説明

光半導体装置及びその製造方法

【課題】伝搬損失が小さく、しかも、効率的に屈折率を変化させ得る光半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板10上に形成され、第1導電型の第1の不純物領域16と、第1導電型の反対の第2導電型の第2の不純物領域18と、第1の不純物領域と第2の不純物領域との間に形成されたストライプ状の光導波路15とを有する半導体光導波路層14と、第1の不純物領域と光導波路の一方の側壁の上部とを接続する第1導電型の第1の半導体層26と、第2の不純物領域18と光導波路の他方の側壁の上部とを接続する第2導電型の第2の半導体層28とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、シリコン材料を用いた位相シフタや光変調器が提案されている。
【0003】
提案されている技術においては、光導波路の一方の側にP型の不純物領域が設けられ、光導波路の他方の側にN型の不純物領域が設けられた、PIN構造が用いられている。
【0004】
かかるPIN構造に順方向バイアスを印加すると、光導波路にキャリアが注入される。光導波路にキャリアが注入されると、光導波路においてキャリアプラズマ効果が生じ、光導波路における光の屈折率が変化する。光導波路における光の屈折率が変化すると、光導波路を進行する光の波長が変化するため、光導波路を進行する過程で光の位相を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2001−526797号公報
【特許文献2】特開2009−258527号公報
【特許文献3】特表2002−540469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提案されている技術では、必ずしも効率的に屈折率を変化させ得なかった。
【0007】
本発明の目的は、伝搬損失が小さく、しかも、効率的に屈折率を変化させ得る光半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一観点によれば、基板上に形成され、第1導電型の第1の不純物領域と、前記第1導電型の反対の第2導電型の第2の不純物領域と、前記第1の不純物領域と前記第2の不純物領域との間に形成されたストライプ状の光導波路とを有する半導体光導波路層と、前記第1の不純物領域と前記光導波路の一方の側壁の上部とを接続する前記第1導電型の第1の半導体層と、前記第2の不純物領域と前記光導波路の他方の側壁の上部とを接続する前記第2導電型の第2の半導体層とを有することを特徴とする光半導体装置が提供される。
【0009】
実施形態の他の観点によれば、基板上に、ストライプ状の光導波路を有する半導体光導波路層を形成する工程と、前記光導波路の側壁のうちの上部を除く部分に、前記光導波路より屈折率の低い第1の層を形成する工程と、前記半導体光導波路層上及び前記第1の層上に半導体膜を形成する工程と、前記光導波路の一方の側における前記半導体膜及び前記半導体光導波路層に第1導電型の不純物を導入し、前記光導波路の他方の側における前記半導体膜及び前記半導体光導波路層に、前記第1導電型と反対の第2導電型の不純物を導入する工程とを有することを特徴とする光半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の光半導体装置によれば、第1導電型の不純物領域と第2導電型の不純物領域との間にストライプ状の光導波路が形成された半導体光導波路層が形成されている。そして、第1導電型の不純物領域に接続された第1導電型の半導体層が光導波路の一方の側壁の上部に接続されており、第2導電型の不純物領域に接続された第2導電型の半導体層が光導波路の他方の側壁の上部に接続されている。このため、順方向バイアスを印加した際に、第1導電型の不純物領域や第2導電型の不純物領域を介して光導波路にキャリアが注入されるのみならず、第1導電型の半導体層や第2導電型の半導体層をも介して光導波路にキャリアが注入される。このため、順方向バイアスを印加した際に光導波路に十分なキャリアを注入することができ、光導波路における屈折率の変化を効率的に生じさせることができる。しかも、第1導電型の半導体層や第2導電型の半導体層が接続されている箇所が光導波路の側壁の上部であるため、光導波路に第1導電型の半導体層や第2導電型の半導体層を接続しているにもかかわらず、光導波路における光閉じ込め効果が著しく減少してしまうこともない。従って、伝搬損失が小さく、しかも、効率的に屈折率を変化させ得る光半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態による光半導体装置を示す断面図である。
【図2】第1実施形態による光半導体装置を示す平面図である。
【図3】第1実施形態による光半導体装置の光強度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図4】第1実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図5】第1実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図6】第1実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図7】第1実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図8】第1実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図9】第2実施形態による光半導体装置を示す断面図である。
【図10】第2実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図11】第2実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図12】第2実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図13】参考例(その1)による光半導体装置を示す断面図である。
【図14】参考例(その2)による光半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図13は、参考例(その1)による光半導体装置を示す断面図である。
【0013】
