説明

光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置

【課題】ゲインの低下や解像度の低下を抑制しつつ映像光を効率的に拡散させ、これにより、効率的に映像のギラツキを防止し得る光学シートを提供する。
【解決手段】光学シート29は、透過型スクリーン20に用いられる。光学シートは、複数の単位レンズ形状部33を配列されてなる凹凸面32を出光側に含む第1基材31を有する第1光拡散層30と、第1光拡散層の入光側に配置され、第2基材36と、第2基材内に混入された複数の光拡散剤37と、を有する第2光拡散層35と、を備える。光拡散剤の屈折率は第2基材の屈折率よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型スクリーンに用いられる光拡散機能を有した光学シートに係り、とりわけ、入射光を効率的に拡散させ、これにより、シンチレーションの発生等を効率的に抑制することができる光学シートに関する。
【0002】
また、本発明は、このような光学シートを含んだ透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、レンチキュラーレンズシートやフレネルレンズシート等の光学シートを備えた透過型スクリーンが知られている。このような透過型スクリーンには、例えばCRT等の光源から映像光が投射されていた。
【0004】
近年においては、光源として、CRTの代わりに液晶プロジェクタやライトバルブ等の投射瞳の小さい投影管が用いられるようになってきている。しかしながら、従来の光学シートを用いた透過型スクリーンを、このような投射瞳の小さい投影管と組み合わせた場合、シンチレーションまたはスペックルと呼ばれる映像のギラツキがスクリーン上に現れてしまうという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するためには、映像光を指向性なく拡散させることが有効であるとされている。このため、光学シートの表面に凹凸を形成したり、光学シート内に光拡散剤(拡散性粒子)を分散させたりして、効果的にこれらの不具合を解消することが研究されてきた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特許第3606862号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光学シートに無指向性の拡散機能を付与した場合、ゲインの低下や解像度の低下といった別の不具合を引き起こしてしまう。
【0007】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ゲインの低下や解像度の低下を抑制しつつ映像光を効率的に拡散させ、これにより、効率的に映像のギラツキを防止し得る光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図1に示すように、単位拡散要素aに入射する光束LFは、当該単位拡散要素によって一旦集光させられてその後に拡散させられる場合がある。なお、ここで単位拡散要素aとは、個々の光拡散剤(拡散性粒子)や、マット面を形成する個々の凹凸(単位レンズ形状部)等であり、図示する例では光拡散剤としている。このような場合において、集光点近傍(図1の位置B)に次の単位拡散要素(図示する例において光拡散剤)bが配置されているとすると、入光側の単位拡散要素aを透過した光束LFは、出光側の単位拡散要素bの表面の一部分のみに入射する。この場合、光束LFは、出光側の単位拡散要素bによって広い範囲に拡散されることがないだけでなく、一旦集光することによってシンチレーションとして視認され得る。また、出光側の単位拡散要素bは、光束LFを拡散させることに大きく寄与することができない一方で、ゲインの低下や解像度の低下を引き起こす原因となる。
【0009】
すなわち、出光側の単位拡散要素bは、入光側の単位拡散要素aへ入射した光束LFがその後に通過する領域S内に入り込むように、例えば図1の位置Cや位置Dに配置されていることが好ましい。このような場合には、当該出光側の単位拡散要素bの全表面が透過光の拡散に寄与するようになる。すなわち、映像光を効率的に広い範囲に拡散させることができるため、不必要にゲインを低下させたり、不必要に解像度を低下させたりすることなく、映像のギラツキを効率的に防止することができる。そして、本件発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0010】
本発明による第1の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、前記第1基材の入光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、前記光拡散剤の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
本発明による第1の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、粒径がDであり前記第2基材中の最出光側に配置された一つの光拡散剤へ、光学シートのシート面に直交する方向から、入射した光束が光拡散剤から出射して集光した後に通過する領域内に、一つの単位レンズ形状部が入り込み得るようにしてもよい。
【0012】
また、本発明による第1の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(1)を満たすようにしてもよい。
L1≧((D+P)×F/D)+Tl−D/2 ・・・式(1)
【0013】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(2)を満たすようにしてもよい。
L1≧((D+2P)×F/D)+Tl−D/2 ・・・式(2)
【0014】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(3)を満たすようにしてもよい。
L1≧((D+W)×F/D)+Tl−D/2 ・・・式(3)
【0015】
または、前記単位レンズ形状部は、出光側において最大幅を有するレンズ面を含み、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(4)を満たすようにしてもよい。
L1≧((D+P)×F/D)−D/2 ・・・式(4)
【0016】
または、前記単位レンズ形状部は、出光側において最大幅を有するレンズ面を含み、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(5)を満たすようにしてもよい。
L1≧((D+2P)×F/D)−D/2 ・・・式(5)
【0017】
または、前記単位レンズ形状部は、出光側において最大幅を有するレンズ面を含み、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(6)を満たすようにしてもよい。
L1≧((D+W)×F/D)−D/2 ・・・式(6)
【0018】
あるいは、本発明による第1の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、粒径がDであり前記第2基材中の最入光側に配置された一つの光拡散剤へ、光学シートのシート面に直交する方向から、入射した光束が光拡散剤から出射した後であって集光する前に通過する領域内に、一つの単位レンズ形状部が入り込み得るようにしてもよい。
【0019】
また、本発明による第1の光学シートにおいて、前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(7)を満たすようにしてもよい。
L2≦((D−P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(7)
【0020】
または、前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(8)を満たすようにしてもよい。
L2≦((D−2P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(8)
【0021】
または、前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(9)を満たすようにしてもよい。
L2≦((D−W)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(9)
【0022】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(10)を満たすようにしてもよい。
L2≦((D−P)×F/D)+D/2 ・・・式(10)
【0023】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(11)を満たすようにしてもよい。
L2≦((D−2P)×F/D)+D/2 ・・・式(11)
【0024】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(12)を満たすようにしてもよい。
L2≦((D−W)×F/D)+D/2 ・・・式(12)
【0025】
さらに、本発明による第1の光学シートにおいて、前記光拡散剤の屈折率をncとし、前記第2基材の屈折率をnbとして、以下の式(13)によって得られた値を、前記粒径がDである光拡散剤の焦点距離Fの値とするようにしてもよい。
F=D×tan(sin-1(nb/nc))/2 ・・・式(13)
【0026】
あるいは、本発明による第1の光学シートにおいて、前記光拡散剤の屈折率をncとし、前記第2基材の屈折率をnbとし、前記第2基材の屈折率に対する前記光拡散剤の屈折率の比をxb(=nc/nb)として、以下の式(14)によって得られた値を、前記粒径がDである光拡散剤の焦点距離Fの値とするようにしてもよい。
F=D×
(exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))/2
・・・式(14)
【0027】
本発明による第2の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、前記第1基材の入光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、前記光拡散剤の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも小さいことを特徴とする。
【0028】
本発明による第2の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも大きくなるようにしてもよい。
【0029】
さらに、本発明による第1および第2の光学シートにおいて、前記単位レンズ形状部は凸レンズを含むようにしてもよい。この場合、本発明による第1および第2の光学シートが、前記第1光拡散層の出光側に接合層を介して配置された出光側層をさらに備え、前記第1基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも小さくなるようにしてもよい。
【0030】
あるいは、本発明による第1および第2の光学シートにおいて、前記単位レンズ形状部は凹レンズを含むようにしてもよい。この場合、本発明による第1および第2の光学シートが、前記第1光拡散層の出光側に接合層を介して配置された出光側層をさらに備え、前記第1基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも大きくなるようにしてもよい。
【0031】
さらに、本発明による第1および第2の光学シートにおいて、前記第1光拡散層は最出光側に配置されるようにしてもよい。
【0032】
さらに、本発明による第1および第2の光学シートにおいて、前記第1基材と前記第2基材とは隣接して配置され、前記第1基材の屈折率と前記第2基材の屈折率とは異なるようにしてもよい。この場合、前記第1基材の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも小さくなるようにしてもよい。
【0033】
あるいは、本発明による第1および第2の光学シートにおいて、前記第1基材と前記第2基材とは同一材料により一体に形成されているようにしてもよい。
【0034】
本発明による第3の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、前記光拡散剤の屈折率は前記基材の屈折率よりも大きく、前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも大きいことを特徴とする。
【0035】
本発明による第3の光学シートにおいて、前記光拡散剤の少なくとも一部は、前記基材の単位レンズ形状部内に少なくとも部分的に入り込んでいるようにしてもよい。
【0036】
また、本発明による第3の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、粒径がDであり前記基材中の最入光側に配置された一つの光拡散剤へ、光学シートのシート面に直交する方向から、入射した光束が光拡散剤から出射した後であって集光する前に通過する領域内に、一つの単位レンズ形状部が入り込み得るようにしてもよい。
【0037】
さらに、本発明による第3の光学シートにおいて、前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(15)を満たすようにしてもよい。
T1≦((D−P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(15)
【0038】
または、前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(16)を満たすようにしてもよい。
T1≦((D−2P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(16)
【0039】
または、前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(17)を満たすようにしてもよい。
T1≦((D−W)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(17)
【0040】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(18)を満たすようにしてもよい。
T1≦((D−P)×F/D)+D/2 ・・・式(18)
【0041】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(19)を満たすようにしてもよい。
T1≦((D−2P)×F/D)+D/2 ・・・式(19)
【0042】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(20)を満たすようにしてもよい。
T1≦((D−W)×F/D)+D/2 ・・・式(20)
【0043】
さらに、本発明による第3の光学シートにおいて、前記光拡散剤の屈折率をncとし、前記基材の屈折率をnaとして、以下の式(21)によって得られた値を、前記粒径がDである光拡散剤の焦点距離Fの値とするようにしてもよい。
F=D×tan(sin-1(na/nc))/2 ・・・式(21)
【0044】
あるいは、本発明による第3の光学シートにおいて、前記光拡散剤の屈折率をncとし、前記基材の屈折率をnaとし、前記基材の屈折率に対する前記光拡散剤の屈折率の比をxa(=nc/na)として、以下の式(22)によって得られた値を、前記粒径がDである第1光拡散剤の焦点距離Fの値とするようにしてもよい。
F=D×
(exp(7xa4)−6exp(7xa)+exp(8xa)−7exp(7xa)+2exp(7))/2
・・・式(22)
【0045】
本発明による第4の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、前記光拡散剤の屈折率は前記基材の屈折率よりも大きく、前記光拡散剤の少なくとも一部は、前記基材の単位レンズ形状部内に少なくとも部分的に入り込んでいることを特徴とする。
【0046】
本発明による第5の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、前記光拡散剤の屈折率は前記基材の屈折率よりも低いことを特徴とする。
【0047】
本発明による第4および第5の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも大きくしてもよい。
【0048】
または、本発明による第3乃至第5の光学シートにおいて、前記単位レンズ形状部は凸レンズを含むようにしてもよい。この場合、本発明による第3乃至第5の光学シートが、前記光拡散層の出光側に接合層を介して配置された出光側層をさらに備え、前記基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも小さくなっていてもよい。
【0049】
あるいは、本発明による第3乃至第5の光学シートにおいて、前記単位レンズ形状部は凹レンズを含むようにしてもよい。この場合、本発明による第3乃至第5の光学シートが、前記光拡散層の出光側に接合層を介して配置された出光側層をさらに備え、前記基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項43に記載の光学シート。
【0050】
さらに、本発明による第3乃至第5の光学シートにおいて、前記光拡散層は最出光側に配置されていてもよい。
【0051】
本発明による第6の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、前記第1基材の出光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、前記単位レンズ形状部は凹レンズを含むことを特徴とする。本発明による第6の光学シートが、前記第1光拡散層の入光側に接合層を介して配置された入光側層をさらに備え、前記第1基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも大きくなっているようにしてもよい。
【0052】
本発明による第7の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、前記第1基材の出光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、前記単位レンズ形状部は凸レンズを含むことを特徴とする。本発明による第7の光学シートが、前記第1光拡散層の入光側に接合層を介して配置された入光側層をさらに備え、前記第1基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも小さくなっているようにしてもよい。
【0053】
本発明による第7の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、光学シートのシート面に直交する方向から一つの単位レンズ形状部へ入射した光束が当該一つの単位レンズから出射して集光した後に通過する領域内に、粒径がDであり前記第2基材中の最入光側に配置された一つの光拡散剤が入り込み得るようにしてもよい。
【0054】
また、本発明による第7の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL3は、以下の式(23)を満たすようにしてもよい。
L3≧((P+D)×F/P)+Tl−D/2 ・・・式(23)
【0055】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL3は、以下の式(24)を満たすようにしてもよい。
L3≧((W+D)×F/W)+Tl−D/2 ・・・式(24)
【0056】
あるいは、本発明による第7の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、光学シートのシート面に直交する方向から一つの単位レンズ形状部へ入射した光束が当該一つの単位レンズから出射した後であって集光する前に通過する領域内に、粒径がDであり前記第2基材中の最出光側に配置された一つの光拡散剤が入り込み得るようにしてもよい。
【0057】
また、本発明による第7の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL4は、以下の式(25)を満たすようにしてもよい。
L4≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(25)
【0058】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL4は、以下の式(26)を満たすようにしてもよい。
L4≦((W−D)×F/W)+Tl+D/2 ・・・式(26)
【0059】
さらに、本発明による第6および第7の光学シートにおいて、前記第1光拡散層は最入光側に配置されていてもよい。
【0060】
さらに、本発明による第6および第7の光学シートにおいて、前記光拡散剤の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも小さくなっていてもよい。
【0061】
さらに、本発明による第6および第7の光学シートにおいて、前記第1基材と前記第2基材とは隣接して配置され、前記第1基材の屈折率と前記第2基材の屈折率とは異なるようにしてもよい。この場合、前記第1基材の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも大きくなっていてもよい。
【0062】
あるいは、本発明による第6および第7の光学シートにおいて、前記第1基材と前記第2基材とは同一材料により一体に形成されていてもよい。
【0063】
本発明による第8の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、前記単位レンズ形状部は凹レンズを含むことを特徴とする。本発明による第8の光学シートが、前記光拡散層の入光側に接合層を介して配置された入光側層をさらに備え、前記基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも大きくなっていてもよい。
【0064】
本発明による第8の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも小さくなっていてもよい。
【0065】
本発明による第9の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、前記単位レンズ形状部は凸レンズを含み、前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも小さいことを特徴とする。本発明による第9の光学シートが、前記光拡散層の入光側に接合層を介して配置された入光側層をさらに備え、前記基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも小さくなっていてもよい。
【0066】
本発明による第9の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、光学シートのシート面に直交する方向から一つの単位レンズ形状部へ入射した光束が当該一つの単位レンズから出射した後であって集光する前に通過する領域内に、粒径がDであり前記基材中の最出光側に配置された一つの光拡散剤が入り込み得るようにしてもよい。
【0067】
