光信号と電波を用いた通信装置及び通信方法
【課題】選択された2つの通信装置間を、確実に、混信なく通信できるようにすることである。
【解決手段】本通信装置は、任意の複数の第1通信装置から送信された、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光を変調したそれぞれの光信号を、第2通信装置において受信する、複数の画素が少なくとも一次元方向に配置され、それぞれの方位から到来する光信号を、異なる画素で受光する光受信器を有している。又、本通信装置は、光受信器により受信された光信号を復調して、送信した第1通信装置の識別番号を復調する復調器と、復調器により復調された識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調する変調器と、拡散符号と、送信すべき情報とに基づいて、変調器を制御する制御装置と、変調器により変調された信号を無線の高周波信号として、送信する送信器とを有する。
【解決手段】本通信装置は、任意の複数の第1通信装置から送信された、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光を変調したそれぞれの光信号を、第2通信装置において受信する、複数の画素が少なくとも一次元方向に配置され、それぞれの方位から到来する光信号を、異なる画素で受光する光受信器を有している。又、本通信装置は、光受信器により受信された光信号を復調して、送信した第1通信装置の識別番号を復調する復調器と、復調器により復調された識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調する変調器と、拡散符号と、送信すべき情報とに基づいて、変調器を制御する制御装置と、変調器により変調された信号を無線の高周波信号として、送信する送信器とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間において、選択的通信を可能とした通信装置及び通信方法に関する。例えば、人、自転車、又は、オートバイと、自動車との間、又は、自動車間において、自己の存在、接近、接近方向、危険警報、対向車のヘッドランプや前方車のテールランプの状態などの諸情報を、選択的に通信相手に伝達する通信装置及び通信方法に、本発明を用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来、選択された車両に対して、通信を可能とした車車間通信システムとして、下記特許文献1に開示の技術が知られている。その特許文献1においては、自車両の周辺に位置する他の車両のナンバープレートをビデオカメラなどで撮像して、車両登録番号を抽出し、その登録番号に対応した拡散符号を発生して、その拡散符号を用いたスペクトル拡散変調により、他の車両と通信を行うシステムが開示されている。電波を受ける他の車両は、自己の登録番号から拡散符号が分かっているので、その車両のみが、受信電波を復調できる。一旦、車両間で、通信に用いる拡散符号が確立されると、以後、その拡散符号を用いて、それらの車両間だけで、通信を行うことができる。通信を行っている2車両以外の車両からの送信電波が存在していても、IDを通信するIP通信と異なり、拡散符号の直交性により、混信を防止することができる。
【0003】
又、特定のPC間でのみ、無線通信を可能とした技術として、下記特許文献2に開示の技術が知られている。特許文献2においては、2つのPCを対面させて、光通信により、自己のPCのIDや、通信に使用する暗号キーを交換して、それらのPC間での無線通信が確立される。すなわち、特許文献2の技術は、2つのPC間での、秘匿性及び選択性のある無線通信を確立するための初期設定データが光通信により交換されるため、無線通信の確立を容易にする技術である。
【0004】
又、下記特許文献3には、光通信用の光信号を入力する受光画素と、物体の画像を得るための受光画素とが、2次元アレイ配列された受光装置を開示している。特許文献3に開示の技術では、その受光装置を用いて、前方車両の画像から前方車両の位置が検出され、その画像を捉えた画素領域内の画素により受信された光信号が、その車両からの光信号として特定される。そして、特許文献3は、その光信号により、前方車両から送信された、その車両の車速や加速度のデータを検出して、これらのデータと画像による位置とから、衝突回避などの運転支援を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−68923
【特許文献2】特開2003−78475
【特許文献3】特開2009−27480
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の方法によると、前方車両のナンバープレートを撮像して、画像から車両の登録番号を解析する必要があり、画像解析に係る時間が長くなり、時間遅れのない処理が困難となる。又、ビデオカメラの光軸と、ナンバープレートとの成す角度の変動、周囲の明るさ、太陽光線やヘッドランプビームのナンバープレートによる反射などにより、画像を正確に抽出することが困難な場合が発生する。このため、登録番号の正確な把握が困難となり、確実な、通信ができないという問題がある。又、ナンバープレートを搭載していない人や物体との間での通信はできない。さらに、自己の自動車から見て、ナンバープレートが確実に視認できる位置関係にある車両としか、通信をすることができないという問題がある。
【0007】
また、特許文献3の技術によると、前方車両からその車両の速度や加速度などのデータを光信号で受信し、前方車両の画像のイメージセンサ上の位置により、前方車両の位置を特定することができる。この場合には、この検出装置を、自車両の走行制御に用いることができる。しかし、特許文献3においては、自車両から、撮像された前方車両に対してのみ選択的に、通信を確立することについては、何ら示唆がない。
【0008】
一方、特許文献2の開示の技術は、PC間での無線通信の確立に関するものであり、暗号コードの交換のために、PC間を対面させて、一対一の光通信を行うものである。したがって、移動体間通信には、用いることができない。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、多数の通信装置が存在する中で、選択された2つの通信装置間を、確実に、混信なく通信できるようにすることである。特に、本装置が移動体に搭載されて、その移動体の接近情報を、その移動体に対して接近した位置にある他の移動体に、確実に通知できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、光信号及び無線で通信する通信装置において、任意の複数の第1通信装置から送信された、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光を変調したそれぞれの光信号を、第2通信装置において受信する、複数の画素が少なくとも一次元方向に配置され、それぞれの方位から到来する光信号を、異なる画素で受光する光受信器と、光受信器により受信された光信号を復調して、送信した第1通信装置の識別番号を復調する復調器と、復調器により復調された識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調する変調器と、拡散符号と、送信すべき情報とに基づいて、変調器を制御する制御装置と、変調器により変調された信号を無線の高周波信号として、送信する送信器とを有することを特徴とする通信装置である。
【0010】
すなわち、本発明は、高周波信号を受信する側の通信装置が、高周波信号を送信する側の通信装置に対して、受信装置に固有の拡散符号を、光の変調信号で送信することが特徴である。そして、高周波信号を送信する側の通信装置は、複数の画素が少なくとも一次元方向に配列された光受信器によって、光信号を受光し、その光信号から拡散符号を得て、その拡散符号を用いてスペクトル拡散変調により高周波信号を送信するようにしたことが特徴である。これにより、高周波信号を受信する装置は、選択的に特定されることになり、送信する通信装置が多数存在していても、混信することがない。光の変調は、一般的には、2値の符号列により光の強度を変調する強度変調である。また、2値の符号列により変調された変調信号により光の振幅を変調する振幅変調が用いられる。光の変調は、その他の変調であっても良い。又、第2通信装置において、送信すべき情報が1種類であるならば、例えば、接近していることの警報だけであるならば、拡散符号により搬送波をスペクトル拡散変調して、高周波信号を送信するだけでも良い。送信すべき情報は複数種類の場合には、一般的には、この情報データにより第1搬送波を、位相、周波数、振幅変調した後、拡散符号によりスペクトル拡散変調される。したがって、送信すべき情報が1種類である場合において、拡散符号によるスペクトル拡散変調を用いることは、第1搬送波を変調する場合の変調信号を直流(固定値)とすることと等価である。又、用いられる拡散符号は、それぞれ、直交していることが必要である。
【0011】
上記発明において、制御装置は、光受信器により受信された光信号の光受信器上の位置により、第1送信装置を特定して、第1送信装置に対して送信すべき情報を決定する装置とすることができる。すなわち、光受信器の画素アドレスにより、光信号の入射方位が決定できる。又、ディスプレイ上に、光信号の入射位置を表示することで、情報を伝送し応答の対象となる光信号を特定することができる。
【0012】
又、制御装置は、特定された第1通信装置の第2通信装置に対する位置関係に応じて、送信すべき情報を決定する装置としても良い。すなわち、第1通信装置に対して、第2通信装置が、何れの方位から接近しているかの方位、接近速度などを送信すべき情報とすることができる。又、制御装置は、第1通信装置が複数存在し、光受信器により受信された光信号が複数であり、送信すべき情報が共通である場合に、復調されたそれぞれの識別番号の拡散符号を加算して加算拡散符号を求め、変調器に、その加算拡散符号を出力して、送信すべき情報を変調させる装置としても良い。拡散符号の直交性により、加算拡散符号で変調しても、各第1通信装置において、その装置に固有の各拡散符号を用いて情報の復調が可能である。
【0013】
又、上記発明において、第1通信装置には、第2通信装置から送信される高周波を復調するための複数の拡散符号から成る符号群が割り当てられており、制御装置は、送信すべき情報を決定し、復調器により復調された識別番号に対応する符号群を決定し、その符号群の中から、決定された送信すべき情報に対応する拡散符号を選択し、変調器に対して、固定データをその選択された拡散符号によりスペクトル拡散変調させる装置であっても良い。すなわち、第2通信装置から送信される高周波信号の拡散符号の種類自体が、送信すべき情報とされる。固定データの意味は、直流、一定値の意味であり、この変調は、振幅一定の第1搬送波(固定データ)を、拡散符号によりスペクトル拡散変調することを意味している。
【0014】
又、光受信器は、光信号を受信する画素と、光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有する装置を用いることができる。又、光受信器は、複数の画素が2次元配置された面状受信器であり、光信号を受信する画素と、光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有する装置であっても良い。すなわち、光信号も可視画像も、一次元配置の画素アレイで受光しても、2次元配置の画素アレイで受光しても良い。
【0015】
さらに、上記発明において、制御装置は、光受信器において、光信号を受信した画素上の位置に対応する画像を決定し、決定された画像に基づいて、情報の送信の可否の決定、送信すべき情報の決定を行う装置であっても良い。すなわち、画像データは、画像認識処理により、光信号を発信している物体の把握や、物体の移動方向や速度などの挙動を把握するのに、用いることができる。又、各画素の出力する映像信号をディスプレイに出力して、可視画像が表示されるようにしても良い。又、ディスプレイは、ディスプレイ上に表示された画像を指定することで、情報を高周波信号として返信する対象物を指定するするのに用いることができる。
【0016】
他の発明は、第1の発明の第2通信装置に対して通信を行う第1通信装置であって、第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光変調して得られた光信号を放射する光送信器と、第2通信装置から送信され、スペクトル拡散により変調された高周波信号を受信する受信器と、受信器により受信された受信信号を、自己の識別番号を拡散符号として、復調する復調器とを有することを特徴とする通信装置である。
【0017】
又、他の発明は、第1の発明に対応する通信方法の発明であり、通信装置間を光信号及び無線で通信する通信方法において、複数の第1通信装置から、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた自己の識別番号で光を変調して得られたそれぞれの光信号を放射し、第2通信装置において、それぞの方位から到来する光信号を、少なくとも一次元方向に配置された光受信器により、異なる画素で受光し、受信された光信号を復調して、送信した第1通信装置の識別番号を復調し、復調された識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調し、変調された信号を無線の高周波信号として、第2通信装置から第1通信装置に向けて送信し、高周波信号を第1通信装置において、受信して、第1通信装置の自己の識別番号を拡散符号として、スペクトル逆拡散により復調して、第2通信装置からの情報を復調することを特徴とする通信方法である。
【0018】
方法発明において、送信すべき情報は、受信された光信号の光受信器上の位置により、第1送信装置を特定して、その特定により決定されても良く、特定された第1通信装置の第2通信装置に対する位置関係に応じて、決定されても良い。又、第1通信装置が複数存在し、光受信器により受信された光信号が複数であり、送信すべき情報が共通である場合に、復調されたそれぞれの識別番号の拡散符号を加算して加算拡散符号を求め、その加算拡散符号により、送信すべき情報をスペクトル拡散変調するようにしても良い。又、第1通信装置には、第2通信装置から送信される高周波を復調するための複数の拡散符号から成る符号群が割り当てられており、受信した光信号の復調より得られた識別番号に対応する符号群を決定し、その符号群の中から、決定された送信すべき情報に対応する拡散符号を選択し、固定データをその選択された拡散符号によりスペクトル拡散変調するようにしても良い。
【0019】
又、方法の発明において、光受信器は、光信号を受信する画素と、光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有しても良く、複数の画素が2次元配置された面状受信器であり、光信号を受信する画素と、光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有していても良い。さらに、光受信器において、光信号を受信した画素上の位置に対応する画像を決定し、決定された画像に基づいて、情報の送信の可否の決定、送信すべき情報を決定するようにしても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、情報を含む高周波信号を受信する第1通信装置が、その装置に固有の復調のための拡散符号を、光信号により、情報を送信する第2通信装置に送信するようにしている。したがって、第2通信装置は、光信号から得られた拡散符号を用いたスペクトル拡散変調により、情報を送信することで、光信号を送信した第1通信装置だけが、この情報を取得することができる。このように、第1通信装置、第2通信装置が多数存在する環境においても、混信のない一対一通信が可能となる。第1通信装置、第2通信装置を、移動体に搭載した場合に、移動体の接近情報を他の移動体に知らせるような、移動体間通信に用いることができる。又、光信号が用いられているので、第1通信装置、第2通信装置の距離が一定値以下となった場合、第2通信装置への光信号の入射角が一定角度範囲になった場合にのみ、応答可能となる。これにより、移動体の進行方向に存在する他の移動体に対して、確実に、接近情報を伝達することが可能となる。又、光受信器として、複数の画素が一次元方向に配列された素子が用いられた場合には、光信号の入射角を簡単に検出することができる。又、 通信用画素と撮像用画素を2次元配置した光受信器が用いられる場合には、画像認識により光信号を発信している物体の把握が容易となり、その物体の移動方向、速度などの挙動の把握が可能となり、適切な接近情報を高周波信号として発信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の具体的な実施例1の通信装置の構成を示したブロック図。
