説明

光伝送システム及び接続切替え方法

【課題】
初期投資負担を軽減し、加入者の収容効率を上げる。
【解決手段】
センター局(10)には複数のOLT(Optical Line Terminal)(12−1〜12−n)を配備可能である。各PON光伝送路(60〜60)に1以上のONU(Optical Network Unit)(62−1〜62−m,・・・,62−1〜62−m)が接続する。光中継器(30)は、各OLT(12−1〜12−n)からの光ファイバ(20−1〜20−n)をPON光伝送路(60〜60)の指定される1以上に接続するマトリクススイッチ(38,52)を具備する。接続切替え計算装置(16)が、複数のPON光伝送路を接続ONU数の多い順に、最大収容数の範囲で1つのOLTに接続するように光中継器における光ファイバとPON光伝送路との接続を計算する。監視/制御装置(14)が計算結果に従いスイッチ制御装置(42)を介してマトリクススイッチ(38,52)を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システム及び接続切替え方法に関し、より具体的には、光伝送路の一部を複数の加入者側光終端装置(ONU:Optical Network Unit)が共用し、局側光終端装置(OLT:Optical Line Terminal)が当該複数の加入者側光終端装置を管理する、PON(Passive Optical Network)システムのような光伝送システムに関し、更には、そのような複数の光伝送路を1又は複数の局側光終端装置に選択的に接続する接続切替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、PONシステムにおいて、所定数のONUが接続する光伝送路を複数用意し、光スイッチにより、各光伝送路を複数のPON通信部のうちの所望のものに切替え接続可能にした構成が記載されている。トラヒックを監視した結果に基づき光スイッチを切り替えることで、ONUの収容の最適化を図り、帯域を有効に活用する。
【0003】
特許文献2,3には、ONUにより共用される光ファイバ上に光信号の再生中継装置を配置することで、伝送距離を延伸する技術が記載されている。再生中継装置にONU機能を持たせることで、新たな通信回線を用意すること無しに、OLT側から再生中継装置を制御可能にしている。
【0004】
特許文献4には、光バースト信号中継装置において、エラー状態の監視結果をPONプロトコルに準拠したフレームで送信するための通信制御LSIを設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−262018号公報
【特許文献2】特開2007−295506号公報
【特許文献3】特開2007−295507号公報
【特許文献4】特開2009−038508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PONシステムは、採用されるプロトコルに従い、1台のOLTに収容可能なONU数が限られている。伝送損失及び遅延により、伝送距離も限られる。PON伝送路は、収容されるONUで共用される光ファイバ(OLTに接続する光ファイバであり、共用光ファイバと呼ぶ))と、個々のONUに接続する光ファイバ(分岐光ファイバと呼ぶ)と、共用光ファイバと分岐光ファイバを光学的に接続する光スプリッタとからなる。上り光信号の伝送にTDMA方式を採用するPONシステムでは、上り帯域を確保する関係で、一部の分岐光ファイバを他の分岐光ファイバより著しく長くすることはできない。このような理由により、PONシステムでは、ユーザ数とその分布により、センター局には複数のOLTを設置しなければならないことが多い。
【0007】
当初からある程度以上の加入者(ONU)を見込める地域では、予め設置可能な数のOLTをセンター局に用意し、特許文献1に記載の技術を使うことで、個々の加入者(ONU)に広い帯域を確保させることが可能になる。
【0008】
しかし、長期的には加入者の増加が見込めるものの、当初の加入者数が少ない場合又は少ない加入者が広く分散して位置する場合、センター局に多くのOLTを予め設置することは、無駄であり、加入者収容効率が悪い。OLT自体の費用のみならず、その管理負担も発生する。
【0009】
