説明

光学フィルム用粘着剤層、粘着型光学フィルム、その製造方法および画像表示装置

【課題】光学フィルムに適用される、水分散型粘着剤により形成された粘着剤層であって、高熱、高湿度環境下においても発泡、剥がれを抑制することができる高耐久性を有する、光学フィルム用粘着剤層を提供すること。
【解決手段】光学フィルム用粘着剤層であって、前記粘着剤層は、少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液を含有する水分散型粘着剤を塗布した後、乾燥することにより形成されたものであり、かつ、当該粘着剤層中の残存モノマー量が、粘着剤層の固形分1gに対して5〜100ppmであることを特徴とする光学フィルム用粘着剤層。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分散型粘着剤から形成された光学フィルム用粘着剤層に関する。また本発明は、当該粘着剤層を光学フィルム上に有する粘着型光学フィルムおよびその製造方法に関する。さらには、本発明は、前記粘着型光学フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、PDP等の画像表示装置および前面板などの画像表示装置と共に使用される部材、に関する。前記光学フィルムとしては、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルムや、反射防止フィルム等の表面処理フィルム、さらにはこれらが積層されているものを用いることができる。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置および有機EL表示装置等は、その画像形成方式から、例えば、液晶表示装置では、液晶セルの両側に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光板が貼着されている。また液晶パネルおよび有機ELパネル等の表示パネルには偏光板の他に、ディスプレイの表示品位を向上させるために様々な光学素子が用いられるようになってきている。また液晶表示装置や有機EL表示装置、CRT、PDP等の画像表示装置を保護したり、高級感を付与したり、デザインを差別化するために前面板が使用されている。これら液晶表示装置および有機EL表示装置等の画像表示装置や前面板などの画像表示装置と共に使用される部材には、例えば、着色防止としての位相差板、液晶ディスプレイの視野角を改善するための視野角拡大フィルム、さらにはディスプレイのコントラストを高めるための輝度向上フィルム、表面の耐擦傷性を付与するために用いられるハードコートフィルム、画像表示装置に対する写り込みを防止するためのアンチグレア処理フィルム、アンチリフレクティブフィルム、ローリフレクティブフィルムなどの反射防止フィルム等の表面処理フィルムが用いられている。これらのフィルムは総称して光学フィルムと呼ばれる。
【0003】
前記光学フィルムを液晶セルおよび有機ELパネル等の表示パネル、または前面板に貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、光学フィルムと液晶セルおよび有機ELパネル等の表示パネル、または前面板、または光学フィルム間の接着は、通常、光の損失を低減するため、それぞれの材料は粘着剤を用いて密着されている。このような場合に、光学フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、光学フィルムの片側に予め粘着剤層として設けられた粘着型光学フィルムが一般的に用いられる。
【0004】
前記粘着型光学フィルムに用いる光学フィルムは、加熱や加湿の条件下で収縮、膨張しやすいため、前記粘着型光学フィルムを、液晶セルおよび有機ELパネル等の表示パネル、または前面板に貼り合せた後には、浮きや剥がれが生じやすい。そのため、前記粘着剤層には、加熱および加湿等に対する耐久性が求められる。また、前記粘着剤層には、光学フィルムに粘着剤層を形成した後に、粘着剤の汚れや欠落などを生じることなく加工できる加工性が求められる。
【0005】
従来から、上記粘着型光学フィルムの粘着剤層の形成に用いる粘着剤としては、加熱または加湿熱環境で耐久性に優れる点から、有機溶剤型粘着剤が主に使用されてきた。しかし、近年、地球環境負荷の低減、作業安定性の向上の観点から有機溶剤を使用しない無溶剤型粘着剤の開発が盛んになされている。
【0006】
無溶剤型粘着剤としては、例えば、高分子量ポリマーと所定量のモノマーを含む粘着剤組成物を紫外線照射して、残存モノマーを所定量以下になるように光重合して粘着剤層を形成する方法が提案されている(特許文献1)。また、無溶剤型粘着剤としては、分散媒として水を用いて、水中に粘着剤成分を分散させた水分散型粘着剤が提案されている。水分散型粘着剤としては、例えば、耐湿性の観点から、リン酸基含有モノマーを用いた水分散型のアクリル系粘着剤が提案されている(特許文献2)。また、水分散型粘着剤としては、水分散型アクリル系ポリマーに、レドックス系開始剤を配合して、水分散型粘着剤中の残存モノマー量を低減する方法が提案されている(特許文献3)。特に、水分散型粘着剤は生産性、外観、カバーセパレータ等の副資材を使用しないといった経済的な側面より実用化が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−241707号公報
【特許文献2】特開2007−186661号公報
【特許文献3】特開2006−169293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、水分散型粘着剤を用いて粘着剤層を形成した粘着型光学フィルムは、加熱、加湿熱等の過酷な環境下において、発泡や剥がれが生じるという耐久性に問題があった。特許文献3においては、粘着剤層の形成に用いる水分散型粘着剤の残存モノマーを低下させているが、水分散型粘着剤の残存モノマーを単に低減するだけでは、耐久性を満足できる、粘着型光学フィルムを得ることは困難であった。
【0009】
本発明は、光学フィルムに適用される、水分散型粘着剤により形成された粘着剤層であって、高熱、高湿度環境下においても発泡、剥がれを抑制することができる高耐久性を有する、光学フィルム用粘着剤層を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、光学フィルムの少なくとも片側に、前記光学フィルム用粘着剤層が積層されている粘着型光学フィルムおよびその製造方法を提供することを目的にする。さらに発明は、前記粘着型光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の光学フィルム用粘着剤層により前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち本発明は、光学フィルム用粘着剤層であって、
前記粘着剤層は、少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液を含有する水分散型粘着剤を塗布した後、乾燥することにより形成されたものであり、
かつ、当該粘着剤層中の残存モノマー量が、粘着剤層の固形分1gに対して5〜100ppmであることを特徴とする光学フィルム用粘着剤層、に関する。
【0013】
前記光学フィルム用粘着剤層において、前記水分散型粘着剤におけるベースポリマーとしては、(メタ)アクリル系ポリマーが好適である。また、前記ベースポリマーである、(メタ)アクリル系ポリマーは、乳化重合により得られたものが好ましい。
【0014】
また本発明は、光学フィルムの少なくとも片側に、前記光学フィルム用粘着剤層が積層されていることを特徴とする粘着型光学フィルム、に関する。
【0015】
また本発明は、前記粘着型光学フィルムの製造方法であって、
少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液からなり、かつ、当該水分散液の固形分1gに対して1500〜25000ppmの残存モノマーを含有する水分散型粘着剤を、光学フィルムの片面または両面に塗布する工程(1)、および、
