説明

光伝送システム並びに光伝送システムの受信機

【課題】利用者の手を塞ぐことなしに情報を確実に取得する。
【解決手段】受信機1は、受光部10と、本体部20と、音声出力部30とで構成される。受光部10は、フォトダイオードや太陽電池などの光電変換素子を有して受光した照明光を電気信号に変換する光電変換部11を備える。すなわち、受信機1を受光部10と本体部20と音声出力部30とに分離し、眼鏡40において上方からの照明光が受光可能な位置に受光部10を設けているので、従来例のように利用者Hが受信機90を手に持たなくても照明器具200から照射される照明光を障害物(衣服や頭髪など)に遮られることなく確実に受光することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光にデータを重畳させて伝送する1乃至複数の照明器具と、照明光に重畳されたデータを受信する受信機とを有する光伝送システム、並びにその受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、照明光にデータを重畳させて伝送する複数の照明器具と、照明光に重畳されたデータを受信する受信機とを有する光伝送システムが種々提案されている(例えば、特許文献1並びに特許文献2参照)。
【0003】
図7はこの種の光伝送システムの照明器具に搭載されて光源を点灯する点灯装置の一例を示す概略回路構成図である。この点灯装置は、蛍光灯のような放電灯を点灯するための放電灯点灯装置であって、商用の交流電源ACを整流平滑して直流電圧・電流を作成する直流電源部80と、直流電源部80の直流出力を高周波交流に変換して放電灯82に出力するインバータ回路81とを備える。
【0004】
直流電源部80はダイオードブリッジDBからなる全波整流器と、平滑コンデンサC1とで構成される。インバータ回路81は所謂ハーフブリッジ型であって、直流電源部80の出力端間に直列接続された2つのスイッチング素子Q1,Q2と、ローサイドのスイッチング素子Q2の両端にカップリングコンデンサC2を介して直列接続されたインダクタL1及びコンデンサC3からなる共振回路とで構成され、コンデンサC3の両端(出力端)に放電灯82が接続される。2つのスイッチング素子Q1,Q2は発振回路83から出力されるパルス状の駆動信号によって互いに相補的にスイッチングされる。照明光にデータを重畳させる制御回路84は、送信源85から与えられるデータ信号(H,Lの2値信号)の立ち上がり及び立ち下がり部分の整形や振幅の一定化を行う送信回路84aと、送信回路84aで波形処理等がされたデータ信号に応じて発振回路83の発振周波数(スイッチング素子Q1,Q2をスイッチングする駆動信号の周波数)を変調(例えば、FSK変調)する周波数変調回路84bとを具備し、例えば、マイクロコンピュータ等で構成される。周波数変調回路84bは、データ信号がLレベルのときに発振回路83から出力する駆動信号の周波数(インバータ回路81の動作周波数)を、放電灯82を定格点灯させるために必要な電力が供給可能である動作周波数(以下、点灯周波数と呼ぶ)に設定し、データ信号がHレベルのときには点灯周波数よりも高い周波数(以下、変調周波数と呼ぶ)に設定する。なお、放電灯82の点灯時におけるインバータ回路81の出力特性は共振回路並びに放電灯82を含めた共振系の共振周波数にピークを持つ山型の波形となり、通常は点灯周波数を共振周波数よりも高い周波数に設定しているから、インバータ回路81の動作周波数を点灯周波数から変調周波数に変化させるとインバータ回路81から放電灯82への供給電力が減少して光出力も低下することになる。
【0005】
一方、受信機90は、図8に示すようにデータが重畳された照明光を受光してデータを復調する受光モジュール91と、受光モジュール91から出力されるデータ信号を外部の電子機器100に伝送する伝送回路92とで構成される。受光モジュール91は、フォトダイオードや太陽電池などの光電変換素子を有して受光した照明光を電気信号に変換する受光部93と、受光部93の出力信号(受信信号)を増幅する増幅回路94と、増幅回路94で増幅された受信信号から変調周波数の周波数成分を弁別する帯域通過(バンドパス)フィルタ95と、バンドパスフィルタ95で弁別された周波数成分から元のデータ信号を復調する復調回路96とを具備している。ここで、図9(a)に示すように放電灯82に流れるランプ電流はインバータ回路81の動作周波数に同期して周期的に変化するが、照明光については同図(b)に示すようにインバータ回路81の動作周波数の2倍の周波数で変化するから、バンドパスフィルタ95における通過帯域の中心周波数を変調周波数の2倍に設定する必要がある。
【0006】
上述のような照明器具と受信機90で構成される光伝送システムは、例えば、通路の天井に複数の照明器具が所定間隔で配設され、この通路を移動する利用者が受信機90を携帯し、照明器具の照明光に重畳されているデータを受信機90で受信し且つ復調して電子機器100(例えば、携帯電話機やPDA端末など)に伝送し、受信したデータで示される情報(例えば、建物内の位置情報など)を電子機器100の画面に表示したり、スピーカから音声メッセージとして出力することで利用者に種々の情報を提供する目的などに利用される(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開昭60−32443号公報