本発明は、加入者の高い収容効率を実現する光伝送システム及び接続切替え方法を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光伝送システムは、センター局に配備される複数の局側光回線終端装置と、それぞれ1又は複数の加入者側光回線終端装置が接続する複数のPON光伝送路と、当該複数の局側光回線終端装置のそれぞれからの光伝送路を、当該複数のPON光伝送路の指定される1以上に接続可能な光中継器と、当該複数のPON光伝送路を、接続する加入者側光回線終端装置数の多い順に、最大収容数の範囲で1つの当該OLTに接続するように当該光中継器における当該光伝送路と当該PON光伝送路との接続を決定する手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る光伝送システムにおける接続切替え方法は、センター局に配備される複数の局側光回線終端装置と、それぞれ1又は複数の加入者側光回線終端装置が接続する複数のPON光伝送路と、当該複数の局側光回線終端装置のそれぞれからの光伝送路を、当該複数のPON光伝送路の指定される1以上に接続可能な光中継器とを具備する光伝送システムにおいて、当該複数のPON光伝送路を、接続する加入者側光回線終端装置数の多い順にソートするステップと、ソート後の当該複数のPON伝送路を順に、最大収容加入者数の範囲で1つの当該OLTに接続するように当該光中継器における当該光伝送路と当該PON光伝送路との接続を決定する決定ステップと、当該決定ステップの決定に従い、当該光中継器における当該光伝送路と当該PON光伝送路との接続を制御するステップとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、複数のPON光伝送路を可能な限り一台のOLTに一括収容するので、加入者収容効率が向上し、OLTの初期導入コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】接続切替え計算装置の計算フロー例である。
【図3】接続切替え前の説明例である。
【図4】接続切替え後の説明図である。
【図5】接続切替え計算装置の別の計算フロー例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。センター局10には、複数(本実施例ではn台)のOLT12(12−1〜12−n)を設置可能である。図1には設置可能なn台のOLT12−1〜12−nを全て図示してあるが、これは配線を図示するためであり、OLT12−1〜12−nは実際には、必要時にセンター局10に設置される。
【0016】
各OLT12−1〜12−nは、上流側ポートで上位ネットワークに接続し、下流側ポートで、光ファイバ20−1,20−nを介して光中継装置30に接続する。光中継装置30の詳細な構成は後述する。光中継装置30は、下流側にn個の光接続ポートを具備し、各光接続ポートにPON光伝送路60(60〜60)が接続する。各PON光伝送路60(60〜60)には、1台のOLTが収容可能な数以下のONU62(62−1〜62−m,・・・,62−1〜62−m)が接続する。ここでは説明の都合上、各PON光伝送路60(60〜60)にはm台のONU62−1〜62−m,・・・,62−1〜62−mを接続した状態を図示してあるが、一般的に各PON光伝送路60(60〜60)に接続するONU数は異なる。各PON光伝送路60(60〜60)は、周知の通り、光中継装置30に接続する共用光ファイバ64と、個々のONU62−1〜62−m(但し、i=1〜n)に接続する分岐光ファイバ66−1〜66−mと、共用光ファイバ64と分岐光ファイバ66−1〜66−mを光学的に接続する光スプリッタ68とからなる。
【0017】
センター局10には、OLT12−1〜12−nの他に、設置されるOLT12−1〜12−nを通過するトラヒックを監視し、光中継装置30での接続を切り替える監視/制御装置14を配置する。監視/制御装置14は、設置されるOLT12−1〜12−nを通過するトラヒックの監視結果から、どのPON光伝送路60〜60に何台のONU62−1〜62−m,・・・,62−1〜62−mが接続しているかを知ることができ、このようにして得られたONU情報を接続切替え計算装置16に供給する。接続切替え計算装置16は、監視/制御装置14からのONU情報に従い、どのPON光伝送路を、設置されているどのOLT12−1〜12−nに収容すべきかを計算し、計算結果を監視/制御装置14に供給する。監視/制御装置14は、接続切替え計算装置16の計算結果に接続切替えを指示する接続切替え制御信号を生成し、何れかのOLT12−1〜12−nに供給する。接続切替え制御信号を受けたOLT(例えば、OLT12−1)は、PONシステムの下り伝送フレームの所定タイムスロット又は空きタイムスロットに時分割多重で配置して、又は、PONシステムのプロトコルに従って、その接続切替え制御信号を光中継装置30に向け送信する。