【図2】実施例1に係る第1通信装置において、光送信器の光放射を示した説明図。
【図3】実施例1に係る第2通信装置において、光受信器の画素アドレスと、光信号の入射角との関係を示した説明図。
【図4】実施例1の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【図5】実施例1に係る第1通信装置の制御装置の動作手順を示したフローチャート。
【図6】実施例1に係る第2通信装置の制御装置の動作手順を示したフローチャート。
【図7】光信号と光受信器における画素の選択信号との関係を示したタイミングチャート。
【図8】実施例1の通信装置の他の構成を示したブロック図。
【図9】実施例1の第2通信装置の光受信器の他の構成を示した構成図。
【図10】本発明の具体的な実施例2に係る光受信器の構成を示した構成図。
【図11】実施例2、実施例4の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【図12】実施例2に係る第2通信装置の制御装置の動作手順を示したフローチャート。
【図13】本発明の具体的な実施例3の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【図14】本発明の具体的な実施例3の通信装置が使用される他の状態を示した説明図。
【図15】本発明の具体的な実施例5の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【図16】本発明の具体的な実施例6の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照して説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
実施例1の通信装置は、第1通信装置を歩行者、自転車、オートバイに設け、第2通信装置を自動車に設けて、自動車の接近を、歩行者、自転車、オートバイに、通知する警報装置に用いたものである。図1は、第1通信装置10と第2通信装置40の構成を示すブロック図である。第1通信装置10は、近赤外線を発光する発光ダイオードを光源として有する光送信器14と、制御装置12とを有している。制御装置12は、CPUやRAM、ROMを含むコンピュータシステムで構成されている。光送信器14は、制御装置12の制御により第1通信装置10に固有に割り当てられた識別番号IDを制御装置12から入力して、識別番号IDの各ビットの値(0,1の2値)により光を強度変調して得られる光信号S1を送信する。光信号S1には、波長870μmの近赤外線が用いられている。光送信器14は、図2に示されるように、移動体である自転車70の周囲360度の範囲に渡って放射可能なように、リング状に配設された多数の発光ダイオードLEDを有している。
【0024】
本実施例において、高周波信号の変調方式は、1次変調が2位相偏移変調(BPSK)2次変調がスペクトル拡散変調である。すなわち、データ列により第1搬送波が2位相偏移変調され、さらに、拡散符号によりスペクトル拡散変調されて中間周波信号となる。その中間周波信号が第2搬送波により周波数変換されて、高周波信号が生成される。
【0025】
第1通信装置10は、アンテナ17、受信器16、復調器18を有している。受信器16は、アンテナ17から高周波信号を受信して、第2搬送波により中間周波信号に周波数変換する。復調器18は、受信器16の出力する中間周波信号を、制御装置12から出力される拡散符号により、スペクトル逆拡散復調した後、第1搬送波を用いて2位相偏移復調してベースバンドのデータ列に復調する。又、第1通信装置10は、変調器22、送信器20、アンテナ21を有している。変調器22は、制御装置12から出力されるデータ列により第1搬送波を2位相偏移変調し、さらに、制御装置12から出力される拡散符号によりスペクトル拡散変調して、中間周波信号を出力する。送信器20は、変調器22の出力する中間周波信号を第2搬送波により周波数変換して、高周波信号をアンテナ21に出力する。
【0026】
又、第1通信装置10は、復調器18の出力するデータに応じて、制御装置12の制御により、警報を出力する警報器24を有している。警報器24は、警報を音声で出力するスピーカ、警報を振動で知らせる振動アクチュエータ、警報を光出力で知らせるランプ、ディスプレイなどで構成されている。
【0027】
第2通信装置40は、近赤外線が受光可能な、画素が一次元配置されたフォトダイオードアレイから成る光受信器44と、復調器45と、ピークホールド回路46、制御装置42を有している。路面に垂直な方向には一定幅で、水平方向には所定の方位角範囲で、光信号を、一次元配置された画素により受光するために、円筒レンズなどの集光装置が用いられる。光受信器44は、光送信器14の出力する光の波長にのみ感度を有するように構成されている。光受信器44には、図3に示すように、それぞれ異なる位置に存在する複数の第1通信装置10の光送信器14の光源、例えば、LED1、LED2、LED3から放射された各光信号S1、S2、S3が、異なる方位θ1、θ2、θ3から入射する。光受信器44の光信号を受信した画素アドレスにより、LED1、LED2、LED3の存在方位、光信号の強度により光受信器44対するLED1、LED2、LED3が第2通信装置40を搭載している自動車に接近しているか否かが判定できる。
【0028】
光受信器44は、制御装置42から出力される画素選択信号を入力して、選択された画素の信号レベルを出力する。この信号レベルは、ピークホールド回路46に入力されて、信号レベルのピーク値が検出される。制御装置42は、順次、画素選択信号を出力することで、光受信器44の画素を、順次、走査する。制御装置42は、1画素毎に、ピークホールド回路46のホールド値が所定値以上となる場合に出力される値を入力し、ホールド値を消去するために、ピークホールド回路46にリセット信号を出力している。これにより、制御装置42は、各画素毎の光強度のピーク値を入力することができる。又、1画素が選択されている期間、光受信器44から復調器45には、識別番号IDを1データとして、同一の複数のデータ列を含む光信号S1が、入力される。復調器45では、光強度復調により、識別番号IDのデータ列を得ることができる。このデータ列は、制御装置42に入力される。
【0029】
又、第2通信装置40は、変調器52、送信器50、アンテナ51を有している。変調器52は、制御装置42から出力されるデータ列により第1搬送波を2位相偏移変調し、さらに、制御装置42から出力される拡散符号によりスペクトル拡散変調して、中間周波信号を出力する。送信器50は、変調器52の出力する中間周波信号を第2搬送波を用いて周波数変換して高周波信号をアンテナ51に出力する。
【0030】
又、第2通信装置40は、アンテナ47、受信器46、復調器48を有している。受信器46は、アンテナ47から高周波信号を受信して、第2搬送波を用いて中間周波信号に周波数変換する。復調器48は、受信器46の出力する中間周波信号を、制御装置42から出力される拡散符号により、スペクトル逆拡散復調した後、第1搬送波を用いて2位相偏移復調してベースバンドのデータ列に復調する。
【0031】
又、制御装置42は、CPUやRAM、ROMを含むコンピュータシステムで構成されている。又、第2通信装置40は、復調器48の出力するデータに応じて、第1通信装置10から送信された応答信号Akを受信して、第1通信装置10に警報信号R1が伝達されたことを示すための警報器54を有している。警報器54は、スピーカ、振動アクチュエータ、ランプ、ディスプレイなどである。
【0032】
第1通信装置10は、図4に示されているように、それぞれ、異なる位置に存在する複数の移動体である自転車70、71に搭載されている。第2通信装置40は、移動体である自動車80に搭載されている。自転車70、71の光送信器14は、微小時間間隔毎に、自己の識別番号IDで光を強度変調した光信号S1、S2を空間において水平面上、360度の範囲で放射している。図4に示す例は、自動車80の運転者にとって、走行している道路に直交する道路を走行する自転車70、71の見通しが良くなく、同様に、自転車70、71の運転車にとって、走行している道路に直交する道路の自動車80の見通しが良くない場合である。図4は、自転車71は、自動車80が走行している道路を、既に、横断し終えているが、自転車70は、これから横断しようとしている場合を示している。自転車70から放射された光信号S1は、自動車80に搭載された第2通信装置40の光受信器44において受信されるが、自転車71から放射された光信号S2は、建物などにより遮蔽されて、光受信器44においては受信されない。勿論、自転車71から放射された光信号S2が、光受信器44に受信されても、障害はない。
【0033】
このような場合に、自動車80に搭載された第2通信装置40は、次のように動作する。光受信器44において、受信した光信号S1の強度、到来方位が検出される。光強度が、日中、夜間、雨天などの環境により補正される閾値以上である場合には、自転車70と自動車80の距離は所定距離以下と判定できる。また、方位が、自動車80の進行軸を中心として所定角度範囲に存在している場合には、自転車70は自動車80の進行方向に存在すると判定できる。この場合に、第2通信装置40では、受信した光信号S1から自転車70に搭載された第1通信装置10の識別番号IDが復調される。そして、その識別番号IDを拡散符号として、接近を示す情報(データ)が、その拡散符号でスペクトル拡散により変調される。その後、変調された信号は周波数変換されて高周波信となる。この高周波信号が警報信号R1として、空間に放射される。
【0034】
この高周波信号である警報信号R1は、自転車70、71に搭載されている第1通信装置10において受信される。自己の第1通信装置の識別番号IDを拡散符号として、データがスペクトル逆拡散により復調される。この復調においては、光信号S1を送信した自転車70においてのみ復調が可能となる。これにより、自転車70の運転者にのみ自動車80の接近を知らせることができる。自転車71の第1通信装置10では、自動車80からの高周波信号を受信したとしても、変調時の拡散符号と、復調時の拡散符号が異なるため、復調できない。したがって、自転車71の運転者には接近警報が与えられることがない。このように、複数の第1通信装置10において、第2通信装置40により光信号が受信された第1通信装置のみが、第2通信装置からのデータを復調することが可能となる。
【0035】
次に、本装置の作用について、さらに、詳しく説明する。図5は、第1通信装置10の制御装置12が有するCPUの処理手順を示している。ステップ100において、ROMに記憶されている自己の装置の識別番号IDが、シリアルデータとして、光送信器14の変調入力端子に出力される。このことにより、光送信器14において、発光ダイオードから出力される光が、識別番号IDの0,1のコード列に応じて、強度変調される。この識別番号IDにより強度変調された光信号S1が、空間の360度の全方位に放射される。
【0036】
この後、後述する第2通信装置40の処理により、この光信号S1に対する高周波信号の警報信号R1が送信され、この警報信号R1は受信器16により受信されて中間周波信号に周波数変換された後に、復調器18に入力される。復調器18の符号コード入力端子に、ROMに記憶されている自己の装置の識別番号IDが出力される。復調器18では、この識別番号IDを逆拡散符号として、受信器16から出力された中間周波信号がスペクトル逆拡散される。さらに、復調器18において2位相復調されてベースバンドの2値のデータ列として、出力される。
【0037】
ステップ102では、復調器18から復調されたデータが読み取られ、ステップ104において、そのデータが警報データか否かが判定される。警報データである場合には、ステップ106において、警報器24が駆動されて、自転車70の運転者に自動車80の接近が報知される。
【0038】
次に、ステップ108において、変調器22の拡散符号入力端子にROMに記憶されている自己の第1通信装置10の識別番号IDが出力され、被変調信号入力端子に、第2通信装置40に対する応答データが出力される。そして、変調器22では、第1搬送波が応答データにより2位相偏移変調された後に、さらに、拡散符号によりスペクトル拡散され、中間周波信号が得られる。中間周波信号は、送信器20に出力され、中間周波信号は周波数変換されて、高周波信号の応答信号Akとして、アンテナ21から放射される。この応答信号Akは、後述するように第2通信装置40において、処理されて、自動車80の運転者に、警報が相手の自転車70の運転者に伝達されたことが報知される。
【0039】
次に、ステップ110において、自動車80の移動距離が無視できる時間間隔、例えば、1msだけ待機して、ステップ100に戻り、上記の光強度変調、光信号の放射が実行される。これにより、1msの微小間隔で、光信号S1が放射されることになる。この微小間隔での光放射により、第1通信装置10の消費電力を抑制することができる。
【0040】
光信号S1は、図7に示されているように、バースト信号と、このバースト信号に続く識別番号IDとを1IDデータとして、同一のIDデータが多数回繰り返された信号である。第2通信装置40の光受信器44の1画素の選択期間において、3個のIDデータが存在している。したがって、光受信器44の1画素の選択期間当たり、同一の3組程度の識別番号IDが受信できる。このデータの組数を3個と複数にしたのは、受信時のタイミングによって復調が不確実になるのを防止するためである。したがって、バースト信号と1画素の選択信号とを同期させるなどして、正確に復調できるように復調タイミングを制御すれば、1画素の選択期間あたり1個のIDデータを受信するようにしても良い。
【0041】
次に、第2通信装置40の制御装置42の処理手順について、図6を参照して説明する。ステップ200において、光受信器44に画素選択信号が出力されて、各画素から光信号の強度レベルがピークホールド回路46に出力される。ピークホールド回路46では、強度レベルのピークが保持される。ピークホールド回路46は、光信号S1が入力されていない時のレベルと、光信号S1が入力されている時のレベルとを区別できる第1閾値が設定されている。その第1閾値は、制御装置42から可変設定される。第1閾値は、昼間、夜間、雨天などの環境要因により変化される。ピークホールド回路46は、強度レベルが第1閾値を超えた時に、制御装置42に割込信号を出力する。ステップ201では、画素選択信号が出力された後、1IDデータ期間内に、割込信号が入力されたか否かが判定される。割込信号がない場合には、1画素の選択期間だけ待機した後に、ステップ200に移行して、次の画素に対する画素選択信号が光受信器44に出力される。すなわち、光信号S1を受光していない画素の出力は復調されずに、画素が読み飛ばされる。
