説明

光ヘッド装置

【課題】部品点数を増加させることなく、装置フレームを小型化、薄型化した場合でも、作業性の悪化を招くことなく、押さえバネを装置フレームに固定することができる光ヘッド装置を提供すること。
【解決手段】装置フレーム2は、センサレンズ56に係合してこのセンサレンズ56を装置フレーム2に仮保持させる板ばね60が係合し、この板ばね60を装置フレーム2に支持させる凹部200を有している。故に、凹部200を利用することで板ばね60を装置フレーム2に支持させることができる。従って、板ばね60を装置フレーム2に固定するためにネジのような固定具を用いる必要がないので、部品点数を増加させることなく、装置フレーム2を小型化、薄型化した場合でも、作業性の悪化を招くことなく、板ばね60を装置フレーム2に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDなどの光記録媒体の再生または/および記録を行う光ヘッド装置にするものである。
【背景技術】
【0002】
CDやDVDなどの光記録ディスク(光記録媒体)の再生、記録に用いられる光ヘッド装置では、複数の光学素子が装置フレームに搭載されており、これらの光ヘッド装置を構成する光学素子の中には、位置調整を行った後、接着剤を用いて固定する場合が多い。このような光学素子としては、例えば、センサレンズがあり、センサレンズを装置フレームの支持面に固定するには、センサレンズを装置フレームに対して、Z方向(光軸方向における位置)に位置調整した後、この状態で、センサレンズと装置フレームとを接着固定させている。なお、位置調整においては、センサレンズを押さえバネによって支持面方向に押圧させた、所謂仮固定状態で行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−266977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、押さえバネを装置フレームへ固定するための方法としては、ネジ固定が一般的であり、部品点数が増加するという問題がある。また、近年、装置フレームの小型化および薄型化に伴って、押さえバネを固定するネジも小型化されており、小型のネジによる固定作業は、作業性が悪いという問題がある。
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、部品点数を増加させることなく、装置フレームを小型化、薄型化した場合でも、作業性の悪化を招くことなく、押さえバネを装置フレームに固定することができる光ヘッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、光記録媒体に対する情報の再生または/および記録を行うための複数の部品が装置フレームに搭載された光ヘッド装置において、前記装置フレームは、前記部品に係合して該部品を前記装置フレームに仮保持させる仮保持部材が係合し、該仮保持部材を前記装置フレームに支持させる凹部を有することを特徴とする。
【0006】
本発明において、装置フレームには、前記部品としての光学素子が取り付けられる取り付け面を有し、該取り付け面の近傍位置に前記凹部を配設することにより、前記装置フレームを成形する際の取り付け面の歪みを抑制させることが好ましい。このように構成すると、仮保持部材の装置フレームに支持させる凹部を利用することにより、光学素子の取り付け面の歪みを抑制するための肉盗みとしての凹部を別途設ける必要がない。故に、装置フレームの強度を確保することができる。
【0007】
本発明において、例えば、前記凹部は、前記装置フレームの高さ方向における上面または下面に開口し、前記装置フレームの高さ方向に延設された、有底溝部または貫通孔であって、前記取り付け面が前記凹部の延設方向に沿って形成されていることが好ましい。例えば、前記凹部を挟んで前記取り付け面に取り付けられた受光素子と、前記部品としてのセンサレンズとが対向配置されている。また、前記装置フレームが、ダイカストによって形成された場合であっても、凹部によって光学素子の取り付け面の歪みを抑制することができる。
【0008】
