折率が約1.46であるのと比較して、屈折率が約1だからである。空気線リングは、優れたまげ性能(光学的な意味で)及び著しく小さい最小曲げ半径仕様の実現を可能にする屈折率プロフィールを生じさせるよう位置決めされる。
【0015】
図1は、中心軸線AFを備えたナノ構造光ファイバ(「ナノ構造ファイバ」)12の形態をした曲げ不敏感性ファイバの例示の実施形態の一部分の概略側面図である。図2Aは、図1の2A‐2A線に沿って見たナノ構造ファイバ12の概略断面図である。ナノ構造ファイバ12は、例えば、種々の形式のナノ構造光ファイバの任意の1つ、例えば、所謂「ハチの巣」ファイバ又は上述のコーニングナノ構造ファイバ特許及び特許出願に記載されたファイバの任意のものであるのが良い。本発明の目的上、「曲げ不敏感性ファイバ」としては、周期的又は非周期的ナノ構造又は穴を利用したナノ構造ファイバが挙げられる。
【0016】
例示の実施形態では、ナノ構造光ファイバ12は、コア領域(「コア」)20、コアを包囲したナノ構造領域30及びナノ構造領域を包囲した外側クラッド領域(「クラッド」)40を有している。ナノ構造光ファイバ12に関する他のリング型形態も又知られている。保護カバー又はシース(図示せず)が、オプションとして、外側クラッド40を覆う。
【0017】
例示の実施形態では、ナノ構造領域30は、ガラスマトリックス(「ガラス」)31を有し、このガラス31には、非周期的に配置された穴(「空所」又は「空気線」とも呼ばれる)32、例えば、図2Aの拡大挿絵に詳細に示された例示としての空所が形成されている。別の例示の実施形態では、空所32は、例えばフォトニック結晶光ファイバ中に周期的に設けられるのが良く、空所は、典型的には、約1×10-6m〜1×10-5mの直径を有する。空所32は、「非周期的空気線」とも呼ばれる場合がある。例示の実施形態では、ガラス31にはフッ素がドープされているが、別の例示の実施形態では、ガラスは、ドープしていない純粋石英である。「非周期的に配置され」又は「非周期的分布」という用語は、光ファイバの断面を取った場合(例えば、図2Aに示されている)、空所32が、ファイバの一部分を横切ってランダムに又は非周期的に分布して配置されていることを意味している。
【0018】
ナノ構造光ファイバ12の長さに沿う種々の箇所で取った図2Aに類似した断面は、互いに異なる断面穴パターンを示しており、即ち、種々の断面は、互いに異なる穴パターンを有し、穴の分布状態及び穴のサイズは、互いに一致していない。すなわち、穴は、非周期的であり、即ち、これら穴は、ファイバ構造中に周期的には設けられていない。これら穴は、光ファイバの長さ(即ち、長手方向軸線に全体として平行な方向における寸法)に沿って引き伸ばされている(細長い)(及び、ファイバの長さに沿って長い方の寸法を有する)が、伝送ファイバの典型的な長さに関して、ファイバ全体の全長にわたって延びているわけではない。本発明の範囲を何らかの理論により限定しようとするものではないが、穴は、数メートル以下にわたって延び、多くの場合、ファイバの長さに沿って1メートル未満にわたって延びると考えられる。
【0019】
非周期的に配置された穴/空所32が、ナノ構造領域30に用いられる場合、例示の一実施形態では、これら穴/空所は、穴の95%以上、好ましくは全てが光ファイバのクラッドに1550nm未満、より好ましくは775nm未満、最も好ましくは約390nm以下の平均穴サイズを呈するよう形成されることが望ましい。同様に、光ファイバの穴の最大直径は、7000nm未満、より好ましくは2000nm未満、更により好ましくは1550nm未満、最も好ましくは775nm未満であることが好ましい。実施形態によっては、本明細書において開示するファイバは、5000個未満の穴を有し、或る実施形態では、1000個未満の穴を有し、実施形態によっては、穴の総数は、所与の光ファイバ垂直断面に500個未満の穴である。当然のことながら、最も好ましい光ファイバは、これらの特性の組み合わせを呈する。例えば、特定の好ましい一実施形態としての光ファイバは、光ファイバに200個未満の穴を有し、穴の最大直径は、1550nm未満であり、その平均直径は、775nm未満である。ただし、これよりも大きい且つこれよりも多い数の穴を用いた有用且つ耐曲げ性の光ファイバを達成することができる。穴の個数、平均直径、最大直径及び穴の全空所面積パーセントは全て、倍率が約800X〜約4000Xの走査型電子顕微鏡及び画像分析ソフトウエア、例えば米国メリーランド州シルバー・スプリング所在のメディア・サイバーネティックス・インコーポレイテッド(Media Cybernetics, Inc.)から入手できるImageProを用いて計算できる。
【0020】
例示の実施形態では、穴/空所32は、1種類又は2種類以上の気体、例えばアルゴン、窒素又は酸素を収容しても良く、或いは、穴は、実質的に気体の無い真空のものであって良く、即ち、何らかのガスの存否とは無関係に、穴存在領域の屈折率は、穴の存在に起因して低い。穴を周期的又は非周期的に配置することができる。実施形態によっては、複数個の穴は、複数個の非周期的に配置された穴及び複数個の周期的に配置された穴から成る。代替的に又は追加的に、上述したように、屈折率の減少は、穴存在領域のガラスにダウンドーピング(downdoping)する(例えばフッ素を)又はその周りの領域の一方又は両方にアップドーピング(updoping)することによっても実現できる。
【0021】
ナノ構造領域30は、圧密ガラスブランク中の相当な量の気体を捕捉するのに有効であり、それにより圧密ガラス光ファイバプレフォーム中に空所を形成させるプレフォーム圧密条件を利用する方法によって形成できる。これら空所を除くステップを取らないで、結果的に得られたプレフォームを用いて空所又は穴が設けられた光ファイバを形成する。本明細書で用いる穴の直径という表現は、光ファイバを光ファイバ中心軸線AFに対して横方向の垂直断面で見たときに、端点が穴を構成する石英内面上に位置する最も長い線分である。
【0022】
例示のナノ構造光ファイバ12の端面のSEM分析の示す結果によれば、約4.5ミクロン半径のGeO2‐SiO2無空所コア(石英と比較して約Δ+0.34パーセントの屈折率を有する)が、11ミクロン外側半径の無空所の近クラッド領域によって包囲され、この近クラッド領域は、14.3ミクロン外側半径の非周期空所存在クラッド領域(リング厚さは、約3.3μm)によって包囲されており、このクラッド領域は、外径が約125μmの無空所純粋石英外側クラッドによって包囲されていた(半径方向寸法は全て、光ファイバの中心から測定されたものである)。
【0023】
ナノ構造領域は、総面積のうち局所面積パーセントが約2.5パーセントの穴(100容積%のN2)を有し、穴の平均直径は0.27μmであり、その最小直径は0.17μmであり、その最大直径は、0.48μmであり、その結果、ファイバ断面には全部で約130個の穴が存在する。全ファイバ空所面積パーセント(穴の面積を光ファイバ断面の総面積で除算した値に100を乗算した値)は、約0.05パーセントであった。このファイバの光学的性質は、1310nm及び1550nmでそれぞれ0.36dB/Km及び0.20dB/Kmであり、約1250nmの22メートルファイバケーブルカットオフであり、それにより、1250nmを超える波長ではファイバは、シングルモードになる。
【0024】
本明細書で用いるナノ構造光ファイバは、光ファイバのコア及び(又は)クラッドの屈折率を調節するためのゲルマニア(germania)又はフッ素を含んでいても良く又は含まなくても良いが、これらドープ剤は又、中間環状領域では回避されるのが良く、その代わり、穴(穴の中に入れられるのが良い何らかの1種類又は複数種類のガスと組み合わせて)を用いると、光がファイバコアを下って案内される仕方を調節することができる。ナノ構造領域は、屈折率を減少させるためにアンドープ(純粋)石英から成るのが良く、それにより穴存在領域にドープ剤を用いることが完全に回避され、或いは、ナノ構造領域は、ドープ石英、例えば複数個の穴を持つフッ素をドープした石英から成るのが良い。1組の実施形態において、コアは、純粋石英に対して正の屈折率を提供するドープ石英、例えばゲルマニアをドープした石英から成る。コア領域は、好ましくは、穴が存在しない。
【0025】
このようなファイバは、1400nm未満、より好ましくは1310nm未満のファイバカットオフ、1550nmにおいて1dB/ターン未満、好ましくは0.5dB/ターン未満、より好ましくは0.1dB/ターン未満、更により好ましくは0.05dB/ターン未満、更により好ましくは0.03dB/ターン、更により好ましくは0.02dB/ターン未満の20mmマクロベンドによる損失、1550nmにおいて5dB/ターン未満、好ましくは1dB/ターン未満、より好ましくは0.5dB/ターン未満、更により好ましくは0.2dB/ターン未満、更により好ましくは0.1dB/ターン未満、更により好ましくは0.05dB/ターン未満の12mmマクロベンドによる損失及び1550nmにおいて5dB/ターン未満、好ましくは1dB/ターン未満、より好ましくは0.5dB/ターン未満、更により好ましくは0.2dB/ターン未満、更により好ましくは0.1dB/ターン未満の8mmマクロベンドによる損失を示すよう形成されるのが良い。
【0026】
本発明において用いられるナノ構造ファイバは、マルチモードであるのが良い。本明細書において開示するマルチモード光ファイバは、勾配屈折率コア領域及びこのコア領域を包囲すると共にこれにすぐ隣接して位置するクラッド領域を有し、クラッド領域は、クラッドの別の部分に対して相対屈折率が減少している減少屈折率環状部分を有する。クラッドの減少屈折率環状部分は、好ましくは、コアから間隔をおいて位置する。好ましくは、コアの屈折率プロフィールは、放物線形状を有する。減少屈折率環状部分は、例えば、複数個の空所を有するガラス、フッ素ドープガラス又は複数個の空所を有するフッ素ドープガラスから成るのが良い。
【0027】
幾つかの実施形態では、マルチモード光ファイバは、勾配屈折率ガラスコア及びこのコアを包囲すると共にこれと接触状態にあるクラッドを有し、クラッドは、コアを包囲した減少屈折率環状部分を有し、この減少屈折率環状部分は、約Δ−0.2%の屈折率及び少なくとも1ミクロンの幅を有し、このような減少屈折率環状部分は、コアから少なくとも0.5ミクロンの間隔をおいて位置している。
【0028】
本明細書において開示するマルチモード光ファイバは、ベンド(曲げ)による減衰度が非常に低く、特に、マクロベンドによる減衰率が非常に低い。幾つかの実施形態では、高い帯域幅は、コアの小さな最大相対屈折率により得られ、少ないベンド損失も又得られる。それ故、マルチモード光ファイバは、勾配屈折率ガラスコア、このコアを包囲すると共にこれと接触状態にある内側クラッド及び内側クラッドを包囲した減少屈折率環状部分を備えている第2のクラッドを有し、この減少屈折率環状部分は、約Δ−0.2%の屈折率及び少なくとも1ミクロンの幅を有し、内側クラッドの幅は、少なくとも0.5ミクロンであり、ファイバは、850nmにおいて0.4dB/ターン以下の1ターン10mm直径マンドレル巻き付け減衰率増加分、0.18を超える開口数及び850nmにおいて1.5GHz‐kmを超える過剰結合帯域幅を更に示す。
【0029】
本明細書において開示する設計を利用して、850nmの波長で1.5GHz‐kmを超え、より好ましくは2.0GHz‐kmを超え、更により好ましくは3.0GHz‐kmを超え、最も好ましくは4.0GHz‐kmを超える過剰結合(OFL)帯域幅をもたらす50ミクロン直径のコアマルチモードファイバを形成することができる。これら高い帯域幅は、850nmの波長において0.5dB未満、より好ましくは0.3dB未満、更により好ましくは0.2dB未満、最も好ましくは0.15dB未満の1ターン10mm直径マンドレル巻き付け減衰率増加分を依然として維持しながら達成できる。これら高い帯域幅も又、850nmの波長において0.2dB未満、より好ましくは0.1dB未満、最も好ましくは0.05dB未満の1ターン20mm直径マンドレル巻き付け減衰率増加分及び850nmの波長において0.2dB未満、より好ましくは0.1dB未満、最も好ましくは0.05dB未満の1ターン15mm直径マンドレル巻き付け減衰率増加分をこれ又維持しながら達成できる。このようなファイバは、更に、0.17を超え、より好ましくは0.18を超え、最も好ましくは0.185を超える開口数(NA)を提供することができる。それと同時に、このようなファイバは、更に、1300nmにおいて500MHz‐kmを超え、より好ましくは600MHz‐kmを超え、更により好ましくは700MHz‐kmを超えるOFL帯域幅を呈することができる。それと同時に、このようなファイバは、更に、850nmにおいて、約1.5MHz‐km以上、より好ましくは約1.8MHz‐km以上、最も好ましくは約2.0MHz‐kmを超える計算された最小の有効モーダル帯域幅(Min EMBc)を呈することができる。
【0030】
好ましくは、本明細書で開示するマルチモード光ファイバは、850nmにおいて3dB/km未満、好ましくは850nmにおいて2.5dB/km未満、より好ましくは850nmにおいて2.4dB/km未満、更により好ましくは850nmにおいて2.3dB/km未満のスペクトル減衰率を示す。好ましくは、本明細書で開示するマルチモード光ファイバは、1300nmにおいて1.0dB/km未満、好ましくは1300nmにおいて0.8dB/km未満、より好ましくは1300nmにおいて0.6dB/km未満のスペクトル減衰率を示す。幾つかの実施形態では、マルチモードファイバをスピンさせ、そのようにする際、状況によっては、減少屈折率クラッド領域を有する光ファイバについて帯域幅を一段と向上させることが望ましい場合がある。「スピンさせる」という用語は、スピンをファイバに加え又は与えることを意味し、この場合、スピンは、ファイバが光ファイバプレフォームから引き出されている間に、即ち、ファイバが依然として少なくとも幾分かは加熱状態にあり、非弾性回転変位を受けることができ、しかもファイバが完全に冷えた後では回転変位を実質的に保持することができる状態で与えられる。
【0031】
実施形態によっては、光ファイバの開口数(NA)は、好ましくは、0.23未満であり且つ0.17を超え、より好ましくは、0.18を超え、最も好ましくは0.215未満であり且つ0.185を超える。
【0032】
実施形態によっては、コアは、中心線から半径方向外方に半径R1まで延び、この場合、20≦R1≦40ミクロンである。実施形態によっては、22≦R1≦34ミクロンである。好ましい幾つかの実施形態では、コアの外側半径は、約22〜28ミクロンである。他の幾つかの好ましい実施形態では、コアの外側半径は、約28〜34ミクロンである。
【0033】
実施形態によっては、コアは、1.2%以下且つ0.5%を超え、より好ましくは0.8%を超える最大相対屈折率を有する。実施形態によっては、コアは、1.1%以下且つ0.9%を超える最大相対屈折率を有する。
【0034】
実施形態によっては、光ファイバは、800〜1400nmのあらゆる波長において、1.0dB以下、好ましくは0.6dB以下、より好ましくは0.4dB以下、更により好ましくは0.2dB以下、更により好ましくは0.1dB以下の1ターン10mm直径マンドレル減衰率増加分を示す。
【0035】
ファイバ曲げ角度及び曲げ直径
図2Bは、曲げ部が形成されたナノ構造ファイバ12の形態をした例示の曲げ不敏感性光ファイバの曲げ角度θB及び曲げ直径DBを示す略図である。曲げ直径DBは、曲げ半径RBの2倍である。2つの矢印AR1,AR2は、曲げ部Bの各側における光ファイバ12の相対的な向き(方向)を表わしている。曲げ角度θBは、図2Bの左側に示されているように矢印AR1,AR2の交点によって定められる。光ファイバは部分的に、曲げ部の前後において必ずしも完全に真っ直ぐのままであるとは限らないので、曲げ角度θBは、正確ではないが、ナノ構造ファイバ12が曲げられる程度を概述する有用な近似として役立つ。
【0036】
例示の実施形態では、本発明において用いられる曲げ不敏感性光ファイバは、曲げ直径DBが10mmという小さい曲げ部Bのような曲げ部を有する。これにより、幾分かは、本発明のパッチパネルモジュールを比較的コンパクトに作ることができると共にパッチパネル組立体が比較的高密度のパッチパネルモジュールを収容し、光結合関係を確立するための高密度のジャッキ及びポートを収容することができる。
【0037】
以下の説明において、便宜上、参照符号12は、曲げ不敏感性ファイバを包括して示すために用いられており、曲げ不敏感性光ファイバケーブルによって支持された曲げ不敏感性「ケーブルファイバ」は、参照符号12Jで示されている曲げ不敏感性「ジャンパファイバ」との区別のために参照符号12Cで示されている。
【0038】
形状係数減少型パッチパネルモジュール
図3Aは、「形状係数減少型」パッチパネルモジュール50の例示の実施形態の斜視図であり、このパッチパネルモジュール50は、内部58を備えた実質的に長方形のモジュールハウジング56を有し、このパッチパネルモジュール50は、標準型パッチパネルモジュールと比較して形状係数が小さい。モジュールハウジング56は、第1の傾斜壁部分62及び第2の傾斜壁部分64によって形成されている少なくとも1つのV字形凹み61を備えた後側壁60を有している。壁部分62は、1本又は2本以上のケーブルファイバ12Cを支持した曲げ不敏感性光ファイバケーブル(「ケーブル」)70をハウジングに接続することができるようにする孔(図示せず)を有し、その結果、ケーブルファイバを図3Bに示すように内部58内に導入することができるようになっている。例示の実施形態では、ケーブル70は、12本若しくは24本のバッファ付きケーブルファイバ12(例えば、500μm又は900μmの直径を有する)か、250μm直径の裸ファイバかのいずれかを有する。ケーブル70は、好ましくは、ファイバを壁部分62のところのその接続箇所のところで支持するブーツ72を有する。
【0039】
ハウジング56は、前部パネル80を更に有し、前部パネル80は、多数(例えば、12個)の互いに間隔をおいた孔(図示せず)を有し、これら孔は、これに対応した数(例えば、12個)のジャッキ90を保持している。前部パネルは、それぞれの端部82を更に有し、端部82は、モジュール50をパネル取付けフレームに取り付けるための取付け穴84を有し、これについては以下に紹介して詳細に説明する。図3Cは、図3A及び図3Bと同様であるが、内部58を包囲したカバー57を有するハウジング56を示している。
【0040】
各ジャッキ90は、前側96が開口し、ジャンパファイバ12Jのコネクタ接続端部13Jを受け入れるよう形作られた1つ又は2つのポート92を備えている。各ジャッキ90は、後側ポート98を更に有し、曲げ不敏感性光ファイバケーブル70からの1本又は2本以上のケーブルファイバ12Cが後側ポート98に取り付けられている。例示の実施形態では、モジュール50は、図示のように2つの列をなした6つのジャッキ90を有している。例示の実施形態に続き、1本又は2本のケーブルファイバ12Cが、図3Bに示されているように、後側ポート98のところで各ジャッキに接続されている(即ち、各ポート92について1本のケーブルファイバ)。
【0041】
ケーブルファイバ12Cが曲げ不敏感性であるので、ケーブルファイバ12Cは、これらケーブルファイバが後側ポート98のところでジャッキ90に接続されるよう内部58の狭い空間内に嵌まり込むことができるようにする急な曲がり部を有し、又そうであるのが良い。また、内部58内に曲げ不敏感性ケーブルファイバ12Cを用いることにより、モジュールハウジング56は、減少した寸法、及び減少した形状係数を有することができる。例示の実施形態では、ハウジング56は、長さL1が4.62インチ(11.73cm)、幅W1が1.295インチ(3.29cm)、深さD1が約2インチ(5.08cm)〜約3インチ(7.62cm)、例えば2.36インチ(5.99cm)の寸法を有する。深さD1は、対応の先行技術のパッチパネルモジュールの深さのほぼ半分であるということができるので、内部58の容積は、先行技術と比較してほぼ40%減少している。これにより、より高い密度のポート92を標準サイズのパッチパネル組立体中に支持することができる。
【0042】
曲げ不敏感性ケーブルファイバ12Cは又、後側壁60に対して角度をなしてパッチパネルモジュール50への1本又は2本のケーブル70の接続を容易にする。この傾斜接続により、以下に詳細に説明するように、パッチパネル組立体内へのパッチパネルモジュール50の高密度配置が容易になる。例示の実施形態では、後側壁60の法線Nに対してケーブル70のなす角度θは、図3Cに示されているように、約60°〜70°である。例示の実施形態では、1つ又は2つのV字形凹み61が、内部58の容積を更に一層減少させるのに役立っていることに注目されたい。内部容積のこの追加の減少は、曲げ不敏感性ケーブルファイバ12Cの使用によっても可能になっている。
【0043】
取付けフレーム型パッチパネル組立体
図4は、取付けフレーム型パッチパネル組立体150の例示の実施形態の斜視図である。例示の実施形態では、パッチパネル組立体150は、少なくとも12個のパッチパネルモジュール50を比較的高密度で且つ実質的に垂直な形態で保持するよう構成されている。標準型4U棚には、12個のパッチパネルモジュール50がぎっしりと配置され、状態で、144個のデュプレックスジャッキ又は288個のポートが設けられている。図4の例示のパッチパネル組立体150は、ポート92が全部で576個の場合、2つの列をなす288個のデュプレックスジャッキ90を有する。これは、144個のポート/Uの「ポート/U」密度である。というのは、パッチパネル組立体は、標準型“4U”棚であると見なされるからである。3つの取付けフレーム210を備えた「3列」実施形態は、ポート密度が50%増加し又は216個のポート/Uを有し、このことは、288本のファイバを支持した標準型パッチパネル組立体と比べ、パッチパネル組立体150によって864本の個々のファイバが支持されることを意味している。例示の実施形態では、ポート密度は、PDによって与えられ、次式、即ち、72個のポート/U<PD≦216個のポート/Uによって定められた範囲内にある。
【0044】
パッチパネル組立体150は、長方形の箱状ハウジング152を有し、このハウジングは、頂部(トップ)154、底部(ボトム)155、前部(フロント)156及び後部(バック)パネル又は壁157を有している。ハウジング152は、後部パネル157に連結された互いに間隔をおいて位置する側壁160を有している。各側壁160は、内面162、外面164、前縁部166及びこれと反対側の後縁部167を有している。ハウジング152は、好ましくは、側壁前縁部166のところ又はその近くで側壁外面164に設けられた外方に延びる取付けフランジ168を有する。
【0045】
例示の実施形態では、ハウジング152は、長さL2=17インチ(43.18cm)(約10U)、高さH2=6.88インチ(17.48cm)(約4U)及び深さD2=15.51インチ(39.40cm)(約9U)(図7参照)の標準寸法を有し、従って、パッチパネル組立体150は、EIA‐310‐D(キャビネット、ラック、パネル及び関連機器)により特定される通信システム(例えば、データセンタ等に存在する)に用いられる「標準サイズ19」機器ラック内に収納されるようになっている。
【0046】
例示の実施形態では、ハウジング152は、平らな棚182を有し、この棚は、前部156のところ且つハウジング底部155のところで側壁160を互いに連結し、この棚は、前部156のところで側壁前縁部166を越えて延びている。棚182は、上面183、前側の端部(前端部)184及び後側の端部(後端部)185を有している。例示の実施形態では、前端部184は、少なくとも1つのヒンジ196を有し、このヒンジは、前部156のところでフロントカバー190をフレーム152に取り付けており、その結果、フロントカバーが下方に折り畳まれるようになっている。フロントカバー190は、内面192及び外面194を有している。例示の実施形態では、フロントカバー190は、透明である。フロントカバーは、オプションとして、クリップ板199の縁部199Eに係合するよう構成されたクリップ197を有し、このクリップ板は、内部取付けフレーム210Iに連結されると共に前側取付け板210F上に延びている。
【0047】
側壁160、後部パネル157及びフロントカバー180は、ハウジング頂部154のところが実質的に開口したハウジング内部領域200を画定している。ハウジング152は、少なくとも2つの取付けフレーム210を有し、このハウジングは、好ましくは、フロント取付けフレーム210F及びフロント取付けフレームの後ろに位置すると共に内部領域200を跨いだ少なくとも1つの内部取付けフレーム210Iを有している。各取付けフレーム210は、底縁部211、前側部又は前「面」212及び後側部又は後「面」214及び互いに反対側の端部216を有している。例示の実施形態では、取付けフレーム210は、互いに反対側の端部216のところで側壁160(例えば、内面162のところで)に連結されている。例示の実施形態では、フロント取付けフレーム210Fは、前縁部166に取り付けられている。取付けフレーム210は、内部領域を内部小領域201に分割するのに役立っている。
【0048】
各取付けフレーム前面212は、取付け面を備え、この取付け面は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上(例えば、好ましくは10〜12個)のパッチパネルモジュール50を例えばねじ山付き穴218のところで取付け面に取り付けることができるよう構成されており、ねじ山付き穴218は、パッチパネルモジュール50の取付け穴84に対応するよう構成されている。図5に示された例示の実施形態では、取付けフレーム210のうち1つ又は2つ以上は、2つの部分220で構成され、各部分は、これら部分を外方に揺動させることができるそれぞれのヒンジ224を介してそれぞれの側壁160に連結されている。図5では、フロント取付けフレーム210Fは、2つの部分で構成されているものとして図示されている。この幾何学的形状により、別の取付けパネルのすぐ後ろに位置する取付けパネル210への接近が可能である。変形実施形態では、取付けフレーム210の1つ又は2つ以上は、1つ又は2つ以上のヒンジ224により一方の側部がヒンジ留めされており、その結果、ヒンジ留めされた取付けフレーム全体は、ドアのように揺動して開くようになっている。
【0049】
図6は、パッチパネル組立体150の例示の実施形態を示しており、フロント取付けフレーム210Fは、ヒンジ224を介して横部材182の後端部185に取り付けられ、このようなヒンジにより、フロント取付けフレームは、下方に折り畳み可能である。この構成により、内部取付けフレーム210I及びこれによって支持されたパッチパネルモジュール50への接近が可能であり、パッチパネルモジュール50は、フロント取付けフレームのすぐ後ろに位置している。この構成によっても、フロント取付けフレーム210Fに取り付けられたパッチパネルモジュール50に接続されているケーブル70(図示せず)への容易な接近が可能である。図5及び図6に示されている例示の実施形態は、1つの内部取付けフレーム210Iを有し、2つ又は3つ以上の内部取付けフレームも又使用可能である。
【0050】
例示の実施形態では、後部パネル157は、隣接の内部取付けフレーム210I内に設けられたパッチパネルモジュール50への接近を可能にするために前側取付けパネル210Iと同じ仕方でヒンジ留めされている。
【0051】
図7は、図4に示されたパッチパネル組立体に類似した例示のパッチパネル組立体の斜視図であるが、図7に示されている例示の実施形態では、後部パネル157は、リヤ取付けフレーム210Rの形態をしており、このリヤ取付けフレームは、1つ又は2つ以上(例えば、1〜12個)の後方に向いたパッチパネルモジュール50を支持する後方に向いた取付け面214Rを備えている。例示の実施形態では、リヤ取付けフレーム210Rは、上述すると共に以下に説明するようにフロント取付けフレーム210Fと同様にヒンジ留め構成の1つとして構成されている。
【0052】
例示の実施形態では、取付けフレーム210は、少なくとも1つのパッチパネルモジュール50を支持するよう構成されており、好ましくは、10〜12個の嵩を小さくした(嵩減少型)パッチパネルモジュールを支持するよう構成されている。
【0053】
ケーブル引き回しのためのヒンジ組立体
本発明の態様は、取付けフレーム型パッチパネル組立体150へのケーブル70の引き回し及びこれからのケーブル70の引き回し並びにパッチパネル組立体内におけるケーブル(ケーブルファイバ12Cを含む)の分配又は配線の管理に関する。
【0054】
例示の実施形態では、ハウジング内部領域200内及びパッチパネル50相互間におけるケーブル70及び(又は)ケーブルファイバ12Cの引き回しは、フロント取付けフレーム210Fに専用のヒンジ組立体224を設けることによって容易になる。図8Aは、フロント取付けフレーム210F及びハウジング部分152Pの例示の実施形態の分解組立て斜視図である。フロント取付けフレーム210Fは、前面212Fに設けられ、パッチパネルモジュール50の取り付けのための多くの取付け孔213Fを有している。フロント取付けフレーム210Fは、フロント取付けフレーム端部216の一方に湾曲した内側ヒンジ部分224Iを有している。湾曲内側ヒンジ部分224Iは、垂直に整列した穴223Hが形成されている頂面及び底面223を有している。
【0055】
ハウジング部分152Pは、フロント取付けフレーム210Fとハウジング部分152Pを連結すると、湾曲内側ヒンジ部分224Iを部分的に包囲するよう構成された湾曲外側ヒンジ部分224Oを有している。湾曲外側ヒンジ部分224Oは、垂直に整列した穴225Hが形成された頂面及び底面215を有している。
【0056】
フロント取付けフレーム210Fとハウジング部分152Pは互いに結合されて湾曲内側部分224Iが湾曲外側部分224O内に嵌まり込むと共に穴223H,225Hが互いに整列するようになっている。次に、ヒンジピンPHを整列状態の穴223H,225Hに通して湾曲内側ヒンジ部分224I及び湾曲外側ヒンジ部分224Oを定位置に作動的に固定してヒンジ組立体224を形成し、この場合、湾曲内側ヒンジ部分は、湾曲外側ヒンジ部分内で回転する一方で、取付けフレーム210Fをハウジング部分152Pに連結するのにも役立っている。
【0057】
図8Bは、図8Aの湾曲内側及び外側ヒンジ部分224I,224Oから形成されたヒンジ組立体224の例示の実施形態の断面拡大図である。湾曲内側及び外側ヒンジ部分224I,224Oの凹状側部は、ヒンジ内部空間224Sを画定し、このヒンジ内部空間は、ハウジング内部領域200に加わっている、即ち、その一部となっている。ヒンジ内部空間224Sは、ヒンジ組立体224が図8Bに示されているように開放位置にあるか、フロント取付けフレーム210Fが揺動して開かれた状態の開放位置にあるかのいずれかであるとき、ケーブル70を挿通させる導管としての役目を果たす。ヒンジ組立体224は、ヒンジ内部空間224Sを通って延びているケーブル70の部分をはさみつぶすことなくフロント取付けフレーム210Fの開閉を可能にする。例示の実施形態では、ヒンジ組立体224は、表面215に設けられ、フロント取付けフレーム210Fの回転を容易にするブッシュ(図示せず)を有するのが良い。ヒンジ組立体224は、ブッシュに嵌まり込み、ヒンジの滑らかで摩擦が減少した作動を容易にするようヒンジピンPHを受け入れる中央円筒形溝形材(図示せず)を更に有するのが良い。
【0058】
ケーブル配線箱
図9Aは、ケーブル配線箱又は「スタッフボックス」300の例示の実施形態の斜視図である。ケーブル配線箱300は、ケーブル70を受け入れ、これらケーブルを以下に説明するように1つ又は2つ以上のパッチパネルモジュール50に分配するよう構成されている。ケーブル配線箱300は、複数本のケーブル70を挿通させるよう寸法決めされた少なくとも1つの孔304が形成されている側部302を有している。ケーブル配線箱300は、実質的に開いた頂側部306及び前側部308を更に有し、前側部308は、対応のパッチパネルモジュール50と整列するよう構成された複数個のV字形孔310を備えている。ケーブル配線箱300は、余長を含む多数本の曲げ不敏感性光ファイバケーブル70を収容するよう寸法決めされた内部領域又はチャンバ314を更に有している。
【0059】
例示の実施形態では、開いた頂側の側部306は、ケーブル70が巻き出ることがないようにするのに役立つ一方で、内部領域314内で巻回されると共に収納されたケーブルの部分への容易な接近を可能にする内方に延びる可撓性タブ312を有している。例示の実施形態では、ケーブル配線箱300は、ポリマー、プラスチック又は板金で作られている。
【0060】
図9Bは、パッチパネルモジュール50を支持した取付けフレーム210の後ろでパッチパネル組立体150内に配置された例示のケーブル配線箱300の拡大斜視図である。多数本のケーブル70が、側部302に設けられた孔304を通ってチャンバ314に入った状態で示されており、ケーブルの一部分は、内部領域内にループ状になって収納されている。ケーブル70の何本かは、前側孔310の2つを通ってケーブル配線箱300から出た状態で示され、これらケーブルを隣りの2つのパッチパネルモジュール50の後側60に接続できるようになっている。例示の実施形態では、ケーブル配線箱300は、例えば底部155のところでパッチパネル組立体150に固定され又は側壁160の一方に固定されている。
【0061】
図9Cは、ケーブル配線箱が多数のチャンバ314を有し、前側孔310が設けられておらず、チャンバ1つ当たり2つの端部孔304が設けられていることを除き、図9Aのケーブル配線箱と同じケーブル配線箱300の例示の実施形態の斜視図である。
【0062】
ヒンジ組立体及びケーブル配線箱を備えたパッチパネル組立体
図10Aは、図8Bのヒンジ組立体224並びに後壁157に隣接して配置された図9Aのケーブル配線箱300を有する取付けフレーム型パッチパネル組立体150の例示の実施形態の平面図である。パッチパネル組立体150は、棚の上面183に設けられ、1本又は2本以上のケーブルファイバ12C又はジャンパケーブル12Jを棚上面上に案内すると共に(或いは)保持するよう構成された1つ又は2つ以上のクリップ187を有している(ジャンパケーブル12Jが、説明のために図示されている)。
【0063】
ケーブル配線箱300内に部分的に収納されたケーブル70の何本かは、それぞれのパッチパネルモジュール後側60のところで内部取付けフレーム210Iのパッチパネルモジュール50に接続されている。矢印A70で示されているように、他のケーブル70は、底部155に沿って内部取付けフレーム210Iの下に引き回され、そしてヒンジ組立体224を通ってフロント取付けフレーム210F内に収納されたパッチパネルモジュール50の後側60に引き回されている。例示の実施形態では、フロアパネルFPが、底部パネル155に隣接して配置され、これは、1本又は2本以上のケーブル70の引き回しに対応するよう寸法決めされた内部200の小領域323を構成する「偽フロア」を形成している。
【0064】
図10Bは、図10Aに類似した平面図であり、ケーブルファイバ12C(又はジャンパファイバ12J)がパッチパネル組立体150を支持したラックフレーム506からフロント取付けフレーム210F及び内部取付けフレーム210I上のパッチパネルモジュール50に設けられているポート90までどのように引き回されているかの例示の実施形態を示している。図10Aを参照して上述したように、ケーブルファイバ12C又はジャンパファイバ12Jの何本かは、1つ又は2つ以上のクリップ187を用いて棚上面183上に保持されている。側壁160には孔160Aが形成され、このような孔により、主要(例えば、幹線)ケーブル(図示されていないが、図18A〜図18Cを参照されたい)からのケーブルファイバ12Cをラックフレーム506から内部領域200内に引き回すことができる。
【0065】
引出し型パッチパネル組立体
図11A〜図11Dは、ラック組立体500内に保持されたパッチパネル(引出し)組立体150の例示の実施形態の上下切除斜視図である。パッチパネル組立体150は、1つ又は2つ以上のパッチパネルモジュール50を高密度で実質的に水平の形態に保持するよう構成された引出し270を有し、ジャッキ90は、上方に向いているが、好ましくは、引出しの前部に向かって傾斜している。図11A〜図11Cは、ハウジング152から引き出された引出し270を示し、図11Dは、ハウジング内に滑り込んだ状態の引出しを示している。
【0066】
パッチパネル組立体150のハウジング152は、頂部パネル240及び底部パネル242を有し、前部156のところが開いている。一方又は両方の側壁160は、1本又は2本以上の曲げ不敏感性ケーブルファイバ12Cを挿通させるよう寸法決めされた1つ又は2つ以上の孔250を有している。一方又は両方の側壁160は、以下に詳細に説明するように、1本又は2本以上のジャンパファイバ12Jを挿通させるよう寸法決めされた1つ又は2つ以上の孔256を更に有している。ハウジング152は、長さL3=17インチ(43.18cm)(約10U)、幅H3=3.5インチ(8.89cm)(2U)及び深さD3=16.1インチ(40.89cm)(約9U)の寸法を有している(図12参照)。
【0067】
引き続き図11A〜図11Dを参照すると、引出し270は、内部200内に隙間嵌め関係をなすと共に底部パネル242上で滑ってこれから出入りするよう構成されている。例示の実施形態では、引出し270は、前端部276、後端部278及び互いに反対側の側縁部280を備えたフロアパネル274を有している。フロアパネル274は、ジャッキ90が引出し270の前部に向かって角度をなして上方に向いた状態で、1つ又は2つ以上の列をなすと共に水平の形態に配置された嵩減少型パッチパネルモジュール50のアレイを支持している。この場合、引出し270は、上述したような垂直に差し向けられるモジュールフレーム210を不要にしている。この形態に用いるのに適した例示のパッチパネルモジュール50について以下に詳細に説明する。パッチパネルモジュール50の後側の壁60は、フロアパネル274上で下に向いていることに注目されたい。
【0068】
例示の実施形態では、各パッチパネルモジュール50は、各々が1つ又は2つのポート92を備えた6つのジャッキ90を有している。さらに、図11Dに示されているような例示の実施形態では、パッチパネルモジュール50のアレイは、全部で36個のモジュールの場合、2つの列をなす18個のモジュール、及び216個のジャッキ90及び、ジャッキが単一ポート又はデュアルポートかに応じて216又は432個のポート92で構成されている。例示の実施形態では、引出し型パッチパネル組立体150は、216個のポート/U〜432個のポート/Uを提供する。ジャッキ90は、垂線に対して角度をなしてパッチパネルモジュール50上に設けられると共に引出し270の前部に向かって傾斜している。
【0069】
例示の実施形態では、ハウジング組立体150は、パッチパネルモジュール50の後ろでフロアパネル274の後端部278の近くに配置されたケーブル配線箱300を更に有している。上述したように、ケーブル配線箱300は、曲げ不敏感性光ファイバケーブル70を受け入れると共にこれら光ファイバケーブルをパッチパネルモジュール50に分配した状態でこれら光ファイバケーブルの一部分を収納するよう構成されている。
【0070】
図11Bに最も良く示されている例示の実施形態では、ハウジング底部パネル242は、ハウジング孔250からハウジング内部200に入ったケーブル70を案内するよう構成された少なくとも1つのケーブルガイド350を有している。例示の実施形態では、ケーブルガイド350は、少なくとも1つの案内部材356を有する。例示の実施形態では、案内部材356は、側部362を備えたトレー部分360を有している。案内部材356は、ケーブル70の1本又は2本以上を収納する開いたトンネル状チャネル360を形成するようそれぞれの側部に連結された多数の互いに間隔をおいた収納部材366を更に有するのが良い。案内部材356の一端部は、孔250のところ又はその近くに配置され、他端部は、引出しフロアパネル274の後端部278に設けられている。
【0071】
例示の実施形態では、ケーブルガイド350は、2つの関節連結されると共に湾曲した案内部材356を有し、これら案内部材は、引出し270を閉めると、畳み込まれて積み重ね状態でハウジング後部パネル157に位置し、引出しを開けると、畳まれていた状態から広がって又は伸長してハウジング側壁160の近くに位置する。この畳み動作は、案内部材356内に保持されている光ファイバケーブルの分配又は配線及び曲げを制御するのに役立つ。例示の実施形態では、一方の案内部材356は、他方とは異なる高さ位置に(例えば、低い高さ位置に)配置され、その結果、これら2つを図11Dに示されているように互いに畳むと、低い方の案内部材が高い方の案内部材の下を通るようになる。
【0072】
図12は、パッチパネル組立体150の背面側斜視図であり、この場合、この組立体は、パッチパネルモジュール50を覆っている引出しカバー390を有し、引出しは、開き位置で示されている。また、図12には、ハウジング152についての寸法L3,H3,D3が示されている。
【0073】
引出し型パッチパネル組立体用のパッチパネルモジュール
図13A及び図13Bは、図11A〜図11Dの引出し型パッチパネル組立体に用いるのに適したパッチパネルモジュール50の例示の実施形態の斜視図である。上述した図3A及び図3Bのパッチパネルモジュール50と同様、この例示の実施形態のパッチパネルモジュール50は、ハウジング56、後側60及びポート92を備えたジャッキ90を有している。しかしながら、例示の実施形態では、ハウジング56の寸法として、長さL4は4インチ(10.16cm)、幅W4は0.67インチ(1.70cm)、深さH4は約0.75インチ(1.91cm)〜1.25インチ(3.18cm)であり、好ましくは約1インチ(2.54cm)(例えば、1.06インチ(2.69cm))である。図11A〜図11Dのパッチパネルモジュール50も又、「減少した形状係数」を有している。
【0074】
この例示の実施形態のパッチパネルモジュール50は、傾斜したフェーセット405を備えた前部404及び端部406,407を有している。各ジャッキ90は、傾斜したフェーセット405上に設けられると共に端部407から傾斜して遠ざかっている。図13Bは、ジャッキ90の後側ポート98に取り付けられた曲げ不敏感性光ファイバケーブル70からのケーブルファイバ12Cを示している。
【0075】
パッチパネルモジュールは、後側の壁60に形成されると共に後側60がフロアパネル274に当ててパッチパネルモジュール50が配置されたときにケーブル70を受け入れるよう寸法決めされた開放チャネル420を有している。図13Cは、フロアパネルが透明である場合に、フロアパネル274を通して見ることにより見えるパッチパネルモジュール50の後側60の図である。図13A及び図13Bのパッチパネルモジュール50に取り付けられたケーブル70はハウジング56の端部407を経てそのようになっていることに注目されたい。
【0076】
図14は、引出しフロアパネル274上に配置された図13Aのパッチパネルモジュール50のアレイの拡大図である。ジャンパファイバ12Jは、ジャッキ90の1つに接続された状態で示されている。また、ケーブル70は、後側の列のパッチパネルモジュール50の1つの下を通り、チャネル420を経て前側の列のパッチパネルモジュールの対応の端部407まで延びている状態で示されている。ケーブル70からのケーブルファイバ12Cは、パッチパネルモジュールの1つの中に納められると共にジャッキ90の後側ポート98(図13B参照)に接続された状態で示されている。
【0077】
図15Aは、引出し270及び図13Aのパッチパネルモジュール50のアレイの拡大側面図であり、ケーブル70がケーブル配線箱300から後側の列のパッチパネルモジュール50の下を通って前側の列のパッチパネルモジュールまでどのように延びているかを詳細に示している。他のケーブル70は、それぞれのハウジング端部407のところで後側の列のパッチパネルモジュール50に直接取り付けられている。
【0078】
図15Bは、隣り合う後側の列と前側の列のパッチパネルモジュール50の拡大図であり、図15Cは、後側の列のパッチパネルモジュール50及びケーブル配線箱300の拡大図である。これらの図は、後側の列及び前側の列のパッチパネルモジュール50へのそれぞれのケーブル70の引き回し状態を示している。図15Bでは、ケーブル70は、チャネル420を通って引き回されて側部406のところで出ている。このケーブル70は、次に、側部407のところで隣接のパッチパネルモジュール50に接続されている。図15Cでは、ケーブル70は、ケーブル配線箱300に設けられた孔310から出て、隣接のパッチパネルモジュール50の端部407に接続されており、孔310からの別のケーブル70は、同一のパッチパネルモジュール50のチャネル420を通って引き回されている。
【0079】
ラック組立体
本発明の態様は、上述の引出し型パッチパネル組立体か取付けフレーム型パッチパネル組立体かのいずれかを収容したラック組立体に関する。パッチパネル組立体150のこれら形式の両方は好ましくは、標準型4U構成を有しているので、両方とも同一のラック組立体内に収容できる。
【0080】
図16は、多くの引出し型パッチパネル組立体150を積み重ね状態で収容したラック組立体500の例示の実施形態の正面側斜視図である。ラック組立体500は、垂直のサイドバー510,512及びこれらサイドバーをフレームの頂部のところで互いに連結した頂部水平クロスバー(図示せず)を備えたラックフレーム506を有している。垂直サイドバー510,512には好ましくは、フレーム506内でのケーブルの引き回しを容易にするよう寸法決めされた孔507が形成されている。フレーム506は、前側518及び後側520を有している。フレーム506は、サイドバー510,512が取り付けられ、フレームのための立設支持体を提供するのに役立つ平らなベース(図示せず)を有する。フレーム組立体は、オプションとして、フレーム組立体内におけるケーブルの引き回しを容易にするよう垂直のサイドバー510,512の一方又はこれら両方に取り付けられたケーブルガイド513を有している。
【0081】
好ましい実施形態では、ラック組立体500は、内側の幅が17.75インチ(45.09cm)の標準型19インチ(48.26cm)機器ラックを有し、オンセンターレールの穴の対は、ラックの前側では18.3インチ(46.48cm)だけ離隔されると共に標準の1.75インチ(4.45cm)増分によって分割され、各増分は、短いものについては「単位」又は“U”と呼ばれ、3つの完全な穴の対が設けられている。フレーム506は、パッチパネル組立体150が納められた内部領域530を備えている。引出し型パッチパネル組立体150の引出し270は、好ましくは、取っ手550を有する。
【0082】
図17は、図16のラック組立体に類似したラック組立体500の例示の実施形態の正面側斜視図であるが、機器ラック組立体500内に積み重ね状態で収容された多くの取付けフレーム型パッチパネル組立体150を示している。
【0083】
サイドバー510,512の内面は、パッチパネル組立体150をサイドバー相互間で、図示のようにフレーム内部領域530内に積み重ね状態で配置できるよう構成されている。例示の一実施形態では、サイドバー510,512の内面は、滑らかであり、別の例示の実施形態では、サイドバーは、フレーム506内でのハウジング組立体150の積み重ね及び支持を容易にする案内タブ(図示せず)を有する。例示の実施形態では、サイドバー510,512は、パッチパネル組立体の前側部分及び後側部分が図16及び図17に示されているように、フレーム506の前側部518及び後側部520から突き出るよう構成されている。
【0084】
図18Aは、図10Aに示された単一の取付けフレーム型パッチパネル組立体に類似した単一の取付けフレーム型パッチパネル組立体150を支持した状態で示されたラック組立体500の一部分の例示の実施形態の背面側立面斜視図である。ラック組立体500は、複数本の光ファイバ、例えばケーブル70を支持した主要(例えば、幹線)ケーブル602を有している。例示の実施形態では、主要ケーブル602は、ファンアウト部分620に通じるブーツ610を有している。主要ケーブル620のケーブル70は、次に、ハウジング側部160のところで複数個のコネクタポート626に接続される。この実施形態では、「外部」ケーブル70は、コネクタポート626のところでパッチパネル組立体150の「内部」ケーブル70に接続されている。内部ケーブル70は、コネクタポート626に接続可能なコネクタ接続端部73を有するものとして示されている。内部ケーブル70は、ケーブル配線箱300を通って引き回される。数本の内部ケーブル70が、内部取付けフレーム210I内に収納されたパッチパネルモジュール50の後側60に接続されている。他の内部ケーブルは、フロント取付けフレーム210Fに設けられているパッチパネルモジュールまで引き回され、このフロント取付けフレーム210Fは、開き位置で示されている。例示の実施形態では、フロント取付けフレーム210Fは、底縁部211から内部領域200に向かって内方に延びる案内棚215を有している。案内棚215は、フロント取付けフレーム210F内に収納されたパッチパネルモジュール50まで引き回されているケーブル70を案内すると共に(或いは)保持するよう構成されている。例示の実施形態では、案内棚215は、ケーブル70を案内棚上に案内すると共に(或いは)保持するのに役立つクリップ185を有している。この場合も又注目されるべきこととして、図18Bでは、ケーブル70,12Cは、同一形式のケーブル、例えばパッチケーブル又はジャンパケーブル(12J)であるのが良い。
【0085】
図18Bは、図18Aのラック組立体500の別の背面側立面斜視図であるが、反対側の位置から見たものであって、後壁175は、定位置に位置している。ケーブルファイバ12C(これらは、ジャンパケーブル12Jであっても良い)及び主要ケーブル602の束は、隣接のラックフレーム506(図10B参照)に設けられている孔507を通って引き回されている状態で示されている。
【0086】
図18Cは、図18A及び図18Bのラック組立体500の正面側立面斜視図であり、ケーブルファイバ12C(又はジャンパファイバ12J)がフロント取付けフレーム210F及び中間取付けフレーム210I上のパッチパネル組立体50までどのように引き回されているかの詳細を示している。横部材182に設けられているクリップ185は、ラックフレーム506からのケーブルファイバ12C又はジャンパファイバ12Jをフロント取付けフレーム210Fにより支持されているパッチパネル組立体50まで案内するために用いられる。クリップ185は又、ラックフレーム506からのケーブルファイバ12C又はジャンパファイバ12Jを内部取付けフレーム210Iによって支持されたパッチパネルモジュール50まで案内するのを助けるようフロント取付けフレーム210Fと内部取付けフレーム210Iとの間に設けられている。
【0087】
当業者には明らかなように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の種々の改造例及び変形例を想到できる。本発明は、本発明のこのような改造例及び変形例が特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及びその均等範囲に属することを条件として、これら改造例及び変形例を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ不敏感性光ファイバケーブルを用いて光結合を行う通信データセンタ用のパッチパネル組立体であって、
内部領域、前側部、及び後側部を備え、標準型通信ラックによって動作可能に支持されるよう寸法決めされた長方形の箱状ハウジングと、
フロント取付けフレーム及び少なくとも1つの内部取付けフレームとを有し、前記取付けフレームは、少なくとも1つの形状係数減少型パッチパネルモジュールを支持するよう構成されている、
ことを特徴とするパッチパネル組立体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの形状係数減少型パッチパネルモジュールは、複数個のジャッキ及び内部を有し、前記ジャッキは、前記モジュール内部内に少なくとも部分的に収納された複数本の曲げ不敏感性光ファイバに接続されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項3】
前記1つ又は2つ以上の形状係数減少型パッチパネルモジュールは、約2インチ(5.08cm)〜約3インチ(7.62cm)の深さ寸法を有する、
請求項2記載のパッチパネル組立体。
【請求項4】
前記フロント取付けフレームは、隣接の内部取付けフレームへの接近を可能にするよう前記ハウジングから外方に揺動する2つの部分を有する、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項5】
前記フロント取付けフレームは、隣接の少なくとも1つの前記内部取付けフレームへの接近を可能にするよう、外方、下方、および上方のいずれかに揺動するよう構成されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項6】
前記フロント取付けフレームに隣接して前記前側部に配置されると共に前記前側部から間隔をおいて位置するフロントカバーを更に有し、前記フロントカバーは、前記フロント取付けフレームへの接近を可能にするよう外方か下方か上方かのいずれかに揺動するよう構成されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項7】
前記内部取付けフレームの1つは、少なくとも1つのパッチパネルモジュールを支持するよう構成されている後方に向いた実質的に垂直の取付け面を備えた最も後側の取付けフレームである、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項8】
前記最も後側の取付けフレームは、隣接の内部取付けフレームへの接近を可能にするために開くよう構成されている、
請求項7記載のパッチパネル組立体。
【請求項9】
各取付けフレームは、深さ寸法が約2インチ(5.08cm)〜約3インチ(7.62cm)の10個〜12個のパッチパネルモジュールを支持するよう構成されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項10】
前記フロント取付けフレームは、ヒンジ組立体を介して前記ハウジングに作動的に連結され、前記ヒンジ組立体は、前記内部領域に向かって開口すると共に光ファイバ及び(又は)光ファイバケーブルを挿通状態で引き回すことができるよう寸法決めされた空間を構成している、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項11】
前記ヒンジ組立体は、前記フロント取付けフレームの端部に形成された内側湾曲部分と、前記ハウジングに形成された外側湾曲部分とを有し、前記フロント取付けフレーム及び前記ハウジングは、前記内側湾曲部分が前記外側湾曲部分内で回転可能であるよう作動的に構成されている、
請求項10記載のパッチパネル組立体。
【請求項12】
少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバを収容した少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルと、
少なくとも1つの内部チャンバを備えるケーブル配線箱とを更に有し、前記ケーブル配線箱は、前記少なくとも1つの内部チャンバに開口した孔が形成された端部及び前記少なくとも1つの内部チャンバに開口した多数の孔が形成された前面を有し、前記ケーブル配線箱は、前記ハウジング内部領域内に配置されると共に前記内部チャンバ内に前記少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルの少なくとも一部分を収納している、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項13】
前記少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルは、前記少なくとも1つのパッチパネルモジュールの1つに接続される前に、前記端部の前記孔及び前記前面の前記多数の孔の少なくとも1つを通って延びている、
請求項12記載のパッチパネル組立体。
【請求項14】
前記ハウジングは、底部パネルを有し、前記パッチパネル組立体は、1本又は2本以上の前記曲げ不敏感性光ファイバケーブルの引き回しに対応するよう寸法決めされた内部小領域を構成するよう前記ハウジング領域内で前記底部パネルに隣接して配置されたフロアパネルを更に有する、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項15】
各々が次式、即ち、
72個のポート/U<PD≦216個のポート/U
で定められる範囲内のポート密度PDを提供するよう多数のポートを有する多数のパッチパネルモジュールを有する、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項16】
前記ハウジングは、互いに反対側の側壁を有し、前記パッチパネル組立体は、
前記側壁の少なくとも一方に設けられ、多数本の耐曲げ性光ファイバケーブルを挿通させることができるよう寸法決めされた少なくとも1つの孔を更に有し、
各パッチパネルモジュールは、その後側の壁が対応の前記耐曲げ性光ファイバケーブルに光結合されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項17】
前記フロント取付けフレームに隣接して設けられた外方に延びる前側棚と、
前記前側棚に設けられると共に少なくとも1本の光ファイバケーブルを案内し又は保持するよう構成された少なくとも1つのクリップとを更に有する、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項18】
前記フロント取付けフレームは、底縁部及び前記底縁部から内方に延びるヒンジ留め棚を有し、前記内方に延びる棚は、少なくとも1本の光ファイバケーブルを案内し又は保持するよう構成されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項19】
ラック組立体であって、
複数個のパッチパネル組立体を積み重ね状態で支持するよう構成されたラックフレームと、
前記ラックフレーム内に積み重ね状態で支持された1つ又は2つ以上の請求項1記載のパッチパネル組立体とを有する、
ことを特徴とするラック組立体。
【請求項20】
前記ハウジング内で前記少なくとも1つのパッチパネルモジュールの1つ又は2つ以上に接続された複数本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルを支持した主要ケーブルを更に有する、
請求項19記載のラック組立体。
【請求項21】
パッチパネルモジュールであって、
少なくとも1つの傾斜フェーセットを備えた前側部、これと反対側の後側部、互いに反対側の端部、及び互いに反対側の側壁を備えた実質的に長方形のモジュールハウジングを有し、前記前側部、前記後側部、前記端部及び前記側壁は、内部領域を画定し、
前記少なくとも1つの傾斜フェーセット上に配置された少なくとも1つのジャッキを有し、前記少なくとも1つのジャッキは、1つ又は2つ以上の前側ポートを備え、
前記ハウジングの前記内部領域内に収納された少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバを介して前記少なくとも1つのジャッキに作動的に接続された少なくとも1つの後側ポートを有し、
前記モジュールハウジングの前記後側部に形成され、外部の曲げ不敏感性光ファイバを受け入れるよう寸法決めされた長さ方向開放チャネルを有する、
ことを特徴とする
ことを特徴とするパッチパネルモジュール。
【請求項22】
各々が1つ又は2つのポートを有するジャッキを支持した複数個の傾斜フェーセットを有する、
請求項21記載のパッチパネルモジュール。
【請求項23】
前記ジャッキが傾斜して遠ざかる起点としての前記ハウジングの端部のところで曲げ不敏感性光ファイバケーブルを受け入れるよう構成された、
請求項22記載のパッチパネルモジュール。
【請求項24】
前記後側部から前記前側部まで測定した高さ寸法(H4)を有し、
0.75インチ(1.91cm)≦H4≦1.25インチ(3.18cm)
である、
請求項21記載のパッチパネルモジュール。
【請求項25】
曲げ不敏感性光ファイバケーブルを用いて光結合を行う通信データセンタ用のパッチパネル組立体であって、
内部を画定する互いに反対側の側壁及びバックパネルを備えた長方形の箱状ハウジングを有し、前記ハウジングは、標準型通信ラックによって作動的に支持されるよう寸法決めされ、
前側端部及びフロアパネルを備え、滑って前記ハウジング内部に出入りするよう構成されると共にパッチパネルモジュールのアレイを前記フロアパネル上で実質的に水平の形態で支持するよう構成された引出しを有し、
前記ハウジング内に配置されると共に少なくとも1本の耐曲げ性光ファイバケーブルを案内し、前記引出しが滑って前記ハウジングに出入りすることができるようにするよう動く少なくとも1つの可動ケーブルガイドを有する、
ことを特徴とするパッチパネル組立体。
【請求項26】
前記ケーブルガイドは、引出しを閉めると、畳み込まれて積み重ね状態でハウジング後部パネルに位置し、引出しを開けると、畳まれていた状態から広がってハウジング側壁の近くに位置する2つの関節連結された案内部材を有する、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項27】
前記パッチパネルモジュールのすぐ後ろで前記引出しの後側端部の近くに配置され、複数本の耐曲げ性光ファイバケーブルを受け入れ、前記複数本の耐曲げ性光ファイバケーブルを前記パッチパネルモジュールの1つ又は2つ以上に配線するよう構成されたケーブル配線箱を更に有する、
請求項26記載のパッチパネル組立体。
【請求項28】
前記ケーブル配線箱は、少なくとも1つの内部チャンバを有し、前記ケーブル配線箱は、前記少なくとも1つの内部チャンバに開口した孔が形成されている端部及び前記少なくとも1つの内部チャンバに開口した多数の孔が形成されている前面を有し、前記ケーブル配線箱は、前記ハウジング内部領域内に配置されると共に前記内部チャンバ内に前記少なくとも一本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルの少なくとも一部分を収納している、
請求項27記載のパッチパネル組立体。
【請求項29】
前記側壁の少なくとも一方に形成された少なくとも1つの孔を更に有し、
前記少なくとも1つの孔は、多数本の耐曲げ性光ファイバケーブルを挿通させることができるよう寸法決めされ、各パッチパネルモジュールは、前記少なくとも1つの孔を通って延びる対応の耐曲げ性光ファイバケーブルに光結合されている、
請求項27記載のパッチパネル組立体。
【請求項30】
各パッチパネルモジュールは、前記フロアパネルに当てて配置された後側の壁を有し、前記パッチパネルモジュールは、少なくとも2つの列をなして配置され、前記後側壁には、前記後側壁の長さにわたって延びると共に前記耐曲げ性光ファイバケーブルの1本を収納するよう寸法決めされた開放チャネルが形成されており、前記曲げ不敏感性光ファイバケーブルの1本は、1つのパッチパネルモジュールの下を通ることができ、そして別の列のパッチパネルモジュールに接続可能である、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項31】
前記パッチパネルモジュールのアレイを覆うよう配置されたカバーを更に有する、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項32】
前記ジャッキの少なくとも1つに接続された少なくとも1本のジャンパケーブルを更に有する、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項33】
前記パッチパネルモジュールは各々、約0.75インチ(1.91cm)〜約1.25インチ(3.18cm)の高さ寸法(H4)を有する、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項34】
ラック組立体であって、
複数個のパッチパネル組立体を積み重ね状態で支持するよう構成されたラックフレームと、
前記ラックフレーム内に積み重ね状態で支持された1つ又は2つ以上の請求項23記載のパッチパネル組立体とを有する、
ことを特徴とするラック組立体。
【請求項35】
前記ハウジング内で前記少なくとも1つのパッチパネルモジュールの1つ又は2つ以上に接続されている複数本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルを支持した主要ケーブルを更に有する、
請求項19記載のラック組立体。
【請求項1】
曲げ不敏感性光ファイバケーブルを用いて光結合を行う通信データセンタ用のパッチパネル組立体であって、
内部領域、前側部、及び後側部を備え、標準型通信ラックによって動作可能に支持されるよう寸法決めされた長方形の箱状ハウジングと、
フロント取付けフレーム及び少なくとも1つの内部取付けフレームとを有し、前記取付けフレームは、少なくとも1つの形状係数減少型パッチパネルモジュールを支持するよう構成されている、
ことを特徴とするパッチパネル組立体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの形状係数減少型パッチパネルモジュールは、複数個のジャッキ及び内部を有し、前記ジャッキは、前記モジュール内部内に少なくとも部分的に収納された複数本の曲げ不敏感性光ファイバに接続されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項3】
前記1つ又は2つ以上の形状係数減少型パッチパネルモジュールは、約2インチ(5.08cm)〜約3インチ(7.62cm)の深さ寸法を有する、
請求項2記載のパッチパネル組立体。
【請求項4】
前記フロント取付けフレームは、隣接の内部取付けフレームへの接近を可能にするよう前記ハウジングから外方に揺動する2つの部分を有する、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項5】
前記フロント取付けフレームは、隣接の少なくとも1つの前記内部取付けフレームへの接近を可能にするよう、外方、下方、および上方のいずれかに揺動するよう構成されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項6】
前記フロント取付けフレームに隣接して前記前側部に配置されると共に前記前側部から間隔をおいて位置するフロントカバーを更に有し、前記フロントカバーは、前記フロント取付けフレームへの接近を可能にするよう外方か下方か上方かのいずれかに揺動するよう構成されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項7】
前記内部取付けフレームの1つは、少なくとも1つのパッチパネルモジュールを支持するよう構成されている後方に向いた実質的に垂直の取付け面を備えた最も後側の取付けフレームである、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項8】
前記最も後側の取付けフレームは、隣接の内部取付けフレームへの接近を可能にするために開くよう構成されている、
請求項7記載のパッチパネル組立体。
【請求項9】
各取付けフレームは、深さ寸法が約2インチ(5.08cm)〜約3インチ(7.62cm)の10個〜12個のパッチパネルモジュールを支持するよう構成されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項10】
前記フロント取付けフレームは、ヒンジ組立体を介して前記ハウジングに作動的に連結され、前記ヒンジ組立体は、前記内部領域に向かって開口すると共に光ファイバ及び(又は)光ファイバケーブルを挿通状態で引き回すことができるよう寸法決めされた空間を構成している、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項11】
前記ヒンジ組立体は、前記フロント取付けフレームの端部に形成された内側湾曲部分と、前記ハウジングに形成された外側湾曲部分とを有し、前記フロント取付けフレーム及び前記ハウジングは、前記内側湾曲部分が前記外側湾曲部分内で回転可能であるよう作動的に構成されている、
請求項10記載のパッチパネル組立体。
【請求項12】
少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバを収容した少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルと、
少なくとも1つの内部チャンバを備えるケーブル配線箱とを更に有し、前記ケーブル配線箱は、前記少なくとも1つの内部チャンバに開口した孔が形成された端部及び前記少なくとも1つの内部チャンバに開口した多数の孔が形成された前面を有し、前記ケーブル配線箱は、前記ハウジング内部領域内に配置されると共に前記内部チャンバ内に前記少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルの少なくとも一部分を収納している、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項13】
前記少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルは、前記少なくとも1つのパッチパネルモジュールの1つに接続される前に、前記端部の前記孔及び前記前面の前記多数の孔の少なくとも1つを通って延びている、
請求項12記載のパッチパネル組立体。
【請求項14】
前記ハウジングは、底部パネルを有し、前記パッチパネル組立体は、1本又は2本以上の前記曲げ不敏感性光ファイバケーブルの引き回しに対応するよう寸法決めされた内部小領域を構成するよう前記ハウジング領域内で前記底部パネルに隣接して配置されたフロアパネルを更に有する、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項15】
各々が次式、即ち、
72個のポート/U<PD≦216個のポート/U
で定められる範囲内のポート密度PDを提供するよう多数のポートを有する多数のパッチパネルモジュールを有する、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項16】
前記ハウジングは、互いに反対側の側壁を有し、前記パッチパネル組立体は、
前記側壁の少なくとも一方に設けられ、多数本の耐曲げ性光ファイバケーブルを挿通させることができるよう寸法決めされた少なくとも1つの孔を更に有し、
各パッチパネルモジュールは、その後側の壁が対応の前記耐曲げ性光ファイバケーブルに光結合されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項17】
前記フロント取付けフレームに隣接して設けられた外方に延びる前側棚と、
前記前側棚に設けられると共に少なくとも1本の光ファイバケーブルを案内し又は保持するよう構成された少なくとも1つのクリップとを更に有する、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項18】
前記フロント取付けフレームは、底縁部及び前記底縁部から内方に延びるヒンジ留め棚を有し、前記内方に延びる棚は、少なくとも1本の光ファイバケーブルを案内し又は保持するよう構成されている、
請求項1記載のパッチパネル組立体。
【請求項19】
ラック組立体であって、
複数個のパッチパネル組立体を積み重ね状態で支持するよう構成されたラックフレームと、
前記ラックフレーム内に積み重ね状態で支持された1つ又は2つ以上の請求項1記載のパッチパネル組立体とを有する、
ことを特徴とするラック組立体。
【請求項20】
前記ハウジング内で前記少なくとも1つのパッチパネルモジュールの1つ又は2つ以上に接続された複数本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルを支持した主要ケーブルを更に有する、
請求項19記載のラック組立体。
【請求項21】
パッチパネルモジュールであって、
少なくとも1つの傾斜フェーセットを備えた前側部、これと反対側の後側部、互いに反対側の端部、及び互いに反対側の側壁を備えた実質的に長方形のモジュールハウジングを有し、前記前側部、前記後側部、前記端部及び前記側壁は、内部領域を画定し、
前記少なくとも1つの傾斜フェーセット上に配置された少なくとも1つのジャッキを有し、前記少なくとも1つのジャッキは、1つ又は2つ以上の前側ポートを備え、
前記ハウジングの前記内部領域内に収納された少なくとも1本の曲げ不敏感性光ファイバを介して前記少なくとも1つのジャッキに作動的に接続された少なくとも1つの後側ポートを有し、
前記モジュールハウジングの前記後側部に形成され、外部の曲げ不敏感性光ファイバを受け入れるよう寸法決めされた長さ方向開放チャネルを有する、
ことを特徴とする
ことを特徴とするパッチパネルモジュール。
【請求項22】
各々が1つ又は2つのポートを有するジャッキを支持した複数個の傾斜フェーセットを有する、
請求項21記載のパッチパネルモジュール。
【請求項23】
前記ジャッキが傾斜して遠ざかる起点としての前記ハウジングの端部のところで曲げ不敏感性光ファイバケーブルを受け入れるよう構成された、
請求項22記載のパッチパネルモジュール。
【請求項24】
前記後側部から前記前側部まで測定した高さ寸法(H4)を有し、
0.75インチ(1.91cm)≦H4≦1.25インチ(3.18cm)
である、
請求項21記載のパッチパネルモジュール。
【請求項25】
曲げ不敏感性光ファイバケーブルを用いて光結合を行う通信データセンタ用のパッチパネル組立体であって、
内部を画定する互いに反対側の側壁及びバックパネルを備えた長方形の箱状ハウジングを有し、前記ハウジングは、標準型通信ラックによって作動的に支持されるよう寸法決めされ、
前側端部及びフロアパネルを備え、滑って前記ハウジング内部に出入りするよう構成されると共にパッチパネルモジュールのアレイを前記フロアパネル上で実質的に水平の形態で支持するよう構成された引出しを有し、
前記ハウジング内に配置されると共に少なくとも1本の耐曲げ性光ファイバケーブルを案内し、前記引出しが滑って前記ハウジングに出入りすることができるようにするよう動く少なくとも1つの可動ケーブルガイドを有する、
ことを特徴とするパッチパネル組立体。
【請求項26】
前記ケーブルガイドは、引出しを閉めると、畳み込まれて積み重ね状態でハウジング後部パネルに位置し、引出しを開けると、畳まれていた状態から広がってハウジング側壁の近くに位置する2つの関節連結された案内部材を有する、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項27】
前記パッチパネルモジュールのすぐ後ろで前記引出しの後側端部の近くに配置され、複数本の耐曲げ性光ファイバケーブルを受け入れ、前記複数本の耐曲げ性光ファイバケーブルを前記パッチパネルモジュールの1つ又は2つ以上に配線するよう構成されたケーブル配線箱を更に有する、
請求項26記載のパッチパネル組立体。
【請求項28】
前記ケーブル配線箱は、少なくとも1つの内部チャンバを有し、前記ケーブル配線箱は、前記少なくとも1つの内部チャンバに開口した孔が形成されている端部及び前記少なくとも1つの内部チャンバに開口した多数の孔が形成されている前面を有し、前記ケーブル配線箱は、前記ハウジング内部領域内に配置されると共に前記内部チャンバ内に前記少なくとも一本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルの少なくとも一部分を収納している、
請求項27記載のパッチパネル組立体。
【請求項29】
前記側壁の少なくとも一方に形成された少なくとも1つの孔を更に有し、
前記少なくとも1つの孔は、多数本の耐曲げ性光ファイバケーブルを挿通させることができるよう寸法決めされ、各パッチパネルモジュールは、前記少なくとも1つの孔を通って延びる対応の耐曲げ性光ファイバケーブルに光結合されている、
請求項27記載のパッチパネル組立体。
【請求項30】
各パッチパネルモジュールは、前記フロアパネルに当てて配置された後側の壁を有し、前記パッチパネルモジュールは、少なくとも2つの列をなして配置され、前記後側壁には、前記後側壁の長さにわたって延びると共に前記耐曲げ性光ファイバケーブルの1本を収納するよう寸法決めされた開放チャネルが形成されており、前記曲げ不敏感性光ファイバケーブルの1本は、1つのパッチパネルモジュールの下を通ることができ、そして別の列のパッチパネルモジュールに接続可能である、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項31】
前記パッチパネルモジュールのアレイを覆うよう配置されたカバーを更に有する、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項32】
前記ジャッキの少なくとも1つに接続された少なくとも1本のジャンパケーブルを更に有する、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項33】
前記パッチパネルモジュールは各々、約0.75インチ(1.91cm)〜約1.25インチ(3.18cm)の高さ寸法(H4)を有する、
請求項25記載のパッチパネル組立体。
【請求項34】
ラック組立体であって、
複数個のパッチパネル組立体を積み重ね状態で支持するよう構成されたラックフレームと、
前記ラックフレーム内に積み重ね状態で支持された1つ又は2つ以上の請求項23記載のパッチパネル組立体とを有する、
ことを特徴とするラック組立体。
【請求項35】
前記ハウジング内で前記少なくとも1つのパッチパネルモジュールの1つ又は2つ以上に接続されている複数本の曲げ不敏感性光ファイバケーブルを支持した主要ケーブルを更に有する、
請求項19記載のラック組立体。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【公開番号】特開2010−61143(P2010−61143A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−223398(P2009−223398)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(501209863)コーニング ケーブル システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223398(P2009−223398)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(501209863)コーニング ケーブル システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (65)
【Fターム(参考)】
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