塗布された水分散型粘着剤を、80〜170℃の乾燥温度で、粘着剤層中の残存モノマー量が、粘着剤層の固形分1gに対して5〜100ppmになるように乾燥して、粘着剤層を形成する工程(2A)を有することを特徴とする粘着型光学フィルムの製造方法、に関する。
【0016】
また本発明は、前記粘着型光学フィルムの製造方法であって、
少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液からなり、かつ、当該水分散液の固形分1gに対して1500〜25000ppmの残存モノマーを含有する水分散型粘着剤を、離型フィルムの片面または両面に塗布する工程(1)、
塗布された水分散型粘着剤を、80〜170℃の乾燥温度で、粘着剤層中の残存モノマー量が、粘着剤層の固形分1gに対して5〜100ppmになるように乾燥して、粘着剤層を形成する工程(2B)、および、
離型フィルムに形成された粘着剤層を光学フィルムに貼り合せる工程(3)を有することを特徴とする粘着型光学フィルムの製造方法、に関する。
【0017】
また本発明は、前記粘着型光学フィルムを少なくとも1枚用いていることを特徴とする画像表示装置、に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光学フィルム用粘着剤層は、水分散型粘着剤により形成された粘着剤層の残存モノマー量を、上記所定範囲(5〜100ppm)に制御することで、高耐久性を満足しており、粘着型光学フィルムに好適に用いられる。また、本発明の光学フィルム用粘着剤層は、外観が良好である。
【0019】
本発明の粘着型光学フィルムは、塗布前の水分散型粘着剤中の残存モノマー量を、上記所定範囲(1500〜25000ppm)に制御したものを用い、かつ、所定の乾燥条件(80〜170℃)で乾燥して粘着剤層を形成することにより得ることができる。こうして得られた粘着型光学フィルムは、更に優れた耐久性を有する。また、かかる粘着型光学フィルムの製造方法によれば、塗布前の水分散型粘着剤中の残存モノマー量が所定量以上の残存モノマーを含んでいることから、水分散型粘着剤の保存安定性がよく、水分散型粘着剤の腐敗を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の光学フィルム用粘着剤層は、水分散型粘着剤を塗布した後、乾燥することにより形成されたものであり、当該粘着剤層の残存モノマー量は、5〜100ppmに制御されている。
【0021】
前記粘着剤層中の残存モノマー量が100ppmを超える場合には、残留モノマー自体の影響によって、加熱下での発泡や、加湿下での水分の吸収が促進され、粘着剤層に、発泡、剥がれ等の耐久性上の不具合を生じる。また、残留モノマー量が多い場合には、粘着剤層の塗膜強度が弱くなり、発泡、剥がれなどの不具合が生じやすい。一方、前記粘着剤層中の残存モノマー量が5ppmよりも少ない場合には、粘着剤層の形成工程における乾燥工程において、熱履歴を多く掛ける必要があり、形成される粘着剤層にダメージが与えられやすくなる。また、原因は明らかではないが、粘着剤層中に、前記所定量の少量の残存モノマーを存在させることが、剥がれ等に対しては有効に働いている。前記粘着剤層中の残留モノマー量として、好ましくは5〜50ppmであり、特に好ましくは5〜30ppmである。
【0022】
なお、粘着剤層中の残存モノマー量の定量化は、実施例に記載のガスクロマトグラフィーに行なった。また、高沸点のモノマー(沸点250℃以上)を含有する場合には、併せて、液体クロマトグラフィーを用いて残存モノマー量の定量化した。ガスクロマトグラフィーと液体クロマトグラフィーの測定値の和が残存モノマー量になる。
【0023】
水分散型粘着剤は、少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液である。当該水分散液としては、通常は、界面活性剤の存在下にベースポリマーが分散しているものが用いられるが、ベースポリマーが水中に分散含有されているものであれば、自己分散性ベースポリマーの自己分散によって、水分散液になっているものを用いることができる。
【0024】
また、水分散液中のベースポリマーは、モノマーを乳化剤の存在下において乳化重合したり、または界面活性剤の存在下に分散重合したりして重合することにより得られたものが挙げられる。
【0025】
また、水分散液は、別途製造したベースポリマーを、乳化剤の存在下に水中で乳化分散することにより製造することができる。乳化方法としては、ポリマーと乳化剤を予め加熱溶融し、または加熱溶融することなく、それらと水とを、例えば加圧ニーダー、コロイドミル、高速攪拌シャフト等の混合機を用いて、高剪断をかけて均一に乳化分散させた後、分散粒子が融着凝集しないように冷却して所望の水分散体を得る方法(高圧乳化法)や、ポリマーを予めベンゼン、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解した後、前記乳化剤及び水を添加し、例えば高速乳化機を用いて、高剪断をかけて均一に乳化分散させた後、減圧−加熱処理等により有機溶剤を除去して所望の水分散体とする方法(溶剤溶解法)等が挙げられる。
【0026】
水分散型粘着剤としては、各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。前記粘着剤の種類に応じて粘着性のベースポリマーや分散手段が選択される。
【0027】
前記粘着剤のなかでも、本発明では、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れる点から水分散型のアクリル系粘着剤が好ましく使用される。
【0028】
水分散型アクリル系粘着剤のベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー成分を、乳化剤、ラジカル重合開始剤の存在下に乳化重合することにより共重合体エマルションとして得られる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0029】
(メタ)アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜20のものを例示できる。例えば、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコシル基等を例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は3〜9であるのが好ましい。特に、本発明においては、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸ブチルのような、水よりも沸点が高いモノマーが特に好適に使用される。
【0030】
前記(メタ)アクリル系ポリマー中には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外に、水分散液の安定化、粘着剤層の光学フィルム等の基材に対する密着性の向上、さらには、被着体に対する初期接着性の向上などを目的として、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合に係る重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。
【0031】