本発明において、前記仮保持部材は、付勢力によって前記凹部に係合して自らを前記装置フレームに支持させる付勢部を有していることが好ましい。また、前記仮保持部材は、前記部品が取り付けられる取り付け面側の方向に押圧し、前記部品を前記装置フレームに仮保持させる押圧部を有していることが好ましい。特に、前記仮保持部材は、前記付勢部および前記押圧部を共に備えた1枚の金属板によって形成されていることが好ましい。このように構成すると、金属板はバネ性を備えており、適宜に折曲して係合させることにより、仮保持部材を付勢力によって装置フレームに支持させ、また、部品を取り付け面の方向に押圧して装置フレームに容易に仮保持させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、装置フレームは、部品に係合してこの部品を装置フレームに仮保持させる仮保持部材が係合し、この仮保持部材を装置フレームに支持させる凹部を有している。故に、凹部を利用することで仮保持部材を装置フレームに支持させることができる。従って、仮保持部材を装置フレームに固定するためにネジのような固定具を用いる必要がないので、部品点数を増加させることなく、装置フレームを小型化、薄型化した場合でも、作業性の悪化を招くことなく、仮保持部材を装置フレームに固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明を適用した光ヘッド装置について説明する。なお、以下に説明する形態は、装置フレームに搭載した複数の部品のうち、センサレンズを装置フレームに搭載するにあたって本発明を適用した例である。なお、以下の説明では、対物レンズが見える側を上面とし、その反対側を下面としてある。
【0011】
[全体構成]
図1は、本発明を適用した光ヘッド装置の平面図である。図2および図3は各々、図1に示す光ヘッド装置から金属カバーおよび駆動用ICから対物レンズ駆動装置側に向けて延びた可撓性基板を外した状態の平面図および底面図である。
【0012】
図1〜図3に示す本形態の光ヘッド装置1は、CDおよびDVD等の光記録媒体に対する情報の再生または/および記録を行うものである。光ヘッド装置1は、マグネシウムなどのダイカスト品からなる金属製の装置フレーム2を有しており、この装置フレーム2の両端の各々には、ディスク駆動装置のガイド軸や送りねじ軸11が係合する第1の軸受部21および第2の軸受部22が形成されている。装置フレーム2の一方側の側面は、ディスク駆動機構のスピンドルモータ(図示せず)に接近した際の干渉を防止するために円弧状に湾曲している。
【0013】
装置フレーム2の上面側では略中央に対物レンズ91が位置し、対物レンズ91に対して第1の軸受部21が位置する側には薄い金属カバー8が被せられている。金属カバー8は、装置フレーム2の上面を覆う上板部81と、この上板部81の一方の側端縁から下方に屈曲して装置フレーム2の側面に形成されている突起28に係合する側板部82とを有しており、上面部に形成された小穴83には、装置フレーム2から上方に突出した位置決め突起29が嵌っている。
【0014】
本形態の光ヘッド装置1は、波長が650nm帯の第1のレーザ光(赤色光)、および波長が780nm帯の第2のレーザ光(赤外光)を用いてDVD系ディスクおよびCD系ディスクに対する情報の記録、再生が可能な2波長光ヘッド装置である。このため、装置フレーム2上には、第1のレーザ光を出射するAlGaInP系のレーザダイオードと、第2のレーザ光を出射するAlGaAs系のレーザダイオードとを一体に備えたツインレーザ光源30を備えた光源装置3が搭載されている。ここで、ツインレーザ光源30は、光源ホルダ35に搭載されており、この光源ホルダ35は、装置フレーム2の垂直壁209に当接した状態にある。
【0015】
このような構成の光源装置3から出射される第1のレーザ光および第2のレーザ光は、光源装置3から光記録ディスクに向かう光路に配置された複数の光学素子からなる共通の光学系を介して光記録ディスクであるDVD系ディスクあるいはCD系ディスクに導かれ、この光学系を構成する光学素子も装置フレーム2上に搭載されている。また、光記録ディスクからの戻り光も、共通の光学系を介して共通の信号検出用受光素子40に導かれ、かかる戻り光に対する光路を規定する光学素子、および信号検出用受光素子40も装置フレーム2に搭載されている。
【0016】
