説明

光学ガラス、プレス成形用ガラスゴブ、光学部品、ガラス成形体の製造方法および光学部品の製造方法

【課題】 高光透過率、高屈折率および優れた製造安定性を有する光学ガラスを提供する。
【解決手段】
ガラス成分として、CaO、SrOの少なくとも一方と、SiO2、B2O3、La2O3、Nb2O5、TiO2、BaOが共存する光学ガラスであって、実質的に、重量%表示で、SiO2 1〜18%、B2O3 3〜24%(ただし、SiO2の含有量に対するB2O3の含有量の割合B2O3/SiO2が1超)、La2O3 10〜50%、Nb2O5 1〜30%、TiO2 1〜30%、BaO 6%を超え25%以下、CaO 7%未満、SrO 6%以下、MgO 0〜13%(ただし、BaO、CaO、SrOおよびMgOの合計含有量が40%以下)、ZnO 0〜15%、ZrO2 0〜15%、Al2O3 0〜10%、Gd2O3 0〜20%、Y2O3 0%以上2%未満、Yb2O3 0〜5%、Ta2O5 0〜18%、Bi2O3 0〜20%、GeO2 0〜10%、Sb2O3 0%以上2%未満、SnO2を0%以上2%未満を含む組成を有し、屈折率(nd)が1.8超、アッベ数(νd)が28〜40、密度が4.2g/cm3以上である光学ガラスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高屈折率の光学ガラス、該光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ、光学部品、ガラス成形体の製造方法および光学部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの普及に伴い、小型レンズの需要はますます高まってきている。このような小型レンズを作製するための光学ガラス材料として、屈折率(nd)が1.8を超えるような高屈折率ガラスは好適である。
【0003】
しかしながら、従来のガラスにおいては、屈折率が高くなると共に、着色する傾向が強くなったり、ガラスの製造安定性が低下してしまうという不都合があった。ガラスの着色傾向が強まると、デジタルカメラの場合などは特に、撮像素子にCCDなどを用いるので、撮像装置全体として見た場合、三原色のうち、短波長側にある青色の感度が減少するという問題があった。
【0004】
また、屈折率(nd)が1.8を超えるような高屈折率ガラスとして、カメラレンズ用ではないが、特許文献1〜3に開示されているようなメガネ材として使用されるガラスが知られている。しかし、これらのガラスは低密度であり、メガネ材としては優れたものではあるが、低密度化を優先するため製造安定性の向上という観点から好ましいものではなかった。
【特許文献1】特開平3-5340号公報
【特許文献2】特開平6-56462号公報
【特許文献3】特開平6-87628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、高光透過率、高屈折率および優れた製造安定性を有する光学ガラス、該光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ、上記光学ガラスからなる光学部品、上記光学ガラスからなるガラス成形体の製造方法および上記光学部品の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有する光学ガラスにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)ガラス成分として、CaO、SrOの少なくとも一方と、SiO2、B23、La23、Nb25、TiO2、BaOが共存する光学ガラスであって、実質的に、重量%表示で、
SiO2 1〜18%、
23 3〜24%(ただし、SiO2の含有量に対するB23の含有量の割合B23/SiO2が1超)、
La23 10〜50%、
Nb25 1〜30%、
TiO2 1〜30%、
BaO 6%を超え25%以下、
CaO 7%未満、
SrO 6%以下、
MgO 0〜13%(ただし、BaO、CaO、SrOおよびMgOの合計含有量が40%以下)、
ZnO 0〜15%、
ZrO2 0〜15%、
Al23 0〜10%、
Gd23 0〜20%、
23 0%以上2%未満、
Yb23 0〜5%、
Ta25 0〜18%、
Bi23 0〜20%、
GeO2 0〜10%、
Sb23 0%以上2%未満、
SnO2 0%以上2%未満
を含む組成を有し、屈折率(nd)が1.8超、アッベ数(νd)が28〜40、密度が4.2g/cm3以上である光学ガラス、
(2)BaOの含有量に対するCaOの含有量の割合(CaO/BaO)が2以下、および/またはBaOの含有量に対するSrOの含有量の割合(SrO/BaO)が2以下である上記(1)に記載の光学ガラス、
(3)BaOの含有量に対するCaOの含有量の割合(CaO/BaO)が0.1〜2、および/またはBaOの含有量に対するSrOの含有量の割合(SrO/BaO)が0.1〜2である上記(2)に記載の光学ガラス、
