説明

光学ガラス及び光学素子

【課題】屈折率(nd)が1.51〜1.59かつアッベ数(νd)が60〜67の光学恒数を持ち、ガラス転移温度(Tg)が480℃以下、比重が3.0以下であり、耐候性に優れた光学ガラスを提供する。
【解決手段】酸化物換算の含有量(全て質量%)が、P:35〜44.5%、Al:8.5〜20%、B:3〜16%、SiO:0〜3.5%、BaO:0〜20%、SrO:0〜15%、CaO:6.5〜20%、MgO:0〜15%、ZnO:0.1〜22%、LiO:0〜0.5%、NaO:3〜20%、KO:0〜20%、TiO:0〜2%、ZrO:0〜10%、Ta:0〜7%、ただし、BaO+SrO+CaO+MgO+ZnO:14〜35%、LiO+NaO+KO:6〜24%、Al+SiO+CaO+MgO+ZrO+Ta:15〜35%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラス及び該光学ガラスからなる光学素子に関し、特にプレス成形に適した光学ガラス及び該光学ガラスからなる光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
CD、DVD、BD、HD−DVDなどの光ディスク用ピックアップレンズや、携帯電話に搭載される撮像用レンズなど、種々の光学ガラスからなる光学素子が広く用いられている。近年では、光ディスク記録再生装置やカメラ付き携帯電話の急速な普及に伴って、このような光学ガラスからなる光学素子の需要が急速に拡大しており、かかる光学素子の生産性の向上と低コスト化が要求されている。
【0003】
また、光ディスク記録再生装置においては、昨今の高度情報化に伴い、記録情報の高密度化、大容量化が加速している。大容量光ディスク内の情報を素早く読みとるには、ピックアップレンズの低重量化によってピックアップレンズの駆動速度を大きくすることが必須であることから、比重の小さい光学ガラスの開発が求められている。
【0004】
このような光学ガラスからなる光学素子を、高生産性かつ低コストで製造する方法として、屈伏温度(At)以上に加熱したガラスを加熱した一対の上型と下型からなる成形金型を用いてプレスすることにより光学素子を製造する、いわゆるプレス成形法が知られている。プレス成形法は、研磨等によって光学素子を製造する従来の方法と比較して製造工程が少なく、その結果短時間でなお且つ安価に光学素子を製造することができることから、光学素子の製造方法として広く使用されるようになってきた。
【0005】
プレス成形法は再加熱方式とダイレクトプレス方式の2つに大別できる。再加熱方式は最終製品に近似した形状を有するゴブプリフォーム又は研磨プリフォームを作製した後、作製したプリフォームを上下一対の金型と共にガラスの軟化点以上の温度に加熱してプレス成形することにより最終製品形状とする方式である。一方、ダイレクトプレス方式は、ガラスのガラス転移温度(Tg)近傍の温度に加熱した金型上に、該金型よりも高温の熔融ガラス滴を滴下してプレス成形することにより最終製品形状とする方式である。いずれの方式においても、ガラスのガラス転移温度(Tg)が高いほど金型の加熱温度を高くする必要があるが、金型の加熱温度が高くなると金型表面の酸化や金属組成の変化などの金型劣化が生じやすく金型寿命が短くなるため、生産コストの上昇を招く。窒素などの不活性ガス雰囲気下でプレス成形を行うことにより金型劣化を抑制するという方法も考えられるが、不活性ガス雰囲気を形成するためには成形装置が複雑化し、また不活性ガスのランニングコストも必要となるため生産コストが上昇してしまう。従って、プレス成形に用いる光学ガラスとしてはガラス転移温度(Tg)ができるだけ低いものが望ましい。
【0006】
d線に対する屈折率(nd)が1.51〜1.59、かつアッベ数(νd)が60付近の光学恒数を持ち、ガラス転移温度(Tg)が低い光学ガラスとしては、特許文献1〜5に記載の光学ガラスが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−301735号公報
【特許文献2】特開2004−217513号公報
【特許文献3】特開2005−53749号公報
【特許文献4】特開2006−306635号公報
【特許文献5】特開2007−145613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2、3及び5に記載された光学ガラスはいずれも比重が大きすぎるという問題がある。また、特許文献1、2、4及び5に記載された光学ガラスは化学的耐久性の1種である耐候性が良好でないという問題がある。耐候性が悪い光学ガラスは、研磨やプレス成形によって光学面を形成する工程そのものや、光学面を形成した後の洗浄工程や表面に光学薄膜を形成するコーティング工程などで、ガラス表面に悪影響を与え、製造における歩留まりを低下させる問題が発生する。
【0009】
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、d線に対する屈折率(nd)が1.51〜1.59かつアッベ数(νd)が60〜67の光学恒数を持ち、ガラス転移温度(Tg)が480℃以下、比重が3.0以下であり、耐候性に優れた光学ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0011】
1.酸化物換算の含有量が、
:35〜44.5質量%、
Al:8.5〜20質量%、
:3〜16質量%、
SiO:0〜3.5質量%、
BaO:0〜20質量%、
SrO:0〜15質量%、
CaO:6.5〜20質量%、
MgO:0〜15質量%、
ZnO:0.1〜22質量%、
LiO:0〜0.5質量%、
NaO:3〜20質量%、
O:0〜20質量%、
TiO:0〜2質量%、
ZrO:0〜10質量%、
Ta:0〜7質量%、
ただし、
BaO+SrO+CaO+MgO+ZnO:14〜35質量%、
