説明

光伝送装置及び光伝送方法

【課題】波長多重された信号光について波長毎に同一波長の信号光を複数の方路へ送信する。
【解決手段】光伝送装置は、入力光を波長に応じて第1方向に分光する分光素子と、第1方向および第1方向に直交する第2方向に配列され、反射角度が可変な複数の反射面を有し、第1方向に分光された入力光が入射される反射面アレイと、第2方向に配列される複数のポートと、第1方向に分光された入力光の所定の波長帯が入射される各反射面の反射角度を、反射面アレイを第2方向に分割した領域毎に異なるポートに反射光が出力するように、それぞれ個別の角度に制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の送信先に光信号を分配する光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、WDM(Wavelength Division Multiplexing)リングの接続には、光スイッチを用いる。光スイッチは、光伝送路内で光路を切り替えるための光デバイスであり、物理ポートに、例えば、WDMリングを接続することによって複数のWDMリングを接続する。光スイッチは、受信した光信号を、含有される複数の波長帯域に分割して、分割した光信号をそれぞれの波長に応じた送信先に出力する。光スイッチによって光信号を分配する際には、受信した光信号(又は波長帯域毎に分割した光信号)を全ての出力ポート(接続されるWDMリング)から出力するか、受信した光信号(又は波長帯域毎に分割した光信号)を一つの出力ポートから出力するか、のいずれかであった。以降、本明細書においては、受信した光信号を全ての出力ポートから出力することを“ブロードキャスト”と称する。また、以降、本明細書においては、受信した光信号を一つの出力ポートから出力することを“ユニキャスト”と称する。
【0003】
図18は、複数のWDMリングを接続する光スイッチによる光信号のブロードキャストの例を示す図である。図18に示される例では、光スイッチP1は、リングAと、リングBと、リングCと、リングDとを接続する。光スイッチP1は、光カプラ(図18中、CPL)を備え、受信した光信号を同じ信号のまま複数の送信先に送信する。図18では、光スイッチP1は、リングAから波長λ1から波長λ40までの40種類の波長(以下、波長λ1−40)を含む光信号を受信し、受信した光信号と同じ波長λ1−40を含む光信号をリングA以外の全てのリング(リングB,リングC,リングD)に送信する。なお、図18に示される波長λ1−40とは、異なる波長を識別するために便宜的に波長に番号を割り振ったものであって、波長の帯域を示す数値ではない。また、波長λ1−40は、波長の小さいものから順に番号を割り振ったものである。また、図18において、波長の種類が40種類に限定されるわけではない。
【0004】
しかしながら、例えば、図18において、リングB,リングC,リングDで各リングを使用する顧客が異なる場合には、以下のような問題があった。各リングを使用する顧客が異なる場合には、リングAから受信される光信号をリングB,リングC,リングDにブロードキャストで送信することは、顧客へのセキュリティの面で実施が困難である。そのため、各リングを使用する顧客が異なる場合には、リングB,リングC,リングDに送信される光信号の波長が重複しないようにする必要がある。
【0005】
図19は、複数のWDMリングを接続する光スイッチによる光信号のユニキャストの例を示す図である。図19に示される例では、光スイッチP2は、図18と同様に、リングAと、リングBと,リングCと,リングDとを接続する。光スイッチP2は、WSS(Wavelength Select Switch)を備え、複数の送信先へ任意の波長を送信することができる。図19では、光スイッチP2は、リングAから波長λ1−40を含む光信号を受信し、受信した光信号のうち、波長λ1−10をリングBに、波長λ11−15,20をリングCに、波長λ16−19,21−40をリングDに送信する。図18に示されるように、ユニキャストで送信する場合には、リングB,リングC,リングDとで使用する顧客が異なる場合でも、リングB,リングC,リングDに送信される光信号の波長に重複がないため、セキュリティ上の問題が無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−243571号公報
【特許文献2】特開2005−283932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方で、例えば、波長λ1−10の光信号を、リングBとリングCとに送信し、リングDには送信しないという場合もあった。このように、光スイッチに接続される複数のリングのうちの少なくとも2つのリングに同じ光信号が送信されることを、本明細書では、“マルチキャスト”と称する。しかしながら、光信号のマルチキャストには、以下のような問題があった。
【0008】
図20は、図19に示される光ネットワークにおいて、波長λ1−10の光信号をリングBとリングCとに送信する場合の構成例を示す図である。図20に示される例では、波長λ1−10の光信号をリングBとリングCとに送信するために、例えば、一つの方法として、リングA上にWSSを備える光スイッチP3を追加する。この追加された光スイッチP3が波長λ1−10の光信号をリングCに送信することによって、リングBとリングCとに波長λ1−10の光信号が届く。
【0009】
図21は、図19に示される光ネットワークにおいて、波長λ1−10の光信号をリングBとリングCとに送信する場合の構成例を示す図である。図21に示される例では、波長λ1−10の光信号をリングBとリングCとに送信するために、例えば、一つの方法として、リングB上にWSSを備える光スイッチP4を追加する。この追加された光スイッチP4が、リングBから受信した波長λ1−10の光信号をリングCに送信することによって、リングCにも波長λ1−10の光信号が届く。
【0010】
図20及び図21の何れの方法においても、新たに光スイッチを追加する必要があり、新規追加ノードの為の配置スペース(シェルフ,ユニット等),接続するための光ファイバ数,設定の為のコマンド数等が多くなる。そのため、初期費用,運用コスト,管理コスト等が増大してしまう。また、ネットワーク設計が複雑になってしまう。
【0011】
また、図21に示される例のように、リングBにWSSを備えるスイッチP4を追加してリングCに波長λ1−10の信号を送信する場合には、直接リングAからリングCに送信する場合に比べて信号遅延の要因となるおそれがある。以上のように、リングネットワークを例に説明したが、リニアネットワークなど他のネットワークにおいても同様の課題を有する。
【0012】
本発明の一態様は、波長多重された信号光について波長毎に同一波長の信号光を複数の方路へ送信可能な光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様の一つは、光伝送装置である。この光伝送装置は、
入力光を波長に応じて第1方向に分光する分光素子と、
前記第1方向および第1方向に直交する第2方向に配列され、反射角度が可変な複数の反射面を有し、前記第1方向に分光された入力光が入射される反射面アレイと、
前記第2方向に配列される複数のポートと、
前記第1方向に分光された入力光の所定の波長帯が入射される各反射面の反射角度を、前記反射面アレイを前記第2方向に分割した領域毎に異なるポートに反射光が出力するように、それぞれ個別の角度に制御する制御部と、
を備える。
【0014】
本発明の他の態様の一つは、上述した光伝送方法である。また、本発明の他の態様は、コンピュータを情報処理装置として機能させる光伝送プログラム、及び当該光伝送プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含むことができる。コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体には、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0015】
開示の光伝送装置によれば、波長多重された信号光について波長毎に同一波長の信号光を複数の方路へ送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態における光ネットワークの設計例を示す図である。
【図2】WDM伝送装置の概略構成例を示す図である。
【図3】WDM伝送装置のDrop部の構成例を示す図である。
【図4A】ミラーアレイに入射する波長λ1−40の各チャネルに分光された光信号の入射範囲の例を示す図である。
【図4B】図4AのX軸に平行な直線Aでの信号強度の断面図の例である。
【図4C】図4AのY軸に平行な直線Bでの信号強度の断面図の例である。
【図5】X軸割り当て情報の例を示す図である。
【図6】Y軸割り当て情報の例を示す図である。
【図7】ミラーアレイのミラー制御処理のフローチャートの例である。
【図8】WDM伝送装置において、波長λ1−40に対するミラーの割り当てと光信号強度分布との例を示す図である。
【図9】第2実施形態におけるミラーアレイのミラー制御処理のフローチャートの例である。
【図10A】図9のOP13の処理の完了時点の、仮決定された波長λ1−40の各チャネルのミラー割り当ての例を示す図である。
【図10B】図9のOP17の処理の完了時点の、最終決定の波長λ1−40の各チャネルのミラーの割り当ての例を示す図である。
【図11】第3実施形態におけるWDM伝送装置のDrop部の構成例である。
【図12】データベースに記憶される光パワーレベル制限情報の例を示す図である。
【図13】第3実施形態におけるミラーアレイのミラー制御処理のフローチャートの例である。
【図14A】ミラーアレイのミラー割り当ての初期設定の一例を示す図である。
【図14B】図13のOP33の処理の完了時点の、仮決定された波長λ1−40の各チャネルのミラー割り当ての例を示す図である。
【図14C】反射光の光パワーレベルが目標範囲外であった分割領域の変更量を半分にした場合の、波長λ1−40の各チャネルのミラー割り当ての例を示す図である。
【図15】第4実施形態におけるWDM伝送装置のDrop部の構成例を示す図である。
【図16】データベースに記憶される増幅レベル変更情報の例を示す図である。
【図17】第4実施形態におけるミラーアレイのミラー制御処理のフローチャートの例である。
【図18】複数のWDMリングを接続する光スイッチによる光信号のブロードキャストの例を示す図である。
【図19】複数のWDMリングを接続する光スイッチによる光信号のユニキャストの例を示す図である。
【図20】図19に示される光ネットワークにおいて、波長λ1−10の光信号をリングBとリングCとに送信する場合の構成例を示す図である。
