光学フィルム貼付け装置、光学フィルム貼付け方法、および表示用パネルの製造方法
【課題】偏光板等の光学フィルムを皺や気泡を発生させることなく、かつ、高速に表示装置に貼り付けることを可能とする。
【解決手段】表面が粘着性を有するゴム10bが表面に形成された大口径のローラ10に偏光板2を粘着して保持し、この偏光板2を液晶パネル1に貼り付ける。偏光板2が液晶パネル1に接触し始める部分に対応する前記ローラ10の表面10bには粘着力が小さくなった部分10aが形成されており、偏光板2が液晶パネル1に貼りついた後、偏光板2が容易にローラ10から離脱することが出来る。これによって、偏光板2を気泡や皴の無い状態で液晶パネル1に貼り付けることが出来る。
【解決手段】表面が粘着性を有するゴム10bが表面に形成された大口径のローラ10に偏光板2を粘着して保持し、この偏光板2を液晶パネル1に貼り付ける。偏光板2が液晶パネル1に接触し始める部分に対応する前記ローラ10の表面10bには粘着力が小さくなった部分10aが形成されており、偏光板2が液晶パネル1に貼りついた後、偏光板2が容易にローラ10から離脱することが出来る。これによって、偏光板2を気泡や皴の無い状態で液晶パネル1に貼り付けることが出来る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルやプラズマパネル等の表示用パネルへ、偏光板や位相差フィルムや減光フィルムなどの光学フィルムを貼付ける光学フィルム貼り付け装置、光学フィルム貼付け方法、および表示用パネルの製造方法に係り、特に光学フィルムから粘着剤保護フィルムを剥離した後、光学フィルムを表示パネルへ貼り付けるのに好適な光学フィルム貼り付け装置、光学フィルム貼付け方法、および表示用パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ装置の製造工程では、TFT(Thin Film Transistor)基板とカラーフィルター基板との間に液晶を封入して液晶パネルを構成した後、液晶パネルの表面および裏面に偏光板の貼り付けが行われる。このときさらに位相差板が張り付けられる場合や、予め位相差板を偏光板と一体化しておいて貼り付ける場合もある。
【0003】
プラズマディスプレイでは一般に外乱光による蛍光体表面での反射を低減するため、プラズマパネルの表面に減光フィルムを貼り付けることが行われている。さらに、安全のために飛散防止フィルムが張られる場合も有る。
【0004】
これらのフィルム貼り付けには一般に貼り付け装置が使用されている。偏光板や減光フィルムの片面には粘着剤が塗布してあり、さらに粘着剤の保護のために粘着剤保護フィルムが張られている。フィルム貼り付け装置では、この粘着剤保護フィルムを剥離し、液晶パネルやプラズマパネルに貼り付ける。これらの方法として例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載のものがある
【特許文献1】特開昭63−212903号
【特許文献2】特開平6−255063号
【特許文献3】特開平8−262429号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法では偏光板貼り付けを行う時に、気泡や皺の発生が生じやすいという欠点があった。この傾向は貼り付け速度を速めるほど、また偏光板を薄くするほど顕著になる傾向を示す。
【0006】
特許文献1に記載の方法では、偏光板保持体で保持した偏光板の前縁を液晶パネルに接触させた後、加圧ローラにより加圧しながら移動することで十分な加圧力を得ながら偏光板を順次液晶パネルに押しつけて行くことで気泡の回避を行っている。しかしながらこの方法では液晶パネルに偏光板が接触開始した段階では加圧ローラの効果は得られず、不完全な加圧状態で貼り付けが始まってしまい、貼り始めの位置に気泡を生じやすい点は必ずしも回避できない。さらに貼り終わりの段階では偏光板が偏光板保持体から離れて、急激に液晶パネルに接触するため張り終わり位置にも気泡を生じやすい欠点を生ずる場合がある。送り速度を遅くすることでこの欠点は軽減されるが、この場合、生産性が低下してしまう。
【0007】
特許文献2では、特許文献1の方法に加え、貼り付け中の偏光板に一定の張力を与えながら、液晶パネルと光学フィルムの角度も一定に保つことで皺の回避をもくろんでいる。しかしこの場合も貼り始めと貼り終わりの段階では張力や角度の保持が出来ない点については考慮されて居らず、貼り始めに泡や皺を生じやすい欠点は改善されていない。特許文献2の第2の実施例では真空もしくは弱い粘着により円弧状の偏光板保持体に偏光板を貼り付ける方式を提案しているが、真空吸着では端部までは十分な吸着力が得られず気泡を生じやすい場合も生ずる。弱い粘着力を持たせる場合は粘着力のバランスが難しい。さらにこの実施例では動作が間欠的なるため高速運転が困難となることも予想される。
【0008】
特許文献3の方法は特許文献2の真空吸着と比し真空吸着穴を多数の微細な吸気孔で均一に形成し、吸着を隅々まで行き渡らせようとするものである。この方法では十分な吸着力を得ようとすると、吸気孔を大きくするか、孔の密度を高める必要が生じる。この場合、大部分の空気は剥離後の空いた部分から吸い込まれるため吸着力が高めにくい。さらに吸着孔を大きくする場合、ローラの表面が粗くなり、偏光板に傷を付けやすくなる欠点が生ずることもある。
【0009】
一方、従来の技術において、ゴムローラ等の表面粘着力を用いてフィルム状の偏光板を搬送するアイディアは有ったが、実際は偏光板は複数の層から構成され、適正な粘着力を実現する方法は単純には出来ない。
【0010】
例えば上側偏光板の場合、最上部の傷防止用保護フィルム、表層の光沢調整層、表層担体フィルム、偏光物質層、裏面担体フィルム、裏面粘着剤層、粘着剤保護フィルムなど多数の層から構成されている。そのため偏光板貼り付けの直前に偏光板を保持し、粘着剤保護フィルムを剥離して裏面粘着層を露出させ、遅滞なく液晶パネルに貼り付けねばならない。粘着層保護フィルムの剥離から、液晶パネルへの貼り付けの間で、長時間掛けると空中浮遊異物の付着や、粘着剤の吸湿による変質などの好ましくない事態を招く。同様の現象は、プラズマディスプレイパネルの減光フィルムの貼り付け等でも発生する。
【0011】
このとき、偏光板や減光フィルムなどの光学フィルムの保持が確実でない場合、粘着層保護フィルムの剥離に際して光学フィルムが脱落する恐れがある。このため、光学フィルムを真空吸着保持する方法が多用されている。しかしながら、真空吸着孔を用いると、その部分で光学フィルムが内部に吸い込まれるため平坦性が損なわれ、光学フィルムと表示パネルとの間に気泡を巻き込む恐れがある。微細な孔を用いる場合、流路抵抗が増大するため、剥離開始時に急激に吸引力を失うので、粘着層保護フィルムを引き剥がす剥離力に耐えられない恐れがある。そのため多数の微細な吸着孔を用いる必要があり、多孔質材料を用いる事があるが、この場合多数の吸着孔が相互に貫通するため、吸着領域と非吸着領域の切り替えが困難で、光学フィルムのサイズや形状を切り替える障害となる。
【0012】
一方、光学フィルムの保持に弱い粘着力を用いる場合、光学フィルムの保持部材の粘着力が光学フィルムの裏面粘着層の粘着力よりも弱い必要がある。同時に、光学フィルムの保持部材の粘着力が光学フィルムの粘着層保護フィルムの剥離力より強い必要が生じる。前者が満たされない場合、当然、光学フィルムの貼り付け後に、光学フィルムを表示パネルに引き渡すことが出来ない。後者を満足できない場合は、粘着層保護フィルムを剥離する工程で、光学フィルムが脱落する恐れがある。
【0013】
さらに一般的に光学フィルムには傷防止の表面保護フィルムが存在することが問題を複雑にしている。傷防止の表面保護フィルムは最終製品としては跡形無く剥離して廃棄される物であり、その粘着力は微弱な値に制限されている。光学フィルム貼り付け時に、表面保護フィルムを取ってしまうわけには行かないので、光学フィルム保持用の粘着力は粘着層保護フィルムの剥離力よりは強く、表面保護フィルムの剥離力よりは弱い必要が生じる。この条件を各種の光学フィルムで同時に満足する保持力を得ることは難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以上のような従来技術の問題点を解決するものである。すなわち、本発明の光学フィルム貼り付け装置は、光学フィルムの保持手段として表面に粘着性を有するローラを用い、偏光板や減光フィルムなどの光学フィルムの端部まで保持を行う。これにより、光学フィルムの粘着剤保護フィルムを剥離する場合にも、確実な保持が出来る。
【0015】
また、光学フィルムは保持手段に保持されたまま、なめらかに表示パネルに接触するため、貼り付け開始時に押しつけ圧の急変や、フィルム進行方向の急転換を生じないため、貼り付け開始部にも気泡を生じにくい。さらに、前記保持手段の光学フィルムの端部が接する部位に部分的に粘着力を弱めることが出来る部分を設けてあり、光学フィルムの表示パネルへの加圧が終了した後はなめらかに保持手段から光学フィルムが剥離する。このため従来の方式で粘着性の保持を用いる場合に生じやすい、光学フィルムの表面傷防止用保護フィルムの脱落を回避できる。
【0016】
また、本発明の光学フィルム貼り付け方法は、光学フィルムを保持する保持手段である粘着性を有するローラに、偏光板や減光フィルムなどの光学フィルムを押し当てて粘着させ、光学フィルムの端部まで確実に保持させる。これにより光学フィルムの粘着剤保護フィルムを剥離する場合にも光学フィルムが剥落する心配がない。
【0017】
さらに光学フィルムを確実に保持手段に保持させたままなめらかに表示パネルに接触させるため、貼り付け開始時にも光学フィルムに急な圧力変動や進行方向の急転回をさせる必要がないため、貼り付け開始部にも気泡を生じずに貼り付けができる。さらに、光学フィルムの端部が接触する部位に予め粘着力を下げる部位を設けてあるため、光学フィルムを表示パネルに押しつけた後は、なめらかに光学フィルムをローラから剥離できる。このため光学フィルムの表面に設けられることが多い表面傷防止用保護フィルムを脱落させる心配がない。
【発明の効果】
【0018】
本発明に依れば、上記の光学フィルムの保持方法として、気泡の発生やサイズ切り替えの制限が無い粘着式光学フィルム保持方法を用いながら、表面傷防止用の保護フィルムの脱落を招かず、粘着層保護フィルムの剥離を安定に実現できる。このため、従来の光学フィルム貼り付け方法に比して、高速で安定なフィルム貼り付けが可能となり、生産性の大幅な向上が見込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の内容を実施例を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施例を図を用いて説明する。第1図は本発明の貼り付けを実現する貼り付け装置の概要を示す斜視図である。液晶パネル1は表裏面および下部を図示しない搬送ローラにより保持され、搬送される。一方、偏光板2は図示しない送り機構により、粘着ローラ10に接触し粘着するまで供給される。このとき、偏光板2は粘着ローラ10の表面に予め設けられた弱粘着部位10aに、前縁が掛かる位置に押しつけられる。
【0021】