LiO+NaO+KO:6〜24質量%、
Al+SiO+CaO+MgO+ZrO+Ta:15〜35質量%、であることを特徴とする光学ガラス。
【0012】
2.P+B+Al+SiO+BaO+SrO+CaO+MgO+ZnO+LiO+NaO+KO+TiO+ZrO+Taが98質量%以上であることを特徴とする前記1に記載の光学ガラス。
【0013】
3.d線に対する屈折率(nd)が1.51〜1.59かつアッベ数(νd)が60〜67の光学恒数を持ち、ガラス転移温度(Tg)が480℃以下、比重が3.0以下であることを特徴とする前記1又は2に記載の光学ガラス。
【0014】
4.前記1から3のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とする光学素子。
【0015】
5.プレス成形により製造されたことを特徴とする前記4に記載の光学素子。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、各成分の酸化物換算の含有量を所定の範囲としているため、d線に対する屈折率(nd)が1.51〜1.59かつアッベ数(νd)が60〜67の光学恒数を持ち、ガラス転移温度(Tg)が480℃以下、比重が3.0以下であり、耐候性に優れた光学ガラスを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の光学ガラスの各成分の酸化物換算の含有量を上記所定の範囲とした理由について説明する。
【0018】
はガラス骨格を構成する成分(ガラスフォーマー)であり、その含有量が35質量%未満であるとガラスが不安定となり失透傾向が強くなる。他方、Pの含有量が44.5質量%を超えると耐失透性やガラスの安定性は向上するが所望の光学恒数を得られなくなる。また、耐候性が著しく悪化する。そのため、Pの含有量は35〜44.5質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は37〜44.4質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は39〜44.4質量%の範囲である。
【0019】
Alは線熱膨張係数を小さくすると共にガラスの耐候性を向上させる効果を奏する。Alの含有量が8.5質量%未満であるとそれらの効果が十分には得られない。他方、Alの含有量が20質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が高くなると共に、ガラスが不安定になり失透傾向が増大する。そのため、Alの含有量は8.5〜20質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は8.5〜18質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は8.5〜16質量%の範囲である。
【0020】
はガラスを安定化し、線熱膨張係数を小さくする効果と比重を小さくする効果を奏する。Bの含有量が3質量%未満であるとそれらの効果が十分には得られない。他方、Bの含有量が16質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が上昇し、耐失透性が低下するおそれがある。そのため、Bの含有量は3〜16質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は4〜15.5質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は5〜15質量%の範囲である。
【0021】
SiOは屈折率を下げる効果と耐候性を向上させる効果があるが、含有量が3.5質量%を超えるとガラスに未溶が残りやすくなる。そのため、SiOの含有量は0〜3.5質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0〜3質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は0〜2質量%の範囲である。
【0022】
BaOはガラス転移温度(Tg)を低下させ、屈折率を高める効果とガラスの安定性を向上させる効果を奏する。BaOの含有量が20質量%を超えると潜熱膨張係数が大きくなり、比重が大きくなる。そのため、BaOの含有量は0〜20質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0〜18質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は0〜15質量%の範囲である。
【0023】
SrOはガラスの安定性を向上させる効果を奏する。SrOの含有量が15質量%を超えるとガラスが不安定となり失透傾向が大きくなり、比重が大きくなる。そのため、SrOの含有量は0〜15質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0〜12質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は0〜10質量%の範囲である。
【0024】
CaOは線熱膨張係数を小さくし、耐候性を含めた化学的耐久性を向上させる効果を奏する。CaOの含有量が6.5質量%未満であるとそれらの効果が得にくく、含有量が20質量%を超えるとガラス転移温度(Tg)が上昇し、ガラスが不安定となって失透傾向が大きくなる。そのため、CaOの含有量は6.5〜20質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は7〜18質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は7〜16質量%の範囲である。
【0025】
