説明

光出力を改良したLEDデバイス

反射電極(12)と、基板(10)上に形成される半透明電極(16)と、反射電極、及び半透明電極の間に形成されるパターン化されていない発光層(14)とを備える。半透明電極、反射電極、及びパターン化されていない発光層は、光キャビティを形成する。反射電極、又は半透明電極の一方をパターン化して、個別制御可能な発光サブ画素(50、52、54、56)を形成する。全てではないサブ画素は、カラーフィルタ(40R、40G)を介して発光する。第1のサブ画素(54)は、第1の原色を発光し、第2のサブ画素(56)は、補色を発光する。発光は、1つ、又は2つ以上の種々の角度で変化する。第1、及び第2のサブ画素の合成光の色は、第1、又は第2のサブ画素の少なくとも1つの光よりも、1つ、又は2つ以上の角度において変化が小さい。第3のサブ画素(52)は、第1の原色と異なる第2の原色のカラーフィルタ(49G)を介して発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)に関する。より詳細には、光出力、製造可能性、及び角度性能(angular performance)を改良したLEDデバイス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発光型のフラットパネルディスプレイデバイスが、計算機器、特に携帯型デバイスと共に広く使用される。これらのディスプレイは、著しい周囲照明がある公共の場所において多々使用され、広角かつ様々な角度から観視される。
【0003】
発光材料の薄膜を組み込む発光ダイオード(LED)は、フラットパネルディスプレイにおいて多くの利点を有し、光学システムにおいて有用である。これらの膜は、有機材料、及び無機材料の一方、又は双方を有することができる。2002年5月7日にTangらに特許された米国特許第6384529号は、有機LED発光素子(画素)のアレイを有するOLEDカラーディスプレイを示す。有機材料を電流が流れるときに、光が画素から発光され、光の周波数は、使用する有機材料の特性に依存する。有機材料は、基板の間に位置し、カバー層、又はカバー面により密封される。このディスプレイでは、基板(裏面エミッタ)、又は封入カバー(表面エミッタ)、若しくは基板と封入カバーとの双方を介して放出できる。発光は、ランベルトである。すなわち、全ての方向に均等に発光する。LEDデバイスは、光学指数が高い発光材料を使用するので、発光の大部分(50%以上など)は、全体の内部反射のためにデバイス内に閉じ込められて、デバイスの効率を低下させる。例えば、無機材料は、リン光性結晶、又は量子ドットを有することができる。有機材料、又は無機材料の他の薄膜を採用して、発光薄膜への電荷の注入、移動、又は阻止を制御できるが、これは周知である。
【0004】
光キャビティ構造(optical cavity structure)は、LEDデバイス構造から発光される光を増加することが、知られる。このような光キャビティ構造は、薄膜に形成されるときに、マイクロキャビティ、又は光マイクロキャビティとしても知られる。LED構造に形成されるときに、種々のカラー発光有機材料が、反射電極と、半透明電極との間の基板上にパターン状に蒸着される。種々の色を有する発光は、一般的にはパターン化された発光材料が発光する光に対応する、光の所望のピーク波長に調整される光キャビティ内部に形成される。米国特許第6680570号は、スペーサ層を採用して光キャビティを形成する改良型光制御を有する有機発光デバイスを説明する。図9において、アクティブマトリクス薄膜素子30と、平坦化構造32、及び34と、半透明電極16とを有する基板を採用する先行技術であるアクティブマトリクス裏面発光光キャビティデバイスを示す。赤色、緑色、及び青色の発光を提供するパターン化された有機材料14R、14G、及び14Bは、発光層14に蒸着される。光スペーサ26R、26G、及び26Bを採用して、光発振器60、62、及び64を形成して、赤色、緑色、及び青色の光の所望のピーク波長にそれぞれ調整して、赤色光80と、緑色光82と、青色光84とを発光する。カバー20を採用して、デバイスを保護及び封入できる。このような配置は有用であるが、パターン化された有機材料蒸着技術(メタルシャドーマスクによる真空蒸着など)が必要になるので、大きな基板に搭載することが難しい。さらにまた、真空発振器デバイスは、許容できない角度色依存(angular color dependence)を有する。米国特許第7189238号などで教授されるように、光キャビティ構造を有するカラーフィルタを採用することが知られる。しかしながら、このアプローチは、有用である一方、デバイスの製造可能性を改良せず、ある照明条件の下では、このアプローチが提供する環境コントラスト比は不十分である。さらにまた、カラーフィルタが発光層から発光する光を吸収することによって、デバイスの効率が低下する。
【0005】
名称を「発光素子(Light-emitting elements)」という米国特許第5554911号は、発光波長を決定する光学的距離がそれぞれ異なる少なくとも2つの光キャビティ構造を有するマルチカラー発光素子を説明する。光キャビティはそれぞれ、発光領域として有機材料を有するが、これは、素子内において、均一な厚さの単一の膜にできる。名称を「同調マイクロキャビティOLEDディスプレイ(Tuned microcavity color OLED display)」という米国特許第6861800号は、共通の基板に亘って、所定の異なる色の光を発光する少なくとも2つの異なるカラー画素の組に分割される画素のアレイを有するマイクロキャビティOLEDデバイスを説明する。ここで、アレイの画素はそれぞれ、基板に亘って配置される金属製裏面電極層と、金属製裏面電極層から距離をあけて配置される金属電極層とを有する。半透明金属電極層の材料は、Ag、Au、及びこれらの合金を含む。半透明金属電極層の膜厚、有機層と、透明導電相の層とを合わせた膜厚、及び発光層の配置は、ディスプレイの画素がそれぞれ、マイクロキャビティを有しない比較可能なOLEDデバイスの発光出力効率を超える発光出力効率を有する同調マイクロキャビティOLEDデバイスを形成するように選択される。米国特許第5949187号は、第1の透明スペーサと、第1のスペーサの上に位置し、OLEDに光を反射し、かつ第1のマイクロキャビティの光学的距離を規定する第1のミラー堆積とを備える第1のマイクロキャビティを有するOLEDを説明する。第1のマイクロキャビティの光学的距離によって、第1のマイクロキャビティから放出される光は、第1のスペクトルを有する。第2のマイクロキャビティは、第1のマイクロキャビティに近接して位置する第2の透明スペーサと、第2のスペーサ上に位置し、第2のマイクロキャビティに向けて光を反射し、かつ第2のマイクロキャビティの光学的距離を規定する第2のミラー堆積とを有する。第2のマイクロキャビティの光学的距離によって、第2のマイクロキャビティから放出される光は、第2のスペクトルを有する。マイクロキャビティを構造内にさらに配置させて、光のスペクトルをさらに増進し、かつ変化できる。しかしながら、このような配置は、製造コストが増加し、所望の光出力よりも光出力が低く、所望の反射率よりも反射率が大きく、さらに法線に対する角度が変化するために光の実効的な光路長が変化することによって、異なる視野角で色が著しく変化する可能性がある。
【0006】
名称を「マイクロキャビティOLEDデバイスのための色の変化の抑制、又は除去(Reducing or eliminating color change for microcavity OLED devices)」というAntoniadisによる米国特許出願2006/0066228 A1は、異なる視野角における色の変化を最小化し、又は除去するマイクロキャビティOLEDデバイスを開示する。OLEDデバイスは、OLEDディスプレイ、又は領域照明に使用するOLED光源などにできる。このOLEDデバイスは、それぞれが非吸収材料からなるマルチレイヤミラーを基板上に有する。また、OLEDデバイスは、マルチレイヤー化された第1のミラー上に実質的に透明な第1の電極を有する。発光層は、第1の電極の上にある。第2の電極は、発光層の上にある。第2の電極は、反射が大きく、ミラーとして機能する。マルチレイヤミラーと第2の電極とは、マイクロキャビティを形成する。光変調薄膜は、基板の表面にある。光変調薄膜は、カットオフカラーフィルタ、バンドパスカラーフィルタ、強化輝度フィルム、色の変化が知覚される角度の発光スペクトルを減衰するマイクロ構造、又は出力する発光スペクトルが共通と知覚される色を有するように波長を再配分するマイクロ構造のいずれか1つにできる。この場合もやはり、パターン化する蒸着処理のために製造価格が上昇する可能性がある。また、カラーフィルタが光を著しく吸収することによって、効率が低くなる可能性がある。
