説明

光偏向器

【課題】 反射面を二次元方向に揺動するときの回転角を減少させることなく、反射面の二次元方向の揺動を検知できる光偏向器を提供する。
【解決手段】 光偏向器1は、反射面2aを有するミラー部2を支持する第1支持部4と、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させる第1圧電アクチュエータ31,32と、第1支持部4を支持する第2支持部6と、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させる第2圧電アクチュエータ51,52とを備える。第1支持部4上には、第1圧電アクチュエータ31,32の圧電駆動により伝達される第1振動を検知する第1検知部71y,72yと、第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動により伝達される第2振動を検知する第2検知部71x,72xとが配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射面を二次元方向に揺動可能な光偏向器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミラー部と、一対の第一振動子と、枠体と、一対の第二振動子と、支持体とを備えた光学反射素子が知られている(特許文献1)。この光学反射素子の一対の第一振動子は、ミラー部を介して対向するように、ミラー部の端部とそれぞれ連結される。枠体は、一対の第一振動子及びミラー部の外周を囲むように、一対の第一振動子と連結される。一対の第二振動子は、枠体を介して対向するように、枠体とそれぞれ連結される。支持体は、一対の第二振動子及び枠体の外周を囲うように、一対の第二振動子と連結される。
【0003】
第一振動子は、第一振動子の中心軸に垂直な軸に平行な複数の振動板が、同一平面上で折り返し連結されたミアンダ形状に形成される。また、第二振動子は、第二振動子の中心軸に垂直な軸に平行な複数の振動板が、同一平面上で折り返し連結されたミアンダ形状に形成される。
【0004】
これらの第一振動子及び第二振動子を構成する複数の振動板上には、それぞれドライブ素子とモニター素子が配置される。ドライブ素子は、各振動板を圧電駆動により屈曲変形するための圧電素子である。モニター素子は、各振動板の屈曲変形の変形量を検知するための圧電素子である。これらの圧電素子は、それぞれ下部電極、圧電体及び上部電極を積層して形成される。
【0005】
このような光学反射素子では、ドライブ素子により各振動板を圧電駆動するときに、モニター素子により実際の屈曲変形の変形量を検知する。光学反射素子は、実際の変形量をフィードバックすることにより、圧電駆動の制御の精度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−122480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の光学反射素子では、第一振動子及び第二振動子を構成する複数の振動板上に、ドライブ素子に加えてモニター素子が配置されている。このため、ドライブ素子が振動板上で占める面積が減る。これによって、光学反射素子は、モニター素子を配置しないものに比べて、複数の振動板を屈曲させる力が少なくなり、反射面の回転角が減少する。
【0008】
そこで、本発明は、反射面を二次元方向に揺動するときの回転角を減少させることなく、反射面の二次元方向の揺動を検知できる光偏向器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、反射面を有するミラー部と、ミラー部を支持する第1支持部と、一端がミラー部に、他端が第1支持部にそれぞれ連結され、圧電駆動によりミラー部を第1支持部に対して第1軸周りに揺動させる第1圧電アクチュエータと、第1支持部を支持する第2支持部と、一端が第1支持部に、他端が第2支持部にそれぞれ連結され、圧電駆動により第1支持部を第2支持部に対して第1軸と交差する第2軸周りに揺動させる第2圧電アクチュエータとを備えた光偏向器であって、第1圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第1振動及び第2圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第2振動を検知する検知用圧電素子が、第1支持部上に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1圧電アクチュエータの圧電駆動によりミラー部が第1軸周りに揺動すると共に、及び第2圧電アクチュエータの圧電駆動により第1支持部が第2軸周りに揺動することで、反射面が二次元方向に揺動する。第1支持部には、第1圧電アクチュエータと第2圧電アクチュエータとが連結されているため、これらの圧電アクチュエータの圧電駆動による振動が伝達される。これらの振動すなわち、第1圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第1振動と、第2圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第2振動は、第1支持部上に配置されている検知用圧電素子で検知される。
【0011】
このため、第1圧電アクチュエータ及び第2圧電アクチュエータには、検知用圧電素子を設けなくてよい。これにより、光偏向器は、圧電アクチュエータ(特許文献1における振動子に相当)にセンサ素子が配置されたものに比べて、反射面の大きな回転角が得られる。従って、この光偏向器は、反射面を二次元方向に揺動するときの回転角を減少させることなく、反射面の二次元方向の揺動を検知できる。
【0012】
本発明において、第1圧電アクチュエータは、ミラー部を第1周波数で第1軸周りに揺動させ、第2圧電アクチュエータは、第1支持部を第1周波数とは異なる第2周波数で第2軸周りに揺動させ、検知用圧電素子の出力信号を、第1振動による第1信号と第2振動による第2信号とに分離する周波数フィルタを備えることが好ましい。
【0013】
第1支持部は、第1振動及び第2振動が伝達されるので、第1支持部に配置された検知用圧電素子は、第1信号と第2信号が重畳された信号を出力する。周波数フィルタは、この重畳されて出力された信号を第1信号と第2信号に分離できる。すなわち、本発明の光偏向器は、第1圧電アクチュエータによる揺動と、第2圧電アクチュエータによる揺動とを分離して検知できる。このため、光偏向器は、第1圧電アクチュエータへのフィードバックと第2圧電アクチュエータへのフィードバックとを独立して制御でき、より精度良く光偏向器の偏向を制御できる。
【0014】
本発明において、検知用圧電素子は、第1振動を検知する第1検知用圧電素子と、第2振動を検知する第2検知用圧電素子とで構成されることが好ましい。
【0015】
第1支持部は、ミラー部を第1圧電アクチュエータで揺動させるときに屈曲変形しやすい場所、すなわち第1振動が伝達されやすい場所と、第1支持部を第2圧電アクチュエータで揺動させるときに屈曲変形しやすい場所、すなわち第2振動が伝達されやすい場所とがある。これらの場所は、光偏向器の構造(例えば、形状、厚さ)及び材料等によって決定される。
【0016】
このため、例えば、第1振動が伝達されやすい場所に第1検知用圧電素子が配置され、第2振動が伝達されやすい場所に第2検知用圧電素子が配置されるとよい。これにより、第1検知用圧電素子が出力する信号は、第2振動より第1振動の影響が大きくなる。同様に、第2検知用圧電素子が出力する信号は、第1振動より第2振動の影響が大きくなる。
【0017】
従って、検知用圧電素子が、第1検知用圧電素子と第2検知用圧電素子とで構成されることで、第1振動及び第2振動のそれぞれを高精度に検知できるような場所に独立して配置でき、反射面の二次元方向の揺動をより高精度に検知できる。
【0018】
更に、この場合、第1検知用圧電素子と第2検知用圧電素子の2つの圧電素子のそれぞれの出力を、周波数フィルタで分離するとよい。第1支持部には、第1振動及び第2振動の2つの振動が伝達されるので、第1検知用圧電素子が出力する信号には、第1信号だけではなく、第2信号も重畳されている。このため、周波数フィルタにより、第1信号から第2信号を分離することでより精度良く第1振動を検知できる。
【0019】
同様に、第2検知用圧電素子が出力する信号には、第2信号に第1信号が重畳されている。このため、周波数フィルタにより、第2信号から第1信号を分離することでより精度良く第2振動を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態の光偏向器の構成を示す図。
【図2】(a)は、図1の光偏向器のI−I線端面を模式的に示す図、(b)は、II−II線端面を模式的に示す図。
