説明

光学フィルム及びこれの製造方法

【課題】光学的透明性に優れているだけでなく、靭性及び耐熱性に優れている光学フィルム及びこれの製造方法を提供する。
【解決手段】i)(メタ)アクリル系樹脂及びii)(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹脂がグラフトされたグラフト共重合体を前記i)(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し5〜45重量部含む光学フィルム及び位相差フィルムとこれを含む電子装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム及びこれの製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、光学的透明性に優れているだけでなく、靭性及び耐熱性に優れている光学フィルム及びこれの製造方法に関するものであって、前記光学フィルムはLCDのような表示装置などの電子素子に有用に使われる。本出願は2007年10月2日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2007−0099455号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
近来、光学技術の発展に伴ない従来のブラウン管を代替するプラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機/無機ELディスプレイ(ELD)等、様々な方式を用いたディスプレイ技術が提案され、市販されている。前記のようなディスプレイでは多様なプラスチックフィルムの利用が提案されており、その要求特性が一層高度化している。例えば、液晶ディスプレイの場合、薄型化、軽量化および表示特性を向上させるために、偏光板、位相差フィルム、プラスチック基板、導光板等に様々なプラスチックフィルムが使用されている。
【0003】
通常、偏光板の場合、偏光子に保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルム(triacetyl celluloseフィルム、以下“TACフィルム”という)をポリビニルアルコール系水溶液からなる水系接着剤で積層させた構造を有する。ところで、偏光子として使われるポリビニルアルコールフィルムと偏光子用保護フィルムとして使われるTACフィルムは、いずれも耐熱性及び耐湿性が十分でない。したがって、前記フィルムで形成される偏光板を高温あるいは高湿の雰囲気下で長時間使用する場合、偏光度が低下し、偏光子と保護フィルムが分離したり光特性が低下するため、用途面で様々な制約を受ける。また、TACフィルムは周辺温度/湿度環境の変化により既存に有している面内位相差(Rin)や厚さ方向位相差(Rth)の変化が甚だしく、特に傾斜方向における入射光に対する位相差の変化が大きい。このような特性を有するTACフィルムを保護フィルムとして備える偏光板を液晶表示装置に適用すると、周辺温度/湿度環境の変化により視野角特性が変化し、画像品質が低下する問題点がある。また、TACフィルムは周辺温度/湿度環境の変化による寸法変化率が大きいだけでなく、光弾性係数値も相対的に大きく、耐熱、耐湿熱環境での耐久性評価後、局部的に位相差特性の変化が発生し、画像品質が低下しやすい。
【0004】
このようなTACフィルムの様々な短所を補完するための素材としてメタクリル(methacryl)系樹脂がよく知られている。しかし、メタクリル(methacryl)系樹脂は、耐衝撃性が不十分なため壊れたり裂けたりしやすいので、偏光板の生産時に搬送性の面で問題になりやすく、生産性が不十分であると知られている。また、前記フィルムの材料としてアクリレート樹脂を用いる場合、キャスティング方法を利用しなければならないため、製造方法が難しく、費用が多くかかるという問題がある。
【0005】
位相差フィルムの場合、スチレン系樹脂で製造したフィルムはこれを延伸及び配向させる時、その配向方向と直交する方向で屈折率が大きくなる光学異方性を示す材料として、これを延伸して正の値の厚さ方向位相差値(Rth)を有するフィルムを製造するのに適した材料として知られている。また、スチレン系樹脂は経済性に優れ、透明性が優れている長所がある。しかし、高価の特殊な単量体を共に使用して製造する場合を除いては耐熱性が不十分で、機械的物性が劣るという問題点がある。また、ポリカーボネート樹脂を延伸して位相差フィルムを製造する場合には十分な位相差機能の付与が可能であるが、延長程度に対する位相差変化率が大きく、さらに均一で安定した位相差機能を有するフィルムを提供するのは難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術の問題点を解決するために、光学的透明性に優れているだけでなく、靭性及び耐熱性に優れており、延伸前には光学的等方性に優れているため偏光板保護フィルム等多様な用途で使われ、延伸後には均一で安定した位相差を提供できるため位相差フィルムで使われる光学フィルム及びこれの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、i)(メタ)アクリル系樹脂、及びii)(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹脂がグラフトされたグラフト共重合体を前記i)(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し5〜45重量部含む光学フィルムを提供する。
【0008】