また、本発明による第9の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT2は、以下の式(27)を満たすようにしてもよい。
T2≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(27)
【0068】
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT2は、以下の式(28)を満たすようにしてもよい。
T2≦((W−D)×F/W)+Tl+D/2 ・・・式(28)
【0069】
本発明による第8および第9の光学シートにおいて、前記光拡散層は最入光側に配置されていてもよい。
【0070】
または、本発明による第8および第9の光学シートにおいて、前記光拡散剤の屈折率は前記基材の屈折率よりも小さくなっていてもよい。
【0071】
本発明による第1の透過型スクリーンは、上述したいずれかの光学シートを備えたことを特徴とする
本発明による第2の透過型スクリーンは、前記第1光拡散層または前記光拡散層が最出光側に配置された光学シートを備え、前記光学シートが最出光側に配置されていることを特徴とする。
【0072】
本発明による第3の透過型スクリーンは、前記第1光拡散層または前記光拡散層が最入光側に配置された光学シートを備え、前記光学シートが最入光側に配置されていることを特徴とする。
【0073】
本発明による背面投射型表示装置は、上述したいずれかの透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0075】
図2乃至図52は本発明による光学シート、透過型スクリーン並びに背面投射型表示装置の実施の形態を説明するための図である。このうち、図2および図3には、本発明による光学シートおよび透過型スクリーンが適用され得る背面投射型表示装置が示されている。また、図4乃至図23には、本発明による光学シートおよび透過型スクリーンの第1の実施の形態およびその変形例が示されている。
【0076】
まず、図2乃至図23を参照し、光学シートおよび透過型スクリーンの第1の実施の形態、並びに、当該光学シートおよび透過型スクリーンが適用され得る背面投射型表示装置について説明する。
【0077】
図2および図3に示すように、背面投射型映像表示装置10は、例えばLCDやDMD等のマイクロデバイス(MD)からなる光源12と、光源12から投射された映像光を背面から透過させて映像を結像させる透過型スクリーン20と、を備えている。本実施の形態において、図2に示すように、光源12からの映像光は、いったんミラー14により反射されて透過型スクリーン20に投射され、透過型スクリーン20を透過するようになっている。ただし、このような例に限定されず、ミラー14を介さず、光源12から透過型スクリーン20に映像光が直接投射されるようにしてもよい。
【0078】
図4および図5に示すように本実施の形態における透過型スクリーン20は、第1乃至第3の光学シート21,25,29を備えている。最入光側(最光源側)に設けられた第1光学シート21は、光源12から拡大投射される映像光を透過型スクリーン20(各光学シート21,25,29)のシート面に直交する方向に偏向させるための光偏向層22を有している。第1光学シート21の出光側に配置される第2光学シート25は、入射する映像光を一方向(例えば、使用される状態における水平方向)に拡散させて視野角を広げるための視野角拡大層(有指向性光拡散層)26を有している。そして、第2光学シートの出光側に第3光学シート29が設けられている。
【0079】
なお、図示する例において、光偏向層22は、入射光を屈折させて偏向させるフレネンルレンズ部として形成されているが、これに限られない。同様の機能を有する公知の光偏向層、例えば入射光を全反射させて偏向させる全反射型フレネルレンズ部として形成された光偏向層を用いることができる。また、図示する例において、視野角拡大層26は、入射光を主に屈折させて拡散させるレンチキュラーレンズ部として形成されているが、これに限られない。同様の機能を有する公知の視野角拡大層、例えば入射光を主に全反射させて拡散させる全反射型レンチキュラーレンズ部として形成された視野角拡大層を用いることができる。また、光偏向層22および視野角拡大層26は必須ではなく、省くことも可能である。また、第1光学シート21、第2光学シート25および第3の光学シートの少なくとも二つが一体化されていても良い。
【0080】
次に、第3光学シート29について詳述する。
【0081】
図5および図6に示すように、本実施の形態における第3光学シート29は、最出光側に配置され、複数の単位レンズ形状部33を配列されてなる凹凸面32を出光側面に形成された第1基材31を有する第1光拡散層30と、第1基材31の入光側に隣接して配置された第2基材36と、第2基材36内に分散された複数の光拡散剤(拡散性粒子)37と、を有する第2光拡散層35と、第2光拡散層35の入光側に配置された支持層39と、を備えている。ここで、光拡散剤(拡散性粒子)37は略球形状を有している。
【0082】
このうち、支持層39は、透過型スクリーン20全体の剛性を高めるための支持基板として機能する層である。一例として、支持層39は、例えば厚みが2mmのアクリル、アクリル/スチレン共重合、スチレン、ポリカーボネイト、アクリロニトリル/スチレン共重合の樹脂や硝子から構成することができる。ただし、支持層39は、その目的に応じて省くことも可能である。
【0083】
次に、第1光拡散層30について説明する。本実施の形態において、第1光拡散層30の凹凸面32は、第3光学シート29の出光側面をなすと同時に、透過型スクリーン20の出光側面をなし、いわゆるマット面として機能する。単位レンズ形状部33は、第3光学シート29の出光側面における一方向(例えば、使用される状態における水平方向)および/または前記一方向に直交する他方向(例えば、使用される状態における垂直方向)に沿って、規則的または非規則的に配列され得る。
【0084】
このような凹凸面32は、種々の公知な方法により、例えば、金型を用いて基材上に凹凸を形成することにより、基材の表面にヘアーライン加工を施すことにより、基材にブラスト処理を行うことにより、基材にエンボス加工を施すことにより、微小粒子を含んだ樹脂を基材上にコーティングすることにより、微小三次元架橋粒子を含む透明樹脂を押出し、その後の透明樹脂の熱収縮にともなって微小三次元架橋粒子を樹脂の表面上に突出させることにより、製造することができる。これらの製造方法によれば、例えば、凸レンズとして形成された単位レンズ形状部、凹レンズとして形成された単位レンズ形状部、錐体形状を有する単位レンズ形状部、錐体状の溝を形成されてなる単位レンズ形状部等の種々の形状を有した単位レンズ形状部33を形成することができる。なお、ここで言う、凸レンズとは、光束を実質的にほぼ一点に集光させる機能を有するレンズを意味し、凹レンズとは、一点から出射されて入射する光束を実質的にほぼ平行光として出射させる機能を有するレンズを意味する。さらに、これらの製造方法によれば、単位レンズ形状部33を、例えば、ハニカム配列や正方配列等の種々の配列方法で配列することができる。
【0085】
図6に示す例において、単位レンズ形状部33は凸レンズ33aとして形成されている。この凸レンズ33aは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する形状を有している。単位レンズ形状部33は、第3光学シート29の出光側面における一方向および他方向の両方に沿って規則的に配列されている。すなわち、図6に示す例においては、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凸部が規則的に配列されることにより、第3光学シート29の出光側面をなす凹凸面32が形成されている。したがって、図6に示すように、透過型スクリーン20から出射する光は、この第3光学シート29の出光側面により二次元的に拡散させられるようになる。
【0086】
ただし、このような第3光学シート29の凹凸面の構成は一例に過ぎない。例えば、図7に示すように、単位レンズ形状部33が凹レンズ33bとして形成されてもよい。この凹レンズ33bは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する凹部を設けられた形状を有している。すなわち、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凹部が規則的に配列されることにより、第3光学シート29の出光側面をなす凹凸面32が形成されるようにしてもよい。このような凹レンズ33bによれば、図7に示すように、凹凸面32を通過する光束LFを一旦集光させることなく拡散させることができる。
【0087】
図1を参照して説明したように、入光側の一つの単位拡散要素を通過した光束がその後に通過する領域内に、当該入光側の一つの単位拡散要素よりも出光側に配置された一つの単位拡散要素が入り込むようになっていることが好ましい。この場合、出光側に配置された一つの単位拡散要素の光拡散機能を効果的に発揮することができるからである。したがって、第1光拡散層30の出光側に、複数の微小な単位拡散層要素を含むさらなる光拡散層が設けられるような場合には、当該さらなる光拡散層の光拡散機能を効果的に発揮させるため、単位レンズ形状部33が凹レンズ33bとして形成されることが好ましい。
【0088】
なお、ここでいう「楕円」とは、「円」を含む概念である。
【0089】
次に、第2光拡散層35について説明する。第2光拡散層35の光拡散剤37としては、有機ビーズ、無機ビーズあるいは硝子ビーズ等の公知の光拡散剤を用いることができる。
【0090】
ただし、光拡散剤37の屈折率ncが第2基材36の屈折率nbより大きい場合には、図8に示すように、光拡散剤37に入射する光束LFは、一旦集光させられてその後に広い範囲に拡散させられるようになる。一方、光拡散剤37の屈折率ncが第2基材36の屈折率nbより小さい場合には、図9に示すように、光拡散剤37に入射する光束LFは、一旦集光させられることなく、広い範囲拡散させられるようになる。第1光拡散層30の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、上述したように、第2光拡散層35の一つの光拡散剤37に入射した光束LFがその後に通過する範囲S内に、第1光拡散層30の少なくとも一つの単位レンズ形状部33が入り込むように配置されていることが好ましい。つまり、第2光拡散層35によって集光点を形成しないように透過光を拡散することができれば好ましい。したがって、光拡散剤37に用いられる材料は、光拡散剤37の屈折率ncが第2基材36の屈折率nbより小さくなるよう、第2基材36に用いられる材料を考慮した上で決定されるようにしてもよい。
【0091】
なお、今日において、光拡散剤の屈折率の値を特定するための方法として、種々の公知な方法がある。精度良く光拡散剤の屈折率の値を特定する代表的な方法として、ベッケ線法が挙げられる。また、基材中に分散された光拡散剤については、基材中から光拡散剤を取り出し、当該取り出した光拡散剤に対してベッケ線法を適用し、屈折率の値を特定することができる。
【0092】
さらに、第2光拡散層35の個々の光拡散剤37に入射した光束LFがその後に通過する範囲S内に第1光拡散層30の個々の単位レンズ形状部33が配置されるようにするためには、一般的に、第1光拡散層30の単位レンズ形状部33の配置ピッチP、より厳密には、単位レンズ形状部33のレンズ面の幅は、小さいことが好ましい。単位レンズ形状部33の配置ピッチPおよび単位レンズ形状部33のレンズ面の幅が、光拡散剤37の平均粒径Dよりも小さくなっていることが、とりわけ光拡散剤37の屈折率ncが第2基材36の屈折率nbより小さい場合に、効果的である。さらに、とりわけ凹凸面32が観察者に向けて露出した最出光側面をなす場合には、観察者が感じ取る凹凸面32のざらつき感を緩和することからも、単位レンズ形状部33の配置ピッチPが小さくなっていることが好ましい。
【0093】
なお、光拡散剤37の平均粒径Dは、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっており、単位レンズ形状部33の配置ピッチPおよび単位レンズ形状部33のレンズ面の幅は、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっている。
【0094】
今日において、光拡散剤の粒径の平均値(平均粒径)を特定する方法として、種々の公知な方法がある。このうち、高性能かつ容易であることから、レーザ回折散乱法が、光拡散剤の平均粒径を特定する方法として主流となっている。また、三次元電子顕微鏡を用いた場合、基材中に分散された光拡散剤を基材中から取り出すことなく、基材中に含有された状態で光拡散剤の平均粒径を精度良く特定することもできる。
【0095】
一方、第2基材36に用いられる材料は、第1基材31に用いられる材料とともに、公知の材料、例えばアクリル、アクリル/スチレン共重合、スチレン、ポリカーボネイト、アクリロニトリル/スチレン共重合等の樹脂を用いることができる。
【0096】
このような第1光拡散層30とおよび第2光拡散層35を含む第3光学シート29は、公知の製造方法、例えば押し出し成形法により製造され得る。そして、例えば押し出し成形された各層を積層することにより、第3光学シート29を製造した場合、あるいは、互いに異なる材料を共押し出し成形することにより、第3光学シート29を製造した場合、第1光拡散層30の第1基材31と第2光拡散層35の第2基材36との間に界面が形成され得る。このように、第1光拡散層30と第2光拡散層35との間に界面が形成される場合には、当該界面を通過する光は、当該界面において屈折する。
【0097】
ここで、図8および図9に示すように、第1基材31の屈折率naが第2基材36の屈折率nbよりも小さい場合、第1基材31と第2基材36との界面を通過する光束LFは、当該界面で屈折し、より広い範囲に拡散させられるようになる。したがって、一つの光拡散剤37に入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、一つの単位レンズ形状部33を入り込ませやすくすることができ、第1光拡散層30の光拡散機能を効果的に発揮させるという観点において都合がよい。
【0098】
なお、基材の屈折率は、高性能かつ容易であることから、通常、アッベ屈折計によって特定される。アッベ屈折計としては、例えば、(株)アタゴのDR−M2を用いることができる。
【0099】
一方、互いに隣接する第1光拡散層30の第1基材31と第2光拡散層35の第2基材36とを同一材料から形成する等して、第1光拡散層30の第1基材31と第2光拡散層35の第2基材36との間に界面が形成されないようにしてもよい。そして、この場合、流動性を有する材料を所望の形状で硬化させることにより、第1光拡散層30および第2光拡散層35をそれぞれ形成するキャスト法を用いることができる。
【0100】
キャスト法を用いる場合には、まず、流動性を有する材料中に、当該材料の比重とは異なる比重を有した光拡散剤37を混入し、その後、流動性材料中において光拡散剤37を沈降させる。これにより、流動性を有した材料中において光拡散剤37が片寄って配置された状態となる。すなわち、ここで、「流動性を有する材料」とは、材料内に混入された光拡散剤37の比重と材料の比重との相違に起因して、混入された光拡散剤37が材料内で移動し得る程度の流動性を有した材料を、意味する。
【0101】
その後、この状態で、第1光拡散層30の第1基材31および第2光拡散層35の第2基材36をなすようになる材料を硬化させることにより、光拡散剤37が片寄って配置されている部分から第2光拡散層35が形成され、その他の部分から第1光拡散層30が形成され得る。このような方法で得られた第1光拡散層30と第2光拡散層35においては、図10に示すように、第1基材31と第2基材36とが同一材料から一体に形成され、第1基材31と第2基材36との間に界面(境界)が存在しない。
【0102】
また同様に、共押し出し成形により、第1基材31と第2基材36とが同一材料から一体に形成された第3光学シート29を容易かつ安価に形成することができる。共押し出し成形法を用いた場合、三層以上の第3光学シート29、例えば、第1光拡散層30と、第2光拡散層35と、第1光拡散層30および第2光拡散層35の間に配置された中間層と、を備え、各層の基材が同一材料から一体的に形成された第3光学シート29をも、容易かつ安価に製造することができる。
【0103】
次に、第2光拡散層35の光拡散剤37の屈折率ncが第2基材36の屈折率nbよりも大きい場合における、第1光拡散層30および第2光拡散層35を含む第3光学シート29の設計方法について詳述する。
【0104】
光拡散剤37の屈折率ncが第2基材36の屈折率nbよりも大きい場合、第2光拡散層35の光拡散剤37に入射した光束LFは一旦集光し、その後に拡散する。上述したように、第1光拡散層30の個々の単位レンズ形状部33の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、一つの光拡散剤37へ入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、少なくとも一つ分の単位レンズ形状部33が、入り込むように配置されていることが好ましい。この場合、第1光拡散層30の当該単位レンズ形状部33の全表面が、第2光拡散層35にて拡散させられる光をさらに拡散させることに寄与し得るようになるからである。このためには、光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅以上、さらに厳密には、シート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33のレンズ面の最大幅以上を、占めるようになっていることが必要となる。またさらに、光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPの2倍の幅以上を占めるようになっていることがさらに好ましい。この場合、一つの光拡散剤37への入射光束LFは、一つの単位レンズ形状部33のレンズ面を分割することなく含む範囲に拡散させられるようになる。
【0105】
このような第1光拡散層30および第2光拡散層35を含む第3光学シート29の設計方法について、図11乃至図13を用いてより具体的に説明する。
【0106】
一つの光拡散剤37へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該光拡散剤37から出射して集光した後に通過する領域S内に、一つの単位レンズ形状部33が入り込み得るようにするには、第2基材36中の最出光側に配置された光拡散剤37を基準にして、第3光学シート29を設計することが好ましい。光拡散剤37に入射した光束LFは、当該光拡散剤37を出射して集光した後、次第に広い範囲に広がっていく。したがって、単位レンズ形状部33に最も近接する第2基材36中の最出光側に配置された光拡散剤37から出射した光束LFの通過領域S内に、一つの単位レンズ形状部33が入り込むようになっていることが好ましい。
【0107】
また、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該光拡散剤37から出射して集光した後に通過する領域S内に、一つの単位レンズ形状部33が入り込み得るようにするには、第1光拡散層30の出光側面ではなく、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さ分だけ入光側によった位置における、光拡散剤37から出射した光束LFの通過領域Sの幅を基準にして、第3光学シート29を設計することが好ましい。図11に示すように、単位レンズ形状部33が、例えば凸レンズからなる場合や錐体形状を有した突起物等からなる場合のように、出光側に向けて先細りする形状を有するような場合、単位レンズ形状部33のレンズ面は、第1光拡散層30の出光側面ではなく、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さ分だけ入光側によった位置において、最大幅を有するようになるからである。このような場合には、光拡散剤37から出射した光束LFの通過領域Sは、第1光拡散層30の出光側面ではなく、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さ分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅以上、あるいは、シート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33の最大幅W以上に広がっていることが要求される。
【0108】
以上のことから、図11に示すように、第2基材36中の最出光側に配置された一つの光拡散剤37へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが光拡散剤37から出射して集光した後に通過する領域S内に、シート面に直交する断面における最大幅Wを最入光側において有する一つの単位レンズ形状部33が、入り込み得るようになっていることが好ましい。
【0109】
ここで、図11は、単位レンズ形状部33が凸レンズ33aである場合における第1光拡散層30および第2光拡散層35を含む第3光学シート29の設計方法を説明するための図である。図11に示すように、光拡散剤37の平均粒径をDとし、粒径がDの光拡散剤37の焦点距離をFとし、単位レンズ形状部33の平均配列ピッチをPとし、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部33の平均厚みをTlとし、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均をL1とする。ここで、第2基材36の出光側面から第1基材31の出光側面までの最大長さとは、第2基材36の出光側面から単位レンズ形状部33の最大突出部(頂部)までの長さのことである。
【0110】
光拡散剤37への入射光束LFが、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅まで拡散させられるとすると、三角形の相似関係から以下の式(29)が成り立つ。
D:F=P:(L1+D/2−F−Tl) ・・・式(29)
【0111】
したがって、第2基材36中の最出光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅以上まで広がり得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1が以下の式(30)を満たすようにすればよい。
L1≧((D+P)×F/D)+Tl−D/2 ・・・式(30)
【0112】
また、光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPの2倍と同じ幅以上に広がっていることが好ましい。この場合、光拡散剤37から出射した光束LFが、一つの単位レンズ形状部33のレンズ面の全面へ確実に入射するようになるからである。第2基材36中の最出光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPの2倍と同じ幅以上に広がり得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1が以下の式(31)を満たすようにすればよい。
L1≧((D+2P)×F/D)+Tl−D/2 ・・・式(31)
【0113】