【図3】(a)は光偏向器の圧電アクチュエータが作動していない状態を示し、(b)は圧電アクチュエータが作動している状態を示す図。
【図4】(a)は光偏向器のミラー部を第1軸周りに揺動するときの圧電アクチュエータに印加する駆動電圧の波形を示す図、(b)は(a)に示される波形が印加されたときの検知用圧電素子の出力波形を示す図、(c)は(a)に示される波形が印加されたときの光位置センサの出力波形を示す図。
【図5】(a)は光偏向器の第1支持部を第2軸周りに揺動するときの圧電アクチュエータに印加する駆動電圧の波形を示す図、(b)は(a)に示される波形が印加されたときの検知用圧電素子の出力波形を示す図、(c)は(a)に示される波形が印加されたときの光位置センサの出力波形を示す図。
【図6】(a)は光偏向器を第1軸及び第2軸周りに揺動するときの検知用圧電素子の出力波形を示す図、(b)は(a)のときの光位置センサの出力波形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態の光偏向器の構成について説明する。本実施形態の光偏向器1は、ミラー部2と、一対の第1圧電アクチュエータ31,32と、第1支持部4と、一対の第2圧電アクチュエータ51,52と、第2支持部6とを備える。
【0022】
ミラー部2は、入射した光を反射する円形の反射面2aと、反射面2aを支持する円形の反射面支持体2bとを備える。反射面2aは、反射面支持体2b上の金属薄膜(本実施形態では一層の金属薄膜)を半導体プレーナプロセスを用いて形状加工して形成されている。金属薄膜の材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等が用いられる。
【0023】
金属薄膜の厚みは、例えば100〜500nm程度とする。金属薄膜は、例えば、スパッタ法、電子ビーム蒸着法等により成膜する。反射面支持体2bは、シリコン基板で構成される。反射面支持体2bには、その両端から外側へ延びた一対のトーションバー21,22が連結されている。
【0024】
第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが半円弧形状に形成され、互いにミラー部2を囲むように空隙を隔てて配置されている。第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれの一方の端部が一方のトーションバー21を挟んで対向して連結され、それぞれの他方の端部が他方のトーションバー22を挟んで対向して連結されている。
【0025】
第1支持部4は、矩形の枠形状に形成されており、ミラー部2と第1圧電アクチュエータ31,32とを囲むように設けられている。第1支持部4は、第1圧電アクチュエータ31,32の円弧部の中心位置の外側に連結されており、第1圧電アクチュエータ31,32を介してミラー部2を支持している。
【0026】
第2圧電アクチュエータ51,52は、第1支持部4を挟んで対向して配置されている。第2圧電アクチュエータ51,52は、それらの先端部が、第1支持部4のトーションバー21,22と直交する方向の一対の両側にそれぞれ連結されている。
【0027】
第2支持部6は、矩形の枠形状に形成されており、第1支持部4と第2圧電アクチュエータ51,52とを囲むように設けられている。第2支持部6には、第2圧電アクチュエータ51,52の、第1支持部4と連結されていない側の一対の他端がそれぞれ連結されている。これにより、第2支持部6は、第2圧電アクチュエータ51,52を介して第1支持部4を支持している。
【0028】
次に、第1圧電アクチュエータ31,32の詳細な構成について説明する。第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された第1圧電カンチレバー31A,32Aを備える。詳細には、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの一方の第1圧電アクチュエータ31が一方の第1圧電カンチレバー31Aを備え、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの他方の第1圧電アクチュエータ32が他方の第1圧電カンチレバー32Aを備える。第1圧電アクチュエータ31,32は、第1圧電カンチレバー31A,32Aの屈曲変形により、トーションバー21,22を介して、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動可能となっている。
【0029】
次に、第2圧電アクチュエータ51,52の詳細な構成について説明する。第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dを備える。詳細には、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの一方の第2圧電アクチュエータ51は、4つの圧電カンチレバーからなる一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dで構成される。また、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの他方の第2圧電アクチュエータ52は、4つの圧電カンチレバーからなる他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dで構成される。
【0030】
一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dは、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X(第1軸Yに直交する軸。但し、正確に直交している必要はない。)周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。
【0031】
他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dは、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dと同様に、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。
【0032】
このように、一方の第2圧電アクチュエータ51及び他方の第2圧電アクチュエータ52は、それを形成する一方の第2圧電カンチレバー51A〜51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dが、所謂ミアンダ形状に形成されている。
【0033】
一方の第2圧電カンチレバー51A〜51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dのうちのミラー部2側(第1支持部4側)に配置されているカンチレバー(以下、「1番目の第2圧電カンチレバー」という)51A,52Aは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「2番目の第2圧電カンチレバー」という)51B,52Bと連結されていない側のそれぞれの一端が第1支持部4の外周部に連結されている。
【0034】
同様に、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dのうちの第2支持部6側に配置されている圧電カンチレバー(以下、「4番目の第2圧電カンチレバー」という)51D,52Dは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「3番目の第2圧電カンチレバー」という)51C,52Cと連結されていない側のそれぞれの一端が第2支持部6の内周部に連結されている。
【0035】
これにより、第1支持部4は、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの屈曲変形によって、第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動可能となっている。
【0036】
以降、一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのうち、ミラー部2から数えて奇数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(1番目の第2圧電カンチレバー51A,52A及び3番目の第2圧電カンチレバー51C,52C)を奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cという。
【0037】