図13に示すように、例えばシリコンの基板110上には、例えばシリコン酸化膜のクラッド層112が形成されている。クラッド層112上には、メサストライプ状(リブ型、リッジ型)に加工された例えばシリコンの半導体層(半導体光導波路層)114が形成されている。半導体層114のうちの厚さが厚くなっている部分115は、光導波路(コア層)となっている。光導波路115は、図13の紙面垂直方向に延在している。光導波路115の導電型は、例えばP型となっている。半導体層114のうちの厚さが厚くなっている部分の厚さは、例えば250nm程度である。半導体層114のうちの厚さが薄くなっている部分の厚さは、例えば50nm程度である。
【0014】
光導波路115の一方の側、即ち、図13の紙面左側における半導体層114には、P型の不純物領域116、より具体的には、P型の不純物領域116が形成されている。P型の不純物領域116は、光導波路115と平行するように形成されている。
【0015】
光導波路115の他方の側、即ち、図13の紙面右側における半導体層114には、N型の不純物領域118、より具体的には、N型の不純物領域118が形成されている。N型の不純物領域118は、光導波路115と平行するように形成されている。
【0016】
P型の不純物領域116と、光導波路115と、N型の不純物領域118とにより、PIN構造120が形成されている。
【0017】
PIN構造120が形成された半導体基板110上には、例えばシリコン酸化膜のクラッド層130が形成されている。クラッド層130には、P型の不純物領域116とN型の不純物領域118とにそれぞれ達するコンタクトホール132が形成されている。コンタクトホール132内及びクラッド層130上には、P型の不純物領域116とN型の不純物領域118とにそれぞれ接続された電極134が形成されている。
【0018】
このような光半導体装置において、PIN構造120に順方向バイアスを印加すると、光導波路115内にキャリア(電子、正孔)が注入される。光導波路115内にキャリアが注入されると、キャリアプラズマ効果により、光導波路115内において光の屈折率が変化し、光導波路115を進行する光信号の位相がシフトする。
【0019】
しかしながら、図13に示す参考例(その1)による光半導体装置では、半導体層114のうちの薄くなっている部分の厚さが比較的薄いため、不純物領域116,118における電気抵抗が比較的高い。このため、図13に示す参考例(その1)による光半導体装置では、光導波路115において所望の屈折率の変化を得るためには、大きい順方向バイアスを印加せざるをえない。大きい順方向バイアスの印加を要することは、低消費電力化の阻害要因となる。光導波路115の長さを長く設定すれば、所望の位相シフト量を得ることが可能であるが、光導波路115の長さを長く設定することを要することは、小型化の阻害要因となる。このように、図13に示す参考例(その1)による光半導体装置では、効率的に屈折率を変化させることが困難であった。
【0020】
図14は、参考例(その2)による光半導体装置を示す断面図である。
【0021】
図14に示す参考例(その2)による光半導体装置は、半導体層114のうちの厚さが薄くなっている部分の厚さを厚くしたものである。図14に示す光半導体装置では、半導体層114のうちの厚さが薄くなっている部分の厚さが、例えば100nmとなっている。
【0022】
図14に示す参考例(その2)による光半導体装置によれば、半導体層114のうちの薄くなっている部分の厚さが比較的厚いため、不純物領域116,118における電気抵抗を低減することができる。このため、図14に示す参考例(その2)による光半導体装置では、効率的に屈折率を変化させることが可能となる。
【0023】
しかしながら、図14のように、半導体層114のうちの厚さが薄くなっている部分の厚さを厚くした場合には、光導波路115における光閉じ込め効果が弱くなり、伝搬損失が大きくなってしまう。
【0024】
[第1実施形態]
第1実施形態による光半導体装置及びその製造方法を図1乃至図8を用いて説明する。
【0025】
(光半導体装置)
まず、本実施形態による光半導体装置について図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態による光半導体装置を示す断面図である。図2は、本実施形態による光半導体装置を示す平面図である。図1は、図2のA−A′線断面に対応している。
【0026】
図1に示すように、基板10上には、クラッド層(下部クラッド層)12が形成されている。クラッド層12上には、メサストライプ状(リブ型、リッジ型)に加工された半導体層(半導体光導波路層)14が形成されている。クラッド層12としては、例えば二酸化シリコンが用いられている。クラッド層12の厚さは、例えば3μm程度とする。半導体層14としては、例えばシリコンが用いられている。半導体層14の厚さは、例えば250nm程度とする。クラッド層12の厚さが十分に厚く形成されているため、基板10と半導体層14との間の静電容量は十分に小さく抑制される。
【0027】
なお、クラッド層12の材料は、二酸化シリコンに限定されるものではない。光導波路15より屈折率の低い材料を、クラッド層12の材料として適宜用いることができる。
【0028】
また、半導体層14の材料は、シリコンに限定されるものではない。クラッド層12より屈折率の高い材料を半導体層14の材料として適宜用いることができる。
【0029】
半導体層14のうちの厚さが厚くなっている部分15は、光導波路(コア層)15となっている。光導波路15は、ストライプ状に形成されている。
【0030】
光導波路15の高さ、即ち、図1における光導波路の紙面上下方向の寸法は、例えば250nm程度とする。光導波路15の幅、即ち、図1における紙面左右方向の寸法は、例えば500nm程度とする。半導体層14のうちの厚さが薄くなっている部分の厚さは、例えば50nm程度とする。光導波路15は、図1における紙面垂直方向に延在している。光導波路15内に導入される光信号は、図1における紙面垂直方向に進行する。光導波路15の長さ、即ち、図1の紙面垂直方向における光導波路15の寸法は、例えば250nm程度とする。光導波路15の導電型は、例えばP型となっている。
【0031】
なお、光導波路15の導電型は、P型に限定されるものではない。例えば、光導波路15が、真性半導体、即ち、I(Intrinsic)型の半導体により形成されていてもよい。また、光導波路15の導電型がN型であってもよい。
【0032】
光導波路15の一方の側、即ち、図1の紙面左側における半導体層14には、P型の不純物領域16、より具体的には、P型の不純物領域16が形成されている。P型の不純物領域(P型の電極)16は、光導波路15と平行するように形成されている。