【0007】
大きな基板における材料蒸着の問題を克服する1つのアプローチは、名称を「効率を改善した積層OLEDディスプレイ(Stacked OLED Display having Improved Efficiency)」というCokらによる米国特許第6987355号に教授されるように、カラーフィルタと共に白色光エミッタなどの単一の発光層を採用して、フルカラーディスプレイを形成することである。しかしながら、カラーフィルタを使用することによって、デバイスの効率が著しく低下する。名称を「電力効率を改良したカラーOLEDディスプレイ(Color OLED Display with Improved Power Efficiency)」というCokらによる米国特許第6919681号などに教授されるように、カラーフィルタを有しない白色のサブ画素を採用することもまた知られる。しかしながら、この開示は、角度色の問題、又はトラップされる多量の光については対処しない。
【0008】
名称を「マイクロキャビティ・ガモット・サブ画素と、ウィズイン・ガモット・サブ画素とを有するOLEDデバイス(OLED device having microcavity gamut sub-pixels and a within gamut sub-pixel)」というWintersらによる米国特許第7030553号は、従来のマイクロキャビティデバイスの一例を開示する。この開示は、光を作り出す少なくとも1つの発光層と、間隔をあけた電極とを備える有機層を有するサブ画素をそれぞれが備える光放出画素のアレイを有するOLEDデバイスを説明する。カラー・ガモットを規定する光を作り出す少なくとも3つのガモット・サブ画素と、ガモット・サブ画素が作り出すカラー・ガモット内部に光を作り出す少なくとも1つのサブ画素とがある。ガモット・サブ画素の少なくとも1つは、マイクロキャビティを形成するように機能する反射体と、半透明反射体とを有する。しかしながら、この配置は、パターン化された半透明電極を採用して、白色サブ画素を形成するが、表面発光型で製造することが難しい。さらにまた、この特許では、角度色変化には対処しない。名称を「ブロード・カラー・ガモット・ディスプレイ」というCokらによる米国特許第6570584号は、赤色、緑色、又は青色以外の色を作り出す少なくとも1つサブ画素と共に、複数のサブ画素を有する複数の画素を備えるデジタルカラー画像ディスプレイデバイスが説明される。しかしながら、デバイスの効率を改良することは教授されない。米国特許出願第2006/019220号は、パターン化された反射膜を有して、マイクロキャビティを有する発光領域、及びマイクロキャビティを有しない発光領域の双方を形成する裏面エミッタデバイスが説明される。この具体的な構造は、パターン化された反射膜を必要とするので、価格が上昇する。また、この構造は、パターン化されない発光層には有用ではない。
【0009】
したがって、先行技術の欠点を克服し、ディスプレイなどのLEDデバイスの光出力、角度色性能、及び製造可能性を向上させる改良型光発光構造のニーズが未だに存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
このニーズは、反射電極と、半透明電極であって、反射電極、及び半透明電極の間に形成されるパターン化されていない発光層と共に基板上に形成される半透明電極とを備える発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスを有する本発明に係る1つの実施形態によって充足される。反射電極と、半透明電極と、パターン化されていない発光層とは、光キャビティを形成する。反射電極、又は半透明電極のいずれか一方がパターン化されて、個別制御可能な発光サブ画素を形成する。少なくとも1つであって、全てではないサブ画素は、カラーフィルタを介して光を発光する。第1のサブ画素は、第1の原色(primary color)を有する光を発光し、第2のサブ画素は、補色(complementary color)の光を発光する。第1のサブ画素、及び第2のサブ画素から発光される光は、1つ、又は2つ以上の種々の角度で変化する。第1のサブ画素、又は第2のサブ画素の少なくとも1つからの光よりも、1つ、又は2つ以上の角度において変化が小さい。第3のサブ画素は、カラーフィルタを介して第1の原色とは異なる第2の原色の光を発光する。
【0011】
本発明の他の態様は、発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスを形成する方法であって、
a)共に適用されるときに、色度座標において視野角に応じて許容できる変化を有するディスプレイ白色点を提供する原色の発光マイクロキャビティ、及び等和色(secondary colored)の発光マイクロキャビティを選択するステップと、
b)第1の原色の発光マイクロキャビティ構造と、第2の補色の発光マイクロキャビティ構造と、少なくとも1つの付加的な原色の発光マイクロキャビティ構造とを有するアレイを基板上に形成するステップであって、少なくとも1つの付加的な原色の発光マイクロキャビティ構造は、カラーフィルタを有し、第1の原色の発光マイクロキャビティ構造、及び補色の発光マイクロキャビティ構造の少なくとも1つは、カラーフィルタを有しない、
方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、LEDデバイスの光出力を向上し、角度色変化が減少するという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態に従う上部エミッタLEDデバイスの部分横断面を概略的に示す図である。
【図2】本発明に係る実施形態に従う図1に示す上部エミッタLEDデバイスの部分横断面を概略的に示す図である。
【図3】本発明に係る様々な実施形態において有用なスペーサを概略的に示す図である。
【図4】本発明に係る様々な実施形態のCIExとCIEyとにおける光発光波長を概略的に示すグラフである。
【図5】本発明に係る様々な実施形態を理解するのに有用な黄色と青色との様々な周波数を組み合わせした一定のD65光出力を概略的に示すグラフである。
【図6A】本発明に係る様々な実施形態に有用な、マイクロキャビティを有しない白色エミッタの垂直の視野角におけるスペクトルを概略的に示すグラフである。
【図6B】本発明に係る様々な実施形態において有用なカラーフィルタのスペクトルと共に、垂直の視野角、及び異なる視野角におけるマイクロキャビティによる白色発光のスペクトルを概略的に示すグラフである。
【図6C】カラーフィルタが組み込まれた本発明に係る実施形態のCIEx空間、及びCIEy空間における発光波長を概略的に示すグラフである。
【図7】図4のより詳細な様々な部分を概略的に示すグラフである。
【図8】本発明に係る様々な実施形態に従う共通制御可能な部分の相対的に大きさが異なる白色サブ画素での視野角における白色点の変化を概略的に示すグラフである。
【図9】従来の裏面エミッタLEDデバイスの部分横断面を概略的に示す図である。
【図10】本発明に係るLEDデバイスの1つの方法を概略的に示すフローを示すである。
【図11】本発明に係るLEDデバイスを採用するシステムを示す図である。
【図12】本発明に係るLEDデバイスの他の方法を概略的に示すフローを示すである。
【図13】本発明に係るLEDデバイスのさらに他の方法を概略的に示すフローを示すである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
層はそれぞれ、非常に薄く、それぞれの層の膜厚の違いは、縮尺比を描写するには大き過ぎるので、図において、縮尺比は一定ではない。
【0015】
本発明の他の実施形態において、さらなるマイクロキャビティ構造、又は非マイクロキャビティ構造を、カラーフィルタと共に採用し、又はカラーフィルタを有さずに採用できる。例えば図1を参照すると、本発明に従う発光ダイオードデバイスの典型的な実施形態は、基板10と、反射電極12と、半透明電極16とを有する。反射電極12と、半透明電極16とは、基板上に形成される。反射電極、又は半透明電極のいずれか一方をパターン化して、個別制御可能な複数の発光ダイオード素子50、52、54、及び56を形成する。図1に示すように、例えば、反射電極12をパターン化できる。個別制御可能な発光素子は、基板10上に形成される薄膜電極コンポーネント30などによって制御できる。他方の電極(16など)は、パターン化されず、発光素子50、52、54、及び56の全てと電気的に共通にできる。パターン化されていない発光層14は、反射電極12と、半透明電極16との間に形成され、複数の層を有する。反射電極12と、半透明電極16と、パターン化されていない白色発光層14とは、光キャビティ60、62、64、及び66を形成する。少なくとも1つ、かつ全てでないサブ画素50、52、54、及び56は、カラーフィルタを介して発光する。少なくとも1つのカラーフィルタ40R、40G、及び40Bは、個別制御可能な発光素子50、52、及び54に対応するパターン化されていない白色発光層14の反対の、半透明電極16の側に形成され、カラー化サブ画素を形成する。典型的には、カラーフィルタは、少なくとも2つの異なる色を有する。
