光取出率を改善するための発光デバイスにおける光学エレメントの形成
【課題】光の取出率を改善するために半導体発光素子の面に形成されたフレネルレンズ及びホログラフィックディフューザの一方又は両方を含む発光デバイス、このような発光デバイスを形成するための方法を提供する。
【解決手段】半導体発光素子の面に形成された光学エレメントは、反射損失及び全反射による損失を低減して、光の取出効率を改善する。フレネルレンズ、ホログラフィックディフューザは、化学的ウェットエッチング又はドライエッチング技術をリソグラフィー技術と共に用いて面上に形成できる。フレネルレンズ等の形成は、表面に削り加工等を行ってもできる。スタンピング工程を用いても、半導体発光素子の面にフレネルレンズやホログラフィックディフューザを形成できる。スタンピングは、所望の光学エレメントを逆にした形状及びパターンスタンピングブロックを発光ダイオードの面に対してプレスする工程を含む。
【解決手段】半導体発光素子の面に形成された光学エレメントは、反射損失及び全反射による損失を低減して、光の取出効率を改善する。フレネルレンズ、ホログラフィックディフューザは、化学的ウェットエッチング又はドライエッチング技術をリソグラフィー技術と共に用いて面上に形成できる。フレネルレンズ等の形成は、表面に削り加工等を行ってもできる。スタンピング工程を用いても、半導体発光素子の面にフレネルレンズやホログラフィックディフューザを形成できる。スタンピングは、所望の光学エレメントを逆にした形状及びパターンスタンピングブロックを発光ダイオードの面に対してプレスする工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイス一般に、より詳しくは、光取出率が改善された発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来からの半導体発光素子100であり、基板20、多層構造26、最上層24から構成されている。半導体発光素子100としては、例えば発光ダイオード(LED)又は半導体レーザーが考えられる。LEDは、電気エネルギーの入力流を電磁放射の出力流に変換するよう設計されたpn接合デバイスである。LEDは、電磁スペクトルの紫外領域、可視領域、赤外領域の電磁放射を発することができる。可視LEDは通常、照明及びディスプレーに用いられ、また、電子機器とそのユーザーとの間の情報リンクとしての応用もある。赤外LEDは、オプトアイソレータ及び光ファイバー通信において有用である。半導体レーザーは、LEDと同様の方法で作製される。
【0003】
多層構造26は、ここでは下部封止層(confining layer)21、上部封止層23、光子が発せられる活性層22を含んでいるが、この構造に限られるものではない。上部封止層23は、最上層24を含んでいてもよい。半導体発光素子100が分離した最上層24を有していない場合は、上部封止層23が最上層となる。
【0004】
多層構造26の封止層21,23及び活性層22は、通常、III-V半導体、III-窒化物半導体、II-VI半導体から形成される。最上層24は、上部封止層23上にエピタキシャル成長させることができるが、これもまた普通はIII-V半導体、III-窒化物半導体、II-VI半導体、あるいはこれらの化合物である。しかしながら、最上層24は、封止層21又は封止層23を形成する材料とは異なる半導体化合物とすることもできる。最上層24は、活性層22によって発せられた光に対して透明となるよう、活性層22よりも大きなバンドギャップを有する材料とすることが望ましい。ここでは「透明」という用語は、特定の半導体発光素子の放射波長において、吸収又は散乱による単光路損失が約50%より少ない、より望ましくは約10%より少ない状態で、光学エレメントが光を透過することを意味する。最上層24は、上部封止層23にウェハ・ボンディングされた透明なサブストレート(スーパーストレート)とすることができる。最上層24はまた、その上にエピタキシャル層を成長させたサブストレートとしてもよい。
【0005】
下部封止層21及び上部封止層23は、活性層22に、そしてコンタクト31及びコンタクト32に電気的に接続されている。通常、一方の封止層にはドナーがドープされてn型の封止層とされ、他方の封止層にはアクセプタがドープされてp型の封止層とされる。したがって、コンタクト31と32との間に適当な電圧を印加すると、n型封止層からの電子とp型封止層からのホールが活性層22内で結合して、等方的に光を発する。LEDとしての半導体発光素子100についてのより詳細な説明については、Michael R. Kramesらに付与された「AlGaInN-based LED Having Thick Epitaxial Layer for Improved Light Extraction」と題された米国特許第6,133,589号、Fred A. Kish, Jr.らに付与された、いずれも「Transparent Substrate Light Emitting Diode with Directed Light Output」と題された米国特許第5,793,062号及び第6,015,719号を参照することができる。これらすべての特許を、参考としてここに援用する。
【0006】
半導体発光素子100をLED100とすることができる。LEDについての問題は、光の取出効率が低いことである。この光の取出効率が低い原因は、LED100から出ようとする光が、活性層22によって発せられた光エネルギーのうちのわずかのみ(例えば透明基板を有するAlGaAsLEDの場合、大体30%程度)だということである。光の取出効率が低い結果、消費される電気的な入力のうちのわずかの部分だけが、外部から観測できる光に寄与する。光の取出効率は、LEDにおいて生成される光子の数に対する、LEDから出てくる光子の数の比として定義される。
【0007】
図1の経路3は、活性層22の点光源27から放射される光子の方向を示している。経路3によって示されるように、コンタクト31,32の吸収特性が、低い光の取出率に寄与する。経路3に沿って進む光子は、LED100の内側面で反射されコンタクト31によって吸収される。コンタクト31及び32は、金、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、パラジウム、そしてこれらの合金又は化合物などの金属から形成することができる。
【0008】
低い光の取出効率を生じさせる損失の機構には、半導体発光素子内における吸収、光が一つの材料から屈折率の異なる別の材料へ入るときの反射損失、発光デバイス内で吸収されることになる全反射が含まれる。しかしながら、全反射は、活性層22によって発せられた光子が発光デバイス100とその周囲の材料との境界に臨界角(θc)よりも大きい角度で到達したときのみ、光子が半導体発光素子100から出ることを妨げる。本実施例に関連する臨界角(図1にθcで示す)は、
θc=arcsine(nsurrounding/nLED)
によって定義される。ここで、nsurrounding及びnLEDはそれぞれ、発光デバイスの周囲の材料と発光デバイスの屈折率を示している。LEDはしばしばエポキシ内に封入されるが、その屈折率(nepoxy)は大体1.5程度である。前述のIII-V半導体材料の一つで作られたLEDでは、その屈折率は約2.4から約4.1までの範囲である。平均的な屈折率(nLED)を約3.5とすると、θcの典型的な値は約25°である。したがって、活性層22内の点光源27から発せられる光子のうち半角が25°の「取出円錐」内の任意の表面を通るものは、LEDから外部へ放射される。LED100と取出円錐の外側の材料との間の境界面に当たる光子は、全反射を繰り返し受け、例えば半導体層(活性層22を含む)又はコンタクト31及び32によって吸収されることになる。すなわち、表面に垂直な軸に対して25°よりも大きい角度で表面に当たる多くの光子は、最初の段階でLEDから外部へは放射されない。発せられた光子のうちのより多くの部分が取り出される高い光の取出効率を有するLEDが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、半導体発光素子の光取出率を改善するとともに、所望の放射パターンを得るために光を導き、フォーカスし、そして散乱させるのに用いられる。本発明には、例えばフレネルレンズ、ホログラフィックディフューザなどの一又は二以上の光学エレメントに適合するようにされた半導体発光素子、そして半導体発光素子の表面をスタンピング(stamping)して光学エレメントに形成する方法が含まれる。半導体発光素子100の一又は二以上の表面を、フレネルレンズ又はホログラフィックディフューザに形成することができる。フレネルレンズは、活性層22から発せられたより多くの光子が垂直に近い入射角で半導体発光素子100の表面に当たるようにし、全反射による光の損失を最小限に抑えることができるので、表面をフレネルレンズにすることは望ましい。さらに、フレネルレンズに形成された半導体発光素子の表面は、半導体発光素子を構成する材料とは異なる屈折率を有するレンズの材料によって通常引き起こされる光の反射損失を低減する。フレネルレンズ及びホログラフィックディフューザの一方又は両方を、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、イオンビームリソグラフィー、X線リソグラフィー、ホログラフィックリソグラフィーなどを含む(ただし、これらに限定されるものではない)リソグラフィー技術に関連したエッチングによって形成することができる。プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、及び化学的手段を援用したイオンビームエッチング(CAIBE)などの化学的ウェットエッチング又はドライエッチング技術を用いることができる。あるいは、イオンビーム削り加工(ion beam milling)又はフォーカスされたイオンビーム削り加工(FIB)を用いてフレネルレンズを表面に刻印し、走査させた電子又はレーザービームを用いて表面にフレネルレンズをアブレーション加工し、または削り加工やスクライビング加工を行って機械的に半導体発光素子100の表面にフレネルレンズを形成することもできる。
【0010】
スタンピングは、発光デバイスの表面上に光学エレメントを形成する別の方法である。スタンピングプロセスは、スタンピングを行うとする半導体材料の延性遷移点(ductile transition point)よりも高い温度で実行される。一つの実施例では、スタンピングは、ウェハ・ボンディングプロセスと統合される。ウェハ・ボンディングプロセスは通常600℃近傍又はこれよりも高温で行われるので、ウェハ・ボンディングプロセスを容易にウェハ・ボンディングプロセスと統合することができ、これによって生産効率を向上させることができる。ウェハ・ボンディングプロセスでは、所望の品質のエピタキシャル層を成長させるためのテンプレートとして用いられた最初の吸収性のサブストレートを除去すること、そして光の取出率を改善するためにこれを透明なサブストレートと置き換えることを伴う。オプションとして、透明なサブストレートを半導体発光素子100の第一の表面にボンディングする時点において、所望の光学エレメントの形状又はパターンの逆の形状又はパターンを有するスタンピングブロックを、半導体発光素子100の第二の表面、透明サブストレートの表面、又はこれらの両方に対してプレスしてもよい。圧力を開放したときに、所望の光学エレメントに形作られた表面を有する発光デバイスが形成される。スタンピングに用いられるスタンピングブロックは、通常、光学エレメントの形成時に適用されるプロセス温度よりも高い融点を有する。スタンピングブロックに適する材料としてモリブデン合金、グラファイト、シリコンカーバイド、そしてサファイアなどがあるが、これらに限定されるものではない。半導体発光素子の一又は二以上の表面上に、光学エレメントを形成することができる。スタンピングプロセスは独立したプロセスであるが、ウェハ・ボンディングプロセスの前、後、あるいは同時に行うことも可能である。あるいはまた、スタンピングプロセスを、後に半導体発光素子100に対してボンディングされる材料をスタンピングするのに用いてもよい。
