説明

光学シートおよび照明装置ならびに表示装置

【課題】光の利用効率を低下させることなく、薄型化を実現することの可能な光学シートおよびこれを備えた照明装置ならびに表示装置を提供する。
【解決手段】光学シート1には、複数の凸部10が設けられており、各凸部10は、シート面内の一の方向(x方向)において関数f(x)で表される表面形状と、x方向に直交するy方向において関数g(y)で表される表面形状とを重ね合わせた表面形状を有する。関数f(x)で表される表面形状は、例えば非球面形状、関数g(y)で表される表面形状は、例えばプリズム形状となっている。面内のx方向では、非球面形状によって光が分割され輝度むらが低減される一方、y方向のプリズム形状によって正面方向に光が立ち上げられ、正面輝度向上に寄与する。1枚の光学シートで輝度むらを低減させると同時に、正面輝度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性の光学シートおよびこれを備えた照明装置ならびに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ用等の液晶表示装置が普及し、高画質化、薄型化の要求が高まっている。これらの表示装置は、例えば、表示パネルの背面に設置されたバックライトから照射される光に基づいて表示を行い、バックライトとしては、通常、CCFL等の線状の光源を複数配列したものを用いている。
【0003】
一般に、このような表示装置では、例えばバックライトの輝度が高くかつ輝度むらのないことが要求される。通常、線状光源は一定の間隔をおいて設置されるため、線状光源を配列した方向に大きな輝度むらが発生する。このため、線状光源の上方には、光を拡散させる拡散板等が配置される。更に、輝度を向上させるために、この拡散板の上方に、三角柱状のプリズムを複数配列させたレンズシート等が配置される。
【特許文献1】特開2007−11292号公報
【特許文献2】特開2002−352611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来は、機能ごとに拡散シートやレンズシートなどの光学シートを設け、これらを重ね合わせることにより、複数の目的を達成していた。しかしながら、このように機能ごとに光学シートを設けた場合には、光源と表示パネルとの間に多くの光学シートを配置することが必要となる。このため、光路上に境界面や空気層が増加し、装置全体としての光の利用効率の低下を招いたり、薄型化を阻害する要因となっていた。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、光の利用効率を低下させることなく、薄型化を実現することが可能な光学シートおよびこれを備えた照明装置、ならびに表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第1の光学シートは、同一面内に複数の立体形状を備え、各立体形状は、面内の一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有している。関数f(x)で表される表面形状は、非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状となっており、関数g(y)で表される表面形状は、三角プリズム形状となっている。なお、この「三角プリズム形状」には、文字通りの三角柱の形状に限定されず、側面に2つの傾斜面を有する形状であればよく、例えば三角柱の頂角部分に曲面を有する形状なども含む概念とする。
【0007】
本発明による第2の光学シートは、同一面内に複数の立体形状を備え、各立体形状は、面内の一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有している。関数f(x)および関数g(y)で表される表面形状はそれぞれ、非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状となっている。
【0008】
本発明による第3の光学シートは、同一面内に複数の立体形状を備え、各立体形状は、面内の一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有するものである。
【0009】
本発明による第1の照明装置は、複数の線光源と、線光源から射出された光を透過させる光学シートとを備え、この光学シートは、上記第1の光学シートと同様の構成を有するものである。
【0010】
本発明による第2の照明装置は、複数の点光源と、点光源から射出された光を透過させる光学シートとを備え、この光学シートは、上記第2の光学シートと同様の構成を有するものである。
【0011】
本発明による第1の表示装置は、複数の線光源と、線光源から射出された光を透過させる光学シートと光学シートを透過した光に基づき画像を表示する表示パネルとを備え、光学シートは、上記第1の光学シートと同様の構成を有するものである。
【0012】
本発明による第2の表示装置は、複数の点光源と、点光源から射出された光を透過させる光学シートと光学シートを透過した光に基づき画像を表示する表示パネルとを備え、光学シートは、上記第2の光学シートと同様の構成を有するものである。
【0013】
本発明による第1の光学シートおよび第1の照明装置ならびに第1の表示装置では、各立体形状が関数f(x)で表される表面形状と、関数g(y)で表される表面形状とを重ね合わせた表面形状を有し、関数f(x)で表される表面形状が非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状を有することにより、x方向における光は多角柱形状の複数の平面あるいは非球面によって、複数に分割される。
【0014】
一方、関数g(y)で表される表面形状が三角プリズム形状であることにより、プリズム斜面で全反射を起こさないような角度の入射光は、プリズム面で屈折され、光が正面方向に立ち上がる。また、光学シートの下方に光反射板を設けた場合には、プリズム斜面に所定の角度で入射する光(正面方向の光)は、2つの斜面で全反射して、反射シートに到達し拡散されることで、様々な角度をもつ光になる(リサイクル効果)。そして、リサイクルされた光の一部はプリズム面の屈折効果で光が正面方向に立ち上げられ、一部は全反射されることで再び光反射板側に戻される。この作用を繰り返すことにより、正面方向の輝度が向上する。さらに、このリサイクル効果によって光ミキシングが高まり、輝度むらが効果的に低減される。よって、1枚の光学シートで輝度むらを低減する機能と正面輝度を向上させる機能とが同時に発揮される。
【0015】