【0016】
第1のサブ画素(54など)は、第1の原色(青色など)を有する光を発光し、第2のサブ画素(56など)は、原色に対して補色(黄色など)の光を発光する。第1のサブ画素、及び第2のサブ画素からの光は、種々の角度で変化する。第1のサブ画素と第2のサブ画素とを組み合わせた光の色は、第1のサブ画素、又は第2のサブ画素からの光よりも異なる角度における変化が小さい。第3のサブ画素(50、又は52など)は、第1の原色と異なる第2の原色(赤など)の光を発光し、第3のサブ画素は、カラーフィルタ(40Rなど)を介して発光する。
【0017】
赤色、緑色、又は青色のいずれかを第1のサブ画素が発光でき、第2のサブ画素は、シアン、マゼンダ、又は黄色の補色をそれぞれ発光することは、当業者に容易に理解されるであろう。第3のサブ画素は、第1の場合には緑色又は青色のいずれか一方、第2の場合には赤色又は青色のいずれか一方、第3の場合には緑色又は赤色のいずれか一方にできる。第4のサブ画素を採用して、残りの原色を発光でき、カラーフィルタを採用して、彩度、及び角度の色の発光を制御できる。補色の発光は、主要なサブ画素の少なくとも1つ(可能ならば2つ以上)よりも高い発光効率を有することは、本発明において好ましいが、必須ではない。それ故に、本発明を採用して、ディスプレイなどのフルカラーLEDデバイスの効率を向上できる。また本発明の様々な実施形態において、第1のサブ画素、及び第2のサブ画素は、カラーフィルタを含むことができ、又は含まないことができ、第3のサブ画素、及び第4のサブ画素(存在する場合)は、できる。1つの実施形態において、第3のサブ画素、及び第4のサブ画素は、カラーフィルタを含み、第1のサブ画素、及び第2のサブ画素は、カラーフィルタを含まない。他の実施形態では、第2のサブ画素は、カラーフィルタを含む。特定の対象の1つの実施形態において、第3のサブ画素、及び第4のサブ画素は、赤色、及び緑色であり、対応するカラーフィルタを有する一方、第1のサブ画素は、青色であり、カラーフィルタを含まない。そして、第2のサブ画素は、黄色であり、以下に説明するように、黄色のカラーフィルタを有用である可能性はあるが、カラーフィルタを含まない。特に有機発光層において黄色のエミッタは、非常に効率的にできるので、この構造は、特に興味深い。
【0018】
本発明は、マイクロキャビティデバイスを採用して、屈折率が高い薄膜の発光材料の出力を向上する。この薄膜は、角度において強い色依存を示す。それ故に、カラーフィルタを提供して、輝度の角度依存を伴って、色の角度依存を抑制できる。残念なことに、(特に有機材料の)青色エミッタは、非常に効率が低いこともまた、事実である可能性がある。青色エミッタの低効率を克服する1つのアプローチは、フルカラー画素により効率的な第4の白色サブ画素を採用して、不飽和の光を発光することである。このような光は、多くの画素で広く普及する。他のアプローチは、青色サブ画素よりも効率的である黄色サブ画素を第4のサブ画素として採用することである。しかしながら、出願人が明らかにするように、このような白色画素、又は黄色サブ画素は、視野角の変化によって、色が著しく変化する。(少なくとも黄色の場合)カラーフィルタを追加することによって、角度変化を抑制でき、カラーフィルタが、第2のエミッタの効率を抑制することによって、第4のサブ画素を増加する理由となる。それ故に、マイクロキャビティを採用する先行技術においては、低効率のエミッタを採用して、許容できない強い角度変化が多く見られるか、低効率のカラーフィルタを第4のエミッタと組み合わせて使用するかのいずれかである。さらにまた、先行技術のマイクロキャビティの配置は、パターン化されたエミッタ、又はパターン化された半透明電極を要し、これらの双方は、製造コストを著しく引き上げる。
【0019】
本発明は、先行技術のこれらの難点を克服する。パターン化される光スペース形成素子と共に、パターン化される発光層(単数、又は複数の白色光発光層など)を採用することによって、原色のエミッタと、付加的な補色のエミッタとを組み合わせて発光する様々なマイクロキャビティをより効率的に形成する。パターン化されない材料を使用して、角度の色の変化を軽減し、効率的な光出力が達成される。マイクロキャビティはそれぞれ、様々な光キャビティ内部の建設的な干渉によって、カラー化された光を発光する。しかしながら、パターン化されていない白色光発光層を採用するとき、赤色、及び緑色は、十分には飽和せず、青色エミッタは、許容され、多くの場合で良好な色域(color gamut)を提供することを出願人は、立証している。(カラーフィルタを有さない)サブ画素の全ては、角度における色依存を示す。これは、補色の光を発光するサブ画素の発光を組み合わせることによって、(白色光の発光において)軽減される。具体的には、カラーフィルタを有さない青色の第1のサブ画素と、カラーフィルタを有さない黄色の補完的な第2のサブ画素と、カラーフィルタを有する赤色、及び緑色のサブ画素とを採用できる。以下に詳細に説明するように、赤色マイクロキャビティ・エミッタと、緑色マイクロキャビティ・エミッタとは、効率的に光を発光し、角度色変化は、対応するカラーフィルタによって制御される。青色のサブ画素は、カラーフィルタを有しないので、より効率的である。典型的には、(パターン化されていない白色発光層から抽出するときに)黄色のサブ画素は、青色エミッタ、及び赤色エミッタと比較して良好な効率を有し、青色サブ画素と組み合わせて使用して、飽和していない色を形成するときに見掛け上白色の光を発光する。さらにまた、(効率を低下させるカラーフィルタがないときに)青色エミッタ、及び黄色エミッタのそれぞれに生じる角度の色の変化は、組み合わせるときに、見掛け上の白色光の角度の色の変化を抑制する。それ故に、角度色変化を低減した効率的なフルカラーシステムが、提供される。上述した色の組み合わせは、本発明の1つの典型的な実施形態において採用できるが、他の色の組み合わせを採用でき、その組み合わせは、本発明に包含される。
【0020】
本発明で採用されるとき、画素は、種々の色の光を発光する個別制御光エミッタをそれぞれが有する3つ以上のサブ画素を備えるマルチカラー画像素子である。典型的には、画素は、赤色サブ画素、緑色サブ画素、及び青色サブ画素(RGB構成)を有する。さらにまた、本開示で採用されるとき、個別制御可能な補色サブ画素は、RGBY構成のそれぞれの画素(黄色など)に含まれる。黄色サブ画素をRGBY構成で採用するとき、黄色サブ画素が赤色サブ画素、緑色サブ画素、又は青色サブ画素の少なくとも1つよりも発光効率が良好である場合(黄色サブ画素を覆うエミッタを有さず、より効率的なエミッタであるために、一般的に事実であろうように)、明るさを増すこと、又は電力利用を抑制することは、低等度から中等度の彩度を有する(すなわち、かなりのグレイ成分を有する)領域を含む画像として、得られる。発光素子50、52、54、56は、サブ画素に対応する。
【0021】
したがって、本発明は、RGBY(赤色、緑色、青色、及び黄色)のサブ画素アーキテクチャを採用して、ディスプレイのような情報表示デバイスにおけるそれぞれの画素を形成する。パターン化されない共通の白色エミッタ14を採用する。カラー化される光は、(カラーサブ画素のための)カラーフィルタ40R、及び40Gを共に有するそれぞれの色に別々の調整されたマイクロキャビティを組み合わせることによって、形成される。ブラックマトリクス40Kを採用して、発光素子50、52、54、及び56の間の環境光を吸収できる。平坦化層32、及び絶縁層34によって、個別制御可能な発光素子を電気的に絶縁できる。カラーフィルタは、第1の主要なサブ画素、及び補完的な第2のサブ画素の双方に必要ではないが、一方、又は他方は、カラーフィルタを採用できる(40B、又は40Yのいずれか一方など。しかし双方ではない)。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によると、補完的なサブ画素エミッタは、カラー化されたサブ画素の少なくとも1つよりも効率的にすることが可能である。さらにまた、補完的な1対の光エミッタの一方、又は双方は、カラー化された主要なサブ画素の少なくとも1つよりも効率的にすることが可能である。カラー化されたサブ画素がカラーフィルタを有しない場合でさえも、発光は、カラー化されたサブ画素と比較して、効率的にすることが可能である。しかしながら、補完的な1対の発光素子(青色、及び黄色など)によって形成される白色光は、3つの原色ディスプレイ(three primary display color、赤色、緑色、及び青色など)により形成されるときの同一の白色よりも、発光効率が高いことが望まれる。パターン化されていない共通の白色エミッタの効率は、放射効率、又は発光効率に関して規定される。