また、本発明は、a)(i)(メタ)アクリル系樹脂、及びii)(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹脂がグラフトされたグラフト共重合体を前記i)(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し5〜45重量部含む樹脂組成物を準備するステップ、及びb)前記樹脂組成物を利用してフィルムを形成するステップを備える光学フィルムの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記光学フィルムを延伸した位相差フィルムを提供する。
【0010】
また、本発明は、a)i)(メタ)アクリル系樹脂、及びii)(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹脂がグラフトされたグラフト共重合体を前記i)(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し5〜45重量部含む樹脂組成物を準備するステップ、b)前記樹脂組成物を利用してフィルムを形成するステップ、及びc)前記フィルムを1軸又は2軸延伸するステップを備える位相差フィルムの製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記光学フィルムを偏光子保護フィルムとして備える偏光板を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記光学フィルム又は位相差フィルムを備える電子装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光学フィルムは光学的透明性に優れているだけでなく、靭性及び耐熱性に優れている。また、本発明に係る光学フィルムは延伸前には光学的等方性に優れているため偏光板保護フィルム等多様な用途で使われ、既存の高価なTAC樹脂を代替でき、延伸後には均一で安定した位相差を提供できるため位相差フィルムで使われる。したがって、LCDのような画像表示装置に有用に使われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る光学フィルムは、マトリックスの役割をする(メタ)アクリル系樹脂に衝撃補強剤として(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹脂がグラフトされたグラフト共重合体を使用することを特徴とする。衝撃補強剤として前記のような構成のグラフト共重合体を利用することによって、靭性だけでなく耐熱性及び光学的透明性に優れる光学フィルムを提供することができる。
【0015】
本発明において、前記グラフト共重合体は(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体がコア(core)を構成し、その周辺に前記(メタ)アクリル系樹脂がシェル(shell)を構成するコア−シェルタイプのグラフト共重合体であることが好ましい。
【0016】
本発明において、前記コアに含まれる(メタ)アクリル系ゴムはその種類に特別に限定されず、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。例えば、アルキル(メタ)アクリレートが使用でき、炭素数2〜8のアルキル基を有するものとして、具体的にブチルアクリレート又は2−エチルヘキシルアクリレートを単独又は混合して使用することができる。
【0017】
前記コアに含まれる(メタ)アクリル系ゴムは、グラフト共重合体100重量部に対し20〜60重量部で含まれるのが好ましい。前記(メタ)アクリル系ゴムの含量が20重量部未満の場合には靭性が低下し得、60重量部を超過する場合には耐熱性が低下し得る。
【0018】
本発明において、前記コアに含まれる芳香族ビニル化合物は、ベンゼン核が一つ以上のC〜Cのアルキル基又はハロゲン基で置換又は非置換の構造の単量体を使うのが好ましく、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエンのようなスチレン単量体誘導体等を使用することができる。
【0019】
前記コアに含まれる芳香族ビニル化合物は、グラフト共重合体100重量部に対し10〜30重量部で含まれるのが好ましい。その含量が10重量部未満の場合には透明度が低下し得、30重量部を超過する場合には靭性が低下し得る。
【0020】
本発明において、前記グラフト共重合体のシェルを構成する(メタ)アクリル系樹脂は(メタ)アクリル系単量体のホモ又は共重合体であってもよいが、(メタ)アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体の共重合体であることが好ましい。前記共重合体は追加の共単量体として酸無水物、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸及びイミド系単量体の中から選択される1種以上の単量体をさらに含んでもよい。
【0021】
前記グラフト共重合体のシェルに含まれる(メタ)アクリル系単量体は、エステル基のカルボニル基と共役化された(conjugated)炭素間の二重結合を有する化合物ならば十分で、それの置換基は特別に限定されない。本明細書に記載される(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリレートだけでなく(メタ)アクリレート誘導体を含むものを意味するもので、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルブタクリレート等を含む概念であると理解しなければならない。例えば、前記(メタ)アクリル系単量体の例としては、下記化学式1で示される化合物が含まれる:
[化学式1]
【化1】

前記化学式1において、
、R及びRは各々独立的に水素原子、ヘテロ原子を含む、又は含まない炭素数1〜30の1価炭化水素基を示し、R、R及びRのうちの少なくとも一つはエポキシ基であってもよく;Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0022】