【図21】図19に示される光ネットワークにおいて、波長λ1−10の光信号をリングBとリングCとに送信する場合の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における光ネットワークの設計例を示す図である。光ネットワーク100は、WDMリングであるリングA,リングB,リングC,リングDを含む。リングAには、WDM伝送装置50が接続されている。リングBには、WDM伝送装置60が接続されている。リングCには、WDM伝送装置70が接続されている。リングDには、WDM伝送装置80が接続されている。リングA上のWDM伝送装置50には、リングB,リングC,リングDが接続されている。すなわち、WDM伝送装置50は、WDM伝送装置60と、WDM伝送装置70と、WDM伝送装置80とに接続している。
【0019】
図1に示される光ネットワーク100では、リングAから波長λ1−40のチャネルを含む光信号がWDM伝送装置50に入力され、リングB(WDM伝送装置60)に波長λ1−10のチャネル,リングC(WDM伝送装置70)に波長λ1−20のチャネル,リングDに波長λ21−40のチャネルが送信されるように設計されている。すなわち、光ネットワーク100において、波長λ1−10のチャネルは、WDM伝送装置50によって、リングBとリングCとにマルチキャストで送信される。
【0020】
図2は、WDM伝送装置の概略構成例を示す図である。WDM伝送装置50は、Add/Drop部52と、光アンプ51−1と、光アンプ51−2とを含む。Add/Drop部52は、独立してネットワークに接続される単体の装置であってもよいし、通信装置のスロットに装着されるスロットカードであってもよい。Add/Drop部52の前段には、光アンプ51−1が接続されている。Add/Drop部52の後段には、光アンプ51−2が接続されている。これは、光信号の伝送による減衰の為である。Add/Drop部52は、Drop部1とAdd部2とを含む。なお、光アンプ51−1および光アンプ51−2は必要に応じて設ければよく、本発明においてはなくてもよい。
【0021】
Drop部1は、受信した光信号を各チャネルに分岐し、他のリング(WDM伝送装置)に送信する。Drop部1は、例えば、WSS(Wavelength Select Switch)とWSSを制御するための制御回路とを含む電子回路である。
【0022】
Add部2は、リングA上を伝送する光信号に他のリングから受信したチャネルを挿入する。Add部2は、例えば、WSSとWSSを制御するための制御回路とを含む電子回路である。
【0023】
WDM伝送装置50には、図2では図示されていないが、Drop部1,Add部2に加えて、複数の入力ポート,複数の出力ポート等が備えられている。
【0024】
なお、WDM伝送装置60,WDM伝送装置70,WDM伝送装置80も、WDM伝送装置50と同様にそれぞれDrop部とAdd部と光カプラとを有している。ただし、Drop部及びAdd部は、WSSに限られず、光信号を合分光可能な素子又は素子の組み合わせであればよい。
【0025】
図3は、図2におけるWDM伝送装置50のDrop部1の構成例を示す図である。W
DM伝送装置50のDrop部1は、WSS11,領域決定部12,X軸制御部13,Y軸制御部14,データベース15を含む。ここで、領域決定部12,X軸制御部13,Y軸制御部14は、例えば、回路、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、プロセ
ッサの少なくともいずれかを用いて構成され、この点は以降に示す実施例においても同様である。
【0026】
WSS11は、入出力ポートやコリメータ等を有する入出力光学系111(入力光学系及び出力光学系),回折格子112,レンズ113,ミラーアレイ114を含む。回折格子112は、波長多重された光信号をチャネル毎に分光するための分光素子である。回折格子112によって分光された光信号は、チャネル毎に異なる方向に分散する。第1実施形態では、回折格子112によって分光された光信号がチャネル毎に分散する方向(光帯域方向)をX軸と定める。X軸は、態様における第1方向の一例である。
【0027】
ミラーアレイ114は、矩形に配列された複数のミラーを含む。ミラーアレイ114は、例えば、LCOS(Liquid Crystal Silicon),DSP(Digital Light Processing),MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によるミラーアレイ等である。ミラーアレイ114の矩形の一辺は、X軸として定められる回折格子112によって分光された光信号が分散する方向に対応している。さらに、本明細書では、ミラーアレイ114のX軸に対応する辺に直交する辺の方向をY軸と定める。Y軸は、態様における第2方向の一例である。ミラーアレイ114に含まれる各ミラーは、X軸を回転軸とする回転角度を調整可能である。すなわち、ミラーアレイ114に含まれる各ミラーは、X軸に直交する面内で入力光信号の入射方向に対する反射角度を制御可能である。したがって、ミラーアレイ114は、各ミラーの反射角を制御することによって、X軸に垂直な面内で光信号の反射する方向を制御する。ミラーアレイ114に含まれるミラーによって生成される領域を、以降、ミラー領域と称する。このミラー領域は、ミラー単位で分割することができ、分割されたミラー領域を、以降、分割領域と称する。
【0028】
入出力光学系111の配列方向は、Y軸に対応する。ここで、入出力光学系111のうち入力光信号がミラーアレイ114に入力するものを入力光学系111aとし、入出力光学系111のうち入力光信号がミラーアレイ114で反射された反射光が出力されるものを出力光学系111bとする。出力光学系111bは、X軸に直交する面内でミラーアレイ114からそれぞれ制御された角度の反射信号を受光可能に配列されている。図3では、入力ポート120と、出力ポート101,102,103とが示され、これらにそれぞれ接続する入力光学系111aと出力光学系111bが示される。入力ポート120は、リングAに接続する。出力ポート101は、リングBに接続する。出力ポート102は、リングCに接続する。出力ポート103は、リングDに接続する。なお、WSS11の入力光学系111aは、1つでありリングAに接続する入力ポートである。WSS11の出力光学系111bは、リングBに接続する出力ポート101,リングCに接続する出力ポート102,リングDに接続する出力ポート103である。すなわち、WDM伝送装置のDrop部1の出力光学系111bは、自装置が属するリングに接続する出力ポート以外の出力ポートに該当する。また、WDM伝送装置に備えられる出力ポート数をnとすると、出力光学系111bのポート数はn−1個である。以降、単に、“出力ポート”との表記は、出力光学系111bのことを示す。また、出力光学系111bとしての“出力ポート”を区別する際には、出力光学系111bが接続する出力ポートの符号を用いることとする。例えば、以降、“出力ポート101”と表記される場合には、出力ポート101に接続する出力光学系111bのことを示す。
【0029】
入力ポート120からの入力光信号は、入力光学系111aを通じて回折格子112に入射し、X軸方向に各チャネルに分散される。回折格子112によって各チャネルに分散された光信号はレンズ113によって屈折され、ミラーアレイ114に入射する。ミラー
アレイ114の各ミラーのX軸を回転軸とする回転角度を変化させることによって、チャネル毎に出力ポートのうちのいずれか一つに振り分けることができる。
【0030】
図4Aは、ミラーアレイ114に入射する波長λ1−40の各チャネルに分光された光信号の入射範囲の例を示す図である。図4Aには、ミラーアレイ114の反射面、すなわち、光信号が入射する方向から見た場合のミラーアレイ114が示されている。また、図4Aに示される一つの長方形がミラーアレイ114に含まれるミラーの1つを示す。また、図4Aの波長λ1−40を囲む楕円系の曲線は、それぞれの波長λ1−40の光信号の入射範囲を示している。なお、図4Aでは、便宜的に、反射面は平面として表示されているが、実際には、各ミラーは、波長λ1−40のいずれのチャネルの反射光も出力ポートに入射されるように、Y軸を回転軸としてXY平面に対して所定の角度だけ傾いている。また、各ミラーのX軸を回転軸とするXY平面に対する角度は、割り当てられるチャネルの送信先となる出力ポートに応じて制御される。
【0031】
図4Aに示されるミラーアレイ114の反射面の左上を原点Oとする。図4Aでは、水平方向をX軸、垂直方向をY軸とする。また、原点Oから右方向が+X軸方向とする。また、原点Oから下方向が+Y軸方向とする。
【0032】
回折格子112によって分光された入力光は、波長の小さいチャネルから順にX軸方向に分光される。そのため、図4Aに示される波長λ1−40の各チャネルの光信号の強度分布は、波長λ1から順に+X軸方向に現れる。光信号は、変調によるサイドバンドの発生や雑音等により、周波数スペクトルに広がりが発生する。そのため、図4Aに示される各チャネルに分光された光信号の強度分布もX軸方向に広がりを持つ。各チャネルのX軸方向の強度分布の広がりは、光信号の変調方式,変調速度等に依存する。
【0033】
図4Bは、図4AのX軸に平行な直線Aでの信号強度の断面図の例である。図4Cは、図4AのY軸に平行な直線Bでの信号強度の断面図の例である。図4B示されるように、光信号の強度は、X軸方向の強度分布の広がりの中央付近、すなわち、搬送波のスペクトル付近が最も強くなる。図4Cに示されるように、光信号の強度は、Y軸方向の強度分布の中央付近が最も強くなる。
【0034】
領域決定部12(図3参照)は、入力光に含まれるチャネルと送信先との組み合わせごとに分割領域を割り当てる。図4Aに示されるように、入力光に含まれる各チャネルの光信号はX軸方向に分光されるため、分割領域のX軸方向の範囲は、該分割領域が割り当てられるチャネルによって決まる。また、分割領域のY軸方向の範囲は、該分割領域が割り当てられる送信先によって決まる。なお、分割領域のX軸方向/Y軸方向の範囲とは、割り当てられるミラー数と、これらのミラーのミラー領域内における位置とで定義される。例えば、ミラーアレイ114に含まれる各ミラーがX座標とY座標とで示される場合に、分割領域の範囲は、基準点の座標(X1,Y1)と、基準点からのX軸方向のミラー数ΔX及びY軸方向のミラー数ΔYとで、(X1±ΔX,Y1±ΔY)のように定義される。また、例えば、分割領域の範囲は、開始点の座標(X2,Y2)と終了点の座標(X3,Y3)とで、(X2,Y2)〜(X3,Y3)のように定義されてもよい。例えば、ミラーアレイ114に含まれる各ミラーに識別番号が割り振られている場合には、分割領域の範囲は、該分割領域に含まれるミラーの識別番号を全て列挙することで定義されてもよい。
【0035】