ここで粘着ローラ10は金属製のローラ10cの周囲にブチル系粘着性ゴムを形成して粘着ゴム10bとし、その一部に弱粘着化処理を施し弱粘着部位10aとしている。弱粘着処理はフッ素樹脂コートなどによる表面処理を例示する。この後、偏光板2は粘着ローラの旋回に従って推進し、加圧ローラ11によって粘着ローラ10表面に圧接され、粘着ローラの表面に形成された粘着ゴム層に固着する。この状態でさらに粘着ローラ10が旋回すると偏光板2の前縁は剥離ユニット12の位置に至る。
【0022】
剥離ユニット12はローラ12a表面に粘着テープ12bを巻き付けて外面に粘着層を有する部品からなり、偏光板2の前縁が剥離ユニット12の位置に達する直前に、剥離ユニット12が粘着ローラ10に接触し、剥離ユニット12の表面の粘着テープが偏光板2の表層に設けられた粘着剤保護フィルム2aを巻き上げる。この際、粘着剤保護フィルム2aの粘着力は粘着ローラ10の表面の粘着力より小さいため、偏光板2の本体が粘着剤保護フィルム2aとともに粘着ローラ10から剥離してしまう虞はない。
【0023】
その後、巻き上げられた図6に示す粘着剤保護フィルム2aは剥離ユニット12に設けられた図8に示すチャック12c(図1および図2には図示せず)で把持され、剥離ユニット12が粘着ローラ10近傍から退避するにつれ、粘着剤保護フィルム2aを剥離して行く。この状態の斜視図を図2に示す。液晶パネル1は二個の粘着ローラ10の間に近接し、偏光板2の前縁も2個の粘着ローラ10の接触部に近づいている。
【0024】
これに対し、剥離ユニット12は粘着剤保護フィルム2aを把持したまま、粘着ローラ10から遠ざかるので、粘着剤保護フィルム2aは弛むことなく剥離が進行する。この際、偏光板2は加圧ローラ11によって押さえられているので、粘着剤保護フィルム2aの剥離は、加圧ローラ11の場所までに限られ、剥がれすぎてしまう虞がない。
【0025】
さらに、粘着ローラ10の旋回が続き、液晶パネル1も進行すると、図3に示すように、液晶パネル1は粘着ローラ10の間に入り、両面から偏光板2を押し当てられることになる。この前に、粘着剤保護フィルム2aを剥離してあるので、偏光板2の液晶パネル1に対向する面には図6に示す粘着剤2bが露出している。
【0026】
滑らかに、かつ液晶パネル1と速度を合わせて偏光板2の表面の粘着剤2bが液晶パネル1と接触するため、気泡を巻き込むことなく偏光板2は液晶パネル1に貼り付け開始する。一方傷防止フィルム2eはその前縁部分が対向する粘着ローラ10の表面は、弱粘着部位10aであるため、粘着ローラ10の表面により剥離されることなく、偏光板2に付着した状態で、液晶パネル1と一体化する。偏光板2の内部構造を図6に示す。図6の詳細は後述する。
【0027】
この後は、一定の速度で粘着ローラ10が旋回を続け、偏光板2の貼り付けが終わった液晶パネル1は粘着ローラ10の後方に排出される。一方、粘着ローラ10の表面には、偏光板2の削れ屑や、粘着剤2bのはみ出し残渣、傷防止フィルム2e表面に付着していた塵埃などが付着する可能性がある。このような異物が蓄積すると、粘着ローラ10の表面の粘着性を阻害し、極端な場合は表面の突起物として偏光板2を平滑に保持できなくし、気泡を招く虞がある。
【0028】
そこで、粘着ローラ10の背面側には、塵埃吸着ローラ13および14を配置してある。この塵埃吸着ローラ13は粘着ローラ10に比して強い粘着力を有し、粘着ローラ10の表面に付着した異物を引き剥がして集める働きがある。さらにこの塵埃吸着ローラ13の背面にはより強力な粘着力を有する塵埃吸着ローラ14を配置してあり、異物や汚染は最終的にこの塵埃吸着ローラ14に集められ、粘着ローラ10は清浄さを取り戻して、次回の貼り付けに対応できる。
【0029】
この塵埃吸着ローラ13および14は粘着ローラ10に比して直径も小さく、強力な粘着力を有するために耐摩耗性に劣る。よって、常時粘着ローラ10と接触回転することは得策とは言えない。このため、塵埃吸着ローラ13および14には別途クラッチ機構を設け、一定の生産回数毎に粘着ローラ10の清掃を行うように設定してある。
【0030】
なお、本実施例では偏光板を液晶パネルに貼り付ける例を挙げて動作説明を行ったが、大面積の光学表示パネルにフィルムを貼り付ける用途であれば当然ながら同様に利用可能である。例示すれば、プラズマディスプレイパネルや電界効果ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネルなどの自己発光形ディスプレイの表面に外部光反射軽減のための減光フィルムを貼り付ける場合や、
液晶パネルや有機ELディスプレイパネルなどの薄型表示パネルの補強のために表面保護フィルムを貼り付ける場合などである。
【0031】
ここで、本実施例を用いたフィルム貼り付け方法が従来の同等の目的の技術に比して、貼り付け開始時の気泡を生じにくい特性をより詳しく説明する。図4は従来の同等目的の技術での偏光板貼り付け状態を示す主要部分の側面図である。図4(a)に示すように、液晶パネル1は移動手段たるステージ101に搭載され、真空吸着によって把持されている。液晶パネル1の貼り付け開始位置に接触するよう、真空吸着保持ステージ102で保持された偏光板2が図中左上方から接近し、粘着面側を下にして液晶パネル1に接触する。この状態では偏光板は十分に液晶パネル1との接触面積がないため、偏光板2を液晶パネル1と同期して進めるためには外部から押し込む必要がある。
【0032】
そこで、図4(b)に示すように、真空吸着ステージ102は偏光板2接触後も偏光板2を後方から押し込む。偏光板2の前縁は左上方から斜めに降下してきたにもかかわらず、急に水平の移動を開始すること、さらにフィルムでありながら押し込まれるため、自然な断面形状を保つことが出来ず、僅かに蛇行する。
【0033】
この直後に、図4(c)に示すように、偏光板2は加圧ローラ103の表層ゴム103aによって押しつぶされるが、当初の蛇行が大きい場合、粘着剤がうねりを持って先行して貼り付いてしまい、当該部分に空気を噛み込んでしまうので、後から押しつぶしても十分に平坦には成らず、細長い泡を生じる。従来技術では、この泡を回避するために次のような対策が取られていた。
【0034】
すなわち、偏光板2の侵入角度を浅く設計すること、真空吸着ステージ102の押し込み量を最小限に調整すること、加圧ローラ103の直径を極力小さくすること。これらにより、偏光板2の接触開始後に蛇行する余地を最小限に留め、可及的速やかに加圧することで泡の解消を狙ってきた。しかるに、図4から明らかなように、この方式では原理的に線泡を完全に避けることは極めて困難で、現場での調整作業の難関となっていた。
【0035】
これと比較するため、本発明の方式を説明する概念図たる側面図を図5に示す。実際は設備床面積軽減のため、両面同時貼り付けを行っているが、従来技術と比較するため、液晶パネル1は平板状のステージの上に真空吸着固定しているものとして説明している。本発明では、従来技術と比して直径の大きな粘着性のゴムローラとして粘着ローラ10を用いる。
【0036】
図5(a)に示すように、液晶パネル1は移動手段101に搭載保持され、一定速度で図5右方向へ移動する。このとき予め偏光板2を表面に粘着保持した粘着ローラ10bは、周囲速度を液晶パネルと同期しながら偏光板2の前縁が液晶パネル1の貼り付け位置に近接するように図5では反時計回りに旋回する。そして、貼り付け開始位置に偏光板2と液晶パネル1が到達したところで、停止する。
【0037】
この状態で、粘着ローラ10が液晶パネル1に接近し、着地すると図5(b)に示すように偏光板2は液晶パネル1に接触する。このとき、偏光板2の前縁は粘着ローラ10の表面に形成された粘着ゴム層10bにより保持されているため、蛇行する余地はない。さらに、接触開始直後から、偏光板2は粘着ゴム層10bによって加圧され始めるので、加圧されないまま粘着剤がずれることもないし、急な加圧や斜めの押しつけ力で接触部位に無理なテンションやひねりを掛けられることもない。
【0038】
その状態から、粘着ローラ10が旋回を開始し、貼り付けが進行する。図5(c)の位置まで進行してもこの状況は変わることなく、粘着ゴム層10bの潰ししろ分、偏光板2がゴムにめり込んではいるが、順調に貼り付けが進行する。
【0039】
以上のように、偏光板2に対する支えのない状態での押しつけや、急激な移動方向の変化、加圧力の急変など偏光板貼り付けを阻害する要因を排除できる貼り付け方法を実現できるため、大面積でも気泡のない高速の偏光板貼り付けが実現できる。
【0040】
ここまでで、本方式の偏光板貼り付けでは気泡が生じにくいことを示したが、次に、本方式で偏光板2を液晶パネル1に貼り付けた後に、粘着ローラ10から液晶パネル1にスムーズに貼り付けが移動する状況を示す。
【0041】
まず、一般的な偏光板2の基本内部構造を図6に示す。偏光板2の偏光板本体2cはPVAの偏光層をTACフィルムでサンドイッチし一体化した構造物であり、通常の利用では一体の板状物として考えて良い。この偏光板本体2cは裏面(液晶パネル1に対向する面)に強粘着性の粘着剤2bが塗布してあり、さらにこの粘着剤2bを保護するため薄いPETフィルムである粘着剤保護フィルム2aが貼り付けてある。
【0042】
この粘着剤保護フィルム2aは粘着剤2bに対しては比較的弱い粘着力を示すように調整しておく。一方偏光板本体2cの表面には弱粘着剤2dを裏面に塗った傷防止フィルム2eを貼り付けてある。この傷防止保護フィルム2eおよびその粘着剤2dは偏光板本体2cに対しては比較的強い粘着性を示すが、使用前に引き剥がすと残渣を残さず剥離できる特性を有する。
【0043】
まず粘着剤保護フィルム2aを剥離した後の偏光板2は前記のように、液晶パネル1に押し当てられ粘着力を生じる。この後、偏光板2の前縁は粘着ローラ10の表面層10bによる加圧域を抜け、液晶パネル1表面と粘着ローラ10とに引き離され始める。この状態を図7にしめす。
【0044】
ここで、偏光板2の前縁に掛かる位置に、粘着力が弱い弱粘着部位10aが設けてある。粘着ゴム10bの偏光板2に対する粘着力は、本来、傷防止フィルム2eの粘着剤2dの偏光板本体2cに対する粘着力より弱い必要がある。このため、粘着ゴム10bの粘着力は上記よりは弱く、かつ偏光板2を貼り付け途中に保持するに足る粘着力に選定してある。しかしながら、傷防止フィルム2eは、ユーザ使用時には剥がして捨てられる部材であり、その粘着剤2dもコスト低減が重視され、偏光板本体2cの粘着剤2bに比して、品質管理を軽減せざるを得ない実態がある。
【0045】
仮に、傷防止フィルム2eが粘着力不足の場合、図7に示すように、傷防止フィルム2eが一部剥離する可能性がある。しかし、ここで粘着ローラ10の粘着ゴム10bの一部に、弱粘着部10aを設けてあり、これが偏光板2の前縁に掛かっているため、この部分では傷防止フィルム2eの剥離が生じない。すると万一、傷防止フィルム2eが一部剥離し掛けても、その下側の空隙には空気が流入しないため、負圧領域2fが生じ剥離が進行し得ない。
【0046】
さらに、この負圧領域2fは外部からの空気の流入がないため、内部のガスは粘着剤2dの揮発成分が中心であり、貼り付け工程終了後に大気圧にさらされることで、自然に粘着剤2d内部に再吸収され、気泡が消失することが期待できる。
【0047】