具体的に、前記(メタ)アクリル系単量体はアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、具体的にメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート、及びエチルエタクリレートからなる群から選択される1種以上の(メタ)アクリル系単量体が使われてもよく、特にメチルメタクリレート(MMA)を使うのが最も好ましい。
【0023】
前記グラフト共重合体のシェルに含まれる(メタ)アクリル系単量体は、前記グラフト共重合体100重量部に対し20〜60重量部で含まれるのが好ましい。その含量が20重量部未満の場合には透明性が低下し得、60重量部を超過する場合には靭性が低下し得る。
【0024】
前記グラフト共重合体のシェルに含まれる芳香族ビニル系単量体としては、ベンゼン核が一つ以上のC〜Cのアルキル基又はハロゲン基で置換又は非置換の構造の単量体を使うのが好ましく、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエンのスチレン単量体誘導体などを使ってもよい。
【0025】
前記グラフト共重合体のシェルに含まれる芳香族ビニル系単量体は、前記グラフト共重合体100重量部に対し5〜25重量部で含まれるのが好ましい。前記芳香族ビニル化合物の含量が5重量部未満の場合には加工性が低下し得、25重量部を超過する場合には靭性が低下し得る。
【0026】
前記グラフト共重合体のシェルに共単量体として酸無水物が含まれる場合、例えばカルボン酸無水物を使ってもよく、1価又は2価以上の多価カルボン酸無水物を使用してもよい。好ましくは、マレイン酸無水物又はこれの誘導体を使ってもよく、例えば下記化学式2の化合物を使用してもよい。
[化学式2]
【化2】

前記化学式2において、
及びRは各々独立的に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0027】
前記グラフト共重合体のシェルに共単量体としてビニルシアン化合物が含まれる場合、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル、及びエタアクリロニトリルで形成された群から選択される1種以上のアクリロニクリル系単量体が含まれ得る。前記グラフト共重合体のシェルに共単量体として(メタ)アクリル酸が含まれる場合、例えばアクリル酸及びメタクリル酸とこれらの誘導体中1つ以上が含まれ得る。前記グラフト共重合体のシェルに共単量体としてイミド系単量体が含まれる場合、例えばフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどが含まれ得る。
【0028】
前記グラフト共重合体のシェルを構成する共重合体に共単量体として酸無水物、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸及びイミド系単量体の中から選択される1種以上の単量体が含まれる場合、これらは各々前記グラフト共重合体100重量部に対し15重量部以下で含まれるのが好ましい。その含量が15重量部を超過する場合には透明性が低下し得る。
【0029】
前記ゴム成分と芳香族ビニル化合物の共重合は当技術分野で知られている方法によって行われる。また、前記ゴム成分と芳香族ビニル化合物の共重合体と(メタ)アクリル系樹脂のグラフト重合も当技術分野で知られている方法を利用して行われる。例えば、通常の乳化重合法を利用することができる。
【0030】
前記グラフト共重合体は、前記成分以外に用途により当業界で通常用いられる開始剤、多官能性単量体及び分子量調節剤などをさらに含んでもよい。
【0031】
特にフィルムの厚さが薄くなるほど、すなわち延伸率が増加するのに伴ないヘイズが増加する問題を防止するためには、前記グラフト共重合体製造時にグラフト共重合体100重量部を基準に多官能性単量体を0.02〜2重量部追加して重合するのが好ましい。
【0032】
前記多官能性単量体は分子内に二重結合が二つ以上存在する化合物であれば制限されずに使ってもよく、その例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコール ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、アルリルメタクリレート、トリアルリルイソシアヌレート、トリアルリルアミン又はジアルリルアミン等があり、これら単量体を単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0033】
前記多官能性単量体は、前記グラフト共重合体のコア及び/又はシェルを構成する重合体に共単量体として添加され、特にコアを構成する重合体に共単量体として含まれるのが好ましい。
【0034】
前記グラフト共重合体は、前記マトリックスを構成する(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し5〜45重量部で含まれるのが好ましい。その含量が5重量部未満の場合には靭性が低下し得、45重量部を超過する場合には透明性及び耐熱性が低下し得る。
【0035】
前記コア−シェルタイプのグラフト共重合体において、コアの粒径は3500Å〜7500Åであることが好ましい。コアの粒径を3500Å以上で調節することによって耐衝撃効果を一層向上させられる。ただし、衝撃補強剤のコアの粒径が過度に大きい場合、光学フィルムの延伸時に衝撃補強剤とマトリックス樹脂の間でディボンディング(debonding)現象が発生し得、ディボンディング現象が発生した部分にできる空間で光が散乱するのに伴ないフィルムの透明性を阻害する場合もある。
【0036】
本発明では衝撃補強剤のコアの粒径を前述した範囲で調節する一方、衝撃補強剤の架橋度及びグラフト率を調節することによって、前記のようなディボンディング現象を防止することができる。本発明では前記グラフト共重合体のグラフト率を20〜60%にすることが好ましい。また、前記グラフト共重合体中のコアのゲル含量は70〜99%に調節するのが好ましい。
【0037】
前記グラフト率は、前記グラフト共重合体2gをアセトン100mLで24時間の間撹拌し、コアにグラフトしないシェル成分を溶解した後、超遠心分離によってゲルとゾルを分離し、下記数式1により計算した。
[数式1]
グラフト率(%)=[(ゲルの重さ−ゴムの重さ)/ゴムの重さ]×100
【0038】
前記コアのゲル含量は、前記コア共重合体1gをトルエン100gに入れて48時間の間撹拌し、架橋されないコア成分を溶解した後、超遠心分離でゲルとゾルを分離して、下記数式2により計算した。
[数式2]
ゲル含量(%)=ゲルの重さ/試料の重さ×100
【0039】
本発明において、マトリックスを構成する(メタ)アクリル系樹脂は(メタ)アクリル系単量体のホモ又は共重合体であってもよいが、(メタ)アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体の共重合体;又は(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体及び酸無水物の共重合体であることが好ましく、(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体及び酸無水物の共重合体であることが一層好ましい。前記各化合物の例は前記グラフト共重合体のシェルの構成成分の例と同じである。
【0040】
前記マトリックスを構成する樹脂が(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体及び酸無水物の共重合体の場合、この共重合体100重量部に対してそれぞれの成分は60〜90重量部、9〜30重量部及び1〜15重量部で含まれるのが好ましい。
【0041】
前記マトリックスを構成する樹脂100重量部に対し(メタ)アクリル系単量体の含量が60重量部未満の場合には透明性が低下し得、90重量部を超過する場合には耐熱性が低下し得る。
【0042】
前記マトリックスを構成する樹脂100重量部に対し前記芳香族ビニル系単量体の含量が9重量部未満の場合には重合転換率が低下し得、30重量部を超過する場合には透明性が低下し得る。
【0043】
前記マトリックスを構成する樹脂100重量部に対し前記酸無水物の含量が1重量部未満の場合には耐熱性が低下し得、15重量部を超過する場合には透明性が低下し得る。
【0044】
前記マトリックス樹脂を構成する共重合体は、追加の共単量体としてビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸及びイミド系単量体の中から1種以上をさらに含んでもよい。これらは共重合体100重量部対比15重量部以下で含まれるのが好ましい。
【0045】
前記マトリックス樹脂は当技術分野に知られている方法を利用して重合され得る。例えば、塊状重合法を利用することができる。
【0046】
前記マトリックス樹脂は、ガラス転移温度が120〜130℃、 分子量12〜15万、MI(220℃、10kg)10以下、好ましくは4〜10、ヘイズ0.3〜2%の特徴を持つ。前記MIは樹脂の流れを表す尺度であり、220℃で荷重10kgで押された時、分当りに流れる量を示す。
【0047】
本発明に係る光学フィルムの透明度を高めるためには、前記マトリックス樹脂と前記グラフト共重合体との屈折率差が0.01以下であることが好ましく、一層好ましくは0.008以下で、最も好ましくは0.006以下である。
【0048】
本発明に係る光学フィルムは前述したグラフト共重合体及び(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂組成物を利用してフィルムを形成し、製造することができる。
【0049】
フィルム形成方法は当技術分野に知られている方法を利用でき、本発明に係る光学フィルムはアクリル系樹脂だけで形成されたフィルムと異なり、キャスティング法以外にも押出工程を利用することができる。
【0050】
前記光学フィルムを製造するために前述した樹脂組成物に一般的な添加剤、例えば可塑剤、潤滑剤、衝撃緩和剤、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤等を添加してもよい。特に、本発明に係る光学フィルムが偏光子の保護フィルムとして用いられる場合、偏光子及び液晶パネルを外部紫外線から保護するために、前記樹脂組成物に紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤の種類は特別に限定されていないが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤の使用が好ましい。好ましくは、Tinuvin328、Tinuvin321及びTinuvin360が使われる。熱安定剤としては、Iganox1076、Iganox245等が添加されてもよい。
【0051】
本発明に係る光学フィルムの厚さは20〜200μm、好ましくは40〜120μmにしてもよい。本発明に係る光学フィルムのガラス転移温度は110〜130℃で、熱変形温度(Vicat)は110〜140℃であり、MI(220℃、10kg)2〜6で、靭性(toughness)が非常に優れている。また、本発明に係る光学フィルムは好ましくは熱膨張係数CTE(ppm/K、40〜90℃)が50〜120で、ヘイズは0.5〜3%であり、透過度は88〜93%である。
【0052】
前述した本発明に係る光学フィルムは、延伸前の面方向位相差及び厚さ方向位相差の値が0〜10nmであり得、これを1軸又は2軸延伸する場合、面方向位相差及び厚さ方向位相差の値が80〜200nmであり得る。
【0053】
延伸方法及び条件は当技術分野で知られているのを利用することができる。例えば、前記光学フィルムの延伸工程は樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を基準にした時、Tg−30℃〜Tg+30℃の温度範囲で行うのが好ましく、特にTg−10℃〜Tg+20℃の温度範囲で行うのが一層好ましい。また、延伸速度及び延伸率は本発明の目的を達成する範囲内で適切に調節することができる。
【0054】
本発明に係る光学フィルムは偏光子保護フィルムとして使われる。この場合、接着力向上のために表面を改質することができる。改質方法としては、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理などで、保護フィルムの表面を処理する方法と保護フィルムの表面にプライマ層を形成する方法などがあり、前記二つの方法を同時に使用してもよい。プライマの種類は特別に限定されないが、シランカップリング剤と共に反応性官能基を有する化合物を使うのが好ましい。
【0055】
本発明に係る光学フィルムを保護フィルムとして含む偏光板は、偏光子及び前記偏光子の少なくとも一面に備わった保護フィルムを備え、前記保護フィルムのうち少なくとも一つが前述した本発明に係る光学フィルムの構造を持ち得る。
【0056】
本発明において、前記偏光子としては当技術分野で知られているのを制限されずに使ってもよく、例えばヨウ素又は二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムを使用してもよい。前記偏光子はPVAフィルムにヨウ素又は二色性染料を染着させて製造され得るが、これの製造方法は特別に限定されない。本明細書において、偏光子は保護フィルムを含まない状態を意味し、偏光板は偏光子と保護フィルムを含む状態を意味する。
【0057】
前記偏光子と保護フィルムの接着は接着剤層を利用して行うことができる。前記保護フィルムと偏光板の貼り合わせ時に使用可能な接着剤としては、当技術分野で知られているものであれば特別に制限されない。例えば、一液型又は二液型のポリビニルアルコール(PVA)系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、スチレンブタジエンゴム系(SBR系)接着剤、又はホットメルト型接着剤等があるが、これらの例にだけ限定されない。
【0058】
前記接着剤のうちポリビニルアルコール系接着剤が好ましく、特にアセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂及びアミン系金属化合物架橋剤を含む接着剤を使うのが好ましい。前記偏光板用接着剤は前記アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂100重量部及び前記アミン系金属化合物架橋剤1〜50重量部を含んでもよい。
【0059】
前記ポリビニルアルコール系樹脂は前記偏光子と保護フィルムを十分に接着でき、光学的透視度が優れ、経時的な黄変などの変化がないものであれば特に限定されないが、特に架橋剤との円滑な架橋反応を考慮すればアセトアセチル基が含まれたポリビニルアルコール系樹脂を利用するのが好ましい。
【0060】
ここで、前記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度及び鹸化度はアセトアセチル基を含有しさえすれば特に限定されないが、好ましくは重合度が200〜4,000の範囲内で、鹸化度が70モル%〜99.9モル%の範囲内であるのが良い。分子の動きの自由さによる含有物質との柔軟な混合を考慮すれば、重合度は1,500〜2,500の範囲内で、鹸化度は90モル%〜99.9モル%の範囲内であるのが一層好ましい。この時、前記ポリビニルアルコール系樹脂は前記アセトアセチル基を0.1〜30モル%で含むのが好ましい。前記アセトアセチル基の範囲で架橋剤との反応が円滑にでき、目的とする接着剤の耐水性及び接着力に十分に有意となるためである。
【0061】
前記アミン系金属化合物架橋剤は前記ポリビニルアルコール系樹脂との反応性を有する官能基を有する水溶性架橋剤として、アミン系配位子を含有する金属錯体形態であることが好ましい。可能な金属としては、チルコンニウム(Zr)、チタニウム(Ti)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等の遷移金属が可能で、中心金属に結びついた配位子としては一次アミン、二次アミン(ダイアミン)、三次アミンやアンモニウムハイドロキサイド等の少なくとも一つ以上のアミン基を含むものが全て可能である。その使用量は前記ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対し1重量部〜50重量部の範囲で調節されるのが好ましい。前記範囲で目的とする接着剤に十分に有意的な接着力を付与でき、接着剤の貯蔵安定性(pot life)を向上させることができるためである。
【0062】
前記アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂と前記アミン系金属化合物架橋剤を含有する接着剤水溶液はpH調節剤を使用し、そのpHを9以下で調節するのが好ましい。さらに好ましくはpHを2超過9以下の範囲で調節でき、一層好ましくはpHを4〜8.5の範囲で調節することができる。
【0063】
前記偏光子と保護フィルムの接着は偏光子用保護フィルム又は偏光子のPVAフィルムの表面上にロールコータ、グラビアコータ、バーコータ、ナイフコータ、又はキャピラリコータなどを使って、接着剤を先にコーティングし、接着剤が完全に乾燥する前に保護フィルムと偏光膜を貼り合わせロールで加熱圧着したり常温圧着し、貼り合わせる方法によって行われる。ホットメルト型接着剤を用いる場合には、加熱圧着ロールを使わなければならない。
【0064】
ポリウレタン系接着剤を使う場合、光によって黄変しない脂肪族イソシアネート系化合物を利用して製造されたポリウレタン系接着剤を利用するのが好ましい。一液型又は二液型のドライラミネート用接着剤又はイソシアネートと水酸基との反応性が比較的低い接着剤を使う場合には、アセテート系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、又は芳香族系溶剤等で薄められた溶液型接着剤を使用してもよい。この時、接着剤粘度は5000cps以下の低粘度型であるのが好ましい。前記接着剤は貯蔵安定性に優れている上に、400〜800nmでの光透過度が90%以上であるのが好ましい。
【0065】
十分な粘着力を発揮できるのであれば粘着剤も使用できる。粘着剤は貼り合わせ後に熱又は紫外線によって十分に硬化が起き、機械的強度が接着剤水準に向上するのが好ましく、界面接着力も大きく、粘着剤が付着した両側フィルムのうちどちらか一方の破壊なしには剥離されない程の粘着力を持つのが好ましい。
【0066】
使用可能な粘着剤の具体的な例としては、光学透明性に優れている天然ゴム、合成ゴム又はエラストマ、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアクリレート、変性ポリオレフィン系粘着剤等とこれにイソシアネートなどの硬化剤を添加した硬化型粘着剤が挙げられる。
【0067】
上記のように製造される偏光板は各種用途に利用される。具体的に、液晶表示装置(LCD)用偏光板、有機EL表示装置の反射防止用偏光板等を含む画像表示装置に好ましく使われる。また、本発明に係る偏光板は、各種機能性膜、例えばλ/4板、λ/2板等の位相差板、光拡散板、視野角拡大板、輝度向上板、反射板等の様々な光学層を組み合わせた複合偏光板に適用される。
【0068】
前記偏光板は、その後画像表示装置等への適用が容易なように少なくとも一面に粘着剤層を具備してもよい。また、前記偏光板が画像表示装置等に適用されるまで粘着剤層を保護するために前記粘着剤層上に離型フィルムをさらに具備してもよい。
【0069】
また、本発明は、前記光学フィルム又は位相差フィルムを備える電子装置を提供する。前記電子装置はLCDのような画像表示装置であってもよい。
【0070】
例えば、本発明は光源、第1偏光板、液晶シェル、第2偏光板を順次積層された状態で備え、前記第1偏光板及び第2偏光板のうち少なくとも一つの保護フィルムとして、又は前記第1偏光板及び第2偏光板のうち少なくとも一つと液晶シェルの間に備えられた位相差フィルムとして、本発明に係る光学フィルム又は位相差フィルムを備える画像表示装置を提供する。
【0071】
前記液晶シェルは液晶層;これを支持できる基板;及び前記液晶に電圧を印加するための電極層を備える。この時、本発明に係る偏光板は横電界方式(In−Plane Switching mode;IPS mode)、垂直配向方式(Vertically Aligned mode;VA mode)、OCB方式(Optically Compensated Birefringence mode)、ツイステッド・ネマチック(Twisted Nematic mode;TN mode)、FFS(Fringe Field Switching mode;FFS mode)方式などのすべての液晶モードに適用される。
【実施例】
【0072】
以下で実施例を通して本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。
実施例1
マトリックス樹脂(i)としてメチルメタクリレート75重量%、スチレン15重量%及び無水マレイン酸10重量%で形成される(メタ)アクリル系樹脂(屈折率1.516)85重量部(光学フィルムを形成するための樹脂組成物中マトリックス樹脂とグラフト共重合体の計100重量部を基準とする、以下同一)と、衝撃補強剤(ii)としてブチルアクリレート40重量%、スチレン19.5重量%及びエチレングリコールジメタクリレート0.5重量%で形成される共重合体(ゲル含量93%、粒径4000Å)にメチルメタクリレート32重量%及びスチレン8重量%をグラフト重合したグラフト共重合体(グラフト率38%、屈折率1.513)15重量部、及び滑剤としてEBS(ソング化学製品)0.5重量部、酸化防止剤としてIrganox 1076(Ciba−Geigy製品)0.3重量部及び紫外線吸収剤としてTinuvin 327(Ciba−Geigy製品)0.5重量部を混合して樹脂組成物を製造した。
【0073】
実施例2
前記実施例1でマトリックス樹脂(i)の(メタ)アクリル系樹脂を75重量部使用し、衝撃補強剤(ii)のグラフト共重合体を25重量部使用したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。
【0074】
実施例3
前記実施例1でマトリックス樹脂(i)としてメチルメタクリレート80重量%、スチレン15重量%及び無水マレイン酸5重量%からなる(メタ)アクリル系樹脂を使用したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。この時(i)の屈折率は1.515であった。
【0075】
実施例4
前記実施例1で衝撃補強剤(ii)のグラフト共重合体製造時にシェル成分としてメチルメタクリレート27重量%、スチレン8重量%及びアクリロニトリル5重量%をグラフト重合したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。この時(ii)の屈折率は1.514、グラフト率は35%であった。
【0076】
実施例5
前記実施例1で衝撃補強剤(ii)のグラフト共重合体製造時にコア成分としてブチルアクリレート40重量%、スチレン19重量%及びエチレングリコールジメタクリレート1重量%からなる共重合体を使用したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。この時(ii)のコアのゲル含量は98%、粒径は3900Åであり、(ii)のグラフト率は49%であり、屈折率は1.513であった。
【0077】
実施例6
前記実施例1で衝撃補強剤(ii)のグラフト共重合体製造時にコア成分のエチレングリコールジメタクリレートを使用せず、同量をシェル成分で使用したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。この時(ii)のコアのゲル含量は73%、粒径は4100Åであり、(ii)のグラフト率は35%であり、屈折率は1.513であった。
【0078】
実施例7
前記実施例1で衝撃補強剤(ii)のグラフト共重合体製造時にシェル成分としてメチルメタクリレート30重量%、スチレン8重量%、フェニルマレイミド2重量%をグラフト重合したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。この時(ii)の屈折率は1.514、グラフト率は36%であった。
【0079】
実施例8
前記実施例1でマトリックス樹脂(i)としてメチルメタクリレート75重量%、スチレン15重量%、無水マレイン酸5重量%及びアクリロニトリル5重量%からなる(メタ)アクリル系樹脂を使用したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。この時(i)の屈折率は1.515であった。
【0080】
実施例9
前記実施例1で衝撃補強剤(ii)のグラフト共重合体製造時に多官能性単量体を使用せず、コア成分としてブチルアクリレート40重量%及びスチレン20重量%からなる共重合体を使用したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。この時(ii)のコアのゲル含量は13%、粒径は4300Åであり、(ii)のグラフト率は7%であり、屈折率は1.514であった。
【0081】
比較例1
前記実施例1でマトリックス樹脂(i)の(メタ)アクリル系樹脂を68重量部使用し、衝撃補強剤(ii)のグラフト共重合体を32重量部使用したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。
【0082】
比較例2
前記実施例1でマトリックス樹脂(i)の(メタ)アクリル系樹脂を96重量部使用し、衝撃補強剤(ii)のグラフト共重合体を4重量部使用したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。
【0083】
比較例3
前記実施例1で衝撃補強剤(ii)のグラフト共重合体製造時にコア成分としてブチルアクリレート59.5重量%及びエチレングリコールジメタクリレート0.5重量%からなる共重合体を使用したのを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施して樹脂組成物を製造した。この時(ii)のコアのゲル含量は99%、粒径は3800Åであり、(ii)のグラフト率は30%であり、屈折率は1.502であった。
【0084】
[試験例]
前記実施例1〜9及び比較例1〜3で製造した樹脂組成物を各々220℃のシリンダー温度で40パイ押出混練機を使用し、ペレット形態に製造して、前記ペレットをT−ダイが装着された押出混練機と巻取りロールを使って、40μmと80μm厚さのフィルムを製造した。
【0085】
前記フィルムを利用して下記の方法で靭性(Toughness)、耐熱性(ガラス転移温度)、透明性(ヘイズ)を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0086】
イ)Toughness−80mmフィルムを手で10回曲げて切れる状態を測定した。(○:一回も切れない、△:1〜3回、×:4回以上)
ロ)ガラス転移温度−前記ペレットをTA Instruments社のDSC Q 100を使用し、昇温速度10℃/分で上昇させながら、測定した。
ハ)ヘイズ−前記40μmと80μm厚さのフィルムをASTM D 1003により測定した。
【表1】

【0087】
前記表1を通して、本発明に係る樹脂組成物を構成する各成分を適正含量範囲で使用して製造した実施例1〜9のフィルムは比較例に比べ、靭性、耐熱性及び透明性の物性がいずれも優れた結果を示すことが確認できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)(メタ)アクリル系樹脂及びii)(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹脂がグラフトされたグラフト共重合体を前記i)(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し5〜45重量部含む光学フィルム。
【請求項2】
前記ii)グラフト共重合体は(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体がコア(core)を構成し、その周辺に前記(メタ)アクリル系樹脂がシェル(shell)を構成するコア−シェルタイプのグラフト共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記ii)グラフト共重合体のコアに含まれる(メタ)アクリル系ゴムはガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記ii)グラフト共重合体のコアに含まれる(メタ)アクリル系ゴムはグラフト共重合体100重量部に対し20〜60重量部で含まれることを特徴とする、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記ii)グラフト共重合体のコアに含まれる芳香族ビニル化合物はグラフト共重合体100重量部に対し10〜30重量部で含まれることを特徴とする、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記ii)グラフト共重合体のシェルを構成する(メタ)アクリル系樹脂は(メタ)アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体の共重合体を含むことを特徴とする、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記ii)グラフト共重合体のシェルに含まれる(メタ)アクリル系樹脂中、(メタ)アクリル系単量体はグラフト共重合体100重量部に対し20〜60重量部で含まれることを特徴とする、請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記ii)グラフト共重合体のシェルに含まれる(メタ)アクリル系樹脂中、芳香族ビニル系単量体はグラフト共重合体100重量部に対し5〜25重量部で含まれることを特徴とする、請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記(メタ)アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体の共重合体は共単量体として酸無水物、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸及びイミド系単量体の中から選択される1種以上の単量体をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記酸無水物、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸及びイミド系単量体の中から選択される単量体は各々グラフト共重合体100重量部に対し0超過15重量部以下で含まれることを特徴とする、請求項9に記載の光学フィルム。
【請求項11】
前記ii)グラフト共重合体は共単量体として多官能性単量体をグラフト共重合体100重量部に対し0.02〜2重量部でさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記多官能性単量体は、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールメタン トリアクリレート、アルリルメタクリレート、トリアルリルイソシアヌレート、トリアルリルアミン及びジアルリルアミンの中から選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項11に記載の光学フィルム。
【請求項13】
前記ii)グラフト共重合体はコアの粒径が3500〜7500Åで、ゲル含量は70〜99%であり、グラフト率は20〜60%であることを特徴とする、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項14】
前記i)(メタ)アクリル系樹脂は(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体及び酸無水物の共重合体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項15】
前記(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体及び酸無水物の共重合体100重量部に対し(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体及び酸無水物は各々60〜90重量部、9〜30重量部及び1〜15重量部で含まれたことを特徴とする、請求項14に記載の光学フィルム。
【請求項16】
前記(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体及び酸無水物の共重合体は共単量体としてビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸及びイミド系単量体のうち1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載の光学フィルム。
【請求項17】
前記i)(メタ)アクリル系樹脂と前記ii)グラフト共重合体の屈折率差が0.01以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項18】
a)(i)(メタ)アクリル系樹脂及びii)(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹脂がグラフトされたグラフト共重合体を前記i)(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し5〜45重量部含む樹脂組成物を準備するステップ、及びb)前記樹脂組成物を利用してフィルムを形成するステップを備える光学フィルムの製造方法。
【請求項19】
請求項1〜17のうちのいずれか一項の光学フィルムを延伸した位相差フィルム。
【請求項20】
a)i)(メタ)アクリル系樹脂及びii)(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹脂がグラフトされたグラフト共重合体を前記i)(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し5〜45重量部含む樹脂組成物を準備するステップ、b)前記樹脂組成物を利用してフィルムを形成するステップ、及びc)前記フィルムを1軸又は2軸延伸するステップを備える位相差フィルムの製造方法。
【請求項21】
偏光子及び前記偏光子の少なくとも一面に備わった保護フィルムを含む偏光板として、前記保護フィルムのうち少なくとも一つが請求項1〜17のうちのいずれか一項の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
【請求項22】
請求項1〜17のうちのいずれか一項の光学フィルムを含む電子装置。
【請求項23】
請求項19の位相差フィルムを含む電子装置。
【請求項24】
請求項21の偏光板を含む電子装置。

【公開番号】特開2009−84574(P2009−84574A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256727(P2008−256727)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】