特に、第1の照明装置ならびに第1の表示装置では、第1の光学シートが複数の線光源上に配置され、線光源の延在方向がy方向と等しくなっていることにより、線光源の配列する方向においては関数f(x)で表される表面形状、線光源の延在方向においては関数g(y)で表される表面形状の機能が発揮される。従来、線光源は一定の間隔で配置されるため、その配列方向においては、各線光源がつくる光源像により大きな輝度むらが生じてしまう。本発明では、この線光源の配列方向において、光源像が分割される。よって、x方向における輝度むらを低減する機能が効果的に発揮される。さらに、線光源の延在方向(y方向)の形状によるリサイクル効果によって光ミキシングが高まり、輝度むら低減機能がより効果的に発揮される。
【0016】
本発明による第2の光学シートおよび第2の照明装置ならびに第2の表示装置では、各立体形状が関数f(x)で表される表面形状と、関数g(y)で表される表面形状とを重ね合わせた表面形状を有し、関数f(x)および関数g(y)で表される表面形状が非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状を有することにより、入射光はx方向およびy方向の双方向において、複数に分割される。よって、1枚の光学シートにおいて、x方向およびy方向を含む面で2次元的に輝度むらが低減される。
【0017】
特に、第2の照明装置ならびに第2の表示装置では、第2の光学シートが複数の点光源上に配置されていることにより、点光源の配置によって生じる輝度むらを効果的に低減することができる。
【0018】
本発明による第3の光学シートでは、同一面内に複数の立体形状を備え、各立体形状が、関数f(x)で表される表面形状と、関数g(y)で表される表面形状とを重ね合わせた表面形状を有することにより、x方向およびy方向のそれぞれにおいて、各表面形状に基づく機能が同時に発揮される。
【発明の効果】
【0019】
本発明による第1の光学シートおよび第1の照明装置ならびに第1の表示装置によれば、光学シートに設けられた各立体形状が、関数f(x)で表される表面形状と、関数g(y)で表される表面形状とを重ね合わせた表面形状を有し、関数f(x)で表される表面形状は非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状となっており、関数g(y)で表される表面形状は、三角プリズム形状となっているので、関数f(x)で表される表面形状は、輝度むらを低減させる機能を発揮する一方、関数g(y)で表される表面形状は、正面輝度を向上させる機能を発揮する。よって、1枚の光学シートで2つの機能が両立され、従来のように、輝度むらを低減させるための拡散シートと正面輝度を高めるためのレンズシートとの2枚の光学シートを用いる場合に比べて、光路上に空気層や境界面となる領域が減少すると共に、部品点数が少なくなる。従って、光利用効率を低下させることなく、装置全体の薄型化を実現することができる。
【0020】
特に、光学シートの下方に光反射板を設けた場合には、三角プリズム形状のリサイクル効果で光ミキシングが高まるため、輝度むらが効果的に低減され、薄型化に有利となる。
【0021】
特に、第1の照明装置ならびに第1の表示装置において、第1の光学シートが複数の線光源によって構成される面光源上に配置され、線光源の延在方向がy方向と等しくなるようにすれば、線光源の配列方向では輝度むらを低減させる機能が発揮され、線光源の延在方向では正面輝度を向上させる機能が発揮される。よって、これら2つの機能がより効果的に発揮される。
【0022】
本発明による第2の光学シートおよび第2の照明装置ならびに第2の表示装置によれば、各立体形状が、関数f(x)で表される表面形状と、関数g(y)で表される表面形状とを重ね合わせた表面形状を有し、関数f(x)で表される表面形状および関数g(y)で表される表面形状がそれぞれ、非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状を有することにより、1枚の光学シートにおいて、x方向およびy方向を含む面で2次元的に輝度むらが低減される。よって、複数の拡散シートを積層する必要がなくなるため、光路上に空気層や境界面となる領域が減少すると共に、部品点数が少なくなる。従って、光利用効率を低下させることなく、装置全体の薄型化を実現することができる。
【0023】
特に、第2の照明装置ならびに第2の表示装置によれば、第2の光学シートが複数の点光源上に配置されるようにしたので、面内の2次元方向において輝度むらを低減させる機能が効果的に発揮され、均一な面発光を得ることができる。
【0024】
本発明による第3の光学シートによれば、同一面内に複数の立体形状を備え、各立体形状が、関数f(x)で表される表面形状と、関数g(y)で表される表面形状とを重ね合わせた表面形状を有することにより、x方向およびy方向のそれぞれにおいて、各表面形状に基づく機能が同時に発揮される。よって、機能ごとに複数の光学シートを積層する必要がなくなり、光路上に空気層や境界面となる領域が減少すると共に、部品点数が少なくなる。従って、光利用効率を低下させることなく、装置全体の薄型化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光学シート(光学シート1)の概略構成を表す斜視図である。光学シート1は、同一面内にマトリクス状に配置された複数の凸部10を備えている。この光学シート1は、例えば、蛍光管などの線光源を複数配列させてなる面発光源やLED(Light Emitting Diode)などの点光源を複数配置してなる面発光源の直上に配置されて使用されるものである。
【0027】
光学シート1は、透光性を有する樹脂材料、例えば、ポリカーボネートやPMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリスチレン系の熱可塑性樹脂により構成されている。なお、光学シート1に設けられた複数の凸部10の大きさや配列間隔、個数等は、図1に示したものに限定される訳ではなく、光学シートの仕様態様により決定される。
【0028】
凸部10は、シート面内の一の方向をx方向とし、このx方向に直交する方向をy方向としたとき、yを変数としない関数f(x)により表される表面形状と、xを変数としない関数g(y)により表わされる表面形状を重ねあわせた表面形状を有している。すなわち、各凸部10は、その全体の表面形状をZとすると、Z=f(x)+g(y)で表わされる表面形状を有している。
【0029】