領域決定部12は、各チャネルの波長帯域全体を包含可能な(分断しない)ように、各分割領域のX軸方向のミラー数を決定する。具体的には、領域決定部12は、データベース15に記憶される後述のX軸割り当て情報151を参照し、信号速度,変調方式等に応じて各チャネルの分割領域のX軸方向のミラー数を決定する。また、領域決定部12は、
チャネル間で分割領域が重複しないように、図4Aで示される原点OからX軸方向に、小さい波長のチャネルから順に各分割領域を配置する。又は、ミラーアレイ114における各波長λ1−40のチャネルの光信号の入射範囲の中心点の位置(X座標)が予め判明している場合には、領域決定部12は、該中心点が中央に位置するように分割領域のX軸方向の範囲を決定してもよい。
【0036】
各チャネルの光信号の変調方式,信号速度等は、Provisioning情報から取得される。Provisioning情報とは、光ネットワーク100のコンフィグレーションを管理する各WDM伝送装置の監視ソフトによって用いられるネットワーク構成に関する情報である。Provisioning情報には、各チャネルの光信号の変調方式,信号速度,各チャネルの光信号の送信ルートに関する情報等が含まれている。
【0037】
第1実施形態では、領域決定部12は、ミラー領域のY軸方向に含まれる分割領域の数(Y軸方向の分割数)を出力ポートの数と同数に設定し、各出力ポートに分割領域を割り当てる。領域決定部12は、後述のY軸割り当て情報152から読み出されるY軸方向の分割数に応じたミラーの分割比率によって、Y軸方向に配列される各分割領域のY軸方向のミラー数を取得する。ミラー領域が未分割時のY軸方向の光強度の分布には、図4Cに示されるような特性があるので、Y軸方向の分割数に応じたミラーの分割比率は、Y軸方向に配列される各分割領域によって反射される光の強度(光パワーレベル)が同程度になるように設定されている(詳細は後述)。また、出力ポートは+Y軸方向に配列されているので、領域決定部12は、Y軸方向に含まれる出力ポートと同数の分割領域を、原点Oから出力ポートの配列順で各出力ポートに割り当てる。領域決定部12は、態様における領域決定部の一例である。
【0038】
第1実施形態では、領域決定部12は、チャネルと出力ポートとの組み合わせ毎に分割領域を割り当てると、各分割領域を光信号の送信に使用するか否かを判定する。具体的には、領域決定部12は、Provisioning情報から各チャネルの光信号の送信先を取得し、各分割領域について、該分割領域に割り当てられている出力ポートが、該分割領域に割り当てられているチャネルの送信先に含まれているか否かを判定する。分割領域に割り当てられている出力ポートが該分割領域に割り当てられているチャネルの送信先に含まれている場合には、領域決定部12は、該分割領域の使用を決定する。領域決定部12は、態様における出力光信号制御部の一例である。
【0039】
X軸制御部13は、領域決定部12によって決定された各分割領域のチャネルの割り当て及びX軸方向の範囲にしたがって、ミラーアレイ114に含まれる各ミラーのX軸方向の設定を行う。具体的には、領域決定部12によって、分割領域が追加又は削除されたり、分割領域のX軸方向の範囲が変更されたりする場合には、X軸制御部13は、この変更に応じてミラーアレイ114に含まれる各ミラーのX軸方向の設定を変更する。
【0040】
Y軸制御部14は、領域決定部12によって使用が決定された分割領域のY軸方向の範囲に従って、ミラーアレイ114に含まれるミラーのY軸方向の設定を行う。具体的には、Y軸制御部14は、各分割領域に割り当てられた出力ポートに反射光が入射するように、各分割領域に含まれるミラーのX軸を回転軸とする回転角度を制御する。また、Y軸制御部14は、領域決定部12によって光信号の送信に使用しないことが決定された分割領域に含まれるミラーの損失を大きく設定し、反射光がいずれの出力ポートにも入射されないようにする。例えば、Y軸制御部14は、X軸を回転軸とするXY平面に対するミラーの傾きを変えて、いずれの出力ポートにも反射光が入射されないようにすることで、ミラーの損失を大きくする。領域決定部12によって、分割領域が追加又は削除されたり、分割領域のY軸方向の範囲が変更されたりする場合には、Y軸制御部14は、この変更に応じてミラーアレイ114に含まれる各ミラーのY軸方向の設定を変更する。Y軸制御部1
4は、態様における制御部の一例である。
【0041】
領域決定部12,X軸制御部13,Y軸制御部14は、例えば、それぞれが電子回路であってもよい。または、1つのプロセッサがプログラムを実行することによって、領域決定部12,X軸制御部13,Y軸制御部14としての動作を行ってもよい。または、複数のプロセッサがそれぞれプログラムを実行することによって、それぞれ、領域決定部12,X軸制御部13,Y軸制御部14として動作してもよい。又は、X軸制御部13とY軸制御部14とは電子回路であり、1つのプロセッサがプログラムを実行して領域決定部12として動作し、電子回路であるX軸制御部13及びY軸制御部14を制御してもよい。
【0042】
データベース15は、不揮発性のメモリであり、例えば、フラッシュメモリ,EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等である。データベー
ス15には、X軸割り当て情報151とY軸割り当て情報152とが記憶されている。また、データベース15には、出力ポートと、出力ポートに接続されるリングとの対応付け(図示せず)が保持されている。
【0043】
図5は、X軸割り当て情報151の例を示す図である。X軸割り当て情報151は、チャネルの信号速度,変調方式に応じた分割領域のX軸方向に必要なミラー数の情報である。図5に示される例では、信号速度,変調方式,X軸方向に必要なミラー数に加えて、変調速度の項目が示される。変調速度は、Provisioning情報には含まれていないものの、信号速度と変調方式から求めることができる値である。例えば、信号速度が10Gで変調方式がNRZであるチャネルの変調速度は、10Gbpsである。例えば、信号速度が40Gで変調方式がDQPSKであるチャネルの変調速度は、DQPSKが一度に2ビット送信可能であるため、20Gbpsである。
【0044】
X軸割り当て情報151に保持される、信号速度,変調方式に対応するX軸方向に必要なミラー数は、図4Aに示されるような各チャネルの波長方向(X軸方向)の広がりが分断されないように、設定されている。チャネルの波長方向の広がりが分断されてしまうと、該チャネルの受信側において復号できなくなる可能性があるからである。
【0045】
図5に示されるように、チャネルの波長方向の広がりは、変調速度が大きくなるにつれて大きくなる。これは、例えば、周波数fcの搬送波に周波数fmの正弦波で振幅変調をかけると、搬送波の周波数スペクトルfcの両側のfc+fmとfc−fmのところにサイドバンドが生じる。変調速度が大きくなると、周波数fmも大きくなるため、変調速度が大きくなると、搬送波からより離れたところにサイドバンドが生じる。したがって、変調速度がおおきくなるにつれて、チャネルの波長方向の広がりが大きくなる。
【0046】
また、変調方式によってノイズの乗り具合が異なるため、同じ変調速度であっても、変調方式によってチャネルの波長方向の広がりが異なる。例えば、図5に示されるX軸割り当て情報151では、10Gの信号速度のNRZ(Non-Return to Zero)の光信号と、40Gの信号速度のDP−QPSK(Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying
)の光信号とでは、変調速度は共に10Gであるが、DP−QPSKの方がノイズが乗りやすいため、チャネルの波長方向の広がりが大きくなる。そのため、図5に示されるX軸割り当て情報151では、10Gの信号速度のNRZの光信号と、40Gの信号速度のDP−QPSKの光信号とでは、40Gの信号速度のDP−QPSKの光信号の方が分割領域のX軸方向に必要なミラー数が多い。
【0047】
図6は、Y軸割り当て情報152の例を示す図である。Y軸割り当て情報152は、ミラーアレイ114のY軸方向の分割数に対応する、Y軸方向に配列されるミラーの分割比率の情報である。Y軸割り当て情報152のY軸方向に配列されるミラーの分割比率は、
所定の分割数でY軸方向にミラー領域を分割した際に、Y軸方向に配列される各分割領域における反射光の強度が同程度になるように、設定されている。これは、各WDM伝送装置の後段に接続する光アンプによる光信号の増幅の為である。光増幅アンプは、光結合された光信号に含まれる全チャネルを一度に増幅するため、増幅される光信号に含まれる複数のチャネル間で光パワーレベルの差が大きいと、チャネル毎に増幅の度合いが異なってしまうおそれがあるからである。
【0048】
図6に示される例では、Y軸方向における分割数が2である場合には、ミラー領域のY軸方向には2つの分割領域が配列し、この2つの分割領域のY軸方向のミラー数の比率は100:100である。図6に示される例では、Y軸方向における分割数が3である場合には、ミラー領域のY軸方向に3つの分割領域が配列され、この3つの分割領域のY軸方向のミラー数の比率は、原点から順に80:40:80である。図4Cで示されるように、各チャネルのY軸方向の光パワーレベルの分布は、一様ではなく、中心付近が最も強くなる。そのため、Y軸方向に配列される3つの分割領域に対して、ミラーアレイ114のY軸方向に含まれるミラー数が等分割されて配分されても、各分割領域の反射光の光パワーレベルは同程度にはならない。したがって、各分割領域で反射光の光パワーレベルが同程度になるように、Y軸方向に配列される3つの分割領域のうち、中央に配列される分割領域のY軸方向のミラー数が他の2つの分割領域に比べて少なく配分される。なお、Y軸方向に配列される各分割領域に含まれるミラー数の分割比率は、各ミラーのY軸座標の範囲で指定されてもよい。
【0049】
<動作例>
図7は、ミラーアレイ114のミラー制御処理のフローチャートの例である。ミラー制御処理とは、ミラーアレイ114に含まれる各分割領域の範囲決定から各ミラーの設定までに係る処理である。図7に示されるフローチャートは、例えば、管理者による光ネットワーク100のコンフィグレーションの設定又は変更による、Provisioning情報の追加又は更新によって開始される。
【0050】
OP1では、領域決定部12は、出力ポートが複数であるか否かを判定する。出力ポートが複数ある場合には(OP1:Yes)、処理がOP2に進む。出力ポートが1つだけの場合には(OP1:No)、Y軸方向にミラー領域が分割されることが無いため、処理がOP3に進む。
【0051】
OP2では、領域決定部12は、Y軸方向に配列される各分割領域のY軸方向の範囲と、出力ポートへの割り当てとを決定する。具体的には、領域決定部12は、ミラー領域のY軸方向の分割数を出力ポートの数に設定する。領域決定部12は、Y軸方向に該分割数だけ分割された各分割領域を、出力ポートの配列に対応させて、各出力ポートに割り当てる。領域決定部12は、データベース15のY軸割り当て情報152から、Y軸方向の分割数に対応する、Y軸方向に配列されるミラー数の分割比率を読み出し、各分割領域のY軸方向のミラー数を決定する。次に処理がOP3に進む。
