説明

光学アクセサリー取付装置

【課題】鏡筒の先端の内周面にある雌螺旋部を利用して光学アクセサリーを螺合以外の方法にて簡単に着脱できるようにし、写真撮影をするに際して光学アクセサリーを使用し易くする。
【解決手段】光学アクセサリーを支持する支持部3と、鏡筒の先端の内側に挿入可能で外周面6が鏡筒の先端側の雌螺旋部に対応位置する筒状連結部5となり、筒状連結部5の外周面6に、突没して鏡筒の先端側の雌螺旋部に係脱可能にして係止する係止手段7を設け、その係止手段7を筒状連結部5の外周面6周りに複数にして配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は写真カメラのカメラレンズの前方に光学アクセサリーを配置するための光学アクセサリー取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から写真カメラでの撮影に際して、撮影効果を付加する目的で各種のフィルタが用いられている。そして、写真カメラの鏡筒の前方に前記フィルタを配置させることができるように、その鏡筒の先端の内周面に雌螺旋部が設けられているとともに、フィルタ枠(円枠)の外周面にも雄螺旋部が設けられていて、フィルタ枠の前記雄螺旋部と鏡筒の雌螺旋部とを対応させてねじ入れるようにしてフィルタを取り付けている。また、フィルタばかりでなく各種の光学アクセサリーを鏡筒の前部に配置することができるようにその光学アクセサリー側に前記雄螺旋部を設け、鏡筒の雌螺旋部への螺合によって取り付けている。
また、光学アクセサリーの取付が簡単に行なえるようにするために、鏡筒の周方向に間隔をおいて複数の保持体を備え、その保持体を鏡筒の半径方向に揺動可能にし、その保持体の鏡筒内方側にアクセサリーの雄螺旋部と係合する雌螺旋部を設けて、保持体それぞれの倒し込みしてアクセサリーの雄螺旋部と係合できるようにする工夫が提案されている。(特許文献1)
【特許文献1】特開平11−352545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、光学アクセサリーを、カメラレンズの前方、即ち、鏡筒の先端側に配置するに際して、より一層簡単に着脱が行なえるようにしたいとの要望がある。例えば、光学アクセサリーの一つである簡易的なホワイトバランス調整用基準用具(ドーム形状の透光性のある白色板など)を鏡筒の先端側に配置して写真カメラのホワイトバランスを整えるときに、そのホワイトバランス調整用基準用具の着脱を容易にしたいとの要望がある。即ち、このホワイトバランス調整用基準用具にあっては、ホワイトバランスの調整が済めば取り外すこととなるが、その調整自体が直ぐに終わるため、上述したような鏡筒の先端側の雌螺旋部にねじ付ける取付形態では、ホワイトバランス調整用基準用具の着脱が煩雑になるという不都合があある。なお、単にホワイトバランス調整用基準用具を片手でもって鏡筒の先端側に当てがったままでの調整作業は困難である。
そして、上述した鏡筒側に保持体を組み入れてこの保持体によって光学アクセサリーを保持する形態では、鏡筒側の構造を変更する必要があって写真カメラのコストを引き上げてしまうなどの大きな問題があり、ホワイトバランス調整用基準用具自体にも結局は雄螺旋部を設ける必要が出てくる。
そこで本発明は上記事情に鑑み、鏡筒の先端の内周面にある雌螺旋部を利用して光学アクセサリーを螺合以外の方法にて簡単に着脱できるようにすることを課題とし、写真撮影をするに際して光学アクセサリーを使用し易くすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、鏡筒の先端に取り付けて、フィルタやホワイトバランス調整用基準用具などの光学アクセサリーを鏡筒の先端側に配置する光学アクセサリー取付装置であって、前記光学アクセサリーを支持する支持部と、鏡筒の先端の内側に挿入可能で外周面が鏡筒の先端側の雌螺旋部に対応位置する筒状連結部となり、前記筒状連結部の外周面に、突没して前記鏡筒の先端側の雌螺旋部に係脱可能にして係止する係止手段が設けられ、該係止手段が筒状連結部の外周面周りに複数にして配置されていることを特徴とする光学アクセサリー取付装置を提供して、上記課題を解消するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、光学アクセサリーを支持部に取り付けた状態で鏡筒の先端側に筒状連結部を挿入すれば、係止手段が鏡筒の先端側の雌螺旋部に係脱可能に係止して、その光学アクセサリーが鏡筒の先端側に配置され、また、本光学アクセサリー取付装置を鏡筒の先端から引くようにすれば、前記係止手段が鏡筒の雌螺旋部から外れることとなり、簡単に光学アクセサリーを鏡筒から取り外すことができ、光学アクセサリーの鏡筒の先端に対する着脱が極めて容易になるなどの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
つぎに本発明を図1から図4に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図中1は光学アクセサリー取付装置で、該光学アクセサリー取付装置1にあっては、略ドーム形状としたホワイトバランス調整用基準用具2を支持する支持部3を支持体4の外周部分に設けていて、前記支持体4の前面側にホワイトバランス調整用基準用具2を位置させ、さらに前記支持体4の背面に、鏡筒Aの先端の内側に挿入させることのできる筒状連結部5がその筒状連結部5の中心が前記支持体4の同心となるようにして一体に設けられている。前記筒状連結部5は前述したように鏡筒Aの先端の内側に挿入位置させることができて、この筒状連結部5の外周面6が鏡筒Aの先端の内側にある雌螺旋部Bに対応位置するとともに、筒状連結部5を鏡筒Aの内側において同心にして挿入配置したときに筒状連結部5の外周面6が前記雌螺旋部Bに対して非接触で近接する状態となるように筒状連結部5の外径が設けられている(図2参照)。