【0033】
光導波路15の他方の側、即ち、図1の紙面右側における半導体層14には、N型の不純物領域18、より具体的には、N型の不純物領域18が形成されている。N型の不純物領域(N型の電極)18は、光導波路15と平行するように形成されている。
【0034】
P型の不純物領域16とN型の不純物領域18との間の領域の半導体層14は、P型の領域となっている。
【0035】
なお、P型の不純物領域16とN型の不純物領域18との間の領域の半導体層が、I型やN型の領域となっていてもよい。
【0036】
光導波路15上には、例えば厚さ30nmのクラッド層22が形成されている。クラッド層22は、後述するクラッド層24及びクラッド層30と相俟って上部クラッド層を形成するものである。クラッド層22としては、例えばシリコン酸化膜が用いられている。
【0037】
なお、クラッド層22は、シリコン酸化膜に限定されるものではない。光導波路15より屈折率の低い材料を、クラッド層22の材料として適宜用いることができる。
【0038】
光導波路15の側壁のうちの上部を除く部分には、クラッド層24が形成されている。クラッド層24としては、例えばシリコン酸化膜が用いられている。クラッド層24は、後述するP型の半導体層26やN型の半導体層28が、光導波路15の側壁のうちの上部を除く部分に接するのを防止するためのものである。
【0039】
光導波路15の一方の側、即ち、図1の紙面左側における半導体層14上及びクラッド層24上には、P型の半導体層26、より具体的には、P型の半導体層26が形成されている。P型の半導体層(P型の導電層、P型の電極)26は、光導波路15の一方の側の側壁のうちの上部とP型の不純物領域16とに接続されている。
【0040】
光導波路15の他方の側、即ち、図1の紙面右側における半導体層14上及びクラッド層24上には、N型の半導体層28、より具体的には、N型の半導体層28が形成されている。N型の半導体層(N型の導電層、N型の電極)28は、光導波路15の他方の側の側壁のうちの上部とN型の不純物領域18とに接続されている。
【0041】
P型領域16、26と、光導波路15と、N型領域18、28とにより、PIN構造20が形成されている。
【0042】
本実施形態において、P型の半導体層26とN型の半導体層28とを光導波路15の側壁の上部に接続しているのは、以下のような理由によるものである。
【0043】
即ち、図14に示す参考例(その2)の光半導体装置のように、半導体層114のうちの厚さの薄い部分を単に厚くした場合には、不純物領域116,118における電気抵抗は小さくなるものの、光導波路115における光閉じ込め効果は弱くなってしまう。半導体層114のうちの厚さの薄い部分を厚くした場合に、光導波路115における光閉じ込め効果が弱くなってしまうのは、光導波路115から光が漏れ出しやすい箇所において不純物領域116、118の厚さが厚くなるためと考えられる。
【0044】
一方、光導波路15の側壁の上部は、P型の半導体層26やN型の半導体層28を接続したとしても、光が漏れ出しにくい箇所である。このため、本実施形態では、光導波路15の側壁の上部にP型の半導体層26やN型の半導体層28を接続している。
【0045】
本実施形態によれば、順方向バイアスを印加した際に、不純物領域16,18を介して光導波路15にキャリアが注入されるのみならず、半導体層26,28をも介して光導波路15にキャリアが注入される。このため、本実施形態によれば、光導波路15における屈折率の変化を効率的に生じさせることができる。しかも、半導体層26,28が接続されている箇所が光導波路15の側壁のうちの上部であるため、光導波路15における光閉じ込め効果が著しく低下してしまうこともない。従って、本実施形態によれば、伝搬損失が小さく、しかも、効率的に屈折率を変化させ得る光半導体装置を提供することができる。
【0046】
P型の半導体層26の端部とN型の半導体層28の端部とは、光導波路15上に形成されたクラッド層22上に位置している。光導波路15上にクラッド層22が存在しているため、P型の半導体層26やN型の半導体層28は、光導波路15の上面には接していない。半導体層26、28が光導波路15の上面に接しないようにしているのは、半導体層26、28が光導波路15の上面に接すると、光導波路15から半導体層26,28に光の漏れ出し、光導波路15における光閉じ込め効果が低下する虞があるためである。
【0047】
P型の半導体層26及びN型の半導体層28が形成された半導体基板10上には、例えば厚さ1μmのクラッド層30が形成されている。クラッド層30としては、例えばシリコン酸化膜が用いられている。
【0048】
クラッド層22とクラッド層24とクラッド層30とが相俟って上部クラッド層が形成されている。
【0049】
クラッド層30には、P型の半導体層26とN型の半導体層28とにそれぞれ達するコンタクトホール32が形成されている。
【0050】
コンタクトホール32内及びクラッド層30上には、P型の半導体層26とN型の半導体層28とにそれぞれ接続された金属の電極34が形成されている。
【0051】
こうして本実施形態による光半導体装置が形成されている。
【0052】
このような本実施形態による光半導体装置に順方向バイアスを印加すると、不純物領域16,18を介して光導波路15にキャリアが注入されるのみならず、半導体層26,28をも介して光導波路15にキャリアが注入される。光導波路15内にキャリアが注入されると、キャリアプラズマ効果により、光導波路15内において光の屈折率が変化し、光導波路15を進行する光信号の位相がシフトする。このため、本実施形態による光半導体装置は、例えば光位相シフタや光変調器として用いることができる。
【0053】
(評価結果)
本実施形態による光半導体装置の評価結果について図3を用いて説明する。
【0054】
図3は、本実施形態による光半導体装置の光強度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。図3における横軸は、図2のA−A′線に沿った位置を示している。図3における縦軸は、光強度を示している。図3における破線は、比較例、即ち、図14に示す参考例(その2)による光半導体装置の場合を示している。図3における実線は、実施例、即ち、本実施形態による光半導体装置の光強度分布を示している。
【0055】
図3から分かるように、実施例では、光導波路15の外側の部分における光強度が、比較例に対して十分に小さくなっている。このことは、実施例では、比較例と比較して、光導波路15の外側に光が漏れにくいことを意味している。このことから、本実施形態によれば、光閉じ込め効果が高く、伝搬損失の小さい光半導体装置を得ることができることが分かる。