ところで、図12に示すように、例えば、凸レンズ33aからなる単位レンズ形状部33が隙間を空けて形成されている場合、図12に示すように、単位レンズ形状部33の配列ピッチPではなく、単位レンズ形状部33の幅Wに基づき、第3光学シート29を設計することもできる。この場合、第2基材36中の最出光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33のレンズ面の平均最大幅W以上まで、広がり得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1が以下の式(32)を満たすようにすればよい。
L1≧((D+W)×F/D)+Tl−D/2 ・・・式(32)
【0114】
ここで、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33の最大幅の平均値のことである。なお、単位レンズ形状部33が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部33の幅の平均値のことを指す。
【0115】
一方、単位レンズ形状部33が凹レンズ33bである場合には、図13に示すように、当該単位レンズ形状部33は、最出光側において、最大幅を有するようになる。このように、単位レンズ形状部33のレンズ面が最出光側において最大幅を有するような場合には、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部33の平均厚みTlを考慮する必要がなく、第2基材36中の最出光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅まで広がるように、第3光学シートを設計すればよい。
【0116】
そして、光拡散剤37への入射光束LFが、第1光拡散層30の出光側面において、凹レンズ33bからなる単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅まで拡散させられる場合、三角形の相似関係から以下の式(33)が成り立つ。
D:F=P:(L1+D/2−F) ・・・式(33)
【0117】
したがって、第2基材36中の最出光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFのその後の通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面において、凹レンズ33bからなる単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅以上まで広がり得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1が以下の式(34)を満たすようにすればよい。
L1≧((D+P)×F/D)−D/2 ・・・式(34)
【0118】
同様に、第2基材36中の最出光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面において、凹レンズ33bからなる単位レンズ形状部33の配列ピッチPの2倍と同じ幅以上まで広がり得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1が以下の式(35)を満たすようにすればよい。
L1≧((D+2P)×F/D)−D/2 ・・・式(35)
【0119】
同様に、第2基材36中の最出光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面において、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における凹レンズ33bからなる単位レンズ形状部33のレンズ面の平均最大幅W以上まで、広がり得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1が以下の式(36)を満たすようにすればよい。
L1≧((D+W)×F/D)−D/2 ・・・式(36)
【0120】
ここで、光拡散剤37の焦点距離(集光距離)Fについて検討する。
【0121】
図14および図15に示すように、略球形状を有する光拡散剤37に入射した光は厳密には一点に集光させられるわけではない。このような現象は収差と呼ばれており、光拡散剤37への入射位置が中心から表面側へずれるにしたがって、焦点距離Fはしだいに短くなっていく。このとき、光拡散剤37の屈折率ncと光拡散剤37を含有する基材の屈折率nとの比が異なれば、収差の程度も同様に異なる。本件発明者は、光拡散剤37の屈折率ncと基材の屈折率nとの比を種々の値に変更し、各比における焦点距離の変化について調査した。
【0122】
図14は、光拡散剤37の屈折率ncと光拡散剤37を含有する基材の屈折率nとの比がある値になっている場合における、光拡散剤37の各位置に入射する光の光路を示す図である。また、図15は、図14に示す場合における、光拡散剤37への入射位置と、各入射位置に入射した光の焦点距離との関係を示すグラフである。図15における横軸は、光拡散剤37の半径(D/2)に対する、入射方向に直交する方向に沿った入射位置のずれ量r(図14参照)の比である。すなわち、光拡散剤37の中心に入射した光の入射位置比は0であり、光拡散剤37に接するよう光拡散剤37の表面に入射した光Lsの入射位置比は1となる。また、図15における縦軸は、光拡散剤37の中心近傍に入射した光の焦点距離に対する、各入射位置に入射した光の焦点距離の比である。すなわち、光拡散剤37の中心近傍に入射した光の焦点距離比は略1となる。
【0123】
図15に示すように、入射位置比が0より大きく0.9以下である入射光については、焦点距離の変動はほとんどなく、焦点距離は略一定となっている。一方、入射位置比が0.9を超えると、焦点距離が大きく変動するようになる。そこで表1に、光拡散剤37への入射位置比が1である入射光の焦点距離Fsおよび入射位置比が0.9である入射光の焦点距離Frを、それぞれ光拡散剤の粒径Dに対する比として示す。なお、表1には、光拡散剤37の屈折率ncと光拡散剤37を含有する基材の屈折率nとの比(屈折率比)を10通りに変化させ、各屈折率比に対する結果を示している。
【表1】

【0124】
ところで、光拡散剤37への入射位置比が1である入射光の焦点距離Fsは、スネルの法則を用いて算出することができる。具体的には、各屈折率比の界面に入射角が90°で入射する光として、図14における角度θを以下の式(37)により算出する。
θ=sin-1(n/nc) ・・・式(37)
【0125】
次に、式(38)により、入射位置比が1である入射光の焦点距離Fsを算出することができる。
Fs=(tanθ)×D/2=(tan(sin-1(n/nc)))×D/2
・・・式(38)
【0126】
一方、光拡散剤37への入射位置比が0.9である入射光の焦点距離Frは、当該入射光の光路をシミュレーションし、当該シミュレーションされた光路から焦点距離を実測することにより求めた。そして、基材の屈折率nに対する光拡散剤37の屈折率ncの屈折率比(x=nc/n)を横軸にとり、焦点距離Frの粒径Dに対する比を縦軸にとったグラフ(図16)上に、結果をプロットした。図16に示されているように、屈折率比(x=nc/n)に対応した焦点距離Frの粒径Dに対する比の変動は、以下の式(39)でよく近似される(相関係数0.9983)。
Fr/D=
(exp(7x4)−6exp(7x)+exp(8x)−7exp(7x)+2exp(7))/2
・・・式(39)
【0127】
したがって、式(40)により、入射位置比が0.9である入射光の焦点距離Frを算出することができる。
Fr=D×
(exp(7x4)−6exp(7x)+exp(8x)−7exp(7x)+2exp(7))/2
・・・式(40)
【0128】
このようにして得られたFr(式(40))を、上述した式(30)乃至式(32)、および、式(34)乃至式(36)に適用することが好ましい。上述したように、光拡散剤37に入射した光束LFに含まれる略90%の光束が、焦点距離Frにおいて、実質的に集光する。すなわち、光拡散剤37に入射する光束LFの輝度分布が均一であれば、この光束LF中に含まれる前記略90%の光束も均一輝度を有するようになる。したがって、焦点距離Frが適用された式(30)乃至式(32)、および、式(34)乃至式(36)が満たされる場合には、一つの光拡散剤37から出射される光束LFが、一つの単位レンズ形状部33の全レンズ面に均一に入射し得るようになり、当該単位レンズ形状部33の光拡散機能を効果的に発揮させることができる。
【0129】
一方、焦点距離Fsが適用された式(30)乃至式(32)、および、式(34)乃至式(36)が満たされる場合、光拡散剤37の両端に接するように入射する光(入射位置比1の光)Lsのその後の通過光路内に、一つの単位レンズ形状部33が入り込み得る。しかしながら、図14、図15および表1から理解できるように、焦点距離Fsは焦点距離Frよりも大幅に短くなる。したがって、焦点距離Fsが適用された式(30)乃至式(32)、および、式(34)乃至式(36)が満たされ、一つの単位レンズ形状部33が、光拡散剤37の両端に接するように入射した光(入射位置比1の光)Lsの光路間に入り込んだとしても、光拡散剤37に入射した光束LFの略90%をなすとともに均一な輝度を有し得る前記略90%の光束LFの通過領域内に入り込まない可能性が十分にある。この場合、前記略90%の光束LFは、一つの単位レンズ形状部33のレンズ面の一部のみに片寄って入射し、この単位レンズ形状部33の光拡散機能を効果的に発揮させることができないだけでなく、シンチレーションを引き起こし得る。したがって、上述した式(30)乃至式(32)、および、式(34)乃至式(36)に対し、Fr(式(40))を適用することが好ましい。
【0130】
ここで、式(40)で表される焦点距離Frを、第2基材36中に混入され粒径がDである光拡散剤37の焦点距離Fとして、式(30)乃至式(32)を書き直すと、以下の式(41)乃至式(43)が得られる。なお、式中のxbは、屈折率比(この場合は、xb=nc/nb)である。
L≧((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D+P)/2)+Tl−D/2
・・・式(41)
L≧((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D+2P)/2)+Tl−D/2
・・・式(42)
L≧((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D+W)/2)+Tl−D/2
・・・式(43)
【0131】
同様に、式(40)で表される焦点距離Frを、第2基材36中に混入され粒径がDである光拡散剤37の焦点距離Fとして、式(34)乃至式(36)を書き直すと、以下の式(44)乃至式(46)が得られる。なお、式中のxbは、屈折率比(この場合は、xb=nc/nb)である。
L≧((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D+P)/2)−D/2
・・・式(44)
L≧((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D+2P)/2)−D/2
・・・式(45)
L≧((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D+W)/2)−D/2
・・・式(46)
【0132】
以上のようにして、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1の下限値を設定することができる。一方、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1は、長ければ長い程良いというものではない。例えば、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1が長過ぎると、解像度が悪化してしまうという不具合が生じる。この観点から、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L1は、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがさらに好ましく、1mm以下であることがさらにより好ましい。
【0133】
ところで、以上の検討において、一つの光拡散剤37へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該光拡散剤37から出射して集光した後に通過する領域S内に、一つの単位レンズ形状部33が入り込み得るよう、第3光学シート29を設計した。その一方で、一つの光拡散剤37へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該光拡散剤37から出射した後であって集光する前に通過する領域S内に、一つの単位レンズ形状部33が入り込み得るよう、第3光学シート29を設計することができる。このような設計は、第1光拡散層30の厚みが薄い第3光学シート29に対して、非常に有効である。なお、第1光拡散層30の厚みが薄い第3光学シート29は、例えば、第2光拡散層35上に、ビーズを含むとともに当該ビーズと同一材料からなる樹脂をコーティングすることにより、あるいは、第2光拡散層35上に樹脂をコーティングするとともに、当該樹脂に対してエンボス加工を施すことにより、形成され得る。
【0134】
このような第1光拡散層30および第2光拡散層35を含む第3光学シート29の設計方法について、図17乃至図19を用いてより具体的に説明する。
【0135】
一つの光拡散剤37へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該光拡散剤37から出射して集光する前に通過する領域S内に、一つの単位レンズ形状部33が入り込み得るようにするには、第2基材36中の最入光側に配置された光拡散剤37を基準にして、第3光学シート29を設計することが好ましい。光拡散剤37に入射した光束LFは、当該光拡散剤37を出射した後、集光点に向けて次第に集束していく。したがって、単位レンズ形状部33から最も離間する第2基材36中の最入光側に配置された光拡散剤37から出射した光束LFの通過領域S内に、一つの単位レンズ形状部33が入り込むようになっていることが好ましい。
【0136】
このため、図17に示すように、第2基材36中の最入光側に配置された一つの光拡散剤37へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが光拡散剤37から出射して集光する前の通過領域S内に、レンズ面の最大幅を最出光側において有する一つの単位レンズ形状部33が、入り込み得るようになっていることが好ましい。
【0137】
まず、図17を参照し、単位レンズ形状部33が凹レンズ33bである場合における設計方法について検討する。図17に示すように、単位レンズ形状部33が、凹レンズ33bとして形成されている場合や、錐体状の溝を形成されてなる場合、単位レンズ形状部33のレンズ面は、最出光側において最大幅を有するようになる。したがって、第2基材36中の最入光側に配置された一つの光拡散剤37へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが、光拡散剤37から出射して集光する前に、第1基材31の出光側面において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅以上、または、単位レンズ形状部33の最大幅Wを占めるようになっていることが要求される。
【0138】
図17に示すように、光拡散剤37の平均粒径をDとし、粒径がDの光拡散剤37の焦点距離をFとし、単位レンズ形状部33の平均配列ピッチをPとし、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36の入光側面から第1基材31の出光側面までの最大長さの平均をL2とする。ここで、第2基材36の入光側面から第1基材31の出光側面までの最大長さとは、第2基材36の入光側面から単位レンズ形状部33の最大突出部(頂部)までの長さのことである。
【0139】
光拡散剤37への入射光束LFが、第1光拡散層30の出光側面において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅まで集光されるとすると、三角形の相似関係から以下の式(47)が成り立つ。
D:F=P:(F+D/2−L2) ・・・式(47)
【0140】
したがって、第2基材36中の最入光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の第1基材31の出光側面において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅以上を占め得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L2が以下の式(48)を満たすようにすればよい。
L2≦((D−P)×F/D)+D/2 ・・・式(48)
【0141】
また、光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPの2倍と同じ幅以上に広がっていることが好ましい。この場合、光拡散剤37から出射した光束LFが、一つの単位レンズ形状部33のレンズ面の全面へ入射するようになるからである。第2基材36中の最入光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPの2倍と同じ幅以上を占め得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L2が以下の式(49)を満たすようにすればよい。
L2≦((D−2P)×F/D)+D/2 ・・・式(49)
【0142】
ところで、図18に示すように、凹レンズ33bからなる単位レンズ形状部33が隙間を空けて形成されている場合、単位レンズ形状部33の配列ピッチPではなく、単位レンズ形状部33の幅Wに基づき、第3光学シート29を設計することができる。この場合、第2基材36中の最入光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面において、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33のレンズ面の平均最大幅W以上を占め得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L2が以下の式(50)を満たすようにすればよい。
L2≧((D−W)×F/D)+D/2 ・・・式(50)
【0143】
ここで、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33の最大幅Wの平均値のことである。なお、単位レンズ形状部33が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部33の幅の平均値のことを指す。
【0144】
次に、図19を参照して、単位レンズ形状部33が凸レンズ33aである場合について、検討する。単位レンズ形状部33が、凸レンズ33aや、錐体形状を有した突起物等からなるような場合には、単位レンズ形状部33のレンズ面は、最入光側において、最大幅を有するようになる。このように、単位レンズ形状部33のレンズ面が最入光側において最大幅を有するような場合には、光拡散剤37から出射した光束LFの通過領域Sは、第1光拡散層30の出光側面ではなく、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅以上、あるいは、シート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33の最大幅W以上を占めるように設計することも有効である。
【0145】
光拡散剤37への入射光束LFが、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅まで集光させられる場合、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部33の平均厚みTlを考慮して、三角形の相似関係から以下の式(51)が成り立つ。
D:F=P:(F+D/2−L2+Tl) ・・・式(51)
【0146】
したがって、第2基材36中の最入光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPと同じ幅を占め得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L2が以下の式(52)を満たすようにすればよい。
L2≦((D−P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(52)
【0147】
同様に、第2基材36中の最入光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部33の配列ピッチPの2倍と同じ幅を占め得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L2が以下の式(53)を満たすようにすればよい。
L2≦((D−2P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(53)
【0148】
同様に、第2基材36中の最入光側に位置する光拡散剤37への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層30の出光側面よりも単位レンズ形状部33の厚さTl分だけ入光側によった位置において、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33のレンズ面の平均最大幅W以上を占め得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L2が以下の式(54)を満たすようにすればよい。ここで、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33の最大幅Wの平均値のことである。なお、単位レンズ形状部33が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部33の幅の平均値のことを指す。
L2≦((D−W)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(54)
【0149】
ここで、式(48)乃至式(50)、および、式(52)乃至式(54)中における、第2基材36に混入された粒径がDの光拡散剤37の焦点距離Fとして、入射位置比が1である入射光の焦点距離Fsおよび入射位置比が0.9である入射光の焦点距離Frを用いることができる。上述したように、入射位置比が0.9である入射光の焦点距離Frが適用された各式が満たされる場合、一つの光拡散剤37から出射される光束LFが、一つの単位レンズ形状部33のレンズ面の全面に均一に入射し得るようになる。
【0150】
また、上述したように、入射位置比が1である入射光Lsの焦点距離Fsは、入射位置比が0.9である入射光の焦点距離Frよりも短くなる。したがって、一つの光拡散剤37への入射した入射位置比が0.9以下である光束は、当該光拡散剤37から出射して集光する前に、入射位置比が1である入射光Lsの光路が焦点距離Fsまでに囲む領域内を、略均一な輝度分布で通過する。このため、図14からも理解できるように、入射位置比が1である入射光の焦点距離Fsが適用された各式が満たされる場合、入射位置比が0.9以下である均一な光束の通過領域内にも一つの単位レンズ形状部33が入り込み得る。したがって、入射位置比が1である入射光の焦点距離Fsが適用された各式が満たされる場合、一つの光拡散剤37から出射される光束LFが、一つの単位レンズ形状部33のレンズ面の全面に均一に入射することが実質的に可能になる。