例えば、各凸部10の全体の表面形状は、図2(A)に示したようなx方向の表面形状が関数f(x)で表される凸部10xが複数設けられた光学シート1xと、図2(B)に示したようなy方向の表面形状が関数g(y)で表される凸部10yが複数設けられた光学シート1yとが、重ね合わされたものである。特に、関数f(x)で表される表面形状は、非球面を含む柱形状(以下、単に「非球面形状」とする。)となっており、関数g(y)で表される表面形状は三角プリズム形状、好ましくはリサイクル効率の高い頂角90°の二等辺三角プリズム形状となっている。
【0030】
このような光学シート1は、例えば、マスクイメージング法により容易に作製することができる。マスクイメージング法は、エキシマレーザや炭酸ガスレーザ等を用いて、マスクにより形成されるイメージを、レンズを介して加工対象物に転写するものである。特に、2軸ドラッギング型のマスクイメージング法では、加工対象物の2軸に対して、それぞれ独立して精細なレーザ加工を行うことが可能である。このため、x方向およびy方向において、互いに独立した表面形状を有する光学シート1の作製に好適である。例えば、図1に示したような表面形状を形成する場合には、例えば図3(A)および図3(B)に示したようなマスク100a、100bを用いるようにする。
【0031】
マスク100aは、関数f(x)で表される表面形状、すなわち非球面形状を形成するためのマスクであり、関数f(x)で表される形状の開口部101aを複数有している。マスク100bは、関数g(y)で表される表面形状、すなわちプリズム形状を形成するためのマスクであり、関数g(y)で表される形状の開口部101bを複数有している。なお、マスク100a,100bに設けられる開口部101a,101bの個数は、特に限定されるものではないが、数が多い程、短時間で所望の形状を形成することができる。また、1枚のマスクに、関数f(x)で表される形状の開口部パターンが形成された領域と、関数g(y)で表される形状の開口部パターンが形成された領域とを設けるようにして、加工を行う方向に応じて、パターン領域を使い分けるようにしてもよい。
【0032】
まず、図4に示したように、マスク100aをシート1aの上方に図の向きに設置し、図示しないレンズを用いて、y方向にドラッギング加工することにより、図2(A)に示したようなx方向に関数f(x)で表される表面形状を有する凸部10xが形成される。このとき、シート1aを固定とし、マスク100aをシフトさせてレーザ光Bを照射するようにしてもよく、逆に、マスク100aを固定とし、シート1aをシフトさせてレーザ光Bを照射するようにしてもよい。また、レーザ光Bを照射する光学系をシフトさせるようにしてもよい。
【0033】
次いで、図5に示したように、マスク100bをシート1bの上方に図の向きに設置し、x方向にドラッギング加工することにより、図2(B)に示したようなy方向に関数g(y)で表される表面形状が重ね合わせられ、図1に示した光学シート1が完成する。
【0034】
なお、上記のように、まず関数f(x)の表面形状(非球面形状)を形成したのち、その上から関数g(y)の表面形状(プリズム形状)を重ね合わせるようにすることが好ましい。すなわち、より鈍っている表面形状を先に形成する方がよい。これにより、関数f(x)および関数g(y)で表される表面形状を精度良く形成することができ、所望の形状を得易くなる。
【0035】
次に、本実施の形態の光学シート1の作用および効果について、図6および図7を参照して説明する。光学シート1では、各凸部10が、シート面内のx方向において関数f(x)で表される表面形状とy方向において関数g(y)で表される表面形状とを重ねあわせた表面形状を有していることにより、x方向およびy方向のそれぞれにおいて、各表面形状に基づく機能が同時に発揮される。
【0036】
特に、図6に示したように、関数f(x)で表される表面形状が非球面形状であることにより、光学シート1に入射する光のうちx方向における光(L1)は、主に屈折の作用を受けて複数に分割(例えば、L1a)される。よって、x方向では輝度むらが低減される。
【0037】
一方、図7に示したように、関数g(y)で表される光学シート1に入射する光のうちy方向における光は、関数g(y)で表される表面形状が三角プリズム形状であることにより、プリズムの斜面に所定の角度で入射した光L2は、屈折の作用により、正面方向に立ち上げられる(L2a)。また、光学シート1に垂直あるいは垂直に近い角度で入射する光L3は、光学シート1の表面(光学シートと空気層との界面)で全反射されたのち、光学シート1の下方(L3a)に戻される(リサイクル効果)。このとき、光学シート1の下方(光源の下方)に反射シートが設けられている場合には、光L3aは反射シートで様々な角度に拡散反射され、一部の光は正面方向に立ち上げられ、また一部は再び下方へ戻される。これを繰り返すことにより、正面輝度が向上する。また、反射シートによる拡散反射を繰り返すことで、光ミキシングが向上するため、輝度むらを低減させる機能がアシストされる(アシスト効果)。
【0038】
以上説明したように、光学シート1が、x方向における非球面形状とy方向におけるプリズム形状とを重ね合わせた表面形状を有していることにより、x方向では輝度むらを低減させる機能が発揮される一方、y方向では正面輝度を向上させる機能が発揮される。よって、1枚の光学シートで2つの機能が両立される。従来のように、輝度むらを低減させるための拡散シートと、正面輝度を高めるためのレンズシートとの2枚の光学シートを用いる場合に比べて、光路上に空気層や境界面となる領域が減少すると共に、部品点数が少なくなる。従って、光利用効率を低下させることなく、装置全体の薄型化を実現することができる。また、アシスト効果により輝度むら低減効果が高まるため、光学シート(拡散板)との距離を縮めることができ、さらなる薄型化が可能である。
【0039】
(変形例1)
次に、本実施の形態の光学シート1の各凸部の変形例1(凸部20、凸部30、凸部40)について図8および図9を参照して説明する。
【0040】
図8(A),(B)は、それぞれ凸部20、凸部30の概略構成を表す斜視図である。凸部20および凸部30は、x方向およびy方向におけるそれぞれの表面形状の組み合わせが異なること以外は、上記凸部10と同様の構成を有している。凸部20は、x方向における関数f(x)で表される表面形状が5角柱形状となっており、y方向における関数g(y)で表される表面形状が三角プリズム形状となっている。凸部30は、x方向における関数f(x)で表される表面形状が5角柱形状となっており、y方向における関数g(y)で表される表面形状においては、三角プリズム形状の頂角部分に曲面が付された形状となっている。
【0041】