【0042】
ステップ201において、ピークホールド回路46から割込信号が入力された場合には、ステップ202において、ピークホールド回路46の出力するピーク値H(k)と、その時の画素アドレスkが記憶される。次に、ステップ204において、復調器45に起動信号が出力されて、復調器45により、光受信器44から入力した信号の強度復調が行われる。その結果、復調器45から、ベースバンドの2値からなる識別番号IDが制御装置42に入力される。その時の画素アドレスkと、ピーク値H(k)、読み取られた識別番号ID(k)とが、RAMに記憶される。
【0043】
図7で示されているように、1画素の選択期間において、最初のバースト信号が入力された時刻t1 において、ピークホールド回路46によるホールド値は、第1閾値を越えるので、ピークホールド回路46から割込信号が制御装置42に出力される。この割込信号に同期して、復調器45が起動されるので、バースト信号に続く、 IDデータが復調されることになる。
【0044】
次に、ステップ205において、全画素の走査が終了したか否かが判定されて、終了していない場合には、ステップ200に戻り、次の画素に対する画素選択信号が出力される。このようにして、光強度が第1閾値以上となる全ての画素アドレスk、ピーク値H(k)、識別番号ID(k)が取得される。図7に示されているように、光信号S1は、バースト信号と識別番号IDを1組とする1IDデータの連続した多数組を1データブロックとしている。この1データブロックが、微小時間間隔を開けて、間欠的に、第1通信装置10から送信される。1データブロックの長さは、全画素の1走査期間よりも長く(例えば、2走査期間以上)に設定されている。したがって、1データブロックの先頭の受信時刻が、走査期間のどの時刻であっても、全画素について、光信号を受信している画素であれば、識別番号IDの復調は可能となる。又、1画素走査期間当たり、3個のIDデータを連続配置しているので、1画素の走査期間に、連続したIDデータが存在すれば、識別番号IDの復調は確実に行われることになる。仮に、1画素の走査期間に、IDデータが存在しなくとも、次の走査周期においては、必ず、連続したIDデータが存在することになる。復調器45は、バースト信号に同期して、IDデータを復調するように構成されている。また、ピークホールド回路46によりホールドされた値は、1画素の走査が完了したタイミングで、制御装置42によりリッセトされる。
【0045】
全画素の走査が終了した場合には、ステップ206において、代表化の処理が実行される。すなわち、一つの光信号S1は、一般的には、複数の画素で受光されている。したがって、一つの光信号S1に対して、一つの画素アドレス、ピーク値、識別番号IDを決定する必要がある。同一識別番号IDを有する複数の画素は、同一の光信号S1を受光している。一つの光信号S1が複数の連続した画素で受光されている場合には、その連続画素の中心の画素のアドレスが、その光信号S1を受信した画素アドレスm、その画素のピーク値が信号の光強度A(m)と決定される。例えば、2つの方向から光信号S1,S2を受信した場合には、2つの画素アドレスm1 、m2 、2つの光強度A(m1 )、A(m2 )、識別番号ID(m1 )、ID(m2 )が得られる。
【0046】
次に、ステップ208において、得られた全光信号の中から、光強度A(m)が所定の第2閾値(第1閾値より大きい値)以上の光信号Smが選択される。第2閾値は、昼間、夜間、晴天、雨天などの環境要因により変更される。一般的には、空間での光信号の減衰が大きい程、第2閾値は小さく設定される。光強度A(m)が第2閾値以上となる光信号Smは、第2通信装置40に対して所定距離以下の範囲に存在する第1通信装置10から出力された信号であると判断できる。又、画素アドレスmは、光受信器44の光軸に対する光信号が入射する方位角θと対応している。光信号毎に、方位角θ(m)が求められ、方位角θが、所定の角度範囲に存在する光信号が選択される。方位角θ(m)が、所定の角度範囲に存在しない光信号Smを出力する第1通信装置10を搭載する自転車は、自動車80が走行しても接触の可能性はないと判断できる。したがって、ステップ208では、光強度A(m)が第2閾値以上で、且つ、方位角θ(m)が光軸に対して所定の角度範囲に存在する光信号Smが決定される。又、その光信号Smから得られた識別番号ID(m)が決定される。
【0047】
次に、ステップ210において、光信号の番号iが1に初期設定され、ステップ212において、全ての光信号iに応答して、高周波の警報信号Riの送信処理が終了したか否かが判定される。終了していない場合には、ステップ214において、変調器52に、情報である警報データD(i)と、識別番号ID(i)が、出力される。これにより、変調器52では、警報データD(i)により第1搬送波が2位相偏移変調され、さらに、識別番号ID(i)を拡散符号としてスペクトル拡散変調されて、中間周波信号が得られる。送信器50により、中間周波信号は周波数変換されて、高周波の警報信号Riとして、アンテナ51から空間に放射される。次に、ステップ216において、光信号番号iが1だけ更新されて、ステップ212、ステップ214の処理が繰り返される。この結果、受信した光信号の数だけ、警報データが、高周波の警報信号Riとして、空間に放射されることになる。
【0048】
この警報信号Riを受信した第1通信装置10では、警報信号Riが自己の識別番号を拡散符号としてスペクトル拡散変調された信号である場合にのみ復調可能となる。上述したように、図5のステップ102において、復調された結果の警報データが、復調器18から入力されて、第1通信装置10の警報器24において、警報音として出力されたり、警報表示が出力される。
【0049】
次のステップ218では、上述したように、図5のステップ108において、第1通信装置10から出力される応答信号Akが、受信器46で受信され、復調器48により復調される。次にステップ220において、警報器54において、警報信号Riが相手の第1通信装置10に伝達されたことを示す表示が行われる。その後、ステップ200に戻り、光受信器44における次の周期の全画素の走査が実行される。このようにして、第1通信装置10から光信号を受信して、その強度Aが第2閾値以上で、且つ、入射角θが所定角度範囲に存在する間、第2通信装置40から警報データが送信されることになる。光信号の強度Aが所定の第2閾値よりも小さくなるか、方位角θが所定の角度範囲外になった時には、第1通信装置10を搭載している自転車は、第2通信装置40を搭載している自動車80の走行範囲に対して安全な位置にあるか、安全な位置に移動したと判断されることになるため、警報信号Riは、第2送信装置40からは出力されなくなる。
【0050】
なお、第1通信装置10において、応答信号Akを1種類とするのであれば、第1搬送波をスペクトル拡散変調するだけで良い。すなわち、応答データにより第1搬送波を2位相偏移変調する必要はない。又、第2通信装置40において、警報信号R1を1種類とするのであれば、同様に、第1搬送波をスペクトル拡散変調するだけで良い。すなわち、警報データにより第1搬送波を2位相偏移変調する必要はない。又、第1通信装置10において、応答信号Akを返信しないのであれば、第1通信装置10において、変調器22、送信器20、アンテナ21は、必要ではなく、第2通信装置40において、アンテナ47、受信器46、復調器48は、必要ではない。又、第1通信装置10と第2通信装置40とを同一構成にしても良い。図8に示すように、第1通信装置10にも、光受信器34、復調器35、ピークホールド回路36を設けても良い。第2通信装置40にも、光送信器64を設けても良い。このように、第1、第2通信装置を、同一構成にすれば、例えば、自動車80側から光信号を送信して、自転車でこれを受信して、電波として、返信することで、自己の自転車の存在を自動車に通知することができる。また、各自動車に、通信装置を設置する場合にも、同一の通信装置を設置できるので便利である。
【0051】
光受信器44には、次の構成を採用することができる。図9に示すように、光信号S1の各ビットのレベル変化に応答する一次元配列のフォトダイオードアレイ441と、各ビットのレベル変化には応答しないが、光信号の1データブロックには応答する一次元配列のCCDアレイ442とを並列に配置した光受信器を用いても良い。フォトダイオードアレイ441とCCDアレイ442において、配列方向(x軸)の座標が同一である画素には、同一のアドレスが付される。そして、同一の画素選択信号で、それらの2つの画素が選択され、それぞれ2つの画素から、それぞれの信号が出力されるようにする。この場合には、ピークホールド回路46は必要ではなく、CCDアレイ442の出力レベルが第1閾値以上である画素のアドレスを、光信号を受光した画素のアドレスとして特定すれば良い。したがって、CCDアレイ442の出力レベルが第1閾値以上の場合に、割込信号が制御装置42に入力されるように構成して、図6のステップ202では、その割込信号に応答して、その時の画素アドレスkに対して、CCDアレイ442の出力レベルを光強度A(k)とし、復調器45を起動して、その出力を識別番号ID(k)とすれば良い。
【0052】
又、光受信器44による光信号の受信位置を、ディスプレイ上に表示して、自動車80の運転者が、警報信号を出力対象の光信号を特定するようにしても良い。この場合には、図6のステップ208による強度A(m)が第2閾値以上であるか否かの判定、方位角θが所定角度範囲内に存在するか否かの判定は必要ではない。
【0053】
又、光受信器44は、画素を、光信号の各ビットのレベル変化に応答するフォトダイオードアレイを2次元配列したものでも良い。又、光受信器44は、画素を、光信号の各ビットのレベル変化に応答するフォトダイオードアレイの画素と、光信号の1データブロックには応答するCCDアレイの画素を、それぞれ2次元配列したものでも良い。2次元配列は、行毎に、フォトダイオードアレイとCCDアレイとを交互に配列する方式でも、列毎に、フォトダイオードアレイとCCDアレイとを交互に配列する方式でも良い。さらに、フォトダイオードの1画素の4方位の隣接位置に、CCD画素を配置する格子状の配列であっても良い。
【0054】
又、ピークホールド回路46を設けずに、各画素の出力する強度レベルをA/D変換しして、制御装置42に入力するようにしても良い。この場合には、強度レベルと第1閾値との比較は、制御装置42が実行することになる。又、復調器45は、制御装置45により起動されて復調を開始するが、復調器45はバースト信号を同期信号として、常時、復調動作を実行するものであっても良い。光信号が存在しなければ、復調器45の出力は0値となる。
【実施例2】
【0055】
光受信器44は、本出願と同一出願人による特許文献3に開示の画像アレイを用いても良い。すなわち、図10に示すように、光受信器44は、1行毎に、光信号を受信する応答速度の速い通信用画素443と、可視画像を得る撮像用画素444とを配置したものを使用している。この場合には、撮像用画素444から出力される映像信号を処理することにより、光信号を出力している物体の画像認識が可能となる。1通信用画素443と1撮像用画素444との一対を同一画素アドレスとすることで、光信号を送信している物体の画像を特定することができる。すなわち、物体の画像を特定する画素アドレス群の中に、光信号を受信している画素のアドレスが存在することになる。これにより、光信号を送信している物体を特定することができ、その物体の移動方向や移動速度、又は、物体の種類、例えば、人、自転車、オートバイ、自動車などを把握することができ、それらに相応しい情報を伝達するための警報信号を送信することができる。
【0056】
例えば、画像認識により、物体の移動方向や移動速度を検出することができる。又、自己の自動車80の移動方向、移動速度は、走行状態から知ることができる。この結果、相手に、自己の自動車80が、どの方向から接近しているかや、接近速度などの情報を警報信号に含めることができる。又、撮像用画素444から出力される映像信号を表示装置に出力することで、画面上に、前方の物体の画像を表示することができる。これにより、自動車80の運転者が、警報信号を出力するための対象を画面上において特定することができる。
【0057】
本実施例は、図11に示すような場合の車車間通信に応用したものである。第1通信装置10は光信号を送信する自動車81に、第2通信装置40は警報信号Riを送信する自動車80に搭載されている。第1通信装置10と第2通信装置40とは、図8に示すように、同一構成である。自動車80と自動車81とは、直交する方向に走行している。光受信器44の通信用画素443については、実施例1との相違は、画素が2次元配列されているだけである。したがって、通信用画素443の走査が2次元走査となるだけであるので、光信号S1の受信処理については、実施例1の方法が使用できる。すなわち、図6の処理手順において、2次元配列された全画素に対して走査が実施されるだけである。光信号を受信している画素が2次元配置で複数ある場合も、その中央の画素を光信号を受信している画素として特定すれば良い。撮像用画素444から出力される映像信号は、画素の走査と共に、その明度レベルがA/D変換器によりディジタル値に変換されて、制御装置42のCPUにより入力され、画像データとしてRAMに記憶される。
【0058】
図12のステップ300において、画像認識処理が実行される。画像データの明度値の微分処理により輪郭が抽出され、一定方向の断片線が連続線として処理され、接近している連続線が群別化されて、1物体として認識される。その物体の中心位置が特定される。この画像認識の手法は、良く知られている。又、認識された物体の内で、自己の自動車80の進行方向において、接近を通知すべき領域に存在する物体が特定される。次に、微小時間後Δt後の撮像画像の画像認識が同様に行われる。ステップ302において、2つの画像において、形状の同一の物体は同一物体と認識され、物体の中心点の変位ベクトルΔrが測定される。変位ベクトルΔrにより移動方向ベクトルrが分かり、Δr/Δtにより移動速度ベクトルvが分かる。これにより相手の自動車81の挙動(r,v)が測定できる。次に、ステップ304において、自己の自動車80の移動方向ベクトルR、移動速度ベクトルVが演算される。自動車80の進行方向と光受信器44の光軸との関係は既知であるから、移動方向ベクトルRは、画面上において特定できる。又、移動速度ベクトルVは、速度メータ等により、常時測定されているので、その値を用いることができる。カーナビゲーションシステムを用いても、移動方向ベクトルR、移動速度ベクトルVを求めることができる。これにより、自己の自動車80の挙動(R,V)が求められる。
【0059】
次に、ステップ306において、挙動変位(r−R,v−V)が演算される。これにより、自己の自動車80に対する相手自動車81の移動方向と移動速度が分かる。換言すれば、相手自動車81の進行方向に対して、警報を出力する自動車80が、何れの方向から、何れの速度で接近しているかが分かる。次に、ステップ308において、警報を出力する自動車の接近方向と接近速度とが、警報データD(i)として決定される。この警報データD(i)が、図6のステップ214において、変調器52に出力されて、警報信号Riが、相手自動車81に伝達される。この結果、相手自動車81の運転者は、警報を送信した自動車80が、自己の自動車の進行方向に対してどの方向からどの速度で接近しているかを把握することができる。その他の処理は、実施例1と同一である。この光受信器が用いれる場合には、撮像画像から形状等により物体が認識されるので、その物体が自己の自動車に対して接近した位置に存在するか否かの判定や、警報を通知すべき物体の特定が、夜間や雨天などの環境状態によらず、正確となる。したがって、光信号の受光レベルが低くとも、警報の通知が確実に行われる。