本形態の光ヘッド装置1において、共通の光学系には、光源装置3から出射された第1および第2のレーザ光をトラッキング検出用に3ビームに回折する回折素子51と、回折素子51により3ビームに分離したレーザ光を部分透過させる偏光ビームスプリッタ52と、偏光ビームスプリッタ52から出射されたレーザ光を平行光にするコリメートレンズ54と、この平行光を光記録ディスクに向けて立ち上げる立ち上げミラー55と、立ち上げミラー55からのレーザ光を光記録ディスクの記録面に収束させる対物レンズ91とが含まれている。ここで、偏光ビームスプリッタ52とコリメートレンズ54との間には波長板53が配置されている。また、共通の光学系には、光記録ディスクの記録面で反射された後に、立ち上げミラー55、コリメートレンズ54および波長板53を経て偏光ビームスプリッタ52で反射した第1および第2のレーザ光の戻り光に非点収差を付与するためのセンサレンズ56も含まれている。なお、偏光ビームスプリッタ52に対して信号検出用受光素子40とは反対側にはモニター用受光素子57が配置されている。
【0017】
対物レンズ91は、対物レンズ駆動機構9によってトラッキング方向およびフォーカシング方向の位置がサーボ制御されるようになっており、このような対物レンズ駆動機構9も装置フレーム2に搭載されている。本形態では、対物レンズ駆動機構9としてワイヤサスペンション方式のものを用いており、かかる対物レンズ駆動機構9としては周知のものを用いることができるので、詳細な説明を省略するが、対物レンズ91を保持しているレンズホルダと、このレンズホルダを複数本のワイヤでトラッキング方向およびフォーカシング方向に移動可能に支持しているホルダ支持部93と、装置フレーム2に固定されたヨークとを備えている。また、対物レンズ駆動機構9は、レンズホルダに取り付けられた駆動コイルと、ヨークに取り付けられた駆動マグネットにより構成される磁気駆動回路を備えており、駆動コイルに対する通電を制御することにより、レンズホルダに保持された対物レンズ91を光記録ディスクに対してトラッキング方向およびフォーカシング方向に駆動する。なお、対物レンズ駆動機構9は、対物レンズ91のジッタ方向の傾きを調整するチルト制御も可能である。なお、対物レンズ91の周りは、矩形枠状のレンズカバー90で囲まれている。
【0018】
このように構成した光ヘッド装置1において、光源装置30から出射された第1および第2のレーザ光は、回折素子51を透過した後、一部が偏光ビームスプリッタ52の部分反射面を透過した後、波長板53で偏光方向が1/4λ分だけ回転した後、コリメートレンズ54に向かう。そして、コリメートレンズ54で平行光化されたレーザ光は、立ち上げミラー55でその光軸が90度折り曲げられて対物レンズ91に向かう。その際、ツインレーザ光源30から出射された第1および第2のレーザ光の一部は、偏光ビームスプリッタ52の部分反射面で反射して、モニター用受光素子57に導かれる。このモニター用受光素子57でのモニター結果は、後述するように、可撓性基板71に実装された駆動用IC6を介してツインレーザ光源30にフィードバックされ、ツインレーザ光源30から出射されるレーザ光の強度が制御される。
【0019】
一方、光記録ディスクからの戻り光は、対物レンズ91、立ち上げミラー55を逆に戻り、コリメートレンズ54、波長板53、偏光ビームスプリッタ52を介してセンサレンズ56に向けて出射され、このセンサレンズ56によって非点収差が付与された後、信号検出用受光素子40に入射し、信号検出用受光素子40で検出される。この信号検出用受光素子40で検出される戻り光には、第1および第2のレーザ光が回折素子51で回折された3ビームが含まれており、例えば、3ビームのうち、0次光からなるメインビームよって信号の再生が行われるとともに、±1次回折光からなるサブビームの検出結果を用いて対物レンズ91のフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号の検出が行われる。このようにして検出されたフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号の検出結果に基づいて、駆動用IC6は対物レンズ駆動機構9を制御する。
【0020】
このように、本形態の光ヘッド装置1では、共通の対物レンズ91により第1のレーザ光および第2のレーザ光による記録、再生を行うため、対物レンズ91については、同心円状の溝や段差により回折格子が形成された2波長レンズが用いられている。このため、本形態によれば、対物レンズ91を共用しても、第1のレーザ光および第2のレーザ光の双方について、表面保護層の厚さが異なる記録層を備えた光記録ディスクに対応することができる。