前記共重合モノマーの具体例としては、特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー;例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステル;例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;例えば、スチレンなどのスチレン系モノマー;例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基含有モノマー;例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの窒素原子含有モノマー;例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有モノマー;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどの官能性モノマー;例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;例えば、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;例えば、塩化ビニルなどのハロゲン原子含有モノマー;その他、例えば、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリンなどのビニル基含有複素環化合物や、N−ビニルカルボン酸アミド類などが挙げられる。
【0032】
また、共重合性モノマーとして、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマーが挙げられる。
【0033】
また、共重合性モノマーとしては、リン酸基含有モノマーが挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば、下記一般式(1):
【化1】

(一般式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、mは2以上の整数を示し、M1およびM2は、それぞれ独立に、水素原子またはカチオンを示す。)で表されるリン酸基またはその塩を示す。)で表されるリン酸基含有モノマーが挙げられる。
【0034】
なお、一般式(1)中、mは、2以上、好ましくは、4以上、通常40以下であり、mは、オキシアルキレン基の重合度を表す。また、ポリオキシアルキレン基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられ、これらポリオキシアルキレン基は、これらのランダム、ブロックまたはグラフトユニットなどであってもよい。また、リン酸基の塩に係る、カチオンは、特に制限されず、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、例えば、4級アミン類などの有機カチオンなどが挙げられる。
【0035】
また、共重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;その他、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルや、フッ素(メタ)アクリレートなどの複素環や、ハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系モノマーなどが挙げられる。
【0036】
さらに共重合性モノマーとして、シリコーン系不飽和モノマーが挙げられる。シリコーン系不飽和モノマーには、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーや、シリコーン系ビニルモノマーなどが含まれる。シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン;例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。また、シリコーン系ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシランなどのビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシラン、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシランなどのビニルアルキルトリアルコキシシランの他、これらに対応する(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0037】
さらに、共重合性モノマーとして、水分散型粘着剤のゲル分率の調整などのために、多官能性モノマーを用いることができる。多官能モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上有する化合物などが挙げられる。例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物;(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル等の反応性の不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。また、多官能性モノマーとしては、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどの骨格にモノマー成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを用いることもできる。
【0038】
これらの共重合モノマーの中でも、水分散液(エマルション等)の安定化や、当該水分散液から形成される粘着剤層の被着体であるガラスパネルへの密着性の確保の観点から、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シリコーン系不飽和モノマーが好ましく用いられる。
【0039】
(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするものであり、その配合割合は、モノマー成分全量に対して、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。また、その上限は、特に制限されず、例えば、100重量%、好ましくは99重量%、さらに好ましくは98重量%である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合が50重量%未満であると、粘着剤層の接着力などの粘着特性が低下する場合がある。
【0040】
また、共重合性モノマーの配合割合は、モノマー成分全量に対して、例えば、50重量%未満、好ましくは、40重量%未満、さらに好ましくは、30重量%未満である。共重合性モノマーは、各共重合性モノマーの種類に応じて、配合割合を適宜選択することができる。例えば、共重合性モノマーが、カルボキシル基含有モノマーの場合、その割合はモノマー成分全量に対して0.1〜6重量%であるのが好ましく、リン酸基含有モノマーの場合その割合は0.5〜5重量%であるのが好ましく、シリコーン系不飽和モノマーの場合その割合は0.005〜0.2重量%であるのが好ましい。
【0041】
前記モノマー成分の乳化重合は、常法により、モノマー成分を水に乳化させた後に、乳化重合することにより行う。これにより(メタ)アクリル系ポリマー水分散液を調製する。乳化重合では、例えば、上記したモノマー成分とともに、乳化剤、ラジカル重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤などを、水中において適宜配合される。より具体的には、例えば、一括仕込み法(一括重合法)、モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法などの公知の乳化重合法を採用することができる。なお、モノマー滴下法では、連続滴下または分割滴下が適宜選択される。これらの方法は適宜に組み合わせることができる。反応条件などは、適宜選択されるが、重合温度は、例えば、0〜150℃程度であり、重合時間は2〜15時間程度ある。
【0042】