【特許文献2】特開平11−313034号公報
【特許文献3】特開2004−220480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、取得した情報を利用者に提示するための電子機器100、例えば、携帯電話機やPDA端末などは、通話や情報取得時以外の未使用時においては衣服のポケットや鞄などに収納されていることが多く、受信機90が電子機器100と一体に構成されている場合には衣服や鞄などが障害物となって受光モジュール91で照明光が受光できない虞があった。
【0008】
従って、必要な情報を確実に取得するためには電子機器100と一体となった受信機90をポケットや鞄などから出して手に持つ必要があり、利用者にとっては常に片手が塞がった状態となって不便であった。特に視覚障害者や高齢者においては、障害物に対する防御のために手を空けておくことや、歩行補助機器(例えば、杖など)を手に持つ必要があるので、両手若しくは片手を常に空けておきたいという要望がある。また、図10(a)に示すように天井に配設された照明器具200からの照明光を手に持った受信機90で受光する場合、受信機90の受光範囲(受光角φ)の軸がぶれやすいため、特に歩行中に照明光を受光できない虞がある。さらに、受信機90の受光角φの軸が前方へぶれると、図10(b)に示すように本来照明光を受光すべき照明器具200の隣の照明器具200’の照明を受光してしまい、誤った情報を取得してしまう虞もある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、利用者の手を塞ぐことなしに情報を確実に取得することができる光伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、照明光にデータを重畳させて伝送する1乃至複数の照明器具と、照明光に重畳されたデータを受信する受信機とを有し、受信機は、照明光を受光して電気信号に変換する受光手段と、受光手段から出力する受信信号からデータを復調する処理手段とを備えた光伝送システムにおいて、受光手段は、人が頭部に装着して使用する用具において上方からの照明光が受光可能な位置に設けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記用具は、眼鏡、ヘッドホン、帽子の何れかであり、当該用具が人の頭部に装着された状態において受光手段の光軸が頭部前方に傾けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、受信機は、処理手段で復調されたデータから得られる情報を音声に変換して出力する音声出力手段を備え、該音声出力手段が前記用具における人の耳の近傍に設けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、処理手段で復調されたデータを無線信号で送信する無線信号送信手段を受信機に備え、無線信号送信手段から送信される無線信号を受信する無線信号受信手段と、無線信号受信手段で受信した無線信号に含まれる前記データから情報を取得するとともに当該情報を画像や音声で出力する情報出力手段とを備えた端末を有することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、上記目的を達成するために、照明光にデータを重畳させて伝送する1乃至複数の照明器具と、照明光に重畳されたデータを受信する受信機とを有する光伝送システムに用いられ、照明光を受光して電気信号に変換する受光手段と、受光手段から出力する受信信号からデータを復調する処理手段とを備えた光伝送システムの受信機において、受光手段は、人が頭部に装着して使用する用具において上方からの照明光が受光可能な位置に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、人の頭部に装着される用具、望ましくは眼鏡、ヘッドホン、帽子の何れかにおいて上方からの照明光が受光可能な位置に受信機の受光手段が設けられているので、従来例のように利用者が受信機を手に持たなくても照明器具から照射される照明光を確実に受光することができ、利用者の手を塞ぐことなしに情報を確実に取得することができ、しかも、頭部に装着される用具に受光部を設けたことにより、受信機を手で持つ場合に比較して、天井に配設される照明器具との距離が近づくから、受光可能な角度が多少大きくなっても直近の照明器具の照明光が受光しやすくなり、さらに従来のように受信機を手で持つ場合は受信機の方向がぶれやすく、歩行中に受信機を照明器具の方へ向けることは特に障害者や高齢者には困難であるが、頭部に装着する用具に受光部を設けることで受光部のぶれが少なくできる光伝送システム並びにその受信機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