【0056】
このように、本実施形態によれば、P型の不純物領域16とN型の不純物領域18との間にストライプ状の光導波路15が形成された半導体光導波路層14が形成されている。そして、P型の不純物領域16に接続されたP型の半導体層26が光導波路15の一方の側壁の上部に接続されており、N型の不純物領域18に接続されたN型の半導体層28が光導波路15の他方の側壁の上部に接続されている。このため、順方向バイアスを印加した際に、P型の不純物領域16やN型の不純物領域18を介して光導波路15にキャリアが注入されるのみならず、P型の半導体層26やN型の半導体層28をも介して光導波路15にキャリアが注入される。このため、順方向バイアスを印加した際に光導波路15に十分なキャリアを注入することができ、光導波路15における屈折率の変化を効率的に生じさせることができる。しかも、P型の半導体層26やN型の半導体層28が接続されている箇所は、光導波路15の側壁の上部である。このため、光導波路15にP型の半導体層26やN型の半導体層28を接続しているにもかかわらず、光導波路15における光閉じ込め効果が著しく減少してしまうこともない。従って、伝搬損失が小さく、しかも、効率的に屈折率を変化させ得る光半導体装置を提供することができる。
【0057】
(光半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による光半導体装置の製造方法について図4乃至図8を用いて説明する。図4乃至図8は、本実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0058】
まず、基板10上にクラッド層12を介して半導体層14が形成された基板11を用意する。基板10としては、例えばシリコン基板10を用いることができる。クラッド層12としては、例えばシリコン酸化膜を用いることができる。半導体層14としては、例えばシリコン層を用いることができる。このような基板11としては、例えば、シリコン基板10上に、二酸化シリコンの埋込酸化膜12を介してシリコン層14が形成されたSOI(Silicon On Insulator)基板11を用いることができる(図4(a)参照)。クラッド層12の膜厚は、例えば膜厚3μm程度とする。半導体層14としては、P型のシリコン層が形成されている。半導体層14の厚さは、例えば膜厚250nm程度とする。半導体層14に導入されているドーパント不純物は、例えばボロン(B)である。半導体層14における不純物濃度は、例えば1×1015cm−3程度である。
【0059】
なお、半導体層14の導電型が、例えばI型やN型であってもよい。
【0060】
半導体層14はシリコン層に限定されるものではない。クラッド層12より屈折率の高い材料を、半導体層14の材料として適宜用いることができる。
【0061】
また、クラッド層12の材料は、二酸化シリコンに限定されるものではない。半導体層14より屈折率の低い材料を、クラッド層12の材料として適宜用いることができる。
【0062】
次に、全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法により、例えば膜厚50nm程度のクラッド層22を形成する(図4(b)参照)。クラッド層22としては、例えばシリコン酸化膜を形成する。クラッド層22を形成する際に成膜室内に導入するガスとしては、例えばSiHガスとHeガスとの混合ガスと、NOガスとを用いる。かかる混合ガス中におけるSiHガスとHeガスとの割合は、例えば20%:80%とする。成膜温度は、例えば790℃程度とする。
【0063】
なお、クラッド層22の材料は、二酸化シリコンに限定されるものではない。半導体層14より屈折率の低い材料を、クラッド層22の材料として適宜用いることができる。
【0064】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜36を形成する。
【0065】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜36を光導波路15の平面形状にパターニングする(図4(c)参照)。
【0066】
次に、フォトレジスト膜36をマスクとし、RIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)により、クラッド層22を異方性エッチングする。エッチングガスとしては、例えばCFガスを用いる。チャンバ内の圧力は、例えば100mTorr程度とする。RFパワーは、例えば150W程度とする。
【0067】
次に、フォトレジスト膜36をマスクとし、RIEにより、半導体層14を異方性エッチングする。エッチングガスとしては、例えばHBrガスを用いる。チャンバ内の圧力は、例えば50mTorr程度とする。RFパワーは、例えば200W程度とする。この際、フォトレジスト膜36により覆われていない部分の半導体層14の厚さが例えば50nm程度となるまで、エッチングする。こうして、半導体層14がメサストライプ形状に加工され、ストライプ状の光導波路15が形成される(図5(a)参照)。換言すれば、リブ型(リッジ型)の光導波路15が形成される。光導波路15の幅、即ち、図5(a)における光導波路15の紙面左右方向の寸法は、例えば500nm程度とする。光導波路15の高さ、即ち、図5(a)における光導波路15の紙面上下方向の寸法は、例えば250nm程度とする。光導波路15は、図5(a)における紙面垂直方向に延在するように形成される。
【0068】
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜36を除去する。
【0069】
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚250nm程度のシリコン酸化膜を形成する。
【0070】
次に、等方性の強いRIEにより、シリコン酸化膜をエッチングする。これにより、光導波路15の側壁のうちの上部を除く部分に、シリコン酸化膜のクラッド層24が形成される(図5(b)参照)。チャンバ内の圧力は、例えば1Torrとする。RFパワーは、例えば150W程度とする。
【0071】
なお、クラッド層24の材料は、二酸化シリコンに限定されるものではない。光導波路15より屈折率の低い材料を、クラッド層24の材料として適宜用いることができる。
【0072】