【0011】
本発明は、容易に、別の応用に合うよう適合させることができる。例えば、照明用に光をコリメートするように光学エレメントを作ったり、あるいは光ファイバーに光をフォーカスするように作ることもできる。さらに、LEDの任意の表面を一又は二以上の光学エレメントに形作ったり、二以上の表面を一又は二以上のフレネルレンズに形作ったりもできる。コリメートされた光又はフォーカスされた光を所望の方向に導くために、反射コーティングを用いることもできる。半導体発光素子100上に多数の光学エレメントを形成することによって作られるダイオードアレーを、高出力の応用目的に用いることもできる。
【0012】
光学エレメントの予め決められた部分に向かって放射される光子の割合を増大させることによって、本発明の有用性はさらに高まる。例えば、フレネルレンズが存在してもその縁部に到達する光子は有益性が小さいので、放射されたより多くの割合の光子がフレネルレンズの中心に向かって放射されるような制限放射スポット(confined-emission spot)LEDを作ることができる。光子の放射を活性層の選択した領域へ閉じ込める方法には、イオンの注入又は拡散、酸化物不活性化(oxide passivation)、選択領域成長(selective area growth)、選択領域ボンディング(selective area bonding)が含まれる。あるいは、半導体発光素子100又は活性層22の外側の縁部を、エッチングで取り除いてもよい。外側の縁部をエッチングで取り除くことによって、傾斜した側面を有する発光デバイスを作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来からの半導体発光素子の概略図である。
【図2A】光を収束するよう設計された、高さの異なるグルーブを一様な間隔で設けたフレネルレンズの平面図である。
【図2B】収束レンズと図2Aのフレネルレンズの断面を示した図である。
【図3A】光を発散するよう設計された、高さの異なるグルーブを一様な間隔で設けたフレネルレンズの平面図である。
【図3B】発散レンズと図3Aのフレネルレンズの断面を示した図である。
【図4A】一様な高さのグルーブを有し、グルーブ間の間隔をレンズ中心からの距離の関数とした、収束フレネルレンズの平面図である。
【図4B】収束レンズと図4Aのフレネルレンズの断面を示した図である。
【図5A】一様な高さのグルーブを有し、グルーブ間の間隔をレンズ中心からの距離の関数とした、発散フレネルレンズの平面図である。
【図5B】発散レンズと図5Aのフレネルレンズの断面を示した図である。
【図6】レンズ中心について同心でないグルーブを有するフレネルレンズの平面図である。
【図7A】本発明に基づいて一つの取出面上に光をコリメートするフレネルレンズが形成された発光デバイスの概略図である。
【図7B】本発明に基づいて取出面上に光をフォーカスするフレネルレンズが形成された発光デバイスの概略図である。
【図7C】本発明に基づいて取出面上に光を発散するフレネルレンズが形成された発光デバイスの概略図である。
【図8A】表面が光学エレメントに形作られた発光デバイスの概略図である。
【図8B】本発明で用いることができるホログラフィックディフューザの面の平面図である。
【図9】スタンピングプロセス及びウェハーボンディングプロセスを統合する典型的な例を示した概略図である。
【図10】表面にフレネルレンズを形成した、傾斜した側面を有するLEDの概略図である。
【図11】異方性を持つ天然の酸化物を形成した制限放射スポットLED上に形成されたフレネルレンズの概略図である。
【図12】半導体発光素子の対向する二つの面に光をコリメートするフレネルレンズを形成し、一方を反射材でコーティングした発光デバイスの概略図である。
【図13】半導体発光素子の対向する二つの面にフレネルレンズを形成し、反射材をコーティングしたレンズが光を活性層にフォーカスするようにした発光デバイスの概略図である。
【図14】軸に沿った強度を高めるために、半導体発光素子の取出面ではない面に形成された、光をフォーカスするフレネルレンズの概略図である。
【図15】半導体発光素子の取出面ではない面に形成され、反射材でコーティングされた、光を発散するフレネルレンズの概略図である。
【図16】フリップチップ構造の発光デバイスの概略図である。
【図17】実質的にフレネルレンズに垂直な活性層を有する発光デバイスの概略図である。
【図18】単一のサブストレート上のダイオードアレーの概略図である。
【図19】本発明に基づいた、発光デバイスが組み込まれたディスプレーデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で参照する図面は、縮尺通りには描かれていない。
【0015】
本明細書において「取出面」とは、光出力面となるよう意図した発光デバイスの面を指す。発光デバイスは、二以上の取出面を備えることもできる。図示を簡単にするために、図では取出面を一番上の面としている。発光デバイスはLEDとすることができる。ここで説明するLEDの光を生成する部分は、LEDの通常の活性層である。ここで用いている「発光デバイス」は、少なくとも一つの半導体発光素子100を有するデバイスを含んでいる。本発明は、発光デバイスの表面をスタンピングして光学素子にすることと、発光デバイスの表面にスタンピングを含む任意の方法を用いてフレネルレンズ又はホログラフィックディフューザを形成することの両方を含んでいる。本発明はまた発光デバイスの表面上に形成されたホログラフィックディフューザを含んでいるが、この例及び説明では、分かり易い例示とするために、主としてフレネルレンズを参照する。同じく分かり易い例示のために、半導体発光素子100を発光ダイオード100として説明する。異なる図で同じ符号を有する要素は、同じものである。
【0016】
図2A、図2B、図3A、図3B、図4A、図4B、図5A、図5Bに示したように、フレネルレンズ28は、収束レンズの単一の曲面とは対照的に、表面上に一連の同心のグルーブが形成されて構成されている。グルーブ1は、屈折面として作用する湾曲した、あるいは角度をつけた面を有している。グルーブ1は、図2A及び図3Aに示すように、一定間隔とすることができる。図2B及び3Bに示すように、フレネルレンズ28のグルーブが一定間隔のときは、フレネルレンズ28を希望の焦点距離とするようにグルーブの高さを変えることができる。グルーブの形状は、例えば光線を集束させるために図2Bのように、または光線を発散させるために図3Bに示すように変えることができる。あるいは、フレネルレンズ28のグルーブが図4B、図5Bに示すように同じ高さのときは、グルーブ1間の間隔を調整して、希望の焦点距離のフレネルレンズ28とすることができる。図4A及び図5Aに示すフレネルレンズ28は、レンズの縁に近づくにつれてグルーブの間隔が狭くなる。図4B及び図5Bは、光を希望する通りに導くためにグルーブ1の形状を調整できることを示している。図4Bのフレネルレンズは光線を集束させ、図5Bのフレネルレンズは光線を発散させる。フレネルレンズ28のグルーブ1は、レンズ中心の周囲に同心的に配置することは必要ではない。例えば図6には、同心でないグルーブ1を有するフレネルレンズ28が示してある。フレネルレンズは、非球面に基づくものとすることも、球面に基づくものとすることもできる。さらに、フレネルレンズが形成される表面は平面である必要もない。フレネルレンズを任意の形状のLED上、例えば長方形のLED上、楕円形のLED上、ピラミッド型のLED上、そして円柱形のLED上に形成することもできる。フレネルレンズ28を半導体発光デバイス上に形成するときは、オプションとして、図2B、図3Bのフレネルレンズ28の縁の近傍の高いグルーブ、および図4B、図5Bのフレネルレンズ28の縁の近傍の間隔の狭いグルーブを省くことができる。
【0017】
図2B、図3B、図4B、図5Bは、通常の収束又は発散レンズ2の厚さを、フレネルレンズ28と比較している。図示のように、フレネルレンズ28は、ほぼ同じ焦点距離を有する通常のレンズ2よりも薄くなっている。レンズ材料(すなわち半導体材料)は本来的にいくぶんかの光を吸収するので、LEDへの応用目的では、厚い普通のレンズよりも薄いフレネルレンズ28は好ましい。
【0018】
図7Aは、フレネルレンズ28として示した、表面上に形成された光学エレメント28を有する発光デバイスを例示している。半導体発光素子100の取出面に形成されたフレネルレンズ28は半導体発光素子100からの光の取り出しを助けるが、これは、取出面が平坦でなくグルーブ1を有している場合には、放射されたより多くの光子が垂直に近い入射角で取出面に当たるからである。垂直に近い入射角で表面に当たる光子は全反射を受けず、したがってより取り出しやすくなる。反射材40で底面をコーティングすると、底面における反射損失又は吸収損失による光の損失を軽減するのを助ける。経路5に沿って進む光子も、減衰及び最終的な吸収を受ける。後述のように、経路5に沿って進む光子を取り出すために、底面に設けたフレネルレンズを用いることもできる。
【0019】
図7A、図7B、図7Cは、フレネルレンズ28の高さ、グルーブの間隔、焦点距離と同様に、距離δによって、どのように発光デバイスの放射パターンを操作するかを例示している。距離δは、活性層22とフレネルレンズ28の距離を示している。距離δ、フレネルレンズ28の水平位置、そしてフレネルレンズ28の焦点距離は、発光デバイスの発光パターンに影響する。光源を実質的に収束レンズの焦点距離近くに置いたときは、図7Aに示すように、出て行く光線は実質的に並行になる。距離δを変えることによって、光線を実質的に図7Bに示すように収束させたり、図7Cに示すように発散させることができる。図7Bに示すような光を収束させるような実施例は、光ファイバーへの応用に用いることができる。
【0020】
フレネルレンズ又はホログラフィックディフューザを表面に形成する方法は数多くある。「彫刻法」は、まず、例えば多層構造26上に最上層24を形成し、そしてプラズマエッチング、反応性イオンエッチング、化学的手段を援用したイオンビームエッチング(CAIBE)などの化学的ウェットエッチング又はドライエッチング技術によって、最上層24に希望のパターンを形作ることが必要となる。オプションとして、エッチング技術については、リソグラフィー技術を用いることもできる。リソグラフィー技術には、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、イオンビームリソグラフィー、X線リソグラフィー、ホログラフィックリソグラフィーが含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。さらに、イオンビーム削り加工又はフォーカスされたイオンビーム削り加工を用いて表面に刻印し、走査させた電子又はレーザービームを用いて表面をアブレーション加工し、放電加工(EDM)によって表面に加工し、または削り加工やスクライビング加工を行って、機械的に半導体発光素子100の表面に、希望の光学エレメントを形成することができる。
【0021】
フレネルレンズ又はホログラフィックディフューザを、ボンディング法を用いて形成することもできる。ボンディング法には、多層構造26に、通常ボンディング材料を用いて光学エレメントをボンディングする必要がある。ボンディング材料は、スピニング、スパッタリング、蒸着、化学気相成長、金属・有機化学気相成長、気相エピタキシャル、液相エピタキシャル、分子ビームエピタキシャルなどの一般的な堆積技術を用いて堆積させることができる。図7Aに示した実施例ではボンディング材料を示していないが、ボンディング材料は、光学エレメント28と上部導電層23の間の境界25aにある。しかし、発光デバイスが最上層24を含んでいる場合には、ボンディング材料は、光学エレメント28と最上層24の間にあってもよい。
【0022】