乳化剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される各種の乳化剤が用いられる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤;例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。また、これらアニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤に、プロペニル基やアリルエーテル基などのラジカル重合性官能基(ラジカル反応性基)が導入されたラジカル重合性乳化剤などが挙げられる。これら乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。これらの乳化剤の中でも、ラジカル重合性官能基を有したラジカル重合性乳化剤は、水分散液(エマルション)の安定性、粘着剤層の耐久性の観点から、好ましく使用される。
【0043】
前記乳化剤の配合割合は、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー成分100重量部に対して、例えば、0.1〜5重量部程度、好ましくは0.4〜3重量部である。乳化剤の配合割合が、この範囲であると、耐水性、粘着特性、さらには重合安定性、機械的安定性などの向上を図ることができる。
【0044】
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される公知のラジカル重合開始剤が用いられる。例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などのアゾ系開始剤;例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤;例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤;例えば、フェニル置換エタンなどの置換エタン系開始剤;例えば、芳香族カルボニル化合物などのカルボニル系開始剤などが挙げられる。これら重合開始剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、ラジカル重合開始剤の配合割合は、適宜選択されるが、モノマー成分100重量部に対して、例えば、0.02〜0.5重量部程度、好ましくは、0.08〜0.3重量部である。0.02重量部未満であると、ラジカル重合開始剤としての効果が低下する場合があり、0.5重量部を超えると、水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーの分子量が低下し、水分散型粘着剤組成物の粘着性が低下する場合がある。
【0045】
連鎖移動剤は、必要により、水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーの分子量を調節するものであって、通常、乳化重合に通常使用される連鎖移動剤が用いられる。例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール、メルカプトプロピオン酸エステル類などのメルカプタン類などが挙げられる。これら連鎖移動剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、連鎖移動剤の配合割合は、モノマー成分100重量部に対して、例えば、0.001〜0.3重量部である。
【0046】
このような乳化重合によって、水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーを水分散液(エマルション)として調製することができる。このような水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーは、その平均粒子径が、例えば、0.05〜3μm、好ましくは、0.05〜1μmに調整される。平均粒子径が0.05μmより小さいと、水分散型粘着剤の粘度が上昇する場合があり、1μmより大きいと、粒子間の融着性が低下して凝集力が低下する場合がある。
【0047】
また、前記水分散液の分散安定性を保つために、前記水分散液に係る(メタ)アクリル系ポリマーが、共重合性モノマーとしてカルボキシル基含有モノマー等を含有する場合には、当該カルボキシル基含有モノマー等を中和することが好ましい。中和は、例えば、アンモニア、水酸化アルカリ金属等により行なうことができる。
【0048】
本発明の水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、重量平均分子量は100万以上のものが好ましい。特に重量平均分子量で100万〜400万のものが耐熱性、耐湿性の点で好ましい。重量平均分子量が100万未満であると耐熱性、耐湿性が低下し好ましくない。また乳化重合で得られる粘着剤はその重合機構より分子量が非常に高分子量になるので好ましい。ただし、乳化重合で得られる粘着剤は一般にはゲル分が多くGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定できないので分子量に関する実測定での裏付けは難しいことが多い。
【0049】
本発明の水分散型粘着剤は、上記のベースポリマーに加えて、架橋剤を含有することができる。水分散型粘着剤が水分散型アクリル系粘着剤の場合に用いられる架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート系架橋剤などの一般に用いられているものを使用できる。これら架橋剤は、官能基含有単量体を用いることにより重合体中に導入した官能基と反応して架橋する効果を有する。
【0050】
ベースポリマーと架橋剤の配合割合は特に限定されないが、通常、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、架橋剤(固形分)10重量部程度以下の割合で配合される。前記架橋剤の配合割合は、0.001〜10重量部が好ましく、さらには0.01〜5重量部程度が好ましい。
【0051】
さらには、本発明の水分散型粘着剤には、必要に応じて、粘度調整剤、剥離調整剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤(顔料、染料など)、pH調整剤(酸または塩基)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などとしても良い。これら添加剤もエマルションとして配合することができる。
【0052】
本発明の光学フィルム用粘着剤層は、上記水分散型粘着剤により形成される。粘着剤層の形成は、支持基材(光学フィルムまたは離型フィルム)に上記水分散型粘着剤を塗布した後、乾燥することより形成することができる。本発明の光学フィルム用粘着剤は、こうして形成された粘着剤層であり、粘着剤層中の残存モノマー量が5〜100ppmに制御されている。
【0053】
本発明の粘着剤型光学フィルムは、光学フィルムの片面または両面に前記粘着剤層を積層したものである。本発明の粘着型光学フィルムは、例えば、
製法(A):少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液からなり、かつ、当該水分散液の固形分1gに対して1500〜25000ppmの残存モノマーを含有する水分散型粘着剤を、光学フィルムの片面または両面に塗布する工程(1)、および、
塗布された水分散型粘着剤を、80〜170℃の乾燥温度で、粘着剤層中の残存モノマー量が、粘着剤層の固形分1gに対して5〜100ppmになるように乾燥して、粘着剤層を形成する工程(2A)を施す方法、または、
製法(B):少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液からなり、かつ、当該水分散液の固形分1gに対して1500〜25000ppmの残存モノマーを含有する水分散型粘着剤を、離型フィルムの片面または両面に塗布する工程(1)、
塗布された水分散型粘着剤を、80〜170℃の乾燥温度で、粘着剤層中の残存モノマー量が、粘着剤層の固形分1gに対して5〜100ppmになるように乾燥して、粘着剤層を形成する工程(2B)、および、
離型フィルムに形成された粘着剤層を光学フィルムに貼り合せる工程(3)を施す方法、により製造することができる。
【0054】