MgOは線熱膨張係数を小さくし、上記のCaOには劣るもののガラスの耐候性を向上させる効果を奏する。MgOの含有量が15質量%を超えるとガラスが不安定となり失透傾向が大きくなる。そのため、MgOの含有量は0〜15質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0〜13質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は0〜12質量%の範囲である。
【0026】
ZnOは線熱膨張係数を増大させることなく、ガラス転移温度(Tg)を低下させる効果を奏する。ZnOの含有量が0.1質量%未満であるとガラス転移温度(Tg)を低下させる効果が十分には得られない。他方、ZnOの含有量が22質量%を超えるとガラスの安定性が低下し、失透傾向が大きくなる。そのため、ZnOの含有量は0.1〜22質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0.5〜21質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は1〜20質量%の範囲である。
【0027】
上記のRO成分(R=Ba、Sr、Ca、Mg、Zn)の含有量の合計(BaO+SrO+CaO+MgO+ZnO)は、ガラス転移温度(Tg)の低下、ガラスの安定性及び耐失透性の向上の観点から14〜35質量%の範囲に定めた。上記のRO成分の含有量の合計が14質量%未満であるとそれらの効果が得られない。他方、上記のRO成分の含有量の合計が35質量%を超えるとガラスの安定性が低下し、失透傾向が大きくなる。より好ましくは15〜33質量%の範囲であり、最も好ましくは16〜31質量%の範囲である。
【0028】
LiOはガラス転移温度(Tg)を強力に低下させる効果を奏する。LiOの含有量が0.5質量%を超えると潜熱膨張係数が大きくなると共に、ガラスの耐候性が著しく低下する。そのため、LiOの含有量は0〜0.5質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0〜0.4質量%の範囲である。
【0029】
NaOは上記のLiOには劣るもののガラス転移温度(Tg)を低下させる効果を奏する。NaOの含有量が3質量%未満であるとかかる効果が得にくく、またガラスの安定性が低下する。NaOの含有量が20質量%を超えると化学的耐久性が低下すると共にガラスの粘性が低くなる。そのため、NaOの含有量は3〜20質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は4〜18質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は5〜16質量%の範囲である。
【0030】
OはNaOと同様に、LiOには劣るもののガラス転移温度(Tg)を低下させる効果を奏する。KOの含有量が20質量%を超えると耐失透性が低下する。そのため、KOの含有量は0〜20質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0〜18質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は0〜15質量%の範囲である。
【0031】
上記のR’O成分(R’=Li、Na、K)の含有量の合計(LiO+NaO+KO)は、ガラス転移温度(Tg)を低下させると共に耐候性の向上を図る観点から6〜24質量%の範囲に定めた。上記のR’O成分の含有量の合計が6質量%未満であるとガラス転移温度(Tg)を低くする効果が十分に得られない。他方、上記のR’O成分の含有量の合計が24質量%を超えるとガラスの粘性が低下し、耐候性が悪化する。より好ましくは7〜22質量%の範囲であり、最も好ましくは8〜21質量%の範囲である。
【0032】
TiOは屈折率を上昇させ、ガラスを安定化させる効果を奏するが、TiOの含有量が2質量%を超えるとアッベ数が小さくなって所望の光学恒数が得られず、またガラスが着色するおそれがある。そのため、TiOの含有量は0〜2質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0〜1.5質量%の範囲である。
【0033】
ZrOは光学恒数の調整と耐候性を向上させる効果を奏する。ZrOの含有量が10質量%を超えると所望のアッベ数を維持することが困難となる。そのため、ZrOの含有量は0〜10質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0〜8質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は0〜6質量%の範囲である。
【0034】
Taは光学恒数の調整と化学的耐久性を向上させる効果を奏する。Taの含有量が7質量%を超えるとガラスが不安定となり失透傾向が増大するおそれがある。そのため、Taの含有量は0〜7質量%の範囲に定めた。より好ましい含有量は0〜5質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は0〜4質量%の範囲である。
【0035】
更に、高耐候性を維持するため、Al、SiO、CaO、MgO、ZrO及びTaの含有量の合計は15〜35質量%の範囲に定めた。これらの成分の含有量の合計が15質量%未満であると高耐候性を維持することが難しく、35質量%を超えると耐失透性が悪化する。より好ましい含有量は16〜33質量%の範囲であり、最も好ましい含有量は16〜31質量%の範囲である。
【0036】