なお、鏡筒Aの上記雌螺旋部Bが位置する部分での内径は、写真カメラのレンズ径や交換レンズ径によって変わるが、無段階に変わっているものではなく、従来からほぼ規格値として段階的に定められている。よって、筒状連結部5の外周面6が、鏡筒Aの雌螺旋部Bに非接触で近接状態とするために、本光学アクセサリー取付装置1は、この筒状連結部5の外径が異なる複数種類のものが用意される。
【0007】
上記筒状連結部5はその外周面に周方向に等間隔にして三つの係止手段7が位置している。この係止手段7は、筒状連結部5の内周面に亘って凹溝8を設け、係止手段7とする位置で前記凹溝8に連通する細幅の透孔9を開口し、図3に示すようにばね性を備えた金属線からなる略C環状としたばね材10が前記凹溝8に亘って嵌め入れられて、拡径方向への付勢力が生じるように設けられ、そして、前記略C環状のばね材10において前記透孔9に対応する位置に径方向での外方に向けて山形とされた突起部11を、前記透孔9を通って外周面位置から外方に向けて突没可能にして突出させたものである。そして、この突没可能な係止手段7それぞれは上記雌螺旋部Bに係脱可能にして係止するものであり、筒状連結部5を鏡筒Aの先端側に嵌め入れることで光学アクセサリー取付装置1が鏡筒Aの先端に取り付けられ、上記ホワイトバランス調整用基準用具2が鏡筒Aの前方に安定的に配置されるようになる。
勿論、鏡筒Aから筒状連結部5を抜くように手持ちで本光学アクセサリー取付装置1を引っ張る操作をしたときに係止手段7の突起部11が雌螺旋部Bから外れるように係止手段7の突起部11の雌螺旋部Bに対する当接力が調整されており、本光学アクセサリー取付装置1を片手で持って鏡筒Aから離すように引くという簡単な操作でホワイトバランス調整用基準用具2を外すことができる。
【0008】
なお、一例ではあるが、雌螺旋部Bのねじ山ピッチが約0.7mmであるとき、突起部11の厚さを約0.3mmとすれば、雌螺旋部Bの螺旋山間に安定して位置することができ、この厚さの突起部11それぞれを爪先で軽く押すことで没する程度の圧力で外方に突出している状態とすれば、本光学アクセサリー取付装置1の鏡筒Aに対する着脱が容易であり、鏡筒Aの前方に配して用いるドーム形状のホワイトバランス調整用基準用具を本光学アクセサリー取付装置1に組み付けた状態で鏡筒Aの前方に配しても、脱落することなく安定的にその鏡筒Aの先端に位置させることができる。
【0009】
上記実施の形態において、係止手段を三つとしたが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。また、係止手段としてばね性のある金属線からなるばね材の突起部を筒状連結部の透孔から突出させる構成としているが、筒状連結部に径方向に開口した円孔に内方から球体を配し、これをスプリングにより外方に向けて押し付けて突没して雌螺旋部に係脱できる構成とすることも可能であり、係止手段の構造も各種公知のものが採用できる。
上記実施の形態では、鏡筒Aの径に比較して径が大きくなるホワイトバランス調整用基準用具2をその鏡筒Aの先端に配置するため、支持体4を、ホワイトバランス調整用基準用具2の支持部3を外周に配して中央に筒状連結部5の中央開口が位置している円盤の形態としたが、本光学アクセサリー取付装置1はホワイトバランス調整用基準用具専用のものではなく、各種のフィルタに対応するものであってもよい。この場合、図4に示すようにフィルタ12の径は鏡筒Aの先端側の径とほぼ同じとなるため、支持部3の径と筒状連結部5の径との差は小さいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る光学アクセサリー取付装置の一例を示す説明図である。
【図2】一例を断面で示す説明図である。
【図3】ばね板を示す説明図である。
【図4】光学アクセサリーをフィルタとした例を断面で示す説明図である。
【符号の説明】
【0011】
1…光学アクセサリー取付装置
2…ホワイトバランス調整用基準用具
3…支持部
4…支持体
5…筒状連結部
7…係止手段
8…凹溝
9…透孔
10…ばね材
11…突起部
A…鏡筒
B…雌螺旋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡筒の先端に取り付けて、フィルタやホワイトバランス調整用基準用具などの光学アクセサリーを鏡筒の先端側に配置する光学アクセサリー取付装置であって、
前記光学アクセサリーを支持する支持部と、鏡筒の先端の内側に挿入可能で外周面が鏡筒の先端側の雌螺旋部に対応位置する筒状連結部となり、前記筒状連結部の外周面に、突没して前記鏡筒の先端側の雌螺旋部に係脱可能にして係止する係止手段が設けられ、該係止手段が筒状連結部の外周面周りに複数にして配置されていることを特徴とする光学アクセサリー取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−86194(P2007−86194A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272553(P2005−272553)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(592159999)株式会社ケンコー (9)
【Fターム(参考)】