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚50nm程度のポリシリコン膜の半導体層38を形成する。原料ガスとしては、例えばSiHガスとHeガスとの混合ガスを用いる。原料ガス中におけるSiHガスとHeガスとの割合は、例えば20%:80%とする。成膜温度は、例えば620℃程度とする。
【0073】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜40を形成する。
【0074】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜40をパターニングする。これにより、半導体層38及び半導体層14にP型のドーパント不純物を導入するための開口部42がフォトレジスト膜40に形成される。
【0075】
次に、例えばイオン注入法により、フォトレジスト膜40をマスクとして、P型のドーパント不純物を半導体層38及び半導体層14に導入する。これにより、P型の不純物領域(P型不純物領域)16が半導体層14に形成される。また、P型の不純物領域(P型不純物領域)26が半導体層38に形成される(図6(a)参照)。イオン注入条件は、以下の通りとする。P型のドーパント不純物としては、例えばボロンを用いる。P型の不純物領域16,26における不純物濃度は、例えば5×1019(atoms/cm)程度とする。P型の不純物領域16,26は、光導波路15と並行するように形成される。
【0076】
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜40を除去する。
【0077】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜44を形成する。
【0078】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜44をパターニングする。これにより、N型のドーパント不純物を半導体層38及び半導体層14に導入するための開口部46がフォトレジスト膜44に形成される。
【0079】
次に、例えばイオン注入法により、フォトレジスト膜44をマスクとして、N型のドーパント不純物を半導体層38及び半導体層14に導入する。これにより、N型の不純物領域(N型不純物領域)18が半導体層14に形成される。また、N型の不純物領域(N型不純物領域)28が半導体層38に形成される(図6(b)参照)。イオン注入条件は、以下の通りとする。N型のドーパント不純物としては、例えばリンを用いる。N型の不純物領域18,28における不純物濃度は、例えば5×1019(atoms/cm)程度とする。N型の不純物領域18,28は、光導波路15と並行するように形成される。
【0080】
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜44を除去する。
【0081】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜48を形成する。
【0082】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜48をパターニングする。これにより、P型の半導体層26とN型の半導体層28とを互いに分離するための開口部50がフォトレジスト膜48に形成される。
【0083】
次に、フォトレジスト膜48をマスクとして、半導体層38をエッチングする(図7(a)参照)。エッチングガスとしては、例えばHBrガスを用いる。チャンバ内の圧力は、50mTorr程度とする。RFパワーは、例えば200W程度とする。これにより、互いに分離されたP型の半導体層26とN型の半導体層28とが形成される。P型の半導体層26は、光導波路15の一方の側の側壁のうちの上部と、P型の不純物領域16とに接続される。N型の半導体層28は、光導波路15の他方の側の側壁のうちの上部と、N型の不純物領域18とに接続される。
【0084】
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜48を除去する。
【0085】
次に、例えばRTA(Rapid Thermal Annealing)により、ドーパント不純物を活性化するための熱処理を行う(図7(b)参照)。熱処理温度は、例えば1000℃程度とする。熱処理時間は、例えば10秒程度とする。
【0086】
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚1μm程度のシリコン酸化膜のクラッド層30を形成する(図7(c)参照)。クラッド層30を形成する際に成膜室内に導入するガスとしては、例えばSiHガスとHeガスとの混合ガスと、NOガスとを用いる。かかる混合ガス中におけるSiHガスとHeガスとの割合は、例えば20%:80%とする。成膜温度は、例えば790℃程度とする。
【0087】
なお、クラッド層30の材料は二酸化シリコンに限定されるものではない。光導波路15より屈折率の低い材料を、クラッド層30の材料として適宜用いることができる。
【0088】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜52を形成する。
【0089】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜52に開口部54を形成する。かかる開口部54は、クラッド層30にコンタクトホール32を形成するためのものである。
【0090】
次に、フォトレジスト膜52をマスクとし、例えばRIEにより、P型の半導体層26に達するコンタクトホールと、N型の半導体層28に達するコンタクトホール32とを、クラッド層30に形成する(図8(a)参照)。エッチングガスとしては、例えばCFガスを用いる。チャンバ内の圧力は、例えば100mTorr程度とする。RFパワーは、例えば300W程度とする。
【0091】
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜52を除去する。
【0092】
次に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚1μm程度のアルミニウム膜の導電膜34を形成する。
【0093】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0094】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜を電極34の平面形状にパターニングする。
【0095】
次に、フォトレジスト膜をマスクとし、RIEにより、導電膜34をパターニングする。エッチングガスとしては、例えばClガスを用いる。これにより、コンタクトホール内32及びクラッド層30上に金属の電極34が形成される。