【0052】
OP3では、領域決定部12は、Provisioning情報を取得する。このとき、Provisioning情報は、例えば、WDM伝送装置50の監視ソフトによって取得され、WDM伝送装置50に備えられるレジスタやメモリ等の記憶装置に予め保持されている。領域決定部12は、この記憶装置からProvisioning情報を読み出して、Provisioning情報を取得する。次に処理がOP4に進む。
【0053】
OP4では、領域決定部12は、データベース15のX軸割り当て情報151から、Provisioning情報に含まれる対象チャネルの光信号の信号速度と変調方式とに合致するX軸方向に必要なミラー数を読み出す。領域決定部12は、このミラー数で対象
チャネルに割り当てられる分割領域のX軸方向のミラー数を決定する。対象チャネルに割り当てられる分割領域のX軸方向のミラー数が決定すると、領域決定部12は、チャネルへの割り当てが行われていないミラー領域のうち、原点Oにもっとも近い位置に対象チャネルに割り当てられる分割領域を配置する。又は、ミラーアレイ114における各波長λ1−40のチャネルの光信号の入射範囲の中心点の位置(X座標)が予め判明している場合には、領域決定部12は、該中心点が中央に位置するように分割領域のX軸方向の範囲を決定してもよい。なお、対象チャネルは、入力光信号に含まれるいずれかのチャネルであり、例えば、波長の小さいチャネルから順に対象チャネルとして処理が行われる。OP4の処理が終了すると、対象チャネルに割り当てられる分割領域のX軸方向及びY軸方向の範囲が決定する。なお、第1実施形態では、対象チャネルに割り当てられる分割領域は、出力ポートの数だけ存在する。次に処理がOP5に進む。
【0054】
OP5では、領域決定部12は、Provisioning情報に含まれる対象チャネルのルートに関する情報から、対象チャネルの送信先を取得し、対象チャネルに割り当てられている各分割領域について光信号の送信に使用するか否かを決定する。例えば、対象チャネルに割り当てられた出力ポートの数の分割領域のうち、対象チャネルの送信先に含まれるリングに接続する出力ポートに割り当てられた分割領域は、使用する分割領域に決定される。対象チャネルに割り当てられた出力ポートの数の分割領域のうち、送信先のリングに含まれないリングに接続する出力ポートに割り当てられた分割領域は、使用しない分割領域に決定される。次に処理がOP6に進む。
【0055】
OP6では、領域決定部12は、全てのチャネルについて、各チャネルに割り当てられる各分割領域のX軸方向及びY軸方向の範囲、及び、使用の有無が決定したか否かを判定する。全てのチャネルについて、各分割領域のX軸方向及びY軸方向の範囲、及び、使用の有無が決定した場合には(OP6:Yes)、処理がOP7に進む。割りあてられた各分割領域のX軸方向及びY軸方向の範囲、及び、使用の有無が決定していないチャネルがある場合には(OP6:No)、対象チャネルが次に大きいチャネルに移り、処理がOP3に戻る。全てのチャネルの分割領域が決定するまでOP3−OP6の処理が繰り返される。なお、OP3−OP6の処理は、1つのチャネルを対象チャネルとして各チャネルについて行われてもよいし、入力光信号に含まれる全チャネルを対象チャネルとして全チャネルについて並行して行われてもよい。
【0056】
OP7では、領域決定部12は、決定した各分割領域のX軸方向及びY軸方向の範囲に従って、ミラーアレイ114に含まれる各ミラーを設定するように、X軸制御部13及びY軸制御部14に指示を送信する。この指示に従って、X軸制御部13は、ミラーアレイ114のX軸方向の設定を行う。具体的には、X軸制御部13は、各ミラーを決められたチャネルに割り当てる。Y軸制御部14は、ミラーアレイ114のY軸方向の設定を行う。具体的には、Y軸制御部14は、各ミラーのX軸を回転軸とした回転角度を、各ミラーが含まれる分割領域に割り当てられた出力ポートに反射光が出力されるように、設定する。また、Y軸制御部14は、領域決定部12によって光信号の送信に使用しないと決定された分割領域に含まれるミラーの損失を大きくし、反射光がいずれの出力ポートにも入射されないようにする。
【0057】
OP8では、領域決定部12は、ミラーアレイ114に含まれる全ミラーの制御が完了したか否かを判定する。ミラーアレイ114に含まれる全ミラーの制御が完了した場合には(OP8:Yes)、図7に示されるフローチャートが終了する。ミラーアレイ114に含まれる全ミラーの制御が完了していない場合には(OP8:No)、処理がOP7に戻り、全ミラーの制御が完了するまで、OP7−OP8の処理が繰り返される。
【0058】
図8は、図1に示される光ネットワーク100におけるWDM伝送装置50において、
波長λ1−40に対するミラーの割り当てと光信号強度分布との例を示す図である。波長λ1−10のチャネルの光信号の送信先は、リングB(出力ポート101)とリングC(出力ポート102)である。波長λ11−20のチャネルの光信号の送信先は、リングC(出力ポート102)である。波長λ21−40のチャネルの光信号の送信先は、リングD(出力ポート103)である。
【0059】
図8では、WDM伝送装置50の出力ポートが3つ(出力ポート101−103、図3参照)であるため、Y軸方向に配列される分割領域は3つである。また、Y軸割り当て情報152(図6参照)にしたがって、Y軸方向に配列される3つの分割領域に含まれるY軸方向のミラー数は80:40:80の比率である(図7、OP2)。Y軸方向に配列される3つの分割領域は、出力ポートの配列(Y軸方向に配列)に対応する並びで出力ポートに割り当てられている。すなわち、Y軸方向に配列される3つの分割領域は、原点Oから+Y軸方向に、出力ポート101,出力ポート102,出力ポート103に割り当てられる。これは、各分割領域の反射光が互いに交差するのを防ぐためである。
【0060】
波長λ1−10の各チャネルの送信先は出力ポート101と出力ポート102であるので、波長λ1−10の各チャネルに割り当てられた分割領域のうち、出力ポート101と出力ポート102とに割り当てられた分割領域のミラーは使用される。一方、出力ポート103は波長λ1−10の送信先に含まれないため、波長λ1−10の各チャネルに割り当てられた分割領域のうち、出力ポート103に割り当てられた分割領域のミラーは使用されない(図7、OP5)。そのため、波長λ1−10の各チャネルに割り当てられた分割領域のうち、出力ポート103に割り当てられた分割領域のミラーは、どのポートにも反射光が送信されないように、損失を大きく設定される(図7、OP7)。
【0061】
波長λ11−20の各チャネルの送信先は出力ポート102であるので、波長λ11−20の各チャネルに割り当てられた分割領域のうち、出力ポート102に割り当てられた分割領域のミラーは使用される。一方、出力ポート101と出力ポート103とは波長λ11−20の送信先に含まれないため、波長λ11−20の各チャネルに割り当てられた分割領域のうち、出力ポート101と出力ポート103とに割り当てられた分割領域のミラーは使用されない(図7、OP5)。波長λ11−20の各チャネルに割り当てられた分割領域のうち、出力ポート101と出力ポート103とに割り当てられた分割領域のミラーは、どのポートにも反射光が送信されないように、損失を大きく設定される(図7、OP7)。
【0062】
波長λ21−40の各チャネルの送信先は出力ポート103であるので、波長λ21−40の各チャネルに割り当てられた分割領域のうち、出力ポート103に割り当てられた分割領域のミラーは使用される。一方、出力ポート101と出力ポート102とは波長λ21−40の送信先に含まれないため、波長λ21−40の各チャネルに割り当てられた分割領域のうち、出力ポート101と出力ポート102とに割り当てられた分割領域のミラーは使用されない(図7、OP5)。波長λ21−40の各チャネルに割り当てられた分割領域のうち、出力ポート101と出力ポート103とに割り当てられた分割領域のミラーは、どのポートにも反射光が送信されないように、損失を大きく設定される(図7、OP7)。以上のように、リングネットワークを例に説明したが、リニアネットワークなど他のネットワークにおいても適用可能であり、以下の実施例においてもこの点は同様である。
【0063】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、ミラーアレイ114の各分割領域のX軸方向の範囲は、分割領域が割り当てられるチャネルに応じて決定され、各分割領域のY軸方向の範囲は、分割領域が割り当てられる出力ポートに応じて決定される。このように、各分割領域のY軸方向の範
囲が割り当てられる出力ポートに応じて決定されることによって、同じチャネルに割り当てられた分割領域間でも、X軸を回転軸とするミラーの回転角度が異なり、割り当てられる出力ポートが異なる。これによって、チャネルの送信先が複数である場合でも、既存の構成に新たに装置を追加することなく、該複数の送信先に同じチャネルの信号を送信することができる。
【0064】
また、ミラーアレイ114のY軸方向に配列される各分割領域に含まれるY軸方向のミラー数の比率は、反射光の光パワーレベルが等分割されるような分割比率である。これによって、各出力ポートから送信される各チャネル間の光パワーレベルの差が許容範囲に収まり、後段の光アンプによって増幅されても、各チャネル間の光パワーレベルの差を抑えることができる。すなわち、増幅後の各チャネル間の光パワーレベルを同程度にすることができる。
【0065】
<第2実施形態>
第1実施形態では、ミラーアレイ114の各分割領域のY軸方向の範囲は、割り当てられる出力ポートに応じて決定された。第1実施形態におけるミラーアレイ114の各分割領域のY軸方向の範囲の決定によると、送信先の数が出力ポートの数より少ない場合には、光信号の送信に使用されない分割領域が存在した。例えば、図8に示される、波長λ1−10の出力ポート103に割り当てられた分割領域は、光信号の送信に使用されない。
【0066】
第2実施形態では、WDM伝送装置50は、第1実施形態よりもミラーの使用効率が向上するように、ミラーアレイ114の各分割領域のY軸方向の範囲の決定を行う。第2実施形態では、WDM伝送装置50の構成は第1実施形態と同じである。第2実施形態では、領域決定部12によるミラーアレイ114の各分割領域のY軸方向の範囲の決定に係る処理が第1実施形態と異なる。第2実施形態では、第1実施形態と重複する説明は省略される。
【0067】