本発明の光学ガラスにおいては、一般的に光学ガラスに使用されることのある成分のうち、上記以外の成分(例えば、La、Y、Gd、GeO、MnO、Nb、Bi、WO、PbO、CdO、As、TeO、フッ化物など)は実質的に含有しない。ただし、本発明の光学ガラスの特性に影響を与えない程度に含有することは許容される。この場合、P、B、Al、SiO、BaO、SrO、CaO、MgO、ZnO、LiO、NaO、KO、TiO、ZrO及びTaの含有量の合計は98.0質量%以上であることが好ましい。より好ましくは99.0質量%以上であり、更に好ましくは99.9質量%以上である。
【0037】
Nb、Bi及びWOは、着色の観点から実質的に含有しない。また、La、Y、Gd及びGeOは、耐失透性の観点から実質的に含有しない。PbO、CdO、As、TeO及びフッ化物については、製造時の作業環境に配慮し、作業者の安全性を確保するという観点から、いずれの成分も含有しないことが好ましい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
酸化物原料、炭酸塩原料、硝酸塩原料などの一般的なガラス原料を用いて、表1〜6に示す目標組成となるようにガラス原料を調合し、粉末で十分に混合して調合原料とした。これを800〜1300℃に加熱された熔融炉に投入し、熔融・清澄後、攪拌均質化をして予め加熱された鉄製の鋳型に鋳込み、徐冷して各サンプル(実施例1〜35、比較例1〜5)を製造した。これらの各サンプルについて、d線に対する屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)及び比重を測定した。また、環境試験機にて耐候性試験を実施した。測定結果を表1〜6に示す。
【0040】
なお、表6の比較例1は特許文献1の実施例12を、比較例2は特許文献2の実施例11を、比較例3は特許文献3の実施例3を、比較例4は特許文献4の実施例5を、比較例5は特許文献5の実施例9を、それぞれ追試したものである。
【0041】
各項目の測定は、それぞれ以下のように行った。
【0042】
(1)屈折率(nd)とアッベ数(νd)
上記説明のように、熔融し鋳型に流し込んだガラスを−2.3℃/時間の冷却速度で徐冷した。このサンプルをカルニュー光学工業製「KPR−2000」を用いて測定した。
【0043】
(2)ガラス転移温度(Tg)
セイコーインスツルメンツ社製の熱機械的分析装置「TMA/SS6000」を用いて、毎分10℃の昇温条件で測定を行った。
【0044】
(3)比重
アルファミラージュ社製の電子比重計「MD−300S」を用いて測定した。
【0045】
(4)耐候性試験
エスペック社製の環境試験機「SH−641」を用いて、各サンプルを温度60℃、湿度95%の恒温恒湿槽において168時間保持した。その後、オリンパス社製の光学顕微鏡「BX50」を用いて各サンプルの表面を観察した。光学顕微鏡の倍率は40倍とした。表1〜6では、光学顕微鏡による観察の結果、表面にくもりや析出、溶けなどの変化が見られなかった場合(耐候性が良好な場合)は「○」、表面にくもりや析出、溶けなどの変化が確認された場合(耐候性に問題がある場合)は「×」と記した。
【0046】
表中、RO成分合計とあるのはBaO、SrO、CaO、MgO及びZnOの含有量の合計を、R’O成分合計とあるのはLiO、NaO及びKOの含有量の合計を、それぞれ示している。また、A成分合計とあるのはAl、SiO、CaO、MgO、ZrO及びTaの含有量の合計を示している。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
表1〜6の結果から明らかなように、実施例1〜35の光学ガラスは、いずれも、d線に対する屈折率(nd)が1.51〜1.59かつアッベ数(νd)が60〜67の光学恒数を持ち、ガラス転移温度(Tg)が480℃以下、比重が3.0以下であり、耐候性試験の結果も良好であった。これに対し、比較例1、2、4及び5の光学ガラスは、いずれも耐候性に問題があることが確認された。更に、比較例2、3及び5の光学ガラスは、比重が大きいという欠点があることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物換算の含有量が、
:35〜44.5質量%、
Al:8.5〜20質量%、
:3〜16質量%、
SiO:0〜3.5質量%、
BaO:0〜20質量%、
SrO:0〜15質量%、
CaO:6.5〜20質量%、
MgO:0〜15質量%、
ZnO:0.1〜22質量%、
LiO:0〜0.5質量%、
NaO:3〜20質量%、
O:0〜20質量%、
TiO:0〜2質量%、
ZrO:0〜10質量%、
Ta:0〜7質量%、
ただし、
BaO+SrO+CaO+MgO+ZnO:14〜35質量%、
LiO+NaO+KO:6〜24質量%、
Al+SiO+CaO+MgO+ZrO+Ta:15〜35質量%、であることを特徴とする光学ガラス。
【請求項2】
+B+Al+SiO+BaO+SrO+CaO+MgO+ZnO+LiO+NaO+KO+TiO+ZrO+Taが98質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項3】
d線に対する屈折率(nd)が1.51〜1.59かつアッベ数(νd)が60〜67の光学恒数を持ち、ガラス転移温度(Tg)が480℃以下、比重が3.0以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学ガラス。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とする光学素子。
【請求項5】
プレス成形により製造されたことを特徴とする請求項4に記載の光学素子。

【公開番号】特開2011−153036(P2011−153036A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13937(P2010−13937)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】