ボンディング法を用いるときは、境界25a又は25bにおける反射光損失を最小限に抑えるために、ボンディング材料がnLED又はnlens(nLEDとnlensが異なる場合)に非常に近い屈折率(nbonding)を有することが望ましい(図7A)。デバイスが温度変化を受けたときのひずみを最小限に抑えるために、半導体発光素子とフレネルレンズ28の両方と同等の熱膨張係数を持つボンディング材料とすることができる。さらに、ボンディング材料を、活性層22によって発せられる光の波長に対して透明にすることもできる。例えば、レンズとボンディング材料を、以下に列挙するもののうちの一つとすることができる(ただしこれらに限定されるものではない):屈折率の大きい光学ガラス、GaP(600nmで、n〜3.3)InGaP(600nmで、n〜3.7)、GaAs(500nmで、n〜3.4)、GaN(500nmで、n〜2.4)などのIII-V半導体、ZnS(500nmで、n〜2.4)、ZnSe(500nmで、n〜2.6)、CdS(500nmで、n〜2.6)、CdTe(500nmで、n〜2.7)、ZnTe(500nmで、n〜3.1)などのII-VI半導体、IV族の半導体、そしてSi(500nmで、n〜3.5)及びGe(500nmで、n〜4.1)などの化合物、屈折率の大きい有機半導体、屈折率の大きい有機化合物、そしてこれらの混合物又は合金。nbondingがnLED及びnlensと異なる場合には、半導体発光素子とボンディング材料の境界、そしてボンディング材料とフレネルレンズ28の境界の両方において反射光損失が生じる。
【0023】
レンズ材料は、ボンディング材料なしで、高温環境でレンズと多層構造とをプレスすることで接着されるものを選択するのがよい。ボンディング材料を使わなければ、ボンディング材料の屈折率がnLEDと異なることによって増える光の損失を低減させることができる。接着については、「LED with Improved Light Extraction Efficiency」と題された米国特許出願第09/660,317号においてさらに詳しく説明されており、その内容は、参考としてここに援用する。
【0024】
本発明に用いることができるさらに別の方法は、スタンピング法である。図8Aは、半導体発光素子100を含む発光デバイスと、光学エレメント28が形成された表面を示している。図8Bは、図8Aの光学エレメント28として用いることのできるホログラフィックディフューザの概略図を示す。ホログラフィックディフューザの表面には、ランダムで非周期的な多数の小型レンズ(microlenslet)が含まれている。ホログラフィックディフューザは光を発散させ、ノイズ及び色回折(color diffraction)を取り除く。図8Bはホログラフィックディフューザとして光学エレメント28を示しているが、光学エレメント28は、通常のレンズ、フレネルレンズ、あるいは反射部なと、他の任意の光学エレメントであってもよい。
【0025】
図9に例示した典型的なプロセスでは、光学エレメント28のパターンとは逆のパターンを有するスタンピングブロック70によって、最上層24がスタンピングされる。図9は、光学エレメント28としてフレネルレンズ28を示している。このスタンピング法は、半導体発光素子100の任意の表面に光学レンズ28を形成するのに用いることができる。図9は、スタンピングと同時に実行されるウェハーボンディングプロセスを示しているが、スタンピングはウェハーボンディングの前又は後、あるいは完全に別な独立したプロセスとして実行することも可能であることが理解されるだろう。例えば、ウェハーボンディングされていない半導体発光素子100上に、光学エレメントをスタンピングしてもよい。あるいはまた、最初に材料の上で光学エレメントをスタンピングし、後に材料を半導体発光素子100に接着することもできる。
【0026】
スタンピング法では、フレネルレンズ28が形成されるのがLEDの最上層24であることから、フレネルレンズ28の屈折率とLEDの最上層24の屈折率が同じくなる蓋然性は高い。スタンピングプロセスでは、半導体発光素子100を少なくとも最上層24の延性遷移点(ductile transition point)まで加熱し、そしてスタンピングブロック70をプレスする。必要であれば、スタンピングを容易にするために、100psi又はそれ以上の圧力を加えてもよい(正確な圧力は、使用する材料及びプロセス温度に依存する)。半導体発光素子100の最上層24にスタンピングしたあとは、スタンピングブロック70を得られた発光デバイスから離し易くするために、圧力を開放し温度を下げることができる。半導体発光素子100上に正確なフレネルレンズのパターンをスタンピングするためには、スタンピングブロックの材料は、加えられる温度及び圧力に耐えられるものでなければならない。このため、スタンピングブロックの材料は、表面にスタンピングがなされる材料(例えば半導体材料)の延性遷移点よりも高い延性遷移点を有していることが適当である。スタンピングブロックとして適当な材料の例には、TZM(モリブデン、チタン、ジルコン、そしてカーボンの化合物)などのモリブデン合金、グラファイト、シリコンカーバイド、そしてサファイア、ステンレススチール、Hastalloy(商標)、Kovar(商標)、Nichrome(商標)、タングステン及びタングステン合金、タンタル、ニオブ、チタン合金などが含まれる。
【0027】
製造プロセスにおいて通常は別個のステップであるボンディングプロセスと異なり、スタンピングは、ウェハーボンディングと同時に実行することも(図9参照)、あるいはウェハーボンディングプロセスとは別にその前又は後に行うことも可能である。ウェハーボンディングプロセスの目的は、まず通常は光を吸収する第一のサブストレート20.1を取り除き、そしてこれを、より多くの光が外部へ到達できる新しいサブストレート20.2と置き換えることによって、光の取出率を改善することである。第一のサブストレート20.1は、所望の機械的特性を持った半導体発光層を製造するのに適合する材料である。例えば、高品質のエピタキシャル成長を達成し、確実な格子整合を得るために、標準的な吸収性のサブストレート材料を利用することができる。これらの吸収性の成長サブストレートは通常、半導体発光素子の放射エネルギーより小さいか又は同等のバンドギャップを有している。多層構造26を成長させた後、第一のサブストレート20.1を取り除く。第一のサブストレート20.1は、化学エッチング及びラップ仕上げ/研磨を含む方法(たたし、これらには限定されない)によって取り除くことができる。
【0028】
第一のサブストレート20.1を取り除いたら、続いて、光学的には透明な第2のサブストレート20.2を半導体発光素子100に接着する。接着の手順には、新たなサブストレート20.2を、その組成に依存して25℃と1000℃の間の温度に加熱することが含まれる。ウェハーボンディングプロセスについては、Fred A. Kishらに付与された「Wafer Bonding of Light Emitting Diode Layers」と題された米国特許第5,502,316号においてさらに詳しく説明されており、その内容はここに援用するものとする。新たなサブストレート20.2とスタンピングブロック70の両方を半導体発光素子100に同時にプレスすることによって、スタンピングプロセスをウェハーボンディングプロセスに組み込むことができる。スタンピングブロック70は、新たなサブストレート20.2、最上層24、あるいはこれらの両方に対してフレネルレンズ28をプレスすることができる。図9では分かり易さと簡単のためにただ一つの光学エレメントを示しているが、スタンピングブロック70には、二以上の光学エレメントのパターンを含ませることもできる。
【0029】
図10は、側面を傾斜させた半導体発光素子100を示している。側面を傾斜させると、経路3及び経路4の違いとして示すように、光子が反射する角度にすることによって光の取出率が向上する。側面が傾斜しているときは、活性層22によって放射された光子は、経路3ではなく経路4(実線)に沿って進むことができる。経路3は、側面が傾斜していない半導体発光素子における経路である(図7A参照)。図10に点線で示した経路3は、側面が傾斜していないときに、活性層22の点27から放射される光子が側面で反射されコンタクト31によって吸収されることを示している。しかしながら、図10に実線で示した経路4は、傾斜させた発光デバイス内で光源27から同じ方向に放射された光子がフレネルレンズ28の方向へ反射され、発光デバイスから取り出されることを示している。このように側面を傾斜させると、傾斜させない場合に発光デバイスからは取り出せない光子のいくらかを取出面へ向けることによって、光の取出効率が改善される。さらに吸収を少なくするために傾斜させた側面を金属(例えば銀)又は誘電体などの反射材40でコーティングすれば、光の取出率はさらに改善される。
【0030】
図11は、活性層22の断面領域がフレネルレンズ28の断面領域よりも小さい半導体発光素子100を含む発光デバイスを示している。ここで断面領域は、半導体発光素子100の異なる層の境界に平行な面内にある。活性層の縁部からの電流を遮断するために、開口部又は保護リングを用いることができる。あるいは、活性層22の縁部からの電流を遮断し又は縁部から離れるように電流を流すために、イオンの注入又は拡散を用いることができる。パターン化ウェハボンディング及びパターン化エピタキシャル成長とも呼ばれる選択領域成長(selective area growth)及び選択領域ボンディング(selective area bonding)は、光放射を閉じ込めるための二つのさらに別の方法である。選択領域成長及び選択領域ボンディングについては、米国特許第5,793,062号において議論されており、その内容は参考としてここに援用する。さらに、活性層22の縁部に酸化物を形成して不活性化することによって、制限放射スポット(confined-emission spot)LEDを作ることができる。その一つを図11に示した制限放射スポットLEDは、ホロニアクプロセス(Holonyak process)を用いて作ることができる。ホロニアクプロセスでは、LEDを3時間まで375℃と550℃の間の温度にすることによって、メサ(mesa)33を形成する必要がある。ホロニアクプロセスは不要なアルミニウム酸化物の形成を防ぐために実行されるが、このプロセスにおいて制限層23の上部には電気的絶縁性の天然の酸化物34が形成される。ホロニアクプロセスの詳細及びその応用については、Nick Holonyak, Jr.らに付与された「AlGaAs Native Oxide」と題する米国特許第5,262,360号及びNick Holonyak, Jr.らに付与された「Semiconductor Devices Fabricated with Passivated High-Aluminum III-V Material」と題された米国特許第5,517,039号を参照することができる。これらの両特許の内容は、参考としてここに援用する。
【0031】
図11に示した制限放射スポットLEDにおいて、最上層24は、アルミニウムを含んだp型の導電層とすることができる(ただしこれには限定されない)。メサ33は、アルミニウムを含んだ透明なp型層とすることができる。最上層24の体積酸化速度、あるいは特定のLED100が別個の最上層24を持たない場合には上部制限層23の体積酸化速度よりも、導電層の横方向の酸化速度の方が速くなるように、導電層(これは、例えば高アルミニウム濃度のIII-V半導体からなる)の組成として高いモル比を有するものを選択する。図11は、アルミニウムを含む層を露出させたLEDデバイスを示している。アルミニウムを含む層の異方性酸化は、メサ33及び天然の酸化物34を形成させる。天然の酸化物34の絶縁特性は、電流をこれらの領域に制限し、これによって制限放射スポットLEDが得られる。この例におけるアルミニウムを含むp型導電層である最上層24及びメサ33は、酸化速度においてそれぞれに適切な異方性を有する、アルミニウムを含む任意の透明な化合物から形成することができる。
【0032】