また、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dに含まれるものを一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cといい、他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dに含まれるものを他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cという。
【0038】
同様に、一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのうち、ミラー部2から数えて偶数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(2番目の第2圧電カンチレバー51B,52B及び4番目の第2圧電カンチレバー51D,52D)を偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dという。
【0039】
また、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dに含まれるものを一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dといい、他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dに含まれるものを他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dという。
【0040】
図2は、光偏向器1の模式的な端面図を示す。図2(a)は、図1のI−I線端面図を示す。但し、図2(a)では、第2支持部6を省略して示している。図2(b)は、図1のII−II線端面図を示す。但し、図2(b)では、第2支持部6、及び一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのうち3番目の第2圧電カンチレバー51C,52C及び4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dを省略して示している。
【0041】
3番目の第2圧電カンチレバー51C,52Cは、1番目の第2圧電カンチレバー51A,52Aと同じ構成である。同様に、4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dは、2番目の第2圧電カンチレバー51B,52Bと同じ構成である。
【0042】
第1圧電アクチュエータ31,32を構成する第1圧電カンチレバー31A,32Aのそれぞれと、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのそれぞれとは、起歪体(カンチレバー本体)としての支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造の圧電カンチレバーである。
【0043】
なお、圧電カンチレバーの詳細な構造は、支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3が積層されており、これらの下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3を囲むように層間絶縁膜M1が設けられている。そして、層間絶縁膜M1上に上部電極配線Wが積層され、この上部電極配線Wを囲むようにパッシベーション膜M2が設けられている。
【0044】
なお、上部電極配線Wは、後述するように、第1駆動用上部電極配線Wy、第2駆動用奇数上部電極配線Wo、第2駆動用偶数上部電極配線We、第1検知用上部電極配線Wmy、及び第2検知用上部電極配線Wmxがあり、これらを特に区別する必要が無いときは、上部電極配線Wという。
【0045】
これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A〜51D,52A〜52Dの圧電体L2は、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加されることで、圧電駆動により屈曲変形する。これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A〜51D,52A〜52Dは、圧電体L2の屈曲変形に伴って、屈曲変形する。
【0046】
なお、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのそれぞれの隣り合う圧電カンチレバーの連結部は、その隣り合う圧電カンチレバーのそれぞれの支持体Bを一体に連結した部分となっており、その連結部には圧電体L2及び上部電極L3の層は設けられていない。
【0047】
第1支持部4上には、第1検知部71y,72yと、第2検知部71x,72xとが設けられている。第1検知部71y,72yは、第1支持部4上に、当該第1支持部4の第2軸Xに平行な辺(第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの各圧電カンチレバーの長手方向の辺に直交する辺)に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。
【0048】
第2検知部71x,72xは、第1支持部4上に、当該第1支持部4の第1軸Yに平行な辺に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。第1検知部71y,72yと第2検知部71x,72xは、平面的に互いに分離して設けられている。
【0049】
第1検知部71y,72yは、第1圧電アクチュエータ31,32の圧電駆動によって、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第1振動を検知するためのセンサとして設けられている。第2検知部71x,72xは、第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動によって、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第2振動を検知するためのセンサとして設けられている。
【0050】
第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xは、第1圧電カンチレバー31A,32A及び第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dと同様に、第1支持部4を構成する支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造になっている。なお、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xにおいても、各圧電カンチレバー31A,32A,51A〜51D,52A〜52Dと同様に、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0051】
そして、第1支持部4に第1振動又は第2振動が伝達されることで、第1支持部4が屈曲変形したときに、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xの圧電体L2がこの屈曲変形の変形量に応じた電圧を出力する。光偏向器1は、このときの電圧値によって、第1支持部4に伝達された振動を検知することができる。
【0052】
本実施形態の光偏向器1の第1支持部4は、ミラー部2を第1軸Y周りで揺動しているときには、第2軸Xに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第1検知部71y,72yを当該2辺の中央部に配置している。また、第1支持部4を第2軸X周りで揺動しているときには、第1軸Yに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第2検知部71x,72xを当該2辺の中央部に配置している。
【0053】
このように、本実施形態では、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72x(詳細には、これらの検知部71y,72y,71x,72xの圧電体L2)が、本発明における検知用圧電素子に相当する。
【0054】
光偏向器1は、第2支持部6上に、下部電極パッド61a,62aと、第1上部電極パッド61b,62bと、奇数用第2上部電極パッド61c,62cと、偶数用第2上部電極パッド61d,62dと、第1検知用電極パッド61eと、第2検知用電極パッド62eとを備える。
【0055】