第2実施形態では、領域決定部12は、各チャネルに割り当てられる分割領域Y軸方向に配列される分割領域の数(Y軸方向の分割数)を、チャネルの光信号の送信先の数から出力ポートの数までの所定の数に設定する。領域決定部12は、各チャネルに割り当てられて、Y軸方向に所定の数だけ分割された分割領域を、チャネルの光信号の送信先ごとに割り当てる。領域決定部12は、各出力ポートから送信される光信号のチャネル間で光パワーレベルの差が許容範囲に収まる、すなわち、各チャネルの反射光(出力光)の光パワーレベルが同程度になるように、各チャネルの送信先ごとに割り当てられる各分割領域のY軸方向の範囲を調整する。また、出力ポートは+Y軸方向に配列されているので、領域決定部12は、各チャネルに割り当てられてY軸方向に配列された分割領域を、原点Oから出力ポートの配列に応じてチャネルの各送信先に割り当てる。詳細な処理は、次の図9において説明される。
【0068】
図9は、第2実施形態におけるミラーアレイ114のミラー制御処理のフローチャートの例である。図9に示されるフローチャートは、例えば、管理者による光ネットワーク100のコンフィグレーションの設定又は変更による、Provisioning情報の追加又は更新によって開始される。
【0069】
OP11では、領域決定部12は、WDM伝送装置50に備えられる記憶装置からProvisioning情報を読み出して取得する。次に処理がOP12に進む。
【0070】
OP12では、領域決定部12は、データベース15のX軸割り当て情報151から、Provisioning情報に含まれる対象チャネルの光信号の信号速度と変調方式とに合致する、分割領域のX軸方向に必要なミラー数を読み出す。領域決定部12は、この
ミラー数で対象チャネルに割り当てられる分割領域のX軸方向のミラー数を決定する。対象チャネルに割り当てられる分割領域のX軸方向のミラー数が決定すると、領域決定部12は、チャネルへの割り当てが行われていないミラー領域のうち、原点Oにもっとも近い位置に対象チャネルに割り当てられる分割領域を配置する。又は、ミラーアレイ114における各波長λ1−40のチャネルの光信号の入射範囲の中心点の位置(X座標)が予め判明している場合には、領域決定部12は、該中心点が中央に位置するように分割領域のX軸方向の範囲を決定してもよい。なお、対象チャネルは、入力光信号に含まれるいずれかのチャネルであり、例えば、波長の小さいチャネルから順に対象チャネルとして処理が行われる。次に処理がOP13に進む。
【0071】
OP13では、領域決定部12は、対象チャネルに割り当てられた分割領域をY軸方向に分割し、各分割領域のY軸方向のミラーの範囲を仮決定する。具体的には、領域決定部12は、対象チャネルの分割領域のY軸方向の分割数をProvisioning情報に含まれる対象チャネルの送信先の数に設定する。領域決定部12は、Y軸方向に該分割数だけ分割された各分割領域を、出力ポートの配列に対応させて、対象チャネルの各送信先に割り当てる。領域決定部12は、データベース15に保持されるY軸割り当て情報152から、Y軸方向の分割数に対応する、Y軸方向に配列される各分割領域のY軸方向のミラー数の比率を読み出し、各分割領域のY軸方向のミラーの割り当てを行う。これによって、対象チャネルに割り当てられた各分割領域のX軸方向及びY軸方向のミラーの範囲が仮決定される。次に処理がOP14に進む。
【0072】
OP14では、領域決定部12は、入力光信号に含まれる全チャネルについて、割り当てられる分割領域のX軸方向及びY軸方向のミラーの範囲が仮決定したか否かを判定する。全チャネルについて、分割領域のX軸方向及びY軸方向のミラーの範囲が仮決定した場合には(OP14:Yes)、処理がOP15に進む。分割領域のX軸方向及びY軸方向のミラーの範囲が仮決定していないチャネルがある場合には(OP14:No)、処理がOP11に戻り、分割領域のX軸方向及びY軸方向のミラーの範囲が仮決定されていないチャネルについて、OP11−OP14の処理が繰り返される。なお、OP11−OP14の処理は、1つのチャネルを対象チャネルとして各チャネルについて行われてもよいし、入力光信号に含まれる全チャネルを対象チャネルとして全チャネルについて並行して行われてもよい。
【0073】
OP15では、領域決定部12は、対象ポートから送信される各チャネルの送信先の数を取得する。対象ポートから出力されるチャネルが複数ある場合には、領域決定部12は、各チャネルについて送信先の数を取得する。次に処理がOP16に進む。なお、対象ポートは、出力ポートのいずれかである。
【0074】
OP16では、領域決定部12は、対象ポートから送信される各チャネルの送信先の数のうち、最大の送信先の数を取得する。次に処理がOP17に進む。
【0075】
OP17では、領域決定部12は、対象ポートから送信される各チャネルの光信号が、対象ポートから送信されるチャネルの光信号のうち最小の光パワーレベルになるように、対象ポートを送信先として割り当てられている各分割領域のY軸方向のミラーの範囲を修正する。これによって、各分割領域のX軸方向及びY軸方向のミラーの範囲が確定する。
【0076】
各チャネルの反射光の光パワーレベルは、各チャネルに割り当てられた分割領域のY軸方向に分割される数が大きくなるにつれて小さくなる。第2実施形態では、OP13において、各チャネルの送信先の数に応じて、各チャネルに割り当てられた分割領域のY軸方向の分割数が仮決定されるため、各チャネルの送信先の数が多くなるにつれて小さくなる。したがって、対象ポートにおいて最小の光パワーレベルとなるチャネルは、対象ポート
から送信されるチャネルのうち最大の送信先の数を有するチャネルである。対象ポートから送信されるチャネルのうちの最大の送信先の数は、OP16において取得されている。
【0077】
したがって、領域決定部12は、OP17における処理として、以下の処理を行う。領域決定部12は、データベース15のY軸割り当て情報152から、対象ポートにおけるOP16で取得した最大の送信先の数に対応する、Y軸方向に配列される各分割領域のY軸方向のミラー数の比率を取得する。領域決定部12は、対象ポートを送信先として割り当てられている各分割領域のY軸方向のミラーの範囲を、新たに取得した比率で分割された分割領域のうち、OP13において仮決定された分割領域に一部又は全部が含まれる分割領域のミラーの範囲に修正する。次に処理がOP18に進む。
【0078】
OP18では、領域決定部12は、全出力ポートについて、該出力ポートが送信先として割り当てられる分割領域のY軸方向のミラーの範囲の修正が終了したか否かを判定する。全出力ポートについて、送信先として割り当てられる分割領域のY軸方向のミラーの範囲の修正が終了した場合には(OP18:Yes)、処理がOP19に進む。送信先として割り当てられる分割領域のY軸方向のミラーの範囲の修正が終了していない出力ポートがある場合には(OP18:No)、処理がOP15に戻る。送信先として割り当てられる分割領域のY軸方向のミラーの範囲の修正が終了していない出力ポートについて、OP15−OP18の処理が繰り返される。なお、OP15−OP18の処理は、1つの出力ポートを対象ポートとして各出力ポートについて行われてもよいし、全出力ポートを対象ポートとして全出力ポートについて並行して行われてもよい。
【0079】
OP19では、領域決定部12は、現在のミラー割り当て状況から、OP11−OP18の処理によって新たに決定されたミラー割り当てへの差分を抽出する。次に処理OP20に進む。
【0080】
OP20では、領域決定部12は、OP19において抽出したミラー割り当ての差分について設定変更するようにX軸制御部13及びY軸制御部14に指示する。領域決定部12からの指示によって、X軸制御部13及びY軸制御部14は、ミラー割り当ての差分について、ミラーアレイ114の設定を行う。次に処理がOP21に進む。
【0081】
OP21では、領域決定部12は、ミラーアレイ114に含まれる全ミラーの制御が完了したか否かを判定する。ミラーアレイ114に含まれる全ミラーの制御が完了した場合には(OP21:Yes)、図9に示されるフローチャートが終了する。ミラーアレイ114に含まれる全ミラーの制御が完了していない場合には(OP21:No)、処理がOP20に戻り、全ミラーの制御が完了するまで、OP20−OP21の処理が繰り返される。
【0082】
図10A及び図10Bは、第2実施形態における、WDM伝送装置50の波長λ1−40の各チャネルのミラーの割り当てと光信号強度分布との例を示す図である。波長λ1−10のチャネルの光信号の送信先は、リングB(出力ポート101)とリングC(出力ポート102)である。波長λ11−20のチャネルの光信号の送信先は、リングC(出力ポート102)である。波長λ21−40のチャネルの光信号の送信先は、リングD(出力ポート103)である。
【0083】
図10Aには、図9のOP13の処理の完了時点の、仮決定された波長λ1−40の各チャネルのミラー割り当てが示されている。波長λ1−10の各チャネルは送信先が出力ポート101と出力ポート102とであるため、波長λ1−10の各チャネルに割り当てられる分割領域は、2つの分割領域に分割される。2つの分割領域のY軸方向のミラー数は100:100の比率で2つに分割される。この分割領域は、出力ポートの並びに対応
して、原点Oから+Y軸方向に、送信先である出力ポート101と出力ポート102とにそれぞれ割り当てられる。波長λ11−20の各チャネルは送信先が出力ポート102であるため、波長λ11−20の各チャネルに割り当てられる分割領域はY軸方向には分割されず、送信先である出力ポート102に割り当てられる。波長λ21−40の各チャネルは送信先が出力ポート103であるため、波長λ21−40の各チャネルに割り当てられる分割領域はY軸方向には分割されず、送信先である出力ポート103に割り当てられる。
【0084】
図10Bには、図9のOP17の処理の完了時点の、最終決定の波長λ1−40の各チャネルのミラーの割り当てが示されている。
【0085】
図10Aに示される例において、出力ポート102からは、波長λ1−10、及び、波長λ11−20の各チャネルの反射光が出力される。波長λ1−10の各チャネルの送信先は、出力ポート101と出力ポート102との2つである。波長λ11−20の各チャネルの送信先は、出力ポート102のみである。したがって、出力ポート102から送信される各チャネルの最大の送信先の数は、2つである(図9、OP16)。
【0086】