図12及び図13は、二つの光学エレメント28,29を含む本発明の実施例を示しており、二つの光学エレメントのうちの一方には反射材40がコーティングされて反射部を形成している。図12は、フレネルレンズ28を有する表面とは反対の側に設けられた反射部29としての光学エレメント29を示している。フレネルレンズ28と反射部29の両方のグルーブは、入射光線をコリメートするようになパターンとされている。したがって、光源27から放射された光子が破線で示した経路に沿って進んで反射部29に当たると、反射部29は、光子をコリメートして反射して上のフレネルレンズ28の方向へ戻す。反射部29がないと、点光源27から放射された光子は、図7Aに示した経路5に沿って進み、発光デバイスからは出られない。経路5に沿った光子は内部で何度も反射され、吸収され、減衰され、あるいは取出面ではない面から取り出される。
【0033】
図13は、図12と同様に、発光デバイスの一つの表面上のフレネルレンズ28と、反対側の表面の反射部29を示している。しかし、図13の反射部29のグルーブは、図12のように入射した光子をコリメートするのではなく、代わりに点光源27上にフォーカスする。図13の発光デバイスは、図12では経路6に沿って進んだであろう光子を、図13の経路7に沿って進ませることによって、軸に沿って取り出される光の強度を高める。図13の反射部29は、距離δ、反射部29の水平位置、グルーブのパターンのうちの一又は二以上を調整することによって、入射した光子をフレネルレンズ28に向かって戻るようコリメートし、フォーカスし、発散させ、あるいは導くように作ることができる。同様に、光子を、LED内の吸収領域、例えば活性層22、コンタクト31及び32から離れるように導くことができる。この分野の当業者であれば、フレネルレンズを設計し、所望の放射パターンを特定の応用目的に適合するように仕立てることができるだろう。例えば、図13の実施例は、軸に沿った高い強度を必要とする応用目的については、図12の実施例よりも好ましい。
【0034】
図14及び図15に示した例では、本発明は、取出面に光学エレメントを必要としない。点光源27から放射された光子は、図14ではフォーカスされ、図15では発散される。いずれの場合も、光子は取出面に向かって上向きに反射される。図14の実施例は図13の実施例のように軸に沿った強度が高くなり、例えば光ファイバーへの応用といった軸に沿った高い強度を必要とする応用目的に有用である。
【0035】
図16は、フリップチップ構造を用いた発光デバイスを示している。フリップチップ構造では、コンタクト31と32を同じ側、この場合の例では底面側に配置することができる。コンタクト31及び32はしばしば光を吸収するものであり、また光取出面の一部を占めることになるので、これらを光取出面から無くすことによって、より多くの光を取出面を通してLEDデバイスから取り出すことができる。
【0036】
図17は、封止層21,23及び活性層22の向きが、取出面に対して実質的に垂直である発光デバイスを示している。図17に示した発光デバイスは、図1の半導体発光素子100を90度回転させて光が半導体発光素子100の側面から取り出されるようにしたものである。フリップチップ構造と同様に、図17に示した構造は、取出面にコンタクトがないという点が有利である。
【0037】
本発明のLEDを多数一緒にして、高出力の応用に用いることができる。例えば図18は、図13に示したタイプの発光デバイス三つをアレー状に配置して、高い光出力を発するようにしたものである。LEDチップ上又はウェハー上に形成することができるこれらのダイオードアレーは、通常、単一の半導体発光素子のチップに比べてより大きい面積を有する。また、本発明のLEDデバイスは、赤、緑、青のLEDをピクセルエレメントとして用いるカラーディスプレーパネルに適している。このようなディスプレーは周知であり、この例を図19に示した。ディスプレーパネル50は、赤(52)、緑(54)、青(56)のLEDをそれぞれ含み、これらを周知の回路によって選択的に光らせることによって画像を表示させる発光デバイスのアレーを有している。図19では簡単のために三つのピクセルだけを示している。一つの実施例として、発光デバイスをカラム状に配置した。他の実施例として、発光デバイスを別のパターン、例えば三角形などに配置することもできる。高い光取出率を有する発光デバイスを、LCDディスプレーのバックライト用に使用することもできる。
【0038】
本発明について、特定の実施例を挙げて例示したが、本発明の範囲を、例示したこれらの特定のあるいは好適な実施例に限定することを意図するものではない。例えば、光検出器や太陽電池などのデバイスについて、ここに開示した実施例は有益なものとなろう。
【符号の説明】
【0039】
20…サブストレート、21…下部封止層、22…活性層、23…上部封止層、24…最上層、26…多層構造、27…光源、28…フレネルレンズ、31,32…コンタクト、33…メサ、34…酸化物、40…反射材、70…スタンピングブロック、100…半導体発光素子、50…ディスプレーパネル、52…赤色LED、54…緑色LED、56…青色LED
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイス一般に、より詳しくは、光取出率が改善された発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来からの半導体発光素子100であり、基板20、多層構造26、最上層24から構成されている。半導体発光素子100としては、例えば発光ダイオード(LED)又は半導体レーザーが考えられる。LEDは、電気エネルギーの入力流を電磁放射の出力流に変換するよう設計されたpn接合デバイスである。LEDは、電磁スペクトルの紫外領域、可視領域、赤外領域の電磁放射を発することができる。可視LEDは通常、照明及びディスプレーに用いられ、また、電子機器とそのユーザーとの間の情報リンクとしての応用もある。赤外LEDは、オプトアイソレータ及び光ファイバー通信において有用である。半導体レーザーは、LEDと同様の方法で作製される。
【0003】
多層構造26は、ここでは下部封止層(confining layer)21、上部封止層23、光子が発せられる活性層22を含んでいるが、この構造に限られるものではない。上部封止層23は、最上層24を含んでいてもよい。半導体発光素子100が分離した最上層24を有していない場合は、上部封止層23が最上層となる。
【0004】
多層構造26の封止層21,23及び活性層22は、通常、III-V半導体、III-窒化物半導体、II-VI半導体から形成される。最上層24は、上部封止層23上にエピタキシャル成長させることができるが、これもまた普通はIII-V半導体、III-窒化物半導体、II-VI半導体、あるいはこれらの化合物である。しかしながら、最上層24は、封止層21又は封止層23を形成する材料とは異なる半導体化合物とすることもできる。最上層24は、活性層22によって発せられた光に対して透明となるよう、活性層22よりも大きなバンドギャップを有する材料とすることが望ましい。ここでは「透明」という用語は、特定の半導体発光素子の放射波長において、吸収又は散乱による単光路損失が約50%より少ない、より望ましくは約10%より少ない状態で、光学エレメントが光を透過することを意味する。最上層24は、上部封止層23にウェハ・ボンディングされた透明なサブストレート(スーパーストレート)とすることができる。最上層24はまた、その上にエピタキシャル層を成長させたサブストレートとしてもよい。
【0005】
下部封止層21及び上部封止層23は、活性層22に、そしてコンタクト31及びコンタクト32に電気的に接続されている。通常、一方の封止層にはドナーがドープされてn型の封止層とされ、他方の封止層にはアクセプタがドープされてp型の封止層とされる。したがって、コンタクト31と32との間に適当な電圧を印加すると、n型封止層からの電子とp型封止層からのホールが活性層22内で結合して、等方的に光を発する。LEDとしての半導体発光素子100についてのより詳細な説明については、Michael R. Kramesらに付与された「AlGaInN-based LED Having Thick Epitaxial Layer for Improved Light Extraction」と題された米国特許第6,133,589号、Fred A. Kish, Jr.らに付与された、いずれも「Transparent Substrate Light Emitting Diode with Directed Light Output」と題された米国特許第5,793,062号及び第6,015,719号を参照することができる。これらすべての特許を、参考としてここに援用する。
【0006】
半導体発光素子100をLED100とすることができる。LEDについての問題は、光の取出効率が低いことである。この光の取出効率が低い原因は、LED100から出ようとする光が、活性層22によって発せられた光エネルギーのうちのわずかのみ(例えば透明基板を有するAlGaAsLEDの場合、大体30%程度)だということである。光の取出効率が低い結果、消費される電気的な入力のうちのわずかの部分だけが、外部から観測できる光に寄与する。光の取出効率は、LEDにおいて生成される光子の数に対する、LEDから出てくる光子の数の比として定義される。
【0007】
図1の経路3は、活性層22の点光源27から放射される光子の方向を示している。経路3によって示されるように、コンタクト31,32の吸収特性が、低い光の取出率に寄与する。経路3に沿って進む光子は、LED100の内側面で反射されコンタクト31によって吸収される。コンタクト31及び32は、金、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、パラジウム、そしてこれらの合金又は化合物などの金属から形成することができる。
【0008】
低い光の取出効率を生じさせる損失の機構には、半導体発光素子内における吸収、光が一つの材料から屈折率の異なる別の材料へ入るときの反射損失、発光デバイス内で吸収されることになる全反射が含まれる。しかしながら、全反射は、活性層22によって発せられた光子が発光デバイス100とその周囲の材料との境界に臨界角(θc)よりも大きい角度で到達したときのみ、光子が半導体発光素子100から出ることを妨げる。本実施例に関連する臨界角(図1にθcで示す)は、
θc=arcsine(nsurrounding/nLED)