下部電極パッド61a,62aのうちの一方の下部電極パッド61aは、一方の第1圧電カンチレバー31Aの下部電極L1、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dの下部電極L1、及び第1検知部71y,72yの下部電極L1に電気的に接続されている。下部電極パッド61a,62aのうちの他方の下部電極パッド62aは、他方の第1圧電カンチレバー32Aの下部電極L1、他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に電気的に接続されている。
【0056】
このように、下部電極パッド61a,62aは、第1圧電アクチュエータ31,32、第2圧電アクチュエータ51,52、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xで共通の電極パッドとしている。
【0057】
第1上部電極パッド61b,62bのうちの一方の第1上部電極パッド61bは、一方の第1圧電カンチレバー31Aの上部電極L3に電気的に接続されている。第1上部電極パッド61b,62bのうちの他方の第1上部電極パッド62bは、他方の第1圧電カンチレバー32Aの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0058】
奇数用第2上部電極パッド61c,62cのうちの一方の奇数用第2上部電極パッド61cは、一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cの上部電極L3に電気的に接続されている。奇数用第2上部電極パッド61c,62cのうちの他方の奇数用第2上部電極パッド62cは、他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0059】
偶数用第2上部電極パッド61d,62dのうちの一方の偶数用第2上部電極パッド61dは、一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dの上部電極L3に電気的に接続されている。偶数用第2上部電極パッド61d,62dのうちの他方の偶数用第2上部電極パッド62dは、他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0060】
第1検知用電極パッド61eは、第1検知部71y,72yの上部電極L3に電気的に接続されている。第2検知用電極パッド62eは、第2検知部71x,72xの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0061】
以上のような電気的接続により、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加された場合に、この印加された上部電極L3と下部電極L1との間に積層された圧電体L2が圧電駆動により屈曲変形する。これにより、この屈曲変形した圧電体L2に応じた支持体B(圧電カンチレバー)が屈曲変形する。
【0062】
また、後述するように、第1支持部4は、伝達された振動による屈曲変形による圧電効果によって第1検知部71y,72yから発生した電圧が、第1検知用電極パッド61eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される。同様に、この第1支持部4の屈曲変形による圧電効果によって第2検知部71x,72xから発生した電圧が、第2検知用電極パッド62eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される。
【0063】
一対の下部電極パッド61a,62aと、第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1とは、シリコン基板上の金属薄膜(本実施形態では2層の金属薄膜、以下、下部電極層ともいう)を、半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより形成される。この金属薄膜の材料としては、例えば、1層目(下層)にはチタン(Ti)、二酸化チタン(TiO)又は酸化量が調整された酸化チタン(TiO)が用いられ、2層目(上層)には白金(Pt)、LaNiO又はSrRuOが用いられる。
【0064】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1は、当該第1圧電カンチレバー31A,32Aの支持体B上のほぼ全面に形成される。第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの下部電極L1は、当該第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの支持体B上(各圧電カンチレバーが延在する直線部と連結部とを合わせた全体)のほぼ全面に形成される。
【0065】
第1検知部71y,72yの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第1検知部71y,72yが配置される部分に形成される。第2検知部71x,72xの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第2検知部71x,72xが配置される部分に形成される。また、第2支持部6上においても同様に、下部電極L1、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0066】
そして、下部電極パッド61a,62aは、第2支持部6上及び第1支持部4上に形成された下部電極L1を介して、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの下部電極L1、第1検知部71y,72yの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に、上述したように導通される。
【0067】
第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの圧電体L2は、半導体プレーナプロセスを用いて、下部電極層上の1層の圧電膜(以下、圧電体層ともいう)を形状加工することにより、それぞれの圧電カンチレバーの下部電極L1上に互いに分離して形成されている。この圧電膜の材料としては、例えば、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が用いられる。
【0068】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32Aの圧電体L2は、各第1圧電カンチレバー31A,32A毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの圧電体L2は、各第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの延在部分(直線部)において、下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第1検知部71y,72yの圧電体L2は、各第1検知部71y,72y毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第2検知部71x,72xの圧電体L2は、各第2検知部71x,72x毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。
【0069】
「第1上部電極パッド61b,62b、奇数用第2上部電極パッド61c,62c、偶数用第2上部電極パッド61d,62d、第1検知用電極パッド61e、及び第2検知用電極パッド62e」と、「第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3」と、これらを導通する上部電極配線Wは、半導体プレーナプロセスを用いて、圧電体層上の金属薄膜(本実施形態では1層の金属薄膜。以下、上部電極層ともいう)を形状加工することにより形成されている。この金属薄膜の材料としては、例えば白金(Pt)、金(Au)、アルミ(Al)、又はアルミ合金(Al合金)等が用いられる。
【0070】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3は、各圧電カンチレバー毎又は各検知部毎の圧電体L2上のほぼ全面に形成されている。
【0071】