本実施形態の光伝送システムは、介護施設や病院あるいは地下街などにおける視覚障害者若しくは高齢者向けの自立支援に利用されるものである。但し、これ以外の場所や用途に用いられる光伝送システムにも本発明の技術思想が適用可能であることはいうまでもない。
【0017】
本実施形態の光伝送システムを構成する照明器具は、介護施設や病院あるいは地下街の通路等の天井に一定の間隔を空けて配設され、各々の配設場所を特定するための位置情報(例えば、男性トイレ前、女性トイレ前、階段前などを示す情報)のデータを照明光に重畳して周期的に伝送している。また照明器具が具備する点灯装置は、図7に示した従来例の放電灯点灯装置と共通の構成を有するものであるから図示は省略する。但し、照明光を発する光源は放電灯に限定されるものではなく、発光ダイオードなどの発光素子を用いることも可能である。
【0018】
受信機1は、図1に示すように受光部10と、本体部20と、音声出力部30とで構成される。受光部10は、フォトダイオードや太陽電池などの光電変換素子を有して受光した照明光を電気信号に変換する光電変換部11と、光電変換部11の出力信号(受信信号)を増幅する増幅回路12と、増幅回路12で増幅された受信信号を電波を媒体とする無線信号で発信する発信部13とを備える。
【0019】
本体部20は、受光部10の発信部13から発信された無線信号を受信する受信部21と、受信部21で受信した受信信号から変調周波数の周波数成分を弁別するバンドパスフィルタ22と、バンドパスフィルタ22で弁別された周波数成分から元のデータ信号(照明器具から送信されたデータ信号)を復調する復調回路23と、本システムが設置されている介護施設や病院あるいは地下街等の地図情報並びに予め利用者毎に割り当てられた固有のID(利用者ID)や時刻と関連づけられた情報データベースを格納する記憶部24と、マイコンを主構成要素とし復調回路23で復調されたデータ信号から得られる位置情報を記憶部24に格納されている情報データベースと照合する処理や照合した結果から利用者に伝えるべき位置情報を適当な媒体(画像や音声など)で出力するための処理を行う制御部25と、制御部25で処理された位置情報を画像で表示する液晶表示器を具備した画像出力部26と、制御部24で処理された位置情報を電波を媒体とする無線信号で送信する送信部27と、制御部25に対して種々の設定を行うための設定部28とを備える。
【0020】
音声出力部30は、本体部20の送信部27から送信された無線信号を受信する受信部31と、受信部31で受信した受信信号から取得される位置情報を音声で出力する音声出力回路32とを備える。
【0021】
また本体部20は、図2に示すように衣服のポケットや鞄の中に収納可能なハウジング30を有し、箱状に形成されたハウジング30内に受信部21、バンドパスフィルタ22、復調回路23、記憶部24、制御部25、画像出力部26、送信部27が納められている。なお、ハウジング30の前面上部には画像出力部26が具備する液晶表示器の画面26aが露出し、前面下部には設定部28が具備する操作スイッチ28aが配設されている。
【0022】
一方、受光部10並びに音声出力部30は、図2に示すように人の頭部に装着される用具、例えば眼鏡(あるいはサングラス)40に取り付けられている。眼鏡40の中央部分(ブリッジ)に棒状の支持部材41が設けられ、この支持部材41の先端に受光部10が支持されている。支持部材41は、眼鏡40のブリッジから上方且つ前方へ傾斜する向きに突出しており、眼鏡40が人の頭部に装着された状態において光電変換部11が有する光電変換素子の光軸Aが鉛直上方に対して傾斜角θ(<90度)だけ前方へ傾けられている。なお、支持部材41を眼鏡40のブリッジに対して回動自在に取り付け、利用者Hの身長に応じて最適な傾斜角θに調整できるようにしても構わない。また眼鏡40のつる(テンプル)の部分に紐状の支持体42が設けられ、この支持体42の先端に音声出力部30が支持されている。但し、音声出力部30はイヤホン型のケースに受信部31並びに音声出力回路32を収納して構成されている。
【0023】
本実施形態の動作を説明する。眼鏡40を装着するとともに本体部20を携帯した利用者Hが、図3に示すように照明器具200の送信範囲(照明光が照射される範囲)に進入すると、支持部材41の先端に支持されている受光部10の光電変換部11で照明光を受光し、光電変換部11から出力され増幅器12で増幅された受信信号が発信部13から無線信号で発信される。発信部13から発信された無線信号が本体部20の受信部21で受信され、バンドパスフィルタ22で弁別された周波数成分から復調回路23により元のデータ信号(照明器具200から送信されたデータ信号)が復調されて制御部25に渡される。制御部25は、復調回路23で復調されたデータ信号から得られる位置情報を記憶部24に格納されている情報データベースと照合し、照合した結果から利用者Hに伝えるべき位置情報を適当な媒体(画像や音声など)で出力するための処理、例えば、利用者Hに現在の位置を知らせるための音声メッセージを作成したり、利用者Hの現在位置を地図上に重ね合わせた画像を作成する。そして、制御部25で作成された画像が画像出力部26に出力されて画面26aに表示されるとともに、制御部25で作成された音声メッセージが送信部27から無線信号で音声出力部30に送信される。音声出力部30では、受信部31で受信した信号を音声出力回路32が再生することにより利用者Hの耳に音声メッセージを届けることができる。なお、音声出力部30から出力される音声メッセージの音量、音質、繰り返し回数、速度などは本体部20の設定部28が有する操作スイッチ28aを操作することで利用者Hが自由に設定できる。