【0018】
光中継装置30の構成と基本動作を説明する。光ファイバ20−1〜20−nは、それぞれ波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)光カプラ(光合分波器)32−1〜32−nに接続する。各光カプラ32−1〜32−nは、対応する光ファイバ20−1〜20−nからの下り光信号を、光/電気(O/E)変換器34−1〜34−nに供給する。O/E変換器34−1〜34−nは入力光信号を電気信号に変換する素子、いわゆる受光素子からなる。下り再生装置36−1〜36−nは、O/E変換器34−1〜34−nの出力電気信号からクロックを再生し、その再生クロックに従いO/E変換器34−1〜34−nの出力電気信号を3R再生する。3Rは、Re-shaping、Re-timing及びRe-generatingからなる。3R再生により、波形劣化に基づく伝送距離の制限を緩和でき、伝送距離を延長出来る。下り再生装置36−1〜36−nの出力信号はn×nのマトリクススイッチ38と通信装置40に供給される。
【0019】
マトリクススイッチ38は、スイッチ制御装置42の制御下で、n入力の何れかをn出力の何れかに接続する。マトリクススイッチ38は、1つの入力ポートが複数の出力ポートに接続できるが、複数の入力ポートが1つの出力ポートに接続することはできない。
【0020】
マトリクススイッチ38の各出力は、電気/光(E/O)変換器44−1〜44−nに入力する。各電気/光(E/O)変換器44−i(但し、i=1〜n)は、マトリクススイッチ38からの電気信号を光信号に変換し、その光信号を波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)光カプラ(光合分波器)46−iに供給する。E/O変換器44−1〜44−nはレーザダイオードからなる。光カプラ46−iは、E/O変換器44−iからの光信号をPON光伝送路60に供給し、この光信号は、PON光伝送路60を伝送して、ONU62−1〜62−mに入射する。
【0021】
ONU62−1〜62−mは、下り光信号とは異なる波長の上り光信号を出力する。ONU62−1〜62−mから出力される上り光信号は、それぞれ、PON光伝送路60〜60を伝送して、光中継装置30の光カプラ46−1〜46−nに入射する。各光カプラ46−1〜46−nは、PON光伝送路60〜60からの上り光信号を光/電気(O/E)変換器48−1〜48−nに供給する。O/E変換器48−1〜48−nは、O/E変換器34−1〜34−nと同様に、入力光信号を電気信号に変換する素子、いわゆる受光素子からなる。上り再生装置50−1〜50−nは、OLT12−i(例えば、OLT−1)のクロックに同期してO/E変換器48−1〜48−nの出力電気信号を3R再生する(OLT12−iのクロックに網同期させる)。3R再生により、上り光伝送に付いても、波形劣化に基づく伝送距離の制限を緩和でき、伝送距離を延長出来る。
【0022】
上り再生装置50−1〜50−nの出力信号はn×nのマトリクススイッチ52に供給される。マトリクススイッチ52は、複数の入力ポートが1つの出力ポートに接続できるが、1つの入力ポートが複数の出力ポートに接続することはできない。マトリクススイッチ52は、マトリクススイッチ38によるOLT12−1〜12−nとPON光伝送路60〜60nとの接続関係と同じ接続関係になるように、スイッチ制御装置42により制御される。マトリクススイッチ38,52による接続切替えの詳細は、後述する。
【0023】
マトリクススイッチ52のn個の出力信号はそれぞれ、多重装置54を介して電気/光(E/O)変換器56−1〜56−nに入射する。多重装置54は、通信装置40からのスイッチステータス信号をセンター局10に返信するために、マトリクススイッチ52の特定のポートの出力信号(例えば、OLT12−1に向けた上り信号)に多重し、それ以外は、マトリクススイッチ52の出力信号をそのまま出力する。