【0021】
本形態の光ヘッド装置1において、駆動用IC6、光源装置3、信号検出用受光素子40およびモニター用受光素子57に電源や信号供給を行うために、基材がポリイミドなどからなる複数枚の可撓性基板が用いられている。これらの可撓性基板のうち、最も大きなメインの可撓性基板71の下面には、ツインレーザ光源30に対する駆動や制御などを行う駆動用IC6が実装されている。また、メインの可撓性基板71の端部711は、モニター用受光素子57の側に接続されている。サイズの小さな3枚のサブの可撓性基板のうち、サブの可撓性基板72は、可撓性基板71の上面に重ねて配置され、かつ、一方端がメインの可撓性基板71に接続される一方、他方端は、光源装置3の側に接続されている。他のサブの可撓性基板74は、可撓性基板71の端部712の上面に一方端が重ねて配置され、他方端は途中で折り曲げられて対物レンズ駆動機構9のホルダ支持部93の背後に配置された配線基板94に接続される。ここで、サブの可撓性基板74は、一方端から他方端(対物レンズ駆動機構9の回路基板への接続部分)に向かう途中に幅広部分741を備えており、この幅広部分741は、対物レンズ駆動機構9のホルダ支持部93においてサスペンションワイヤの根元部分に構成されたゲルポット96を覆い、ゲルポット96に対するカバーとしても機能している。さらに、図4(a)、(b)を参照して後述する他のサブの可撓性基板75(図1〜図3では図示せず)は、可撓性基板71の下面に重ねて配置され、一方端がメインの可撓性基板71に接続される一方、他方端は途中で折り曲げられて信号検出用受光素子40の側に接続される。
【0022】
このように構成した可撓性基板を装置フレーム2上に搭載するにあたって、メインの可撓性基板71において対物レンズ駆動機構9の側方に位置する端部712には、ガラス−エポキシ基板や金属板などからなる略三角形の補強板75が接着固定されている。ここで、補強板75には穴が形成されている一方、装置フレーム2において、可撓性基板71を重ねた際に補強板75の穴と重なる位置にはねじ穴が形成されている。従って、メインの可撓性基板71を装置フレーム2に重ねて配置する際、補強板75の穴および装置フレーム2のねじ穴を利用して、可撓性基板71の端部712を装置フレーム2に対して金属製のねじ76により固定する。また、メインの可撓性基板71において、補強板75を設けた側とは反対側の端部713には、装置フレーム2に2本の金属製のねじ77により固定される固定部分714が形成されている。ここで、固定部分714は、可撓性基板71のみが存在し、補強板が接着固定されていない。従って、可撓性基板71に形成されたグランドパターンは、端部713において装置フレーム2に電気的に接続され、固定部分714はグランド用の接点として機能する。このような構成の可撓性基板71は、端部712、712をねじ76、77で装置フレーム2に固定すると、装置フレーム2に平伏した状態に固定され、かつ、金属カバー8を被せなくても、この平伏状態を保持することができる。このため、可撓性基板71の形状復帰力が金属カバー8に加わることがないので、可撓性基板71の形状復帰力が金属カバー8を介して装置フレーム2に作用するということがない。従って、装置フレーム2が変形することがなく、光学素子の位置ずれに起因する光軸ずれの発生を防止することができるなどの効果を奏する。
【0023】
[信号検出用受光素子およびセンサレンズの搭載構造]
図4(a)、(b)は、図1に示す光ヘッド装置における装置フレームに対する信号検出用受光素子の実装構造を斜め後方からみたときの説明図、および斜め前方からみたときの説明図である。図5は、図1に示す光ヘッド装置に用いた受光素子ホルダの説明図である。図6(a)、(b)は、図1に示す光ヘッド装置において、装置フレームに対して信号検出用受光素子を搭載するときの位置決め工程の様子を示す説明図である。図7(a)、(b)は、図3に示す光ヘッド装置において、センサレンズの周辺を拡大して示す説明図、および(a)において、板ばねを凹部に装着した状態を示す説明図である。図8(a)、(b)は、板ばねを斜め上方からみた時の斜視図、および斜め下方から見たときの斜視図である。
