説明

光学情報読取装置

【課題】 種々の周囲照度環境下において誤り無く短時間で情報コードを読み取ることができる光学情報読取装置を提供する。
【解決手段】 CCDセンサ12からの出力電圧をオペアンプ20で直接監視してCCDセンサ12の出力の飽和の有無を検出し、飽和が検出された時間をタイマ38で積算して飽和強度を推定する。そして、出力の飽和が有った場合に、画像からの情報コードのデコードを行わないようにする。CCDセンサ12の出力が飽和して、画像からの情報コードのデコードが困難な際に、デコードを行わないため、露光条件の適合しない過度に明るい周囲照度環境下においてデコードを試みる時間の無駄を無くすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等に印刷又は貼り付けられているバーコード等の光学情報を読み取る光学情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙などの基材にバーコードなどの光学情報を印刷したものを物品や書類に取り付け、これを光学的に読み取り、物品の識別などを行う光学情報読取装置が知られている。係る光学情報読取装置は、ケース内部のLED等の光照射手段から読取口が向けられている光学情報を照明し、この照明により光学情報から反射される光を、読取口からケース内部に導きレンズでCCD等に結像させ、その像の明暗の分布から光学情報が表している情報を解読していた。ここで、特許文献1には、一次元センサの露光時間、増幅回路の増幅率を設定できるバーコード読取装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−60244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光学情報読取装置は、高周囲照度環境下ではCCDセンサに入射する光が強くなり(例えば太陽光の入射)、センサ出力が飽和してしまうと、センサは光信号を正常に電気信号に変換できず、一般的には読み取りが不可能となるが、予期せぬ電気信号を出力することがあり、誤読の原因となることもある。例えば、片側からラベル面に強い光が当たったりすることで、ラベル面からの反射光強度が一部分のみ強く飽和してしまった場合、バーコードの一部分が欠落し、バーコードデータとは異なるデータでデコード出来てしまうことがある。具体的には、CODABARの桁数が欠けてしまう等の現象が発生する。或いは、センサの種類によっては、飽和した部分の波形が反転するような現象が発生し、白黒データが全く逆転するような場合がある。白と黒が反転することで、異なるデータとなるバーコードも存在するため、センサ出力が飽和すると、誤読の可能性が高くなることは避けられない。
【0004】
一般的に光学情報読取装置は、受光センサの露光時間を段階的に調整することで、高周囲照度環境下で受光センサの出力が飽和しないようにすると共に、逆に暗すぎる環境でも読み取りに必要な受光センサ出力電圧が得られるようにしている。具体的には、図10(A)に示すように露光時間を露光時間1→露光時間2→露光時間3→露光時間4と徐々に長くし、読取条件a(例えば、信号の増幅率a)、読取条件b(例えば、信号の2値化のシキイ値b)、読取条件c(例えば、デコード条件c)等を変えながらデコードを繰り返し、露光時間4でデコードが出来ないときには、露光時間1に戻るという処理を行っている。例えば、露光時間1の読取条件cで読み取れなかった場合には、露光時間2の読取条件dで読み取りを試み、ここでも読み取れなかったときに、露光時間2の読取条件eで読み取りを試みる。このため、読み取り可能な露光時間に移行するまでに時間がかかり、読み取りフィーリングの悪化にもつながっている。
【0005】
なお、露光時間を短くすることで耐周囲照度性能を強化することは出来る。ただし、一般的に廉価なCCDセンサにはシャッター機能がなく、露光時間を短くすると、信号波形全体が短くなり、波形の分解能力が下がるので、露光時間を短くすることには限界がある。このため、最終的にスキャンデータが誤っている可能性がある場合は、バーコードデータをキャンセルする必要がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、種々の周囲照度環境下において誤り無く短時間で情報コードを読み取ることができる光学情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、受光センサ12で撮像された画像から情報コードをデコードする光学情報読取装置であって、
前記受光センサ12からの出力電圧を直接監視して受光センサ出力の飽和の有無を検出する飽和検出手段20と、
飽和が検出された時間を積算して飽和強度を推定する飽和強度推定手段38と、
飽和強度が所定以上で有る場合に、画像からの情報コードのデコードを行わないようにする明デコード中止手段(S20、S24)と、
飽和強度に応じて、次画像を撮像する際の露光条件を暗くするように設定する暗露光条件設定手段(S22、S26)とを備えることを技術的特徴とする。
【0008】
請求項1の光学情報読取装置では、受光センサからの出力電圧を直接監視して受光センサ出力の飽和の有無を検出し、飽和が検出された時間を積算して飽和強度を推定する。そして、飽和強度が所定以上で有る場合に、画像からの情報コードのデコードを行わないようにする。このため、受光センサの出力が飽和して、画像からの情報コードのデコードが困難な際に、デコードを行わないため、露光条件の適合しない過度に明るい周囲照度環境下においてデコードを試みる時間の無駄を無くすことができる。特に、飽和した際に出力が反転する受光センサを用いた際に、情報コードの誤読を防ぐことが可能となる。更に、デコードを行うこと無く、飽和強度に応じて、次画像を撮像する際の露光条件を暗くするように設定して、情報コードを読み取る。このため、種々の周囲照度環境下において短時間で情報コードを読み取ることができる。
【0009】
請求項2の光学情報読取装置では、飽和強度の大きさに応じて、露光条件の暗い第1の露光条件と、該第1の露光条件よりも更に暗い第2の露光条件とを設定するため、周囲の明るさに応じた露光条件を迅速に設定でき、種々の周囲照度環境下において短時間で情報コードを読み取ることができる。
【0010】
請求項3の光学情報読取装置では、受光センサからの出力電圧を監視して読み取り可能電圧に達するかを検出し、読み取り可能電圧が検出された時間を積算して露光不足強度を推定し、露光不足強度に応じて、次画像を撮像する際の露光条件を明るくするように設定する。このため、露光が不足する際には露光不足強度に応じて、次画像を撮像する際の露光条件を明るくするように設定して、情報コードを読み取る。このため、種々の周囲照度環境下において短時間で情報コードを読み取ることができる。
【0011】
請求項4の光学情報読取装置では、露光不足強度が所定以下で有る場合に、画像からの情報コードのデコードを行わないようにするため、露光条件の適合しない過度に暗い照度環境下においてデコードを試みる時間の無駄を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学情報読取装置を印刷されたバーコード用の光学情報読取装置に適用した第1実施形態について図を参照して説明する。まず、第1実施形態に係る光学情報読取装置10の構成概要を図1の説明図を参照して説明する。
発光ダイオード22a、22bでバーコードBを照明し、バーコード像を結像レンズ24を介してCCDセンサ12上に結像させ、CCDセンサ12で光学信号を電気信号へ変換し、その信号を増幅回路14で増幅して、二値化回路16で二値化した後、CPU30のデコード部32でデコードする。CPU30は、デコードが失敗した際、及び、CCDセンサの出力の飽和が検出された際に、センサ駆動制御部42によりCCDセンサの露光時間を調整し、また、増幅回路制御部36により増幅回路14の増幅率を調整し、二値化回路制御部34により二値化回路16での二値化のしきい値を調整する。
【0013】
第1実施形態では、CCDセンサ12の出力の飽和を監視している。このために、オペアンプ20の反転入力側にCCDセンサ12の出力信号を印加し、非反転入力側にCCDセンサ12の飽和出力の電圧が設定された分圧回路18の電圧を印加する。なお、分圧回路18は、片側が接地され、反対側に電源電圧の印加された2個の抵抗の中点の電位を出力する。これにより、オペアンプ20は、CCDセンサ12の出力信号の電圧レベルを分圧回路18の電圧と比較し二値化する。即ち、オペアンプ20は、CCDセンサ12の出力が飽和すると出力が反転する。そして、CPU30のタイマ38で、この出力が反転した時間を積算する。この積算時間からおおよそのCCDセンサ12の飽和強度を推測する。
【0014】
図4(A)、図4(B)は、周囲照度によるCCDセンサ12の出力波形の違いを示すグラフであり、図4(A)は周囲照度5000lxのときの出力波形を、図4(B)は周囲照度10000lxのときの出力波形を示している。図3(A)は周囲照度が明るいときのCCDセンサの出力波形を、図4(B)は周囲照度が非常に明るいときの出力波形を、図3(C)はCCDセンサ出力が飽和しない際の出力波形を示す説明図である。図4(A)、図4(B)に示すようにCCDセンサ12は、5Vの駆動電圧が印加され、照度が高い際には出力波形の電圧値が下がり、飽和した際に飽和電圧へ至る。第1実施形態では、飽和電圧若しくはこれよりも僅かに高い電圧を上記分圧回路18の電圧として設定することで、オペアンプ20は、CCDセンサ12の出力の飽和により出力が反転する。そして、CPU30のタイマ38で、この出力が反転した時間を積算する。
【0015】
光学情報読取装置は通常、自己照明(第1実施形態では発光ダイオード22a、22bからの照明光)により周囲照度が0lxでも問題なく読み取りが出来る。このため、問題となるのは周囲照度が明る過ぎる場合である。第1実施形態の光学情報読取装置では、明るすぎる場合に対応するため、分圧回路18の電圧をCCDセンサ12の飽和電圧より僅か高い電圧に設定し、飽和電圧を超える時間をタイマ38で積算して、これをセンサ飽和時間とし、その積算時間から最適な露光時間を割り出し、明るすぎる周囲照度に適応する短い露光時間を新たに設定する。なお、飽和に達したと判断した場合、デコード成立、不成立に関わらずデコードデータ(画像データ)をキャンセルする。
【0016】
この第1実施形態の光学情報読取装置による読取条件の切り換えについて、図5の説明図を参照して説明する。
第1実施形態の光学情報読取装置では、読み取り条件の設定は、周囲照度が明るすぎCCDセンサ12の出力が飽和しない限り、図10(A)を参照して上述した従来技術と同様にして、露光時間を露光時間1→露光時間2→露光時間3→露光時間4と徐々に長くし、読取条件a(信号の増幅率a)、読取条件b(信号の2値化のシキイ値b)、読取条件c(デコード条件c)等を変えながらデコードを繰り返し、露光時間4でデコードが出来ないときには、露光時間1に戻るという処理を行っている。例えば、露光時間1の読取条件c(デコード条件c)で読み取れなかった場合には、露光時間2の読取条件d(信号の増幅率d)で読み取りを試み、ここでも読み取れなかったときに、露光時間2の読取条件e(信号の2値化のシキイ値e)で読み取りを試みる。そして、読み取りが行えた際に、その読み取り条件を設定して次読み取りを行う。
【0017】
他方、第1実施形態の光学情報読取装置では、上述したオペアンプ20の出力が反転した時間の積算値から周囲照明が明る過ぎる(CCDセンサ12の飽和)ことを検出すると、撮像した画像データのデコードをキャンセルし、露光時間を飽和強度に応じて調整する。例えば、露光時間4の読み取り条件j(信号の増幅率j)で、CCDセンサ12の飽和を検出すると、図3(A)に示すように飽和強度時間が短い際には露光時間2へ戻り、図3(B)に示すように飽和強度時間が長い際には露光時間1へ移行する。
【0018】
この第1実施形態の光学情報読取装置による処理について図2のフローチャートを参照して説明する。
先ず、初期値を設定して(S12)、画像を取り込む(S13)。そして、タイマ38に蓄えられたセンサ飽和判定時間積算値Taを呼び出し(S14)、センサ飽和判定時間積算値Taが0か否か、即ち、CCDセンサ12の出力が飽和したか否かを判断する(S16)。ここで、CCDセンサ12の出力が飽和している際には(S16:Yes)、センサ飽和判定時間積算値Taがしきい値時間Tよりも長いか否かを判断する(S18)。図3(A)に示すようにしきい値時間Tよりも短く、飽和強度が相対的に低い場合には(S18:Yes)、取り込んだ画像データをクリアし(S20)、図5中に示す露光時間2の読取条件dへジャンプして(S22)、画像取り込みを行う(S13)。ここで、図3(B)に示すようにしきい値時間Tよりも長く、飽和強度が相対的に高い場合には(S18:No)、取り込んだ画像データをクリアし(S24)、露光時間1の読取条件aへジャンプして(S26)、画像取り込みを行う(S13)。
【0019】
他方、図3(C)に示すようにセンサ出力波形が飽和電圧に達しない場合には上述したS16の判断がYesとなり、取り込んだ画像データに基づきデコード処理を行う(S30)。ここで、デコードが成功した際には(S32:Yes)、処理を終了する。一方、デコードに失敗した場合には(S32:No)、読取条件が最終かを判断し(S34)、読取条件が最終の時、即ち、図10(A)に示す露光時間4の読取条件lに達した際には(S34)、露光時間3の読取条件gへジャンプして(S36)、画像取り込みを行う(S13)。また、読取条件が最終では無い場合には(S34:No)、図5中に示すルーチンで順送りに読取条件、露光時間を変えて行く(S38)。
【0020】
第1実施形態の光学情報読取装置では、CCDセンサ12からの出力電圧をオペアンプ20で直接監視してCCDセンサ12の出力の飽和の有無を検出し、飽和が検出された時間(センサ飽和判定時間積算値Ta)をタイマ38で積算して飽和強度を推定する。そして、出力の飽和が有った場合、もしくは、飽和強度が所定以上で有る場合に、画像からの情報コードのデコードを行わないようにする。このため、CCDセンサ12の出力が飽和して、画像からの情報コードのデコードが困難な際に、デコードを行わないため、露光条件の適合しない過度に明るい周囲照度環境下においてデコードを試みる時間の無駄を無くすことができる。更に、デコードを行うこと無く、飽和強度に応じて、次画像を撮像する際の露光条件を暗くするように設定して、情報コードを読み取る。このため、種々の周囲照度環境下において短時間で情報コードを読み取ることができる。
【0021】
また、第1実施形態の光学情報読取装置では、飽和強度の大きさに応じて、露光条件の暗い第1の露光条件(S22)と、該第1の露光条件よりも更に暗い第2の露光条件(S26)とを設定するため、周囲の明るさに応じた露光条件を迅速に設定でき、種々の周囲照度環境下において短時間で情報コードを読み取ることができる。
【0022】
更に、CCDセンサ12からの出力電圧を増幅回路14を介することなく、オペアンプ20で直接監視してCCDセンサ12の出力の飽和の有無を検出している。第1実施形態では、CCDセンサ12の駆動電圧が5Vで、オペアンプ20の駆動電圧も5Vである。このため、5VのCCDセンサ12の出力を増幅回路14で増幅した後、オペアンプ20に入力すると、5V駆動のオペアンプ20ではCCDセンサ12の出力が飽和する前に出力が反転することになる。即ち、第1実施形態では、CCDセンサ12からの出力電圧を増幅せずオペアンプ20で直接監視することで、出力の飽和のタイミングを正確に検出することができる。
【0023】
[第2実施形態]
引き続き、本発明の第2実施形態に係る光学情報読取装置について、図6〜図9を参照して説明する。
上述した第1実施形態では、周囲照明が明る過ぎる(CCDセンサ12の飽和)ことを検出すると、露光時間を飽和強度に応じて調整する。これに対して、第2実施形態の光学情報読取装置は、周囲照明が明る過ぎる場合に加えて、照明が暗すぎる場合も露光時間を調整する。
【0024】
図6は、第2実施形態の光学情報読取装置の構成を示すブロック図である。
図1を参照して上述した第1実施形態では、CCDセンサ12の出力をオペアンプ20により二値化し、CCDセンサ12の出力飽和を検出した。これに対して、第2実施形態では、CCDセンサ12の出力をA/D変換回路50により多値化(例えば、256階調)することで、所定の飽和しきい値レベルよりもデジタル化した信号レベルが高い場合にCCDセンサの出力飽和とし、所定の読取しきい値レベルよりもデジタル化した信号レベルが高い場合に、読取可能出力レベルとする。ここで、出力飽和時間をタイマ38で積算して露光時間を調整することに関しては第1実施形態と同様であるが、第2実施形態では、CCDセンサの読取可能出力レベルに達した時間をタイマで積算して、露光時間を調整する。
【0025】
図9は、第2実施形態の光学情報読取装置による読取条件の切り換えの説明図である。図9(A)は、第1実施形態と同様に、CCDセンサ12の出力が飽和した際の露光時間の切り換えを示している。図8(A)に示すように周囲照度が明るいCCDセンサの出力波形の場合に、露光時間2へジャンプし、図8(B)に示すように周囲照度が非常に明るいときの出力波形の場合に露光時間1を設定する。