前記塗布工程(1)にあたっては、上記水分散型粘着剤中の残存モノマー量を所定量に調整することが好ましい。塗布工程(1)に用いる、水分散型粘着剤中の残存モノマー量の水分散型粘着剤中の残存モノマー量を前記範囲に制御することで、乾燥時の製膜性を確保して、均一性がよく、高強度の皮膜を形成でき、得られる粘着剤層の耐久性が良好になる。水分散型粘着剤(塗工液)中の残存モノマーの作用効果は明らかではないが、粘着剤層の形成工程(2A)または(2B)における、水分の乾燥段階で水よりも揮散が遅いモノマーの作用で、水分散型粘着剤による塗膜の製膜性が促進されるのではないかと考えられる。水分散型粘着剤中の残存モノマー量が、1500ppm未満では、製膜性が不十分となり、耐久性の点から好ましくない。一方、前記残存モノマー量が25000ppmを超える場合には、粘着剤層の形成工程(2A)または(2B)において、粘着剤層中の残存モノマー量を100ppm以下にまで乾燥する事が難しくなる。
【0055】
また、上記塗布工程(1)に用いる、水分散型粘着剤中に上記所定量以上の残存モノマーを含有させることは、水分散型粘着剤の保存時における腐敗を防止するうえからも好ましい。水分散型粘着剤中の残存モノマー量が少ない場合、保存時に腐敗を起しやすく、これを塗布して形成された粘着剤層を有する粘着型光学フィルムの外観が損なわれる場合がある。かかる腐敗に関しては、水分散液(エマルション)の独特の課題として認知され、主に、環境中(各種の土壌菌)や、人由来の菌、バクテリアの混入により引き起こされるとされている。腐敗に関しては、一部、防腐剤のような薬剤の添加により抑制することができるが、粘着型光学フィルムでは薬剤の添加が耐久性の劣化を引き起こす場合が多く、その適用が難しい。本発明では、塗布工程(1)に供される水分散型粘着剤(水分散液)において、適度な割合で残存モノマーを含有させることによって、水分散型粘着剤(水分散液)の腐敗を抑制することで保存安定性を確保でき、さらには粘着剤層の耐久性の向上にも寄与する。
【0056】
上記観点から、上記塗布工程(1)に用いる、水分散型粘着剤中の残存モノマー量は、より好ましくは5000〜25000ppmの範囲、さらに好ましくは7000〜25000ppmの範囲、さらに好ましくは10000〜25000ppmの範囲である。
【0057】
上記塗布工程(1)に用いる、水分散型粘着剤中の残存モノマー量の調整は、例えば、ベースポリマーを重合して調製する際に、重合終点を調整することにより行なうことができる。例えば、上記乳化重合により、水分散型の(メタ)アクリル系ポリマーを水分散液(エマルション)として調製する場合には、重合時間と温度を制御することで、水分散型粘着剤中の残存モノマー量を前記範囲に調整することができる。詳しくは、使用する重合開始剤の種類と重合温度、および重合時間との関係において調整することができる。例えば、ラジカル重合開始剤を使用する場合には、各開始剤において10時間半減期温度が求められており、この温度と実際の重合温度との関係において、重合度(重合返還率)を制御することができる。また、水分散型粘着剤中の残存モノマーの調整は、前述の特許文献3に記載のように、重合反応を促進させるレドックス系の添加剤を添加し、残存モノマー量を調整することもできる。ただし、本発明の水分散液中の残存モノマー量は、通常の水分散型粘着剤を得るための重合条件に比べて、非常に多量の残存モノマー量に調整する点が重要である。なお、水分散型粘着剤は比較的高ベースで適度な粘度を有するため、重合後に得られる水分散液を、そのまま塗布工程(1)に用いることができる。
【0058】
なお、水分散型粘着剤中の残存モノマー量は、水分散型粘着剤に係る水分散液中の固形分1gに対する、残存モノマーの量を言う。なお、水分散型粘着剤に係る水分散液中の残存モノマー量の定量化は、粘着剤層中の残存モノマー量の定量化と同様の方法により測定される。
【0059】
上記塗布工程(1)には、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。なお、製法(A)では光学フィルムに、製法(B)では離型フィルムに塗布工程(1)が施される。
【0060】
また、塗布工程(1)では、形成される粘着剤層が所定の厚み(乾燥後厚み)になるようにその塗布量が制御される。粘着剤層の厚み(乾燥後厚み)は、通常、1〜100μm程度、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜40μmの範囲に設定される。
【0061】
次いで、製法(A)、(B)において、粘着剤層の形成工程(2A)、(2B)が施される。形成工程(2A)、(2B)では、塗布された水分散型粘着剤に対して、80〜170℃の乾燥温度において乾燥が施される。乾燥温度は本発明において、粘着剤層中の残存モノマー量を上記所定範囲に制御する上で特に重要な制御因子となる。従って、粘着剤層の形成工程(2A)、(2B)では、水分散型粘着剤中の水、残存モノマーを効果的に揮発させるため前記乾燥温度に設定することが好ましい。
【0062】
乾燥温度が80℃未満では、粘着剤層中に水分、残存モノマー、中和等に使用するアンモニア成分が残存し易く、その結果、粘着剤層の塗膜の強度が不十分となって、耐久性の確保が難しい。一方、乾燥温度が170℃を超える場合には、残存モノマーの乾燥速度が速すぎるため、乾燥過程での残存モノマーによる製膜促進が不十分となり、十分な強度の粘着剤層が得られ難い。また、残存するラジカル重合開始剤の影響などで着色が起こったり、光学フィルムや離型フィルムに熱ダメージを与えたりする。(例えば、フィルム系離型フィルムではオリゴマーの析出などが生じる)。前記乾燥温度は、好ましくは100〜140℃である。また、乾燥工程を異なる温度条件の複数工程に分けて行なうこともできる。例えば、水分、残留モノマーを効果的に揮散させるため、少なくとも2つの異なる乾燥温度を設定することも効果的に使用する事が望ましい。本発明においては、所定の残存モノマー量の水分散型粘着剤を、上記工程で乾燥した後の残存モノマー量によって、粘着剤層の塗膜の状態が間接的に判断できる点も挙げられる。
【0063】
前記乾燥温度に伴う乾燥時間は、使用される乾燥設備によって適宜設定されるが、簡易的に使用される熱風循環式オーブン等では10分間以上の比較的長時間が望ましい。一方、生産設備として使用される塗工設備のオーブンでは乾燥能力、伝熱性が良好に設計されているので、数分程度の比較的短時間で本発明の粘着型光学フィルムを得ることができる。なお、乾燥時間が長くなりすぎると、粘着剤層の酸化劣化や着色の原因となるため乾燥時間は60分間以下であるのが好ましい。
【0064】
また、乾燥温度と乾燥時間に係わる乾燥条件は、乾燥設備によって適宜設定されるが、
熱風循環式オーブンでは、例えば、
乾燥温度80〜120℃未満では、20〜60分間、
乾燥温度120〜140℃未満では、10〜30分間、
乾燥温度140〜170℃では、10〜15分間、
塗工設備のオーブンでは、例えば、
乾燥温度80〜120℃未満では、5〜20分間、
乾燥温度120〜140℃未満では、2〜10分間、
乾燥温度140〜170℃では、1〜5分間、
に設定することが好ましい。
【0065】
製法(A)では、上記粘着剤層の形成工程(2A)により、直接、光学フィルムに粘着剤層が形成されて、粘着型光学フィルムが得られる。一方、製法(B)では、上記粘着剤層の形成工程(2B)により、離型フィルム上に、粘着剤層が形成され、次いで、当該粘着剤層を光学フィルムに貼り合せる工程(3)により、当該粘着剤層が光学フィルムに転写されて、粘着型光学フィルムが得られる。
【0066】
離型フィルムの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などを挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0067】
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。
【0068】
前記離型フィルムの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記離型フィルムには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記離型フィルムの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