【0096】
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
【0097】
こうして、本実施形態による光半導体装置が形成される(図8(b)参照)。
【0098】
[第2実施形態]
第2実施形態による光半導体装置及びその製造方法を図9乃至図12を用いて説明する。図1乃至図8に示す第1実施形態による光半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0099】
(光半導体装置)
まず、本実施形態による光半導体装置について図9を用いて説明する。図9は、本実施形態による光半導体装置を示す断面図である。
【0100】
本実施形態による光半導体装置は、シリコンの半導体層14a上に、シリコンゲルマニウムの光導波路15aが形成されていることに主な特徴がある。
【0101】
図9に示すように、基板10上には、クラッド層(下部クラッド層)12を介して、半導体層14aが形成されている。ここでは、例えば、シリコン基板10上に二酸化シリコンの埋め込み酸化膜12を介してシリコン層14aが形成されたSOI基板が用いられている。半導体層14aの厚さは、例えば50nm程度とする。クラッド層12の膜厚は、例えば3μm程度とする。
【0102】
なお、クラッド層12の材料は、二酸化シリコンに限定されるものではない。光導波路15aより屈折率の低い材料を、クラッド層12の材料として適宜用いることができる。
【0103】
半導体層14a上には、ストライプ状の光導波路15aが形成されている。光導波路15aの材料としては、例えばシリコンゲルマニウムが用いられている。光導波路15aの厚さは、例えば200nm程度とする。光導波路15aの幅は、例えば500nm程度とする。光導波路15aの組成は、例えばSi0.9Ge0.1とする。
【0104】
光導波路15aは、図9における紙面垂直方向に延在している。光導波路15a内に導入される光信号は、図9における紙面垂直方向に進行する。光導波路15aの長さ、即ち、図9の紙面垂直方向における光導波路15aの寸法は、例えば250nm程度とする。光導波路15aの導電型は、例えばP型とする。
【0105】
半導体層14aと光導波路15aとにより全体としてメサストライプ状の半導体光導波路層17が形成されている。
【0106】
光導波路15aの一方の側、即ち、図9の紙面左側における半導体層14aには、P型の不純物領域16、より具体的には、P型の不純物領域16が形成されている。
【0107】
光導波路15aの他方の側、即ち、図9の紙面右側における半導体層14aには、N型の不純物領域18、より具体的には、N型の不純物領域18が形成されている。
【0108】
光導波路15a上には、例えば膜厚30nmのシリコン酸化膜のクラッド層22が形成されている。
【0109】
なお、クラッド層22の材料は、二酸化シリコンに限定されるものではない。光導波路15aより屈折率の低い材料を、クラッド層22の材料として適宜用いることができる。
【0110】
光導波路15aの側壁のうちの上部を除く部分には、例えばシリコン酸化膜のクラッド層24が形成されている。
【0111】
なお、クラッド層24の材料は、二酸化シリコンに限定されるものではない。光導波路15aより屈折率の低い材料を、クラッド層24の材料として適宜用いることができる。
【0112】
光導波路15aの一方の側、即ち、図9の紙面左側における半導体層14上及びクラッド層24上には、P型の半導体層26、より具体的には、P型の半導体層26が形成されている。P型の半導体層(P型の電極)26は、光導波路15aの一方の側の側壁の上部とP型の不純物領域16とに接続されている。
【0113】
光導波路15aの他方の側、即ち、図9の紙面右側における半導体層14上及びクラッド層24上には、N型の半導体層28、より具体的には、N型の半導体層28が形成されている。N型の半導体層(N型の電極)28は、光導波路15aの他方の側の側壁の上部とN型の不純物領域28とに接続されている。
【0114】
P型領域16、26と、光導波路15aと、N型領域18、28とにより、PIN構造20aが形成されている。
【0115】
PIN構造20aを覆うように、例えばシリコン酸化膜のクラッド層30が形成されている。クラッド層22とクラッド層24とクラッド層30とが相俟って、上部クラッド層が形成されている。
【0116】
こうして本実施形態による光半導体装置が形成されている。
【0117】
このように、半導体層14aの材料としてシリコンを用い、光導波路15aの材料としてシリコンゲルマニウムを用いてもよい。本実施形態によれば、光導波路15aの材料としてシリコンゲルマニウムが用いられているため、シリコンよりもバンドギャップが小さくなるヘテロ構造が形成される。シリコンゲルマニウムの光導波路15aには、シリコンの光導波路と比べて1桁以上多くのキャリアが蓄積される。このため、本実施形態によれば、より効率的に屈折率を変化させ得る光半導体装置を提供することができる。
【0118】
(光半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による光半導体装置の製造方法について図10乃至図12を用いて説明する。図10乃至図12は、本実施形態による光半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0119】
まず、基板10上にクラッド層12を介して半導体層14aが形成された基板11aを用意する(図10(a)参照)。基板10としては、例えばシリコン基板が用いられている。クラッド層12としては、例えば膜厚3μm程度のシリコン酸化膜が形成されている。半導体層14としては、P型のシリコン層が形成されている。ここでは、シリコン基板10上に二酸化シリコンの埋め込み酸化膜12を介してシリコン層14が形成されたSOI基板11aが用いられている。半導体層14aの厚さは、例えば膜厚50nm程度とする。半導体層14aに導入されているドーパント不純物は、例えばボロン(B)である。半導体層14aにおける不純物濃度は、例えば1×1015cm−3程度である。
【0120】
なお、半導体層14aの導電型が、例えばI型やN型であってもよい。
【0121】
また、クラッド層12の材料は、二酸化シリコンに限定されるものではない。光導波路15aより屈折率の低い材料を、クラッド層12の材料として適宜用いることができる。
【0122】