そして、第1上部電極パッド61b,62bは、それぞれ、第1圧電カンチレバー31A,32Aの上部電極L3に、第1駆動用上部電極配線Wyを介して、上述したように導通される。また、奇数用第2上部電極パッド61c,62cは、それぞれ、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cの上部電極L3に、第2駆動用奇数上部電極配線Woを介して、上述したように導通される。また、偶数用第2上部電極パッド61d,62dは、それぞれ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dの上部電極L3に、第2駆動用偶数上部電極配線Weを介して、上述したように導通される。
【0072】
また、第1検知用電極パッド61eは、第1検知部71y,72yの上部電極L3に、第1検知用上部電極配線Wmyを介して、上述したように導通される。また、第2検知用電極パッド62eは、第2検知部71x,72xの上部電極L3に、第2検知用上部電極配線Wmxを介して、上述したように導通される。
【0073】
図2に示されるように、第1駆動用上部電極配線Wy、第2駆動用奇数上部電極配線Wo、第2駆動用偶数上部電極配線We、第1検知用上部電極配線Wmy、及び第2検知用上部電極配線Wmxは、平面的に互いに分離して設けられている。また、上部電極配線Wは、上部電極L3との間に形成された層間絶縁膜M1によって絶縁されており、上部電極配線Wを上部電極L3に導通する場合には、当該上部電極配線Wと当該上部電極L3とを導通可能に層間絶縁膜M1に導通部材(例えば、電極ビア等)が形成される。
【0074】
また、パッシベーション膜M2は、半導体プレーナプロセスを用いて、上部電極配線W上に、当該上部電極配線Wを囲うように形成されている。
【0075】
また、反射面支持体2bと、トーションバー21,22と、支持体Bと、第1支持部4と、第2支持部6とは、複数の層から構成される半導体基板(シリコン基板)を形状加工することにより一体的に形成されている。半導体基板を形状加工する手法としては、フォトリソグラフィ技術やドライエッチング技術等を利用した半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスが用いられる。
【0076】
次に、本実施形態の光偏向器1の作動について説明する。まず、第1圧電アクチュエータ31,32により、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させる場合について説明する。
【0077】
この場合には、光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第1圧電アクチュエータ31では、一方の第1上部電極パッド61bと一方の下部電極パッド61aとの間に第1電圧Vy1を印加して、一方の第1圧電カンチレバー31Aを駆動させる。また、他方の第1圧電アクチュエータ32では、他方の第1上部電極パッド62bと他方の下部電極パッド62aとの間に第2電圧Vy2を印加して、他方の第1圧電カンチレバー32Aを駆動させる。ここで、第1電圧Vy1と第2電圧Vy2とは、互いに逆位相或いは位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。
【0078】
このとき、第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2の揺動用の電圧成分は、第1圧電アクチュエータ31,32の垂直方向(図1の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、一方の第1圧電カンチレバー31Aと他方の第1圧電カンチレバー32Aとの角度変位が逆方向に発生するように印加する。
【0079】
例えば、第1軸Y周りに揺動するときに、一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を上方向に変位させる場合には、一方の第1圧電カンチレバー31Aを上方向に変位させる。一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を下方向に変位させるには、一方の第1圧電カンチレバー31Aを下方向に変位させる。
【0080】
また、他方の第1圧電アクチュエータ32についても一方の第1圧電アクチュエータ31と同様に、他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を上方向に変位させる場合には、他方の第1圧電カンチレバー32Aを上方向に変位させる。他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を下方向に変位させるには、他方の第1圧電カンチレバー32Aを下方向に変位させる。
【0081】
本実施形態の光偏向器1では、「一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を上方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を下方向に変位させること」か、又は「一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を下方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を上方向に変位させること」で、第1軸Y周りで揺動するとき、大きな偏向角を得ている。このように、本実施形態では、ミラー部2を第1軸Y周りに揺動することができ、所定の第1周波数Fyで所定の第1偏向角の光走査をすることができる。
【0082】
次に、第2圧電アクチュエータ51,52により、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させる場合について説明する。
【0083】
この場合には、光偏向器1は、第2圧電アクチュエータ51,52に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の奇数用第2上部電極パッド61cと一方の下部電極パッド61aとの間に第3電圧Vx1を印加して、一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cを駆動させる。これと共に、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の偶数用第2上部電極パッド61dと一方の下部電極パッド61aとの間に第4電圧Vx2を印加して、一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dを駆動させる。
【0084】
更に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の奇数用第2上部電極パッド62cと他方の下部電極パッド62aとの間に第3電圧Vx1を印加して、他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cを駆動させる。これと共に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の偶数用第2上部電極パッド62dと他方の下部電極パッド62aとの間に第4電圧Vx2を印加して、他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dを駆動させる。
【0085】
ここで、第3電圧Vx1と第4電圧Vx2は、互いに逆位相或いは位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。このとき、第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2の揺動用の電圧成分は、第2圧電アクチュエータ51,52の垂直方向(図1の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとの角度変位が、逆方向に発生するように設定される。
【0086】
例えば、第2軸X周りに揺動するとき、第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を上方向(図1に示す方向U)に変位させる場合には、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを上方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを下方向に変位させる。第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を下方向に変位させるには、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを下方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを上方向に変位させる。
【0087】