【0151】
ここで、式(38)で表される焦点距離Fsを、第2基材36中に混入された粒径がDである光拡散剤37の焦点距離Fとして、式(48)乃至式(50)を書き直すと、以下の式(55)乃至(57)が得られる。
L2≦(tan(sin-1(nb/nc))×(D−P)/2)+D/2 ・・・式(55)
L2≦(tan(sin-1(nb/nc))×(D−2P)/2)+D/2 ・・・式(56)
L2≦(tan(sin-1(nb/nc))×(D−W)/2)+D/2 ・・・式(57)
【0152】
同様に、式(38)で表される焦点距離Fsを、第2基材36中に混入された粒径がDである光拡散剤37の焦点距離Fとして、式(52)乃至式(54)を書き直すと、以下の式(58)乃至(60)が得られる。
L2≦(tan(sin-1(nb/nc))×(D−P)/2)+Tl+D/2 ・・・式(58)
L2≦(tan(sin-1(nb/nc))×(D−2P)/2)+Tl+D/2 ・・・式(59)
L2≦(tan(sin-1(nb/nc))×(D−W)/2)+Tl+D/2 ・・・式(60)
【0153】
同様に、式(40)で表される焦点距離Frを、第2基材36中に混入された粒径がDである光拡散剤37の焦点距離Fとして、式(48)乃至式(50)を書き直すと、以下の式(61)乃至(63)が得られる。なお、式中のxbは、屈折率比(この場合は、xb=nc/nb)である。
L2≦((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D−P)/2)+D/2
・・・式(61)
L2≦((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D−2P)/2)+D/2
・・・式(62)
L2≦((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D−W)/2)+D/2
・・・式(63)
【0154】
同様に、式(40)で表される焦点距離Frを、第2基材36中に混入された粒径がDである光拡散剤37の焦点距離Fとして、式(52)乃至式(54)を書き直すと、以下の式(64)乃至(66)が得られる。
L2≦((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D−P)/2)+Tl+D/2
・・・式(64)
L2≦((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D−2P)/2)+Tl+D/2
・・・式(65)
L2≦((exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))×(D−W)/2)+Tl+D/2
・・・式(66)
【0155】
以上のようにして、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L2の上限値を設定することができる。一方、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の出光側面までの最大長さの平均L2は、当然に、第1基材31(第1光拡散層30)の最小厚みと第2基材36(第2光拡散層35)の最小厚みとの和以上、すなわち、単位レンズ形状33の平均厚みTlと光拡散剤37の平均粒径との和以上となっていなければならない。
【0156】
以上のような本実施の形態によれば、第2光拡散層35で拡散される光を、第2光拡散層35の出光側に配置された第1光拡散層30により、効率的に拡散させることができる。すなわち、例えば第2光拡散層35に光拡散剤37を大量に分散させる等して、第3光学シート29に含まれる個々の光拡散層30,35の光拡散機能を過度に増強することなく、第3光学シート29全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
【0157】
なお、上述した第1の実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0158】
例えば、上述した実施の形態において、第2基材36中に、一種類の光拡散剤37が分散されている例を示したが、これに限られない。第2基材36中に、上述した光拡散剤37とは異なる種類のさらなる光拡散剤、例えば、上述した光拡散剤37の平均粒径とは異なる平均粒径を有した光拡散剤や、上述した光拡散剤37の屈折率とは異なる屈折率を有した光拡散剤が、さらに分散されていてもよい。さらなる光拡散剤は、上述した光拡散剤と同様に構成されてもよいし、異なるように構成されてもよい。ただし、さらなる光拡散剤も、上述した構成、例えば上述した設計方法にしたがっていることが好ましい。また、上述した実施の形態においては、第2光拡散層35のみが光拡散剤37を含有している例を示したが、これに限られない。例えば、第1光拡散層30や支持層39が光拡散剤を含有するようにしてもよい。さらに、一つの光拡散剤37が一種類の材料からなっている必要はない。例えば、複数種類の材料から構成され、部分的に異なる屈折率を有する光拡散剤(例えば、特開平2−120702)を用いるようにしてもよい。
【0159】
また、上述した実施の形態において、第3光学シート29の第1光拡散層30が第2光拡散層35に隣接して配置されている例を示したが、これに限られない。第1光拡散層30と、第1光拡散層30の入光側に配置された第2光拡散層35との間に、別途の中間層が設けられていてもよい。
【0160】
さらに、上述した透過型スクリーン20は第1乃至第3の光学シート21,25,29を有する例を示したが、これに限られない。透過型スクリーン20は1以上の任意の数の光学シートを有することができる。また、第1光拡散層30および第2光拡散層35が最出光側の第3光学シート29のみに含まれる例を示したが、これに限られない。第1光拡散層30および第2光拡散層35は最出光側に配置される光学シート以外の光学シートに含まれるようにしてもよいし、また、複数の光学シートに含まれるようにしてもよい。さらに、第1光拡散層30が光学シートの最出光側に配置されている例を示したが、これに限られず、第1光拡散層30の出光側に別途の出光側層43が設けられていてもよい。このような変形の一例を、図20乃至図23を用いて以下に説明する。なお、図20乃至図23において、上述した実施の形態と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
【0161】
図20に示す例において、透過型スクリーン20は、第1乃至第3の光学シート21,25a,29を有している。このうち第1光学シート21および第3光学シート29は、上述した実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。一方、第2光学シート25aは、第3光学シート29の支持層39を視野角拡大層(有指向性光拡散層)26に置き換えたものである。したがって、第2光学シート25aは、第1光拡散層30と、第2光拡散層35と、視野角拡大層26と、を有している。
【0162】
このため、第3光学シート29の第2光拡散層35で拡散される光を、第3光学シート29の第1光拡散層30により、効率的に拡散させることができるだけでなく、第2光学シート25aの第2光拡散層35で拡散される光を、第2光学シート25aの第1光拡散層30により、効率的に拡散させることもできる。すなわち、例えば第2光学シート25aの第2光拡散層35に光拡散剤37を大量に分散させる等して、第2光学シート25aに含まれる個々の光拡散層30,35の光拡散機能を過度に増強することなく、第2光学シート25a全体としての光拡散機能を増強することもできる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
【0163】
加えて、支持層39が適度な厚さを有するため、第2光学シート25aで拡散された光を、第2光学シート25aの出光側に配置された第3光学シート29により、効率的に拡散させることもできる。すなわち、第2光学シート25aおよび第3光学シート29の光拡散機能を過度に増強することなく、透過型スクリーン20全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、シンチレーション等の映像のギラツキをさらに抑制することができる。
【0164】
一方、図21に示す例において、透過型スクリーン20は、第1光学シート21および第2光学シート25bを有している。このうち第1光学シート21は上述した実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。一方、本変形例による第2光学シート25bは、最出光側に接合層42を介して出光側層43を設けた点において、図20に示す変形例における第2光学シート25aと異なる。すなわち、本変形例において、第1光拡散層30は、光学シートの最出光側に配置されていない。
【0165】
このような変形例においては、第2光拡散層35で拡散される光を、第2光拡散層35の出光側に配置された第1光拡散層30により、効率的に拡散させることができる。すなわち、例えば第2光拡散層35に光拡散剤37を大量に分散させる等して、第2光学シート25bに含まれる各光拡散層30,35の光拡散機能を過度に増強することなく、第2光学シート25b全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
【0166】
ところで、図21に示す例において、出光側層43は、例えば支持層39と同様に構成され得る。ただし、これに限られず、出光側層43として種々の光学的機能を有した層を用いることができる。
【0167】
なお、第1光拡散層30の出光側に配置された接合層42の材料として、アクリル系の接着剤等、公知の材料を用いることができる。そして、接合層42の屈折率と第1光拡散層30の第1基材31の屈折率とが異なれば、接合層42と第1光拡散層30との界面において、透過光が屈折されることになる。このとき、第1光拡散層30の凹凸面32をなす単位レンズ形状部33が凸レンズ33aである場合には、接合層42の屈折率を第1基材31の屈折率よりも大きくすることが好ましい。この場合、図22に示すように、第1光拡散層30と接合層42との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。
【0168】
一方、第1光拡散層30の凹凸面32をなす単位レンズ形状部33が凹レンズ33bである場合には、接合層42の屈折率を第1基材31の屈折率よりも小さくすることが好ましい。この場合、図23に示すように、第1光拡散層30と接合層42との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。
【0169】
<第2の実施の形態>
次に、主に図24乃至図32を参照し、光学シートおよび透過型スクリーンの第2の実施の形態について説明する。なお、図2乃至図23を用いて説明した第1の実施の形態およびその変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
【0170】
図24に示すように、本実施の形態における透過型スクリーン120は、第1乃至第3の光学シート21,25,129を備えている。第1光学シート21および第2光学シート25は、上述した第1の実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。また、このような透過型スクリーン120は、図2および図3に示す背面投射型表示装置10の構成部材として用いられ得る。
【0171】
次に、第3光学シート129について詳述する。
【0172】
図24および図25に示すように、本実施の形態における第3光学シート129は、最出光側に配置され、複数の単位レンズ形状部133を配列されてなる凹凸面132を出光側面に形成された基材131を有する光拡散層130と、光拡散層130の入光側に配置された支持層39と、を備えている。このうち、支持層39は、上述した第1の実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。また、光拡散層130の基材131中には、略球形状を有する光拡散剤133が分散されている。
【0173】
本実施の形態において、光拡散層130の凹凸面132は、第3光学シート129の出光側面をなすと同時に、透過型スクリーン120の出光側面をなし、いわゆるマット面として機能する。単位レンズ形状部133は、第3光学シート129の出光側面における一方向(例えば、使用される状態における水平方向)および/または前記一方向に直交する他方向(例えば、使用される状態における垂直方向)に沿って、規則的または非規則的に配列され得る。
【0174】
このような凹凸面132は、第1の実施の形態において説明したように、種々の公知な方法により、例えば、金型を用いて基材上に凹凸を形成することにより、基材の表面にヘアーライン加工を施すことにより、基材にブラスト処理を行うことにより、基材にエンボス加工を施すことにより、微小粒子を含んだ樹脂を基材上にコーティングすることにより、微小三次元架橋粒子を含む透明樹脂を押出し、その後の透明樹脂の熱収縮にともなって微小三次元架橋粒子を樹脂の表面上に突出させることにより、製造することができる。これらの製造方法によれば、例えば、凸レンズとして形成された単位レンズ形状部、凹レンズとして形成された単位レンズ形状部、錐体形状を有する単位レンズ形状部、錐体状の溝を形成されてなる単位レンズ形状部等の種々の形状を有した単位レンズ形状部133を形成することができる。なお、ここで言う、凸レンズとは、光束を実質的にほぼ一点に集光させる機能を有するレンズを意味し、凹レンズとは、一点から出射されて入射する光束を実質的にほぼ平行光として出射させる機能を有するレンズを意味する。さらに、これらの製造方法によれば、単位レンズ形状部133を、例えば、ハニカム配列や正方配列等の種々の配列方法で配列することができる。
【0175】
図25に示す例において、単位レンズ形状部133は凸レンズ133aとして形成されている。この凸レンズ133aは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する形状を有している。単位レンズ形状部133は、第3光学シート129の出光側面における一方向および他方向の両方に沿って規則的に配列されている。すなわち、図25に示す例においては、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凸部が規則的に配列されることにより、第3光学シート129の出光側面をなす凹凸面132が形成されている。したがって、図25に示すように、透過型スクリーン120から出射する光は、この第3光学シート129の出光側面により二次元的に拡散させられるようになる。
【0176】
ただし、このような第3光学シート129の凹凸面132の構成は一例に過ぎない。例えば、第1の実施の形態において図7を用いて説明したように、単位レンズ形状部133が凹レンズ133bとして形成されてもよい(図28参照)。この凹レンズ133bは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する凹部を設けられた形状を有している。すなわち、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凹部が規則的に配列されることにより、第3光学シート129の出光側面をなす凹凸面132が形成されるようにしてもよい。このような凹レンズ133bによれば、凹凸面132を通過する光束を一旦集光させることなく拡散させることができる(図7参照)。
【0177】
図1を参照して説明したように、入光側の一つの単位拡散要素を通過した光束がその後に通過する領域内に、当該入光側の一つの単位拡散要素よりも出光側に配置された一つの単位拡散要素が入り込むようになっていることが好ましい。この場合、出光側に配置された一つの単位拡散要素の光拡散機能を効果的に発揮することができるからである。したがって、光拡散層130の出光側に、複数の微小な単位拡散層要素を含むさらなる光拡散層が設けられるような場合には、当該さらなる光拡散層の光拡散機能を効果的に発揮させるため、単位レンズ形状部133が凹レンズ133bとして形成されることが好ましい。
【0178】
なお、ここでいう「楕円」とは、「円」を含む概念である。
【0179】
光拡散層130の基材131に用いられる材料は、公知の材料、例えば、アクリル、アクリル/スチレン共重合、スチレン、ポリカーボネイト、アクリロニトリル/スチレン共重合等の樹脂を用いることができる。一方、光拡散剤137としては、有機ビーズ、無機ビーズあるいは硝子ビーズ等の公知の光拡散剤を用いることができる。
【0180】
ただし、光拡散剤137の屈折率ncが基材131の屈折率naより大きい場合には、図26に示すように、光拡散剤137に入射する光束LFは、一旦集光させられて、その後、広い範囲に拡散させられるようになる。一方、光拡散剤137の屈折率ncが基材131の屈折率naより小さい場合には、図27に示すように、光拡散剤137に入射する光束LFは、一旦集光させられることなく、広い範囲に拡散させられるようになる。
【0181】
光拡散層130の凹凸面132の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、一つの光拡散剤137に入射した光束LFがその後に通過する範囲S内に、少なくとも一つの単位レンズ形状部133が入り込んでいることが好ましい。このため、光拡散剤137によって集光点を形成しないように透過光を拡散することができれば好ましい。したがって、光拡散剤137に用いられる材料は、光拡散剤137の屈折率ncが基材131の屈折率naより小さくなるよう、基材131に用いられる材料を考慮した上で決定されるようにしてもよい。
【0182】
また、光拡散層130の個々の光拡散剤137に入射した光束LFがその後に通過する範囲内に個々の単位レンズ形状部133が配置されるようにするためには、一般的に、光拡散層130の単位レンズ形状部133の配置ピッチP、より厳密には、単位レンズ形状部133のレンズ面の幅は小さいことが好ましい。典型的には、単位レンズ形状部133の配置ピッチPが、光拡散剤137の平均粒径Dよりも小さくなっていることが好ましい。
【0183】
なお、光拡散剤137の平均粒径Dは、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっており、単位レンズ形状部133の配置ピッチPおよび単位レンズ形状部133のレンズ面の幅は、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっている。
【0184】
このような光拡散層130を含む第3光学シート129は、公知の製造方法、例えば押し出し成形法等により製造することができる。また、互いに隣接する光拡散層130の基材131と支持層39の基材とを同一材料から形成するようにしてもよい。そしてこの場合、流動性を有する材料を所望の形状で硬化させることにより、光拡散層130および支持層39をそれぞれ形成するキャスト法を用いることができる。
【0185】
キャスト法を用いる場合には、まず、流動性を有する材料中に、当該材料の比重とは異なる比重を有した光拡散剤137を混入し、その後、流動性材料中において光拡散剤137を沈降させる。これにより、流動性を有する材料中において光拡散剤137が片寄って配置された状態となる。すなわち、ここで、「流動性を有する材料」とは、材料内に混入された光拡散剤137の比重と材料の比重との相違に起因して、混入された光拡散剤137が材料内で移動し得る程度の流動性を有した材料、を意味する。
【0186】
その後、この状態で、基材131および支持層39をなすようになる材料を硬化させることにより、光拡散剤137が片寄って配置されている部分から光拡散層130が形成され、その他の部分から支持層39が形成され得る。このような方法で得られた光拡散層130と支持層39においては、光拡散層130の基材131と支持層39の基材とが同一材料から一体に形成され、光拡散層130(基材131)と支持層39との間に界面(境界)が存在しない。
【0187】
また同様に、共押し出し成形により、光拡散層130の基材131と支持層39の基材とが同一材料から一体に形成された第3光学シート129を容易かつ安価に形成することができる。
【0188】
次に、光拡散層130の光拡散剤137の屈折率ncが基材131の屈折率naよりも大きい場合における、光拡散層130を含む第3光学シート129の設計方法について詳述する。
【0189】
光拡散剤137の屈折率ncが基材131の屈折率naよりも大きい場合、基材131中の光拡散剤137に入射する光束LFは一旦集光し、その後に拡散する。光拡散層130の個々の単位レンズ形状部133の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、一つの光拡散剤137へ入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、少なくとも一つ分の単位レンズ形状部133が、入り込むように配置されていることが好ましい。この場合、光拡散層130の当該単位レンズ形状部133の全表面が、光拡散剤137によって拡散される光をさらに拡散させることに寄与することができるようになるからである。このためには、光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130の出光側面において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPと同じ幅以上、さらに厳密には、シート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部133の最大幅以上を、占めるようになっていることが必要となる。またさらに、光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130の出光側面において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPの2倍の幅を占めるようになっていることがさらに好ましい。この場合、一つの光拡散剤137への入射光束LFは、一つの単位レンズ形状部133のレンズ面を分割することなく含む範囲に拡散されるようになる。
【0190】
すなわち、本実施の形態においては、図26に示すように、光拡散剤137が凹凸面132に近接して配置されていることが好ましい。また、図27に示すように、光拡散剤137の少なくとも一部が、基材131の単位レンズ形状部133内に少なくとも部分的に入り込んでいることがさらに好ましい。具体的には、光拡散剤137の平均粒径Dを単位レンズ形状部の配列ピッチP、より厳密には、単位レンズ形状部133のレンズ面の幅よりも大きく設定するとともに、光拡散層130(基材131)の厚みを制限することにより、光拡散剤137が凹凸面132の近傍に配置されるようにすることができる。
【0191】
このような光拡散層130の設計方法について、図28乃至図30を用いてより具体的に説明する。
【0192】
一つの光拡散剤137へ、第3光学シート129のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該光拡散剤137から出射して集光する前に通過する領域S内に、一つの単位レンズ形状部133が入り込み得るようにするには、基材131中の最入光側に配置された光拡散剤137を基準にして、第3光学シート129を設計することが好ましい。光拡散剤137に入射した光束LFは、当該光拡散剤137を出射した後、集光点に向けて次第に集束していく。したがって、単位レンズ形状部133から最も離間する基材131中の最入光側に配置された光拡散剤137から出射した光束LFの通過領域S内に、一つの単位レンズ形状部133が入り込むようになっていることが好ましい。