【0024】
図4(a)、(b)に示すように、本形態の光ヘッド装置1において、信号検出用受光素子40は、略矩形の平板状であり、樹脂製あるいは金属製の受光素子ホルダ45を介して装置フレーム2の側壁面25に固定されている。ここで、装置フレーム2の側壁面25では、信号検出用受光素子40を搭載すべき領域の両側に装置フレーム2の一部26、27が張り出しており、かつ、その上方にはメインの可撓性基板71の引き出し部分が位置しており、スペース的な余裕がない。
【0025】
そこで、本形態では、図4(a)、(b)および図5に示す構造の受光素子ホルダ45が用いられており、この受光素子ホルダ45は、前面が装置光軸と直交するように装置フレーム2の側壁面25に接着固定される固定板部451と、この固定板部451の背面側で信号検出用受光素子40を搭載する素子搭載部455と、この素子搭載部455を間に挟む両側領域のうち、固定板部451の左右の外周端から所定距離を隔てた内側位置で固定板部451の背面側から後方に向けて突出した一対の突起456、457とを備えている。ここで、突起456、457は、互い円弧状に屈曲した形状を備え、その外側端部は直線的に切り欠かれた形状になっている。
【0026】
固定板部451は、全体として略長方形の平面形状を備え、短辺が装置フレーム2の高さ方向に延びるように接着固定されている。従って、一対の突起456、457は、装置フレーム2の高さ方向と直交する方向で相対向していることになる。固定板部451の中央にはセンサレンズ56から信号検出用受光素子40に向けて戻り光が通る透孔452が形成されている。また、固定板部451の外周縁には、4つの角部部分が切り欠かれて内側に仮止め用の接着剤が塗布される凹部458が形成されている。
【0027】
素子搭載部455は、一対の突起456、457の間に形成された凹部であり、この凹部の内部において、信号検出用受光素子40は、略同一サイズの配線基板41が背面側に接合された状態で素子搭載部455に接着固定されている。また、信号検出用受光素子40に接続するサブの可撓性基板75の端部は、配線基板41の背後で間に補強板78を挟んで複数回、折り畳まれた状態にある。補強板78および可撓性基板75の折り畳み部分は、信号検出用受光素子40および配線基板41よりもサイズが大きく、受光素子ホルダ45の突起456、457に一部被さった状態にある。
【0028】
また、図7に示すように、センサレンズ56を装置フレーム2に搭載するため装置フレーム2には、センサレンズ搭載部205が形成されており、このセンサレンズ搭載部205は、信号検出用受光素子40やセンサレンズ56の光軸に対して平行な第1の位置決め面203a、第2の位置決め面203b、および第1の位置決め面203aと第2の位置決め面203bとの間であって、これら第1の位置決め面203aおよび第2の位置決め面203bより一段低く形成された段部204により構成されている。なお、この段部204は、センサレンズ56の後述する本体が遊嵌され、光軸方向にスライド可能に形成されている。
【0029】
一方、センサレンズ56は、直方体の本体にレンズが形成され、この本体からそれぞれ左右方向に突出した第1の取り付け部56aおよび第2の取り付け部56bを有している。この第1の取り付け部56aおよび第2の取り付け部56bにおいて、第1の位置決め面203aおよび第2の位置決め面203bに面接触された側の面は、レンズ光軸に対して平行に形成されている。そのため、この第1の位置決め面203aおよび第2の位置決め面203bに面接触された側の面を、それぞれ第1の位置決め面203aおよび第2の位置決め面203bに面接触状態でスライドさせると、センサレンズ56をレンズ光軸に沿って移動させることができる。
【0030】
また、第1の取り付け部56aおよび第2の取り付け部56bにおいて、第1の位置決め面203aおよび第2の位置決め面203bに面接触された側の面と反対側の面には、仮保持部材としての板ばね60が付勢状態で当接されている。すなわち、板ばね60でセンサレンズ56を装置フレーム2に仮固定した状態においては、センサレンズ56は、板ばね60により、第1の取り付け部56aおよび第2の取り付け部56bが、それぞれ第1の位置決め面203aおよび第2の位置決め面203bに向けて弾性をもって押圧されている。
【0031】