【0024】
各電気/光(E/O)変換器56−i(但し、i=1〜n)は、多重装置54からの電気信号を光信号に変換し、光カプラ32−iに供給する。例えば、E/O変換器56−1は、マトリクススイッチ52からの電気信号に通信装置40からのスイッチステータス信号を多重した信号を光信号に変換し、その他のE/O変換器56−i(但し、i=2〜n)は、マトリクススイッチ52の対応するポートの出力電気信号を光信号に変換する。E/O変換器56−1〜56−nはレーザダイオードからなる。
【0025】
光カプラ32−i(但し、i=1〜n)は、E/O変換器56−iからの光信号を光ファイバ20−iに供給し、この光信号は、光ファイバ20−iを伝送して、OLT12−iに入射する。
【0026】
各OLT12−1〜12−nは、管理下にあるONUからの上り信号を上位ネットワークに転送し、通信装置40からのスイッチステータス信号を監視/制御装置14に供給する。監視/制御装置14は、通信装置40からのスイッチステータス信号により、接続切替え制御信号によるマトリクススイッチ38,52の制御結果を確認する。
【0027】
通信装置40は、下り再生装置36−1〜36−nの出力信号から、マトリクススイッチ38に対する接続切替え制御信号を抽出して、スイッチ制御装置42に供給する。スイッチ制御装置42は、通信装置40からの接続切替え制御信号に従い、OLT12−1〜12−nとPON光伝送路60〜60との対応を維持しつつ、マトリクススイッチ38,52を切り替える。例えば、OLT12−iとPON光伝送路60とを接続すべきときには、マトリクススイッチ38が、下り再生装置36−iの出力信号をE/O変換器44−kに供給し、マトリクススイッチ52は、上り再生装置50−kの出力信号を、多重装置54を介してE/O変換器56−iに接続する出力ポートから出力する。
【0028】
本実施例では、仮に各PON光伝送路60〜60に1台のONUしか接続していない場合でも、すなわち、n台のONUを収容する必要がある場合でも、nがPONシステムの収容可能台数以下であれば、1台のOLTをセンター局10に設置するだけで済む。すなわち、初期に導入するOLT台数が従来であればn台であるところ、本実施例では1台で済むので、初期導入費用を削減出来る。
【0029】
マトリクススイッチ38,52の切替え制御に関する動作を説明する。本実施例では、デフォルトで、OLT12−1が、通信装置40との間で接続切替え制御信号とステータス信号を送受信するとしている。基準クロックもOLT12−1から抽出するものとする。しかし、光ファイバ20−1で通信障害が生じることがありうる。これに備えて、本実施例では、通信装置40の通信相手を変更可能とした。例えば、光ファイバ20−1で通信障害が検出されると、スイッチ制御装置42は、通信装置40に別のOLT(例えば、OLT12−2)を通信相手とするように指示する。通信装置40は、この指示に従い、通信相手の変更を、多重装置54を介してOLT12−2に通知する。以後、OLT12−2がマトリクススイッチ38,52の接続切替え制御信号を光中継装置30(の通信装置40)に送信する。更に光ファイバ20−2でも通信障害が検出されると、OLT12−3を通信相手に変更する。
【0030】
接続を切り替える際に、OLT12−1〜12−nは、収容しているONUとの間のリンクが断となり、接続切替え後に再度、ONUを登録し、PON通信確立の処理を実行する必要がある。各PON光伝送路60〜60がどのOLTに接続されても、直ちにONUの登録処理を行えるようにするには、全PON光伝送路60〜60に接続するONU62−1〜62−m〜62−1〜62−mを覚えておく必要がある。本実施例では、監視/制御装置14が、この役割を担う。
【0031】
監視/制御装置14は、加入者数(ONU数)の増減を検知するか、上位ネットワークから指示されると、新たな加入者数に対応する加入者情報と共に、接続切替えの計算を接続切替え計算装置16に指示する。接続切替え計算装置16は、図2に示すフローに従い、マトリクススイッチ38,52の新たな接続関係を計算する。
【0032】
