説明

光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物、光半導体用封止シート及び光半導体装置

【課題】温度上昇しても粘度が低下しない特性を有し、さらに、短時間の加熱により速やかにゲル化することでシート状樹脂層を精度良く作製することが可能な光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物、光半導体素子の封止が可能な光半導体用封止シート、及び該シートで半導体素子を封止してなる光半導体装置を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂(A)とビニル重合体粒子(B)とを含有してなる光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物、光半導体用封止シート及び光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光半導体の用途拡大に伴い、光半導体パッケージの生産性向上、プロセス改善のニーズが高まっている。
一般的に、光半導体装置は、発光ダイオード(LED)等の光半導体素子がエポキシ樹脂組成物等によって樹脂封止されている。光半導体に使用される封止用樹脂には、高い透明性、絶縁性、耐熱性等が求められており、液状エポキシ樹脂が多用されている。
【0003】
従来、光半導体素子を封止する方法としては、発光ダイオード(LED)等の光半導体素子をカップ中に配置し、ディスペンサ等を用いて液状の封止剤をカップに充填する方法等が用いられてきた。しかしながら、この方法では、封止工程を個別の光半導体素子毎に行うため、生産性を上げにくいという問題がある。
【0004】
そこで近年では、シート状の封止材(以下、「封止シート」という)を用いて光半導体素子を封止する方法が検討されている。封止シートを用いた方法では、多数の光半導体素子を基板上で一括封止し、封止樹脂を硬化した後、一括封止された多数の光半導体素子を搭載する基板を個別の光半導体素子にカットする。この方法では、複数の光半導体素子を同時に封止することができるため、生産性の向上が期待できる。
特許文献1では、封止シートを用いた半導体の封止方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−219726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の封止シートは無機充填材を必須成分としているため、硬化物の透明性が充分でなく、光半導体用途には適していない。さらに、シートを形成する上で重要となるエポキシ樹脂組成物の粘度特性については特に触れられておらず、均一な膜厚の封止シートの作製が困難となる可能性がある。
【0007】
封止シートを作製するためには、エポキシ樹脂組成物の高い膜厚精度でのコーティング及びシート状樹脂層を形成するための弾性が必要となる。
一般的に、封止シートを作製する方法として、エポキシ樹脂組成物を半硬化状態(Bステージ化)にする方法が知られている。しかしながら、エポキシ樹脂組成物は粘度の温度依存性が高いため、半硬化するまでの温度上昇により粘度が顕著に低下することから、Bステージ化する前にエポキシ樹脂組成物が流動し、膜厚が変動するという問題が生じる場合がある。特に、コーティング時の膜厚精度を上げるため、常温での流動性が高いエポキシ樹脂組成物を使用した場合、この問題は顕著となる。
【0008】
さらに、エポキシ樹脂組成物は一度硬化反応が始まると途中で反応を停止させることが難しく、半硬化状態を制御することは難しい。そのため、Bステージ化により封止シートを作製する方法では、エポキシ樹脂組成物の弾性を再現良く制御することは困難となる可能性がある。
【0009】
本発明の課題は、温度上昇しても粘度が低下しない特性を有し、さらに、短時間の加熱により速やかにゲル化することでシート状樹脂層を精度良く作製することが可能な光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物、光半導体素子の封止が可能な光半導体用封止シート、及び該シートで半導体素子を封止してなる光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨とするところは、エポキシ樹脂(A)とビニル重合体粒子(B)とを含有してなる光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物を第1の発明とする。ここで、ビニル重合体粒子(B)はプレゲル化剤であることが好ましい。また、エポキシ樹脂(A)は脂環式エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の要旨とするところは、本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物を用いた光半導体用封止シートを第2の発明とする。ここで、光半導体用封止シートはエポキシ樹脂(A)とビニル重合体粒子(B)を含有する光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物をゲル化させてシート状樹脂層に形成したものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明の要旨とするところは、本発明の光半導体用封止シートを用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置を第3の発明とする。
【0013】
尚、本発明においてBステージ化とはエポキシ樹脂と硬化剤が多少反応し、半硬化状態となることでそれ自身の形状を保持できる状態のものをいい、ゲル化とはエポキシ樹脂と硬化剤が反応することなくそれ自身の形状を保持できる状態のものをいう。
また、本発明において「プレゲル化剤」とは、加熱により速やかにエポキシ樹脂組成物をゲル状態とする添加剤のことをいう。「プレゲル化剤」の添加により、エポキシ樹脂組成物に温度上昇しても粘度低下しない特性や早期に形状が安定化する特性(ゲル化性)を付与することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、温度上昇しても粘度が低下しない特性を有し、さらに、短時間の加熱により速やかにゲル化することでシート状樹脂層を精度良く作製することが可能な光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物、光半導体素子の封止が可能な光半導体用封止シート、及び該シートで半導体素子を封止してなる光半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂(A)とビニル重合体粒子(B)とを含有する。
【0016】
エポキシ樹脂(A)
本発明で用いられるエポキシ樹脂(A)としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明においては、エポキシ樹脂組成物にゲル化性を付与する点で、常温で液体のエポキシ樹脂か、又は常温で固体であるが加熱時に硬化が充分に進行する前に液体化するエポキシ樹脂を主成分とするものが好ましい。さらにこれらのエポキシ樹脂の中でも、透明性及び耐熱性に優れ、光半導体材料に好適であることから、脂環式エポキシ樹脂が好ましい。
【0018】