【0193】
このためには、図28に示すように、基材131中の最入光側に配置された一つの光拡散剤137へ、第3光学シート129のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該光拡散剤137から出射して集光する前の通過領域S内に、最出光側において最大レンズ幅を有する一つの単位レンズ形状部133が、入り込み得るようになっていることが好ましい。
【0194】
まず、図28を参照し、単位レンズ形状部133が凹レンズ133bである場合における設計方法について検討する。図28に示すように、単位レンズ形状部133が、凹レンズ133bとして形成されている場合や、錐体状の溝を形成されてなる場合、単位レンズ形状部133のレンズ面は、最出光側において最大幅を有するようになる。したがって、基材131中の最入光側に配置された一つの光拡散剤37へ、第3光学シート129のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが、光拡散剤137から出射して集光する前に、基材131の出光側面において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPと同じ幅以上、または、単位レンズ形状部133の最大幅Wを占めるようになっていることが要求される。
【0195】
図28に示すように、光拡散剤137の平均粒径をDとし、粒径がDの光拡散剤137の焦点距離をFとし、単位レンズ形状部133の平均配列ピッチをPとし、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131(光拡散層130)の最大厚みの平均をT1とする。ここで、基材131(光拡散層130)の最大厚みとは、基材131の入光側面から単位レンズ形状部133の最大突出部(頂部)までの長さのことである。
【0196】
光拡散剤137への入射光束LFが、光拡散層130の出光側面において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPと同じ幅まで集光されるとすると、三角形の相似関係から以下の式(67)が成り立つ。
D:F=P:(F+D/2−T1) ・・・式(67)
【0197】
したがって、基材137中の最入光側に位置する光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130の出光側面において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPと同じ幅以上を占め得るようにするには、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131の最大厚みの平均T1が以下の式(68)を満たすようにすればよい。
T1≦((D−P)×F/D)+D/2 ・・・式(68)
【0198】
また、光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、第1光拡散層130の出光側面において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPの2倍と同じ幅以上に広がっていることが好ましい。この場合、光拡散剤137から出射した光束LFが、一つの単位レンズ形状部133のレンズ面の全面へ確実に入射するようになるからである。基材131中の最入光側に位置する光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130の出光側面において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPの2倍と同じ幅以上を占め得るようにするには、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131の最大厚みの平均T1が以下の式(69)を満たすようにすればよい。
T1≦((D−2P)×F/D)+D/2 ・・・式(69)
【0199】
ところで、図29に示すように、例えば凹レンズ133bからなる単位レンズ形状部133が隙間を空けて形成されている場合、単位レンズ形状部133の配列ピッチPではなく、単位レンズ形状部133の幅Wに基づき、第3光学シート29を設計することができる。この場合、基材131中の最入光側に位置する光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130の出光側面において、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部133のレンズ面の平均最大幅W以上を占め得るようにするには、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131の最大厚みの平均T1が以下の式(70)を満たすようにすればよい。ここで、単位レンズ形状部133の平均最大幅Wとは、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部133の最大幅Wの平均値のことである。なお、単位レンズ形状部133が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部133の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部133の幅の平均値のことを指す。
T1≧((D−W)×F/D)+D/2 ・・・式(70)
【0200】
ここで、単位レンズ形状部133が凸レンズ133aである場合についても検討する。単位レンズ形状部133が、凸レンズ133aや、錐体形状を有した突起物等からなるような場合には、単位レンズ形状部133のレンズ面は、最入光側において、最大幅を有するようになる。このように、単位レンズ形状部133が最入光側において最大幅を有するような場合には、光拡散剤137から出射した光束LFの通過領域Sは、光拡散層130の出光側面ではなく、光拡散層130の出光側面よりも単位レンズ形状部133の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPと同じ幅以上、あるいは、シート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部133の最大幅W以上を占めるように設計することも有効である。以下、単位レンズ形状部133が、出光側に向けて先細りする場合について、検討する。
【0201】
光拡散剤137への入射光束LFが、光拡散層130の出光側面において、凹レンズ133bからなる単位レンズ形状部133の配列ピッチPと同じ幅まで集光させられる場合、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部133の平均厚みTlを考慮して、三角形の相似関係から以下の式(71)が成り立つ。
D:F=P:(F+D/2−T1+Tl) ・・・式(71)
【0202】
したがって、基材131中の最入光側に位置する光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130の出光側面よりも単位レンズ形状部133の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPと同じ幅を占め得るようにするには、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131の最大厚みの平均T1が以下の式(72)を満たすようにすればよい。
T1≦((D−P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(72)
【0203】
同様に、基材131中の最入光側に位置する光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130の出光側面よりも単位レンズ形状部133の厚さTl分だけ入光側によった位置において、単位レンズ形状部133の配列ピッチPの2倍と同じ幅を占め得るようにするには、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131の最大厚みの平均Tが以下の式(73)を満たすようにすればよい。
T1≦((D−2P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(73)
【0204】
同様に、基材131中の最入光側に位置する光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130の出光側面よりも単位レンズ形状部133の厚さTl分だけ入光側によった位置において、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部133のレンズ面の平均最大幅W以上を占め得るようにするには、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131の最大厚みの平均T1が以下の式(74)を満たすようにすればよい。ここで、単位レンズ形状部133の平均最大幅Wとは、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部133の最大幅Wの平均値のことである。なお、単位レンズ形状部133が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部133の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部133の幅の平均値のことを指す。
T1≦((D−W)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(74)
【0205】
ここで、式(68)乃至式(70)、および、式(72)乃至式(74)中における、基材131に混入された粒径がDの光拡散剤137の焦点距離Fとして、入射位置比が1である入射光の焦点距離Fsおよび入射位置比が0.9である入射光の焦点距離Frを用いることができる。上述したように、入射位置比が0.9である入射光の焦点距離Frが適用された各式が満たされる場合、一つの光拡散剤137から出射される光束LFが、一つの単位レンズ形状部133のレンズ面の全面に均一に入射し得るようになる。
【0206】
また、上述したように、入射位置比が1である入射光Lsの焦点距離Fsは、入射位置比が0.9である入射光の焦点距離Frよりも短くなる。したがって、一つの光拡散剤137への入射した入射位置比が0.9以下である光束は、当該光拡散剤137から出射して集光する前に、入射位置比が1である入射光Lsの光路が焦点距離Fsまでに囲む領域内を、略均一な輝度分布で通過する。このため、図14からも理解できるように、入射位置比が1である入射光の焦点距離Fsが適用された各式が満たされる場合、入射位置比が0.9以下である均一な光束の通過領域内にも一つの単位レンズ形状部133が入り込み得る。したがって、入射位置比が1である入射光の焦点距離Fsが適用された各式が満たされる場合、一つの光拡散剤37から出射される光束LFが、一つの単位レンズ形状部133のレンズ面の全面に均一に入射することが実質的に可能になる。
【0207】
ここで、式(38)で表される焦点距離Fsを、基材131中に混入された粒径がDである光拡散剤137の焦点距離Fとして、式(68)乃至式(70)を書き直すと、以下の式(75)乃至(77)が得られる。
T1≦(tan(sin-1(na/nc))×(D−P)/2)+D/2 ・・・式(75)
T1≦(tan(sin-1(na/nc))×(D−2P)/2)+D/2 ・・・式(76)
T1≦(tan(sin-1(na/nc))×(D−W)/2)+D/2 ・・・式(77)
【0208】
同様に、式(38)で表される焦点距離Fsを、基材131中に混入された粒径がDである光拡散剤137の焦点距離Fとして、式(72)乃至式(74)を書き直すと、以下の式(78)乃至(80)が得られる。
T1≦(tan(sin-1(na/nc))×(D−P)/2)+Tl+D/2 ・・・式(78)
T1≦(tan(sin-1(na/nc))×(D−2P)/2)+Tl+D/2 ・・・式(79)
T1≦(tan(sin-1(na/nc))×(D−W)/2)+Tl+D/2 ・・・式(80)
【0209】
同様に、式(40)で表される焦点距離Frを、基材131中に混入された粒径がDである光拡散剤137の焦点距離Fとして、式(68)乃至式(70)を書き直すと、以下の式(81)乃至(83)が得られる。なお、式中のxaは、屈折率比(この場合は、xa=nc/na)である。
T≦((exp(7xa4)−6exp(7xa)+exp(8xa)−7exp(7xa)+2exp(7))×(D−P)/2)+D/2
・・・式(81)
T≦((exp(7xa4)−6exp(7xa)+exp(8xa)−7exp(7xa)+2exp(7))×(D−2P)/2)+D/2
・・・式(82)
T≦((exp(7xa4)−6exp(7xa)+exp(8xa)−7exp(7xa)+2exp(7))×(D−W)/2)+D/2
・・・式(83)
【0210】
同様に、式(40)で表される焦点距離Frを、基材131中に混入された粒径がDである光拡散剤137の焦点距離Fとして、式(72)乃至式(74)を書き直すと、以下の式(84)乃至(86)が得られる。
T≦((exp(7xa4)−6exp(7xa)+exp(8xa)−7exp(7xa)+2exp(7))×(D−P)/2)+Tl+D/2
・・・式(84)
T≦((exp(7xa4)−6exp(7xa)+exp(8xa)−7exp(7xa)+2exp(7))×(D−2P)/2)+Tl+D/2
・・・式(85)
T≦((exp(7xa4)−6exp(7xa)+exp(8xa)−7exp(7xa)+2exp(7))×(D−W)/2)+Tl+D/2
・・・式(86)
【0211】
以上のようにして、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131(光拡散層130)の平均厚みT1の上限値を設定することができる。一方、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った基材131(光拡散層130)の厚みT1は、当然に、光拡散剤137の平均粒径Dと単位レンズ形状部133の厚みTlとの和以上となっていなければならない。
【0212】
以上のような本実施の形態によれば、基材131中の光拡散剤137で拡散される光を、基材131の凹凸面132により、効率的に拡散させることができる。すなわち、例えば基材131に光拡散剤137を大量に分散させる等して光拡散剤137に基づく光拡散機能を過度に増強することなく、光拡散層130全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
【0213】
なお、上述した第2の実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0214】
例えば、上述した実施の形態において、基材131中に、一種類の光拡散剤137が分散されている例を示したが、これに限られない。基材131中に、上述した光拡散剤137とは異なる種類のさらなる光拡散剤、例えば、上述した光拡散剤137の平均粒径とは異なる平均粒径を有した光拡散剤や、上述した光拡散剤137の屈折率とは異なる屈折率を有した光拡散剤が、さらに分散されていてもよい。さらなる光拡散剤は、上述した光拡散剤と同様に構成されてもよいし、異なるように構成されてもよい。ただし、さらなる光拡散剤も、上述した構成、例えば上述した設計方法にしたがっていることが好ましい。また、上述した実施の形態においては、光拡散層130のみが光拡散剤137を含有している例を示したが、これに限られない。例えば、支持層39が光拡散剤を含有するようにしてもよい。さらに、一つの光拡散剤137が一種類の材料からなっている必要はない。例えば、複数種類の材料から構成され、部分的に異なる屈折率を有する光拡散剤(例えば、特開平2−120702)を用いるようにしてもよい。
【0215】
また、上述した透過型スクリーン120は第1乃至第3の光学シート21,25,129を有する例を示したが、これに限られない。透過型スクリーン20は1以上の任意の数の光学シートを有することができる。また、光拡散層130が最出光側の第3光学シート129のみに含まれる例を示したが、これに限られない。光拡散層130は最出光側に配置される光学シート以外の光学シートに含まれるようにしてもよいし、また、複数の光学シートに含まれるようにしてもよい。さらに、光拡散層130が光学シートの最出光側に配置されている例を示したが、これに限られず、光拡散層130の出光側に別途の出光側層143が設けられていてもよい。
【0216】
なお、図31および図32には、第3光学シート129aの光拡散層130の出光側に、接合層142を介して出光側層143を設けた変形例を示している。ここで、出光側層143は、例えば支持層39と同様に構成され得る。ただし、これに限られず、出光側層43として種々の光学的機能を有した層を用いることができる。また、光拡散層130の出光側に配置された接合層142の材料としては、アクリル系の接着剤等、公知の材料を用いることができる。そして、接合層142の屈折率と光拡散層130の基材131の屈折率とが異なれば、接合層142と光拡散層130との界面において、透過光が屈折されることになる。
【0217】
このとき、光拡散層130の凹凸面132をなす単位レンズ形状部133が凸レンズ133aである場合には、接合層142の屈折率を基材131の屈折率よりも大きくすることが好ましい。この場合、図31に示すように、光拡散層130と接合層142との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。一方、光拡散層130の凹凸面132をなす単位レンズ形状部133が凹レンズ133bである場合には、接合層142の屈折率を基材131の屈折率よりも小さくすることが好ましい。この場合、図32に示すように、光拡散層130と接合層142との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。
【0218】
なお、図31および図32において、上述した実施の形態、並びに、第1の実施の形態およびその変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
【0219】
<第3の実施の形態>
次に、主に図33乃至図43を参照し、光学シートおよび透過型スクリーンの第3の実施の形態について説明する。なお、図2乃至図32を用いて説明した上述の第1および第2実施の形態並びにそれらの変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
【0220】
図33に示すように、本実施の形態における透過型スクリーン220は、第1乃至第3の光学シート21,25,229を備えている。第1光学シート21および第2光学シート25は、上述した第1および第2の実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。また、このような透過型スクリーン220は、図2および図3に示す背面投射型表示装置10の構成部材として用いられ得る。
【0221】
次に、第3光学シート229について詳述する。
【0222】
図33および図34に示すように、本実施の形態における第3光学シート229は、最入光側に配置され、複数の単位レンズ形状部233を配列されてなる凹凸面232を入光側面に形成された第1基材231を有する第1光拡散層230と、第1基材231の出光側に隣接して配置された第2基材236と、第2基材236内に分散された複数の光拡散剤(拡散性粒子)237と、を有する第2光拡散層235と、第2光拡散層235の出光側に配置された支持層39と、を備えている。このうち支持層39は、上述した第1および第2の実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。
【0223】
次に、第1光拡散層230について説明する。本実施の形態において、第1光拡散層230の凹凸面232は、第3光学シート229の入光側面をなす。単位レンズ形状部233は、第3光学シート229の入光側面における一方向(例えば、使用される状態における水平方向)および/または前記一方向に直交する他方向(例えば、使用される状態における垂直方向)に沿って、規則的または非規則的に配列され得る。
【0224】
このような凹凸面232は、種々の公知な方法により、例えば、金型を用いて基材上に凹凸を形成することにより、基材の表面にヘアーライン加工を施すことにより、基材にブラスト処理を行うことにより、基材にエンボス加工を施すことにより、微小粒子を含んだ樹脂を基材上にコーティングすることにより、微小三次元架橋粒子を含む透明樹脂を押出し、その後の透明樹脂の熱収縮にともなって微小三次元架橋粒子を樹脂の表面上に突出させることにより、製造することができる。これらの製造方法によれば、例えば、凸レンズとして形成された単位レンズ形状部、凹レンズとして形成された単位レンズ形状部、錐体形状を有する単位レンズ形状部、錐体状の溝を形成されてなる単位レンズ形状部等の種々の形状を有した単位レンズ形状部233を形成することができる。なお、ここで言う、凸レンズとは、光束を実質的にほぼ一点に集光させる機能を有するレンズを意味し、凹レンズとは、一点から出射されて入射する光束を実質的にほぼ平行光として出射させる機能を有するレンズを意味する。さらに、これらの製造方法によれば、単位レンズ形状部233を、例えば、ハニカム配列や正方配列等の種々の配列方法で配列することができる。
【0225】
図34に示す例において、単位レンズ形状部233は凹レンズ233bとして形成されている。この凹レンズ233bは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する凹部を設けられた形状を有している。単位レンズ形状部233は、第3光学シート229の入光側面における一方向および他方向の両方に沿って規則的に配列されている。すなわち、図34に示す例においては、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凹部が規則的に配列されることにより、第3光学シート229の入光側面をなす凹凸面232が形成されている。図34に示すように、第3光学シート229へ入射する光束LFは、第1基材231の凹凸面232により二次元的に拡散させられるようになる。
【0226】
ただし、このような第3光学シート229の凹凸面232の構成は一例に過ぎない。例えば、図35に示すように、単位レンズ形状部233が凸レンズ233aとして形成されてもよい。この凸レンズ233aは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する形状を有している。すなわち、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有する凸部が規則的に配列されることにより、第3光学シート229の入光側面をなす凹凸面232が形成されるようにしてもよい。このような凸レンズ233aによれば、図35に示すように、凹凸面232を通過する光束LFは一旦集光し、その後、広い範囲に拡散されるようになる。
【0227】
なお、ここでいう「楕円」とは、「円」を含む概念である。
【0228】