図2は、複数のOLTが配備されている状況で、使用するOLTを最小するように、全PON光伝送路60〜60に接続するONU62−1〜62−m,・・・,62−1〜62−mをどのOLTの配下に入れるかを決定する動作フローチャートを示す。接続切替え計算装置16が、図2に示すフローに従い、各ONUの接続先となるOLTを決定する。
【0033】
まず、計算の基礎となるパラメータを決定する(S1)。加入者(具体的にはONU)が接続している光伝送路60の数を変数kとし、1つのOLTに収容可能な最大加入者数をMとする。
【0034】
監視/制御装置14から加入者情報を取得する(S2)。加入者情報は、各PON光伝送路60〜60に接続しているONUの台数の情報からなる。加入者数の多い順にPON光伝送路60〜60を並べる(S3)。1台のOLTに、より多くのONUを収容するためである。
【0035】
利用可能なOLT12−1〜12−nを適当な順番で並べた場合の、最初のOLT(例えば、OLT12−1)を接続先OLTとして指定する(S4)。
【0036】
接続先OLTへの接続を検討する対象となる光伝送路を特定するループ変数pに1を代入する(S5)。変数pで特定される光伝送路に接続するONUを接続先OLTに接続した場合に、接続先OLTに接続するONU数が上限値Mを越えるか否かを調べる(S6)。最初では、通常、Mを越えることは無いが、上限値Mを越える場合には(S6)、接続先OLTを未検討の次のOLTに変更し(S7)、新たな接続先OLTに対して上限値を超えるか否かを調べる(S6)。
【0037】
接続先OLTに接続する余裕がある場合(S6)、変数pで特定される光伝送路に接続するONUを接続先OLTに割り当てる(S8)。すなわち、先に説明したマトリクススイッチ38,52の接続切替えにより、接続先OLTが、変数pで特定される光伝送路に接続するONUを収容することになる。
【0038】
変数pがPON光伝送路60の数k以下の場合(S9)、変数pをインクリメントして(S10)、ステップS6に戻る。すなわち、未検討の次の光伝送路を検討対象として接続先OLTへの接続の可否を判断する。
【0039】
変数pがPON光伝送路60の数kを越えると(S9)、全PON光伝送路60を検討したことになるので、終了する。そして、接続切替え計算装置16は、このようにして得られた接続割り当て関係を示す計算結果を監視/制御装置14に送信する(S11)。
【0040】
監視/制御装置14は、接続切替え計算装置16からの計算結果を参照し、マトリクススイッチ38,52で接続切替えが必要な経路のみの接続切替え制御信号を生成し、指定のOLT(例えば、OLT12−1)及び通信装置40を介してスイッチ制御装置42に送信する。スイッチ制御装置42は、この接続切替え制御信号に従いマトリクススイッチ38,52の接続を切り替える。切替え結果を示すステータス信号又はマトリクススイッチ38,52の接続状態を示すステータス信号が、通信装置40及び多重装置54等を介して、監視/制御装置14に送信される。
【0041】
図3は、センター局10に4台のOLT及び4つの光伝送路を収容可能な場合の、マトリクススイッチ38,52の接続例を示す。理解を容易にするために、必須の要素のみを図示してある。ここでは、1台のOLTが64台のONUを収容出来るPONシステムを採用しているとする。
【0042】
図3に示す例では、PON光伝送路60にONUが30台接続し、PON光伝送路60にONUが18台接続し、PON光伝送路60にONUが12台接続し、PON光伝送路60にONUが4台接続している。この条件下では、1台のOLTが全部のONUを収容出来るので、マトリクススイッチ38,52は太実線で示すように、光ファイバ20−1に全PON光伝送路60〜60を接続する。この状態では、本来、OLT12−2〜12−4をセンター局10に設置する必要が無く、予備的に配備されるにすぎない。
【0043】
ここで、PON光伝送路60に10台のONUが追加されるとする。すると、1台のOLT12−1で対応出来ないのは明らかであるので、OLT12−2をセンター局に配備する。配備済みであれば、電源を投入すればよい。
【0044】
PON光伝送路60に接続するONU数がPON光伝送路60に接続するONU数を越えている。従って、図2に示すフローに従う計算によると、PON光伝送路60,60に接続するONUをOLT12−1に割り当てた後で、ステップS6において、PON光伝送路60に接続するONUをOLT12−1に収容可能かどうかを判断することになる。OLT12−1に収容済みのONU数が48(=30+18)であるのに対し、PON光伝送路60に接続するONU数が14であるので、合計は64を越えない62となり、PON光伝送路60に接続するONUをOLT12−1に収容できる。