本形態では、板ばね60を装置フレーム2に搭載するために、装置フレーム2には、センサレンズ搭載部205と装置フレーム2の側壁面25との間に装置フレーム2の上面側に開口し、装置フレーム2の高さ方向に延設された有底溝部としての凹部200が形成されている。この凹部200は、互いに光軸方向に対向する第1の対向面202および第2の対向面203と、第1の対向面202と第2の対向面203とに連結された底部201とによって構成されている。なお、本形態の場合、側壁面25が、光学素子としての信号検出用受光素子40が取り付けられる取り付け面になっており、凹部200は、装置フレーム2を成形する際の歪みを抑制可能な深さに形成されている。
【0032】
一方、板ばね60は、図8に示すように、金属の薄板を折曲することにより形成されており、底面62の両端から略平行に折曲された第1の折曲部61、第2の折曲部63と、第2の折曲部の先端から略直交方向に折曲され、互いに略平行に延設された第1の舌片63a、および第2の舌片63bとから構成されている。なお、第1の折曲部61および第2の折曲部63は、第1の舌片63aと第2の舌片63bとの間に切り欠き64が形成されている。
【0033】
ここで、板ばね60を装置フレーム2に仮固定するにあたっては、第1の折曲部61、および第2の折曲部63を凹部200内に配設することによりなされる。すなわち、第1の折曲部61、および第2の折曲部63を両側から押圧した状態で凹部200内に嵌入することにより、第1の折曲部61、および第2の折曲部63が第1の対向面202、および第2の対向面203に弾性力により当接することにより仮固定される。
【0034】
また、センサレンズ56を装置フレーム2に仮固定させるにあたっては、センサレンズ56を板ばね60により押圧することによりなされる。具体的には、第1の取り付け部56aおよび第2の取り付け部56bにおいて、第1の位置決め面203a、および第2の位置決め面203bに面接触された側の面と反対側の面に、仮固定された板ばね60の第1の舌片63a、および第2の舌片63bがそれぞれ上方から当接される。このため、センサレンズ56は、第1の位置決め面203aおよび第2の位置決め面203bに向けて押圧される結果、センサレンズ56の第1の取り付け部56aは、センサレンズ搭載部205の第1の位置決め面203aに対して弾性をもって押圧されるとともに、第2の取り付け部56bは、第2の位置決め面203bに対して弾性をもって押圧されることにより仮固定される。なお、この状態において、すなわち、センサレンズ56を板ばね60により装置フレーム2に仮固定された状態において、板ばね60に形成された切り欠き64は、レーザダイオードからの出射光が、センサレンズ56を通過した後、信号検出用受光素子40に入射可能な位置に形成されている。
【0035】
[信号検出用受光素子およびセンサレンズの位置決め方法]
このように構成した受光素子ホルダ45を介して信号検出用受光素子40を装置フレーム2に搭載するには、まず、図6(a)、(b)に示すように、受光素子ホルダ45の背面側において一対の突起456、457の間に形成された素子搭載部455に信号検出用受光素子40を接着固定する。ここで、図6(a)では、サブの可撓性基板75および補強板78については図示を省略してあるが、信号検出用受光素子40は、図6(b)に示すように、サブの可撓性基板75および補強板78とともに受光素子ホルダ54に搭載される。
【0036】
次に、素子ホルダ45の突起456、457を両側から素子ホルダ把持具47、48で把持する一方、先に装置フレーム2に搭載したツインレーザ光源30を点灯させ、擬似ディスクなどからの戻り光の信号検出用受光素子40での受光結果を監視しながら、素子ホルダ把持具47、48によって受光素子ホルダ45のX−Y方向(面内位置)、Z方向(光軸方向における位置)、θx(光軸周りの角度位置)、θy(傾き)を調整し、信号検出用受光素子40を装置フレーム2に対して位置決めする。ここで、素子ホルダ把持具47、48は、先端部がL字形に屈曲したホルダ当接部471、481を備えており、サブの可撓性基板75および補強板78と干渉しない形状になっている。また、素子ホルダ把持具47、48は、装置フレーム2とも干渉しない形状や寸法になっている。
【0037】