よって、偏光板2の前縁部分に弱粘着部位10aを設けることで偏光板2の泡の発生を回避しつつ、傷防止フィルム2eの脱落を回避可能となる。
【0048】
ここで、この弱粘着部位10aの形状を単なる長方形とせず、剥離ユニット12の位置に対応して弱粘着部位10aの幅を変え、粘着剤保護フィルム2aの剥離を阻害しないようにしている。その状態を図8に示す。実際は粘着ローラ10は幅も広く直径も大きく全体を示すことは困難なため、図8では1個の剥離ユニット12の近傍のみを示し、偏光板2もこの付近だけの細長い物として描いている。
【0049】
粘着ローラ10の芯金10c上に形成された粘着ゴム10bはその一部に細長い弱粘着部10aを有している。偏光板2はその前縁を弱粘着部10aに掛かる位置に配置され、粘着ゴム10bによって粘着保持されている。一方、剥離ユニット12は複数のローラ12aが粘着テープ12bを、外側を粘着面としたループ状で保持しており、個々のローラ12aは回転可能な状態でベースプレート12dに固定されている。
【0050】
さらに、偏光板2の前縁に対向するローラ12aにはチャック12cが近接して設けられている。剥離ユニット12の粘着テープ12bを偏光板2の前縁に接触粘着させながら粘着ローラ10が図中の反時計回りに回転すると、偏光板2の前縁は前端のローラ12aの下をくぐり抜け、図中左側から出てくる。このとき、粘着剤保護フィルム2aの粘着力より剥離ユニット12の粘着テープ12bの粘着力を強くしてあるため、粘着剤保護フィルム2aは偏光板2の進行に連れ、粘着テープ12bとともに持ち上がってくる。この状態が図8に示している状態である。
【0051】
ここで、弱粘着域10aは剥離ユニット12に対向した部分では幅を狭くしており、偏光板2の粘着保持はこの付近ではより強固になっている。このため、粘着ローラ10による偏光板2の保持力が、粘着テープ12bの粘着力より勝り、偏光板2全体を粘着ローラ10から引き剥がす虞は少ない。なお、図8の状態まで剥離が進行すると、チャック12cは反時計回りに旋回し、チャック12cの先端と先端のローラ12aとの間で、粘着剤保護フィルム2aは挟まれて保持される。この後、剥離ユニット12は粘着剤保護フィルム2aを掴んだまま、粘着ローラ10から離脱するので、剥離が安定して進行する。
【0052】
なお、本実施例では粘着ゴムの材料として液晶封止工程とのプロセス整合性から影響の少ないブチルゴム系の粘着ゴムを選んだが、液晶封止工程と混在しないよう工程管理が出来る場合はシリコーン系の粘着ゴムを選ぶことや、品質管理が妥当ならば各種天然ゴムを配向して使用することも当然可能である。
【実施例2】
【0053】
ここまでの実施例では、弱粘着領域10aの作り方として、表層にフッ素樹脂加工を行う方法を例示したが、フッ素樹脂コートは膜状に粘着ゴムの表層を覆う処理となるので、摩耗や剥離により効果を失う虞がある。そこで、以下のような方法をとることも可能である。
【0054】
一つは浸透性を有する反応剤をもって粘着ゴムの不飽和基を終端処理する方法。この場合、終端処理にフッ素系の分子を反応させることも可能で、内部まで粘着性を下げることが出来るので、耐摩耗性が向上する。
【0055】
一つは、弱粘着領域10aを粘着ゴム10bに対する象眼加工としてはめ込む方式である。この場合、粘着ゴム10bと弱粘着領域10aのゴム硬度を極端に変わらないようにすることと、継ぎ目に不要な空隙を生じないように処理することは必須となるが、フッ素系エラストマー等が内部まで配置されるので、表面処理により表面的に粘着力を下げた物に比して、安定性が増すことが期待できる。この状態の弱粘着領域10aを図9に示す。
【実施例3】
【0056】
ここまでは弱粘着領域10aを設けるために、少なくとも表面の材料特性を変更する方法を開示してきたが、粘着ゴム10bと同質のゴムを用いても同様の効果を得ることが出来る。粘着力は粘着剤の特性と、対象物の材料物性、および真の粘着面積に影響されることが知られている。そこで粘着ゴム10bの表面に微細な凹凸を付け、粘着面積を下げることにより弱粘着領域10aを設けることは容易である。この方法では、十分ムラのない弱粘着領域10aを得るために凹凸をきめ細かくすると、粘着ゴム10bの摩耗により凹凸が失われやすいが、外観上定期的な確認が容易でありラインでの管理が容易である。さらに、特殊な処理を必要としないので材料価格が安くなり、低コスト化が実現容易である。
【0057】
さらにこの実施例の代案変形例として、剥離ユニット12の粘着テープ12bの幅よりきめ細かければ弱粘着部位10aとして利用可能であることから、粘着テープ幅15mmに対し、当該領域に2mmピッチで幅1mm深さ0.5mmの凹みを全幅に設ける方法もある。図10に詳細を示す。細長い凹み10a1が弱粘着領域10aに配置される。図では簡便のため手前側に2個のみ凹み10a1を示している。この場合、凹凸がストライプ状になるため、ローラの進行に連れて粘着力が変動する虞が少なく、凹みも幅1mmと狭いため、偏光板貼り付けに支障をきたすことは少ない。
【0058】
この変形例として、弱粘着領域10aの全体を粘着ゴム10aを加熱加圧して塑性変形させて設けた浅い凹みとして設ける方法もある。この場合、偏光板2の前縁を弱粘着領域10aに広く掛けることは出来ず、境界部分の狭い領域のみを用いる必要は生じるが、加工が容易であり、摩耗によって浅くなった場合でも現地追加工も可能であることを特徴とする。
【実施例4】
【0059】
ここまでの実施例では、弱粘着領域10aを常に粘着力が低い領域として設けてきたが、剥離ユニット12を使用中は弱粘着とせず、貼り付け完了時になって粘着力を弱める必要が生じた時にのみ弱粘着とする方法もある。図11にその構造を示す。粘着ローラの芯金10c内部には一連の可動ピン10a2が弱粘着領域10aの内部に設けてあり、通常時は可動ピン10a2が下端に下がっているので粘着ゴム10aは平坦となり、粘着ゴム10bと同様の粘着特性を示す。この状態では偏光板2の保持は特に弱い部分も生じないので、剥離ユニット12の動作は円滑に行われる。
【0060】
その後、貼り付け処理が無事進んで偏光板2の前縁が液晶パネル1に加圧終了し、まさに粘着ローラ10から剥がれようとする時に、可動ピン10a2が上端に移動し、弱粘着領域10a全域に微小な突起を多数発生する。これにより偏光板2の部分的な押し上げが起こり粘着面積を減らすことで剥離を支援することが出来る。
【0061】
本実施例では任意のタイミングで、粘着ローラ10の粘着力を部分的に下げることが可能となるので、粘着剤保護フィルム2aの剥離や、偏光板2の貼り付けの安定性を向上できる利点がある。
【0062】
なお、ここまでの実施例では、液晶ディスプレイに対する偏光板貼り付けを例として用いたが、同様の工程は各種の平面ディスプレイにおいて普遍的な工程であり、必ずしも偏光板貼り付けに限定する物ではない。例えば、プラズマディスプレイパネルの外光反射による、白みを軽減するために用いられる減光フィルムを貼り付ける場合や、有機ELディスプレイで表面の薄ガラスを衝撃から保護する保護フィルムあるいは色度を調整する色度調整フィルムを貼り付ける場合、電界効果ディスプレイで真空爆発時のガラス飛散を防止するための飛散防止フィルム、あるいはコントラストを改良するための減光フィルムを貼り付ける場合など、平面ディスプレイに光学的に均一な各種機能フィルムを貼り付ける工程に広く用いることが出来る。
【実施例5】
【0063】
以上の実施例は、液晶表示装置における偏光板の貼り付けに即して説明した。図12は、液晶表示装置の断面図である。図12において、画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板201とカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ202が対向して設置され、TFT基板201とカラーフィルタ基板202の間に液晶層240が挟持されている。液晶層240は封止材210によって封止されている。画素毎に液晶層240によってバックライトからの矢印で示す光の透過率を制御することによって画像を形成する。
【0064】
液晶は偏光光のみを制御することが出来るので、バックライトからの光は下偏光板によって偏光光に偏光され、液晶層240によって制御されたあと、上偏光板によって、再び偏光(検光)され、人間の目に画像が視認される。
【0065】
このように、偏光板の貼り付けは液晶表示装置の製造工程では重要な工程である。本発明を適用することによって、偏光板の貼り付け工程の歩留りを大幅に向上させることが出来、液晶表示装置の製造コストの低減と品質の向上に資することが出来る。
【実施例6】
【0066】
本発明によるフィルムの貼り付け方法は、液晶表示装置のみならず、他の表示装置においても適用することが出来る。図13はプラズマディスプレイパネルの断面模式図である。図13において、前面基板302には、放電電極となるX電極とY電極が第1の方向に延在している。背面基板301には、X電極あるいはY電極と直角方向の第2の方向に延在するアドレス電極が形成されている。前面基板302と背面基板301は封止材210によって封止されている。背面基板301には隔壁320が形成されており、隔壁320によって放電空間321が区画されるとともに、画素が規定される。放電によって発生する紫外線によって画素毎に形成された蛍光体を発光させて画像を形成する。
【0067】
前面基板302には、コントラストを上げるための減光効果、色度調整、帯電防止、高周波の漏洩防止等にために表面保護板が形成される。この表面保護板はガラスで形成する場合もあるし、フィルムで形成する場合もある。フィルムで形成する場合は例えば、以後減光フィルム330と呼ぶ。減光フィルム330は液晶表示装置における偏光板と同様に、フィルム本体と、減光フィルム330を前面基板302に接着するための接着層、フィルムを傷等から保護するための保護フィルム等から形成される。
【0068】
したがって、実施例1から実施例4で説明した偏光板の接着方法は、プラズマディスプレイパネルにおける前面基板302への減光フィルム330の接着方法に適用することが出来る。
【実施例7】
【0069】
図14は有機EL表示装置の断面模式図である。図14において、素子基板401には、有機EL層とTFTとで形成された画素がマトリクス状に配置されている。TFTは有機EL層に印加される信号をスイッチングする役割を有する。画素毎に有機EL層に映像信号を印加することによって画像を形成する。
【0070】
有機EL層は水分によって劣化するために、ガラスで形成された封止基板402を素子基板401に対向して配置することによって、有機EL層を水分から保護している。素子基板401と封止基板402は周辺において、封止材210によって封止されている。
【0071】
画素毎に赤、緑、青を発光する有機EL層が形成されているので、原理的にはフルカラーの表示が可能であるが、有機EL層の特性によって表示色が偏る場合がある。また、白色色温度を所望の値にしたい場合がある。このような場合は、有機EL表示装置の封止基板402に色度調整フィルム430を形成する。この色度調整フィルム430も、本体と、封止基板402と接着するための粘着層、および、傷等から保護するための保護フィルムから形成されていることは液晶表示装置における偏光板と同様である。