【0045】
次に、PON光伝送路60に接続するONUをOLT12−1に収容できるかどうかを判定するが、合計が64を越える74となるので、別のOLT12−2に、PON光伝送路60に接続するONUを収容することになる。
【0046】
すなわち、図4に示すように、PON光伝送路60を光ファイバ20−2に接続するように、マトリクススイッチ38,52の接続を切り替える。
【実施例2】
【0047】
マトリクススイッチ38,52の切替えは、ONUをOLTに登録する作業の仕切り直しを伴い、既存のONUにネットワーク接続の一時的な断をもたらす。図5は、マトリクススイッチ38,52の切替え頻度を低減する、接続切替え計算装置16の動作フローチャートを示す。
【0048】
まず、計算の基礎となるパラメータを決定する(S21)。加入者(具体的にはONU)が接続している光伝送路60の数を変数kとし、1つのOLTに収容可能な最大加入者数をMとし、収容対象となる全ONU数をTとする。
【0049】
監視/制御装置14から加入者情報を取得する(S22)。加入者情報は、各PON光伝送路60〜60に接続しているONUの台数の情報からなる。
【0050】
接続切替えを実行する必要があるかどうかを調べる(S23)。例えば、加入者数が増加したとして、何れのOLTにおいても最大収容加入者Mを越えることが無ければ、マトリクススイッチ38,52における接続を切り替える必要が無い。換言すると、加入者の増加により上限値Mを越えるOLTがあるかどうかを調べる。そのようなOLTが存在しない場合(S23)、接続切替え計算装置16は、切替え不要を監視/制御装置14に送信する(S24)。
【0051】
接続切替えを実行する必要がある場合(S23)、[T/M]を計算し、必要になるOLT数N(T)を計算する(S25)。N(T)=[T/M]である。[]は天井関数を示し、与えられた値より大きい整数か等しい整数のうち、最も小さい整数を出力する関数である。
【0052】
ONUが接続しているPON光伝送路60を加入者数(ONU数)の降順でソートする(S26)。これは、後述するように、加入者数の多い光伝送路から順に収容加入者の少ないOLTに割り当てるためである。考慮対象の光伝送路を示す変数pに1を代入する(S27)。このとき、pは、最も加入者数の多いPON光伝送路60を示す。加入者数が同数の光伝送路がある場合には、それらを適当な基準で並べれば良い。
【0053】
N(T)のOLT12−1〜12−nのうち、収容加入者数の最も少ないOLTを選択し、そのOLTに、変数pが示す光伝送路のONUを割り当てる(S28)。この割り当て(S28)を、収容する必要のあるONUを有する光伝送路について、順次、繰り返す(S29,S30)。すなわち、pがkを越えない限り(S29)、pをインクリメントし(S30)、ステップS28を実行する。
【0054】
最初にステップS28を実行する段階で、収容加入者数の最も少ないOLTは、ステップS28を実行した後では、最も収容加入者数の多いOLTになっているので、2回目にステップS28を実行する段階では、選択されない。
【0055】
kがN(T)より大きい場合、複数回、ステップS28の対象となるOLTが存在する。そのOLTには、ONU数が多い方の光伝送と、ONU数が少ない方の光伝送路が割り当てられることになり、その結果として、平均的なONU数のONUを収容することになる。これは、次回の接続切替えの際に、接続切替えを実行しなければいけない確率を低減させる。
【0056】
k個のPON光伝送路60を検討し終えたら(S29)、接続切替え計算装置16は、このようにして得られた接続割り当て関係を示す計算結果を監視/制御装置14に送信する(S31)。
【0057】
監視/制御装置14は、接続切替え計算装置16からの計算結果を参照し、マトリクススイッチ38,52で接続切替えが必要な経路のみの接続切替え制御信号を生成し、指定のOLT(例えば、OLT12−1)及び通信装置40を介してスイッチ制御装置42に送信する。スイッチ制御装置42は、この接続切替え制御信号に従いマトリクススイッチ38,52の接続を切り替える。切替え結果を示すステータス信号又はマトリクススイッチ38,52の接続状態を示すステータス信号が、通信装置40及び多重装置54等を介して、監視/制御装置14に送信される。