【実施例3】
【0060】
本実施例は、本発明を図13に示すような場合の車車間通信に応用したものである。第1通信装置10は光信号を送信する自動車81に搭載され、第2通信装置40は警報信号Riを送信する自動車80に搭載されている。第1通信装置10と第2通信装置40とは、図8に示すように、同一構成である。光受信器44は、実施例1で述べた、各種の、画素が一次元配列の受信器でも、実施例2で述べた画素が2次元配列の受信器であっても良い。自己の自動車80の対向車81のヘッドライトがハイビームになっている場合に、運転車がその自動車から送信される光信号を、画面上で指定することで、ハイビームであることを示す警報データD(i)を図6のステップ214で送信するようにしたものである。実施例2の通信用画素と撮像用画素とが2次元配置された光受信器44が用いられる場合には、次のように、制御装置42の画像認識により、自動的に警報信号Riを送信するようにしても良い。実施例2で述べたように、撮像画像上でヘッドライトの輪郭が制御装置42の画像認識により特定された後、そのヘッドライトの画像の明度値が所定の閾値以上であれば、ハイビームと判断できる。その結果、ハイビームであることを示す警報信号Riが送信される。
【0061】
又、本発明を、図14に示すような場合の車車間通信に応用することもできる。同様に、光信号を送信している先行の自動車81のテールランプが切れている場合に、第2通信装置40を搭載している後続の自動車80が、テールランプが切れている旨の警報信号Riを送信するようにしたものである。この場合も、自動車80の運転者が、画面上、受光した光信号を指定して、その光信号による識別番号でスペクトル拡散変調して、警報信号Riを送信するようにしても良い。又、制御装置42による撮像画像のテールランプの自動認識により、左右のテールランプの画像の比較により、一方が切れていることが判定できる。よって、制御装置42により自動的に、警報信号Riを送信するようにしても良い。
【実施例4】
【0062】
警報データ(i)の種類が1種類、例えは、単に、相手に、自動車の接近を知らせるような場合には、警報データによる2位相偏移変調は不要であり、第1搬送波を拡散符号によりスペクトル拡散変調するだけでも良いことは、実施例1で述べた。本実施例は、警報データ(i)の種類が1種類ではないが、少ない場合の例である。例えば、各第1通信装置10には、4つの拡散符号が割り当てられている。第1通信装置10の送信する光信号は、この4つの拡散符号のうち、何れか1つの換算符号により強度変調された信号とする。
【0063】
実施例2の場合において、図11に示されるように、警報信号として知らせる自動車80の接近方位を、相手自動車81の前方、左方、右方、後方の4種類とする。そして、この4方位に対して、上記の4つの拡散符号が割り当てられる。この場合には、警報データを2位相偏移変調するのではなく、第1搬送波が、警報すべき方位に対応した拡散符号で、スペクトル拡散変調される。このようにすれば、第1通信装置10においては、4種類の拡散符号で、順次、復調して、所定レベルの第1搬送波が検出できれば、その拡散符号の種類から警報信号を出力した自動車の接近方向が判別できる。2位相偏移変調を行う必要がないので、復調器の構成が簡単となる。この実施例の場合には、図6のステップ214においては、警報データD(i)に対応した拡散符号ID(i)が変調器52に出力されるだけである。又、警報データD(i)として、固定データ、すなわち、「1」を、変調器52に出力するようにしても良い。光受信器44は、実施例1で述べた、各種の、画素が一次元配列の受信器でも、実施例2で述べた画素が2次元配列の受信器であっても良い。
【実施例5】
【0064】
本実施例は、本発明を、図15に示すような場合の移動体間通信に応用したものである。第2通信装置40において、2つの光信号S1,S2が受信され、その2つの光信号に対して、警報信号の出力が必要となった場合である。自転車71、72が、自動車80が進行する道路を横断するような場合である。この場合、実施例1の方法によると、図6のステップ212、214、216の処理により、警報信号Riは順次、送信されることになる。しかし、拡散符号の直交性を利用することで、2つの警報信号を多重化して送信することができる。
【0065】
自転車71、72の位置が接近して、同一方向に進行しているような場合には、自動車80の接近に対する警報データは、同一となる。この場合、警報データD(i)を共通化できる。例えば、前方、後方、右方、左方などの自動車80の接近方向は、自転車71、72で共通化できる。尚、その共通化された警報データD(i)が1種であれば、例えば、接近だけを知らせる場合には、D(i)=1として、2位相偏移変調を省略することも可能である。自転車70、71のそれぞれの識別番号をID(1)、ID(2)とする。この識別番号は、当然に異なる。第2通信装置40では、2つの識別番号の和、すなわち、ID(1)+ID(2)が新たな加算拡散符号AIとして生成される。共通の警報データDが、加算拡散符号AIでスペクトル拡散変調された結果は、D×AIとなる。D=1の場合には、警報データを用いない場合を意味する。又、×は、ミキシング、すなわち、変調を意味する。
【0066】
この警報信号Rを、自転車70に搭載された第1通信装置10において復調する場合には、COR[D×AI×ID(1)]=COR[D×{ID(1)+ID(2)}×ID(1)]=COR[D×ID(1)×ID(1)]=Dとなる。ただし、COR[A×B]は、AとBとの相互相関による復調処理を意味する。すなわち、拡散符号ID(1)とID(2)とが直交しているので、それらの復調時の相互相関COR[ID(1)×ID(2)]は零となる。同様に、自転車71に搭載された第1通信装置10において、受信信号Rを拡散符号ID(2)により復調する場合も、同様に、共通の警報データDが復調できる。これにより、自転車70、71では、同時に警報信号Rを復調できるので、警報の伝達遅れを排除することができる。
【0067】
本実施例においても、実施例4の方式を用いることができる。例えば、自転車70の第1通信装置10に、4つの識別番号ID(1,1)〜ID(1,4)が割り当てられ、自転車71の第1通信装置10に、4つの識別番号ID(2,1)〜ID(2,4)が割り当てられる。これら8つの識別番号は、当然に、直交させている。自転車70に通知する警報データの種類に応じて、ID(1,1)〜ID(1,4)の群から一つの識別番号ADが選択され、自転車71に通知する警報データの種類に応じて、ID(2,1)〜ID(2,4)の群から一つの識別番号BDが選択される。そして、識別番号ADと識別番号BDとの和による加算拡散符号AI(=AD+BD)により、第1搬送波がスペクトル拡散変調される。自転者70では、警報信号Rが、順次、4つの拡散符号ID(1,1)〜ID(1,4)で復調されることになる。拡散符号の直交性により、これらの拡散符号とBDとの相互相関は零となる。よって、復調時の拡散符号ID(1,1)〜ID(1,4)うち、拡散符号ADと一致する拡散符号のみがデータ「1」の出力となり復調可能となる。復調できた拡散符号の種類により、警報の種類を判別できる。自転車71に搭載の第1通信装置10においても同様である。
【0068】
これらの実施例の場合には、図6のステップ214の前に、多重化して警報信号を出力する対象の光信号が特定される。光信号の受光された画素アドレスが接近している場合の複数の光信号に対する応答を、多重化の対象とすることができる。又、実施例2のように通信用画素と撮像用画素とを2次元配列した光受信器44の場合には、撮像画像から自転車を認識して、その位置が接近している複数の物体からの光信号に対する応答を、多重化の対象とすることができる。そして、ステップ214において、加算拡散符号AIが求められ、変調器52に、その加算拡散符号AIが出力されることで、多重化された合成信号Rが送信される。本実施例の場合には、警報信号を送信する相手側の第1通信装置が多数存在する場合に、有効である。同時に、警報信号を送信することができるので、順次、送信相手毎に、警報信号を送信する場合に比べて、緊急を要する警報の場合に、有効である。
【実施例6】
【0069】
本実施例は、本発明を図16に示す場合に応用した例である。横断歩道に、テレビカメラによる監視装置85が設置されている。画像認識により、横断歩道を横断しようとしている歩行者や、横断中の歩行者が認識される。この場合には、道路を走行する自動車80に第1通信装置10が搭載され、監視装置85に第2通信装置40が搭載される。自動車80が監視装置85に接近すると、第1通信装置10から送信された光信号S1が第2通信装置40の光受信器44に受光される。監視装置85では、光信号S1が受光された時に、横断者が存在する場合には、この情報を警報信号として、自動車80の第1通信装置10に伝達するようにしている。これにより、自動車80の運転者は、横断歩道を横断しようとしている歩行者の存在を知ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、自動車間や、自動車と歩行者又は自転車などの移動体間において警報を通知する装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0071】
10…第1通信装置
40…第2通信装置
443…通信用画素
444…撮像用画素
12,42…制御装置
14…光送信器
16…受信器
18…復調器
44…光受信器
50…送信器
52…変調器
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間において、選択的通信を可能とした通信装置及び通信方法に関する。例えば、人、自転車、又は、オートバイと、自動車との間、又は、自動車間において、自己の存在、接近、接近方向、危険警報、対向車のヘッドランプや前方車のテールランプの状態などの諸情報を、選択的に通信相手に伝達する通信装置及び通信方法に、本発明を用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来、選択された車両に対して、通信を可能とした車車間通信システムとして、下記特許文献1に開示の技術が知られている。その特許文献1においては、自車両の周辺に位置する他の車両のナンバープレートをビデオカメラなどで撮像して、車両登録番号を抽出し、その登録番号に対応した拡散符号を発生して、その拡散符号を用いたスペクトル拡散変調により、他の車両と通信を行うシステムが開示されている。電波を受ける他の車両は、自己の登録番号から拡散符号が分かっているので、その車両のみが、受信電波を復調できる。一旦、車両間で、通信に用いる拡散符号が確立されると、以後、その拡散符号を用いて、それらの車両間だけで、通信を行うことができる。通信を行っている2車両以外の車両からの送信電波が存在していても、IDを通信するIP通信と異なり、拡散符号の直交性により、混信を防止することができる。
【0003】
又、特定のPC間でのみ、無線通信を可能とした技術として、下記特許文献2に開示の技術が知られている。特許文献2においては、2つのPCを対面させて、光通信により、自己のPCのIDや、通信に使用する暗号キーを交換して、それらのPC間での無線通信が確立される。すなわち、特許文献2の技術は、2つのPC間での、秘匿性及び選択性のある無線通信を確立するための初期設定データが光通信により交換されるため、無線通信の確立を容易にする技術である。
【0004】
又、下記特許文献3には、光通信用の光信号を入力する受光画素と、物体の画像を得るための受光画素とが、2次元アレイ配列された受光装置を開示している。特許文献3に開示の技術では、その受光装置を用いて、前方車両の画像から前方車両の位置が検出され、その画像を捉えた画素領域内の画素により受信された光信号が、その車両からの光信号として特定される。そして、特許文献3は、その光信号により、前方車両から送信された、その車両の車速や加速度のデータを検出して、これらのデータと画像による位置とから、衝突回避などの運転支援を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−68923
【特許文献2】特開2003−78475
【特許文献3】特開2009−27480
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の方法によると、前方車両のナンバープレートを撮像して、画像から車両の登録番号を解析する必要があり、画像解析に係る時間が長くなり、時間遅れのない処理が困難となる。又、ビデオカメラの光軸と、ナンバープレートとの成す角度の変動、周囲の明るさ、太陽光線やヘッドランプビームのナンバープレートによる反射などにより、画像を正確に抽出することが困難な場合が発生する。このため、登録番号の正確な把握が困難となり、確実な、通信ができないという問題がある。又、ナンバープレートを搭載していない人や物体との間での通信はできない。さらに、自己の自動車から見て、ナンバープレートが確実に視認できる位置関係にある車両としか、通信をすることができないという問題がある。
【0007】
また、特許文献3の技術によると、前方車両からその車両の速度や加速度などのデータを光信号で受信し、前方車両の画像のイメージセンサ上の位置により、前方車両の位置を特定することができる。この場合には、この検出装置を、自車両の走行制御に用いることができる。しかし、特許文献3においては、自車両から、撮像された前方車両に対してのみ選択的に、通信を確立することについては、何ら示唆がない。
【0008】
一方、特許文献2の開示の技術は、PC間での無線通信の確立に関するものであり、暗号コードの交換のために、PC間を対面させて、一対一の光通信を行うものである。したがって、移動体間通信には、用いることができない。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、多数の通信装置が存在する中で、選択された2つの通信装置間を、確実に、混信なく通信できるようにすることである。特に、本装置が移動体に搭載されて、その移動体の接近情報を、その移動体に対して接近した位置にある他の移動体に、確実に通知できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、光信号及び無線で通信する通信装置において、任意の複数の第1通信装置から送信された、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光を変調したそれぞれの光信号を、第2通信装置において受信する、複数の画素が少なくとも一次元方向に配置され、それぞれの方位から到来する光信号を、異なる画素で受光する光受信器と、光受信器により受信された光信号を復調して、送信した第1通信装置の識別番号を復調する復調器と、復調器により復調された識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調する変調器と、拡散符号と、送信すべき情報とに基づいて、変調器を制御する制御装置と、変調器により変調された信号を無線の高周波信号として、送信する送信器とを有することを特徴とする通信装置である。
【0010】