(4)屈折率(nd)が1.86超である上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(5)液相温度が存在し、液相温度における動粘性率が0.70×10-4〜4.0×10-4m2/sである上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とするプレス成形用ガラスゴブ、
(7)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とする光学部品、
(8)容器内に蓄積した清澄、均質化した熔融ガラスをパイプ流出口から流出して上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるガラス成形体を作製することを特徴とするガラス成形体の製造方法、および
(9)上記(6)に記載のプレス成形用ガラスゴブを加熱、軟化し、プレス成形する工程を含むことを特徴とする光学部品の製造方法
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高光透過率、高屈折率および優れた製造安定性を有する光学ガラス、該光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ、上記光学ガラスからなる光学部品、上記光学ガラスからなるガラス成形体の製造方法および上記光学部品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
〔光学ガラス〕
先ず、本発明の光学ガラスについて説明する。
本発明の光学ガラスは、ガラス成分として、CaO、SrOの少なくとも一方と、SiO2、B23、La23、Nb25、TiO2、BaOが共存する光学ガラスであって、実質的に、重量%表示で、
SiO2 1〜18%、
23 3〜24%(ただし、SiO2の含有量に対するB23の含有量の割合B23/SiO2が1超)、
La23 10〜50%、
Nb25 1〜30%、
TiO2 1〜30%、
BaO 6%を超え25%以下、
CaO 7%未満、
SrO 6%以下、
MgO 0〜13%(ただし、BaO、CaO、SrOおよびMgOの合計含有量が40%以下)、
ZnO 0〜15%、
ZrO2 0〜15%、
Al23 0〜10%、
Gd23 0〜20%、
23 0%以上2%未満、
Yb23 0〜5%、
Ta25 0〜18%、
Bi23 0〜20%、
GeO2 0〜10%、
Sb23 0%以上2%未満、
SnO 0%以上2%未満
を含む組成を有し、屈折率(nd)が1.8超、アッベ数(νd)が28〜40、密度が4.2g/cm3以上であることを特徴とする。
【0010】
先ず、本発明の光学ガラスにおける組成および特性について詳説するが、以下、各ガラス成分および添加剤(清澄剤)の含有量、合計含有量は重量%表示にて表すことにする。
【0011】
SiO2は、耐失透性を維持するためのガラス網目形成成分であり、その含有量は1〜18%であり、1〜15%が好ましく、3〜12%がより好ましく、4〜10%の範囲がさらに好ましい。SiO2が過少であると、熔融ガラスの粘性が低くなるため、高品質のガラスを成形することが難しくなり、過剰になると熔解性が悪化し、安定に製造することが難しくなるとともに、目的の光学恒数を得ることが難しくなる。
【0012】
23は、網目形成成分としてまたガラスの熔融性、流動粘性の温度低下に効果的な成分であり、3%以上の含有が必要であるが、24%を上回ると屈折率が低下し、目的とする光学恒数範囲のガラスが得られない。従ってB23の含有量は3〜24%であり、5〜20%が好ましく、6〜18%がより好ましく、6〜16%がさらに好ましい。
【0013】
また、SiO2の含有量に対するB23の含有量の割合B23/SiO2が1以下であると熔解性、耐失透性が悪化してしまうため、上記割合B23/SiO2は1超にする。熔解性、耐失透性が低いガラスを熔解、成形する際、ガラス原料のとけ残りや流出、成形時における失透を防ぐためには、ガラスの熔解温度を過剰に高くしなければならない。過剰に高い温度でガラスを熔解すると、ガラスが着色しやすくなるが、B23/SiO2を1超にすることでガラスの着色を低減することもできる。上記割合B23/SiO2は1.2以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。
【0014】
La23は高屈折率、低分散のガラスを得るために必須の成分であるが、10%より少ないと屈折率が低下し、50%より多いと耐失透性が低下するため、安定生産可能なガラスが得られない。従ってLa23の含有量は10〜50%であり、18〜47%が好ましく、25〜47%がより好ましく、27〜45%がさらに好ましい。
【0015】
Nb25は高屈折率をもたらす成分であり、耐失透性を改善する効果を有するが、30%を超えると短波長域での光吸収が強まり、着色を生じる傾向が強い。よってその含有量は1〜30%であり、1〜20%が好ましく、1〜15%がさらに好ましい。
TiO2は屈折率やアッベ数などの光学特性を調整しつつ、化学的耐久性、耐失透性を向上させるための必須成分であるが、1%未満であると耐失透性が低下し、30%を越えると短波長の透過率が低下し熔解性も悪化する。よってTiO2の含有量は1〜30%であり、1〜26%が好ましく、8〜20%が更に好ましい。