図10Aに示される例において、波長λ1−10、及び、波長λ11−20の各チャネルに割り当てられている分割領域のうち、送信先として出力ポート102に割り当てられている分割領域A1及び分割領域B1について、反射光のパワーレベルが同程度となるように、Y軸方向のミラーの範囲が修正される(図9、OP17)。波長λ1−10の各チャネル送信先は2つであり、出力ポート102から送信される各チャネルの最大の送信先の数と同数である。そのため、分割領域A1の反射光は、出力ポート102から出力されるチャネルのうち最も小さい光パワーレベルとなる。そのため、分割領域A1のY軸方向の範囲は、修正されない(図10B)。一方、波長λ11−20の各チャネルの送信先は1つであるので、仮決定の段階では、分割領域B1は分割されていない(図10A)。そのため、仮決定の段階では、分割領域B1の反射光の光パワーレベルは分割領域A1の反射光の光パワーレベルのほぼ倍である。分割領域B1は、反射光の光パワーベクトルが分割領域A1の反射光と極力近い光パワーレベルになるように、出力ポート102から送信される各チャネルの最大の送信先の数(2つ)でY軸方向に分割される。したがって、分割領域B1のY軸方向のミラーの範囲は、分割領域B1に含まれる図10Bの分割領域B2のY軸方向のミラーの範囲に修正される。
【0087】
波長λ1−10の各チャネルと、送信先として出力ポート101と、の組み合わせに割り当てられている分割領域A2と、波長λ21−40の各チャネルと、送信先として出力ポート103と、の組み合わせに割り当てられている分割領域C1とは、修正されない。波長λ1−10の各チャネルの送信先は2つであり、出力ポート101から送信される各チャネルの最大の送信先の数と同数である。また、波長λ21−40の各チャネルの送信先は1つであり、出力ポート103から送信される各チャネルの最大の送信先の数と同数である。そのため、分割領域A2および分割領域C1の反射光の光パワーレベルは、これらの分割領域が割り当てられる送信先の出力ポートにおいて最小となることが予想されるため、分割領域A2及び分割領域C1のY軸方向の範囲は修正されない。
【0088】
上述の説明のように、図10Bに示される波長λ11−20の各チャネルに割り当てられる分割領域は、それぞれ2つの分割領域に分割されている。一方の分割領域は、波長λ11−20の各チャネルの送信先である出力ポート102に割り当てられ、もう一方の分割領域は、どの出力ポートにも送信されないように、損失が大きく設定される。なお、図10Bに示される例の場合、波長λ11−20の各チャネルに割り当てられる2つの分割領域うち、送信先である出力ポート102に割り当てられるのはどちらであってもよい。ただし、チャネルの送信先が複数である場合には、出力ポートの配列の順番に対応して、
各分割領域を各送信先に割り当てる。
【0089】
<第2実施形態の作用効果>
第2実施形態では、各チャネルに割り当てられた分割領域は、送信先の数だけY軸方向に分割され、Y軸方向に分割されて生成された各分割領域が各送信先に割り当てられて、各分割領域のY軸方向の範囲が仮決定される。次に、各出力ポートから送信されるチャネル間で光パワーレベルが最小の光パワーレベルになるように、各分割領域のY軸方向の範囲が修正される。第1実施形態では、図8に示されるように、波長λ1−40の各チャネルに割り当てられるいずれの分割領域にも使用されない分割領域が存在する。これに対して、第2実施形態では、図10Bに示されるように、使用されない分割領域は、波長λ11−20の各チャネルに割り当てられた一部の分割領域だけであって、波長λ1−10、21−40の各チャネルでは、すべての分割領域が使用される。したがって、第2実施形態では、第1実施形態よりも使用されないミラー(損失が大きく設定されるミラー)の数が少なくなり、ミラーアレイ114の使用効率を向上させることができる。
【0090】
<第3実施形態>
第3実施形態では、領域決定部12は、各チャネルに割り当てられる分割領域のY軸方向に配列される分割領域の数を、チャネルの送信先の数から出力ポートの数までに設定する。領域決定部12は、各チャネルに割り当てられて、Y軸方向に所定の数だけ分割された分割領域を、チャネルの送信先ごとに割り当てる。領域決定部12は、各出力ポートから送信される光のパワーレベルをモニタし、モニタ値を参照しながら各出力ポートから送信される各チャネルの光パワーレベルが目標範囲に収まるように、各分割領域のY軸方向の範囲を調整する。また、出力ポートは+Y軸方向に配列されているので、領域決定部12は、各チャネルに割り当てられてY軸方向に配列された分割領域を、原点Oから出力ポートの配列に応じてチャネルの各送信先に割り当てる。第3実施形態においても、第1実施形態と重複する説明は省略される。
【0091】
図11は、第3実施形態におけるWDM伝送装置50のDrop部1Cの構成例である。WDM伝送装置50のDrop部1Cは、WSS11,領域決定部12c,X軸制御部13,Y軸制御部14,データベース15,光カプラ16a―c,光チャネルモニタ(OCM:Optical Channel Monitor)17,光スイッチ18を含む。
【0092】
WSS11の各出力光学系111bから出力される各光信号は、各出力光学系111bに接続される光カプラ16a−cによって分岐され、光スイッチ18を通じてOCM17に入力する。光スイッチ18は、出力ポート101−103の分岐光の間でOCM17への入力光の切り替えを行う。OCM17は、光スイッチ18からの入力光に含まれる各チャネルの信号帯域内の波長と光パワーレベルとをモニタする。
【0093】
領域決定部12cは、第1実施形態と同様にして、各チャネルに対して割り当てられる分割領域のX軸方向のミラーの範囲を決定する。また、領域決定部12cは、各チャネルに割り当てられた分割領域を、各チャネルの送信先の数でY軸方向に分割し、分割して生成された各分割領域を各送信先に割り当てて、各分割領域のY軸方向のミラーの範囲を仮に決定する。領域決定部12cは、仮決定されたミラーの割り当てをX軸制御部13及びY軸制御部14を通じて反映させる。その後、領域決定部12cは、各出力ポートについて、各チャネルの反射光の光パワーレベルのモニタ値をOCM17から取得し、各チャネルの反射光の光パワーレベルが目標範囲にあるか否かを検査する。領域決定部12cは、各出力ポートについて、出力される各チャネルの反射光の光パワーレベルのモニタ値が目標範囲内にない場合には、各チャネルの反射光の光パワーレベルのモニタ値が目標範囲内の値になるように、各分割領域のY軸方向のミラーの範囲を修正する。領域決定部12cの詳細な処理については、後述の図13において説明される。
【0094】
図12は、データベース15に記憶される光パワーレベル制限情報153の例を示す図である。第3実施形態では、データベース15には、X軸割り当て情報151とY軸割り当て情報152とに加えて、光パワーレベル制限情報153が記憶されている。光パワーレベル制限情報153は、出力ポートから送信されるチャネルの数に対応する、各チャネルの光信号の光パワーレベルの目標範囲が設定された情報である。図12に示される例では、光パワーレベルの目標範囲は、上限閾値と下限閾値とで定義される。領域決定部12cは、各出力ポートにおいて出力される各チャネルの反射光の光パワーレベルのモニタ値の目標範囲を、光パワーレベル制限情報153から読み出して取得する。
【0095】
図13は、第3実施形態におけるミラーアレイ114のミラー制御処理のフローチャートの例である。図13に示されるフローチャートは、例えば、管理者による光ネットワーク100のコンフィグレーションの設定又は変更による、Provisioning情報の追加又は更新によって開始される。
【0096】
OP31―OP34の処理は、第2実施形態の図9のOP11−OP14の処理と同様であるため、省略する。
【0097】
OP35では、領域決定部12cは、現在のミラー割り当て状況から仮決定のミラー割り当て状況への差分を抽出する。次に処理OP36に進む。
【0098】
OP36では、領域決定部12cは、データベース15の光パワーレベル制限情報153から、各分割領域の反射光の光パワーレベルの目標範囲を読み出して取得する。各分割領域の反射光の光パワーレベルの目標範囲は、分割領域が割り当てられている送信先の出力ポートから送信される少なくとも1つのチャネルのうち、最も送信先数が多いチャネルに合わせて設定される。すなわち、領域決定部12cは、出力ポートごとに、各出力ポートから送信される少なくとも1つのチャネルの送信先の数のうち最大の送信先数を取得する。領域決定部12cは、各分割領域の反射光の目標範囲として、光パワーレベル制限情報153において、分割領域が割り当てられている出力ポートにおいて取得された最大の送信先数に対応する目標範囲を設定する。次に処理がOP37に進む。
【0099】
OP37では、領域決定部12cは、OP35において抽出したミラー割り当ての差分について設定変更するようにX軸制御部13及びY軸制御部14に指示する。領域決定部12cからの指示によって、X軸制御部13及びY軸制御部14は、ミラー割り当ての差分について、ミラーアレイ114の設定を行う。次に処理がOP38に進む。
【0100】
OP38では、領域決定部12cは、対象ポートから送信される各チャネルの光信号の光パワーレベルのモニタ値を取得する。次に処理がOP39に進む。なお、対象ポートは、出力ポートのいずれかである。
【0101】
OP39では、領域決定部12cは、対象ポートから送信される各チャネルの光信号について、光パワーレベルのモニタ値がOP36において取得した目標範囲内にあるか否かを判定する。対象ポートから送信される各チャネルの光信号について、光パワーレベルのモニタ値がOP36において取得した目標範囲内にある場合には(OP39:Yes)、処理がOP42に進む。対象ポートから送信される各チャネルの光信号のうち、少なくとも1つのチャネルの光信号の光パワーレベルのモニタ値がOP36において取得した目標範囲外にある場合には(OP39:No)、処理がOP40に進む。
【0102】
OP40では、領域決定部12cは、光パワーレベルのモニタ値が目標範囲内にあるチャネルと、送信先としての対象ポートと、の組み合わせに割り当てられている分割領域に
ついて、変更後の割り当てで、分割領域のX軸方向及びY軸方向の範囲を確定する。また、光パワーレベルのモニタ値が目標範囲外にあるチャネルと、送信先としての対象ポートと、の組み合わせに割り当てられている分割領域について、領域決定部12cは、Y軸方向の範囲の変更を取り消し、変更前のY軸方向の範囲に設定を戻す。次に処理がOP41に進む。
【0103】
OP41では、領域決定部12cは、光パワーレベルのモニタ値が目標範囲外にある分割領域について、Y軸方向に含まれるミラー数の変更量を前回の変更時の半分に設定し、Y軸制御部14を通じて変更を反映する。例えば、OP37におけるOP35で抽出した差分の変更の反映により、分割領域のY軸方向のミラー数が増加し、この分割領域の反射光の光パワーレベルのモニタ値が目標範囲の上限閾値を超えていた場合には、以下のようになる。領域決定部12cは、この分割領域の差分に相当するY軸方向のミラー数の変更量(増加分)を前回の変更時の半分にする。領域決定部12cは、次に、前回の変更時の半分となったミラー数の変更量(増加分)の分だけ、該分割領域のY軸方向の範囲を増加する。ただし、この増加された範囲は、OP35において抽出した差分に含まれ、現在の分割領域と連続する範囲である。これによって、変更後の該分割領域の反射光の光パワーレベルのモニタ値は、前回のモニタ値よりも小さい値となり、目標範囲内又は目標範囲外であっても目標範囲の上限閾値に近い値となる。差分の反映により分割領域のY軸方向の範囲が削減される場合も同様である。次に、処理がOP38に戻り、対象ポートから送信される全チャネルの光信号の光パワーレベルのモニタ値が目標範囲内に含まれるまで、OP38からOP41の処理が繰り返される。