によって定義される。ここで、nsurrounding及びnLEDはそれぞれ、発光デバイスの周囲の材料と発光デバイスの屈折率を示している。LEDはしばしばエポキシ内に封入されるが、その屈折率(nepoxy)は大体1.5程度である。前述のIII-V半導体材料の一つで作られたLEDでは、その屈折率は約2.4から約4.1までの範囲である。平均的な屈折率(nLED)を約3.5とすると、θcの典型的な値は約25°である。したがって、活性層22内の点光源27から発せられる光子のうち半角が25°の「取出円錐」内の任意の表面を通るものは、LEDから外部へ放射される。LED100と取出円錐の外側の材料との間の境界面に当たる光子は、全反射を繰り返し受け、例えば半導体層(活性層22を含む)又はコンタクト31及び32によって吸収されることになる。すなわち、表面に垂直な軸に対して25°よりも大きい角度で表面に当たる多くの光子は、最初の段階でLEDから外部へは放射されない。発せられた光子のうちのより多くの部分が取り出される高い光の取出効率を有するLEDが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、半導体発光素子の光取出率を改善するとともに、所望の放射パターンを得るために光を導き、フォーカスし、そして散乱させるのに用いられる。本発明には、例えばフレネルレンズ、ホログラフィックディフューザなどの一又は二以上の光学エレメントに適合するようにされた半導体発光素子、そして半導体発光素子の表面をスタンピング(stamping)して光学エレメントに形成する方法が含まれる。半導体発光素子100の一又は二以上の表面を、フレネルレンズ又はホログラフィックディフューザに形成することができる。フレネルレンズは、活性層22から発せられたより多くの光子が垂直に近い入射角で半導体発光素子100の表面に当たるようにし、全反射による光の損失を最小限に抑えることができるので、表面をフレネルレンズにすることは望ましい。さらに、フレネルレンズに形成された半導体発光素子の表面は、半導体発光素子を構成する材料とは異なる屈折率を有するレンズの材料によって通常引き起こされる光の反射損失を低減する。フレネルレンズ及びホログラフィックディフューザの一方又は両方を、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、イオンビームリソグラフィー、X線リソグラフィー、ホログラフィックリソグラフィーなどを含む(ただし、これらに限定されるものではない)リソグラフィー技術に関連したエッチングによって形成することができる。プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、及び化学的手段を援用したイオンビームエッチング(CAIBE)などの化学的ウェットエッチング又はドライエッチング技術を用いることができる。あるいは、イオンビーム削り加工(ion beam milling)又はフォーカスされたイオンビーム削り加工(FIB)を用いてフレネルレンズを表面に刻印し、走査させた電子又はレーザービームを用いて表面にフレネルレンズをアブレーション加工し、または削り加工やスクライビング加工を行って機械的に半導体発光素子100の表面にフレネルレンズを形成することもできる。
【0010】
スタンピングは、発光デバイスの表面上に光学エレメントを形成する別の方法である。スタンピングプロセスは、スタンピングを行うとする半導体材料の延性遷移点(ductile transition point)よりも高い温度で実行される。一つの実施例では、スタンピングは、ウェハ・ボンディングプロセスと統合される。ウェハ・ボンディングプロセスは通常600℃近傍又はこれよりも高温で行われるので、ウェハ・ボンディングプロセスを容易にウェハ・ボンディングプロセスと統合することができ、これによって生産効率を向上させることができる。ウェハ・ボンディングプロセスでは、所望の品質のエピタキシャル層を成長させるためのテンプレートとして用いられた最初の吸収性のサブストレートを除去すること、そして光の取出率を改善するためにこれを透明なサブストレートと置き換えることを伴う。オプションとして、透明なサブストレートを半導体発光素子100の第一の表面にボンディングする時点において、所望の光学エレメントの形状又はパターンの逆の形状又はパターンを有するスタンピングブロックを、半導体発光素子100の第二の表面、透明サブストレートの表面、又はこれらの両方に対してプレスしてもよい。圧力を開放したときに、所望の光学エレメントに形作られた表面を有する発光デバイスが形成される。スタンピングに用いられるスタンピングブロックは、通常、光学エレメントの形成時に適用されるプロセス温度よりも高い融点を有する。スタンピングブロックに適する材料としてモリブデン合金、グラファイト、シリコンカーバイド、そしてサファイアなどがあるが、これらに限定されるものではない。半導体発光素子の一又は二以上の表面上に、光学エレメントを形成することができる。スタンピングプロセスは独立したプロセスであるが、ウェハ・ボンディングプロセスの前、後、あるいは同時に行うことも可能である。あるいはまた、スタンピングプロセスを、後に半導体発光素子100に対してボンディングされる材料をスタンピングするのに用いてもよい。
【0011】
本発明は、容易に、別の応用に合うよう適合させることができる。例えば、照明用に光をコリメートするように光学エレメントを作ったり、あるいは光ファイバーに光をフォーカスするように作ることもできる。さらに、LEDの任意の表面を一又は二以上の光学エレメントに形作ったり、二以上の表面を一又は二以上のフレネルレンズに形作ったりもできる。コリメートされた光又はフォーカスされた光を所望の方向に導くために、反射コーティングを用いることもできる。半導体発光素子100上に多数の光学エレメントを形成することによって作られるダイオードアレーを、高出力の応用目的に用いることもできる。
【0012】
光学エレメントの予め決められた部分に向かって放射される光子の割合を増大させることによって、本発明の有用性はさらに高まる。例えば、フレネルレンズが存在してもその縁部に到達する光子は有益性が小さいので、放射されたより多くの割合の光子がフレネルレンズの中心に向かって放射されるような制限放射スポット(confined-emission spot)LEDを作ることができる。光子の放射を活性層の選択した領域へ閉じ込める方法には、イオンの注入又は拡散、酸化物不活性化(oxide passivation)、選択領域成長(selective area growth)、選択領域ボンディング(selective area bonding)が含まれる。あるいは、半導体発光素子100又は活性層22の外側の縁部を、エッチングで取り除いてもよい。外側の縁部をエッチングで取り除くことによって、傾斜した側面を有する発光デバイスを作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来からの半導体発光素子の概略図である。
【図2A】光を収束するよう設計された、高さの異なるグルーブを一様な間隔で設けたフレネルレンズの平面図である。
【図2B】収束レンズと図2Aのフレネルレンズの断面を示した図である。
【図3A】光を発散するよう設計された、高さの異なるグルーブを一様な間隔で設けたフレネルレンズの平面図である。
【図3B】発散レンズと図3Aのフレネルレンズの断面を示した図である。
【図4A】一様な高さのグルーブを有し、グルーブ間の間隔をレンズ中心からの距離の関数とした、収束フレネルレンズの平面図である。
【図4B】収束レンズと図4Aのフレネルレンズの断面を示した図である。
【図5A】一様な高さのグルーブを有し、グルーブ間の間隔をレンズ中心からの距離の関数とした、発散フレネルレンズの平面図である。
【図5B】発散レンズと図5Aのフレネルレンズの断面を示した図である。
【図6】レンズ中心について同心でないグルーブを有するフレネルレンズの平面図である。
【図7A】本発明に基づいて一つの取出面上に光をコリメートするフレネルレンズが形成された発光デバイスの概略図である。
【図7B】本発明に基づいて取出面上に光をフォーカスするフレネルレンズが形成された発光デバイスの概略図である。
【図7C】本発明に基づいて取出面上に光を発散するフレネルレンズが形成された発光デバイスの概略図である。
【図8A】表面が光学エレメントに形作られた発光デバイスの概略図である。
【図8B】本発明で用いることができるホログラフィックディフューザの面の平面図である。
【図9】スタンピングプロセス及びウェハーボンディングプロセスを統合する典型的な例を示した概略図である。
【図10】表面にフレネルレンズを形成した、傾斜した側面を有するLEDの概略図である。
【図11】異方性を持つ天然の酸化物を形成した制限放射スポットLED上に形成されたフレネルレンズの概略図である。
【図12】半導体発光素子の対向する二つの面に光をコリメートするフレネルレンズを形成し、一方を反射材でコーティングした発光デバイスの概略図である。
【図13】半導体発光素子の対向する二つの面にフレネルレンズを形成し、反射材をコーティングしたレンズが光を活性層にフォーカスするようにした発光デバイスの概略図である。
【図14】軸に沿った強度を高めるために、半導体発光素子の取出面ではない面に形成された、光をフォーカスするフレネルレンズの概略図である。
【図15】半導体発光素子の取出面ではない面に形成され、反射材でコーティングされた、光を発散するフレネルレンズの概略図である。
【図16】フリップチップ構造の発光デバイスの概略図である。
【図17】実質的にフレネルレンズに垂直な活性層を有する発光デバイスの概略図である。
【図18】単一のサブストレート上のダイオードアレーの概略図である。
【図19】本発明に基づいた、発光デバイスが組み込まれたディスプレーデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で参照する図面は、縮尺通りには描かれていない。
【0015】
本明細書において「取出面」とは、光出力面となるよう意図した発光デバイスの面を指す。発光デバイスは、二以上の取出面を備えることもできる。図示を簡単にするために、図では取出面を一番上の面としている。発光デバイスはLEDとすることができる。ここで説明するLEDの光を生成する部分は、LEDの通常の活性層である。ここで用いている「発光デバイス」は、少なくとも一つの半導体発光素子100を有するデバイスを含んでいる。本発明は、発光デバイスの表面をスタンピングして光学素子にすることと、発光デバイスの表面にスタンピングを含む任意の方法を用いてフレネルレンズ又はホログラフィックディフューザを形成することの両方を含んでいる。本発明はまた発光デバイスの表面上に形成されたホログラフィックディフューザを含んでいるが、この例及び説明では、分かり易い例示とするために、主としてフレネルレンズを参照する。同じく分かり易い例示のために、半導体発光素子100を発光ダイオード100として説明する。異なる図で同じ符号を有する要素は、同じものである。
【0016】
図2A、図2B、図3A、図3B、図4A、図4B、図5A、図5Bに示したように、フレネルレンズ28は、収束レンズの単一の曲面とは対照的に、表面上に一連の同心のグルーブが形成されて構成されている。グルーブ1は、屈折面として作用する湾曲した、あるいは角度をつけた面を有している。グルーブ1は、図2A及び図3Aに示すように、一定間隔とすることができる。図2B及び3Bに示すように、フレネルレンズ28のグルーブが一定間隔のときは、フレネルレンズ28を希望の焦点距離とするようにグルーブの高さを変えることができる。グルーブの形状は、例えば光線を集束させるために図2Bのように、または光線を発散させるために図3Bに示すように変えることができる。あるいは、フレネルレンズ28のグルーブが図4B、図5Bに示すように同じ高さのときは、グルーブ1間の間隔を調整して、希望の焦点距離のフレネルレンズ28とすることができる。図4A及び図5Aに示すフレネルレンズ28は、レンズの縁に近づくにつれてグルーブの間隔が狭くなる。図4B及び図5Bは、光を希望する通りに導くためにグルーブ1の形状を調整できることを示している。図4Bのフレネルレンズは光線を集束させ、図5Bのフレネルレンズは光線を発散させる。フレネルレンズ28のグルーブ1は、レンズ中心の周囲に同心的に配置することは必要ではない。例えば図6には、同心でないグルーブ1を有するフレネルレンズ28が示してある。フレネルレンズは、非球面に基づくものとすることも、球面に基づくものとすることもできる。さらに、フレネルレンズが形成される表面は平面である必要もない。フレネルレンズを任意の形状のLED上、例えば長方形のLED上、楕円形のLED上、ピラミッド型のLED上、そして円柱形のLED上に形成することもできる。フレネルレンズ28を半導体発光デバイス上に形成するときは、オプションとして、図2B、図3Bのフレネルレンズ28の縁の近傍の高いグルーブ、および図4B、図5Bのフレネルレンズ28の縁の近傍の間隔の狭いグルーブを省くことができる。
【0017】
図2B、図3B、図4B、図5Bは、通常の収束又は発散レンズ2の厚さを、フレネルレンズ28と比較している。図示のように、フレネルレンズ28は、ほぼ同じ焦点距離を有する通常のレンズ2よりも薄くなっている。レンズ材料(すなわち半導体材料)は本来的にいくぶんかの光を吸収するので、LEDへの応用目的では、厚い普通のレンズよりも薄いフレネルレンズ28は好ましい。
【0018】