すなわち、本発明は、高周波信号を受信する側の通信装置が、高周波信号を送信する側の通信装置に対して、受信装置に固有の拡散符号を、光の変調信号で送信することが特徴である。そして、高周波信号を送信する側の通信装置は、複数の画素が少なくとも一次元方向に配列された光受信器によって、光信号を受光し、その光信号から拡散符号を得て、その拡散符号を用いてスペクトル拡散変調により高周波信号を送信するようにしたことが特徴である。これにより、高周波信号を受信する装置は、選択的に特定されることになり、送信する通信装置が多数存在していても、混信することがない。光の変調は、一般的には、2値の符号列により光の強度を変調する強度変調である。また、2値の符号列により変調された変調信号により光の振幅を変調する振幅変調が用いられる。光の変調は、その他の変調であっても良い。又、第2通信装置において、送信すべき情報が1種類であるならば、例えば、接近していることの警報だけであるならば、拡散符号により搬送波をスペクトル拡散変調して、高周波信号を送信するだけでも良い。送信すべき情報は複数種類の場合には、一般的には、この情報データにより第1搬送波を、位相、周波数、振幅変調した後、拡散符号によりスペクトル拡散変調される。したがって、送信すべき情報が1種類である場合において、拡散符号によるスペクトル拡散変調を用いることは、第1搬送波を変調する場合の変調信号を直流(固定値)とすることと等価である。又、用いられる拡散符号は、それぞれ、直交していることが必要である。
【0011】
上記発明において、制御装置は、光受信器により受信された光信号の光受信器上の位置により、第1送信装置を特定して、第1送信装置に対して送信すべき情報を決定する装置とすることができる。すなわち、光受信器の画素アドレスにより、光信号の入射方位が決定できる。又、ディスプレイ上に、光信号の入射位置を表示することで、情報を伝送し応答の対象となる光信号を特定することができる。
【0012】
又、制御装置は、特定された第1通信装置の第2通信装置に対する位置関係に応じて、送信すべき情報を決定する装置としても良い。すなわち、第1通信装置に対して、第2通信装置が、何れの方位から接近しているかの方位、接近速度などを送信すべき情報とすることができる。又、制御装置は、第1通信装置が複数存在し、光受信器により受信された光信号が複数であり、送信すべき情報が共通である場合に、復調されたそれぞれの識別番号の拡散符号を加算して加算拡散符号を求め、変調器に、その加算拡散符号を出力して、送信すべき情報を変調させる装置としても良い。拡散符号の直交性により、加算拡散符号で変調しても、各第1通信装置において、その装置に固有の各拡散符号を用いて情報の復調が可能である。
【0013】
又、上記発明において、第1通信装置には、第2通信装置から送信される高周波を復調するための複数の拡散符号から成る符号群が割り当てられており、制御装置は、送信すべき情報を決定し、復調器により復調された識別番号に対応する符号群を決定し、その符号群の中から、決定された送信すべき情報に対応する拡散符号を選択し、変調器に対して、固定データをその選択された拡散符号によりスペクトル拡散変調させる装置であっても良い。すなわち、第2通信装置から送信される高周波信号の拡散符号の種類自体が、送信すべき情報とされる。固定データの意味は、直流、一定値の意味であり、この変調は、振幅一定の第1搬送波(固定データ)を、拡散符号によりスペクトル拡散変調することを意味している。
【0014】
又、光受信器は、光信号を受信する画素と、光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有する装置を用いることができる。又、光受信器は、複数の画素が2次元配置された面状受信器であり、光信号を受信する画素と、光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有する装置であっても良い。すなわち、光信号も可視画像も、一次元配置の画素アレイで受光しても、2次元配置の画素アレイで受光しても良い。
【0015】
さらに、上記発明において、制御装置は、光受信器において、光信号を受信した画素上の位置に対応する画像を決定し、決定された画像に基づいて、情報の送信の可否の決定、送信すべき情報の決定を行う装置であっても良い。すなわち、画像データは、画像認識処理により、光信号を発信している物体の把握や、物体の移動方向や速度などの挙動を把握するのに、用いることができる。又、各画素の出力する映像信号をディスプレイに出力して、可視画像が表示されるようにしても良い。又、ディスプレイは、ディスプレイ上に表示された画像を指定することで、情報を高周波信号として返信する対象物を指定するするのに用いることができる。
【0016】
他の発明は、第1の発明の第2通信装置に対して通信を行う第1通信装置であって、第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光変調して得られた光信号を放射する光送信器と、第2通信装置から送信され、スペクトル拡散により変調された高周波信号を受信する受信器と、受信器により受信された受信信号を、自己の識別番号を拡散符号として、復調する復調器とを有することを特徴とする通信装置である。
【0017】
又、他の発明は、第1の発明に対応する通信方法の発明であり、通信装置間を光信号及び無線で通信する通信方法において、複数の第1通信装置から、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた自己の識別番号で光を変調して得られたそれぞれの光信号を放射し、第2通信装置において、それぞの方位から到来する光信号を、少なくとも一次元方向に配置された光受信器により、異なる画素で受光し、受信された光信号を復調して、送信した第1通信装置の識別番号を復調し、復調された識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調し、変調された信号を無線の高周波信号として、第2通信装置から第1通信装置に向けて送信し、高周波信号を第1通信装置において、受信して、第1通信装置の自己の識別番号を拡散符号として、スペクトル逆拡散により復調して、第2通信装置からの情報を復調することを特徴とする通信方法である。
【0018】
方法発明において、送信すべき情報は、受信された光信号の光受信器上の位置により、第1送信装置を特定して、その特定により決定されても良く、特定された第1通信装置の第2通信装置に対する位置関係に応じて、決定されても良い。又、第1通信装置が複数存在し、光受信器により受信された光信号が複数であり、送信すべき情報が共通である場合に、復調されたそれぞれの識別番号の拡散符号を加算して加算拡散符号を求め、その加算拡散符号により、送信すべき情報をスペクトル拡散変調するようにしても良い。又、第1通信装置には、第2通信装置から送信される高周波を復調するための複数の拡散符号から成る符号群が割り当てられており、受信した光信号の復調より得られた識別番号に対応する符号群を決定し、その符号群の中から、決定された送信すべき情報に対応する拡散符号を選択し、固定データをその選択された拡散符号によりスペクトル拡散変調するようにしても良い。
【0019】
又、方法の発明において、光受信器は、光信号を受信する画素と、光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有しても良く、複数の画素が2次元配置された面状受信器であり、光信号を受信する画素と、光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有していても良い。さらに、光受信器において、光信号を受信した画素上の位置に対応する画像を決定し、決定された画像に基づいて、情報の送信の可否の決定、送信すべき情報を決定するようにしても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、情報を含む高周波信号を受信する第1通信装置が、その装置に固有の復調のための拡散符号を、光信号により、情報を送信する第2通信装置に送信するようにしている。したがって、第2通信装置は、光信号から得られた拡散符号を用いたスペクトル拡散変調により、情報を送信することで、光信号を送信した第1通信装置だけが、この情報を取得することができる。このように、第1通信装置、第2通信装置が多数存在する環境においても、混信のない一対一通信が可能となる。第1通信装置、第2通信装置を、移動体に搭載した場合に、移動体の接近情報を他の移動体に知らせるような、移動体間通信に用いることができる。又、光信号が用いられているので、第1通信装置、第2通信装置の距離が一定値以下となった場合、第2通信装置への光信号の入射角が一定角度範囲になった場合にのみ、応答可能となる。これにより、移動体の進行方向に存在する他の移動体に対して、確実に、接近情報を伝達することが可能となる。又、光受信器として、複数の画素が一次元方向に配列された素子が用いられた場合には、光信号の入射角を簡単に検出することができる。又、 通信用画素と撮像用画素を2次元配置した光受信器が用いられる場合には、画像認識により光信号を発信している物体の把握が容易となり、その物体の移動方向、速度などの挙動の把握が可能となり、適切な接近情報を高周波信号として発信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の具体的な実施例1の通信装置の構成を示したブロック図。
【図2】実施例1に係る第1通信装置において、光送信器の光放射を示した説明図。
【図3】実施例1に係る第2通信装置において、光受信器の画素アドレスと、光信号の入射角との関係を示した説明図。
【図4】実施例1の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【図5】実施例1に係る第1通信装置の制御装置の動作手順を示したフローチャート。
【図6】実施例1に係る第2通信装置の制御装置の動作手順を示したフローチャート。
【図7】光信号と光受信器における画素の選択信号との関係を示したタイミングチャート。
【図8】実施例1の通信装置の他の構成を示したブロック図。
【図9】実施例1の第2通信装置の光受信器の他の構成を示した構成図。
【図10】本発明の具体的な実施例2に係る光受信器の構成を示した構成図。
【図11】実施例2、実施例4の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【図12】実施例2に係る第2通信装置の制御装置の動作手順を示したフローチャート。
【図13】本発明の具体的な実施例3の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【図14】本発明の具体的な実施例3の通信装置が使用される他の状態を示した説明図。
【図15】本発明の具体的な実施例5の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【図16】本発明の具体的な実施例6の通信装置が使用される状態を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照して説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
実施例1の通信装置は、第1通信装置を歩行者、自転車、オートバイに設け、第2通信装置を自動車に設けて、自動車の接近を、歩行者、自転車、オートバイに、通知する警報装置に用いたものである。図1は、第1通信装置10と第2通信装置40の構成を示すブロック図である。第1通信装置10は、近赤外線を発光する発光ダイオードを光源として有する光送信器14と、制御装置12とを有している。制御装置12は、CPUやRAM、ROMを含むコンピュータシステムで構成されている。光送信器14は、制御装置12の制御により第1通信装置10に固有に割り当てられた識別番号IDを制御装置12から入力して、識別番号IDの各ビットの値(0,1の2値)により光を強度変調して得られる光信号S1を送信する。光信号S1には、波長870μmの近赤外線が用いられている。光送信器14は、図2に示されるように、移動体である自転車70の周囲360度の範囲に渡って放射可能なように、リング状に配設された多数の発光ダイオードLEDを有している。
【0024】
本実施例において、高周波信号の変調方式は、1次変調が2位相偏移変調(BPSK)2次変調がスペクトル拡散変調である。すなわち、データ列により第1搬送波が2位相偏移変調され、さらに、拡散符号によりスペクトル拡散変調されて中間周波信号となる。その中間周波信号が第2搬送波により周波数変換されて、高周波信号が生成される。
【0025】
第1通信装置10は、アンテナ17、受信器16、復調器18を有している。受信器16は、アンテナ17から高周波信号を受信して、第2搬送波により中間周波信号に周波数変換する。復調器18は、受信器16の出力する中間周波信号を、制御装置12から出力される拡散符号により、スペクトル逆拡散復調した後、第1搬送波を用いて2位相偏移復調してベースバンドのデータ列に復調する。又、第1通信装置10は、変調器22、送信器20、アンテナ21を有している。変調器22は、制御装置12から出力されるデータ列により第1搬送波を2位相偏移変調し、さらに、制御装置12から出力される拡散符号によりスペクトル拡散変調して、中間周波信号を出力する。送信器20は、変調器22の出力する中間周波信号を第2搬送波により周波数変換して、高周波信号をアンテナ21に出力する。
【0026】
又、第1通信装置10は、復調器18の出力するデータに応じて、制御装置12の制御により、警報を出力する警報器24を有している。警報器24は、警報を音声で出力するスピーカ、警報を振動で知らせる振動アクチュエータ、警報を光出力で知らせるランプ、ディスプレイなどで構成されている。
【0027】
第2通信装置40は、近赤外線が受光可能な、画素が一次元配置されたフォトダイオードアレイから成る光受信器44と、復調器45と、ピークホールド回路46、制御装置42を有している。路面に垂直な方向には一定幅で、水平方向には所定の方位角範囲で、光信号を、一次元配置された画素により受光するために、円筒レンズなどの集光装置が用いられる。光受信器44は、光送信器14の出力する光の波長にのみ感度を有するように構成されている。光受信器44には、図3に示すように、それぞれ異なる位置に存在する複数の第1通信装置10の光送信器14の光源、例えば、LED1、LED2、LED3から放射された各光信号S1、S2、S3が、異なる方位θ1、θ2、θ3から入射する。光受信器44の光信号を受信した画素アドレスにより、LED1、LED2、LED3の存在方位、光信号の強度により光受信器44対するLED1、LED2、LED3が第2通信装置40を搭載している自動車に接近しているか否かが判定できる。
【0028】
光受信器44は、制御装置42から出力される画素選択信号を入力して、選択された画素の信号レベルを出力する。この信号レベルは、ピークホールド回路46に入力されて、信号レベルのピーク値が検出される。制御装置42は、順次、画素選択信号を出力することで、光受信器44の画素を、順次、走査する。制御装置42は、1画素毎に、ピークホールド回路46のホールド値が所定値以上となる場合に出力される値を入力し、ホールド値を消去するために、ピークホールド回路46にリセット信号を出力している。これにより、制御装置42は、各画素毎の光強度のピーク値を入力することができる。又、1画素が選択されている期間、光受信器44から復調器45には、識別番号IDを1データとして、同一の複数のデータ列を含む光信号S1が、入力される。復調器45では、光強度復調により、識別番号IDのデータ列を得ることができる。このデータ列は、制御装置42に入力される。
【0029】
又、第2通信装置40は、変調器52、送信器50、アンテナ51を有している。変調器52は、制御装置42から出力されるデータ列により第1搬送波を2位相偏移変調し、さらに、制御装置42から出力される拡散符号によりスペクトル拡散変調して、中間周波信号を出力する。送信器50は、変調器52の出力する中間周波信号を第2搬送波を用いて周波数変換して高周波信号をアンテナ51に出力する。
【0030】
又、第2通信装置40は、アンテナ47、受信器46、復調器48を有している。受信器46は、アンテナ47から高周波信号を受信して、第2搬送波を用いて中間周波信号に周波数変換する。復調器48は、受信器46の出力する中間周波信号を、制御装置42から出力される拡散符号により、スペクトル逆拡散復調した後、第1搬送波を用いて2位相偏移復調してベースバンドのデータ列に復調する。