【0072】
したがって、有機EL表示装置における色度調整フィルム430の接着においても、実施例1〜実施例4で説明した本発明を適用することが出来る。なお、図14は、有機EL層からの光を封止基板402側から取り出すいわゆるトップエミッション型の有機EL表示装置である。有機EL層からの光を素子基板401側から取り出すボトムエミッション型有機EL表示装置では、色度調整フィルム430は素子基板401側に接着すれば良い。この場合も、実施例1〜実施例4で説明した本発明を適用することが出来る。
【実施例8】
【0073】
図15は電界効果型ディスプレイパネルの断面模式図である。図15において、カソードがマトリクス状に形成されたカソード基板501と、カソードに対応して蛍光体が形成されたアノード基板502が封止材210を介して対向して配置されている。カソード基板501とアノード基板502間の空間は、排気基板503に取り付けられた排気管504を通して真空に排気される。
【0074】
電界効果型ディスプレイパネルはフルカラーの表示が可能であるが、コントラストを改善するために減光フィルム530を用いる場合がある。この場合は、減光フィルム530をアノード基板502に貼り付けて対応する。この場合の減光530も、本体と、アノード基板502と接着するための粘着層、および、傷等から保護するための保護フィルムから形成されていることは液晶表示装置における偏光板と同様である。
【0075】
したがって、電界効果型ディスプレイパネルに減光フィルム530を接着する場合も実施例1〜実施例4で説明した本発明の方法を適用することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に依れば、例えば液晶ディスプレイの表裏の偏光板などの光学フィルムを気泡を生じず、高速に貼り付けることが可能となり、製造コストを低減できると主に、し損じによる歩留り損失を軽減できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の貼り付け装置の動作を説明する斜視図である。
【図2】本発明の貼り付け装置の図1に続く動作を説明する斜視図である。
【図3】本発明の貼り付け装置の図2に続く動作を説明する斜視図である。
【図4】従来の偏光板貼り付け方法での気泡発生メカニズムを示す模式図である。
【図5】本発明の偏光板貼り付け方法を示す模式図である。
【図6】一般的な偏光板の内部構造を示す分解断面図である。
【図7】弱粘着部位の働きを示す断面図である。
【図8】弱粘着部位と剥離ユニットの関係を示す斜視図である。
【図9】実施例2を示す斜視図である。
【図10】実施例3を示す斜視図である。
【図11】実施例4を示す斜視図である。
【図12】液晶表示装置の断面図である。
【図13】プラズマディスプレイパネルの断面図である。
【図14】有機EL表示装置の断面図である。
【図15】電界効果型ディスプレイパネルの断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1・・・液晶パネル、 2・・・偏光板、 10・・・粘着ローラ、 11・・・加圧ローラ、 12・・・剥離ユニット、 13、14・・・クリーニングローラ、 201・・・TFT基板、 202・・・カラーフィルタ基板、 210・・・封止材、 240・・・液晶層、 301・・・背面基板、 302・・・前面基板、 320・・・隔壁、 321・・・放電空間、 330・・・プラズマディスプレイパネル用減光フィルム、 401・・・素子基板、 402・・・封止基板、 430・・・色度調整フィルム、 501・・・カソード基板、 502・・・アノード基板、 503・・・排気基板、 504・・・排気管、530・・・電界効果型ディスプレイパネル用減光フィルム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルやプラズマパネル等の表示用パネルへ、偏光板や位相差フィルムや減光フィルムなどの光学フィルムを貼付ける光学フィルム貼り付け装置、光学フィルム貼付け方法、および表示用パネルの製造方法に係り、特に光学フィルムから粘着剤保護フィルムを剥離した後、光学フィルムを表示パネルへ貼り付けるのに好適な光学フィルム貼り付け装置、光学フィルム貼付け方法、および表示用パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ装置の製造工程では、TFT(Thin Film Transistor)基板とカラーフィルター基板との間に液晶を封入して液晶パネルを構成した後、液晶パネルの表面および裏面に偏光板の貼り付けが行われる。このときさらに位相差板が張り付けられる場合や、予め位相差板を偏光板と一体化しておいて貼り付ける場合もある。
【0003】
プラズマディスプレイでは一般に外乱光による蛍光体表面での反射を低減するため、プラズマパネルの表面に減光フィルムを貼り付けることが行われている。さらに、安全のために飛散防止フィルムが張られる場合も有る。
【0004】
これらのフィルム貼り付けには一般に貼り付け装置が使用されている。偏光板や減光フィルムの片面には粘着剤が塗布してあり、さらに粘着剤の保護のために粘着剤保護フィルムが張られている。フィルム貼り付け装置では、この粘着剤保護フィルムを剥離し、液晶パネルやプラズマパネルに貼り付ける。これらの方法として例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載のものがある
【特許文献1】特開昭63−212903号
【特許文献2】特開平6−255063号
【特許文献3】特開平8−262429号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法では偏光板貼り付けを行う時に、気泡や皺の発生が生じやすいという欠点があった。この傾向は貼り付け速度を速めるほど、また偏光板を薄くするほど顕著になる傾向を示す。
【0006】
特許文献1に記載の方法では、偏光板保持体で保持した偏光板の前縁を液晶パネルに接触させた後、加圧ローラにより加圧しながら移動することで十分な加圧力を得ながら偏光板を順次液晶パネルに押しつけて行くことで気泡の回避を行っている。しかしながらこの方法では液晶パネルに偏光板が接触開始した段階では加圧ローラの効果は得られず、不完全な加圧状態で貼り付けが始まってしまい、貼り始めの位置に気泡を生じやすい点は必ずしも回避できない。さらに貼り終わりの段階では偏光板が偏光板保持体から離れて、急激に液晶パネルに接触するため張り終わり位置にも気泡を生じやすい欠点を生ずる場合がある。送り速度を遅くすることでこの欠点は軽減されるが、この場合、生産性が低下してしまう。
【0007】
特許文献2では、特許文献1の方法に加え、貼り付け中の偏光板に一定の張力を与えながら、液晶パネルと光学フィルムの角度も一定に保つことで皺の回避をもくろんでいる。しかしこの場合も貼り始めと貼り終わりの段階では張力や角度の保持が出来ない点については考慮されて居らず、貼り始めに泡や皺を生じやすい欠点は改善されていない。特許文献2の第2の実施例では真空もしくは弱い粘着により円弧状の偏光板保持体に偏光板を貼り付ける方式を提案しているが、真空吸着では端部までは十分な吸着力が得られず気泡を生じやすい場合も生ずる。弱い粘着力を持たせる場合は粘着力のバランスが難しい。さらにこの実施例では動作が間欠的なるため高速運転が困難となることも予想される。
【0008】
特許文献3の方法は特許文献2の真空吸着と比し真空吸着穴を多数の微細な吸気孔で均一に形成し、吸着を隅々まで行き渡らせようとするものである。この方法では十分な吸着力を得ようとすると、吸気孔を大きくするか、孔の密度を高める必要が生じる。この場合、大部分の空気は剥離後の空いた部分から吸い込まれるため吸着力が高めにくい。さらに吸着孔を大きくする場合、ローラの表面が粗くなり、偏光板に傷を付けやすくなる欠点が生ずることもある。
【0009】
一方、従来の技術において、ゴムローラ等の表面粘着力を用いてフィルム状の偏光板を搬送するアイディアは有ったが、実際は偏光板は複数の層から構成され、適正な粘着力を実現する方法は単純には出来ない。
【0010】
例えば上側偏光板の場合、最上部の傷防止用保護フィルム、表層の光沢調整層、表層担体フィルム、偏光物質層、裏面担体フィルム、裏面粘着剤層、粘着剤保護フィルムなど多数の層から構成されている。そのため偏光板貼り付けの直前に偏光板を保持し、粘着剤保護フィルムを剥離して裏面粘着層を露出させ、遅滞なく液晶パネルに貼り付けねばならない。粘着層保護フィルムの剥離から、液晶パネルへの貼り付けの間で、長時間掛けると空中浮遊異物の付着や、粘着剤の吸湿による変質などの好ましくない事態を招く。同様の現象は、プラズマディスプレイパネルの減光フィルムの貼り付け等でも発生する。
【0011】
このとき、偏光板や減光フィルムなどの光学フィルムの保持が確実でない場合、粘着層保護フィルムの剥離に際して光学フィルムが脱落する恐れがある。このため、光学フィルムを真空吸着保持する方法が多用されている。しかしながら、真空吸着孔を用いると、その部分で光学フィルムが内部に吸い込まれるため平坦性が損なわれ、光学フィルムと表示パネルとの間に気泡を巻き込む恐れがある。微細な孔を用いる場合、流路抵抗が増大するため、剥離開始時に急激に吸引力を失うので、粘着層保護フィルムを引き剥がす剥離力に耐えられない恐れがある。そのため多数の微細な吸着孔を用いる必要があり、多孔質材料を用いる事があるが、この場合多数の吸着孔が相互に貫通するため、吸着領域と非吸着領域の切り替えが困難で、光学フィルムのサイズや形状を切り替える障害となる。
【0012】
一方、光学フィルムの保持に弱い粘着力を用いる場合、光学フィルムの保持部材の粘着力が光学フィルムの裏面粘着層の粘着力よりも弱い必要がある。同時に、光学フィルムの保持部材の粘着力が光学フィルムの粘着層保護フィルムの剥離力より強い必要が生じる。前者が満たされない場合、当然、光学フィルムの貼り付け後に、光学フィルムを表示パネルに引き渡すことが出来ない。後者を満足できない場合は、粘着層保護フィルムを剥離する工程で、光学フィルムが脱落する恐れがある。
【0013】
さらに一般的に光学フィルムには傷防止の表面保護フィルムが存在することが問題を複雑にしている。傷防止の表面保護フィルムは最終製品としては跡形無く剥離して廃棄される物であり、その粘着力は微弱な値に制限されている。光学フィルム貼り付け時に、表面保護フィルムを取ってしまうわけには行かないので、光学フィルム保持用の粘着力は粘着層保護フィルムの剥離力よりは強く、表面保護フィルムの剥離力よりは弱い必要が生じる。この条件を各種の光学フィルムで同時に満足する保持力を得ることは難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以上のような従来技術の問題点を解決するものである。すなわち、本発明の光学フィルム貼り付け装置は、光学フィルムの保持手段として表面に粘着性を有するローラを用い、偏光板や減光フィルムなどの光学フィルムの端部まで保持を行う。これにより、光学フィルムの粘着剤保護フィルムを剥離する場合にも、確実な保持が出来る。
【0015】