図7Aは、フレネルレンズ28として示した、表面上に形成された光学エレメント28を有する発光デバイスを例示している。半導体発光素子100の取出面に形成されたフレネルレンズ28は半導体発光素子100からの光の取り出しを助けるが、これは、取出面が平坦でなくグルーブ1を有している場合には、放射されたより多くの光子が垂直に近い入射角で取出面に当たるからである。垂直に近い入射角で表面に当たる光子は全反射を受けず、したがってより取り出しやすくなる。反射材40で底面をコーティングすると、底面における反射損失又は吸収損失による光の損失を軽減するのを助ける。経路5に沿って進む光子も、減衰及び最終的な吸収を受ける。後述のように、経路5に沿って進む光子を取り出すために、底面に設けたフレネルレンズを用いることもできる。
【0019】
図7A、図7B、図7Cは、フレネルレンズ28の高さ、グルーブの間隔、焦点距離と同様に、距離δによって、どのように発光デバイスの放射パターンを操作するかを例示している。距離δは、活性層22とフレネルレンズ28の距離を示している。距離δ、フレネルレンズ28の水平位置、そしてフレネルレンズ28の焦点距離は、発光デバイスの発光パターンに影響する。光源を実質的に収束レンズの焦点距離近くに置いたときは、図7Aに示すように、出て行く光線は実質的に並行になる。距離δを変えることによって、光線を実質的に図7Bに示すように収束させたり、図7Cに示すように発散させることができる。図7Bに示すような光を収束させるような実施例は、光ファイバーへの応用に用いることができる。
【0020】
フレネルレンズ又はホログラフィックディフューザを表面に形成する方法は数多くある。「彫刻法」は、まず、例えば多層構造26上に最上層24を形成し、そしてプラズマエッチング、反応性イオンエッチング、化学的手段を援用したイオンビームエッチング(CAIBE)などの化学的ウェットエッチング又はドライエッチング技術によって、最上層24に希望のパターンを形作ることが必要となる。オプションとして、エッチング技術については、リソグラフィー技術を用いることもできる。リソグラフィー技術には、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、イオンビームリソグラフィー、X線リソグラフィー、ホログラフィックリソグラフィーが含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。さらに、イオンビーム削り加工又はフォーカスされたイオンビーム削り加工を用いて表面に刻印し、走査させた電子又はレーザービームを用いて表面をアブレーション加工し、放電加工(EDM)によって表面に加工し、または削り加工やスクライビング加工を行って、機械的に半導体発光素子100の表面に、希望の光学エレメントを形成することができる。
【0021】
フレネルレンズ又はホログラフィックディフューザを、ボンディング法を用いて形成することもできる。ボンディング法には、多層構造26に、通常ボンディング材料を用いて光学エレメントをボンディングする必要がある。ボンディング材料は、スピニング、スパッタリング、蒸着、化学気相成長、金属・有機化学気相成長、気相エピタキシャル、液相エピタキシャル、分子ビームエピタキシャルなどの一般的な堆積技術を用いて堆積させることができる。図7Aに示した実施例ではボンディング材料を示していないが、ボンディング材料は、光学エレメント28と上部導電層23の間の境界25aにある。しかし、発光デバイスが最上層24を含んでいる場合には、ボンディング材料は、光学エレメント28と最上層24の間にあってもよい。
【0022】
ボンディング法を用いるときは、境界25a又は25bにおける反射光損失を最小限に抑えるために、ボンディング材料がnLED又はnlens(nLEDとnlensが異なる場合)に非常に近い屈折率(nbonding)を有することが望ましい(図7A)。デバイスが温度変化を受けたときのひずみを最小限に抑えるために、半導体発光素子とフレネルレンズ28の両方と同等の熱膨張係数を持つボンディング材料とすることができる。さらに、ボンディング材料を、活性層22によって発せられる光の波長に対して透明にすることもできる。例えば、レンズとボンディング材料を、以下に列挙するもののうちの一つとすることができる(ただしこれらに限定されるものではない):屈折率の大きい光学ガラス、GaP(600nmで、n〜3.3)InGaP(600nmで、n〜3.7)、GaAs(500nmで、n〜3.4)、GaN(500nmで、n〜2.4)などのIII-V半導体、ZnS(500nmで、n〜2.4)、ZnSe(500nmで、n〜2.6)、CdS(500nmで、n〜2.6)、CdTe(500nmで、n〜2.7)、ZnTe(500nmで、n〜3.1)などのII-VI半導体、IV族の半導体、そしてSi(500nmで、n〜3.5)及びGe(500nmで、n〜4.1)などの化合物、屈折率の大きい有機半導体、屈折率の大きい有機化合物、そしてこれらの混合物又は合金。nbondingがnLED及びnlensと異なる場合には、半導体発光素子とボンディング材料の境界、そしてボンディング材料とフレネルレンズ28の境界の両方において反射光損失が生じる。
【0023】
レンズ材料は、ボンディング材料なしで、高温環境でレンズと多層構造とをプレスすることで接着されるものを選択するのがよい。ボンディング材料を使わなければ、ボンディング材料の屈折率がnLEDと異なることによって増える光の損失を低減させることができる。接着については、「LED with Improved Light Extraction Efficiency」と題された米国特許出願第09/660,317号においてさらに詳しく説明されており、その内容は、参考としてここに援用する。
【0024】
本発明に用いることができるさらに別の方法は、スタンピング法である。図8Aは、半導体発光素子100を含む発光デバイスと、光学エレメント28が形成された表面を示している。図8Bは、図8Aの光学エレメント28として用いることのできるホログラフィックディフューザの概略図を示す。ホログラフィックディフューザの表面には、ランダムで非周期的な多数の小型レンズ(microlenslet)が含まれている。ホログラフィックディフューザは光を発散させ、ノイズ及び色回折(color diffraction)を取り除く。図8Bはホログラフィックディフューザとして光学エレメント28を示しているが、光学エレメント28は、通常のレンズ、フレネルレンズ、あるいは反射部なと、他の任意の光学エレメントであってもよい。
【0025】
図9に例示した典型的なプロセスでは、光学エレメント28のパターンとは逆のパターンを有するスタンピングブロック70によって、最上層24がスタンピングされる。図9は、光学エレメント28としてフレネルレンズ28を示している。このスタンピング法は、半導体発光素子100の任意の表面に光学レンズ28を形成するのに用いることができる。図9は、スタンピングと同時に実行されるウェハーボンディングプロセスを示しているが、スタンピングはウェハーボンディングの前又は後、あるいは完全に別な独立したプロセスとして実行することも可能であることが理解されるだろう。例えば、ウェハーボンディングされていない半導体発光素子100上に、光学エレメントをスタンピングしてもよい。あるいはまた、最初に材料の上で光学エレメントをスタンピングし、後に材料を半導体発光素子100に接着することもできる。
【0026】
スタンピング法では、フレネルレンズ28が形成されるのがLEDの最上層24であることから、フレネルレンズ28の屈折率とLEDの最上層24の屈折率が同じくなる蓋然性は高い。スタンピングプロセスでは、半導体発光素子100を少なくとも最上層24の延性遷移点(ductile transition point)まで加熱し、そしてスタンピングブロック70をプレスする。必要であれば、スタンピングを容易にするために、100psi又はそれ以上の圧力を加えてもよい(正確な圧力は、使用する材料及びプロセス温度に依存する)。半導体発光素子100の最上層24にスタンピングしたあとは、スタンピングブロック70を得られた発光デバイスから離し易くするために、圧力を開放し温度を下げることができる。半導体発光素子100上に正確なフレネルレンズのパターンをスタンピングするためには、スタンピングブロックの材料は、加えられる温度及び圧力に耐えられるものでなければならない。このため、スタンピングブロックの材料は、表面にスタンピングがなされる材料(例えば半導体材料)の延性遷移点よりも高い延性遷移点を有していることが適当である。スタンピングブロックとして適当な材料の例には、TZM(モリブデン、チタン、ジルコン、そしてカーボンの化合物)などのモリブデン合金、グラファイト、シリコンカーバイド、そしてサファイア、ステンレススチール、Hastalloy(商標)、Kovar(商標)、Nichrome(商標)、タングステン及びタングステン合金、タンタル、ニオブ、チタン合金などが含まれる。
【0027】
製造プロセスにおいて通常は別個のステップであるボンディングプロセスと異なり、スタンピングは、ウェハーボンディングと同時に実行することも(図9参照)、あるいはウェハーボンディングプロセスとは別にその前又は後に行うことも可能である。ウェハーボンディングプロセスの目的は、まず通常は光を吸収する第一のサブストレート20.1を取り除き、そしてこれを、より多くの光が外部へ到達できる新しいサブストレート20.2と置き換えることによって、光の取出率を改善することである。第一のサブストレート20.1は、所望の機械的特性を持った半導体発光層を製造するのに適合する材料である。例えば、高品質のエピタキシャル成長を達成し、確実な格子整合を得るために、標準的な吸収性のサブストレート材料を利用することができる。これらの吸収性の成長サブストレートは通常、半導体発光素子の放射エネルギーより小さいか又は同等のバンドギャップを有している。多層構造26を成長させた後、第一のサブストレート20.1を取り除く。第一のサブストレート20.1は、化学エッチング及びラップ仕上げ/研磨を含む方法(たたし、これらには限定されない)によって取り除くことができる。
【0028】
第一のサブストレート20.1を取り除いたら、続いて、光学的には透明な第2のサブストレート20.2を半導体発光素子100に接着する。接着の手順には、新たなサブストレート20.2を、その組成に依存して25℃と1000℃の間の温度に加熱することが含まれる。ウェハーボンディングプロセスについては、Fred A. Kishらに付与された「Wafer Bonding of Light Emitting Diode Layers」と題された米国特許第5,502,316号においてさらに詳しく説明されており、その内容はここに援用するものとする。新たなサブストレート20.2とスタンピングブロック70の両方を半導体発光素子100に同時にプレスすることによって、スタンピングプロセスをウェハーボンディングプロセスに組み込むことができる。スタンピングブロック70は、新たなサブストレート20.2、最上層24、あるいはこれらの両方に対してフレネルレンズ28をプレスすることができる。図9では分かり易さと簡単のためにただ一つの光学エレメントを示しているが、スタンピングブロック70には、二以上の光学エレメントのパターンを含ませることもできる。
【0029】
図10は、側面を傾斜させた半導体発光素子100を示している。側面を傾斜させると、経路3及び経路4の違いとして示すように、光子が反射する角度にすることによって光の取出率が向上する。側面が傾斜しているときは、活性層22によって放射された光子は、経路3ではなく経路4(実線)に沿って進むことができる。経路3は、側面が傾斜していない半導体発光素子における経路である(図7A参照)。図10に点線で示した経路3は、側面が傾斜していないときに、活性層22の点27から放射される光子が側面で反射されコンタクト31によって吸収されることを示している。しかしながら、図10に実線で示した経路4は、傾斜させた発光デバイス内で光源27から同じ方向に放射された光子がフレネルレンズ28の方向へ反射され、発光デバイスから取り出されることを示している。このように側面を傾斜させると、傾斜させない場合に発光デバイスからは取り出せない光子のいくらかを取出面へ向けることによって、光の取出効率が改善される。さらに吸収を少なくするために傾斜させた側面を金属(例えば銀)又は誘電体などの反射材40でコーティングすれば、光の取出率はさらに改善される。