【0069】
前記粘着剤層が露出する場合には、実用に供されるまで離型フィルムで粘着剤層を保護してもよい。なお、上記の剥離フィルムは、そのまま粘着型光学フィルムのセパレータとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
【0070】
また、光学フィルムの表面に、粘着剤層との間の密着性を向上させるために、アンカー層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理などの各種易接着処理を施した後に粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層の表面には易接着処理をおこなってもよい。
【0071】
上記アンカー層の形成材としては、好ましくは、ポリウレタン、ポリエステル、分子中にアミノ基を含むポリマー類、オキサゾリニル基を含むポリマー類から選ばれるアンカー剤が用いられ、特に好ましくは、分子中にアミノ基を含んだポリマー類、オキサゾリニル基を含むポリマー類である。分子中にアミノ基を含むポリマー類、オキサゾリニル基を含むポリマー類は、分子中のアミノ基、オキサゾリニル基が粘着剤中のカルボキシル基等と反応またはイオン性相互作用などの相互作用を示すため、良好な密着性が確保される。
【0072】
分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリジン、ジメチルアミノエチルアクリレート等の含アミノ基含有モノマーの重合体などを挙げることができる。
【0073】
光学フィルムとしては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。例えば、光学フィルムとしては偏光板が挙げられる。偏光板は偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0074】
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
【0075】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0076】
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などが挙げられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
【0077】
また光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルム、表面処理フィルム等の液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものが挙げられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【0078】
表面処理フィルムは、前面板に貼り合せても設けられる。表面処理フィルムとしては、表面の耐擦傷性を付与するために用いられるハードコートフィルム、画像表示装置に対する写り込みを防止するためのアンチグレア処理フィルム、アンチリフレクティブフィルム、ローリフレクティブフィルムなどの反射防止フィルム等が挙げられる。前面板は、液晶表示装置や有機EL表示装置、CRT、PDP等の画像表示装置を保護したり、高級感を付与したり、デザインにより差別化したりするために、前記画像表示装置の表面に貼り合せて設けられる。また前面板は、3D−TVにおけるλ/4板の支持体として用いられる。例えば、液晶表示装置では、視認側の偏光板の上側に設けられる。本発明の粘着剤層を用いた場合には、前面板として、ガラス基材の他に、ポリカーボネート基材、ポリメチルメタクリレート基材等のプラスチック基材においてもガラス基材と同様の効果を発揮する。
【0079】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0080】
本発明の粘着型光学フィルムは液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セル等の表示パネルと粘着型光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による粘着型光学フィルムを用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0081】
液晶セル等の表示パネルの片側又は両側に粘着型光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セル等の表示パネルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0082】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置:OLED)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0083】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0084】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0085】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0086】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0087】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0088】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
【0089】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0090】
上記のように有機EL表示装置では、鏡面反射を遮るために、有機ELパネルに、位相差板および偏光板を組み合わせた楕円偏光板または円偏光板を粘着剤層を介して用いることができるが、その他に、楕円偏光板または円偏光板を有機ELパネルに直接貼り合わせずに、楕円偏光板または円偏光板をタッチパネルに粘着剤層を介して貼り合わせたものを、有機ELパネルに適用することができる。
【0091】
本発明において適用される、タッチパネルとしては、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などの各種の方式を採用できる。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電性薄膜を有するタッチ側のタッチパネル用電極板と透明導電性薄膜を有するディスプレイ側のタッチパネル用電極板を、透明導電性薄膜同士が対向するようにスペーサを介して対向配置してなるものである。他方、静電容量方式のタッチパネルは、通常、所定のパターン形状を有する透明導電性薄膜を備えた透明導電性フィルムがディスプレイ表示部の全面に形成されている。本発明の粘着型光学フィルムは、タッチ側、ディスプレイ側のいずれの側にも適用される。
【実施例】
【0092】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。
【0093】
<残存モノマー量の定量法>
各例の水分散液に係る水分散型アクリル系粘着剤(エマルション)の固形分1gに対する残存モノマー量は、ガスクロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィーにより行なった。高沸点のモノマー(沸点250℃以上)を含有する場合は、液体クロマトグラフィーとヘッドスペースガスクロマトグラフィーとの測定値の和が残存モノマー量になる。また、粘着剤層の固形分1gに対する残存モノマー量についても、上記と同様の分析法にて定量した。なお、各例では、リン酸エステル系モノマー、反応性乳化剤が高沸点のモノマーに該当する。