図8(A)に示したように、関数f(x)で表される表面形状は、3つ以上の面を有する多角柱形状であってもよい。この場合、凸部の斜面の数が多くなる程、入射光の光束の分割数が増加するため、輝度むらがより効果的に低減される。従って、関数f(x)で表される表面形状における面の数は多くなっていることが好ましい。このような構成により、x方向では輝度むらを低減させる機能が発揮される一方、y方向では正面輝度を向上させる機能が発揮される。従って、1枚の光学シートで輝度むらを低減すると同時に正面輝度を向上させることができる。
【0042】
図8(B)に示したように、関数g(y)で表される表面形状は、頂角部分に曲面を有する三角柱形状であってもよい。このような表面形状であっても、正面方向に集光させたり、光ミキシングによって、正面輝度を向上させることができる。
【0043】
図9は、凸部40の概略構成を表す斜視図である。凸部40は、凸部40aおよび凸部40bが交互に隣接して配列したものである。このように、互いに異なる表面形状を有する凸部40a,40b同士を配列させて構成するようにしてもよい。これにより、平面(斜面)の数を多くすることができるため、光の分割数が増加し、輝度むらがより効果的に低減される。なお、凸部40a,40bは、必ずしも隣接していなくてもよい。例えば、順に40a、40a、40b、40b…となるように、2つおきに交互に配置されるようにしてもよい。また、凸部40a,40bをランダムに配列してもよい。また、組み合わせる表面形状は2つに限定されず、3つ以上の表面形状を組み合わせるようにしてもよい。
【0044】
次に、本発明に係る光学シートの適用例について、図1に示した光学シート1を例に挙げて説明する。
【0045】
図10は、光学シート1を用いた照明装置2の概略構成を表す斜視図である。この照明装置2は、複数の線光源11の直上に光学シート1を備えており、線光源11の下方には反射板200が設けられている。線光源11は、その延在方向が光学シート1のy方向と等しくなるように配置されている。
【0046】
線光源11は、蛍光管等の線状の光源、例えば、冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)と呼ばれる冷陰極蛍光ランプ等により構成されている。照明装置2では、この線光源11が一定間隔で複数配置されたものが、面発光を得るための光源として用いられている。また、反射板200は、光学シート1で反射されて線光源11側に戻ってくる光を拡散、反射させるものである。
【0047】
このような照明装置2では、複数の線光源11上に、本実施の形態の光学シート1を備え、特に線光源11の延在方向と光学シート1のy方向とが等しくなっていることにより、線光源11の延在方向と直行する方向(以下、配列方向とする。)において関数f(x)で表される表面形状の機能が発揮され、光源11の延在方向において、関数g(y)で表される表面形状の機能が発揮される。通常、線光源11は、一定の間隔で配置されるため、その配列方向では大きな輝度むらが生じてしまうが、この照明装置2では、線光源11の配列方向において輝度むらが低減され、線光源11の延在方向において正面輝度が向上する。よって、光学シート1のx方向およびy方向におけるそれぞれの機能が効果的に発揮され、均一で正面輝度の高い面発光を実現できる。
【0048】
また、y方向において、光学シート1に垂直あるいは垂直に近い角度で入射した光L3(図7参照)は、プリズム形状の斜面で全反射され(光L3a)たのち、線光源11側に戻される。この光L3aは、反射板200によって拡散、反射され、再び光学シート1に入射する。こうして再び光学シート1に入射した光は、その入射角度によって、屈折の作用を受けて正面方向に立ち上げられるか、あるいは全反射の作用を受けて光源側へ戻される。このように、光学シート1で全反射された光を反射板200によって再び光学シート1に入射させる(リサイクル効果)ことにより、光の利用効率が向上し、全体として正面輝度がより向上する。
【0049】
さらに、このy方向における光のリサイクル効果によって、光のミキシングが生じるため、x方向での輝度むらの低減作用がアシストされる。よって、x方向に非球面形状、y方向にプリズム形状を配列させた組み合わせにより、x方向における輝度むら低減機能をより効果的に発揮させることができる。
【0050】
図11は、図1に示した光学シート1を用いた表示装置3の概略構成を表す斜視図である。この表示装置3は、液晶パネル等の表示パネルの背面から光を照射するバックライト方式の液晶表示装置であり、例えば、線光源11の上方に、光学シート1、拡散シート12、輝度向上フィルム13、偏光板14、液晶パネル15、偏光板16がこの順に配置されたものであり、線光源11の下方には、反射板200が設けられている。また、この表示装置3では、線光源11が、表示面に対して縦置きとなっており、視聴者から観て垂直方向に延在するように構成されている。なお、表示装置3において、光学シート1、線光源11および反射板200が上記照明装置2に対応している。従って、以下では、光学シート1および照明装置2についての説明を適宜省略する。
【0051】
拡散シート12は、透光性を有すると共に、集光あるいは光拡散のために設けられるものである。拡散シート12は、板状の比較的厚みの大きいものから、フィルム状の比較的厚みの小さいものまでを広く含む概念であり、これらが単独で用いられてもよいし、複数枚組み合わされて用いられてもよい。拡散シート12は、例えばアクリルやポリカーボネート等により構成され、具体的には、DR−60C(日東樹脂(株)製:商品名)及びNB01(三菱レイヨン(株)製:商品名)等が用いられる。
【0052】
輝度向上フィルム13は、例えば屈折率に異方性のある多層膜フィルムであり、一定の偏光のみを透過させ、それと直交する成分の偏光は反射するものである。輝度向上フィルム13の偏光透過軸は、後述の偏光板14の偏光透過軸と等しく配置されるため、偏光板14で吸収されてしまう光を反射板200に戻して拡散、反射することで、光をリサイクルすることができる。
【0053】
偏光板14,16は、液晶パネル15の入射光および出射光の一定の偏光のみを通過させる光学フィルムである。これら偏光板14,16はそれぞれの偏光軸が互いに直交するように配置され、これにより光源11側からの光が、液晶パネル15を介して透過、あるいは遮断されるようになっている。
【0054】
液晶パネル15は、例えば、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)基板151と、CF(Color Filter;カラーフィルタ)基板153と、これらTFT基板151およびCF基板153の間に設けられた液晶層152とを備えている。TFT基板151は、透明基板上に、例えば、複数の画素電極がマトリクス状に配置されてなり、複数の画素電極をそれぞれ駆動するゲート・ソース・ドレイン等を備えたTFTスイッチング素子や、これらTFTスイッチング素子に接続されるゲート線およびソース線等(図示せず)が設けられて構成されている。CF基板153は、透明基板上に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のフィルタがストライプ状に設けられたカラーフィルタと、有効表示領域のほぼ全面に亘って対向電極とが配置されたものである。液晶層152は、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In Place Switching)モード等の駆動方式を有するネマチック液晶により構成されている。なお、TFT基板151およびCF基板153と液晶層152とのそれぞれの界面には、液晶層152の配向状態を規制する配向膜等が更に設けられていてもよい。
【0055】
この表示装置3では、照明装置2の線光源11の延在方向が視聴者から観た垂直方向(以下、単に垂直方向とする)と等しくなっている。すなわち、光学シート1のy方向が垂直方向に等しくなっている。ここで、光学シート1において、y方向における光は、関数g(y)で表される表面形状、すなわちプリズム形状により正面方向に立ち上げられる。また、通常、液晶テレビ用途では、線光源の延在方向は、視聴者から観て水平方向となっていることが多い。このため、線光源11が水平方向に配置され、線光源11の延在方向とy方向が等しくなるようにした場合には、水平方向の視野角特性が悪化する可能性がある。一般に、テレビ用途などでは、水平方向の視野角が狭くなるのは好ましくないため、このような場合の解決策として、図11に示したように、線光源11の延在方向が垂直方向に等しくなるようにすることが可能である。これにより、良好な視野角特性を維持することができる。
【0056】
[第2の実施の形態]
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る光学シート(光学シート4)の概略構成を表す斜視図である。光学シート4は、同一面内にマトリクス状に配置された複数の凸部50を備えている。この光学シート4は、例えば、蛍光管などの線光源を複数配列させてなる面発光源やLED(Light Emitting Diode)などの点光源を複数配列させて面発光を行う光源上に配置されて使用されるものである。
【0057】
光学シート4は、透光性を有する樹脂材料、例えば、ポリカーボネートやPMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリスチレン系の熱可塑性樹脂により構成されている。なお、光学シート4に設けられた複数の凸部50の大きさや配列間隔、個数等は、図12に示したものに限定される訳ではなく、光学シートの仕様態様により決定される。
【0058】
凸部50は、シート面内の一の方向をx方向とし、このx方向に直交する方向をy方向としたとき、yを変数としない関数f(x)により表される表面形状と、xを変数としない関数g(y)により表わされる表面形状を重ねあわせた表面形状を有している。すなわち、各凸部50は、その全体の表面形状をZとすると、Z=f(x)+g(y)で表わされる表面形状を有している。
【0059】
例えば、各凸部50の全体の表面形状は、図13(A)に示したようなx方向の表面形状が関数f(x)で表される凸部50xが複数設けられた光学シート4xと、図13(B)に示したようなy方向の表面形状が関数g(y)で表される凸部50yが複数設けられた光学シート4yとが、重ね合わされたものである。特に、関数f(x)で表される表面形状および関数g(y)で表される表面形状がそれぞれ、非球面形状となっている。
【0060】
本実施の形態の光学シート4では、各凸部50が、シート面内のx方向において関数f(x)で表される表面形状とy方向において関数g(y)で表される表面形状とを重ねあわせた表面形状を有し、関数f(x)および関数g(y)で表される表面形状がそれぞれ、非球面形状となっていることにより、x方向およびy方向のそれぞれにおいて、光は屈折の作用を受けて複数に分割される。よって、x方向とy方向とを含む面内で2次元的に輝度むらが低減される。従って、複数の拡散シートなどを積層する必要がないため、光路上に空気層や境界面となる領域が減少すると共に、部品点数が少なくなる。これにより、光利用効率を低下させることなく、装置全体の薄型化を実現することができる。
【0061】
(変形例2)
次に、本実施の形態の光学シート4の各凸部の変形例2(凸部60、凸部70)について、図14を参照して説明する。
【0062】
図14(A),(B)は、それぞれ凸部60、凸部70の概略構成を表す斜視図である。凸部60および凸部70は、x方向およびy方向におけるそれぞれの表面形状の組み合わせが異なること以外は、上記凸部50と同様の構成を有している。凸部60は、x方向における関数f(x)で表される表面形状が非球面形状となっており、y方向における関数g(y)で表される表面形状が5角柱形状となっている。凸部70は、x方向における関数f(x)で表される表面形状が6角柱形状となっており、y方向における関数g(y)で表される表面形状が5角柱形状となっている。
【0063】
次に、図12に示した光学シート4を用いた照明装置6について、図15を参照して説明する。
【0064】
図15は、光学シート4を用いた照明装置6の概略構成を表す斜視図である。この照明装置6は、複数の点光源21が配置された面発光源の直上に光学シート4を備えたものであり、点光源21の下方には反射板200が設けられている。点光源21は、例えばLEDや有機EL(Electro Luminescence)などの点状の光源により構成されている。
【0065】
このような照明装置6では、本実施の形態の光学シート4を備えていることにより、点光源21に対して関数f(x)および関数g(y)で表される表面形状が発現させる機能が同時に発揮される。通常、複数の点光源21を配置した場合には、x方向およびy方向の双方において輝度むらが生じるが、本実施の形態では、x方向およびy方向のそれぞれの方向において輝度むらが低減されるため、1枚の光学シートで均一な面発光を得ることができる。
【0066】
また、図12に示した光学シート4は、図16に示したような表示装置7に適用することもできる。なお、表示装置7は、光学シートと光源の構成が異なること以外は、上記第1の実施の形態の表示装置3と同様の構成を有している。また、光学シート4、点光源21および反射板200が、上記照明装置6に対応している。
【実施例】
【0067】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0068】
(実施例1−1)
実施例1−1として、第1の実施の形態の光学シート1を用いた照明装置2について、以下のようなシミュレーションを行った。具体的には、図10に示した照明装置2において、光学シート1の上方より出射する光の輝度分布および輝度配向について測定した。このとき、線光源11同士の間隔d1を27.8mm、線光源11と光学シート1の間隔d2を16.9mm、光学シート1の厚みを2mm、各凸部10のx方向におけるピッチPxを100μm、各凸部10のy方向におけるピッチPyを50μmとした。また、線光源11の延在方向と光学シート1のy方向とが等しくなるように配置した。
【0069】
また、各凸部10のx方向における表面形状は、図17(A)に示した関数f(x)で表される非球面形状とし、y方向における表面形状は、図17(B)に示した関数g(y)で表される三角プリズム形状(頂角90°の二等辺三角プリズム形状)とした。なお、図17中の数値の単位はμm(マイクロメートル)とする。
【0070】
このような構成の照明装置において、x方向およびy方向における輝度配向(視野角特性)についてのシミュレーション結果を図21、輝度分布についてのシミュレーション結果を図25に示す。なお、図21において、点線で示した位置(−27.8、0、27.8)は、光源が配置された位置を示す。
【0071】
(比較例1−1)
実施例1−1の比較例1−1として、図18に示したように、各凸部のx方向にのみ関数f(x)で表される非球面形状を付した光学シート102を用いた照明装置について、シミュレーションを行った。このとき、関数f(x)としては、図17(A)と同様のものを用い、x方向の1軸にのみ関数f(x)で表される表面形状が付されていること以外は、上記実施例1−1と同様の条件として、輝度配向および輝度分布を測定した。なお、比較例1−1においても、y方向と光源11の延在方向とが等しくなるように配置した。この比較例1−1の輝度配向についてのシミュレーション結果を図22に、輝度分布についてのシミュレーション結果を、実施例1−1の結果と共に図25に示す。
【0072】
(比較例1−2)
実施例1−1の比較例1−2として、図19に示したような光学シート103を用いた照明装置について輝度配向および輝度分布についてのシミュレーションを行った。比較例1−2の光学シート103は、その各凸部の全体の表面形状をZとすると、Z=max{f(x),g(y)}で表わされる表面形状を有していること以外は、実施例1−1と同様の構成となっている。この比較例1−2の輝度配向についての結果を図23、輝度分布についての結果を実施例1−1の結果と共に図25に示す。
【0073】
なお、上記比較例1−1,1−2における表面形状は、従来から用いられている切削方法により容易に加工が可能な形状であり、この切削による方法で、例えば非球面形状と三角プリズム形状とを重ね合わせを考えたときに、一般的に想起される形状である。
【0074】
(比較例1−3)
実施例1−1の比較例1−3として、図20に示したような光学シート104を用いた照明装置について輝度配向および輝度分布についてのシミュレーションを行った。比較例1−3の光学シート104は、その各凸部の全体の表面形状をZとすると、Z=min{f(x),g(y)}で表わされる表面形状を有していること以外は、実施例1−1と同様の構成となっている。この比較例1−3の輝度配向についての結果を図24、輝度分布についての結果を実施例1−1の結果と共に図25に示す。
【0075】
また、図26には、実施例1−1および比較例1−1〜1−3に対して、正面輝度(面内分布の平均値)についてまとめたものを示す。
【0076】
図21,22の結果から、実施例1−1では比較例1−1に比べて、x方向およびy方向のいずれの方向においても、視野角0°付近の輝度、すなわち正面輝度が向上(17.8%向上)していることがわかる。また、図25の結果から、y方向にプリズム形状を配置した実施例1−1では、y方向にプリズム形状を配置していない比較例1−1に比べて輝度むらがより低減され、均一な状態が保たれていることがわかる。すなわち、実施例1−1と比較例1−1では、x方向における表面形状を同一の非球面形状としたにも拘わらず、y方向にプリズム形状を配置した実施例1−1の方が、より輝度むらが低減される結果となった。これは、y方向のプリズム形状におけるリサイクル効果によって光のミキシングが生じ、x方向の非球面形状における輝度むら低減機能がより効果的に発揮されることを示している。
【0077】
図23〜図26の結果から、実施例1−1では、比較例1−2に比べて、正面輝度が向上し、輝度むらが低減されていることがわかる。他方、比較例1−3では、正面輝度は高くなっているものの、輝度むらがほとんど低減されていないことがわかる。よって、各凸部の全体の表面形状をZとしたとき、Z=f(x)+g(y)で表される表面形状、すなわち、各凸部が、関数f(x)で表される表面形状と、関数g(y)で表される表面形状とを重ね合わせたものであることにより、x方向およびy方向のそれぞれの機能が同時に発揮されることが示された。
【0078】
(実施例2−1)
次に、実施例2−1として、変形例に係る凸部40(凸部40a、凸部40b)を有する光学シート5を用いた照明装置(図27)について、輝度配向および輝度分布についてのシミュレーションを行った。このとき、線光源11同士の間隔d1を33.0mm、線光源11と光学シート5の間隔d2を15.5mm、光学シート5の厚みを2mm、凸部40aのx方向におけるピッチPxaを100μm、凸部40bのx方向におけるピッチPxbを75μm、凸部40aおよび凸部40bのy方向におけるピッチPyを50μmとした。また、凸部40a、凸部40bのそれぞれのx方向における表面形状は、図28に示した関数f(x)で表される多面体形状とした。一方、これらのy方向における表面形状は、図17(B)に示したような二等辺三角プリズム形状とした。なお、その他の条件については、上記実施例1と同様にしてシミュレーションを行い、輝度配向についての結果を図30に示し、輝度分布についての結果を図32に示す。
【0079】
(比較例2−1)
実施例2−1の比較例2−1として、図29に示したように、各凸部のx方向にのみ関数f(x)で表される多角柱形状を付した光学シート105を用いた照明装置について、シミュレーションを行った。このとき、関数f(x)としては、図28と同様のものを用い、x方向の1軸にのみ関数f(x)で表される表面形状が付されていること以外は、上記実施例2−1と同様の条件として、輝度分布および輝度配向を測定した。なお、比較例2−1においても、y方向と光源11の延在方向とが等しくなるように配置した。この比較例2−1の輝度輝度配向についての結果を図31、輝度分布についての結果を実施例2−1の結果と共に図32に示す。
【0080】
図30,31の結果から、x方向(垂直方向)およびy方向(水平方向)のいずれの方向においても、視野角0°付近、すなわち正面輝度が向上していることがわかる。また、図32の結果から、実施例2−1、比較例2−1共に、線光源11の配置によって輝度むらが発生することなく均一な状態が保たれていることがわかる。特に、実施例2−1においては、比較例2−1に比べて正面輝度が4.5%向上した。これにより、y方向に延在する線光源に対して、x方向に多角柱形状、y方向に三角プリズム形状を重ね合わせることによっても、それぞれの機能が同時に発揮され、1枚の光学シートで2つの機能が両立することが示された。
【0081】
以上のことから、複数の線光源11の直上に光学シートが設けられた照明装置では、各凸部が、x方向において関数f(x)で表わされる表面形状と、y方向において関数g(y)で表される表面形状とを重ね合わせた表面形状を有し、関数f(x)で表される表面形状が非球面形状、関数g(y)で表される表面形状が三角プリズム形状であることにより、輝度むらを低減させると同時に正面輝度を向上させことが可能となる。よって、1枚の光学シートで、輝度むらを低減させる機能と正面輝度を向上させる機能とを両立させることができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0083】
例えば、上記実施の形態等では、関数f(x)で表される表面形状が非球面形状、関数g(y)で表される表面形状が三角プリズム形状である光学シート1に対して光を入射させる光源として、複数の線光源11を一定間隔で配列してなるものを例に挙げて説明したが、光源の種類はこれに限定されず、x方向およびy方向を含む2次元的な面での面発光を目的としたものであれば本発明の効果は達成される。同様に、関数f(x)で表される表面形状および関数g(y)で表される表面形状がそれぞれ非球面形状である光学シート4に対する光源として、複数の点光源21を配置してなるものを例に挙げて説明したが、光源の種類はこれに限定される訳ではない。
【0084】
また、光学シートにおいて、突起が形成されていない面側にシボ加工等の粗面化加工を施すことで、取り扱い時における傷つき等を防止することができ、光学特性の劣化を緩和することができる。また、液晶表示装置用のバックライト装置として用いる場合に限られない。また、拡散性シートとして、ドットパターンが設けられた拡散板を用いることで、適切な組み合わせにより、装置の薄型化を図ることができる。
【0085】
また、光学シート1をマスクイメージング法を用いて作製する方法について説明したが、これに限定されず、他の方法によっても作製することが可能である。例えば、x方向、y方向に所望の形状が切削された原盤を用いて、熱可塑性樹脂の一体成型(熱プレス)で形成したり、あるいは、シート上に、エネルギー線(例えば紫外線)硬化型樹脂を転写して、凸部を形成するようにしてもよい。この他にも、例えば、溶融押し出しや射出成型等、様々な転写方法により形成することが可能である。
【0086】
また、表示装置3では、線光源11をその延在方向が視聴者から観た垂直方向と等しくなるように配置した例を挙げて説明したが、線光源11の配置方向は、勿論これに限定される訳ではない。一般的な液晶テレビのように、線光源11の延在方向が水平方向と等しくなっている場合であっても、本発明の効果は達成される。
【0087】
また、光学シートとしては、拡散材などを混入させた材料を用いるようにしてもよい。このようにすることで、より輝度むらを低減させる機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光学シートの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した光学シートのx方向およびy方向の表面形状を説明するための図である。
【図3】図1に示した光学シートを作製する際に用いるマスクの平面図である。
【図4】図1に示した光学シートの作製方法を説明するための斜視図である。
【図5】図1に示した光学シートの作製方法を説明するための斜視図である。
【図6】図1に示した光学シートのx方向における入射光の作用を説明するための図である。
【図7】図1に示した光学シートのy方向における入射光の作用を説明するための図である。
【図8】本発明の第1の変形例に係る凸部の概略構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の第1の変形例に係る凸部の概略構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の概略構成を示す斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る光学シートの概略構成を示す斜視図である。
【図13】図12に示した光学シートのx方向およびy方向の表面形状を説明するための図である。
【図14】本発明の第2の変形例に係る凸部の概略構成を示す斜視図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の概略構成を示す斜視図である。
【図17】実施例1−1の光学シートの各凸部の表面形状を表す関数を示す図である。
【図18】比較例1−1の照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【図19】比較例1−2の照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【図20】比較例1−3の照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【図21】実施例1−1の輝度配向についての特性図である。
【図22】比較例1−1の輝度配向についての特性図である。
【図23】比較例1−2の輝度配向についての特性図である。
【図24】比較例1−3の輝度配向についての特性図である。
【図25】実施例1−1、比較例1−1〜1−3の輝度分布についての特性図である。
【図26】実施例1−1、比較例1−1〜1−3の正面輝度についてまとめた図である。
【図27】実施例2−1の照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【図28】実施例2−1の光学シートの各凸部の関数f(x)を表す特性図である。
【図29】比較例2−1の照明装置の概略構成を示す斜視図である。
【図30】実施例2−1の輝度配向についての特性図である。
【図31】比較例2−1の輝度配向についての特性図である。
【図32】実施例2−1および比較例2−1の輝度分布についての特性図である。
【符号の説明】
【0089】
1,4,5…光学シート、2,6…照明装置、3,7…表示装置、10,20,30,40,50,60,70…凸部、11,21…光源、12…拡散シート、13…輝度向上フィルム、14,16…偏光板、15…液晶パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一面内に複数の立体形状を備え、
前記立体形状は、前記面内の一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、前記方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有し、
前記関数f(x)で表される表面形状は、非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状であり、
前記関数g(y)で表される表面形状は、三角プリズム形状である
ことを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記関数g(y)で表される表面形状は、二等辺三角プリズム形状である
ことを特徴とする請求項1記載の光学シート。
【請求項3】
前記関数g(y)で表される表面形状は、頂角90°の二等辺三角プリズム形状である
ことを特徴とする請求項1記載の光学シート。
【請求項4】
前記複数の立体形状は、マトリクス状に配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の光学シート。
【請求項5】
同一面内に複数の立体形状を備え、
前記立体形状は、前記面内の一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、前記方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有し、
前記関数f(x)で表される表面形状および前記関数g(y)で表される表面形状はそれぞれ、非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状である
ことを特徴とする光学シート。
【請求項6】
同一面内に複数の立体形状を備え、
前記立体形状は、前記面内の一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、前記方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有する
ことを特徴とする光学シート。
【請求項7】
複数の線光源と、
前記線光源から射出された光を透過させる光学シートとを備え、
前記光学シートは、
同一面内に複数の立体形状を備え、
前記各立体形状は、一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、前記方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有し、
前記関数f(x)で表される表面形状は、非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状であり、
前記関数g(y)で表される表面形状は、三角プリズム形状である
ことを特徴とする照明装置。
【請求項8】
前記線光源は、その延在方向が前記方向yと等しくなるように配置されている
ことを特徴とする請求項8記載の照明装置。
【請求項9】
前記光学シートの前記線光源の側に光反射板を備えた
ことを特徴とする請求項7記載の照明装置。
【請求項10】
複数の点光源と、
前記点光源から射出された光を透過させる光学シートとを備え、
前記光学シートは、
同一面内に複数の立体形状を備え、
前記各立体形状は、一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、前記方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有し、
前記関数f(x)で表される表面形状および前記関数g(y)で表される表面形状はそれぞれ、非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状である
ことを特徴とする照明装置。
【請求項11】
複数の線光源と、
前記線光源から射出された光を透過させる光学シートと
前記光学シートを透過した光に基づき画像を表示する表示パネルとを備え、
前記光学シートは、
同一面内に複数の立体形状を備え、
前記各立体形状は、一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、前記方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有し、
前記関数f(x)で表される表面形状は、非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状であり、
前記関数g(y)で表される表面形状は、三角プリズム形状である
ことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
前記線光源の延在方向が、前記表示パネルの表示面における垂直方向と等しくなっている
ことを特徴とする請求項11記載の表示装置。
【請求項13】
前記光学シートの前記線光源の側に光反射板を備えた
ことを特徴とする請求項11記載の表示装置。
【請求項14】
複数の点光源と、
前記点光源から射出された光を透過させる光学シートと
前記光学シートを透過した光に基づき画像を表示する表示パネルとを備え、
前記光学シートは、
同一面内に複数の立体形状を備え、
前記各立体形状は、一の方向xにおける表面形状を関数f(x)で表し、前記方向xに直交する方向yにおける表面形状を関数g(y)で表したとき、f(x)+g(y)で表される表面形状を有し、
前記関数f(x)で表される表面形状および前記g(y)で表される表面形状はそれぞれ、非球面を含む柱形状あるいは多角柱形状である
ことを特徴とする表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2008−304700(P2008−304700A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151656(P2007−151656)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】