また、光学フィルムは保持手段に保持されたまま、なめらかに表示パネルに接触するため、貼り付け開始時に押しつけ圧の急変や、フィルム進行方向の急転換を生じないため、貼り付け開始部にも気泡を生じにくい。さらに、前記保持手段の光学フィルムの端部が接する部位に部分的に粘着力を弱めることが出来る部分を設けてあり、光学フィルムの表示パネルへの加圧が終了した後はなめらかに保持手段から光学フィルムが剥離する。このため従来の方式で粘着性の保持を用いる場合に生じやすい、光学フィルムの表面傷防止用保護フィルムの脱落を回避できる。
【0016】
また、本発明の光学フィルム貼り付け方法は、光学フィルムを保持する保持手段である粘着性を有するローラに、偏光板や減光フィルムなどの光学フィルムを押し当てて粘着させ、光学フィルムの端部まで確実に保持させる。これにより光学フィルムの粘着剤保護フィルムを剥離する場合にも光学フィルムが剥落する心配がない。
【0017】
さらに光学フィルムを確実に保持手段に保持させたままなめらかに表示パネルに接触させるため、貼り付け開始時にも光学フィルムに急な圧力変動や進行方向の急転回をさせる必要がないため、貼り付け開始部にも気泡を生じずに貼り付けができる。さらに、光学フィルムの端部が接触する部位に予め粘着力を下げる部位を設けてあるため、光学フィルムを表示パネルに押しつけた後は、なめらかに光学フィルムをローラから剥離できる。このため光学フィルムの表面に設けられることが多い表面傷防止用保護フィルムを脱落させる心配がない。
【発明の効果】
【0018】
本発明に依れば、上記の光学フィルムの保持方法として、気泡の発生やサイズ切り替えの制限が無い粘着式光学フィルム保持方法を用いながら、表面傷防止用の保護フィルムの脱落を招かず、粘着層保護フィルムの剥離を安定に実現できる。このため、従来の光学フィルム貼り付け方法に比して、高速で安定なフィルム貼り付けが可能となり、生産性の大幅な向上が見込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の内容を実施例を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施例を図を用いて説明する。第1図は本発明の貼り付けを実現する貼り付け装置の概要を示す斜視図である。液晶パネル1は表裏面および下部を図示しない搬送ローラにより保持され、搬送される。一方、偏光板2は図示しない送り機構により、粘着ローラ10に接触し粘着するまで供給される。このとき、偏光板2は粘着ローラ10の表面に予め設けられた弱粘着部位10aに、前縁が掛かる位置に押しつけられる。
【0021】
ここで粘着ローラ10は金属製のローラ10cの周囲にブチル系粘着性ゴムを形成して粘着ゴム10bとし、その一部に弱粘着化処理を施し弱粘着部位10aとしている。弱粘着処理はフッ素樹脂コートなどによる表面処理を例示する。この後、偏光板2は粘着ローラの旋回に従って推進し、加圧ローラ11によって粘着ローラ10表面に圧接され、粘着ローラの表面に形成された粘着ゴム層に固着する。この状態でさらに粘着ローラ10が旋回すると偏光板2の前縁は剥離ユニット12の位置に至る。
【0022】
剥離ユニット12はローラ12a表面に粘着テープ12bを巻き付けて外面に粘着層を有する部品からなり、偏光板2の前縁が剥離ユニット12の位置に達する直前に、剥離ユニット12が粘着ローラ10に接触し、剥離ユニット12の表面の粘着テープが偏光板2の表層に設けられた粘着剤保護フィルム2aを巻き上げる。この際、粘着剤保護フィルム2aの粘着力は粘着ローラ10の表面の粘着力より小さいため、偏光板2の本体が粘着剤保護フィルム2aとともに粘着ローラ10から剥離してしまう虞はない。
【0023】
その後、巻き上げられた図6に示す粘着剤保護フィルム2aは剥離ユニット12に設けられた図8に示すチャック12c(図1および図2には図示せず)で把持され、剥離ユニット12が粘着ローラ10近傍から退避するにつれ、粘着剤保護フィルム2aを剥離して行く。この状態の斜視図を図2に示す。液晶パネル1は二個の粘着ローラ10の間に近接し、偏光板2の前縁も2個の粘着ローラ10の接触部に近づいている。
【0024】
これに対し、剥離ユニット12は粘着剤保護フィルム2aを把持したまま、粘着ローラ10から遠ざかるので、粘着剤保護フィルム2aは弛むことなく剥離が進行する。この際、偏光板2は加圧ローラ11によって押さえられているので、粘着剤保護フィルム2aの剥離は、加圧ローラ11の場所までに限られ、剥がれすぎてしまう虞がない。
【0025】
さらに、粘着ローラ10の旋回が続き、液晶パネル1も進行すると、図3に示すように、液晶パネル1は粘着ローラ10の間に入り、両面から偏光板2を押し当てられることになる。この前に、粘着剤保護フィルム2aを剥離してあるので、偏光板2の液晶パネル1に対向する面には図6に示す粘着剤2bが露出している。
【0026】
滑らかに、かつ液晶パネル1と速度を合わせて偏光板2の表面の粘着剤2bが液晶パネル1と接触するため、気泡を巻き込むことなく偏光板2は液晶パネル1に貼り付け開始する。一方傷防止フィルム2eはその前縁部分が対向する粘着ローラ10の表面は、弱粘着部位10aであるため、粘着ローラ10の表面により剥離されることなく、偏光板2に付着した状態で、液晶パネル1と一体化する。偏光板2の内部構造を図6に示す。図6の詳細は後述する。
【0027】
この後は、一定の速度で粘着ローラ10が旋回を続け、偏光板2の貼り付けが終わった液晶パネル1は粘着ローラ10の後方に排出される。一方、粘着ローラ10の表面には、偏光板2の削れ屑や、粘着剤2bのはみ出し残渣、傷防止フィルム2e表面に付着していた塵埃などが付着する可能性がある。このような異物が蓄積すると、粘着ローラ10の表面の粘着性を阻害し、極端な場合は表面の突起物として偏光板2を平滑に保持できなくし、気泡を招く虞がある。
【0028】
そこで、粘着ローラ10の背面側には、塵埃吸着ローラ13および14を配置してある。この塵埃吸着ローラ13は粘着ローラ10に比して強い粘着力を有し、粘着ローラ10の表面に付着した異物を引き剥がして集める働きがある。さらにこの塵埃吸着ローラ13の背面にはより強力な粘着力を有する塵埃吸着ローラ14を配置してあり、異物や汚染は最終的にこの塵埃吸着ローラ14に集められ、粘着ローラ10は清浄さを取り戻して、次回の貼り付けに対応できる。
【0029】
この塵埃吸着ローラ13および14は粘着ローラ10に比して直径も小さく、強力な粘着力を有するために耐摩耗性に劣る。よって、常時粘着ローラ10と接触回転することは得策とは言えない。このため、塵埃吸着ローラ13および14には別途クラッチ機構を設け、一定の生産回数毎に粘着ローラ10の清掃を行うように設定してある。
【0030】
なお、本実施例では偏光板を液晶パネルに貼り付ける例を挙げて動作説明を行ったが、大面積の光学表示パネルにフィルムを貼り付ける用途であれば当然ながら同様に利用可能である。例示すれば、プラズマディスプレイパネルや電界効果ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネルなどの自己発光形ディスプレイの表面に外部光反射軽減のための減光フィルムを貼り付ける場合や、
液晶パネルや有機ELディスプレイパネルなどの薄型表示パネルの補強のために表面保護フィルムを貼り付ける場合などである。
【0031】
ここで、本実施例を用いたフィルム貼り付け方法が従来の同等の目的の技術に比して、貼り付け開始時の気泡を生じにくい特性をより詳しく説明する。図4は従来の同等目的の技術での偏光板貼り付け状態を示す主要部分の側面図である。図4(a)に示すように、液晶パネル1は移動手段たるステージ101に搭載され、真空吸着によって把持されている。液晶パネル1の貼り付け開始位置に接触するよう、真空吸着保持ステージ102で保持された偏光板2が図中左上方から接近し、粘着面側を下にして液晶パネル1に接触する。この状態では偏光板は十分に液晶パネル1との接触面積がないため、偏光板2を液晶パネル1と同期して進めるためには外部から押し込む必要がある。
【0032】
そこで、図4(b)に示すように、真空吸着ステージ102は偏光板2接触後も偏光板2を後方から押し込む。偏光板2の前縁は左上方から斜めに降下してきたにもかかわらず、急に水平の移動を開始すること、さらにフィルムでありながら押し込まれるため、自然な断面形状を保つことが出来ず、僅かに蛇行する。
【0033】
この直後に、図4(c)に示すように、偏光板2は加圧ローラ103の表層ゴム103aによって押しつぶされるが、当初の蛇行が大きい場合、粘着剤がうねりを持って先行して貼り付いてしまい、当該部分に空気を噛み込んでしまうので、後から押しつぶしても十分に平坦には成らず、細長い泡を生じる。従来技術では、この泡を回避するために次のような対策が取られていた。
【0034】
すなわち、偏光板2の侵入角度を浅く設計すること、真空吸着ステージ102の押し込み量を最小限に調整すること、加圧ローラ103の直径を極力小さくすること。これらにより、偏光板2の接触開始後に蛇行する余地を最小限に留め、可及的速やかに加圧することで泡の解消を狙ってきた。しかるに、図4から明らかなように、この方式では原理的に線泡を完全に避けることは極めて困難で、現場での調整作業の難関となっていた。
【0035】
これと比較するため、本発明の方式を説明する概念図たる側面図を図5に示す。実際は設備床面積軽減のため、両面同時貼り付けを行っているが、従来技術と比較するため、液晶パネル1は平板状のステージの上に真空吸着固定しているものとして説明している。本発明では、従来技術と比して直径の大きな粘着性のゴムローラとして粘着ローラ10を用いる。
【0036】
図5(a)に示すように、液晶パネル1は移動手段101に搭載保持され、一定速度で図5右方向へ移動する。このとき予め偏光板2を表面に粘着保持した粘着ローラ10bは、周囲速度を液晶パネルと同期しながら偏光板2の前縁が液晶パネル1の貼り付け位置に近接するように図5では反時計回りに旋回する。そして、貼り付け開始位置に偏光板2と液晶パネル1が到達したところで、停止する。
【0037】
この状態で、粘着ローラ10が液晶パネル1に接近し、着地すると図5(b)に示すように偏光板2は液晶パネル1に接触する。このとき、偏光板2の前縁は粘着ローラ10の表面に形成された粘着ゴム層10bにより保持されているため、蛇行する余地はない。さらに、接触開始直後から、偏光板2は粘着ゴム層10bによって加圧され始めるので、加圧されないまま粘着剤がずれることもないし、急な加圧や斜めの押しつけ力で接触部位に無理なテンションやひねりを掛けられることもない。
【0038】
その状態から、粘着ローラ10が旋回を開始し、貼り付けが進行する。図5(c)の位置まで進行してもこの状況は変わることなく、粘着ゴム層10bの潰ししろ分、偏光板2がゴムにめり込んではいるが、順調に貼り付けが進行する。
【0039】
以上のように、偏光板2に対する支えのない状態での押しつけや、急激な移動方向の変化、加圧力の急変など偏光板貼り付けを阻害する要因を排除できる貼り付け方法を実現できるため、大面積でも気泡のない高速の偏光板貼り付けが実現できる。
【0040】
ここまでで、本方式の偏光板貼り付けでは気泡が生じにくいことを示したが、次に、本方式で偏光板2を液晶パネル1に貼り付けた後に、粘着ローラ10から液晶パネル1にスムーズに貼り付けが移動する状況を示す。