【0023】
図1の一部をより詳細に記載する図2を参照すると、反射電極12は、光キャビティを調整するスペーサ26と共に基板(図示せず)上に形成される。光キャビティ60、62、64、及び66をそれぞれ、対応するスペーサ26R、26G、26B、26Yで調整して、赤色、緑色、青色、及び黄色などにそれぞれ調整される光キャビティ26R、26G、26B、及び26Yを形成する。図1に示すように、本発明は、反射電極12と、発光層14との間に種々の膜厚を有するスペーサ層26R、26G、26B、及び26Yを採用できる。種々の膜厚を選択して、種々の光キャビティ60、62、64、及び66の光応答を調整する。図3に示す本発明の他の実施形態において、光キャビティは、反射層11と、透明導電層15との間に透明スペーサ層13R、13G、13B、及び13Yを採用することによって、調整できる。反射層11と、透明導電層15とは、反射電極12を有する。他の実施形態において、スペーサ層(図示せず)は、発光層14と、半透明電極16との間などの他の位置に配置される。これらの例示的な実施形態の全てにおいて、反射層と、導電層とが同一の層であるか否か、隣接する層であるか、又はスペーサ層によって分離されるかに関わらず、反射層と、導電層とは共に、反射電極を有する。
【0024】
この開示において、光の補完的な波長は、ともに観視されるときに、プランク軌跡上の、又はプランク軌跡に近接する光など、実質的に白色に近い光を形成する光の波長である。例えば、青色と、及び黄色は、チアン及び赤色、並びに緑色及びマゼンタのように補完的な対を形成する。本発明の様々な実施形態に従って、サブ画素は、ディスプレイにおいて、画素を形成できる。ここで、サブ画素はそれぞれ、設計された観視距離から観視するとき、人間の目でそれぞれ識別されない。それ故に、主要なサブ画素、及び補助的なサブ画素(図1における54、及び56)から発光される光は、実際には補色の組み合わせであるが、典型的な人間の目では、白色として観視されることになるであろう。
【0025】
実際の動作において、薄膜トランジスタ30などを介して供給される電流が、電極12、及び16を介して発光層14を通電することによって、光を発光する。発光した光の一部は、デバイスから直接通過し、又はカラーフィルタを介してデバイスから通過する。他の光は、反射電極12から反射して、デバイスを通過する。法線に対して大きい角度で発光する他の光は、全体的な内部反射によって、トラップされる。光キャビティ構造は、発光した光の発光角を減少する役目を果たす。これによって、トラップされる光の量を減少させ、順方向の所望の光により一層集中させる。本発明は、アクティブマトリクス制御回路、及びパッシブマトリクス制御回路の双方と共に、採用できる。
【0026】
具体的には、本発明は、法線からの様々な角度において白色として観視される実質的な白色を形成する手段を提供する。補完的な光マイクロキャビティ64、及び66から出力される光は、発光する光の角度が、基板に対する法線(90度)から増加すると、周波数が増加する(波長が減少する)。半透明電極の反射率によって強度が変化するマイクロキャビティを形成できることは、従来の技術範囲内で理解される。強い(strong)マイクロキャビティを有するデバイスは、飽和した(白色ではない)光を放射するであろう。しかしながら、比較的強くないマイクロキャビティを有するデバイスは、パターン化されていない白色エミッタを使用して形成するときに、相対的に白色の光を作り出すことができる。従来の技術では、弱い(weak)マイクロキャビティ内部に配置されるとき、白色エミッタ層は、白色光を作り出すことになるであろう。しかしながら、この単一素子の白色エミッタは、反射電極12の法線から測定したときに0度よりも大きい角度で観視するとき、短い波長にシフトする光を発光する傾向があるであろう。白色エミッタは、本質的に広帯域であるので、広範囲の周波数における様々なシフトが、法線から大きな角度で見られる。さらに、人間の視覚のシステムは、緑色に最も敏感であるので、このデバイスは、反射電極の法線から0度より大きい角度で観視するとき、緑色、又はシアンが現れる。
【0027】
それにも関わらず、本発明の1つの実施形態において、より強いマイクロキャビティを採用して、著しい彩度を示し、かつ単独の白色光エミッタよりも狭い帯域を有する光をそれぞれが発光する、2つ以上の異なる光マイクロキャビティから白色発光素子を形成できる。補完的なサブ画素54、及び56の種々の光マイクロキャビティは、0度よりも大きな角度で観視されるとき、それぞれのマイクロキャビティにおける出力周波数のシフトを互いに補完できる。より正確には、補完的なサブ画素54、及び56のそれぞれが発光する光の周波数、又は効率は、種々の視野角において変化するであろうが、補完的な形式においては、補完的なサブ画素54、及び56から発光を組み合わせた光の白色点は、それぞれのサブ画素54、及び56、又は他の主要なサブ画素50、及び52の色の変化と比較して、変化が比較的小さいであろう。
【0028】
図4を参照すると、CIE1931x、y色度図は、単色光源の位置を示すスペクトル軌跡205と、赤色光と青色光の双方を含む純紫軌跡206と共に示される。スペクトル軌跡205と、純紫軌跡206とによって囲まれる領域は、全ての可視色を含む。シアン/青色を発光する光マイクロキャビティ(光マイクロキャビティ4などからの)の発光210は、x座標0.160、y座標0.253における法線から開始して、x座標0.186、y座標0.116における60度において終了する、基板法線に対して増加させた、複数の角度を示す。具体的には、光マイクロキャビティの視野角が増加すると、知覚される光の色は、周波数が高くなり、波長が短くなり、青色に近くなる。同様に、黄色/緑色を発光する光マイクロキャビティからの(光キャビティ66などからの)発光215は、複数の角度で示される。この場合もやはり、光キャビティの視野角が増加すると、知覚される光の色は、x座標0.469、y座標0.389における法線から開始して、x座標0.233、y座標0.598において60度で終了し、周波数が高くなり、波長が短くなり、緑色に近くなる。主要なサブ画素、および補完的なサブ画素から発光される光はカラー化されるにもかかわらず、色が補完されるために、0度視野角で観視するときのCIE1931色度座標0.267、0.300、及び60度視野角で観視するときのCIE1931色度座標0.1987、0.246を有する組み合わせ光が白色として現れる。主要なサブ画素、及び補完的なサブ画素が発光する光は、カラー化されるが、色は補完されるので、組み合わせ光は、比較的一定に維持され、実質的に白色である。点225は、基板に対する垂直角の白色点を示し、点230は、基板の法線に対する60度における白色点を示す。視野の角度が変化すると、青色エミッタ、及び黄色エミッタの双方は、色を著しく変化させる。しかしながら、組み合わせた光は、比較的一定に留まり、実質的に白色である。点225は、基板に対する垂直角における白色点を示し、点230は、基板に対する法線に対して60度における白色点を示す。これらの曲線は、様々な角度にモデル化した色の変化を、出願人が組み立てた実際の白色OLEDデバイスから採ったものである。
【0029】