【0058】
なお、ステップS28で何れかのOLTで収容可能ONU数Mを越える場合、Nをインクリメントして、ステップS27以降を繰り返せば良い。
【0059】
上記実施例では、マトリクススイッチ38,52に対する接続切替え制御信号をPONシステムの下り光信号に多重し、マトリクススイッチ38,52のステータス信号をPONシステムの上り光信号に多重したが、監視/制御装置14と通信装置40を専用の通信線、例えば光ファイバで接続しても良いことは勿論である。このケースでは、専用通信線を敷設するコストが増加するものの、光中継装置30において、接続切替え制御信号の分離機構と、ステータス信号の多重機能が不要になる。
【0060】
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10:センター局
12−1〜12−n:OLT
14:監視/制御装置
16:接続切替え計算装置
20−1,20−n:光ファイバ
30:光中継装置
32−1〜32−n:波長分割多重光カプラ
34−1〜34−n:光/電気(O/E)変換器
36−1〜36−n:下り再生装置
38:マトリクススイッチ
40:通信装置
42:スイッチ制御装置
44−1〜44−n:電気/光(E/O)変換器
46−1〜46−n:波長分割多重光カプラ
48−1〜48−n:光/電気(O/E)変換器
50−1〜50−n:上り再生装置
52:マトリクススイッチ
54:多重装置
56−1〜56−n:電気/光(E/O)変換器
60(60〜60):PON光伝送路
62−1〜62−m,・・・,62−1〜62−m:ONU
64:共用光ファイバ
66−1〜66−m:分岐光ファイバ
68:光スプリッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター局(10)に配備される複数の局側光回線終端装置(OLT:Optical Line Terminal)と、
それぞれ1又は複数の加入者側光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)が接続する複数のPON光伝送路(60〜60)と、
当該複数の局側光回線終端装置のそれぞれからの光伝送路(20−1〜20−n)を、当該複数のPON光伝送路(60〜60)の指定される1以上に接続可能な光中継器(30)と、
当該複数のPON光伝送路を、接続する加入者側光回線終端装置数の多い順に、最大収容数の範囲で1つの当該OLTに接続するように当該光中継器における当該光伝送路と当該PON光伝送路との接続を決定する手段(14,16)
とを具備することを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
センター局(10)に配備される複数の局側光回線終端装置(OLT:Optical Line Terminal)と、
それぞれ1又は複数の加入者側光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)が接続する複数のPON光伝送路(60〜60)と、
当該複数の局側光回線終端装置のそれぞれからの光伝送路(20−1〜20−n)を、当該複数のPON光伝送路(60〜60)の指定される1以上に接続可能な光中継器(30)
とを具備する光伝送システムにおいて、
当該複数のPON光伝送路を、接続する加入者側光回線終端装置数の多い順にソートするステップと、
ソート後の当該複数のPON伝送路を順に、最大収容加入者数の範囲で1つの当該OLTに接続するように当該光中継器における当該光伝送路と当該PON光伝送路との接続を決定する決定ステップと、
当該決定ステップの決定に従い、当該光中継器における当該光伝送路と当該PON光伝送路との接続を制御するステップ
とを具備することを特徴とする光伝送システムの接続切替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−23844(P2011−23844A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165204(P2009−165204)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】