【0030】
図11は、活性層22の断面領域がフレネルレンズ28の断面領域よりも小さい半導体発光素子100を含む発光デバイスを示している。ここで断面領域は、半導体発光素子100の異なる層の境界に平行な面内にある。活性層の縁部からの電流を遮断するために、開口部又は保護リングを用いることができる。あるいは、活性層22の縁部からの電流を遮断し又は縁部から離れるように電流を流すために、イオンの注入又は拡散を用いることができる。パターン化ウェハボンディング及びパターン化エピタキシャル成長とも呼ばれる選択領域成長(selective area growth)及び選択領域ボンディング(selective area bonding)は、光放射を閉じ込めるための二つのさらに別の方法である。選択領域成長及び選択領域ボンディングについては、米国特許第5,793,062号において議論されており、その内容は参考としてここに援用する。さらに、活性層22の縁部に酸化物を形成して不活性化することによって、制限放射スポット(confined-emission spot)LEDを作ることができる。その一つを図11に示した制限放射スポットLEDは、ホロニアクプロセス(Holonyak process)を用いて作ることができる。ホロニアクプロセスでは、LEDを3時間まで375℃と550℃の間の温度にすることによって、メサ(mesa)33を形成する必要がある。ホロニアクプロセスは不要なアルミニウム酸化物の形成を防ぐために実行されるが、このプロセスにおいて制限層23の上部には電気的絶縁性の天然の酸化物34が形成される。ホロニアクプロセスの詳細及びその応用については、Nick Holonyak, Jr.らに付与された「AlGaAs Native Oxide」と題する米国特許第5,262,360号及びNick Holonyak, Jr.らに付与された「Semiconductor Devices Fabricated with Passivated High-Aluminum III-V Material」と題された米国特許第5,517,039号を参照することができる。これらの両特許の内容は、参考としてここに援用する。
【0031】
図11に示した制限放射スポットLEDにおいて、最上層24は、アルミニウムを含んだp型の導電層とすることができる(ただしこれには限定されない)。メサ33は、アルミニウムを含んだ透明なp型層とすることができる。最上層24の体積酸化速度、あるいは特定のLED100が別個の最上層24を持たない場合には上部制限層23の体積酸化速度よりも、導電層の横方向の酸化速度の方が速くなるように、導電層(これは、例えば高アルミニウム濃度のIII-V半導体からなる)の組成として高いモル比を有するものを選択する。図11は、アルミニウムを含む層を露出させたLEDデバイスを示している。アルミニウムを含む層の異方性酸化は、メサ33及び天然の酸化物34を形成させる。天然の酸化物34の絶縁特性は、電流をこれらの領域に制限し、これによって制限放射スポットLEDが得られる。この例におけるアルミニウムを含むp型導電層である最上層24及びメサ33は、酸化速度においてそれぞれに適切な異方性を有する、アルミニウムを含む任意の透明な化合物から形成することができる。
【0032】
図12及び図13は、二つの光学エレメント28,29を含む本発明の実施例を示しており、二つの光学エレメントのうちの一方には反射材40がコーティングされて反射部を形成している。図12は、フレネルレンズ28を有する表面とは反対の側に設けられた反射部29としての光学エレメント29を示している。フレネルレンズ28と反射部29の両方のグルーブは、入射光線をコリメートするようになパターンとされている。したがって、光源27から放射された光子が破線で示した経路に沿って進んで反射部29に当たると、反射部29は、光子をコリメートして反射して上のフレネルレンズ28の方向へ戻す。反射部29がないと、点光源27から放射された光子は、図7Aに示した経路5に沿って進み、発光デバイスからは出られない。経路5に沿った光子は内部で何度も反射され、吸収され、減衰され、あるいは取出面ではない面から取り出される。
【0033】
図13は、図12と同様に、発光デバイスの一つの表面上のフレネルレンズ28と、反対側の表面の反射部29を示している。しかし、図13の反射部29のグルーブは、図12のように入射した光子をコリメートするのではなく、代わりに点光源27上にフォーカスする。図13の発光デバイスは、図12では経路6に沿って進んだであろう光子を、図13の経路7に沿って進ませることによって、軸に沿って取り出される光の強度を高める。図13の反射部29は、距離δ、反射部29の水平位置、グルーブのパターンのうちの一又は二以上を調整することによって、入射した光子をフレネルレンズ28に向かって戻るようコリメートし、フォーカスし、発散させ、あるいは導くように作ることができる。同様に、光子を、LED内の吸収領域、例えば活性層22、コンタクト31及び32から離れるように導くことができる。この分野の当業者であれば、フレネルレンズを設計し、所望の放射パターンを特定の応用目的に適合するように仕立てることができるだろう。例えば、図13の実施例は、軸に沿った高い強度を必要とする応用目的については、図12の実施例よりも好ましい。
【0034】
図14及び図15に示した例では、本発明は、取出面に光学エレメントを必要としない。点光源27から放射された光子は、図14ではフォーカスされ、図15では発散される。いずれの場合も、光子は取出面に向かって上向きに反射される。図14の実施例は図13の実施例のように軸に沿った強度が高くなり、例えば光ファイバーへの応用といった軸に沿った高い強度を必要とする応用目的に有用である。
【0035】
図16は、フリップチップ構造を用いた発光デバイスを示している。フリップチップ構造では、コンタクト31と32を同じ側、この場合の例では底面側に配置することができる。コンタクト31及び32はしばしば光を吸収するものであり、また光取出面の一部を占めることになるので、これらを光取出面から無くすことによって、より多くの光を取出面を通してLEDデバイスから取り出すことができる。
【0036】
図17は、封止層21,23及び活性層22の向きが、取出面に対して実質的に垂直である発光デバイスを示している。図17に示した発光デバイスは、図1の半導体発光素子100を90度回転させて光が半導体発光素子100の側面から取り出されるようにしたものである。フリップチップ構造と同様に、図17に示した構造は、取出面にコンタクトがないという点が有利である。
【0037】
本発明のLEDを多数一緒にして、高出力の応用に用いることができる。例えば図18は、図13に示したタイプの発光デバイス三つをアレー状に配置して、高い光出力を発するようにしたものである。LEDチップ上又はウェハー上に形成することができるこれらのダイオードアレーは、通常、単一の半導体発光素子のチップに比べてより大きい面積を有する。また、本発明のLEDデバイスは、赤、緑、青のLEDをピクセルエレメントとして用いるカラーディスプレーパネルに適している。このようなディスプレーは周知であり、この例を図19に示した。ディスプレーパネル50は、赤(52)、緑(54)、青(56)のLEDをそれぞれ含み、これらを周知の回路によって選択的に光らせることによって画像を表示させる発光デバイスのアレーを有している。図19では簡単のために三つのピクセルだけを示している。一つの実施例として、発光デバイスをカラム状に配置した。他の実施例として、発光デバイスを別のパターン、例えば三角形などに配置することもできる。高い光取出率を有する発光デバイスを、LCDディスプレーのバックライト用に使用することもできる。
【0038】
本発明について、特定の実施例を挙げて例示したが、本発明の範囲を、例示したこれらの特定のあるいは好適な実施例に限定することを意図するものではない。例えば、光検出器や太陽電池などのデバイスについて、ここに開示した実施例は有益なものとなろう。
【符号の説明】
【0039】
20…サブストレート、21…下部封止層、22…活性層、23…上部封止層、24…最上層、26…多層構造、27…光源、28…フレネルレンズ、31,32…コンタクト、33…メサ、34…酸化物、40…反射材、70…スタンピングブロック、100…半導体発光素子、50…ディスプレーパネル、52…赤色LED、54…緑色LED、56…青色LED
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子によって放射される光に作用を及ぼすよう、前記半導体発光素子の少なくとも一つの面にフレネルレンズ及びホログラフィックディフューザのうちの少なくとも一つを形成する工程を含み、
前記形成する工程は、アブレーション加工、機械加工、スクライビング加工、放電加工、から選択した少なくとも一つの方法を含んでおり、
前記少なくとも一つの面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方である
ことを特徴とする、発光デバイスを形成する方法。
【請求項2】
発光デバイスを形成する方法であって、
半導体発光素子によって放射される光に作用を及ぼすよう、前記半導体発光素子の少なくとも一つの面にスタンピングを行う工程を含んでおり、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方であることを特徴とする方法。
【請求項3】
さらに、前記発光デバイスの面を反射層でコーティングする工程を含んでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スタンピングを、前記半導体発光素子の半導体層及びサブストレート層のうちの少なくとも一方に対して行う、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体層は、アルミニウムを含む透明な化合物を含んでいる請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記スタンピング工程は、室温よりも高い温度において実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、さらに、前記スタンピング工程の後に前記半導体発光素子から前記スタンピングブロックを引き離すのを容易にするために、前記高い温度を低くする工程を含んでいる方法。
【請求項8】
前記高い温度は、前記光学エレメントを形成する前記少なくとも一つの面を構成する材料の延性遷移温度よりも高いものである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スタンピング工程は、モリブデン、チタン、ジルコン、グラファイト、シリコンカーバイド、サファイア、ステンレススチール、タングステン、ニオブ、そして、これらの化合物のグループから選択された材料からなるスタンプングブロックを用いるものである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
複数の発光デバイスを含んでいる発光ダイオードアレーであって、前記発光デバイスは、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の面にスタンピング加工されたフレネルレンズ及びホログラフィックディフューザのうちの一つとを含み、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方あることを特徴とする発光ダイオードアレー。
【請求項11】
複数の発光デバイスを含んでいる発光アレーであって、前記発光デバイスは、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の面にスタンピングされた光学エレメントとを含み、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)及びIII-窒化物半導体化合物を含む化合物であることを特徴とする発光アレー。