【0031】
又、制御装置42は、CPUやRAM、ROMを含むコンピュータシステムで構成されている。又、第2通信装置40は、復調器48の出力するデータに応じて、第1通信装置10から送信された応答信号Akを受信して、第1通信装置10に警報信号R1が伝達されたことを示すための警報器54を有している。警報器54は、スピーカ、振動アクチュエータ、ランプ、ディスプレイなどである。
【0032】
第1通信装置10は、図4に示されているように、それぞれ、異なる位置に存在する複数の移動体である自転車70、71に搭載されている。第2通信装置40は、移動体である自動車80に搭載されている。自転車70、71の光送信器14は、微小時間間隔毎に、自己の識別番号IDで光を強度変調した光信号S1、S2を空間において水平面上、360度の範囲で放射している。図4に示す例は、自動車80の運転者にとって、走行している道路に直交する道路を走行する自転車70、71の見通しが良くなく、同様に、自転車70、71の運転車にとって、走行している道路に直交する道路の自動車80の見通しが良くない場合である。図4は、自転車71は、自動車80が走行している道路を、既に、横断し終えているが、自転車70は、これから横断しようとしている場合を示している。自転車70から放射された光信号S1は、自動車80に搭載された第2通信装置40の光受信器44において受信されるが、自転車71から放射された光信号S2は、建物などにより遮蔽されて、光受信器44においては受信されない。勿論、自転車71から放射された光信号S2が、光受信器44に受信されても、障害はない。
【0033】
このような場合に、自動車80に搭載された第2通信装置40は、次のように動作する。光受信器44において、受信した光信号S1の強度、到来方位が検出される。光強度が、日中、夜間、雨天などの環境により補正される閾値以上である場合には、自転車70と自動車80の距離は所定距離以下と判定できる。また、方位が、自動車80の進行軸を中心として所定角度範囲に存在している場合には、自転車70は自動車80の進行方向に存在すると判定できる。この場合に、第2通信装置40では、受信した光信号S1から自転車70に搭載された第1通信装置10の識別番号IDが復調される。そして、その識別番号IDを拡散符号として、接近を示す情報(データ)が、その拡散符号でスペクトル拡散により変調される。その後、変調された信号は周波数変換されて高周波信となる。この高周波信号が警報信号R1として、空間に放射される。
【0034】
この高周波信号である警報信号R1は、自転車70、71に搭載されている第1通信装置10において受信される。自己の第1通信装置の識別番号IDを拡散符号として、データがスペクトル逆拡散により復調される。この復調においては、光信号S1を送信した自転車70においてのみ復調が可能となる。これにより、自転車70の運転者にのみ自動車80の接近を知らせることができる。自転車71の第1通信装置10では、自動車80からの高周波信号を受信したとしても、変調時の拡散符号と、復調時の拡散符号が異なるため、復調できない。したがって、自転車71の運転者には接近警報が与えられることがない。このように、複数の第1通信装置10において、第2通信装置40により光信号が受信された第1通信装置のみが、第2通信装置からのデータを復調することが可能となる。
【0035】
次に、本装置の作用について、さらに、詳しく説明する。図5は、第1通信装置10の制御装置12が有するCPUの処理手順を示している。ステップ100において、ROMに記憶されている自己の装置の識別番号IDが、シリアルデータとして、光送信器14の変調入力端子に出力される。このことにより、光送信器14において、発光ダイオードから出力される光が、識別番号IDの0,1のコード列に応じて、強度変調される。この識別番号IDにより強度変調された光信号S1が、空間の360度の全方位に放射される。
【0036】
この後、後述する第2通信装置40の処理により、この光信号S1に対する高周波信号の警報信号R1が送信され、この警報信号R1は受信器16により受信されて中間周波信号に周波数変換された後に、復調器18に入力される。復調器18の符号コード入力端子に、ROMに記憶されている自己の装置の識別番号IDが出力される。復調器18では、この識別番号IDを逆拡散符号として、受信器16から出力された中間周波信号がスペクトル逆拡散される。さらに、復調器18において2位相復調されてベースバンドの2値のデータ列として、出力される。
【0037】
ステップ102では、復調器18から復調されたデータが読み取られ、ステップ104において、そのデータが警報データか否かが判定される。警報データである場合には、ステップ106において、警報器24が駆動されて、自転車70の運転者に自動車80の接近が報知される。
【0038】
次に、ステップ108において、変調器22の拡散符号入力端子にROMに記憶されている自己の第1通信装置10の識別番号IDが出力され、被変調信号入力端子に、第2通信装置40に対する応答データが出力される。そして、変調器22では、第1搬送波が応答データにより2位相偏移変調された後に、さらに、拡散符号によりスペクトル拡散され、中間周波信号が得られる。中間周波信号は、送信器20に出力され、中間周波信号は周波数変換されて、高周波信号の応答信号Akとして、アンテナ21から放射される。この応答信号Akは、後述するように第2通信装置40において、処理されて、自動車80の運転者に、警報が相手の自転車70の運転者に伝達されたことが報知される。
【0039】
次に、ステップ110において、自動車80の移動距離が無視できる時間間隔、例えば、1msだけ待機して、ステップ100に戻り、上記の光強度変調、光信号の放射が実行される。これにより、1msの微小間隔で、光信号S1が放射されることになる。この微小間隔での光放射により、第1通信装置10の消費電力を抑制することができる。
【0040】
光信号S1は、図7に示されているように、バースト信号と、このバースト信号に続く識別番号IDとを1IDデータとして、同一のIDデータが多数回繰り返された信号である。第2通信装置40の光受信器44の1画素の選択期間において、3個のIDデータが存在している。したがって、光受信器44の1画素の選択期間当たり、同一の3組程度の識別番号IDが受信できる。このデータの組数を3個と複数にしたのは、受信時のタイミングによって復調が不確実になるのを防止するためである。したがって、バースト信号と1画素の選択信号とを同期させるなどして、正確に復調できるように復調タイミングを制御すれば、1画素の選択期間あたり1個のIDデータを受信するようにしても良い。
【0041】
次に、第2通信装置40の制御装置42の処理手順について、図6を参照して説明する。ステップ200において、光受信器44に画素選択信号が出力されて、各画素から光信号の強度レベルがピークホールド回路46に出力される。ピークホールド回路46では、強度レベルのピークが保持される。ピークホールド回路46は、光信号S1が入力されていない時のレベルと、光信号S1が入力されている時のレベルとを区別できる第1閾値が設定されている。その第1閾値は、制御装置42から可変設定される。第1閾値は、昼間、夜間、雨天などの環境要因により変化される。ピークホールド回路46は、強度レベルが第1閾値を超えた時に、制御装置42に割込信号を出力する。ステップ201では、画素選択信号が出力された後、1IDデータ期間内に、割込信号が入力されたか否かが判定される。割込信号がない場合には、1画素の選択期間だけ待機した後に、ステップ200に移行して、次の画素に対する画素選択信号が光受信器44に出力される。すなわち、光信号S1を受光していない画素の出力は復調されずに、画素が読み飛ばされる。
【0042】
ステップ201において、ピークホールド回路46から割込信号が入力された場合には、ステップ202において、ピークホールド回路46の出力するピーク値H(k)と、その時の画素アドレスkが記憶される。次に、ステップ204において、復調器45に起動信号が出力されて、復調器45により、光受信器44から入力した信号の強度復調が行われる。その結果、復調器45から、ベースバンドの2値からなる識別番号IDが制御装置42に入力される。その時の画素アドレスkと、ピーク値H(k)、読み取られた識別番号ID(k)とが、RAMに記憶される。
【0043】
図7で示されているように、1画素の選択期間において、最初のバースト信号が入力された時刻t1 において、ピークホールド回路46によるホールド値は、第1閾値を越えるので、ピークホールド回路46から割込信号が制御装置42に出力される。この割込信号に同期して、復調器45が起動されるので、バースト信号に続く、 IDデータが復調されることになる。
【0044】
次に、ステップ205において、全画素の走査が終了したか否かが判定されて、終了していない場合には、ステップ200に戻り、次の画素に対する画素選択信号が出力される。このようにして、光強度が第1閾値以上となる全ての画素アドレスk、ピーク値H(k)、識別番号ID(k)が取得される。図7に示されているように、光信号S1は、バースト信号と識別番号IDを1組とする1IDデータの連続した多数組を1データブロックとしている。この1データブロックが、微小時間間隔を開けて、間欠的に、第1通信装置10から送信される。1データブロックの長さは、全画素の1走査期間よりも長く(例えば、2走査期間以上)に設定されている。したがって、1データブロックの先頭の受信時刻が、走査期間のどの時刻であっても、全画素について、光信号を受信している画素であれば、識別番号IDの復調は可能となる。又、1画素走査期間当たり、3個のIDデータを連続配置しているので、1画素の走査期間に、連続したIDデータが存在すれば、識別番号IDの復調は確実に行われることになる。仮に、1画素の走査期間に、IDデータが存在しなくとも、次の走査周期においては、必ず、連続したIDデータが存在することになる。復調器45は、バースト信号に同期して、IDデータを復調するように構成されている。また、ピークホールド回路46によりホールドされた値は、1画素の走査が完了したタイミングで、制御装置42によりリッセトされる。
【0045】
全画素の走査が終了した場合には、ステップ206において、代表化の処理が実行される。すなわち、一つの光信号S1は、一般的には、複数の画素で受光されている。したがって、一つの光信号S1に対して、一つの画素アドレス、ピーク値、識別番号IDを決定する必要がある。同一識別番号IDを有する複数の画素は、同一の光信号S1を受光している。一つの光信号S1が複数の連続した画素で受光されている場合には、その連続画素の中心の画素のアドレスが、その光信号S1を受信した画素アドレスm、その画素のピーク値が信号の光強度A(m)と決定される。例えば、2つの方向から光信号S1,S2を受信した場合には、2つの画素アドレスm1 、m2 、2つの光強度A(m1 )、A(m2 )、識別番号ID(m1 )、ID(m2 )が得られる。
【0046】
次に、ステップ208において、得られた全光信号の中から、光強度A(m)が所定の第2閾値(第1閾値より大きい値)以上の光信号Smが選択される。第2閾値は、昼間、夜間、晴天、雨天などの環境要因により変更される。一般的には、空間での光信号の減衰が大きい程、第2閾値は小さく設定される。光強度A(m)が第2閾値以上となる光信号Smは、第2通信装置40に対して所定距離以下の範囲に存在する第1通信装置10から出力された信号であると判断できる。又、画素アドレスmは、光受信器44の光軸に対する光信号が入射する方位角θと対応している。光信号毎に、方位角θ(m)が求められ、方位角θが、所定の角度範囲に存在する光信号が選択される。方位角θ(m)が、所定の角度範囲に存在しない光信号Smを出力する第1通信装置10を搭載する自転車は、自動車80が走行しても接触の可能性はないと判断できる。したがって、ステップ208では、光強度A(m)が第2閾値以上で、且つ、方位角θ(m)が光軸に対して所定の角度範囲に存在する光信号Smが決定される。又、その光信号Smから得られた識別番号ID(m)が決定される。
【0047】
次に、ステップ210において、光信号の番号iが1に初期設定され、ステップ212において、全ての光信号iに応答して、高周波の警報信号Riの送信処理が終了したか否かが判定される。終了していない場合には、ステップ214において、変調器52に、情報である警報データD(i)と、識別番号ID(i)が、出力される。これにより、変調器52では、警報データD(i)により第1搬送波が2位相偏移変調され、さらに、識別番号ID(i)を拡散符号としてスペクトル拡散変調されて、中間周波信号が得られる。送信器50により、中間周波信号は周波数変換されて、高周波の警報信号Riとして、アンテナ51から空間に放射される。次に、ステップ216において、光信号番号iが1だけ更新されて、ステップ212、ステップ214の処理が繰り返される。この結果、受信した光信号の数だけ、警報データが、高周波の警報信号Riとして、空間に放射されることになる。
【0048】
この警報信号Riを受信した第1通信装置10では、警報信号Riが自己の識別番号を拡散符号としてスペクトル拡散変調された信号である場合にのみ復調可能となる。上述したように、図5のステップ102において、復調された結果の警報データが、復調器18から入力されて、第1通信装置10の警報器24において、警報音として出力されたり、警報表示が出力される。
【0049】
次のステップ218では、上述したように、図5のステップ108において、第1通信装置10から出力される応答信号Akが、受信器46で受信され、復調器48により復調される。次にステップ220において、警報器54において、警報信号Riが相手の第1通信装置10に伝達されたことを示す表示が行われる。その後、ステップ200に戻り、光受信器44における次の周期の全画素の走査が実行される。このようにして、第1通信装置10から光信号を受信して、その強度Aが第2閾値以上で、且つ、入射角θが所定角度範囲に存在する間、第2通信装置40から警報データが送信されることになる。光信号の強度Aが所定の第2閾値よりも小さくなるか、方位角θが所定の角度範囲外になった時には、第1通信装置10を搭載している自転車は、第2通信装置40を搭載している自動車80の走行範囲に対して安全な位置にあるか、安全な位置に移動したと判断されることになるため、警報信号Riは、第2送信装置40からは出力されなくなる。
【0050】
なお、第1通信装置10において、応答信号Akを1種類とするのであれば、第1搬送波をスペクトル拡散変調するだけで良い。すなわち、応答データにより第1搬送波を2位相偏移変調する必要はない。又、第2通信装置40において、警報信号R1を1種類とするのであれば、同様に、第1搬送波をスペクトル拡散変調するだけで良い。すなわち、警報データにより第1搬送波を2位相偏移変調する必要はない。又、第1通信装置10において、応答信号Akを返信しないのであれば、第1通信装置10において、変調器22、送信器20、アンテナ21は、必要ではなく、第2通信装置40において、アンテナ47、受信器46、復調器48は、必要ではない。又、第1通信装置10と第2通信装置40とを同一構成にしても良い。図8に示すように、第1通信装置10にも、光受信器34、復調器35、ピークホールド回路36を設けても良い。第2通信装置40にも、光送信器64を設けても良い。このように、第1、第2通信装置を、同一構成にすれば、例えば、自動車80側から光信号を送信して、自転車でこれを受信して、電波として、返信することで、自己の自転車の存在を自動車に通知することができる。また、各自動車に、通信装置を設置する場合にも、同一の通信装置を設置できるので便利である。
【0051】