【0041】
まず、一般的な偏光板2の基本内部構造を図6に示す。偏光板2の偏光板本体2cはPVAの偏光層をTACフィルムでサンドイッチし一体化した構造物であり、通常の利用では一体の板状物として考えて良い。この偏光板本体2cは裏面(液晶パネル1に対向する面)に強粘着性の粘着剤2bが塗布してあり、さらにこの粘着剤2bを保護するため薄いPETフィルムである粘着剤保護フィルム2aが貼り付けてある。
【0042】
この粘着剤保護フィルム2aは粘着剤2bに対しては比較的弱い粘着力を示すように調整しておく。一方偏光板本体2cの表面には弱粘着剤2dを裏面に塗った傷防止フィルム2eを貼り付けてある。この傷防止保護フィルム2eおよびその粘着剤2dは偏光板本体2cに対しては比較的強い粘着性を示すが、使用前に引き剥がすと残渣を残さず剥離できる特性を有する。
【0043】
まず粘着剤保護フィルム2aを剥離した後の偏光板2は前記のように、液晶パネル1に押し当てられ粘着力を生じる。この後、偏光板2の前縁は粘着ローラ10の表面層10bによる加圧域を抜け、液晶パネル1表面と粘着ローラ10とに引き離され始める。この状態を図7にしめす。
【0044】
ここで、偏光板2の前縁に掛かる位置に、粘着力が弱い弱粘着部位10aが設けてある。粘着ゴム10bの偏光板2に対する粘着力は、本来、傷防止フィルム2eの粘着剤2dの偏光板本体2cに対する粘着力より弱い必要がある。このため、粘着ゴム10bの粘着力は上記よりは弱く、かつ偏光板2を貼り付け途中に保持するに足る粘着力に選定してある。しかしながら、傷防止フィルム2eは、ユーザ使用時には剥がして捨てられる部材であり、その粘着剤2dもコスト低減が重視され、偏光板本体2cの粘着剤2bに比して、品質管理を軽減せざるを得ない実態がある。
【0045】
仮に、傷防止フィルム2eが粘着力不足の場合、図7に示すように、傷防止フィルム2eが一部剥離する可能性がある。しかし、ここで粘着ローラ10の粘着ゴム10bの一部に、弱粘着部10aを設けてあり、これが偏光板2の前縁に掛かっているため、この部分では傷防止フィルム2eの剥離が生じない。すると万一、傷防止フィルム2eが一部剥離し掛けても、その下側の空隙には空気が流入しないため、負圧領域2fが生じ剥離が進行し得ない。
【0046】
さらに、この負圧領域2fは外部からの空気の流入がないため、内部のガスは粘着剤2dの揮発成分が中心であり、貼り付け工程終了後に大気圧にさらされることで、自然に粘着剤2d内部に再吸収され、気泡が消失することが期待できる。
【0047】
よって、偏光板2の前縁部分に弱粘着部位10aを設けることで偏光板2の泡の発生を回避しつつ、傷防止フィルム2eの脱落を回避可能となる。
【0048】
ここで、この弱粘着部位10aの形状を単なる長方形とせず、剥離ユニット12の位置に対応して弱粘着部位10aの幅を変え、粘着剤保護フィルム2aの剥離を阻害しないようにしている。その状態を図8に示す。実際は粘着ローラ10は幅も広く直径も大きく全体を示すことは困難なため、図8では1個の剥離ユニット12の近傍のみを示し、偏光板2もこの付近だけの細長い物として描いている。
【0049】
粘着ローラ10の芯金10c上に形成された粘着ゴム10bはその一部に細長い弱粘着部10aを有している。偏光板2はその前縁を弱粘着部10aに掛かる位置に配置され、粘着ゴム10bによって粘着保持されている。一方、剥離ユニット12は複数のローラ12aが粘着テープ12bを、外側を粘着面としたループ状で保持しており、個々のローラ12aは回転可能な状態でベースプレート12dに固定されている。
【0050】
さらに、偏光板2の前縁に対向するローラ12aにはチャック12cが近接して設けられている。剥離ユニット12の粘着テープ12bを偏光板2の前縁に接触粘着させながら粘着ローラ10が図中の反時計回りに回転すると、偏光板2の前縁は前端のローラ12aの下をくぐり抜け、図中左側から出てくる。このとき、粘着剤保護フィルム2aの粘着力より剥離ユニット12の粘着テープ12bの粘着力を強くしてあるため、粘着剤保護フィルム2aは偏光板2の進行に連れ、粘着テープ12bとともに持ち上がってくる。この状態が図8に示している状態である。
【0051】
ここで、弱粘着域10aは剥離ユニット12に対向した部分では幅を狭くしており、偏光板2の粘着保持はこの付近ではより強固になっている。このため、粘着ローラ10による偏光板2の保持力が、粘着テープ12bの粘着力より勝り、偏光板2全体を粘着ローラ10から引き剥がす虞は少ない。なお、図8の状態まで剥離が進行すると、チャック12cは反時計回りに旋回し、チャック12cの先端と先端のローラ12aとの間で、粘着剤保護フィルム2aは挟まれて保持される。この後、剥離ユニット12は粘着剤保護フィルム2aを掴んだまま、粘着ローラ10から離脱するので、剥離が安定して進行する。
【0052】
なお、本実施例では粘着ゴムの材料として液晶封止工程とのプロセス整合性から影響の少ないブチルゴム系の粘着ゴムを選んだが、液晶封止工程と混在しないよう工程管理が出来る場合はシリコーン系の粘着ゴムを選ぶことや、品質管理が妥当ならば各種天然ゴムを配向して使用することも当然可能である。
【実施例2】
【0053】
ここまでの実施例では、弱粘着領域10aの作り方として、表層にフッ素樹脂加工を行う方法を例示したが、フッ素樹脂コートは膜状に粘着ゴムの表層を覆う処理となるので、摩耗や剥離により効果を失う虞がある。そこで、以下のような方法をとることも可能である。
【0054】
一つは浸透性を有する反応剤をもって粘着ゴムの不飽和基を終端処理する方法。この場合、終端処理にフッ素系の分子を反応させることも可能で、内部まで粘着性を下げることが出来るので、耐摩耗性が向上する。
【0055】
一つは、弱粘着領域10aを粘着ゴム10bに対する象眼加工としてはめ込む方式である。この場合、粘着ゴム10bと弱粘着領域10aのゴム硬度を極端に変わらないようにすることと、継ぎ目に不要な空隙を生じないように処理することは必須となるが、フッ素系エラストマー等が内部まで配置されるので、表面処理により表面的に粘着力を下げた物に比して、安定性が増すことが期待できる。この状態の弱粘着領域10aを図9に示す。
【実施例3】
【0056】
ここまでは弱粘着領域10aを設けるために、少なくとも表面の材料特性を変更する方法を開示してきたが、粘着ゴム10bと同質のゴムを用いても同様の効果を得ることが出来る。粘着力は粘着剤の特性と、対象物の材料物性、および真の粘着面積に影響されることが知られている。そこで粘着ゴム10bの表面に微細な凹凸を付け、粘着面積を下げることにより弱粘着領域10aを設けることは容易である。この方法では、十分ムラのない弱粘着領域10aを得るために凹凸をきめ細かくすると、粘着ゴム10bの摩耗により凹凸が失われやすいが、外観上定期的な確認が容易でありラインでの管理が容易である。さらに、特殊な処理を必要としないので材料価格が安くなり、低コスト化が実現容易である。
【0057】
さらにこの実施例の代案変形例として、剥離ユニット12の粘着テープ12bの幅よりきめ細かければ弱粘着部位10aとして利用可能であることから、粘着テープ幅15mmに対し、当該領域に2mmピッチで幅1mm深さ0.5mmの凹みを全幅に設ける方法もある。図10に詳細を示す。細長い凹み10a1が弱粘着領域10aに配置される。図では簡便のため手前側に2個のみ凹み10a1を示している。この場合、凹凸がストライプ状になるため、ローラの進行に連れて粘着力が変動する虞が少なく、凹みも幅1mmと狭いため、偏光板貼り付けに支障をきたすことは少ない。
【0058】
この変形例として、弱粘着領域10aの全体を粘着ゴム10aを加熱加圧して塑性変形させて設けた浅い凹みとして設ける方法もある。この場合、偏光板2の前縁を弱粘着領域10aに広く掛けることは出来ず、境界部分の狭い領域のみを用いる必要は生じるが、加工が容易であり、摩耗によって浅くなった場合でも現地追加工も可能であることを特徴とする。
【実施例4】
【0059】
ここまでの実施例では、弱粘着領域10aを常に粘着力が低い領域として設けてきたが、剥離ユニット12を使用中は弱粘着とせず、貼り付け完了時になって粘着力を弱める必要が生じた時にのみ弱粘着とする方法もある。図11にその構造を示す。粘着ローラの芯金10c内部には一連の可動ピン10a2が弱粘着領域10aの内部に設けてあり、通常時は可動ピン10a2が下端に下がっているので粘着ゴム10aは平坦となり、粘着ゴム10bと同様の粘着特性を示す。この状態では偏光板2の保持は特に弱い部分も生じないので、剥離ユニット12の動作は円滑に行われる。
【0060】
その後、貼り付け処理が無事進んで偏光板2の前縁が液晶パネル1に加圧終了し、まさに粘着ローラ10から剥がれようとする時に、可動ピン10a2が上端に移動し、弱粘着領域10a全域に微小な突起を多数発生する。これにより偏光板2の部分的な押し上げが起こり粘着面積を減らすことで剥離を支援することが出来る。
【0061】
本実施例では任意のタイミングで、粘着ローラ10の粘着力を部分的に下げることが可能となるので、粘着剤保護フィルム2aの剥離や、偏光板2の貼り付けの安定性を向上できる利点がある。
【0062】
なお、ここまでの実施例では、液晶ディスプレイに対する偏光板貼り付けを例として用いたが、同様の工程は各種の平面ディスプレイにおいて普遍的な工程であり、必ずしも偏光板貼り付けに限定する物ではない。例えば、プラズマディスプレイパネルの外光反射による、白みを軽減するために用いられる減光フィルムを貼り付ける場合や、有機ELディスプレイで表面の薄ガラスを衝撃から保護する保護フィルムあるいは色度を調整する色度調整フィルムを貼り付ける場合、電界効果ディスプレイで真空爆発時のガラス飛散を防止するための飛散防止フィルム、あるいはコントラストを改良するための減光フィルムを貼り付ける場合など、平面ディスプレイに光学的に均一な各種機能フィルムを貼り付ける工程に広く用いることが出来る。
【実施例5】
【0063】
以上の実施例は、液晶表示装置における偏光板の貼り付けに即して説明した。図12は、液晶表示装置の断面図である。図12において、画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板201とカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ202が対向して設置され、TFT基板201とカラーフィルタ基板202の間に液晶層240が挟持されている。液晶層240は封止材210によって封止されている。画素毎に液晶層240によってバックライトからの矢印で示す光の透過率を制御することによって画像を形成する。
【0064】
液晶は偏光光のみを制御することが出来るので、バックライトからの光は下偏光板によって偏光光に偏光され、液晶層240によって制御されたあと、上偏光板によって、再び偏光(検光)され、人間の目に画像が視認される。
【0065】
このように、偏光板の貼り付けは液晶表示装置の製造工程では重要な工程である。本発明を適用することによって、偏光板の貼り付け工程の歩留りを大幅に向上させることが出来、液晶表示装置の製造コストの低減と品質の向上に資することが出来る。
【実施例6】
【0066】