【0094】
≪ガスクロマトグラフィー≫
試料約0.2gに酢酸エチル10mlを添加した後、室温(23℃)で3日間放置して粘着剤(または粘着剤層)中のモノマーを抽出した。この抽出液1μLをガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー社製,7890A)に注入して分析を行った。
測定条件は、
カラム;HP−1
カラム温度;40℃(1分間)→5℃/分(上昇)→60℃→10℃/分(上昇)→140℃→20℃/分(上昇)→300℃(5分間)
検出器;FID
【0095】
≪液体クロマトグラフィー≫
試料約0.1gに酢酸エチル10mlを添加した後、室温(23℃)で3日間放置して粘着剤(または粘着剤層)中のモノマーを抽出し、さらにアセトニトリル40mlを加えた溶液を得た。この溶液10μLを液体クロマトグラフィー(東ソー社製,CCPM/UV8000)に注入して分析を行った。
測定条件は、
カラム;Intersil ODS−3
カラム温度;40℃
検出器;UV
【0096】
<平均粒子径>
各例の水分散液に係る水分散型アクリル系粘着剤(エマルション)中の(メタ)アクリル系ポリマーの平均粒子径は、ベックマンコールター社製LS13320により測定した。
【0097】
実施例1
(水分散型アクリル系粘着剤の調製)
容器に、原料としてアクリル酸ブチル1000部、アクリル酸50部、モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度5.0)30部、および3−メタクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業(株)製,KBM−503)0.1部を加えて混合し、モノマー混合物を得た。次いで、上記割合で調製したモノマー混合物600部に対して、反応性乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製)13部、イオン交換水360部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用い、3分間、7000rpmで攪拌し、モノマーエマルションを調製した。
【0098】
次に、冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートおよび攪拌羽根を備えた反応容器に、上記で調製したモノマーエマルションのうちの200部およびイオン交換水350部を仕込み、次いで、反応容器を十分窒素置換した後、過硫酸アンモニウム0.1部を添加して、60℃で1時間重合した(初期重合)。次いで、残りのモノマーエマルションを、反応容器に3時間かけて滴下し、その後、3時間重合した(中間重合)。さらにその後、窒素置換しながら、65℃で5時間重合し(最終重合)、固形分濃度45%の水分散型アクリル系粘着剤(エマルション)を得た。次いで、上記水分散型アクリル系粘着剤を室温まで冷却した後、これに、濃度10%のアンモニア水を30部添加し、さらに蒸留水を加えて、固形分39%に調整した。この水分散型アクリル系粘着剤の残存モノマー量は10300ppmであった。水分散型アクリル系粘着剤(エマルション)中の(メタ)アクリル系ポリマーの平均粒子径は0.085μmであった。
【0099】
(粘着剤層の形成および粘着型偏光板の作成)
上記水分散型アクリル系粘着剤を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、離型フィルム(三菱化学ポリエステル(株)製,ダイアホイルMRF−38,ポリエチレンテレフタレート基材)上にアプリケーターにより塗布した後、熱風循環式オーブンにより120℃で15分間乾燥して、粘着剤層を形成した。当該粘着剤層を偏光板(日東電工(株)製,製品名SEG−DU)と貼り合せて、粘着型偏光板を作成した。上記貼り合わせ前の粘着剤層の残存モノマー量は7ppmであった。
【0100】
実施例2
(水分散型アクリル系粘着剤の調製)
実施例1において、水分散型アクリル系粘着剤(水分散液:エマルション)の調製にあたり、最終重合の条件を、65℃で2時間に変えたこと以外は実施例1と同様にして、水分散型アクリル系粘着剤を調製した。この水分散型アクリル系粘着剤の残存モノマー量は23500ppmであった。水分散型アクリル系粘着剤(エマルション)中の(メタ)アクリル系ポリマーの平均粒子径は0.092μmであった。
【0101】
(粘着剤層の形成および粘着型偏光板の作成)
実施例1において、粘着剤層の形成にあたり、上記で調整した水分散型アクリル系粘着剤を用いたこと、熱風循環式オーブンの乾燥条件を140℃で15分間に変えたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層を形成した。また、実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作成した。上記貼り合わせ前の粘着剤層の残存モノマー量は28ppmであった。
【0102】
実施例3
(水分散型アクリル系粘着剤の調製)
実施例1において、水分散型アクリル系粘着剤(水分散液:エマルション)の調製にあたり、最終重合の条件を、75℃で5時間に変えたこと以外は実施例1と同様にして、水分散型アクリル系粘着剤を調製した。この水分散型アクリル系粘着剤の残存モノマー量は5100ppmであった。水分散型アクリル系粘着剤(エマルション)中の(メタ)アクリル系ポリマーの平均粒子径は0.088μmであった。
【0103】
(粘着剤層の形成および粘着型偏光板の作成)
実施例1において、粘着剤層の形成にあたり、上記で調整した水分散型アクリル系粘着剤を用いたこと、熱風循環式オーブンの乾燥条件を100℃で30分間に変えたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層を形成した。また、実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作成した。上記貼り合わせ前の粘着剤層の残存モノマー量は48ppmであった。
【0104】
実施例4
(粘着剤層の形成および粘着型偏光板の作成)
実施例1において、粘着剤層の形成にあたり、水分散型アクリル系粘着剤として上記実施例3で調整した水分散型アクリル系粘着剤を用いたこと、熱風循環式オーブンの乾燥条件を80℃で40分間に変えたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層を形成した。また、実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作成した。上記貼り合わせ前の粘着剤層の残存モノマー量は80ppmであった。
【0105】
実施例5
(粘着剤層の形成および粘着型偏光板の作成)
実施例1で調製した水分散型アクリル系粘着剤を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、離型フィルム(三菱化学ポリエステル社製、ダイアホイルMRF−38、ポリエチレンテレフタレート基材)上にコンマコーター法により連続塗工した後、実験塗工機オーブンにより連続乾燥を行い、粘着剤層を形成した。実験塗工機オーブンによる乾燥は、120℃で1分間と130℃で2分間の2段階で行った。当該粘着剤層を偏光板(日東電工製、製品名SEG−DU)と貼り合せて、粘着型偏光板を作成した。上記貼り合わせ前の粘着剤層の残存モノマー量は10ppmであった。
【0106】
比較例1
(粘着剤層の形成および粘着型偏光板の作成)
実施例1において、粘着剤層の形成にあたり、熱風循環式オーブンの乾燥条件を100℃で2分間に変えたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層を形成した。また、実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作成した。上記貼り合わせ前の粘着剤層の残存モノマー量は250ppmであった。