【0016】
また、良好な透過率を有するガラスを得るために、Nb25の含有量はTiO2の含有量よりも少ないことが好ましく、重量比でNb25/TiO2<0.8であることがより好ましく、重量比でNb25/TiO2<0.5であることが更に好ましい。
【0017】
BaOは高屈折率をもたらす成分であり、可視光領域の短波長端におけるガラスの光透過率を向上させる効果があるため、6%超導入するが、25%を上回ると耐失透性が悪化する。このため、BaOの含有量は6%超25%以下であり、7〜20%が好ましく、7%以上13%未満がより好ましく、8%以上13%未満がさらに好ましい。
【0018】
本発明において最も特徴的な点は、ガラス成分としてCaO、SrOの少なくとも一方を所定の範囲で加える点である。
【0019】
本発明の光学ガラスは、CaO、SrOの少なくとも一方をガラス成分として含むものであり、上記光学ガラスとしては、CaOのみを導入したガラス、SrOのみを導入したガラス、CaOおよびSrOを導入したガラスが挙げられる。中でも、後述する動粘性率を増加させる上からCaOのみを導入したガラスと、CaOおよびSrOを導入したガラスが好ましく、CaOのみを導入したガラスがより好ましい。SrOによってCaOの働きの一部を補う場合、CaOおよびSrOを導入したガラスにおいて、CaOの含有量をSrOの含有量よりも多くすることが好ましい。
【0020】
CaOの含有量は7%未満であり、0.1%以上7%未満が好ましく、0.1〜6%がより好ましく、1〜6%がさらに好ましく、2〜6%がより一層好ましく、3〜6%がなお一層好ましく、3〜5%が特に好ましい。
また、SrOの含有量は6%以下であり、5%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.1〜0.8%がさらに好ましい。
【0021】
CaO、SrOの含有量が上記範囲内にある場合、可視光領域の短波長側におけるのガラスの光吸収や耐失透性は良好な状態に維持される。そして、ガラスの密度を4.2g/cm3以上に維持しつつ、その値を4.2g/cm3を大きく上回らない値にすることができるため、ガラスの密度に対する液相温度における粘度の割合で定まるガラスの動粘性率を大きくすることができ、ガラス成形体製造時に乱流による脈理発生を効果的に防止することができる。
【0022】
ここで、ガラス成形体製造時におけるガラスの動粘性率と乱流による脈理発生との関係について説明する。
【0023】
熔融ガラスからガラス成形体を得る方法に一つに、容器内に蓄積した清澄、均質化した熔融ガラスをパイプを通して流下させ、パイプ流出口から流出する熔融ガラスを冷却過程で成形体に成形するという方法がある。
【0024】
ガラスの流出はガラスが失透してしまう温度よりも高い温度で行う必要がある。そのため、失透温度が高いガラスではガラスの流出温度を高くしなければならないが、この場合流出時のガラスの粘度も低くなる。一般にガラス網目形成成分の量が多いガラスは安定性が高いため、比較的低い温度でガラスの流出を行っても失透を防止でき、高品質のガラスを容易に成形し得る程度の粘度でガラスを流出することができる。しかしながら、本発明の光学ガラスのような屈折率の高いガラスでは、屈折率がさほど高くないガラスと比べ、高屈折率付与成分の含有量を多くする分、ガラス網目形成成分の含有量が相対的に少なくなる。このため、屈折率が高いガラスでは、失透防止のため流出温度を比較的高くしなければならず、流出粘度が低くなってしまう。
【0025】
このように低粘度のガラスを上記方法により容器内からパイプを通して流下させると、ガラスの密度が大きいほど流出するガラス中に乱流が生じやすく、この乱流がガラス成形体中に脈理を発生させる原因となる。乱流による脈理は、ガラスの密度だけで決まるものではなく、ガラスの液相温度における粘度(液相粘性という)にもより、ガラスの密度に対する液相粘性の割合で規定されるガラスの動粘性率(液相粘性/ガラスの密度)を大きくすることによって脈理発生を低減することができる。なお、光学部品の重量増大、それに伴うレンズなどの駆動消費電力の増大を抑える上からガラスの密度は4.70g/cm3未満であることが好ましい。
【0026】
本発明の光学ガラスは、CaO、SrOの少なくとも一方を所定量含むことにより、得られるガラスの密度および液相粘性が適正な範囲に規定され、乱流による脈理発生を効果的に防止することができる。
【0027】
また、BaO、CaOおよびSrOのそれぞれの含有量を上記の範囲にすることにより、ガラス転移温度(Tg)を低下することができ、ガラスをプレス成形する場合、特にガラスを再加熱してプレス成形する場合の成形性を良化し、ガラスのアニール温度を低減することもできるため、成形装置やアニール炉への負担を軽減することができ、省エネルギーの面からも好ましい。