このグラフから理解できるように、白色の色度座標は、y次元には変化が小さいが、x次元にはいくらか変化が大きいように思われる。しかしながら、全体的な変化は、青色エミッタ、又は黄色エミッタのいずれか一方の変化よりも小さく、色は、白色を維持する。図5を参照すると、一定のD65の白色点200のグラフが、種々の黄色発光の補完的な周波数、及び青色発光の補完的な周波数において示される。図5から理解されるように、白色点を維持するためには、黄色の波長を大きく変化するときに、青色の波長は小さく変化するようにオフセットする必要がある。さらに出願人が行った実験によると、観察者は、白色、すなわち中間色から黄色の方向に向かうよりも青色の方向に向かうカラーのシフトへの耐性が高いことが明らかになっている。図4に示す発光は、青色と黄色の分配をバランスすることによってこの効果を採用して、黄色のシフトを最小化する一方、青色方向の多少の逸脱を許容する。この変化は、補完的なサブ画素を覆うように形成し、好適には基板に対する垂直角で発光する光を伝送し、好適には法線以外の角度で発光する光を吸収するカラーフィルタを採用することによって、物理的に制御できる。例えば、フィルタ(図1における40Yなど)は、黄色光を発光する光キャビティ66を覆って使用できる。カラーフィルタは、570nm、560nm、又は550nmなどよりも短い波長を有する緑色を帯びた光を吸収する。これにより、白色点の移動の短い方の波長に限定し、すなわち青色エミッタの相対的な影響を大きくする効果を有する。出願人がモデル化したとき、他の実施形態において、500nm、490nm、又は480nmなどよりも短い波長を有する青色を帯びた光を吸収するフィルタ(図1の40Bなど)を採用できる。
【0030】
本発明に合わせて、主要なサブ画素50、52、及び54と、補完的なサブ画素56の双方の大きさは、広範な選択を有し、多くの種類の白色光発光材料を採用できる。本発明の1つの実施形態では、補完的なサブ画素56は、基板に対する垂直角において、実質的に黄色、オレンジ色、又は赤色の光を発光し、カラーフィルタを有する。具体的には、補完的なサブ画素は、垂直角において550nmよりも大きなピーク波長を有する光を発光するように調整され、白色サブ画素の共通制御部分を覆うように形成されるカラーフィルタを有することができる。このカラーフィルタは、550nmより小さい波長を有する光を相当量吸収する。
【0031】
本発明と共に、様々な白色エミッタを採用し、様々なマイクロキャビティを形成して、白色光エミッタから白色発光素子を作り出す。本発明のいくつかの実施形態では、発光層14は、少なくとも2つの発光ピーク(青色と、黄色など原色と、原色を補完する色)を有する光を発光する材料を含む。これらの発光ピークは、第1のサブ画素、及び第2のサブ画素が発光する光の所望の色に対応する周波数に配置して、発光効率を最適化できる。同様に、光キャビティを調整して、カラーフィルタが有することが可能な周波数と同一の周波数に調整できる。本発明の他の実施形態では、発光層14は、少なくとも3つの発光ピークを有する光を発光する材料を含み、発光ピークは、第1のサブ画素、第2のサブ画素、及び第3のサブ画素が発光する光の色、又はデバイスが使用する原色に対応する周波数に配置できる。本発明のさらに他の実施形態では、発光層14は、少なくとも4つの発光ピークを有する光を発光する材料を含み、発光ピークは、第1のサブ画素、第2のサブ画素、第3のサブ画素、及び第4のサブ画素が発光する光の色に対応する周波数に配置できる。これらの様々な実施形態において、複数のピークの、広範囲の発光は、白色光として知覚され、パターン化されていない発光層は、白色発光層である場合が一般的である。
【0032】
これらの様々実施形態において、第2のサブ画素が、第1のサブ画素よりも高い発光効率を有する場合、又は第2のサブ画素が、第2のサブ画素以外のサブ画素の少なくとも1つよりも高い発光効率を有する場合は、補完的なサブ画素は、第1のサブ画素などの主要なサブ画素よりも比較的低い効率で補完することが可能であるので、有用である。
【0033】
様々な特定の実施形態において、本発明に係る発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスは、青色光を発光するように調整された第1のサブ画素のための光キャビティと、黄色光を発光するように調整された第2のサブ画素のための光キャビティと、赤色光を発光するように調整された第3のサブ画素のための光キャビティと、緑色光を発光するように調整された第4のサブ画素のための光キャビティとを採用する。第3のサブ画素は、赤色のカラーフィルタを採用でき、第4のサブ画素は、緑色のカラーフィルタを採用できる。青色のサブ画素、又は黄色のサブ画素のいずれか一方は、カラーフィルタを備えることができるが、好適には青色のサブ画素、及び黄色のサブ画素のいずれ、カラーフィルタを備えない。後者の場合、マイクロキャビティからの青色発光は、フルカラーLEDデバイスのあらゆる要求(gamut requirement)に対応した上で、黄色のサブ画素の角度色変化を効率的に補完すべきである。角度色変化は、青色においても見られるが、出願人は、青色のサブ画素がより高い周波数にシフトする(すなわち、より青くなる)ことは、一般的に観視者に許容されると判定している。それ故に、角度色の補完は、赤色、緑色、又は黄色のエミッタに必要であるが、青色のエミッタには必要でない可能性がある。
【0034】
本発明に係る代替的な特定の実施形態において、第1のサブ画素の光キャビティが緑色光を発光するように調整し、第2のサブ画素の光キャビティがマゼンダ光を発光するように調整し、第3のサブ画素の光キャビティが赤色光を発光するように調整して、カラーフィルタは、赤色のカラーフィルタとし、第4のサブ画素の光キャビティが青色光を発光するように調整する。本発明に係る他の代替的な特定の実施形態において、第1のサブ画素の光キャビティが赤色光を発光するように調整し、第2のサブ画素の光キャビティがシアン光を発光するように調整し、第3のサブ画素の光キャビティが緑色光を発光するように調整して、カラーフィルタは、緑色のカラーフィルタとし、第4のサブ画素の光キャビティが青色光を発光するように調整する。
【0035】
図6Aを参照すると、出願人が作成した、本発明に有用な白色光エミッタのスペクトル250が示される。図6Bを参照すると、スペクトル252は、黄色のサブ画素として有用な1つのマイクロキャビティから出力される光である。シフトしたスペクトル255に示すように、視野角が増加すると、発光周波数は大きくなる。補完的なサブ画素56上に形成されるハイパススペクトル260と共に、カラーフィルタ(黄色のカラーフィルタなど)を採用することによって、光は、好適には、基板に対する垂直角において、カラーフィルタを介して透過し、好適には、垂直角以外の角度において、カラーフィルタによって吸収される。それ故に、垂直角において発光する光の量を減少することなく、視野角による色のシフトは、減少できる。図6Cを参照すると、カラーフィルタを有することなく、黄色発光を調整するマイクロキャビティにおける白色エミッタの点264における角度による色のシフトは、カラーフィルタにより黄色発光を調整するマイクロキャビティにおける白色エミッタの点262における角度による色のシフトよりも大きい。しかしながら、(カラー化されたサブ画素を含む)カラーフィルタは、法線から離れた角度におけるデバイスの輝度を減少させることになるであろう。なお、しかしながら、白色サブ画素の共通制御部分のそれぞれの色度座標と同様に、それぞれの部分の相対的な輝度効率は、視野角の関数として変化することになるであろう。人間の目の輝度効率は、黄色におけるピークが550nmに向かって移動するときに増加するので、いくつかのこのデバイスにおいて、黄色フィルタを使用して、共通制御される黄色の部分の輝度を視野角に応じて減少させることは、比較的一定の輝度を維持するためには有用であろう。
【0036】
本発明のデバイスからの発光は、第1のサブ画素(54など)と、補完的な第2のサブ画素56とに異なる輝度比を採用して、異なるデバイス白色点を獲得することによって、さらに制御される。図7に示すように、対象の最大角、及び最小角における青色エミッタ、及び黄色エミッタのCIEのx座標、及びy座標に接続する境界線270、及び275は、点290において共通の交点を有する領域280、及び285を形成する。サブ画素54、及び56の輝度比を変更することにより、白色点の相対的な位置は、交点290により近接するように移動し、又は交点290から遠方に移動する。それ故に、交点290に近接するように白色点が移動すると、白色点における変化の量は、減少できる。同様に、交点290に遠方に白色点が移動すると、白色点における変化の量は、増加できる。典型的な有機発光ダイオードシステム(OLED)において、黄色放射は、青色よりも効率が高いので、白色点の変化が許容されるならば、白色点の変化が大きいのにも関わらず、エミッタが黄色発光点に向かって移動することは、有利である。図8を参照すると、3つの曲線は、白色光エミッタ(図7に示す異なる白色光)における最小の視野角から最大の視野角までの白色点の変化を示すCIEx、yグラフにおいて示される。黄色のサブ画素56と青色のサブ画素の相対的な輝度値は、曲線296において等しく、曲線295において1.3であり、曲線297において0.7である。D65白色点は、点298として示される。曲線295に示す相対的な発光、及び色のシフトは、曲線296、又は297の相対的な発光、及び色よりも比較的大きい。
【0037】