光受信器44には、次の構成を採用することができる。図9に示すように、光信号S1の各ビットのレベル変化に応答する一次元配列のフォトダイオードアレイ441と、各ビットのレベル変化には応答しないが、光信号の1データブロックには応答する一次元配列のCCDアレイ442とを並列に配置した光受信器を用いても良い。フォトダイオードアレイ441とCCDアレイ442において、配列方向(x軸)の座標が同一である画素には、同一のアドレスが付される。そして、同一の画素選択信号で、それらの2つの画素が選択され、それぞれ2つの画素から、それぞれの信号が出力されるようにする。この場合には、ピークホールド回路46は必要ではなく、CCDアレイ442の出力レベルが第1閾値以上である画素のアドレスを、光信号を受光した画素のアドレスとして特定すれば良い。したがって、CCDアレイ442の出力レベルが第1閾値以上の場合に、割込信号が制御装置42に入力されるように構成して、図6のステップ202では、その割込信号に応答して、その時の画素アドレスkに対して、CCDアレイ442の出力レベルを光強度A(k)とし、復調器45を起動して、その出力を識別番号ID(k)とすれば良い。
【0052】
又、光受信器44による光信号の受信位置を、ディスプレイ上に表示して、自動車80の運転者が、警報信号を出力対象の光信号を特定するようにしても良い。この場合には、図6のステップ208による強度A(m)が第2閾値以上であるか否かの判定、方位角θが所定角度範囲内に存在するか否かの判定は必要ではない。
【0053】
又、光受信器44は、画素を、光信号の各ビットのレベル変化に応答するフォトダイオードアレイを2次元配列したものでも良い。又、光受信器44は、画素を、光信号の各ビットのレベル変化に応答するフォトダイオードアレイの画素と、光信号の1データブロックには応答するCCDアレイの画素を、それぞれ2次元配列したものでも良い。2次元配列は、行毎に、フォトダイオードアレイとCCDアレイとを交互に配列する方式でも、列毎に、フォトダイオードアレイとCCDアレイとを交互に配列する方式でも良い。さらに、フォトダイオードの1画素の4方位の隣接位置に、CCD画素を配置する格子状の配列であっても良い。
【0054】
又、ピークホールド回路46を設けずに、各画素の出力する強度レベルをA/D変換しして、制御装置42に入力するようにしても良い。この場合には、強度レベルと第1閾値との比較は、制御装置42が実行することになる。又、復調器45は、制御装置45により起動されて復調を開始するが、復調器45はバースト信号を同期信号として、常時、復調動作を実行するものであっても良い。光信号が存在しなければ、復調器45の出力は0値となる。
【実施例2】
【0055】
光受信器44は、本出願と同一出願人による特許文献3に開示の画像アレイを用いても良い。すなわち、図10に示すように、光受信器44は、1行毎に、光信号を受信する応答速度の速い通信用画素443と、可視画像を得る撮像用画素444とを配置したものを使用している。この場合には、撮像用画素444から出力される映像信号を処理することにより、光信号を出力している物体の画像認識が可能となる。1通信用画素443と1撮像用画素444との一対を同一画素アドレスとすることで、光信号を送信している物体の画像を特定することができる。すなわち、物体の画像を特定する画素アドレス群の中に、光信号を受信している画素のアドレスが存在することになる。これにより、光信号を送信している物体を特定することができ、その物体の移動方向や移動速度、又は、物体の種類、例えば、人、自転車、オートバイ、自動車などを把握することができ、それらに相応しい情報を伝達するための警報信号を送信することができる。
【0056】
例えば、画像認識により、物体の移動方向や移動速度を検出することができる。又、自己の自動車80の移動方向、移動速度は、走行状態から知ることができる。この結果、相手に、自己の自動車80が、どの方向から接近しているかや、接近速度などの情報を警報信号に含めることができる。又、撮像用画素444から出力される映像信号を表示装置に出力することで、画面上に、前方の物体の画像を表示することができる。これにより、自動車80の運転者が、警報信号を出力するための対象を画面上において特定することができる。
【0057】
本実施例は、図11に示すような場合の車車間通信に応用したものである。第1通信装置10は光信号を送信する自動車81に、第2通信装置40は警報信号Riを送信する自動車80に搭載されている。第1通信装置10と第2通信装置40とは、図8に示すように、同一構成である。自動車80と自動車81とは、直交する方向に走行している。光受信器44の通信用画素443については、実施例1との相違は、画素が2次元配列されているだけである。したがって、通信用画素443の走査が2次元走査となるだけであるので、光信号S1の受信処理については、実施例1の方法が使用できる。すなわち、図6の処理手順において、2次元配列された全画素に対して走査が実施されるだけである。光信号を受信している画素が2次元配置で複数ある場合も、その中央の画素を光信号を受信している画素として特定すれば良い。撮像用画素444から出力される映像信号は、画素の走査と共に、その明度レベルがA/D変換器によりディジタル値に変換されて、制御装置42のCPUにより入力され、画像データとしてRAMに記憶される。
【0058】
図12のステップ300において、画像認識処理が実行される。画像データの明度値の微分処理により輪郭が抽出され、一定方向の断片線が連続線として処理され、接近している連続線が群別化されて、1物体として認識される。その物体の中心位置が特定される。この画像認識の手法は、良く知られている。又、認識された物体の内で、自己の自動車80の進行方向において、接近を通知すべき領域に存在する物体が特定される。次に、微小時間後Δt後の撮像画像の画像認識が同様に行われる。ステップ302において、2つの画像において、形状の同一の物体は同一物体と認識され、物体の中心点の変位ベクトルΔrが測定される。変位ベクトルΔrにより移動方向ベクトルrが分かり、Δr/Δtにより移動速度ベクトルvが分かる。これにより相手の自動車81の挙動(r,v)が測定できる。次に、ステップ304において、自己の自動車80の移動方向ベクトルR、移動速度ベクトルVが演算される。自動車80の進行方向と光受信器44の光軸との関係は既知であるから、移動方向ベクトルRは、画面上において特定できる。又、移動速度ベクトルVは、速度メータ等により、常時測定されているので、その値を用いることができる。カーナビゲーションシステムを用いても、移動方向ベクトルR、移動速度ベクトルVを求めることができる。これにより、自己の自動車80の挙動(R,V)が求められる。
【0059】
次に、ステップ306において、挙動変位(r−R,v−V)が演算される。これにより、自己の自動車80に対する相手自動車81の移動方向と移動速度が分かる。換言すれば、相手自動車81の進行方向に対して、警報を出力する自動車80が、何れの方向から、何れの速度で接近しているかが分かる。次に、ステップ308において、警報を出力する自動車の接近方向と接近速度とが、警報データD(i)として決定される。この警報データD(i)が、図6のステップ214において、変調器52に出力されて、警報信号Riが、相手自動車81に伝達される。この結果、相手自動車81の運転者は、警報を送信した自動車80が、自己の自動車の進行方向に対してどの方向からどの速度で接近しているかを把握することができる。その他の処理は、実施例1と同一である。この光受信器が用いれる場合には、撮像画像から形状等により物体が認識されるので、その物体が自己の自動車に対して接近した位置に存在するか否かの判定や、警報を通知すべき物体の特定が、夜間や雨天などの環境状態によらず、正確となる。したがって、光信号の受光レベルが低くとも、警報の通知が確実に行われる。
【実施例3】
【0060】
本実施例は、本発明を図13に示すような場合の車車間通信に応用したものである。第1通信装置10は光信号を送信する自動車81に搭載され、第2通信装置40は警報信号Riを送信する自動車80に搭載されている。第1通信装置10と第2通信装置40とは、図8に示すように、同一構成である。光受信器44は、実施例1で述べた、各種の、画素が一次元配列の受信器でも、実施例2で述べた画素が2次元配列の受信器であっても良い。自己の自動車80の対向車81のヘッドライトがハイビームになっている場合に、運転車がその自動車から送信される光信号を、画面上で指定することで、ハイビームであることを示す警報データD(i)を図6のステップ214で送信するようにしたものである。実施例2の通信用画素と撮像用画素とが2次元配置された光受信器44が用いられる場合には、次のように、制御装置42の画像認識により、自動的に警報信号Riを送信するようにしても良い。実施例2で述べたように、撮像画像上でヘッドライトの輪郭が制御装置42の画像認識により特定された後、そのヘッドライトの画像の明度値が所定の閾値以上であれば、ハイビームと判断できる。その結果、ハイビームであることを示す警報信号Riが送信される。
【0061】
又、本発明を、図14に示すような場合の車車間通信に応用することもできる。同様に、光信号を送信している先行の自動車81のテールランプが切れている場合に、第2通信装置40を搭載している後続の自動車80が、テールランプが切れている旨の警報信号Riを送信するようにしたものである。この場合も、自動車80の運転者が、画面上、受光した光信号を指定して、その光信号による識別番号でスペクトル拡散変調して、警報信号Riを送信するようにしても良い。又、制御装置42による撮像画像のテールランプの自動認識により、左右のテールランプの画像の比較により、一方が切れていることが判定できる。よって、制御装置42により自動的に、警報信号Riを送信するようにしても良い。
【実施例4】
【0062】
警報データ(i)の種類が1種類、例えは、単に、相手に、自動車の接近を知らせるような場合には、警報データによる2位相偏移変調は不要であり、第1搬送波を拡散符号によりスペクトル拡散変調するだけでも良いことは、実施例1で述べた。本実施例は、警報データ(i)の種類が1種類ではないが、少ない場合の例である。例えば、各第1通信装置10には、4つの拡散符号が割り当てられている。第1通信装置10の送信する光信号は、この4つの拡散符号のうち、何れか1つの換算符号により強度変調された信号とする。
【0063】
実施例2の場合において、図11に示されるように、警報信号として知らせる自動車80の接近方位を、相手自動車81の前方、左方、右方、後方の4種類とする。そして、この4方位に対して、上記の4つの拡散符号が割り当てられる。この場合には、警報データを2位相偏移変調するのではなく、第1搬送波が、警報すべき方位に対応した拡散符号で、スペクトル拡散変調される。このようにすれば、第1通信装置10においては、4種類の拡散符号で、順次、復調して、所定レベルの第1搬送波が検出できれば、その拡散符号の種類から警報信号を出力した自動車の接近方向が判別できる。2位相偏移変調を行う必要がないので、復調器の構成が簡単となる。この実施例の場合には、図6のステップ214においては、警報データD(i)に対応した拡散符号ID(i)が変調器52に出力されるだけである。又、警報データD(i)として、固定データ、すなわち、「1」を、変調器52に出力するようにしても良い。光受信器44は、実施例1で述べた、各種の、画素が一次元配列の受信器でも、実施例2で述べた画素が2次元配列の受信器であっても良い。
【実施例5】
【0064】
本実施例は、本発明を、図15に示すような場合の移動体間通信に応用したものである。第2通信装置40において、2つの光信号S1,S2が受信され、その2つの光信号に対して、警報信号の出力が必要となった場合である。自転車71、72が、自動車80が進行する道路を横断するような場合である。この場合、実施例1の方法によると、図6のステップ212、214、216の処理により、警報信号Riは順次、送信されることになる。しかし、拡散符号の直交性を利用することで、2つの警報信号を多重化して送信することができる。
【0065】
自転車71、72の位置が接近して、同一方向に進行しているような場合には、自動車80の接近に対する警報データは、同一となる。この場合、警報データD(i)を共通化できる。例えば、前方、後方、右方、左方などの自動車80の接近方向は、自転車71、72で共通化できる。尚、その共通化された警報データD(i)が1種であれば、例えば、接近だけを知らせる場合には、D(i)=1として、2位相偏移変調を省略することも可能である。自転車70、71のそれぞれの識別番号をID(1)、ID(2)とする。この識別番号は、当然に異なる。第2通信装置40では、2つの識別番号の和、すなわち、ID(1)+ID(2)が新たな加算拡散符号AIとして生成される。共通の警報データDが、加算拡散符号AIでスペクトル拡散変調された結果は、D×AIとなる。D=1の場合には、警報データを用いない場合を意味する。又、×は、ミキシング、すなわち、変調を意味する。
【0066】
この警報信号Rを、自転車70に搭載された第1通信装置10において復調する場合には、COR[D×AI×ID(1)]=COR[D×{ID(1)+ID(2)}×ID(1)]=COR[D×ID(1)×ID(1)]=Dとなる。ただし、COR[A×B]は、AとBとの相互相関による復調処理を意味する。すなわち、拡散符号ID(1)とID(2)とが直交しているので、それらの復調時の相互相関COR[ID(1)×ID(2)]は零となる。同様に、自転車71に搭載された第1通信装置10において、受信信号Rを拡散符号ID(2)により復調する場合も、同様に、共通の警報データDが復調できる。これにより、自転車70、71では、同時に警報信号Rを復調できるので、警報の伝達遅れを排除することができる。
【0067】
本実施例においても、実施例4の方式を用いることができる。例えば、自転車70の第1通信装置10に、4つの識別番号ID(1,1)〜ID(1,4)が割り当てられ、自転車71の第1通信装置10に、4つの識別番号ID(2,1)〜ID(2,4)が割り当てられる。これら8つの識別番号は、当然に、直交させている。自転車70に通知する警報データの種類に応じて、ID(1,1)〜ID(1,4)の群から一つの識別番号ADが選択され、自転車71に通知する警報データの種類に応じて、ID(2,1)〜ID(2,4)の群から一つの識別番号BDが選択される。そして、識別番号ADと識別番号BDとの和による加算拡散符号AI(=AD+BD)により、第1搬送波がスペクトル拡散変調される。自転者70では、警報信号Rが、順次、4つの拡散符号ID(1,1)〜ID(1,4)で復調されることになる。拡散符号の直交性により、これらの拡散符号とBDとの相互相関は零となる。よって、復調時の拡散符号ID(1,1)〜ID(1,4)うち、拡散符号ADと一致する拡散符号のみがデータ「1」の出力となり復調可能となる。復調できた拡散符号の種類により、警報の種類を判別できる。自転車71に搭載の第1通信装置10においても同様である。
【0068】
これらの実施例の場合には、図6のステップ214の前に、多重化して警報信号を出力する対象の光信号が特定される。光信号の受光された画素アドレスが接近している場合の複数の光信号に対する応答を、多重化の対象とすることができる。又、実施例2のように通信用画素と撮像用画素とを2次元配列した光受信器44の場合には、撮像画像から自転車を認識して、その位置が接近している複数の物体からの光信号に対する応答を、多重化の対象とすることができる。そして、ステップ214において、加算拡散符号AIが求められ、変調器52に、その加算拡散符号AIが出力されることで、多重化された合成信号Rが送信される。本実施例の場合には、警報信号を送信する相手側の第1通信装置が多数存在する場合に、有効である。同時に、警報信号を送信することができるので、順次、送信相手毎に、警報信号を送信する場合に比べて、緊急を要する警報の場合に、有効である。
【実施例6】
【0069】