これにより、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとが、互いに逆方向に屈曲変形する。
【0088】
図3は、光偏向器1の一方の第2圧電アクチュエータ51の作動を示す図である。図3(a)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動していない状態を示し、図3(b)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動している状態を示す。
【0089】
図3(b)に示されるように、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dは、第2支持部6と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cは、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に上方向の角度変位が発生している。
【0090】
2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bは、3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。1番目の一方の第2圧電カンチレバー51Aは、2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部(第1支持部4と連結している)に上方向の角度変位が発生している。これにより、一方の第2圧電アクチュエータ51では、各一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dの屈曲変形の大きさを加算した大きさの角度変位が発生する。
【0091】
従って、第1支持部4を第2軸X周りに揺動することができ、所定の第2周波数Fxで所定の第2偏向角の光走査をすることができる。このとき、これらの第2圧電アクチュエータ51,52では、駆動電圧として第2圧電アクチュエータ51,52を含む第1支持部4の機械的な共振周波数付近の周波数の交流電圧を印加して共振駆動させることで、より大きな偏向角で光走査することができる。
【0092】
また、第1支持部4を第2軸X周りに揺動する場合には、上述したように交流電圧を印加する必要はなく、直流電圧を印加してもよい。この場合、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dで発生する屈曲変形の大きさは、直流電圧の大きさに応じて線形的に変化する。従って、例えば交流電圧を印加して圧電カンチレバーを共振駆動させる場合と異なり、直流電圧の大きさを制御することで第2圧電アクチュエータ51,52から任意の出力を得ることができる。
【0093】
このように、光偏向器1では、第2軸X周りに揺動する場合には、駆動電圧として印加した直流電圧の大きさに応じて線形的に偏向角を制御することができるので、任意の速度で任意の偏向角を得ることができる。
【0094】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれがミアンダ形状に形成されている。これによって、各圧電カンチレバーの屈曲変形が累積されるように形成されている。このため、第2圧電アクチュエータ51,52は、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて大きな偏向角を得やすい。
【0095】
このため、本実施形態では、第1圧電アクチュエータ31,32によって揺動する場合には、なるべく大きな偏向角を得るために、第1圧電アクチュエータ31,32の上方向又は下方向の変位を変化させる周波数、すなわち第1周波数Fyが、光偏向器1(特に、圧電カンチレバー等)の構造や材料等によって決定される共振周波数になるように設定している。
【0096】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、ミアンダ形状に形成されており、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて揺動しやすい。このため、第2周波数Fxは、第1周波数Fyに比べて充分に低く設定されている。本実施形態では、例えば、第1周波数Fyを30kHz、第2周波数Fxを60Hzに設定している。
【0097】
このように第2周波数Fxが第1周波数Fyに比べて充分に低く設定されており、これらの周波数で第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52を駆動することは、本発明において「第1圧電アクチュエータは、第1支持部を第1周波数で第1軸周りに揺動させ、第2圧電アクチュエータは、第2支持部を第1周波数とは異なる第2周波数で第2軸周りに揺動させる」ことに相当する。
【0098】
以上のように、本実施形態の光偏向器1は、ミラー部2を第1軸Y周りに揺動すると共に第1支持部4を第2軸X周りに揺動することで、ミラー部2を様々な角度に駆動させることができ、反射面2aに入射した光を様々な角度に出射することができる。
【0099】
上述したように、本実施形態の光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動により、ミラー部2及び第1支持部4が第1軸Y及び第2軸X周りに揺動する。このとき、第1支持部4は、第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52が連結されているので、振動が伝達される。詳細には、第1支持部4は、ミラー部2を第1軸Yに揺動するときに伝達される第1振動と、第1支持部4を第2軸Xに揺動するとに伝達される第2振動とが伝達される。
【0100】
第1支持部4は、この伝達された振動によって、屈曲変形する。これによって、第1支持部4に設けられた第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xの圧電体L2が屈曲変形して、当該圧電体L2は、この変形量に応じた電圧を発生する。これによって、第1支持部4に伝達された第1振動及び第2振動により第1検知部71y,72yの圧電体L2から発生した電圧は、第1検知用電極パッド61eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される(以下、この出力される電圧を「第1検知用電極パッド61eから出力される電圧」という)。
【0101】
第1支持部4に伝達された第1振動及び第2振動により第2検知部71x,72xの圧電体L2から発生した電圧は、第2検知用電極パッド62eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される。(以下、この出力される電圧を「第2検知用電極パッド62eから出力される電圧」という)。
【0102】
第1支持部4の屈曲変形は、当該第1支持部4に伝達された振動(第1振動及び第2振動)に応じて発生する。ここで、第1振動に応じて第1検知部71y,72y又は第2検知部71x,72xから発生する電圧信号を第1信号Syという。また、第2振動に応じて第1検知部71y,72y又は第2検知部71x,72xから発生する電圧信号を第2信号Sxという。
【0103】
このため、第1信号Sy及び第2信号Sxの電圧値の変化は、第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52を圧電駆動するために印加される第1電圧Vy1,第2電圧Vy2,第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2に応じたものとなる。第1信号Syの周波数は、第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2の周波数と同等であり、第2信号Sxの周波数は、第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2の周波数と同等である。
【0104】
第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xの圧電体L2から発生する電圧には、第1信号Sy及び第2信号Sxが混在する。これは、第1支持部4には、第1振動及び第2振動の双方が伝達されるので、第1支持部4の屈曲変形も第1振動及び第2振動の2つの振動の影響を受けて屈曲変形するからである。
【0105】