【0024】
上述のように受信機1を受光部10と本体部20と音声出力部30とに分離し、人の頭部に装着される用具(眼鏡40)において上方からの照明光が受光可能な位置に受光部10を設けているので、従来例のように利用者Hが受信機90を手に持たなくても照明器具200から照射される照明光を障害物(衣服や頭髪など)に遮られることなく確実に受光することができ、しかも、本体部20を衣服のポケットや鞄などに収納すれば、利用者Hは両手を自由に使うことができるから、視覚障害者や高齢者は勿論のこと、健常者においても歩行の安心、利便性の向上が図れる。また、頭部に装着される用具に受光部10を設けたことにより、受信機を手で持つ場合に比較して、天井に配設される照明器具200との距離が近づくから、受光可能な角度が多少大きくなっても直近の照明器具200の照明光が受光しやすくなるという利点がある。さらに従来のように受信機を手で持つ場合は受信機の方向がぶれやすく、歩行中に受信機を照明器具200の方へ向けることは特に障害者や高齢者には困難であるが、頭部に装着する用具に受光部10を設けることで受光部10のぶれが少なくできるという利点もある。但し、受光部10を設ける用具は眼鏡40に限定されるものではなく、人が頭部に装着するもの、特にヘッドホンあるいは帽子であっても構わない。
【0025】
また、眼鏡40のブリッジから上方且つ前方へ傾斜する向きに突出した支持部材41の先端に受光部10を設け、眼鏡40が人の頭部に装着された状態において光電変換部11が有する光電変換素子の光軸Aが鉛直上方に対して傾斜角θだけ前方へ傾けてあるので、利用者Hの歩行速度が大きい場合や、光電変換部11で受光してから画像出力部26で画像を表示したり音声出力部30から音声メッセージを出力するまでに比較的に長い遅延時間が生じた場合でも、照明器具200の真下を通る時点で情報(画像や音声メッセージ)が出力されることになる。
【0026】
さらに、音声出力部30が人の耳の近傍、すなわち、眼鏡40のつるの部分に支持体42で支持された状態で設けられているので、周囲騒音が比較的大きい環境下でも情報(音声メッセージ)を聞き取ることができ、しかも、音声出力部30をイヤホン型とすることで音声メッセージが他人に聞かれるのを防いで利用者Hのプライバシーを保護することができる。
【0027】
ところで、図4に示すように外部のサーバ70に情報データベース72を設け、電波あるいは光(可視光又は赤外光)を媒体とする無線通信によって本体部20の記憶部24に格納されている内容を更新するようにしてもよく、この場合、サーバ70と本体部20とに各々無線信号を送受信する送受信部71,29が設けられる。なお、本実施形態では受信機1と本体部20並びに本体部20と音声出力部30との間で電波を媒体とした無線信号を送受信する構成としたが、受信機1と本体部20又は本体部20と音声出力部30の少なくとも何れか一方を信号線で接続して有線通信を行うようにしても構わない。さらに、本体部20を眼鏡40の躯体(例えば、つるの部分)に内蔵する構成としても構わない。
【0028】
(実施形態2)
本実施形態の光伝送システムは、受光部10の発信部13から発信(送信)される無線信号を受信する無線信号受信手段と、無線信号受信手段で受信した無線信号に含まれるデータから情報を取得するとともに当該情報を画像や音声で出力する情報出力手段とを備えた端末50を有する点に特徴がある。但し、受信機1や照明器具200の構成及び動作は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
本実施形態における端末50は、図5に示すように基本的な構成が受信機1の本体部20と共通であって、受光部10の発信部13から発信された無線信号を受信する受信部51と、受信部51で受信した受信信号から変調周波数の周波数成分を弁別するバンドパスフィルタ52と、バンドパスフィルタ52で弁別された周波数成分から元のデータ信号(照明器具から送信されたデータ信号)を復調する復調回路53と、本体部20と共通の情報データベースを格納する記憶部54と、マイコンを主構成要素とし復調回路53で復調されたデータ信号から得られる位置情報を記憶部54に格納されている情報データベースと照合する処理や照合した結果から利用者に伝えるべき位置情報を適当な媒体(画像や音声など)で出力するための処理を行う制御部55と、制御部55で処理された位置情報を画像で表示する液晶表示器を具備した画像出力部56と、制御部55で処理された位置情報を音声で出力する音声出力部57と、制御部55に対して種々の設定を行うための設定部58とを備える。また端末50は、図6に示すように衣服のポケットや鞄の中に収納可能なハウジング60を有し、箱状に形成されたハウジング60内に各部51〜58が納められている。なお、ハウジング60の前面上部には画像出力部56が具備する液晶表示器の画面56aが露出し、前面下部には設定部58が具備する操作スイッチ58aが配設されている。