ガラス成分としてCaOを導入する場合、高屈折率低分散特性を維持しつつ、ガラスの製造安定性、プレス成形性、可視光領域の短波長端側における光透過率を良好にする上から、BaO含有量に対するCaO含有量の割合(CaO/BaO)は2以下とすることが好ましく、0.1〜2とすることがより好ましく、0.1〜1とすることがさらに好ましく、0.1〜0.9とすることがより一層好ましく、0.1〜0.88とすることがなお一層好ましく、0.15〜0.88とすることが特に好ましい。
【0028】
SrOを導入する場合、可視光領域の短波長端側におけるガラスの光透過率が一定のガラスを量産するために、BaO含有量に対するSrO含有量の割合(SrO/BaO)を2以下とすることが好ましく、1.8以下とすることがより好ましく、1.7以下とすることがさらに好ましく、0.1〜1.65とすることがより一層好ましく、0.25〜1.62とすることがなお一層好ましい。
【0029】
MgOは光学恒数の調整のために導入可能な任意成分であって、その導入量は0〜13%であり、0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましい。
【0030】
なお、BaO、CaO、SrOおよびMgOの合計含有量はガラスの耐失透性に配慮して、40%以下とし、30%以下とすることが好ましく、20%以下とすることがより好ましい。また、BaO、CaO、SrO、MgOのガラス原料として炭酸塩あるいは硝酸塩を用いることができるので、脱泡を促進する効果を得ることもできる。
【0031】
ZnOは、ガラスに高屈折率、低分散特性を付与し、耐失透性を良化するとともに、粘性流動の温度を低下させる効果を有する成分である。しかし、15%を上回ると失透性が強くなり、安定製造可能なガラスが得られない。従ってZnOの含有量は0〜15%であり、0〜13%が好ましく、0.5〜5%がより好ましく、1〜5%がさらに好ましい。
【0032】
ZrO2は高屈折率をもたらす成分であり、かつ少量の導入で耐失透性を改善する効果を有するため、0〜15%の範囲で導入する。しかしながら、15%を上回ると逆に耐失透性が低下し、熔解性も悪化する。従ってZrO2の含有量は0〜15%であり、0〜10%が好ましく、1〜10%がより好ましく、3〜8%がさらに好ましい。
【0033】
Al23は少量の導入で耐失透性を改善する作用を有する場合があるが、同時に屈折率が低下するため、その含有量は0〜10%であり、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましい。
【0034】
Gd23は、La23との置換により20%まで導入することが可能であるが、20%を越えると耐失透性が悪化し、安定生産可能なガラスが得られない。従ってGd23の含有量は0〜20%であり、0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0〜3%がさらに好ましく、さらには添加しないことが望ましい。
【0035】
23、Yb23も、La23との置換によりそれぞれ0%以上2%未満、0〜5%の範囲で導入することが可能であるが、これらの量を上回ると耐失透性が悪化し、安定生産可能なガラスが得られない。また、Y2O3、Yb23はLa23に類似する効果を発現する成分ではあるが、La23と比較して原料が高価であり経済的に不利であるため、Y2O3、Yb23の含有量は少なくすることが望ましい。Y2O3、Yb23の含有量は、それぞれ0〜1%、0〜4%とすることが好ましく、それぞれ導入しないことがより好ましい。特にYb23は、ガラスの密度を増加させ動粘性率を低下させてしまったり、あるいは光学部品の重量を増大させレンズ等の駆動消費電力を増大させてしまうなどの不都合を生じさせてしまう。
【0036】
Ta25は高屈折率、低分散をもたらす成分であり、ガラスを低分散にさせる場合には有用であるが、18%を越えると熔解性が悪化する。よってTa25の含有量は0〜18%であり、0%以上5%未満とすることが好ましい。Ta25は高価であるため、経済的観点から導入しないことがより好ましい。
【0037】
Bi23は少量の導入でガラス転移温度(Tg)を低下させる効果を有するが、20%を上回ると耐失透性が低下し、着色傾向が強まる。従ってBi23の含有量は0〜20%であり、0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましく、導入しないことがさらに好ましい。
【0038】
GeO2はSiO2と同様の効果を有し、10%まで導入することができる。しかしながら、10%を上回ると耐失透性が低下する。従ってGeO2の含有量は0〜10%であり、0〜3%が好ましい。GeO2は非常に高価な原料であるため、導入しないことがより好ましい。
【0039】
本発明のガラスのように屈折率が高いガラスでは、耐失透性が少しでも低下すると、熔融ガラスからガラス成形体を得る場合失透防止のため熔融ガラスの温度を高く(粘性を低く)しなければならなくなり、脈理発生の危険が高まる。したがって、僅かな耐失透性の低下も好ましくない。
【0040】