次に、第2光拡散層235について説明する。第2光拡散層235の光拡散剤237は略球形状を有する。光拡散剤237としては、有機ビーズ、無機ビーズあるいは硝子ビーズ等の公知の光拡散剤を用いることができる。ただし、第1の実施の形態において既に説明したように、光拡散剤237の屈折率ncが第2基材236の屈折率nbより大きい場合には、光拡散剤237に入射する光束LFは、一旦集光させられてその後に拡散させられるようになる(図8参照)。
【0229】
一方、光拡散剤237の屈折率ncが第2基材236の屈折率nbより小さい場合には、光拡散剤237に入射する光束LFは、一旦集光させられることなく、拡散させられるようになる(図9参照)。図1を参照して説明したように、入光側の一つの単位拡散要素を通過した光束がその後に通過する領域内に、当該入光側の一つの単位拡散要素よりも出光側に配置された一つの単位拡散要素が入り込むようになっていることが好ましい。この場合、出光側に配置された一つの単位拡散要素の光拡散機能を効果的に発揮することができるからである。したがって、本実施の形態における第2光拡散層235の出光側に、複数の微小な単位拡散層要素を含むさらなる光拡散層が設けられるような場合には、当該さらなる光拡散層の光拡散機能を効果的に発揮させるため、光拡散剤237の屈折率ncが、第2基材236の屈折率nbよりも小さくなっていることが好ましい。
【0230】
また、第2光拡散層235の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、第1光拡散層230の一つの単位レンズ形状部233に入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、少なくとも一つの光拡散剤237が入り込んでいることが好ましい。このため、一般的に、第2光拡散層235中の光拡散剤237の粒径は小さいことが好ましい。また、光拡散剤237の平均粒径Dが、第1光拡散層230の単位レンズ形状部233の配置ピッチP、より厳密には、単位レンズ形状部233のレンズ面の幅よりも小さくなっていることが、とりわけ単位レンズ毛状部233が凹レンズ233bからなる場合に、好ましい。
【0231】
なお、光拡散剤237の平均粒径Dは、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっており、単位レンズ形状部233の配置ピッチPおよび単位レンズ形状部233のレンズ面の幅は、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっている。
【0232】
一方、第2基材236に用いられる材料は、第1基材231に用いられる材料とともに、公知の材料、例えば例えばアクリル、アクリル/スチレン共重合、スチレン、ポリカーボネイト、アクリロニトリル/スチレン共重合等の樹脂を用いることができる。
【0233】
このような第1光拡散層230および第2光拡散層235を含む第3光学シート229は、公知の製造方法、例えば押し出し成形法等により製造することができる。そして、例えば押し出し成形された各層を積層することにより、第3光学シート229を製造した場合、あるいは、互いに異なる材料を共押し出し成形することにより、第3光学シート229を製造した場合、第1光拡散層230の第1基材231と第2光拡散層235の第2基材236との間に界面が形成され得る。このように、第1光拡散層230と第2光拡散層235との間に界面が形成される場合には、当該界面を通過する光は、当該界面において屈折する。
【0234】
ここで、第1基材231の屈折率naが第2基材236の屈折率nbよりも大きい場合、図34および図35に示すように、第1基材231と第2基材236との界面を通過する光束LFは、当該界面で屈折し、より広い範囲に拡散させられるようになる。したがって、一つの単位レンズ形状部233に入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、一つの光拡散剤233を入り込ませやすくすることができ、第2光拡散層235の光拡散機能を効果的に発揮させるという観点において都合がよい。
【0235】
一方、互いに隣接する第1光拡散層230の第1基材231と第2光拡散層235の第2基材236とを同一材料から形成する等して、第1光拡散層230の第1基材231と第2光拡散層235の第2基材236との間に界面が形成されないようにしてもよい。そして、この場合、流動性を有する材料を、所望の形状で硬化させることにより第1光拡散層230および第2光拡散層235をそれぞれ形成するキャスト法を用いることができる。
【0236】
キャスト法を用いる場合には、まず、流動性を有する材料中に、当該材料の比重とは異なる比重を有した光拡散剤237を混入し、その後、流動性材料中において光拡散剤237を沈降させる。これにより、流動性を有した材料中において光拡散剤237が片寄って配置された状態となる。すなわち、ここで、「流動性を有する材料」とは、材料内に混入された光拡散剤237の比重と材料の比重との相違に起因して、混入された光拡散剤237が材料内で移動し得る程度の流動性を有した材料を、意味する。
【0237】
その後、この状態で、第1光拡散層230の第1基材231および第2光拡散層235の第2基材236をなすようになる材料を硬化させることにより、光拡散剤237が片寄って配置されている部分から第2光拡散層235が形成され、その他の部分から第1光拡散層230が形成され得る。このような方法で得られた第1光拡散層230と第2光拡散層235においては、第1基材231と第2基材236とが同一材料から一体に形成され、第1基材231と第2基材236との間に界面(境界)が存在しない(図10参照)。
【0238】
また同様に、共押し出し成形により、第1基材231と第2基材236とが同一材料から一体に形成された第3光学シート229を容易かつ安価に形成することもできる。共押し出し成形法を用いた場合、三層以上の第3光学シート229、例えば、第1光拡散層230と、第2光拡散層235と、第1光拡散層230および第2光拡散層235の間に配置された中間層と、を備え、各層の基材が同一材料から一体的に形成された第3光学シート229をも、容易かつ安価に製造することができる。
【0239】
次に、第1光拡散層230の凹凸面232が凸レンズ233aから形成される場合における、第1光拡散層230および第2光拡散層235を含む第3光学シート229の設計方法について詳述する。
【0240】
第1光拡散層230の凹凸面232が凸レンズ233aによって形成される場合、第1光拡散層230の入光側面(凹凸面232)に入射する光束LFは一旦集光し、その後に拡散する。上述したように、第2光拡散層235中の個々の光拡散剤237の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、一つの単位レンズ形状部233へ入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、少なくとも一つ分の光拡散剤237が、入り込んでいることが好ましい。この場合、第2光拡散層230中の当該光拡散剤237の全表面が、第1光拡散層230にて拡散させられる光をさらに拡散させることに寄与し得るようになるからである。
【0241】
このためには、単位レンズ形状部233への入射光束LFの集光後における通過領域Sが、第2光拡散層中の光拡散剤237を含み得るようにしてもよい。
【0242】
一つの単位レンズ形状部233へ、第3光学シート229のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部233から出射して集光した後に通過する領域S内に、一つの単位レンズ形状部233が入り込み得るようにするには、第2基材36中の最入光側に配置された光拡散剤237を基準にして、第3光学シート229を設計することが好ましい。単位レンズ形状部233に入射した光束LFは、当該単位レンズ形状部233を出射して集光した後、次第に広い範囲に広がっていく。したがって、単位レンズ形状部233に最も近接する第2基材236中の最入光側に配置された光拡散剤233が、一つの単位レンズ形状部233への入射光束LFのその後の通過領域S内に、入り込むようにすることが好ましい。この場合、光拡散剤237は、いずれかの単位レンズ形状部233を透過した光束LFの通過領域S内に入り込み得るようになる。
【0243】
このような第1光拡散層230および第2光拡散層235を含む第3光学シート229の設計方法について、図36および図37を用いてより具体的に説明する。
【0244】
図36に示すように、単位レンズ形状部233の平均配列ピッチをPとし、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部233の平均厚みをTlとし、この単位レンズ形状部233の焦点距離をFとし、光拡散剤237の平均粒径をDとし、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の入光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均をL3とする。ここで、第2基材236の入光側面から第1基材231の入光側面までの最大長さとは、第2基材236の入光側面から単位レンズ形状部233の最大突出部(頂部)までの長さのことである。
【0245】
一つの単位レンズ形状部233へ入射した光束LFが、集光し、その後に、第2光拡散層235中の最入光側に配置された光拡散剤237を含むように拡散されるとすると、三角形の相似関係から以下の式(87)が成り立つ。
P:F=D:(L3+D/2−F−Tl) ・・・式(87)
【0246】
したがって、一つの単位レンズ形状部233への入射光束LFの通過領域Sが、第2光拡散層235中の最入光側に配置された光拡散剤237を含み得るようにするには、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の入光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L3が以下の式(88)を満たすようにすればよい。
L3≧((D+P)×F/P)+Tl−D/2 ・・・式(88)
【0247】
なお、単位レンズ形状部233の焦点距離Fは、例えば、第1の実施の形態において焦点距離Frを求めた方法と同様に、単位レンズ形状部233への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
【0248】
ところで、単位レンズ形状部233が隙間を空けて形成されている場合、図37に示すように、単位レンズ形状部233の配列ピッチPではなく、単位レンズ形状部233の平均最大幅Wに基づき、第3光学シート229を設計することができる。この場合、一つの単位レンズ形状部233への入射光束LFの通過領域Sが、第2光拡散層235中の最入光側に配置された光拡散剤237を含み得るようにするには、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の入光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L3が以下の式(89)を満たすようにすればよい。
L3≧((D+W)×F/P)+Tl−D/2 ・・・式(89)
【0249】
ここで、単位レンズ形状部233の平均最大幅Wとは、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部233の最大幅の平均値のことである。なお、単位レンズ形状部233が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部233の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部233の幅の平均値のことを指す。
【0250】
また、式(89)中のFは、最大幅がWである単位レンズ形状部233の焦点距離である。このような焦点距離Fは、例えば、第1の実施の形態において焦点距離Frを求めた方法と同様に、単位レンズ形状部233への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
【0251】
以上のようにして、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の入光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L3の下限値を設定することができる。一方、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の入光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L3は、長ければ長い程良いというものではない。例えば、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の入光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L3が長過ぎると、解像度が悪化してしまうという不具合が生じる。この観点から、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の入光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L3は、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがさらに好ましく、1mm以下であることがさらにより好ましい。
【0252】
ところで、以上の検討において、一つの単位レンズ形状部233へ、第3光学シート229のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部233から出射して集光した後に通過する領域S内に、一つの光拡散剤233が入り込み得るよう、第3光学シート229を設計した。その一方で、一つの単位レンズ形状部233へ、第3光学シート229のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部233から出射した後であって集光する前に通過する領域S内に、一つの光拡散剤237が入り込み得るよう、第3光学シート229を設計することができる。このような設計は、第1光拡散層230の厚みが薄い第3光学シート229に対して、非常に有効である。なお、第1光拡散層230の厚みが薄い第3光学シート229は、例えば、第2光拡散層235上に、ビーズを含むとともに当該ビーズと同一材料からなる樹脂をコーティングすることにより、あるいは、第2光拡散層235上に樹脂をコーティングするとともに、当該樹脂に対してエンボス加工を施すことにより、形成され得る。
【0253】
このような第1光拡散層230および第2光拡散層235を含む第3光学シート229の設計方法について、図38および図39を用いてより具体的に説明する。
【0254】
一つの単位レンズ形状部233へ、第3光学シート229のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部233から出射して集光する前に通過する領域S内に、一つの光拡散剤233が入り込み得るようにするには、第2基材236中の最出光側に配置された光拡散剤237を基準にして、第3光学シート229を設計することが好ましい。単位レンズ形状部233に入射した光束LFは、当該単位レンズ形状部233を出射した後、集光点に向けて次第に集束していく。したがって、単位レンズ形状部233から最も離間する第2基材36中の最出光側に配置された光拡散剤237が、一つの単位レンズ形状部233から出射した光束LFの通過領域S内に、入り込むようにすればよい。
【0255】
図38に示すように、単位レンズ形状部233の平均配列ピッチをPとし、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部233の平均厚みをTlとし、この単位レンズ形状部233の焦点距離をFとし、光拡散剤237の平均粒径をDとし、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の出光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均をL4とする。ここで、第2基材236の出光側面から第1基材231の入光側面までの最大長さとは、第2基材236の出光側面から単位レンズ形状部233の最大突出部(頂部)までの長さのことである。
【0256】
図38に示すように、一つの単位レンズ形状部233へ入射した光束LFが、その後に、第2光拡散層235中の最出光側に配置された光拡散剤237を含むように集光されるとすると、三角形の相似関係から以下の式(90)が成り立つ。
P:F=D:(F+Tl−L4+D/2) ・・・式(90)
【0257】
したがって、一つの単位レンズ形状部233への入射光束LFの通過領域Sが、第2光拡散層235中の最出光側に配置された光拡散剤237を含み得るようにするには、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の出光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L4が以下の式(91)を満たすようにすればよい。
L4≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(91)
【0258】
なお、単位レンズ形状部233の焦点距離Fは、例えば、第1の実施の形態において焦点距離Frを求めた方法と同様に、単位レンズ形状部233への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
【0259】
ところで、単位レンズ形状部233が隙間を空けて形成されている場合、図39に示すように、単位レンズ形状部233の配列ピッチPではなく、単位レンズ形状部233の平均最大幅Wに基づき、第3光学シート229を設計することができる。この場合、一つの単位レンズ形状部233への入射光束LFの通過領域Sが、第2光拡散層235中の最出光側に配置された光拡散剤237を含み得るようにするには、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の出光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L4が以下の式(92)を満たすようにすればよい。
L4≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(92)
【0260】
ここで、単位レンズ形状部233の平均最大幅Wとは、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部233の最大幅の平均値のことである。なお、単位レンズ形状部233が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部233の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部233の幅の平均値のことを指す。
【0261】
また、式(92)中のFは、最大幅がWである単位レンズ形状部233の焦点距離である。このような焦点距離Fは、例えば、第1の実施の形態において焦点距離Frを求めた方法と同様に、単位レンズ形状部233への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
【0262】
以上のようにして、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の出光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L4の上限値を設定することができる。一方、第3光学シート229のシート面に直交する方向に沿った第2基材236(第2光拡散層235)の出光側面から第1基材231(第1光拡散層230)の入光側面までの最大長さの平均L4は、当然に、第1基材231(第1光拡散層230)の最小厚みと第2基材236(第2光拡散層235)の最小厚みとの和以上、すなわち、単位レンズ形状233の平均厚みTlと光拡散剤237の平均粒径との和以上となっていなければならない。
【0263】
以上のような本実施の形態によれば、第1光拡散層230で拡散される光を、第1光拡散層230の出光側に配置された第2光拡散層235により、効率的に拡散させることができる。すなわち、例えば第2光拡散層235に光拡散剤237を大量に分散させる等して、第3光学シート229に含まれる個々の光拡散層230,235の光拡散機能を過度に増強することなく、第3光学シート229全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
【0264】
なお、上述した第3の実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0265】
例えば、上述した実施の形態において、第2基材236中に、一種類の光拡散剤237が分散されている例を示したが、これに限られない。第2基材236中に、上述した光拡散剤237とは異なる種類のさらなる光拡散剤、例えば、上述した光拡散剤237の平均粒径とは異なる平均粒径を有した光拡散剤や、上述した光拡散剤237の屈折率とは異なる屈折率を有した光拡散剤が、さらに分散されていてもよい。さらなる光拡散剤は、上述した光拡散剤と同様に構成されてもよいし、異なるように構成されてもよい。ただし、さらなる光拡散剤も、上述した構成、例えば上述した設計方法にしたがっていることが好ましい。また、上述した実施の形態においては、第2光拡散層235のみが光拡散剤237を含有している例を示したが、これに限られない。例えば、第1光拡散層230や支持層39が光拡散剤を含有するようにしてもよい。さらに、一つの光拡散剤237が一種類の材料からなっている必要はない。例えば、複数種類の材料から構成され、部分的に異なる屈折率を有する光拡散剤(例えば、特開平2−120702)を用いるようにしてもよい。
【0266】
また、上述した実施の形態において、第3光学シート229の第1光拡散層230が第2光拡散層235に隣接して配置されている例を示したが、これに限られない。第1光拡散層230と、第1光拡散層230の出光側に配置された第2光拡散層235との間に、別途の中間層が設けられていてもよい。
【0267】
さらに、上述した透過型スクリーン220は第1乃至第3の光学シート21,25,229を有する例を示したが、これに限られない。透過型スクリーン220は1以上の任意の数の光学シートを有することができる。また、第1光拡散層230および第2光拡散層235が最出光側の第3光学シート229のみに含まれる例を示したが、これに限られない。第1光拡散層230および第2光拡散層235は最出光側に配置される光学シート以外の光学シートに含まれるようにしてもよいし、また、複数の光学シートに含まれるようにしてもよい。さらに、第1光拡散層230が光学シートの最入光側に配置されている例を示したが、これに限られず、第1光拡散層230の入光側に別途の入光側層が設けられていてもよい。このような変形の一例を、図40乃至図43を用いて以下に説明する。なお、図40乃至図43において、上述した実施の形態、並びに、第1および第2の実施の形態およびそれらの変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
【0268】