【0107】
比較例2
(粘着剤層の形成および粘着型偏光板の作成)
実施例1において、粘着剤層の形成にあたり、熱風循環式オーブンの乾燥条件を180℃で10分間に変えたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層を形成した。また、実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作成した。上記貼り合わせ前の粘着剤層の残存モノマー量は2ppmであった。なお、得られた粘着剤層は、やや褐色を帯びていた。
【0108】
比較例3
(水分散型アクリル系粘着剤の調製)
実施例1において、水分散型アクリル系粘着剤(水分散液:エマルション)の調製にあたり、最終重合を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、水分散型アクリル系粘着剤を調製した。この水分散型アクリル系粘着剤の残存モノマー量は28000ppmであった。水分散型アクリル系粘着剤(エマルション)中の(メタ)アクリル系ポリマーの平均粒子径は0.085μmであった。
【0109】
(粘着剤層の形成および粘着型偏光板の作成)
実施例1において、粘着剤層の形成にあたり、上記で調整した水分散型アクリル系粘着剤を用いたこと、熱風循環式オーブンの乾燥条件を150℃で3分間に変えたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層を形成した。また、実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作成した。上記貼り合わせ前の粘着剤層の残存モノマー量は120ppmであった。
【0110】
比較例4
(水分散型アクリル系粘着剤の調製)
実施例1において、最終重合により得られた、固形分濃度45%の水分散型アクリル系粘着剤(水分散液:エマルション)100部(固形分)に対して、30%過酸化水素水0.3部、アスコルビン酸0.6部を加え、75℃で3時間加熱した。その後、当該水分散型アクリル系粘着剤を室温まで冷却した後、濃度10%のアンモニア水を30部添加し、さらに蒸留水を加えて、固形分39%に調整した。この水分散型アクリル系粘着剤の残存モノマー量は1200ppmであった。水分散型アクリル系粘着剤(エマルション)中の(メタ)アクリル系ポリマーの平均粒子径は0.082μmであった。
【0111】
(粘着剤層の形成および粘着型偏光板の作成)
実施例1において、粘着剤層の形成にあたり、上記で調整した水分散型アクリル系粘着剤を用いたこと、熱風循環式オーブンの乾燥条件を140℃で15分間に変えたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層を形成した。また、実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作成した。上記貼り合わせ前の粘着剤層の残存モノマー量は4ppmであった。
【0112】
上記実施例および比較例で得られた粘着型偏光板について以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0113】
[粘着型光学フィルムの耐久性評価]
各実施例および各比較例の粘着型偏光板を、235mm×310mmの大きさに切断し、これを、厚さ0.7mmのガラス板(コーニング#1737,コーニング(株)製)に貼着し、50℃、0.5MPaのオートクレーブ中に15分間放置した。その後、80℃の雰囲気下(加熱)、および、60℃/90%RHの雰囲気下(加湿)で、500時間加熱して、粘着型偏光板の発泡、剥がれの有無をルーペを用いた目視観察により確認した。なお、粘着型偏光板の剥がれの有無について確認し、下記の基準で判断した。
<加熱耐久性>
4:100μm以上の気泡が1cm中になし。
3:100μm以上の気泡が1cm中に1〜5個。
2:100μm以上の気泡が1cm中に6〜10個。
1:100μm以上の気泡が1cm中に11個以上。
<加湿耐久性>
4:粘着型偏光板の端部に剥がれの発生なし。
3:粘着型偏光板の端部から0.1mm以内の箇所に剥がれが発生。
2:粘着型偏光板の端部から0.1mmを超え1mm以内の箇所に剥がれが発生。
1:粘着型偏光板の端部から1mmを超える箇所に剥がれが発生。
【0114】
[重合液の腐敗試験]
容量900mlの空のマヨネーズ瓶を、蓋を開けた状態で、約1週間放置し、その後、その中に各実施例および各比較例における水分散型アクリル系粘着剤(残存モノマー量を測定したエマルション)850gを投入して、密栓した。その状態で、室温で3ケ月間、冷暗所に放置し、腐敗の有無を、色味および匂いの観点から下記基準により判定した。
○:色味、匂いにおいて初期と差が見られなかった。
×:液上部に茶褐色の腐敗物が浮遊し、酸味臭が発生していた。
【0115】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルム用粘着剤層であって、
前記粘着剤層は、少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液を含有する水分散型粘着剤を塗布した後、乾燥することにより形成されたものであり、
かつ、当該粘着剤層中の残存モノマー量が、粘着剤層の固形分1gに対して5〜100ppmであることを特徴とする光学フィルム用粘着剤層。
【請求項2】
前記水分散型粘着剤におけるベースポリマーが、(メタ)アクリル系ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の光学フィルム用粘着剤層。
【請求項3】
前記ベースポリマーである、(メタ)アクリル系ポリマーが、乳化重合により得られたものであることを特徴とする請求項1または2記載の光学フィルム用粘着剤層。
【請求項4】
光学フィルムの少なくとも片側に、請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム用粘着剤層が積層されていることを特徴とする粘着型光学フィルム。
【請求項5】
請求項4記載の粘着型光学フィルムの製造方法であって、
少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液からなり、かつ、当該水分散液の固形分1gに対して1500〜25000ppmの残存モノマーを含有する水分散型粘着剤を、光学フィルムの片面または両面に塗布する工程(1)、および、
塗布された水分散型粘着剤を、80〜170℃の乾燥温度で、粘着剤層中の残存モノマー量が、粘着剤層の固形分1gに対して5〜100ppmになるように乾燥して、粘着剤層を形成する工程(2A)を有することを特徴とする粘着型光学フィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項4記載の粘着型光学フィルムの製造方法であって、
少なくともベースポリマーが水中に分散含有されている水分散液からなり、かつ、当該水分散液の固形分1gに対して1500〜25000ppmの残存モノマーを含有する水分散型粘着剤を、離型フィルムの片面または両面に塗布する工程(1)、
塗布された水分散型粘着剤を、80〜170℃の乾燥温度で、粘着剤層中の残存モノマー量が、粘着剤層の固形分1gに対して5〜100ppmになるように乾燥して、粘着剤層を形成する工程(2B)、および、
離型フィルムに形成された粘着剤層を光学フィルムに貼り合せる工程(3)を有することを特徴とする粘着型光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項4記載の粘着型光学フィルムを少なくとも1枚用いていることを特徴とする画像表示装置。

【公開番号】特開2011−140641(P2011−140641A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271479(P2010−271479)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】