Li2O、Na2O、K2Oはガラス転移温度(Tg)の低下に効果的な成分であり、特にLi2Oはガラス転移温度の低下効果が極めて高い。しかしながら、これらアルカリ金属酸化物は、ガラスの耐失透性を低下させ、屈折率も低下させるため、高品質なガラスを高い生産性のもとに作製する場合は、アルカリ金属酸化物を導入しないことが望ましい。一方、耐失透性を犠牲にしてガラス転移温度(Tg)を低下させたい場合やガラスの熔融性を向上させたい場合は、Li2O、Na2OおよびK2Oの少なくとも一種を合計含有量で0%以上1.5%未満、好ましくは0〜1%、より好ましくは0〜0.5%導入することができる。
【0041】
熔融ガラスをパイプから流出してガラス成形体を成形する場合は、脈理発生を低減し、防止する観点からガラスの耐失透性低下は大きな問題となるため、上記アルカリ金属酸化物に限らずアルカリ金属成分は導入しないことが好ましい。
【0042】
WO3は少量の添加によって 耐失透性を良化させる働きがあるが、上記ガラスに僅かでも導入すると可視光領域の短波長域におけるガラスの光吸収が強まり、着色を生じる傾向が著しく強くなるため、WO3は導入しないことが望ましい。ガラスの着色を犠牲にしつつ、耐失透性を良化を優先する場合は、0%以上0.5%未満の範囲で導入することができる。
【0043】
本発明の光学ガラスは実質的に上記ガラス成分に清澄剤を任意に加えたものからなる。
上記成分以外に一般的に清澄剤として用いられているSb23、SnO2はそれぞれ0%以上2%未満添加することが可能である。Sb23、SnO2の添加量はそれぞれ、0%以上2%未満であり、0〜1%が好ましく、0〜0.5%がより好ましく、添加しないことがさらに好ましい。
【0044】
以上のように、高屈折率低分散特性を実現しつつ、製造安定性をより一層向上させるとともに可視光領域の短波長端側におけるガラスの光吸収を抑える上から、
SiO2、B23、La23、Nb25、TiO2、BaO、CaO、SrO、MgO、ZnO、ZrO2、Al23、Sb23、SnO2の合計含有量を100%にすることが好ましい。
【0045】
なお、本発明のガラスは、高屈折率付与成分として知られているPbOを導入しなくても高屈折率を実現することができ、またPbOは環境影響上、使用を控えることが望まれる成分であるから、PbOは導入しないことが好ましい。同様に、Cd、Cr、Asも環境影響上、使用を控えることが望まれる成分であるから、Cd、Cr、Asは導入しないことが好ましい。
さらに、本発明の光学ガラスはLu23を導入しなくても高屈折率化が可能であり、Lu23は高価であるため、経済性を考慮するとLu23を導入しないことが好ましい。
また、Fはガラスの均質性に悪影響を及ぼすから、Fも導入しないことが望ましい。
【0046】
次に本発明の光学ガラスの光学特性について説明する。
本発明の光学ガラスは、屈折率(nd)が1.8超、アッベ数(νd)が28〜40である。ガラスの屈折率を増加させる組成調整を行うと耐失透性が低下しやすいが、本発明の光学ガラスによれば優れた耐失透性を得ることができるので、屈折率をより高めることができる。そのため、本発明のガラスは屈折率(nd)1.81以上が好ましく、1.86超がより好ましく、1.87以上がさらに好ましい。ガラスの製造安定性を損なわないようにする上から屈折率(nd)の上限は2.1とすることが望ましく、1.93以下とすることがより望ましい。
また、アッベ数(νd)においても、より製造安定性の優れたガラスを得る上から、アッベ数(νd)を28〜34とすることが好ましい。
【0047】
前述のように、ガラスの密度を過剰に減少させると、製造安定性が著しく低下してしまうため、本発明の光学ガラスにおけるガラスの密度は4.2g/cm3以上であり、またガラスの密度を過剰に増加させても製造安定性が低下するため、ガラスの密度は4.2g/cm3以上4.70g/cm3未満が好ましい。なお、本明細書においてガラスの密度は室温におけるガラスの密度を意味する。
【0048】
前述のようにガラスに液相温度が存在し、液相温度における粘度(液相粘性)をガラスの密度で割ったもの(液相粘性/ガラスの密度)を動粘性率という。先に説明したように、ガラスの動粘性率が低すぎるとガラスの乱流により脈理が生じやすくなり、動粘性率が高すぎるとガラスの流出が困難になる。
【0049】
このような観点から、動粘性率は0.70×10-4〜4.0×10-4m2/sが好ましく 、0.80×10-4〜4.0×10-4m2/sがより好ましく、1.00×10-4〜4.0×10-4m2/sがさらに好ましく、1.05×10-4m2/s〜4.0×10-4m2/sが一層好ましく、1.05×10-4〜2.5×10-4m2/sがより一層好ましく、1.05×10-4〜2.0×10-4m2/sが特に好ましい。
【0050】
本発明によれば、ガラスの着色度λ70を430nm以下、好ましくは420nm以下にすることができる。本発明の光学ガラスはλ70〜700nmの波長域において70%以上の外部透過率を有し得るため、各種光学部品のガラス材料として好適である。
【0051】