図40に示す例において、透過型スクリーン220は、第1乃至第3の光学シート221,25,229を有している。このうち第2光学シート25および第3光学シート229は、上述した実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。一方、第1光学シート221は、第3光学シート229の支持層39を光偏向層22に置き換えたものである。したがって、第1光学シート221は、第1光拡散層230と、第2光拡散層235と、光偏向層22と、を有している。つまり、第1光学シート221の第1光拡散層230は透過型スクリーン220の最入光側に配置されており、この第1光拡散層230の凹凸面232は透過型スクリーン220の最入光側面をなす。
【0269】
このような透過型スクリーン220によれば、第3光学シート229の第1光拡散層230で拡散される光を、第3光学シート29の第2光拡散層235により、効率的に拡散させることができるだけでなく、第1光学シート221の第1光拡散層230で拡散される光を、第1光学シート221の第2光拡散層235により、効率的に拡散させることもできる。すなわち、例えば第1光学シート221の第2光拡散層235に光拡散剤237を大量に分散させる等して、第1光学シート221に含まれる個々の光拡散層230,235の光拡散機能を過度に増強することなく、第1光学シート221全体としての光拡散機能を増強することもできる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
【0270】
加えて、光偏向層22および視野角拡大層26(第2光学シート25)が適度の厚さを有するため、第1光学シート221で拡散された光を、第1光学シート221の出光側に配置された第3光学シート229により、効率的に拡散させることもできる。すなわち、第1光学シート221および第3光学シート229の光拡散機能を過度に増強することなく、透過型スクリーン220全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、シンチレーション等の映像のギラツキをさらに抑制することができる。
【0271】
一方、図41に示す例において、透過型スクリーン220は、第1光学シート21および第2光学シート225を有している。このうち第1光学シート21は上述した実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。一方、本変形例による第2光学シート225は、上述した実施の形態における第3光学シート229(図33参照)の入光側に、接合層242を介して入光側層243を設けることによって構成された光学シートである。すなわち、本変形例において、第1光拡散層230は、光学シートの最入光側に配置されていない。ここで、入光側層243は、例えば上述した視野角拡大層26と同様に構成され得る。ただし、これに限られず、入光側層243として種々の光学的機能を有した層を用いることができる。
【0272】
このような変形例においては、第1光拡散層230で拡散される光を、第1光拡散層230の出光側に配置された第2光拡散層235により、効率的に拡散させることができる。すなわち、例えば第2光拡散層235に光拡散剤237を大量に分散させる等して、第2光学シート225に含まれる個々の光拡散層230,235の光拡散機能を過度に増強することなく、第2光学シート225全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
【0273】
なお、第1光拡散層230の入光側に配置された接合層242の材料として、アクリル系の接着剤等、公知の材料を用いることができる。そして、接合層242の屈折率と第1光拡散層230の第1基材231の屈折率とが異なれば、接合層242と第1光拡散層230との界面において、透過光が屈折されることになる。このとき、第1光拡散層230の凹凸面232をなす単位レンズ形状部233が凸レンズ233aである場合には、接合層242の屈折率を第1基材231の屈折率よりも大きくすることが好ましい。この場合、図42に示すように、第1光拡散層230と接合層242との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。
【0274】
一方、第1光拡散層230の凹凸面232をなす単位レンズ形状部233が凹レンズ233bである場合には、接合層242の屈折率を第1基材231の屈折率よりも小さくすることが好ましい。この場合、図43に示すように、第1光拡散層230と接合層242との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。
【0275】
<第4の実施の形態>
次に、主に図44乃至図52を参照し、光学シートおよび透過型スクリーンの第4の実施の形態について説明する。なお、図2乃至図43を用いて説明した上述の第1乃至第3実施の形態並びにそれらの変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
【0276】
図44に示すように、本実施の形態における透過型スクリーン320は、第1乃至第3の光学シート21,25,329を備えている。第1光学シート21および第2光学シート25は、上述した第1乃至第3の実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。また、このような透過型スクリーン320は、図2および図3に示す背面投射型表示装置10の構成部材として用いられ得る。
【0277】
次に、第3光学シート329について詳述する。
【0278】
図44および図45に示すように、本実施の形態における第3光学シート329は、最入光側に配置され、複数の単位レンズ形状部333を配列されてなる凹凸面332を入光側面に形成された基材331を有する光拡散層330と、光拡散層330の出光側に配置された支持層39と、を備えている。このうち、支持層39は、上述した第1乃至3の実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。また、光拡散層330の基材331中には、略球形状を有する光拡散剤337が分散されている。
【0279】
本実施の形態において、光拡散層330の凹凸面332は、第3光学シート329の入光側面をなす。単位レンズ形状部333は、第3光学シート329の入光側面における一方向(例えば、使用される状態における水平方向)および/または前記一方向に直交する他方向(例えば、使用される状態における垂直方向)に沿って、規則的または非規則的に配列され得る。
【0280】
このような凹凸面332は、種々の公知な方法により、例えば、金型を用いて基材上に凹凸を形成することにより、基材の表面にヘアーライン加工を施すことにより、基材にブラスト処理を行うことにより、基材にエンボス加工を施すことにより、微小粒子を含んだ樹脂を基材上にコーティングすることにより、微小三次元架橋粒子を含む透明樹脂を押出し、その後の透明樹脂の熱収縮にともなって微小三次元架橋粒子を樹脂の表面上に突出させることにより、製造することができる。これらの製造方法によれば、例えば、凸レンズとして形成された単位レンズ形状部、凹レンズとして形成された単位レンズ形状部、錐体形状を有する単位レンズ形状部、錐体状の溝を形成されてなる単位レンズ形状部等の種々の形状を有した単位レンズ形状部333を形成することができる。なお、ここで言う、凸レンズとは、光束を実質的にほぼ一点に集光させる機能を有するレンズを意味し、凹レンズとは、一点から出射されて入射する光束を実質的にほぼ平行光として出射させる機能を有するレンズを意味する。さらに、これらの製造方法によれば、単位レンズ形状部333を、例えば、ハニカム配列や正方配列等の種々の配列方法で配列することができる。
【0281】
図45に示す例において、単位レンズ形状部333は凹レンズ333bとして形成されている。この凹レンズ333bは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する凹部を設けられた形状を有している。単位レンズ形状部333は、第3光学シート329の入光側面における一方向および他方向の両方に沿って規則的に配列されている。すなわち、図45に示す例においては、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凹部が規則的に配列されることにより、第3光学シート329の入光側面をなす凹凸面332が形成されている。図45に示すように、第3光学シート329へ入射する光束LFは、基材331の凹凸面332により二次元的に拡散させられるようになる。
【0282】
ただし、このような第3光学シート329の凹凸面332の構成は一例に過ぎない。例えば、図46に示すように、単位レンズ形状部333が凸レンズ333aとして形成されてもよい。この凸レンズ333aは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する形状を有している。すなわち、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凸部が規則的に配列されることにより、第3光学シート329の入光側面をなす凹凸面332が形成されるようにしてもよい。このような凸レンズ333aによれば、図46に示すように、凹凸面332を通過する光束LFは一旦集光し、その後、広い範囲に拡散されるようになる。
【0283】
なお、ここでいう「楕円」とは、「円」を含む概念である。
【0284】
光拡散層330の基材331に用いられる材料は、公知の材料、例えばアクリル、アクリル/スチレン共重合、スチレン、ポリカーボネイト、アクリロニトリル/スチレン共重合等の樹脂を用いることができる。一方、光拡散剤337としては、有機ビーズ、無機ビーズあるいは硝子ビーズ等の公知の光拡散剤を用いることができる。ただし、光拡散剤337の屈折率ncが基材331の屈折率naより大きい場合には、図47に示すように、光拡散剤337に入射する光束LFは、一旦集光させられてその後に拡散させられるようになる。一方、光拡散剤337の屈折率ncが基材331の屈折率naより小さい場合には、図48に示すように、光拡散剤337に入射する光束LFは、一旦集光させられることなく、拡散させられるようになる。図1を参照して説明したように、入光側の一つの単位拡散要素を通過した光束がその後に通過する領域内に、当該入光側の一つの単位拡散要素よりも出光側に配置された一つの単位拡散要素が入り込むようになっていることが好ましい。この場合、出光側に配置された一つの単位拡散要素の光拡散機能を効果的に発揮することができるからである。したがって、本実施の形態における第2光拡散層335の出光側に、複数の微小な単位拡散層要素を含むさらなる光拡散層が設けられるような場合には、当該さらなる光拡散層の光拡散機能を効果的に発揮させるため、光拡散剤337の屈折率ncが、基材336の屈折率naよりも小さくなっていることが好ましい。
【0285】
また、光拡散層330中の個々の光拡散剤337の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、一つの単位レンズ形状部333に入射した光束LFがその後に通過する範囲内に、少なくとも一つの光拡散剤337が入り込んでいることが好ましい。このためには、一般的に、光拡散剤337の粒径Dは小さいことが好ましい。典型的には、光拡散剤337の平均粒径Dが、単位レンズ形状部333の配置ピッチP、より厳密には、単位レンズ形状部333のレンズ面の幅よりも小さくなっていることが好ましい。
【0286】
なお、光拡散剤337の平均粒径Dは、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっており、単位レンズ形状部333の配置ピッチPおよび単位レンズ形状部333のレンズ面の幅は、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっている。
【0287】
このような光拡散層330を含む第3光学シート329は、公知の製造方法、例えば押し出し成形法等により製造することができる。また、互いに隣接する光拡散層330の基材331と支持層39の基材とを同一材料から形成するようにしてもよい。そしてこの場合、流動性を有する材料を所望の形状で硬化させることにより、光拡散層330および支持層39をそれぞれ形成するキャスト法を用いることができる。
【0288】
キャスト法を用いる場合には、まず、流動性を有する材料中に、当該材料の比重とは異なる比重を有した光拡散剤337を混入し、その後、流動性材料中において光拡散剤337を沈降させる。これにより、流動性を有する材料中において光拡散剤337が片寄って配置された状態となる。すなわち、ここで、「流動性を有する材料」とは、材料内に混入された光拡散剤337の比重と材料の比重との相違に起因して、混入された光拡散剤337が材料内で移動し得る程度の流動性を有した材料、を意味する。
【0289】
その後、この状態で、基材331および支持層39をなすようになる材料を硬化させることにより、光拡散剤337が片寄って配置されている部分から光拡散層330が形成され、その他の部分から支持層39が形成され得る。このような方法で得られた光拡散層330と支持層39においては、光拡散層330の基材331と支持層39の基材とが同一材料から一体に形成され、光拡散層330(基材331)と支持層39との間に界面(境界)が存在しない。
【0290】
また同様に、共押し出し成形により、光拡散層330の基材331と支持層39の基材とが同一材料から一体に形成された第3光学シート329を容易かつ安価に形成することができる。
【0291】
次に、光拡散層330の凹凸面332が凸レンズ333aから形成される場合における、光拡散層330を含む第3光学シート329の設計方法について詳述する。
【0292】
光拡散層330の凹凸面332が凸レンズ333aから形成される場合、光拡散層330の入光側面(凹凸面332)に入射する光束LFは一旦集光し、その後に拡散する。上述したように、光拡散層330中の個々の光拡散剤337の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、一つの単位レンズ形状部333へ入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、少なくとも一つの光拡散剤337が入り込んでいることが好ましい。この場合、光拡散層330中の光拡散剤337の全表面が、凹凸面332にて拡散される光をさらに広い範囲に拡散させることに寄与することができるようになるからである。このためには、単位レンズ形状部337への入射光束LFの通過領域Sが、集光する前に光拡散剤337を含むようにすればよい。
【0293】
したがって、本実施の形態においては、光拡散剤337の平均粒径Dが単位レンズ形状部の配列ピッチPよりも大きくなっているとともに、光拡散剤337が凹凸面332に近接して配置されていることが好ましい。また、第2の実施の形態において図27を参照して説明したように、光拡散剤337の少なくとも一部が、基材331の単位レンズ形状部333内に少なくとも部分的に入り込んでいることがさらに好ましい。具体的には、光拡散剤337の平均粒径Dを、単位レンズ形状部の配列ピッチP、より厳密には、単位レンズ形状部333のレンズ面の幅よりも大きく設定するとともに、光拡散層330(基材331)の厚みを制限することにより、光拡散剤337が凹凸面332の近傍に配置されるようにすることができる。
【0294】
このような光拡散層330を含む第3光学シート329の設計方法について、図49および図50を用いてより具体的に説明する。
【0295】
一つの単位レンズ形状部333へ、第3光学シート329のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部333から出射して集光する前に通過する領域S内に、一つの光拡散剤337が入り込み得るようにするには、基材331中の最出光側に配置された光拡散剤337を基準にして、第3光学シート329を設計することが好ましい。単位レンズ形状部333に入射した光束LFは、当該単位レンズ形状部333を出射した後、集光点に向けて次第に集束していく。したがって、単位レンズ形状部333から最も離間する基材331中の最出光側に配置された光拡散剤337が、一つの単位レンズ形状部333から出射した光束LFの通過領域S内に、入り込むようになっていることが好ましい。
【0296】
このため、図49に示すように、一つの単位レンズ形状部333へ、第3光学シート329のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部333から出射して集光する前に通過する領域S内に、基材331中の最出光側に配置された一つの光拡散剤337が入り込み得るようになっていることが好ましい。
【0297】
図49に示すように、単位レンズ形状部333の平均配列ピッチをPとし、第3光学シート329のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部333の平均厚みをTlとし、この単位レンズ形状部333の焦点距離をFとし、光拡散剤337の平均粒径をDとし、第3光学シート329のシート面に直交する方向に沿った基材331(光拡散層330)の最大厚みの平均をT2とする。ここで、基材331(光拡散層330)の最大厚みとは、基材331の出光側面から単位レンズ形状部333の最大突出部(頂部)までの長さのことである。
【0298】
一つの単位レンズ形状部333への入射光の通過領域Sに、光拡散層330中の最出光側に配置された光拡散剤337が含まれるとすると、三角形の相似関係から以下の式(93)が成り立つ。
P:F=D:(F−T2+D/2+Tl) ・・・式(93)
【0299】
したがって、光拡散剤337への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層330中の最出光側に配置された光拡散剤337を含み得るようにするには、第3光学シート329のシート面に直交する方向に沿った基材331(光拡散層330)の最大厚みの平均T2が以下の式(94)を満たすようにすればよい。
T2≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(94)
【0300】
なお、単位レンズ形状部333の焦点距離Fは、例えば、第1の実施の形態において焦点距離Fsを求めた方法と同様に、単位レンズ形状部333への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
【0301】
ところで、単位レンズ形状部333が隙間を空けて形成されている場合、図50に示すように、単位レンズ形状部333の配列ピッチPではなく、単位レンズ形状部333の平均最大幅Wに基づき、第3光学シート329を設計することができる。この場合、一つの単位レンズ形状部333への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層330中の最出光側に配置された光拡散剤337を含み得るようにするには、第3光学シート329のシート面に直交する方向に沿った基材331(光拡散層330)の最大厚みの平均T2が以下の式(95)を満たすようにすればよい。
T2≦((W−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(95)
【0302】
ここで、単位レンズ形状部333の平均最大幅Wとは、第3光学シート329のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部333の最大幅の平均値のことである。なお、単位レンズ形状部333が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部333の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート329のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部333の幅の平均値のことを指す。
【0303】
また、式(95)中のFは、最大幅がWである単位レンズ形状部333の焦点距離である。このような焦点距離Fは、例えば、第1の実施の形態において焦点距離Frを求めた方法と同様に、単位レンズ形状部333への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
【0304】
以上のようにして、第3光学シート329のシート面に直交する方向に沿った基材331(光拡散層330)の平均厚みT2の上限値を設定することができる。一方、第3光学シート329のシート面に直交する方向に沿った基材331(光拡散層330)の厚みT2は、当然に、光拡散剤330の平均粒径Dと単位レンズ形状部の厚さTlとの和以上となっていなければならない。
【0305】
以上のような本実施の形態によれば、基材331の凹凸面332で拡散される光を、基材331中の光拡散剤337により、効率的に拡散させることができる。すなわち、例えば基材331に光拡散剤337を大量に分散させる等して光拡散剤337に基づく光拡散機能を過度に増強することなく、光拡散層330全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
【0306】
なお、上述した第4の実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0307】
例えば、上述した実施の形態において、基材331中に、一種類の光拡散剤337が分散されている例を示したが、これに限られない。基材331中に、上述した光拡散剤337とは異なる種類のさらなる光拡散剤、例えば、上述した光拡散剤337の平均粒径とは異なる平均粒径を有した光拡散剤や、上述した光拡散剤337の屈折率とは異なる屈折率を有した光拡散剤が、さらに分散されていてもよい。さらなる光拡散剤は、上述した光拡散剤と同様に構成されてもよいし、異なるように構成されてもよい。ただし、さらなる光拡散剤も、上述した構成、例えば上述した設計方法にしたがっていることが好ましい。また、上述した実施の形態においては、光拡散層330のみが光拡散剤337を含有している例を示したが、これに限られない。例えば、支持層39が光拡散剤を含有するようにしてもよい。さらに、一つの光拡散剤337が一種類の材料からなっている必要はない。例えば、複数種類の材料から構成され、部分的に異なる屈折率を有する光拡散剤(例えば、特開平2−120702)を用いるようにしてもよい。
【0308】
また、上述した透過型スクリーン320は第1乃至第3の光学シート21,25,329を有する例を示したが、これに限られない。透過型スクリーン320は1以上の任意の数の光学シートを有することができる。また、光拡散層330が最出光側の第3光学シート329のみに含まれる例を示したが、これに限られない。光拡散層330は最出光側に配置される光学シート以外の光学シートに含まれるようにしてもよいし、また、複数の光学シートに含まれるようにしてもよい。さらに、光拡散層330が光学シートの最入光側に配置されている例を示したが、これに限られず、光拡散層330の入光側に別途の入光側層343が設けられていてもよい。
【0309】
一例として、図51および図52には、第3光学シート329aの光拡散層330の入光側に、接合層342を介して入光側層343を設けた変形例を示している。ここで、入光側層343は、例えば上述した視野角拡大層26と同様に構成され得る。ただし、これに限られず、入光側層343として種々の光学的機能を有した層を用いることができる。
【0310】
また、光拡散層330の入光側に配置された接合層342の材料としては、アクリル系の接着剤等、公知の材料を用いることができる。そして、接合層342の屈折率と光拡散層330の基材331の屈折率とが異なれば、接合層342と光拡散層330との界面において、透過光が屈折されることになる。
【0311】