【0104】
OP42では、領域決定部12cは、全出力ポートについて、各出力ポートが送信先として割り当てられる分割領域のY軸方向のミラーの範囲の修正が終了したか否かを判定する。全出力ポートについて、各出力ポートが送信先として割り当てられる分割領域のY軸方向のミラーの範囲の修正が終了した場合には(OP42:Yes)、図13に示されるフローチャートが終了する。送信先として割り当てられる分割領域のY軸方向のミラーの範囲の修正が終了していない出力ポートがある場合には(OP42:No)、処理がOP38に戻る。その後、送信先として割り当てられる分割領域のY軸方向のミラーの範囲の修正が終了していない出力ポートについて、OP38−OP42の処理が繰り返される。なお、OP38−OP42の処理は、1つの出力ポートを対象ポートとして各出力ポートについて行われてもよいし、全出力ポートを対象ポートとして全出力ポートについて並行して行われてもよい。
【0105】
図14A,図14B,図14Cは、第3実施形態における、WDM伝送装置50の波長λ1−40の各チャネルのミラーの割り当てと光信号強度分布との例を示す図である。図14A,図14B,図14Cは、図8,図10A,図10Bと同様に、波長λ1−10のチャネルの光信号の送信先は、リングB(出力ポート101)とリングC(出力ポート102)である。波長λ11−20のチャネルの光信号の送信先は、リングC(出力ポート102)である。波長λ21−40のチャネルの光信号の送信先は、リングD(出力ポート103)である。
【0106】
図14Aでは、ミラーアレイ114のY軸方向のミラー割り当ての初期設定の一例が示される。図14Aでは、図13のOP32の処理の完了時点のミラー割り当ての状況が示される。初期設定では、入力光信号に含まれる各チャネルに割り当てられる分割領域は、いずれもY軸方向には分割されておらず、出力ポート101に割り当てられている。
【0107】
図14Bには、図13のOP33の処理の完了時点の、仮決定された波長λ1−40の各チャネルのミラー割り当てが示されている。波長λ1−10の各チャネルは送信先が出力ポート101と出力ポート102とであるため、波長λ1−10の各チャネルに割り当
てられる分割領域は、2つの分割領域に分割される。2つの分割領域のY軸方向のミラー数は100:100の比率である。この分割領域は、出力ポートの並びに対応して、送信先である出力ポート101と出力ポート102とにそれぞれ割り当てられる。波長λ11−20の各チャネルは送信先が出力ポート102であるため、波長λ11−20の各チャネルに割り当てられる分割領域はY軸方向には分割されず、送信先である出力ポート102に割り当てられる。波長λ21−40の各チャネルは送信先が出力ポート103であるため、波長λ21−40の各チャネルに割り当てられる分割領域はY軸方向には分割されず、送信先である出力ポート103に割り当てられる。
【0108】
波長λ1−10の各チャネルに割り当てられた分割領域の、現在の割り当て状況(図14A、初期設定)からミラー割り当ての仮決定(図14B)への差分は、図14Bにおいて、2分割された分割領域のうちの下方の分割領域A12である。この分割領域A12は、ミラー割り当ての仮決定(図14B)において出力ポート101から出力ポート102への割り当てに変更される。波長λ11−20の各チャネルに割り当てられた分割領域の現在の割り当て状況(図14A,初期設定)からミラー割り当ての仮決定(図14B)の差分は、該分割領域B11全体である。この分割領域B11は、ミラー割り当ての仮決定(図14B)において、出力ポート101から出力ポート102への割り当てに変更される。波長λ21−40の各チャネルに割り当てられた分割領域の現在の割り当て状況(図14A、初期設定)からミラー割り当ての仮決定(図14B)への差分は、分割領域C11全体である。この分割領域C11は、ミラー割り当ての仮決定(図14B)において、出力ポート101から出力ポート103への割り当てに変更される。
【0109】
図14Bに示される、ミラー割り当ての仮決定後の、各分割領域の反射光の光パワーレベルの目標範囲は、次の通りである。出力ポート101から送信されるチャネルは波長λ1−10のチャネルだけであり、波長λ1−10のチャネルの送信先の数は2つである。したがって、波長λ1−10の各チャネルと送信先として出力ポート101との組み合わせに割り当てられた分割領域A11の目標範囲は、図12の光パワーレベル制限情報153から、送信先数2に合致する−10.0dBmから2.2dBmまでの範囲である。図14Bに示される分割領域A11は、波長λ1−10に割り当てられた分割領域をY軸方向に2つに分割したうちの一つであるため、分割領域A11の反射光の光パワーレベルは、目標範囲に収まり、分割領域A11のY軸方向の範囲が確定される(図13、OP39)。
【0110】
出力ポート103から送信されるチャネルは波長λ21−40のチャネルだけであり、波長λ21−40のチャネルの送信先の数は1つである。したがって、波長λ21−40の各チャネルと送信先として出力ポート103との組み合わせに割り当てられた分割領域C11の目標範囲は、図12の光パワーレベル制限情報153から、送信先数1に合致する−8.1dBmから2.5dBmまでの範囲である。図14Bに示される分割領域C11は、波長λ21−40に割り当てられた分割領域全体であるため、分割領域C11の反射光の光パワーレベルは、目標範囲に収まり、分割領域C11のY軸方向の範囲が確定される(図13、OP39)。
【0111】
出力ポート102から送信されるチャネルは波長λ1−10のチャネルと、波長λ11−20のチャネルとであり、波長λ1−10のチャネルの送信先の数は2つ(出力ポート101、102)、波長λ11−20のチャネルの送信先は1つ(出力ポート102)である。したがって、波長λ1−10の各チャネルと送信先として出力ポート102との組み合わせに割り当てられた分割領域A12と波長λ11−20の各チャネルと送信先として出力ポート102との組み合わせに割り当てられた分割領域B11との目標範囲は、図12の光パワーレベル制限情報153から、送信先数が2つに合致する−10.0dBmから2.2dBmまでの範囲である。図14Bに示される分割領域A12は、波長λ1−
10に割り当てられた分割領域をY軸方向に2つに分割したうちの一つであるため、分割領域A12の反射光の光パワーレベルは、目標範囲に収まり、分割領域A12のY軸方向の範囲が確定される(図13、OP39)。一方、図14Bに示される分割領域B11は、波長λ11−20に割り当てられた分割領域全体であるため、分割領域B11の反射光の光パワーレベルは目標範囲外となり、分割領域B11の変更が取り消される(図13、OP39、OP40)。次に、分割領域B11の変更量は、前回の変更の半分(差分の半分)に設定される。
【0112】
図14Cには、反射光の光パワーレベルが目標範囲外であった分割領域B11の変更量を半分にした場合の、波長λ1−40の各チャネルのミラー割り当てが示されている。分割領域B11は、前回の変更の半分の変更量に相当する、波長λ11−20に割り当てられた分割領域の半分の領域が、出力ポート101から出力ポート101に割り当てられる。この変更後の分割領域B11は、波長λ11−20に割り当てられた分割領域をY軸方向に2つに分割したうちの一つであるため、分割領域B11の反射光の光パワーレベルは、目標範囲に収まり、分割領域B11のY軸方向の範囲が確定される(図13、OP39)。
【0113】
<第3実施形態の作用効果>
第3実施形態では、各チャネルに割り当てられた分割領域は、送信先の数だけY軸方向に分割され、分割されて生成された各分割領域が各送信先に割り当てられて、各分割領域のY軸方向の範囲が仮決定される。次に、各出力ポートから送信されるチャネル間で光パワーレベルが目標範囲内に収まるように、各出力ポートから送信される各チャネルの光パワーレベルのモニタ値を参照して、各分割領域のY軸方向のミラーの範囲が修正される。第1実施形態では、図8に示されるように、波長λ1−40の各チャネルに割り当てられるいずれの分割領域にも使用されない分割領域が存在する。これに対して、第3実施形態では、図10Bに示されるように、使用されない分割領域は、波長λ11−20の各チャネルに割り当てられた一部の分割領域だけであって、波長λ1−10、21−40の各チャネルでは、すべての分割領域が使用される。したがって、第3実施形態では、第1実施形態よりも使用されないミラー(損失が大きく設定されるミラー)の数が少なくなり、ミラーアレイ114の使用効率を向上させることができる。
【0114】
また、第3実施形態では、各出力ポートから送信される各チャネルの光パワーレベルのモニタ値をフィードバックさせながら、各分割領域のY軸方向のミラーの範囲が修正される。これによって、より精度良く各分割領域の反射光の光パワーレベルを目標範囲内に収めることができる。
【0115】
<第4実施形態>
第4実施形態では、WDM伝送装置は、各出力ポートから送信される光信号の光パワーレベルをモニタし、光パワーレベルが目標範囲外の場合に、WDM伝送装置の前段に接続される光アンプ51−1において入力光信号の光増幅のレベルを変更する。なお、第4実施形態においても、第1実施形態と重複する説明は省略される。
【0116】
図15は、第4実施形態におけるWDM伝送装置50のDrop部1Dの構成例を示す図である。WDM伝送装置50のDrop部1Cは、WSS11,領域決定部12d,X軸制御部13,Y軸制御部14,データベース15,光カプラ16,OCM17,光スイッチ18を含む。
【0117】
WSS11の各出力光学系111bから出力される各光信号は、各出力光学系111bに接続される光カプラ16によって分岐され、光スイッチ18を通じてOCM17に入力する。光スイッチ18は、出力ポート101−103の分岐光の間でOCM17への入力
光の切り替えを行う。OCM17は、光スイッチ18からの入力光に含まれる各チャネルの信号帯域内の波長と光パワーレベルとをモニタする。態様におけるモニタ部は、例えば、OCM17である。
【0118】
また、WSS11の入力光学系111aには、光アンプ51−1が接続されており、光アンプ51−1によって増幅された光信号が入力される。
【0119】
光アンプ51−1は、増幅器制御部51−1cを含む。増幅器制御部51−1cは、光アンプの増幅レベルを制御する。増幅器制御部51−1cとWDM伝送装置のDrop部1Dの領域決定部12dとは、例えばシェルフ内のバックボードインタフェースにより、通信可能である。