本発明によるフィルムの貼り付け方法は、液晶表示装置のみならず、他の表示装置においても適用することが出来る。図13はプラズマディスプレイパネルの断面模式図である。図13において、前面基板302には、放電電極となるX電極とY電極が第1の方向に延在している。背面基板301には、X電極あるいはY電極と直角方向の第2の方向に延在するアドレス電極が形成されている。前面基板302と背面基板301は封止材210によって封止されている。背面基板301には隔壁320が形成されており、隔壁320によって放電空間321が区画されるとともに、画素が規定される。放電によって発生する紫外線によって画素毎に形成された蛍光体を発光させて画像を形成する。
【0067】
前面基板302には、コントラストを上げるための減光効果、色度調整、帯電防止、高周波の漏洩防止等にために表面保護板が形成される。この表面保護板はガラスで形成する場合もあるし、フィルムで形成する場合もある。フィルムで形成する場合は例えば、以後減光フィルム330と呼ぶ。減光フィルム330は液晶表示装置における偏光板と同様に、フィルム本体と、減光フィルム330を前面基板302に接着するための接着層、フィルムを傷等から保護するための保護フィルム等から形成される。
【0068】
したがって、実施例1から実施例4で説明した偏光板の接着方法は、プラズマディスプレイパネルにおける前面基板302への減光フィルム330の接着方法に適用することが出来る。
【実施例7】
【0069】
図14は有機EL表示装置の断面模式図である。図14において、素子基板401には、有機EL層とTFTとで形成された画素がマトリクス状に配置されている。TFTは有機EL層に印加される信号をスイッチングする役割を有する。画素毎に有機EL層に映像信号を印加することによって画像を形成する。
【0070】
有機EL層は水分によって劣化するために、ガラスで形成された封止基板402を素子基板401に対向して配置することによって、有機EL層を水分から保護している。素子基板401と封止基板402は周辺において、封止材210によって封止されている。
【0071】
画素毎に赤、緑、青を発光する有機EL層が形成されているので、原理的にはフルカラーの表示が可能であるが、有機EL層の特性によって表示色が偏る場合がある。また、白色色温度を所望の値にしたい場合がある。このような場合は、有機EL表示装置の封止基板402に色度調整フィルム430を形成する。この色度調整フィルム430も、本体と、封止基板402と接着するための粘着層、および、傷等から保護するための保護フィルムから形成されていることは液晶表示装置における偏光板と同様である。
【0072】
したがって、有機EL表示装置における色度調整フィルム430の接着においても、実施例1〜実施例4で説明した本発明を適用することが出来る。なお、図14は、有機EL層からの光を封止基板402側から取り出すいわゆるトップエミッション型の有機EL表示装置である。有機EL層からの光を素子基板401側から取り出すボトムエミッション型有機EL表示装置では、色度調整フィルム430は素子基板401側に接着すれば良い。この場合も、実施例1〜実施例4で説明した本発明を適用することが出来る。
【実施例8】
【0073】
図15は電界効果型ディスプレイパネルの断面模式図である。図15において、カソードがマトリクス状に形成されたカソード基板501と、カソードに対応して蛍光体が形成されたアノード基板502が封止材210を介して対向して配置されている。カソード基板501とアノード基板502間の空間は、排気基板503に取り付けられた排気管504を通して真空に排気される。
【0074】
電界効果型ディスプレイパネルはフルカラーの表示が可能であるが、コントラストを改善するために減光フィルム530を用いる場合がある。この場合は、減光フィルム530をアノード基板502に貼り付けて対応する。この場合の減光530も、本体と、アノード基板502と接着するための粘着層、および、傷等から保護するための保護フィルムから形成されていることは液晶表示装置における偏光板と同様である。
【0075】
したがって、電界効果型ディスプレイパネルに減光フィルム530を接着する場合も実施例1〜実施例4で説明した本発明の方法を適用することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に依れば、例えば液晶ディスプレイの表裏の偏光板などの光学フィルムを気泡を生じず、高速に貼り付けることが可能となり、製造コストを低減できると主に、し損じによる歩留り損失を軽減できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の貼り付け装置の動作を説明する斜視図である。
【図2】本発明の貼り付け装置の図1に続く動作を説明する斜視図である。
【図3】本発明の貼り付け装置の図2に続く動作を説明する斜視図である。
【図4】従来の偏光板貼り付け方法での気泡発生メカニズムを示す模式図である。
【図5】本発明の偏光板貼り付け方法を示す模式図である。
【図6】一般的な偏光板の内部構造を示す分解断面図である。
【図7】弱粘着部位の働きを示す断面図である。
【図8】弱粘着部位と剥離ユニットの関係を示す斜視図である。
【図9】実施例2を示す斜視図である。
【図10】実施例3を示す斜視図である。
【図11】実施例4を示す斜視図である。
【図12】液晶表示装置の断面図である。
【図13】プラズマディスプレイパネルの断面図である。
【図14】有機EL表示装置の断面図である。
【図15】電界効果型ディスプレイパネルの断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1・・・液晶パネル、 2・・・偏光板、 10・・・粘着ローラ、 11・・・加圧ローラ、 12・・・剥離ユニット、 13、14・・・クリーニングローラ、 201・・・TFT基板、 202・・・カラーフィルタ基板、 210・・・封止材、 240・・・液晶層、 301・・・背面基板、 302・・・前面基板、 320・・・隔壁、 321・・・放電空間、 330・・・プラズマディスプレイパネル用減光フィルム、 401・・・素子基板、 402・・・封止基板、 430・・・色度調整フィルム、 501・・・カソード基板、 502・・・アノード基板、 503・・・排気基板、 504・・・排気管、530・・・電界効果型ディスプレイパネル用減光フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルムを供給する供給手段と、
前記光学フィルムを保持する保持手段と、
前記光学フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行う粘着面保護フィルム剥離手段と、
前記光学フィルムに表示パネルを接触させる表示パネル接触手段を有する光学フィルム貼り付け装置であって、
前記保持手段は粘着性を有する円筒形部材から構成され、
前記保持手段の回転運動に伴い、前記光学フィルムを粘着保持する位置、前記光学フィルムの粘着面保護フィルム剥離位置、前記光学フィルムと前記表示パネル接触位置を、順次前記光学フィルムが通過する順に配置したことを特徴とする光学フィルム貼り付け装置。
【請求項2】
前記保持手段は、光学フィルムの貼り付け開始位置近傍に粘着力低減部位を有することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項3】
前記保持手段の粘着力低減部位は、予め粘着性を有する前記円筒形部材の表面の当該部位に凹凸を設けることでなることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項4】
前記保持手段の粘着力低減部位は、予め粘着性を有する前記円筒形部材の表面の当該部位に粘着力の低い部材をはめ込んでなることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項5】
前記保持手段の粘着力低減部位は、予め粘着性を有する前記円筒形部材の表面の当該部位に粘着性の低い被膜を形成もしくは粘着性の低い材料を浸透してなることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項6】
前記保持手段の粘着力低減部位は、予め粘着性を有する前記円筒形部材の表面の当該部位内部に可動部を設け、接触面積を減らすことによってなることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項7】
前記保持手段の粘着力低減部位において、前記円筒形部材の表面で前記光学フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行う粘着面保護フィルム剥離手段と対向する位置に設けている部位の粘着力は、それ以外の部位の粘着力よりも粘着力を高くしていることを特徴とする請求項2〜請求項6に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項8】
光学フィルムを供給手段により供給し、
保持手段により前記光学フィルムを保持しながら、
粘着面保護フィルム剥離手段により光学フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行い、
しかる後に、保持手段により光学フィルムを保持しながら、接触手段により前記光学フィルムを表示パネルに接触させる表示パネルへの光学フィルム貼り付け方法であって、
粘着性を有する円筒形部材により前記光学フィルムを粘着保持し、
粘着性を有する円筒形部材を回転させることにより、光学フィルムを粘着保持位置、粘着面保護フィルム剥離位置、表示パネル接触位置の順に通過させることを特徴とする表示パネルへの光学フィルム貼り付け方法。
【請求項9】
前記円筒形部材の光学フィルムの貼り付け開始位置近傍に設けた粘着力低減部位に、前記光学フィルムの前縁を重ねて配置し、前記光学フィルムの貼り付けを行うことを特徴とする請求項8に記載の表示パネルへの光学フィルム貼り付け方法。
【請求項10】
前記光学フィルムの貼り付け開始位置近傍内部に設けた可動部に、前記光学フィルムの前縁を重ねて配置し、前記光学フィルム前縁が、粘着面保護フィルム剥離位置と表示パネル接触位置の間を通過する際に、可動部を貫入させ、部分的に粘着力を軽減してから貼り付けを行うことを特徴とする請求項9に記載の表示パネルへの光学フィルム貼り付け方法。
【請求項11】
画素電極およびTFTが形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板との間に液晶層が挟持され、前記TFT基板および前記カラーフィルタ基板には偏光板が貼り付けられた液晶表示装置の製造方法であって、
前記偏光板は、前記偏光板の供給手段から供給された後、粘着ローラによって保持し、
粘着面保護フィルム剥離手段により前記偏光板から糊面の保護フィルムの剥離を行い、
その後、接触手段により前記偏光板を前記TFT基板及び前記カラーフィルタ基板に接触させ、
前記偏光板の前記粘着ローラによる保持位置、前記保護フィルムの剥離位置、前記偏光板を前記TFT基板及び前記カラーフィルタ基板に接触する位置への前記偏光板の移動は、前記粘着ローラを回転させることによって行われることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項12】