このとき、光拡散層330の凹凸面332をなす単位レンズ形状部333が凸レンズ333aである場合には、接合層342の屈折率を基材331の屈折率よりも大きくすることが好ましい。この場合、図51に示すように、光拡散層330と接合層342との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。
【0312】
一方、光拡散層330の凹凸面332をなす単位レンズ形状部333が凹レンズ333bである場合には、接合層342の屈折率を基材331の屈折率よりも小さくすることが好ましい。この場合、図52に示すように、光拡散層330と接合層342との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。なお、図51および図52において、上述した実施の形態、並びに、第1乃至第3の実施の形態およびそれらの変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0313】
【図1】図1は、入光側に配置された単位拡散要素と出光側に配置された単位拡散要素との関連について説明するための図である。
【図2】図2は、本発明による背面投射型映像表示装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図3】図3は、背面投射型表示装置における光学系の概略構成を示す図である。
【図4】図4は、本発明による透過型スクリーンの第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明による透過型スクリーンおよび光学シートの第1の実施の形態を示す図である。
【図6】図6は、図5に示された光学シートの一例を示す図である。
【図7】図7は、図5に示された光学シートの他の例を示す図である。
【図8】図8は、図6に示された光学シートの作用を説明するための図である。
【図9】図9は、図6に示された光学シートの他の作用を説明するための図である。
【図10】図10は、図5に示された光学シートのさらに他の例を示す図である。
【図11】図11は、光学シートの設計方法を説明するための図である。
【図12】図12は、光学シートの他の設計方法を説明するための図である。
【図13】図13は、光学シートのさらに他の設計方法を説明するための図である。
【図14】図14は、光拡散剤の各位置に入射する光の光路を示す図である。
【図15】図15は、光拡散剤への入射位置と、各入射位置に入射した光の焦点距離との関係を示すグラフである。
【図16】図16は、基材の屈折率に対する光拡散剤の屈折率の比と、焦点距離Frの粒径Dに対する比と、の関係を示す図である。
【図17】図17は、光学シートのさらに他の設計方法を説明するための図である。
【図18】図18は、光学シートのさらに他の設計方法を説明するための図である。
【図19】図19は、光学シートのさらに他の設計方法を説明するための図である。
【図20】図20は、図5に示された透過型スクリーンおよび光学シートの変形例を示す図である。
【図21】図21は、図5に示された透過型スクリーンおよび光学シートの他の変形例を示す図である。
【図22】図22は、図21に示された光学シートの一例を示す図である。
【図23】図22は、図21に示された光学シートの他の例を示す図である。
【図24】図24は、本発明による透過型スクリーンおよび光学シートの第2の実施の形態を示す図である。
【図25】図25は、図24に示された光学シートの一例を示す図である。
【図26】図26は、図25に示された光学シートの作用を説明するための図である。
【図27】図27は、図25に示された光学シートの作用を説明するための図である。
【図28】図28は、光学シートの設計方法を説明するための図である。
【図29】図29は、光学シートの他の設計方法を説明するための図である。
【図30】図30は、光学シートのさらに他の設計方法を説明するための図である。
【図31】図31は、図24に示された光学シートの変形例を示す図である。
【図32】図32は、図24に示された光学シートの変形例を示す図である。
【図33】図33は、本発明による透過型スクリーンおよび光学シートの第3の実施の形態を示す図である。
【図34】図34は、図33に示された光学シートの一例を示す図である。
【図35】図35は、図33に示された光学シートの他の例を示す図である。
【図36】図36は、光学シートの設計方法を説明するための図である。
【図37】図37は、光学シートの他の設計方法を説明するための図である。
【図38】図38は、光学シートのさらに他の例の設計方法を説明するための図である。
【図39】図39は、光学シートのさらに他の例の設計方法を説明するための図である。
【図40】図40は、図33に示す透過型スクリーンおよび光学シートの変形例を示す図である。
【図41】図41は、図33に示す透過型スクリーンおよび光学シートの他の変形例を示す図である。
【図42】図42は、図41に示す光学シートの一例を示す図である。
【図43】図43は、図41に示す光学シートの他の例を示す図である。
【図44】図44は、本発明による透過型スクリーンおよび光学シートの第4の実施の形態を示す図である。
【図45】図45は、図44に示された光学シートの一例を示す図である。
【図46】図46は、図44に示された光学シートの他の例を示す図である。
【図47】図47は、図45に示された光学シートの作用を説明するための図である。
【図48】図48は、図45に示された光学シートの作用を説明するための図である。
【図49】図49は、光学シートの設計方法を説明するための図である。
【図50】図50は、光学シートの他の設計方法を説明するための図である。
【図51】図51は、図44に示された光学シートの変形例を示す図である。
【図52】図52は、図44に示された光学シートの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0314】
10 背面投射型表示装置
20 透過型スクリーン
25a 光学シート
25b 光学シート
29 光学シート
30 第1光拡散層
31 第1基材
32 凹凸面
33 単位レンズ形状部
33a 凸レンズ
33b 凹レンズ
35 第2光拡散層
36 第2基材
37 光拡散剤
42 接合層
43 出光側層
120 透過型スクリーン
129 光学シート
129a 光学シート
129b 光学シート
130 光拡散層
131 基材
132 凹凸面
133 単位レンズ形状部
133a 凸レンズ
133b 凹レンズ
137 光拡散剤
142 接合層
143 出光側層
220 透過型スクリーン
221 光学シート
225 光学シート
229 光学シート
230 第1光拡散層
231 第1基材
232 凹凸面
233 単位レンズ形状部
233a 凸レンズ
233b 凹レンズ
235 第2光拡散層
236 第2基材
237 光拡散剤
242 接合層
243 入光側層
320 透過型スクリーン
329 光学シート
329a 光学シート
330 光拡散層
331 基材
332 凹凸面
333 単位レンズ形状部
333a 凸レンズ
333b 凹レンズ
337 光拡散剤
342 接合層
343 入光側層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過型スクリーン用の光学シートにおいて、
複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、
前記第1基材の入光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、
前記光拡散剤の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも大きいことを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、粒径がDであり前記第2基材中の最出光側に配置された一つの光拡散剤へ、光学シートのシート面に直交する方向から、入射した光束が光拡散剤から出射して集光した後に通過する領域内に、一つの単位レンズ形状部が入り込み得るようになっていることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(1)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
L1≧((D+P)×F/D)+Tl−D/2 ・・・式(1)
【請求項4】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(2)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
L1≧((D+2P)×F/D)+Tl−D/2 ・・・式(2)
【請求項5】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(3)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
L1≧((D+W)×F/D)+Tl−D/2 ・・・式(3)
【請求項6】
前記単位レンズ形状部は、出光側において最大幅を有するレンズ面を含み、
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(4)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
L1≧((D+P)×F/D)−D/2 ・・・式(4)
【請求項7】
前記単位レンズ形状部は、出光側において最大幅を有するレンズ面を含み、
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(5)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
L1≧((D+2P)×F/D)−D/2 ・・・式(5)
【請求項8】
前記単位レンズ形状部は、出光側において最大幅を有するレンズ面を含み、
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(6)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
L1≧((D+W)×F/D)−D/2 ・・・式(6)
【請求項9】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、粒径がDであり前記第2基材中の最入光側に配置された一つの光拡散剤へ、光学シートのシート面に直交する方向から、入射した光束が光拡散剤から出射した後であって集光する前に通過する領域内に、一つの単位レンズ形状部が入り込み得るようになっていることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項10】
前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(7)を満たすことを特徴とする請求項1または9に記載の光学シート。
L2≦((D−P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(7)
【請求項11】
前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(8)を満たすことを特徴とする請求項1または9に記載の光学シート。
L2≦((D−2P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(8)
【請求項12】
前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(9)を満たすことを特徴とする請求項1または9に記載の光学シート。
L2≦((D−W)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(9)
【請求項13】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(10)を満たすことを特徴とする請求項1または9に記載の光学シート。
L2≦((D−P)×F/D)+D/2 ・・・式(10)
【請求項14】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(11)を満たすことを特徴とする請求項1または9に記載の光学シート。
L2≦((D−2P)×F/D)+D/2 ・・・式(11)
【請求項15】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の出光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(12)を満たすことを特徴とする請求項1または9に記載の光学シート。
L2≦((D−W)×F/D)+D/2 ・・・式(12)
【請求項16】
前記光拡散剤の屈折率をncとし、前記第2基材の屈折率をnbとして、以下の式(13)によって得られた値を、前記粒径がDである光拡散剤の焦点距離Fの値とすることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一項に記載の光学シート。
F=D×tan(sin-1(nb/nc))/2 ・・・式(13)
【請求項17】
前記光拡散剤の屈折率をncとし、前記第2基材の屈折率をnbとし、前記第2基材の屈折率に対する前記光拡散剤の屈折率の比をxb(=nc/nb)として、以下の式(14)によって得られた値を、前記粒径がDである光拡散剤の焦点距離Fの値とすることを特徴とする請求項3乃至8ならびに請求項10乃至15のいずれか一項に記載の光学シート。
F=D×
(exp(7xb4)−6exp(7xb)+exp(8xb)−7exp(7xb)+2exp(7))/2
・・・式(14)
【請求項18】
透過型スクリーン用の光学シートにおいて、
複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、
前記第1基材の入光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、
前記光拡散剤の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも小さいことを特徴とする光学シート。
【請求項19】
前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも大きいことを特徴とする請求項18に記載の光学シート。
【請求項20】
前記単位レンズ形状部は凸レンズを含むことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,9,10,11,12,13,14,15,18または19に記載の光学シート。
【請求項21】
前記単位レンズ形状部は凹レンズを含むことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,13,14,15,18または19に記載の光学シート。
【請求項22】
前記第1光拡散層は最出光側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至21のいずれ一項に記載の光学シート。
【請求項23】
前記第1光拡散層の出光側に接合層を介して配置された出光側層をさらに備え、
前記第1基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項20に記載の光学シート。
【請求項24】
前記第1光拡散層の出光側に接合層を介して配置された出光側層をさらに備え、
前記第1基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項21に記載の光学シート。
【請求項25】
前記第1基材と前記第2基材とは隣接して配置され、前記第1基材の屈折率と前記第2基材の屈折率とは異なることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項26】
前記第1基材の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項25に記載の光学シート。
【請求項27】
前記第1基材と前記第2基材とは同一材料により一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項28】
透過型スクリーン用の光学シートにおいて、
複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、
前記光拡散剤の屈折率は前記基材の屈折率よりも大きく、
前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも大きいことを特徴とする光学シート。
【請求項29】
前記光拡散剤の少なくとも一部は、前記基材の単位レンズ形状部内に少なくとも部分的に入り込んでいることを特徴とする請求項28に記載の光学シート。
【請求項30】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、粒径がDであり前記基材中の最入光側に配置された一つの光拡散剤へ、光学シートのシート面に直交する方向から、入射した光束が光拡散剤から出射した後であって集光する前に通過する領域内に、一つの単位レンズ形状部が入り込み得るようになっていることを特徴とする請求項28または29に記載の光学シート。
【請求項31】
前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(15)を満たすことを特徴とする請求項28乃至30のいずれか一項に記載の光学シート。
T1≦((D−P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(15)
【請求項32】
前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(16)を満たすことを特徴とする請求項28乃至30のいずれか一項に記載の光学シート。
T1≦((D−2P)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(16)
【請求項33】
前記単位レンズ形状部は、入光側において最大幅を有するレンズ面を含み、
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(17)を満たすことを特徴とする請求項28乃至30のいずれか一項に記載の光学シート。
T1≦((D−W)×F/D)+Tl+D/2 ・・・式(17)
【請求項34】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(18)を満たすことを特徴とする請求項28乃至30のいずれか一項に記載の光学シート。
T1≦((D−P)×F/D)+D/2 ・・・式(18)
【請求項35】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(19)を満たすことを特徴とする請求項28乃至30のいずれか一項に記載の光学シート。
T1≦((D−2P)×F/D)+D/2 ・・・式(19)
【請求項36】
前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、粒径がDである光拡散剤の焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みT1は、以下の式(20)を満たすことを特徴とする請求項28乃至30のいずれか一項に記載の光学シート。
T1≦((D−W)×F/D)+D/2 ・・・式(20)
【請求項37】
前記光拡散剤の屈折率をncとし、前記基材の屈折率をnaとして、以下の式(21)によって得られた値を、前記粒径がDである光拡散剤の焦点距離Fの値とすることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の光学シート。
F=D×tan(sin-1(na/nc))/2 ・・・式(21)
【請求項38】
前記光拡散剤の屈折率をncとし、前記基材の屈折率をnaとし、前記基材の屈折率に対する前記光拡散剤の屈折率の比をxa(=nc/na)として、以下の式(22)によって得られた値を、前記粒径がDである第1光拡散剤の焦点距離Fの値とすることを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の光学シート。
F=D×
(exp(7xa4)−6exp(7xa)+exp(8xa)−7exp(7xa)+2exp(7))/2
・・・式(22)
【請求項39】
透過型スクリーン用の光学シートにおいて、
複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、
前記光拡散剤の屈折率は前記基材の屈折率よりも大きく、
前記光拡散剤の少なくとも一部は、前記基材の単位レンズ形状部内に少なくとも部分的に入り込んでいることを特徴とする光学シート。
【請求項40】
透過型スクリーン用の光学シートにおいて、
複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を出光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、
前記光拡散剤の屈折率は前記基材の屈折率よりも低いことを特徴とする光学シート。
【請求項41】
前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも大きいことを特徴とする請求項39または40に記載の光学シート。
【請求項42】
前記単位レンズ形状部は凸レンズを含むことを特徴とする請求項28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40または41に記載の光学シート。
【請求項43】
前記単位レンズ形状部は凹レンズを含むことを特徴とする請求項28,29,30,34,35,36,39,40または41に記載の光学シート。
【請求項44】
前記光拡散層は最出光側に配置されていることを特徴とする請求項28乃至43のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項45】
前記光拡散層の出光側に接合層を介して配置された出光側層をさらに備え、
前記基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項42に記載の光学シート。
【請求項46】
前記光拡散層の出光側に接合層を介して配置された出光側層をさらに備え、
前記基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項43に記載の光学シート。
【請求項47】
請求項1乃至46のいずれか一項に記載の光学シートを備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
【請求項48】
請求項22または44に記載の光学シートを備え、
前記光学シートは最出光側に配置されていることを特徴とする透過型スクリーン。
【請求項49】
請求項47または48に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする背面投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2008−32833(P2008−32833A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203550(P2006−203550)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】