次に、例えばCVD法により、例えば膜厚200nmの半導体層15aを形成する(図10(b)参照)。半導体層15aとしては、シリコンゲルマニウム層15aを形成する。シリコンゲルマニウム層15aの組成は、例えばSi0.9Ge0.1とする。原料ガスとしては、例えばSiガスとGeHガスとを用いる。成膜温度は、例えば680℃程度とする。
【0123】
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚50nm程度のシリコン酸化膜のクラッド層22を形成する(図10(c)参照)。クラッド層22を形成する際に成膜室内に導入するガスとしては、例えばSiHガスとHeガスとの混合ガスと、NOガスとを用いる。かかる混合ガス中におけるSiHガスとHeガスとの割合は、例えば20%:80%とする。成膜温度は、例えば790℃程度とする。
【0124】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜36を形成する。
【0125】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜36を光導波路15aの平面形状にパターニングする(図11(a)参照)。
【0126】
次に、フォトレジスト膜36をマスクとし、RIEにより、クラッド層22を異方性エッチングする。エッチングガスとしては、例えばCFガスを用いる。チャンバ内の圧力は、例えば100mTorr程度とする。RFパワーは、例えば150W程度とする。
【0127】
次に、フォトレジスト膜36をマスクとし、RIEにより、半導体層15aを異方性エッチングする。チャンバ内の圧力は、例えば5mTorr程度とする。RFパワーは、例えば200W程度とする。エッチングガスとしては、例えばClガスを用いる。エッチングガスの流量は、例えば100sccm程度とする。これにより、ストライプ状の光導波路15aが形成される。半導体層14aとストライプ状の光導波路15aとにより全体としてメサストライプ状の半導体光導波路層17が形成される(図11(b)参照)。光導波路15aの幅、即ち、図11(b)における光導波路15aの紙面左右方向の寸法は、例えば500nm程度とする。光導波路15aの高さ、即ち、図11(b)における光導波路15aの紙面上下方向の寸法は、例えば250nm程度とする。光導波路15aは、図11(b)における紙面垂直方向に延在するように形成される。
【0128】
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜36を除去する。
【0129】
この後の光半導体装置の製造方法は、図5(b)乃至図8(b)を用いて上述した第1実施形態による光半導体装置の製造方法と同様であるため、説明を省略する。
【0130】
こうして、本実施形態による光半導体装置が形成される(図12参照)。
【0131】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0132】
例えば、第1実施形態では、半導体層14の材料としてシリコンを用いる場合を例に説明したが、半導体層14の材料はシリコンに限定されるものではない。半導体層14の材料として、例えばシリコンゲルマニウムを用いてもよい。
【0133】
また、第2実施形態では、半導体層14aの材料としてシリコンを用い、光導波路15aの材料としてシリコンゲルマニウムを用いる場合を例に説明したが、半導体層14a及び光導波路15aの材料はこれに限定されるものではない。例えば、半導体層14aとしてシリコンを用い、光導波路15aの材料としてシリコンを用いてもよい。また、半導体層14aの材料としてシリコンゲルマニウムを用い、光導波路15aとしてシリコンゲルマニウムを用いてもよい。また、半導体層14aの材料としてシリコンゲルマニウムを用い、光導波路15aの材料としてシリコンを用いてもよい。
【0134】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0135】
(付記1)
基板上に形成され、第1導電型の第1の不純物領域と、前記第1導電型の反対の第2導電型の第2の不純物領域と、前記第1の不純物領域と前記第2の不純物領域との間に形成されたストライプ状の光導波路とを有する半導体光導波路層と、
前記第1の不純物領域と前記光導波路の一方の側壁の上部とを接続する前記第1導電型の第1の半導体層と、
前記第2の不純物領域と前記光導波路の他方の側壁の上部とを接続する前記第2導電型の第2の半導体層と
を有することを特徴とする光半導体装置。
【0136】
(付記2)
付記1記載の光半導体装置において、
前記半導体光導波路層は、前記基板上に形成された第3の半導体層と、前記第3の半導体層上に形成されたストライプ状の前記光導波路とを有し、
前記第1の不純物領域及び前記第2の不純物領域は、前記第3の半導体層に形成されている
ことを特徴とする半導体光導波路。
【0137】
(付記3)
付記1又は2記載の光半導体装置において、
前記光導波路の前記側壁のうちの上部を除く部分に形成され、前記光導波路より屈折率の低い第1の層を更に有する
ことを特徴とする光半導体装置。
【0138】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の光半導体装置において、
前記光導波路上に形成され、前記光導波路より屈折率の低い第2の層を更に有し、
前記第1の半導体層の端部及び前記第2の半導体層の端部が、前記第2の層上に位置している
ことを特徴とする光半導体装置。
【0139】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の光半導体装置において、
前記基板と前記半導体光導波路層との間に形成され、前記光導波路より屈折率の低い第3の層を更に有する
ことを特徴とする光半導体装置。
【0140】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の光半導体装置において、
前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層を覆うように形成され、前記光導波路より屈折率の低い第4の層を更に有する
ことを特徴とする光半導体装置。
【0141】
(付記7)
基板上に、ストライプ状の光導波路を有する半導体光導波路層を形成する工程と、
前記光導波路の側壁のうちの上部を除く部分に、前記光導波路より屈折率の低い第1の層を形成する工程と、
前記半導体光導波路層上及び前記第1の層上に半導体膜を形成する工程と、
前記光導波路の一方の側における前記半導体膜及び前記半導体光導波路層に第1導電型の不純物を導入し、前記光導波路の他方の側における前記半導体膜及び前記半導体光導波路層に、前記第1導電型と反対の第2導電型の不純物を導入する工程と