本発明の光キャビティからの発光は、発光材料のスペクトル、カラーフィルタのピーク透過、及び光マイクロキャビティの応答を適合させることにより、増加する。すなわち、カラー化されたサブ画素の光キャビティは、キャビティの光学的距離を変化させることによって、対応するカラーフィルタのピーク透過波長と対応するピーク波長近くに調整される。同様に、白色サブ画素の光マイクロキャビティは、白色発光層のピーク発光波長に近似的に対応する1つ、又は2つ以上のピーク波長に調整される。同様に、白色発光層のピーク発光波長は、対応するカラーフィルタのピーク透過波長に調整される。
【0038】
また、白色サブ画素の垂直の発光を、D65などの特定の白色点にするシステムを配置することが可能である。しかしながら、この配置の視野角による色の変化、又は所望の白色点からの平均的な発光は、所望の白色点に発光がより近い他の配置、又は白色点における視野角の変化による発光の減少が少ないが、所望の白色点では実質的には発光しない配置よりも大きくすることが可能である。平均的な性能を超えるような配置が望まれる可能性がある。平均的な発光による、アプリケーションにおける重要性によって重み付けされ、又は重み付けされずに、対象の視野角の全ての平均的な白色点が重要である。それ故に、好適な配置において、白色サブ画素の発光を調整して、単一の視野角における所望の白色点を一致させるよりもむしろ、白色サブ画素の平均的な発光と、1つより多い角度における好適なデバイスの白色点との間の差異を最小化することが可能である。多くの場合、赤色のサブ画素と、緑色のサブ画素とを適用して、ディスプレイの白色点を調整することが可能である(すなわち、補正した比率の赤色光と緑色光とを付加することによって、白色発光の色は、黄色のサブ画素の色度の方向に移動できる)。
【0039】
本発明の実施形態において、通常は、第3のサブ画素、及び第4のサブ画素は、飽和色を形成するときに、主要に適用される一方、第1のサブ画素は、飽和色を形成するために適用される他に、全ての無彩色(near-neutral color)を形成するために適用されることになるであろう。第2のサブ画素は、通常は、無彩色を形成するときにのみ適用されることになるであろう。したがって、サブ画素の中で最も多く使用されるサブ画素は、第1のサブ画素になるであろう。この結果として、第1のサブ画素は、全てのサブ画素の面積が等しい場合、他のサブ画素よりもエージングの程度が大きくなる可能性が高い。したがって、好適な実施形態において、第1のサブ画素は、他のサブ画素の少なくとも1つよりも大きな発光面積を有することになるであろう。
【0040】
様々な光発光材料が、本発明において採用される。例えば、白色発光層は、小分子有機材料、ポリ有機材料などの有機材料、若しくは多結晶半導体マトリックスに形成される無機量子ドットを有することができる。従来のフォトリソグラフィー技術を採用して、光キャビティを規定するのに適当な透明層を形成するのと同様に、基板上に制御構造(バス、トランジスタ、キャパシタ、電極など)を形成できる。キャビティを規定するのに適当な透明材料は、二酸化シリコン、又はインジウムスズ酸化物、若しくは有機材料などを含むことができる。有機材料は、真空蒸着などの様々な公知の方法で蒸着する。しかしながら、この方法は、光キャビティの一貫性のある製造を可能にする十分な正確度、及び精度を提供しなければならない。具体的にはKodak(登録商標) Vapor Injection System(商標)は、1%以内の均一性と、有効に使用できる精度である有機層の蒸着を提供する線形性の有機真空蒸着源である。適当な半透明カソードは、銀、マグネシウム、アルミニウム、又は他の金属、若しくは合金などの公知の蒸着技術、又はスパッタ技術によって、形成できる。これらの半透明電極は、典型的には、20%よりも大きい反射率を有し、理想的には10%より小さい吸収率を有することになるであろう。本発明に有用な有機材料、及び無機材料の双方のためのカプセル化技術は、公知である。本発明は、円偏光子(図1における18)など、デバイスの環境コントラストを改良するのに適当な様々な素子と共に使用できる。1つの実施形態では、本発明は、図1に示すように、表面エミッタである。他の実施形態(図示せず)では、デバイスは、裏面電極デバイスである。
【0041】
図10を参照すると、本発明に従って、LEDデバイスの製造方法は、基板を提供するステップ400と、反射電極を形成するステップ410と、反射電極を覆うパターン化されていない白色発光層を形成するステップ420とを有する。ステップ430において、半透明電極は、パターン化されていない白色発光層が、反射電極と、半透明導電極との間に形成されるように、反射電極上に形成される。反射電極と、半透明電極と、パターン化されていない白色発光層とは、光キャビティを形成する。ここで、反射電極と、半透明電極とのいずれか一方は、パターン化されて、複数の個別制御可能な発光サブ画素素子を形成する。ステップ440において、カラー化されたサブ画素を形成するために、個別制御可能な発光素子に対応するパターン化されていない白色発光層の反対の半透明導電性薄膜構造側を覆ってカラーフィルタを形成する。カラーフィルタは、少なくとも2つの異なるカラーを有する。少なくとも1つの個別制御可能な発光素子は、カラー化されたサブ画素が発光する光に補完的な光を発光して、補完的なサブ画素を形成する。本発明の他の実施形態では、パターン化されていない白色発光層は、半透明電極を覆って形成される。
【0042】
白色発光エミッタの最適化し、注意深く選択した光キャビティの選択した需要調査を通して、本発明の光キャビティを使用した白色光エミッタにおける色の変化は、消費者に満足なものである。このマイクロキャビティ構造は、(銀の薄い層などを有する)半透明電極が(インジウムスズ酸化物などの透明な導電性酸化物などを有する)完全な透明電極よりも導電性が非常に良いため、特に表面エミッタ構造において有利である。本発明は、有機、又は無機のいずれかのパターン化されていない光発光層を採用するとき、色角度シフト、及び価格を低減したマイクロキャビティ構造から出力される改良された光を提供する。
【0043】
図11を参照すると、本発明は、LEDディスプレイデバイス300(図1により詳細に示される)と、(テキスト、及び画像などの)情報信号320を受信し、信号を処理してディスプレイデバイス300に適当な変換信号を形成し、ディスプレイ300を駆動して、変換信号300を表示する制御器310とを有する情報ディスプレイ・システムにおいて採用できる。
【0044】
図12を参照して、発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスの制御方法は、マイクロキャビティ内部にそれぞれ形成される個別制御可能な少なくとも4つのサブ画素であって、そのサブ画素の3つは、原色の光を発光し、3つのサブ画素の少なくとも1つは、カラーフィルタを有し、第4のサブ画素は、カラーフィルタなしで、原色の1つを補完する色の光を発光するサブ画素を形成するステップ500と、RGB入力信号を受信するステップ510と、入力信号を少なくとも4つのコンポーネントの変換信号に変換するステップ520とを有する。4つのコンポーネントは、赤色と、緑色と、青色と、赤色、緑色、及び青色の1つを補完する色とを有する。変換ステップ520は、中間色コンポーネントを計算するステップと、補色と、対応する原色とを選択的に適用して、入力信号の中間コンポーネントを形成するステップとを有する。また、変換ステップ520は、3原色の色度座標によって規定される境界近傍の色を形成するときに3原色を選択的に適用するステップを有する。この好適な適用によって、補色と同様に飽和色における角度色変化の影響を低減できる。本発明の1つの実施形態において、第4のサブ画素は、黄色の光を発光し、補完的なコンポーネントは、黄色である。赤色、及び緑色により黄色を形成する好適な適用(赤色サブ画素、及び緑色サブ画素はカラーフィルタを有して角度色変化を低減する)は、黄色の適用(黄色の補完的なサブ画素はカラーフィルタを有しない)より、黄色の発光の角度色変化を低減する。ステップ530において、変換信号を採用して、デバイスを駆動する。
【0045】
図13を参照すると、ステップ600において、発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスは、共に適用されるときに視野角に応じて色度座標において許容できる変化を有する表示の白色点を提供する原色の発光マイクロキャビティ構造と、等和色(補色)の発光マイクロキャビティ構造とを選択することによって形成できる。ステップ610において、第1の減少のマイクロキャビティ構造と、第2の等和色発光マイクロキャビティ構造とを有するアレイは、少なくとも1つの追加的な原色発光マイクロキャビティ構造と共に、基板上の形成できる。少なくとも1つの追加的な原色発光マイクロキャビティ構造は、カラーフィルタを有し、第1の原色マイクロキャビティ構造の少なくとも1つと、補色発光マイクロキャビティ構造とは、カラーフィルタを有しない。
【0046】
パターン化されたデバイスにおいて、種々の材料を採用して、電流に応答して種々の色の光を発光する。反対に、パターン化されていないデバイスにおいて、いくつかの材料を使用して、白色などの単一の色を発光し、カラーサブ画素が発光する光は、カラーフィルタと、白色光エミッタと組み合わせた光キャビティを採用してカラー化される。白色光エミッタは、青色、及び黄色、又は赤色、及びシアンなどの異なる色をそれぞれ発光する1つ、又は2つ以上のパターン化されていない層における材料の組み合わせを有して、全体的に白色であると知覚される光を発光する。1つの重要な点は、いかに多くの光発光材料が単一の層に含まれていようと、又はいかに多くの層が含まれていようと、層は、パターン化されておらず、全ての画素内の全てのサブ画素において合計した発光を採用することである。これらの層の組み合わせの全ては、本発明に包含され、発光層14の一部と考える。
【0047】
LEDデバイスにおいて、実際に光を発光する高屈折率層、高屈折率の電荷制御層、又は高屈折率の半透明電極における全体的な内部反射によってトラップされることは、公知である。法線に対して小さい角度で発光された光は、デバイスから発光できる一方、法線に対して比較的大きい角度で発光された光は、高屈折率層でトラップされる可能性がある。光キャビティ構造を使用することによって、法線に対して比較的小さい角度でデバイスから発光する光を多くするように、大きい角度での光の発光は、抑制される。
【0048】
また、光キャビティ構造から発光される光の色は、視野角に対する依存を有することは、事実である。この角度依存性は、特に大きな視野角が求められる応用において、観視者を非常に苛立たせる可能性がある。角度によるこの色のシフトは、白色光エミッタを使用するカラーサブ画素において、特に顕著である。しかしながら、本発明において、カラーサブ画素に採用されるカラーフィルタは、環境光を吸収するだけでなく、光キャビティデバイスが有する、観測される光の色の角度への依存性も抑制する。しかしながら、このようなカラーフィルタは、デバイス効率を低下させる。
【0049】
カラーサブ画素の角度が増加と共に明らかになる本発明が提供する色のシフトの抑制は、カラーサブ画素の輝度を低下させる。輝度が低下することは、色がシフトすることと比較して、観視者に対して顕著ではなく、不快にさせない。さらにまた、カラーサブ画素の輝度が低下することについては、(白色点がシフトする可能性はあるが、)白色サブ画素の輝度が視野角によって一定である一方、実際の影響は、全体的な彩度の低下である可能性がある。この彩度の低下は、(色がほとんど飽和しない画像などの)いくつかの画像では影響を与えず、非常に飽和した色を有する画像の色の変化と比較して、顕著ではない。それ故に、画質が改良される。さらにまた、多くの画像は、相対的に飽和しないので、実際の輝度の影響は、比較的小さいことが多い。
【0050】
出願人は、パターン化されたカラー化エミッタと、白色エミッタとの双方を有するマイクロキャビティを採用するいくつかのOLEDデバイスを組み立てて、円偏光子、及びカラーフィルタの性能と共に、その性能を研究した。さらにまた、光モデリングツールを使用して、様々な環境下での本発明の性能を理解してきた。一般に、光キャビティと、カラーフィルタとを採用するパターン化されていない白色光発光OLEDデバイスは、光キャビティとカラーフィルタとを有しないパターン化されていない白色光発光OLEDデバイスと比較して、カラー化されたがその光出力の大まかに2倍が期待できる。カラーフィルタを採用しないサブ画素は、より効率的であり、補完的なサブ画素は、主要なサブ画素の少なくとも1つ(より頻繁には主要なサブ画素の2つ以上)よりも効率的であるので、補完的なサブ画素を使用することによって、多くの画像は、ほとんど飽和色を有さないときに、OLEDデバイスの全体的な性能が改良され、より効率的な補完的な光エミッタが主に使用される。
【0051】
円偏光子と、カラーフィルタとを使用することに関するより詳細は、同一出願人による、同時係属の米国特許出願第11/842221号、及び第11/842229号に開示され、出願の全体が参照することによりに包含される。
【0052】
本発明のLEDデバイスは、所望される場合は、特性を向上させるために、様々な周知の光学的な効果を採用できる。これは、層の膜厚を最適化して、光の透過率を最大化すること、誘電体反射鏡構造を提供すること、ディスプレイ上に、アンチグレアコーティング、又は反射防止コーティングを提供すること、減光を提供すること、又はディスプレイ上に色温度変換フィルタを提供することを含む。フィルタ、円偏光子、及びアンチグレアコーティング、又は反射防止コーティングは、カバー、又は基板の全て、又は一部に特に提供できる。
【0053】
本発明は、アクティブマトリクスOLEDデバイス、又はパッシブマトリクスOLEDデバイスと共に実施でき、情報ディスプレイデバイスにおいて特に有用である。1つの実施形態において、本発明は、1988年9月6日にTangらに特許されたよる米国特許第4769292号、1991年10月29日にVanSlykeらに特許された米国特許第5061569号において開示される小分子OLED、又は高分子OLEDを有するフラットパネルOLEDデバイスにおいて採用されるが、これには限定されない。(Kahenらによる米国特許出願第2007/0057263号などに教授される)多結晶半導体マトリックスで形成される量子ドット、及び有機電荷制御層、又は無機電荷制御層などで採用される無機デバイス、若しくは有機/無機ハイブリッドデバイスを採用できる。有機光発光ディスプレイ、又は無機光発光ディスプレイの多くの組み合わせ、及び変化を使用して、表面エミッタ構造、又は裏面エミッタ構造を有するアクティブマトリクスディスプレイ、及びパッシブマトリクスディスプレイの双方を含むデバイスを組み立てることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 基板
11 反射層
12 反射電極
13、13R、13G、13B、13Y スペーサ
14 単数、又は複数の発光層
14R、14G、14B パターン化された発光層
15 透明導電性層
16 半透明電極
18 円偏光子
20 カバー
26 スペーサ
26R、26G、26B、26Y スペーサ
30 薄膜電気回路
32 絶縁体
34 絶縁体
40R、40G、40B、40Y カラーフィルタ
40K ブラックマトリクス
50、52、54、56 発光素子、サブ画素
60、62、64、66、66B、66Y 光キャビティ
80、82、84 光
200 D65白色点
205 スペクトル軌跡
206 純紫軌跡
210 青色発光曲線のCIE座標
215 黄色発光曲線のCIE座標
220 白色点曲線
225 垂直角の白色点
230 最大視野角の白色点
250 白色発光スペクトル
252 白色マイクロキャビティ発光スペクトル
255 シフトした白色マイクロキャビティ発光スペクトル
260 カラーフィルタ通過スペクトル
262 角度による色のシフト
264 角度による色のシフト
270 境界線
275 境界線
280 領域
285 領域
290 交点
295 発光曲線
296 発光曲線
297 発光曲線
298 D65白色点
300 デバイス
310 制御器
320 信号
330 変換信号
400 処理ステップ:基板の提供
410 処理ステップ:電極の形成
420 処理ステップ:パターン化されない白色発光層の形成
430 処理ステップ:半透明電極の形成
440 処理ステップ:カラーフィルタの形成
500 処理ステップ:サブ画素の形成
510 処理ステップ:入力信号の受信
520 処理ステップ:入力信号の変換
530 処理ステップ:変換信号によるデバイスの駆動
600 処理ステップ:主要なマイクロキャビティ構造、及び補助的なマイクロキャビティ構造の選択
610 処理ステップ:付加的なマイクロキャビティ構造の形成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)反射電極と、半透明電極であって、前記反射電極、及び前記半透明電極の間に形成されるパターン化されていない発光層と共に基板上に形成される半透明電極とを備え、前記反射電極と、前記半透明電極と、前記パターン化されていない発光層とは、光キャビティを形成し、前記反射電極、又は前記半透明電極のいずれか一方がパターン化されて、個別制御可能な複数の発光サブ画素を形成し、少なくとも1つであって、全てではない前記サブ画素は、カラーフィルタを介して光を発光し、
b)第1のサブ画素は、第1の原色を有する光を発光し、第2のサブ画素は、前記第1の原色に対する補色の光を発光し、前記第1のサブ画素、及び前記第2のサブ画素からの前記光は、1つ、又は2つ以上の種々の角度で変化し、前記第1のサブ画素、及び前記第2のサブ画素の組み合わせた光の色は、前記第1のサブ画素、又は前記第2のサブ画素の少なくとも1つからの前記光よりも、前記1つ、又は2つ以上の角度において変化が小さく、
c)第3のサブ画素は、前記第1の原色とは異なる第2の原色の光を発光し、前記第3のサブ画素は、カラーフィルタを介して光を発光する、
ことを特徴とする発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項2】
前記第1のサブ画素、又は前記第2のサブ画素は、カラーフィルタを有しない請求項1に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項3】
前記第2のサブ画素は、カラーフィルタを有する請求項1に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項4】
前記発光層は、少なくとも2つの発光ピークを有する光を発光する材料を含み、これらの発光ピークは、前記第1のサブ画素、及び前記第2のサブ画素が発光する光の色に対応する周波数に配置される請求項1に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項5】
前記発光層は、少なくとも3つの発光ピークを有する光を発光する材料を含み、これらの発光ピークは、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、及び前記第3のサブ画素が発光する光の色に対応する周波数に配置される請求項1に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項6】
前記第2のサブ画素は、前記第1のサブ画素よりも高い発光効率を有する請求項1に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項7】
前記第2のサブ画素は、前記第2のサブ画素以外の前記サブ画素の少なくとも1つよりも高い発光効率を有する請求項1に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項8】
前記発光層は、白色光を発光する請求項1に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項9】
第3の原色の光を発光する第4のサブ画素をさらに有する請求項1に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項10】
前記第4のサブ画素は、カラーフィルタを介して光を発光する請求項9に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項11】
前記第1のサブ画素の前記光キャビティは、青色光を発光するように調整され、前記第2のサブ画素の前記光キャビティは、黄色光を発光するように調整され、前記第3のサブ画素の前記光キャビティは、赤色光を発光するように調整され、前記カラーフィルタは、赤色カラーフィルタであり、前記第4のサブ画素の前記光キャビティは、緑色光を発光するように調整される請求項9に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項12】
青色のサブ画素と、黄色のサブ画素とは、いずれもカラーフィルタを有しない請求項11に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項13】
前記第1のサブ画素の前記光キャビティが緑色光を発光するように調整し、前記第2のサブ画素の前記光キャビティがマゼンダ光を発光するように調整し、前記第3のサブ画素の前記光キャビティが赤色光を発光するように調整して、前記カラーフィルタは、赤色のカラーフィルタとし、前記第4のサブ画素の前記光キャビティが青色光を発光するように調整する請求項9に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項14】
前記第1のサブ画素の前記光キャビティが赤色光を発光するように調整し、前記第2のサブ画素の前記光キャビティがシアン光を発光するように調整し、前記第3のサブ画素の前記光キャビティが緑色光を発光するように調整して、前記カラーフィルタは、緑色のカラーフィルタとし、前記第4のサブ画素の前記光キャビティが青色光を発光するように調整する請求項9に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイス。
【請求項15】
a)マイクロキャビティ内部にそれぞれ形成される、個別制御可能な少なくとも4つのサブ画素であって、前記サブ画素の3つは、原色の光を発光し、前記3つのサブ画素の少なくとも1つは、カラーフィルタを有し、第4のサブ画素は、カラーフィルタを有さず、前記原色の1つを補完する色の光を発光する少なくとも4つのサブ画素を形成するステップと、
b)RGB入力信号を受信するステップと、
c)前記入力信号を少なくとも4つのコンポーネントを有する変換信号に変換するステップであって、前記4つのコンポーネントは、赤色と、緑色と、青色と、前記赤色、緑色、及び青色を補完する色とを有するステップと、
を有することを特徴とする発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスの制御方法。
【請求項16】
前記変換ステップは、前記入力信号の中間コンポーネントを計算するステップと、前記補色と、対応する原色とを選択的に適用して、前記入力信号の前記中間コンポーネントを形成するステップとを有する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記変換ステップは、前記3原色の色度座標によって規定される境界近傍の色を形成するときに前記3原色を選択的に適用するステップを有する請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第4のサブ画素は、黄色の光を発光し、補完的なコンポーネントは、黄色である請求項15に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスを有するディスプレイ・システムであって、
前記発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスを駆動する変換信号に、RGB入力信号を変換する制御器をさらに有し、
前記発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスは、前記入力信号を表示する電力よりも少ない電力を使用して、前記変換信号を表示する、
ことを特徴とするディスプレイ・システム。
【請求項20】
発光マイクロキャビティ・ダイオード・デバイスの形成方法であって、
a)共に適用されるときに、色度座標において視野角に応じて許容できる変化を有するディスプレイ白色点を提供する原色の発光マイクロキャビティ構造、及び等和色の発光マイクロキャビティ構造を選択するステップと、
b)第1の原色の発光マイクロキャビティ構造と、第2の補色の発光マイクロキャビティ構造と共に、少なくとも1つの付加的な原色の発光マイクロキャビティ構造を有するアレイを基板上に形成するステップであって、少なくとも1つの前記付加的な原色の発光マイクロキャビティ構造は、カラーフィルタを有し、前記第1の原色の発光マイクロキャビティ構造、及び前記補色の発光マイクロキャビティ構造の少なくとも1つは、カラーフィルタを有しない、
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−541180(P2010−541180A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527977(P2010−527977)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/011369
【国際公開番号】WO2009/048520
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510059907)グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー (45)
【Fターム(参考)】