このような方法で信号検出用受光素子40の位置決めを行った後は、図6(a)に示すように、受光素子ホルダ54と素子ホルダ把持具47、48の間から固定板部451の貫通孔459に向けてノズル49を差し込み、貫通孔459の内部に接着剤を塗布し、固化させる。その結果、受光素子ホルダ45は装置フレーム2に固定される。
【0038】
その後、センサレンズ56を装置フレーム2に搭載するために、まず、センサレンズ56をセンサレンズ搭載部205に配置し、板ばね60によって仮固定させる。本形態の場合、板ばね60もまた装置フレーム2に仮固定されており、センサレンズ56の板ばね60による仮固定と板ばね60のフレーム2への仮固定とを同時に行っている。その結果、センサレンズ56の第1の取り付け部56aは、センサレンズ搭載部205の第1の位置決め面203aに対して弾性をもって押圧されて位置決めされ、第2の取り付け部56bは、第2の位置決め面203bに対して弾性をもって押圧されて位置決めされるので、受光素子の光軸とセンサレンズの光軸が一致する。なお、センサレンズ56の装置フレーム2に対する仮固定に関しては、上記順序とは逆に行うようにしてもよい。すなわち、始めに、センサレンズ56を装置フレーム2に仮固定させ、その後、受光素子ホルダ45は装置フレーム2に接着固定させてもよい。
【0039】
次に、例えば、ツインレーザ光源30の2種類のレーザダイオードのうち、いずれか一方側を点灯させ、それを信号検出用受光素子40でモニターしながら、センサレンズ56を光軸方向に移動させて光軸方向におけるセンサレンズ56の位置を調整する。しかる後に、板ばね60の第1の舌片63aを装置フレーム2およびセンサレンズ56に、接着剤630および接着剤560によって接着固定するとともに、第2の舌片63bを、装置フレーム2およびセンサレンズ56に、接着剤630および接着剤560によって接着固定する。この接着固定により、センサレンズ56および板ばね60が装置フレーム2に本固定されることになる。
【0040】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態においては、装置フレーム2は、センサレンズ56に係合してこのセンサレンズ56を装置フレーム2に仮保持させる板ばね60が係合し、この板ばね60を装置フレーム2に支持させる凹部200を有している。故に、凹部200を利用することで板ばね60を装置フレーム2に支持させることができる。従って、板ばね60を装置フレーム2に固定するためにネジのような固定具を用いる必要がないので、部品点数を増加させることなく、装置フレーム2を小型化、薄型化した場合でも、作業性の悪化を招くことなく、板ばね60を装置フレーム2に固定することができる。
【0041】
また、本形態において、装置フレーム2は、マグネシウムなどの金属からなるダイカスト品であるが、信号検出用受光素子40が取り付けられる側壁面25の近傍位置に凹部200が配設されている。故に、板ばね60を装置フレーム2に支持させる凹部200を利用することにより、側壁面25の歪みを抑制するための肉盗みを別途設ける必要がない。従って、装置フレーム2の強度を確保することができる。
【0042】
[その他の実施の形態]
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種種変形実施可能である。例えば、上述の実施の形態では、凹部200が上面に開口した有底溝部であるが、凹部200が下面に開口した有底溝部であってもよいし、装置フレーム2の上面から下面に貫通した貫通孔であってもよい。
【0043】
また、上述の実施の形態では、信号検出用受光素子40の位置調整を行ってフレーム2に固定させた後、センサレンズ56の位置調整を行ってフレーム2に固定させているが、この順序は適宜変更可能である。例えば、信号検出用受光素子40の位置調整とセンサレンズ56の位置調整とを同時に行い、その後、信号検出用受光素子40とセンサレンズ56とをフレーム2に固定させてもよい。
【0044】
さらに、上述の実施の形態では、装置フレーム20が、マグネシウムなどの金属からなるダイカスト品である場合に本発明を適用したが、装置フレーム20が、樹脂に射出成形された形成品である場合に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明を適用した光ヘッド装置の平面図である。