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【0142】
(付記8)
付記7記載の光半導体装置の製造方法において、
前記第1の不純物及び前記第2の不純物を導入する工程の後、前記半導体膜のうちの前記第1の不純物が導入された部分と、前記半導体膜のうちの前記第2の不純物が導入された部分とを互いに分離する工程を更に有する
ことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【0143】
(付記9)
付記7又は8記載の光半導体装置の製造方法において、
前記半導体光導波路層を形成する工程は、基板上に形成された第1の半導体層上に第2の半導体層を形成する工程と、前記第2の半導体層をエッチングすることにより、前記第1の半導体層上にストライプ状の前記第2の半導体層の前記光導波路が形成された前記半導体光導波路層を形成する工程とを有する
ことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【0144】
(付記10)
付記7又は8記載の光半導体装置の製造方法において、
前記半導体光導波路層を形成する工程の前に、基板上に形成された第1の半導体層上に、前記第1の半導体層より屈折率の低い第2の層を形成する工程を更に有し、
前記半導体光導波路層を形成する工程では、前記第2の層と前記第1の半導体層とをエッチングすることにより、上部に前記第2の層が形成され、前記第1の半導体層の一部である前記光導波路を形成する
ことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【0145】
(付記11)
付記9記載の光半導体装置の製造方法において、
前記第2の半導体層を形成する工程の後、前記第2の半導体層をエッチングする工程の前に、前記第2の半導体層上に、前記第2の半導体層より屈折率の低い第2の層を形成する工程とを更に有し、
前記第2の半導体層をエッチングする工程では、前記第2の層と前記第2の半導体層とをエッチングすることにより、上部に前記第2の層が形成された前記第2の半導体層の前記光導波路を形成する
ことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【0146】
(付記12)
付記7乃至11のいずれかに記載の光半導体装置の製造方法において、
前記基板と前記第1の半導体層との間に、前記光導波路より屈折率の低い第3の層が形成されている
ことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【0147】
(付記13)
付記7乃至12のいずれかに記載の光半導体装置の製造方法において、
前記第1の不純物及び前記第2の不純物を導入する工程の後、前記半導体膜を覆うように、前記光導波路より屈折率の低い第4の層を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0148】
10…基板
11…SOI基板
12…クラッド層
14…半導体層、半導体光導波路層
14a…半導体層
15、15a…光導波路
16…P型の不純物領域
17…半導体光導波路層
18…N型の不純物領域
20、20a…PIN構造
22…クラッド層
24…クラッド層
26…P型の半導体層
28…N型の半導体層
30…クラッド層
32…コンタクトホール
34…電極
36…フォトレジスト膜
38…半導体層
40…フォトレジスト膜
42…開口部
44…フォトレジスト膜
46…開口部
48…フォトレジスト膜
50…開口部
52…フォトレジスト膜
54…開口部
110…基板
112…クラッド層
114…半導体層、半導体光導波路層
115…光導波路
116…P型の不純物領域
118…N型の不純物領域
120…PIN構造
130…クラッド層
132…コンタクトホール
134…電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成され、第1導電型の第1の不純物領域と、前記第1導電型の反対の第2導電型の第2の不純物領域と、前記第1の不純物領域と前記第2の不純物領域との間に形成されたストライプ状の光導波路とを有する半導体光導波路層と、
前記第1の不純物領域と前記光導波路の一方の側壁の上部とを接続する前記第1導電型の第1の半導体層と、
前記第2の不純物領域と前記光導波路の他方の側壁の上部とを接続する前記第2導電型の第2の半導体層と
を有することを特徴とする光半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の光半導体装置において、
前記半導体光導波路層は、前記基板上に形成された第3の半導体層と、前記第3の半導体層上に形成されたストライプ状の前記光導波路とを有し、
前記第1の不純物領域及び前記第2の不純物領域は、前記第3の半導体層に形成されている
ことを特徴とする半導体光導波路。
【請求項3】
請求項1又は2記載の光半導体装置において、
前記光導波路の前記側壁のうちの上部を除く部分に形成され、前記光導波路より屈折率の低い第1の層を更に有する
ことを特徴とする光半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光半導体装置において、
前記光導波路上に形成され、前記光導波路より屈折率の低い第2の層を更に有し、
前記第1の半導体層の端部及び前記第2の半導体層の端部が、前記第2の層上に位置している
ことを特徴とする光半導体装置。
【請求項5】
基板上に、ストライプ状の光導波路を有する半導体光導波路層を形成する工程と、
前記光導波路の側壁のうちの上部を除く部分に、前記光導波路より屈折率の低い第1の層を形成する工程と、
前記半導体光導波路層上及び前記第1の層上に半導体膜を形成する工程と、
前記光導波路の一方の側における前記半導体膜及び前記半導体光導波路層に第1導電型の不純物を導入し、前記光導波路の他方の側における前記半導体膜及び前記半導体光導波路層に、前記第1導電型と反対の第2導電型の不純物を導入する工程と
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−128065(P2012−128065A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277859(P2010−277859)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】