なお、着色度λ70とは、厚さ10mmの互いに平行かつ光学研磨が施された2平面を有するガラス試料を用いて、波長280〜700nmにおいて上記2平面の一方に垂直方向から光を入射して他方の面から出射する光の外部透過率(ガラス試料表面における反射損失を含む)を測定し、外部透過率が70%となる波長を意味する。λ70は必ずしも厚さ10mmの試料で測定する必要はなく、異なる厚さの試料を用いて測定を行い、測定値をもとに換算して求めることができる。λ80、λ5は、上記ガラス試料を使用して上記波長域で測定を行ったとき、それぞれ外部透過率が80%となる波長、外部透過率が5%となる波長のことである。
【0052】
撮像光学系を構成する光学部品の材料としてガラスを使用する場合、可視光領域の短波長端側におけるガラスの光吸収による着色は光学系の優劣に敏感に影響する。上記着色はガラス組成そのものに起因するものと、熔融、清澄、均質化の過程で白金製あるいは白金合金製の容器から白金イオンがガラス中に溶け込むことによるものが合わさったものである。白金イオンの溶け込みは熔融温度が高くなるほど大きくなるため、白金イオンによる着色を僅かでも低減するには熔融温度や清澄温度を大幅に低下しなければならず、ガラスの泡切れが悪くなるなどの支障が生じてしまう。したがって、ガラス組成面から僅かでも上記着色を低減することは意義深いことである。
【0053】
本発明の光学ガラスにおいて、ガラス転移温度(Tg)を好ましくは680℃以下に抑えることができるので、プレス成形性の向上やアニール炉の長寿命化が可能となる。しかし、ガラス転移温度(Tg)を過度に低下させると、屈折率が低下したり、製造安定性が損なわれるなどの不都合が生じるおそれがあるため、ガラス転移温度(Tg)は620℃以上にすることが望ましい。
【0054】
[プレス成形用ガラスゴブ]
本発明のプレス成形用ガラスゴブは、上記本発明の光学ガラスからなることを特徴とする。プレス成形用ガラスゴブは、ガラスプレス成形品の重量に相当する重量のガラス塊であり、加熱、軟化することによりプレス成形に供される。ガラスゴブ表面は使用目的に応じて粗面化したり、平滑化したりすることができる。ガラスゴブ表面に粉末状の離型剤を塗布してプレス成形する場合、離型剤が均一に塗布されるよう表面を粗面化したガラスゴブが好ましい。プレス成形型の成形面を精密に転写して得られた面(転写面という)を最終ガラス製品の表面とする場合、例えばレンズの光入出射面を転写面とする精密プレス成形を行う場合には、平滑化した表面を有するガラスゴブを使用することが好ましい。本発明のプレス成形用ガラスゴブは、例えば後述する本発明のガラス成形体の製造方法を用いて製造することができる。
【0055】
〔ガラス成形体の製造方法〕
本発明のガラス成形体の製造方法は、容器内に蓄積した清澄、均質化した熔融ガラスをパイプ流出口から流出して上記光学ガラスからなるガラス成形体を作製することを特徴とする。
上記容器、パイプは白金製または白金合金製であることが好ましく、熔融ガラスの温度が適正範囲内になるように、加熱され、温度調整されていることが好ましい。容器底部にパイプの上端が接続しており、容器内の清澄、均質化した熔融ガラスがパイプ上端からパイプ内に連続的に流れ込み、パイプ中を流下する。パイプ流出口から流出するガラスの流速は、容器内の熔融ガラス液面とパイプ流出口の高低差(ヘッド差という)やガラスの粘性抵抗等により決まる。流速が大きい熔融ガラス流を流出して鋳型内に流し込むと、流し込まれたガラス中に乱流が生じ、この状態でガラスが冷却、固化することにより脈理が発生してしまう。このような脈理を低減、防止するには流出するガラスの流速を小さくすればよい。
【0056】
本発明のガラス成形体の製造方法によれば、流出するガラスを熔融状態にある上記本発明の光学ガラスとするため、ガラスの粘性とガラスの密度を脈理発生を低減し、防止するのに効果的な状態に調整することができ、光学的に均質性の高いガラス成形体を作製することができる。なお、脈理低減の上から上記ヘッド差を2m以内にすることが望ましい。鋳型に流し込まれたガラスは鋳型によって規定される形状に成形され、徐冷される。
得られるガラス成形体としては、板状、ブロック状、棒状、円柱棒状のものや、ガラスゴブ等が挙げられる。
【0057】
プレス成形用ガラスゴブを作製するには、徐冷によって歪を低減した、例えば板状、ブロック状、棒状又は円柱棒状の上記ガラス成形体を切断あるいは割断してガラスゴブの形状に近いガラス片とし、このガラス片に機械加工を加えて所望のガラスゴブの形状に仕上げればよい。ガラスゴブ表面を粗面化する場合はガラス片をバレル研磨し、平滑化する場合は研削、研磨すればよい。また、パイプ流出口からガラスを滴下したり、熔融ガラス流から所望の重量のガラスを分離し、ガラス滴あるいは分離したガラスが冷えて固化するまでの間にガラスゴブに成形する。得られたガラスゴブには研削、研磨、バレル研磨等の機械加工を施してもよい。
いずれの場合にも、熔融ガラスから光学的に均質性の高いプレス成形用ガラスゴブを作製することができる。
【0058】
[光学部品]
本発明の光学部品は、上記本発明の光学ガラスからなることを特徴とするものであり、各種光学レンズ、光学機器用基板、回折格子、プリズムなどを例示することができる。