【図2】図1に示す光ヘッド装置から金属カバーおよび駆動用ICから対物レンズ駆動装置側に向けて延びた可撓性基板を外した状態の平面図である。
【図3】図1に示す光ヘッド装置から金属カバーおよび駆動用ICから対物レンズ駆動装置側に向けて延びた可撓性基板を外した状態の底面図である。
【図4】(a)、(b)は、図1に示す光ヘッド装置における装置フレームに対する信号検出用受光素子の実装構造を斜め後方からみたときの説明図、および斜め前方からみたときの説明図である。
【図5】図1に示す光ヘッド装置に用いた受光素子ホルダの説明図である。
【図6】(a)、(b)は、図1に示す光ヘッド装置において、装置フレームに対して信号検出用受光素子を搭載するときの位置決め工程の様子を示す説明図である。
【図7】(a)、(b)は、図3に示す光ヘッド装置において、センサレンズの周辺を拡大して示す説明図、および(a)において、板ばねを凹部に装着した状態を示す説明図である。
【図8】(a)、(b)は、板ばねを斜め上方からみた時の斜視図、および斜め下方から見たときの斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 光ヘッド装置
2 装置フレーム
25 装置フレームの側壁面
30 ツインレーザ光源(発光素子)
40 信号検出用受光素子(受光素子)
56 センサレンズ
60 板ばね(仮保持部材)
61 第1の折曲部(付勢部)
63 第2の折曲部(付勢部)
63a 第1の舌片(押圧部)
63b 第2の舌片(押圧部)
200 凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記録媒体に対する情報の再生または/および記録を行うための複数の部品が装置フレームに搭載された光ヘッド装置において、
前記装置フレームは、前記部品に係合して該部品を前記装置フレームに仮保持させる仮保持部材が係合し、該仮保持部材を前記装置フレームに支持させる凹部を有することを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項2】
請求項1において、装置フレームには、前記部品としての光学素子が取り付けられる取り付け面を有し、該取り付け面の近傍位置に前記凹部を配設することにより、前記装置フレームを成形する際の取り付け面の歪みを抑制させたことを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項3】
請求項2において、前記凹部は、前記装置フレームの高さ方向における上面または下面に開口し、前記装置フレームの高さ方向に延設された、有底溝部または貫通孔であって、前記取り付け面が前記凹部の延設方向に沿って形成されていることを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項4】
請求項3において、前記凹部を挟んで前記取り付け面に取り付けられた受光素子と、前記部品としてのセンサレンズとが対向配置されていることを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかにおいて、前記装置フレームは、ダイカストによって形成されていることを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記仮保持部材は、付勢力によって前記凹部に係合して自らを前記装置フレームに支持させる付勢部を有することを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれかにおいて、前記仮保持部材は、前記取り付け面側の方向に押圧し、前記部品を前記装置フレームに仮保持させる押圧部を有することを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項8】
請求項6または7において、前記仮保持部材は、前記付勢部および前記押圧部を共に備えた1枚の金属板によって形成されていることを特徴とする光ヘッド装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかにおいて、前記仮保持部材は、前記装置フレームまたは前記部品に接着固定されていることを特徴とする光ヘッド装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate