光学式位置検出装置、位置検出機能付き表示装置および光学式位置検出方法
【課題】温度変化が発生した場合でも、精度よく位置検出を行なうことのできる光学式位置検出装置、位置検出機能付き表示装置、および光学式位置検出方法を提供すること。
【解決手段】光学式位置検出装置10では、位置検出用光源12A〜12Eの温度特性を補償するにあたって、位置検出用光源12A〜12Eを消灯させた状態で温度補償用光源12Tを点灯させ、その際の光検出器15での受光結果に基づいて、位置検出用光源12A〜12Eに供給する駆動パルスの実効値を補正する。このため、周囲温度が何度であっても、位置検出用光源12A〜12Eは基準温度と同一の強度をもって位置検出光を放出する。
【解決手段】光学式位置検出装置10では、位置検出用光源12A〜12Eの温度特性を補償するにあたって、位置検出用光源12A〜12Eを消灯させた状態で温度補償用光源12Tを点灯させ、その際の光検出器15での受光結果に基づいて、位置検出用光源12A〜12Eに供給する駆動パルスの実効値を補正する。このため、周囲温度が何度であっても、位置検出用光源12A〜12Eは基準温度と同一の強度をもって位置検出光を放出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式位置検出装置、該光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置、および光学式位置検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、液晶装置などの画像生成装置の前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付き表示装置が用いられ、かかる位置検出機能付き表示装置では、画像生成装置に表示された画像を参照しながら、情報の入力を行なう。このようなタッチパネルは、検出領域内において対象物体の位置を検出するための位置検出装置として構成されている。
【0003】
かかる位置検出装置での検出方式としては、抵抗膜方式、超音波方式、静電容量方式、光学式などが知られている。抵抗膜方式は低コストであるが静電容量方式とともに透過率が低く、超音波方式や静電容量方式は高い応答速度を有するが、耐環境性が低い。これに対して、光学式は耐環境性、透過率、応答速度をそれぞれ高くすることができるという特徴がある(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−295644号公報
【特許文献2】特開2004−303172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の光学式位置検出装置では、表示画面の近傍に、検出すべき位置座標の分解能に対応する数の光源や光検出器などが必要であるので、コストが高いという問題点がある。
【0006】
そこで、本願発明者は、図14(a)に模式的に示すように、導光板13などを用いて位置検出用光源12A、12Bから出射された位置検出光L2a、L2bの光強度分布を利用して指などに当たって反射した位置検出光L2a、L2bを光検出器15で順次検出する方式の光学式位置検出装置を検討している。かかる光学式位置検出装置では、位置検出光L2aの光検出器15での検出結果、位置検出光L2bの光検出器15での検出結果、および位置検出光L2a、L2bの光強度分布に基づいて、指などの位置を検出することができる。例えば、位置検出用光源12A、12Bから同一強度で位置検出光L2a、L2bを出射して位置検出光L2a、L2bを光検出器15で受光した後、図14(b)に示すように、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と位置検出光L2bの光検出器15での受光量とが同一となるように、位置検出用光源12A、12Bからの出射光量を調整し、その調整量ΔL11、ΔL12の比を求めれば、指などの位置を検出することができる。
【0007】
しかしながら、位置検出用光源12A、12Bに用いた発光ダイオードは、環境温度が高いと、図14(c)に示すように出射光量が低下する。例えば、温度が75℃のときは、温度が25℃のときと比較して出射光量が25%低下する。その結果、図14(d)に示すように、25℃のときは、ΔL11:ΔL12=1:3であったのが、75℃になると、ΔL11:ΔL12=1:1になってしまい、位置検出精度が大きく低下する。
【0008】
かといって、上記の方法で位置検出を行なった後、位置検出結果を補正すると、膨大な補正データを必要とするとともに、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と位置検出光L2bの光検出器15での受光量とが同一となるように、位置検出用光源12A、12Bからの出射光量を調整することが困難である。
【0009】
なお、図14に示す形態は、本発明の参考例であり、従来技術ではない。また、位置検出用光源の温度特性に起因する上記の問題点は、図14(b)を参照して説明した上記の方式を採用した場合に限らず、光検出器15での検出結果、および位置検出光L2a、L2bの光強度分布に基づいて位置検出する場合に共通の問題である。
【0010】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、温度変化が発生した場合でも、精度よく位置検出を行なうことのできる光学式位置検出装置、かかる光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置、および光学式位置検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するための光学式位置検出装置であって、前記対象物体に照射するための位置検出光を放出する位置検出用光源、および該位置検出用光源を駆動する光源駆動部を備え、前記検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源装置と、前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された光検出器と、前記光検出器での受光結果および前記強度分布に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部を備えた信号処理部と、前記位置検出用光源が消灯している状態で前記光検出器に向けて光を放出する温度補償用光源と、前記温度補償用光源から出射された光の前記光検出器での受光結果に基づいて、前記光源駆動部が前記位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する温度補償用実効値補正部と、を有していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するための光学式位置検出方法であって、位置検出用光源から出射された位置検出光の強度分布を前記検出領域に形成する位置検出用光源装置と、前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された光検出器と、前記光検出器に向けて光を放出する温度補償用光源とを設けておき、前記位置検出用光源を消灯させた状態で前記温度補償用光源を点灯させ、当該温度補償用光源から出射された光の前記光検出器での受光結果に基づいて、前記位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する温度補償工程と、前記温度補償用光源を消灯させた状態で、前記温度補償工程で補正された条件で前記位置検出用光源を駆動し、前記光検出器での受光結果および前記強度分布に基づいて位置を検出する位置検出工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明では、位置検出用光源の温度特性を補償するにあたって、位置検出用光源を消灯させた状態で温度補償用光源を点灯させ、その際の光検出器での受光結果に基づいて、位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する。このため、周囲温度が何度であっても、位置検出用光源は基準温度と同一の強度をもって位置検出光を放出する。このため、位置検出光を検出した結果に温度補正を行なう場合と違って、補正が容易であり、確実である。それ故、本発明によれば、温度変化が発生した場合でも、精度よく位置検出を行なうことができる。
【0014】
本発明において、前記温度補償用光源から前記光検出器に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材を有し、前記信号処理部は、前記位置検出用光源および前記温度補償用光源が消灯している状態での前記光検出器での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定するバックグラウンド補正条件決定部を備え、前記位置検出部は、前記光検出器での受光結果、前記強度分布および前記バックグラウンド補正条件に基づいて前記対象物体の位置を検出することが好ましい。この場合、本発明に係る光学式位置検出方法では、前記温度補償工程を行なう際、前記温度補償用光源から前記光検出器に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材を設けておき、前記位置検出用光源および前記温度補償用光源が消灯している状態での前記光検出器での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定するバックグラウンド補正条件決定工程を行い、前記位置検出工程では、前記光検出器での受光結果、前記強度分布、および前記バックグラウンド補正条件に基づいて前記対象物体の位置を検出する。このように構成すると、温度補償用光源を用いての補正結果にはバックグラウンドが入らない。すなわち、温度補正とバックグラウンド補正を各々別々に適切に行なうことができる。
【0015】
本発明において、前記位置検出用光源装置は、前記位置検出用光源として、前記位置検出光としての第1位置検出光を放出して前記検出領域の平面視における第1方向の強度分布を形成する第1位置検出用光源と、前記位置検出光としての第2位置検出光を放出して前記第1方向とは逆向きの強度分布を形成する第2位置検出用光源と、を備えていることが好ましい。このように構成すると、第1位置検出光を用いての検出結果と、第2位置検出用光源を用いての検出結果とを合わせて位置の特定を行なうことができるので、位置検出精度が高いという利点がある。
【0016】
本発明において、前記信号処理部は、前記光検出器での受光結果に基づいて前記駆動電流を調整するフィードバック制御部を備え、当該フィードバック制御部は、前記光検出器での前記第1位置検出光の受光量および前記第2位置検出光の受光量に基づいて、前記第1位置検出光の受光量と前記第2位置検出光の受光量とが同一となるように、前記第1位置検出用光源に対する駆動電流を第1実効値に調整し、前記第2位置検出用光源に対する駆動電流を第2実効値に調整し、前記位置検出部は、前記第1実効値および前記第2実効値に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。
【0017】
この場合、前記フィードバック制御部は、例えば、前記第1位置検出用光源および前記第2位置検出用光源を同一の基準実効値の駆動電流で駆動した際の前記検出器での検出結果に基づいて、前記第1位置検出用光源に対する駆動電流を前記基準実効値から前記第1実効値に調整し、前記第2位置検出用光源に対する駆動電流を前記基準実効値から前記第2実効値に調整し、前記位置検出部は、前記基準実効値から前記第1実効値への調整量および前記基準実効値から前記第2実効値への調整量に基づいて前記対象物体の位置を検出する。
【0018】
本発明において、前記位置検出用光源装置は、前記第1位置検出用光源および前記第2位置検出用光源からなる光源対として、前記第1方向および前記第2方向の前記強度分布を形成する第1光源対と、該第1光源対が形成する前記強度分布の方向に対して交差する方向の強度分布を形成する第2光源対と、を備えていることが好ましい。このように構成すると、第1光源対と第2光源対とを利用して平面座標を得ることができる。
【0019】
本発明を適用した光学式位置検出装置は位置検出機能付き表示装置を構成するのに用いることができる。この場合、位置検出機能付き表示装置は、前記導光板に対して平面視で重なる領域に画像を形成する画像生成装置を有している。前記画像生成装置としては、投射型表示装置や、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス装置などといった直視型表示装置を用いることができる。
【0020】
本発明に係る位置検出機能付き表示装置は、各種表示装置の他、携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末などの電子機器に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用した光学式位置検出装置および光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明を適用した光学式位置検出装置の詳細構成を示す説明図である。
【図3】本発明を適用した光学式位置検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用した光学式位置検出装置で用いた位置検出用光源の周囲温度と発光出力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明を適用した光学式位置検出装置で行う温度補償方法の説明図である。
【図6】本発明を適用した光学式位置検出装置で行う動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明を適用した光学式位置検出装置で行う動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明を適用した光学式位置検出装置に用いた別の位置検出用光源装置の説明図である。
【図9】本発明の変形例1に係る光学式位置検出装置および光学式位置検出装置の分解斜視図である。
【図10】本発明の変形例1に係る光学式位置検出装置および光学式位置検出装置の断面構成を示す説明図である。
【図11】本発明の変形例2に係る光学式位置検出装置および光学式位置検出装置の分解斜視図である。
【図12】本発明の変形例2に係る光学式位置検出装置および光学式位置検出装置の断面構成を示す説明図である。
【図13】本発明に係る位置検出機能付き表示装置を用いた電子機器の説明図である。
【図14】参考例に係る光学式位置検出装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、検出領域内における面内方向をXYZ直交座標におけるXY面とし、検出領域内における面内方向に直交する方向をZ軸方向として説明する。
【0023】
[光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置の構成]
(位置検出機能付き表示装置の全体構成)
図1は、本発明を適用した光学式位置検出装置および光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【0024】
図1に示す位置検出機能付き表示装置100は、光学式位置検出装置10と画像生成装置200とを備えており、光学式位置検出装置10は、画像生成装置200によって表示された画像に基づいて指などの対象物体を検出領域10Rに接近させた際、対象物体Obの平面的な位置(X座標位置およびY座標位置)を検出する。また、本発明において、光学式位置検出装置10はZ座標も検出する。
【0025】
詳しくは後述するように、光学式位置検出装置10は、位置検出光を放出する複数の位置検出用光源12を備えた位置検出用光源装置11と、検出領域10Rに受光部15aを向けた光検出器15とを有している。また、本形態において、位置検出用光源装置11は、XY平面に平行に配置された導光板13も備えている。
【0026】
本形態において、画像生成装置200は投射型であり、導光板13の前面側(入力操作側)に重ねて配置されたスクリーン状の被投射面201と、前方(入力操作側)から画像を投射する投射型表示装置203とを備えている。このため、画像生成装置200は、導光板13に対して平面視で重なる領域に画像を形成する。本形態において、画像形成領域20Rは、光学式位置検出装置10の検出領域10Rと略重なる領域である。ここで、被投射面201は、白色等、赤外光を通過可能な材質からなる。
【0027】
(光学式位置検出装置10の詳細構成)
図2は、本発明を適用した光学式位置検出装置10の詳細構成を示す説明図であり、図2(a)、(b)、(c)は、光学式位置検出装置10の断面構成を模式的に示す説明図、光学式位置検出装置10に用いた導光板13などの構成を示す説明図、および導光板内での位置検出光の減衰状態を示す説明図である。
【0028】
図2(a)、(b)に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、位置検出用光源装置11は、略長方形の平面形状を有する導光板13を備えており、導光板13の側端面13mでは、長辺に相当する辺部分13k、13l同士がY軸方向で対向し、短辺に相当する辺部分13i、13j同士がX軸方向で対向している。かかる導光板13の形状に対応して、光学式位置検出装置10は、位置検出光L2a〜L2dを放出する4つの位置検出用光源12A〜12D(図1に示す位置検出用光源12)を有しており、導光板13は、側端面13mに、位置検出光L2a〜L2dが入射する4つの光入射部13a〜13dを備えている。導光板13は、内部を伝播した位置検出光L2a〜L2dを出射する光出射面13sを一方の表面(図示上面)に備えており、かかる光出射面13sと側端面13mとは直交している。光学式位置検出装置10は、検出領域10Rに受光部15aを向けた光検出器15を備えている。
【0029】
本形態において、4つの位置検出用光源12A〜12Dおよび4つの光入射部13a〜13dはいずれも、導光板13の角部分13e、13f、13g、13hに設けられている。位置検出用光源12A〜12Dは光入射部13a〜13dと対向するように配置され、好ましくは光入射部13a〜13dと密接するように配置されている。
【0030】
導光板13は、ポリカーボネートやアクリル樹脂などの透明な樹脂板で構成されている。導光板13において、光出射面13s、または光出射面13sの反対側の背面13tには、表面凹凸構造、プリズム構造、散乱層(図示せず)などが設けられており、このような光散乱構造によって、光入射部13a〜13dから入射して内部を伝播する光は、その伝播方向に進むに従って徐々に偏向されて光出射面13sより出射される。なお、導光板13の光出射側には、必要に応じて、位置検出光L2a〜L2dの均―化を図るために、プリズムシートや光散乱板などの光学シートが配置される場合もある。
【0031】
位置検出用光源12A〜12Dは、例えばLED(発光ダイオード)などの発光素子で構成され、駆動回路(図示せず)から出力される駆動信号に応じて、赤外光からなる位置検出光L2a〜L2dを発散光として放出する。位置検出光L2a〜L2dの種類は、特に限定されないが、可視光とは波長分布が異なるか、点滅などの変調が加えられることで発光態様が異なればよい。また、位置検出光L2a〜L2dは、指やタッチペンなどの対象物体Obにより効率的に反射される波長域を有することが好ましい。従って、対象物体Obが指などの人体であれば、人体の表面で反射率の高い赤外線(特に可視光領域に近い近赤外線、例えば波長で850nm付近)、あるいは950nmであることが望ましい。
【0032】
位置検出用光源12A〜12Dは本質的に複数設けられ、相互に異なる位置から位置検出光L2a〜L2dを放出するように構成される。4つの位置検出用光源12A〜12Dのうち、対角位置の位置検出用光源は対になって第1光源を構成し、他の2つの位置検出用光源は対になって第2光源を構成している。また、4つの位置検出用光源12A〜12Dのうち、隣り合う2つの位置検出用光源が対になって第1光源対を構成し、他の2つの位置検出用光源が対になって第2光源対を構成することもある。
【0033】
検出領域10Rは、位置検出光L2a〜L2dが視認側(操作側)に出射される平面的な領域であり、対象物体Obによる反射光が生じうる領域である。本形態において、検出領域10Rの平面形状は、矩形状であり、四つの辺部分のうちの1つの辺部分の長さ方向の略中央部分に光検出器15が配置されている。検出領域10Rにおいて、隣接する各辺の角部分の内角は90度となっており、かかる内角は、導光板13の角部分13e〜13hの内角と同一の角度とされている。
【0034】
このように構成した位置検出機能付き表示装置100において、位置検出光L2aと位置検出光L2bは、導光板13の内部では、矢印Aで示す方向において互いに逆向きに伝播しながら、光出射面13sから出射される。また、位置検出光L2cと位置検出光L2dは、矢印Aで示す方向に対して交差する方向(矢印Bで示す方向)において互いに逆向きに伝播しながら光出射面13sから出射される。従って、導光板13から検出領域10Rに出射される位置検出光L2aの光量は、図2(c)に実線で示すように、位置検出用光源12Aからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。また、検出領域10Rに出射される位置検出光L2bの光量は、図2(c)に点線で示すように、位置検出用光源12Bからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。なお、位置検出光L2c、L2dの減衰も、位置検出光L2a、L2bと同様であるため、説明を省略する。
【0035】
(Z座標を検出するための構成)
本形態の光学式位置検出装置10では、XY座標に加えて、Z座標も検出することを目的に、導光板13に対して検出領域10Rが位置する側とは反対側に、導光板13および検出領域10Rに向けて位置検出光L2eを放出する位置検出用光源12Eが配置されている。かかる位置検出用光源12Eは、検出領域10RにおいてZ軸方向の位置検出光L2eの強度分布を形成する。なお、Z軸座標を検出する際には、位置検出用光源12A〜12Dも全て点灯させてもよい。
【0036】
(温度補償用光源の構成)
本形態の光学式位置検出装置10では、後述するように、位置検出用光源12A〜12Eの周囲温度の変化に起因する発光出力の変動を補償する。このため、光検出器15の近傍には温度補償用光源12Tが配置されており、かかる温度補償用光源12Tは、光検出器15に向けて温度補償用の光を放出する。ここで、温度補償用光源12Tは、位置検出用光源12A〜12Eと同一仕様の発光ダイオードであり、位置検出用光源12A〜12Eと同一波長の赤外光を出射する。但し、温度補償用光源12Tは、位置検出には直接用いられない。従って、温度補償用光源12Tは平面視において検出領域10Rから外れた位置に配置される。また、温度補償用光源12Tによって温度補償条件を求める際、環境光に含まれる赤外光(バックグラウンド)が検出されないように、温度補償用光源12Tから光検出器15に至る光路には遮光部材が設けられている。
【0037】
(XY座標を検出するための基本原理)
上記光検出器15での検出に基づいて対象物体ObのXY座標の取得方法について説明する。この位置情報の取得方法は種々のものが考えられるが、例えば、そのー例として、二つの位置検出光の検出光量の比率に基づいてそれらの減衰係数の比率を求め、この減衰係数の比率から両位置検出光の伝播距離を求めることにより、対応する二つの光源を結ぶ方向の位置座標を求める方法などが挙げられる。また、二つの位置検出光の検出光量の差を求め、この差の絶対値から、対応する二つの光源を結ぶ方向の位置座標を求める方法が挙げられる。これらいずれの方法においても、光検出器15からの出力値をそのまま演算に用いる方法、光検出器15を介してキャパシタに蓄電あるいは放電させてキャパシタの端子間電圧が所定の電圧になるまでの時間を演算に用いる方法などを挙げることができる。いずれの場合も、以下に説明する性質を利用したものである。
【0038】
まず、位置検出機能付き表示装置100においては、位置検出用光源12A〜12Dから放出された位置検出光L2a〜L2dは各々、光入射部13a〜13dから導光板13の内部に入射し、導光板13の内部を伝播しながら徐々に光出射面13sから出射される。その結果、位置検出光L2a〜L2dは、光出射面13sから面状に放出される。
【0039】
例えば、位置検出光L2aは光入射部13aから光入射部13bに向けて導光板13の内部を伝播しながら徐々に光出射面13sから放出されていく。同様に、位置検出光L2c、L2dも導光板13の内部を伝播しながら徐々に光出射面13sから放出されていく。従って、検出領域10Rに指などの対象物体Obが配置されると、対象物体Obにより上記位置検出光L2a〜L2dが反射され、その反射光の一部が上記光検出器15により検出される。
【0040】
ここで、検出領域10Rに出射される位置検出光L2aの光量は、図2(c)に実線で示すように、位置検出用光源12Aからの距離に伴って直線的に減衰し、検出領域10Rに出射される位置検出光L2bの光量は、図2(c)に点線で示すように、位置検出用光源12Bからの距離に伴って直線的に減衰すると考えられる。
【0041】
また、位置検出用光源12Aの制御量(例えば電流量)、変換係数、および放出光量をIa、k、およびEaとし、位置検出用光源12Bの制御量(電流量)、変換係数、および放出光量をIb、k、およびEbとすれば、
Ea=k・Ia
Eb=k・Ib
となる。また、位置検出光L2aの減衰係数、および検出光量をfa、およびGaとし、位置検出光L2bの減衰係数、および検出光量をfb、およびGbとすれば、
Ga=fa・Ea=fa・k・Ia
Gb=fb・Eb=fb・k・Ib
となる。
【0042】
従って、光検出器15において両位置検出光の検出光量の比であるGa/Gbが検出できるとすれば、
Ga/Gb=(fa・Ea)/(fb・Eb)=(fa/fb)・(Ia/Ib)
となるから、放出光量の比Ea/Eb、および制御量の比Ia/Ibに相当する値が分かれば、減衰係数の比fa/fbが分る。この減衰係数の比と両位置検出光の伝播距離の比との間に直線関係があれば、この直線関係を予め設定しておくことで、対象物体Obの位置情報を得ることができる。
【0043】
上記減衰係数の比fa/fbを求める方法としては、例えば、位置検出用光源12Aと位置検出用光源12Bを逆相で点滅(例えば、矩形波状若しくは正弦波状の駆動信号を伝播距離の差に起因する位相差が無視できる周波数で相互に180度の位相差を持つように動作)させた上で、検出光量の波形を解析する。より現実的には、例えば、一方の制御量Iaを固定し(Ia=Im)、検出波形が観測できなくなるように、すなわち、検出光量の比Ga/Gbが1となるように他方の制御量lbを制御し、このときの制御量Ib=Im・(fa/fb)から上記減衰係数の比fa/fbを導出する。
【0044】
また、両制御量の和が常に一定、すなわち、下式
Im=Ia+Ib
を満たすように制御してもよい。この場合には、下式
Ib=Im・fb/(fa十fb)
となるので、
fb/(fa十fb)=α
とすると、下式
fa/fb=(1−α)/α
により、減衰係数の比が求まる。
【0045】
従って、対象物体Obの矢印A方向の位置情報は、位置検出用光源12Aと位置検出用光源12Bを相互に逆相で駆動することで取得することができる。また、対象物体Obの矢印B方向の位置情報は、位置検出用光源12Cと位置検出用光源12Dを相互に逆相で駆動することで取得することができる。それ故、制御系において上記A方向とB方向の検出動作を順次行って対象物体ObのXY平面上の位置座標を取得できる。この場合、位置検出用光源12Aおよび位置検出用光源12Bのうちの一方が第1位置検出用光源に相当し、他方が第2位置検出用光源に相当する。また、位置検出用光源12Cおよび位置検出用光源12Dのうちの一方が第1位置検出用光源に相当し、他方が第2位置検出用光源に相当する。また、位置検出用光源12Aおよび位置検出用光源12Bは第1光源対に相当し、位置検出用光源12Cおよび位置検出用光源12Dが第2光源対に相当する。
【0046】
また、X軸方向の位置検出を行なう際には、例えば、位置検出用光源12A、12Dを同相で駆動し、位置検出用光源12B、12Cを同相で駆動し、かつ、位置検出用光源12A、12Dと位置検出用光源12B、12Cとを逆相で駆動して、X軸方向に位置検出光の強度分布を生成してもよい。同様に、Y軸方向の位置検出を行なう際には、X軸方向の位置検出と異なるタイミングで、位置検出用光源12A、12Cを同相で駆動し、位置検出用光源12B、12Dを同相で駆動し、かつ、位置検出用光源12A、12Cと位置検出用光源12B、12Dとを逆相で駆動して、Y軸方向に位置検出光の強度分布を生成してもよい。かかる方法でも、対象物体ObのXY平面上の位置座標を取得できる。また、このような位置検出用光源を複数同時に点灯する構成によれば、例えば、位置検出光の明暗傾斜分布が、1つの位置検出用光源を点灯する構成よりも広い範囲で好適に得られるため、より正確な位置検出が可能である。
【0047】
上記のように、光検出器15での検出結果、および位置検出光の強度分布に基づいて対象物体Obの検出領域10R内の平面位置情報を取得するにあたって、例えば、信号処理部としてマイクロプロセッサーユニット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。また、論理回路などのハードウェアを用いた信号処理部で処理を行う構成を採用することもできる。かかる信号処理部は、位置検出機能付き表示装置100の一部として組み込まれていても良く、位置検出機能付き表示装置100が搭載される電子機器の内部において構成されていてもよい。
【0048】
(光学式位置検出装置10の電気的構成)
図3は、本発明を適用した光学式位置検出装置10の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、本形態の光学式位置検出装置10は、位置検出用光源装置11と、光検出器15での受光結果に基づいて対象物体Obの位置を信号処理部60とを有している。ここで、位置検出用光源装置11は、XY座標検出用の4つの位置検出用光源12A〜12Dと、Z座標検出用の1つの位置検出用光源12Eと、導光板13と、5つの位置検出用光源12A〜12Eを駆動するための光源駆動部50とを備えている。
【0049】
光源駆動部50は、位置検出用光源12A〜12Eに出力する駆動パルス(駆動電流)を生成して、所定の位置検出用光源12A〜12Eに出力する駆動パルス生成出力回路510を備えている。また、光源駆動部50は、駆動パルス生成出力回路510で生成される駆動パルスの実効値(の実効電流値)の制御を行なう温度補償用実効値補正部520を備えており、かかる温度補償用実効値補正部520の前段にはA/D変換器630が設けられている。本形態において、駆動パルスの実効値を変えるには、パルス高さあるいはパルス幅が変更される。駆動パルス生成出力回路510と位置検出用光源12A〜12Dの間には可変抵抗115a〜115dが挿入されている。光源駆動部50の駆動パルス生成出力回路510と位置検出用光源12Bとの間には反転回路116bが挿入され、光源駆動部50の駆動パルス生成出力回路510と位置検出用光源12Dとの間には反転回路116dが挿入されている。このため、駆動パルス生成出力回路510が位置検出用光源12A、12Bに駆動パルスを出力すると、位置検出用光源12Aと位置検出用光源12Bとには交互に駆動パルスが印加される。また、駆動パルス生成出力回路510が位置検出用光源12C、12Dに駆動パルスを出力すると、位置検出用光源12Cと位置検出用光源12Dとには交互に駆動パルスが印加される。
【0050】
光学式位置検出装置10は、温度補償用光源12Tと、この温度補償用光源12Tを駆動する温度補償用光源駆動回路710を備えている。また、光学式位置検出装置10において、信号処理部60は、バックグラウンド補正条件決定部730、フィードバック制御部640、および位置検出部650を備えている。ここで、フィードバック制御部640は、可変抵抗115a〜115dを制御する機能を担っている。すなわち、フィードバック制御部640は、可変抵抗115a、115bの抵抗値を調整して光位置検出用光源12A、12Bにおける駆動パルスの実効値バランスを調整し、可変抵抗115c、115dの抵抗値を調整して光位置検出用光源12C、12Dにおける駆動パルスの実効値バランスを調整する。位置検出部650は、X座標検出部651、Y座標検出部652およびZ座標検出部653を備えている。
【0051】
また、信号処理部60は、光検出器15に電気的接続に増幅器610と、フィードバック抵抗620とを有しており、増幅器610の後段にはスイッチ部680が接続されている。スイッチ部680は、増幅器610からの出力をA/D変換器630、フィードバック制御部640、バックグラウンド補正条件決定部730、および位置検出部650のいずれに出力するかを切り換える。かかる切り換えは、制御部(図示せず)からの指令に基づいて行われる。本形態において、信号処理部60、位置検出部650、温度補償用光源駆動回路710、光源駆動部50、可変抵抗115a〜115d、および反転回路116b、116dは共通の半導体集積回路70に構成されている。
【0052】
(温度補償の内容)
図4は、本発明を適用した光学式位置検出装置で用いた位置検出用光源(発光ダイオード)の周囲温度と発光出力との関係を示すグラフである。
【0053】
本形態の光学式位置検出装置10において、位置検出用光源12A〜12Eに用いた発光ダイオードは、図4に示す温度特性を有しており、周囲温度(環境温度)が高いほど出射光量が−10%/20℃の割合で直線的に低下し、かかる温度特性は位置検出精度を低下させる。また、光検出器15に入射した外光に含まれる赤外光(バックグラウンド)が入射した場合も、かかる温度特性は位置検出精度を低下させる。そこで、本形態では、位置検出用光源12A〜12Eと同一の発光ダイオードからなる温度補償用光源12Tを発光させて光検出器15で受光し、その受光結果に基づいて、図4に示す温度特性分だけ、位置検出用光源12A〜12Eを駆動する駆動パルスの実効値を調整する。その結果、位置検出用光源12A〜12Eからの出射強度が補正されることになる。
【0054】
(位置検出の方法)
図5は、本発明を適用した光学式位置検出装置で行う温度補償方法の説明図である。本形態の光学式位置検出装置10において、X座標を検出するには、図5(a)に模式的に示すように、位置検出用光源12Aを基準実効値の駆動パルスで駆動して位置検出光L2aを出射する動作と、位置検出用光源12Aと同様、位置検出用光源12Bを基準実効値の駆動パルスで駆動して位置検出光L2bを出射する動作とを交互に行う。その間、光検出器15は、指などの対象物体Obで反射した位置検出光L2a,L2bを検出する。次に、光検出器15での受光結果に基づいて、図5(b)に示すように、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と位置検出光L2bの光検出器15での受光量とが同一となるように、位置検出用光源12Aに対する駆動パルスの実効値を第1実効値に変更し、位置検出用光源12Bに対する駆動パルスの実効値を第2実効値に変更する。このようにして、位置検出用光源12A、12Bからの出射光量を調整し、その調整量ΔL11(第1実効値−基準実効値)、ΔL12(第2実効値−基準実効値)を求める。そして、位置検出部650のX座標検出部は、調整量ΔL11、ΔL12の比に基づいて、X座標を求める。Y座標を検出するには、位置検出用光源12C、12Dを用い、同様な方法で検出する。
【0055】
ここで、位置検出用光源12A、12Bに用いた発光ダイオードは、環境温度が高いと、図5(c)に示すように出射光量が低下する。例えば、温度が75℃のときは、温度が25℃のときと比較して出射光量が25%低下する。かかる状態で位置検出を行なうと、位置検出精度が大きく低下するが、本形態では、予め、位置検出用光源12A〜12Eを消灯させ、この状態で温度補償用光源12Tを発光させたときの光検出器15での受光結果に基づいて、図4に示す温度特性分だけ、位置検出用光源12A〜12Eを駆動する駆動パルスの実効値を調整する。その結果、位置検出用光源12A〜12Eからの出射強度を、図5(a)に示す適正な状態に戻すことができる。
【0056】
なお、Z座標を検出する際には、位置検出用光源12Eが用いられる。かかる位置検出用光源12Eも、温度補償用光源12Tを発光させたときの光検出器15での受光結果に基づいて、図4に示す温度特性分だけ、実効値が調整される。
【0057】
(バックグラウンドの補正)
本形態では、位置検出用光源12A〜12Eおよび温度補償用光源12Tを消灯させた状態での光検出器15での受光結果に基づいて、バックグラウンド補正条件を決定する。かかる補正条件は、環境光に含まれる赤外光の影響を補正するための条件である。かかる補正を行なうには、各種の方法があるが、本形態では、例えば、図5(b)を参照して説明した調整量ΔL11、ΔL12の比から所定の値を加算する処理、あるいは調整量ΔL11、ΔL12の比に所定の係数を乗じる処理を行ない、しかる後に、バックグラウンド分を補正した値に基づいて、X座標を求める。なお、Y座標を検出する際も同様である。また、Z座標を検出する際には、光検出器15での受光結果に所定の値を加算する処理、あるいは所定の係数を乗じるバックグラウンド補正処理を行い、しかる後に、バックグラウンド分を補正した値に基づいて、Z座標を求める。
【0058】
(動作)
図6は、本発明を適用した光学式位置検出装置で行う動作を示すフローチャートである。図7は、本発明を適用した光学式位置検出装置で行う動作を示すタイミングチャートである。本形態では、図6および図7を参照して以下に説明するように、図4を参照して説明した信号処理部60などを用いて、XYZ座標を検出する際、温度補償およびバックグラウンド補正を行う。なお、以下の処理は、制御部(図示せず)の制御の下、行なわれる。
【0059】
まず、図3、図5および図6において、ステップST1(期間t1)では、スイッチ部680において、増幅器610とバックグラウンド補正条件決定部730とを接続した状態とする。次に、位置検出用光源12A〜12Eおよび温度補償用光源12Tを消灯させた状態での光検出器15の受光結果をバックグラウンド補正条件決定部730に出力する。その結果、バックグラウンド補正条件決定部730は、バックグラウンド補正条件Ibgを決定し、かかるバックグラウンド補正条件Ibgを保持する(バックグラウンド補正条件決定工程)。
【0060】
次に、ステップST2(期間t2)では、スイッチ部680において増幅器610とA/D変換器630とを接続した状態とする。次に、位置検出用光源12A〜12Eを消灯させる一方、温度補償用光源駆動回路710によって温度補償用光源12Tを駆動し、点灯させる。この状態での光検出器15の受光結果ItmpをA/D変換器630を介して温度補償用実効値補正部520に入力する。その結果、温度補償用実効値補正部520は、図4に示す条件に基づいて、位置検出用光源12A〜12Eに供給する駆動パルスの実効値を決定する。すなわち、温度補償用実効値補正部520は、周囲温度がどのようなときでも、温度が20℃のときと同一の光量で位置検出用光源12A〜12Eが位置検出光L2a〜L2eを放出する駆動パルスの実効値を決定する。
【0061】
次に、期間t3ではX座標の検出動作を行なう。具体的には、ステップST3において、スイッチ部680は、増幅器610とフィードバック制御部640とを接続した状態とする。また、光源駆動部50において、駆動パルス生成出力回路510は、温度補償用実効値補正部520での指令に対応する実効値の駆動パルスを位置検出用光源12A、12Bに出力する(温度補償工程)。次に、ステップST4では、フィードバック制御部640が光検出器15での検出結果に基づいて可変抵抗115a、116aを制御して位置検出用光源12A、12Bに供給される駆動パルスの高さ(実効値)を調整し、図5を参照して説明した処理を行う。そして、位置検出部650のX座標検出部651は、調整量ΔL11、ΔL12の比Ixを求める。次に、ステップST5において、X座標検出部651は、調整量ΔL11、ΔL12の比Ixおよびバックグラウンド補正条件Ibgを用いて、バックグラウンド補正を行い、しかる後にステップST6では、バックグラウンド補正後の値Ix′を用いてX座標の特定を行なう(位置検出工程)。
【0062】
次に、期間t4ではY座標の検出動作を行なう。具体的には、ステップST7において、駆動パルス生成出力回路510は、温度補償用実効値補正部520での指令に対応する実効値の駆動パルスを位置検出用光源12C、12Dに出力する(温度補償工程)。次に、ステップST8では、フィードバック制御部640が光検出器15での検出結果に基づいて可変抵抗115c、116dを制御して位置検出用光源12C、12Dに供給される駆動パルスの高さ(実効値)を調整し、図5を参照して説明した処理を行う。そして、位置検出部650のY座標検出部652は、調整量ΔL11、ΔL12の比Iyを求める。次に、ステップST9において、Y座標検出部652は、調整量ΔL11、ΔL12の比Iyおよびバックグラウンド補正条件Ibgを用いて、バックグラウンド補正を行い、しかる後にステップST10では、バックグラウンド補正後の値Iy′を用いてY座標の特定を行なう(位置検出工程)。
【0063】
次に、期間t5では、Z座標の検出動作を行なう。具体的には、ステップST11において、スイッチ部680は、増幅器610と位置検出部650とを接続した状態とする。また、光源駆動部50において、駆動パルス生成出力回路510は、温度補償用実効値補正部520での指令に対応する実効値の駆動パルスを位置検出用光源12Eに出力する(温度補償工程)。次に、ステップST12では、光検出器15が対象物体Obで反射した位置検出光L2eを受光する。そして、ステップST13において、位置検出部650のZ座標検出部653は、光検出器15での受光結果Izおよびバックグラウンド補正条件Ibgを用いて、バックグラウンド補正を行い、しかる後にステップST14では、バックグラウンド補正後の値Iz′を用いてZ座標の特定を行なう(位置検出工程)。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では、位置検出光L2a〜L2eが導光板13の光出射面13sから出射され、これが導光板13の出射側に配置された対象物体Obによって反射されると、この反射光が光検出器15によって検出される。ここで、検出領域10Rにおける位置検出光L2a〜L2eの強度と位置検出用光源12A〜12Eからの距離とが所定の相関性を有しているので、光検出器15を介して得られた受光強度から対象物体ObのXYZ座標を検出することができる。それ故、検出領域10Rに沿って多数の光学素子を配置する必要がないので、低コストかつ低消費電力の光学式位置検出装置10を構成することができる。
【0065】
また、本形態では、位置検出用光源12A〜12Eの温度特性を補償するにあたって、位置検出用光源12A〜12Eを消灯させた状態で温度補償用光源12Tを点灯させ、その際の光検出器15での受光結果に基づいて、位置検出用光源12A〜12Eに供給する駆動パルス(駆動電流)の実効値を補正する。このため、周囲温度が何度であっても、位置検出用光源12A〜12Eは基準温度(例えば、25℃)と同一の強度をもって位置検出光L2a〜L2eを放出する。従って、位置検出光L2a〜L2eを検出した結果に温度補正を行なう場合と違って、補正が容易であり、確実である。それ故、本形態によれば、温度変化が発生した場合でも、精度よく位置検出を行なうことができる。
【0066】
また、本形態において、温度補償用光源12Tから光検出器15に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材19を設け、位置検出用光源12A〜12Eおよび温度補償用光源12Tが消灯している状態での光検出器15での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定する。このように構成すると、温度補償用光源12Tを用いての補正結果にはバックグラウンドが入らない。それ故、温度補正とバックグラウンド補正を各々別々に適切に行なうことができる。
【0067】
(他の検出方法)
上記形態では、例えば、X座標を検出する際、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と位置検出光L2bの光検出器15での受光量とが同一となるように位置検出用光源12A、12Bからの出射光量を調整した際の調整量ΔL11、ΔL12に基づいて、X座標を求めたが、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と、位置検出光L2bの光検出器15での受光量との比や差からX座標を求めてもよい。Y座標を求める場合も同様である。このような構成の場合には、図3に示すフィードバック制御部640や可変抵抗115a〜115dを省略することができる。
【0068】
上記形態では、XYZ座標を検出する例であったが、XY座標のみを検出する場合に本発明を適用してもよい。
【0069】
また、上記形態では、光検出器15の検出結果を直接用いたが、光検出器15にキャパシタを並列に電気的接続し、光検出器15での受光量に連動して発生するキャパシタの放電あるいは充電を監視した結果を光検出器15の検出結果として用いてもよい。
【0070】
(位置検出用光源装置11の別の構成)
図8は、本発明を適用した光学式位置検出装置10に用いた別の位置検出用光源装置11の説明図である。上記実施の形態では、位置検出用光源装置11として、導光板13を用いたが、図1に示す位置検出機能付き表示装置100の場合には、図8に示すように、スクリーン状の被投射面201の背面側において、検出領域10Rに対してZ軸方向で対向する位置に複数の位置検出用光源12を配列させ、導光板を有しない構成の位置検出用光源装置11を採用してもよい。
【0071】
かかる構成の場合にも、対象物体ObのX座標位置を検出する際、複数の位置検出用光源12のうち、X方向で離間する位置検出用光源12の一方のみを点灯させれば、X方向に位置検出光の強度分布を形成することができる。また、対象物体ObのY座標位置を検出する際、複数の位置検出用光源12のうち、Y方向で離間する位置検出用光源12の一方のみを点灯させれば、Y方向に位置検出光の強度分布を形成することができる。さらに、対象物体ObのZ座標位置を検出する際、複数の位置検出用光源12の全てを点灯させれば、Z方向に位置検出光の強度分布を形成することができる。
【0072】
[位置検出機能付き表示装置100の変形例]
上記実施の形態では、画像生成装置200として投射型表示装置203、207を備えている構成であったが、図9〜図12に示すように、直視型の表示装置を画像生成装置200として採用すれば、図13を参照して後述する電子機器に用いることができる。
【0073】
(位置検出機能付き表示装置100の変形例1)
図9および図10は、本発明の変形例1に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の分解斜視図、および断面構成を示す説明図である。なお、本形態の位置検出機能付き表示装置100において、光学式位置検出装置10の構成は、上記実施の形態と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0074】
図9および図10に示す位置検出機能付き表示装置100は、光学式位置検出装置10と画像生成装置200とを備えており、光学式位置検出装置10は、位置検出光を放出する位置検出用光源12と、導光板13と、検出領域10Rに受光部15aを向けた光検出器15とを備えている。画像生成装置200は、有機エレクトロルミネッセンス装置やプラズマ表示装置などといった直視型表示装置208であり、光学式位置検出装置10に対して入力操作側とは反対に設けられている。直視型表示装置208は、導光板13に対して平面視で重なる領域に画像表示領域20Rを備えており、かかる画像表示領域20Rは検出領域10Rと平面視で重なっている。
【0075】
(位置検出機能付き表示装置100の変形例2)
図11および図12は、本発明の変形例2に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の説明図であり、図11および図12は各々、光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の分解斜視図、および断面構成を示す説明図である。なお、本形態の位置検出機能付き表示装置100において、光学式位置検出装置10の構成は、上記実施の形態と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0076】
図11および図12に示す位置検出機能付き表示装置100は、光学式位置検出装置10と画像生成装置200とを備えており、光学式位置検出装置10は、位置検出光を放出する位置検出用光源12と、導光板13と、検出領域10Rに受光部15aを向けた光検出器15とを備えている。画像生成装置200は、直視型表示装置である液晶装置209と、透光性カバー30とからなる。液晶装置209は、導光板13に対して平面視で重なる領域に画像表示領域20Rを備えており、かかる画像表示領域20Rは検出領域10Rと平面視で重なっている。
【0077】
本形態の位置検出機能付き表示装置100において、導光板13の光出射側には、必要に応じて、位置検出光L2a〜L2dの均―化を図るための光学シート16が配置されている。本形態においては、光学シート16として、導光板13の光出射面13sに対向する第1プリズムシート161と、第1プリズムシート161に対して導光板13が位置する側とは反対側で対向する第2プリズムシート162と、第2プリズムシート162に対して導光板13が位置する側とは反対側で対向する光散乱板163とが用いられている。なお、光学シート16に対して導光板13が位置する側とは反対側には矩形枠状の遮光シート17が光学シート16の周囲に配置されている。かかる遮光シート17は、位置検出用光源12A〜12Dから出射された位置検出光L2a〜L2dが漏れるのを防止する。
【0078】
液晶装置209(画像生成装置200)は、光学シート16(第1プリズムシート161、第2プリズムシート162および光散乱板163)に対して導光板13が位置する側とは反対側に液晶パネル209aを備えている。本形態において、液晶パネル209aは、透過型の液晶パネルであり、2枚の透光性基板21、22をシール材23で貼り合わせ、基板間に液晶24を充填した構造を有している。本形態において、液晶パネル209aは、アクティブマトリクス型液晶パネルであり、2枚の透光性基板21、22の一方側には透光性の画素電極、データ線、走査線、画素スイッチング素子(図示せず)が形成され、他方側には透光性の共通電極(図示せず)が形成されている。なお、画素電極および共通電極が同一の基板に形成されることもある。かかる液晶パネル209aでは、各画素に対して走査線を介して走査信号が出力され、データ線を介して画像信号が出力されると、複数の画素の各々で液晶24の配向が制御される結果、画像表示領域20Rに画像が形成される。
【0079】
液晶パネル209aにおいて、一方の透光性基板21には、他方の透光性基板22の外形より周囲に張り出した基板張出部21tが設けられている。この基板張出部21tの表面)上には駆動回路などを構成する電子部品25が実装されている。また、基板張出部21tには、フレキシブル配線基板(FPC)などの配線部材26が接続されている。なお、基板張出部21t上には配線部材26のみが実装されていてもよい。なお、必要に応じて透光性基板21、22の外面側には偏光板(図示せず)が配置される。
【0080】
ここで、対象物体Obの平面位置を検出するためには、位置検出光L2a〜L2dを対象物体Obによる操作が行われる視認側へ出射させる必要があり、液晶パネル209aは、導光板13および光学シート16よりも視認側(操作側)に配置されている。従って、液晶パネル209aにおいて、画像表示領域20Rは、位置検出光L2a〜L2dを透過可能に構成される。なお、液晶パネル209aが導光板13の視認側とは反対側に配置される場合には、画像表示領域20Rが位置検出光L2a〜L2dを透過するように構成されている必要はないが、その代りに、画像表示領域20Rが導光板13を通して視認側より透視可能に構成される必要がある。
【0081】
液晶装置209は、液晶パネル209aを照明するための照明装置40を備えている。本形態において、照明装置40は、導光板13に対して液晶パネル209aが位置する側とは反対側において導光板13と反射板14との間に配置されている。照明装置40は、照明用光源41と、この照明用光源41から放出される照明光を伝播させながら出射する照明用導光板43とを備えており、照明用導光板43は、矩形の平面形状を備えている。照明用光源41は、例えばLED(発光ダイオード)などの発光素子で構成され、駆動回路(図示せず)から出力される駆動信号に応じて、例えば白色の照明光L4を放出する。本形態において、照明用光源41は、照明用導光板43の辺部分43aに沿って複数、配列されている。
【0082】
照明用導光板43は、辺部分43aに隣接する光出射側の表面部分(光出射面43sの辺部分43a側の外周部)に傾斜面43gが設けられ、照明用導光板43は、辺部分43aに向けて厚みが徐々に増加している。かかる傾斜面43gを有する入光構造によって、光出射面43sが設けられる部分の厚みの増加を抑制しつつ、辺部分43aの高さを照明用光源41の光放出面の高さに対応させてある。
【0083】
かかる照明装置40において、照明用光源41から出射された照明光は、照明用導光板43の辺部分43aから照明用導光板43の内部に入射した後、照明用導光板43の内部を反対側の外縁部43bに向けて伝播し、一方の表面である光出射面43sから出射される。ここで、照明用導光板43は、辺部分43a側から反対側の外縁部43bに向けて内部伝播光に対する光出射面43sからの出射光の光量比率が単調に増加する導光構造を有している。かかる導光構造は、例えば、照明用導光板43の光出射面43s、または背面43tに形成された光偏向用あるいは光散乱用の微細な凹凸形状の屈折面の面積、印刷された散乱層の形成密度などを上記内部伝播方向に向けて徐々に高めることで実現される。このような導光構造を設けることで、辺部分43aから入射した照明光L4は光出射面43sからほぼ均一に出射される。
【0084】
本形態において、照明用導光板43は、液晶パネル209aの視認側とは反対側で液晶パネル209aの画像表示領域20Rと平面的に重なるように配置され、いわゆるバックライトとして機能する。但し、照明用導光板43を液晶パネル209aの視認側に配置して、いわゆるフロントライトとして機能するように構成してもよい。また、本形態において、照明用導光板43は導光板13と反射板14との間に配置されているが、照明用導光板43を光学シート16と導光板13との間に配置してもよい。また、照明用導光板43と導光板13とは共通の導光板として構成してもよい。また、本形態では、光学シート16を位置検出光L2a〜L2dと照明光L4との間で共用としている。但し、照明用導光板43の光出射側に、上記の光学シート16とは別の専用の光学シートを配置してもよい。これは、照明用導光板43においては光出射面43sから出射される照明光L4の平面輝度を均―化することを目的に、十分な光散乱作用を呈する光散乱板を用いることが多いが、位置検出用の導光板13においては光出射面13sから出射される位置検出光L2a〜L2dを大きく散乱させてしまうと位置検出の妨げとなる。このため、光散乱板を設けないか、あるいは比較的軽度の光散乱作用を呈する光散乱板を用いる必要があることから、光散乱板については照明用導光板43の専用品とすることが好ましい。但し、プリズムシート(第1プリズムシート161や第2プリズムシート162)などの集光作用のある光学シートについては共用としても構わない。
【0085】
(電子機器への搭載例)
図13を参照しながら、図9〜図12を参照して説明した位置検出機能付き表示装置100を適用した電子機器について説明する。図13は、本発明に係る位置検出機能付き表示装置を用いた電子機器の説明図である。図13(a)に、位置検出機能付き表示装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す。パーソナルコンピューター2000は、表示ユニットとしての位置検出機能付き表示装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001、およびキーボード2002が設けられている。図13(b)に、位置検出機能付き表示装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001、およびスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての位置検出機能付き表示装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、位置検出機能付き表示装置100に表示される画面がスクロールされる。図13(c)に、位置検出機能付き表示装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001、および電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての位置検出機能付き表示装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が位置検出機能付き表示装置100に表示される。
【0086】
なお、位置検出機能付き表示装置100が適用される電子機器としては、図13に示すものの他、デジタルスチールカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、銀行端末などの電子機器などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した位置検出機能付き表示装置100が適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10・・光学式位置検出装置、10R・・検出領域、11・・位置検出用光源装置、12A〜12E・・位置検出用光源、12T・・温度補償用光源、13・・導光板、13a、13b、13c、13d・・光入射部、光射部、13s・・光出射面、15・・光検出器、50・・光源駆動部、100・・位置検出機能付き表示装置、200・・画像生成装置、510・・駆動パルス生成出力回路、520・・温度補償用実効値補正部、640・・フィードバック制御部、650・・位置検出部、730・・バックグラウンド補正条件決定部、L2a〜L2e・・位置検出光
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式位置検出装置、該光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置、および光学式位置検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、液晶装置などの画像生成装置の前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付き表示装置が用いられ、かかる位置検出機能付き表示装置では、画像生成装置に表示された画像を参照しながら、情報の入力を行なう。このようなタッチパネルは、検出領域内において対象物体の位置を検出するための位置検出装置として構成されている。
【0003】
かかる位置検出装置での検出方式としては、抵抗膜方式、超音波方式、静電容量方式、光学式などが知られている。抵抗膜方式は低コストであるが静電容量方式とともに透過率が低く、超音波方式や静電容量方式は高い応答速度を有するが、耐環境性が低い。これに対して、光学式は耐環境性、透過率、応答速度をそれぞれ高くすることができるという特徴がある(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−295644号公報
【特許文献2】特開2004−303172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の光学式位置検出装置では、表示画面の近傍に、検出すべき位置座標の分解能に対応する数の光源や光検出器などが必要であるので、コストが高いという問題点がある。
【0006】
そこで、本願発明者は、図14(a)に模式的に示すように、導光板13などを用いて位置検出用光源12A、12Bから出射された位置検出光L2a、L2bの光強度分布を利用して指などに当たって反射した位置検出光L2a、L2bを光検出器15で順次検出する方式の光学式位置検出装置を検討している。かかる光学式位置検出装置では、位置検出光L2aの光検出器15での検出結果、位置検出光L2bの光検出器15での検出結果、および位置検出光L2a、L2bの光強度分布に基づいて、指などの位置を検出することができる。例えば、位置検出用光源12A、12Bから同一強度で位置検出光L2a、L2bを出射して位置検出光L2a、L2bを光検出器15で受光した後、図14(b)に示すように、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と位置検出光L2bの光検出器15での受光量とが同一となるように、位置検出用光源12A、12Bからの出射光量を調整し、その調整量ΔL11、ΔL12の比を求めれば、指などの位置を検出することができる。
【0007】
しかしながら、位置検出用光源12A、12Bに用いた発光ダイオードは、環境温度が高いと、図14(c)に示すように出射光量が低下する。例えば、温度が75℃のときは、温度が25℃のときと比較して出射光量が25%低下する。その結果、図14(d)に示すように、25℃のときは、ΔL11:ΔL12=1:3であったのが、75℃になると、ΔL11:ΔL12=1:1になってしまい、位置検出精度が大きく低下する。
【0008】
かといって、上記の方法で位置検出を行なった後、位置検出結果を補正すると、膨大な補正データを必要とするとともに、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と位置検出光L2bの光検出器15での受光量とが同一となるように、位置検出用光源12A、12Bからの出射光量を調整することが困難である。
【0009】
なお、図14に示す形態は、本発明の参考例であり、従来技術ではない。また、位置検出用光源の温度特性に起因する上記の問題点は、図14(b)を参照して説明した上記の方式を採用した場合に限らず、光検出器15での検出結果、および位置検出光L2a、L2bの光強度分布に基づいて位置検出する場合に共通の問題である。
【0010】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、温度変化が発生した場合でも、精度よく位置検出を行なうことのできる光学式位置検出装置、かかる光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置、および光学式位置検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するための光学式位置検出装置であって、前記対象物体に照射するための位置検出光を放出する位置検出用光源、および該位置検出用光源を駆動する光源駆動部を備え、前記検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源装置と、前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された光検出器と、前記光検出器での受光結果および前記強度分布に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部を備えた信号処理部と、前記位置検出用光源が消灯している状態で前記光検出器に向けて光を放出する温度補償用光源と、前記温度補償用光源から出射された光の前記光検出器での受光結果に基づいて、前記光源駆動部が前記位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する温度補償用実効値補正部と、を有していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するための光学式位置検出方法であって、位置検出用光源から出射された位置検出光の強度分布を前記検出領域に形成する位置検出用光源装置と、前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された光検出器と、前記光検出器に向けて光を放出する温度補償用光源とを設けておき、前記位置検出用光源を消灯させた状態で前記温度補償用光源を点灯させ、当該温度補償用光源から出射された光の前記光検出器での受光結果に基づいて、前記位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する温度補償工程と、前記温度補償用光源を消灯させた状態で、前記温度補償工程で補正された条件で前記位置検出用光源を駆動し、前記光検出器での受光結果および前記強度分布に基づいて位置を検出する位置検出工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明では、位置検出用光源の温度特性を補償するにあたって、位置検出用光源を消灯させた状態で温度補償用光源を点灯させ、その際の光検出器での受光結果に基づいて、位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する。このため、周囲温度が何度であっても、位置検出用光源は基準温度と同一の強度をもって位置検出光を放出する。このため、位置検出光を検出した結果に温度補正を行なう場合と違って、補正が容易であり、確実である。それ故、本発明によれば、温度変化が発生した場合でも、精度よく位置検出を行なうことができる。
【0014】
本発明において、前記温度補償用光源から前記光検出器に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材を有し、前記信号処理部は、前記位置検出用光源および前記温度補償用光源が消灯している状態での前記光検出器での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定するバックグラウンド補正条件決定部を備え、前記位置検出部は、前記光検出器での受光結果、前記強度分布および前記バックグラウンド補正条件に基づいて前記対象物体の位置を検出することが好ましい。この場合、本発明に係る光学式位置検出方法では、前記温度補償工程を行なう際、前記温度補償用光源から前記光検出器に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材を設けておき、前記位置検出用光源および前記温度補償用光源が消灯している状態での前記光検出器での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定するバックグラウンド補正条件決定工程を行い、前記位置検出工程では、前記光検出器での受光結果、前記強度分布、および前記バックグラウンド補正条件に基づいて前記対象物体の位置を検出する。このように構成すると、温度補償用光源を用いての補正結果にはバックグラウンドが入らない。すなわち、温度補正とバックグラウンド補正を各々別々に適切に行なうことができる。
【0015】
本発明において、前記位置検出用光源装置は、前記位置検出用光源として、前記位置検出光としての第1位置検出光を放出して前記検出領域の平面視における第1方向の強度分布を形成する第1位置検出用光源と、前記位置検出光としての第2位置検出光を放出して前記第1方向とは逆向きの強度分布を形成する第2位置検出用光源と、を備えていることが好ましい。このように構成すると、第1位置検出光を用いての検出結果と、第2位置検出用光源を用いての検出結果とを合わせて位置の特定を行なうことができるので、位置検出精度が高いという利点がある。
【0016】
本発明において、前記信号処理部は、前記光検出器での受光結果に基づいて前記駆動電流を調整するフィードバック制御部を備え、当該フィードバック制御部は、前記光検出器での前記第1位置検出光の受光量および前記第2位置検出光の受光量に基づいて、前記第1位置検出光の受光量と前記第2位置検出光の受光量とが同一となるように、前記第1位置検出用光源に対する駆動電流を第1実効値に調整し、前記第2位置検出用光源に対する駆動電流を第2実効値に調整し、前記位置検出部は、前記第1実効値および前記第2実効値に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。
【0017】
この場合、前記フィードバック制御部は、例えば、前記第1位置検出用光源および前記第2位置検出用光源を同一の基準実効値の駆動電流で駆動した際の前記検出器での検出結果に基づいて、前記第1位置検出用光源に対する駆動電流を前記基準実効値から前記第1実効値に調整し、前記第2位置検出用光源に対する駆動電流を前記基準実効値から前記第2実効値に調整し、前記位置検出部は、前記基準実効値から前記第1実効値への調整量および前記基準実効値から前記第2実効値への調整量に基づいて前記対象物体の位置を検出する。
【0018】
本発明において、前記位置検出用光源装置は、前記第1位置検出用光源および前記第2位置検出用光源からなる光源対として、前記第1方向および前記第2方向の前記強度分布を形成する第1光源対と、該第1光源対が形成する前記強度分布の方向に対して交差する方向の強度分布を形成する第2光源対と、を備えていることが好ましい。このように構成すると、第1光源対と第2光源対とを利用して平面座標を得ることができる。
【0019】
本発明を適用した光学式位置検出装置は位置検出機能付き表示装置を構成するのに用いることができる。この場合、位置検出機能付き表示装置は、前記導光板に対して平面視で重なる領域に画像を形成する画像生成装置を有している。前記画像生成装置としては、投射型表示装置や、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス装置などといった直視型表示装置を用いることができる。
【0020】
本発明に係る位置検出機能付き表示装置は、各種表示装置の他、携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末などの電子機器に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用した光学式位置検出装置および光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明を適用した光学式位置検出装置の詳細構成を示す説明図である。
【図3】本発明を適用した光学式位置検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用した光学式位置検出装置で用いた位置検出用光源の周囲温度と発光出力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明を適用した光学式位置検出装置で行う温度補償方法の説明図である。
【図6】本発明を適用した光学式位置検出装置で行う動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明を適用した光学式位置検出装置で行う動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明を適用した光学式位置検出装置に用いた別の位置検出用光源装置の説明図である。
【図9】本発明の変形例1に係る光学式位置検出装置および光学式位置検出装置の分解斜視図である。
【図10】本発明の変形例1に係る光学式位置検出装置および光学式位置検出装置の断面構成を示す説明図である。
【図11】本発明の変形例2に係る光学式位置検出装置および光学式位置検出装置の分解斜視図である。
【図12】本発明の変形例2に係る光学式位置検出装置および光学式位置検出装置の断面構成を示す説明図である。
【図13】本発明に係る位置検出機能付き表示装置を用いた電子機器の説明図である。
【図14】参考例に係る光学式位置検出装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、検出領域内における面内方向をXYZ直交座標におけるXY面とし、検出領域内における面内方向に直交する方向をZ軸方向として説明する。
【0023】
[光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置の構成]
(位置検出機能付き表示装置の全体構成)
図1は、本発明を適用した光学式位置検出装置および光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【0024】
図1に示す位置検出機能付き表示装置100は、光学式位置検出装置10と画像生成装置200とを備えており、光学式位置検出装置10は、画像生成装置200によって表示された画像に基づいて指などの対象物体を検出領域10Rに接近させた際、対象物体Obの平面的な位置(X座標位置およびY座標位置)を検出する。また、本発明において、光学式位置検出装置10はZ座標も検出する。
【0025】
詳しくは後述するように、光学式位置検出装置10は、位置検出光を放出する複数の位置検出用光源12を備えた位置検出用光源装置11と、検出領域10Rに受光部15aを向けた光検出器15とを有している。また、本形態において、位置検出用光源装置11は、XY平面に平行に配置された導光板13も備えている。
【0026】
本形態において、画像生成装置200は投射型であり、導光板13の前面側(入力操作側)に重ねて配置されたスクリーン状の被投射面201と、前方(入力操作側)から画像を投射する投射型表示装置203とを備えている。このため、画像生成装置200は、導光板13に対して平面視で重なる領域に画像を形成する。本形態において、画像形成領域20Rは、光学式位置検出装置10の検出領域10Rと略重なる領域である。ここで、被投射面201は、白色等、赤外光を通過可能な材質からなる。
【0027】
(光学式位置検出装置10の詳細構成)
図2は、本発明を適用した光学式位置検出装置10の詳細構成を示す説明図であり、図2(a)、(b)、(c)は、光学式位置検出装置10の断面構成を模式的に示す説明図、光学式位置検出装置10に用いた導光板13などの構成を示す説明図、および導光板内での位置検出光の減衰状態を示す説明図である。
【0028】
図2(a)、(b)に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、位置検出用光源装置11は、略長方形の平面形状を有する導光板13を備えており、導光板13の側端面13mでは、長辺に相当する辺部分13k、13l同士がY軸方向で対向し、短辺に相当する辺部分13i、13j同士がX軸方向で対向している。かかる導光板13の形状に対応して、光学式位置検出装置10は、位置検出光L2a〜L2dを放出する4つの位置検出用光源12A〜12D(図1に示す位置検出用光源12)を有しており、導光板13は、側端面13mに、位置検出光L2a〜L2dが入射する4つの光入射部13a〜13dを備えている。導光板13は、内部を伝播した位置検出光L2a〜L2dを出射する光出射面13sを一方の表面(図示上面)に備えており、かかる光出射面13sと側端面13mとは直交している。光学式位置検出装置10は、検出領域10Rに受光部15aを向けた光検出器15を備えている。
【0029】
本形態において、4つの位置検出用光源12A〜12Dおよび4つの光入射部13a〜13dはいずれも、導光板13の角部分13e、13f、13g、13hに設けられている。位置検出用光源12A〜12Dは光入射部13a〜13dと対向するように配置され、好ましくは光入射部13a〜13dと密接するように配置されている。
【0030】
導光板13は、ポリカーボネートやアクリル樹脂などの透明な樹脂板で構成されている。導光板13において、光出射面13s、または光出射面13sの反対側の背面13tには、表面凹凸構造、プリズム構造、散乱層(図示せず)などが設けられており、このような光散乱構造によって、光入射部13a〜13dから入射して内部を伝播する光は、その伝播方向に進むに従って徐々に偏向されて光出射面13sより出射される。なお、導光板13の光出射側には、必要に応じて、位置検出光L2a〜L2dの均―化を図るために、プリズムシートや光散乱板などの光学シートが配置される場合もある。
【0031】
位置検出用光源12A〜12Dは、例えばLED(発光ダイオード)などの発光素子で構成され、駆動回路(図示せず)から出力される駆動信号に応じて、赤外光からなる位置検出光L2a〜L2dを発散光として放出する。位置検出光L2a〜L2dの種類は、特に限定されないが、可視光とは波長分布が異なるか、点滅などの変調が加えられることで発光態様が異なればよい。また、位置検出光L2a〜L2dは、指やタッチペンなどの対象物体Obにより効率的に反射される波長域を有することが好ましい。従って、対象物体Obが指などの人体であれば、人体の表面で反射率の高い赤外線(特に可視光領域に近い近赤外線、例えば波長で850nm付近)、あるいは950nmであることが望ましい。
【0032】
位置検出用光源12A〜12Dは本質的に複数設けられ、相互に異なる位置から位置検出光L2a〜L2dを放出するように構成される。4つの位置検出用光源12A〜12Dのうち、対角位置の位置検出用光源は対になって第1光源を構成し、他の2つの位置検出用光源は対になって第2光源を構成している。また、4つの位置検出用光源12A〜12Dのうち、隣り合う2つの位置検出用光源が対になって第1光源対を構成し、他の2つの位置検出用光源が対になって第2光源対を構成することもある。
【0033】
検出領域10Rは、位置検出光L2a〜L2dが視認側(操作側)に出射される平面的な領域であり、対象物体Obによる反射光が生じうる領域である。本形態において、検出領域10Rの平面形状は、矩形状であり、四つの辺部分のうちの1つの辺部分の長さ方向の略中央部分に光検出器15が配置されている。検出領域10Rにおいて、隣接する各辺の角部分の内角は90度となっており、かかる内角は、導光板13の角部分13e〜13hの内角と同一の角度とされている。
【0034】
このように構成した位置検出機能付き表示装置100において、位置検出光L2aと位置検出光L2bは、導光板13の内部では、矢印Aで示す方向において互いに逆向きに伝播しながら、光出射面13sから出射される。また、位置検出光L2cと位置検出光L2dは、矢印Aで示す方向に対して交差する方向(矢印Bで示す方向)において互いに逆向きに伝播しながら光出射面13sから出射される。従って、導光板13から検出領域10Rに出射される位置検出光L2aの光量は、図2(c)に実線で示すように、位置検出用光源12Aからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。また、検出領域10Rに出射される位置検出光L2bの光量は、図2(c)に点線で示すように、位置検出用光源12Bからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。なお、位置検出光L2c、L2dの減衰も、位置検出光L2a、L2bと同様であるため、説明を省略する。
【0035】
(Z座標を検出するための構成)
本形態の光学式位置検出装置10では、XY座標に加えて、Z座標も検出することを目的に、導光板13に対して検出領域10Rが位置する側とは反対側に、導光板13および検出領域10Rに向けて位置検出光L2eを放出する位置検出用光源12Eが配置されている。かかる位置検出用光源12Eは、検出領域10RにおいてZ軸方向の位置検出光L2eの強度分布を形成する。なお、Z軸座標を検出する際には、位置検出用光源12A〜12Dも全て点灯させてもよい。
【0036】
(温度補償用光源の構成)
本形態の光学式位置検出装置10では、後述するように、位置検出用光源12A〜12Eの周囲温度の変化に起因する発光出力の変動を補償する。このため、光検出器15の近傍には温度補償用光源12Tが配置されており、かかる温度補償用光源12Tは、光検出器15に向けて温度補償用の光を放出する。ここで、温度補償用光源12Tは、位置検出用光源12A〜12Eと同一仕様の発光ダイオードであり、位置検出用光源12A〜12Eと同一波長の赤外光を出射する。但し、温度補償用光源12Tは、位置検出には直接用いられない。従って、温度補償用光源12Tは平面視において検出領域10Rから外れた位置に配置される。また、温度補償用光源12Tによって温度補償条件を求める際、環境光に含まれる赤外光(バックグラウンド)が検出されないように、温度補償用光源12Tから光検出器15に至る光路には遮光部材が設けられている。
【0037】
(XY座標を検出するための基本原理)
上記光検出器15での検出に基づいて対象物体ObのXY座標の取得方法について説明する。この位置情報の取得方法は種々のものが考えられるが、例えば、そのー例として、二つの位置検出光の検出光量の比率に基づいてそれらの減衰係数の比率を求め、この減衰係数の比率から両位置検出光の伝播距離を求めることにより、対応する二つの光源を結ぶ方向の位置座標を求める方法などが挙げられる。また、二つの位置検出光の検出光量の差を求め、この差の絶対値から、対応する二つの光源を結ぶ方向の位置座標を求める方法が挙げられる。これらいずれの方法においても、光検出器15からの出力値をそのまま演算に用いる方法、光検出器15を介してキャパシタに蓄電あるいは放電させてキャパシタの端子間電圧が所定の電圧になるまでの時間を演算に用いる方法などを挙げることができる。いずれの場合も、以下に説明する性質を利用したものである。
【0038】
まず、位置検出機能付き表示装置100においては、位置検出用光源12A〜12Dから放出された位置検出光L2a〜L2dは各々、光入射部13a〜13dから導光板13の内部に入射し、導光板13の内部を伝播しながら徐々に光出射面13sから出射される。その結果、位置検出光L2a〜L2dは、光出射面13sから面状に放出される。
【0039】
例えば、位置検出光L2aは光入射部13aから光入射部13bに向けて導光板13の内部を伝播しながら徐々に光出射面13sから放出されていく。同様に、位置検出光L2c、L2dも導光板13の内部を伝播しながら徐々に光出射面13sから放出されていく。従って、検出領域10Rに指などの対象物体Obが配置されると、対象物体Obにより上記位置検出光L2a〜L2dが反射され、その反射光の一部が上記光検出器15により検出される。
【0040】
ここで、検出領域10Rに出射される位置検出光L2aの光量は、図2(c)に実線で示すように、位置検出用光源12Aからの距離に伴って直線的に減衰し、検出領域10Rに出射される位置検出光L2bの光量は、図2(c)に点線で示すように、位置検出用光源12Bからの距離に伴って直線的に減衰すると考えられる。
【0041】
また、位置検出用光源12Aの制御量(例えば電流量)、変換係数、および放出光量をIa、k、およびEaとし、位置検出用光源12Bの制御量(電流量)、変換係数、および放出光量をIb、k、およびEbとすれば、
Ea=k・Ia
Eb=k・Ib
となる。また、位置検出光L2aの減衰係数、および検出光量をfa、およびGaとし、位置検出光L2bの減衰係数、および検出光量をfb、およびGbとすれば、
Ga=fa・Ea=fa・k・Ia
Gb=fb・Eb=fb・k・Ib
となる。
【0042】
従って、光検出器15において両位置検出光の検出光量の比であるGa/Gbが検出できるとすれば、
Ga/Gb=(fa・Ea)/(fb・Eb)=(fa/fb)・(Ia/Ib)
となるから、放出光量の比Ea/Eb、および制御量の比Ia/Ibに相当する値が分かれば、減衰係数の比fa/fbが分る。この減衰係数の比と両位置検出光の伝播距離の比との間に直線関係があれば、この直線関係を予め設定しておくことで、対象物体Obの位置情報を得ることができる。
【0043】
上記減衰係数の比fa/fbを求める方法としては、例えば、位置検出用光源12Aと位置検出用光源12Bを逆相で点滅(例えば、矩形波状若しくは正弦波状の駆動信号を伝播距離の差に起因する位相差が無視できる周波数で相互に180度の位相差を持つように動作)させた上で、検出光量の波形を解析する。より現実的には、例えば、一方の制御量Iaを固定し(Ia=Im)、検出波形が観測できなくなるように、すなわち、検出光量の比Ga/Gbが1となるように他方の制御量lbを制御し、このときの制御量Ib=Im・(fa/fb)から上記減衰係数の比fa/fbを導出する。
【0044】
また、両制御量の和が常に一定、すなわち、下式
Im=Ia+Ib
を満たすように制御してもよい。この場合には、下式
Ib=Im・fb/(fa十fb)
となるので、
fb/(fa十fb)=α
とすると、下式
fa/fb=(1−α)/α
により、減衰係数の比が求まる。
【0045】
従って、対象物体Obの矢印A方向の位置情報は、位置検出用光源12Aと位置検出用光源12Bを相互に逆相で駆動することで取得することができる。また、対象物体Obの矢印B方向の位置情報は、位置検出用光源12Cと位置検出用光源12Dを相互に逆相で駆動することで取得することができる。それ故、制御系において上記A方向とB方向の検出動作を順次行って対象物体ObのXY平面上の位置座標を取得できる。この場合、位置検出用光源12Aおよび位置検出用光源12Bのうちの一方が第1位置検出用光源に相当し、他方が第2位置検出用光源に相当する。また、位置検出用光源12Cおよび位置検出用光源12Dのうちの一方が第1位置検出用光源に相当し、他方が第2位置検出用光源に相当する。また、位置検出用光源12Aおよび位置検出用光源12Bは第1光源対に相当し、位置検出用光源12Cおよび位置検出用光源12Dが第2光源対に相当する。
【0046】
また、X軸方向の位置検出を行なう際には、例えば、位置検出用光源12A、12Dを同相で駆動し、位置検出用光源12B、12Cを同相で駆動し、かつ、位置検出用光源12A、12Dと位置検出用光源12B、12Cとを逆相で駆動して、X軸方向に位置検出光の強度分布を生成してもよい。同様に、Y軸方向の位置検出を行なう際には、X軸方向の位置検出と異なるタイミングで、位置検出用光源12A、12Cを同相で駆動し、位置検出用光源12B、12Dを同相で駆動し、かつ、位置検出用光源12A、12Cと位置検出用光源12B、12Dとを逆相で駆動して、Y軸方向に位置検出光の強度分布を生成してもよい。かかる方法でも、対象物体ObのXY平面上の位置座標を取得できる。また、このような位置検出用光源を複数同時に点灯する構成によれば、例えば、位置検出光の明暗傾斜分布が、1つの位置検出用光源を点灯する構成よりも広い範囲で好適に得られるため、より正確な位置検出が可能である。
【0047】
上記のように、光検出器15での検出結果、および位置検出光の強度分布に基づいて対象物体Obの検出領域10R内の平面位置情報を取得するにあたって、例えば、信号処理部としてマイクロプロセッサーユニット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。また、論理回路などのハードウェアを用いた信号処理部で処理を行う構成を採用することもできる。かかる信号処理部は、位置検出機能付き表示装置100の一部として組み込まれていても良く、位置検出機能付き表示装置100が搭載される電子機器の内部において構成されていてもよい。
【0048】
(光学式位置検出装置10の電気的構成)
図3は、本発明を適用した光学式位置検出装置10の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、本形態の光学式位置検出装置10は、位置検出用光源装置11と、光検出器15での受光結果に基づいて対象物体Obの位置を信号処理部60とを有している。ここで、位置検出用光源装置11は、XY座標検出用の4つの位置検出用光源12A〜12Dと、Z座標検出用の1つの位置検出用光源12Eと、導光板13と、5つの位置検出用光源12A〜12Eを駆動するための光源駆動部50とを備えている。
【0049】
光源駆動部50は、位置検出用光源12A〜12Eに出力する駆動パルス(駆動電流)を生成して、所定の位置検出用光源12A〜12Eに出力する駆動パルス生成出力回路510を備えている。また、光源駆動部50は、駆動パルス生成出力回路510で生成される駆動パルスの実効値(の実効電流値)の制御を行なう温度補償用実効値補正部520を備えており、かかる温度補償用実効値補正部520の前段にはA/D変換器630が設けられている。本形態において、駆動パルスの実効値を変えるには、パルス高さあるいはパルス幅が変更される。駆動パルス生成出力回路510と位置検出用光源12A〜12Dの間には可変抵抗115a〜115dが挿入されている。光源駆動部50の駆動パルス生成出力回路510と位置検出用光源12Bとの間には反転回路116bが挿入され、光源駆動部50の駆動パルス生成出力回路510と位置検出用光源12Dとの間には反転回路116dが挿入されている。このため、駆動パルス生成出力回路510が位置検出用光源12A、12Bに駆動パルスを出力すると、位置検出用光源12Aと位置検出用光源12Bとには交互に駆動パルスが印加される。また、駆動パルス生成出力回路510が位置検出用光源12C、12Dに駆動パルスを出力すると、位置検出用光源12Cと位置検出用光源12Dとには交互に駆動パルスが印加される。
【0050】
光学式位置検出装置10は、温度補償用光源12Tと、この温度補償用光源12Tを駆動する温度補償用光源駆動回路710を備えている。また、光学式位置検出装置10において、信号処理部60は、バックグラウンド補正条件決定部730、フィードバック制御部640、および位置検出部650を備えている。ここで、フィードバック制御部640は、可変抵抗115a〜115dを制御する機能を担っている。すなわち、フィードバック制御部640は、可変抵抗115a、115bの抵抗値を調整して光位置検出用光源12A、12Bにおける駆動パルスの実効値バランスを調整し、可変抵抗115c、115dの抵抗値を調整して光位置検出用光源12C、12Dにおける駆動パルスの実効値バランスを調整する。位置検出部650は、X座標検出部651、Y座標検出部652およびZ座標検出部653を備えている。
【0051】
また、信号処理部60は、光検出器15に電気的接続に増幅器610と、フィードバック抵抗620とを有しており、増幅器610の後段にはスイッチ部680が接続されている。スイッチ部680は、増幅器610からの出力をA/D変換器630、フィードバック制御部640、バックグラウンド補正条件決定部730、および位置検出部650のいずれに出力するかを切り換える。かかる切り換えは、制御部(図示せず)からの指令に基づいて行われる。本形態において、信号処理部60、位置検出部650、温度補償用光源駆動回路710、光源駆動部50、可変抵抗115a〜115d、および反転回路116b、116dは共通の半導体集積回路70に構成されている。
【0052】
(温度補償の内容)
図4は、本発明を適用した光学式位置検出装置で用いた位置検出用光源(発光ダイオード)の周囲温度と発光出力との関係を示すグラフである。
【0053】
本形態の光学式位置検出装置10において、位置検出用光源12A〜12Eに用いた発光ダイオードは、図4に示す温度特性を有しており、周囲温度(環境温度)が高いほど出射光量が−10%/20℃の割合で直線的に低下し、かかる温度特性は位置検出精度を低下させる。また、光検出器15に入射した外光に含まれる赤外光(バックグラウンド)が入射した場合も、かかる温度特性は位置検出精度を低下させる。そこで、本形態では、位置検出用光源12A〜12Eと同一の発光ダイオードからなる温度補償用光源12Tを発光させて光検出器15で受光し、その受光結果に基づいて、図4に示す温度特性分だけ、位置検出用光源12A〜12Eを駆動する駆動パルスの実効値を調整する。その結果、位置検出用光源12A〜12Eからの出射強度が補正されることになる。
【0054】
(位置検出の方法)
図5は、本発明を適用した光学式位置検出装置で行う温度補償方法の説明図である。本形態の光学式位置検出装置10において、X座標を検出するには、図5(a)に模式的に示すように、位置検出用光源12Aを基準実効値の駆動パルスで駆動して位置検出光L2aを出射する動作と、位置検出用光源12Aと同様、位置検出用光源12Bを基準実効値の駆動パルスで駆動して位置検出光L2bを出射する動作とを交互に行う。その間、光検出器15は、指などの対象物体Obで反射した位置検出光L2a,L2bを検出する。次に、光検出器15での受光結果に基づいて、図5(b)に示すように、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と位置検出光L2bの光検出器15での受光量とが同一となるように、位置検出用光源12Aに対する駆動パルスの実効値を第1実効値に変更し、位置検出用光源12Bに対する駆動パルスの実効値を第2実効値に変更する。このようにして、位置検出用光源12A、12Bからの出射光量を調整し、その調整量ΔL11(第1実効値−基準実効値)、ΔL12(第2実効値−基準実効値)を求める。そして、位置検出部650のX座標検出部は、調整量ΔL11、ΔL12の比に基づいて、X座標を求める。Y座標を検出するには、位置検出用光源12C、12Dを用い、同様な方法で検出する。
【0055】
ここで、位置検出用光源12A、12Bに用いた発光ダイオードは、環境温度が高いと、図5(c)に示すように出射光量が低下する。例えば、温度が75℃のときは、温度が25℃のときと比較して出射光量が25%低下する。かかる状態で位置検出を行なうと、位置検出精度が大きく低下するが、本形態では、予め、位置検出用光源12A〜12Eを消灯させ、この状態で温度補償用光源12Tを発光させたときの光検出器15での受光結果に基づいて、図4に示す温度特性分だけ、位置検出用光源12A〜12Eを駆動する駆動パルスの実効値を調整する。その結果、位置検出用光源12A〜12Eからの出射強度を、図5(a)に示す適正な状態に戻すことができる。
【0056】
なお、Z座標を検出する際には、位置検出用光源12Eが用いられる。かかる位置検出用光源12Eも、温度補償用光源12Tを発光させたときの光検出器15での受光結果に基づいて、図4に示す温度特性分だけ、実効値が調整される。
【0057】
(バックグラウンドの補正)
本形態では、位置検出用光源12A〜12Eおよび温度補償用光源12Tを消灯させた状態での光検出器15での受光結果に基づいて、バックグラウンド補正条件を決定する。かかる補正条件は、環境光に含まれる赤外光の影響を補正するための条件である。かかる補正を行なうには、各種の方法があるが、本形態では、例えば、図5(b)を参照して説明した調整量ΔL11、ΔL12の比から所定の値を加算する処理、あるいは調整量ΔL11、ΔL12の比に所定の係数を乗じる処理を行ない、しかる後に、バックグラウンド分を補正した値に基づいて、X座標を求める。なお、Y座標を検出する際も同様である。また、Z座標を検出する際には、光検出器15での受光結果に所定の値を加算する処理、あるいは所定の係数を乗じるバックグラウンド補正処理を行い、しかる後に、バックグラウンド分を補正した値に基づいて、Z座標を求める。
【0058】
(動作)
図6は、本発明を適用した光学式位置検出装置で行う動作を示すフローチャートである。図7は、本発明を適用した光学式位置検出装置で行う動作を示すタイミングチャートである。本形態では、図6および図7を参照して以下に説明するように、図4を参照して説明した信号処理部60などを用いて、XYZ座標を検出する際、温度補償およびバックグラウンド補正を行う。なお、以下の処理は、制御部(図示せず)の制御の下、行なわれる。
【0059】
まず、図3、図5および図6において、ステップST1(期間t1)では、スイッチ部680において、増幅器610とバックグラウンド補正条件決定部730とを接続した状態とする。次に、位置検出用光源12A〜12Eおよび温度補償用光源12Tを消灯させた状態での光検出器15の受光結果をバックグラウンド補正条件決定部730に出力する。その結果、バックグラウンド補正条件決定部730は、バックグラウンド補正条件Ibgを決定し、かかるバックグラウンド補正条件Ibgを保持する(バックグラウンド補正条件決定工程)。
【0060】
次に、ステップST2(期間t2)では、スイッチ部680において増幅器610とA/D変換器630とを接続した状態とする。次に、位置検出用光源12A〜12Eを消灯させる一方、温度補償用光源駆動回路710によって温度補償用光源12Tを駆動し、点灯させる。この状態での光検出器15の受光結果ItmpをA/D変換器630を介して温度補償用実効値補正部520に入力する。その結果、温度補償用実効値補正部520は、図4に示す条件に基づいて、位置検出用光源12A〜12Eに供給する駆動パルスの実効値を決定する。すなわち、温度補償用実効値補正部520は、周囲温度がどのようなときでも、温度が20℃のときと同一の光量で位置検出用光源12A〜12Eが位置検出光L2a〜L2eを放出する駆動パルスの実効値を決定する。
【0061】
次に、期間t3ではX座標の検出動作を行なう。具体的には、ステップST3において、スイッチ部680は、増幅器610とフィードバック制御部640とを接続した状態とする。また、光源駆動部50において、駆動パルス生成出力回路510は、温度補償用実効値補正部520での指令に対応する実効値の駆動パルスを位置検出用光源12A、12Bに出力する(温度補償工程)。次に、ステップST4では、フィードバック制御部640が光検出器15での検出結果に基づいて可変抵抗115a、116aを制御して位置検出用光源12A、12Bに供給される駆動パルスの高さ(実効値)を調整し、図5を参照して説明した処理を行う。そして、位置検出部650のX座標検出部651は、調整量ΔL11、ΔL12の比Ixを求める。次に、ステップST5において、X座標検出部651は、調整量ΔL11、ΔL12の比Ixおよびバックグラウンド補正条件Ibgを用いて、バックグラウンド補正を行い、しかる後にステップST6では、バックグラウンド補正後の値Ix′を用いてX座標の特定を行なう(位置検出工程)。
【0062】
次に、期間t4ではY座標の検出動作を行なう。具体的には、ステップST7において、駆動パルス生成出力回路510は、温度補償用実効値補正部520での指令に対応する実効値の駆動パルスを位置検出用光源12C、12Dに出力する(温度補償工程)。次に、ステップST8では、フィードバック制御部640が光検出器15での検出結果に基づいて可変抵抗115c、116dを制御して位置検出用光源12C、12Dに供給される駆動パルスの高さ(実効値)を調整し、図5を参照して説明した処理を行う。そして、位置検出部650のY座標検出部652は、調整量ΔL11、ΔL12の比Iyを求める。次に、ステップST9において、Y座標検出部652は、調整量ΔL11、ΔL12の比Iyおよびバックグラウンド補正条件Ibgを用いて、バックグラウンド補正を行い、しかる後にステップST10では、バックグラウンド補正後の値Iy′を用いてY座標の特定を行なう(位置検出工程)。
【0063】
次に、期間t5では、Z座標の検出動作を行なう。具体的には、ステップST11において、スイッチ部680は、増幅器610と位置検出部650とを接続した状態とする。また、光源駆動部50において、駆動パルス生成出力回路510は、温度補償用実効値補正部520での指令に対応する実効値の駆動パルスを位置検出用光源12Eに出力する(温度補償工程)。次に、ステップST12では、光検出器15が対象物体Obで反射した位置検出光L2eを受光する。そして、ステップST13において、位置検出部650のZ座標検出部653は、光検出器15での受光結果Izおよびバックグラウンド補正条件Ibgを用いて、バックグラウンド補正を行い、しかる後にステップST14では、バックグラウンド補正後の値Iz′を用いてZ座標の特定を行なう(位置検出工程)。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では、位置検出光L2a〜L2eが導光板13の光出射面13sから出射され、これが導光板13の出射側に配置された対象物体Obによって反射されると、この反射光が光検出器15によって検出される。ここで、検出領域10Rにおける位置検出光L2a〜L2eの強度と位置検出用光源12A〜12Eからの距離とが所定の相関性を有しているので、光検出器15を介して得られた受光強度から対象物体ObのXYZ座標を検出することができる。それ故、検出領域10Rに沿って多数の光学素子を配置する必要がないので、低コストかつ低消費電力の光学式位置検出装置10を構成することができる。
【0065】
また、本形態では、位置検出用光源12A〜12Eの温度特性を補償するにあたって、位置検出用光源12A〜12Eを消灯させた状態で温度補償用光源12Tを点灯させ、その際の光検出器15での受光結果に基づいて、位置検出用光源12A〜12Eに供給する駆動パルス(駆動電流)の実効値を補正する。このため、周囲温度が何度であっても、位置検出用光源12A〜12Eは基準温度(例えば、25℃)と同一の強度をもって位置検出光L2a〜L2eを放出する。従って、位置検出光L2a〜L2eを検出した結果に温度補正を行なう場合と違って、補正が容易であり、確実である。それ故、本形態によれば、温度変化が発生した場合でも、精度よく位置検出を行なうことができる。
【0066】
また、本形態において、温度補償用光源12Tから光検出器15に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材19を設け、位置検出用光源12A〜12Eおよび温度補償用光源12Tが消灯している状態での光検出器15での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定する。このように構成すると、温度補償用光源12Tを用いての補正結果にはバックグラウンドが入らない。それ故、温度補正とバックグラウンド補正を各々別々に適切に行なうことができる。
【0067】
(他の検出方法)
上記形態では、例えば、X座標を検出する際、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と位置検出光L2bの光検出器15での受光量とが同一となるように位置検出用光源12A、12Bからの出射光量を調整した際の調整量ΔL11、ΔL12に基づいて、X座標を求めたが、位置検出光L2aの光検出器15での受光量と、位置検出光L2bの光検出器15での受光量との比や差からX座標を求めてもよい。Y座標を求める場合も同様である。このような構成の場合には、図3に示すフィードバック制御部640や可変抵抗115a〜115dを省略することができる。
【0068】
上記形態では、XYZ座標を検出する例であったが、XY座標のみを検出する場合に本発明を適用してもよい。
【0069】
また、上記形態では、光検出器15の検出結果を直接用いたが、光検出器15にキャパシタを並列に電気的接続し、光検出器15での受光量に連動して発生するキャパシタの放電あるいは充電を監視した結果を光検出器15の検出結果として用いてもよい。
【0070】
(位置検出用光源装置11の別の構成)
図8は、本発明を適用した光学式位置検出装置10に用いた別の位置検出用光源装置11の説明図である。上記実施の形態では、位置検出用光源装置11として、導光板13を用いたが、図1に示す位置検出機能付き表示装置100の場合には、図8に示すように、スクリーン状の被投射面201の背面側において、検出領域10Rに対してZ軸方向で対向する位置に複数の位置検出用光源12を配列させ、導光板を有しない構成の位置検出用光源装置11を採用してもよい。
【0071】
かかる構成の場合にも、対象物体ObのX座標位置を検出する際、複数の位置検出用光源12のうち、X方向で離間する位置検出用光源12の一方のみを点灯させれば、X方向に位置検出光の強度分布を形成することができる。また、対象物体ObのY座標位置を検出する際、複数の位置検出用光源12のうち、Y方向で離間する位置検出用光源12の一方のみを点灯させれば、Y方向に位置検出光の強度分布を形成することができる。さらに、対象物体ObのZ座標位置を検出する際、複数の位置検出用光源12の全てを点灯させれば、Z方向に位置検出光の強度分布を形成することができる。
【0072】
[位置検出機能付き表示装置100の変形例]
上記実施の形態では、画像生成装置200として投射型表示装置203、207を備えている構成であったが、図9〜図12に示すように、直視型の表示装置を画像生成装置200として採用すれば、図13を参照して後述する電子機器に用いることができる。
【0073】
(位置検出機能付き表示装置100の変形例1)
図9および図10は、本発明の変形例1に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の分解斜視図、および断面構成を示す説明図である。なお、本形態の位置検出機能付き表示装置100において、光学式位置検出装置10の構成は、上記実施の形態と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0074】
図9および図10に示す位置検出機能付き表示装置100は、光学式位置検出装置10と画像生成装置200とを備えており、光学式位置検出装置10は、位置検出光を放出する位置検出用光源12と、導光板13と、検出領域10Rに受光部15aを向けた光検出器15とを備えている。画像生成装置200は、有機エレクトロルミネッセンス装置やプラズマ表示装置などといった直視型表示装置208であり、光学式位置検出装置10に対して入力操作側とは反対に設けられている。直視型表示装置208は、導光板13に対して平面視で重なる領域に画像表示領域20Rを備えており、かかる画像表示領域20Rは検出領域10Rと平面視で重なっている。
【0075】
(位置検出機能付き表示装置100の変形例2)
図11および図12は、本発明の変形例2に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の説明図であり、図11および図12は各々、光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の分解斜視図、および断面構成を示す説明図である。なお、本形態の位置検出機能付き表示装置100において、光学式位置検出装置10の構成は、上記実施の形態と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0076】
図11および図12に示す位置検出機能付き表示装置100は、光学式位置検出装置10と画像生成装置200とを備えており、光学式位置検出装置10は、位置検出光を放出する位置検出用光源12と、導光板13と、検出領域10Rに受光部15aを向けた光検出器15とを備えている。画像生成装置200は、直視型表示装置である液晶装置209と、透光性カバー30とからなる。液晶装置209は、導光板13に対して平面視で重なる領域に画像表示領域20Rを備えており、かかる画像表示領域20Rは検出領域10Rと平面視で重なっている。
【0077】
本形態の位置検出機能付き表示装置100において、導光板13の光出射側には、必要に応じて、位置検出光L2a〜L2dの均―化を図るための光学シート16が配置されている。本形態においては、光学シート16として、導光板13の光出射面13sに対向する第1プリズムシート161と、第1プリズムシート161に対して導光板13が位置する側とは反対側で対向する第2プリズムシート162と、第2プリズムシート162に対して導光板13が位置する側とは反対側で対向する光散乱板163とが用いられている。なお、光学シート16に対して導光板13が位置する側とは反対側には矩形枠状の遮光シート17が光学シート16の周囲に配置されている。かかる遮光シート17は、位置検出用光源12A〜12Dから出射された位置検出光L2a〜L2dが漏れるのを防止する。
【0078】
液晶装置209(画像生成装置200)は、光学シート16(第1プリズムシート161、第2プリズムシート162および光散乱板163)に対して導光板13が位置する側とは反対側に液晶パネル209aを備えている。本形態において、液晶パネル209aは、透過型の液晶パネルであり、2枚の透光性基板21、22をシール材23で貼り合わせ、基板間に液晶24を充填した構造を有している。本形態において、液晶パネル209aは、アクティブマトリクス型液晶パネルであり、2枚の透光性基板21、22の一方側には透光性の画素電極、データ線、走査線、画素スイッチング素子(図示せず)が形成され、他方側には透光性の共通電極(図示せず)が形成されている。なお、画素電極および共通電極が同一の基板に形成されることもある。かかる液晶パネル209aでは、各画素に対して走査線を介して走査信号が出力され、データ線を介して画像信号が出力されると、複数の画素の各々で液晶24の配向が制御される結果、画像表示領域20Rに画像が形成される。
【0079】
液晶パネル209aにおいて、一方の透光性基板21には、他方の透光性基板22の外形より周囲に張り出した基板張出部21tが設けられている。この基板張出部21tの表面)上には駆動回路などを構成する電子部品25が実装されている。また、基板張出部21tには、フレキシブル配線基板(FPC)などの配線部材26が接続されている。なお、基板張出部21t上には配線部材26のみが実装されていてもよい。なお、必要に応じて透光性基板21、22の外面側には偏光板(図示せず)が配置される。
【0080】
ここで、対象物体Obの平面位置を検出するためには、位置検出光L2a〜L2dを対象物体Obによる操作が行われる視認側へ出射させる必要があり、液晶パネル209aは、導光板13および光学シート16よりも視認側(操作側)に配置されている。従って、液晶パネル209aにおいて、画像表示領域20Rは、位置検出光L2a〜L2dを透過可能に構成される。なお、液晶パネル209aが導光板13の視認側とは反対側に配置される場合には、画像表示領域20Rが位置検出光L2a〜L2dを透過するように構成されている必要はないが、その代りに、画像表示領域20Rが導光板13を通して視認側より透視可能に構成される必要がある。
【0081】
液晶装置209は、液晶パネル209aを照明するための照明装置40を備えている。本形態において、照明装置40は、導光板13に対して液晶パネル209aが位置する側とは反対側において導光板13と反射板14との間に配置されている。照明装置40は、照明用光源41と、この照明用光源41から放出される照明光を伝播させながら出射する照明用導光板43とを備えており、照明用導光板43は、矩形の平面形状を備えている。照明用光源41は、例えばLED(発光ダイオード)などの発光素子で構成され、駆動回路(図示せず)から出力される駆動信号に応じて、例えば白色の照明光L4を放出する。本形態において、照明用光源41は、照明用導光板43の辺部分43aに沿って複数、配列されている。
【0082】
照明用導光板43は、辺部分43aに隣接する光出射側の表面部分(光出射面43sの辺部分43a側の外周部)に傾斜面43gが設けられ、照明用導光板43は、辺部分43aに向けて厚みが徐々に増加している。かかる傾斜面43gを有する入光構造によって、光出射面43sが設けられる部分の厚みの増加を抑制しつつ、辺部分43aの高さを照明用光源41の光放出面の高さに対応させてある。
【0083】
かかる照明装置40において、照明用光源41から出射された照明光は、照明用導光板43の辺部分43aから照明用導光板43の内部に入射した後、照明用導光板43の内部を反対側の外縁部43bに向けて伝播し、一方の表面である光出射面43sから出射される。ここで、照明用導光板43は、辺部分43a側から反対側の外縁部43bに向けて内部伝播光に対する光出射面43sからの出射光の光量比率が単調に増加する導光構造を有している。かかる導光構造は、例えば、照明用導光板43の光出射面43s、または背面43tに形成された光偏向用あるいは光散乱用の微細な凹凸形状の屈折面の面積、印刷された散乱層の形成密度などを上記内部伝播方向に向けて徐々に高めることで実現される。このような導光構造を設けることで、辺部分43aから入射した照明光L4は光出射面43sからほぼ均一に出射される。
【0084】
本形態において、照明用導光板43は、液晶パネル209aの視認側とは反対側で液晶パネル209aの画像表示領域20Rと平面的に重なるように配置され、いわゆるバックライトとして機能する。但し、照明用導光板43を液晶パネル209aの視認側に配置して、いわゆるフロントライトとして機能するように構成してもよい。また、本形態において、照明用導光板43は導光板13と反射板14との間に配置されているが、照明用導光板43を光学シート16と導光板13との間に配置してもよい。また、照明用導光板43と導光板13とは共通の導光板として構成してもよい。また、本形態では、光学シート16を位置検出光L2a〜L2dと照明光L4との間で共用としている。但し、照明用導光板43の光出射側に、上記の光学シート16とは別の専用の光学シートを配置してもよい。これは、照明用導光板43においては光出射面43sから出射される照明光L4の平面輝度を均―化することを目的に、十分な光散乱作用を呈する光散乱板を用いることが多いが、位置検出用の導光板13においては光出射面13sから出射される位置検出光L2a〜L2dを大きく散乱させてしまうと位置検出の妨げとなる。このため、光散乱板を設けないか、あるいは比較的軽度の光散乱作用を呈する光散乱板を用いる必要があることから、光散乱板については照明用導光板43の専用品とすることが好ましい。但し、プリズムシート(第1プリズムシート161や第2プリズムシート162)などの集光作用のある光学シートについては共用としても構わない。
【0085】
(電子機器への搭載例)
図13を参照しながら、図9〜図12を参照して説明した位置検出機能付き表示装置100を適用した電子機器について説明する。図13は、本発明に係る位置検出機能付き表示装置を用いた電子機器の説明図である。図13(a)に、位置検出機能付き表示装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す。パーソナルコンピューター2000は、表示ユニットとしての位置検出機能付き表示装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001、およびキーボード2002が設けられている。図13(b)に、位置検出機能付き表示装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001、およびスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての位置検出機能付き表示装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、位置検出機能付き表示装置100に表示される画面がスクロールされる。図13(c)に、位置検出機能付き表示装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001、および電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての位置検出機能付き表示装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が位置検出機能付き表示装置100に表示される。
【0086】
なお、位置検出機能付き表示装置100が適用される電子機器としては、図13に示すものの他、デジタルスチールカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、銀行端末などの電子機器などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した位置検出機能付き表示装置100が適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10・・光学式位置検出装置、10R・・検出領域、11・・位置検出用光源装置、12A〜12E・・位置検出用光源、12T・・温度補償用光源、13・・導光板、13a、13b、13c、13d・・光入射部、光射部、13s・・光出射面、15・・光検出器、50・・光源駆動部、100・・位置検出機能付き表示装置、200・・画像生成装置、510・・駆動パルス生成出力回路、520・・温度補償用実効値補正部、640・・フィードバック制御部、650・・位置検出部、730・・バックグラウンド補正条件決定部、L2a〜L2e・・位置検出光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するための光学式位置検出装置であって、
前記対象物体に照射するための位置検出光を放出する位置検出用光源、および該位置検出用光源を駆動する光源駆動部を備え、前記検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源装置と、
前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された光検出器と、
前記光検出器での受光結果および前記強度分布に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部を備えた信号処理部と、
前記位置検出用光源が消灯している状態で前記光検出器に向けて光を放出する温度補償用光源と、
前記温度補償用光源から出射された光の前記光検出器での受光結果に基づいて、前記光源駆動部が前記位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する温度補償用実効値補正部と、
を有していることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記温度補償用光源から前記光検出器に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材を有し、
前記信号処理部は、前記位置検出用光源および前記温度補償用光源が消灯している状態での前記光検出器での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定するバックグラウンド補正条件決定部を備え、
前記位置検出部は、前記光検出器での受光結果、前記強度分布および前記バックグラウンド補正条件に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記位置検出用光源装置は、前記位置検出用光源として、前記位置検出光としての第1位置検出光を放出して前記検出領域の平面視における第1方向の強度分布を形成する第1位置検出用光源と、前記位置検出光としての第2位置検出光を放出して前記第1方向とは逆向きの強度分布を形成する第2位置検出用光源と、を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記光検出器での受光結果に基づいて前記駆動電流を調整するフィードバック制御部を備え、
当該フィードバック制御部は、前記光検出器での前記第1位置検出光の受光量および前記第2位置検出光の受光量に基づいて、前記第1位置検出光の受光量と前記第2位置検出光の受光量とが同一となるように、前記第1位置検出用光源に対する駆動電流を第1実効値に調整し、前記第2位置検出用光源に対する駆動電流を第2実効値に調整し、
前記位置検出部は、前記第1実効値および前記第2実効値に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項3に記載の光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記フィードバック制御部は、前記第1位置検出用光源および前記第2位置検出用光源を同一の基準実効値の駆動電流で駆動した際の前記検出器での検出結果に基づいて、前記第1位置検出用光源に対する駆動電流を前記基準実効値から前記第1実効値に調整し、前記第2位置検出用光源に対する駆動電流を前記基準実効値から前記第2実効値に調整し、
前記位置検出部は、前記基準実効値から前記第1実効値への調整量および前記基準実効値から前記第2実効値への調整量に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項4に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記位置検出用光源装置は、前記第1位置検出用光源および前記第2位置検出用光源からなる光源対として、前記第1方向および前記第2方向の前記強度分布を形成する第1光源対と、該第1光源対が形成する前記強度分布の方向に対して交差する方向の強度分布を形成する第2光源対と、を備えていることを特徴とする請求項4または5に記載の光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記位置検出用光源装置は導光板を備え、
当該導光板は、前記位置検出用光源から出射された前記位置検出光を内部に取り込む複数の光入射部と、該光入射部から採り込んだ前記位置検出光を前記検出領域に向けて出射して前記位置検出光の強度分布を形成する光出射面と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置であって、
前記導光板に対して平面視で重なる領域に画像を形成する画像生成装置を有していることを特徴とする位置検出機能付き表示装置。
【請求項9】
検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するための光学式位置検出方法であって、
位置検出用光源から出射された位置検出光の強度分布を前記検出領域に形成する位置検出用光源装置と、前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された光検出器と、前記光検出器に向けて光を放出する温度補償用光源とを設けておき、
前記位置検出用光源を消灯させた状態で前記温度補償用光源を点灯させ、当該温度補償用光源から出射された光の前記光検出器での受光結果に基づいて、前記位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する温度補償工程と、
前記温度補償用光源を消灯させた状態で、前記温度補償工程で補正された条件で前記位置検出用光源を駆動し、前記光検出器での受光結果および前記強度分布に基づいて位置を検出する位置検出工程と、
を有することを特徴とする光学式位置検出方法。
【請求項10】
前記温度補償工程を行なう際、前記温度補償用光源から前記光検出器に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材を設けておき、
前記位置検出用光源および前記温度補償用光源が消灯している状態での前記光検出器での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定するバックグラウンド補正条件決定工程を行い、前記位置検出工程では、前記光検出器での受光結果、前記強度分布、および前記バックグラウンド補正条件に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする光学式位置検出方法。
【請求項1】
検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するための光学式位置検出装置であって、
前記対象物体に照射するための位置検出光を放出する位置検出用光源、および該位置検出用光源を駆動する光源駆動部を備え、前記検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源装置と、
前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された光検出器と、
前記光検出器での受光結果および前記強度分布に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部を備えた信号処理部と、
前記位置検出用光源が消灯している状態で前記光検出器に向けて光を放出する温度補償用光源と、
前記温度補償用光源から出射された光の前記光検出器での受光結果に基づいて、前記光源駆動部が前記位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する温度補償用実効値補正部と、
を有していることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記温度補償用光源から前記光検出器に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材を有し、
前記信号処理部は、前記位置検出用光源および前記温度補償用光源が消灯している状態での前記光検出器での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定するバックグラウンド補正条件決定部を備え、
前記位置検出部は、前記光検出器での受光結果、前記強度分布および前記バックグラウンド補正条件に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記位置検出用光源装置は、前記位置検出用光源として、前記位置検出光としての第1位置検出光を放出して前記検出領域の平面視における第1方向の強度分布を形成する第1位置検出用光源と、前記位置検出光としての第2位置検出光を放出して前記第1方向とは逆向きの強度分布を形成する第2位置検出用光源と、を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記光検出器での受光結果に基づいて前記駆動電流を調整するフィードバック制御部を備え、
当該フィードバック制御部は、前記光検出器での前記第1位置検出光の受光量および前記第2位置検出光の受光量に基づいて、前記第1位置検出光の受光量と前記第2位置検出光の受光量とが同一となるように、前記第1位置検出用光源に対する駆動電流を第1実効値に調整し、前記第2位置検出用光源に対する駆動電流を第2実効値に調整し、
前記位置検出部は、前記第1実効値および前記第2実効値に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項3に記載の光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記フィードバック制御部は、前記第1位置検出用光源および前記第2位置検出用光源を同一の基準実効値の駆動電流で駆動した際の前記検出器での検出結果に基づいて、前記第1位置検出用光源に対する駆動電流を前記基準実効値から前記第1実効値に調整し、前記第2位置検出用光源に対する駆動電流を前記基準実効値から前記第2実効値に調整し、
前記位置検出部は、前記基準実効値から前記第1実効値への調整量および前記基準実効値から前記第2実効値への調整量に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項4に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記位置検出用光源装置は、前記第1位置検出用光源および前記第2位置検出用光源からなる光源対として、前記第1方向および前記第2方向の前記強度分布を形成する第1光源対と、該第1光源対が形成する前記強度分布の方向に対して交差する方向の強度分布を形成する第2光源対と、を備えていることを特徴とする請求項4または5に記載の光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記位置検出用光源装置は導光板を備え、
当該導光板は、前記位置検出用光源から出射された前記位置検出光を内部に取り込む複数の光入射部と、該光入射部から採り込んだ前記位置検出光を前記検出領域に向けて出射して前記位置検出光の強度分布を形成する光出射面と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置であって、
前記導光板に対して平面視で重なる領域に画像を形成する画像生成装置を有していることを特徴とする位置検出機能付き表示装置。
【請求項9】
検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するための光学式位置検出方法であって、
位置検出用光源から出射された位置検出光の強度分布を前記検出領域に形成する位置検出用光源装置と、前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された光検出器と、前記光検出器に向けて光を放出する温度補償用光源とを設けておき、
前記位置検出用光源を消灯させた状態で前記温度補償用光源を点灯させ、当該温度補償用光源から出射された光の前記光検出器での受光結果に基づいて、前記位置検出用光源に供給する駆動電流の実効値を補正する温度補償工程と、
前記温度補償用光源を消灯させた状態で、前記温度補償工程で補正された条件で前記位置検出用光源を駆動し、前記光検出器での受光結果および前記強度分布に基づいて位置を検出する位置検出工程と、
を有することを特徴とする光学式位置検出方法。
【請求項10】
前記温度補償工程を行なう際、前記温度補償用光源から前記光検出器に向かう光路を周囲から遮光する遮光部材を設けておき、
前記位置検出用光源および前記温度補償用光源が消灯している状態での前記光検出器での受光結果に基づいてバックグラウンド補正条件を決定するバックグラウンド補正条件決定工程を行い、前記位置検出工程では、前記光検出器での受光結果、前記強度分布、および前記バックグラウンド補正条件に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする光学式位置検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−39914(P2011−39914A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188295(P2009−188295)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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