【0026】
図9(B)は、CCDセンサ12の出力が読取可能電圧に達した1スキャン内の積算時間(読取可能電圧積算時間Tb)が設定以下の場合の露光時間の切り換えを示している。ここで、図8(C)に示すように読取可能電圧に達した1スキャン内の積算時間Tbがしきい値時間T1以下の場合には、図9(B)中に鎖線で示すCパターンで切り換える。即ち、露光時間1から露光時間3へジャンプして、露光時間3から露光時間4へ移行し、露光時間4から露光時間1へ戻る切り換えパターンである。なお、露光時間1から露光時間3へジャンプするのは、露光時間1では十分な照度が得られていないので、露光時間2でも露光不足が予想されるからである。
【0027】
他方、図8(D)に示すように読取可能電圧に達した1スキャン内の積算時間Tbがしきい値時間T1を超える場合には、図9(B)中に実線で示すDパターンで切り換える。即ち、露光時間1から露光時間2、露光時間2から露光時間3へ移行し、露光時間3から露光時間1へ戻る切り換えパターンである。積算時間Tbがしきい値時間T1を超える場合には、十分な明るさの照明光を得ているので、最長の露光時間4を設定しない。
【0028】
この第2実施形態の光学情報読取装置による処理について図7のフローチャートを参照して説明する。
ここで、S12〜S26までの処理は、図2を参照して上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
CCDセンサ12の出力の飽和が無い場合には(S16:Yes)、CCDセンサ12の出力が読取可能電圧に達した1スキャン内の積算時間(読取可能電圧積算時間Tb)を呼び出し(S54)、CCDセンサ12の出力が画像読取可能なレベルに達したか否かを、読取可能電圧積算時間Tbをしきい値時間T1と比較することで判断する(S56)。ここで、図8(C)を参照して上述したように読取可能電圧積算時間Tbがしきい値時間T1よりも短い場合、即ち、CCDセンサ12の出力が画像読取可能なレベルに達していない場合には(S56:No)、取り込んだ画像データをクリアし(S58)、図9(B)を参照して上述した移行パターンCに沿って露光時間を切り換え(S60)、画像取り込みを行う(S13)。
【0029】
一方、S56でのCCDセンサ12の出力が画像読取可能なレベルに達したか否かの判断で、図8(D)を参照して上述したように読取可能電圧積算時間Tbがしきい値時間T1よりも長い場合、即ち、CCDセンサ12の出力が画像読取可能なレベルに達した場合には(S56:Yes)、デコードを行い(S30)、デコードが成功したか否かを判断する(S32)。デコードが成功した際には(S32:Yes)、処理を終了する。他方、デコードに失敗した際には(S32:No)、図9(B)を参照して上述した移行パターンDに沿って露光時間を切り換え(S33)、画像取り込みを行う(S13)。
【0030】
第2実施形態の光学情報読取装置では、CCDセンサ12からの出力電圧を監視して読み取り可能電圧に達するかを検出し(S54)、読み取り可能電圧が検出された時間を積算して露光不足強度を推定し、露光不足強度に応じて、次画像を撮像する際の露光条件を明るくするように設定する。このため、露光が不足する際には露光不足強度に応じて、次画像を撮像する際の露光条件を明るくするように設定して(S60、S33)、情報コードを読み取る。これにより、種々の周囲照度環境下において短時間で情報コードを読み取ることができる。
【0031】
第2実施形態の光学情報読取装置では、露光不足強度が所定以下で有る場合(S56:No)、画像データをクリアして該画像データからの情報コードのデコードを行わないようにするため(S58)、露光条件の適合しない過度に暗い照度環境下においてデコードを試みる時間の無駄を無くすことができる。
【0032】
図10(B)は、第2実施形態の改変例においてCCDセンサ12が飽和していない場合の露光時間の切り換えを示している。
露光時間1、露光時間2では暗すぎて撮像に適さないが、CCDセンサ12の出力が飽和していない場合には、露光時間1、露光時間2に行かず、露光時間3、露光時間4を切り換え、CCDセンサ12の出力飽和の時だけ露光時間1、露光時間2へ切り換えることも好適である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
上述した実施形態では、本発明の構成をバーコードを読み取る光学情報読取装置に適用した例を挙げたが、本発明の構成は、QRコード等の二次元コードを読み取る光学情報読取装置に適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学情報読取装置の構成概要を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る光学情報読取装置での処理を示すフローチャートである。
【図3】図3(A)は周囲照度が明るいときのCCDセンサの出力波形を、図3(B)は周囲照度が非常に明るいときの出力波形を、図3(C)は飽和しない際の出力波形を示す説明図である。
【図4】図4(A)、図4(B)は、周囲照度によるCCDセンサの出力波形の違いを示すグラフであり、図4(A)は周囲照度5000lxのときの出力波形を、図4(B)は周囲照度10000lxのときの出力波形を示している。
【図5】第1実施形態の光学情報読取装置による読取条件の切り換えの説明図である。
【図6】第2実施形態に係る光学情報読取装置の構成概要を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態に係る光学情報読取装置での処理を示すフローチャートである。
【図8】図8(A)は周囲照度が明るいときのCCDセンサの出力波形を、図8(B)は周囲照度が非常に明るいときの出力波形を、図8(C)は照明が非常に暗い際の出力波形を、図8(D)は照明が暗い際の出力波形を示す説明図である。
【図9】第2実施形態の光学情報読取装置による読取条件の切り換えの説明図である。
【図10】図10(A)は従来技術の光学情報読取装置による読取条件の切り換えの説明図であり、図10(B)は実施形態で、飽和していない時の露光条件の切り換えの説明図である。
【符号の説明】
【0035】
12 CCDセンサ(受光センサ)
14 増幅回路
16 二値化回路
18 分圧回路
20 オペアンプ(飽和検出手段)
30 CPU
38 タイマ(飽和強度推定手段)
40 タイマ値積算部
50 A/D変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光センサで撮像された画像から情報コードをデコードする光学情報読取装置であって、
前記受光センサからの出力電圧を直接監視して受光センサ出力の飽和の有無を検出する飽和検出手段と、
飽和が検出された時間を積算して飽和強度を推定する飽和強度推定手段と、
飽和強度が所定以上で有る場合に、画像からの情報コードのデコードを行わないようにする明デコード中止手段と、
飽和強度に応じて、次画像を撮像する際の露光条件を暗くするように設定する暗露光条件設定手段とを備えることを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記暗露光条件設定手段は、飽和強度の大きさに応じて、露光条件の暗い第1の露光条件と、該第1の露光条件よりも更に暗い第2の露光条件とを設定することを特徴とする請求項1の光学情報読取装置。
【請求項3】
前記受光センサからの出力電圧を監視して読み取り可能電圧に達するかにより露光不足を検出する露光不足検出手段と、
読み取り可能電圧が検出された時間を積算して露光不足強度を推定する露光不足強度推定手段と、
露光不足強度に応じて、次画像を撮像する際の露光条件を明るくするように設定する明露光条件設定手段とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2の光学情報読取装置。
【請求項4】
露光不足強度が所定以下で有る場合に、画像からの情報コードのデコードを行わないようにする暗デコード中止手段を備えることを特徴とする請求項3の光学情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−123465(P2008−123465A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309796(P2006−309796)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】