脂環式エポキシ樹脂の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート((株)ダイセル製、商品名:セロキサイド2021)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとε−カプロラクトンの2量体の付加物((株)ダイセル製、商品名:セロキサイド2081)、1,2,8,9−ジエポキシリモネン((株)ダイセル製、商品名:セロキサイド3000)、水添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名:YX−8000、三菱化学(株)製、商品名:YX−8034及び大日本インキ化学工業(株)製、商品名:EPICLON750)等が挙げられる。
【0019】
これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。特に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及び水添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種をエポキシ樹脂(A)として用いることが好ましい。
【0020】
ビニル重合体粒子(B)
本発明のビニル重合体粒子(B)は、ラジカル重合可能なビニル単量体を重合して得られる。
【0021】
ラジカル重合可能なビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イル−メタクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸ビニロキシ酢酸、アリロキシ酢酸、2−(メタ)アクリロイルプロパン酸、3−(メタ)アクリロイルブタン酸、4−ビニル安息香酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート等の官能基含有ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルアルコール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、1−ビニルイミダゾール等のビニル単量体;モノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート、モノプロピルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジプロピルイタコネート、ジブチルイタコネート等のイタコン酸エステル;モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノプロピルフマレート、モノブチルフマレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジプロピルフマレート、ジブチルフマレート等のフマル酸エステル;及びモノメチルマレート、モノエチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジプロピルマレート、ジブチルマレート等のマレイン酸エステルが挙げられる。
これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
【0022】
これらの単量体の中でも、ラジカル重合が容易であり、且つ乳化重合が容易であることから、(メタ)アクリレートが好ましい。さらに、光半導体用封止シートを硬化して得られる硬化物の透明性の観点から、水酸基含有ビニル単量体、カルボキシル基含有ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。尚、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
【0023】
重合方法
本発明のビニル重合体粒子(B)の重合方法としては、真球状粒子を得やすいこと及び粒子モルフォロジーを制御しやすいことから、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、膨潤重合法、ミニエマルション重合法、分散重合法及び微細懸濁重合法が好ましい。この中でも、分散性に優れ、ファインピッチ化にも対応した粒子径を持つ重合体が得られることから、ソープフリー乳化重合法がより好ましい。
【0024】
重合助剤
ビニル単量体を重合する際には、重合開始剤、乳化剤、分散安定剤、連鎖移動剤を用いることができる。
【0025】
重合開始剤
重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができる。ビニル重合体粒子(B)を噴霧乾燥で粉体化する際に金属イオンの残留がないため、金属イオンが含まれていない重合開始剤を用いることが好ましい。
【0026】
金属イオンが含まれていない重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス−[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]等のアゾ系化合物;過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物;ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、p−メンタンヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等の有機過酸化物;前記過硫酸化合物又は前記有機過酸化物を一成分としたレドックス系開始剤が挙げられる。
これらの重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
【0027】
これらの重合開始剤の中でも、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス−[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]が好ましい。
重合温度は重合開始剤の種類にもよるが、例えば、40〜90℃程度の範囲で適宜行なうことができる。
【0028】
乳化剤
乳化剤としては、公知の乳化剤を用いることができ、例えば、不均化ロジン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸アルカリ金属塩やアンモニウム塩、ノニオン系乳化剤が挙げられる。
乳化剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
【0029】
これらの乳化剤の中でも、ビニル重合体粒子(B)への金属イオンの残留がないことから、金属イオンが含まれていないアンモニウム塩型アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤を用いることが好ましい。
アンモニウム塩型アニオン系乳化剤としては、乳化重合の安定性に優れることから、ラウリル硫酸アンモニウム、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸アンモニウムが好ましい。ノニオン系乳化剤としては、乳化重合の安定性に優れることから、ポリオキシエチレン(85)モノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルが好ましい。
【0030】
分散安定剤
分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカ等の水難溶性無機塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロース誘導体等のノニオン系高分子化合物;及びポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、メタクリル酸エステルとメタクリル酸又はその塩との共重合体等のアニオン系高分子化合物が挙げられる。これらの中では、電気特性に優れることからノニオン系高分子化合物が好ましい。また、重合安定性との両立の観点から目的に応じて2種以上の分散安定剤を併用することができる。
【0031】
連鎖移動剤
連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等のメルカプタン;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;及びα−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
【0032】
粉体回収(配合方法)
本発明のビニル重合体粒子(B)のエマルションを粉体化する際には、公知の粉体化方法を用いることができる。例えば、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、凝固法が挙げられる。これらの粉体化方法の中でも、エポキシ樹脂中でのビニル重合体粒子(B)の分散性に優れることから、噴霧乾燥法が好ましい。
【0033】
噴霧乾燥の際は、本発明のビニル重合体粒子(B)のエマルションを単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。また、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉体特性を向上させるために、シリカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機質充填剤や、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等を添加してもよい。
また、必要に応じて、酸化防止剤や添加剤等を加えて噴霧乾燥してもよい。
【0034】
アセトン可溶分
ビニル重合体粒子(B)のアセトン可溶分は、特に限定されないが、2質量%以上であることが好ましい。
ビニル重合体粒子(B)のアセトン可溶分が、2質量%以上であれば、エポキシ樹脂の粘度が極めて低い場合でも高いゲル化性を付与できる。
【0035】
さらに、エポキシ樹脂組成物を溶剤で希釈して使用する場合は、アセトン可溶分は50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。ビニル重合体粒子(B)のアセトン可溶分を50質量%以下とすることで、溶剤中での貯蔵安定性を良好とすることができる。
尚、本発明において、アセトン可溶分は後述するアセトン可溶分の測定法により得られたものをいう。
【0036】
アセトン可溶分の質量平均分子量
ビニル重合体粒子(B)のアセトン可溶分の質量平均分子量は、特に限定されないが、10万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、40万以上が更に好ましい。また、一定温度で効率的にゲル状態にできることから、2000万以下が好ましく、1000万以下がより好ましく、500万以下が更に好ましい。
【0037】
ビニル重合体粒子(B)のアセトン可溶分の質量平均分子量が10万以上であれば、少ない添加量で高いゲル化性を付与でき、高温においてもエポキシ樹脂の流動が抑制される。また、エポキシ樹脂への溶解性が低下することがなく、短時間で充分なゲル状態にできることから、アセトン可溶分の質量平均分子量は2000万以下が好ましい。
【0038】
本発明においてゲル状態は、後述する測定法により得られたゲル化温度及びゲル化性能で評価することができる。
また、本発明において、質量平均分子量は後述する質量平均分子量の測定法により得られたものをいう。
【0039】
体積平均一次粒子径
ビニル重合体粒子(B)の体積平均一次粒子径(Dv)は、特に限定されないが、200nm以上が好ましく、300nm以上がより好ましく、500nm以上が更に好ましく、600nm以上が最も好ましい。体積平均一次粒子径(Dv)が200nm以上であれば、エポキシ樹脂中で一次粒子に分散性し易く、さらに、粒子が持つ総表面積を充分に小さくできるため、エポキシ樹脂組成物の粘度が上昇しにくいという利点を持つ。また、ファインピッチ化や薄膜化への対応が可能であることから、ビニル重合体粒子(B)の体積平均一次粒子径(Dv)は、8μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。
尚、本発明において、体積平均一次粒子径(Dv)は後述する体積平均一次粒子径の測定法により得られたものをいう。
【0040】
また、ビニル重合体粒子(B)は単分散性の良好なものが好ましい。本発明において、ビニル重合体粒子(B)の単分散性は、ビニル重合体粒子(B)の体積平均一次粒子径(Dv)と個数平均一次粒子径(Dn)との比(Dv/Dn)で示される。ビニル重合体粒子(B)のDv/Dnとしては3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい。ビニル重合体粒子(B)の単分散性が高い(Dv/Dnが1に近い)ほど、エポキシ樹脂組成物のゲル化が短時間で急速に進行し、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性との両立がし易くなる傾向にある。
【0041】
金属イオン量
ビニル重合体粒子(B)中のアルカリ金属イオンの含有量は特に限定されないが、10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、1ppm以下がさらに好ましい。エポキシ樹脂組成物は様々な用途に用いられるが、僅かなイオン性不純物の存在が絶縁不良や電極剥離等の問題を生じる場合もある。
従って、アルカリ金属イオンの含有量が上記の範囲内であれば、幅広い用途に使用できる。
尚、本発明において、ビニル重合体粒子(B)のアルカリ金属イオンの含有量はNaイオン及びKイオンの合計量であり、後述するアルカリ金属イオンの含有量の測定法により得られたものをいう。
【0042】
硫酸イオン量
ビニル重合体粒子(B)中の硫酸イオン(SO2−)の含有量は特に限定されないが、20ppm以下が好ましい。電子材料に用いるエポキシ樹脂組成物は、銅やアルミニウム等の金属製のワイヤーや回路配線等と接触する環境で用いられることから、硫酸イオンが残存すると金属腐食を引き起こし、導通不良や誤動作の原因となる場合がある。ビニル重合体粒子(B)中の硫酸イオンの含有量が20ppm以下であれば、幅広い用途に使用できる。
【0043】
屈折率
本発明において、ビニル重合体粒子(B)の屈折率は特に限定されないが、20℃での屈折率が1.48以上1.51以下であることが好ましい。ビニル重合体が多層構造粒子である場合は、各層の屈折率が1.48以上1.51以下であることが好ましい。屈折率が上記の範囲内であれば、ビニル重合体粒子(B)を配合して得られるエポキシ樹脂硬化物の透明性が優れたものとなる。ビニル重合体粒子(B)の屈折率は、エポキシ樹脂硬化物の透明性の観点から、1.49以上が好ましく、1.50以上がより好ましい。
【0044】
尚、本発明において、ビニル重合体粒子(B)の20℃での屈折率は、「POLYMER HAND BOOK」(Wiley Interscience社)に記載されている、20℃におけるホモポリマーの屈折率の値(ポリメチルメタクリレート:1.490、ポリn−ブチルメタクリレート:1.483、ポリスチレン:1.591等)を用いる。また、共重合体の屈折率については、その体積比率により算出できる。
【0045】
ガラス転移温度
本発明において、ビニル重合体粒子(B)のガラス転移温度は特に限定されないが、ガラス転移温度は0℃以上であることが好ましい。ビニル重合体粒子が多層構造粒子である場合は、各層のガラス転移温度が0℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃以上であれば、エポキシ樹脂組成物に多量に配合した場合でも、エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度の低下が抑制でき、高い耐熱性が要求される用途においても使用することができる。また、一定温度で効率的にゲル状態にできることから、ガラス転移温度は250℃以下であることが好ましい。
【0046】
尚、本発明において、ビニル重合体粒子のガラス転移温度は、Fox式により求めることができる。ビニル重合体粒子が単独重合体の場合は、高分子学会編「高分子データハンドブック」等に記載されている標準的な分析値を採用することができ、共重合体の場合は、各単量体単位の単独重合体のTgから式(1)により算出することができる。
Fox式を以下に示す。
1/(273+Tg)=Σ(wi/(273+Tgi)) 式(1)
式中、Tgは共重合体のTg(℃)、wiは単量体iの質量分率、Tgiは単量体iを重合して得られる単独重合体のTg(℃)である。
【0047】
ビニル重合体粒子(B)市販品
本発明においては、ビニル重合体粒子(B)として、例えば、メタブレンJF−001、同JF−003、同JF−101、同KP−0917、同KP−0950、同P−1900(以上、三菱レイヨン(株)製)、ゼフィアックF−301、同F−351、同F−320、同F−325(以上、ガンツ化成(株)製)等の市販品を使用することもできる。
【0048】
光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物
本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂(A)とビニル重合体粒子(B)を含有する。
【0049】
エポキシ樹脂組成物中のビニル重合体粒子(B)の配合量としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂100質量部に対して5質量部以上が好ましく、8質量部以上がより好ましい。ビニル重合体粒子(B)の配合量が5質量部以上で充分なゲル状態を実現することができ、エポキシ樹脂組成物の流動及び膜厚の不均一化を抑制することができる。また、ビニル重合体粒子(B)の配合量としては50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。ビニル重合体粒子(B)の配合量を50質量部以下とすることで、エポキシ樹脂組成物のペースト粘度が上昇するのを抑制することができ、光半導体用封止シートを製造する際の加工性や作業性を良好とし、高い膜厚精度でのコーディングが可能となる。
また、所望のゲル化性を発現させるために、ゲル化温度の異なる複数のビニル重合体粒子(B)を併用してもよい。
【0050】
硬化剤・硬化促進剤
本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物は、例えば、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物等の硬化剤を含有することができる。
【0051】
酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物及びポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの中で、耐候性、耐光性、耐熱性等が求められる用途ではメチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
【0052】
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、m−キシレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ポリアミン;イソホロジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、メチレンビスシクロヘキサナミン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等の脂環族ポリアミン;ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジエチルトルエン等の芳香族ポリアミンが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
耐候性、耐光性、耐熱性等が求められる用途では2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン及びイソホロンジアミンが好ましい。
【0053】
フェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD及びこれらビスフェノール類のジアリル化物の誘導体が挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
【0054】
発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物は、比較的着色の少ないものが好ましく、例えば、酸無水物系硬化剤を用いるのが好ましく、脂環式酸無水物系硬化剤を用いるのがより好ましい。具体的には、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、水素化メチルナジック酸無水物が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0055】
硬化剤の使用量としては、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性及び硬化性に優れることからエポキシ樹脂(A)100質量部に対して50〜150質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましい。より具体的には、酸無水物の場合には、エポキシ基1当量あたりの酸無水物基当量としては0.7〜1.3当量が好ましく、0.8〜1.1当量がより好ましい。また、アミン系化合物の場合には、エポキシ基1当量あたりの活性水素当量としては0.3〜1.4当量が好ましく、0.4〜1.2当量がより好ましい。更に、フェノール化合物の場合には、エポキシ基1当量あたりの活性水素当量としては0.3〜0.7当量が好ましく、0.4〜0.6当量がより好ましい。
【0056】
本発明においては、本発明のエポキシ樹脂硬化物の透明性を損なわない範囲で硬化促進剤を使用してもよい。
硬化促進剤は、エポキシ樹脂(A)と硬化剤との反応を促進する作用を有するものであり、エポキシ樹脂硬化物の着色が少ない硬化促進剤が好ましい。
【0057】
硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン系硬化促進剤;2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエタノールアミン、ベンジルメチルアミン等の三級アミン系硬化促進剤;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボレート系硬化促進剤が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤の配合割合は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して0.05〜5質量部が好ましい。
【0058】
その他添加物
本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種添加剤を配合することができる。その他の添加剤としては、例えば、シリコーン系やフッ素系消泡剤、レベリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、界面活性剤、充填剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、可塑剤、顔料、離型剤、ガラスビーズ、無機粒子、応力緩和剤等の慣用の添加剤を使用することができる。
【0059】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤は、それぞれ単独で使用できるが、フェノール系/イオウ系、又はフェノール系/リン系のように2種以上を併用することが好ましい。
【0060】
可塑剤としては、公知のものを使用でき、例えば、フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤等が挙げられる。
【0061】
難燃剤は、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、リン系、ハロゲン系、無機系難燃剤等、公知のものを用いればよい。
【0062】
無機粒子としては、例えば、銀粉、金粉、ニッケル粉、銅粉等の導電性フィラー;窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等の絶縁フィラーが挙げられる。
【0063】
混合
本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物を調製する際には、公知の混練装置を用いることができる。
エポキシ樹脂組成物を得るための混練装置としては、例えば、らいかい機、アトライタ、プラネタリミキサ、ディゾルバー、三本ロール、ボールミル及びビーズミルが挙げられる。また、これらは2種以上を併用することができる。
【0064】
本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物に添加剤等を配合する場合、配合する順番は特に問わないが、本発明の効果を充分に発揮するために、ビニル重合体粒子(B)はできるだけ最後に混練することが好ましい。また、混練による剪断発熱等で、系内の温度が上がるような場合には、混練中に温度を上げない工夫をすることが好ましい。
【0065】
光半導体用封止シート
本発明の光半導体用封止シートはエポキシ樹脂(A)とビニル重合体粒子(B)を含有するエポキシ樹脂組成物からなる。
【0066】
シート製造方法
本発明の光半導体用封止シートの製造方法としては特に限定されないが、例えば、下記のようにして調整することができる。
まず、エポキシ樹脂組成物もしくは溶剤で希釈したエポキシ樹脂組成物溶液を、例えば、表面を離型処理したシート(例えば、2軸延伸ポリエステルフィルム)上にキャスティング、スピンコーティング、ロールコーティング等の方法により、適当な厚さに製膜する。その後、溶媒の除去が可能な程度の温度で加熱することにより、エポキシ樹脂組成物のゲル化が進行し、シート状に成形される。
【0067】
本発明の光半導体用封止シートの製造方法において、希釈に用いる溶剤としては特に限定されず、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ヘキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、具体的には例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンが好ましい。
【0068】
製膜したエポキシ樹脂組成物もしくは溶剤で希釈したエポキシ樹脂組成物溶液を乾燥させる温度は、エポキシ樹脂(A)、ビニル重合体粒子(B)及び溶媒の種類によって異なるが、一般的には50℃〜150℃程度である。このとき、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が進行しない温度で乾燥させることが好ましい。
【0069】
光半導体用封止シートの厚さは、エポキシ樹脂組成物もしくは溶剤で希釈したエポキシ樹脂組成物溶液を製膜する際の厚みを調整することにより、適宜調整することができる。一般的に、光半導体素子を包埋できる観点から、5〜800μm程度が好ましい。
本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物は、高温での流動性が抑制されるため、光半導体用封止シートの高精度な膜厚制御が可能である。
【0070】
さらに、光半導体用封止シートにおいては、シート状樹脂層の弾性制御が重要となる。例えば、光半導体用封止シートを光半導体素子上に積層して加熱して封止する場合、シート状樹脂層の弾性が低すぎると、加熱によりシート状樹脂層が流動し、光半導体素子を封止できなくなる可能性がある。一方で、シート状樹脂層の弾性が高すぎると、加熱時の流動性が不充分となり、光半導体素子を封止する際に未充填箇所が生じる可能性がある。したがって、光半導体用封止シートの弾性を精度良く制御することが求められる。
【0071】
本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂組成物を半硬化状態(Bステージ化)にする必要がなく、エポキシ樹脂組成物のゲル化によりシート状樹脂層を形成することができるため、弾性を再現良く制御することが可能である。また、シート状樹脂層の弾性は、ビニル重合体粒子(B)の配合量により容易に調整することができる。
【0072】
さらに、本発明の光半導体用封止シートは、Bステージ化していないため、加熱時に適度な流動性を有し、光半導体素子を封止する際に未充填箇所を生じにくいといった利点がある。
【0073】
本発明の光半導体用封止シートを用いた場合には、光半導体用封止シートを光半導体素子上に積層して加熱する等の方法により、容易に光半導体素子を封止することができるため、封止工程を簡略化することでき、生産性向上、製造コストの低減を図ることができる。
【0074】
光半導体装置
本発明の光半導体装置は、本発明の光半導体用封止シートを用いて、例えば、LED素子等の光半導体素子を封止することにより製造することができる。
本発明の光半導体用封止シートによる光半導体素子の封止方法としては特に限定されないが、例えば、複数のLED素子が搭載された基板の上に、本発明の光半導体用封止シートを載置した後、加熱圧着する方法、真空下に減圧した後に加熱圧着する方法等が挙げられる。硬化条件としては、エポキシ樹脂組成物を構成する各成分の種類や含有量等によって適宜決めることができるが、一般的には80℃〜180℃程度である。
【0075】
本発明の光半導体用封止シートは、初期タック性と適度な柔軟性を有しており、加熱時に適度な流動性を有するため、光半導体素子周りに未充填箇所が生じない。さらに、本発明の光半導体用封止シートは、加熱時の垂れや滲み出しが少なく、硬化した後には、優れた密着性及び耐熱性を有する。そのため、複数の光半導体素子を同時に効率よく封止することが可能である。
【0076】
本発明の光半導体用封止シートを硬化して得られる硬化物は、透明性に優れることが好ましく、厚さ2mmの硬化物の光透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが最も好ましい。透過率が上記範囲を下回る場合には、光半導体素子を封止した際に、発光効率が低下し、性能が低下する場合がある。
【0077】
本発明の光半導体用封止シートを硬化して得られる硬化物は、ビニル重合体粒子(B)の配合により、硬化して得られる硬化物の弾性率が低下する場合がある。これにより、エポキシ樹脂組成物を硬化する際の反り、クラックの抑制、各種環境試験後の反り、クラックの抑制、吸湿試験後の剥離の抑制等の効果が期待できる。特に、光半導体を封止する際のリフロー性、各種環境試験後のリフロー性を改善する効果が期待できる。
【0078】
本発明の光半導体用封止シートは、例えば液晶ディスプレイ等のバックライト、照明、各種センサー、プリンター、コピー機等の光源、信号機、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等、光半導体素子を搭載した光半導体装置に好適に用いられる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例における各評価項目は、以下の方法により実施した。
【0080】
(1)一次粒子径及び単分散性
ビニル重合体粒子(B)のエマルションをイオン交換水で希釈し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(島津製作所社製、「SALD−7100」)を用い、体積平均一次粒子径(Dv)及び個数平均一次粒子径(Dn)を測定した。
屈折率は仕込みモノマー組成から算出される屈折率を用いた。
いずれも平均径としてはメジアン径を用いた。また、Dv及びDnの値より単分散性(Dv/Dn)を求めた。
ビニル重合体粒子(B)のエマルションの試料濃度は、装置に付属の散乱光強度モニターにおいて適正範囲となるよう適宜調整した。
【0081】
(2)アセトン可溶分
ビニル重合体粒子(B)1gをアセトン50gに溶解させ、70℃で6時間還流及び抽出した後、遠心分離装置((株)日立製作所製、「CRG SERIES」)を用いて、4℃にて14,000rpmで30分間遠心分離した。分離したアセトン可溶分をデカンテーションで取り除き、アセトン不溶分を真空乾燥機にて50℃で24時間乾燥させて質量を測定した。アセトン可溶分(%)は以下の式にて算出した。
(アセトン可溶分)=(1−アセトン不溶分の質量)×100
【0082】
(3)アセトン可溶分の分子量
上記のアセトン可溶分の測定で得られたアセトン可溶分からアセトンを留去してアセトン可溶分の固形物を得た。この固形物についてゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて下記の条件で質量平均分子量(Mw)を測定した。また、併せて数平均分子量(Mn)も測定した。
【0083】
装置 :東ソー(株)製HLC8220
カラム:東ソー(株)製TSKgel SuperHZM−M(内径4.6mm×長さ15cm)
本数;4本、排除限界;4×10
温度 :40℃
キャリアー液:テトラヒドロフラン
流量 :0.35ml/分
サンプル濃度 :0.1%
サンプル注入量:10μl
標準 :ポリスチレン
【0084】
(4)アルカリ金属イオンの含有量
ビニル重合体粒子(B)20gをガラス製耐圧容器に量り取り、これにメスシリンダーを用いてイオン交換水200mlを加え、蓋をして強く振り混ぜて均一に分散させ、ビニル重合体の分散液を得た。この後、得られた分散液を95℃のギヤーオーブン内に20時間静置してビニル重合体粒子(B)中のイオン分の抽出を行なった。
次いで、ガラス容器をオーブンから取り出して冷却した後、分散液を0.2μmセルロース混合エステル製メンブレンフィルター(アドバンテック東洋(株)製、型番:A020A025A)で濾過し、濾液100mlを用いてビニル重合体粒子(B)中のアルカリ金属イオンを下記の条件で測定した。尚、アルカリ金属イオンの含有量はNaイオン及びKイオンの合計量を測定した。
【0085】
ICP発光分析装置:Thermo社製、IRIS「Intrepid II XSP」
定量法:濃度既知試料(0ppm、0.1ppm、1ppm及び10ppmの4点)による絶対検量線法
測定波長:Na;589.5nm及びK;766.4nm
【0086】
(5)ゲル化温度
得られたエポキシ樹脂組成物を動的粘弾性測定装置(ユービーエム(株)製、「Rheosol G−3000」、パラレルプレート直径40mm、ギャップ0.4mm、周波数1Hz、捻り角度1度)を用い、開始温度40℃、終了温度150℃及び昇温速度4℃/分の条件で粘弾性の温度依存性を測定した。
また、測定開始時に20以上である、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(G”/G’=tanδ)がある温度にて、20を下回るようになった場合にゲル化が進行したと判断し、tanδ=20となる温度をもってゲル化温度とした。
【0087】
(6)ゲル化性能
上記のエポキシ樹脂組成物のゲル化温度の測定において、ゲル化温度−20℃での貯蔵弾性率G’をG’、ゲル化温度+20℃での貯蔵弾性率G’をG’(到達弾性率)とし、その比率(G’/G’)を求めて、下記の基準でゲル化性能を評価した。
◎:G’/G’が100以上
○:G’/G’が10以上100未満
×:G’/G’が10未満
G’/G’が10以上であれば、高温においてもエポキシ樹脂組成物の流動が抑制されるため、膜厚の変動を抑制することができる。
【0088】
(7)シート外観
次の判断基準で評価した。
○:目視で凝集物なし
×:目視で凝集物あり
【0089】
(8)シート特性
次の判定基準で評価した。
○:室温で柔軟であり、割れ及び欠けが発生せず、かつ液状でない。
△:液状ではないが、割れ又は欠けが発生。
×:シート化が不可能。
【0090】
(9)厚みのバラツキ
マイクロメータ(ミツトヨ社製)を用いて、シートの厚みを10点計測し、厚みのバラツキを以下の基準で評価した。
○:厚みのバラツキが20%未満
×:厚みのバラツキが20%以上
【0091】
(10)透明性
長さ300mm×幅300mm×厚さ5mmの強化ガラス板2枚のそれぞれの片面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:TN200)を貼ったものをPETフィルム面が向き合うように対向させ、強化ガラス板の間に厚さ2mmのテフロン(登録商標)製のスペーサーを挟んで型を作製した。
次いで、この型の中に上記の硬化剤及び硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物を流し込み、クランプで固定して100℃で3時間予備硬化を行なった後、120℃で4時間硬化を行ない、型から取り出して厚さ2mmの硬化物を作製した。
得られた硬化物から長さ30mm×幅30mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、ヘイズメーター((株)村上色彩技術研究所製、商品名:「HR−100」)を用いて硬化物の23℃における透過率を測定した。硬化物の透明性を以下の基準で評価した。
◎:450nmの透過率が90%以上
○:450nmの透過率が80%以上90%未満
△:450nmの透過率が70%以上80%未満
×:450nmの透過率が70%未満
【0092】
[製造例1]ビニル重合体粒子(B−1)の製造
マックスブレンド攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプ及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコにイオン交換水78.00質量部、メチルメタクリレート2.83質量部、及びn−ブチルメタクリレート2.17質量部を投入し、120rpmで攪拌しながら窒素ガスのバブリングを30分間行なった。
その後、窒素雰囲気下で80℃に昇温し、予め調製した過硫酸アンモニウム0.04質量部及びイオン交換水2.00質量部の水溶液を一括投入して60分間保持し、シード粒子を形成させた。
【0093】
上記のシード粒子が形成されたフラスコ内に、メチルメタクリレート78.00質量部、n−ブチルメタクリレート5.50質量部、n−ブチルアクリレート1.50質量部、メタクリル酸10.00質量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸アンモニウム1.00質量部及びイオン交換水50.00質量部をホモジェナイザー(IKA社製、「ウルトラタラックスT−25」、25000rpm)で乳化処理して得られた混合物を300分かけて滴下して、その後1時間保持し、重合を終了した。得られたビニル重合体のエマルションの一次粒子径の評価結果を表1に示す。
得られたビニル重合体のエマルションを、大川原化工機(株)製、L−8i型スプレードライヤーを用い、下記条件で噴霧乾燥処理してビニル重合体粒子(B−1)を得た。得られたビニル重合体粒子(B−1)のアセトン可溶分、アセトン可溶分の分子量(Mw、Mn)及びアルカリ金属イオンの含有量の評価結果を表1に示す。
【0094】
[噴霧乾燥処理条件]
噴霧方式:回転ディスク式
ディスク回転数:25,000rpm
熱風温度
入口温度:150℃
出口温度:65℃
【0095】
尚、製造例1〜7では下記の原料を使用した。
メチルメタクリレート :三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルM」
n−ブチルメタクリレート:三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルB」
n−ブチルアクリレート :三菱化学(株)製
スチレン :新日鐵化学(株)製
メタクリル酸 :三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルMAA」
2−ヒドロキシエチルメタクリレート:三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルHO」
アリルメタクリレート :三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルA」
ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸アンモニウム:東邦化学工業(株)製、商品名「リカサーフM−300」
過硫酸アンモニウム:和光純薬工業(株)製
過硫酸カリウム :和光純薬工業(株)製
2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):和光純薬(株)製、商品名「V−65」(10時間半減期温度51℃)
【0096】
【表1】

【0097】
表中の略号は以下の化合物を示す。
MMA :メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:「アクリエステルM」)
n−BMA:n−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:「アクリエステルB」)
n−BA :n−ブチルアクリレート(三菱化学(株)製)
St :スチレン(新日鐵化学(株)製)
MAA :メタクリル酸(三菱レイヨン(株)製、商品名:「アクリエステルMAA」)
HEMA :2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:「アクリエステルHO」)
AMA :アリルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:「アクリエステルA」)
乳化剤 :ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸アンモニウム(東邦化学工業(株)製、商品名:「リカコールM−300」)
V−65 :2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製、商品名:「V−65」、10時間半減期温度51℃)
【0098】
[製造例2〜7]ビニル重合体粒子(B−2)〜(B−7)の製造
ビニル重合体粒子を得るために使用される原料として表1に示す組成のものを使用した。それ以外は製造例1と同様にしてビニル重合体粒子(B−2)〜(B−7)を得た。評価結果を表1に示す。
【0099】
[実施例1]
脂環式エポキシ樹脂((株)ダイセル製、商品名:「セロキサイド2021P」)、100質量部及びビニル重合体粒子(B−1)10質量部を計量し、遊星運動式真空ミキサー((株)シンキー製、商品名:「泡取り練太郎ARV−310LED」)を使用して、大気圧下で回転数1,200rpmの条件で3分間混練し、混練物を得た。
得られた混練物を、3本ロールミル(EXAKT社製、「M−80E」)を使用して、ロール回転数200rpm、ロール間隔20μm・10μmで1パス、10μm・5μmで1パス及び5μm・5μmで1パス処理した。
【0100】
次いで、上記のエポキシ樹脂組成物に、エポキシ樹脂用硬化剤として4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、商品名:「リカシッドMH−700」)117質量部及び硬化促進剤としてテトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート(日本化学工業(株)製、商品名:「ヒシコーリンPX−4ET」)1質量部を加え、再び遊星運動式真空ミキサー((株)シンキー製、商品名:「泡取り練太郎ARV−310LED」)を使用して、3KPaの減圧下で回転数1,200rpmの条件で2分間混練・脱泡を行ない、硬化剤及び硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物のゲル化温度及びゲル化性能を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0101】
作製した硬化剤及び硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製、商品名:TN200)のPETフィルム面にコントロールコーター((株)井元製作所製))を用いて塗布し、80℃で15分間加熱し、厚さ100μmの光半導体用封止シートを作製した。シートの厚みについてはエポキシ樹脂組成物を塗布する際に塗布量及び塗工速度を調整した。
光半導体用封止シートのシート外観、シート特性、厚みのバラツキ及び硬化物の透明性の評価結果を表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
表中の略号は以下の化合物を示す。
Cel2021P:脂環式エポキシ樹脂((株)ダイセル製、商品名:「セロキサイド2021P」)
MH−700:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、商品名:「リカシッドMH−700」)
PX−4ET:テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート(日本化学工業(株)製、商品名:「ヒシコーリンPX−4ET」)
【0104】
[実施例2〜7]
表2に示すビニル重合体粒子(B−2)〜(B−7)を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化剤及び硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物及び厚さ100μmの光半導体用封止シートを得た。
得られたエポキシ樹脂組成物のゲル化温度及びゲル化性能の評価結果、及び光半導体用封止シートのシート外観、シート特性、厚みのバラツキ及び硬化物の透明性の評価結果を表2に示す。
【0105】
[実施例8]
ビニル重合体粒子(B)として、メタブレンJF−001(三菱レイヨン(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化剤及び硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物及び厚さ100μmの光半導体用封止シートを得た。
得られたエポキシ樹脂組成物のゲル化温度及びゲル化性能の評価結果、及び光半導体用封止シートのシート外観、シート特性、厚みのバラツキ及び硬化物の透明性の評価結果を表2に示す。
【0106】
[実施例9]
ビニル重合体粒子(B)として、メタブレンJF−003(三菱レイヨン(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化剤及び硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物及び厚さ100μmの光半導体用封止シートを得た。
得られたエポキシ樹脂組成物のゲル化温度及びゲル化性能の評価結果、及び光半導体用封止シートのシート外観、シート特性、厚みのバラツキ及び硬化物の透明性の評価結果を表2に示す。
【0107】
[比較例1、2]
ビニル重合体粒子(B)を用いず、シート作製条件を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして硬化剤及び硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物及び厚さ100μmの光半導体用封止シートを得た。
得られたエポキシ樹脂組成物のゲル化特性の評価結果、及び光半導体用封止シートのシート外観、シート特性、厚みのバラツキ及び硬化物の透明性の評価結果を表2に示す。
【0108】
表2から明らかなように、ビニル重合体粒子(B−1)〜(B−7)を配合して得られる本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物は、高いゲル化性能を有する。
また、本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物を用いた光半導体用封止シートは、凝集物等がなく、さらに厚みのバラツキを抑制することができる。さらに、本発明の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は高い透明性を有している。
【0109】
ビニル重合体粒子(B)として、市販のメタブレンJF−001、メタブレンJF−003(三菱レイヨン(株)製)を使用した場合も同様に、得られる光半導体用封止シートは外観に優れ、さらに厚みのバラツキを抑制することができた。
【0110】
一方、比較例1、2から明らかなように、エポキシ樹脂にビニル重合体粒子(B)を添加しない場合、エポキシ樹脂組成物は硬化までゲル化しなかった。また、本エポキシ樹脂組成物を用いた光半導体用封止シートは、液状でシート化が困難であった(比較例1)。さらに、Bステージ化により光半導体用封止シートを作成した場合は、シートに割れが発生し、さらに厚みのバラツキも大きかった(比較例2)。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の光半導体用封止シートは、例えば液晶ディスプレイ等のバックライト、照明、各種センサー、プリンター、コピー機等の光源、信号機、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等、光半導体素子を搭載した光半導体装置に好適に用いられる。さらに、光半導体装置の生産性を向上させることができるため、コスト低減等のメリットが大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)とビニル重合体粒子(B)とを含有してなる光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
ビニル重合体粒子(B)がプレゲル化剤である請求項1に記載の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
ビニル重合体粒子(B)のアセトン可溶分の質量平均分子量が10万以上であり、体積平均粒子径(Dv)が200nm以上である請求項1又は2に記載の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
ビニル重合体粒子(B)のアルカリ金属イオンの含有量が10ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
エポキシ樹脂(A)が脂環式エポキシ樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
エポキシ樹脂(A)が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及び水添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物を用いた光半導体用封止シート。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の光半導体用封止シート用エポキシ樹脂組成物をゲル化させてシート状樹脂層に形成したものである、請求項7に記載の光半導体用封止シート。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の光半導体用封止シートを用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置。

【公開番号】特開2013−76092(P2013−76092A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2013−12077(P2013−12077)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】