上述したように、第2周波数Fxは、第1周波数Fyに比べて充分に低く設定されている。すなわち、第2信号Sxは第1信号Syよりも充分に低い周波数となっている。このため、光偏向器1は、周波数フィルタによって、第1信号Syと第2信号Sxとを分離することで、それぞれの信号を取り出している。詳細には、第1検知用電極パッド61eから出力される電圧に低周波帯域を通すローパスフィルタFLを通すことで、第1信号Syのみを取り出す。第2検知用電極パッド62eから出力電圧に高周波帯域を通すハイパスフィルタFHを通すことで、第2信号Sxのみを取り出す。
【0106】
このようにして取り出された第1信号Syは、第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2を印加することで第1圧電アクチュエータ31,32が実際に変位した量(第1圧電カンチレバー31A,32Aの変形量と同等)を表す。同様に、このようにして取り出された第2信号Sxは、第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2を印加することで第2圧電アクチュエータ51,52が実際に変位した量(第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのそれぞれの変形量を累積した量と同等)を表す。
【0107】
なお、ローパスフィルタFL及びハイパスフィルタFHのそれぞれの遮断周波数は、第1信号Syと第2信号Sxとを充分に分離可能に設定される。
【0108】
図4は、上記のように構成された光偏向器1の第1圧電アクチュエータ31,32の圧電駆動により、ミラー部2を第1軸Y周りに揺動させたときの実験結果を示す図である。本実験では、ミラー部2の反射面2aに入射したレーザ光を反射面2aから出射した光が照射される照射面に、一次元方向の光の位置を検知できるような光位置センサ(PSD)を置き、第1信号Syとこの光位置センサの出力電圧Pyとを比較している。
【0109】
図4(a)は、第1圧電アクチュエータ31,32に印加した第1電圧Vy1(実線)及び第2電圧Vy2(破線)の信号を示す。図4(b)は、第1検知用電極パッド61eから出力された電圧にハイパスフィルタFHを通した電圧、すなわち、第1信号Syを示す。図4(c)は、光位置センサの出力電圧Pyの信号を示す。図4(a)〜(c)の横軸は時間を表し、縦軸は電圧値を表す。
【0110】
図4(a)に示されるように、印加する第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2は、1周期が「ty=1/Fy」秒である。これにより、ミラー部2は第1軸Y周りの揺動の1周期がty秒となり、第1支持部4の屈曲変形もty秒毎に繰り返される。このため、図4(b)に示されるように、第1信号Syの出力電圧の1周期の長さもty秒となっている。このときの光位置センサの出力電圧Pyの1周期の長さは、図4(c)に示されるように、ty秒となっている。
【0111】
この実験結果から分かるように、第1信号Syは、印加された第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2に応じた電圧信号となっている。また、第1信号Syは、光位置センサの出力電圧Pyとも時間変化のタイミングが一致している。これより、第1信号Syは、ミラー部2の第1軸Y周りの揺動、すなわち、ミラー部2の偏向角を適切に検知できることが分かる。
【0112】
図5は、上記のように構成された光偏向器1の第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動により、第1支持部4を第2軸X周りに揺動させたときの実験結果を示す図である。本実験では、上記の実験と同様に、ミラー部2の反射面2aに入射したレーザ光を反射面2aから出射した光が照射される照射面に、一次元方向の光の位置を検知できるような光位置センサ(PSD)を置き、第2信号Sxとこの光位置センサの出力電圧Pxとを比較している。
【0113】
図5(a)は、第2圧電アクチュエータ51,52に印加した第3電圧Vx1(実線)及び第4電圧Vx2(破線)の信号を示す。図5(b)は、第2検知用電極パッド62eから出力された電圧にローパスフィルタFLを通した電圧、すなわち、第2信号Sxを示す。図5(c)は、光位置センサの出力電圧Pxの信号を示す。図5(a)〜(c)の横軸は時間を表し、縦軸は電圧値を表す。
【0114】
図5(a)に示されるように、印加する第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2は、1周期が「tx=1/Fx」秒である。これにより、第1支持部4は第2軸X周りの揺動の1周期がtx秒となり、第1支持部4の屈曲変形もtx秒毎に繰り返される。このため、図5(b)に示されるように、第2信号Sxの出力電圧の1周期の長さもtx秒となっている。このときの光位置センサの出力電圧Pxの1周期の長さは、図5(c)に示されるように、tx秒となっている。
【0115】
この実験結果から分かるように、第2信号Sxは、印加された第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2に応じた電圧信号となっている。また、第2信号Sxは、光位置センサの出力電圧Pxとも時間変化のタイミングが一致している。これより、第2信号Sxは、第1支持部4の第2軸X周りの揺動、すなわち、ミラー部2の偏向角を適切に検知できることが分かる。
【0116】
図6は、上記のように構成された光偏向器1の第1圧電アクチュエータ31,32の圧電駆動によりミラー部2を第1軸Y周りに揺動させると共に、第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動により第1支持部4を第2軸X周りに揺動させたとき(反射面2aを二次元方向に揺動させたとき)の実験結果を示す図である。
【0117】
本実験では、上記の実験と同様に、ミラー部2の反射面2aに入射したレーザ光を反射面2aから出射した光が照射される照射面に、二次元方向の光の位置を検知できるような光位置センサ(PSD)を置き、第1信号Syと光位置センサの出力電圧Pyとの比較、及び第2信号Sxと光位置センサの出力電圧Pxとを比較している。この二次元方向の光の位置を検知できる光位置センサは、一次元方向の光の位置を検知できる複数の光位置センサを、当該一次元方向に直交する方向に並べている。
【0118】
本実験で、第1圧電アクチュエータ31,32に印加した第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2は、図4(a)のものと同じである。また、第2圧電アクチュエータ51,52に印加した第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2は、図5(a)のものと同じである。
【0119】
図6(a)は、第1検知用電極パッド61e及び第2検知用電極パッド62eから出力された電圧信号を示す。この電圧信号は、ハイパスフィルタFH又はローパスフィルタFLを通す前であるため、第1信号Syと第2信号Sxが重畳された電圧信号(以下、この電圧信号を「重畳信号Sx+Sy」という)となっている。図6(b)は、光位置センサの出力電圧Px,Pyの信号を示す。図6(a),(b)の横軸は時間を表し、縦軸は電圧値を表す。
【0120】
図6(a)に示されるように、重畳信号Sx+Syの第2信号Sxの成分は、図5(b)と同様に1周期が「tx=1/Fx」秒である。この第2信号Sxに応じた光位置センサの出力電圧Pxも1周期がtx秒となっている。また、重畳信号Sx+Syの第1信号Syの成分は、図4(b)と同様に1周期が「ty=1/Fy」秒である(図示省略)。この第1信号Syに応じた光位置センサの出力電圧Pyも1周期がty秒となっている(図示省略)。
【0121】
また、重畳信号Sx+Syのうち第1信号Syの成分(重畳信号Sx+SyをハイパスフィルタFHに通した後の電圧信号)は、印加された第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2に応じた電圧信号となっている。同時に、重畳信号Sx+Syのうち第2信号Sxの成分(重畳信号Sx+SyをローパスフィルタFLに通した後の電圧信号)は、印加された第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2に応じた電圧信号となっている。
【0122】
また、第1信号Syは、光位置センサの出力電圧Pyとも時間変化のタイミングが一致している。同時に、第2信号Sxは、光位置センサの出力電圧Pxとも時間変化のタイミングが一致している。これより、光偏向器1の反射面2aを二次元方向に揺動させたときであっても、第1信号Syはミラー部2の第1軸Y周りの揺動を表し、第2信号Sxは第1支持部4の第2軸X周りの揺動を表していることが分かる。従って、光偏向器1は、ミラー部2の偏向角を適切に検知できることが分かる。