【0030】
上述のように構成される端末50は、例えば、利用者(視覚障害者や高齢者など)Hの保護者や介護者などの第三者が携帯するものであって、受信機1の本体部20で取得するのと同一の情報を取得することができる。すなわち、受光部10の発信部13から発信された無線信号が端末50の受信部51で受信され、バンドパスフィルタ52で弁別された周波数成分から復調回路53により元のデータ信号(照明器具200から送信されたデータ信号)が復調されて制御部55に渡される。制御部55は、復調回路53で復調されたデータ信号から得られる位置情報を記憶部54に格納されている情報データベースと照合し、照合した結果から利用者Hに伝えられた位置情報を適当な媒体(画像や音声など)で出力するための処理、例えば、利用者Hの現在位置を知らせるための音声メッセージを作成したり、利用者Hの現在位置を地図上に重ね合わせた画像を作成する。そして、制御部55で作成された画像が画像出力部56に出力されて画面56aに表示されるとともに、制御部55で作成された音声メッセージが音声出力部57で再生することにより、第三者は利用者Hと同じ音声メッセージを聞くことができる。
【0031】
而して、端末50によって利用者Hと同じ位置情報を共有するので、保護者や介護者などの第三者が利用者Hの居場所を把握することができて第三者の手間が省けるとともに安心感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態1における受信機を示すブロック図である。
【図2】同上における受信機の概略構成図である。
【図3】同上の動作説明図である。
【図4】同上における他の構成の受信機を示すブロック図である。
【図5】実施形態2における受信機を示すブロック図である。
【図6】同上における受信機の概略構成図である。
【図7】従来例における照明器具の点灯装置を示す概略回路構成図である。
【図8】従来例における受信機のブロック図である。
【図9】同上の動作説明図である。
【図10】同上の動作説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 受信機
10 受光部
11 光電変換部
20 本体部
30 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光にデータを重畳させて伝送する1乃至複数の照明器具と、照明光に重畳されたデータを受信する受信機とを有し、受信機は、照明光を受光して電気信号に変換する受光手段と、受光手段から出力する受信信号からデータを復調する処理手段とを備えた光伝送システムにおいて、受光手段は、人が頭部に装着して使用する用具において上方からの照明光が受光可能な位置に設けられたことを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
前記用具は、眼鏡、ヘッドホン、帽子の何れかであり、当該用具が人の頭部に装着された状態において受光手段の光軸が頭部前方に傾けられていることを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項3】
受信機は、処理手段で復調されたデータから得られる情報を音声に変換して出力する音声出力手段を備え、該音声出力手段が前記用具における人の耳の近傍に設けられたことを特徴とする請求項2記載の光伝送システム。
【請求項4】
処理手段で復調されたデータを無線信号で送信する無線信号送信手段を受信機に備え、無線信号送信手段から送信される無線信号を受信する無線信号受信手段と、無線信号受信手段で受信した無線信号に含まれる前記データから情報を取得するとともに当該情報を画像や音声で出力する情報出力手段とを備えた端末を有することを特徴とする請求項2記載の光伝送システム。
【請求項5】
照明光にデータを重畳させて伝送する1乃至複数の照明器具と、照明光に重畳されたデータを受信する受信機とを有する光伝送システムに用いられ、照明光を受光して電気信号に変換する受光手段と、受光手段から出力する受信信号からデータを復調する処理手段とを備えた光伝送システムの受信機において、受光手段は、人が頭部に装着して使用する用具において上方からの照明光が受光可能な位置に設けられたことを特徴とする光伝送システムの受信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−339879(P2006−339879A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160311(P2005−160311)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】