本発明の光学部品を製造する方法としては、次に述べる本発明の光学部品の製造方法以外にも、例えば熔融ガラスをプレス成形型で受け、ガラスが軟化状態にある間にプレス成形する方法や、プレス成形により得られたガラス成形体に、研削、研磨加工を加えて光学部品を作製する方法を挙げることができる。
このようにして得られた光学部品は、高屈折率低分散特性を有するガラスで形成されているので、レンズ、プリズム等の場合には小型化することができる。また、可視光領域の短波長端側のガラスの光吸収を抑えることができるので、可視光領域の広い範囲にわたり、高い光透過率を得ることができ、色再現性のよい撮像光学系(例えばデジタルカメラの撮像光学系)を構成するための光学部品として好適である。
【0059】
〔光学部品の製造方法〕
本発明の光学部品の製造方法は、本発明のプレス成形用ガラスゴブを加熱、軟化し、プレス成形する工程を含むことを特徴とする。
ガラスゴブをプレス成形して光学部品を製造する方法として、例えば、目的とする光学部品の形状に近似し、目的とする光学部品よりも大きなガラスゴブをプレス成形した後、研削、研磨加工する方法が挙げられる。この方法では、ガラスゴブが上下一対のプレス成形型内に挿入された後、例えば、ガラス転移温度+100℃〜ガラス転移温度+500℃、好ましくはガラス転移温度+100℃〜ガラス転移温度+300℃の温度で5〜30分間加熱され、加圧成形される。ガラスゴブの表面には、予め窒化ホウ素粉末等の離型剤を塗付しておくことが好ましく、成形型のプレス成形面には、予めカーボン膜等の離型膜を設けておくことが好ましい。この後、上記プレス成形品に研削や研磨加工が施されて所望の光学部品が得られるが、加工時のガラスの破損を防止する観点から、プレス成形品はアニール処理を行って歪を低減しておくことが好ましい。
なお、光学部品としてレンズ等の光学素子を製造する場合には、光学素子の屈折率(nd)、アッベ数(νd)は、光学素子の製造過程における熱的な履歴により僅かながら変化するので、精密に定められた光学恒数を有する光学素子を作製する場合には、上記屈折率(nd)、アッベ数(νd)の変化を考慮してガラスの組成や製造過程における熱履歴を調整すればよい。
上記方法以外にも、パイプから流出する熔融ガラス流から所望重量のガラスを分離した後、これを直ちにプレス成形し、冷却することによってプレス成形品を得、このプレス成形品に研削、研磨加工を施して光学部品を得ることもできる。
【実施例】
【0060】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0061】
実施例1
表1−1〜表1−3に実施例1で作製されたガラス1〜14の組成及び特性を示す。各ガラスサンプルは、表1−1〜表1−3に示す各光学ガラス100gが得られるように調整された原料バッチを白金製坩堝に入れて、1100〜1300℃に設定された炉内で熔融し、撹拌、清澄後、鉄製枠に流し込み、ガラス転移温度(Tg)付近の温度で2時間保持後、徐冷して得た。
各光学ガラスについて、屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)、屈伏点(Ts)、動粘性率、λ80、λ70、λ5を以下のようにして測定した。その結果を表1−1〜表1−3に示す。
(1)屈折率(nd)、アッベ数(νd)
1時間当たり、30℃の降温速度で冷却して得られた光学ガラスについて測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
熱機械分析装置を用いて4℃/分の昇温速度で測定した。
(3)動粘性率
液相温度は、複数個の白金製坩堝を用意して、各坩堝に50cm3のガラスを入れて蓋をし、10℃刻みに温度が設定されている炉内に入れて、設定温度が異なる条件下に2時間保持し、冷却した後、ガラス内部を100倍の顕微鏡で観察して、結晶の有無から決定した。
この液相温度における粘度を測定して液相粘性とし、各ガラスサンプルの液相粘性を各ガラス密度で割ることにより、動粘性率を求めた。
(4)λ80、λ70、λ5
10mm厚の互いに平行かつ光学研磨が施された2平面を有するサンプルについて分光透過率を測定し、透過率80%の波長(nm)をλ80として求め、透過率70%の波長(nm)をλ70として求め、透過率5%の波長(nm)をλ5として求めた。
このようにして所定の光学恒数を有し、λ70が430nm以下、λ80が510nm以下、λ5が380nm以下であり、良好な光線透過性、優れた耐失透性を有する光学ガラスを得ることができた。なお、動粘性率はいずれのガラスとも、0.70×10-4〜4.0×10-4m2/sの範囲内にあった。
【0062】
(実施例2)
次に実施例1の各ガラスが得られる清澄、均質化した熔融ガラスを用意し、白金製パイプから一定流量で連続して流出し、パイプ下方に水平に配置した一側壁が開口した鋳型に流し込み、一定の幅を厚みを有するガラス板に成形しつつ、鋳型の開口部から成形したガラス板を引き出した。引き出されたガラス板を、アニール炉内でアニール処理し、歪を低減し、脈理や異物が無く、着色の少ない上記各光学ガラスからなるガラス板を得た。
次に、これら各ガラス板を縦横に切断し、同一寸法を有する直方体形状のガラス片を複数個得た。さらに複数個のガラス片をバレル研磨して、目的とするプレス成形品の重量にあわせ、プレス成形用ガラスゴブとした。