【請求項12】
少なくとも一つの青色発光デバイス、少なくとも一つの緑色発光デバイス、少なくとも一つの赤色発光デバイスを含んだディスプレーデバイスであって、前記青色発光デバイス、緑色発光デバイス、赤色発光デバイスのうちの少なくとも一つは、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の面にスタンピング加工されたフレネルレンズ及びホログラフィックディフューザのうちの一つとを含み、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方であることを特徴とするディスプレーデバイス。
【請求項13】
少なくとも一つの青色発光デバイス、少なくとも一つの緑色発光デバイス、少なくとも一つの赤色発光デバイスを含んだディスプレーデバイスであって、前記青色発光デバイス、緑色発光デバイス、赤色発光デバイスのうちの少なくとも一つは、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の面にスタンピングされた一つの光学エレメントとを含み、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方であることを特徴とするディスプレーデバイス。
【請求項14】
発光デバイスから放射される光に対して透明な材料に光学エレメントをスタンピングする工程であって、前記材料は屈折率の大きい光学ガラス、III-V半導体、II-VI半導体、IV族の半導体、屈折率の大きい有機半導体、屈折率の大きい有機化合物、そしてこれらの混合物又は合金のうちの一つである、そのような工程と、
前記材料を半導体発光素子にボンディングする工程であって、ボンディングは、前記材料と光が発光素子から出る半導体発光素子の面との境界においてなされる、そのような工程と、
を含む、発光デバイスを形成する方法。
【請求項15】
前記スタンピング工程を、前記ボンディング工程よりも先行して行う、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ボンディング工程を、前記スタンピング工程によりも先行して行う、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ボンディング工程は、前記材料をボンディング材料を用いて半導体発光素子へボンディングする工程であり、前記ボンディング材料は、前記材料は屈折率の大きい光学ガラス、III-V半導体、II-VI半導体、IV族の半導体、屈折率の大きい有機半導体、屈折率の大きい有機化合物、そしてこれらの混合物又は合金のうちの一つである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ボンディング工程は、前記材料を前記半導体発光素子と共に、室温よりも高い温度でプレスすることからなる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
半導体発光素子と、
発光デバイスから放射される光に対して透明な材料にスタンピングされた光学エレメントとを含み、
前記材料は、前記材料は屈折率の大きい光学ガラス、III-V半導体、II-VI半導体、IV族の半導体、屈折率の大きい有機半導体、屈折率の大きい有機化合物、そしてこれらの混合物又は合金のうちの一つであり、
前記材料は、前記半導体発光素子にボンディングされ、ボンディングは、前記材料と光が発光素子から出る半導体発光素子の面との境界においてなされることを特徴とする発光デバイス。
【請求項1】
半導体発光素子によって放射される光に作用を及ぼすよう、前記半導体発光素子の少なくとも一つの面にフレネルレンズ及びホログラフィックディフューザのうちの少なくとも一つを形成する工程を含み、
前記形成する工程は、アブレーション加工、機械加工、スクライビング加工、放電加工、から選択した少なくとも一つの方法を含んでおり、
前記少なくとも一つの面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方である
ことを特徴とする、発光デバイスを形成する方法。
【請求項2】
発光デバイスを形成する方法であって、
半導体発光素子によって放射される光に作用を及ぼすよう、前記半導体発光素子の少なくとも一つの面にスタンピングを行う工程を含んでおり、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方であることを特徴とする方法。
【請求項3】
さらに、前記発光デバイスの面を反射層でコーティングする工程を含んでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スタンピングを、前記半導体発光素子の半導体層及びサブストレート層のうちの少なくとも一方に対して行う、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体層は、アルミニウムを含む透明な化合物を含んでいる請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記スタンピング工程は、室温よりも高い温度において実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、さらに、前記スタンピング工程の後に前記半導体発光素子から前記スタンピングブロックを引き離すのを容易にするために、前記高い温度を低くする工程を含んでいる方法。
【請求項8】
前記高い温度は、前記光学エレメントを形成する前記少なくとも一つの面を構成する材料の延性遷移温度よりも高いものである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スタンピング工程は、モリブデン、チタン、ジルコン、グラファイト、シリコンカーバイド、サファイア、ステンレススチール、タングステン、ニオブ、そして、これらの化合物のグループから選択された材料からなるスタンプングブロックを用いるものである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
複数の発光デバイスを含んでいる発光ダイオードアレーであって、前記発光デバイスは、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の面にスタンピング加工されたフレネルレンズ及びホログラフィックディフューザのうちの一つとを含み、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方あることを特徴とする発光ダイオードアレー。
【請求項11】
複数の発光デバイスを含んでいる発光アレーであって、前記発光デバイスは、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の面にスタンピングされた光学エレメントとを含み、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)及びIII-窒化物半導体化合物を含む化合物であることを特徴とする発光アレー。
【請求項12】
少なくとも一つの青色発光デバイス、少なくとも一つの緑色発光デバイス、少なくとも一つの赤色発光デバイスを含んだディスプレーデバイスであって、前記青色発光デバイス、緑色発光デバイス、赤色発光デバイスのうちの少なくとも一つは、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の面にスタンピング加工されたフレネルレンズ及びホログラフィックディフューザのうちの一つとを含み、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方であることを特徴とするディスプレーデバイス。
【請求項13】
少なくとも一つの青色発光デバイス、少なくとも一つの緑色発光デバイス、少なくとも一つの赤色発光デバイスを含んだディスプレーデバイスであって、前記青色発光デバイス、緑色発光デバイス、赤色発光デバイスのうちの少なくとも一つは、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の面にスタンピングされた一つの光学エレメントとを含み、
前記スタンピングされた面は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む化合物及びIII-窒化物半導体化合物のうちの一方であることを特徴とするディスプレーデバイス。
【請求項14】
発光デバイスから放射される光に対して透明な材料に光学エレメントをスタンピングする工程であって、前記材料は屈折率の大きい光学ガラス、III-V半導体、II-VI半導体、IV族の半導体、屈折率の大きい有機半導体、屈折率の大きい有機化合物、そしてこれらの混合物又は合金のうちの一つである、そのような工程と、
前記材料を半導体発光素子にボンディングする工程であって、ボンディングは、前記材料と光が発光素子から出る半導体発光素子の面との境界においてなされる、そのような工程と、
を含む、発光デバイスを形成する方法。
【請求項15】
前記スタンピング工程を、前記ボンディング工程よりも先行して行う、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ボンディング工程を、前記スタンピング工程によりも先行して行う、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ボンディング工程は、前記材料をボンディング材料を用いて半導体発光素子へボンディングする工程であり、前記ボンディング材料は、前記材料は屈折率の大きい光学ガラス、III-V半導体、II-VI半導体、IV族の半導体、屈折率の大きい有機半導体、屈折率の大きい有機化合物、そしてこれらの混合物又は合金のうちの一つである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ボンディング工程は、前記材料を前記半導体発光素子と共に、室温よりも高い温度でプレスすることからなる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
半導体発光素子と、
発光デバイスから放射される光に対して透明な材料にスタンピングされた光学エレメントとを含み、
前記材料は、前記材料は屈折率の大きい光学ガラス、III-V半導体、II-VI半導体、IV族の半導体、屈折率の大きい有機半導体、屈折率の大きい有機化合物、そしてこれらの混合物又は合金のうちの一つであり、
前記材料は、前記半導体発光素子にボンディングされ、ボンディングは、前記材料と光が発光素子から出る半導体発光素子の面との境界においてなされることを特徴とする発光デバイス。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−156566(P2012−156566A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117744(P2012−117744)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【分割の表示】特願2008−267869(P2008−267869)の分割
【原出願日】平成14年4月1日(2002.4.1)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【分割の表示】特願2008−267869(P2008−267869)の分割
【原出願日】平成14年4月1日(2002.4.1)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【Fターム(参考)】
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