【0123】
以上のように、本実施形態の光偏向器1では、第1圧電アクチュエータ31,32と第2圧電アクチュエータ51,52とが連結される第1支持部4に、第1振動を検知する第1検知部71y,72yと第2振動を検知する第2検知部71x,72xとが設けられている。これにより、第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52が実際に変位した量を検知できるため、第1圧電カンチレバー31A,32A及び第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dに検知用圧電素子を設ける必要がない。
【0124】
従って、特許文献1のような圧電アクチュエータの圧電カンチレバーにセンサ素子、本実施形態の第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xを設けたものに比べて、圧電カンチレバー上に占める駆動用の圧電素子(第1圧電カンチレバー31A,32A及び第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D)の面積が減少せず、圧電カンチレバーの屈曲変形の変形量が減少しない。このため、本実施形態の光偏向器1は、反射面2aを二次元方向に揺動するときの回転角を減少させることなく、反射面2aの二次元方向の揺動を検知できる。
【0125】
また、本実施形態の光偏向器1では、第2信号Sxの周波数が第1信号Syの周波数に比べて充分に低く設定される。これにより、第1支持部4に伝達される第1振動及び第2振動のそれぞれの周波数(第1周波数Fy及び第2周波数Fx)もこれと同等の周波数になる。従って、これらの振動を検知する第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xから出力される重畳信号Sx+Syを、ローパスフィルタFL及びハイパスフィルタFHに通すことで、第1信号Sy及び第2信号Sxを取り出すことができる。このため、光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32へのフィードバックと第2圧電アクチュエータ51,52へのフィードバックとを独立して制御でき、より精度良く光偏向器1の偏向を制御できる。
【0126】
また、本実施形態の光偏向器1では、検知用圧電素子を第1検知部71y,72yと第2検知部71x,72xで構成している。そして、第1検知部71y,72yが第1振動が伝達されやすい(伝達された第1振動によって第1支持部4が屈曲変形しやすい)場所に配置され、第2検知部71x,72xが第2振動が伝達されやすい(伝達された第2振動によって第1支持部4が屈曲変形しやすい)場所に配置されている。これによって、第1支持部4に伝達される第1振動と第2振動とをそれぞれより高精度に検知することができる。
【0127】
なお、本実施形態の光偏向器1は、第1検知部71y,72yを、第1支持部4上の第2軸Xに平行な辺に沿うように配置し、第2検知部71x,72xを、第1支持部4上の第1軸Yに平行な辺に沿うように配置しているが、これに限らない。第1支持部4に伝達される第1振動及び第2振動を検知可能であればどこに配置してもよい。
【0128】
また、本実施形態の光偏向器1は、第1検知部71y,72yと第2検知部71x,72xとの2つの検知用圧電素子を設けているがこれに限らず、1つの検知用圧電素子で構成してもよい。この場合であっても、この1つの検知用圧電素子の出力を、ハイパスフィルタFHとローパスフィルタFLとで、第1信号Sy及び第2信号Sxに分離すればよい。
【0129】
また、本実施形態では、第1軸Yと第2軸Xとを直交するようにしているが正確に直交する必要はなく、反射面2aを二次元方向に揺動可能な程度の角度で交差していればよい。
【0130】
また、本実施形態の光偏向器1は、第2圧電アクチュエータ51,52を、それぞれ4つの圧電カンチレバーで構成しているが、圧電カンチレバーの数はこれに限られるものではない。同様に、第1圧電アクチュエータ31,32を構成している圧電カンチレバーの数も本実施形態のように1つに限られるものではない。例えば、第1圧電アクチュエータ31,32が、第2圧電アクチュエータ51,52のようなミアンダ形状に構成した圧電カンチレバーで構成されていてもよい。
【0131】
また、本実施形態の光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32をミラー部2を挟んで対向するように配置し、第1支持部4をミラー部2及び第1圧電アクチュエータ31,32を囲むように形成し、第2圧電アクチュエータ51,52を第1支持部4を挟んで対向するように配置して第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dをミアンダ形状に形成し、第2支持部6を第1支持部4及び第2圧電アクチュエータ51,52を囲むように形成しているがこれに限らない。
【0132】
例えば、第1圧電アクチュエータを1つのミアンダ形状で形成し、当該第1圧電アクチュエータの一端をミラー部に連結し、他端を第1支持部に連結する。そして、第2圧電アクチュエータを1つのミアンダ形状で形成し、当該第2圧電アクチュエータの一端を第1支持部に連結し、他端を第2支持部に連結する。このとき、本実施形態のように、第1支持部をミラー部及び第1圧電アクチュエータを囲むように形成せず、第1圧電アクチュエータと第2圧電アクチュエータとを連結するための板状の部材で形成し、第2支持部を第1支持部及び第2圧電アクチュエータを囲むように形成せず、第2圧電アクチュエータを支持する板状の部材で形成してもよい。
【0133】
この場合であっても、第1圧電アクチュエータの圧電駆動による第1振動と第2圧電アクチュエータの圧電駆動による第2振動とが第1支持部に伝達されるため、第1支持部に検知用圧電素子を設けることで、本実施形態と同様に、反射面2aを二次元方向に揺動するときの回転角を減少させることなく、反射面2aの二次元方向の揺動を検知できるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0134】
1…光偏向器、2…ミラー部、2a…反射面、31,32…第1圧電アクチュエータ、4…第1支持部、51,52…第2圧電アクチュエータ、6…第2支持部、71y…一方の第1検知部(検知用圧電素子)、72y…他方の第1検知部(検知用圧電素子)、71x…一方の第2検知部(検知用圧電素子)、72x…他方の第2検知部(検知用圧電素子)、FL…ローパスフィルタ(周波数フィルタ)、FH…ハイパスフィルタ(周波数フィルタ)、Y…第1軸、X…第2軸、Fy…第1周波数、Fx…第2周波数、Sy…第1信号、Sx…第2信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射面を有するミラー部と、該ミラー部を支持する第1支持部と、一端が前記ミラー部に、他端が前記第1支持部にそれぞれ連結され、圧電駆動により前記ミラー部を前記第1支持部に対して第1軸周りに揺動させる第1圧電アクチュエータと、前記第1支持部を支持する第2支持部と、一端が前記第1支持部に、他端が前記第2支持部にそれぞれ連結され、圧電駆動により前記第1支持部を前記第2支持部に対して前記第1軸と交差する第2軸周りに揺動させる第2圧電アクチュエータとを備えた光偏向器であって、
前記第1圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第1振動及び前記第2圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第2振動を検知する検知用圧電素子が、前記第1支持部上に配置されていることを特徴とする光偏向器。
【請求項2】
請求項1に記載の光偏向器において、
前記第1圧電アクチュエータは、前記ミラー部を第1周波数で前記第1軸周りに揺動させ、
前記第2圧電アクチュエータは、前記第1支持部を前記第1周波数とは異なる第2周波数で前記第2軸周りに揺動させ、
前記検知用圧電素子の出力信号を、前記第1振動による第1信号と前記第2振動による第2信号とに分離する周波数フィルタを備えることを特徴とする光偏向器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光偏向器において、前記検知用圧電素子は、前記第1振動を検知する第1検知用圧電素子と、前記第2振動を検知する第2検知用圧電素子とで構成されることを特徴とする光偏向器。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図6】
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