なお、上記方法とは別に、上記熔融ガラスを一定流速で白金製ノズルから流出し、このノズルの下方に多数の受け型を次々と移送して所定重量の熔融ガラス塊を次々と受け、これら熔融ガラス塊を球あるいは回転体形状に成形し、アニール処理してからバレル研磨して目的とするプレス成形品の重量にあわせ、プレス成形用ガラスゴブとしてもよい。
【0063】
(実施例3)
実施例2で得られた各ガラスゴブの全表面に粉末状の離型剤、例えば窒化ホウ素粉末を塗布し、ヒーターで加熱、軟化してから上型および下型を備えたプレス成形型内に投入し、プレス成形型で加圧して目的とするレンズ形状に研削、研磨による取り代を加えたレンズに近似した形状の各レンズブランクを成形した。
続いて各レンズブランクをアニール処理して歪を低減するとともに、ガラスの屈折率、アッベ数を所望の値に微調整する。冷却したレンズブランクに研削、研磨加工を施して、目的とするレンズに仕上げた。なお、上記一連の工程は大気中で行った。得られた各レンズとも優れた光透過性を備えていた。レンズには必要の応じて反射防止膜などの光学多層膜をコートすることもできる。
このようなレンズにより、良好な撮像光学系を構成することができる。
なお、プレス成形型の形状、ガラスゴブの体積を適宜設定することにより、プリズム等その他の光学素子を製造することもできる。
【0064】
【表1−1】

【0065】
【表1−2】

【0066】
【表1−3】

【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、高光透過率、高屈折率および優れた製造安定性を有する光学ガラス、該光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ、上記光学ガラスからなる光学部品、上記光学ガラスからなるガラス成形体の製造方法および上記光学部品の製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス成分として、CaO、SrOの少なくとも一方と、SiO2、B23、La23、Nb25、TiO2、BaOが共存する光学ガラスであって、実質的に、重量%表示で、
SiO2 1〜18%、
23 3〜24%(ただし、SiO2の含有量に対するB23の含有量の割合B23/SiO2が1超)、
La23 10〜50%、
Nb25 1〜30%、
TiO2 1〜30%、
BaO 6%を超え25%以下、
CaO 7%未満、
SrO 6%以下、
MgO 0〜13%(ただし、BaO、CaO、SrOおよびMgOの合計含有量が40%以下)、
ZnO 0〜15%、
ZrO2 0〜15%、
Al23 0〜10%、
Gd23 0〜20%、
23 0%以上2%未満、
Yb23 0〜5%、
Ta25 0〜18%、
Bi23 0〜20%、
GeO2 0〜10%、
Sb23 0%以上2%未満、
SnO2 0%以上2%未満
を含む組成を有し、屈折率(nd)が1.8超、アッベ数(νd)が28〜40、密度が4.2g/cm3以上である光学ガラス。
【請求項2】
BaOの含有量に対するCaOの含有量の割合(CaO/BaO)が2以下、および/またはBaOの含有量に対するSrOの含有量の割合(SrO/BaO)が2以下である請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項3】
BaOの含有量に対するCaOの含有量の割合(CaO/BaO)が0.1〜2、および/またはBaOの含有量に対するSrOの含有量の割合(SrO/BaO)が0.1〜2である請求項2に記載の光学ガラス。
【請求項4】
屈折率(nd)が1.86超である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラス。
【請求項5】
液相温度が存在し、液相温度における動粘性率が0.70×10-4〜4.0×10-4m2/sである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とするプレス成形用ガラスゴブ。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とする光学部品。
【請求項8】
容器内に蓄積した清澄、均質化した熔融ガラスをパイプ流出口から流出して請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるガラス成形体を作製することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載のプレス成形用ガラスゴブを加熱、軟化し、プレス成形する工程を含むことを特徴とする光学部品の製造方法。






【公開番号】特開2006−225220(P2006−225220A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43881(P2005−43881)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】