【0120】
領域決定部12dは、第1実施形態と同様にして、各チャネルに対して割り当てられる分割領域のX軸方向及びY軸方向のミラーの範囲を決定する。また、領域決定部12cは、各出力ポートについて、各チャネルの反射光の光パワーレベルのモニタ値をOCM17から取得し、各チャネルの反射光の光パワーレベルが目標範囲にあるか否かを検査する。領域決定部12dは、各出力ポートについて、出力される各チャネルの反射光の光パワーレベルのモニタ値が目標範囲の下限閾値より小さい場合には、各チャネルの反射光の光パワーレベルのモニタ値が目標範囲内の値になるように、光アンプ51−1の増幅器制御部51−1cに増幅レベルの変更を依頼する。領域決定部12dの詳細な処理については、後述の図17において説明される。
【0121】
図16は、データベース15に記憶される増幅レベル変更情報154の例を示す図である。第4実施形態では、データベース15には、X軸割り当て情報151とY軸割り当て情報152、光パワーレベル制限情報153に加えて、増幅レベル変更情報154が記憶されている。増幅レベル変更情報154は、出力ポートの数に応じた入力信号の光アンプ15−1による増幅レベルの変更が設定された情報である。領域決定部12dは、各出力ポートにおいて出力される各チャネルの反射光の光パワーレベルのモニタ値が目標範囲にない場合に、出力ポートの数に応じた入力光信号の増幅レベルの変更を、増幅レベル変更情報154から読み出す。
【0122】
図17は、第4実施形態におけるミラーアレイ114のミラー制御処理のフローチャートの例である。図17に示されるフローチャートは、例えば、管理者による光ネットワーク100のコンフィグレーションの設定又は変更による、Provisioning情報の追加又は更新によって開始される。また、図17に示されるフローチャートは、第1実施形態のミラー制御処理(図7)のフローを含む。以下、第1実施形態のミラー制御処理(図7のフローチャート)の終了以降の処理について説明する。
【0123】
OP50では、領域決定部12dは、各出力ポートから送信される各チャネルの光信号の目標範囲を取得する。第4実施形態では、第1実施形態と同じく、Y軸方向に含まれる分割領域の数は、出力ポートと同数である。したがって、領域決定部12dは、光パワーレベル制限情報153から、出力ポートの数に対応する目標範囲を読み出す。次に処理がOP51に進む。
【0124】
OP51では、領域決定部12dは、各出力ポートから送信される各チャネルの光信号の光パワーレベルのモニタ値を取得する。次に処理がOP52に進む。
【0125】
OP52では、領域決定部12dは、各出力ポートから送信される各チャネルの光信号について、光パワーレベルのモニタ値がOP50において取得した目標範囲内にあるか否かを判定する。各出力ポートから送信される各チャネルの光信号について、光パワーレベ
ルのモニタ値がOP50において取得した目標範囲内にある場合には(OP52:Yes)、図17に示されるフローチャートが終了する。各出力ポートから送信される各チャネルの光信号のうち、少なくとも1つのチャネルの光信号の光パワーレベルのモニタ値がOP50において取得した目標範囲外にある場合には(OP52:No)、処理がOP53に進む。なお、OP52において光信号の光パワーレベルのモニタ値が目標範囲外にある場合には、該モニタ値が目標範囲の下限値よりも小さい値となっている。なぜなら、出力ポートから出力される光信号は、減衰することはあっても増幅器等による増幅なしに増幅することはないため、光信号のパワーレベルが目標範囲の上限値よりも大きくなることはないからである。
【0126】
OP53では、領域決定部12dは、増幅レベル変更情報154から、出力ポート数に対応する増幅レベルの変更量を取得する。その後、処理がOP54に進む。
【0127】
OP54では、領域決定部12dは、OP53において取得した増幅レベルの変更量の分だけ増幅レベルを変更するように、光アンプ51−1の増幅器制御部51−1cに要求する。次に処理がOP55に進む。
【0128】
OP55では、領域決定部12dからの要求にしたがって、光アンプ51−1の増幅器制御部51−1cによって増幅レベルの変更が行われる。増幅レベルの変更が完了すると、領域決定部12dは、光アンプ51−1の増幅器制御部51−1cから完了の応答を受信する。次に処理がOP51に戻って、各出力ポートから送信される各チャネルの光信号の光パワーレベルが目標範囲内に収まるまで、OP51−OP55の処理が繰り返される。
【0129】
<第4実施形態の作用効果>
第4実施形態では、各出力ポートから送信される光信号の光パワーレベルが目標範囲に収まっていない場合に、入力光信号を増幅することによって、各出力ポートから送信される光信号の光パワーレベルを調整する。例えば、出力ポートの数が多く、各出力ポートから出力される各光信号の光パワーレベルが小さくなる場合には、送信先のWDM伝送装置で受信可能な光パワーレベルに到達しないおそれがある。このような場合でも、第4実施形態のWDM伝送装置は、各出力ポートでモニタされる光信号の光パワーレベルをフィードバックし、前段の光アンプに入力光信号の増幅レベルを変更させることによって、送信される光信号の光パワーレベルを保証することができる。
【0130】
なお、第4実施形態において説明された技術の適用は、第1実施形態に限られない。第4実施形態において説明された技術は、第2実施形態及び第3実施形態にも適用可能である。この場合、出力ポートの数に応じて入力光信号の増幅レベルが決定されてもよいし、各チャネルに割り当てられた分割領域のうち最も大きいY軸方向の分割数に応じて入力光信号の増幅レベルが決定されてもよい。
【符号の説明】
【0131】
1,1c,1d Drop部
11 WSS
12,12c,12d 領域決定部
13 X軸制御部
14 Y軸制御部
15 データベース
50 WDM伝送装置
51−1,51−2 光アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光を波長に応じて第1方向に分光する分光素子と、
前記第1方向および第1方向に直交する第2方向に配列され、反射角度が可変な複数の反射面を有し、前記第1方向に分光された入力光が入射される反射面アレイと、
前記第2方向に配列される複数のポートと、
前記第1方向に分光された入力光の所定の波長帯が入射される各反射面の反射角度を、前記反射面アレイを前記第2方向に分割した領域毎に異なるポートに反射光が出力するように、それぞれ個別の角度に制御する制御部と、
を備える光伝送装置。
【請求項2】
前記反射面アレイは、入力光に含まれる波長帯と該波長帯の送信先ネットワークに接続するポートとの組み合わせごとに割り当てられる複数の反射面群であり、
前記各反射面群の前記第1方向の範囲を割り当てられる波長帯に応じて決定し、前記各反射面群の前記第2方向の範囲を割り当てられる送信先ネットワークに接続するポートに応じて決定する領域決定部と、
を更に備える請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記複数のポートのそれぞれについて、ポートからの出力光に含まれる少なくとも1つの波長帯の光信号のパワーが所定のパワー範囲内に収まるように、制御を行う出力光信号制御部、
を更に備える請求項2に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記領域決定部は、入力光に含まれる波長帯とポートとの組み合わせごとに前記複数の反射面群のそれぞれを割り当て、割り当てられるポートに応じて、各反射面群における反射光のパワーが所定のパワー範囲内に収まるにように各反射面群の第2方向の範囲を決定し、
前記出力光信号制御部は、各反射面群について、割り当てられる波長帯の送信先ネットワークに、割り当てられるポートが接続しているか否かを判定し、前記割り当てられる波長帯の送信先ネットワークに、前記割り当てられるポートが接続する場合には、反射面群の使用を決定し、前記割り当てられる波長の送信先ネットワークに、前記割り当てられるポートが接続していない場合には、反射面群の不使用を決定し、
前記制御部は、前記出力光信号制御部によって使用が決定された反射面群に含まれる各反射面の前記第1方向に直交する面内での反射角度を制御し、前記出力光信号制御部によって不使用が決定された反射面群に含まれる各反射面の損失を大きく設定する
請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記出力光信号制御部は、前記各反射面群の前記第2方向の範囲を、反射面群に割り当てられたポートから送信される複数の波長帯の光信号のパワーが所定のパワー範囲内に収まるように、修正する
請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項6】
前記複数のポートのそれぞれの出力光に含まれる少なくとも1つの波長帯の光信号のパワーをモニタするモニタ部をさらに備え、
前記出力光信号制御部は、前記各反射面群の反射光信号のパワーの目標範囲を取得し、前記各ポートから出力される前記各反射面群の反射光信号のパワーのモニタ値が前記各反射面群の前記目標範囲内の値であるか否かを判定し、反射光信号のパワーが前記目標範囲外の値である反射面群の前記第2方向の範囲を、反射光信号のパワーが前記目標範囲内の値となるように、修正する
請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項7】
前記複数のポートのそれぞれの出力光に含まれる少なくとも1つの波長帯の光信号のパワーをモニタするモニタ部をさらに備え、
前記出力光信号制御部は、各ポートの出力光に含まれる少なくとも1つの波長帯の光信号のパワーのモニタ値が前記所定の範囲外の値である場合に、入力側に接続する光アンプに前記複数のポートの数に応じた増幅レベルの変更を要求する
請求項3又は4に記載の光伝送装置。
【請求項8】
入力光を波長に応じて第1方向に分光する分光素子と、
前記第1方向および第1方向に直交する第2方向に配列され、反射角度が可変な複数の反射面を有し、前記第1方向に分光された入力光が入射される反射面アレイと、
前記第2方向に配列される複数のポートと、を含む光伝送装置が、
前記第1方向に分光された入力光の所定の波長帯が入射される各反射面の反射角度を、前記反射面アレイを前記第2方向に分割した領域毎に異なるポートに反射光が出力するように、それぞれ個別の角度に制御する、
光伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−34132(P2013−34132A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169648(P2011−169648)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】