前面基板と背面基板の間に放電空間が形成され、前記放電空間における放電による紫外線によって前記放電空間に形成された蛍光体を発光させることによって画像を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記前面基板には減光フィルムが貼り付けられ、
前記減光フィルムは、前記減光フィルムの供給手段から供給された後、粘着ローラによって保持し、
粘着面保護フィルム剥離手段により前記減光フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行い、
その後、接触手段により前記減光フィルムを前記前面基板に接触させ、
前記減光フィルムの前記粘着ローラによる保持位置、前記保護フィルムの剥離位置、前記減光フィルムを前記前面基板に接触する位置への前記減光フィルムの移動は、前記粘着ローラを回転させることによって行われることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項13】
有機EL素子およびTFTが形成された素子基板を封止基板によって封止した有機EL表示装置製造方法であって、
前記封止基板には色度調整フィルムが貼り付けられ、
前記色度調整フィルムは、前記色度調整フィルムの供給手段から供給された後、粘着ローラによって保持し、
粘着面保護フィルム剥離手段により前記色度調整フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行い、
その後、接触手段により前記色度調整フィルムを前記封止基板に接触させ、
前記色度調整フィルムの前記粘着ローラによる保持位置、前記保護フィルムの剥離位置、前記色度調整フィルムを前記前面基板に接触する位置への前記色度調整フィルムの移動は、前記粘着ローラを回転させることによって行われることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項14】
マトリクス状に配置されたカソードが形成されたカソード基板と、前記カソードに対応して蛍光体が形成されたアノード基板を対向させ、内部を真空にした電界効果型ディスプレイパネルの製造方法であって、
前記アノード基板には減光フィルムが貼り付けられ、
前記減光フィルムは、前記減光フィルムの供給手段から供給された後、粘着ローラによって保持し、
粘着面保護フィルム剥離手段により前記減光フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行い、
その後、接触手段により前記減光フィルムを前記アノード基板に接触させ、
前記減光フィルムの前記粘着ローラによる保持位置、前記保護フィルムの剥離位置、前記減光フィルムを前記前面基板に接触する位置への前記減光フィルムの移動は、前記粘着ローラを回転させることによって行われることを特徴とする電界効果型ディスプレイパネルの製造方法。
【請求項1】
光学フィルムを供給する供給手段と、
前記光学フィルムを保持する保持手段と、
前記光学フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行う粘着面保護フィルム剥離手段と、
前記光学フィルムに表示パネルを接触させる表示パネル接触手段を有する光学フィルム貼り付け装置であって、
前記保持手段は粘着性を有する円筒形部材から構成され、
前記保持手段の回転運動に伴い、前記光学フィルムを粘着保持する位置、前記光学フィルムの粘着面保護フィルム剥離位置、前記光学フィルムと前記表示パネル接触位置を、順次前記光学フィルムが通過する順に配置したことを特徴とする光学フィルム貼り付け装置。
【請求項2】
前記保持手段は、光学フィルムの貼り付け開始位置近傍に粘着力低減部位を有することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項3】
前記保持手段の粘着力低減部位は、予め粘着性を有する前記円筒形部材の表面の当該部位に凹凸を設けることでなることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項4】
前記保持手段の粘着力低減部位は、予め粘着性を有する前記円筒形部材の表面の当該部位に粘着力の低い部材をはめ込んでなることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項5】
前記保持手段の粘着力低減部位は、予め粘着性を有する前記円筒形部材の表面の当該部位に粘着性の低い被膜を形成もしくは粘着性の低い材料を浸透してなることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項6】
前記保持手段の粘着力低減部位は、予め粘着性を有する前記円筒形部材の表面の当該部位内部に可動部を設け、接触面積を減らすことによってなることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項7】
前記保持手段の粘着力低減部位において、前記円筒形部材の表面で前記光学フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行う粘着面保護フィルム剥離手段と対向する位置に設けている部位の粘着力は、それ以外の部位の粘着力よりも粘着力を高くしていることを特徴とする請求項2〜請求項6に記載の光学フィルム貼り付け装置。
【請求項8】
光学フィルムを供給手段により供給し、
保持手段により前記光学フィルムを保持しながら、
粘着面保護フィルム剥離手段により光学フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行い、
しかる後に、保持手段により光学フィルムを保持しながら、接触手段により前記光学フィルムを表示パネルに接触させる表示パネルへの光学フィルム貼り付け方法であって、
粘着性を有する円筒形部材により前記光学フィルムを粘着保持し、
粘着性を有する円筒形部材を回転させることにより、光学フィルムを粘着保持位置、粘着面保護フィルム剥離位置、表示パネル接触位置の順に通過させることを特徴とする表示パネルへの光学フィルム貼り付け方法。
【請求項9】
前記円筒形部材の光学フィルムの貼り付け開始位置近傍に設けた粘着力低減部位に、前記光学フィルムの前縁を重ねて配置し、前記光学フィルムの貼り付けを行うことを特徴とする請求項8に記載の表示パネルへの光学フィルム貼り付け方法。
【請求項10】
前記光学フィルムの貼り付け開始位置近傍内部に設けた可動部に、前記光学フィルムの前縁を重ねて配置し、前記光学フィルム前縁が、粘着面保護フィルム剥離位置と表示パネル接触位置の間を通過する際に、可動部を貫入させ、部分的に粘着力を軽減してから貼り付けを行うことを特徴とする請求項9に記載の表示パネルへの光学フィルム貼り付け方法。
【請求項11】
画素電極およびTFTが形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板との間に液晶層が挟持され、前記TFT基板および前記カラーフィルタ基板には偏光板が貼り付けられた液晶表示装置の製造方法であって、
前記偏光板は、前記偏光板の供給手段から供給された後、粘着ローラによって保持し、
粘着面保護フィルム剥離手段により前記偏光板から糊面の保護フィルムの剥離を行い、
その後、接触手段により前記偏光板を前記TFT基板及び前記カラーフィルタ基板に接触させ、
前記偏光板の前記粘着ローラによる保持位置、前記保護フィルムの剥離位置、前記偏光板を前記TFT基板及び前記カラーフィルタ基板に接触する位置への前記偏光板の移動は、前記粘着ローラを回転させることによって行われることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項12】
前面基板と背面基板の間に放電空間が形成され、前記放電空間における放電による紫外線によって前記放電空間に形成された蛍光体を発光させることによって画像を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記前面基板には減光フィルムが貼り付けられ、
前記減光フィルムは、前記減光フィルムの供給手段から供給された後、粘着ローラによって保持し、
粘着面保護フィルム剥離手段により前記減光フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行い、
その後、接触手段により前記減光フィルムを前記前面基板に接触させ、
前記減光フィルムの前記粘着ローラによる保持位置、前記保護フィルムの剥離位置、前記減光フィルムを前記前面基板に接触する位置への前記減光フィルムの移動は、前記粘着ローラを回転させることによって行われることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項13】
有機EL素子およびTFTが形成された素子基板を封止基板によって封止した有機EL表示装置製造方法であって、
前記封止基板には色度調整フィルムが貼り付けられ、
前記色度調整フィルムは、前記色度調整フィルムの供給手段から供給された後、粘着ローラによって保持し、
粘着面保護フィルム剥離手段により前記色度調整フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行い、
その後、接触手段により前記色度調整フィルムを前記封止基板に接触させ、
前記色度調整フィルムの前記粘着ローラによる保持位置、前記保護フィルムの剥離位置、前記色度調整フィルムを前記前面基板に接触する位置への前記色度調整フィルムの移動は、前記粘着ローラを回転させることによって行われることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項14】
マトリクス状に配置されたカソードが形成されたカソード基板と、前記カソードに対応して蛍光体が形成されたアノード基板を対向させ、内部を真空にした電界効果型ディスプレイパネルの製造方法であって、
前記アノード基板には減光フィルムが貼り付けられ、
前記減光フィルムは、前記減光フィルムの供給手段から供給された後、粘着ローラによって保持し、
粘着面保護フィルム剥離手段により前記減光フィルムから糊面の保護フィルムの剥離を行い、
その後、接触手段により前記減光フィルムを前記アノード基板に接触させ、
前記減光フィルムの前記粘着ローラによる保持位置、前記保護フィルムの剥離位置、前記減光フィルムを前記前面基板に接触する位置への前記減光フィルムの移動は、前記粘着ローラを回転させることによって行われることを特徴とする電界効果型ディスプレイパネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−66283(P2010−66283A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229632(P2008−229632)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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