本実施例は、本発明を図16に示す場合に応用した例である。横断歩道に、テレビカメラによる監視装置85が設置されている。画像認識により、横断歩道を横断しようとしている歩行者や、横断中の歩行者が認識される。この場合には、道路を走行する自動車80に第1通信装置10が搭載され、監視装置85に第2通信装置40が搭載される。自動車80が監視装置85に接近すると、第1通信装置10から送信された光信号S1が第2通信装置40の光受信器44に受光される。監視装置85では、光信号S1が受光された時に、横断者が存在する場合には、この情報を警報信号として、自動車80の第1通信装置10に伝達するようにしている。これにより、自動車80の運転者は、横断歩道を横断しようとしている歩行者の存在を知ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、自動車間や、自動車と歩行者又は自転車などの移動体間において警報を通知する装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0071】
10…第1通信装置
40…第2通信装置
443…通信用画素
444…撮像用画素
12,42…制御装置
14…光送信器
16…受信器
18…復調器
44…光受信器
50…送信器
52…変調器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号及び無線で通信する通信装置において、
任意の複数の第1通信装置から送信された、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光を変調したそれぞれの光信号を、第2通信装置において受信する、複数の画素が少なくとも一次元方向に配置され、それぞれの方位から到来する前記光信号を、異なる画素で受光する光受信器と、
前記光受信器により受信された前記光信号を復調して、送信した前記第1通信装置の前記識別番号を復調する復調器と、
前記復調器により復調された前記識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調する変調器と、
前記拡散符号と、送信すべき前記情報とに基づいて、前記変調器を制御する制御装置と、
前記変調器により変調された信号を無線の高周波信号として、送信する送信器と
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記光受信器により受信された光信号の光受信器上の位置により、前記第1送信装置を特定して、前記第1送信装置に対して送信すべき前記情報を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御装置は、特定された前記第1通信装置の前記第2通信装置に対する位置関係に応じて、送信すべき前記情報を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1通信装置が複数存在し、前記光受信器により受信された光信号が複数であり、送信すべき情報が共通である場合に、復調されたそれぞれの識別番号の拡散符号を加算して加算拡散符号を求め、前記変調器に、その加算拡散符号を出力して、送信すべき前記情報を変調させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1通信装置には、前記第2通信装置から送信される前記高周波を復調するための複数の拡散符号から成る符号群が割り当てられており、
前記制御装置は、送信すべき前記情報を決定し、前記復調器により復調された識別番号に対応する符号群を決定し、その符号群の中から、決定された送信すべき前記情報に対応する拡散符号を選択し、前記変調器に対して、固定データをその選択された拡散符号によりスペクトル拡散変調させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記光受信器は、前記光信号を受信する画素と、前記光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記光受信器は、複数の画素が2次元配置された面状受信器であり、前記光信号を受信する画素と、前記光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記光受信器において、前記光信号を受信した画素上の位置に対応する画像を決定し、決定された画像に基づいて、情報の送信の可否の決定、送信すべき情報の決定を行うことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
請求項1に記載の第2通信装置に対して通信を行う第1通信装置であって、
第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光変調して得られた光信号を放射する光送信器と、
前記第2通信装置から送信され、スペクトル拡散により変調された前記高周波信号を受信する受信器と、
前記受信器により受信された受信信号を、自己の識別番号を拡散符号として、復調する復調器と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項10】
通信装置間を光信号及び無線で通信する通信方法において、
複数の第1通信装置から、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた自己の識別番号で光を変調して得られたそれぞれの光信号を放射し、
第2通信装置において、それぞの方位から到来する前記光信号を、少なくとも一次元方向に配置された光受信器により、異なる画素で受光し、
受信された前記光信号を復調して、送信した前記第1通信装置の前記識別番号を復調し、
復調された前記識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調し、
変調された信号を無線の高周波信号として、第2通信装置から前記第1通信装置に向けて送信し、
前記高周波信号を第1通信装置において、受信して、前記第1通信装置の自己の識別番号を拡散符号として、スペクトル逆拡散により復調して、前記第2通信装置からの前記情報を復調する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項11】
送信すべき前記情報は、受信された光信号の光受信器上の位置により、前記第1送信装置を特定して、その特定により決定することを有することを特徴とする請求項10に記載の通信方法。
【請求項12】
送信すべき前記情報は、特定された前記第1通信装置の前記第2通信装置に対する位置関係に応じて、決定されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の通信方法。
【請求項13】
前記第1通信装置が複数存在し、前記光受信器により受信された光信号が複数であり、送信すべき情報が共通である場合に、復調されたそれぞれの識別番号の拡散符号を加算して加算拡散符号を求め、その加算拡散符号により、送信すべき前記情報をスペクトル拡散変調することを特徴とする請求項10乃至請求項12の何れか1項に記載の通信方法。
【請求項14】
前記第1通信装置には、前記第2通信装置から送信される前記高周波を復調するための複数の拡散符号から成る符号群が割り当てられており、
受信した光信号の復調より得られた識別番号に対応する符号群を決定し、その符号群の中から、決定された送信すべき前記情報に対応する拡散符号を選択し、固定データをその選択された拡散符号によりスペクトル拡散変調することを特徴とする請求項10乃至請求項12の何れか1項に記載の通信方法。
【請求項15】
前記光受信器は、前記光信号を受信する画素と、前記光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有することを特徴とする請求項10乃至請求項14の何れか1項に記載の通信方法。
【請求項16】
前記光受信器は、複数の画素が2次元配置された面状受信器であり、前記光信号を受信する画素と、前記光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有することを特徴とする請求項10乃至請求項14の何れか1項に記載の通信方法。
【請求項17】
前記光受信器において、前記光信号を受信した画素上の位置に対応する画像を決定し、決定された画像に基づいて、情報の送信の可否の決定、送信すべき情報を決定することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の通信方法。
【請求項1】
光信号及び無線で通信する通信装置において、
任意の複数の第1通信装置から送信された、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光を変調したそれぞれの光信号を、第2通信装置において受信する、複数の画素が少なくとも一次元方向に配置され、それぞれの方位から到来する前記光信号を、異なる画素で受光する光受信器と、
前記光受信器により受信された前記光信号を復調して、送信した前記第1通信装置の前記識別番号を復調する復調器と、
前記復調器により復調された前記識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調する変調器と、
前記拡散符号と、送信すべき前記情報とに基づいて、前記変調器を制御する制御装置と、
前記変調器により変調された信号を無線の高周波信号として、送信する送信器と
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記光受信器により受信された光信号の光受信器上の位置により、前記第1送信装置を特定して、前記第1送信装置に対して送信すべき前記情報を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御装置は、特定された前記第1通信装置の前記第2通信装置に対する位置関係に応じて、送信すべき前記情報を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1通信装置が複数存在し、前記光受信器により受信された光信号が複数であり、送信すべき情報が共通である場合に、復調されたそれぞれの識別番号の拡散符号を加算して加算拡散符号を求め、前記変調器に、その加算拡散符号を出力して、送信すべき前記情報を変調させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1通信装置には、前記第2通信装置から送信される前記高周波を復調するための複数の拡散符号から成る符号群が割り当てられており、
前記制御装置は、送信すべき前記情報を決定し、前記復調器により復調された識別番号に対応する符号群を決定し、その符号群の中から、決定された送信すべき前記情報に対応する拡散符号を選択し、前記変調器に対して、固定データをその選択された拡散符号によりスペクトル拡散変調させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記光受信器は、前記光信号を受信する画素と、前記光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記光受信器は、複数の画素が2次元配置された面状受信器であり、前記光信号を受信する画素と、前記光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記光受信器において、前記光信号を受信した画素上の位置に対応する画像を決定し、決定された画像に基づいて、情報の送信の可否の決定、送信すべき情報の決定を行うことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
請求項1に記載の第2通信装置に対して通信を行う第1通信装置であって、
第1通信装置に固有に割り当てられた識別番号で光変調して得られた光信号を放射する光送信器と、
前記第2通信装置から送信され、スペクトル拡散により変調された前記高周波信号を受信する受信器と、
前記受信器により受信された受信信号を、自己の識別番号を拡散符号として、復調する復調器と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項10】
通信装置間を光信号及び無線で通信する通信方法において、
複数の第1通信装置から、それぞれの第1通信装置に固有に割り当てられた自己の識別番号で光を変調して得られたそれぞれの光信号を放射し、
第2通信装置において、それぞの方位から到来する前記光信号を、少なくとも一次元方向に配置された光受信器により、異なる画素で受光し、
受信された前記光信号を復調して、送信した前記第1通信装置の前記識別番号を復調し、
復調された前記識別番号に対応する拡散符号と、第2通信装置が送信すべき情報とに基づき、スペクトラム拡散変調し、
変調された信号を無線の高周波信号として、第2通信装置から前記第1通信装置に向けて送信し、
前記高周波信号を第1通信装置において、受信して、前記第1通信装置の自己の識別番号を拡散符号として、スペクトル逆拡散により復調して、前記第2通信装置からの前記情報を復調する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項11】
送信すべき前記情報は、受信された光信号の光受信器上の位置により、前記第1送信装置を特定して、その特定により決定することを有することを特徴とする請求項10に記載の通信方法。
【請求項12】
送信すべき前記情報は、特定された前記第1通信装置の前記第2通信装置に対する位置関係に応じて、決定されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の通信方法。
【請求項13】
前記第1通信装置が複数存在し、前記光受信器により受信された光信号が複数であり、送信すべき情報が共通である場合に、復調されたそれぞれの識別番号の拡散符号を加算して加算拡散符号を求め、その加算拡散符号により、送信すべき前記情報をスペクトル拡散変調することを特徴とする請求項10乃至請求項12の何れか1項に記載の通信方法。
【請求項14】
前記第1通信装置には、前記第2通信装置から送信される前記高周波を復調するための複数の拡散符号から成る符号群が割り当てられており、
受信した光信号の復調より得られた識別番号に対応する符号群を決定し、その符号群の中から、決定された送信すべき前記情報に対応する拡散符号を選択し、固定データをその選択された拡散符号によりスペクトル拡散変調することを特徴とする請求項10乃至請求項12の何れか1項に記載の通信方法。
【請求項15】
前記光受信器は、前記光信号を受信する画素と、前記光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有することを特徴とする請求項10乃至請求項14の何れか1項に記載の通信方法。
【請求項16】
前記光受信器は、複数の画素が2次元配置された面状受信器であり、前記光信号を受信する画素と、前記光信号が入射する方向の物体の画像を写す画素とを有することを特徴とする請求項10乃至請求項14の何れか1項に記載の通信方法。
【請求項17】
前記光受信器において、前記光信号を受信した画素上の位置に対応する画像を決定し、決定された画像に基づいて、情報の送信の可否の決定、送信すべき情報を決定することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図10】
【公開番号】特開2012−80477(P2012−80477A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226239(P2010−226239)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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